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1949-10-25 第6回国会 参議院 地方行政委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十月二十五日(火曜日) 午後一時二十八分開会
—————————————
委員氏名
委員長
岡本
愛祐
君
理事
吉川末次郎
君
理事
岡田喜久治
君
理事
鈴木
順一君 三木 治朗君 寺尾 豊君 藤井 新一君 栗栖 赳夫君
林屋亀次郎
君 柏木 庫治君
西郷吉之助
君 島村 軍次君
鈴木
直人君 太田 敏兄君 小川 久義君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
地方自治庁関係提出予定法律案
に関 する件
—————————————
岡本愛祐
1
○
委員長
(
岡本愛祐
君) これより
地方行政委員会
を開会いたします。本日は第六回
臨時国会
に当
委員
におきまして
審議
をいたします
地方自治庁関係
の
法律案
につきまして、その
提出予定
又その
法律案
の
概要
、そういうものについて
説明
を承わりたいと思います。
小野哲
2
○
政府委員
(
小野哲
君)
只今委員長
から御指示がございました
地方自治庁関係
の本
国会
に提案いたすべき
予定
になつております
法律案
は、只今のところ三つございます。先ず第一は、
地方行政調査委員会議設置法案
でありまして、その外に
地方公務員法案
並びに
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
以上三件の
予定
に相成つております。これらの三
法律案
は一応閣議において決定をいたされまして目下所要の手続を進行中でございますので、本日具体的にいつこれを提案いたすかということについて期日を申上げますことは尚その時期ではなかろうと存じます。つきましては御要求によりまして、これら三
法律案
の概要について私から御説明申上げ、尚御質疑の点につきましては、出席の各
関係当局
からお答え申上げたいとかように存じますので、予め御了承を願つて置きたいと存じます。 先ず最初に
地方行政調査委員会議置置法案
について御説明をいたしたいと存じます。御承知のように先般
シヤウプ使節団
の
報告書
が公表いたされまして、その本文及び附録において、
地方財政
の確立と関連して、強力な
地方団体
の必要を力説して、日本における問題は依然として国の支配を嚴にし、
地方団体
の
独立性
を増すことである。こういうことを述べておるのでありますが、その
具体的方法
として国と
地方公共団体相互
間における
事業配分
に関し、先ず
市町村
に、次に
都道府県
に
優先権
を與え、国は
地方公共団体
が行うことが適当でない
事務
のみを担当するという方針で
事務
の配分を行うこと。更に必要がありますれば、
市町村等
の
廃置処分
を行うべきことを勧告しておるのでありますが、併せてこの目的のため必要な
調査研究
をなし、内閣に対して勧告をする権限を持つことを認められておるところの五人の
委員
で構成される
委員会
を速かに且つ特別に
設置
することを勧告いたしておるのであります。で
地方行政調査委員会
は
報告書
のこの部分の趣旨に従つて
設置
される
予定
に相成つておるのであります。 この
法律案
の概要を申上げますと、
地方行政調査委員会議
は臨時に総理府の
附属機関
として
設置
されるものでありますが、その任務の
重要性
に鑑みまして、一般の
審議会
と異なり、その
設置
のために單行法を
制定
いたしまして、名称も
委員会議
という新らしい名称をとることといたしたのであります。
会議
の権限につきましては、
シヤウプ報告書
の要望いたしております通り、
地方自治
を充実強化して、国政の
民主化
を推進する見地から、
地方自治
を基底とする
市町村
、
都道府県
及び
国相互
間の
事務
の配分の
調整等
に関する計画につきまして、
調査
立案し、その結果を内閣に対して勧告することであります。その計画の内容となるべき
事項
を具体的に申上げますれば、
法律案
にも掲げられてあります通りに、
市町村
、
都道府県
及び
国相互
間の
事務
の分配の
調整
、
地方公共団体
の機関に委任して行う
委任事務
の
調整
、これらに照応する
国庫補助金等
に関する制度の
改正
及びその他
事務
の配分の
調整
に伴う必要な
事項
であります。この
