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1949-10-27 第6回国会 参議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十七日(木曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件(医  務・保險及び公衆衛生関係につい  て)   —————————————
  2. 岡元義人

    理事岡元義人君) それでは只今から委員会を開会いたします。委員長が衆議院の厚生委員長と打合せのために出向いておられますので、暫くの間代りまして委員長を務めさして頂きます。昨日来医務関係及び公衆衛生関係の質疑の申出がございましたので、この質問をば試みたいと思いますが、今医務局の次長だけしかお見えなつておりませんので、後程保險局及び公衆衛生関係からも、間もなくお見えになるそうでありますが、取敢えず医務関係から御質問して頂くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡元義人

    理事岡元義人君) では谷口委員
  4. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 実は公衆衛生局の方と医務局の両方に関連した問題でございますから……公衆衛生局も直ぐお見えになりますか。
  5. 岡元義人

    理事岡元義人君) 間もなくお見えになることになつております。
  6. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それでは関連事項を後にいたしまして医務局の方にお伺いいたしたいと思います。これも保險局の方との関係があるのでございますが併し医務局の問題にもなつておりますのでお尋ねいたしたいと思います。実は国立医療機関、或いは国立病院とか又は国立療養所などにおきまして特殊の診療取扱が始まつておる。詳しく申しますというと、例えば共済組合組合員学校職員組合員とかいうのが国立病院、又は国立療養所に診察を受けました場合には、それらのものに対してのみいわゆる一部負担と申しまして、初診料をとるのをその初診料拂わんでもいいというようなふうに規定を変更されまして、一般保險医に対しまして保險医の方に患者が来ます場合には、一部負担金を出さねばならないが、国立病院或いは国立療養所に行けばその一部負担本人支拂わんでもいいということに、今回なつたというふうに医務局長から医務局出張所長国立療養所長などに通知されておりますが、これはどうもそういうような差別的にやるということは如何でございましようか。その点についてお尋ねをいたします。
  7. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 具体的なことはちよつと今分りませんので、後程取調べまして申上げたいと思います。
  8. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それからもう一つ同じような問題でございますが、この国立病院とか或いは国立療養所に対しましては、社会診療費請求書を出しますのに、これも普通ならば審査を受けて後に支拂をやるということになつておりますが、その方も審査を受けずに早速支拂ができるというふうなものになつて、かなりこの点も差別待遇なつておるのです。従つて只今一般医者方面で困つておりますのは、診療費がなかなか参りませんで、非常に時期が、遅れますために医者は非常に苦んでおりますが、それにも拘らず国立病院などであれば、そういうことがないというのも、これも非常に差別待遇であると思いますが、その方も伺います。
  9. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 只今の点につきましても一括して後程お答えを申上げることにいたします。
  10. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 医務局関係お尋ねしたいと思います。療養所ベツトを一千五百から五千に増加されるようでありますが、療養所は何ヶ月ぐらい増加されるのでございます。それから療養所その他で沢山整備されなければならないものがあると思うのでございますが、来年は整備をどういうふうになさいますか、整備状況一つお伺いします。
  11. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 国立療養所結核病床増加につきましては、実は当初私共といたしましては、既存の建物に手を加えまするのを大整備と申しております。これを一万一千床程増加する計画を立てております。これは殆んど全部の百四十数箇所の全部の療養所関係を持つたことであります。只今までの予算折衝におきましては四千五百床と頭から切られております。具体的にどこどこということはこれから計画を立てることに相成つておるのでありまして、四千五百床の内訳を申上げる段階にまだ至つておりませんことを御了承願いたいと思います。私共の考え方といたしましては、先ず第一に比較的に経費を要しなくてベツト増加ができるような所にやつて行くというのが一つであります。同時に又その地域におきまして結核のべツトが少い、こういう所も優先的に別の意味において扱う、その辺の考慮をいたしましてできるだけ少い経費で沢山のべツトができますように施設をいたしたいという考えでおります。その程度方針只今具体的に申上げられない段階であることを御了承頂きたいと思います。
  12. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 じや少し今度細かしく入るのでございますが、看護婦のことにつきまして少しお伺いしたいと思います。五月二十日の省令でございますが、学校規則が出たようでございますが、只今までの甲種看護婦学校指定数はどれだけになつているか伺いたいのでございます。この甲種看護婦学校指定なさいまして、あの規則によりますと一校に三人ずつの専任の教諭がいるはずでございますが、教師養成只今のような、何と申しましようか、所を借りて転々とした教育をおやりになるおつもりでございましようか。もう少し養成機関について何か御方針がおありになりますか。それを一つ承わりたいと思います。それから来年度の国家試験予定人員はどんなになつておるのでございましようか。それからそれについての予算はどうなつておりますか一つ承わりたい。それから現在甲種看護婦学校にも指定されない学校が数百あると思うのでございますが、それを乙種として来年か指定になると思いますが、それに対する教員はどうなつておりますか。その点は…それだけ承わりたいと思います。
  13. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 第一に甲種看護婦養成所指定の数というお尋ねでございますが、実はまだ学校養成所指定をいたします委員の任命が書類の不揃いのために完備していない部分がございまして発令になつておりませんものでございますから、具体的な委員による実地の調査も行われない状況でございます。いろいろと督促をしお願いをいたしているのでございますが各委員候補者の方々からの書類の提出が非常に遅れておりまして、そのために今のような状況であります。私の方としては一日も早く指定をする段取りに運びたいと思つているのでありますが、右のような状況只今のところはまだ指定をいたしましたものは一つもない状況でございます。昨日も話した通り、極力努力をいたしまして一日も早く指定をし、それぞれの養成所を安心さしたいと思つている段階でございます。それから専任教員養成機関についての方針はどうかというお尋ねでありましたが、これにつきましてはお話しの通りに今まで他の施設を借りまして、具体的に申しますと、日赤中央病院建物を借りまして養成をいたしておつたのであります。来年度から日赤の方の御都合でどうも借りることが困難のようであります。私共としては他にしつかりした目当てもありませんので、宿舎の関係もありますし、何とか独立の建物をもちまして将来この仕事がうまく進みますようにと思つて本年度予算の要求をいたしたのでありますが、財務当局がどうしても財政緊縮のためということで承知をいたしてくれません。止むを得ず来年度は日赤以外の東京第一病院でありますとか、その他の施設も借りましてやるより外ないと思つておるのであります。  それから来年度の看護婦国家試験受験予定数でございますが、これはいろいろと地方からの実情に対する意見等も取り寄せておるのでありますが、大体一万人くらいの受験者があるであろうという予定をいたしておりまして予算措置につきましても一万人の受験者に対します試験は、来年の秋に一回でありますが、できるような予算折衝は一応国内的には済んでおる状況であります。  それから最後に未指定のものについて特に乙種看護婦養成所についてのお尋ねでありますが、乙種看護婦養成所は、来年度で従来の看護婦養成施設が止めになりますので、引続きましてできるだけ数多くこういうものを作つて行かなければ看護婦の需要に応じ切れないのでありまして、極力進める方針であります。これに対する専任教員養成の問題でありますが、私共は昨年度からやつて今年度も引続き、又来年度も予算上は得られることになつたのであります。一応予算案といたしまして、各ブロツク毎に看護婦養成教育をやつておりますが、ああいうところを出ました者というような條件はぜひ付けなければならないと思つております。中央で一括してやりますだけの予算が今日までのところ見通しがございませんので、そういうような方法で地方ブロツクでやつております幹部看護婦養成講習を終了した者について少くともその程度でなければならないというようにしたいと思つております。
  14. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今国家試験の来年度の受験者予定数が一万人とおつしやつたのでありますが、これは政府の方で一万人受験いたします者に対して再教育をなさる予算がおありでありますかそれを承わりたい。それでなくて来年度の一般看護婦の再教育費用はどんなになつておりますか。この再教育費用が私共の方面ではいろいろな方面影響いたしますのでそれを一つお聞きいたします。  それから甲種看護婦学校專任教員機関転々として移りますが、御承知のように文部厚生両大臣の署名の保健婦、助産婦、看護婦令によります甲種看護婦は六・三・三を済んで三年間教育されるといふことになつておりますので、その上のそれを教える教師ということになりましたら、先に第五国会を通りました国立学校設置法によります大学と申しますか、あの程度学校が要るのじやないかと思います。あれによりますと看護とか保健ということに関することはちつとも載つておりません。これは勿論あれは国立とか公立のものでありますが、のつておらないのでありますが、政府は何とか一つ看護婦教育と申しますか、どうせそれも一つや二つの看護婦学校指定じやないのであります。アメリカ行つてアメリカから帰つて来たような人に教授をさせればいいかも知れませんが、人数不足でありますから再教育をやつておるわけでありますので、将来の見通しを立ててそうした学校と言いましようか、どこかの大学にでも看護学科とか、公衆衛生学科でも、保健学科でも何でも結構でありますからそうした教授教育機関である大学を設置なさる御意思がないかどうか承わりたいのであります。甲種看護婦学校そのものが単科大学に相当するのであります。それを教えます教授大学教授でなければ困りますのでそのことを一つ聽きしたいと思います。
  15. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 最初お尋ねでございますが、一般看護婦甲種看護婦国家試験を受けます人々に対します講習予算ということでありますが、只今手許数字を持つてつておりませんので、御承知通り、前から講習をやつておりますので、前の方から積み上げた数字をお目にかけて御了承願いたいと思います。後程お届けするようにしたいと思います。来年度は只今まで財務当局折衝いたしましたところの数字は、決して従来のものを加えましても、お尋ねの一万人の受験者を全部教育できるというところまで行つておらないということは事実であります。極力予算を殖やしてやりたいと思うのであります。けれども、只今のところはそういう状況でありますことを御了承頂きたいと思います。第二の甲種看護婦養成所専任教員資格は確かにお話の点はあるのであります先日来文部当局話合いをいたしておるのでありますが、文部当局といたしましては、やはり看護婦学校なり養成所を、正規学校教育法に申しますところの大学にいたしますためには、一般的な教養科目を加えなければならない。そういたしませんといわゆる正規大学にはならない。一方看護婦養成の方の方針から申しますると、三年間の看護婦教育の中に一般教養科目を加えますことをいたしますと、今度は看護婦の実体的な教育が不十分になります。結局問題は更に三年の上に半年なり一年なりということで、一般教養科目のために殖やさなければならないという状況でございまして、又看護婦教育ということを、そうした正規大学にしなくてもよいというような意見も一面において教育の面からあるわけでございます。この点はまだ話合が済んでおりませんが、只今段階では従つて看護婦教育ということだけを考え教育課程なつておりますので、普通の大学教員と同じような資格がなくてもよろしいという建前で考えざるを得ないと思つておるのであります。勿論程度が低くてもいいという意味ではございませんが、その意味では実は四ケ月の教師専任教育をやつておりますが、只今段階ではそれ以上のことを望みますことは、一面において看護婦教育の実体の上から無理があるのではないかというようなことを、文部当局の方と話合をいたしましたような実情でございます。
  16. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ只今看護婦教育資格問題でございますが、私はその資格を云々するものではございませんが、と角便利主義とか何とかいうことが、これまで日本看護婦の場合では大きく取入れられたわけでもございませんけれども、そうした意味においてすべてのことをないがしろにやられた、等閑に付せられたというのが、今日私共看護婦教育の方に一面において、大きな影響を来たしておると思うのでございますが、これは資格云云というのじやありませんが、あんなに学校教育法が出ましても、その方面に何の言葉も現われていないということ、それはいろんな点に何と申しましようか、発展をするよりもむしろ縮小するというような嫌いがあるのでございますが、このことを申上げましたわけでございます。この点御考慮になりまして、ただ便利主義便利主義ということも何でございますが、それよりももう少し何かあの法律の裏付けをしますような確固たるものが欲しいと思いますので、この上とも御協力頂きますれば大変結構であると思います。  それからもう一つ教育と申しますか、この再教育に対する看護婦費用は非常に少いものでございますから、本年度も実は厚生省御苦労もよく知つておりますが、厚生省の方の御苦労が非常にいろんな方面影響して参りまして、その影響がいい方面影響になればよろしいのでございますが、とかく誤解が起つたり喧嘩を始めたりしておりますので、そういつたことがございませんように、十分に厚生省自体教育を受けられるような予算をお取りになつて頂くように要望いたします
  17. 小杉イ子

