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1949-12-01 第6回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月一日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法臨時特例に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○織物消費税法等を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○特別職の職員の給與に関する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。  最初に所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案織物消費税法等を廃止する法律案質疑を行いたいと存じます。
  3. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先ず伺いたいことは、滞納が、昨日も予算委員会大蔵大臣に聽いたのでありますが、大体平均して七百億ぐらいに上つておるという話になつております。その七百億の期間ですね、どのくらいの期間七百億が順次滞納になつておるか、それを先ずお聽きしたいと思います。
  4. 原純夫

    政府委員原純夫君) 恐縮でありますが、細かい数字只今取寄せ中でありますので、手許にあります概数だけ申上げたいと思います。九月末の滞納額が五百十七億ということに相成つております。これが七月末の分でありますと七百三十一億というような数字が出ております。先程七百億程度というお話がありましたが、年度初めにおきましては、前の年度の終りに申告納税所得税中心にいたしまして更正決定をいたします関係で、大分未納分が膨らんでおるわけであります。これが年度が変りますと、滞納整理ということをいたしまして極力滞納額を取入れますように、又審査に関連いたしております分は審査処理を促進して、訂正減を立てるものは立てる、それからいよいよいけなければ欠損に落す、入るものは入れるというふうにだんだん整理して参りまして、そのような関係で九月の末には若干減つて五百十七億。平均滞納日数ということでございますが、これはちよつと平均を出しました数字がございませんので、何ともはつきり申上げられませんが、大体の傾向は今申上げましたように、年度の初めにおきましては前年度末における大きな所得税中心更正決定が固まりますので、そこに多きく膨れる。それから概して年度末に参りますと、やはり歳入をどうしても挙げなければならんということでピッチが掛かります。かような関係滞納が少くなる、最も特徴的なものは間接税方面においての何でありますが、やはり年度末には比較的少くなる、その途中においては税にもよりますが、物品税のようなものでありますと、先ず只今でしたらば二月分ぐらいが滞納になつておる見当であると思います。物織等になりますと、例の徴税猶予関係もございますので、滞納というものとは必ずしも申せないのでありますが、それ以上延びておるということになります。酒税等割合に入りがよくて一月分も滞納がないという形であります。
  5. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 政府の発表している滞納という数字は、今の織物税とか、或いは酒税とか、いわゆる延納分は除いていると思うのですが、そう解釈していいですか。
  6. 原純夫

    政府委員原純夫君) その通りであります。
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで滞納の大体平均ですな、当然收入されるべき税金に対して滞納となつている平均のパーセント並びにその滞納のうち何パーセントが切捨てられるものであるか、或いは間違つて徴税をしたというふうな点で取消をしたという点、その点を発表願いたいと思います。
  8. 原純夫

    政府委員原純夫君) 調停いたしましたもののうち滞納になるのがどのくらいかという第一の御質問でありますが、これは税によつて違います。申告納税所得税分が一番多いわけであります。数字は今取寄せ中でありますので、後刻お手許に差上げたいと思いますが、これにおきましては、先ず三割程度のものは滞納になつているように記憶いたしております。これは確かでございませんから後程確かめて申上げます。他の各税につきましては只今申上げました平均滞納の中というものをお考え頂きましたならば、大体お分りになるのではないかと思います。  それから第二の御質問滞納額処理でございますが、先程申上げましたように、大いに努力いたしまして滞納額を集めるということをいたしておりますが、昨年の所得税分、これにつきましての整理状況は甚だ不満足なものがあります。と申しますのは、收入になるものも若干ございます。が、その外に訂正減という処置をいたす分が非常に大巾にございます。それから尚納税義務者の資力が、どうしても納まらない、全部差押えし得るものを差押えて公売しても納まらないというものは、不納欠損として処置いたします。こういうものも相当に上ります。数字は後程差上げたいと思いますが、確か大体の記憶では滞納額のうち現金收入になつておりますものが確か三割ちよつとある。訂正減が、それよりも若干多い四割程度であつたのじやないかと思います。それから不納欠損という処分もございます。尚未整理の分もあるわけでありまして、そういうようなことで、おつしやる通り不納欠損乃至訂正減というものが相当ございます。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 欠損はどのくらいです。
  10. 原純夫

    政府委員原純夫君) その数字は後程、恐縮ですが、今取寄せておりますから。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 後程まで保留しましよう。
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  13. 木内四郎

    木内四郎君 今度は勤労控除を百分の十にし、そうして税率所得金額五万円以下の金額は百分の二十から始まつて、三十万円を超える金額を百分の五十五にまとめたようになつているのですが、この図表はそういう階級の上のものにまで適用するようにできているのですか。月額二万二千百円以上は全部同じようになつているが、それでいいのですか。
  14. 原純夫

    政府委員原純夫君) 所得税法にあります源泉徴收額表といいますものは、この最後の二万二千百円以上のものは幾らということに書いてあるわけであります。この控除額表におきましてそれから幾ら引くかということを申しておるわけであります。源泉徴收額表の方では、二万二千百円を越える金額については、二万二千百円の場合の税額に越える金額の五割に相当する金額を加算したものを源泉徴收額として、それ以上は五割一本で源泉徴收をやつております。そこで源泉徴收の土台ができております。それから引く金額はこの表にある二万二千百円以上はこれだけ引く。つまり大きなものは本当はもつと引いてやらなければいけないということになるのですが、三ヶ月の暫定的なことでありますし、余り細かいところまで揚げかねるということで、仮にこういうことにいたしたわけであります。
  15. 木内四郎

    木内四郎君 取り過ぎるというようなことはないのですか。
  16. 原純夫

    政府委員原純夫君) 取過ぎるということになります、若しもシャウプ・プラン通りに参りますれば……。この表は大体シャウプ・プランになりました場合に、取り足りない分がない程度に、そうして最も簡便に作成できるという線を狙つて作りましたので、場所によつて若干の取り過ぎが、シャウプ・プランに比較いたしますれば若干の取り過ぎになる点がございます。
  17. 木内四郎

    木内四郎君 大蔵大臣説明だと、シャウプ・プランよりも更に緩和するというような、大蔵大臣の根本のお考らしくいろいろ発表されたものでは伺つておるのです。シャウプ・プランをそのまま実行したよりも取り過ぎになるということになると、大蔵大臣の言われるように、若しそれを緩和されるというふうになると、一層取り過ぎになるのではなかろうかと思うのです。
  18. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シャウプ勧告案よりも緩和すべく昭和二十五年度所得税について考慮を繞らしておるのであります。そうして今回はシャウプ勧告案の線に沿うて行つておるのでありまするが、あの当時の税法を施行するよりも、三ケ月間の臨時特例でございますから、概ねシャウプ勧告案に則りますが、刻み関係上どれだけの金額控除するということになりまして、これからこれの金額控除するということになりますから、下の方はシャウプ勧告案と同じでありますが、その刻みの五千円の間で、例えば五万円の人はシャウプ勧告案と同じ、五万五千円の人はシャウプ勧告案よりちよつと低い、こういうふうに臨時特例はなつております。私はシャウプ勧告案より緩和したいということは、昭和二十五年度予算につきまして緩和すべく努力しておるということを申上げておるのです。
  19. 木内四郎

    木内四郎君 それはよく分つておるのですがね。今原政府委員からの御説明では、シャウプ勧告をそのままやつても、少し上の方は取り過ぎるような恰好になるということであると……。大体源泉徴收は少し取り足りないくらいにしておかれるのがいいのではありませんか。
  20. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) それは取り足りないことにいたしますと、若しこれが昭和二十五年度シャウプ勧告案通り行つたといたしますれば、取り過ぎた分は減税ということになりますし、取り足りない分は増税ということになりますから、これはこの際としては暫く遠慮して置こう、こういう考から出たのであります。
  21. 木内四郎

    木内四郎君 大蔵大臣のそういうお考も一つの考え方だけれども、どうせこうやるなら取り足りないくらいで、源泉徴收をやつて置いて貰つた方がいいのでないかと思うのですが、二十五万円以上は控除額を一律にされたからそういうことになると思うのですが、何かそこに緩和のあれはできないのですか。
  22. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これは税の問題につきましては余程微妙な問題がございまして、私が或る所で言つておりましたが、アメリカの方の考え方では、ちよつと速記を……
  23. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  24. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  25. 木内四郎

