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1949-11-09 第6回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月九日(水曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○引揚援護予算に関する件 ○上椎葉電力工事に関する件 ○お年玉つき郵便葉書等の発売に関す  る法律案第五條の社会事業団体に引  揚者団体を指定するの件 ○昭和二十三年一月以降就職した公務  員の給與に関する件 ○未復員者給與法の一部改正に関する  件 ○ソ連地区帰還同胞数に関する件 ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 千田正

    委員長千田正君) それでは委員会を開会いたします。  本日の委員会は前以て公報に御通知申上げた通り引揚援護予算に関する件、引揚者緊急対策に関する件、中共地区引揚者証人として出頭要求に関する件、昭和二十三年一月以降就職した公務員の給與に関する件、四件でありますが、最初本日見えておられますところの政府部内の方々は、大蔵事務次官長沼次官人事院給與局慶徳次長厚生省医務局宮崎次長田邊援護局長、並びにこの引揚者緊急対策の中に今日上椎葉の問題がありますので、日本発送電森総務理事が見えております。  取敢えず最初引揚者に対するところの援護予算に関する件につきまして、大蔵次官が見えておられますから御質問ありましたらば各自から御質問をこれから始めて頂きたいと思います。
  3. 田中利勝

    田中利勝君 第五国会において政府失業者、その内訳が大体明らかになりまして行政整理企業整備、或いは引揚者というものを引括めて百八十八万と承知しておるのですが、その引揚者諸君の問題が、この問題が政治責任において十分援護の手を差延べなければ、やはり今日社会不安というものの一つの要素になるのじやないか、従つてこれらの人たちに対して温かい援護の手を延べるということは、取りも直さず予算的措置を講じなければならない、而も補正予算が組まれつつあるときに、先ず第一に厚生住宅生業、そういう方面に対する予算措置が現在まで如何になされつつあるか、具体的にどれだけまで、今年度予算が出されるかという点を大蔵当局からこの際明らかにして頂きたいと思います。
  4. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 予算的な観点から簡單にお答え申上げます。  引揚者の問題はリリーフ・フアンドとして取上げられる問題でございまして、内閣一本で解決できるという問題じやないと思います。それで先ず御承知引揚げて参りましたときの税関の措置、かねがね御承知であると存じますけれども、今まである有価証券とかその他いろいろのものを預金証書とかというものを持つて来られた際には、それが見返りと申しますか、それを見返りにして千円なら千円というものを給付するというような考え方でおりましたのですが、これはそうじやない、財産の一部分を給付をするということではない、それはそれで默つてつて帰る、ただリリーフと申しますか、救助資金的な意味で、何分の給付をするという観念に切換えて参つたのであります。これは金額的には余り多額ではございませんけれども、引揚者に対する観念上の制度としては大きい問題と私は思つておるのであります。それから帰りましてからいろいろ厚生省措置がございますが、予算的な方面から申しまして住宅の問題、生業資金の問題、それから未復員者家族方々に対する何と申しますか、給與の問題というようにカテゴリーが分れて来ると思います。それで住宅の問題は昨晩からいろいろ交渉に入りましたが、只今数字的にはつきり申上げることはできませんですが、補正予算において相当金額を盛り得るであろうということは申上げ得ると思います。  それから生業資金補正予算におきましても、相当の増額をするということはまず大体御約束を申上げてもよいというように存じております。  それから未復員者給與の問題、これは私詳細に存じませんけれども、これは関係係官参つておりますから、そちらの方面から御説明申上げることができると思います。  それから更にこれは引揚者方々の特別の措置というふうにはつきり枠をつけて申上げ得るかどうかということは問題でありますけれども、入植の問題があります。これについても予算的には主として住宅の問題になると思いますが相当措置を講じて参りたいと思います。今申上げ得る点はその四点に集約されると思います。
  5. 北條秀一

    北條秀一君 お伺いしますが、財産の一部の見返りという観念をすべきだということは私も承知しておりますが、いつ頃あつたかということがはつきりしないので、大体いつ頃にそういう観念を切り替えたかということを一つ明らかにされたい。現在私共はソヴイエト代表部に陳情に参りまして、ソ連から帰つて来る連中は労働賃金の残りをソ同盟において貯金しておる。だからそれが剰つておるから、それを持つて帰れるものなら持つて帰りたいということを向うに懇請しておりますが、その際に彼等が例えば、従来通り千円を貯金の中から持つて来た場合に、これに対する措置大蔵省として考えておるか。
  6. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 財産の一部の見返りだという観念はつきり切り替えまして、とにかくリリーフ・フアンドとしてなにがしかの金額をお渡しするというようになつたのは本年六月三日であります。これは北條委員承知通り大分前から頑張つておつた問題であります。  次の問題はソヴイエトの問題でございますけれども、これは私から申上げるまでもなく御承知と存じますが、イギリス領留用者の問題それから満州の問題、それから今状況が違つて来ておると思いますが、南京方面留用者の問題、全部関連した問題でありますが、仮に向うで現金の給與を受けて持つて帰るというような事態になりますれば、これはぜひともそれだけのものはただで通して貰いたいということをはつきり折衝すべき筋のものだと思います。
  7. 北條秀一

    北條秀一君 これを通すということは、従来通り大蔵省令によつて百円の枠内のことを考えておられると思いますが、持つて帰つた場合に、それを日本金、円と交換して本人に渡すというふうに私は受取つたのですが、そういうお考えですか。
  8. 千田正

    委員長千田正君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  9. 千田正

    委員長千田正君) 速記をつけて……。
  10. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行でお願いして置きたいと思います。今資源庁は誰か見えておりますか。若し見えてなければ委員長からちよつと催促して下さい。資金関係では大蔵次官も見えておられますから、資金課長が見えておられなければ次官にお伺いしたいことが四つばかりあるのですが、それは講和会議が近いということにつきまして、大蔵省として一般在外財産についての何らか具体的な検討をば始めなければならんというようなことをお考えになつておられるか、その点を一つ。  もう一つは第五国会施政方針演説でもそうですが、本年度帰還者に対しては、相当定義援護その他について強化するということをば、総理大臣初めしばしば言明されている。ところが一体どのような点が強化されているのか、それが予算措置の上に現れているか、私は具体的に挙げられるものがあつたらば挙げて見て頂きたいと思う。あれだけ大きく宣伝して、本年度帰還者に対して一体何を強化せられたか、その点を一つはつきりと承つて置きたい。それから七月十六日に大蔵大臣が、「私只今考えといたしましては、見返資金につきましても住宅の建設にも使つて行きたい。これは外国でもマーシヤル・プランは住宅に使うということもできておる。こういうことで戰災者、特に引揚者住宅問題を解決すべく努力をいたしておるのであります。今ここで予算上どれだけ、或いは見返資金からどれだけということは、お話し申上げる時期に達しておりませんが、そういう気持で努力いたしておるのであります。」こう述べておられます。これはどのようにその後検討されて、どのように大蔵大臣が言つた通り努力され、どういう見通しがついているのか承わりたい。  それから「次の失業保險の問題につきましては御尤もでございまして、まあ技術的にはいろいろの点があると思うのでありますが、今の引揚者状況を見まして特に」、ここに大蔵大臣はつきりと答えている、「特に考えなければならん問題だと思つて検討いたしております。」こう言つて大蔵大臣は七月十六日当委員会において明言された。それでここで技術的にはいろいろの点がある。こういう工合大蔵大臣は述べておりますが、技術的には問題は一つもない。これは労働省から前の委員会においてもすでに技術的には何ら差支えない。法案の改正もそう面倒でない、当然そういう段階に持つて行くべきである。という見解を課長はこの委員会で言明しております。我々の関係方面との折衝においても明らかに失業保險適用者であるということを言明されておる、そういう段階にあるのでありまして、技術的の問題ではもう問題はない。問題は大蔵大臣が特に考えなければならぬ問題だと思つて検討しておる、それだけ大蔵大臣考えておるのであつたならば、この問題は解決がつかなければならぬ。その点について僕は長沼次官から一つ責任のある大蔵省の態度を明らかにして頂きたいと思う。  それからこれは後程でもかまいませんが、簡單なことですけれども、援護庁次長も見えておられますし、施政方針演説関係がありますからちよつとお尋ねして置きたいのですが、昨日の施政方針演説の中に八万幾ら帰還したということを総理大臣は言われたわけですが、この八万幾ら根拠はどこから出たのか、その点を本委員会において明らかにして頂きたい。
  11. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 最初の御質問在外財産の問題でございますが、これは申す迄もなく非常に大きな問題でありまして、過去四年くらいの日時を費しまして非常な研究をいたしております。我々として要望すべき点につきましては、先ず後世に憂いを残すことのないような研究はできているということを一つ御了承願いたいと思います。  それから引揚者定着援護の問題を具体的に申し述べろというお話でございますが、これは要するに帰つて来られた方々住宅問題、それから生業資金の問題、更に申しますれば入値の問題というふうなことに分れて参ると存じます。これは総合されて大体こういうふうな処置になるというふうに御判断願うより仕方がないと思いますが、これは今数字的にはつきり申上げる段階に到達いたしておりません。でございますけれども、少くとも昨年度よりも減るというふうなことはないということを一つお含み置きを願いたいと存じます。それから見返資金住宅との問題でございますけれども、これは引揚者住宅という色をつけまして全体的に見返り資金を使つて行くというような方法が良いか悪いかという相当微妙な点があると存じます。一方一般的に予算の面におきましては、引揚者住宅というものを少額ではございますけれども、我々事務的にできる限りのことをいたしまして、或る程度金額を盛り得るような措置はでき得ると存じますけれども、ことの性質から申しまして、住宅政策全般の問題が見返資金の使用ということに関連して、相当の見返資金によつて住宅政策に寄與するということは筋として十分成り立ち得ることであると存じまするけれども、その中に特に引揚者住宅という看板を掲げて参ることが何と申しますか、実効を收め得るかどうかということはこれは余程考えて行かなければならん問題だと存じます。  それから失業保險のいろいろな技術的な問題その他につきましては、私詳細に御説明申上げるような知識がございません。関係係官でも参りましたら一つ……。
  12. 岡元義人