    小杉イ子君 私は看護婦ということにつきまして、政府の今の御意見に賛成するものでございます。看護婦の中でもこれは看護婦に入りませんが、附添とか保健婦なども世話をやつております。併しこの大学教育にするということは全く冗員に近くなつて来るに違いないと思います。一方附添を使う、病人看護させるということになりますと、こういう段階があつて最高まで行かない方がいいと思います。それはなぜかと申しますと、大学を出た看護婦ということになりますと、例えば婦人病なんかになりますと余り格式はないと申しましても、そういう格式の方は病人のおしもの用事をしましたときなどは、看護婦保健婦あたりの方が気が楽で非常に病人が助かると思いますので、看護婦看護婦学校でいいと私は思つておるのでございます。
  18. 岡元義人

    理事岡元義人君) ちよつとお知らせいたして置きますが、只今政府から三木衛生局長と、安田保健局長がお見えになりましたので、お知らせいたして置きます。
  19. 藤森眞治

    藤森眞治君 御承知通り先般アメリカ薬剤師さんが、いわゆる日本医薬分業に関する勧告をされております。これは御承知通り甚だ医薬分業については、古い抗争部面もあるようでございます。随分複雑な問題でございます。且つ社会保障医療の問題が取上げられるということは、必然的なものであると思います。これについては非常に我々は愼重にこの問題を研究もし、又考慮しなければならんと考えております。これにつきまして先般勧告書政府の方に渡されましたが、あのような当時の医療状況が、それについて或いは何か司令部の方の希望や要望、指令とかいうものがございましたならばそれを承わりたい。或いは政府においてそれを、その後どういうふうにお考えが落着きつつあるか。又研究が向けられつつあるかどうか。そういうことがありますならば参考までにお伺いいたします。
  20. 久下勝次

    説明員久下勝次君) アメリカ薬剤師さんの勧告によります医薬分業につきましては、お話通り勧告の中に明記されておるのであります。これにつきましては、私直接勧告を交付せられます場所に立会つていなかつたのでございますが、その席でこういういろいろな内容があるけれども、これはこれを日本実情に応じて実施して、適当であるというような結論に達したならば、実施するようにという口頭説明があつたように聞いておるのでございます。医薬分業の問題につきましては、過去何十年来我が国におきましても、相当論議されておる問題でありまして、いろいろと利害損失があると私共もまあ考えておるのでございます。只今のところこの勧告によりまして、特別な措置医務局といたしては取つておらないのでございます。今日医薬分業に関する考え方は、先般薬事法を御審議頂きますときに申上げたような気持が、まだ只今のところでは私共の方では変つておらないのであります。この勧告に基いて、医薬分業について積極的な措置を取るというような段階には至つておらないのでございます。これで御諒承頂きたいと思います。
  21. 藤森眞治

