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1949-11-14 第6回国会 参議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十四日(月曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 十月三十一日(月曜日)委員木檜三四 郎君辞任につき、その補欠として橋上 保君を議長において指名した。 十一月十日(木曜日)委員小林英三辞任につき、その補欠として松嶋喜作 君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員職階制に関する法律案  (内閣送付) ○公聽会開会に関する件 ○寒冷地手当石炭手当実施状況及  び公務員給与に関する件   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会を開きます。  日本国家公務員職階制に関する法律案予備審査の付託がありましたので、今日はこれを先ず最初の議題といたしまして、人事院総裁その他の御説明最初に拜聽いたすことにいたしたいと思います。
  3. 淺井清

    政府委員淺井清君) 委員長のお言葉に従いまして、国家公務員職階制に関する法律案提案理由について御説明申上げたいと存じます。  御承知通り国家公務員法は新憲法の精神に則りまして、公務の民主的且つ能率的運営を図るために、国家公務員がその職務遂行に当りまして最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で選択され指導せらるべき根本基準を定めておるのでございまするが、その一つとして、同法第二十九條第一項におきましては、職階制法律で定めることといたしまして、同條第二項におきまして、人事院職階制を立案し、官職職務種類及び複雑責任の度に応じまして分類整理すべきことを定め、更に同條第四項におきまして、これらに関しまする計画国会に提出して、その御承認を得ることとしておるのでございます。このため人事院におきましては、その前身たる臨時人事委員会の発足以来、この職階制の立案に力を注いで参りまして、又その実施に当るべき準備をも整えて参つたのでございまするが、今般これに関する法律の成案を得るに至りましたので、ここに国家公務員職階制に関する法律案を提出いたしまして、併せてその計画に関し国会の御承認を求める次第と相成りましたので、本日参議院におかれまして、予備審査が始まつておる次第でございます。  この法律案内容要点を申上げますると、先ず第一に官職分類を行うための計画を定めておるのでございます。即ち職階制と申しまするのは、すでに御承知のごとく官職職務種類及び複雑責任の度に応じまして、この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画でございまして、その実施につきましては、人事院の定めるところによつて逐次行う、かようにいたしておる次第でございます。職階制は一時に全面的に実施することは不可能でございまして、又官職の状況の変動等に対応いたしまするためには、その都度法律改正によらなければならないとすることは、技術的に極めて困難と考えられるからでございます。  第二の要点は、職階制目的を明確にしたことでございまして、職階制目的は、給与準則の統一的且つ公正な基礎を定め、又試験任免及び教育訓練並びにこれらに関連しまする各部門における人事行政運営に資することにあるのでありまして、人事院に対して新らしく官職を設け、又従来の官職変更し若しくは廃止する権限を与えるものではないのでございます。  第三の要点は、職種及び職級決定職級明細書の作成及び使用、官職格付その他職階制実施についての原則を定めておることでございます。  第四の要点といたしましては、職階制実施方法及び手続、並びにその実施機関について規定いたしておることでございます。即ち官職格付格付変更又は改訂職種又は職級改正について明確なる方法手続とを定めまして、人事院を以て職階制実施し、その責に任ずる機関といたしまして、その具体的権限を定めておるのでございます。  第五の要点といたしましては、御承知通り政府職員の新給与実施に関する法律の第一條第三項の規定によりまして、同法による職務分類国家公務員法第二十九條その他の條項規定された計画とみなされておるのでございまするが、この法律案施行によりまして、逐次官職格付が行われるに伴い、その格付政府職員の新給与実施に関する法律による職務分類による級への格付に代ることになつておるのでございます。併しながら給与については、この法律案施行後においても給与準則が制定されるまでの間、政府職員の新給与実施に関する法律による職務の級への格付が引続き効力を持つことといたしまして、尚職階制に適合した給与準則が制定実施されるに際しまして、この法律により行なわれる官職格付によつて給与の減額はしないという方針を明らかにいたしまして、以て職階制実施に伴う給与についての不安を除くことといたしております。以上がこの法律案提案理由及びその要点の大要であります。
  4. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) では私から本案の内容につきましてもう少し詳細に御説明申上げたいと存じます。  この法律案は章にいたしますれば四章、條文で十五條、それに附則の四項から成立つているわけであります。第一章は総則でございまして、この法律案目的職階制意義及び人事院権限規定しております。第二章は職階制根本原則規定したものであります。次に第三章は職階制実施に関して規定しております。それから第四章は罰則規定し、附則におきましてこの法律案施行に関する経過的規定を設けておる、こういうことになつております。以上第一章から順を追つて説明申上げたいと存じます。  先ず第一條でございますが、第一條におきまして、この法律目的を掲げておりますが、申すまでもなく、この法律目的公務の民主的且つ能率的な運営を促進いたしますために、一般職に属する官職につきまして職階制を確立し、官職分類原則及び職階制実施について定めることにしてあるわけでございます。尚本條第三項に、「法律は、人事院に対し、官職を新設し、変更し、又は廃止する権限を与えるものではない。」と規定しておりまするが、これは職階制の本質上当然のことでございまするが、職階制が何か人事院に対しまして、官職改廃等に関して権限を与えるのであろうかというふうな誤解を招くことのないように念のために附加した規定でございます。次に第二條は、職階制意義を定めておるものでございまして、職階制官職をその職務種類及び複雑責任の度に応じまして分類する計画であつて、新らしい人事行政基準として、なかんずく給与試験任免教育訓練に役立つことを目的とするということを明らかにしております。次に第三條は、この法律において用いられる用語定義を特に規定したものであります。この法律は、技術的な用語を用いておりまするので、冒頭におきまして、用語定義を定めておる次第でございます。次に第四條は、人事院権限規定してございます。即ち国家公務員法規定によりまして、職階制実施に関する事項人事院所掌事項とされておるわけでありますが、本條は更に具体的に職階制実施に当つて人事院のなすべき事項として、職階制実施及び解釈に関し必要な人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。職種職級決定すること。職種定義及び職級明細書を作成し公表すること。官職格付し、又は他の国の機関によつて行なわれた格付承認すること。それから官職職務責任に関する事項のついて調査をすること。