運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-10-25 第6回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十五日(火曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————  委員氏名    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    理事      岡田喜久治君    理事      鈴木 順一君            三木 治朗君            寺尾  豊君            藤井 新一君            栗栖 赳夫君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            小川 久義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治庁関係提出予定法律案に関  する件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。本日は第六回臨時国会に当委員におきまして審議をいたします地方自治庁関係法律案につきまして、その提出予定又その法律案概要、そういうものについて説明を承わりたいと思います。
  3. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今委員長から御指示がございました地方自治庁関係の本国会に提案いたすべき予定になつております法律案は、只今のところ三つございます。先ず第一は、地方行政調査委員会議設置法案でありまして、その外に地方公務員法案並びに地方自治法の一部を改正する法律案以上三件の予定に相成つております。これらの三法律案は一応閣議において決定をいたされまして目下所要の手続を進行中でございますので、本日具体的にいつこれを提案いたすかということについて期日を申上げますことは尚その時期ではなかろうと存じます。つきましては御要求によりまして、これら三法律案の概要について私から御説明申上げ、尚御質疑の点につきましては、出席の各関係当局からお答え申上げたいとかように存じますので、予め御了承を願つて置きたいと存じます。  先ず最初に地方行政調査委員会議置置法案について御説明をいたしたいと存じます。御承知のように先般シヤウプ使節団報告書が公表いたされまして、その本文及び附録において、地方財政の確立と関連して、強力な地方団体の必要を力説して、日本における問題は依然として国の支配を嚴にし、地方団体独立性を増すことである。こういうことを述べておるのでありますが、その具体的方法として国と地方公共団体相互間における事業配分に関し、先ず市町村に、次に都道府県優先権を與え、国は地方公共団体が行うことが適当でない事務のみを担当するという方針で事務の配分を行うこと。更に必要がありますれば、市町村等廃置処分を行うべきことを勧告しておるのでありますが、併せてこの目的のため必要な調査研究をなし、内閣に対して勧告をする権限を持つことを認められておるところの五人の委員で構成される委員会を速かに且つ特別に設置することを勧告いたしておるのであります。で地方行政調査委員会報告書のこの部分の趣旨に従つて設置される予定に相成つておるのであります。  この法律案の概要を申上げますと、地方行政調査委員会議は臨時に総理府の附属機関として設置されるものでありますが、その任務の重要性に鑑みまして、一般の審議会と異なり、その設置のために單行法を制定いたしまして、名称も委員会議という新らしい名称をとることといたしたのであります。会議の権限につきましては、シヤウプ報告書の要望いたしております通り、地方自治を充実強化して、国政の民主化を推進する見地から、地方自治を基底とする市町村都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画につきまして、調査立案し、その結果を内閣に対して勧告することであります。その計画の内容となるべき事項を具体的に申上げますれば、法律案にも掲げられてあります通りに、市町村都道府県及び国相互間の事務の分配の調整地方公共団体の機関に委任して行う委任事務調整、これらに照応する国庫補助金等に関する制度の改正及びその他事務の配分の調整に伴う必要な事項であります。この事務の配分の調整に伴いまして必要な事項と申しますると、いろいろあろうかと存ずるのでありまするけれども、例えと申しますれば、府県町村の規模を新らしく配分された事務を遂行するに足るものとするために、或いは合併したり、或いは組合を作らせたりするその規準を定めること等が考えられるのであります。尚内閣は会議の勧告を受けましたならば、これをできるだけ尊重して法律案を作成し、国会に提出するように定められておるのであります。地方自治法制定及びその後の数度の改正によりまして、地方自治は形式的には整つて参つたのでありますが、その内容たる事務の配分につきましては、何ら根本的な変革が加えられないままになつておるのであります。今般この地方行政調査委員会議が国と地方公共団体事務全般を再検討して、根本的な再配分を行うわけでありますが、これによりまして、地方税財政度の確立と相俟つて新憲法の要請する地方自治の本旨に基く地方自治の姿が、初めて具現されるものであろうと期待いたされるのであります。  会議の構成を申上げますというと、会議内閣総理大臣の任命する委員五人を以て組織することと相成つておりますが、シヤウプ報告書の通り、五人のうち三人は法律案にも書いてございますが、全国知事会議全国市長会議及び全国町村会議代表者が、それぞれ推薦する者でなければならないことといたしておるのであります。会議が立案いたします計画は、将来の国政の方面を決定するものであり、且つ委員は自由な立場から内閣に勧告する必要がありますので、その身分特別職といたしたいと、かように考えておるのであります。この点につきましては、すでにお手許に御配付申上げましたと存じますが、法律案の中にも、この点を特別職という名称は掲げておりませんけれども、「委員非常勤とする。」というような言葉を以てそれらの点が表示されておるのでございます。  