    藤森眞治君 只今の問題は、少くとも薬事法規定があるので、最近においてこの法律についての改正とか、或いは何とかいうことについては考えておられないというように解釈して宜しうございますね。
  22. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 積極的に私共の方からそういう措置を取らないという考え方をしておるという意味でございます。
  23. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 先刻衛生局長あたりがお見えなつておりませんので控えておりましたが、優生保護法関係のことにつきましてお伺いしておきたいと思います。実は優生保護法による指定医というものができておる。ところがこの指定医が今まですでに指定されておつた、いわゆる條件に嵌まりました、例えば産婦人科的の技術があるとか、設備があるとか、人格があるとかいうような関係指定されておつた者が、他の場所に移転しました場合には、再び指定医申請せねばならんことになつております。ところが最近の事情から申しますというと、或る地方においてこれは実例がございますが、或る地方において地方大学を卒業いたしまして、産婦人科の教室で数年研究しておつた。しかもそれから産婦人科専門で開業しておつたから、自然指定医になる資格がありますので指定医なつておつた。ところがその者が最近郷里に帰りまして、そうして再び診療所を開きまして、指定医申請をいたしました。ところが昨年の十月二十七日から実施されておりますところの医療法の第十三條に、ベツト十九以下の收容力を持つておるところが診療所というふうになつておりまして、その診療所には突発事故がある場合はともかくも、普通は四十八時間以内に患者に一定の処置を加えて帰さなければならん。ところが特別の場合には、知事宛保健所長経由で願い出るならば、四十八時間以上置くことができるというのが医療法に載つているのであります。従つて、この規則ができました当時開業しておつた者は、既得権として三年間の猶予を認められておりますが、十月後に開業した者は、その特権がありませんからして、四十八時間以上は患者の収容はできんということになります。ところが先刻申しました指定医の方は、少なくとも人工妊娠中絶をいたします場合には、多くの場合に四十八時間以上収容せんければならんのであります。従つて、常時四十八時間以上を入院させるようなものは診療所には入れるわけにいかん。従つて指定するわけにはいかんと申しまして、最近都道府県の医師会におきましては、新たに申請をしたり移転をしたものには全部指定医を許可せんことにいたすような模様である。又一方可なり長い間その万両を研究したり、或いは教授をしておつたような者でありましても、診療所の開設をいたしました場合には指定医になることはできんのでありますこれを何とかして救済するということは、その本人を助けるばかりじやなしに、その地方地域患者一般国民の福利を増進させるわけであると存ずるのであります。即ち、若しもそれを指定しません場合におきましては、遠方の病院施設を持つたところに行つて入院したり手術をして貰うというようなことになりますと、非常に経済的にも、或いは時間的にも重々不便をいたしますので、少なくとも指定医限つてそういう人工妊娠中絶の場合のみはこの四十八時間というのを一時除外して頂いて、もう少し日本の各地の交通事情或いは文化の程度が進みますとか、自動車が増加されるとかいう時期が来ました場合には、この今のままでも結構でございますけれども、少くとも現状におきましては、この指定医人工妊娠中絶するときのみは、四十八時間というものに対する猶予をして頂かねばならんというようなふうに考えておるわけでありますが、これに対しまして厚生省衛生局か、医務局の御意見をお伺いしたいと思います。
  24. 三木行治

    説明員三木行治君) 只今指摘になりました現行医療法十三條におきましては、四十八時間を超えて診療所におきましては患者を収容することはできないという規定がございますので、それでは優生保護法施行の方にいろいろな不便があるではないかという御意見であります。その点は、私共もそういう事実を知つておるのでございますが、実は法を御改正になりました当時御存じのように、医療法は昨年の十月から三年乃至五ケ年間の猶予期間をこういう場合に認めておりまするので、同法を施行いたします私共の立場といたしましては、これで当分は差支えないと、かように考えておつたのであります。ところが最近に至りまして、谷口先生の御指摘になりましたようなこと、その外尚困りますことは、診療所については医師会指定医指定をしないというような傾向があるというようなことでございまして、これは何分の措置を必要とするということを考えておるところであります。ただ私共といたしましては、その必要は感じておりまするけれども、猶予期間が、医療機関の普及した所につきましては三年間、普及せざる所につきましては五年間という猶予期間がございますので、医師会等に対して適当な指示をするというようなことで大した支障なしにやれるのではないかというような気持もいたしておつたのでございます。御指摘になりました点につきましては、私共も研究いたしまして、尚医務局ともよく御相談を申上げたい、かように考える次第でございます。
  25. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 医療法第十三條のいわゆる四十八時間制度の問題でありますが、これは端的に申しますると、結局四十八時間以上治療を要するような患者は、医療法の精神から言えば病院でなければならない、病院に入れなければならないという考え方でございまするので、結局その考え方を推し進めて参りますると、病院施設のないような所には、むしろ何らかの手段を講じて病院を造つて行かなければならないことになるのではないかと思うのであります。それにつきましては、優生保護法によりまするところの人工妊娠中絶手術だけは例外であるというようなことを医療法そのもの考えて行かなければならないものと思うのでございます。そういうことに相成りますると、取りも直さず医療法第十三條の規定改正というような面からも考慮いたさなければならないかとも思うのでございます。ただ医療法第十三條の問題が、医療法を御審議頂きますとき以来、いろいろと各方面でまだまだ論議をされておりますることは、私共十分承知をいたしておりまするのでこれらにつきましては、当時お答え申上げました通り、尚十分検討をいたす必要があるとは思つておりますが、この法の規定のままでありますると、御趣旨のような工合にできますかどうか多少疑念を持つております次第でございます。
  26. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の御説明で大体分りましたが、実は病院施設が全国到る所にこれが完備するようになりましたら、それで結構でございますが、これはまあ今の日本の現状といたしまして、各地に施設ができるということは当分見込みがないのではなかろうか。殊に指定医は二、三ヶ村に一人くらいづつはおりませんというと、地方各郡の中心地に行くといたしましても、中心地に病院ができましても、そこまで行くには非常に時間的、経済的の関係がございますので、どうしても普通の病院以上にその指定医はおらんければならんと思いますので、是非一つこれは急速にその点をお考え願いたいと思うのです。実は折角開業いたしまして、土地を買つて設備をいたしまして開業したところが、指定医になれんというので非常に困つておるのがございます。従つて、そういつまでも放つて置くわけに参りませんので、どうしても政府の方におかれてそれを何とかして至急にして頂かなければならんと思います。若しそうでなければ、私共の方においてでも一つ一部改正改正案でも出して見ましようか。併し、私共が出すよりか当局自身でお直し頂けば尚結構であろうと思いまして申上げたような次第であります。
  27. 藤森眞治