事務
の配分の
調整
に伴いまして必要な
事項
と申しますると、いろいろあろうかと存ずるのでありまするけれども、例えと申しますれば、
府県町村
の規模を新らしく配分された
事務
を遂行するに足るものとするために、或いは合併したり、或いは組合を作らせたりするその規準を定めること等が考えられるのであります。尚内閣は
会議
の勧告を受けましたならば、これをできるだけ尊重して
法律案
を作成し、
国会
に提出するように定められておるのであります。
地方自治法
の
制定
及びその後の数度の
改正
によりまして、
地方自治
は形式的には
整つて参つたの
でありますが、その内容たる
事務
の配分につきましては、何ら根本的な変革が加えられないままになつておるのであります。今般この
地方行政調査委員会議
が国と
地方公共団体
の
事務全般
を再検討して、根本的な再配分を行うわけでありますが、これによりまして、
地方税財政度
の確立と相
俟つて
新憲法の要請する
地方自治
の本旨に基く
地方自治
の姿が、初めて具現されるものであろうと期待いたされるのであります。
会議
の構成を申上げますというと、
会議
は
内閣総理大臣
の任命する
委員
五人を以て組織することと相成つておりますが、
シヤウプ報告書
の通り、五人のうち三人は
法律案
にも書いてございますが、
全国知事会議
、
全国市長会議
及び
全国町村会議
の
代表者
が、それぞれ推薦する者でなければならないことといたしておるのであります。
会議
が立案いたします計画は、将来の国政の方面を決定するものであり、且つ
委員
は自由な立場から内閣に勧告する必要がありますので、その
身分
も
特別職
といたしたいと、かように考えておるのであります。この点につきましては、すでにお手許に御配付申上げましたと存じますが、
法律案
の中にも、この点を
特別職
という名称は掲げておりませんけれども、「
委員
は
非常勤
とする。」というような言葉を以てそれらの点が表示されておるのでございます。 尚この
会議
の
所掌事務
の遂行のためには、常に
関係行政機関
及び
地方公共団体
と密接に連絡いたしまして、その荷見を尊重する必要がありますので、
関係行政機関
及び
地方公共団体
の
職員
のうちから、
内閣総理大臣
が任命する三十人以内の
委員
で組織する
連絡協議会
というふうなものを置きまして、緊密なる
連絡協調
を図りますと共に、
非常勤
の
專門調査員
を置きまして、專門的な
事項
の
調査
に当らせることをいたしたのであります。 尚
会議
の特異な性格に鑑みまして、これらの
事務
を所掌いたさなければならないのでございますが、これ亦
法律案
にもございますように、「
会議
の庶務は、
地方自治庁
において処理する。」こういうふうなことに相成つておるのであります。
委員
の選任及び構成が、将来
設置
さるべきであろうところの新たなる
地方財政
に関する
委員会等
につきまして、これらとの
密接不可分
の
関係等
をも考えられまするがために、将来は別といたしまして、今日現状におきましては、これらの仕事が
地方自治庁
において掌られることに相成りますことはこれは申上げるまでもないことと存ずるのでございます。これに伴いまして、
地方自治庁
において專任の
職員
を相当数増加することが必要と相成るのでございますが、この際は成るべく増員を少数に止める必要がありますので、必要に応じましては
関係行政機関
の
職員
を
地方自治庁
に兼務さすことができるという途を開いておるのでございます。この
法律案
は先程申しましたように、本
臨時国会
に提案する
予定
と相成つておるのでございまするが、来年度の
平衡交付金
千二百億円の内容に、現在如何なる
補助金
を含ませるかということは至急に決定いたさなければなりません。 ついては、
法律施行
までの間、
法律案
に
規定
される内容と同様の
委員会
を、法令によらずして事実上設けて、差当り必要な
調査研究
をなさしめる必要がございまするので、併せて先般
地方行政調査委員会議
の
設置
に関しまして、閣議の決定を見ておるような次第で、目下これが準備をいたしておるような次第でございます。 以上極めて概要でございますが、
地方行政調査委員会議設置法案
の内容及び趣旨につきまして簡單に御説明申上げた次第でございます。 次は
地方自治会
の一部を
改正
する
法律案
について御説明を申上げたいと存じます。 御承知のごとく
地方自治法
が
制定
いたされまして以来、数回に亘り
改正
が行われたのでございまするが、今回は