尚この会議所掌事務の遂行のためには、常に関係行政機関及び地方公共団体と密接に連絡いたしまして、その荷見を尊重する必要がありますので、関係行政機関及び地方公共団体職員のうちから、内閣総理大臣が任命する三十人以内の委員で組織する連絡協議会というふうなものを置きまして、緊密なる連絡協調を図りますと共に、非常勤專門調査員を置きまして、專門的な事項調査に当らせることをいたしたのであります。  尚会議の特異な性格に鑑みまして、これらの事務を所掌いたさなければならないのでございますが、これ亦法律案にもございますように、「会議の庶務は、地方自治庁において処理する。」こういうふうなことに相成つておるのであります。  委員の選任及び構成が、将来設置さるべきであろうところの新たなる地方財政に関する委員会等につきまして、これらとの密接不可分関係等をも考えられまするがために、将来は別といたしまして、今日現状におきましては、これらの仕事が地方自治庁において掌られることに相成りますことはこれは申上げるまでもないことと存ずるのでございます。これに伴いまして、地方自治庁において專任の職員を相当数増加することが必要と相成るのでございますが、この際は成るべく増員を少数に止める必要がありますので、必要に応じましては関係行政機関職員地方自治庁に兼務さすことができるという途を開いておるのでございます。この法律案は先程申しましたように、本臨時国会に提案する予定と相成つておるのでございまするが、来年度の平衡交付金千二百億円の内容に、現在如何なる補助金を含ませるかということは至急に決定いたさなければなりません。  ついては、法律施行までの間、法律案規定される内容と同様の委員会を、法令によらずして事実上設けて、差当り必要な調査研究をなさしめる必要がございまするので、併せて先般地方行政調査委員会議設置に関しまして、閣議の決定を見ておるような次第で、目下これが準備をいたしておるような次第でございます。  以上極めて概要でございますが、地方行政調査委員会議設置法案の内容及び趣旨につきまして簡單に御説明申上げた次第でございます。  次は地方自治会の一部を改正する法律案について御説明を申上げたいと存じます。  御承知のごとく地方自治法制定いたされまして以来、数回に亘り改正が行われたのでございまするが、今回は地方政治における秩序を保持する、又その安定を期するというふうな目的をも持ちまする外、所要の改正を行う必要が生じましたので、これらの点を考慮いたしまして、改正法律案を提案いたしたい、かように考えておる次第でございます。  先ず法律案の極めて大綱について申上げますというと、総括的な問題といたしましては、地方公共団体事務所の位置を定め、或いはこれを変更する條例は、当該地方公共団体の議会において、出席議員の三分の二以上の者の同意を要するものといたすことでございます。これは地方自治法第四條の問題でございます。  第二は、直接請求に関する事項でありまして、特に署名の問題につきましては、直接請求が制定されまして以来、これが実施に当りまして、種々問題がある点に鑑みまして、今般適当な改正をいたしたい、かように存ずるのでありまして、先ず直接請求の署名の効力の審査基準を明記いたしまして、必要に応じ関係人の出頭及び証言を求めて署名を審査いたしました上、これを関係人の縱覽に供して確定する、こういうことであります。  次は暴力若しくは不正の方法を用い、又は特殊の利害関係を利用して署名及び署名運動の自由を妨害した者、並びに署名の僞造、増減等悪質行為をした者に対し、衆議院議員選挙運動におけると同じ程度の罰則を科するということであります。  第三は、議会に関する事項でありまして、都道府県の議会の定例会は、現行法によりますれば、毎年六回以上と、かように相成つておりまするものを、実情に即するごとく、毎年四回以上招集するものというふうに改めたい点であります。尚又地方公共団体の議会において行う選挙に関する出訴期間を二十一日以内とすることにいたしたという点でございます。  第四は、執行機関に関する事項でありますが、市町村にありましては、出張所、政令で指定する市、即ち五大市でございますが、これらの市にありましては、区の事務所出張所を設けることができるものとするのであります。  次は都道府県の局部、即ち機構についてでありますが、行政事務を処理する局部のみを法定することといたしまして、その公共事業の経営に関する事務のごときは條例で適宜の組織を設けることができる途を開いておることであります。右によりまして、例えば都の交通局及び水道局並びに道府県の公共事業部の法定を廃止する外、都府県の農地部任意設置部といたすことにいたしたいのであります。  尚監査委員は、地方公共団体補助金等によつて財政的援助を與えているものの出納その他の事務の執行を監査することができるものといたしている点であります。  第五は、財務に関する事項であります。分担金使用料等に関しまして、延滯金を徴收することができる途を開くこと、出納長又は收入役等の賠償責任に関する規定を設けていることであります。その他議会の議員又は長の選挙又は当選、直接請求に基く議会の解散等に関する争訟は、この法律の定める手続によることにいたしているのであります。  次に、国の出先機関の整理に伴いまして、都道府県においては、通商産業局出張所及び道路運送整理事務所所掌事務を処理させるために、当分の間知事直属事務所を設けることができるということにいたしております。右に関連いたしまして、臨時物資需給調整法の一部を改正し、主務大臣指揮監督権規定することといたしておるのであります。  次は、昭和二十三年法律第百七十九号附則第二條の規定により、いわゆる戰時中統合されました町村の問題でございますが、この規定による市町村区域変更の請求の署名等につきましても、直接請求の署名等と同様の取扱をする外、この際は特別な改正を加えないことと相成つております。その他法律改正に伴いまして、必要な手続を整備することといたしております。  以上が地方自治法の一部を改正する法律案の大要でございます。  次は、地方公務員法案の概要を申上げたいと存じます。御承知のごとく国家公務員につきましては、国家公務員法制定があるのでございまするが、地方公務員に対しましても、何らかの法律制定を必要といたしておりますることは、各位の御承知の通りでございます。地方自治法にも、或いは「別に普通地方公共団体職員に関して規定する法律」或いは都道府県の吏員に対しては、「別に普通地方公共団体職員に関して規定する法律が定められるまで」とあります通りに、昭和二十二年五月、地方自治法施行の際には、地方公務員制度については、将来地方公務員法制定することを予定して、それまでは、概ね従前の例によるという暫定措置をいたして参つておるのであります。