    藤森眞治君 医療法によりまする医療機関整備審議会、或いは公的医療機関でありますか、それから診療報酬審議会というものが恐らく設けられていると思いまするが、これらの現在における活動状態、又何かこれによつて或る方針が定められておりまするかということを承わりたい。と申しまするのは、最近国立病院についていろいろの事柄が我々の耳に入つて参ります。例えて申しますると医療救護による医療の報酬の請求が甚だ杜撰であつて、尚且不当なものがあつたというような実例がございますので、而も最近におきましては、医療請求書というものを市町村において審査しております。その審査にかからないからというので、一応それを突つ返されたということの例もあるように聞いております。こういう点に国立病院として甚だ遺憾な点があるのじやないかと存じますのと、それから尚健康保險の入院につきましても健康保險の入院料というものが二十点という規定なつております。うち十点は、これが食費に充当されるのだというような原則のようになつておりまするが、或る国立病院においては、これがその半額くらいしか充当されておらないというような事実があるというようなことも承つておりますので非常に面白からん噂も承つております。それと一方又先程谷口委員からお話もありましたが、公務員共済組合国立病院とが、診療の支拂契約については、基金をくぐらないで直接に行うというような契約が、取決めができたかというようにも承わりましたが、それでは基金が何のためにできたか、政府みずからこの基金制度を潰して行くようなことになるのじやないかというようにも考えられます。その辺について御意見を承わりたいと思います。
  28. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 第一のお尋ねの、公的医療機関整備審議会、診療報酬審議会というものでございますが、只今のところ両審議会とも大体人選を終りまして、もう近く発令になることになつております。併し医療機関整備審議会の方は、いろいろの予算関係等で急を要しまするので、まだ発令前ではございますけれども、事実上お集まりを願いましてそうして先般来二回程会合を開いておりますので、これにつきましては、社会保障制度審議会の社会医療委員会の方との関連がございますので、その方にもお打合せをいたしまして、大体社会保障制度審議会の社会医療委員会の専門部会というような気持で相互連繋を採りまして、今後の審議を進めて頂くようにというようなことで、両審議会に御了解を得ておるような状況であります。国会の議員の方につきましては、医療法医療機関整備審議会の方に入つて頂くわけに参りませんので、国会議員の関係の方は別でございますが、その他につきましては、両審議会を重複して入つて頂いておるような関係もありますので、実体的にも連絡が取れるような点で人選をいたしたつもりであります。また二回の会合を開きましただけでありまして、別段これという結論も得ておらないのでありますが、我が国の医療機関整備につきまして、どういう考え方でどの程度整備をいたすべきか、又医療機関の経営主体をどういうふうに考えて行くべきかというような医療機関整備に関する基本問題がぼつぼつ話題に上つております程度でございます。  それから診療報酬審議会の方はまだ一回も会合を開いておりません。これは基礎的な資料がまだ不十分でございまして、御承知通り昨年及び一昨年二回開きまして、医療実体調査をいたしました資料もございますが、尚本年もやることになつておりますので、その成果を生みたいと思つております。これらの実体的な資料が揃いましたならば、これらを材料として具体的な御審議を頂きたいというつもりであります。これにつきましてもまだ具体的に御了解を得ておりませんけれども、社会保障制度審議会の社会医療委員会との連繋は、先程医療機関整備審議会の方のお話を申上げたと同じように、実体的の御連絡が取れる方が、工合がいいのではないかと思いまして、そういう心組でおります。  それから次のお尋ねの、国立病院について、診療費の請求が非常に杜撰であるという御指摘でありました。具体的に、どういう所にどういうふうなことがございましたか、私共も絶対にこれはないとは申せないと思います。これらの点は、国立病院の性格から申しましても、絶対にさようなことがあつてはならないというつもりで指導をいたしているのでございますが、中にそういうことがないとは申せないことは事実だと思います。十分今後共さような点につきましては、是正いたすようにしたいと思います。  尚谷口先生お尋ねと同様な点についてのお尋ねが含まれておつたように思いますが、審査がないから好い加減でいいんだというような気持は毛頭持つていないつもりであります。これらも後程谷口先生に対するお尋ねと一括して、もう少し明確なお答えをさして頂きたいと思います。  それからもう一つは、入院料のうち、十点が食費であるのに拘らず、実際はその半額しか使つていない所があるというお尋ねでありますが、これは従来共いろいろ問題になつておつた点でありますが、実際予算上は、国立病院の食費として予算に計上されておりますのは、本年度が五十円でございます。一日一人当り五十円であります。来年度は、只今折衝が進んだところの一案の程度でございますが、それでは六十二円ぐらいに増額されるような話し合いに進んでおります。これはいずれも食糧、主食その他の材料費でございまして、食事を煮炊きいたします職員の給与でございますとか、或は光熱水料等の費用は、一切この金額の中には含まれていないのであります。それでいろいろ私共もその説明は在来しておつたのでありますが、従来の五十円という材料費に対しては、十点の即ち百円という金額になりますので、やや説明をいたしましても不足で、つまり国立病院が儲けているというような恰好になつているという、その点を突かれているのであります。これは決して、私共の考えでは、一応社会保險で定めております分量の半分が、十点が食費であるという扱いになつておりますが、私共としては、その余つたものが国立病院が取つて、それで儲けているというのでなく、医療費の方に当てるということになつております。但しこの点も、来年度の予算折衝の今の段階で内定しているところでは、六十二円ということになつておりますが、この辺になりますと、丁度人件費、光熱水料を加えますと、社会保險で決めております十点の百円というものと丁度一杯々々になるという説明になつていると思います。  それから共済組合の特別扱いについては、今お答え申上げることができませんが、後程谷口先生に対するお答と同様にお答え申上げることにいたします。
  29. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 厚生省保險局長さん、医務局長さんにお尋ねいたしますが、医務局の方では四千五百殖えるということでありますが、保健所の結核対策について一つ承わりたいと思います。実は最近私共の友達が結核に罹うて、入院をしたいと申しましても中野の療養所に申込めば一ヶ年掛かる、医務局でも半年掛かる、保健所から出ても亦保護をしてくれるかと申しますと、結核をほつたらかして置く、実にこれは難儀をする現状でごだいます。結核予防じやなくて結核蔓延の方がパーセンテージが多いのではないかと思いますので、一つこの対策を承わりたいと思います。  それからその次に保險局長さんにお伺いしたいのでありますが、保險局関係病院がこの節できたそうでありますが、二つか三つ東京にできましたが、そういう保險局関係病院支拂われます保險金が一〇%天引きされて支拂われるという、外の病院と違つた支拂方をするという話を聞いたのでありますが、これはどういうわけでありますか、その真相を両方承わらして頂きたいと思います。
  30. 三木行治

    説明員三木行治君) 保健所における結核対策はどういうふうにやつておるかというお尋ねでございますが、御存じのように結核対策の第一線機関といたしましては、保健所がこれを全部責任を持つてつておるわけでありまして、集団検診その他によりまして患者を見付け出す。或いは療養所におる者の中から患者を見付け出す。そういう者につきましては必要ないろいろな診察をやりまして、それぞれの症状に応じまして療養所に入所を勧め、或いは普通の療養につきまして、栄養の関係におきましては食餌の指導をしたり、更に医療費の問題がございますならば、医療社会事業の係りにおきまして、医療法の面からするお話をするしお手伝いもする。それから保健部の係りにおきましてその住所を教えて頂きまして、爾後訪問指導をやる、そうして必要のある者につきましては補助法の斡旋について努力をする、こういうふうなやり方をやつておるのであります。保健所におきまする活動のうち、御存じのように結核患者というものは始終療養所の必要のない者の方が多数でございますので、家庭におきまする者につきましては、訪問看護をいたしまして、患者家族の健康診断或いはB・C・Gの注射、或いは患者でありまする場合におきましては、患者と同様ないろいろな斡旋その他の措置をやつておるわけであります。御指摘になりました保健所の看護のうち、訪問看護が非常に少ないのじやないかというお尋ねに対しましては、私共もその点、御指摘の点が相当に多いということも知つておるのでありまして、これは井上委員がよく御存じのように保健婦の絶対値が足りないということ、それから旅費が足りないということ、そういう悪條件を克服していろいろな努力をやつておるわけであります。これらの訪問看護、或いは保健所と患者の家庭との繋がりを受持ちます訪問看護の面は充実いたしたいと思います。来年度予算におきましても、旅費につきましては相当増額される見込が有望であります。大分改善するのではないかと考えるのであります。尚その外に、家庭にあります患者につきましても、保健所からいたしまするこれらの保護の外に、主要食糧その他の増配等につきましてもいろいろと考慮をいたしておる、手配をいたしておるような実情でございます。尚ベツト関係につきましては、ベツトが今日足りませんために、殊に東京周辺というようなところではなかなか困難でございますので、御指摘になりましたように一年も待つというような場合もあるのでございます。そういう事情でありますからして、一方においてベツトの面は医努局において非常に御努力になつておりますが、同時に私共といたしましては保健所の面からいたしまして、家庭に余儀なく留まつておる患者に対する指導保護という面につきましては、一層努力をして行きたい、現行の結核予防法の定めるところのあらゆる努力をするということで、明二十五年度におきましては予算を、今年度ございません諸経費が多分分入手できるものと考えております。さように相成りますれば相当の改善を見るであろうと、かように考えておる次第であります。
  31. 安田巖

    説明員(安田巖君) 御質問がちよつと聽き取れないところがございまして恐縮でございますが、保健所で被保險者が見て貰つた場合に、保健所から支携われるのが一〇%引上げられる……こういう御質問でございますか。
  32. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そうじやないのです。保險局関係病院でございます。その病院が国庫から支拂われるときに、一〇%引いて支拂われるという話を聞いたのでございますが、これはどういうわけでございますか。
  33. 安田巖