    木内四郎君 そうすると、この提案理由のときに説明された一律にこういう税率によつて基礎控除をやつても、勤労所得控除、それから税率がこのままではないということになりますれば……
  26. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) このままの人もありますし、又このままよりもそれよりもちよつと低い点があります。そこで刻みを極く細かにやつて行けば、シャウプ勧告案のようになりますけれども、余り刻みを小さくすると、表が非常に多くなりまして不便だから、五百円刻みと千円刻みにいたしました。できるだけシャウプ勧告案に副うようにしておりますが、五百円刻みのときに、その五百円の下の方の分はシャウプ勧告案通り、上の方はちよつと強い程度であります。
  27. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑は……
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨日の続きなんですが、銀行預金の無記名預金、それから銀行預金に対する報告の問題ですね、それを大蔵大臣は非常に微妙な影響があるので考慮中というお話でしたが、現在は銀行預金は原則としては調べることはできないことになつておるのですが、税務官吏が……。調査することが現在はどうなんですか。
  29. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 現在も調べ得ることになつております。調べます場合におきましては、愼重方法でやつております。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 通貨対策本部ですか、あそこで貯蓄増強のために預金税務官吏が調べ得ないようなあれが出ておると思うのですが、それは現在適用になつていないのですか。
  31. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 通貨安定対策本部のみならず、銀行関係の人の要求は、税務官吏がのべつ幕なしに銀行行つて調査することは困るから、その場合には適当な方法でやつてくれ、こういう要望がありまして、銀行局長主税局長と打合せまして、調査する場合には調査の理由を付して国税局長に申達する、国税局長が適当と思う場合に見る、調査する、こういうことになつております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ貯蓄増強の場合、預金秘密性とかそういうことで、預金税務官が直接自由に調べられないことになつておると思うのですが、これまではインフレ期であつて換物運動を非常に刺戟する気運があつたでしようが、今後はむしろ物価が下つて行くような状態にあるとすれば、預金についてやはりシャウプ勧告案にあるような措置を講ずるのが適当でないかと思うのですが、それで所得の捕捉についても非常に便利であるが、預金秘密性というものに余りこだわり過ぎているのではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  33. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 理論的にはお話通りでありますが、実際的には必ずしもそう行かん場合がありますので、私は余程愼重にこの切替りの時を考えなければならんと思うのであります。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 無記者預金というのはやはり今後存続さして行く考なんですか。
  35. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 無記名預金は除々にやめて行きたいと考えております。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣にお伺いしますが、二十四年度補正予算を見ますというと、物品税とか、取引高税というのが、税制改正による減收というのはこれは勿論の話ですけれど、その他の減というので相当の額が計上されておりますが、これはやはり生産減退ということが原因であると思うのでありますが、大臣はどうお考えになつておりますか。
  37. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 生産減退というのは予定通り予定よりも生産減退ということはあり得ますけれども、実際問題としての減退があるかないかということになりますと、昨年度の毎月の取引税收入と今年度收入を見たら分ると思いますが、昨年度收入に比べまして今年度はそう減退いたしておるとは考えておりません。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと取引高税、或いは物品税政府見込より減つたということになるのですが、当然租税收入の面においてもそれと同じ比率で減つて行くことが予定されて差支ないのですか。
  39. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御質問の点、ちよつと分りかねますが、もう一度恐れ入りますが。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 要するにですね、政府予定よりも微收高減つたということは、結局国民全般所得においてそれだけ減收と看做しても差支ないのじやないかと思うのでありますが、そういう点から見ても租税收入の方も当然それに比例して減收されると予想されるのですが、その点如何ですか。
  41. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 取引を対象にしておるのでございますが、取引が減れば取引高税減收はあるわけでございます。併しその取引減つたということは見込に対して減つたということでございます。従いまして見込に対して取引減つたからといつて生産、或いは全体の取引減つたという基準は昨年度よりも減つたというわけには行かんと思います。
  42. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その見込というのは政府が最初予定された、いわゆる生産額であるとか、或いは国民所得であるとか、これは一連の繋がりがあると思うのであります。それに対して生産見込よりも減つた取引高税減つたし、物品税減つたということになると思うのであります。それと半面においては、そういうふうに生産減退を来たせば租税收入も当然減ることは疑いもないと思うのでありますが、その点の関連は如何ですか。
  43. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 取引高税というのは生産消費の問題がございます。生産は殖えても消費が減ればそれだけ收入減つて来るわけであります。一概に生産ばかりに結び付けるわけにも参りません。予定よりも生産並びに消費、或いはそのいずれかが非常に減つたということに相成ると思うのであります。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで片方が減れば所得の方は、当然国民所得というものは減退して、それに課せられるところの租税は減らざるを得ないと思うのでありますが、そう解釈していいのですか。
  45. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) そういう場面もあると思うのであります。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ところがこの補正予算を見ますと、あべこべに租税の面においてはその他の増の方に行つて百八十七億も入つておるのですが、例えば酒の税金などは成る程百二億も殖えております。併しながらとにかく総体的において租税及び印紙の收入が二百十三億、そのうち租税だけでも百八十七億というふうに増しておるというのは矛盾があると思いますが、これは世間で一般に言うところの苛斂誅求の現れではないかというふうに解釈され勝ちですが、その点はどうです。
  47. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 苛斂誅求ということの問題ですが、私はそれを除きましても、今の收入状況苛斂誅求ということはやつていないて思いますし、自然増收の内容を御覽下さいますと、主なるものは法人所得増加勤労時得の増加、酒の増加、そうして最も減收の大きいものは事業所得でございます。こういうことから考えまして、この自然増收のあれが苛斂誅求のあれだとは考えておりません。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで伺いたいのは、先程もちよつと伺つて置いたのですが、滯納相当額に上つておるということになつておりますが、要するに政府予定された收入というものが過大過ぎて、そこで滯納が起き、従つて又後で訂正して返すという金額相当に上つておると思いますが、結局本省から地方に出すところの努力目標額、去年はあつたそうですが、今年はないと思いますが、併しながらそれがやはり響いて、各税務署ごとに自分の成績を上げるというようなことの結果、苛斂誅求というような現象が末端において起るのだと思いますが、こういう点について実際に成績が上らないと、本省の方から認めても、実情に応じては何等か各地の状況によつて成績が上らなくても当然それを認めて行くべしというようにして行くべきではないかと思います。ところが末端税務署あたりの模様を見ますと、やはり一種の目標がありまして、その目標額に到達しないとか、或いは大幅の減收があつたとかいうことになると、その署長は左遷させられるということに実際はなつております。そういう点についてもう少しこれは大臣として何等かの方策をお採りになるのが適当ではないかと思いますが、どうお考えになつておりますか。
  49. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 目標額なんかはたびたび申上げておりますように、私就任以来やめることにいたしております。そういうような捉われた徴税方法をやつてはいかんということは、機会あるごとに言つております。又過去におきまして目標額に達せんからといつて左遷したというような例は絶対ないと思います。我々も長い間税務の体験もございますが、若し目標額というものがあつて、それに達したところの署長は褒められたり、達しないところの署長が左遷せられたようなことはなく、達しない所の署長よりも達した所の署長の方が余程苦労しておると思います。従つてその徴税成績によつて左遷というようなことは考えたこともないし、又あつてはならないことだと思います。
  50. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣の今のお言葉を是非末端まで滲透するように御配慮を願いたいと思います。  次に税收について加算額とか延納額延滯利子というようなものがどの程度に上つておりますか。それがこの予算面ではつきり分りませんが、お分りになる範囲において伺います。
  51. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 事務当局より説明いたさせますが、加算税、追徴税というものは主として法人、或いは査察部でやる大個人でございます。調査しておれば考えさせますが、法人が明年度收税の二ヶ月前に予定納税をやる、そうして後から行つてその申告が不当であつたという場合にやり変える。そのやり変える期間の長短によりまして追徴税が余程違つて来るわけであります。そこで今後の税制改正に当りましては、今の加算税、追徴税という制度そのものは私は是認できますが、金利その他につきましては考慮しなければならんと思つております。
  52. 原純夫

    政府委員原純夫君) 加算税追徴税額につきまして只今手許に分つております数字を申上げます。たしかこれは九月末の数字であると思つておりますが、加算税額……決定額であります、決定額所得税におきまして四十五億、それから追徴税額が百三十三億程度でございます。法人税におきまして、加算税が十一億、追徴税が七億、それから相続税につきましては、加算税追徴税別数字がございませんが、合計で極く僅かなものであります。一億三千八百万円、取引高税におきましては、加算税額が一億八千万円、追徴税額が八億、大体そういう結果になつております。
  53. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 延滯利子というのは、利子の合計は……
  54. 原純夫

    政府委員原純夫君) 延滯金数字只今手許に持ち合せておりませんので後程申上げます。
  55. 川上嘉

    川上嘉君 ちよつと大臣にお伺いいたしますが、基礎控除控除額算定基礎となるものはどんなふうなものでしようか。
  56. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) あらゆる資料を集めて総合的に決定すべきものと考えております。只今のところは、先ず私は財政收入状況主眼考えて、そうして国民経済の、国民生活状況等をこれに加味いたしているのであります。
  57. 川上嘉

