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1949-11-29 第6回国会 参議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜 日)    午前十時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件漁業法案内閣提出衆議院送付) ○漁業法施行法案内閣提出衆議院  送付) ○調査報告書に関する件   —————————————
  2. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  本委員会に付託になりました漁業法案並びに漁業法施行法案を議題に供します。本法案に対して質疑がありましたら、この際お願いいたします。
  3. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私は今更こういうご質問を申上げるのもどうかと思うのですが、このことは将来に亘つて極めて重要な問題でありますので、この際はつきりいたしておきたいと、こう思うのであります。先日我々がこの本法律に対する修正案を以て、その筋と内交渉した際において、水産庁意向は、この修正案に対してどうであるということを聴かれた際に、久宗課長がその席におられて、指さされた事項が何ヶ所かあつたのでありますが、その中に特に私の耳に入つておる点において、少し私の納得の行きかねる点があるので、その点について先ずお尋ねして見たいと思うのであります。それは、この村張組合というものに対する考え方でありますが、私共は修正案においての予備審査においては、村張り組合は対象の中から外して考えておつたのであります。ところがその案に対して、こういうことになることはよくないという意味意思表示をされたというふうに聞いておるのでありますが、実は私この問題については、この委員会においては、余り十分な検討はしなかつたのでありますが、私少し考えるところがありましたので、特にこれは久宗課長のところへ個人としてお伺いしていろいろ御協議申上げ、その際においては、完全に村張り組合が、水産庁としての当初の考え方間違つてつて、むしろこれは本法案から除外した方がよいのだ、削除した方がよいのだという御意向のように私承つた。そのことは私の考えにも完全に合致するので、私はその後の本委員課において、この村張り組合の削除という問題を取上げて、皆さんと強調し修正案のような方向に持つてつたわけであります。ところがその筋との折衝の際に、内交渉の際において、前に申しましたような久宗課長のお言葉があつたということなんでありますが、私はその問題を責めるのでなく、これは久宗課長は、村張組合に対して或る一つ違つた基本的な考えを持つてつて、そういうことから言われてしおるのであるかどうかということをお尋ねしたいのであります。
  4. 久宗高

    説明員久宗高君) 只今の御質問村張り組合いについての根本的な考え方でありますが、御承知通り原案におきましては、優先順位のところで第一順位、第二順位といたしておりますが、法文上は村張り組合が最優先のような形に読めるのであります。併しながらこれほ飽くまでも特例でありまして、法文でもその点を一応謳つておるわけであります。と申しますのは、本来協同組合自営というのが第一優先であるべきなのでありますが、特に村張り組合のようなものにつきまして特例を設けましたのは、日本漁村構成から、まだその漁村内部において、漁民と非漁民というような形が正確な分離をしておらないで、全村的な形で非常に孤立して或る漁業に依存するというものがあるわけであります。こういうようなものにつきまして、無理やりに協同組合という形で漁民、非漁民という形に分けることが適当であるかという点を考えまして、あの特例を設けたのでありますが、ただ江熊委員からこの前にも御指摘頂きましたように、この規定が飽くまで立案の考え方といたしましては、特別的に考えられておるわけでありまして、非常に嚴密に解釈しなければならんと思うのでありますが、実際問題としては、こういう村張り組合というようなものが悪用されて、本来村張り組合というような形で属すべきではなくて、はつきり協同組合という経営形態でやつて行くべきものが、古い形の村張り組合というものをそのまま残して行こうと、そのような意図にこの條文悪用されるという危險性多分にあるわけであります。そういうところでむしろはつきり協同組合自営という形をとるベきであつて法文の上では特例という点が、余り明確に規定されておらないのでありますが、将来これはどこどこの村とはつきり指定いたしますか、或いはこの規定を更に詳細に嚴密なものにして悪用されないような形のものが必要ではないかと考えます。