○青山正一君 大分時間が長くなりますから、さよう御
承知を願いたいと思います。
私は社会党を代表いたしまして、
原案並びに
衆議院において可決されました
修正案に反対することを、誠に残念に思
つておる次第であります。この
法案がこれまでに至
つた経過というものを徐ろに
考えて見まするに、この
法案に対する
衆議院の小
委員会案なるものは、多数をたのむ民自党案でありまして、而も專門員の
言葉を藉りて言えば、個人資本
漁業を極度に擁護する案なのであります。若しその案が、果して個人資本
漁業を擁護する
修正案ならば、その小
委員会の委員長は、曾ては組合運動華やかなりし頃の鈴木君であり、本委員長は中水の副会長でもあり、現在三重県連の会長である石原さんであることを
考えれば、誠にうたた感慨無量、若し全国の
漁業協同組合のお方がこういうことを御
承知になるとすれば、如何批評されますか、誠に両君のため惜しみても
余りあることと申さなければなりません。この
衆議院の案に比べれば、
参議院の案は
零細漁民或いは中小
漁民を擁護するいわゆる
協同組合中心の案でありまして、社会党の案をも多少受け入れてあり、
衆議院の小
委員会案とい天地の差、雲泥の遠いであります。
修正個所は六十二個所、そのうち六十個所という大部分のものがその筋から御承認を受け、その筋からよくや
つたとお褒めの
言葉まで受けたということをも洩れ承
つておるのであります。これまでの努力は、一に木下委員長なり或いは江熊、田中両委員を初め、これは皆さま方のお骨折りの賜物であると、私も非常に感謝しておる次第でありますが、わけても尾形、矢野さんが民自党内閣の大官でありながら、その地位に拘泥せず、又浅岡、西山さんが民自党でありながら、
参議院は
衆議院とは別だという毅然たる態度、或いは專門員の努力、こういうことが総合的に偉大な力を発揮し、遂に事水産に関する限りは
参議院は第一院的な
立場であることを天下に示すような結果とな
つたのであります。
参議院側におきましては、
衆議院の小
委員会案なるものは、これは民主化の線に副うていない、又腑に落ちていないという点が
多分にある。又時日までに間に合わないというので木下委員長から再三再四に亘り
衆議院の幹部、幹事長なり或いは官房長官、政務
調査会長、或いは水産委員長、小委員長にいろいろ御説得なさ
つた模様でありましたが、結局埒があかず、最後まで小
委員会案なるものを固執していた模様でありました。一方その筋では、この
衆議院の行き方に対しまして、
日本の民主化を
阻害するものである、若しも民自党なるものを
委員会において可決し承認を求めて来た際、その筋では全世界に向
つて、
日本の民主化を国会に委ねることができないというような、そうい
つたお気持を、恐らく有無的に抱かしめたのじやなかろうかと思うのであります。その結果、民自党幹部側は驚きまして、二十四日、二十五日、二十六日、三回か四回に亘りまして会合を開き、遂に
参議院がその筋から承認を貰
つた社会党案を含む
参議院案なるものを、
衆議院の案といたしまして提出するからという
理由で、二十六日午後三時か四時頃
衆議院の水産委員長代理といたしまして、鈴木善幸氏、川村善八郎氏、このお二人が
参議院の水産委員長に会見を申込まれ木下委員長から
多分そのお使いに英文のもの何通かと或いは和文のもの何通かを渡した模様でその様子を何気なしに官房長官が、同じ部屋ではありませんが、隣りの部屋で見ている様子、さてはお目付に来たのではないかと私は感じたのであります。
衆議院は、持ち帰
つた参議院案をそのまま通すことは、これは面子に関するというので、折角民主的に直した
参議院の案のうち、水深二十七メートルを十五メートルに、北海道の
特例をも認めるようにとの問題も結局物にならず、
参議院修正案そのままのものを一言半句訂正もせず鵜呑みにいたしまして可決、延べ人間二百人か三百人か或いは四百人か知りませんが、国会派遣で各地に公聽会、又は国会へも四日間か五日間に亘り公聽会を催し、多数の人間を集め、その結果できた
法律が、これだとは、
法律というものはこうしてできるんだと、誠にうたた感慨無量、
衆議院が大芝居を打
つて可決されたこの
法案が又母屋であるところの
参議院に逆戻りして来た。こういう経過報告は、これは水産委員長がすべきでありますが、木下委員長からそれに触れませんからして、私はこの委員長に代りまして事実は事実として飽くまで否定せずに、こういうことを
はつきりと前置きに出しまして、将来のために速記に残しておきたいと思います。
この修再案は、先程から申上げた
通り、社会党の案を部分的に認めた
場所が相当に多いのであります。私自身も
参議院の皆様がここまでや
つて頂かれるとは、これは思いもよらなか
つたのであります。こうい
つた意味合からも、それから
漁村の民主化の一翼でありますところの水産業
協同組合法がすでに一足先に実施され、現に
漁業協同組合が着々と成立している今日、本
法案の成立が遷延しますことは、大局の上から見まして誠に忍びないのであります。そこで、そこでです、本法の
修正案に、尚若干の重要な
修正を加えまして、これを成立させることが、この際とるべき適当の措置と
考えましたが、不幸にいたしまして、この社会党の熱意が報いられそうもないのであります。而も私共の
修正いたしたいと主張しました事柄は、
漁業協同組合にとりまして極めて重要なる点のみを掲げたのであります。沿岸
漁民大衆の利害を深く
考えますとき、私はこの
参議院の
修正点のみで満足するというわけには決して行かないのであります。社会党は第一に、第一種協同
漁業権の内容は「海草貝類その他主務大臣の指定する水産動物」と改め
浮魚類を除外しないこと。第二には、
漁業免許の適格性及び
優先順位に関する
規定におきまして、「
真珠養殖業」は「ひび建
養殖柔、かき
養殖業」の次に加えまして両者の区別を除くこと。第三に、
漁業貸付禁止の
規定は、
漁業協同組合及び同連合会に適用しないこと。第四に、
漁業権補償金は現金拂いとすること。この四つが社会党の最小限度の
修正点であります。それが容れられなければ万止むを得ず反対するということを表明いたしまして、本
修正案に反対するものであります。
又本案が仮に通過するにいたしましても、次の三つの
希望條項をつけたいと存ずるのであります。第一に、
漁業制度の改革を完遂し、
漁業生産の確保を期するためには、
漁業用資材並びに資金の供給につき保障をなすこと。第二に、許可
漁業に関する
規定は、甚だ明確を欠くを以て、速やかにこれに関する適当の方策を講ずること。第三に、
調整委員会の運用に関しましては、その非民主的になる虞れがありますから、細目につき予め適当の命令
規定を設けること。以上の三点を何らかの方法で処置して頂きたいことを強力に
希望いたしまして、社会党は反対の
意思を表示いたします。