    川上嘉君 戰前におきましては、所得税免税点が千二百円となつております。これを今日のつまり一ドル二円が三百六十円になつ割合で今日の価値に換算いたしますというと、大体二十一万六千円となります。従いまして国民生活能力と、こういつた点から行きますというと、今回の改正案の二万四千円はお話にならない程低額なものではないか、かように考えるのですが、大臣の御見解はどんなものでしようか。
  58. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 戰前の我が国の経済力並世界情勢と、戰争中非常に厖大な出費をし、非常な負け方をいたしました今の日本の状態考えて見ますと、先程申上げましたように、財政状況主眼にして考えております関係上、二万四千円で止むを得ないのじやないかと思うのであります。一ドル二円と申しましても、戰前のときには百円に対して二十二ドル三分の一程度為替相場でありますので、一ドル四円に計算なさるのが適当じやないかと思います。又こういう計算方法は、これは机の上のあれでございまして、何と申しまするか、本当の財政経済政策を立てて行く上において余り私は基準にすべきものではないのではないかと考えております。
  59. 川上嘉

    川上嘉君 私は今度の税制改革案を前にして各方面各種団体とか、或いは個人から何百通という陳情が来ております。そうした陳情が見ますというと、みんな一つ一つ集めて見ますと、基礎控除最低額のものでも大体六万円以上くらいにすべきであるといつたような要望が随分出ておるのでありまして、現在の改正案よりはもつと大巾に引上げるべきじやないか、かように考えます、これは昨日も盛んに質問したのですが、この二万四千円で果して大蔵大臣は満足しておるかどうかということについての答弁も昨日もありましたので、答弁は別に要望いたしませんが、もつも思い切つてこの基礎控除の大巾の引上に対して措置を講ずべきじやないか、検討すべきじやないかというようなことを私は要望いたして置きます。  次に勤労控除の問題でおりまするが、これも従来現行法では二五%で、最高三万七千五百円、こう押えてあつたそのものを今回の改正案によりますと、一〇%で、最高二万円と押さえております。この勤労控除一〇%にしたという大体の算定基礎を一つざつとお願いします。
  60. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 大体勤労控除につきましては、沿革的に申しますると、前は、大正時代は六千円以下二割、一万二千円から六千円の間一割、こういうようなやり方をいたしておつたのであります。その後二割が漸次一割五分に改められまして、それから一割五分控除になり、二割にするかどうかという問題で検討して二割五分にいたしたのが最近でございまして、それを踏襲いたしておつたのであります。併し財政收入状況その他を考えまして、いろいろな検討すべき点があるのであります。まあ理論的には私は一割でやむを得ないのではないかと考えておりますが、財政状況が許せば一割五分程度にいたしたいという念願を持つておるのであります。従いまして、一割にしたという考え方は一応この際シャウプ勧告案の趣旨に則つて、一応一割で進めようというので一割にしたわけであります。
  61. 川上嘉

    川上嘉君 シャウプ勧告案によりますというと、これは恐らく来国会に上程されると思いますが、勤労控除範囲を拡げまして、事業所得に及ぶようでありますが、この場合俸給生活者の場合は自から特別な控除が当然設けらるべきじやないかと思うのですが、こういつた点についてはどんなものでしようか。
  62. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) この俸給生活者について一割の控除があるのです。外の者にも控除はいたしておりません。実田余談になりますか分りませんが、シャウプ勧告案事業所得の方を三・七五%減らすということは事業所得勤労所得との間の差は一割控除で行く、一割の控除でいいというシャウプ氏が考え方を持つてつたのであります。而して中小商工業者、農業者の状態を見まして、とにかく差を一割にするということを、昭和二十四年度において実行しよう。で一割の差にすると、一遍に一割五分を控除すると引き過ぎになるから、今の十月から始めて一割五分の差の四分の一で三・七五と言つておるのであります。シャウプ氏の考え方では、事業所得の方の所得の把握が十分行けば一割でいいというのが考え方ぢやなかつたかと思います。私の想像でございまするが、まあ理論的には一割ぐらいが適当だとシャウプ氏は信じておるようであります。アメリカなどにおきましても、実は一割控除をいたしておつたのであります。一九四三年の増税の時に一割控除をやめまして、俸給所得事業所得も同じということにいたしております。で、まあ各国の例を見ましても、アメリカはやめましたが、勤労所得の一割五分ということが大体の定説のようでございます。ただ最近フランスにおきまする税法改正につきましては、勤労階級に特段の措置を採つておるようでありますが、その他の国は概ね一割控除でございます。
  63. 川上嘉

    川上嘉君 そうしますと、勤労控除を一〇%に下げたということは、これは他の事業所得との権衡上というよりか、むしろ財政状況に重点が置かれたわけですか。
  64. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 財政收入の問題もありますが、シャウプ勧告案に一応取敢えず依つて行こうというので一割にいたしております。
  65. 川上嘉

    川上嘉君 これは前回の場合にも私の意見を述べたのでありますが、税務署で調査をするに当つて所得額をどの程度捉えることができるか。この問題につきましては大体事業所得の場合には七〇%から乃至六〇%程度、それから勤労所得の場合には大体九五%ぐらい捕捉している。だから脱税があつて勤労所得者の場合には殆んど五分程度のものである。こういうような私は見解を持つておるのですが、こういつた点に対する大蔵大臣の御見解を一つお伺いします。
  66. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 九五%勤労所得について取れる。事業所得については七五%という数字につきましては、私は直ちに賛成するわけに参りません。大体その数字は私の想像では、その年度内の所得についてその年度内の收入を大蔵省で見るときに、事業所得につきましては七五%、勤労所得につきましたは九十六七%、或いは七八%と見ておるようであります。併し把握力の問題と收入具分の問題は全然違うのであります。把握力の問題で平均して事業所得のものは七五%というふうなことは、大蔵大臣としてはここでちよつと言いかねると思います。私はそれ以上出ることを期待し、それ以上行くべきものだと思つております。
  67. 天田勝正

    ○天田勝正君 先程来苛斂誅求の話が出ましたが、大蔵大臣がそのような苛斂誅求が行われておらないとおつしやるのは、これは当然であります。併し過日高橋国税庁長官が訓令を発せられまして、その言葉の中には勿論苛斂誅求という言葉は用いてありませんけれども、別の言葉でそれを肯定されておるのであります。私は昨日の質問の場合も実はそれを率直に認めて呉れたことを、追求するのでなしに、逆にお褒め申上げて置きました。極めて見やすい苛斂誅求は、すでに納税しておるにも拘わず再び督促を受ける、その領收書を持つておらなければいやが応でもこれを取る。これは正に苛斂誅求である。又みずから税務署が取消通知をしたにも拘わらず、これに対して督促をする。これ又苛斂誅求の一例であります。これもすべて領收書を持つておらなければ否が応でも取られます。でそれらの証拠を持つておりまして税務署に参つた場合は、それでは差支ありませんと、ただこういう言葉を言われるだけです。差支あるのは不当な督促、或いは徴收を受けるところの納税者の方に差支がある。どうしてこういうことが起きるかと言いますと、このことは税法問題ばかりではありませんで、他の方も一切がさようなわけでありまするが、何か国民の方が誤つて場合には、或いは体刑処分まで受けるような規定があるにも拘わらず、官則には何等の罪則が規定されない。こういうところにあるのであります。これは一切法律に対するところの新なる考え方が樹立されないからだと思うのでありますが、そこで私はこの際質して置きたいのはゐすでに青色申告の誰も出ておりまして、恐らくこれを政府は実行されると存じまするが、そうした場合には、この青色申告をいたさなければ、殆んど一切の再審査権等も失われると、こういうことになろうと思うのであります。そういうことから考えまして、納税者に義務を押付けると同時に、全くそれと同樣なる罪則を官側にも規定する。こういうことが税法改正に当つて最も必要でなかろうか。かように存ずるのでありまするが、これらの構想をお持ちになつておられるかどうか。勿論私の希望とすれば、この補正予算を出す際にさような改正をして貰いたいのでありますが、時間の都合上そうもできないでございましようが、通常国会における根本的な改正の場合には、そうした現在のような一方的な罪則の規定でなしに官側にも平等なさような義務を負わせる、こういう構想を持つておられるか。こういうのであります。
  68. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 行政制度におきまして国民に非違があつた場合には非常な辛いひどいことをして、役人の方で行過ぎた場合につきまして、これに対する懲罰的の規定がないというお話でございますが、御尤もでありまして、これはどこの国でもそういうふうな状態になつておるのであります。そこで根本的の問題として、行政事務当局がそういう非違なことのないようなことにするのを考えなければならん。今若し誤つて税金を決定したら、その人が体刑を受けるとか何とかいうことになるのも、これ又非常に行過ぎでないかと考えるのであります。これは重大な問題でございますから、行政組織全般の問題として考慮して行かなければなりませんが、併し人権保護の上において、できるだけの施策はいたしております。又それを拡充強化して行く考でおるのであります。  税務におきまして今回の青色申告の制度を設けましたのも、そういういざこざのないようにと考えましてやつておるのであります。でまだ私は十分想を練つておりませんが、少くとも青色申告をなさつた方につきましては、今までのように机上で更正決定をやるとか、或いはちよつと店の様子を見て更正決定をやるということはなくいたしまして、青色申告の方につきましては、少くとも実地に調査してでないと更正決定のできないような制度を採用したいと思います。而して又片一方で青色申告をしない人に対して異議の申立をさせないということは考えておりません。勿論異議の申立ができる。これが租税制度の根本であります。ただ青色申告をした人には、今までのような杜撰な更正決定はしない制度にいたしたいという考で行つておるのであります。で急に青色申告を全部にして頂くということも我々は願うのでありますが、なかなか行きませんので徐々にこれを殖やして行くようなことにいたしたいと考えております。
  69. 天田勝正