というような具体的な権限及び職務規定しておる次第でございます。  次は第二章に参りまして、第二章は職階制根本原則規定いたしております。先ず第六條におきましては、官職分類官職職務責任基礎として行うものであつて職員個人々々が持つている資格であるとか、成績であるとか、又は能力とかを基礎として分類してはならないということを謳つておるのでございます。次に第七條は、職級決定について規定しております。即ち職級というのは、職務種類及び複雑責任の度についての官職類似性と相異性とに基いて決定されるものでありまするが、その場合において、その官職はどこの官庁に属していようと、又中央官庁に属しようと地方官庁に属しようとを問わず、その職務種類及び複雑責任の度が類似しておれば、それは同一職級に属するということを定めておるわけであります。尚第三項におきまして、「職級の数は、職務種類及び複雑責任の度に応じて人事院決定した数に等しくなければならない。」ということを規定しておるわけでありますが、これはまあ当然なことを規定しておるわけであります。いわゆる職階制の行為に属するわけであります。  次に第四項におきまして、「職級は、官職分類する最小に單位である。」ということを規定しておりますが、即ち職階制におきまして官職職級以下には分類することはできない、分類することは許されない。それ以上の分類方法は許されないということを意味しておるわけであります。次に第八條は、官職格付規定しております。そのうちの第一項は、格付根本原則を示しております。即ち、第一項におきましては、職務種類及び複雑責任の度を表わす要素基準として官職格付されなければならないものである。こういうことを規定しております。第二項におきましては、格付要素職員が自分でする仕事と、上から受ける監督とに分けて定めておるわけであります。それから次に第三項におきましては、格付要素として考慮してはならない事項を述べております。具体的に申上げますと、職階制は、職務責任基礎とするものでございますから、職員の年齢とか、資格とか、地理的な位置とか、或いは職員の受けておる給与額の高によつて格付されては、それらを要素として格付してはならないということを定めてございます。次に第四項について申上げますが、第四項にありますように、組織の規模或いは部課の職員の数だけで格付してはならない、これらのことは職務複雑性責任の度と関連ある場合にのみ考慮すべきである、こういうことであります。次に第五項でございますが、同一職級格付される官職は、職務種類及び複雑責任の度において類似であれば足れるのでありまして、全く同一であるということは必要としない、全然同一であれば合類及び格付ということが行なわれないわけでありますが、類似しておる場合には全く同一であることを必要としないということであります。次に第六項でありますが、これはいわゆる混合職員、ミクスチュア・ポジシヨン、この混合職員につきましては格付について説明しております。例えばタイピストであればタイピストであつて飜訳をやつておるということがそうなるのであります。或る期間のうちに一部分タイピスト一部分飜訳というふうに明瞭に分けられておるときは、その都度格付するのが普通でありますが、実際問題としてそのような取扱いが困難な場合においては格付は勤務時間の大部分を占める職務責任に従つて行なわれることになります。併し時間的には大部分を占めていなくても、職務責任におきまして特に重点を置く場合におきましては、その重点を置かれる職務責任従つて格付ができるように、人事院規則で以て規定することとしておる次第でございます。次に第九條におきましては職級明細書について規定してございます。その職級明細書と申しますのは、各職級ごとに作られなければならないわけであります。その職級明細書規定すべき事項その他について規定しておるわけでございます。次に職級名称に関しまする第十條について申上げます。職級には一定のその職級に属する官職の性質を現わす名称を付けなければならないということになつております。それから職級名称は更にその職級に属するすべての官職の公式の名称となるわけでありまして、例えばタイピスト官職が一級タイピストに属しますときは、その官職は一級タイピストと呼ばれることになつております。更に又第三項におきましては、職員にはその占める官職の属する職級名称が付与されるとなつております。又第四項では職級名称一定人事に関する公式の文書に用いられなければならないことを規定しております。又勿論この職級名称は必要な場合においては畧称又は記号を用いることができるというふうになるわけであります。併しながらこの職級名称行政組織運営その他公の便宜のために組織上の名称として用いられておるようないろいろな名称は、同時に併せて用いることは差支えないということを規定しております。次に十一條に参りまして御説明申上げまするが、十一條職種ということを規定しております。この職種職務種類類似しておりまして、複雑責任の度が異なる職級一つ以上集まつておるものでありまして、人事管理便宜のためその職種に属した職級の、職務種類を概括的に現わすところの定義を与えることといたしております。以上申上げましたのが大体職階制に関する原則を御説明申上げた次第であります。  次は職階制実施に関しまして申上げます。先ず職階制実施に関しまして問題となるのは格付でございます。即ち第十二條は官職職級格付するに当つて規定でありまして、人事院又は人事院の指定を受けたものは、この法律その他の規定に従いまして官職格付を行い、又格付変更が必要なるときは格付変更するととし、又その格付変更行なつたときは人事院に報告すべきものとしているわけであります。更に人事院は随時格付の再審査を行いまして、格付の適正でないものは改訂をいたすことになつております。人事院はこれらの場合におきまして、そのとりました措置関係機関に通知し、各機関はこの通知を受けたら然るべき措置をとるよう規定しております。次に第十三條でありまするが、これは職種又は職級改正規定したものであります。職階制はあるがままの官職の姿を捉えるものでありますので、官職の現実の情朴に即応する措置をとる必要がありますので、本條を設け職種又は職級改正を行わんとした次第であります。次の十四條は職階制の現在の状態を一般に明らかにせしむることが必要がありますからこれに伴う公示文書規定しております。次に第十五條におきましては、この規則違反に対する罰則規定しております。  次に附則に参りまして、それぞれ経過規定を設けておるわけでありまするが、一項におきましては、この法律公布の日から施行するわけでありまするが、この職級名称等人事記録に用いられるのに予算その他の関係がありまするから、その時期に関しましては人事院規則で定めるということにいたしております。又第二項では格付はすべての官職を一時に行うことは不可能でありまするので、人事院の定めるところにより逐次実施することができることにいたしております。それから附則の第三項は新給与実施法との関係規定したものでありまして、この職階法に基く格付が逐次行われて行くにつれまして、現在の新給与実施法規定する職務の級に変つて行くものでありまするが、併しながら給与に関する限りは新給与準則が制定実施されますまでは、現在の新給与実施法によりまして職員が受けておる職務の級がその効力を有するものといたしておる次第であります。尚更に国家公務員法に基く新らしい給与法であるところの給与準則実施に際しまして、この法律によつて行われる官職格付によつて職員給与は減額されることはないということを規定いたしまして、現在の職員がこの法律及び給与準則によりまして減額されることのないことを保障している次第であります。  以上概畧この法律案の趣旨につきまして申上げました。
  5. 中井光次