それが適用さるべきところというものは、非常に小規模なところで、非常に高度にその漁村漁業に依存し、而も内部において未だ漁民漁民分化が行われていないというようなところだけについて嚴密に設けられるべき特例であつて、これが悪用されて、協同組合の自由の発展のためにむしろ阻害になるというようなことは避けなければならんと思うのでおります。併しながら現段階におきましては、村張り組合そのもの調査につきまして、特に零細なものについての調査が十分まだ行届いておりませんで、こういう規定がなければ困るのではないかと思われるところが相当あるわけであります。私共といたしましては、この問題は、一応そういう零細な明らかに村張り組合を残すべきところというもののために残したわけであつて、将来この規定は、もつと嚴密規定、或いはその適用の場所を指定するというところまで行かなければならんと、又それが特に悪用される危険が非常にあるならば、削除して置かなければならんとまで考えておるわけで、あります。併しながらこれは現実に形成されております協同組合、これと漁業法が出ましてからの動きというものを見ながら考えていきたいと考えておるわけであります。
  5. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 重ねてお尋ねいたしますが、村張り組合はむしろ奬励すべきではないか、奬励したいというようなことをその筋で言われたかのようにも承つたのでございますが、その点は如何でございますか。
  6. 久宗高

    説明員久宗高君) この点は、村張り組合幾つかの事例関係方面で御覽になつたわけでありまして、その際に漁場をそこの漁民が団体的に経営し、或いは管理していく必要があるという事例として、幾つかのそういう村張り組合を御覧に入れたことがあるのであります。そういうものからの印象を持つておると考えられるのであります。併しながらこれは奬励すべきというよりは、むしろ今特殊な事情においてそれを切りますことが、そこの漁村の実態から見れば非常にいろいろな経済上の不都合を生じ得るという場合に限つて認めらるべきもので、特に奬励すべきというふうには考えておらないわけであります、むしろはつきり申上げれば、協同組合自営という形で、漁民独自性というものが経営内部で貫かれるようにすべきだと、こう考えるわけでありますが、ただ先程申しましたような特殊な部落におきましては、そこまで経済的に割ることが却つて部落の全体の経済関係を崩してしまう、又それではそこの部落生活関係が成り立たないというところもあると考えられますので、一応認めたわけであります。こういう形のものを奬励するというようには考えておらないのであります。むしろ奬励さるべきものは、嚴密な形をとつた協同組合自営ではないからというふうに考えられるわけであります。
  7. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 その筋でむしろこういうことは奬めた方がよいのではないかということを言われた言葉の真意は、或いは漁村というものに対してはこういつた形に漸次行くのがよいのではないか、こういう意味とイクォールになるわけでありましようし、又この漁村協同体として考える場合において、私共が後からとつてひつつけたような恰好の協同組合考えて行くよりか、むしろ願わしいのではないかといつたような、そういつた違つた一つ考え方からそういうことを言つておられるのではないかとはお考えになりませんか。
  8. 久宗高

    説明員久宗高君) これは現実にありますいわゆる村張り組合というものの深く内部まで立ち入つてお調べになつたものではないと考えるのであります大体概観いたしまして、それが全村的に非常に平和に営まれておると、又こういうような孤立した場所では、これ以外に方法がないであろうというふうにお考えなつたものと思うのであります。それは私一緒に参りまして、その当時の調査から見ますと、深くその内部関係まで立ち入つたものではなくて、外観をざつと見て行つた程度でありますので、その点まだ問題は残つておるわけであります。江熊委員の御指摘になりました問題は、むしろそういう形で漁村封建制というものが非常に根強く残つてしまう心配がある、或いは協同組合の自由な発展というものに対して、むしろそれが阻害になるという点の御指摘だろうと思うのでありますが、そういう危險性多分にあるわけでありまして、現にそういう問題があるわけであります。併しながらこれはそういうものも含めたふうに一般には解釈されるわけでありますが、法文で申しまする村張り組合は、もつと非常に零細な規模で、非常にまだ漁民漁民分化の行われないようなところに限定して適用したいというように考えておりますので、その点法文上の不備もあろうかと思います。先程申しましたようなことで、将来この点はもう少し突込んで考えなければいけないと考えております。