    岡元義人君 今のは非常に大事な問題でございまして、引揚者住宅ということを表に出して行く、どうこうということは別に申す必要はないのでありますが、併しマーシヤル、プランの中で見返資金からこれを使用するということは、要するに戰災ということが私は主眼になつているのじやないか、欧州におけるところのいろいろなああいう戰災というものを考え合してこういうふうな方法が採られているのだ、だから日本においても当然こういう戰災引揚者等住宅問題というものはあの援護見返資金の中から考えられて行つて筋が通つているのだ、こういう工合大蔵大臣の御意見を承つたのですが、併しその線が今までのあらゆる面においてどういう交渉がなされているのかちつとも表面に出て来ないのです。その点大蔵省はこれだけはつきり大蔵大臣が言明しているのですから、この点についてどのような交渉が続けられ、どのような経過を辿つているのか、見通しがあるのかないのか、そういう点を一つ承わりたい。この点を一つ長沼次官が知つておられる範囲において我々に知らして頂きたい。実際に試みられておられるのか、努力中であるということを言明しているわけですか。
  13. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 住宅の問題は只今の御質問のこの見返資金と関連して解決するという一本の筋がございますが、又別に一般公共事業費の中で庶民住宅というふうな観点から公共事業の中の枠の中で考えるという一つの問題があり、更に又公共事業費以外に住宅金融という建前で解決をして行くという一つの筋があります。  それからそこで御指摘の第三の筋といたしまして、見返資金に関連せしめて行くという問題が起つて来るわけでございますけれども、今までのところははつきりと申上げますと見返資金の解放と申しますか、これが思うように私共が希望しておりますような速度で行われてはおらない。今取上げられておられます問題は電力とか石炭、鉄鋼、肥料、化学、造船というふうな範疇に属する、何と申しますか直接生産的な方面資金放出ということが先ず最初に取上げられておりまして、住宅の問題というのはそういう範疇には今直ぐに表に載つて来ておりません。従いまして問題は見返資金住宅を作るか作らんかということであるよりは、むしろどういう資金源によつて住宅ができるということが問題であつて、見返資金から出るか出ないかということは、これは何と申しますか大した問題じやないと思います。ではつきりと申上げますと今のところ見返資金放出ということから申しますと、住宅問題は相当後順位に置かれておるという状態でございます。
  14. 岡元義人

    岡元義人君 さつき長沼次官説明されました本年度定着援護は、昨年よりも減じておるというようなことはない筈だと、こういう御説明があつたのです。私が質問いたしましたのは勿論昨年度よりも減じております。それから更生資金が僅かに七千円から一万五千円に増額された。併しながら交付世帯数に対しては考慮されていない。全体的な巾の面においてもこれはむしろ交付世帯数は減つて行くわけです。一万五千円に殖やしたけれども、それだけの貸付対象予算処置においては殖やしておらんのですから減つているのです。住宅対策にいたしましても、昨年度よりも本年度は減つておる。そこでいわゆる三年間苦労して帰つて来た者と、四年間苦労して帰つて来た者とその留守家族に対する生活限度というものが、相当変化がある。そういうような情勢の変化に伴つて強化されるということが、一応我々としては当然なことなんですが、而も総理大臣や皆んながはつきりとあれだけ方針として中外に発表しておりながら一体どこを強化されたのかということを聞いておるのです。一体何を本年度帰還者に強化されたか、失業保險も與えていなければ何にも與えていないということは、一体あれだけ大きな発表をしておられるなら、何を強化されたという点を強調されておられるのか、その点をはつきり承わりたい。数字の上では全部昨年度よりもずつと減つております。而も昨年度帰還者予定数と、今年度帰還者予定数というものは別にそう大した差がございません。どこでそういう工合数字を減して、本年度はどういう新らしい試み政府として考えられたか、そういう点を伺いたい。
  15. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) これは引揚者対策として何か特別に新らしい試みを何と申しますか今まで考えておつて問題以外に取上げるということは御説のごとくございません。でございますが、失業保險の問題のごときは新らしい大問題だと存じます。これも経過は御承知と存じますけれども、一生懸命努力いたしておるのでありますけれども、政府の意図するような結果がどうも招来できなかつたということに終つております。でございますけれども、これは更に努力を続けるつもりでございます。  それから予算的には、まだ昨年より減つておるというふうにはつきり言明されますことは、或いは少し時期が早くはないかというふうに存じます。
  16. 宮崎太一

    説明員宮崎太一君) 只今岡元委員の、昨年総理施政方針で述べられました八万五千の数字でございますが、それはナホトカ及び大連樺太等の全部を合計いたしますと約八万五千になるのであります。
  17. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつとその内訳を……。
  18. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) ちよつと今詳しい数字を持つておりませんが、ナホトカからの帰還者だけははつきり分つております。ナホトカからの帰還者は七万七千四百二名であります。
  19. 北條秀一

    北條秀一君 只今長沼次官から、在外資産の問題については、後世に残し得るような研究成果を持つているというようなお話でございましたが、実は十一月の六日に第六回引揚者全国大会が開かれまして、その席上におきまして、在外資産の問題が中心の議題として論議されたのであります。その論議されました中で、その結果に基づきましていずれこの特別委員会、又は国会外務委員会等に問題が具体的に持込まれるわけでありますが、今次官が言われましたそうした立派や成果があれば、その成果国会外務委員会なり、或いは、本特別委員会に提出する、或いは研究資料として提出し得る段階にあるかどうか、これを先ずお聞きしたいと思います。
  20. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 恐れ入りますが、ちよつと速記を止めて頂きます。
  21. 千田正

    委員長千田正君) 速記を止めて。    〔速記中止
  22. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて。
  23. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 先程の大蔵次官の、万全を期して準備をしておるというような御答弁でありましたが、在外資産根拠でございますね、数ということについての御調査には触れておいでになるのですか、どのくらいあつたか。団体財産のことについては、可なり私共承つておるのですが、個人財産の方についてどういうふうなあれがあつたか、一向私達深く存じないのでありますが、その点はどうなんですか。
  24. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 個人のそれぞれの資産幾らあつたか、預金幾らあつたか、財産幾らあつたかというようなことは、これははつきり申しますと、具体的にそれぞれの方の調査をするということになりますと不可能だと思います。そこでこれは、大体法人の財産に対しまして何割くらいの程度にあるかというふうな一方で推測の柱を一本建てて、それから更に、例えば大連なら大連という所で通常の生活を営むとすれば、店舗においては一坪当り幾らぐらいの財産価値になるであろうか、それから御婦人であるとすれば、どの程度の衣服なり装身具を持つておられるであろうというふうな推測をいたして参るよりいたし方がないと存じます。
  25. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 それも一つのやり方かと存じます。前に大蔵省個人から届出をおさせになりましたあれは、どのくらいな参考にお使いになるのでございましようか。
  26. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) これははつきり申しますと、あの報告書というものは実に信憑性がございません。それから、甚だ政府といたしましても手拔かりと申しますか、計算の根基というものがはつきり具体的に研究が積んだものでございませんので、非常な重複計算がありましたり、脱落しておるものがございましたり、例えば銀行でありますというと、五億円の預金があると、一方において五億の貸出が一緒に計算されておるというふうな、あつさり申しますとそういうふうな事例が沢山ございまして、それをもう一回再検討するという仕事がもう大変な仕事なんです。併し、これは殆んど全部終つております。
  27. 北條秀一