    委員長中井光次君) 職階制に関する政府の一応の説明は今で済みましたのですが、実は今期も非常に短かくなつておりまするので、それから今日これを実は予備審査で提案されておりまするのが、相当重要なる法律案考えますので、我々が段々これを審議して行くと同時に、一面一般公聽会若しくは証人喚問という形式を取つて、広く御意見を文いて見たいという考えでおりますが、如何でございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 中井光次

    委員長中井光次君) 二十三日が会期の末尾でございまして、大体公聽会はそれから十日ぐらいの間を置かなければならないということでありますので、実際上はだから期日はないということになります。併し無理をして二十二日に公聽会を開いたらというのですが、公聽会ならばそうしなければならない。それから証人喚問であるならばもう少し期日を切上げてやることもできるかと思つております。
  7. 木下源吾

    木下源吾君 これは新らしいことであります、そうして我々も実際突然に説明を受けてもなかなか頭に入らん点が多いのですよ。それでやはり愼重を期してやるという意味にでも公聽会というようなものは是非やるということの義務を感ずるのです。期日のこともありましようけれども、どうせ会期が延長必至ということを官房長官新聞でも出しておりますので、それを見越してと言うと語弊がありますが、その辺を一つ斟酌して適切な時期に公聽会を開いて、できるだけ一つ愼重を期したい、かように考えます。
  8. 小串清一

    小串清一君 公聽会は、この法律案に対する民間の一般民衆批判を聞こうということになるのですか、そうなんですね。そうすると新聞に公告する時期等に対してはこれをやはり相当研究して貰わなければならん。それはそれだけの期日を与える、そういう準備をやらなければならんから……
  9. 中井光次

    委員長中井光次君) 若し二十二日なら多少無理はありますが、できようと思います。そういう事務的の見解です。
  10. 小串清一

    小串清一君 そうならば二十二日でよいですね。志願者だけでやりますか、大学の先生とか、官吏の相当老練な人というものをこつちで指定する必要はないですか。
  11. 中井光次

    委員長中井光次君) こちらから指定する者、それから公告して一定の中から御選定を願う、両方からです。それを、若し二十二日とお決め願つたら十九日までにお決めを頂きたいと思うのであります。大体公聽会で行くことに御異議がなければ、二十二日に職階制の問題について公聽会を開くということに決定さして頂いてよいですか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中井光次

    委員長中井光次君) それから公述人選定その他発言時間及び質疑の時間の問題等については、委員長及び理事に御一任願えれば非常に便宜ですが、委員長理事で相談して……
  13. 大山安