  9. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私のお尋ねしたことを多少違つたようにおとりになつておるようであります。私は村張り組合はむしろ今は極めて小規模形態で全国的に極めて少数のものがあるが、併しこういつたような形態は、むしろ今後の漁村在り方としては育成助長した方がいいのではないかという意味を以てその筋ではお考えになつておるんではないか。従つてこの協同組合に対する考え方などの場合においても、我々が持つておる協同組合というものは、御承知のような性格であるが、これを付張り組合的な存在にまで、変更させろといいますか、形を変えるということがむしろ漁村のためにはいいんじやないかというような意味を以てその筋でいわれておるかどうか。こういう意味のことをお尋ねしたのでありますが、課長の御説明によりまして、大体余り深く研究されたのでなく一応の御視察の結果、大体よさそうだという意味合だというふうに受取りましたのでさよう解釈いたして置きます。  そこで次に、私は尚その村張り組合を、この順位から除外するということはいけないといつたときに、同時に真珠養殖業を私共は区画漁業の中に入れて考え、「かき」などと同じように考えるというふうに考えておつた場合において、この真珠養殖業は別個に行くのだ、つまりあなたの方が原案通りにすべきであるという意味において、その説を支持されたということを聞いておる。勿論そういうふうに原案がなつておるのでありますから、そういうふうに主張されることは一向不思議に思わないのでありますが、村張り組合のときにあなたの方の持つておられる考えが、何故真珠養殖業の場合に限つて協同組合若しくは村張り組合式考えを以てこの真珠養殖業というものが考えられるのに、ああいうような順位を以て臨まなければならなかつたのかということを第一にお尋ねしたい。で余り一問一答式になると長くなりますから私は総括して、この問題は後日重要な問題となつて現れると思いますから……  引続いて御質問をしますが、漁村工業化の問題から見ましても、それから漁業権の末質の面から見ましても、私はどうしても協同組合に行かなくちやならないと、こういうふうに考えるのでありますが、一体漁業の場合に、漁獲物は一貫作業的に、罐詰なら罐詰を、漁獲をやると同時に漁獲をやつた人が罐詰をやろうというような形のここに大きな会社があつたとする場合において、やはりあなたは、定置漁業に、つまりその漁獲物定置漁業による漁獲物である、「ぶり」なら「ぶり」をとつておるという場合に、「ぶり」の罐詰をするというそこに株式会社がある。そのときにその定置漁業権は、どうしてもその会社の共有にするのが最もいいというふうにお考えになるのか、そこのところを一応お尋ねしておきたいと思います。趣旨はお分り願いましたでしようか。
  10. 久宗高

    説明員久宗高君) 只今の御質問でありますが、その前に村張り組合の問題についてもう一つ申し足したいのでありますが、村張り組合の悟合にああいう解釈をとりながら、真珠養殖業の場合にどうして村張り組合のような考え方がとれないかというお話であります。これはもう一度申上げますが、村張り組合につきましては、その規模、その内容が問題になるのでありまして、法文で申しますと、村張り組合は、もつと非常に嚴密に解釈された村張組合であつて、ただ一般村張り組合といわれておるものの中には、そのままの形で温存してはならないものがあるのだ、これは経営規模から考えてそういうことが言えるわけでございまして、この点を私最初に申上げておきたいと思います。  それから第二に、定置漁業の例が出たわけでありますが定置漁業の問題につきましては、はつきり法文協同組合優先という問題を出しておりますので、この点はどういう御質問かよく分らないのであります。  それから真珠養殖業の問題につきましては、村張り組合のようなやり方と、こうおつしやつたのは、恐らく漁民がそれを管理して而も加工する段階まで自営したらどうか、こういう御意見だろうと思うのであります。それに対して現正の優先順序は、そういう形の、定置のごとき第一優先規定を置いておらないのでありますが、これは二つの考え方があるのでございます。こういたしました根本の問題といたしまして定置のような場合の自営の問題と、真珠の商品としての特殊性という問題があるわけであります。ただこの際真珠が技術的にむずかしいということで特別扱いをしたのではないのでありまして、もつと違つた真珠の市場という関係からする価格不安定性、或いは国際価格との関連性、こういような観点からこれを直ちに漁民の零細な経営と直接結び付けることが適当ではないと考えて、ああいう十九條の規定考えたわけでございます。決して真珠を作ることが技術的に零細漁民にできないということではないと考えておるわけであります。