    北條秀一君 今の問題について、先の在外資産報告信憑性がないという話でありましたが、それについて私共も若干検討しなければならん点があるのでありますが、このことだけは長沼大蔵次官はよく銘記して置いて頂きたいという希望を一つ申上げたい。  それは、御承知のように、帰りました当時各人政府から支出された金は一人一千円です。その僅かな金の中から各人在外資産についての報告をしまして、あの報告をするために、それぞれ三百円なり五百円なりという費用を実は要しておるのです。その金が全国連合会諸君の申出によりますと、一億数千万円に達するであろうということを言つておるわけです。それだけの大きな犠牲を文無しの引揚者にかけたということは、非常に大きな政治責任であるというふうなことも考えられるのであります。この点を次官はよく銘記して置いて頂きたい。
  28. 岡元義人

    岡元義人君 今北條委員の言われたことは、一つ僕からもお願いして置きますが、これは非常な問題です。たつた千円しか持つていない金の中から三百円というと、旅費や紙代や手数料だけでも三百円は取られる、これは大概県庁所在地で作成しておりますから、県庁所在地まで金をかけて集まつて来ております。それも考慮して頂きたい。  それからもう一点長沼次官にお聞きして置きたいのは、恩給の問題です。恩給外地のいわゆる恩給金庫に担保を入れておつたのが、凍結というと言葉が適当じやないか分りませんが、それで解除になつた。ところが大蔵省は我々が合点の行かない問題が一つあるのは、外地で借りた金を日本においてこれを差引して交付するということが現に告示されておる。これは一般在外資産と関連して、こういう点については大蔵省は含みを以てやられたか、それともただ差引くものだけを差引けばいいのだ、こういう簡單考え方からやつてつたのか、これは重要な問題だと思います。いわゆる在外資産解決つかないときに、外地で借りた金は内地で取立てをする、そうしてこちらで拂うべきものは拂つていない、こういうことになるわけであります。その点はどういうところに根拠を置いて大蔵省はやつたか、これを一つつて置きたい。
  29. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 誠に申訳ございませんが、大変技術的な問題でございまして、私今御即答申上げるだけの知識はございません。研究いたしまして一つできるだけ早い機会に御答弁申上げます。
  30. 岡元義人

    岡元義人君 現にこれはすでに告示が出て、このような処置がされておる。その点は前の委員会でも私はどなたかに申上げて置いたのです。これはどつちでもいい。これは六百万引揚者にとりましてどつちでも結構なんです。ただ大蔵省は取るものだけ取るのだという観念じやなくて、とにかく外地における負債をば全部内地で取立てておるということさえ認めて頂けば、今後において六百万引揚者としては考えがあるわけであります。その点だけお含み願います。
  31. 千田正

    委員長千田正君) 外に御質問ございませんか。  それでは第二の項目に入りまして、先般来岡元委員並びに九州引揚団体からの要望がありまして、上椎葉電力工事関係する問題についての要求がありましたので、ここで一応委員会において皆さんの御審議を頂きたいと思います。
  32. 岡元義人

    岡元義人君 実はこれは前国会当時にも厚生大臣初め当委員会のお骨折りで、上椎葉発電所に対し、九州引揚者救済事業とこれを考えまして、相当計画的に非常に大きな規模を以て、九州引揚者団体及び各県はあらゆる会合を催しまして、そうして相当段階まで具体的に進んで参つてつたのであります。ところが全九州新聞が取り上げております通り引揚者救済炭鉱開発の不能、どの新聞にも出ております通り、非常に大きな問題となつて来たわけであります。この点につきまして当委員会の好意によりまして進んで参つた大きな問題であります関係上、何分全国引揚者三分の一を擁している九州でございますから、問題は非常に重要な問題であります。この際具体的な見通しについて承わりたいのでございます。先ず国会におきましても衆参両院の議員の方々九州全部の代表が集まりまして、先だつて以来しばしばこの問題についての今後の対策についての質問が行われて参つたのでありますが、はつきりしたいわゆる見通しというものはまだ握られておりませんが、そこで先ず第一番にお聞きしたいのは、この九州中を騒がしている問題でありますけれども、これをどの新聞を見ましても、いわゆる優先順位というものが発表されているのであります。この順位を発表したのは一体どこが発表したのか、この点を先ず一応承わりたいのであります。これは大蔵省資金課か、それとも資源庁と言いますか、開発の方からか……。お答えできますならば森さんの方からお答えをして頂きたい。誰がこの順位を各新聞に発表しているのか、これから伺いたい。
  33. 千田正

    委員長千田正君) 日本発送電の森さんお答え願います。
  34. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) 私は日本発送電の森でございますが、本年著工することになりました三十三ヶ地点の順位の問題でありますが、これを決めます前に各地帯の電力事情を一応GHQに説明をいたしました。勿論その前に資源庁とも相談をした結果でありますが、戰争中に実は著工いたしまして竣工を見ないで止めたものが相当あるのであります。先ずそれを開発することを先にやろう、それからその次に新らしい地点でもありますが、それは電力事情の悪いところからやる、そういう順序でやつてつたのであります。それでエイド資金の性質から考えまして余り長期に亘るものは自然順位が下つたのであります。従いましてこの順位が高く、早く出て参りますものは、小さい工事で早く出来上るもの、一、二年間にできるものというのが先に出たわけであります。九州で水力地点と申しますというと甲佐、それから津江川という、これは非常に小さい地点でありますが、これは水力地点としては割合に早く出ております。それから上椎葉のごときは、これは水力地点の一番最後から二つ目に上つておりますが、これは御承知通り水力としては九州としては誠に大きな、八万キロの出力でありまして、建設資金といたしましても六十八億ばかりかかるのでありますが、竣工には五、六年を要する、こういうことでありまして、GHQの方といたしましては、これを順位を高く持つて行くことにつきまては、非常に難点があつたのであります。一方私共といたしましては、電力を供給するという立場から、水力開発によらないで早くやるということから考えますというと、火力発電所をやるということでありまして、現在著々やつております戸畑、小倉のボイラーの増設、港第二のボイラー、タービン両方ありますが、これをやります。それから名島の火力、それから筑上の火力、こういうものを新らしく作りまして、そうして九州の現在の非常に窮屈な電力事情を早く救いたい、こういうつもりで行なつておるのでありまして、この点上椎葉が順位が低いということは私共非常に残念に思つておりまして、日本政府といたしましてもGHQにお願いしておるはずでありますが、先般もこの問題は九州から出ておられます衆議院、参議院の方々の協議会が開かれまして、この問題につきまして数位を早く前に持つて来るということで御奔走を願つておるわけであります。私共もそれと同様に一方やつておるのでありますが、とに角まだ今年着工することになつておりますこの三十三ヶ地点のこの資金は、日発といたしまして百十億ほど必要なんでありますが、まだその金がちつとも動いていない。最近動くように聞いておるのでありますが、先ず最初に動きますものは継続工事だけでありまして、今年新らしく着工するものにつきましてはまだなかなか動きそうな模様が見えないのであります。
  35. 岡元義人

    岡元義人君 そうしますと、この順位というのは、これは資源庁及び大蔵省資金課との協議に基いてこういう順番ができたんだ、こういうように開発の方ではおつしやるのでありますか。
  36. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) これは勿論そうでありますが、GHQと一つ一つの問題につきまして、実は非常に細かい計算をしておるのであります。これをやればキロワツト・アワー幾ら出る、そうすると建設費が幾らかかつて、一キロワツト・アワーに幾ら、それよりかこの方が順位が高いじやないかという、細かい点を計算しまして順位が出ておりまして、勿論資源庁と私の方ともこの順位につきましては相談をしまして、そうして大体GHQもこの数字より動かないところまで、今のところでは行つておるのであります。
  37. 岡元義人