    大山安君 この職階制は、これは私共公務員法を支持して来ました。というのはあの公務員は私共の見解からしますれば、如関にも旧態依然たる指導者が存在しておるという方面から指示して来た。今回これを制定するについて批判その他参考とするために、つまり公述者或いは証人というものを選ぶ場合に人事委員として選定する場合には、余り学閥……或いは、経験者はそれはいいですけれども、学閥というような方面は私共としては余り芳しくない。というのは、私の見解では、公務員法制定当時に実際に肅正せねばならんというところから出発して、公務員法も支持し、又今回このつまり職階制も支持するものである。制定されたいという希望であるから、余り昔偉らそうな者を希望しないというような意見を持つております。そういう線に沿うてお進め願たいと思います。    〔「委員長及び理事一任」と呼ぶ者あり〕
  14. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは、只今大山さんの御希望、御意見は分りましたが、先程公聽会の日は御決定を願いました。それからその他の問題につきましては、委員長理事に大体御一任願う、これも御異議ないようでありますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 中井光次

    委員長中井光次君) そうすると、これで大体この職階制に関するあとの質問は後日に讓つて頂きます。
  16. 中井光次

    委員長中井光次君) ではかねてから実は国家公務員制度に対する一般調査として今日は御招集を申上げたのであります。御質問がありましたならば……
  17. 木下源吾

    木下源吾君 この機会一つ寒冷地手当石炭手当支給に関すること、並びに賃金ベース改訂について少しお尋ねをしたいとこう思います。先ずこの寒冷地手当のことは、先般も本会議政府の所信も伺いましたし、又人事院としての御盡力の点も十分拜聽することができたのでありますが、かかつてこの隘路打開が相当困難なように聞き及んだのであります。そこでその後、新聞等で何なり進展したようなことが報ぜられておりますが、で、人事院総裁としてはこの点について何か具体的な進捗の事実がございまするならば、一つこの際お聞かせを願いたい、かように考えることが一点て、次にはこの補正予算における点がスムースに進んでおるといたしましても、更にこの支給については政令が必要であると考えられます。そこで人事院として曾て勧告いたしました石炭手当單価、端的に言えばこの單価政府の実際支給單価とは相当開きがあるやに聞き及んでおるのでありますが、この点についてこの政令を出す場合において如何なる折衝をせられるおつもりであるかどうか、この点を一つお聞きしたいと思うのであります。と申しますのは相当人事院権威に関する問題でもありますし、今後に及ぼす影響が幾多重大と考えます。そこで若しも、人事院総裁勧告が容れられないような場合においては、総裁としてはどういうお考えになるのか、この機会一つお聞かせ願いたいと思うのであります。  尚先般或る外の予算で、二十五年度の予算の場合においては、政府石炭手当並びに寒冷地手当支給予算面に出しております。その際政府に尋ねましたところが、政府石炭手当の額を只今單価を二千五百円と見積つておるという答弁がございましたので、この点についても何らか人事院総裁の方に話合か御交渉があつて予算編成であるのかどうか。二十五年度予算の現われておる部分から見まして、一つ総裁にその辺をお聞きしたいと思います。  そこで劈頭申上げました隘路が段々打開いたしておるということについては、実際の支給する側である国鉄の責任の方々にどういう御交渉経過であるかを一つお尋ねしたい。でき得るならば一般会計予算が不如意であるところの外の省の、例えば文部省のごときも一つどういう工合になつておるかをお聞きしたい、かように考えておるわけであります。と申しますのは、しばしば繰返し繰返し申上げるように、この支給に関しましては数十万の公務員がただ一つ今望みをかけて、この苦しい生活打開のために幾分でも役立てようとする窮情にございまするので、これが決定が見られるということになれば、ひとり公務員の幸福であるばかりでなく、今後の公務員職務遂行の上にも具体的に貢献するところがあると考えますので、一つ明確にして頂きたい、かように考える次第であります。
  18. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠に恐縮なるお尋ねを頂きましておる次第でございまするが、人事院の立場を率直に申上げますれば、最前木下さんから人事院権威云々のお言葉がございましたが実はこれは大変失礼な言葉でございますが、国会の御権威にも関するこれは問題だろうと思つております。即ち憲法の建前から申しましても、この議員発案法律案というものは最も尊重せらるべきものだと私共は考えておりますので、その議員発案法律がかように施行が遅れておるということは、非常に私は遺憾のことかと思つております。そこで人事院といたしましては、誠実にこの議員発案法律施行いたすように、すでに早くこの勧告をいたしましたことは、木下さんもよく御存じのところでございます。  只今石炭手当の額についてお話がございましたが、私は大蔵省のこの数字というものはいけないと、率直に申上げたいと思つております。人事院といたしましては飽くまでも最初人事院決めておりまするところの單価が至当のものであるか、少くともこれが最低のものである、そのような考えで今日までやつて来ております。そこで勧告の出放しをしておるではないかというお圧いがあるかも知れませんが、そうではございませんで、熱心に絶えずこれを政府の方へ催促いたし、総理大臣に過般会いましたときは、総理大臣に直接にこの実情をお話して、善処を要望いたしております。併し政府といたしましても、私の見るところによりますれば、決してこれを怠つておるとは考えられないのでございまして、ただこの予算上に如何なる処置をするかということに対して大分隘路があるようでございます。私は政府の非常にこれに努力しておるということは認めるのでございまするが、只今仰せられました炭価その他の方面におきましては、人事院としては不満でございます。従いまして、人事院としては、飽くまでも最初勧告通りの線で行くべく努力いたして参り、尚今後もそのようにいたしたいとこういうふうに考えております。尚最近の情勢云々のお話がございましたが、これについて、この席上でお話し得る点が何かございますかどうか。只今給与局長から補足させて置きたいと思います。
  19. 木下源吾