    ○天田勝正君 このことは法律に対する基本的な考えであつて、過日来税務署の職員の点を、大臣でなしに他の政府委員に伺つてつたのでありますが、扱いの問題だというふうに小さく見れば非常に困ることでありまして、今この税法のみでないということを申上げたのは、実は御所管の煙草專売法等も耕作者が誤つて申告した場合には、多分体刑若しくは五万円の罰金であつたと私は記憶しておりますが、そういう規定があつて一方それに携わるところの官側の職員が誤つても何らの拘束もないのであります。こういうことが税法には特に職員と密著しておりまする関係上そういう問題が起るというと、えらい納税意欲を阻害するのであります。今も申上げましたように、証拠を以てこれこれの不正が行われておるのではないかと言つて参りますると、それでは差支ありませんとこういうことでお終いであります。差支があるのはそういう非違を行つた国民の方が差支がある。向うが差支かあるのではない。そこでこれは法律全般に対して全く新しい考え方をして行かなければならんと、こういう理論上の考え方が一点、更に日本の現状がらいたしますれば、またその伝統からいたしまして、なかなかそういう非違がございましても、税法上の問題にいたして訴えて来るということはないのであります。これは恐らく大臣もお認めになつておるでありましようし、過日の国税庁長官の調令を以ていたしましてもこのことを認めて、認めておるが故にその職に携わる職員は解職しろ、こういうことを言つておるのであります。でありまするから折角税制を全般的に改正しようという時期でありまするから、こうした改正の考えがあるかどうかこういうことであります。
  70. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 納税者に御迷惑を掛けた場合即ち過誤とかいろいろな問題については利子をつけてお返しするという制度を設けておりますが、行政上の問題でありますと法規でやることはなかなか困難であります。先般国税庁長官がどんな通牒を出しましたか、私見ておりません。実はこういうことがあつたのであります。或る我々の同僚の代議士の方でございますが、自分は納めたに拘わらず、ある人、甲という税務署員が滯納処分に来た。自分は領收書を見せた。そうして四、五日して乙という税務署員が来て同じようなことを言つたので、領收書を見せたら帰りました。今度は又丙という税務署員が来てまた滯納処分をしようとした。見せたら帰つた、四回目に丁という税務署員が来まして、有無を言わせずに差押えをしてしまつた。非常に叱られまして、政務次官のところへ来られた。私丁度不在でしてお会いいたしません。私早速それを、東京都内のことでございますから、国税庁長官を通じてその四人の職員の名前と行動を書いて欲しいと言つた。でこれは調戒譴責ではいけない。情勢によつたら職を退かす、少くとも減俸しなければいかん、こういう嚴命を出したのであります。然るところ不平を訴えに来られました方が、二十三年度分は納めたけれども、二十四年度分に滯納があつた、まあこの方をそうひどいことはしないようにということでありました。併し何れにしても減俸というのではないが、そういう場合は調戒されなければならない。少くとも甲というのは内部調査をしてその実績を帳簿で除いておかなければならない。そうすると乙とか丙とかいうものは行かない。また行つた場合には、領收書を見てこれでいいんだというのでなしに、自分の持つて行つたのは何年度滯納であるかということを領收書をつき合わせて見なければならん。そういうようなだらしのないことをやつておるから税務署員を幾ら殖やしたつて意味をなさないということを国税庁長官にきつく言つたのであります。外の財務局にも、私旅行いたしましてその話をいたして訓戒いたしました際、自分のところにもこういうような例があるわけですから、この委員会で、予算委員会で問題になりましたが、滯納が七百四十億円もある、而してその件数は何万件である。実は帳簿の整理も何にもできていないのでございます。こんなことではいかんというので、七月以来私は嚴命を下しました、とにかく早く整理しなければならんのであります。臨時の雇員を傭いまして整理を大体完了したのであります。今までの税務行政が非常に不備であり不十分であつたということは、私は十分認めます。従つて徐々に就任以来改善いたしまして御期待に副うようになる、何れにいたしましてもこういうことの、あの通牒も出ましたのは私の耳に入つてから出たものであろうと思うのであります。民の声を十分に聞かなければならん、先般もお話がございましたように、私はこういう事例があつたということを聞かして頂ければこの内部の指導監督によつて余程直ると思うのであります。税務官吏税法を知らんこともさることながら、官吏の態度に矯激とか、悪いところがあるということも納税者の感情を非常に害すると思うのであります。若しそういうようなことがありましたならば、私のところになり国税長官なりに匿名でお知らせ願いまして、そうした内部で監督するという場合におきましても、民間の人の智慧を籍りて監督して行くのが、これが一番両々相俟つやり方でありまして、従いまして苦情処理の制度もいろいろと先般来設けて、そういう声を聞いて徐々に直して行こうといたしておるのであります。今後におきましても、前は所得調査委員会というものがありまして、課税に対して民意を容れておりましたが、申告納税制度としてはそういう制度が余り感心しないという関係方面の意見でございまして、所得調査委員会というものが決定したあとの苦情処理委員会を設けて、特別の機関を設けてやつて行こうと思つております。而して無茶な課税と申しまするか、十万円の所得しかないときに十三万の所得を決定された人がありとすれば、これは苦情処理機関の方へ訴えて、その事務官吏のやり方能力についてはつきり現れるものであります。そういうようないろいろな方法を取りまして、法規でどうこうするよりも行政的の非違のないような制度を作り上げて行きたいと考えておる次第であります。更に昨年、一昨年に比べまして大分良くなつたように認められるのでありますが、併しまだまだ非常に不十分でありまして、事務官吏の素質の向上とか、或いは定員の充足とか、或いは租税制度におきましてもできるだけ民意を直接に聞いて、そうして内外共に成るベく是正して行きたいというふうに考えております。
  71. 天田勝正

    ○天田勝正君 いや非違のあることを率直に御認め下すつて私共は喜んでおります。決してこのことは過去のことであつて、それを追求してどうこうというのではありません。今も申上げましたように、昨日も寧ろ高橋長官を追求するのでなしに、訓令を発したことに対してお褒め申上げておいたくらいであります。このことは今申上げましたように根本的な問題でございまして、但し末端に参りまするとそれは扱つておる小役人いじめという、こういう印象を受け勝ちなんであります。決してそういうものではないのであつて、一々の事例を言えと抑つしやれば私共も勿論百ぐらい直ぐ持つておりますけれども、時間の関係もありまするししまするから、そうした事例を一々は申げません。併し前の国会におきまして、ここにおられる黒田委員等もこれらの非違の事例を挙げるならば、直ちに我々はここで挙げることができるというようなことを申されておりますぐらいに、相当この非違が多いのであります。そこで私がこの際希望しておきたいのは、それは行政的にそうしたことを直して行くという熱意はよく了承いたしますけれども、尚まだ時間があるのでございますから、根本的な改正に当りましては、法によつてもこれらを規定して、納税者に対しても、官吏もこの通り平等なる責任を負うておるのだということを明示されるような御研究あることを希望しておきます。
  72. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつと二三伺つておきたいのですが、大蔵大臣勤労控除をですね、今度は1〇%というように出されて、先般新聞では一五%にするというように案も御発表になつておるように思つておるのですが、さつき川上委員に対する御答弁では、財政状況が許せば成るベく上げたいということを言われたようにも伺うのでありますが、今度我々が審議している予算とか法律案は、二十四年度関係だけのようであるけれども、同時に二十五年度予算とかいろいろ言われておりまして、来年の予算にも連つておるので、今度調査して、これは一体一五%ということになさるおつもりですか、どうですか。
  73. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) まだ決定しておりませんが、今のところなかなかむずかしいようでございます。
  74. 木内四郎