    岡元義人君 どうもはつきりしないのですが、結局私達が今までお聽きしましたこの間の九州の各選出議員からの質問等に出したあれの大蔵当局の回答、資源庁の回答と、今森さんの回答は非常に喰違いがあるように考えられます。というのはとに角これをA級に持つてつて、もつと早くやらなければならないということをば資源庁ではこの間長官から承わりました。また大蔵省としても別に資金関係でこういう順位を発表したようなことはないように承つておる。一体この新聞に伝えられておるのは各新聞、毎日、朝日、違うように出ておるのです。これは私は開発がこういうことを出しておるのではないか、日発自体の何で出しておるのではないか、かように考えられるのでありますが、この点一つはつきりして頂ければ、そうしてどこに隘路があるのか、我々としてもその隘路をばはつきり握つて、又委員会のお世話にもなり、この問題は解決つけて行かなければならん、かように考えておるのであります。その点一つ今日は正式の委員会でありますから、明らかに一つ森さんから御答弁して頂きたいと思います。
  38. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) その点は私共が勝手にこの順位をつけたわけではありません。日本政府も同一な意見であります。私共としましてはこの点をなるべく早くやりたいという気持を非常に持つておるのでありまして、まだ実はこの点につきましては宮崎県から水利使用許可が来ておりません。にも拘わらず、我々はなるべく早く着手したいという考から、地元の交渉に少し移つております。先般も堰堤より少し下でありましたが、将来工事の差支のありそうな所の民家を二戸ばかり買つたような報告が来ております。そういう意味でありまして、この地点を早くやりたい、九州の皆様にも御期待に副いたいという気持を持ちまして、GHQにもこの問題を、この順位を上げて貰いたいということを申上げておるのであります。その点は一つ日本政府方々にも、この点は、順位は私共だけでなしに、同じような気持で持つておるということを御了承願います。
  39. 岡元義人

    岡元義人君 長沼次官ちよつと伺いたいのですが、大蔵省、あなたの今知つておられる限りのことを一つ御回答できましたら、こういう工合に非常に、この委員会電力とは関係は別にないのですが、ただもう各新聞、御覧になる通りに非常な期待を持つていたわけなんです。この委員会が請願を採択いたしまして、そのときに厚生大臣、開発総裁、その他もこの委員会によつて、今後の九州引揚者の就職という問題で非常に眞劍にこれは検討されて来た問題なんであります。ところが、たまたまこういう事態に立到りまして、非常に大きな衝動を九州引揚者に與えておるわけであります。今森さんのお話を伺つておると、どうも開発だけの問題じやない、こういうようなお話を承わるのですが、資源庁長官に言わせれば、いの一番にやらなければならない所である、こういうようなこの間御答弁があつたのでありますが、どうもそこのところがはつきりしない。開発に言わせれば、日本政府はこういう工合に言う。片方から言わせると、どうも日発の内輪において一向この問題が進捗しそうにない、こういう工合にも仰せられる点が多々ありますし、大蔵省としてはどのような見解を持つておられるのか、次官の知つておられる範囲においてお知らせ願いたい。
  40. 長沼弘毅

    説明員長沼弘毅君) 甚だ申訳ありませんが、どうも具体的な知識を私は持つておりません。ただ原則的に申上げますと、大蔵省といたしましては見返り資金を産業資金に使うという、資金方面で司令部との折衝に当るということでありまして、本の計画が如何あるべきか、又順位がどうであるかということは、大蔵省は決してイニシアチヴを取つてタツチはいたしておりません。
  41. 岡元義人

    岡元義人君 もう一点……。今森さんは宮崎県では水利の申請も来ておりませんと、水利権の問題にも触れられたんですが、今宮崎県知事も上京して参つておる。そうして、三ヶ月前にこれは提出してある、こう言つております。どうも話が我々には納得行かないのですが、もつと具体的にでも見通し等について御説明が願えるならば、今の大蔵省の御説明にもありました通り、どこに一体こういう責任があるのか、我々掴むことができない。資源庁長官はA級であつて一番先にやらなければならんということを、この間衆参両院議員の委員会のときに申しておられる。それで一体いつからやるのかということまで、各議員からの質問が出ておりました。そういう点についても十一月、十二月……十二月には或いは無理だ、或いは年があけたらという、そういうぎりぎり一杯のところまで政府側としては話を持つてつておるのですけれども、併しながら日発側で片方ではどしどしこういう工合新聞には発表されて行く。誠に不可解である。もう少し我々の納得行くような御説明を森さんに一つお願いしたいと思う。
  42. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) この宮崎県から水利使用認可が来ていないということは、これは事実であります。まだ来ておりません。恐らくこれを宮崎県から出されます前に、中央の政府に、こういう案で出そうと思うがどうかという禀議を恐らくされたもんだと思います。その内容を私共も多少承知しておるのでありますが、そういう程度でありまして、まだ公式の文書としては私共は頂戴しておりません。  それから先程も申しましたように、エイド資金の使い方につきましては、長く掛つて初めてそこで効果を発生するようなものについては、実は非常に評判が悪いのであります。GHQの中で……。そういう意味におきまして、この上椎葉が六、七年も掛かるということは、それでは水力を開発しないで火力をやつたらいいじやないか、こういうことはGHQから言われるのであります。先程申しましたようにボイラーを増設するなり、新らしい会社を作り火力発電所を作るということが、今度問題として取り上げられたのであります。
  43. 北條秀一

    北條秀一君 この委員会はこの問題につきましては、先に請願を採択しておりますので、当然政府はこの請願を如何に扱つたかという問題について、政府責任ある回答をする義務があるわけです。従いまして早急にこの問題は委員長から政府に回答を要求して頂く、それから更に今の質疑応答を聞いておりますと、非常にこと詳細に入つて参りまして、まだ十分処理する段階に私自身は到達しておりませんので、もう少し私は我々と当事者との間に打合せをして、そうして委員会に持ち出すようにすべきじやないかということを考えるのでありますが、非常に時間も過ぎましたので、この際休憩をして頂くという私は動議を出したいと思います。
  44. 千田正

    委員長千田正君) 只今北條委員の御提案の中の、前国会におきまして上椎葉の問題は当委員会におきまして取上げて、まだ政府からはつきりした回答がないのは誠に遺憾であるから、委員長から更にその正式の回答を要求するように、この点につきましては皆さん御異存ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 千田正

    委員長千田正君) 右の点はさように取計います。
  46. 田中利勝

    田中利勝君 今岡元君から電力開発と引揚者の就職問題にも関連していろいろ御高説を拜聽しました。特に日発の関係者もおられるので、私も東北の引揚者の就職問題と関連をして只見川の電源開発について日発案なるものの説明をこの際お聞きしたいと思うのです。御承知通り日発が計画されておる案というものを聞いて見ますと、大体只見川本流、或いは伊南川支流十七ヶ所の発電所の開発に伴う一年間の増加発電力は六十億キロワツトと聞いております。従つてその電源開発の年限が長期に亘り、而も十ヶ年間に亘るということを聞いておりまするが、このことは大きな失業救済とからんで、特に東北地方では問題になつておりますし、延いてはこの問題は中央の問題にもなつておるように承つておるのであります。併しながらこれを聞きますと、A案とB案と二つの案が出て、そのどちらを採るかということが今日中央の問題になつておりますが、これに対する日発のその見通しにおいて、日発案でそれが開発されるものかどうかということをこの際御説明願いたいと思います。
  47. 千田正

    委員長千田正君) 田中委員にちよつと申上げますが、引揚者を多数に使用しておるところの今の上椎葉の問題が引揚委員会として取上げて問題になつたのでありますが、今のあなたのおつしやつた只見川の発電となりますと、これはむしろ建設委員会か、或いはその他の委員会においてこの問題の質疑をされた方がよいのではないかと思いますが……。
  48. 田中利勝