    説明員(安田巖君) 私ちよつとそれは承知しておりませんから、そういうことはないと思いますけれども、後程調べまして……。
  34. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 国民健康保險関係病院はできておるわけでございますか。
  35. 安田巖

    説明員(安田巖君) 国民健康保險関係の……保險局関係病院と申しますと健康保險で、政府から金を出して買いまして、それを保險協会とか、或いは市町村あたりに任してやらせておるのがございますけれども、国民保險の方でやつております場合には、当該市町村が保險者になつておりますからそれとお医者さんとの契約には安い場合がございます。    〔理事岡元義人君退席、委員長著席〕
  36. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 現在、東京に三ヶ所程……。
  37. 安田巖

    説明員(安田巖君) 何という病院でございますか。
  38. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 名前はちよつと忘れましたのでございますが、そういうことを最近言われましたのでございますが、どうぞお取調べ願いとうございます。
  39. 小杉イ子

    小杉イ子君 今さつきお話が出ましたので申上げますが、私は昨年、医薬分業アメリカでは遠くから実施されておることであるし、それについてはつきり分業とすべきことを主張いたしましたが、この点はうやむやにされたのでございます。ところが去る七月マツカーサー元帥の招聘により来朝された、米国薬剤師協会使節団によつて、医師は診断し処方するにあり。薬剤施薬は薬剤師の職務であると申しております。この條項などは一日も早く改正すべきだと私は思いますが、如何でございますか。ただこうした使節団を迎へなければ改正ができないようでは本当に私は歎かわしいことと思います。
  40. 山下義信

    ○山下義信君 薬務局関係の方見えておりますか。
  41. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 薬務局の方は来ておられません。
  42. 山下義信

    ○山下義信君 この際公衆保險局並びに保險局関係の質問をさせて頂きたいと思います。
  43. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) ちよつと保險局関係に入る前に、実はこの前皆さんの申合せによつて各地の国民健康保險の実情調査をやりました。その報告は大部分終つたのでありますが、中平委員の御調査になりました香川県、愛媛県の分の調査報告がありません。この際それを承つた後に進めて頂きたいと思います。
  44. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 大体の調査の報告はよく似たものがございますが、そういうところは大部分はどの地区にも通弊の感がありまして、それは今までの御報告において指摘された面であると思いますから詳しくは申上げませんが、特に愛媛県、香川県において報告したいのは健康保健組合の未収入額でありますが、昨年度の未収入額は、愛媛県におきまして九百四十二万余円でございます。これは五千六百五十一万円のうちの九百四十二万円で、一五%程になつておりますが、これは各業者が皆滞納しておるかというとそうではないのであります。僅かに三社が、三つの工業が滞納しておる。それを調べたところが一つは別子鉱業、一つは日新化学、一つは四国機械、この三つが大きな会社でありますが、これが滞納いたしております。別子鉱業これは三十五万円でありまするが、日新化学は四百四十七万、四国機械が四百五十九万円の滞納をいたしております。その調査をいたしましたところが、こういうような話振りであります。この事業者は政府と契約しておる事業が沢山ありまして、政府の方から取らねばならん、請求を喧ましく言うておるけれども、政府の出さない金が二億円ある。この三つの会社が政府から取らねばならん金が入らないために、この保險の金が支拂われないという結果であるのでありますが、これは何かの方法で政府とプラス・マイナス相殺するような方法がありはしないかと思うのでございまして、その他の事業者には未拂いはなかつたのであります。大体において大変成績がよくやつておるわけでございます。  それから改正健康保險の施行後における初診料負担に対するその結果でありますが、これはまだ取立てて言う程被保險者側からの苦情はないそうであります。黙つてつておるに相違ないのでありますが、ただ料率の値上げは事業者が非常な苦心をしておるのでありまして、今でさえはや健康保險の保險料の未拂いがありますので、先程申上げましたないというのは組合の方であります。それで政府管掌の方ではやはり未拂いが沢山ございます。それに今度又料率が千対五十五になるというと、非常に支拂いが困難になるような様子が現に見えておるようでございます。  それから政府は赤字があるなら標準報酬を上げたらよいじやないかと、これは大蔵省が始終言うことでありますが、愛媛県におきましては、政府管掌の方は大体標準報酬が平均四千六百五十六円になつておりまして、組合管掌の方は六千六百二十四円であります。それで政府の方が一千円程少いのでありますが、これは政府管掌の側には紡績工場、織物工場あたりも入つておりまして、女工の関係があるので、男子のみの従業員でないという関係がありまして、平均するとそれだけ安くなつておるが、一方の組合管掌の方の六千六百二十四円というのは主に男子の方でありまして、殊に労組の組織が堅固でありますために、そういうふうに明らかに高くなつておるのでございます。  保險医の監査の結果でありますが、監査は可なり嚴重にやつておりまして、一ケ年に三回も四回もやつておりまして長く続いて一ケ月もやつておるようでありますが、可なり嚴重にやつておるようでありますが、どうしても押え切れないものは被保險者の側に病気を大きく、取扱う傾向がある。これは医者から言うのでありましよう。それから又医者の方の側におきましては、又投薬、注射等の濫療と認め得るものがある。こういう点でございまして、両々相俟つて、一方は大きく言う。取扱う医者の方は濫療は差支ない……差支ないと言う人は一人もありませんが、心の中にできる限り診療費の大きいことを希望する気持から病気を大きく取扱うというふうに、例えて見れば注射をしなくともよいのに、注射を一本して下さい、何やらをやつて下さい、ペニシリンをやつて下さい、こう言うと、そうかということになるのではなかろうかと思うのでありまして、そんな関係診療費増加の一途を辿つておる。不正の手段によつて診療報酬を取つたというような事例は比較的少ないのでありますが、濫診濫療は相当多いようでございまして、一二〇%一ケ年の間に事件を作つております。中で三十九件までは業務上の失敗、即ち労災保險の方に廻すもべきのを一般健康保險でやつたというような誤謬も中には相当あるのであります。それで私共考えたことは、本会議におきましても前に申上げたのでありますが、どうも診療報酬というものの査定が、如何に嚴重にやられましても根本において誤謬が混り、虚偽が混りしておつた場合の発見の途が極めてルーズであつて、知らず識らずの間に非常に診療報酬の額が大きくなつて行くという虞れが多分にあるのでございます。これは前にも厚生省の方の方に十分に申上げたけれども、宮崎局長の対策が我々の納得するような対策を講じておられません。これは今後問題といたしまして是非ともこの是正のために一つの何かの途を講ずべきだと思うておる次第でございます。又中央算定協議会におきましても健康保險や国民健康保險と別々に算定協議会がありますが、あれなどはもう一本でやつて貰いたいという希望が段々ありますが、これも無理からんことと思つてつたのであります。それから時間の関係もありますから簡単に申上げますが、国民健康保險は漸次整備されつつあります。愛媛県におきましては運営のよろしきを得つつあるものが九十三ございまして、つまり四〇%は先ずよろしいというふうになつておりまして、一部休止或いは全体というのが六〇%になつております。香川県におきましては百五十五ケ町村の中で二十一しか活發なのはありません。あとはいまだ整備中のものやら何かで目下どんどん奨励しておられるようでありますが、両県とも強い要望はこれを必置條件にして貰いたい。法律改正、つまり市町村公営の法文を明確にして呉れということにあるようであります。我々はこれは前から申上げたのでありますが、これは社会保障の将来是非取組んで行かなければいけんところの、中心をなすところの問題でありまして、社会保障と申しましても医療程大きな問題は先ずない。一番大きなのは医療でありますが、その中でも国民健康保險は将来の社会保障の中核をなすものでありますから、これは市町村公営たる必置法文にしなければならんということを痛切に感じたのでございます。それから国庫補助については皆増額の希望がありますけれども、これは我々はそれぞれ弁明して置きましたが、まあ二十五年度におきましては、事務費が殖えるようなふうでございますので、我々の希望通りにはなつておりませんが、せめて事務費だけでも全額負担をせねばこういう社会保險のごときものは日本厚生のような低い、或る意味におきましては社会的に見て極めて思想の低い国におきましては、まだまだこういうような社会保險の事務費は、これは全額負担にすべきであると思うのであります。それで医者の濫療という問題について、一例を香川県で発見したのでありますが、だんだん調査したところが、こういう濫診、濫療があつた。これは国立病院でありますが、善通寺の国立病院で、一人の肺患者に対しまして、一ケ月の注射が六百本打つておる。一人の肺患者に対して一ケ月の注射が六百本で、九万円使つておるという例があつたのであります。又糖尿病にぺニシリンを五十万単位又は六十万単位を使つております。これなんかは、糖尿病にぺニシリンがよいか悪いか、我々素人でもこれはどうかと思いますが、そういう医者の濫診、濫療が発見されて来たのであります。これは善通寺国立病院でございますが、恐らく県庁の方の保險課の者に、このことを聞違いないかといえば、聞違いないということであります。これはお調べになれば分ると思います。これは国立病院でありますから、今後特別会計になつたので、こんな馬鹿なことをやつたら始末がつかんから、将来はあるまいと思いいますが、濫診、濫療の一例でございます。それで何さま健康保險の未拂の徴収には旅費が足らない。県下を廻つて行くのに僅かな旅費しか貰つていないので、どうしても督促ができん。ことのついでに行つて見たり、行く者に頼んだりせにやいかんことになつておる。だからどうしても未収入を早く回収しようとするなれば、旅費の増額は極めて必要である。これに対して二十五年度におきましては旅費の増額をしておられるそうでありますが、果して相当活動し得るほどお出しになつておるかどうか、微温的なものでないかということをお伺いしたいのであります。  それからお伺いしたいのは、どうも保険関係のことは地方公務員法の第八條にあることでありますが、よく分らんのですけれども、県の職員とは同じ階級で平均五百円低いのでありますが、大分これの不満を聞きましたのであります。保険関係の従事者が、同じ階級でこんなに五百円も県の職員より低いということになるなれば、県の職員にして貰いたいという希望があるのでありますが、このことはどういうものであるか、本省から来ておつて県の職員より低いということまどんなものかということを我々は不審に思つたのでございます。又組合管掌の側におきましても、国庫の補助は十三円、二十四年度におきましては三十円になりましたが、三十円だけでは旅費にも足らない、実際旅費の足しにもならないというので、組合管掌におきましても、未收入を取立てるためには、どうしても人件費の補給が三十円では足りないと言うので、希望はどんなかと申しますと、大体において一〇%ぐらい補助を貰いたいと言つておりましたが、この算定は、私は何も賛否共に言うところはなく、聽いただけであります。それで安田局長にお伺いしたいのは、一つは、国民健康保険組合を市町村の必置條件にし、公営にするように改正するところの意思があるかないかということ。濫診、濫給、或いは又医師の診療報酬の内部は間違つていなくでも、診療報酬を書くまでに一種の悪い考えがまじつておることを発見し得る適当な監督機構の整備をどう考えておられるかという問題。それから中央算定協議会においての国民健康保険組合や、健康保険組合の算定協議会は一本ではいけないのかどうか、このこと。それから国民健康保険組合を必置條件にしないならば、今日までの最も発達しない原因が三つあるが、それを今後どう指導されるか。即ち一つは未発展の理由は有産階級の問題、それから市町村長、市町村議会人の冷淡及び受益者階級の発言力の無力、そういうものがあつて大体国民健康保険は発達しないのでありますが、それをどういうふうに指導されて行きつつあるか、又行かれる考えであるかをお聴きしたい。これだけのことについて一応お伺いいたします。
  45. 安田巖

