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1949-11-22 第6回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聽会   ————————————— 昭和二十四年十一月二十二日(火曜 日)    午前十時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法臨時特例等に関する法律  案(内閣送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○織物消費税法等を廃止する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより大蔵委員会公聽会開会いたします。開会に先だちまして公述人方々大蔵委員会を代表してお礼を申し上げたいと存じます。本日は大蔵委員会の三税に対する御意見をお伺いいたしますために公述を願うことといたしたのでありますが、御多忙中をお繰合せ願つて御出席賜わりましたことを厚くお礼申し上げます。大体お一人の所要時間を三十分といたしたいと存じまするので、公述をして頂きまする時間を大体二十分間程度として、後の十分間程度委員の人々との質疑応答の時間にして頂きたいと考えます。そのお含みでお願いをいたしたいと存じます。最初に日本繊維協議会理事長奥正助君の公述お願いいたしたいと存じます。
  3. 奧正助

    公述人奧正助君) 私只今紹介に与かりました奥正助でございますが、私の所で繊維関係の一切の問題をいろいろ集めて各御当局お願いしておるのでございますが、最近業界で最も大きな問題である消費税撤廃の件につきましては、シヤウプ博士勧告案が出ると同所に、ぜひ三月を持たないでその前に撤廃、若しくはできれば一割までに引下げてもらいたいとあうことを、政府当局の方に再三再四お願いしておつたのであります。その当時は、政府当局でもできるだけ早く業界希望に副いたいけれども、これは国会にかけなければできないので、結局実施されるのは十二月からということになるだろうというような話もありました。私共としては即刻実施して頂きたいことを希望しておつたのでありまするが、そういう関係で十二月になるのもやむを得ないという諦めを持つてつたのでありますが、時たまたまそれが来年の一月一日から実施するというふうに政府案が決まつたというので、業界としては大変な混乱を来しまして、これが若し一月一日ということになれば、生産業者中間業者もこの冬を越すことができない、どうかしますと、それがために破産者も出るのじやないだろうかというので、大騒ぎになつたのであります。そこで私の所で皆さん意見纒めまして、大蔵大臣通産大臣に宛てまして歎願書を出したのでありまするが、要は1月1日から全廃ということになれば、全廃そのものは大変結構でありまするけれども、元来シヤウプ博士勧告案が出た時から春物意物の引渡しが一切止つてしまつてつたのでありまして、せめて最後の十二月だけで、春物荷渡しをしようというので、皆それぞれ非常にむづかしい金繰りをいたしまして、十二月の月を待つてつたのでありまするが、これが若し一月一日ということになりますと、只今申しましたように、金繰りの点からしてこの年越しができないばかりでなく、業者の中には或いは休業、破産者も出るということになる実情を訴えて、是非十二月一日にして頂きたいと、こういうお願いをしておつたのであります。これはすでに各方面お願いしておるので、よく事情はお分りだと思いますが、十二月一日と一月一日というのは僅か一ケ月の差しかございませんので、まあこの一ケ月くらいは何とかなるだろうというふうにお考えになるのは無理はないと思いますけれども、業者立場から見ますというと、この一月がまさしく一年にも当るような状態でありまして、御承知の取り、春物荷渡しは大体年末までに全部荷渡しをするのがこれまでの商習慣になつておるのであります。一月に入つて春物の用意をするというのはすでに手遅れでありまして、一月一日ということになれば、その間に四割の税金拂つて、そうして春物の仕入れをするという人は一人もないのでありまして、そうしますと生産者手許に全部荷物が残つて来る。そうしますとさなきだにこの年末をどうして過そうかと心配しておつたのでありまして、当り前に行つてもなかなか年末の給料、職人の給料とか、或いは年越のいわゆる越冬資金とかいうものを渡すことが非常に困難であるにも拘わらずこういうような形で荷物が山積してしまつたならば、どうしてもその越冬史金とか賞与とかいうものが拂えんばかりでなしに、給料も拂い兼ねるという状態になるのであります。仮りに一月一日から全廃されましても、この春物荷渡しができないということになれば、全廃したら荷物は渡るだろうというふうにお考えになるのは、業者以外の方はお考えになるかも知れませんが、業者立場になつて見ますと、この品物は結局この春は渡らない。そうすると来年の冬まで持ち越さなければならない。来年の冬まで持越してこれが旨く意渡しできれば結構でありますが、御承知通り最近の製品というものは、日一日と改つて参りまして、先になる程いい物ができるのであります。来年の暮には相当いい品物ができますので、それから更に柄物、色模様とかいうものは、来年の春、再来年の春においては非常にその趣向が変りますので、この持越した品物が来年の冬果して処分できるかどうかということを懸念されるわけでありまするから、結局この僅か一ケ月間に売れなかつた品物を、来年に持越して、或いは来年の最後になつても処分できないというような状態になりますので、これは非常に大きな問題になりますから、業界として騒ぐのは当然のことだと思うのであります。ところが政府の方では一月一日にすればそれまでに四割の税金が、收入があると予算を立てておられるかも知れませんが、私共から見れば一月一日から全廃ということになると恐らく一俵も出荷しない。従つて税金は、政府としては税收入一文もないと、こういうことになるのじやないかと思つております。そこで私共は十二月一日から全廃して頂きたいのでありまするが、若し税收関係がございましたならば、この場合止むを得んから一割に引下げて頂きたい。十二月一日から一割に引下げますというと、今までの渡らなかつた荷物シヤウプ博士勧告案のときからずつと引続いておりますので、恐らくその滞貨は三ケ月乃至四ケ月のものがあると思うのであります。そうしますと政府予算におきまして、十二月一杯四割の税金を取られると、数量はどの程度にあつたか知れませんが、私共から見ますと、これは三ケ月乃至四ケ月分の荷物が十二月で渡つてしまう。そうしますとこれを一割に引下げても一ケ月の数量から、一ケ月の四割收入という点からみますと、それの三倍乃至四倍の收入があることになるのでありますから、先ず政府の予定せられた四割というものが、一月一日からやつたならば一文も入らないけれども、一割に引下げて十二月から実施ということになると、大よそ政府が予定されたものが完全に四割というものの形において收入されることになるので、この面から見ましても、政府税收入からみても非常に好都合じやないかとこう考えておるわけであります。そういうような実情にありますので、議会の皆さんの御協力によりまして、政府案が一月一日となつておるようでございますので、これを是非十二月一日実施ということに何分の御配慮を頂きたいと思います。これはただ業者ばかりでなしに、消費者といたしましても適当ないい品物が、この春に必要な需要品が廉く入手できるということになりまして、消費者立場においても大変喜ばれることだと思いますので、是非一つ御配慮頂きたいと思う次第でございます。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 委員の方から御質疑がありましたら御質疑を願いたいと存じます。
  5. 小川友三

    小川友三君 今の奥さんの御説明はよく分りましたが、この十二月の荷物動きというものは非常に多いように承わりましたのですが、十二月に織物業者から販売店に行く動きというものは、十二月はどのくらい昨年は動いたでしようか。又今年の十二月はどのくらい動きましようか。大体見通しをお教え願いたいと思います。
  6. 奧正助

    公述人奧正助君) この数字につきましては先般政府の方にお願いいたしましたときにもその質問がございましたのですが、何分以前絹織物………特に絹織物でございますが、これは以前は統制されておりましたけれども、今日では統制が解除されておりますために、その適確数字を把握することができませんので、まだ私共も回答しておりませんが、今日この問題につきまして、業界の方でも死命を制する問題だというので傍聽をしたいというところで今日見えておられますので、或いはその方の方で或る程度数字が分つておるかも知れませんが、私のところでは今はつきりした数字を掴んでおりませんので、お答えできないのでございますが……
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは今の小川さんの問題は、実は大体業者の方で調べたのが私の手許にありますから、ちよつと申上げますが、絹、人絹錦織物、及びこれを使用した第二次製品在庫総額が九十二億になつております。これは推定ですけれどもね。ですからこれを税額でどれだけ違うかということを申上げると、現在の消費税が四割ですね。それからメリヤス製品物品税が三割でありますが、これを全部先程奥さんお話のように一割に引下げれば、その引下げた税に相当する額は十八億三千二百万円となります。一応それだけにして置きます。
  8. 波多野鼎

    波多野鼎君 先程の御説明でこの年内に、この年を越すのに非常に苦労されておる、一月一日から実施になれば年を越すのに苦労されるということはよく分りましたが、この年内に売らなければ今年の製品は来年の暮まで持たなければならん、こう説明なさいましたが、その点はちよつと理解しかねるのですが……
  9. 奧正助

    公述人奧正助君) それは全部が全部というわけではございませんが、大体従来生産者から中間商人中間商人から小売商人とこういうふうな経路で品物が渡されておるわけでありまして、店頭小売商人商品を陳列するためには、春物を陳列するためには遅くとも十月頃から生産者荷物が渡るという形になるのが今までの常でありまして、それが結局十二月まで荷物が渡らんということになりますと、その春の品物として店頭に出すのに間に合わない。そうしますとこれは勢い来年の、いわゆる再来年の春物を渡す時期まで待たなければならない。それはつまり来年の九月乃至十月頃からぼつぼつ荷物が渡るということになりますので、いわゆる時期的関係から一ケ月遅れるということは、この春には間に合わないというので、結局再来年の春の品を引渡すという関係で、先ずものによりましては、大部分がそうだと思いますが、ものによりましては一年も持ち越さなければならないということになると予想しておるわけであります。  それから先程の、これは今御質問はございませんが、ただこれが来年の九月、十月になりますと、そのときの消費者希望が、柄、或いは模様等によつて来年の春と、再来年の春との趣が変りますので、結局今持つておる品物が来年の暮になつて売れるかどうかということも非常に懸念されるのであります。殊に羊毛製品のごときは、日一日と品物が変つておりますので、段々後から出て行くものの方がよいものでありますから、現在でも終戰当時にできました品物よりは大分品物がよくなつておるために、終戰当時できたのは非常に売りにくいということになつております。恐らく来年の暮頃になれば羊毛の輸入も相当ありますので、相当よい品物ができる。そうしますと今年できた品物消費者が振向かない。中間商人もその荷物の引取りを喜ばないということになりますと、一年はおろか、二年、三年も亦年を越さなければならない。或いは捨値でこれを処分しなければならないということになることも予想されるのであります。そういつた点について業者も非常に心配しておるわけであります。
  10. 波多野鼎

    波多野鼎君 それは来年になれば柄も変り、いろいろ趣向も変つて来るということも分りますが、一ケ月延びることによつて一年以上滞貨をそのまま抱きかえなければならないという理由がどうもはつきりしないのですが…
  11. 奧正助

    公述人奧正助君) それは春物に間に合わないということで、大体今までできておる品物がこの春に売る、いわゆる春から夏になる前までの品物は、冬に仕込みをするという関係ですから、それが今の一月に入りますと、結局仕入れて店頭に出す頃には、もうぼつぼつ夏のものができて来るということになりますから、そう遅れた品物を仕入れる必要はなくなる。つまりはそういう品物生産者手許に残るということになります。
  12. 波多野鼎

    波多野鼎君 一ケ月の違いがそういう大きな影響を及ぼすということがどうも納得できないのですが、十二月一日からやるのと、一月一日施行するのと、これは一番のポイントでありますが、この一ケ月のずれが一年間の滞貨、抱きかかえになるという理由はどうも納得できないのですが。
  13. 奧正助

    公述人奧正助君) これが、今政府でも十二月一日とそれから一月一日の僅か一ケ月くらいでそう大きな影響がないであろうと、今あなたのおつしやいました通り考え政府でも持つておられると思います。それで私共も口を極めて今までの年内取引関係からその実情をよく説明しましたところが、政府の方にもやつと納得を頂いたのですが、これはただ想像ではない、実際に商いを、取引きをしておるものの一番心配の種であります。これが一月に入りますと……
  14. 波多野鼎

    波多野鼎君 それではどうもよく分らないのですね。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとお伺いして置きたいのですが、今波多野君の質問もありましたが、恐らく十二月一ぱいに売れる数量は、一年のうち一番多いのですから、それでこれがお正月に着る着物とか、春着というものを十二月のボーナス時期やなんかで買つて、恐らくそういうときに今のうち作つて着るということになるでしよう。一月になつてしまうと恐らくもう買わなくてもいいような気分も出る、結局そういう品物が一年間も滞貨されることになるということになるのですが、その滞貨される金額というものは莫大な額に上つて金融の面においても相当苦労が要ると思います。併し金融の面においては大企業家と、中小企業家の面では大分違うと思います。そういう場合に繊維関係の方で、大企業の方の代表者でおありになるところのあなた方が中小企業立場と、大分関連が違つて来やしないかと懸念されるのですが、そういう金融の問題について業界としては政府相当善処方を要望されておりますか。
  16. 奧正助

    公述人奧正助君) 金融の面につきましては、これまで日本銀行なり、或いは市中銀行代表者に対しまして、相当業界の方からそれぞれ折衝しておられるのでありますが、私の方で正式に業界の意向として折衝したことはありません。例えば紡績関係であれば、紡績工業会の方がそれぞれ日本銀行その他に行き、又絹、人絹羊毛はそれぞれのグループにおいて折衝されておりまするが、今までのところでは先ず金融面心配ないというような回答は一つもあつたようには聞いておりません。ですからこれは引続き折衝されることと思いますが、今の十二月に実施されないために一月になると、そうすると荷物の滯貨があるから、これに対して金融是非お願いしたいということは折衝は勿論するでしようが、恐らく折衝しても今までの例から見ますと、大体すぐ要る金融が半年以内に解決されたことはないのでございまして、どうかしますと、もう金が要らん頃にやつと政府筋からいろいろの斡旋で多少金融がよくなる、金融の便が図られるということはありますが、頼んだその即座に先ず金融がうまく行くといつた例は今までないのでございます。そういう意味におきまして我々は今度の十二月一日が一月一日になつたときに、先ず金融をして貰えば多少助かるという気はありますが、これは折衝して見ても恐らく年内には間に合わんということになるので、余り当にしてはおらんわけであります。その意味において是非一つ十二月から、政府金融に縋らなくて我々の力で以て行ける方法として、十二月一日からやつて頂きたいということを希望しておるわけであります。
  17. 小川友三