    田中利勝君 それは承知しておりますが、引揚者と関連しておりますから、ちよつと概要で宜しいですから……。
  49. 千田正

    委員長千田正君) それでは森さん簡單に……。
  50. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) 只今その資料を持つて来ておりませんので、私が記憶しておりますことを、間違つておるかも知れませんが申上げます。お話の只見川の開発は二通り案がありまして、一つは福島県の中を流れておる川であります。福島県の中でそれを開発するという案が、これが日発案といいますか、安本とも打合せをしてできた案であります。  ところが一方もう一つの案というのは、途中からそれを新潟県に落します。新潟県の小千谷という駅がありますが、あの附近まで落して発電所を造る。従いましてこの日発案といたしましては、田子倉という地点があるのでありますが、その下を流れまして、阿賀野川の本流へ入つて、結局それが阿賀野川となつて日本海に注ぐのであります。下の方に奥只見以下の宮下とか新郷というような発電所が現在あるのでありますが、その発電所に増設をいたしまして、そうして出力を増加する。新らしく造る発電所は十七はないのであります。従つてこれを十年とか何とか言つておるのでありますが、これは需要と一つは見較べて行かなければならんという問題があります。それから只今問題になつております電気事業の再編成の問題がありまして、若しもGHQが言つておりますように全国を七ブロツクに分けるということになりますと、実はこの地帶には水力開発をやらなくても大体行けるのでありまして、むしろ足りない九州とか中国とか近畿、四国方面発電所を造る必要があるのでありまして、この問題ともからんでおります。このままずつと行くということになりますと、あの発電所を開発しまして、そうして超高圧の送電線で中国辺まで持つて行けると思いますが、そういうことも考えられると思います。将来の需要の伸び方にもよりますので、十年ということを申上げていいかどうか分らんのでありますが、少くとも十年くらいかかるだろうと思います。又これを日発でやりますかやりませんかということも、いろいろ問題になると思いますが、先般ウエステイング・ハウスのミスター・フロアーも来て調査したようでありますが、どの点までこの発電の開発に対して興味を持つておるかということも分ると思います。
  51. 千田正

    委員長千田正君) 先程北條委員から休憩の動議がありましたが、委員長としまして皆さんにお諮りしたいのは、一時休憩をしまして、そうして午後の会議におきましては、相当重要な問題がまだ引続いてありますので、十分に御討議頂きたいと思います。
  52. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 午後も森理事はおられるのですか。
  53. 千田正

    委員長千田正君) 皆さんが若し御要望でありますれば、森さんの御都合を伺いまして、御臨席を願いたいと思います。
  54. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 若しおられるのだつたら、私は午後にいたしますが、若しおられないのだつたら、一点だけ今お伺いしたいと思います。
  55. 千田正

    委員長千田正君) 今引続いてでしたら、時間がありませんから、簡單に願います。
  56. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今北條委員の提案に対して、委員長から、政府を通じて、採択になつた問題だから、政府からということでありました。勿論それに対して政府からの回答があるのは当然だと思いますけれども、一つ森理事に伺つておきたいと思いますことは、例えば今の上椎葉の問題に対して、森理事の会社におきまして、これをやられる熱意があるかないかというこの一点でございます。その熱意が今まであつたのかなかつたのか、或いは今後に対してその熱意があるのかないのか、簡單でよろしゆうございますから……。
  57. 森壽五郎

    説明員(森壽五郎君) その点は私共は何といいましても相当金がかかりますから、自分の資金ではこれは到底できません。その意味におきましてエイド資金の方にお願いするより外に方法はないのであります。そのことからいいますというと、GHQを納得さして、そうして順位を上げる外に方法はないと思います。
  58. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 委員長から休憩のお話がありますが、本員は人事院の給與問題について引揚者に関連する問題について質問を持つておりますが、果して政府委員が午後出席できるかどうか確かめた上でして頂きたいと思います。
  59. 千田正

    委員長千田正君) お二人とも御臨席願えるそうであります。  時間も正午を過ぎましたので、一時半から午後の会議を開きたいと思います。  その前にちよつと委員の方にお願いしたいことは穗積委員からの要望がありまして、朝鮮の引揚同胞の方から陳情がある筈でありますので、ちよつとの間委員の方々お残り願いたいと思います。
  60. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 誠にお忙しいところですが、北鮮の方々が常に方々に陳情になつておりますが、今日こちらに上りまして、又これから別々にも皆様によくお願いして行きたいというのでおられます。なんなら一応簡單一つお願いして置いたらどうでしよう。
  61. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 穗積委員にお尋ねいたしますが、若しできましたら、この北鮮に関しましての御陳情ですが、時間が許しますならば午後の劈頭に一つ十分聽かして頂いた方がいいのじやないかと思います。如何でしようか。はしよつておるときに伺つてもどうかと思うのです。じつくりと……。
  62. 千田正

    委員長千田正君) 皆さんに諮りいたしますが、先程北條委員からしばしば休憩の動議を提出されておりますが、これにつきましてこれから一時間の休憩をしたいと思いますが、如何でございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  63. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 午後の日程ですね、今人事院の問題ですが、前国会から問題になつて遂に政府委員をお呼びするにも至らなかつた問題で、北鮮の陳情の次に取上げて頂きたいと思います。
  64. 千田正

    委員長千田正君) まだ沢山ありますから……。そういうふうに取計います。順番に……。それではこれから休憩に入りますが、午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後二時四十六分開会
  65. 千田正

    委員長千田正君) これより休憩前に引続き委員会を開きます。  本日の議題になつておりますところの引揚者に対する援護対策並びに昭和二十三年一月以降就職した公務員の給與に関する件、この問題につきまして御審議願いたいと思います。
  66. 岡元義人

    岡元義人君 政府側の方の出席全部揃わないのでしたら至急揃わして頂きたいと思います。それから人事関係今見えておりますか。
  67. 千田正

    委員長千田正君) 只今お見えになつております方は大蔵省の中西給與課長がお見えになつております。
  68. 岡元義人

    岡元義人君 実はこれは厚生大臣援護庁長官に特に出席して頂いてお願いしたい問題でありますが、緊急を要しますので一応この委員会で決議して頂きたいと思うことなんであります。と申しますのはこの度お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律案が衆議院を通過いたしまして、本日参議院の郵政委員会で審議されております。この法案の第五條には「郵政省は、社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体に対する寄附金を郵便に関する料金に加算した額の郵便切手又は郵便葉書(お年玉つき郵便葉書を含む。)を発行することができる。  2 前項の団体は、郵政大臣が、郵政審議会にはかつて指定する。」こういう工合になつておりますので、その団体の指定ということに対しましては、厚生大臣と協議する必要があるのではないかというので、只今郵政大臣と質疑応答を重ねて参つたのですが、郵政大臣の回答によりますと、厚生大臣が指定するところの団体にこれをやらせる、こういうことだそうであります。これはお正月の前に発売するものでありまして、非常に切迫しておりますので、できますならば、今まで社会事業団体というものの中で、引揚者連盟という団体を厚生大臣が認めておりながら、何らこれに対する面倒を見ておらないのであります。そういう関係からも折角こういう法案が通過する際でありますので、委員会が決議いたしまして、全国引揚者連盟、各県の団体は厚生大臣の指定を受ける団体である、受けさして頂く、このように委員会から積極的に厚生省を動かして処置されるように私は要望したいのであります。
  69. 千田正

    委員長千田正君) 只今岡元委員の提案されました要望事項につきまして、各位の御意見がございましたら……。
  70. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 岡元委員にお伺いしますが、それは今日ですか。郵政大臣がそういうふうな厚生大臣云々ということの発言をされましたのは……。
  71. 岡元義人

    岡元義人君 本日であります。
  72. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今岡元委員の言われました件につきましてそうしたふうなんですので、日本には引揚者団体全国連合会というのは、ただ一つ厚生大臣の認可するところの団体でありますが、たまたまお年玉云々というような件につきましては、是非引揚者団体にいわゆるこれを扱わせる、又扱はせなければいけないのだというような点を、厚生大臣をしてそれぞれの関係方面に伝達して頂くような方法委員会として推進して頂きたいと思います。私は岡元委員の提案に対して賛成をいたします。
  73. 千田正

    委員長千田正君) 岡元委員からの提案に対しまして淺岡委員から賛成の申出がありましたが、皆様如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 千田正

    委員長千田正君) 御異議ないと認めますので、早速これを当委員会の決議としまして、厚生大臣並びに郵政大臣に申入れることといたします。
  75. 岡元義人

    岡元義人君 参考のために申上げておきますが、大体一億五千万円という金がこれで浮かんで来るわけであります。
  76. 千田正

    委員長千田正君) それでは給與課長がお見えになつておりますので、星野委員から提案されております昭和二十三年以降就職されました公務員の給與に関する件につきまして……。
  77. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 これは給與課長よく御存じのことと思いますが、御承知のように現行法で二十三年一月から就職した公務員が給與の面で非常に不利な取扱いになつておる。それ以前に就職していた者は勤続年限が加算されるわけですが、たまたまその二十三年一月までに就職していなかつた者は、それが外の一般の者と違つて、三号俸以上になれないというような規定があるのでございます。これは実際問題としては引揚者に非常に深刻な不利な事情を招いておる。というのは、引揚者は二十三年一月前に帰つて来た人が非常にありますが、正規な就職をしたのがどうも二三年一月以後になつておる者が非常に多いのであります。結局この規定は引揚者に特に不利な條件になつておるわけであります。そこでこれが何の必要でもつてこういう規定を設けたのか、それから今後これを改訂してこうした引揚者に不利でないようにする方法、それについてどういう障碍があり、どういうところを取除いてやつたらこれができるか、この点を承わりたいのであります。
  78. 千田正