    木内四郎君 尚税率についても、この前休会中に、私がここで御質問した時に、いろいろ研究して見ようというお話つたのですが、来年度予算も直ぐに提出される、或いは印刷に廻されておるのではないかと思うのですが、五五%の最高率を適用するのはやはり三十万円超からでありますか、或いは百万円ぐらいからと、一時現内閣の方針のようにも伝えられておりますが、百万円のところに持つて行かれるようにもう大体決まつておるのですか。
  75. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) この点は一昨日昨日縷々申述ベられたのですが、結論から申しますと、何とも申上げられませんけれども、なかなかむずかしい問題でございます。それで若し勤労所得の一割五分控除の財源があれば楽にやる考でおるのであります。
  76. 木内四郎

    木内四郎君 併しこの問題については決定はしていないが、考慮はしておられるのですか。
  77. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 決定はしておりませんけれども、できるだけ努力いたしておる状況であります。ただ見透しをどうかと言われれば、私は控え目にしたいという程度で、なかなかむずかしいということを御了承願います。
  78. 木内四郎

    木内四郎君 大蔵大臣はここでは控え目にやられると言うが、新聞では大いに控え目でなく宣伝されることがあるのですがここが何ならば、その点はこれ以上申上げることはありませんが、更にもう一点伺いたいのですが、歳入の見積の点ですが、法人税自然増收が当初の予算の殆んど倍額ぐらいになつているのですね、自然増收は一育とか、一割五分とか二割程度ならなんですが、倍額ということになると、ただ普通の自然増收でないように思うのですけれども、殊にこの間公聽今の時に、何か初めから分つてつたのを故意に隱したというように伝えられておる。今年の四月頃発表されたと、政府機関紙ではないけれども、政府関係の雑誌なんかにも当時からこのくらいの見込みのことは書いてあつたということを言つておるのですが、これは大蔵省の権威のためにも一言大蔵大臣からお説明伺いたい。
  79. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御承知の通り法人税というものは、即ち会社に対する所得税は、従来は個人所得税と匹敵する程の重さを持つてつたのであります。昭和十年から昭和十五六年くらいまでは、個人所得税法人所得税というものは殆んど同格くらいに行つておつた。その後法人所得は非常に落ちて参りました。それで法人所得に対する法人税というものは非常に微々たるもので、最近になりまして非常によくなりまして、その一例を申上げますと、去年の三月の法人税申告と同じ会社の、今年三月の申告によりますと、十販くらいのものが相当ある。何が原因ですかと申しますと、査察部の調査が非常に急激に行われたり、或いは加算税、追徴税というものが非常に多くなつたために、申告は非常ないい状況になつておるのであります。従来は決算期が済んで二ケ月に一応申告しました。そうして税務署が直ぐ行けばよいのがなかなか行けないという関係で、見積りは少し過重になつておつたかも知れません。税務署は行くのが遅れましても今は非常に申告状況がいいのであります。従いまして只今までのところ十月末で九〇%以上も入つておるのであります。そういう状況が、主ため原因で、個人の方から法人になつて法人組織になつたのがあるのでございますが、それがだんだん本格化して来たというようなこともあるのであります。で従来は木内さん御存じのように決算期が済んで申告だけで徴税をやつた。でありますから、税務署が適当の時に行つてやつた。だから税務署においての調査の如何によつてつていたのでありますが、この頃殆んど会社の申告によつて大体のものが決まるわけであります。極く例外の場合はありますが、大体法人申告が予思以上に多くなつたということが重大なる原因であるのであります。
  80. 木内四郎

    木内四郎君 大蔵大臣の御説明、そういう事情があつたということであれば御尤もと思うのですけれども、ただ私思うのですが、法人税とかいうような大きな費目が、当初の予計より倍額近くなつたという、自然増收という名目で出ておるのですが、それと関連してこの間全財の人の公聽会の証言で、何か当初からもうそういうことは分つておつたんだ、それにも拘らずそれを故意に低くした、理由は分らんけれども、故意にやられておつた。而も自分だけ言うのでなく、大蔵省で発行しておる雑誌その他にもそういうことは載つておるというような証言をしておりますから、そういう点についても一応大蔵大臣として一つ何等かのお考があれば伺いたい。
  81. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 全財の者がどう言つたか分りませんが、私の責任において租税收入見込んで、皆さん方の御審議を願つておるのであります。他に如何なるものが言いましても責任は私共にある。私はこれが適当だと見込んだ次第であります。
  82. 森下政一