    小川友三君 今油井先生からの質問と大体内容は同じようですが、奥さんの方では一〇%にして呉れという案が出ており、又その主張を本日の公聽会でやられておるというそのお気持は、資料油井先生のおつしやつた資料ですが、九十二億の大体ストツクがある。それに対する一割の税金にすれば約四億五千万拂えばいいのだということになりますが、その数字の点はともかくといたしまして、今の業者の皆樣の立場は、消費者大衆織物を如何に安く供給するかという点に置かれておるのであります。そこで現在織物業者の全部とは申しませんが、二部製品を盛んに出しておるのであります。この二部製品によつてうまくアンコールしまして、相当消費者に対するサービスと税金面に対して、税金を拂わないのですから、いわゆる削る作戰を立てておられることはどこの織物会行つてもそれは見受けられるのでありまして郵便局を調査し、或いは闇屋さんを調査したりいろいろな荷物を調査すればその実態はよく分つてくると思います。そこでいよいよこれを一月から廃止するという法案が、現在上程されておりますが、どうせ廃止するならば十二月から、して貰いたいという公述人奥さんの御意見ですが、なる程楽しみは早い方がいいに決まつておりますが、やはり予算面もあることでありますので、この際折衷案として業者の方で一割拂えば四億か五億になりまするので、十二月だけでこれは拂うから、なんとか政府の方でもこうしてくれという交渉をしたことがありますか。その点を一つお伺い申上げたいと思うのですが……
  18. 奧正助

    公述人奧正助君) 政府当局には一月一日から大体廃止するということが決定したというのを聞きまして、只今申しましたように大蔵大臣通商産業大臣御両名に宛てて歎願書が出ておりますし、それから更に平田主税局長にもじきじきお目にかかりまして、よくその事情を述べてお願いしております。ただ時期がすでに遅れたために政府としては、今これを案を変えて出すわけには行かないというお話がありましたけれども、私共としては、それではもう国会の方にお願すする以外にないと、実は国会の方でそれぞれ各方面お願いしておるような次第であります。
  19. 小川友三

    小川友三君 では今の問題ですがこの織物の二部製品というものを御存じですか、……
  20. 奧正助

    公述人奧正助君) 二部製品とは二次製品のことですか。
  21. 小川友三

    小川友三君 税金を拂わないやつです、トンネルしたやつ、品物を作りまして税金を拂わないで横に流すやつです。
  22. 奧正助

    公述人奧正助君) いわゆる闇商品ですか。
  23. 小川友三

    小川友三君 これを二部製品と言うのですよ。私は織物の本場ですから二部製品を生産した品物の半分以上は税金を拂わないでどんどん流れておるのですが、一月から税金を拂わないのですから、それでどんどん流しておるのです。だから税務署では税金を取ろうとしても織物業者が二部製品としてどんどん流してしまつて課けようがないのです。品物がないのですから……税務署は僅か二十人ばかりでやつておるから、例えば伊勢崎を例にすれば、一千七百五十軒織物業者がある。従業員が十倍も五十倍もおるのですから、これが皆三反でも五反でも町に担いで電車で持つて行く。税務署の方は二十人しかおりませんが皆ごまかされてしまつておる。拂つておるのはほんの煙草の灰ぐらいを税務署拂つておる、これが実態です。税務署の方ではもうどうせ税金がなくなるのだからしようがない。もう織物業者はふといやつだからというわけで掴えようがないのですが、この間も幾らか掴えたが僅か百五十万円の罰金で済んだわけです。ところが伊勢崎織物消費税を一年間に四億くらい拂うのです。ところがその十分の一も行つておりません。政府法律が薄情だからというので業者は悧口です。どんどん品物が横に這つてしまうというふうで、現地を私は視察しましてよく知つておりますから、この点はあなたの方で一〇%の税金にする案と、今十二月一日からしてくれという折衷案を両方出しておりますが、結局問題は国家の方で十二月一日からそういうふうにして呉れればいいのだということは分つておりますが、現在織物業者は相当儲けておるのです、それは儲けていない人もありますけれども、相当うまく行つている人が多いと思います。この際十二月に幾らか一つまみの税金拂つてつて、十二月一日からこの法律を作つて貰うというような具体的な案をあなたの方ではお持ちですか、それだけを教えて頂きたいと思います。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の小川さんの質問に対して我々の方で実は各党の方々と協議して修正意見を出しております。それは十二月一日から取敢えず一割に下げて貰いたい、それで一月一日からは全部撤廃して貰いたい。そういうふうになつておりますが、この際尚奥さんお願いしたいことは、我々の国会の方においでになつて、こういう事情だからとお話になつても、資料がないと、皆さんに納得して頂くことができないのです。そこでこの前私から要求申上げた通り在庫数量の各詳細に亘つての調査、それからこの一ケ月間の生産高、そういつたような今度の法案に対する資料を大至急この委員会一つお出し願うようにお手配願いたい。
  25. 櫻内辰郎

  26. 西野嘉一郎

    公述人西野嘉一郎君) 只今紹介を受けました西野でございます。今回政府税制改正に関する法律案要綱といたしまして所得税並びに物品税織物消費税取引高税その他の件について一部修正法律案を提案しておられるようでありますが、この方針にもありますように、今回の政府税制改正に関する法律案は、シヤウプ税制使節団勧告に基いて作られたものであることは皆さん承知、我々も承知しておるところでありますが、このシヤウプ税制使節団勧告は、その構想におきましては、我々財界人といたしましても、最もこれを敬意を表する者でありますけれども、併しながらその具体的な実施につきましては、日本経済の現在の認識に未だ十分でないと思うところが多々あると思うのであります。にも拘わらず今回出されたところの税制改正に関する法律案の全体はシヤウプ勧告案そのままであるということを見受けられるのでありまして、我我財界人として誠に遺憾に堪えないものであります。少くとも現在の日本経済は誠に窮迫なる状態にありまして、こうしたシヤウプ勧告に現われたところの税制の全般というものは、平常時における基本的な、恒久的な税制改革でありまして、今日これを適用するにつきましては暫定的な、過渡的な処置を必要とすると思うのであります。そのうち最もこのシヤウプ勧告に流れておりますところの大事なことは、間接税を廃止いたしまして、直接税の減少は比較的少いことであります。我々は今日のような状態におきましては、むしろこの直接税をもつと減らして、間接税軽減というものをもう少し後廻わしにしたらいいじやないかということを考えておるのであります。今日のような窮迫状況にあつて物価動搖必らずしもバランスのとれいない、いわゆるデス・インフレと申しましようか、プレスツド・インフレと申しましようか、というような時期におきましては、必らずしもこういうような間接税軽減いたしましても物価がそれだけ直接に下がるとは考えられないのであります。むしろ今回提案されたような所得税の幅をもつと大幅に下げまして、勿論実利的の所得増加図つて購買力の増大を図ることが、今日のようなデフレの傾向にある時に、最も有効な処置でないかと思うのであります。そういう意味におきまして今回の間接税をこんなに大幅に引下げるよりも、その財源をむしろ直接税の方面、特に所得税軽減にもつと力を注いだ方が宜い。もつと政府はこの点について力をいたすべきものでないかと思うのであります。今回の政府の提案の内容を見ますと、約二百億円ぐらい減少を見込んでおるのでありますが、そのうち直接税としてこの所得税軽減は五十六億に過ぎないのでありまして、全体の二八%にしか当つておりません。あとの七二%というものは間接税によつて軽減であるのであります。  特に織物消費税、今お話がありましたが、これらにつきましては誠に結構なことでありますけれども、これらの日本の国民生活の全体というものは、未だまだ衣食住と申しますか、食の問題に大部分の費用が生計費の大部分がかけられておるときでありまして、シヤウプ勧告は知らず識らずのうちにアメリカ的な感覚に陷つておるのではないかと思われる点があるのであります。織物消費税について、それを生活必需品と見られることは誠に結構でありますけれども、現在の織物消費税を全部全廃する。絹や毛織物までも一律にこれを生活必需品として消費税全廃することは、今少し政府としてこれを考えられ、これらの財源を所得税の経減に充て有効需要の換起、購買力の増大に向けるべきではないかと思うのであります。  又物品税の大幅引下げに対しましても同じような考えがするのでありまして、今回これだけの物品税が引下げられたといつて、直ちにそれが物価減少を来たすかどうかということについては、まだこれも考慮の余地があるのであります。無論これらの内容を見ますと、生活必需品に近いものがありますが、これらの物品税減少されただけ、恐らく実質的物価の騰貴を来たすのではないかという考えもあるのであります。尚この物品税の問題につきまして、納期を一ケ月延長された処置は誠に結構なことだと思うのでありますが、更にここまで考え政府の意向がありますならば、もう一ケ月、二ケ月ぐらい延長されて頂きたいと思うのであります。現在の取引実情を見ますと、少くとも取引というものは出荷後六十日拂いというのが最も普通のことでありまして、むしろ現在の金詰りにおきましては九十日とか百二十日とか、もつと甚しい延納未拂金が皆各企業において殖えておるのであります。これが全く未拂金がだんだんと殖えて来るのが今日の実情であります。片や出荷税でありますために税金の立替え拂いをしなければならない。そのために我々業者は、各企業は非常に困難を来たしておるのでありまして、これを拂はないときは誠に高率な延滞日歩を取られておるというような実情であることを考慮いたしまして、もう一段とこの納期の一ケ月延長を、もう一ケ月二ケ月ぐらい延長して頂けないものかと思うのであります。  次に取引高税でありますが、これは誠に長い間の懸案でありまして、今回全廃されることについては我々も賛成でありますけれども、これに代わるべきものとして、近く地方税として賦課される。附加価値税のごときものについては、れれは財界の意見、或いは要望を大いに今後聞いて頂きたいと思うのであります。取引高税を廃止したらといつて附加価値税を取ればいいぢやないかというような考え方は誠にこれは困るのであります。而も附加価値税は御承知通り世界で初めての新税でありまして、その実情の調査についてはまだ不十分でありますので、我々としましては一ケ月、少くとも一ケ年ぐらい延期して、その間に根本的な再検討を要望いたしたいのであります。その間に若し地方の財源が足りませんならば、従来の事業税によつてそれを負担することができないならば、この取引高税に代わるべき、或いは取引高税の一部を地方に移管して、その財源を補填すればいいではないか。その期間一ケ年位を延期してもいいではないかということを考えております。  最後所得税でありますが、この所得税につきましては、シヤウプ勧告日本の生活水準を余りに低く測定されておると思うのでありまして、例えば年三十万円以上と申しますと月收二万五千円以上でありますが、この所得に最高の税率五五%を課しております。今回の改正案もシヤウプ勧告そのままでありまして、それに対して政府は何らの努力を拂われておらないことについては、我々は誠に遺憾と思うのであります。で、この二万五千円の月收では中流階級の生活さえなかなか困難でありまして、この点については外国人においても日本人と同一の課税を課せられることについての不満が海外新聞にも出ておることは皆さんの御承知のことでありまして、外国人ばかりでなく、日本人においても二万五千円が最高收入で、それで生活が十分できるというその認識不十分な点について今一度考えらるべきであると思うのでありまして、少くとも我々の意見としましては、最高百万円ぐらいを考うべきでないかと思います。でそのための財源といたしましては、少くとも我々としましては間接税を今一度に、こんなにその財源として困るならば、間接税に急激な減少を図らないで、漸次間接税を引下げて行つて、直接税の所得税をもう少し大幅に引下げて、購買力を起し、そうしてこの一般のデフレ傾向にある現状を切抜くべきでないかと思うのであります。  最後に帳簿の整備の問題が謳われておりますが、これは又誠に結構なことでありまして、シヤウプ勧告に従いまして今回この処置を採られるのでありますが、これにつきましても帳簿の記入ということは結構なことであるが、なかなかこれは実施の困難なことでありまして、その制度については税務当局においても十分になされることを希望するのであります。特に八百屋や魚屋でも記帳できるような、あまり理論的に走らないような帳簿を備え付けること、そうしてそれが実施が円滑に行くことを希望するのであります。特に又この帳簿の樣式につきましても、あまり一方的な、法律的な規定でなくして、相当彈力性のあるような規定にして頂きたいと思うのであります。現在でさえも税務官吏の非常な知識の不十分なために帳簿の見方を十分知らない。そういうために紛糾を起しておる場合が多々あるのでありまして、その樣式はたとえカード式であろうと帳簿式であろうと、或いは伝票式であろうと複式簿記であろうと單式簿記であろうと、如何なる形式においても一定の記入すべき事項が記入してあるならばそれによつて青色申告の適用を受け得るものとして頂きたいのであります。  最後に一言今回の税制改正に対しては触れておりませんが、この席を以てお願いいたしたいことは、源泉課税に対する滞納の処置であります。そもそも源泉課税と申しますと、  これは政府に代わりまして各企業がその徴收事務の一端を代行しておるのが現状でありまして、大企業のごときは、自己の負担におきまして幾人かの事務員をこのために費しておるのであります。ところが政府におきまして永年源泉課税の徴收をやつておりますので、これは当然のごとく考えられております上に、最近のような金詰りや政府支拂の遅延などが原因いたしまして、源泉課税の滞納の傾向になつておることは御承知通りであります。特に先程私が申しましたような物品税のごときは、その売掛金の回收が非常に十分でないために、納税がますます困難になつておるのであります。にも拘わらず政府はその滞納に対しては、延滞日歩に二十銭というような高率なものを課し、而も尚それでは済まなくて、更に加算税として税額の二割五分を追徴しておる。而もこの追徴に対して最近においては強行するような傾向さえ見受けられておるのであります。こういうような不合理な加算税、或いは延滞日歩に対しては、もう少しこれの適用を緩和するとか、或いは又少くともこの加算税の撤廃というようなことをして、円滑にこの税の運営ができ、今日のような各業種とも非常に困難を来たしておるときにおいて、今少し企業実情というものを認識して頂きたいと思うのであります。  大体改正に関する全般につきまして本日いささか意見を述べさせて頂きました。
  27. 櫻内辰郎