地方政治
における秩序を保持する、又その安定を期するというふうな目的をも持ちまする外、所要の
改正
を行う必要が生じましたので、これらの点を考慮いたしまして、
改正法律案
を提案いたしたい、かように考えておる次第でございます。 先ず
法律案
の極めて大綱について申上げますというと、総括的な問題といたしましては、
地方公共団体
の
事務所
の位置を定め、或いはこれを変更する
條例
は、
当該地方公共団体
の議会において、
出席議員
の三分の二以上の者の同意を要するものといたすことでございます。これは
地方自治法
第四條の問題でございます。 第二は、直接請求に関する
事項
でありまして、特に
署名
の問題につきましては、直接請求が
制定
されまして以来、これが実施に当りまして、種々問題がある点に鑑みまして、今般適当な
改正
をいたしたい、かように存ずるのでありまして、先ず直接請求の
署名
の効力の
審査基準
を明記いたしまして、必要に応じ
関係人
の出頭及び証言を求めて
署名
を審査いたしました上、これを
関係人
の縱覽に供して確定する、こういうことであります。 次は暴力若しくは不正の方法を用い、又は特殊の
利害関係
を利用して
署名
及び
署名運動
の自由を妨害した者、並びに
署名
の僞造、
増減等
の
悪質行為
をした者に対し、
衆議院議員
の
選挙運動
におけると同じ程度の罰則を科するということであります。 第三は、議会に関する
事項
でありまして、
都道府県
の議会の
定例会
は、
現行法
によりますれば、毎年六回以上と、かように相成つておりまするものを、実情に即するごとく、毎年四回以上招集するものというふうに改めたい点であります。尚又
地方公共団体
の議会において行う選挙に関する出訴期間を二十一日以内とすることにいたしたという点でございます。 第四は、
執行機関
に関する
事項
でありますが、
市町村
にありましては、
出張所
、政令で指定する市、即ち五大市でございますが、これらの市にありましては、区の
事務所
の
出張所
を設けることができるものとするのであります。 次は
都道府県
の局部、即ち機構についてでありますが、
行政事務
を処理する局部のみを法定することといたしまして、その
公共事業
の経営に関する
事務
のごときは
條例
で適宜の組織を設けることができる途を開いておることであります。右によりまして、例えば都の
交通局
及び水道局並びに道府県の
公共事業部
の法定を廃止する外、都府県の
農地部
を
任意設置部
といたすことにいたしたいのであります。 尚
監査委員
は、
地方公共団体
が
補助金等
によ
つて財政的援助
を與えているものの出納その他の
事務
の執行を監査することができるものといたしている点であります。 第五は、財務に関する
事項
であります。
分担金
、
使用料等
に関しまして、
延滯金
を徴收することができる途を開くこと、
出納長
又は收入役等の
賠償責任
に関する
規定
を設けていることであります。その他議会の議員又は長の選挙又は当選、直接請求に基く議会の
解散等
に関する争訟は、この
法律
の定める手続によることにいたしているのであります。 次に、国の
出先機関
の整理に伴いまして、
都道府県
においては、
通商産業局出張所
及び
道路運送整理事務所
の
所掌事務
を処理させるために、当分の
間知事直属
の
事務所
を設けることができるということにいたしております。右に関連いたしまして、
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
し、
主務大臣
の
指揮監督権
を
規定
することといたしておるのであります。 次は、昭和二十三年
法律
第百七十九
号附則
第二條の
規定
により、いわゆる戰時中統合されました町村の問題でございますが、この
規定
による
市町村
の
区域変更
の請求の
署名等
につきましても、直接請求の
署名等
と同様の取扱をする外、この際は特別な
改正
を加えないことと相成つております。その他
法律
の
改正
に伴いまして、必要な手続を整備することといたしております。 以上が
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
の大要でございます。 次は、
地方公務員法案
の概要を申上げたいと存じます。御承知のごとく
国家公務員
につきましては、
国家公務員法
の
制定
があるのでございまするが、
地方公務員
に対しましても、何らかの
法律
の
制定