    木下源吾君 二十五年度の予算について……
  20. 中井光次

    委員長中井光次君) 給与局長の答弁があつてからにして下さい。
  21. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 二十五年度予算につきましては、人事院へ一切交渉がございませんので、私その点を詳しく存じておりませんが、尚我々この問題につきましては、いろいろ隘路があるということは今総裁が申されたのでございまするが、その隘路の打開に極力努めておる次第でございます。
  22. 木下源吾

    木下源吾君 国鉄の財政課長にお願いします。
  23. 中井光次

    委員長中井光次君) 国鉄の説明員として、財政課長が見えておりますが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 紙田千鶴雄

    説明員(紙田千鶴雄君) それでは石炭手当及び寒冷地手当につきまして、最近の経過を申上げたいと思います。この種の手当につきましては、御承知のように予算の範囲内において支給をすると、まあこういうふうに制限が付いておりましたので、国鉄の予算を執行するに当りましては、この実行上そういつた手当を支給することは、それだけの余裕があるというふうな状態になることが必要なんであります。ところがその後御承知のように非常な減收でございますので、この財源の点からして非常な困難を生じて来たわけでございます。又財源に関係なく、この当初の予算の歳出の総額という点から考えましても、いろいろの節約をいたしましたにも拘わらずそういう手当を捻出することが非常に困難な状態であつたのは事実なんであります。併しながら絶対にそういうふうな経費を支出することができないというふうな結論になるかどうかというふうな点につきましては、考え方によつて或る程度違つた結論が出る余地があつたわけなんであります。即ち、御承知のように事業は運営上種々の災害その他の臨時的な経費を必要とするものでございますが、そういうふうな経費を絶えず予期いたしまして、或る程度の財源というものを、或る程度の経費予算というものは絶えず留保いたす必要があるわけなんでございます。従つてそれを考えました上に、尚そういうふうな支出が可能となるというふうな場合に初めて予算上支出が可能となると、こういうふうに考えておる次第なんでございます。そういう考えに基きまして努めて節約をいたしまして、臨時の経費についても或る程度財源的にも考えまして、尚そういう手当が出せるように努めたのでございますが、この点につきましては非常に見るところによりまして、多少の相違があることは申上げた通りであります。そのため折衝にも非常に紆余曲折を経たのでございますが、極く最近に至りまして、漸く関係方面の了解を得ることができたのでございます。従いまして、今度の補正予算にそういう内容の経費が盛り込まれるということは、まだ予算そのものが正式に決まつたという通知を受けておりませんけれども、そういうふうになるであろうということはほぼ推定できる状態になつた次第でございます。その金額は概ね十億円程度でございまして、これを借入金によつてその財源を調達いたすと、こういうふうな趣旨の予算上の措置が講ぜられる見込が非常に顯著になつて参つたのが最近の状態でございます。尚二十五年度におきましても、概ね同等程度の経費が二十五年度の予算に盛り込まれるべく努力中でございまして、この点につきましても現在は明らかではございませんけれども、恐らくは認められるのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。簡單でございますが、説明を終りたいと思います。
  25. 木下源吾