昭和二十二年十二月、地方自治法附則第一條第二項に、地方公務員法は、昭和二十三年四月一日までに制定しなければならないと定められたのでございますが、同法案に対する関係方面の審議が進みませんために、四月一日までに制定しなければならないとあるのを、五月一日までに国会に提出しなければならないものと改めたのでありますが、依然として関係方面の審議が進まないような事情もございまして、更に十二月三十一日までにと、改めることにいたされたのであります。然に同年七月のマツカーサー元帥書簡に基く政令第二百一号の判定、これに伴う国家公務員法改正に対応するために、暫定地方公務員法制定することといたしまして、種々折衝を開始いたしておつたのでございまするが、関係方面意向等もございましたので、一応これを取止めまして、更に新らしい方針の下に審議をいたされるということに相成つたのであります。次に昭和二十四年三月、前年十一月に示されました種々なる方針意見を基礎といたしまして、新らしい考え方の下に案を練りまして、更に審議を続けて参つてつたのでございますが、遂に遺憾ながら第五国会に提案の運びとは相成らなかつたのでございます。その後、再三折衝を続け、またその助言に基きまして、案を練りまして、漸く本案を提出するに至つたのでございます。以上の経過を予め申上げまして、この地方公務員法案がこの国会に提案されるに至りました事情を予め御了承を賜わりたいと思うのであります。  さて、地方公務員法制定必要性につきましては、その地方公務員身分に関する何らかの規定が、法的規正が新らしい地方自治制度の下において必要である。ところが、現状は極めて悲観的である。或いは旧態依然たるものがあつたのであります。即ち都道府県の吏員につきましては、地方自治法施行前までは、その身分が大部分官吏でありました関係で、現状においても尚従来の官吏制度がそのまま踏襲されておるのでありまして、市町村吏員に至りましては、僅かに地方自治法施行前からの市町村吏員服務規律と新たに設けられました吏員の懲戒に関する規定があるに過ぎないのであります。更に国家公務員法、特に改正国家公務員法の施行は、国家公務員地方公務員との身分取扱の均衡の見地からも、地方公務員法の早急な制定を必要といたして参つたのであります。  この地方公務員法制定に当りまして、如何なる点を考慮に加えたかということを概括的に申上げますというと、地方公務員法根本精神が、国家公務員法のそれと同じように、公務員の民主的且つ能率的な運営の保障にあることは申すまでもございませんが、同法の適用される客体が広汎な自治権を持つておる地方公共団体でありますので、地方自治の本旨の伸張に寄與するという建前からいつて、些細な点まで嚴格な一律的法的規正を加えますことは適当でなく、法の具体的且つ細部の運営は條例又は規則に讓るべきであると考えられるのであります。即ち、要約いたしますれば、地方公共団体自主性に対する考慮が先ずなされなければならないのでございます。次に、一概に地方公共団体と申しましても、東京都のように大公共団体もあれば、又山間海浜の僻村までございますので、その行政機構或いは職員の数との点で、いわゆる多種多様な状態である点に鑑みまして、地方公共団体多様性という考慮が第二に拂われなければならないのであります。要するに、地方公務員法自体の要請と地方公共団体自主性或いは多様性から出発いたしまする地方公共団体特殊性とを如何に調和せしむるかが、本法性定に当りまして基礎的な考慮を拂わなければならない問題であるのであります。  次に地方公務員法案の内容の概要を申上げますると、目的といたしましては、大体お手許にございまする法律案を御一読賜わりたいと思うのでございますが、その適用範囲は、地方公務員一般職特別職とに分けまして、この法律一般職に属する職員職員と申しておるのでありますが)にのみ適用するものといたしまして、法律に特別の定がある職がを除きましては、特別職には適用しない。尚特別職と申しますのは、その選任に当つて公選によるもの、地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によるもの、及び地方公共団体各種委員会委員等で臨時的又は非常動のもの、並びに失業対策事業等のため失業者として雇用されるものといたしておるのであります。  次に人事機関及び職員に関する條例制定でありまして、地方公共団体は、法律又はこれに基く政令に特別の定がある場合を除いて、條例人事機関設置職員に適用される根本基準の実施その他職員に関し必要な事項を定めるものといたしておるのであります。尚人事委員会又は人事委員を置く地方公共団体におきましては、人事行政に関する條例制定、改廃については人事委員会又は人事委員の意見を聽かなければならないものといたしております。  次は地方自治庁との関係でございますが、地方自治庁地方公共団体人事行政の運営がこの法律によつて確立されるよい公務員制度の原則に副つてなされるように協力し、及び技術的助言をすることができる、かように相成つておるのであります。  次に人事委員会又は人事委員に関する事柄でありますが、今回地方公共団体都道府県、及びいわゆる五大市、及び特別市につきましては、人事委員会を設ける。この人事委員会條例で三人の委員を以て組織する、こういうふうにいたしたい。尚人事委員会を置かない地方公共団体におきましては、條例人事委員を置くことができるということにいたしまして、尚人事委員会又は人事委員の双方を置かない地方公共団体におきましては、地方公共団体の長が人事委員会又は人事委員の行うべき事務を行うものといたすことになつておるのであります。これらの人事委員会又は人事委員の権限はこの法律の定めるところによりまして、概ね国の人事院に類する権限を有するものといたしまして、これに関して規則を制定することができることと相成つております。尚これらの人事委員会委員又は人事委員の選任、罷免等につきましても、規定を設けておるのでございます。  次は職員に適用される基準に関する事項でございまするが、原則といたしまして、職員の任用、職階制、分限及び懲戒、服務、研修、給與その他の勤務條件につきましては、概ね国家公務員法規定に準じ、この法律におきましてはその根本基準規定するに止めまして、実施のために必要な事項條例規則等によるものといたしております。