を必要といたしておりますることは、各位の御承知の通りでございます。
地方自治法
にも、或いは「別に
普通地方公共団体
の
職員
に関して
規定
する
法律
」或いは
都道府県
の吏員に対しては、「別に
普通地方公共団体
の
職員
に関して
規定
する
法律
が定められるまで」とあります通りに、昭和二十二年五月、
地方自治法施行
の際には、
地方公務員制度
については、将来
地方公務員法
を
制定
することを
予定
して、それまでは、概ね従前の例によるという
暫定措置
をいたして
参つて
おるのであります。昭和二十二年十二月、
地方自治法附則
第一條第二項に、
地方公務員法
は、昭和二十三年四月一日までに
制定
しなければならないと定められたのでございますが、同法案に対する
関係方面
の審議が進みませんために、四月一日までに
制定
しなければならないとあるのを、五月一日までに
国会
に提出しなければならないものと改めたのでありますが、依然として
関係方面
の審議が進まないような事情もございまして、更に十二月三十一日までにと、改めることにいたされたのであります。然に同年七月の
マツカーサー元帥書簡
に基く政令第二百一号の判定、これに伴う
国家公務員法
の
改正
に対応するために、
暫定地方公務員法
を
制定
することといたしまして、種々折衝を開始いたしてお
つたの
でございまするが、
関係方面
の
意向等
もございましたので、一応これを取止めまして、更に新らしい方針の下に審議をいたされるということに相成
つたの
であります。次に昭和二十四年三月、前年十一月に示されました種々なる
方針意見
を基礎といたしまして、新らしい
考え方
の下に案を練りまして、更に審議を続けて
参つて
お
つたの
でございますが、遂に遺憾ながら第五
国会
に提案の運びとは相成らなか
つたの
でございます。その後、再三折衝を続け、またその助言に基きまして、案を練りまして、漸く本案を提出するに
至つたの
でございます。以上の経過を予め申上げまして、この
地方公務員法案
がこの
国会
に提案されるに至りました事情を予め御了承を賜わりたいと思うのであります。 さて、
地方公務員法制定
の
必要性
につきましては、その
地方公務員
の
身分
に関する何らかの
規定
が、
法的規正
が新らしい
地方自治制度
の下において必要である。ところが、現状は極めて悲観的である。或いは旧態依然たるものがあ
つたの
であります。即ち
都道府県
の吏員につきましては、
地方自治法施行
前までは、その
身分
が大
部分官吏
でありました
関係
で、現状においても尚従来の
官吏制度
がそのまま踏襲されておるのでありまして、
市町村吏員
に至りましては、僅かに
地方自治法施行
前からの
市町村吏員服務規律
と新たに設けられました吏員の懲戒に関する
規定
があるに過ぎないのであります。更に
国家公務員法
、特に
改正国家公務員法
の施行は、
国家公務員
と
地方公務員
との
身分取扱
の均衡の見地からも、
地方公務員法
の早急な
制定
を必要といたして参
つたの
であります。 この
地方公務員法制定
に当りまして、如何なる点を考慮に加えたかということを概括的に申上げますというと、
地方公務員法
の
根本精神
が、
国家公務員法
のそれと同じように、
公務員
の民主的且つ能率的な運営の保障にあることは申すまでもございませんが、同法の適用される客体が広汎な
自治権
を持つておる
地方公共団体
でありますので、
地方自治
の本旨の伸張に寄與するという建前からいつて、些細な点まで嚴格な一律
的法的規正
を加えますことは適当でなく、法の具体的且つ細部の運営は
條例
又は規則に讓るべきであると考えられるのであります。即ち、要約いたしますれば、
地方公共団体
の
自主性
に対する考慮が先ずなされなければならないのでございます。次に、一概に
地方公共団体
と申しましても、東京都のように大
公共団体
もあれば、又
山間海浜
の僻村までございますので、その
行政機構
或いは
職員
の数との点で、いわゆる多種多様な状態である点に鑑みまして、
地方公共団体
の
多様性
という考慮が第二に拂われなければならないのであります。要するに、
地方公務員法自体
の要請と
地方公共団体
の
自主性
或いは
多様性
から出発いたしまする
地方公共団体
の
特殊性
とを如何に調和せしむるかが、
本法性定
に当りまして基礎的な考慮を拂わなければならない問題であるのであります。 次に
地方公務員法案
の内容の概要を申上げますると、目的といたしましては、大体お手許にございまする