ただこの場合の漁場調整につきましては、権利者が、つまり漁民の団体が持つて、この真珠養殖漁場についての管理ができれば一番適切であり、漁民の要望にもぴつたりするわけでありますが、その関係自営との関係でできないとすれば、私共といたしましては、最初漁場計画のときに、零細漁民区画漁業に対する権限というものを十分に織込んで、真珠養殖業関係と、海底の問題とか、その他の漁場との調整という問題を、漁場計画の際にはつきりと決めて行きたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私が定置の問題を例にとつたのは、一貫作業的に罐詰の……それでその罐詰はこれは貿易品である、こういうときに、漁業協局組合がやれるということは面白くないからというので、会社にこれを定置漁業をやるということが最もいいのだというお考えで今後行かれる考えであるか。それは同巧異曲の考えで、この真珠というものを、やほ真珠養殖というものを漁業協同組合に持つて行くよりか、或る特殊な経験、技術を持つているものにやらせる方がいいんだという私は根本的な考え方が、この法案に表われておると、私はそういうふうに考える。それはいろいろな説明はさんておるようでありますが、併しその生産の下において、末端の販売面の犠牲をこの生産者に負わせるとの法律の作り方は、漁業法として逸脱していると思う。そういう意味において私はお尋ねしたのです。とにかく真珠貿易品であり、価格の高騰などの関係上、こういつた零細漁民構成分子である漁業協同組合にその漁業権を持たせるということがいけない。そういう考え方が私は間違つていると思う。私はそういうふうな弱いものでも、持たせて、それから更に外国貿易まで考えさして行く形態こそ、考えなくてはならない問題で、今そういう特殊なものがあることによつて、そこにこの生産仕事が委ねられるということは非常に面白くない、こう思つたから一応お尋ねしたわけなんです。御答弁の御趣旨はよくわかつておりますが、別に時間も余りないようでありますからそれ以上の御答弁を要求いたしません。
  12. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 随分会期も切迫しましたので、どうせ討論が直ぐ始まると思いますが、これを可決するか否決するか、その直前に私は水産庁長官行政処置の問題についてご希望を申上げる次第であります。併しその希望が達成せられなければ、この漁業法参議院修正法案に、形式においては衆議院から送付されましたけれども、実質的においては正しく参議院修正漁業改正法律案というそのものに反対するものではありません。よしんば希望條件が容れられなくても、私はこの漁業改正法律案には、漁業法には賛成をする者でありますから、その点は誤解のないように、立場を明らかにしておきます。  これはすでに水産庁長官がおいでにならない、正式の水産常任委員会におきまして、江熊委員青山委員その他列席の殆んど大部分の水産常任委員各位が、一人の反対もなく御賛同を得ている一つの結論に達している問題であります。それは瀬戸内海地区においては特別の一種の行政機関を設けるというのが、この法律案の中に包含されております。然るにその地勢、地位その他の一切の自然的條件、並びに非常に海水面が複雑であつて漁業権等の問題が多岐に亘つている有明海地区においては、何ら特別の行政機関を設けることに関して言及されておらないのは、これは法の前に平等であるという立場から考えても、決して当を得た立法案では私はないと考えておるような次第であります。殊に一時、戰時中大牟田工業地帶等の惡水の海面流出の結果、あの有名な有明海独自の海産物等、又海苔等に至るまで潰滅するような悲運に置かれたのでありまするが、平和の還つて来たことによつて、段々これに助成的行政措置をいたしますならば、有明海は独自の海産物を我が国民に、或いは海外にも送ることのできる生産力を惠まれておるような次第であります。そういうように生産を大いに助成し、増加して行くという面から考えてみましても、今のままの放任の姿でなくして、特殊の行政機関というものを、瀬戸内海同様に設けて置くことが、日本建設の上に私は大きいプラスをいたすものと確信するものであります。而して民主主義は正しき民衆の声をより多く立法に、或いは予算の上にこれを反映せしめるというのが、民主主義在り方であります。その点から考えまして長崎県、熊本県、福岡県、佐賀県の県民諸君挙つてその行政機関の設立を強く要望しておるという声を聞きましても、その声の上に乗つた一つ行政処置乃至は立法処置をするということが、参議院においては当然ともなければならん態度であり、行政府又その声に従つて行くことが、いわゆる民主主義行政府在り方であるのかと私は信ずるものであります。いろいろと理由を挙げますれば沢山ありますが、併し賢明な水産庁長官は、すでにその理由は十二分にその道の達人としてお分りになつておる筈でありまするから、是非漁業法の草案の中には、これが挿入されていないけれども、一応行政処置において何らかの出先機関等を設け、更に機会に応じて、若しもこの法律案が可決せられまして法律なつたらば、その法律の又改正の考案をして頂くか、何らかそこにこの際強い御決意のことをお聽きいたしまして、そうして審議、採決の方に私入りたいというふうに考えておりますから、一応水産庁長官の御意思をお聞きする次第であります。