    説明員(安田巖君) 初めに、国民健康保険を全国の市町村に強制設立したらどうかというお話でございまして、私共も国民健康保險が将来社会保障制度が施かれた場合に基礎的なものになるので、できればそういたしたいと考えております。併しこれを強制設立にいたしますには、いろいろ裏付けが必要でございまして、例えば無医村の問題でありますとか、或いは医療機関の問題でありますとか、そういつたような問題も合せて考えなければなりません。又関係方面の意向もよく打診をいたす必要があるような事情もございますので、今のところでは、少くともこの特別議会でありますとか或いは常会に、この改正案を出すという意向はま考考えておりません。  それから医者に対する診療費支拂審査の方法を、もう少し聞違いのないようにする工夫をして見たらということでございますが、御尤もな御意見でありますので、私共もいろいろと研究はいたしておるのでありますが、今差当り手をつけましたのが診療報酬の額を被保険考証の裏に書くという程度のことを考えたのでありまして、中平先生の案もいろいろと伺つたこともあるのでございますけれども、それだけの人員と費用をかけて、尚且つそれ以上の効果があるものかどうかということについても、もう少し研究する必要がありはしないかというふうな考えで目下のところはおります。  それから今後の指導方針でございますが、これはおつしやるように、いろいろと市町村当局の熱意の点、或いは受益者といいますか市町村民の発言ヵの問題、いろいろあると思いますが、中には、今取つておりますところの保険料の取り方が、その資産割りに重きを置き過ぎまして、上層階級の方に非常に高い負担をかけるというふうなことが一つの原因になつておる場合もあるのじやないか、私共も、所得割りと申しますか資産割りを、できれば簡単な段階にいたしまして、余りそれに重点を置き過ぎるために、却つてできないというようなことのないようにしたいとは考えたのでありますが、併しこれも結局いろいろ保險の計算をいたして見まして、余り低いところにフラット・レートで置きますというと保険料が足りなくなつて来る、理想を言えば保険料の取り方というのは均一にまで持つて来て、そうして所得割でありますとか資産割というところの考え方というものは市町村の一般の会計から流込む際にそれが現われるというような行き万が理想的じやないかと思います。それらの点につきましても、従来のように非常に所得割、資産割に応じて比重を変えるというようなことは段々是正して行くべきだというような考え方であります。  それから算定協議会の問題は国保と健保と違うのかというお話があつたかと思うのでありますが、これは私の或いは思い違いかも知れませんが、大体国保の方は健保のものに比例をいたしまして、当該の被保険者であります市町村がお医者さんと契約するように心つておりますので、若干それより低、ところで契約をしておるというような実情でございます。そのために特別な算定協議会というものはないように思つておりますけれども、尚よく調べましてお答え申上げます。  それからもう一つ、これは御質問の牛に入つておらなかつたと思うのでありますが、旅費の関係は、これは第三四半期から思い切つて今まで残つておりますもの全部出しまして、今度の補正予算で相当の額を認められましたので、少くとも保険に旅費の点で迷惑をかけるようなことはない、旅費については心おきなく使つて十分活動できるだけのものは補正予算で今度大体通りそうでございますから、この点を一つ御了解願いたいと思います。  それから職員の給与の問題でございますが、これは保険は御承知のように政府が特別会計でもつて政府の事業としてやつておりますので、どうしてもその徴収なり支拂いなりというものを一元的に考えて、そうして全国一つの統一した機構でやらなければ工合の悪いところ、早く申しますと、丁度保險会社の本店と支店のような関係がございますので、現在におきましても身分が地方事務官で官吏になつておりまして、厚生省の方でその進退の権限を持つておるわけであります。そこで今一般に官吏とそれから地方の吏員の給与の標準であります、基準でありますけれども、地方の方はどうしても高いのでございます。中央の官吏の方が低いわけでございます。それで結局私の方でそれを上げてやろうといたしましても、こちらの方との関係その他で昇らないという実情でございます。余り上げましてもこつちへ帰つて来たり、移動したりする場合工合が悪いのでございまして、この点から申しますと、成るべく早く地方職員の身分を切替えた方がいいということになります。そういうような要望も私共聞いておるわけであります。
  46. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 国民健康保險組合を発達せしめるための必須條件を、助長の必須條件を今考えておられても、まだ実施するというつもりはないというふうでございますが、将来は無論そうなければならんと思いますが、発展の段階におきまして、まだそう行かんと思いますが、これは適当な時期に問題になろうと思いますが、現在この健康保險組合を漸次発達せしめるという指導啓蒙運動は、これは厚生省に與えられた一つの大事な問題だろうと思うのであります。今まで国民健康保險組合が活溌にやつているところを見ますと、いわゆる組合立の病院を持つております。それで立派な経営をいたしております関係上、非常に都合よくやつて、数ケ町村がその恩典に浴しておる。それを中心にいたしまして国民健康保險組合ができておるために、国民健康保險組合が非常に鞏固な、容易なことでは潰れない基礎を持つておるのであります。それから基礎を持つてないところの市町村組合は、どうもそれは浮草の状態になつて、その町村の指導者の熱意の如何によつてはやつてつても止めて見たり、又やつておりましても負担金をわけずと、ただ予防衛生をやつて見たり、そうして或る程度事務費を貰つて損な余計のことをしたり、実にトリックをやつておるのでありますが、これは今安田局長のおつしやつた医者の普及しておらない村もあるというお話でありますが、もとよりありますが、そういう所を加えたりなんかいだしまして、やはり組合員病院の設立も或る意味において勧誘するというような空気を作らしめるということは、国民健康保險組合発達のために必要があるだろうと思つておりますし、医療の普及から言いましても必要があると思つておりますから、やはりこれは成り行きに委せず本省から十分に伝え、地方庁の方に一つねじをかけて、飽くまでもこの市町村の中には国民健康保險組合の設置していない村が一つもないというふうに十分に指導をして貰いたい。そういうふうにしで置けば必須條件につきましても楽に行きます。そういう指導が私は今日あちらで調べてみたけれどもが、そう積極的に厚生省が動いておるとは今まで私の調査の範囲におきましてはありません。厚生省といたしましてもこういう方面に十分な指導をやつて貰いたい。  それから診療報酬の医者の方の側へお金が早く行かないと医者の万から大分不足がありますが、これは私共は非常に同情に堪えません。二ケ月平均でありましたが、愛媛県は、香川県も大体二ケ月ぐらいになつておりまして、三ケ月というものはありませんでしたが、中でなぜ君等はそう二ケ月も遅れるのか、我々の方はちやんと書類は一ケ月以内にできておるけれどもが、政府から金が来るのが一ケ月遅れるのだ、それで責は本省にある。我々の方は事務的なことは一ケ月以内に完了しておる、こう言うのであります。それで随分今日一ケ月以内に渡すということは、相当金融面その他についても骨が折れると思いますが、お医者さんの方で、これは皆それぞれの立場で経営をいたしておられる、収入はそれだけでやつておられる、だからしてそういつ迄も長く遅延するということは、それは絶対に許されないと思いますから、もつと早くお金を地方へ廻せるような途がつかないかどうか。況や三ケ月になつたのがありはしないか。あつたらこれは不都合極まるものだと思いますが、この点を明らかに御答弁願いたいと思います。
  47. 安田巖