法律案
を御一読賜わりたいと思うのでございますが、その
適用範囲
は、
地方公務員
を
一般職
と
特別職
とに分けまして、この
法律
は
一般職
に属する
職員
(
職員
と申しておるのでありますが)にのみ適用するものといたしまして、
法律
に特別の定がある職がを除きましては、
特別職
には適用しない。尚
特別職
と申しますのは、その選任に当
つて公選
によるもの、
地方公共団体
の議会の選挙、議決若しくは同意によるもの、及び
地方公共団体
の
各種委員会
の
委員等
で臨時的又は
非常動
のもの、並びに
失業対策事業等
のため
失業者
として雇用されるものといたしておるのであります。 次に
人事機関
及び
職員
に関する
條例
の
制定
でありまして、
地方公共団体
は、
法律
又はこれに基く政令に特別の定がある場合を除いて、
條例
で
人事機関
の
設置
、
職員
に適用される
根本基準
の実施その他
職員
に関し必要な
事項
を定めるものといたしておるのであります。尚
人事委員会
又は
人事委員
を置く
地方公共団体
におきましては、
人事行政
に関する
條例
の
制定
、改廃については
人事委員会
又は
人事委員
の意見を聽かなければならないものといたしております。 次は
地方自治庁
との
関係
でございますが、
地方自治庁
は
地方公共団体
の
人事行政
の運営がこの
法律
によつて確立されるよい
公務員制度
の原則に副つてなされるように協力し、及び
技術的助言
をすることができる、かように相成つておるのであります。 次に
人事委員会
又は
人事委員
に関する事柄でありますが、今回
地方公共団体
は
都道府県
、及びいわゆる五大市、及び特別市につきましては、
人事委員会
を設ける。この
人事委員会
は
條例
で三人の
委員
を以て組織する、こういうふうにいたしたい。尚
人事委員会
を置かない
地方公共団体
におきましては、
條例
で
人事委員
を置くことができるということにいたしまして、尚
人事委員会
又は
人事委員
の双方を置かない
地方公共団体
におきましては、
地方公共団体
の長が
人事委員会
又は
人事委員
の行うべき
事務
を行うものといたすことになつておるのであります。これらの
人事委員会
又は
人事委員
の権限はこの
法律
の定めるところによりまして、概ね国の人事院に類する権限を有するものといたしまして、これに関して規則を
制定
することができることと相成つております。尚これらの
人事委員会
の
委員
又は
人事委員
の選任、
罷免等
につきましても、
規定
を設けておるのでございます。 次は
職員
に適用される基準に関する
事項
でございまするが、原則といたしまして、
職員
の任用、
職階制
、分限及び懲戒、服務、研修、
給與
その他の
勤務條件
につきましては、概ね
国家公務員法
の
規定
に準じ、この
法律
におきましてはその
根本基準
を
規定
するに止めまして、実施のために必要な
事項
は
條例
、
規則等
によるものといたしております。尚
職階制
の実施及び
職員
の
給與
その他の
勤務條件
の設定に当りましては、国及び他の
地方公共団体
との間に権衡を失しないように、適当な考慮が拂われなければならないものといたしております。その他
職員
の採用又は昇任の方法、或いは
競争試験
、及び選考の
問題等
につきまして所要の
規定
を設けます外に、
職階制
、分限、及び懲戒、服務、
研修等
につきましても、それぞれの
規定
を置いておるのでありまするが、
給與
その他の
勤務條件
に関しましては、その職務と責任に応ずるものでなければならないということ、又その基準は
生計費
及び
民間事業
の
従業者
の
給與
その他の事情を考慮して定められなければならないといたしておるのであります。尚
職員
の
給與
その他の
勤務條件
は
條例
で定めることといたしております。 尚又福祉及び利益の
保護等
に関連いたしまして、
共済制度
、
退職年金
及び退職一時
金制度
、
公務災害補償制度等
を、それぞれ
條例
で決め得る途が開かれておるのであります。 尚又
国家公務員法
中にもございますように、懲戒その他その意に反する不利益な処分を受けた
職員
につきましては、
人事委員会
又は
人事委員
に対しまして、その審査を請求することができる途を開いております。 次に
職員
の
団体
に関する
事項
でございますが、この
職員
の
団体
に関しましてはいろいろの
考え方
ができるのであります。これらの
考え方