  13. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) 只今矢野委員有明海調整に関しまして、あそこに瀬戸内海と同じような漁政庁か或いはそれに似たような機関を設くべきであるというこの御意見に対しましては、私も全く同感であります。この点につきましては、過般本委員会におきましても江熊委員並びに矢野委員から、その必要を高調された際にも、私は考えとしては全く同様である。併しその際に、瀬戸内海の方は特に瀬戸内海取締規則というものが設けられてありまして、それに基きあの漁政庁というものができました。決して有明海についてその必要を認めないということでなかつたのであります。  それから尚定員の関係或いは予算関係、こういうことがありましたので、一応原案には盛らなかつたのでありますが、只今お話通りに、幸いにして漁業法案が通過いたします際には、たとい明文にはなくとも、漁政庁といたしまして、法規の範囲におきまして各関係方面とも連絡をとり、そうしてこれが善処をいたしたい。ただ現行法では、福岡駐在所があるのでありまするが、それにこの仕事をさせることができるようになつておるのでありますが、改正漁業法になりますると、それが漁業権免許許可というようなことに限られることになりまするので、いずれ有明海には関係連合調整委員会もできること思うのであります。その連合委員会水産庁が密接なる連絡の下に、或いは水産庁の者を駐在させるというような暫定措置を講じまして、将来機会がありましたならば、これを根本的に解決いたしたい、かように考えております。(「了承」と呼ぶ者あり)
  14. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 本法案採決に入ります前に、ちよつと水産庁長官一つお尋ねして置きたいと思うのでありまするが、それは漁業調整事務局を設けるという点でありまするが、こうした点について、水産研究所というものが一地方にある。それから他の地方漁業調整事務局を設けられる。これは例えば例を挙げれば、瀬戸内海の問題でありまするが、一県には水量研究所が設けられておる。そうして他の県にその漁業調整事務局が設けられるというような点に関しては、これはまあ私の私見でありまするが、この水産研究所漁業調整事務局同一地内に置く方がいいじやなかろうかとこう思うのでありますが、それに対しまする水産庁長官の御所見を承わりたいと思います。
  15. 飯山太平

    政府委員飯山太平君) 只今の浪岡さんの御質問は、成る点におきましては予算節約、或いは人的の節約人事費節約というような面から見ますれば、誠にこれは適切なお考えと思うのでありますが、併しこの研究所は、基礎的な、大体科学的な研究をするというのがその役目になつておるのでございます。調整事務所になりますれば、これは現実のいろいろな漁業権に関する問題を取扱う、こういうことになりまするので、結局その人、或いはその場所というものがおのずから相違があるように考えるのであります。若しそれらの地理的な関係、或いはそり基本的性格関係において一致する場所においては、これは一つにするのか最も適切じやないか、併しそれらの條件が異なる場合には、やはりそれぞれの適当な場所に設けるということの方がよろしいのではないか。そういう考え只今は進んでおるわけであります。
  16. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 これも近い将来に非常に大きな問題となつて現われるというので、私は特にこの点を申上げて置きたいと思うのであります。それは浮魚をどういう観点から外されたかということを、今更御質問申上げる必要もないと思いますが、この浮魚関係は、小さい漁業者釣り繩によつて生活しておるのでありますが、これが御承知のように專用漁業権によつてこの仕事が確保されておるのであります。今この浮魚が外されたということによつて考えられることは、瀬戸内海の例で見るとよく分るのでありますが、もう海海上保安庁仕事ではなくて、これは漁業権者である漁業協同組合自体がそれぞれ経費を持ち出して漁業の取締りをやつておる実情なんであります。そうしてその地先漁民のものである、協同組合のものであるという強い信念を持つておるのであります。そこに今浮魚が外されるということになりまして、どうも漁民から見ますというと、自分の畑を荒されておるというような事件が、今後頻々と起つて来るに相違ないのでありますが、これは重大な問題がこの浮魚を外したことによつて起るのでありますが、これは漁民だけでなく、農村の場合でも山村の場合でもこういつたような問題は起るのでありますが、殊に海面は共通であり、中の漁獲物も共通であるというような場合におけるこの海の場合においては、私は特に憂慮に堪えないのでありますが、これはこの漁業法の運営については十分お考えもあることだと思いますが、特に私はこの浮魚の問題は、近い将来において皆様に漁民たちから必ずや強い意味においていろいろな形の陳情が出ることだろうと思いますが、浮魚を外したということに対する本当の何といいますか根本的な考え、理念というものは一体どういうところにあつたのでありますか、それを簡潔に説明して見て下さい。