    説明員(安田巖君) 初めの国保の指導について、厚生省は熱意がないということでありますが、今後一層気をつけまして努力いたしたいと思います。国直営診療所も仰せの通りで、国民健康保險組合の仕事をやつて行きます上には非常に大事な設備であると思います。幸い今年も二億五千万円の予算が、これは政府部内では通つておりますので、恐らく来年度予算に認められると思います。そういたしますと七億五千万四程の施設がそれでできることになつております。今のところは国保の巧く行かない理由がいろいろございますが、受診率がだんだん上つて来た、而も保險料は余り上げられないということが主たる理由かと思うのでありますが、併し私共それについて国から幾分でも出せればというので皆さん方のお骨折りを頂きますし、又努力しておつたのでありますが、来年度事務費が五割が七割になるという程度で、それ以上のことはできなかつたことは非常に残念に思います。併し国庫の負担を増して市町村の組合に注込むということも大事でありますけれども、今やはり見てみますというと、市町村の熱意というもののあるなしで余程事業が違つておる。それから事務の機構がそれほど重大に考えられていない。御承知のように、国民保險は、これは予算額から申しますというと、町村の予算の約半分くらいになるような大きな額の仕事でありますけれども、それに対しまして、ひどいところでは、書記が一人くらいおつて仕事をやつてる。その書記が或いは衞生の仕事なんかと兼務でやつてるという状況がある。それで以てうまく行かないということになりまする、これは非常に無理なことじやないかという点も見られるのでありまして、そういつた面も余程私ども考えて指導しなくちやならんように思つております。  それから又、我々のところもそうでありますけれども府県における国民保險の陣容と申しますか、これもやはり私は少いと思う。府県に取りましては、これから国民保險の問題は大きな問題でございます。それについての指導機構は非常に貧弱であるということも考えなければならんと考えております。  それから第二に、診療報酬の支拂いが遅れるじやないかということでありますが、これは誠に恐縮でございまして、私ども度々この問題について御注意を受けたのでありますが、幸い今、中平議員の御報告の中にもございましたけれども、段々徴収成績も上つて参りまして、全国的に見まして、九月一杯で大体七割或いはそれ以上になつております。従いまして一時から比べますというと、余程金繰りは楽になつて参りました。尚諸方面のお骨折りによりまして、十億ほど国庫余裕金の運用を許されまして、これもすでに基金の方に廻わしておりまするので、そういう意味で、非常に楽になりました。今の支拂状況は、今日官署だけを申上げますと、大体七月分を十月一日に拂いまして、六月分を今処理のできておるところには殆んど拂つたようなあれで僅かに二、三府県が残つて程度でございます。御承知かと思いますけれども、支拂いの方法でありますけれども、九月分を例に取つて申しますると、九月にお医者さんに診て頂いたものが九月の末日になりますと、そのお医者さんが締切りまして、いろいろ書類をお作りになります。それを基金に出しますと……十月五日までに基金に出て来る。それを審査いたしまして、手を加えて、そうして又、このお医者さんにはこれだけ、あのお医者さんにはどれだけというように、何十万という、東京都あたりに行きますと、そういう数になると思いますが、それを一々割振りまして、お医者さんの口座に振込んで行くわけであります。それに約束は、九月分を十月末までに拂えばいい。それでお医者さんの同月遅れておるといつた場合に、九月分を十月末に拂うのを一月遅れておるという計算になると、一つずつ月が遅れて参りますと、一月も二月も遅れておるということになるのであります。実は一月か、二月かということになる問題もあるわけでありますが、今申しましたように、大体八月分を今月拂いますから、一月遅れておるという現状まで漕ぎ付けたわけであります。今後も十分注意いたしまして努力いたしたいと思います。
  48. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 その場合におきまして、支出官たる知事……でしよう。健康保險は知事でしようと思いますけれども、その方に、もう主務省から金が来るというふうになつた場合に、立替拂いをさすわけに行かんものですか。十日とか、二十日間医者に余り無理を掛けておるということはあれだから、支出官の責任におきまして、今度入つて来ることが間違いない場合におきましては、幾らかの金を銀行から金融を受けて立替えるという手はないのですか。
  49. 安田巖

    説明員(安田巖君) 支出宮は確か保健課長がやつておると思うのでありますが、結局この特別会計で先程申しましたように、政府一つ保健事業ということになつておりますからして、府県の金を使つて、こつちの方に持つて来るというわけにはいかないのであります。従いまして手許には金がないわけであります。それから借りますということになりますと、やはり政府がさつき言つたように大蔵省から借りるというようなことでなしに、出先きで借りるということは、ちよつとできないのじやないかと思います。
  50. 山下義信