につきまして、政府におきましては種々研究をいたしました結果、一応この
法律案
に定められておりますような取扱をすることと決定いたしたような次第でございます。
職員
は
勤務條件
に関し、又はこれを併せて社交的若しくは
厚生的活動
を含む適法の目的のため、
地方公共団体
の当局と交渉するための
団体
を結成し、又はこれに加入することができるものといたしておるのであります。勿論この場合におきましては、
当該地方公共団体
の
職員
でなければ、
当該地方公共団体
の
職員団体
の
構成員
にはなれないものと解釈いたしております。尚管理又は監督の地位にある
職員
及び機密の
事務
を取扱う
職員
は、
職員団体
を結成し、又はこれに加入することができない。
職員団体
は
当該地方公共団体
の他の
職員団体
とのみ連合体を組織することができる。
職員団体
は
人事委員会
又は
人事委員
に登録しなければならないものといたしております。それで
職員団体
の登録の要件につきましては、その規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為は、すべて
構成員
たる
職員
が平等に参加する機会を有する直接且つ祕密の投票による全員の多数決による旨の民主的な手続を定めまして、これによつてしなければならないものといたしておるのであります。
職員
の
団体
は法人とすることができるものといたしております。ただ
警察職員
及び
消防職員
は、
職員
の
団体
を結成し、又はこれに加入することができない。
職員
は登録を受けました
職員
の
団体
を通じてみずから
代表者
を選び、
勤務條件
に関し、又はこれと併せて社交的若しくは
厚生的活動
を含む適法の目的のため、
地方公共団体
の当局と交渉することができるものといたしております、但しこの交渉は、
地方公共団体
の当局と
団体協約
を締結する権限を含まないものといたしておるのであります。
職員
の
団体
と関連いたしまして特に問題に相成りますものは、
公企業職員
に関する点でございます。この
公企業
に従事いたしておりまする
職員
は、その
特殊性
に鑑みまして、
身分
の取扱に関しましては
地方公務員法
の
規定
は適用しないで、別に
法律
を定めることといたしまして、それまでの間は尚従前の例によるものといたしておるのであります。
公企業
の範囲は、
地方鉄道事業
、
軌道事業
、
索道事業
、無
軌條電車事業
、
自動車運送事業
及び
定期航路事業
、
電気事業
、
ガス事業
、
上水道事業
、これらの事業を
公企業
といたしまして法定をいたしておるのであります。 この
公企業職員
に対しまして、
身分
の取扱を異にするということにつきましては、勿論何らこの点については異存のないところでございまするが、これを
地方公務員法
の中で
規定
するか、或いは別の
法律
で
規定
するかということにつきましては、種々論議があ
つたの
でございます。結局これらの
公企業従業員
の
身分取扱
につきましては、
地方公務員法
による
職員
の
団体
を結成するということにしませんで、
労働組合法
による別の
法律
に基く
団体
を作ることができるような途を開くことが妥当であろう。即ち
国有鉄道
の
職員
を律しまする
公共企業体労働関係法
のごときものを
制定
することが必要ではなかろうかというふうなことに相成りまして、別の
法律
で定めるということに相成つたものでございます。
地方公務員
に関しまする労働四法の
関係
でございまするが、本法の適用を受ける
地方公務員
に関しましては、
労働組合法
、労働
関係
調整
法、労働基準法及び船員法は適用がないということにいたしておるのであります。但し労働基準法及び船員法の
規定
は、この
法律
に抵触する
規定
以外の
規定
は
職員
に準用する。この場合におきましては、労働基準監督機関の職権は、現業
職員
の場合を除いて、
人事委員会
又は
人事委員
が行うものとすることに相成つております。 尚又罰則に関する
事項
といたしましては、大体
国家公務員法
に準する罰則を設けるものと相成つております。 最後に、この
法律
の施行に関する
事項
でございまするが、以上説明いたしましたように、この
法律案
は施行に当りましては、種々準備等をいたさなければならない問題が多いことと、又当該
事項
につきましては、基本的な研修をいたさなければならない時間も必要と相成つておりますので、道府県、都及び五大市その他の
地方公共団体
というふうに三つのグループに分けまして、尚又