    委員地(櫻内辰郎君) 御質疑がありましたら、御質疑お願いいたすことにいたします。
  28. 小川友三

    小川友三君 今の西野さんの御意見は、織物消費税を廃止しないで、直接税を上げて行つた方が購買力は殖えるのだという見方でございますが、これは織物関係をあなたお知りにならないところの、織物屋に機械を売つておる方の機械屋さんの方を代表していて、お分りにならないと思いますからそういう御説だと思います。織物業者は戰争中に軽工業であるというので皆ばつさり持つて行かれて、そのあと何十億円という借金をして機械を買込んで、その借金も拂えないで苦しみながらも、とにもかくにも風邪を引かないように、衣食住の食より重い著物を生産しておつたから、この点についてあなたの陳述は私は非常に違うと思いますが、まあ商売が違いますから、それ以上突込みませんが、とにかく機械製作業と織物製作業は違うのでありますから、この点について一つの訂正を私はお願いすると同時に、このいわゆる出荷税の問題につきまして少しお伺いしたいのですが、一ケ月を二ケ月又は三ケ月ぐらいにした方がよいという問題で、日歩二十銭は高い。そうすれば一ケ月にして日歩を幾らにすればあなたの方は算盤がとれますか。まるきり拂わないわけではないでしようが、二十銭は高いということは本員も承知しておりますが、五銭ぐらいにしたらよいか、八銭くらいにしたらよいか計算を出して貰いたい。非常に参考になるのですが……
  29. 西野嘉一郎

    公述人西野嘉一郎君) 織物消費税全廃について御意見があつたのでありますが、私は織物消費税に対する全廃に対しては必ずしも不賛成ではないのでありますけれども、その中に含まれておる絹製品とか、毛織物などについて全廃することは早いのではないか奢侈的な傾向にあるものは……それだけの財源はもつとまげて所得税軽減の方に向けて、その財源を以て購買力の増加を幾らかでも図る方が現在の日本実情に合うのではなかろうか。こういう御意見であります。これは廃止してはいかんという意味ではなくて、これは漸次廃止すべきものであると思います。思いますが、現在のような日本経済事情において織物税を全廃するということは、少しまだ時期尚早ではないか。それであるから綿織物、スフ製品というものは廃止しても、絹織物、毛織物の高級的なものに対してはこれはもう少し考えて、その財源を所得税軽減に宛ててほしい。そうして、我々の考え方から言えば、それによつて国民生活の有効需要の喚起に幾らかでも寄与してほしいということであります。  それから延滞日歩の問題でありますが、五銭がよいか、二十銭がよいかということは、安いほどよいのでありまして、細かい計算はしておりませんが、これは一種の罰則的な意味で税が課せられておるのでありますから、我我も必ずしもこの延滞日歩なり追徴加算税に対しては、非常に悪辣な業者に対してとるべき処置であると思うのでありますが、現在のような実情において売上金がどんどん溜つて金が入らない。一方物品税を拂わなければならない。拂わなければ、二十銭の日歩を取られる。それを拂わなければ加算税を取る。税額の二割五分も取るというような苛酷な方法はこの際一つ再検討をしてほしい。そうでなければ如何に企業の合理化を図つて、一生懸命にいろいろな点において経費の節約を図つておるにも拘わらず、一方においてそういうような日本経済事情がこれを許しませんために起つて来る原因を、政府といたしましても税の收入が悪いというと、公共企業体においてはなかなか支拂いが悪いのです。いろいろなことを調べて見れば、政府支拂の遅延がないではないかと言われるかも知れませんが、実態はなかなか悪いのです。現実に悪いのですが、いろいろの手続上の問題がありまして、具体的に出て来ない。そういう問題のために税が支拂われない。支拂われないのに片一方で二十銭の日歩を取り、更に加算税を取るということは、而もそれが最近の何によりますと、もつと強硬にすべきだというような地方税務署などの意向もあると聞いておりますが、併しこういうようなことは一つ税の納入を円滑にするために、もう少し考えて悪辣なる悪徳なる業者に対してはどこまでもとるべきであるけれども、併し今のような実情をよく勘案して、こういうような無理な罰則を適用することは今後考えてほしいというのが我々業者として、これが全部業界意見だと思う。特に中小商工業などはその考え方が強いのだと思います。
  30. 小川友三

    小川友三君 今の絹織物というのは今は実用品で木綿と同じです。  それから出荷税に対する日歩問題ですが、これは業者でもう少し研究して資料を出して貰いたい。今政府支拂の遅延を四十日以内で拂うような法律を作つて衆議院を通つておる。参議院の方は分らないが、とにかくそういう法律を作つてどんどん拂つて行く規定を作つております。機械製作業者というものは日本に沢山あると思いますが、どのくらいの延滞日歩を拂つておるか、そういう資料を後でできましたら送つて貰いたい。
  31. 西野嘉一郎

    公述人西野嘉一郎君) 調べて見ましよう。
  32. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御質疑ありませんか。
  33. 川上嘉

    ○川上嘉君 源泉課税に対する滞納措置に対する御要望は源泉課税だけでなく、税金全般に亘つていえると思いますが。
  34. 西野嘉一郎

    公述人西野嘉一郎君) そういうとでありましよう。特に源泉課税については、こういう問題について可なり政府当局に強い意向を持つておると思います。何故かというとつまり人の物を立替えて拂わなければならんというのはけしからんというような考え方があると思います。源泉課税については特に強いのであります。一方考えて見れば政府に代つて業者が立替えてやつておるのだということも考え方によつてはいえるのではないか、それからもう少しその辺の中届の措置を取つて頂いたらいいじやないかということを考えるわけであります。
  35. 川上嘉

    ○川上嘉君 人の物を取つてという言葉から出ますが、政府の場合にもそういうことがあるわけですね。業者の物を余分のものを取つて返さなければならん金があるのに、返すのに相当長引く場合がある。これに対する御見解を伺いたい。
  36. 西野嘉一郎