    ○森下政一君 勤労控除の問題ですが、だんだん昨日からの御説明も承りまして、大体了承しておるのですが、やがてこの本格的な税額を、恐らく通常国会で審議することになると思いますが、勤労控除がひとりサラリーマンだけでなしに、個人事業所得の場合にも及ぼすということになると思うのであります。そこでその精神において事業所得を挙げておる者でも勤労者と全然変りのない者をサラリーマンと同格に扱うということは非常に私は妥当と思うのです。ところで従来サラリーマンだけに勤労控除が認められておつたということは、事業所得の場合においては捕捉し難いというふうな関係にある。従つて脱税しておる者もあるだろう、そういう者に勤労控除は要らない、そういう考え方があつた。これは私妥当でないと思う。ところでですね、サラリーマンと事業所得者との区別は資間がある者とない者との区別ははきつりしておると思います。サラリーマンの場合においては本人が病気をして働けなくなれば忽ち收益の途がなくなる。事業所得の場合においては本人が病気をしておりましても、例えば家族によつて営業が営まれるというわけで、資本が事業所得にはあるというだけははつきりしておる。そこで同樣に勤労控除事業所得にも及ぼすのは妥当であると思うのでありますけれども、純然たるサラリーマンの間に段階をつけるべきじやないか、理論的に考えて、例えばサラリーマンの場合において一五%であれば、事業所得に二〇%、そういうような段階を認めることが妥当ではないか。より合理性があるのではないかと思いますが、どうでしようか。
  83. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 各事業主体のいわゆる事業所得者、勤労所得者に対し、堀階的に基礎控除を設けては意味をなさない……
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 勤労控除です。
  85. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 勤労控除を設けましても私は意味をなさないものと考えます。これは税制全体で考えなければならん問題だと思うのであります。所得税についてのみの議論よりも我々は稚税全体で議論しなきやならんと思います。一割の基礎控除が住民税に及ぼす影響、又勤労所得者と事業所得者におきまする、いわゆる今までの事業税、今度は附加価値税になりまするが、そういう問題を併せまして全般的に全部の負担がどうなるかということを検討すべきものと私は考えておるのであります。従いまして今所得税の問題で一割控除したという問題がありましたが、住民税に及ぼす影響、それから附加価値税、従来の事業所得税その他を考えてみますると、私は大体適当ではないかという考えを持つております。
  86. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 油井君の質問に対して国税庁の長官から答弁があります。
  87. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 滯納状況について御質問になりましたようでございますが御答弁申上げます。  本年度滯納は、五月一日現在におきまして七百六十一億四千九百万円でありました。その後特別の整理計画を立てまして、鋭意整理をいたしました結果、十月末における現在では四百五億六千六百万円でございます。尚昨年度年度当初におきまする滯納額は四百六十二億円でありまして、いずれも大体前年度以前の分の調定された金額に対する滯納でありますが、前年度予算に対する割合を取つてみますと、昨年の五月一日現在におけるところの四百六十二億円は前年度予算に対して三割四分に当つておるのであります。今年度の七百六十一億円は昨年度予算に対しまして二四%でありまして、昨年におけるところの滯納よりも割合にその点は改善されておると考えております。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今大蔵大臣のだんだんのお話で二十五年度予算につきましては、これまで大蔵大臣がときどき新聞等に意見を洩らしておりました勤労控除一五%、それから税率適用の最高区分を百万円に引上げる。それから基礎控除をシャウプの二万四千円を三万円まで引上げたい、この三つは二十五年度予算では大蔵大臣のお考えのように実現しそうもない。こういうふうに了解してよろしいですか。
  89. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は正式に発表いたしたことはございません。意向として税制改正案の現在における考え方として、財源があればそういうふうなことは考えられるということは主税局長その他にも申しておつたのであります。その考え方は十五ケ月予算を決めます前の問題であるのであります。で十五ケ月予算を大体見透しを付けまして、租税收入四千四百四十六億円のときにはこの分はかなり変つてつております。而して今お話基礎控除三万円というのは私はあまり考えません。二万七千円で考えております。その後の状況は私は今租税收入をどの税がどれだけ、どの税がどれだけということを見込ましております。四千四百四十六億円の租税收入に充てるのにどの税に、例えば酒税にウエートをもたせる、シャウプ案のようにいたしたならば、酒税の増税による收入が、木村さんにははつきり申上げて置きますが、シャウプ案のようにしますと、即ち来年の四月減税したのを廃めるといたしますと百数十億の税收入が上ります、増税によつて。それをやることがいいか悪いかと問題を考えておりまするが、私は酒税につきましては只今のところ原則として動かさないと考えておるのであります。それは一級酒について九百二十円を九百五十円にするとか、或いは燒酎の四百四十円を四百五六十円にするとかいたしまするが、売行きの悪い合成酒の二級につきましては、五百五十円を五百円に下げるとか、いろいろな調整を加えまして、余りシャウプの言うような税制は行わない。アジャスト程度に止めて、増税という程の増税はやらないという意向で進んでおります。又それがよいと思う。そういたしますと、今度は増税はしないが、原料その他によつて増收分はどれだけあるかということを今検討いたしておるのであります。こういうところから考えまして、又法人税收入が資産再評価によつて年度分がどうなつて来るかということにつきまして、法人税收入が五百億からどれだけ上廻るか、どれだけ下になるかということも検討して、最後に所得税に皺寄せをして、ここで結論を得たいと思つているのでございます。従いまして、例えば芋の割当が、昨年は五千万貫でございましたが、これが一億貫になつた。今一億二千万貫ぐらいの予定でおります。併しこの歩どまりの関係を、石炭その他の入手が楽になりました関係上歩どまりをどう見るかによりましても、四十億から五十億はすぐ還つて来るのであります。それから又一方に米を二十万石、或いは二十二万石若し増配になるとした場合におきましては、二十万石いたしましても百二三十億の増收は見込まれるわけであるのであります。こういう点から考えまして、まだ結論には至つておりませんが、逐次関係方面と折衝をいたしておるのであります。自分で行く機会がございません。従いまして事務当局の毎日の折衝の報告を聞きまして、一昨日ぐらいは、一割五分控除もなかなか有望のように言つておりましたが、又その後の情勢で、今日は何とも言えません。危のうございます。と言つております。いずにいたしましても、私は十二日に予算案を出したいというので、この国会が早く済んで、自分で折衝できる機会が一日も早く、一時間でも早くしたいということを望んでおるのであります。実は今日も午後一時半からドツジ氏と会見することにいたしております。これは主として又予算問題が出て来ると思いまするが、今のところはそういう意向で、変つて来るのであります。ただ申上げることは、四千四百四十六億円よりも上廻ることはございません。とにかくその枠内においてできるだけ所得税を減らすようにやつておるのでありまするが、なかなかここではつきり申上げるところまで行つていないのであります。ただ見透しといたしましては私は、二十六年度のことを申上げると如何にも変でございますが、とにかくこういう考え方が、関係方面のみならず世界的にあるのであります。よくなつたからといつてすぐ減税に持つて行くよりも、減税はとにかくあとにして、経済の基盤をはつきりさすことがいいんんだ。今のちよつと申上げましたように、一旦減税が又変になつて、増税しなければならぬ、二三年後になつて又増税しなければならぬというようなことを絶対に避けなければならない。私はその取扱いにおいて、そこで石橋を渡る恰好よりも石橋を叩いて渡る恰好にように実はなつておるのでございます。それをどの程度叩くかというのが問題で苦労いたしておるのでありますが、減税は徐々にやつて行く、思い切つた減税をやりますと、その当座はよろしうございますが、折角いわゆる健全の上に健全を期した財政をやつている私といたしましては、その点は誰が見てもこれなら申分がない、しつかりしたやり方ということに行きたいと考えております。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体十二日頃ですね、予算を提出したいということですが、そうですか。
  91. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は、十一月三十日で国会が終り、今日から又折衝を始めて、二三日で折衝を終つてやれば、十二日にはできるという確信があつたのですが、三日まで国会がありますと、三日予定が狂つたわけでありますが、私は何とかして十二日に上程したいと思います。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結局四百四十六億という、その減收の枠内でならば、今までお話のあつたようなふうのあれを彈いて、その枠内でならば、その勤労控除とか、基礎控除、そういうものがいじくり得るというお話ですか。
  93. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は、大体来年度の歳入歳出を、この前申上げましたように、六千六百億程度にしております。この数字は変えません。そういたしますと四千四百六十億円という、そこで一つ課税の見積をやつて行きたいと考えております。大体それで行けると思います。
  94. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程木内委員からお話がありましたが、法人税増加についてでありますが、これは法人が正式に決算書を提出しても、税務署の方でもう否認して、これはもう利益とみなすというような否認権ですね、これが私は多いんだろうと思いますが、その割合はどのくらいになつておりますか。大臣でなくても、一つお聞かせ願います。
  95. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 昔私が第一線におりました時には、その割合を取つたことがあります。これは会社によりまして余程違います。もう大きい会社になりますと、向うの経理部長とこつちの方と頭が一致しておりますから……速記を止めて頂きましよう。
  96. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  97. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を取つて
  98. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) その割合ははつきり申上げられませんが、全体といたしましての法人については、一、二割程度、大法人で。中法人を取つて見ますと、相当あるのであります。而して又業務の都合によつて一応是認して、申告通り決定して、そうして又暇を見て行く場合もあります。初からやつて行く場合もあります。年度がずれる場合もあるわけでありますが、まあその時によつて、これは調べに行つていい場合もあり、併し申告税の場合と余程違つておりますから、今調べるといつてもなかなか困難であります。
  99. 天田勝正

    ○天田勝正君 もう一つ、根本的なことを伺つて置きますが、税を掴むのに、一面に所得の額から掴んで行くという行き方もあるし、又その種類によつて掴んで行くという行き方と、両方あろうと思います。勿論所得の額によつて、累進的に税を課して行くという一方、その所得の生れて参りまする性質からしまして、間接に物品税を課して行く、こういう方法もあろうと思いますが、そういう税の性質から掛けて行くという観点にしますると、先般も私が本会議において、大臣質問しましたように、発明されたとか、発見されたとか、或いは極めて有益な著述を行つたとか、こういうものは、他の労働を何ら搾取していないところの所得であつて、全くその人が出なければ、この世に、而もこれを名付けて、私は文化財と言つておりますが、こうした文化財が生れて来なかつた。こういうような性質を持つていると思います。これらに対しましては、全く課税の特例を設ける必要があろう。こう考えているわけでありますが、それと関連いたしまして、やはり勤労所得もそうした構想の下に考えなければならない。こう私は考えておるのであります。そこで今度の税制改正に当りまして、こうした所得の性質から来るところの、性質から考えまして、特段の改正を行うところの御用意があるかどうか。この点をお伺いいたします。
  100. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これは租税学上の非常な問題であるのであります。所得の担税力には、先ず量による担税力、これは見なければならんことは、古今東西を通じての原則であります。超過累進税率はどこの国でも行われておる現状であります。この所得の種類によつて所得税徴税するかどうかという問題は、これは非常に議論のあるところであります。日本におきましても、沿革を申しますと、昭和十五年までは所得の種類によりまする所得税の本質的の差別は設けませんでした。ただ設けておつたのは、勤労所得の一割控除、それから株式配当の、これは法人個人の二重課税というので、六掛課税、八掛課税というのをやつております。昭和十五年にはお説のように、所得の種類によつても担税力が違うという考え方の下に分類所得税を施行して、資産所得には重課し、勤労所得には軽課する、そうして事業所得はその間というので、当初におきましては勤労所得は五%、資産所得は一〇%、そうして事業所得は八・五%で、自由所得七・五%ということで出発したのであります。併しこれは大陸系の税法でありまして、英米系の税法になりますと、所得がどこから出ようが、勤労所得による百円も、事業の所得による百円も、百円に違いはない。こういう思想が可なり強くなりました。所得税としては、やはり数量だけによつて、原則として行こう。個々の場合は、担税力のないものは、最小限度に所得税において徴税して行く。その他は、外の補完税でやつて行く。こういう考え方に変つて来ておるのであります。今のところは、私はやはり分類所得税的のものよりも、今の制度がやはり進んでおるのではないか、而も負担は飽くまでも所得税だけで見るのでなしに、直接税といたしましても、住民税とか、或いは物税的の性質のものと兼ね合して、総合的に考えなければならん。だからこの前も或るところで議論のありましたように、夫婦、子供、三人の家族で月收一万円の收入を得ようとすれば、勤労階級においては十五万円程度の総收入で、併し中小商工業者が月收一万円の收入を得ようとすれば、三十二万円の所得がなければならんというのが現状であります。併しこの分は、シャウプ博士が考えられて、余程変つて来ると思います。その一端が今議論になつておる所得の一割の控除とか二割控除ということになるのであります。で月收一万円の者の年收入が三十二万何ぼというのが段々変つて参りましよう。これが所得税の方でどうなるかということでありますが、やはり英米流の考え方で行けば勤労と事業の差は、所得百円の価値は同じだという思想が強い。担税力がありとすれば外の方の物税で課税して行く、或いは富裕税で課税して行く、こういう考えのようであります。
  101. 天田勝正