規定
につきましては総則、服務及び福祉及び利益の保護の
根本基準
に関する
規定
、又
職員団体
及び労働四法の適用排除に関する
規定
、任用、職階、分限及び懲戒、研修、
給與
その他の
勤務條件
、その他
職員
の福祉及び厚生等に関する
規定
につきましては、それぞれの
規定
の性質並びにこれが実施に必要な準備期間等をも考え合せまして、それぞれの施行期日を
制定
いたしたいと、かように考えておるような次第でございます。 以上甚だ概要でございますが、提案を
予定
されておりまする三
法律案
に関する説明をいたした次第でございます。
岡本愛祐
3
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 以上の
説明
につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。
西郷吉之助
4
○
西郷吉之助
君 今日は
議員
総会その他いろいろ重複していますので、今日は
説明
を聽いただけで次回に譲つたらどうですか。
藤井新一
5
○藤井新一君 ちよつと私疑問があるのですが、
地方行政調査委員会議設置法案
の第五條において、総理大臣が任命する
委員
五名というのは、ここに掲げたところの全国の
都道府県
知事と市長及び
町村
長の連合組織の
代表者
以外にお二人というのはどういう方がなられておるのか、ちよつと参考までに聽きたいのと、この
委員会議
が決議した
事項
に対しては、総理大臣はどの程度にこれを採用されるか、これは強制的なものか、又一参考に過ぎないものかどうか、ちよつとその点を聽いておれば参考になると思います。
遠山信一郎
6
○
政府委員
(遠山信一郎君)
只今
の
委員
の問題でございますが、これは三人各
団体
からの代表の外に、もう二人は総理大臣が任命することになつています。まだ
決定
はいたしておりませんが、目下選考中であります。 それから尚
法案
第四條に「
内閣
は、前條の
計画
に関する
法律案
の
国会
提出等に関しては
会議
の
勧告
を尊重しなければならない。」とありまして、これは
内閣
は
勧告
を尊重するということになつております。
西郷吉之助
7
○
西郷吉之助
君 藤井君が質問しましたから、それに関連して伺いますが、総理大臣が任命することはこの條文で分つておりますが、どういう人を任命するかということです。
遠山信一郎
8
○
政府委員
(遠山信一郎君) これはやはり学識経験ある者から任命することになつております。
島村軍次
9
○島村軍次君
法律
の建前からして、三人だけの者をここへ挙げて置くということは、これはちよつとおかしいのじやないかと私は思いますがね。外との今までの
法律
の各種の
法律
で
委員会
組織を見ましても……。だからむしろ他の二名は学識経験者から選ぶというようなことにすべきじやないかと思いますが、それに対しては……。
遠山信一郎
10
○
政府委員
(遠山信一郎君) 実はこれはシヤウプの
勧告
案にその
通り
になつておるのであります。それをそのまま挙げたわけであります。
島村軍次
11
○島村軍次君 それは問答するようですけれども、
勧告
案はつまり三人の者はこういう者から選ばなければならないというので、あとに二人についての
委員
に対しては別に指示もなか
つたの
じやないかと思いますが、シヤウプの
勧告
案を引写しにするということのために、学識経験者と入れることを御遠慮になつた
法律案
じやないか、こういうことにできるのですか、その点は如何ですか。
遠山信一郎
12
○
政府委員
(遠山信一郎君) 何分
委員
の性質から言いまして、学識経験特にある者ということで前提になつておりまして、それをまあ基本にして……。但しそのうちで三人だけはそういう者ということにしたわけであります。
西郷吉之助
13
○
西郷吉之助
君 今の次長の
説明
が甚だ妙だと思うのは、三人ここに挙げてあつて、その他を書かないのはシヤウプの
勧告
である。今その他はどうだというと学識経験者、大体どういう者を出すという肚を持つてなら、ここに書かれるか、シヤウプ
勧告
案がそうであつたからといつて、それを鵜呑みにしてここに書かんければ誠に意義がないと思う。はつきりしてないと思う。どうですか。
遠山信一郎
14
○
政府委員
(遠山信一郎君)
只今
申しましたように、ここには明記はいたしませんが、学識経験ということをまあ基本にしているだけでございます。
藤井新一
15
○藤井新一君 学識経験というのも程度がございますが、