    公述人西野嘉一郎君) そういうのは当然一定の期間を決めて早く返して、若し一定の期間以上になつたら、これは利息を付けるべきだと思います。政府支拂の遅延に対して金利問題がときどき出ております。これに対してなかなか実行が、理論的にはそうやれると思いますが、現実には実行がなかなかできないのであります。政府の問題は手続その他の問題がなかなか整うということについては一方的になるのでありまして、そういう問題は業者としてなかなか困難な問題があると思います。例えば物を納入しましてもやはり書類が違つておるとかというような問題で完全に納入手続ができておらんといつて、そうするとその日から延滞だということをいう、この延滞期日の区切りがなかなか取りにくいと思います。
  37. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に全国財務労働組合執行委員の徳島米三郎君。
  38. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 只今紹介に与かりました徳島でございます。先ず最初に所得税法の臨時特例に関する法律案について御意見を申上げたいと思います。この法律案は誠に簡單な法律案でございますけれども、その根柢に流れておるものは、今度のシヤウプ勧告の全面的の実施一つの前触れであります。従いましてこの法案が通過するということは取りも直さずシヤウプ勧告がそのまま、全面的に実施されるということを予想されるものであります。今回の案はいわゆる勤労所得税に関する取扱が主となつたのでございますけれども、これは現在の源泉徴收の実情からいつて、一月から実施しないと間に合わないから一月から実施するということになつておるだけの話であります。この点につきまして、いろいろ誤解が多いのではないかと思いますので、その点について一言申上げたいと思います。国会におきまして池田大蔵大臣はこの補正予算に対する質疑に対して、今度の補正予算では労働者の方に特に思い切つた減税を実施してやつておるというふうな答弁が新聞にも出ております。成る程今度の減税二百億の内容を調べてみますと、所得税では源泉所得のものだけでございます。併しながらこれは何も源泉所得のものだけが特に恩惠に与かつておるのではなくして、実はシヤウプ案ではその外の所得税全般に勤労所得税以上の恩惠を与えておる。と申しますのは、外の所得税、源泉課税以外の所得税におきましては、一月以降の所得については、第一回の納期は六月末であります。従つて一月、二月、三月の所得については、いずれも六月にならないと税金を支拂わない。ところが勤労所得者の場合については、これは源泉徴收の関係で、一月済めば直ぐに翌月一月の給料の中から税金を取られてしまう。先に取られてしまつておる。こういうふうな点が違うだけであります。従つてこの関係について特にお考えを願わないと、特に今度の補正予算については、勤労者にだけ恩惠を与えておるような池田大蔵大臣の答弁が、そのまま誤解されて承認されてしまうわけであります。こういう答弁をなさるのは、結局我々の今関係しております官庁労働者に対して賃金を釘付けするための、一つのいい宣伝材料に使つておるとしか我々は思えないのであります。而も池田大蔵大臣が、この案が決まる前に、盛んに宣伝しておりましたシヤウプ勧告案以上の減税、つまり勤労者にとつては今まで二五%認められておつた勤労控除というものが、今度のシヤウプ案では一〇%に減つてしまうわけでありますが、これを池田大蔵大臣は一五%までに止める、シヤウプ案以上の減税にするというふうに盛んに宣伝しておりましたけれども、この宣伝が今度の臨時特例によつて、無惨にも挫かれてしまつたということがはつきりしたのであります。こういう都合の悪い点については、大蔵大臣はちつともおつしやつておらない。そうして又この減税が非常な恩惠であつて、そうして来年一月から実施されるところの運賃の値上げ、或いは米価の値上げ、そういういろいろな物価騰貴を相殺して、尚減税の方が大きいというような答弁をなさつております。又青木安本長官も、先般安本の方から発表になつた非常に細かいデーターによるところの減税と物価騰貴の関係、つまり今度のシヤウプ案によると、減税よりもむしろこのシヤウプ案全体を通じて出て来るところの物価騰貴、これは資産再評価による物価騰貴を除外して、ただ価格調整費の削減だけを考慮したところの物価騰貴、それと比較して実は減税よりも物価騰貴の面の方が労働者には強く響く。つまり労働者の実質賃金は低下する。こういうふうな意見を安本の事務当局は発表しましたが、昨日の国会では、安本長官はそういう意見を覆えして、いや減税の方が多いのだという答弁をされたように新聞は報道されております。併しこの点につきましては、その安本長官の言明の基礎になつておるデーター、或いは大蔵大臣がしばしば言つている計算基礎がはつきりしませんので申上げませんけれども、併し大蔵大臣国会で答弁しておるこのいろいろな計算の中には、只單に勤労所得が減少するという一点と、その半面今度の補正予算による価格調整費の削減に伴つた物価騰貴、この二つを比較して、そうして今度は勤労所得税減少の方が非常に大きいのだ、こういうふうな意見を出しております。併しこの意見は、シヤウプ博士がしばしば繰返して強調されました税制の問題は、全般を通じて検討しなければならないという問題を忘れた議論でありまして、このシヤウプ案というものは、国税の方で減税する代りに地方税の方で大幅に増徴するという、この地方税の増徴ということを一願もしていない議論であります。成る程地方税の改正は四月以降に実施されます。併しながらその計算基礎については、或いは一月に遡つてこの計算基礎が置かれるかも知れない。そういうことを考えるならば、どうしてもこの減税という問題は、税制全般、或いは物価との関連全般を考えてやらなければならない議論であります。昨日の予算公聽会において、一橋教授の井藤半彌先生は、勤労所得税は却つて増税であるというふうな意見公述されたように新聞で拜見いたしました。併しながらこれは何も今度の税制改正によつて増税になるというものではありません。すでにわれわれ勤労者、或いは所得者全般でも同じですが、昨年の七月からの税制改正以後毎月々々我々は増税を受けて来た、実質的な増税を受けて来た。現実に増税を受けているのだということの方が適切な表現であります。つまり勤労所得税は昨年の七月から改正になつたとき、成る程そのときには前月に比べて可なり減税になつたようであります。併しその後物価は毎月々々騰貴しております。にも拘わらず基礎控除その他の控除は依然として据置かれておる。従つて実質的には毎月増税になつておる勘定であります。この点について最も分り易い例を引きますと、ドイツにおいては、あのインフレの最高潮期におきましては、この天引税金の控除額の計算は物価指数に応じて自動的に調節できるようになつておつた。この例一つを取つて見ましても、こういう物価に応じて控除額を引上げるということは、これは極めて当然の措置でありまして、これは本当の減税でも何でもないというようなことがいえるわけであります。  又一面数字的な減税がどうこうというよりも、一体今勤労所得税というものは、どういうふうな状態の中から納められているかということを十分御検討を願いたいと思うのであります。前の公述人から勤労所得税の滞納等についてのお話がございましたけれども、現在中小企業におきましては、もう小さな会社では殆んど全国的な現象でございますけれども、二月、三月前の給料を今やつと二千円とか三千円とか分割して支拂つているというふうな会社が沢山ございます。従つてこういうところではなんとかした賃金の遅配をなくしたいというような状態、そういう状態の中から今税金が拂われておる。又銀行とコネクシヨンがあつて、賃金の支拂に金を貸して呉れるような会社では、どういうことをやつておるかというと、銀行は税金を引いた残り、つまり労働者に拂う手取りの賃金だけを貸して呉れる。従つて会社の方では勤労所得税を拂えば現金がない、こういうふうな状態で止むを得ず滞納する、こういう状態になつておるようであります。こういうふうな中から現在勤労所得税というものが支拂われておる。そうするならば、今の問題は、果してこういう状態の中で本当に勤労所得税の、今のような軽減といつても殆んど名前だけの軽減、十円でも軽減なら千円でも軽減、或いは一万円でも軽減軽減ということに変りはありませんけれども、今度の軽減は極めて僅かな軽減であります。こういうふうな軽減で果して妥当なものかどうか、前の公述人も非常に所得税の基礎控除額が低いということを申されましたけれども、我々も亦、これはお話にならないくらい低いと申上げる外仕方がないのであります。それから、次にこの所得税法の臨時特例の中には帳薄の問題、いわゆる青色申告書の問題が出ております。この問題はシヤウプ勧告の中でも、特に強調されました問題でありまして、シヤウプ勧告では、今、日本のこの税務行政というものが、極めて非科学的な、不合理なやり方をやつておる、従つて税法通り税金をとるという極めてまともなことが、今実行できていない。これを税法通り税金を取るように改めるには、どうすればいいかというので、非常に苦労されたようであります。その結論としては先ず帳薄をつけさせる、そうして帳薄をつけたものには、非常な恩典を与える。こういうふうな案が青色申告書ということになつたわけでありますけれども、果して、これが旨く行くかどうか、この点について私、この前シヤウプ博士にお会いしたときに、特に申上げたのでありますが、この帳薄をつけさせるという運動は、一番大事なものは何かと言えば、現在のこの苛酷な税金をもつと緩めて納税者が納められる限度の税金にしなければ駄目だ、いくら宣伝し、いくら利益を説いてみたところで、納税者が本当に、納められる程度税金にならなければ、こういうものは到底実行出来ないのだ、いくら強制したつて駄目だということを申上げたのであります。現在のような、極めて低い基礎控除の下において、非常に苛酷な税金を課けられておる、納税者は多少の恩典を与えられたところで、決してこの税法通り税金というものは、なかなか納められるものではありません。従つて、こういうものは、果してシヤウプ博士の思われるように、うまく運営されるかというと、我々の考からいうと、これは非常な疑問があると申上げるより外に仕方がないのであります。これに似た制度が、現在でも行われております。と申しますのは、現在税務代理士が関与しております申告書には、色分けには、税務代理士が全責任を負う申告書と、それから税務代理士が、ただ納税者が提出した資料に基いて、ただ整理しただけの申告書と二種類の申告をすることになつています。これは戰時中からこういう制度が出来ましたけれども、それはうまくいつておりません。何故うまくいつておらないかというと、やはり根本的な原因は、今申しましたように、まともに税法通り税金を拂うということが、なかなか困難な事情にあるから、どうしても納税者が本当の申告をしようとしない。これが根本的な原因となつて、なかなかこの制度もうまくいつておりません。それと、いろいろそれに対する措置は違います。今度の青色申告書には、いろんな恩惠を与えると同時に、それに違犯した場合の罰則強化ということもございます。併しながら、根本は同じでありまして、根本的な原因を直さない限り、この運営はうまくいかないと私は思います。  それから、その次の問題、間接税の問題でございます。今度提出されました法案では、物品税関係、それから織物消費税関係だけでございますが、まもなく取引高税撤廃に関する法案も出るんではないかと思いますので、そこの三つを中心にして申上げたいと思います。そして特に、我々勤労者の立場からこれが家計に、どういう影響を与えるかという点について申上げたいと思います。この間接税撤廃乃至軽減ということが、勤労者の家計に非常な恩典を与えるような印象を与えております。併しながら、現在の労働者の実際の家計薄を見てみたときに、果してこの家計支出の中で、この間接税撤廃したために、どれだけ物が安く買えるか、或いは我々の家計がそれによつてどれだけ潤うかということは、極めて僅少な金額でございます。我々の手許に信用する家計薄がございませんので、取敢えず、産別で出しております理論生計費の中に、かなり詳しくいろんな家計支出の内容について、物品ごとに金額が出ておりますので、一応それをもとにして、取引高税撤廃ということは、我々の家計にどれだけの影響を与えるかということを二月程前に計算した資料がございます。それによりますと、この資料は一九四九年七月分の青年男子独身者の場合でございます。これによりますと、総生計が九千六百四十七円六十七銭、これに対して取引高税は、八十七円六十四銭かかると、こういう計算が出ております。これは勿論仮定の計算でありまして、実情に一致しない点もあるかと思いますけれども、とも角そういう計算によりますと、総生計費に及ぼす影響は、僅かに〇・九%にしか過ぎない。極めて僅かの影響しか与えないということが出て参つたのであります。而も更に考えますと、現在の取引高税は、どういう実情にあるかというと、小さな小売商人は殆んど、この税金小売商人の負担になつてしまつておる、理論的には消費者に転嫁する税金であるけれども、実際は購買力の低下、その他によつて、殆んどこれはその商人の負担になつてしまつておる、こういうことが言えるのであります。物品税の中でも、理論的には消費者に転嫁するものが、実質的には営業者の負担になつておるものも沢山あります。或いは闇物品であつて、全然脱税しておるものもある。そういう事情考えると、この間接税撤廃というものは、本当に物価の方には微弱な影響しか与えないということが、容易に予想されるわけであります。そして一面考えますと、この物品税の削減乃至撤廃、或いは織物消費税撤廃ということの中には、先程の公述人が申されましたように、やはりいろんな注意すべき点があります。それは先程言われたように絹とか或いは毛織物の中には、我々から見て贅沢品と思われるものが沢山ある。又こういうものは、我々の立場から申しますと、我々なかなかそういうものは買えない、例えば洋服にしたつて、これは成程一着買うと高い値段であります。税金も非常にかかつております。併しながら、果してこの一着の洋服が何年間使用するかということを考えて、それを月割りにして見たならば、極めて僅かな金額であります。又差当りの問題としても、現在我々が買つておるこの洋服にしたつて、或いは靴にしたつて、これを買うというのはなかなか大変な問題でありまして、借金して買うと、そういう意味から言うと、撤廃はありがたいようでありますけれども、一面そういう場合には、やはり我々の持つておるものを売らなければならない、売るときに織物消費税撤廃になると、当然我々の売るたけのこ生活の、物品の売値に影響して来る。そういうことも当然考えなければならない。そうすると我々にとつては、こういう織物消費税撤廃は、いい面も、悪い面も、両方出て来る、こういうことになるわけであります。以上で三法案に対して極めて大ざつぱな意見を終るわけでありますけれども、この機会にいろいろ今国会で論議されておりまする補正予算に対する税金の論議を見てみますと、非常に沢山の誤解があります。でその誤解の特に大きなものを申上げますと、自然増というものが今度の予算に計上されております。自然増二百十三億の中で、実際に増收になるものが五百三十億、反対に予算よりも減收になるものが百百十七億、こういうふうな数字が発表されております。でこれが非常に論議になつておる、これは水増しであるとか、或いは取れないものを無理に通るとかいうことが言われております。併しながらこの問題は個々のものについて見ると、実はすでにこの自然増ということは、当初予算を組んだときから分つておつた数字であります。その証拠を申上げますと、この自然増五百三十億の中で、一番大きなものは法人税の二百二十七億であります。当初予算とその自然増の二百二十七億を加えますと、丁度五百億六千万円になります。ところが法人税が大体五百億円以上取れるということは、実は当初予算を組んだときにすでに分つておつた問題であります。我々全財の機関紙の中でも、当初予算が組まれたときに、すでに法人税はどんなに税務所がぼやつとしておつても、五百億ぐらい取れるだろうという批評を載せておりました。実は大蔵省の役人の方が非常に沢山寄稿されておる、半官的な雑誌である財政経済公報という、この新聞、或いは雑誌の、この新聞とも言われるし、雑誌とも言われる書物の中に、これは五月九日発行のものでありますが、これに法人税は二百七十二億円に決められておるけれども、これは各税の中で最も過少に見積られており、予算額の倍額五百億円は十分徴收し得るよう努力したいということが発表されております。つまりこのときにすでに五百億以上取れるということは当然予想されておつた問題であります。従つてこれは水増しでもなんでもなしに、当然取れるものを最初なんらかの理由によつて計上しなかつただけの話であります。そのなんらかの理由は何かということを、いろいろ調べて見て、これは私の推測でありますけれども、これは資産再評価ということを当初予算のときに考えておつた、まだ決まりもしない資産再評価の問題をすでに、当初予算の中に織り込んでおつた、これは国民所得の計算でもはつきり分ります。国民所得の計算では当初予算に組まれたときの国民所得の中で、法人所得は当初予算では七百五十億円の法人所得を見込んでおりました、ところが最近十一月十五日付の税の道標という、これは国税庁監集の税金新聞であります。これに記載されておるところによりますと、同じ年度の同じ時期の法人所得の、国民所得の中における法人所得は千百九十億に変つております。国民所得全体では当初予算のときの二兆九千二百八十六億は、今度は二兆九千四十四億に減少して、その中で法人所得は反対に増加しております。七百五十億から千百九十億で、四百四十億増加しておる、この原因は一つには所得の増加ということも考えられますけれども、一番大きな理由は資産再評価という問題であります。資産再評価について、法人所得の増減が起るということになるわけであります。従つてこういう自然増ということも今やかましく論議する問題ではなくて、論議の中心になるのは何故当初予算のときに資産再評価も決まらないのに、それを予算に組んでおつたかということが論議の中心になるべきだと思います。その外に勤労所得税の問題も或いは酒税にしても、それは大体当初予算施行後暫くして大体もう予想された問題であります。従つてこういう点につきましては、もつと税務の実情ということを御研究になつて、そうしてもつとポイントを突いたいろいろな調査をして、そうしてこの肝腎な点について十分御検討あらんことを特にお願いする次第であります。
  39. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたならばこの際御質疑を願います。
  40. 小川友三

    小川友三君 この勤労者の收入面で物価の値上りというものが、どんどん上つて行つておりますが、あなたは資料を持つていらつしやるようでありますが、どのくらいのパーセントで苦しくなつていますか。運賃値上り、その他と関連して資料がございましたら今ちよつと御発表願いたいと思います。
  41. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その資料につきまして私が今申上げましたのは、この前安本が新聞にも発表し、又詳細な数字につきましては十月三十日付の財政経済弘報に各階級別にシヤウプ案による所得税の減税、それから反対に今度は主食或いはガス代とか、ゴム製品或いは鮮魚の値上げ、そういうものをいろいろ挙げましてそれの増加歩合、こういうものを出して一つの表を作つております。その表によりますと物価高の方が大きいということの結論が出ております。それ以上の詳細についてはまだ詳しい計算をしておりません。
  42. 木内四郎

    ○木内四郎君 今公述人の方の言われた法人税の見積りについて、当初予算においてすでに資産の再評価を見込んでおつたという御意見ちよつと分りませんが……
  43. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) これは私の推測でありまして、と申しますのは、何故当初予算のときにすでに五百億円以上取れるということがはつきりしているにも拘わらず、二百七十二億という予算を組んだか。これが私にはどうしても分らないわけであります。国民所得の方を見ましても当初予算のときには七百五十億しか見込んでいなかつたやつがどうして最近になつて千百九十億に改訂したか。四百四十四億の差というものがどうしても分らない。いろいろな生産高その他から見ましても法人所得がこんなに急に殖える筈がない。生産にしても、現在石炭の生産も非常に停滞している、こういう状態からいつては何故こういうふうな急激な法人所得の増加があるか。これは結局資産再評価という要素を考えなければ到底考えられないことだと私は考えたわけであります。
  44. 木内四郎

    ○木内四郎君 何かそれは政府が追加予算の財源を隠して置いたということを考えられたわけですか。資産再評価としてそれは説明されるというとちよつと私は分りませんが……
  45. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その点追加予算の財源を隠して置いたということになれば或いはそういうことが言えるかも知れないのです。併しながらそうすればこの国民所得の計算というものが最初からまあインチキであつたということになつて、これは非常にいろいろと関連するところが多くて、そういうところまで大蔵省はやらないのじやないか、こういうふうに善意に考えておるわけなんです。
  46. 木内四郎

    ○木内四郎君 今言われるその何十億という所得は殖えるようにしたのは、資産再評価の結果二百五十億なら二百五十億というものが取れるというような御意見でしたか。
  47. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) いや、資産再評価をやらなければ当初予算のときからすでに五百億以上法人税が取れるということはもう決まり切つておつたというわけなんです。これは去年の二十三年度の下半期の税收から見てもこれは明らかに立証できるんです。
  48. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、政府は分り切つてつたのを隠して置いた、その動機が一体どこにあるかということになるわけですか。
  49. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) そうです。
  50. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今の資産再評価の問題ですね。これは前に資金計画においても政府はそういうようなことがあつたのですけれども、資産再評価による再評価益というものは、少くともシヤウプ案では一兆億円と見ている。それを本当に嚴格にやると一兆億円以上になるといわれている。その評価益というものを国民所得に見込むならば、四百四十億どころじやないと思いますが。
  51. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その点について税の道標の中には明年度の国民所得の計算が出ているのです。これによりますと明年度は二十四年度の千百九十億円から反対に八百五十億に、三百四十億も減少しております。その減少理由としては、資産再評価による減価償却による減価償却率の総額、これを五百七十億円と見ている、こういうわけです。そうすると実際の所得、減価償却を入れない所得というものは二百三十億円殖えるけれども、資産再評価によつて償却が五百七十億増加するから差引三百四十億円減少になる、表面上の数字減少になるということが税の道標に書いてありますが、資産再評価によつて一兆億か、それ以上も増加するということはその通りでありますけれども、これは実際は会社はそれをやらない。若しその通りやれば来年度は税金も一銭も取れないということも考えられるわけです。実は来年度の法人税の見積りというものも正確には絶対にできない相談である。と申しますのは会社がどれだけ償却をやつて来るかということは全然検討がつかないわけですから、その会社のやり方によつて税金が一銭も入らないことも当然予想されるということになるわけです。
  52. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 こういう御調査はあるのですか。給与ベースが段々上つて行くと、どの程度に税負担率が殖えるかということですね。勤労控除、基礎控除その他同じとして、給与ベースが上ると税の負担率が上ることになるのですね。その負担率がどのくらいに上つて行くかという、そういう御調査がありますか。
  53. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) この前丁度官吏の給与が改訂になつて、六千三百円ベースになつたときにその計算をやつたことがありますけれども、やればそれは簡單にできると思います。
  54. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ありましたらその調査を一つ欲しいのですが。
  55. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 承知しました。
  56. 木内四郎