尚職階制の実施及び職員給與その他の勤務條件の設定に当りましては、国及び他の地方公共団体との間に権衡を失しないように、適当な考慮が拂われなければならないものといたしております。その他職員の採用又は昇任の方法、或いは競争試験、及び選考の問題等につきまして所要の規定を設けます外に、職階制、分限、及び懲戒、服務、研修等につきましても、それぞれの規定を置いておるのでありまするが、給與その他の勤務條件に関しましては、その職務と責任に応ずるものでなければならないということ、又その基準は生計費及び民間事業従業者給與その他の事情を考慮して定められなければならないといたしておるのであります。尚職員給與その他の勤務條件條例で定めることといたしております。  尚又福祉及び利益の保護等に関連いたしまして、共済制度退職年金及び退職一時金制度公務災害補償制度等を、それぞれ條例で決め得る途が開かれておるのであります。  尚又国家公務員法中にもございますように、懲戒その他その意に反する不利益な処分を受けた職員につきましては、人事委員会又は人事委員に対しまして、その審査を請求することができる途を開いております。  次に職員団体に関する事項でございますが、この職員団体に関しましてはいろいろの考え方ができるのであります。これらの考え方につきまして、政府におきましては種々研究をいたしました結果、一応この法律案に定められておりますような取扱をすることと決定いたしたような次第でございます。職員勤務條件に関し、又はこれを併せて社交的若しくは厚生的活動を含む適法の目的のため、地方公共団体の当局と交渉するための団体を結成し、又はこれに加入することができるものといたしておるのであります。勿論この場合におきましては、当該地方公共団体職員でなければ、当該地方公共団体職員団体構成員にはなれないものと解釈いたしております。尚管理又は監督の地位にある職員及び機密の事務を取扱う職員は、職員団体を結成し、又はこれに加入することができない。職員団体当該地方公共団体の他の職員団体とのみ連合体を組織することができる。職員団体人事委員会又は人事委員に登録しなければならないものといたしております。それで職員団体の登録の要件につきましては、その規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為は、すべて構成員たる職員が平等に参加する機会を有する直接且つ祕密の投票による全員の多数決による旨の民主的な手続を定めまして、これによつてしなければならないものといたしておるのであります。職員団体は法人とすることができるものといたしております。ただ警察職員及び消防職員は、職員団体を結成し、又はこれに加入することができない。職員は登録を受けました職員団体を通じてみずから代表者を選び、勤務條件に関し、又はこれと併せて社交的若しくは厚生的活動を含む適法の目的のため、地方公共団体の当局と交渉することができるものといたしております、但しこの交渉は、地方公共団体の当局と団体協約を締結する権限を含まないものといたしておるのであります。職員団体と関連いたしまして特に問題に相成りますものは、公企業職員に関する点でございます。この公企業に従事いたしておりまする職員は、その特殊性に鑑みまして、身分の取扱に関しましては地方公務員法規定は適用しないで、別に法律を定めることといたしまして、それまでの間は尚従前の例によるものといたしておるのであります。  公企業の範囲は、地方鉄道事業軌道事業索道事業、無軌條電車事業自動車運送事業及び定期航路事業電気事業ガス事業上水道事業、これらの事業を公企業といたしまして法定をいたしておるのであります。  この公企業職員に対しまして、身分の取扱を異にするということにつきましては、勿論何らこの点については異存のないところでございまするが、これを地方公務員法の中で規定するか、或いは別の法律規定するかということにつきましては、種々論議があつたのでございます。結局これらの公企業従業員身分取扱につきましては、地方公務員法による職員団体を結成するということにしませんで、労働組合法による別の法律に基く団体を作ることができるような途を開くことが妥当であろう。即ち国有鉄道職員を律しまする公共企業体労働関係法のごときものを制定することが必要ではなかろうかというふうなことに相成りまして、別の法律で定めるということに相成つたものでございます。  地方公務員に関しまする労働四法の関係でございまするが、本法の適用を受ける地方公務員に関しましては、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法及び船員法は適用がないということにいたしておるのであります。但し労働基準法及び船員法の規定は、この法律に抵触する規定以外の規定職員に準用する。この場合におきましては、労働基準監督機関の職権は、現業職員の場合を除いて、人事委員会又は人事委員が行うものとすることに相成つております。  尚又罰則に関する事項といたしましては、大体国家公務員法に準する罰則を設けるものと相成つております。  最後に、この法律の施行に関する事項でございまするが、以上説明いたしましたように、この法律案は施行に当りましては、種々準備等をいたさなければならない問題が多いことと、又当該事項につきましては、基本的な研修をいたさなければならない時間も必要と相成つておりますので、道府県、都及び五大市その他の地方公共団体というふうに三つのグループに分けまして、尚又規定につきましては総則、服務及び福祉及び利益の保護の根本基準に関する規定、又職員団体及び労働四法の適用排除に関する規定、任用、職階、分限及び懲戒、研修、給與その他の勤務條件、その他職員の福祉及び厚生等に関する規定につきましては、それぞれの規定の性質並びにこれが実施に必要な準備期間等をも考え合せまして、それぞれの施行期日を制定いたしたいと、かように考えておるような次第でございます。  以上甚だ概要でございますが、提案を予定されておりまする三法律案に関する説明をいたした次第でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の説明につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今日は議員総会その他いろいろ重複していますので、今日は説明を聽いただけで次回に譲つたらどうですか。
  6. 藤井新一