    委員長千田正君) 星野委員にお伺いいたしますが、只今人事院の給與局次長の慶徳さんがお見えになつておりますが、どつちがいいですか。
  79. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そうですね。分る方から願いたいのでありますが。
  80. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) 只今質問になりました点につきましては、現在のところ新給與実施本部の権限になつておりますので、人事院といたしましては新給與法の実施面については関與しない建前になつております。併しこの国会に新給與法の改正法律案を御提出いたしてあるのでありますが、その中味としましては、現在の新給與実施本部を廃止いたしまして、実施面一切のものを人事院において責任を持つて処理をする意味合の改正法律案を提出いたしてあるわけであります。従つて国会の御賛成を得まして、その改正法律案で人事院の権限に移るということに相成りまするならば、今の御質問の問題につきましても私共の方において処理するというようなことになろうかと思いますが、現在のところは新給與実施本部の権限になつておりますので、実施本部の方からお答え願つた方が却つて実際に即するのではなかろうか、かように考える次第でございます。
  81. 中西泰男

    説明員(中西泰男君) 只今お話の点につきましては、お説の通り二十三年の一月以降それぞれの級に応じまして最高三号俸までということになつております。これは新規採用になる者すべてに通ずる原則になつておりまして、引揚者のみに限らず、新規に採用される者すべてにまあ適用されることになつておりますが、その原則は現在の初任給、昇給、昇格等に関する例の政令四百一号と申しますか、それの方にも決まつておりまして、その規定を今後御質問の御趣旨のように如何に改めて行くか、どういうふうに引揚者に対する適用を緩和して行くかといつたふうな御要望の点につきましては、只今人事院の給與局次長から御説明のありましたように、本国会に提案になつておりまする新給與実施本部の廃止に伴いまして、人事院の方で実情に即してお考え願つた方が適当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  82. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 只今の御返答では要領が得ないのですが、私が質問したのはどういう事情でこういう規定を設けたか、こういう規定を設けたことがどういう利益があつたか。結局こうした方が国家財政面としていいというような考からこれは訊いたわけなんで、その原因を知らないと、今後それを解決して行くのが分らないので、作られた方から伺いたいのです。
  83. 中西泰男

    説明員(中西泰男君) その時当如何なる理由で三号に認めたかという事情につきましては、私の承知する限りにおきましては、すでに給與面においては職階制の精神に則つて処理するという点から、それぞれその職務に応じて級の格附をいたしますと共に、その級について初任給の場合には最高三号までに止めるということにいたしたように承知いたしております。
  84. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 人事院の方に伺いますが、今の問題ですね。こういう事情で、職階制の事情によつてこういうことになつたというのですが、私から説明いたしまして、如何に引揚者一般がこのために非常な不利を招いておるかということが明らかになつたと思うのです。それでこの問題をどういうふうに解決される意図を持つておられるか、これを伺いたいと思います。
  85. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) 先程もお答え申上げましたように、実施本部の権限が完全に私共の方に参つておりませんので、何と申しますか、はつきりした考え方を申上げる段階には至つていないのではなかろうかと存じますが、ただ人事院といたしましても、当然給與関係の問題は所管いたしておりまするので、今の段階における考え方と申しますか、ということにつきまして簡單にお答え申上げて見たいと思います。只今中西大蔵省給與課長から御説明がございましたように、現在の新給與法はちよつと、あいのこではありまするが、職階制の方針を採つてつておるわけであります。別にこの国会に私共の方から、いわゆる本物の職階制の法案を提出する予定になつておるわけであります。職階制の制度が完全に実施されるということに相成りますというと、いうまでもなく各職種を細かに分類いたしまして、その分類いたしました職級に応じまして、それぞれの細かな俸給額が決定されるということを予想しておるわけであります。而してその場合における今お話の初任給の問題でありますが、職階制の精神からいたします場合においては、定められました各職級の最低号俸からスタートを切るということが基本的な考え方になつておるわけであります。ただその場合問題となりますのは、引揚げの方方が何級の職階に結びつけてやろうかということ、例えば現在でございますと一級から十五級まで御承知通りございます。そのうちのどの級に格付けをするかという問題は、法律の上においては全然触れておらないのであります。これは專ら現実に即しました運用の問題でございます。例えば或る特定の人が三級に格付けされました場合には、原則として三級一号が初任給になりますということになるわけでありますが、反対にその人が五級に格付けされました場合には、又五級の一号というのが初任給になるわけであります。従いまして号俸の問題もございまするが、その前に何級に格付けすることが適当かというところの問題が一つの又大きな問題ではなかろうかというふうに考えております。将来職階制が完全に実施されました曉においては、職務の内容を仔細に分析いたしまして、同時に採用されます人が、その人の資格要件が例えば五級にふさわしいものという場合には、五級に格付けをするということに将来はなる予定でありますが、現在は完全な職務分析も行われておりませんので、なかなか何といいますか、級の格付けにつきましては、運用上の問題において相当解決される問題があるのではなかろうかというふうに、私率直に考える次第であります。
  86. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 只今お話だと、今のところは運用上では解決できないことになつておるわけですね。資格、能力があつても三号給ということになつているわけですね。今のお話だと改正法律案が通つた曉には運用してもどうにもならない、こういう弊害が除去されるということに相成るわけですか。
  87. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) 大変喰い違つたように思うのでありますが、現行の法律におきましても先程申上げました級の格付けと、その場合の号俸と問題が二つあろうかと思うのであります。まず以て号俸に入ります前に何級に格付けすることを適当とするかという問題がむしろ先に立つのでありまして、その場合に三級に格付けする、或いは五級に格付けするという場合については、法律的に何らの制約も受けておりませんが、原行法においても運用上の面において或る程度のことはなし得るのでなかろうかという意味でございます。而してその場合において或いは三級職なり、或いは五級職というふうに格付けされました場合には、その号俸は原則として一号からスタートを切る。曾ての経験年数を折りまぜた場合においても、最高三号俸までが止まりであるというふうに現在なつておるということでございます。従つて級の格付けにつきまして、運用の点において或る程度処理される面があるのではなかろうか、こういう意味でございます。
  88. 岡元義人

    岡元義人君 もう一つここで委員会委員長からお諮りして頂きたいことがございます。それは今慶徳次長も見えておりますし、給與課長も見えておりますから、後程いろいろ検討されると思いますが、併し問題は、先程祕密会において河野主計局長から説明を承つた範囲においても、大体の今後の当委員会で取扱つております未復員者給與法改正には難点が相当あるということが予想されるのであります。そこで委員会といたしまして御相談して頂きたいと思いますことは、只今政府提案となつております六百、六百、四百の改正法案に対しまして、万が一この委員会に、改正案が今会期中に結末を見ることができないというような場合においては、あの改正案は、これをば大蔵委員会においてそのまま審議して貰つて通過させるか、或いは一応今会期中は、その及ぼすところの影響が僅か二百円でありまして、全国に及ぼしますところの対象者は極く僅少でありまして、むしろそういうような僅少な対象者だけに限定せずに、この際委員会は飽くまで正しい筋道に則つたいわゆる正論をば、関係方面にも了解して頂くまでこれをば主張して行くか、この点をば一応検討しておく必要があると思うのであります。若し最惡の場合におきましては、現在中共地区から帰つて来ておりますところの婦女子の状態は、誠に気の毒な状態にありますので、何とか政府をして緊急手を打たせなければならんかと思うのであります。その際におきましては、お手許に配付されておりまするところの本年引揚緊急対策に関する決議をば上程するかしないかということも、一応委員長からお諮り願いたいと思うのであります。
  89. 千田正

    委員長千田正君) 只今岡元委員から提案された問題は、当委員会としましても非常に重大な問題だと思いまするので、本日は定員の数が十分ではないのでありますが、皆さんの一応の御意見を承つておきたいと思います。お諮りいたします。
  90. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 この件につきましては、岡元委員からも一応説明がございましたし、又今委員長からお話もございましたが、この問題については今日の委員会といたしましては、各党から委員が出ておるのでありまするから、一応持ち帰つて頂いて、そうして次の委員会にお諮り頂くというふうにされては如何かと思います。
  91. 千田正