    ○木内四郎君 私はさつき分らなかつたのが分つたような気がしますが、あなたが資産再評価を見込んだということは当時は資産再評価をして、それに対する減価償却を二百五十億円見込んだから法人の利益を少く見積つておつた、併し今度はそれを外したという意味ですか。
  57. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 私の考えたのは、実は年度内には資産再評価による影響がないということは分つた……
  58. 木内四郎

    ○木内四郎君 そういう意味ですね。それからもう一つ伺いたい。さつきシヤウプの勧告にあなたが触れられたからそれに関連して、税務のことを扱つているあなたに飼いたいのですが、直接この法案に直ちに関連はありませんけれども、私はシヤウプが累進税率というものを所得税に適用しながら、而もその最高率を三十万円超に適用したというようなことは、非常なシャウプ博士自身にとつても何か恥辱だと思うのですが、世界に累進率を適用して、日本の今のような貨幣価値に三十万円超を適用しているという国は恐らくないと思う。これは非常に余りだと思いますが、シヤウプ博士をしてかくのごとき過ちをなさせたことは、大蔵当局に重大な責任が、少くとも大蔵大臣に重大な責任があると思う。これは恐らく間違つた、所得階級区分別の統計を出す際に、三十万円くらいのところを非常に多くして、それから上というものは殆んどないというような統計でも出したか、非常に間違つた統計を出したのじやないか。これが一つの例です。そうしておいて今日になつて百万円くらいのところを適用することは故意にやつたならシヤウプ博士以上の減税をするという宣伝をするために故意にやつたならば、尚更だと思いますが、そうでないにしても大蔵当局が非常に重大な責任を負わなければならん。あれだけの金と時間をかけて来て貰つて税制勧告をして貰つたその人をミスリードしたわけです。その責任は重大だと思うのです。  その外にもう一つ、例えば富裕税の問題について、五百万円以上正味資産のある人に富裕税を課ける、こういうことになつているのですが、その人があの統計によると一万ですか、一万二千ですか、これは私は非常な誤りだと思う。恐らくこれは二十万、三十万或いは五十万くらいのあるのじやないかというような感じがするのですが、これもシヤウプを過つた非常に大きな責任が政府にあると思うので、そういう点についてあなたの方でどう考えておられますか。
  59. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 最高税率を三十万円にして五五%に押えたということは、これは今言われたように大蔵省の資料が非常に不正確であつたという原因も勿論あろうと思いますけれども、それ以上の大きな問題を含んでおるのじやないかと私は考えるのです。と申しますのは、非常に合理的にできておるシヤウプ勧告の中で、最高税率を五五%に押えたという点のこの説明は非常に矛盾を来たしておる、こういうふうに私は感じたわけであります。と申しますのは、なぜ最高税率を五五%に押えなければならないかという理由として、先ず第一に挙げたのは日本の徴税機構では、八〇%にしても税金は取れないのじやないか、高ければ高い程、脱税が多くなつて実質的な効果がない。だから税金を下げた方がいい、こういうのが第一に挙げた理由です。ところが反面どういうことを言つておるかというと、その代りに富裕税を設ける、これを補完税にしてその短所を補うということを言つておりながら、今度は富裕税が巧く行くようになれば、この五五%の最高税率を更に引下げて、地方税である住民税を加えて合計五〇%以内に努力すべしという勧告が出ておるのです。そうすると考えられることは、シヤウプ勧告というものは税制全体で非常に脱税ができにくいように大きな仕組みをしておるわけです。あらゆる面から連絡を取合つて脱税できないような構想を立つておる。そうするとこれを巧くやつて行けば段々所得税の捕捉率というものは当然高まつて来るわけです。高まつて来れば前の第一に挙げた理由から言えば、当然この五五%は六〇%、七〇%、もつと引上げてもいい、こういう議論になるわけです。ところがそういうふうにシヤウプ案を実施して行つて、調子よく行けば今度は最高税率を引下げろということは、理論的に言つて明らかに矛盾しているのじやないかと思うのです。これは富裕税があるという議論もありますけれども、併し富裕税の対象になる所得と、実際のこの所得税の対象になる所得というものは必ずしも嚴密に一致しない。従つて所得税で取るものも飽くまで所得税で取るのが本筋であると考えるのです。なぜシヤウプをしてああいうような議論を出さしたかという一つ理由として、私が推測するのは、結局外人に対する課税ということを考えたのじやないか。外人は今の日本の税率は非常に高くて外資導入ができないということを言つております。特に所得税が高くて、日本に来ておる外人は所得税が課かるようになれば割が悪くておれないというようなことを言つておるそうです。だから税金を成るべく安くしなければならない、こういう一つの狙いがあつたのじやないか。外国人は富裕税は課からん、税金は課からん、そうとしか我々には考えられないのです。非常に合理的なシヤウプ税制一つの大きな矛盾があるのじやないか、こういうふうに考えたわけです。
  60. 木内四郎

    ○木内四郎君 いや私の伺つておるのはあなたが答弁されるのとはちよつと違うのです。あなたの御説明は大体私共シヤウプ勧告を読んで分るのですが、私の伺つたのは三十万円超というところに累進率の最高率を適用するような統計を財務当局が、あなた方は財務当局の一部だけれども、提供されたのは非常に間違いじやないか。それから五百万円超という、富裕税を課けるという人が一万人とか一万二千人とかいう計算でやつておる。そんなところに非常な統計の上に間違いがあつたのじやないか。若しもつと正確な統計を出しておつたならば、シヤウプは三十万円じやなくて、もつと高いところへ累進税率の最高率を初めから適用したのじやないか、富裕税にしても、若し一万二千人くらいの人間を捕捉するという意味ならば、うんと高いところへ持つてつたのじやないか、統計の間違いがなかつたかどうか、そういう点はどういうふうに……。
  61. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) この点については、こういう統計は成るべく確実に取れるということを第一に大蔵省としては考えるのじやないか、確実に間違いなく取れる、成るべくゆるく嚴密にして、あとで取るのに困るようなことであつては困るから、成るべくゆるく考えてやつたのじやないか、それ以上のことは私は分りません。
  62. 木内四郎

    ○木内四郎君 それはあなたの考えは徴税に当つておる税務当局として私は尤もだと思います。併し苟くも、税制を決める際に三十万円のところで最高率を適用しなければ所得税收入が非常に減るというような印象をシヤウプ博士に与えた。或いは富裕税にしましても、あのことで行けば五百万円くらいのところから富裕税をかけなければ非常に減るとか、或いは適当でないというような印象をシヤウプ博士に与えていやしないか、その統計は税の見積りをするときと、おのずから違つた統計を出さなければならなかつたのじやないかと思う。あの統計に間違いがあつたとあなた方は思いませんか。
  63. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その点は毎年所得税の控除額を決めるときの各階級別の所得見積り、これも全部同じ議論が出るわけです。これも可なり実際と違つて低い。と申しますのは、実際よりも高額所得となる程捕捉率は低くなるわけです。ですから実際は必ず今大蔵省か作つておる、この各階級別の所得よりも遥かに厖大なものがあるので、これは理論的に言つても当然言える問題なんです。大蔵省が作つておるものは確実に捕捉できるということを第一に頭に置いて考え一つの評価なんです。だからそれを例えば二十三年度の実績による各階級別の所得、こういうものを出したのではないか、だからうまく徴税機構を運用すれば当然それと可なり変つたものが出て来るということは大蔵省としても、これは説明すればできたのではないか、こういうふうに私は考えるのです。ただ若し私が大蔵省の立場を善意に解釈すれば、シヤウプ博士のような実証的な学者は、そういうまあどれだけ捕捉率が向上するか分りもしないより、成るべく過去の実績によつて判断したのではないか、こういうふうに私は善意に解釈しております。
  64. 木内四郎

    ○木内四郎君 善意の解釈は非常に結構ですが、具体的に伺いますが、例えば富裕税などにいたしましても、五百万円超という人が一万人か、一万二千人くらいとあなた方は考えますが、私は少くともそれの十倍、或いは十数倍になるのではないかと思いますが、あなた方の頭の見積りはどうですか。
  65. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 今その点については勘でもなかなかちよつと分りませんね。
  66. 木内四郎

    ○木内四郎君 一つ研給して見て頂いて知らせて頂きたいと思います。
  67. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとお伺いしたいのですが、大蔵大臣は今年各地の税務署に対して徴税の割当をしないということを言明しておりますが、実際地方に行つて聽くというと、やはりあるらしいのですが、それは全財の方の立場から御検討になつてどういうふうになつておりますか。
  68. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 昨年この割当目標の問題で非常に大問題になつて、大蔵省はやらないと国会で答弁するし、池田大蔵大臣も大体局長会議でそういうとこを言つておるようです。併し本当にこの第一線に働いておる税務官吏に割当がないのかと聽くと、割当はこれこれと言つて数字を示すわけです。これは嚴密に言うと割当でないかも知れません。大蔵大臣に言わすと、併しこれは昔から大蔵省では年度初めに各税務署から税金徴税額の見積りを出すわけです。そうすると国税局では、それを税務署ごとに検討して、低いところはもう少し殖やすようにという訂正を要求するわけであります。それをもとより最終的に決定するのは署長会議その他で決めるわけであります。そこで署長会議で腰の強い署長が俺のところはこれくらいしい取れないのだということを強硬に突つ張れば、それで決定できるかも知れない。併し大部分の署長はそういう人でないから、殆んど署長会議と言つたつて講演会のようになつて、大体国税局で決めようとしたやつは大概通つてしまう。こういう現状で、嚴密に言うと割当でないかも知れない、形式的には……併し実質的にはやはりそれに似たようなものがまだ残つている。これは事実であります。
  69. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで目標に達しなかつた、いわゆる成績の悪いところに対して、具体的に何らかの措置があるのですか。そういうことはないのですか。
  70. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 今までは報奬金というものがございまして、報奬金の一つの基礎はやはり割当額に対する成積だということになつてつたのです。ところが最近では報奬金の根拠もいろいろ非難されないように、いろいろの改善がなされておるようであります。併しやはりこういう目標を一旦決めると、それが一つの成績になつて、或いは左遷とかいろいろなものに影響しないとはいえない。だから署長は一生懸命になつてそれを取るようにするし、課長、係長以下全部同じなんです。ですからやはり一つの心理的な強制力は持つているわけであります。
  71. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ伺いたいのですが、滞納が大分多いようなんですけれども、これは結局無理なそういう割当があるから滞納になるということになるのですが、その率はどのくらいあるのですか。
  72. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) 現在私、大阪におりますが、大阪は全国で一番滞納が多いそうです。又審査の未処理件数も多いようです。そのために四名程署長が今度首切りになるそうです。又局長会議では署長或いは課長に対して、局長から成績の悪い者はどんどんこれから首切るという宣言をしたそうです。ところがその実際の原因は何かというと、やはりこういう無理な計画がもとになつて、そうして審査の処理件数というものが非常に厖大になつて、未処理がまだ今多く残つている。又滯納が従つて多く残つている。こういう現状だろうと思うのであります。最近ちよつと聞くところによると、最近の集計では、今年度に入つて現在までに集計されたところでは、滯納整理の中で大体七割ぐらいは、実際税金を取らずに整理しておる。実際税金を取つたのは二割五分ぐらいだつた。実はこれはもう決定が間違つてつたのだということになるわけであります。
  73. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今の延滯利息ですね。あれはインフレ期において税金を滯納して置くと、貨幣価値が安くなるから成るべく滯納して置く。そうして税金で泳いで、商品を買溜して置く、こういう面があつたと思います。インフレ期においてそういうインフレを利用して滯納させないように、非常に高く取つたと思うのであります。こういうふうにインフレが一応通貨面から阻止された場合、あれはペナリテイーという意味もありましようが、実は経済的な面から非常にあれは高くしたのだと思います。そうして今インフレが止まつたときに、日歩二十銭というのは非常に苛酷な滯納金じやないかと思うのでありますが、その経済変化に応じて、同じペナリテイーでももう少し合理的にする必要はないのでしようか。
  74. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その点については、シヤウプ勧告案でもあれをもつと実情に副うように、いろいろな階級に従つて軽減するように案が出ております。我々もそれは当然そうなるべきだて考えております。
  75. 川上嘉

    ○川上嘉君 それから課税の公平、適正、合理化を期するために、人員の問題が非常に重要な問題と思うが、その点についての御見解を御発表願います。
  76. 徳島米三郎

    公述人(徳島米三郎君) その点については、シヤウプ勧告の中でもはつきりと税務官吏に対する予算人員から二割の定員の削減、それに併う実質的な首切りということが不当であると言われております。我々も前から税務官吏を現在以上に首を切る、むしろ増員すべきであるのに首を切るのは不当であると言つております。これはもう現在税務署へ行かれると分るように、仕事が山積しておつて、実際仕事が処理し切れないという現状です。特に今度の首切りでも不当なのは、今税務署の中では汚職事件で、税務署によると半分以上引つ張られているといふような税務署があります。そういうふうな人を何故首切りのときに、若し首を切る必要が本当にあるとするならば、なぜそういう人から首を切らないか。実際首を切られた人の実情を見ると、非常に優秀な人が、神田税務署で首切られた人なんかは、税務署長自身が、あなたは絶対に汚職をしない官吏だ、又あなたは人の二倍も三倍も仕事をする人だということを私はよく知つておると言いながら、署長は本当にわけの分らない理由で、署長自身が言えないような理由で首を切つておる。そういうのは全国的に名前を挙げればもう数え切れないくらい沢山首を切られておる。そうして今盛んに引つ張られておるような人、まあ本当に必要があるならむしろそういう人をまず最初にやるべきじやないかと我々は思うのですが、非常に今度は不可解な首切りが税務官吏に行われたということをよく御承知願いたいと思います。
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 午前中の公述はこの程度で打切りまして、午後一時から再開をいたすことにいたします。    午後零時二十二分休憩    —————・—————    午後一時十九分開会
  78. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) それでは公聽会を再開いたします。最初に日本中小企業連盟会長の豊田雅孝さんにお願いいたします。
  79. 豊田雅孝