    ○天田勝正君 非常に詳しい説明でよく分りましたが、例えば、過日も例を引いておきましたが、エヂソンがなければ我々はこうした電気の恩惠は恐らく受け得られなかつたであろうか、或いは可なりそれの恩惠が遅れたろうと考えます。或いは文学的にも、露伴がなければ露伴文学というものよつて我々は精神を豊かになし得ない、こういうことも考えます。そうするとこれらの諸君というものは全然他に何の関係もなしに、自らの頭脳と努力によつてそうした文化を生んだ、これらのものに対しては課税どころか、あべこべに賞状賞金を贈らなければならん筋合ではなかろうか。だからしてこういう者に対しての課税の特例を設ける必要があるのではなかろうか。こういうことです。
  102. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今申述べました答が洩れておりましたが、国の産業の発達とか、いろいろな方面におきましては従来も免税の規定とか軽減税をやつてつたのであります。併しこれが余りに煩瑣になりますと、税務の執行を非常に租害するのであります。やはり免税につきましてはできるだけ少くしたいという方向でやつているわけでありまするが、而して今のような場合は、我が国に余り事例はございません。エヂソンとか何とかいうようなものはないのでありまして、若しあつた場合におきましては課税につきまして特例を設けなければならんと思います。若しここに湯川博士が住所を日本に置いておられ、そうしてあのノーベル賞の賞金をお貰いになつたときは、これは私は逸早くこの点の免税規定を考えているわけであります。ただ問題は所得があつた場合に、その所得の使い方によつて或る程度の免税規定は私は今後考えなければならん。どうしても財政の上で非常に引き締めておりますから、例えば私立学校への、個人法人への寄附とか何とかいうもの、又個人におきましてもでき得れば所得の一定額については、公益法人に対する寄附は免税にしたらどうかというようなことを実は考えておるのであります。これは所得税のみならず相続税につきましても、そういう思想で一定限度まで掛からない税を、税の掛からない所得を、一つ自由処分のできるような制度を置いて行きたいと思いまして検討を続けております。来年度税制改正におきましては、片鱗になりますか、相当部分になりますか、御期待願つて結構だと思うのであります。
  103. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  104. 小川友三

    ○小川友三君 如何ですか、この辺で一旦休憩しますか。それとも続行しておやりになりますか。
  105. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 川上君にお諮りいたしますが、総理がちよつと実はお差支のようですが、総理の出席を是非求めますか。それとも何か適当に考えて行きますか。あなたのこの間の御質疑のときにも丁度速記がなかつたのですから、速記に入れて置いて、適当なときに総理の御答弁を願うということに取計らつては如何でしようか。この間の御質問のときには大蔵大臣もお見えになつておらなかつたし、それから速記にも載つておらないのです。速記にこれをはつきり載せて、そうして適当なときに、総理の都合の好いときに答弁して貰う、こういうことで如何でしようか。
  106. 川上嘉

    川上嘉君 実は八月十五日の読売新聞に「日本の進路」という題で、吉田総理と読売新聞社の馬場社長との対談が掲載されておるのでありますが、その中で吉田総理は税金問題につきまして次の通り述べております。「今は徴税方法が非常にひどいですね、最初から脱税をするという建前で納税者に臨むらしい、收税吏が正直にやつている者に対しても脱税者のような取扱いをするから、正直にやつている者は怒つてしもう、大体あの税金の割当ということがいけない、今年はいくら收入があるという見込みで、その見込みを申告させる、それによつて税金を割当てて徴税するから随分変な話だ。」この言葉は総理大臣が現在税務署においては割当制といつたようなことを認めているような言い分でありまするが、これと大蔵大臣は全然いわゆる割当とか、或いは目標額とか、責任額とかいつたものは全然掲げていないと言われたそのことと非常に矛盾しておるのですから、是非吉田総理にここに出席して貰つて、吉田総理の見解を聽きたい。
  107. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは速記に書き止めてありますから、適当なときにお答弁願うということで一つ取計らつて行きたいと思いますが、如何でしようか。
  108. 川上嘉

    川上嘉君 国税長官にちよつとお伺いいたしますが、十月末の税收入額調べで申告の方は非常に成績が悪いので二一%になつておりますが、大体年度末までの見透しについて御見解をお聽かせ願いたいと思います。
  109. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 今回申告所得税の当初の予算であります千九百億円を約二百億円程度減收を見なければならんのでありますが、この程度は大体国税庁としては收入し得る見込みであります。
  110. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 所得税法臨時特例等に関する法律案に対する質疑を終局して、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  112. 小川友三

    ○小川友三君 本案につきましては行政長官である大蔵大臣を信頼して、本案に対して賛成をいたします。
  113. 天田勝正

    ○天田勝正君 所得税法臨時特例に関する法律は暫定的な経過的な措置でありまして、来年三月までのものであります。私共は国民負担の軽減を図るという大蔵大臣の御意見からいたしますれば、内容的にこの税の改正によつて国民負担が果して軽減されるや否やということにつきましては多大の疑問を実は持つておるのであります。併しながらこれに反対いたしまして、若し通過しないといたしましても、現在以上以上にこれが負担が軽くなるというわけには参りませんので、差当つて経過的に多少なりとも軽減されるということにつきましては賛成でございます。そこで先程来の質疑によりまして、政府側におきましても十分なる研究をなさつて、総合的な改正案を提出されるということを希望し、且つ現在のままでは相当不満足な点があるということを附加えまして賛成申上げて置きます。
  114. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に……
  115. 川上嘉

    川上嘉君 本案は臨時特例とは相成つておりますけれども、シャウプ勧告の基本原則を尊重して、明年度におきまして税制全般の改革を行うその一環として考えてなくちやならないのでありまして、税制全般に対する改革案が出るまで本当は態度を留保すべきでありまするが、これは理由としてどうかと思いますので、私は左の理由によりまして本案に反対いたします。  次由は勧告案の五目標は税制全般の立場から見ましても、又個々の税法から見ましても、その中に常にこれらの五目標が有機的に織り込まれていなくちやならん、かような見解を持つております。ところがこういつた点に対しまして本案に頗る疑問を持つております。  第二点は、民自党は選挙の際におきましても税金の軽減を公約しております。これが一般選挙民の支持を受けた絶対な理由である、私はかように考えます。ところがその後九原則や或いはドツジ予算のために減税の公約が果せなかつた。政府はその面子を維持するために万事シャウプ勧告案が出るまでの辛抱といつたような発言をたびたびやつて来たのであります。今次大蔵大臣財政演説におきましても、シャウプ勧告の精神に則つて国民負担の一部を軽減する。又本案の提案理由にも国民租税負担の軽減及び適正合理化に資するため、かように述べておるのでありまするが、内容を検討いたしますと、果してこれらの目的を果し得るかどうかという点に大きな疑問があるのであります。尚税率基礎控除、扶養控除勤労控除、こういつた個々の問題につきましても、大臣答弁では財政状況或いは生活状況、こういう立場から勘案されたとの意見でありますけれども、私は国民の担税能力とか、或いは国民生活の安定とか、尚国民経済の自立、或いは企業の自立、こういつた立場から考えまして、これらをもつと大巾に改正すべきじやないか、検討すべきじやないか、かような見解を持つております。  更に次に税制が公平、適正、合理的に制定されなくちやならないことは勿論でありますが、同時にこの税制は飽くまで公平に実施されなくちやならない。これがためには当然に緊急な問題といたしまして、税務職員の増員、待遇、諸手当の改善、福利、厚生などの改善等に劃期的な対策が考慮されなくちやならない。而もこのことがすでに実施され、その実施に着手されなければならない。かように考えるのであります。こういつた点につきましては、シャウプ勧告の五目標の中にも大きく採り上げられておる。尚勧告の附録では詳細に述べてあります。然るにこれらの対策につきまして何らの措置が講ぜられていない。つまり措置を講じようとする熱意が全然ない。そういつたことでも言わざるを得ないのであります。尚ここに問題になつておりますこの目標額と申しましようか、或いは責任額と申しましようか、こういつたものが全然ないと大蔵大臣は言われておりますけれども、收税に当られておる方々の状況なり、本人の申告に対する更正決定などに対する納税者の批判等から勘案して見ましたときに、実質的には、表面上は名前は目標、或いは割当というものでなくても、実質的には割当であるとか、或いは目標額といつたような刺戟を納税者に與えるようなことがまだあるのであります。かように懸念しておるのであります。このことは八月十五日の読売新聞における「日本の進路」という題で吉田総理と読売新聞社長馬場氏との対談が載つておるのであります。吉田総理の言によつて明らかにこれを立証しているのじやないかと考えるのであります。総理の言によりますと、「今は徴税方法が非常にひどいですね。最初から脱税をするという建前で納税者に臨むらしい、收税官吏が正直にやつている者に対しても脱税者のような取扱いをするから正直にやつている者は怒つてしまう。大体あの税金の割当ということがいけない、今年はいくら收入があるという見込でその見込申告させる、それによつて税金を割当て、徴税するから随分変な話だ」かようなことを苟くも現政府の責任者が述べております。  次に四点には、常にかような言を吉田総理は述べていながら、これを是正すべき対策に対して積極的な熱意を持つていなかつた、かようなことが指摘できるのであります。以上の諸点から私は本案に反対いたします。
  116. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。外に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて、直ちに採決いたします。  所得税法臨時特例等に関する法律案の原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を求めます。    〔挙手者多数〕
  117. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において、本法案の内容、委員会における質疑応答と要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     天田 勝正  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  小川 友三   —————————————
  119. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は物品税法の一部を改正する法律案につきましてお諮りいたします。質疑を終局して討論に入りまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて討論に入ります。
  121. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は本案に賛成の意を表します。その理由は、これらの税に列記されておりまする諸品目がそれぞれ軽減されるのでありまして、この実施の時期につきましては、或品目については更に可及的に早く適用するところの希望は持つておりまするが、諸般の事情より直ちに適用し得ないという事情も了承できるのであります。更にこれらの各品目の比較でございまするが、それらは命令段階に属しております。政令に讓ることに相成つております。その政令の場合に不合理な部分ができるや否やにつきましては、質疑応答或いは懇談におきまして、税務当局のこれらに対する考慮が約束されておりますから、それらに期待をいたしまして、この原案に賛成する者であります。
  122. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 私は物品税法の一部改正の法律案は、シャウプ勧告等もあり、政府においても相当民意を考慮されまして、改正されましたことについては感謝をいたすのであります。が併し、時間もあまりありませんから詳細申上げませんが、尚各種の品目について相当考慮しなければならん点もあるように思うのであります。又免税点の問題につきましても、政府のお示しになつた案によりましても、尚免税点を設け若しくは免税点を引上げることが適当ではないかと思われる品目もあるのであります。併しこれらについては、十分将来も政府において考究をされることを希望いたしまして、本案には賛成いたします。
  123. 小川友三