    ○藤井新一君 ちよつと私疑問があるのですが、地方行政調査委員会議設置法案の第五條において、総理大臣が任命する委員五名というのは、ここに掲げたところの全国の都道府県知事と市長及び町村長の連合組織の代表者以外にお二人というのはどういう方がなられておるのか、ちよつと参考までに聽きたいのと、この委員会議が決議した事項に対しては、総理大臣はどの程度にこれを採用されるか、これは強制的なものか、又一参考に過ぎないものかどうか、ちよつとその点を聽いておれば参考になると思います。
  7. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 只今委員の問題でございますが、これは三人各団体からの代表の外に、もう二人は総理大臣が任命することになつています。まだ決定はいたしておりませんが、目下選考中であります。  それから尚法案第四條に「内閣は、前條の計画に関する法律案国会提出等に関しては会議勧告を尊重しなければならない。」とありまして、これは内閣勧告を尊重するということになつております。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 藤井君が質問しましたから、それに関連して伺いますが、総理大臣が任命することはこの條文で分つておりますが、どういう人を任命するかということです。
  9. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) これはやはり学識経験ある者から任命することになつております。
  10. 島村軍次

    ○島村軍次君 法律の建前からして、三人だけの者をここへ挙げて置くということは、これはちよつとおかしいのじやないかと私は思いますがね。外との今までの法律の各種の法律委員会組織を見ましても……。だからむしろ他の二名は学識経験者から選ぶというようなことにすべきじやないかと思いますが、それに対しては……。
  11. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 実はこれはシヤウプの勧告案にその通りになつておるのであります。それをそのまま挙げたわけであります。
  12. 島村軍次