    木下源吾君 只今非常に多忙な長官が見えられましたので、早速この機会に一緒に一つお願いしたいと思います。例の寒冷地石炭手当の問題です。今国鉄の財政課長のお話で、非常に政府が努力せられてこの隘路打開に努められたことは感謝に堪えない次第でありますが、ただ問題は、曾て人事院総裁から総理大臣勧告せられました石炭価格の單価の問題であります。これは長官すでに本会議でも御答弁になつてつて了承しておりまするが、この御答弁になつておる中のいわゆる石炭が統制を外せば安くなる見通しで、又現実に安くなつておるというこの御見解については、御見解はそれでもよろしいが、実際には安くなつておらんという事実であるのでありますが、そこで私は昨夜北海道から帰つて来たので、北海道の炭鉱の各石炭の状態も調べて参りました。非常に悪い低カロリー炭が安くなつておりますが、尚併し普通の煖房炭と我々が称するもの以上は非常に価格が騰貴しているのであります。かかる実情に即しましても、又国会決定せられた法律人事院が忠実にこれを履行せられ、勧告の上に現われた面からいたしまして、人事院勧告を最低の線と我々は考えておりますが、この際政府は、長官の考えておられる安くなるだろうという見通しが、現実には違うものだということの事実に照らし合せまして、政府支給は関する実行に当つて額を変更するという御決意がないだろうか、是非これを一つそういうふうに人事院勧告通りつて頂きたい、こういう希望を持つておりますので、これに関する長官のお考えを承わりたいのであります。  尚更に、先般二十五年度の予算を特別調達庁は、或る機会委員会で聞いたのですが、この石炭価格の手当に対する單価は当時主計局の東條次長の御答弁によりますと、はつきりした記憶はないけれども、一トン二千五百円の單価で見積つているということを御答弁なさつておるのでありますが、この点について、二十五年度予算石炭手当に対する單価の割出しというものについて、どういう御見解でそういうふうになされたのか、若しも單なる見通しの上において、安くなるだろうというそういう見通しであるならば、早速この点を一つ御検討願つて、実情に即して支給できるような方法を講じて頂きたい、かように考えますので、長官の御答弁を願いたいと思います。
  26. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 木下委員の御質問にお答え申上げます。石炭はお説のごとく人事院からも勧告がございました。又法律もできている次第でございます。その法律には、予算の範囲内において、とこう書いてございまするし、又人事院勧告は三トンの三千三百円だと確か記憶しておりますが、その後統制が外されたという関係で、将来を見越した関係もあり、又金がない、予算がそれだけ都合ができにくいという関係からいたしまして、三トンの二千七百円、こういうふうに我々は予算を予定いたしております。但し、国鉄関係が、経理が予算の範囲内ではできにくい状況があつたものでございますから、補正予算と相俟ちまして、これが通過後は直ちに石炭手当支給できる、但し北海道では非常に寒うございまするし、先達つて臨時措置はとつた次第でございますが、私共調べによりますると、品位の低い石炭は下つておるというふうな状態であります。又お説のように品位の高い石炭は統制を外しても下つておらんというのはお説の通りでございますが、煖房用は高品位の石炭でなくちやいかんとか、いろいろお説もございましようが、我々は煖房用の石炭は、ボタ炭では困りますことは、私は実地に当つて痛感いたしておりますが、併し比較的カロリーが低くても石炭であればよろしいという感じはいたしております。常磐炭のごときも煖房用には使えるわけでございます。北海道では品位は低くても常磐炭よりもよろしいのではないか、低品位の石炭の使用は段々落ちて参つております。只今のところ二千七百円でいいのじやないかと、こう考えております。併し将来非常に価格に昂騰があり、価格差ができたという場合を予見いたしまして、断じて釘付にするという考えは持つておりません。只今のところは二千七百円の三トン分、独身者は二千七百円を一トン分、これでいいのじやないかと思いまして折角予算措置を講じておるのであります。予算が両院を通過いたしました曉には、寒い北海道のことでございますから、直ちに支給いたしたい、こう考えております。  それからもう一つ特別調達庁の、石炭の單価を二千五百円にしたということはよく存じません。よく取調べます。
  27. 木下源吾

    木下源吾君 実はその点は長官も北海道長官であつたので、どういう石炭が煖房用に適するかはもうすでに御承知だと思うのですが、只今のお話のように予算が非常に少ないのだからというならば話が分りますが、もうすでに北海道でも食糧不足で澱粉菓子を食つた時代はもう過ぎております。何でもストーブの中に入ればいいのだというわけには参りません。事実石炭の、元の四級、五級炭になると五千円くらいです。そういう価格になつておるので、今申上げる安くなつたというのは実はストーブの中で本当に燃えないのだ。恐らく零下二十度以下のところでは用をなさないという程度の石炭でしかないので、予算がないというこの点なら私は政府の又実情も斟酌することができるのではないかと思うのですが、焚ける石炭が安くなつたのだ、煖房用石炭ならばあの程度でよろしいというのはちよつと北海道長官をされた長官にも似合わないお話だとかように思いますので、実情をどうか一つ早急に御調査願いまして、只今は実際に煖房用炭値下問題を陳情に北海道から石炭関係の人が沢山参つておりますので、これらの人々の最近のお話もお聞きになれば分りますので、尚これをお聞きになつた結果どうしてもそんな安い炭がないのだ、こういうことであるならば、是非一つ人事院勧告通りこれを増額するように御盡力願いたいと、こう希望して置く次第であります。
  28. 中井光次