  17. 久宗高

    説明員久宗高君) 浮魚を外した根本的な理由といたしましては、專用漁業権対入漁権の問題であります。つまり現在の浮魚関係と申しますのは、漁業法が当初できました際に、慣行に基いて、専用漁業権の側も入漁権の側も基礎には慣行があるわけです。その後その慣行の基礎になつておりました漁況或いはその漁村の人口関係或いは漁船の動力化といつた問題が出て参りまして浮魚漁業関係というものは現実に非常に変つて来ているわけであります。従つてすでにその実態が変つて来たに拘わらず、部落こと或いは村ごとに浮魚関係の障壁を設けて、それを権利化して排他するということは、零細漁民相互間においても問題があるわけでありまして、この関係はもつと広い海区の立場で、そこの浮魚に依存して生活する漁民浮魚の利用関係というものを規定すべきであつて、偶々の部落地先において細かく障壁を設けて排他し合うということは、適当でないということが根本的な考え方であります。従つて專用漁業権から外しましたのは、主として横の関係でありまして、開放したから外から大きな資本漁棄がこれを自由に荒し、廻つているというような問題は全然考えておりません。又同時に障壁をとつたから全くこれを自由に放任して誰でも勝手にとれるというものではなくて、海区漁業調整委員会が主体となつて、その利用関係を従来の慣行なり村といつたものから一応外して、現状の利用関係において新らしい秩序を作りたいというのが根本的な考え方であります。
  18. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 他に御質疑ありませんか。質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のある方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べをねがいます。尚修正意見がございますならば、討論中に御発言願います。
  20. 青山正一

    ○青山正一君 大分時間が長くなりますから、さよう御承知を願いたいと思います。  私は社会党を代表いたしまして、原案並びに衆議院において可決されました修正案に反対することを、誠に残念に思つておる次第であります。この法案がこれまでに至つた経過というものを徐ろに考えて見まするに、この法案に対する衆議院の小委員会案なるものは、多数をたのむ民自党案でありまして、而も專門員の言葉を藉りて言えば、個人資本漁業を極度に擁護する案なのであります。若しその案が、果して個人資本漁業を擁護する修正案ならば、その小委員会の委員長は、曾ては組合運動華やかなりし頃の鈴木君であり、本委員長は中水の副会長でもあり、現在三重県連の会長である石原さんであることを考えれば、誠にうたた感慨無量、若し全国の漁業協同組合のお方がこういうことを御承知になるとすれば、如何批評されますか、誠に両君のため惜しみても余りあることと申さなければなりません。この衆議院の案に比べれば、参議院の案は零細漁民或いは中小漁民を擁護するいわゆる協同組合中心の案でありまして、社会党の案をも多少受け入れてあり、衆議院の小委員会案とい天地の差、雲泥の遠いであります。修正個所は六十二個所、そのうち六十個所という大部分のものがその筋から御承認を受け、その筋からよくやつたとお褒めの言葉まで受けたということをも洩れ承つておるのであります。これまでの努力は、一に木下委員長なり或いは江熊、田中両委員を初め、これは皆さま方のお骨折りの賜物であると、私も非常に感謝しておる次第でありますが、わけても尾形、矢野さんが民自党内閣の大官でありながら、その地位に拘泥せず、又浅岡、西山さんが民自党でありながら、参議院衆議院とは別だという毅然たる態度、或いは專門員の努力、こういうことが総合的に偉大な力を発揮し、遂に事水産に関する限りは参議院は第一院的な立場であることを天下に示すような結果となつたのであります。参議院側におきましては、衆議院の小委員会案なるものは、これは民主化の線に副うていない、又腑に落ちていないという点が多分にある。又時日までに間に合わないというので木下委員長から再三再四に亘り衆議院の幹部、幹事長なり或いは官房長官、政務調査会長、或いは水産委員長、小委員長にいろいろ御説得なさつた模様でありましたが、結局埒があかず、最後まで小委員会案なるものを固執していた模様でありました。一方その筋では、この衆議院の行き方に対しまして、日本の民主化を阻害するものである、若しも民自党なるものを委員会において可決し承認を求めて来た際、その筋では全世界に向つて日本の民主化を国会に委ねることができないというような、そういつたお気持を、恐らく有無的に抱かしめたのじやなかろうかと思うのであります。