    ○小川友三君 本案の己類第七十一は、全国の千数百万の同胞が病気で用いているところの滋養剤に課税するものでありまして、悪法の甚だしきものであると私は信ずるのであります。凡そ丈夫なる我々同胞が弱いものを救つて行くというのが、この立法の建前であると私は信じております。今栄養失調に陷つておるところの赤ちやんが幾百万、これらの方が用いているところの錠剤にまで課税してやつて行くということは極めて悪法であると思いまして、私は本案の己類の第七十一を削除することを要求いたしまして、本案は原案のままであるからして、本案に反対するものであります。
  124. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御発言はございませんか。御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて、直ちに採決いたします。物品税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  125. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口答報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     天田 勝正  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  川上  嘉   —————————————
  127. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は織物消費税法等を廃止する法律案に移ります。  本案の質疑を終了して討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。討論は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  129. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法律案に対して遺憾ながら反対の意を表します。大体この織物消費税、清凉飮料税、取引高税とございますが、清凉飮料税、取引高税については異論はありませんが、織物消費税の廃止につきましては、シャウプ勧告によりましても、九月一日より行うべきであるというようなことを言われておるのであります。それに対して、政府が非常に怠慢で以て明年の一月一日に延ばしたということは、多大なる業者に対し或いは消費者に対して迷惑をかけておるのであります。これに対して我々は、十二月一日に遡つて実施せられることを提案いたしたのでありますが、諸般の情勢からこれが実現を見るに至らなかつたということは、政府の怠慢の結果であることで、甚だ遺憾に堪えないのであります。その影響するところを述べたいと思いますが、できればこれは本会議での反対討論に讓りたいと思いますので、この委員会におきましては、簡單に反対の意見を申述べる次第であります。
  130. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御発言ございませんか。
  131. 小川友三

    ○小川友三君 織物消費税に対しましては、当然これは十二月一日から廃止すべき問題でありまして、それを政府の事務上の怠慢と申しますか、勤労大衆の着る着物に対しまして、尚十二月も四〇%の課税をしておるという政策でございますので、本案に対しましては、油井委員と同じく反対の意を表する者であります。
  132. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他の御発言はございませんか。御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて、直ちに採決いたします。織物消費税法等を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  133. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それから委員長の議院の提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     天田 勝正  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     小林米三郎  小宮山常吉     川上  嘉   —————————————
  135. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は特別職の職員の給與に関する法律案の審議に移りたいと存じます。  本案に対しましては、すでに質疑相当に盡されておると思いますが、質疑を終局して討論に移ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めて討論に入ります。  御発言の方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  137. 森下政一

    ○森下政一君 本案に対しましては、その一部に対して修正案を提議いたしたいと存じます。それは第十一條を次のように改めたいと思います。案文を朗読いたします。  第十一條 第一條第二十四号に揚げる特別職の職員の受ける給與の種類、額、支給條件及び支給方法は、特別調達庁長官が大蔵大臣と協議して定める。但し、政府の対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十一号)第二條に規定する一般職種別賃金の適用を受ける職員の給與の額は、その一般職種別貸金額をこえることはできない。  第十三條 但書中「(昭和二十二年法律第百七十一号)」を削る。  その理由とするところは、進駐軍関係の労働者約二十六万人のうちで、約十四万人は昭和二十三年四月より政府諸支出の削減に関する連合軍総司令部覚書に基く法律第百七十一号第二條第二項に規定する一般職種別賃金の適用を受けておるわけであります。  ところで政府提出の原案のままでは、法律第百七十一号との関係がその点甚だ不明瞭でありますので、この点を明瞭に規定する必要があると存じまして、以上の修正案を提議する次第であります。
  138. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他の御発言はございませんか。
  139. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法案に対しまして、一部修正の意見を提出いたすものであります。その修正條文を読み上げます。  第十二條を次のように改める。  第十二條 第一條第二十五号に揚げる特別職の職員の受ける給與の種類、額、支給條件及び支給方法は、一般職の職員の例による。但し、俸給額の百分の十から百分の五十の範囲内の額で農林大臣大蔵大臣と協議して定める額の公団特別手当を支給することができ、且つこの手当は、勤務地手当の計算に関しては、俸給額に合算して、その算定基礎とすることができる。    前項但書の規定による公団特別手当の総額は、当該公団がその職員に対して支給する俸給の総額の百分の三十に相当する額を超えることができない。  この理由は、給糧配給公団の職員は大体八万四千人であるのでありますが、その職務の内容というものは他の公団の職員の人々と全然異つておりまして、相当労務的にも、又経験的にも、他の公団職員よりも相当な違いがあるのであります。そこで特に特別職とされたのでありまするが、給與というものはその職務内容に応じまして定めらるべきものであつて特別職であるこの食糧配給公団の給與体系は他の一般職である公団のそれとおのずから異なるものとする必要があるのであります。こういう点につきましてこのように條文に明白に書きまして、食糧配給公団の職員が安心して職業に従事することができるようにしたいというのが提案の趣旨であります。
  140. 小川友三

    ○小川友三君 本案に対しましては、まだ大いに質疑がしたかつたのでありますが、質疑が終了されましたので、第十一條の社会党の森下先生の修正意見に対しまして全面的にこれを賛成し、又これがもつと、これだけではまだ不満足でありますけれども、大体今回の国会においてはこの森下先生の修正の案に対しまして賛成し、又十二條の場合につきましては、今民主党の油井賢太郎先生の示された通り、この修正意見に対しまして全面的に賛成をする者であります。
  141. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小川君に伺いますが、小川君の修正案は撤回ですか。
  142. 小川友三

    ○小川友三君 撤回いたします。
  143. 天田勝正

    ○天田勝正君 森下君提出並びに油井君提出にかかる修正案に何れも賛成いたします。これらは悉く該当いたしまする特別職の諸君の希望でもありまするし、又実態にも適うものでございます。従いまして、これらの修正は最も妥当なるものと認めましてこれに賛成し、且これらの修正文を除いた原案にも賛成を申上げます。
  144. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。外に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて採決いたします。森下政一君、油井賢太郎君提出の修正案を、これを可決し、更に正修の箇所を除いた原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔全員挙手〕
  145. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めました。よつて本案は修正箇所を除いた原案及び修正の箇所は、修正案通り可決することと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨、及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     天田 勝正  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  川上  嘉     小川 友三   —————————————
  147. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはありませんか。御署名が済みましたら、それでは誓時休憩をいたします。    午後一時四分休憩    —————・—————    午後三時三十四分開会
  148. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 休憩前に引続き再開いたします。本日は、都合によつてこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            小川 友三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵事務官    (主税局税制課    長)      原  純夫君    国税庁長官   高橋  衛君