    委員長中井光次君) 外に御質疑はございませんか。木下さんもういいですか。
  29. 木下源吾

    木下源吾君 劈頭に質問さして頂くことのお許しを得ておつたのですが、この際に給与ベースの改訂の問題でありますが、本会議における総理大臣その他の御答弁は新聞にも皆出ておるところであります。併しながら本日は幸いにも人事院総裁官房長官とここに肩を並べられているので、この問題は今日中に調停ができるようにも考えられますので、一つ奮発して御答弁を願いたいと思うのであります。すでに御案内の通り、二十八條の異動の場合は如何に長官がいろいろ御説明があつても、実質においての異動はこれは蔽うべくもない事実であります。そこで賃金を上げればインフレになるであろうという馬鹿げたことは未だ誰も言わないのです。この賃金こそは生産の中に含まれる、本当に生産の要素であるものであつて、これがインフレになるというようなことは絶対にあり得ないということは私から申上げるまでもないのであります。そこでこの法律によつてもすでに人事院が忠実に、公務員が国民に忠実であるがごとく人事院は又国の仕事を達成する上に忠実にこれを一つ履行しようという決意を持つておるのでありますから、政府としてこの人事院勧告があつた場合においては万難を排してこの勧告に応ずるという決意があつて然るべきだと思うのであります。この点において人事委員会において増田長官を通じての政府の所信を本当にはつきりさせて頂きたい、かように考えます。ただ吉田総理大臣は今はやらないのだ、その時になれば何とか考えて見るというようなそういう曖昧なことでは、このような急変している国民の心理状態というものは納得し得ないのでありますので、この際飽くまでも先の見通しをつけて人事院がこれを勧告するということは法律にも命ぜられておるのであるから、必ず遂行すると確信しておりますが、この場合において一つ政府はどうしても万難を排してこれをやるという言明ができるなら、この機会において長官からお伺いしたい、かように考える次第であります。
  30. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 木下さんの御質問にお答え申上げます。政府といたしましては、先般の総理大臣の声明通り給与ベースを変更いたしにくいということを言明いたしておる次第でございます。というのは、折角インフレーシヨンも安定いたしまして、今デフレであるとか或いはデイスインフレであるとか、生産力が発展しないというような非難も受けますが、今まで終戰後数年間は我々お互いにインフレーシヨンのために悩んでおつた次第でございまして、各政党、各国体、国民、すべて悪性インフレの徹底的停止あるいは中間安定というような言葉を使つて、何とかしてあの悪性インフレから免がれたいと、こう努力しておつた次第であります。ところが九原則の完全な実施によりまして、この九原則というのはあながち政府ばかりではございません。野党も与党も国民も挙げてひたすら乏しきに耐えて、九原則実施して行くことによつて中間安定でなくて、我々といたしましては終局的の安定があるとこう思つております。積極的な産業復興と安定という基礎の下に始めたのである。これから大いに生産力の発展の方面に、海外貿易を始め国内産業すべて努力しなければならないのでありますが、ともかく今回作らんとする均衡予算も前回の均衡予算と同様でありまして、できるだけ冗費を節約いたしまして、財政インフレが起きないように、こういう見地から予算を組んでおります。尤も所要経費はどしどし計上いたしております。前には産業インフレ、財政インフレと相待つてインフレの波が激化しておつた次第でございますが、今や折角停止したのでございますから、この際暫く我慢していただきたい。もとより総理大臣は一番公務員給与のよくないことを心配しております。それで伝えられるような実はボーナスというようなことも考えたらどうかというようなこともありましたが、今淺井君の所管されるところの人事関係給与制度から至難であるということが分つておりますが、尚あえて言われたというのは公務員給与がよくないから何とかいたしたいという心持から、ボーナスといつたような制度を考えたらどうかという言葉で現われたんだとわれわれは考えておる次第でございまして、即ち昭和五年乃至九年に比べますと、やはり実質賃金は低いのでございます。少くとも昭和五年乃至九年に比べても相当低いのでありますから、我々は高賃金を拂つているとは決して思つた事はございません。併しながら今のところ終戰後といたしましては、六千三百七円というのが実質賃金で一番高いところへ来ております。もとより木下さんのお経験の深い一般産業労働者の賃金に比べますと、二千円くらいの差はあります。その点甚だお気の毒に思いますがとにかく今回作るべき総合均衡予算は六千三百七円を基礎にいたしております。本日はこの明年度の一般予算についての審理を閣議でいたす次第でございますが、このペースが崩れますと、今度は総合均衡予算が崩れ、即ち健全財政が崩れる、そうなると段々他の方にも響いて来て、結局端的に申しますと、物価と賃金の悪循環ということになりますので、やはり財政の專門家や経放の專門家で、もまだインフレが止つたわけではないと言う人すらあるわけでありますが、我々はまあインフレは安定したと、こういう考えでおります。そこで今暫く我慢して頂けば必ず春遠からずである。こういうふうに考えております。尤も宿舎の関係とか、或いは超過勤務については、大体例えば十時間超過勤務がありましても、予算がないから三時間しか超過勤務手当を出していないというようなこともございます。これではいかんから、正直に勤務しただけ政府としては拂うべきである。又諸手当の充実を期すとかによつて、そうしますと、先ず懐に入る関係からいたしますと、実質賃金は相当上ることになりやしないか、又交通関係で今相当悩んでおります。賃金に比べますと交通費は非常に高うございますから、定期パスなども安くすることを考えておりますし、又幾分でも交通費を支給できるならばというので、折角財政当局において給与とは別に交通費を幾分支給するというようなことも考えておる次第でございます。それから又かたがた減税というようなことも大いにやるつもりでございますし、取引高税が廃止されますと、物価の方面も幾分楽になつて来るのではないかと思います。そういうようなあらゆる総件的の施策をなしまして、実質賃金の確保或いは多外の向上に努めまして、官公吏諸君の生活難を打開して行く、こう考えておる次第でございます。
  31. 木下源吾