    委員長千田正君) 岡元委員からの御提案につきまして、只今淺岡委員からも更に御提案がございましたが、岡元委員の御提案は御尤もと思いますので、ただ今日は残念ながら委員の数が十分じやありませんので、各党にお持ち帰りの上十分御検討願いまして、この次の委員会においてこの問題を取上げたいと思いますがいかがでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 千田正

    委員長千田正君) さよう取計らいます。
  93. 岡元義人

    岡元義人君 それで結構ですが、すでに法案が関係方面へ配付されますので、委員会としての決議をば、関係方面にもお話いたさなければならないので、非常に短かい会期でありますので、できるだけ早い機会に委員会の態度を決定して頂くようにお願いしておきたいと思います。
  94. 千田正

    委員長千田正君) 承知いたしました。  次の問題としましては、引揚者に対する緊急対策に関する問題は、午前から引続いて、大体の問題は一応は恰好がついてような状態でありますが、尚、その中に含まれておる要素は、相当広範囲に亘りますので、従来この問題の中に含まれておつたソ連との関係の問題、或いはソ連大使館との交渉の結果、その他につきまして、御報告願えるならば、淺岡委員からの御報告を伺いたいと思います。
  95. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 これは私委員会の委員としてでなく、同胞救援議員連盟帰還促進部長という立場におきましてなら御報告ができるかと思いますので、これは御報告でなく、むしろ陳情だと思います。委員会としては、これはオヒシヤルですから、この委員会がGHQを経ずして、直接陳情に行つたとか、折衝に行つたとかということはあり得ないと思います。少なくとも同胞救援議員連盟の、そうした立場においてやつたということでありますならば一応申上げてもいいと思います。
  96. 千田正

    委員長千田正君) 淺岡委員のお説御尤もでありまするから、特に委員の御出席も誠に不十分でありますので、淺岡委員のおつしやる陳情という問題につきましては、できるだけ皆さんが出席した上においてお願いしたいと思います。
  97. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 速記一つ止めて下さい。
  98. 千田正

    委員長千田正君) 速記を止めて。    〔速記中止
  99. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて。
  100. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 私はこの特別委員会におきまして、一つ重大なる決意をして頂きたいと思います。と申しますことは、この六月から連合軍の非常なる厚意によつて引揚が再開をされたのでありますが、六月の船団、七月の船団、八月の船団、九月、十月の五船団の完了は、十月四日を以て一応終つたのであります。昨日も総理大臣の施政演説の中に、六月の末日以来今日まで約八万五千名の人が帰つて来たということが、昨日の施政演説の中に言われておるのであります。ところがこの八万五千名の人が帰つて来たということの区分けをいたしまするならば、誠にあと残るところの十一月分で以て、果してその九万五千名になるか、どうかという問題も、留守家族のものに取りましては、誠に心配の極地に達しておるわけであります。それを区分けいたして見ますると、大体ナホトカから帰つて参りました数は、約七万七千四百二名というような数字になつておるのであります。それから樺太の真岡から帰つて来たのは四千七百十名ということになつております。大連からの引揚げが、山澄丸、高砂丸の二船で二千八百六十一名ということになつておるわけであります。六月の二十一日に、同胞救援議員連盟の各位が、ソ連大使館に行かれまして、そうしてコテリユコフ政治最高顧問補佐官にお目にかかりましたときに、今年は六月から十一月までの間に九万五千名を帰えすということを申されたのであります。九万五千名というものは捕虜であるか、どうかということを聞きましたときに、それは捕虜であるということを申されたのであります。そうすると、捕虜というものは、どういう規定によるのかと申しますと、これは連合国の国際條約における捕虜規定を以てするのだ。そこで然らば、その九万五千名というものは捕虜であり、それ以外の一般地方人というものは、九万五千名の中に含むか、含まないのかということを聞きましたときに、それは含まないということを申されたのであります。そうした点から考えて見まして、このナホトカから帰つて参りました七万七千四百二名、この大半は捕虜だと思うのであります。そうしますと、この十一月の配船で一万七千五百九十八名というものが、帰つて来ないと九万五千名に充たない。勿論今は輸送のさ中でありますから、当然これは帰つて来るものとは私共了承いたすのでありますが、帰つて来るものと思います。ただ問題は、今までこの肉親の許にソ連当局の厚意によつて通信が許されております。その通信が各自肉親の許に通知されておる、送られておる。それから一方、六月の二十六日以来、今日まで帰つて来た人達のいろいろの声を聞きますと、その結果、あのAの男はあそこの收容所において働いておつた。或いはBの收容所に元気でおつたというような数字を、いろいろと加算いたしますると、この通信による、或いはそうした情報による数を加算いたしますると、五月二十日のタス通信によつてソ連地区におると思われる者は、十万四千九百五十四名というものが現存しておる。そのうち九万五千を還して、あとの九千九百五十四名というものは戰犯容疑その他の原因で還さないというようなふうに御発表になつておるのであります。そこで今日この引揚もいろいろ十一月分の船が配船されました暁において、九万五千が還つて来た。さてあとの九千九百五十四名というものは、いつ還して貰えるのかという問題が一つと、更に通信連絡があり、一方あの男はあそこで元気で働いておつたというような点を総合いたしますと、そこに大きな数字の食い違いが出て来る。更にサンフランシスコにおいてシーボールト議長が、三十一万の日本人はシベリヤ地区において消えてなくなつたということをはつきりと言われておるのであります。そうした点をいろいろ考えて見ましたときに、どうしても今の日本国民としてこの数字の問題というものは、大きく心配して来るわけは当然であります。一方ソ連当局に行きました方々の言を伺いますと、ソ連政府の発表を認めないとかいうことを再三言われておりまするが、私共は敗戰国民といたしまして、連合国の保障下にある今日は、どうしても連合国の発表を信じないわけには行かない。そこでこの連合国の発表以外の国々の発表をお互い国民としてはどうしても信じられない。そうした点を思い返して参りまするときに、先ず当委員会といたしましては、政府当局に向つて各都道府県に来ている肉親への通信のその数はどのくらいあるのか。それからもう一つは還つて来た人たちから、Aの男は元気でおつた。Bの男はどこの收容所に元気で生きておつたというような数字を、一応政府としてこの委員会に発表して頂きたいということを当委員会から強く要請をして頂きたい。強い要求をして頂きたい。この点を各委員にお諮り頂きたいということを私提案するものであります。
  101. 千田正

    委員長千田正君) 只今淺岡委員からソ連地区におけるところの未帰還同胞の数の問題の確実なる報告政府要求したいという御提案がありました。この御提案に対して如何いたしましようか。
  102. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 只今淺岡委員の御発言の結局の結論は、向うから通信があつた人、それから帰つて来た人が生存を確認しておる人の数を、はつきりした数を出せという結論だつたと思います。でまあこれに至るいろいろの議論には異論もありますが、この点は私も是非政府要求する必要があると思うのです。併しそれが單に各県が何人だ何人だというような合計の発表でなく、むしろ事実各県の何の某が何日通信があり、誰から報告があつたという一覧表を要望すべきだと思います。これがなければ実際に力強い交渉が何にもできないので、この精密な調査、これを早急に要望すべきだと思うのであります。
  103. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 関連しまして……。私が申上げました点について、或いは説明の足りない点があつたんじやないかと思いますが、若干補足させて頂きます。それはよくその留守家族方々なり、或いは各引揚のいろいろな会とか、大会とかいうものにつきまして、これはソ連当局に対して、或いは連合軍司令部に対して日本人の生存者、死亡者の姓名、数を発表してくれということを歎願、懇請されております。そうした点から考えて見て、まず日本政府はそういうふうに通信がどこの県ではいくつあつたと、それから帰つて来た人の生存者の確認ということについては、勿論都道府県の誰それというような、やはり細かいものを、又明確なるものを発表して頂きたいということは、これは私先程ちよつと申し落しましたが、附加さして頂きます。
  104. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつと淺岡委員にお伺いしたいのですが、調査要求書は議長名で以て要求しなければならない。そこでそれを要求されるのか。それとも委員会において回答させるようにするのか。どちらの方法をお取りになるのか。
  105. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 その問題につきましては、これはなかなか、決意から言えば誠に簡單な問題であります。ちよつと速記を……。
  106. 千田正