    公述人(豊田雅孝君) それでは申上げますが、今回お取上げになつておりまする税法の関係におきましても、大体従来から中小企業界で要望いたしておりました事柄が或る程度は取上げられて来ておるようでありまして、大体の方向といたしましては、結構に考えておるわけであります。例えば基礎控除の引上げ、扶養控除の引上げ、或いは同居家族の合算申告の緩和等におきまして、従来中小企業者が勤労者との間におきまして所得税の負担上著しく不利な立場にあつたのでありまするが、それが或る程度均衡の取れるようになつて来たと考えるのであります。又中小企業者、特に零細なる企業者にも使用可能のような簡易帳薄の制定方と、これに基いて税の徴收をせられたいという事柄につきましても、中小企業界から要望いたしておつたのでありまするが、これも今回方向といたしましては、取上げられて来ておるわけでありまして、尚物品税につきましては、課税品目の再調整を徹底的にやることを要望いたしておつたのでありまするが、これも或る程度充足せられて来ておるのであります。又税率の引上げ、或いは納期の延長につきましても要望いたしておつたのでありまするが、これも或る程度は取上げられて来ておるようであります。殊に多年要望いたしておりました取引高税の廃止がいよいよ実現するようになりましたことは業界といたしまして非常に喜んでおるような次第であります。  併し今回の法案内容を拜見いたしますると、まだまだお考えを願いたいと思うような点が相当あるわけでありまして、それらの点につきまして要点だけ簡單に申上げたいと存ずるのであります。先ず所得税につきましては今回基礎控除を二万四千円ということに引上げられるのでありますが、現在の諸般の情勢から見まして、これは三万六千円程度にお引上げを願うのが適当じやないかと思うのであります。又税率の階級区分でありますが、三十万円を超えるものは、五五%というふうになつておるのでありまするけれども、三十万円を超えるもの、これを一本で賄うというところに非常に無理があると考えられまするので、三十万円を超えるものについては四〇%、四十万円を超えるものにつきましては四五%、五十万円を超えるものにつきましては五〇%、百万円を超えるものにつきましては五五%というような税率についても御検討を願いたいという希望を持つておるのであります。  この所得税の申告に関連いたしまして例の青色申告の制度でありますが、これにつきまして一番業界として只今問題にいたしておりますのは、簡易帳薄ができるとはいうものの、その簡易の程度如何、要するにどの程度に簡旨になつて来るかということにつきまして非常な関心を持ち、又不安を抱いておるわけでありまして、その帳薄の様式なり、又記入計算の標準形式というものを一日も早く御発表願いたいと思うのでありますが、いつ頃発表になるのでありましようか、この点につきましてお伺いができましたらばと思うのであります。  又青色申告をいたしまする者は一月末までに届け出でなければならんということになつておるのでありますが、もう今日といたしましては来年の一月末と言いますと殆んど二ケ月ぐらいしかそこに余裕がないわけであります。只今状態から言いますと果して帳薄をこの際様式或いは記入計算の標準形式等を発表せられましても、これが全国多数に亙る中小商工業者に果して普及ができるだろうかどうかという疑念を非常に持つわけでありまして、殊に中小商工業者は必ずしも新らしい制度というものを早く呑み込みまして、これに直ちに順応するということにつきましてはその力が、むずかしい方でありますので、それだけに来年の一月末までに青色申告をする者は届出でなければならんということになりますと、その間非常に危惧を持つておるわけであります。つきましては届出期日でありまする一月末というのをこの際延ばすことができないかどうかということにつきましても十分御検討を願いたいと思うのであります。  又この帳薄の普及を図るにつきましては、余程手段、方法よろしきを得ませんと徹底を欠くに至ると思われるのであります。更に又今回の簡易帳薄なるものは税の徴收を合理化する上におきまして重点があることは勿論であります。その外に中小企業金融難を打開して行くこれが一つのよすがにもなればよいというふうに考えられますので、金融立場中小企業の経営を合理化して行くというそういう立場からも今回の簡易帳薄というものは利用せらるべきものだと考えられますので、要するに税の立場金融立場、更に中小企業の経営合理化の立場から、この簡易帳薄というものを取上げ、而してその線に沿つての普及徹底ということが必要だろうと考えられるのであります。従いましてこれらの普及方につきましては、主税局には国税庁のラインはもとよりでありますけれども、或いは銀行局、中小企業庁、或いは安本等とも緊密なる連繋を図られまして、只今申上げましたような線に沿つて遺憾のないような普及徹底の方策をお採り願いたいと存ずるのであります。それと同時に中小企業界にはそれぞれ団体もあることでありまするので、これらの団体を適当に活用されまして、迅速にこの新らしい制度の普及徹底ができるようにお取計らいを願いたいという希望を持つておるのであります。  次に物品税の問題でありまするが、この物品税につきましては先程も申述べまする通り、大体従来から中小企業界で要望いたしておりましたところは、取上げて来て貰つておるのでありまするけれども、納期を中小企業界といたしましては庫出後少くとも三ケ月にして貰いたいという要望をいたしておるのであります。と申しまするのは、御案内の通り只今取引状態、代金の回收状態から見ますると、庫出後大体代金の回收せられますのは、早くて三ケ月ということになつておるのであります。従つて今回の案によりますると、庫出後二ケ月ということで現行よりは一ケ月延長になりましたけれども、更にこれを少くとも、もう一月延長する必要があると思います。この点は只今中小企業者がこの代金回收が遅く、而も物品税の納期につきましても時期がそれよりも早くなつておるという点におきまして、いわゆる税金の立替拂いをしなければならない状態になつておりまして、さなきだに資金難に困つておりまする際、それが非常な問題になつておりますので、只今申しまする通り、もう一ケ月更に延期するということにつきまして、特段の御配慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。それと同時に税率につきましても今回は甲、乙、丙、丁、戊の五段階にせられたのでありますが、下の方の段階はあれでよろしいかと思いますが、上の方の段階のものにつきまして、税率についてもう少し御考慮を願いたいと存ずるのであります。具体的に申しますると、甲類が百分の七十になつておりますけれども、これは百分の六十にしたらいいじやないかと思つておるのであります。乙は百分の六十でありますが、これを百分の五十、丙の百分の五十を百分の四十程度にいたしたらいいのではないかと存ずるのであります。  次に織物消費税の関税でありますが、今回一月一日から廃止になることになつたのでありますが、御承知通り織物消費税が廃止になるということが、シャウプ勧告案によりまして一般に伝えられまして以来というものは、業界の値下りは非常に甚だしいものがありまして、ストックを相当持つておる者は非常な痛手を受けておるようなわけであります。かような状態にありまする現在といたしましては、いずれ織物消費税が廃止をされる以上は、これをできるだけ早く繰上げまして、業界を安定させるということが何よりも必要だろうと考えるのであります。つきましてはこれを十二月一日から廃止するというふうに御検討を願いたいと考える次第であります。  次に取引高税の廃止でありますが、これは先程申しまする通り業界の要望が受入れられたわけでありまして、非常に業界といたしましても満足をいたしておるのでありますが、この取引高税がなくなりまして、又一方事業税がなくなるに関連いたしまして、いわゆる附加価値税というものが新らしく地方税として制定せられるようでありますが、これは收益の外に利子、賃貸料、給与を加算したものを課税標準といたすようでありまして、一種の外形標準による課税になるのでありますので、收益のない場合におきましても課税せられて来るという結果に相成ると考えるのであります。従つてこれにつきましては税率をできるだけ低くするように今後お考えを願いたいと考えるのであります。それと同所に零細な企業者に対しましては、免税を考えるということをお考え願いたいと存ずるのであります。取引高税の方につきましては、すでに御承知通り或る程度の免税がせられておりまするので、この免税に代る意味合におきまして、やはり附加価値税におきましても或る程度の免税をするという方向に御検討を願い、実現方をお願い申上げたいと存じておる次第であります。一応この程度申上げます。
  80. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) 御質問ございましたらどうか。
  81. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 豊田さんは中小企業の権威者であられるので、今の御説明の中で、中小企業家の要望が或る程度容れられたということに関連して、将来明るい曙光を見出したというふうに解釈されますか。現在までのところと将来の見通しについてどうでしよう。
  82. 豊田雅孝

    公述人(豊田雅孝君) 或る程度業界の要望は、取引高税の廃止その他におきまして受入れられて来たのでありますが、その要望の工合から申しますと、只今申しましたる通りまだまだ今後いろいろお考え願わなければならん点があるのでございまするが、更に一面資産再評価を今後やらねばならんことになつておりますので、中小企業のような低收益のものが相当ありまするし、大企業のごとく税の調達をいたしまするために増資をするとか、或いは社債発行をやるというような途、或いは借入金によるというような途もない中小企業界といたしましては、場合によりますると資産再評価の評価益に対しまする税負担のために、非常な苦痛を感ずるようになるのではなかろうかと考えられるのであります。更に又この資産再評価の結果に基きまして、不動産税の負担、更に今後は先程も申しました附加価値税の負担、尚住民税等の負担等いろいろ考え合せますると、なかなか前途はむしろ苦しくなるのじやないかという感じがいたすのでございまして、殊に帳簿の簡易の度合というものが、現在の中小企業、殊に零細企業の層に適応しないようなことになるのでありまして、尚且つこれに基いて更正決定がどんどん行われるということになりますると、中小企業界は、相当今後一層の苦境に立つのではないかということは、非常に心配いたしておるわけでありまして、これらの点につきまして併せて今後愼重な周密なる、又中小企業殊に家内工業或いは商店これらに対しまする特殊性を十分に御勘案願いまして、今後の御審議をお願いいたしたいと存ずるのであります。
  83. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつとお伺いしたいのですが、物品税を引下げたり、織物消費税を廃止したり、そういう消費税を引下げた結果、一般の物価は、そういう税を下げただけで、やはり下がると見てよろしいでしようか。物価との問題はどうでしよう。
  84. 豊田雅孝

    公述人(豊田雅孝君) この点につきましては購買力の低下が御案内のごとく非常に著しいものでありまするから、税が下がりますると、値段の方には相当響いて来るだろうと思うのでありまして、すでに織物消費税がなくなるであろうという噂の伝わりましただけでも、非常に値下りを来たしまして、今日ではもう全部税がなくなつた場合の値段でないと取引ができんというような状態になつて来ておるのであります。ところが前々からの仕入れの値段の関係等もあるのでありまして、いよいよ中小企業者は、その弱い立場におきまして、原価は高かつた、而も今後売るのには、安く行かなければならないという点におきまして、中小企業者に最も大きな皺寄せと言いまするか、負担がかかるという点を懸念いたされるのであります。この面につきましてもいろいろ総合的にお考えを願いまして、負担の軽減されることを特にお考えを願いたいと考えておるような次第であります。
  85. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) 外にございませんか。次をお願いいたします。次は農業復興会議総務部長保田豊君。
  86. 保田豊