    木下源吾君 どうも長官の話を聞くと正にこの賃金を据置くということは全く妥当であるというように聞えるのでありますが、根柢はインフレーシヨンを克服するためには止むを得ない措置である。こういう一点に盡ると思うのであります。そこで成程予算は均衡予算であるから、この面においてはインフレを克服することはできる。金融においても赤字金融はしない。併しながら物価はすでに政府自身が認めておられますように、二十四年度の当初から輸入食糧に対する補給金の関係からでも十三%もこれはみずから上つておることを御承認になつておる。その他にも、政府が当然認められた米価の今度の決行も恐らくは前年度よりもどのくらい上るかはもう申上げるまでまないと思います。そこで賃金を上げれば物価も上る、悪循環がインフレになる、こうおつしやる前にすでに物価は上つておる、この点はどうも私共承服できないことであるのでありますが、尚その犠牲を勤労階級においてこれを負え、こういう線を明確にせられるならばこれは別でありますけれども、只今申上げるようにドツジ、ラインにおいて二十四年度から施行して来たことで、今安定を得ておる。而もそのことは賃金を上げないで今後行こうとする有力な証拠であるとおつしやることは徒らに勤労階級にみのみのインフレ克服の犠牲の負担を負わせるということになるのではないか、現実においても地方を歩いて見ましてもお分りの通り、今日のペースでは惨怛たる生活であります。結局このような無理な結果からいろいろな不祥事件が起きておるということも蔽うべからざる事実であります。このような考えで私共もあるわけで、経して賃金は今当り前のところに行つていない。これは決してインフレの要因にはならない。それはむしろ生産増強の面に役立つだけである。かように考えるのであります。すでに今日の状態では生産が夥しく低減しておる、この現状を何とか挺子を掛けなければこれを回復することは至難だということは見解が一致しておるようであります。その挺子は、要するにあとは働くものが生産でき得る給与ということの一点だと考えるのであります。でこのことを伏せておいて、政府が單なるデイス・インフレに持つて行くとか、或いはいろいろ生産を増強しようということの考えは、これは私はもう一応考え直して貰わなければならん、こういうように考えるのです。そこで実際の面において人事院はこれを勧告することは、科学的の根拠の上に立つて勧告するのであります。而も今日の政府の賃金に対する観念は封建時代からの考え方で、この程度でお前らは働け、これでは同じ政府部内におけるところの対立というもの、懸隔というものはひどいものではないかと私は考えるのであります。賃金の面を計算する上において、あの機構を以て人事院が科学的のいろいろの資料の統計を以てやつたものだから妥当だ、こういうことを決めてこそ初めて進歩的ないわゆる政府ではないか、かように考えるのでありますが、どうしても今の論拠を捨てないで賃金を値上げすることはインフレの要因であるというふうな考え方をされることは、私は誠に長官に対してこれは考え違いである、石炭の手当の問題にいたしましても、炭鉱では一俵四銭五厘の石炭を焚いておる、そそうして一トンが幾らになるかというと十五、六円であります。炭鉱労働者はそういう石炭を焚いて、尚賃金というものは一般官公吏よりずつと上廻つておるのであります。それでも生活が苦しいというので、御案内の通り各地に賃金に関する闘争が捲起つておるのであります。一方においてはあなたの御考え通りであつても、二千八百円、二千七百円という石炭を焚かなければならん。一方においては一俵四銭五厘、僅かに一円何十銭の一トンの石炭を焚いておる、こういう労働者があるのであります。こういう点についてもう少しこの給与ペースに対して政府考えて貰わなければ、生産というものの今後の見通しは暗澹たるものではないか。幸いにして長官は最もこの内閣において進歩的な人と我々は承知しておるのでありますが、この機会において緊褌一番、人事院勧告があります前にぺース引上げに用意ありという声明を一つして頂きたい。どこまでも総理大臣のおつしやることに追いて行かなければならないというもんではなかろうと思う。どうか一つ長官にもう一遍考え直して頂き、色よい一つお回答をして頂きたいと思うのであります。
  32. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 特に一言だけお願いして置きたいと思うのですが、インフレーシヨンを克服する政策を政府が苦心しておられるのですが、今御説明なつたのですが、併し要はインフレーシヨンを克服するということが現在置かれておるいろいろな悪條件と同所に解決されないのじや意味がない。そのために他を全部犠牲にされるというのでは、やはり政府としても困るのじやないか。特に問題となるのは国家公務員法ですが、官房長官は労働大臣をしてよく御承知のように、国家公務員の争議権とか、団体交渉権というものを奪つておる。その関係も十分お考えつて、そうして今政府は政策上給与ペースを上げるべき條文を無視され、やはり国家公務員が団体交渉権や争議権を禁止している條文を無視して団体交渉権乃至は争議に訴へても、その責任政府にあるというようなことになつて政府としては困られるのじやないか。そういう点もあるから、今木下委員の言われたような点、このインフレーシヨンの問題だけじやない、国家公務員法によつて争議権を奪つてある、その公務員に対してやはり特にこの点を十分考えて新給与ペースのことを考慮されたいと希望するものであります。
  33. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後二時五十六分散会   —————————————   出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    理事            木下 源吾君            小串 清一君            宇都宮 登君    委員            大山  安君            寺尾  博君            羽仁 五郎君            岩男 仁藏君   国務大臣    国 務 大 臣 増田甲子七君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務官    (法制局長)  岡部 史郎君    人事院事務官    (給与局長)  瀧本 忠男君   説明員    運輸事務官    (鉄道監督局国    有鉄道部財政課    長)      紙田千鶴雄君