    ○島村軍次君 それは問答するようですけれども、勧告案はつまり三人の者はこういう者から選ばなければならないというので、あとに二人についての委員に対しては別に指示もなかつたのじやないかと思いますが、シヤウプの勧告案を引写しにするということのために、学識経験者と入れることを御遠慮になつた法律案じやないか、こういうことにできるのですか、その点は如何ですか。
  13. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 何分委員の性質から言いまして、学識経験特にある者ということで前提になつておりまして、それをまあ基本にして……。但しそのうちで三人だけはそういう者ということにしたわけであります。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の次長の説明が甚だ妙だと思うのは、三人ここに挙げてあつて、その他を書かないのはシヤウプの勧告である。今その他はどうだというと学識経験者、大体どういう者を出すという肚を持つてなら、ここに書かれるか、シヤウプ勧告案がそうであつたからといつて、それを鵜呑みにしてここに書かんければ誠に意義がないと思う。はつきりしてないと思う。どうですか。
  15. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 只今申しましたように、ここには明記はいたしませんが、学識経験ということをまあ基本にしているだけでございます。
  16. 藤井新一

    ○藤井新一君 学識経験というのも程度がございますが、都道府県代表者みたように立派な方ですか、又は特別職を持つ方を任命するのですか、どういう御意向ですか、あなたの方の意図するところはどこですか、特別職を持つている人でも構わないのですか。
  17. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 特別職でございます。
  18. 藤井新一