都道府県
の
代表者
みたように立派な方ですか、又は
特別職
を持つ方を任命するのですか、どういう御意向ですか、あなたの方の意図するところはどこですか、
特別職
を持つている人でも構わないのですか。
遠山信一郎
16
○
政府委員
(遠山信一郎君)
特別職
でございます。
藤井新一
17
○藤井新一君
特別職
……
議会
の承認を得ればいいのですか。
遠山信一郎
18
○
政府委員
(遠山信一郎君)
議会
の承認は別にこれはございません。
藤井新一
19
○藤井新一君 つまり
特別職
になる際には、
議会
の承認を……。
遠山信一郎
20
○
政府委員
(遠山信一郎君) この
委員
は
特別職
になるのでございます。ですから各知事ですね、或いは市長、
町村
長……。
藤井新一
21
○藤井新一君 それは分つております。
遠山信一郎
22
○
政府委員
(遠山信一郎君) それから選ぶわけですが……。
藤井新一
23
○藤井新一君 その外の二名ですよ。
特別職
の人がなつていいですか。
遠山信一郎
24
○
政府委員
(遠山信一郎君) はあ、そういうわけでございます。
藤井新一
25
○藤井新一君 その場合にその二人の人が例えば国
会議
員であつた場合にはどうするのですか、それも学識経験者の人から……。
遠山信一郎
26
○
政府委員
(遠山信一郎君) 国
会議
員の場合は承認を受けるという制約がありますが、承認を受ければいいわけです。
藤井新一
27
○藤井新一君
政府
の人もそういう人を考えておるわけですか。そこのところを伺いたい。二名というのがぼんやりしているから不思議でしようがない。どういう人を……。
小野哲
28
○
政府委員
(
小野哲
君) 先程私が御
説明
いたしました中に、この
委員会
の
委員
は
特別職
である。これに伴いまして附則において
国家公務員法
等の
所要
の
改正
をいたさなければならないわけでございますが、
只今
御質疑がございました
委員
自体を一体
特別職
からも出せるか、若し国
会議
員から出すような場合におきましては、
国会
法の第三十九條によりまして
国会
の承認を得なければならん、こういう制約があることは
只今
次長から御答弁申上げた
通り
でございまするが、一体
政府
はどういう人をこの三人以外の二人に当てようとしておるかにつきましては、目下種々
研究
をいたしておるような次第で、未だここに明確な御答弁を申上げる時機には実は相成つていない点を私から申上げて置きたいと思います。
西郷吉之助
29
○
西郷吉之助
君 今のこの問題は政務次官の
説明
でよく分りましたが、そういうふうなことであるならば、次長の答弁はさつき甚だ出まかせを言つたようなことになるので、それならそういうふうにはつきり初めから言つて置くべきだと思います。
島村軍次
30
○島村軍次君 重要な
法案
でもありますし、私はこの
法案
以外にこれに伴う予算、それから相当の人員を要するという政務次官のお話でありましたので、どのくらいの人を以てこの組織を
運営
して行くかというようなことに対して調書をお願い申上げたい。それから財政
委員会等
の
関係
についてどういうふうなことになりますか。この
法律案
に出ておるかも知れませんけれども、よく分りませんのでそういう点を次回までに一つ……、今日は御答弁を頂くことを御遠慮願つて本日はこれで散会することに……。 〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岡本愛祐
31
○
委員長
(
岡本愛祐
君) それでは今日まだ
法律案
が提案になつたわけではございません。ただこの
臨時国会
に提案されるだろう三
法案
につきまして大体の
内容
をお尋ねしただけでございます。それで
只今
島村
委員
から御要求もありましたように
地方行政調査委員会
におきましてその予算及び定員に関する調書、それを出して頂きたい。それから又財政
委員会
との
関係
、それから
地方自治庁
をいずれ廃止しなければならない、その曉には、今までやつてる
事務
はどうなるかということにつきまして、次回にお尋ねしたいと思います。それではこれで散会いたします。 午後二時二十一分散会
出席
者は左の
通り
。
委員長
岡本
愛祐
君
理事
吉川末次郎
君
岡田喜久治
君
委員
三木 治朗君 藤井 新一君
西郷吉之助
君 島村 軍次君
鈴木
直人君 小川 久義君 国務大臣 国 務 大 臣 木村小左衞門君
政府委員
地方自治
政務次 官 小野 哲君
地方自治庁
次長 遠山信一郎君