その結果、民自党幹部側は驚きまして、二十四日、二十五日、二十六日、三回か四回に亘りまして会合を開き、遂に参議院がその筋から承認を貰つた社会党案を含む参議院案なるものを、衆議院の案といたしまして提出するからという理由で、二十六日午後三時か四時頃衆議院の水産委員長代理といたしまして、鈴木善幸氏、川村善八郎氏、このお二人が参議院の水産委員長に会見を申込まれ木下委員長から多分そのお使いに英文のもの何通かと或いは和文のもの何通かを渡した模様でその様子を何気なしに官房長官が、同じ部屋ではありませんが、隣りの部屋で見ている様子、さてはお目付に来たのではないかと私は感じたのであります。衆議院は、持ち帰つた参議院案をそのまま通すことは、これは面子に関するというので、折角民主的に直した参議院の案のうち、水深二十七メートルを十五メートルに、北海道の特例をも認めるようにとの問題も結局物にならず、参議院修正案そのままのものを一言半句訂正もせず鵜呑みにいたしまして可決、延べ人間二百人か三百人か或いは四百人か知りませんが、国会派遣で各地に公聽会、又は国会へも四日間か五日間に亘り公聽会を催し、多数の人間を集め、その結果できた法律が、これだとは、法律というものはこうしてできるんだと、誠にうたた感慨無量、衆議院が大芝居を打つて可決されたこの法案が又母屋であるところの参議院に逆戻りして来た。こういう経過報告は、これは水産委員長がすべきでありますが、木下委員長からそれに触れませんからして、私はこの委員長に代りまして事実は事実として飽くまで否定せずに、こういうことをはつきりと前置きに出しまして、将来のために速記に残しておきたいと思います。  この修再案は、先程から申上げた通り、社会党の案を部分的に認めた場所が相当に多いのであります。私自身も参議院の皆様がここまでやつて頂かれるとは、これは思いもよらなかつたのであります。こういつた意味合からも、それから漁村の民主化の一翼でありますところの水産業協同組合法がすでに一足先に実施され、現に漁業協同組合が着々と成立している今日、本法案の成立が遷延しますことは、大局の上から見まして誠に忍びないのであります。そこで、そこでです、本法の修正案に、尚若干の重要な修正を加えまして、これを成立させることが、この際とるべき適当の措置と考えましたが、不幸にいたしまして、この社会党の熱意が報いられそうもないのであります。而も私共の修正いたしたいと主張しました事柄は、漁業協同組合にとりまして極めて重要なる点のみを掲げたのであります。沿岸漁民大衆の利害を深く考えますとき、私はこの参議院修正点のみで満足するというわけには決して行かないのであります。社会党は第一に、第一種協同漁業権の内容は「海草貝類その他主務大臣の指定する水産動物」と改め浮魚類を除外しないこと。第二には、漁業免許の適格性及び優先順位に関する規定におきまして、「真珠養殖業」は「ひび建養殖柔、かき養殖業」の次に加えまして両者の区別を除くこと。第三に、漁業貸付禁止の規定は、漁業協同組合及び同連合会に適用しないこと。第四に、漁業権補償金は現金拂いとすること。この四つが社会党の最小限度の修正点であります。それが容れられなければ万止むを得ず反対するということを表明いたしまして、本修正案に反対するものであります。  又本案が仮に通過するにいたしましても、次の三つの希望條項をつけたいと存ずるのであります。第一に、漁業制度の改革を完遂し、漁業生産の確保を期するためには、漁業用資材並びに資金の供給につき保障をなすこと。第二に、許可漁業に関する規定は、甚だ明確を欠くを以て、速やかにこれに関する適当の方策を講ずること。第三に、調整委員会の運用に関しましては、その非民主的になる虞れがありますから、細目につき予め適当の命令規定を設けること。以上の三点を何らかの方法で処置して頂きたいことを強力に希望いたしまして、社会党は反対の意思を表示いたします。
  21. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 外に御意見ございませんか。
  22. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 只今議題となつておりまする衆議院修正の政府提出漁業法案及び同施行法案に民主自由党を代表いたしまして賛成いたします。この法案は改めて申上げるまでもなく、我が国の基本産業である農業の民主化と相俟つて漁業の民主化を根本の狙いとするものでありまして、政府提出の原案におきましても相当程度の民主化が図られていたのであります。併し修正案によつて一層その趣旨が徹底されて参りました。例えば定置漁業の水深を十五メートルから二十七メートルに拡張したことによつて、少くとも五、六人で経営できる五十万円程度の小定置漁業は全部漁業協同組合漁業権が行くことになりましたのを初め、河川漁業においては、全漁民の強い要望であつた第五種共同漁業権協同組合に與えられることになり、多数漁民漁業経営に大きな光明を與えることになつたものと確信いたします。又近年の金融難に際して、零細漁民経営難に陷つで非常に苦しんでいるのに対して、他の出費者を求めて共同経営をして行く途も開かれましたし、第三者から相当多額の借入金をして漁業経営して行くことも合法的であるということに修正されましたので、零細漁民にとりましては非常な喜びでありましようし、従つて本法の狙いである漁業の民主化が、この修正によつて更に徹底したのでありまして、この趣旨におきまして衆議院修正の本法案に我が民主自由党は賛成いたします。