    公述人(保田豊君) 只今紹介になりました農復の保田でございます。本日は目下御審議中の所得税法の臨時特例その他二法案に関しましてお話を申上げることは、特に私は主として農民の立場からその三法案について意見を申述べたいと存じます。先ず順序が多少狂うかも知れませんが、物品税法の一部を改正する法律案織物消費税廃止に関する法律案につきましては、私共はこの廃止の一日も速かならんことを、かねてより要望しておつたところでございまして、満腔の賛意を表する次第でございます。只今まで主張いたして参りました理由といたしましては、生活必需品に対する課税は農業経営を圧迫する、こういう観点でありまして、これは一月一日とおつしやらずに、十二月一日あたりからでも、逸早くお取止めになつた方がよかろうと存ずる次第であります。  次に私は所得税法の臨時特例に関する法律案でございますが勧告には、事業者に対しましても基礎控除を十月から十二月以降三・七%を認めておりますにも拘わりませずこれを一方的に削除いたしましたことは、私共農業者立場からして極めて不満とするところでございます。事業所得税に対する十五%、つまり勧告によりまする三・七五%の基礎控除につきましては、勧告にも書いてございます通り、公平な税負担の目的を以て特に明示せられておりますのでありまして、重税に悩んでおります事業者、特に農業者は、これの成行きを目下深甚の期待を持つて見守つております事実につきまして、私は、大蔵委員会国会の諸公におかれましては、深甚なる御考慮を拂われんことをお願いいたしたいと存する次第であります。私は従いましてこの特例法律案に農業者につきましても勤労者と同樣に一月から三ケ月間の三・七五%の勤労控除をお認めになるように御修正に相成るか、或いは臨時国会において甚だ御無理であるということでございますれば、来るべき通常国会において是非これを実施されることをお願いする次第でございます。  さてお示しになつております税制改正に関する法律案要綱の要領によりますと、目下所得税の根本的改正は御検討中とのことでありますが、その前に、農民課税の実態につきまして掻い摘んでその一端を申述べたいと存じます。農民課税問題が一体いつ頃から世間の注目を引くようになりましたかといいますると、昭和二十一年の七月頃に、当時乙種所得税と言われておりました農業者所得税の査定が、非常に過大でございますし、且つ不当な課税が行われたのがきつかけでございます。続いて昭和二十二年三月には、二十一年度以降急激に進展いたしましたインフレに、国家財政收支を適合させるために、増加所得税が課せられましたことも一つの契機になつております。従来所得税は翌年の七月、九月、十一月、翌々年の一月に徴收さるる建前になつておりましたところが、同一会計年度、つまり二十一年の三月に一遍に取られるということは、非常に負担を重課したということができるのであります。続いて昭和二十二年四月には、我が国税制において初めての試みであります予定申告納税制度が実施されました。この新制度につきまして、我々は当初甚だ危惧の念を抱いたのでございます。と申しますのは、農家は帳面もつけることはやつておりません、且つ農家の経営といいますものは、その経営と家計との区別が甚だはつきりいたしておりませんのが日本農家の著しい現象でありまして、従いまして帳面をつけておらない農家に自主申告制度を急にぶつけるという甚だ心配でございました。又一方税務署は現在もそうでありますが非常に非能率でございます。且つ農家の実態の把握というものについては、非常にむずかしいというような点がございましたので大いに反対したのでございますが遂に実施になりました。ところが税務署の方も手不足でございますし、結局二十四年の四月の予定申告には更正決定などもございませんで、結局二十三年の確定申告通り期日であります一月に問題が集中されました。併し依然として税務署の一方的な査定や、或いは反当り標準率等を以ていたします更正決定等は、農村を混乱に陷れたと申しても決して過大ではないのであります。当時、二十三年の財政事情ちよつと振返つて見ますと、本予算、追加予算合計いたしまして全所得税額は六百九十億でございました。そのうち農林、水産業からは幾ら取る予定であつたのかと言いますと百三十億でございましたが、実際更正決定をやつて見ますと農業だけで実にその申告額の一倍半の二百四十億というものを徴收されたのであります。かように農業所得に対しまして全項目的な把握が欠如されておりまして、従いまして不合理とそれに絡み合いまして負担額の増加に伴う不公平不均衝というものが経済事情の変動と又絡み合いまして常に激化され農民課税は頗る混乱に陷つたということでございまして、現在におきましてもこの点につきましては聊かも是正されておらないと申上げる次第でございます。農林省の農家経済調査によりますと、戰前の米価基準年次に比較いたしますと、これは九、十、十一年でございますが、その当時の農家負担は公租公課でございますが、大体所得の六%乃至七%でございました。ところが只今申上げました通り二十二年春農民課税の重圧につきまして各地に紛争を起しました当時は如何と申しますと一八・三%になりまして、戰前に比して三倍の課税ということになつております。又現金所得に対しまして課税は幾らかということになりますと三〇%に上つております。又農家所得と租税の公租公課負担との割合を比較して見ますと、同じく九年——十一年平均一〇〇%といたしますと農家所得は一二%でございます。それに対しまして租税負担が三一%、公課負担が三七%の数字を示しております。この結果租税公課を支拂つた残りの農家の実質的所得というものは戰前より低下しておるということが申されるのであります。この戰前より低下いたしました実質所得に対しまして、税務署の一方的な査定や、或いは内面指導による更正決定や不合理な課税を押付けられますと、その経営というものには非常な負担となる、こういうことが言えるのでございます。大体農家の租税負担中、今日農業課税で一番問題になつておりますのは何と申しましても所得税でございまして、二十二年の農家経済調査によりますとその租税負担の八〇%が所得税でございます。戰前農家の所得の多くは免税点以下でございましたのが、急に所得税の負担が、殆んど戰前には適用されていない農家に対しても課税されるというような、又農民課税の問題を非常に激化させたということが言えると思うのでございます。これに対しまして農業所得は事業者所得であるというので、一般営業者と同樣の所得を課せられておるというところに問題があるのでございます。何となりますれば、農家は一般事業者と異なるところの性格を持つておるのでございまして、その第一番は農業所得は專ら家族の自家労力に依存して行われるところの典型的な家族集約的経営の所産であると申すことでございます。むしろ事業所得と申しますよりも実質的には勤労所得的な性格を持つておるということでございます。従いまして実際には他の事業所得と同樣な取扱を受けておりまして、経営主一人に基礎控除を認められておる外は勤労控除はもとより家族の農業に従事するものは扶養控除は別といたしまして、何らの勤労控除を適用されておらないということが農業経営に対する認識の欠如とも申すことができると存じます。次には農家所得の四〇%五〇%は現物所得でございます。例えますれば、所得とみなされますのは保有米でございます。これは所得として計算されます。これにつきましても税金がかかる、かようなことになりまして現物所得に対する課税は農家の金銭経済に相当大きな負担を与えております。その他所得税の徴收その他の方法につきましてもいろいろ問題がございますが、大別いたしますと農家の所得というものは勤労的性質を帶びるものである。それから農家所得の四〇%五〇%は現物所得である。納税は現金でありますので、現物所得に対する課税は農家の金銭経済を一層逼迫させる、こういう二つの点がございます。特に徴税に当りましてはいろいろの不合理が存在いたしております。それが税制の運用に原因しておることは見逃し得ないところでございまして、例えば安本の財政金融局が発表いたしました税制改革に対する意見中にかようなことが申されたのであります。「現在政府予算收入を期待しておる程度の金額は、若し税法が文字通りに施行されれば、且つ現在税法が規定しておる負担より遥かに軽い負担を規定する税法によつて十分その確保を期待することとなる。」こういうことを言つておるのであります。これを平たく申しますと税法にさばを読んでいた、国会で如何なる立派な税法をお通しになりましても、税務署員の手心が権威を持ちましたり等、徴税上の不合理ということは今日世間で以て見逃し得ない点であろうと私は存ずるのであります。従いましてかような徴税の能力に欠けておる税務署が農民の、農家経済の特性を無視いたしまして課税するといいますと、結局農家経済実態に即しない課税と……農家経済実態を把握していないというところに原因があるのでありまして、農家所得の特性を無視いたしまして一般事業所得課税と同一の取扱をしておるということなのであります。又このことは勿論農家の全体にもございます。地域的にもございます。税務署の管内ごとにもございます。何となりますと、シヤウプ勧告においては、水増し課税をやつてはいかんということが言われておるのでございますが、現在まで実際のところは、財務局が目標額を示しまして、それに従いまして管下の税務署が水増し課税をやる。かようなことがあるのであります。従いましていろいろ問題もございますが、とにかく農家の性質からいたしまして、我我は従来よりも勤労控除を認めることを主張いたしておりまして、シヤウプ勧告におきましても、それは勤労者が非常に有利である。従つてこれを一〇%に減らして、その一五%について基礎控除の差額分に充てて、農業者の負担との均衡を保たせる。こういう趣旨であろうと存じますが、我々も勤労者の二五%が高過ぎるとか、安過ぎるとかいうことを申しておるのではございません。農家といたしまして少くとも一五%の勤労控除を認めて頂ければ、勤労者の二五%の勤労控除につきましては、深く申すものではございません。最初からシヤウプ勧告はその点について小細工を弄したという形になると私は存ずるのであります。  次に青色申告の点でございますが、大体申上げました通り、農家には特殊性がある。従いましてこの青色申告というものと、且つ源泉徴收の項で勧告されております納税手帳との関係を如何にするかということも一つの問題となつて来ると思うのであります。先程もおつしやつたようでございますが、目下大蔵省においては青色申告に要する記載事項を検討中だそうでございますが、これは中小企業といわず、農業も同樣でございますが、この近々一、二ケ月の間にその記載事項というものが果して御決定になることができるかどうか。よしんば御決定になることができましても、これを一月の末日までに全国民にこれを周知徹底せしめることが果して可能であるか、どうか。こういうような問題になつて参りますので、一月二十五日までに税務署に申告しろというのは、少し時期尚早であろうと私は考えるのであります。殊に農業者に対しましては、従来としても簿記の記帳ということにつきましては、いろいろと奬励もいたしておりますし、漸次普及いたして参りましたのですが、併しながら農業というものにつきまして、帳面をつけさせるというのはこの際最も必要なのでございます。その経営の実態を見るために必要なのでございますが、ここに一つ問題がございます。それは原理的な問題もございまして、農林に中小企業並の帳面をつけさせるということは、原価計算をやれということでございます。ところがいろいろな作物を組合せまして経営いたしております農家に対しまして、この原価計算という式の帳面になりますと、これは專門家でも到底できないだろうと思うのでございます。結局農業者に対しましては、その收支というものがはつきりするという、こういう帳面でなければならないと存じますし、一般の帳面では甚だむずかしいのではないか、かように考える次第でございます。特に青色申告の狙いまするところは、減価償却に対して勧告されているようでございますが、農業者に対しましては勧告に示されております源泉徴收の項において、その要する経費については村役場に、或いは協同組合等においてはつきり分る資料に基いて標準の経費率を用いてもよろしい。でございますから、各農家によりましては、その平均の経費の標準率からマイナスになつたり、プラスになつたり、実情によつて相違することは当然でございますが、この標準経費率を使つてよろしいと申します中には、減価償却も当然含まれていると考える次第でございます。従いまして農業者に対しましては青色申告をする必要はないと、標準経費率でやれば事足りると、かように考える次第でございます。そのプラス、マイナスをいたします部分につきましては農業の実態に即しますような簡易帳簿を設定いたしまして、それによつて村役場とか協同組合と税務署とが話合つて決定すると、こういうことは従来までの税務署の一方的な査定を匡正いたしまして、正しい農民の課税の実施に貢献すると思う次第でございます。甚だ簡單でございますが……
  87. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) どなたか御質問ございませんか。
  88. 小川友三

    小川友三君 今のお説ですが、この勤労大衆と農民の課税というものは非常に簡單であつて、農民は一町耕しておれば、一町に対して課税する標準が決まつておりますので、青色帳簿というものに対しても記入方法というものは極めて簡單であると、こう思いますが、あなたの御解釈は非常にむずかしく解釈しておりますが、どういう点がむずかしいのですか。これは耕作する反別によつて課税しているという極めて簡單な課税方法なんですが、ちよつとお伺いいたします。
  89. 保田豊

    公述人(保田豊君) それを御説明申上げますと、農家はそういたしますと作物別に帳面もつけなければなりません。作物別に、麦なら麦、米なら米でございます。麦でも大麦は幾ら小麦は幾ら、これに要する費用はどうなるかと、こういうことでございますが、そういたしますと、一枚の田で麦も拵えますれば野菜も拵えます。その場合に肥料はこの作物はこうやるというのもございましようが、大体時期的に肥料をやるものでございますから、この作物は果してどれだけの肥料を使つたかということを簿記的にやるのは非常に困難であると、これは一例でございます。それからもう一つ問題になりますのは、收穫時計算と期間簿記計算と、こういう点でございます。只今農家の所得の査定に当りましては、大蔵省は收穫時計算というものを採用いたしております。收穫時計算と申しますのは、例えば十二月に米代金が全部入つた、それは供出は実際は二月三日までズレるのでございますが、その年間の供出金額は全部十二月に入つたと、こういうような計算をするのでございます。それから一方保有米、つまり農家に置きます飯米につきましては、これはその当年産米価格で以て、例えば十二月の生産者価格で以て計算いたしますのでございますが、実際は農家にいたしましては、今年の一月から十月までは去年の価格の米を食べているのでございまして、今年の十一月から十二月までは今年穫れた米を食べているわけでございます。それにも拘わらず十二月に本年生産者価格で以て收入とすると、かようなことになつておりますので、原理的に簿記とそれから收穫時計算というものは全然マツチいたさないと、こういうことでございます。
  90. 小川友三

    小川友三君 まあ簡單な問題ですから簡單に取りますが、私は一町五反の自作農ですから、あなたは農家はやつていらつしやらないと思うから、話は違いますので、討論をしませんから、まあ大体承わることといたします。
  91. 川上嘉

    ○川上嘉君 おつしやる通り、青色申告ですね。その根拠となる記帳というのは非常に困難だと思うのです農家の場合に。むしろ現在の反当り標準率よりか却つて悪い結果になるのじやないですか。どうでしようか。その辺は今のところとしては実際の帳簿によつて調査を進めて行くということが……
  92. 保田豊

    公述人(保田豊君) 各農家がいろいろと帳面を揃えることは実際のところ非常に困難な状態であります。併し一方には記帳も非常に進んでおるところもございますが、ならしまして、記帳は非常に困難でございます。帳面を備えつけなければ青色申告ができない、減価償却ができないということになりますと、これは大変な問題になろうと思います。且つシヤウプ勧告でも先程申上げましたように、村の標準経費率を使つてよろしい、こういうことになりますと、各農家において農家の減価償却というものは標準経費率の中には減価償却も含まれている、こういう考え方ができると思うのでございます。ですからそれによりまして青色申告から減価償却をいたします際に帳面でやるということは、そういう状態でございますから、これは特例をお認めになる方が実情に即しておる、かように考える次第であります。それからもう一つ申上げたいと思うのですが、この減価償却になりますと、協同組合であります。農業協同組合は、農村の経済団体ではございますけれども、その外にいろいろ、語弊はございますが、奉仕的機関でもございますので、必ずしも儲かるとか儲けないというようなものではございません。それにいろいろな建物がございますが、これが時価に直しまして減価償却をいたしますと、片一方剩余金が出ておりません関係上、第一年目はよろしいようでございますが、第二年目からはその減価償却に非常に追われまして、或いは組合の経営を脅かすようなことになるかとも思いますので、これも一つの問題だろうと思うのでございます。
  93. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) 外にございませんか。次は産業経済新聞論説委員の菱山さん。
  94. 菱山辰一