    ○藤井新一君 特別職……議会の承認を得ればいいのですか。
  19. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 議会の承認は別にこれはございません。
  20. 藤井新一

    ○藤井新一君 つまり特別職になる際には、議会の承認を……。
  21. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) この委員特別職になるのでございます。ですから各知事ですね、或いは市長、町村長……。
  22. 藤井新一

    ○藤井新一君 それは分つております。
  23. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) それから選ぶわけですが……。
  24. 藤井新一

    ○藤井新一君 その外の二名ですよ。特別職の人がなつていいですか。
  25. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) はあ、そういうわけでございます。
  26. 藤井新一

    ○藤井新一君 その場合にその二人の人が例えば国会議員であつた場合にはどうするのですか、それも学識経験者の人から……。
  27. 遠山信一郎

    政府委員(遠山信一郎君) 国会議員の場合は承認を受けるという制約がありますが、承認を受ければいいわけです。
  28. 藤井新一

    ○藤井新一君 政府の人もそういう人を考えておるわけですか。そこのところを伺いたい。二名というのがぼんやりしているから不思議でしようがない。どういう人を……。
  29. 小野哲

    政府委員小野哲君) 先程私が御説明いたしました中に、この委員会委員特別職である。これに伴いまして附則において国家公務員法等の所要改正をいたさなければならないわけでございますが、只今御質疑がございました委員自体を一体特別職からも出せるか、若し国会議員から出すような場合におきましては、国会法の第三十九條によりまして国会の承認を得なければならん、こういう制約があることは只今次長から御答弁申上げた通りでございまするが、一体政府はどういう人をこの三人以外の二人に当てようとしておるかにつきましては、目下種々研究をいたしておるような次第で、未だここに明確な御答弁を申上げる時機には実は相成つていない点を私から申上げて置きたいと思います。
  30. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のこの問題は政務次官の説明でよく分りましたが、そういうふうなことであるならば、次長の答弁はさつき甚だ出まかせを言つたようなことになるので、それならそういうふうにはつきり初めから言つて置くべきだと思います。
  31. 島村軍次

    ○島村軍次君 重要な法案でもありますし、私はこの法案以外にこれに伴う予算、それから相当の人員を要するという政務次官のお話でありましたので、どのくらいの人を以てこの組織を運営して行くかというようなことに対して調書をお願い申上げたい。それから財政委員会等関係についてどういうふうなことになりますか。この法律案に出ておるかも知れませんけれども、よく分りませんのでそういう点を次回までに一つ……、今日は御答弁を頂くことを御遠慮願つて本日はこれで散会することに……。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今日まだ法律案が提案になつたわけではございません。ただこの臨時国会に提案されるだろう三法案につきまして大体の内容をお尋ねしただけでございます。それで只今島村委員から御要求もありましたように地方行政調査委員会におきましてその予算及び定員に関する調書、それを出して頂きたい。それから又財政委員会との関係、それから地方自治庁をいずれ廃止しなければならない、その曉には、今までやつてる事務はどうなるかということにつきまして、次回にお尋ねしたいと思います。それではこれで散会いたします。    午後二時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            藤井 新一君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            小川 久義君   国務大臣   国 務 大 臣 木村小左衞門君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 遠山信一郎君