  23. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私は本修正案に賛成するものでありますが、御承知のように今や全国協同組合は三千有余に達し、続々とこれが結成を見つつあるのでありますが、この最も重要な漁業権制度の確立がないために、漁村においては多分に不安、混乱を生じている実情であります。私共はこの漁業法改正の問題は、第一回国会以来強く政府に要求して、おつたの千ありますがいろいろな事情により漸く第五国会に提案せられ、継続審議をいたして本国会、今日この審査を終ろうとしているわけであります。殊にこの法案修正について、私個人としては少からず深い関心を持ち、足らざる努力を惜しまず傾倒いたしたのでありますが、力及ばず甚だ不満足な点が多いのであります。併し客観情勢はこれを許さず、私は前に申しましたように、協同組合としては一刻も早くこの漁業法の新らしく生れることを希望いたしておる等のことを勘案いたしまして、いずれ、できるだけ早い機会において、尚多数漁民の要求が達成される機会のあることを願いつつ、この法案に賛成するものであります。
  24. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 他にございませんか。  ちよつと青山委員にお尋ねいたしますが、あなたのは修正案でありますか、或いは反対意見の申し述べでありますか。
  25. 青山正一

    ○青山正一君 まあどちらでも結構でありますが、とにかく少数意見として出して決を探つて頂けば尚結構であります。
  26. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 青山委員が述べられた修正意見は、四点に亘つているようであります。大体この四点は反対意見としての御意見のように承つたのであります。それでこの修正意見については、ここで賛否をとることを差控えたいと思います。  それで討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 御異議ないようでありますから、討論は終結したものと認めます。採決に入ります。衆議院から回付された原案通り御異議ない人は挙手を願いたいと思います。    〔挙手者多数〕
  28. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 多数と認めます。よつて漁業法案並びに漁業法施行法案は、衆議院から回付された原案通り可決いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報答することとして、御承認願つて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を付することになつております。本案を可とせられた方の順次御署名を願います。   多数意見者署名    江熊 哲翁 淺岡 信夫    西山 龜七 田中 信儀    矢野 酉雄 尾形六郎兵衞   —————————————
  30. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 尚議題に供しておりました水産物増産対策に関する調査の今日までの経過並びに結果の報告書を議長の手許に提出することになつておりますが、その案文等は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 木下辰雄

    ○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めますから、さように決定いたします。  それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午前十一時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            青山 正一君            淺岡 信夫君            西山 龜七君            田中 信儀君            江熊 哲翁君            矢野 酉雄君   政府委員    水産庁長官   飯山 太平君   説明員    農林事務官    (水産庁経済課    長)      久宗  高君