    公述人(菱山辰一君) 私只今紹介に与かりました世界経済新聞並びに産業経済新聞の論説を書いております菱山というものでございます。私は皆その方の專門家でいらつしやる議員諸公の前で何か特別なことを話すだけの知識も材料も持ちませんけれども、一つの巷の声というようなものを新聞社という機構を通して知りましたことで、今度の減税に対するいわゆる世論というものについてお伝えしたいと思うのであります。  今日本の政治の一番大きな不合理ということは、大きな議論で言われていることと国民が実際に生活を通していろいろ考えることとの間に大きな隔りがあるということであります、非常に議論としては筋が通つていて、如何にも日本経済は敗戰の泥沼の中から段々と復興のところへ行く安定計画の筋道が画かれているようでありますけれども、現実の国民生活の姿というものは非常に暗いものでありまして、そうして国民の九割五分を占める勤労大衆、その中に中小商工業者又労働組合に入つていないで給料を以て生活をしている人達、或いは公務員法というようなもので縛られて自分の給与のことについて多くの発言力を持たなくなつたところの役人の人達、そういう人達が抱いているところの政治の感覚というものとこの国会の中における論議或いは大臣の演説というようなものとの間に非常に隔りを感じておるのであります。このことは誠に御主政治のために悲しむべきことでありまして、私共民衆の一員といたしましてどうか国会議員の皆さんのもつと自主的な論議と活動を御期待するのであります。大蔵委員会におきましての税の問題にいたしましても、或る一定の丁度馬車の馬が目の所に一つの枠をかけられたように、一つの何か外部から与えられたところのもので目を塞いでおる。その方向にばかり目を注がないで、もつと国民の殊に庶民階級の現実の姿というものをよく掴んで、その上で以て税というものを考えて頂きたい。税だけが問題ではない。税は勿論我々としては安くして貰いたい。国民の大部分が税の重いので苦しんでおる。中小商工業者のごときは今年の一月から三月の間には非常に苦しんだのであります。私共が見ておりましても、税金が拂えないために自殺した人間さえ出ておるのであります。又商売をやめた人間も出ております。或いはこれは一つの目から見れば民度の低いところもありましよう。又税或いは財政というものに対する無自覚なところもありましよう。併しながら多くの人達が今の税金というものを自分から進んで喜んで出すというような気持を持たない状態に置いておる。そうして今の税金の取り方というものは、昔と同じように、或る一つの権力の機構がそれを取上げる、そういう形で以つて、例えば税務署の役人が一方的な割当をして、或いは更正決定でも一方的にやる、或いはその組合なら組合のボスと組んで、そうして盛んに酒を飲んだりなんかして買收されて、頭株には軽く、下の方の組合員には重くする。ですから非常に非現実的な課税が行われておる。今の徴税機構というものに何にも手を着けないでいて如何に立派な税制を作つたところで、私は本当の正しい税制というものは生れないと思います。ですからシヤウプ案というものの今度頭が出ましたこの減税計画を見ましても、本当の税というものがどういうふうに生きた姿で国民の生活を抑えておるかということをよく掴まえた上で以つて皆さんが御研究を願いたい。今の税務署というものをそのままにして置いて、徴税機構というものをそのままにして置いて、例えば税務署の役人に一杯丸ませれば負けて貰える、或いは何度も交渉するとか、心臓の強い者や力の強い者がある場合には負けさせられるというような、そういう取引で以つて決められるような税金のかけ方、取り方というものを先ず検討して頂きたいと思うのであります。  シヤウプ案は非常に結構な案であつて、立派な学問的な立場で書かれたるところの案であると私は思います。併しながら敗戰の混乱期から今まだ安定期の過渡期にあります日本においては、非常に適切でない部分がある。つまり経過的なものが含まれていないと思うのです。つまり前提が非常に欠けておる。例えば先程も商店における台帳の問題とか、或いは農家におけるところの家計簿の問題とか、そういつたようなものが問題になりましたが、そういうような帳簿とかというようなことの考えが発達していないところで、ああいうように所得税、源泉所得税、或いは所得税の中心にするところの課税というものは適切でないように考えるのであります。やはりこのたとえ悪税であつてもこの間接税というものは、それに慣れ、而もそれは租税の転嫁の法則によつて、ぐるぐる廻つておりますから、いつの間にかそれに慣れて来て知らずに取られる。ですからこういう混乱期におきましては、例えばいろいろ流通課税は悪い。悪い税であるということは理論的には知つておりますけれども、取られる人間の多くの立場から見ますると、それ程苦痛を感じていないのであります。勤労大衆の大部分の感じから申しますれば、今度の物品税の課税をやられたことは、それは物価を安くするという上に大きな役割を持てば結構でありますけれども、これが結局自分達のふだん買わないものに多くかかつているものでありますからそれ程痛痒は感じないのであります。それよりも例えば勤労所得税が下りましても、少し軽減されましても、例えばこの地方の税金というものは非常に高くなつております。私は東京から離れたところに住んでおりますけれども、東京市内で感ずる感じと、ちよつとした田舎で感ずる感じでは地方の、つまり税金というものが非常に目立つて重く感じられるのであります。いろいろな形で寄附金で取られたり、或いは最近は又非常に増徴されるということを聞くのであります。そういうふうなことから考えますると、この減税というものは、実際果してどれだけ国民生活の上に効果のあるものかどうか、そういうものを全般を通して掴んで考えて頂きたいと思うのであります。殊に又物価関係においても、例えば今度米の代金が、消費価格は十一%も上る、或いはその鉄道の貨物運賃が八割も上る、或いは船の運賃が九割も上る。或いは瓦斯代、電気代、税金が非常に沢山上つて、光熱費が多くなる。こういう家計の上に対するところの圧迫は非常に多くなればなる程、つまり減税ということは非常に名目的なことであつて、ちつともその減税の有難味というものを感じないのであります。殊に勤労者の、この多くの俸給生活者とか、或いは農民、中小商工業者というものは、大体において資本よりもこの勤労で以て生活しているのであります。従つてこの日本において資本の非常に蓄積のない、少いところで、勤労力を以てこれを生産力の大部分を担わせようとするならば、やはりこの民力涵養ということが資本蓄積と矛盾するものではないのであります。資本蓄積のための、いわゆる税制というものは、結局働く勤労大衆というものの犠牲のみによつて、なされるということであるならば、それは一つの概念的なものでありまして、決してその結果においてです、日本経済力というものを貯えるということにはならないのであります。その点をよく国民生活の実態というものを掴まれまして、そうしてその上に立つて税制というものせ広く、高い所から考えて頂きたいと思います。殊に私は最近の統計で物価は、横這いである。或いはその生計費というものはよく改善されておる。或いは実質賃金というものは決して下つてはいないというようなことを言われまするけれども、もつとお互いに現在の身の廻り、又自分達の身辺を見て、抽象的な、欺瞞的な統計なんかでなしに、感じで考えて見ても、昨年のこの十月の物価と今月の物価と、東京の小売物価は商工会議所の調査によりますと、五割上つております。又日本銀行の調査によりまして九月でも三割平均上つております。そうしてその中でもやはりこの主食というもの、或いは副食品というもの、或いは衣料というものが非常に上つております。現にこの六千三百七円ベースというものは、これで生活ができるかどうかということは、これは公務員の方々意見を代表して言うばかりではないのですが、全く政府の案を支持しておられるところの、いわゆる政府の、例えば各省の次官級の人達でも実際こぼすことは、これじややつて行けないということなんです。ですから本当にやつて行けないということをはつきりと認めて、そうしてこの公務員のベースというもの並びに一般の給与の水準というものを、現在の国民経済の中でどのような点に置くかという点について、もう少しお考え願いたいと思います。これを基準に置かずに、ただ形式的な税の軽減ということだけで満足することはできないのであります。又更に今日の実際の世の中を見ましても、中小商工業者は非常に倒産しております。又失業者も非常に殖えております。失業者の中には失業保險も貰えない。そうして全く今日の状態では昭和五六年の恐慌当時の失業者と違いまして全く飢餓に瀕するのであります。そういう人達に対するところの救恤というようなことも、十分に国の費用でやれない。又私はこの間病気になつて国立病院に入りましたけれども、今日の病院の、いわゆる健康保險とか、或いは生活保護法によるところの救恤というようなことで、国立病院の医療の状態がどういう状態にあるか。そういつた方面の国の費用が本当に使われておるかどうか。そういうような点もよくお考え願いたいと思います。又更に学校の現在の状態、今の日本が文化国家と言いながら、どれだけこの文化の荒廃を招いておるか。教育機関は麻痺状態にある。いわゆる大学の研究室であるとか、或いは国立の図書館、博物館、そういつた文化的施設というものがどういう状態にあるか。これが日本の国の文化国家としての生存の上に必要な経費であるならば、そういう経費を賄うということが大きな問題ではないか。従つてこの減税というようなことは、ただ形の上だけの形式的な問題でなくして、本当に国民の負担を軽からしめる、軽くするということに終らないならば、国のやはり必要な費用というものを充たした上での減税というものが考えられるのではないか。現在いろいろな方面の各般の行政を見ておりまして、減税々々ということは、丁度吉田民自党内閣の一つの公約でありましたから、その公約の実現ができたというところで、非常に鬼の首を取つたような宣伝をやつておられて、それは結構でございますけれども、そういうものではない。もつと国の全体、殊に国民生活、庶民階級の生活の状態というものをよく御覧になつて、それとの関連において税制というものを考えて頂きたい。而もその税制というものは、理想的な、理論的な、財政学の教科書にあるような理論として立派な税制ではなくて、その税制が本当に国の政治の中でよく生きて行くというような意味で現実というものと結びつけて、よくその改革を考えて頂きたい。そうでないと、その折角の理論的な非常に優れた税制改革も、現実の国民生活から見ると非常に迷惑至極なものになるというようなことが起ると思うのであります。私は非常にざつくばらんなことを申しましたが、今日の世相から見ました一つの印象として、皆樣方の御審議の参考に聊かなりともなるならば非常に仕合せなものだと思うのであります。
  95. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) どなたか御質問はありませんか。
  96. 小川友三

    小川友三君 新聞社の方ですから随分ざつくばらんに御意見を述べられたことを感謝するのでありますが、この日本民族は、プラス民族でなく、私はマイナス民族である。物を足すところを知らなくて引いて行く、引く民族という見方からあなたにお伺い申上げるのですが、貰つたら貰つただけ使つちやう、貯蓄を余りしないというような形体を随分とつておりまして、戰争に負けて台湾を引き、朝鮮を引き沖縄を引き、千島を引いて樺太を引いちやつた。ずつと引いた民族だと思つております。引算民族、引算民族が八千二百万この島にうようよしておつて、毎年四百万も五百万もの赤ん坊を産み上げてやつておるというような形体なんですね、子供が殖えるから負担が殖えちやうのです。どんどん殖えるから家族手当を出す。こうだああだ、日本で以て、これは十年ぐらいは子供を産まないような計画を立てなければこれは私は、新聞記者さんですからピントが非常に早いから、お伺いするのです。少くとも三年ぐらいは子供を産まないというような方法を国民自体がとらなければ税金は安くならないのだ。吉田内閣でも片山内閣でも芦田内閣でも、どんな方法をとつても毎年何百万という赤ん坊が殖えるのじやどうしようもないと思うのですが、あなたは具体的に、こういうスピードで赤ん坊は産まれて来て、この税制問題に対して解決するという具体案があつたら教えて頂きたい。
  97. 菱山辰一

    公述人(菱山辰一君) 私は人口問題につきましては、終戰直後に一番早く今後子供を生まないという一つ国民が約束をしようじやないかという社説を書いたことがあります。それは今の国民の生活の水準を切下げない……非常に切下げられておりますけれども、子供ができればますます非常に切下げられますからして、これは人口調節を直ぐにやらなければいけないということを唱えておりましたが、今日でもその必要を十分に感じております。この人口調節を日本の国は現在のところいろいろな議論もありましようけれども、総体的な人口過剰と言つて、いわゆる生産力のうまい配置が行つていないために人口過剰を感じるとこう言いますけれども、私は現在はざつくばらんに言つて社会主義の立場に立とうが、人口というものは非常に資源との間にアンバランスであるという考えを持つております。従つて人口の調節をやるために或る程度思い切つた優生学的な見地から人口の殖えないように、例えば思い切つたというのは避妊とかいうようなことのいろいろ道徳的に批評があつたし今取締や何か今のところ行われておりますが、ああいうものは一切取拂つてしまつて、各人の自由意思によるのです。強制的なものではないけれども自由に避妊できるような最も科学的な避妊の方法をやる、それには一番必要なのは貧乏人でありますが、貧乏人が金を使わずに避妊できるように現在の保健所というようなものを單位にしてその避妊の手段ですね、そういうことをやる必要がある。人口調節でも併しそれが直ぐに人民が減るわけじやないのですが、これが今日本の国は大体ざつくばらんに言うと今のところすべて貿易の改善、貿易の振興ということにみんな問題を片付けておる。ところが貿易がよくなるかどうなるかということは皆んな分らないのですね。皆ここへ持つて行つちやつて議論をしておるけれども、実際海のものか山のものか分らないのです。ですからどうしても貿易のために何年か先を見てあなたのおつしやる通りですが、思い切つて人口調節をやる、それはやはり必要だと思うのです。人口調節をすることは不健全だという考え方ですね。これを止めさせることですね。一番子沢山の貧乏人ですね、これは安い費用でつまり人口調節をやるということが必要だと思うのです。これをやらなければ私は日本の大きな復興はできない。移民問題だとかいろいろ問題がありますけれども、今のところ日本は閉されていて、どこにも解決点がないのです。それから後は日本の人間をどういうふうにうまく使うか、それは結局労働力をうまく使うということです。そういう点では單に資本の蓄積という一本槍の古典的な経済学から出て来るところの一切の経済政策ではやはり解決できない面がある、そう私は思うのであります。
  98. 波多野鼎

    ○理事(波多野鼎君) 外にございませんか……どうも御苦労樣でした。今日の公聽会はこれを以て終ります。    午後二時三十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   公述人    日本繊維協議会    理事長     奧  正助君    芝浦製作所專務    取締役     西野嘉一郎君    全国財務労働組    合執行委員   徳島米三郎君    日本中小企業連    盟会長     豊田 雅孝君    農業復興会議総    務部長     保田  豊君    産業経済新聞論    説委員     菱山 辰一君