    委員長千田正君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  107. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて下さい。
  108. 岡元義人

    岡元義人君 もう政府側の出席が今日は困難のようでありますので、今日は委員会を打切りまして、明後日十一日に、本会議の都合もありますから午後一時から、水産関係の緊急問題については、今日のうちにお願いしたかつたのでありますが、御出席がありませんので、水産庁関係の出窓を要請すると同時に、大蔵省関係が今日も折衝を続けておられますので、その結果をば報告して頂いて、丁度明後日から法案の方も関係方面との折衝段階に入ると思いますので、是非明後日午後一時から委員会を開いて頂くということを提案したいと思うのであります。特に今日決議されましたお年玉つき郵便業書の取扱い社会事業団体に連盟を入れて頂くという交渉を、速やかに厚生大臣から郵政大臣に申入れして頂いて、その結果をばこの十一日の委員会報告して頂くように、委員長から連絡を取つて頂きたく、以上提案いたします。
  109. 千田正

    委員長千田正君) 只今岡元委員の御提案で大体御了解になつたと思いますが、その前に今日の議題の一つであるところの中共地区引揚者証人としての出頭要求に関する件というのがありますが、この証人喚問は、ここで喚問するその人を決定して頂きたいと思います。
  110. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 大体一週間くらい前でないと、今日ここに資料として出されたもので見ますと、東京近在の人ばかりでもないようでありますから、やはり一週間なり、十日なりの日時を今日の委員会におきまして御決定頂きたいと思います。要すればそのうちの人名等も御決定頂ければとそれを提案いたします。
  111. 千田正

    委員長千田正君) 只今淺岡委員から御提案がありましたところの日時の点は、一週間か、十日といたしますと、十八日あたりはいかがでございますか。
  112. 岡元義人

    岡元義人君 これは大体十日という、証人の場合においては今までのなにがあるわけですね。
  113. 千田正

    委員長千田正君) 大体そういうことは分つておりますけれども、誠に短い期間の臨時国会なので、できるだけ遠い方はこの際遠慮して頂いて、近郊の人達を候補者に選ぶという意向があるのですが、如何でございますか、十八日に決定いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 千田正

    委員長千田正君) それなら本月の十八日に中共地区から引揚げて来らた方を証人としまして、ここでその報告を聞く委員会を開きます。そうしてこの候補者の人名につきましては、それぞれ各方面から申出がありまして、例えば只今参つておりますのは淺岡委員からの推薦、それから引揚同胞救援議員連盟から推薦、並びに日本共産党からの推薦という三通りがありますので、この人選につきましてはこの委員会を閉じた後、残られて一応決めて頂きたいと思いますが、如何でございますか。
  115. 岡元義人

    岡元義人君 これは委員長、理事に私は一任するということにしまして、その選考を一任する。そうして十一日の委員会の冒頭にこれをかけて頂くことを提案いたします。
  116. 千田正

    委員長千田正君) 只今岡元委員の御提案に御異ございませんか。
  117. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 異議はありませんけれども、一応今日御決定願えると言いましようか、或いは御決定できなければ一応候補者だけでも挙げておいて頂いた方が、委員長、或いは理事の間で御決定願う上においても便宜じやないかと思うのでございますが……。
  118. 千田正

    委員長千田正君) 厖大な候補者がありますが、只今申上げておきますが、中共地区引揚者証人候補者としまして、淺岡理事から推薦されておる分は、金子第二船団長、それから第二船の引揚者江島治平という方であります。同胞救援議員連盟の推薦としましては、関弘、水谷國一、水谷さんは元滿鉄の調査員であります。現在品川の常盤寮におられます。石堂清倫、この人は元大連の労働組合の委員長、現在やはり常盤寮に住んでおられます。金子麟、この人は大連赤十字病院の副院長でいわゆる金子第二船団の長であります。山上三郎という人は元牡丹江の在住の人、河村丙午、元大連在住の人であります。いずれも常盤寮に住んでおられます。これが同胞救援議員連盟の推薦であります。それから日本共産党から五、六名推薦して来ておりますから、日本共産党から推薦された方は今の議員連盟から推薦の方とだぶつておる人がありますが、山上三郎氏、石堂清倫氏、水谷國一氏、河村丙午氏、これはだぶつております。その外に吉野一郎、この人は通化から引揚げて来られました品川におられます。山崎英三、この人は奉天、現在やはり品川区、清川時次、これは鶴岡炭鉱、現在熊本県に住んでおられますが、遠い方は御遠慮して頂いて、できるだけ近郊の人を選ばれて、殆んどこれに推薦して来られた方は現在東京都内に住んでおられる方々であります。共産党の方とだぶつておる方もありますので、一応この選考につきましては、先程岡元委員の提案されたように、選考のあれを御委任願えれば選考したいと思います。
  119. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 委任いたしますれば、数や何か比較はどういうふうになつておりますでしようか。
  120. 千田正

    委員長千田正君) 数は大体十八日一日でこの会を終りたいという皆さんの希望なのでありまして、一日でやるとすれば人数としましては五人乃至六人くらいが適当じやないかというのが、この間の理事と委員長の打合会で理事の諸氏からの御要望でありました。
  121. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そういたしますと、数の振り分けに対して意見を申しておきますが、大体山澄丸と高砂丸と全然違う質なんですね、でそれから山澄丸の方は大連からの引揚で、大連と奥地と比べれば奥地の方が残留者が非常に多い関係もあるので、重点を高砂丸へ置かれる。そうすると六人とすると四対二くらいの割合にされたい。それから高砂丸の方から帰つて来た人には兵隊、軍勤務の人と軍勤務の人でないこの両方を混えて頂きたい。そうして又実情の報告には一方的であつてはならないので、その点も考慮して配分して頂けばよいのじやないかと思います。
  122. 千田正

    委員長千田正君) 星野委員の御要望十分汲み入れて人員を決めたいと思いますが、ただ今の軍人という問題は、この推薦書の名前には載つておりません。
  123. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今星野委員の御意見誠に結構だと思うのであります、大体大綱をそこに置いて一つ委員長、理事に人選をお任せ願うということにいたしたいと私提案いたすものでありますが、そこでここに今日出て来ておりました同胞救援議員連盟からの推薦は、やはりこれは委員なり理事なりの推薦であつて欲しいと思います。
  124. 千田正

    委員長千田正君) 只今の淺岡委員の提案御尤もと思いますが、同胞救援議員連盟という名前の下の推薦じやなく、むしろ委員の各位から推薦されたということにして差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 千田正

    委員長千田正君) 御異議ないと思います。同胞救援議員連盟という先程申上げた点は取消しまして、委員の各位から推薦されたということにいたします。  それでは只今岡元委員の提案を採用しまして、本日の委員会は閉じて明後日午後一時より本日の残つた問題に対する、或いは新らしく又各位から提案された問題につきまして、更に愼重に審議したいと思います。
  126. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 ここで私一つ緊急提案をいたしたいと思いますが、この証人の喚問は中共地区に限られておりまするが、若し許されますならば、この北鮮地区の人を一名位差加えて頂きたいということを新らしく提案いたします。お諮り願いたいと思います。
  127. 千田正

    委員長千田正君) 只今淺岡委員からの御提案でありましたが、今度の中共地区からの証人喚問の中に北鮮地区からも一名位証人として加えて貰いたいという御要望ですが如何いたしますか。
  128. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 北鮮地区から最近に還つた人がありますか。單に家族の要望というのじやこれは性格が違うと思うんです。
  129. 千田正

    委員長千田正君) いずれこの点も十分理事と委員長との間に打合せをいたしまして御回答を申上げたいと思います。十分に淺岡委員の要望の点は参酌したいと思います。御了解願います。
  130. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 了解します。
  131. 千田正

    委員長千田正君) それでは御質問がなければ本日の委員会はこれで閉会したいと思います。    午後三時四十分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事            淺岡 信夫君            岡元 義人君    委員            田中 利勝君            水久保甚作君            小畑 哲夫君            岩本 月洲君            北條 秀一君            穗積眞六郎君            星野 芳樹君   政府委員    人事院事務官    (給與局次長) 慶徳 庄意君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君   説明員    大蔵事務次官  長沼 弘毅君    大蔵事務官    (主計局給與課    長)      中西 泰男君    引揚援護庁次長 宮崎 太一君    厚生事務官    (引揚援護庁援    護局長)    田邊 繁雄君    日本発送電株式    会社総務理事  森 壽五郎君