    ○山下義信君 保險局長に伺うのですが、元の軍務関係共済組合、例えば工廠の共済組合といつたようなものは、今どういうふうになつておりますか。それからそれらの資金というようなものの管理といいますか、それはあなたの方でしておいでになるのか、或いは又、国有財産の方に移つておるのでしようか。非常に厖大な資産があるのではないかと思われるのでありますが、そういう運用はどういうふうになつておりますか、極く概略承わりたいと思います。若し我々に配付して頂けるような御資料がありましたらば、頂戴いたしたいと思います。  それから今一つは、最近健康保險の保險料率の引上げをなさる御計画があるということでありますが、果して事実でございますか。若しそういうお考えがありまするならばどういうふうにそれをなさろうというお考えでございますか。例えばこの臨時国会に関係法規の改正案をお出しになる考えでありますか、或いはその事前に社会保障制度審議会にでも御諮問になりますお考えがありますか、そういう点を伺つて置きたいと思います。
  51. 安田巖

    説明員(安田巖君) 陸海軍の共済組合のその後の状況ということでございますが、私も詳細のことを記憶いたしておりませんけれども、例えば海軍でお話しいたしますというと、海軍共済組合というものがございましたのが、現在海軍の共済協会という形で残つておりまして、主として共済組合病院がございました、それを管理しておるような状況でございます。終戰後すぐに解散せらるべきものでありますけれども、年金がございますので、年金を五ケ年分を支拂いまして、その五ケ年分を支拂つたのが切れますのが来年度でございますから、再来年から又年金をなんとか考えなければならんというような状況なつております。それで私共、これは監督関係は恐らく厚生省の中に入つておるというようなのじやないかという程度の記憶でございまして、恐れ入りますが、私共としましては、まあいろいろそういう施設がありましたならば、早くそれを整理して、そうして拂うものは拂つて、清算をするのがいいのじやないかと、こういう考えでおりますが、両資料等が私共の所管でございましたら、お目にかけることにいたします。  それから第二に、健康保險の料率を上げるのじやないかというような御質問であつたかと思うのでありますが、只今のところは考えておりません。若しそういうことがありまするならば、こちらにもお話をいたさなければなりませんし、社会保障制度審議会にも諮らなければならん、私共は今の赤字につきまして、いろいろ打開策があると思うのでありますが、保險料を上げるといたしましても、或いは診療の内容を制限いたしますにいたしましても、これは今の社会情勢、経済状態から見まして、当を得たものでもありませんし、無理ではないか、社会保障制度が布かれるというのに、少しでもそういつた意味で後退はしたくないという気持でおりますので、そういう意味で努力をいたしておるわけでございますが、どうしてもいけないということになりましたならば、これは、来年の二月、三月にそういう時期が或いは来るかも知れません、そのときは国の方に一つお願いをするつもりでおるのであります。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 共済協会といいますか、多分理事長はあなたになつておるのじやないかと思うのでありますが、尚只今申上げましたような資産関係や、そういうものの一つ資料を頂戴したい。  それから保險料率の引上げの考えがないという只今の局長の御答弁了承いたしました。  次は公衆衞生局長に伺いたいと思うのでありますが、ストレプトマイシンの買上げ計画は来年度の予算に六億数千万円の予算が計上されてあると先日説明を承つたのでありますが、これは薬務局でその仕事をなさるのかとも思うのであります。あなたの方にもこのストレプトマイシンの研究関係費用、御仕事を持つていらつしやいますか。何がその民間の製薬会社に作らせて、政府がそれを買上げて、いろいろその仕事をして行くということについてどういう御関係があなたの方でありますか、それを承わりたいと思います。若しこの製造さして買上げるというその仕事は薬務局の方でやるならば、その詳細の内容は薬務局から承つてもよいのでありますが、その点を伺います。それと今一つあります。それは平衡交付金の制度になりました場合に、保險行政の面におきまして中央地方の仕事の振割りの変つて行く見通しは凡そ大体どんなものでありましようか。先般の次官の話の中に若しありましたならばそれは他の委員から承わりますが、この際あなたから将来の保險行政の変化するであろうというような見通し、或いは変化すべきでないという点がありますれば極く概略承つておきたいと思います。  最後に屎尿の話で、話が下に相成りましたが、屎尿制度のことで何か根本的な方針というようなものをお建てになりましたものがありますならば承つて置きたいと思います。それだけであります。
  53. 三木行治

    説明員三木行治君) お答えいたします。ストレプトマイシンの製薬等の関係につきまして私共の関係しておる部面についてお答えいたしたいと思いますが、私共の方では結核対策等を行いますのに当りましてB、C、G、ストレプトマイシン、それと結核療養施設と申しますか、療養施設というよむも外科的手術と見てよろしいのでありますが、この三つを非常に重要な問題として取上げておりますが、御承知のようにストレプトマイシンは結核の早期の者それから腎臓結核でありますとか、脳膜炎でありますとかいうような、従来非常に治癒の困難でありました疾患のうち、血液、血管が豊富にありまする器管の結核はストレプトマイシンで治療することができるということでございまするので、このストレプト  マイシンというものにつきましては、我々予防当局といたしまして非常なる関心を持つておるわけであります。それでストレプトマイシンの研究委員会を作りまして、そうして従来輸入せられておりました薬につきましてもこの委員会におきまして薬の配分を決め、そうしておのおのの研究者がどういう適応症が適当であるか、分量はどうであるかというようなことを研究いたしておるわけでありまして、その限りにおきまして予算を頂いておる次第でありまして、この買上げ計画につきましては薬務局の所管でございますので、薬務局長から御説明申上げるのが適当であろうと存じますが、要するに六億数千万円のこの金は、ペニシリンの経験からもよく分りますが、当初におきましてはやはり收量と言いますか、その收量が割合少い、従つて単価が高くなることは止むを得ないのでありますが、従いまして輸入の薬と国産品とをプール計算をいたします。そして当初から成るべく廉く供給して行く。そのうちにもう輸入は一切止めまして、国内生産だけでやつて行こうという考えでありまして、そういうプール計算をやりますためにごの予算が必要である、かように理解をしておるのでございます。以上大体ストレプトマイシンについてお答えいたしました。  次に平衡交付金の制度なつたならば保險行政はどう変るかというお尋ねでございますが、これは尚今日でも最後的に決つておりませんので、ただシヤウプ勧告というものを文字通りに解釈をいたしまして、そうして只今大蔵省あたりで考えておられまするような恰好になりまするとやうと、この行政の面では非常に変化が起きるのではないかとかように考えるのであります。即ち厚生省といたしましては、殊に私共の所管する保險行政の面におきましては、大部分がいわゆる平衡交付金の中に入ります。従いましていわゆる奨励的にやりまする、例えばストレプトマイシンをやる場合、或いはB、C、Gを一定の地域について試みるというような、いわゆる奨励的な場合だけに従来のような紐付きの交付金が行くということになりまするので、これは相当な変革が予想せられるのであります。殊にこの制度と平行いたしまして十分な人員を以ちまして十分な指導をやつて行くというようなことが行われまするならば、相当欠点を補うことができると思うのでありまするけれども、今日行政整理のさ中にありまして、人員の増加というものは非常に困難でございますので、若し現行制度、現行の考え方、大蔵省あたりでお考えなつておりまするような考え方でそのまま実行せられました場合におきましては、我々保險当局といたしましては非常なむつかしい問題であるとかように考えておるのであります。具体的に申上げてみますというと、平衡交付金のやり方といたしましては、先ずその県における……その県と申しますか、最小限度の保險行政の要求というものを各費目ごとに決めるわけであります。そうしてそれを当該県に当篏めまして、県とその最小限度の要求との間にどれだけの開きがあるか、而もこれに対して県はどれだけの経費支弁能力があるか、従つてその残りはこれは平衡交付金から交付するのであるというようなことを一々の項目について算出いたしませんというと、正しい結果が得られない、出せないと思うのであります。而も御存じのように衞生行政の大部分のものにつきましては、殊に予防行政の面につきましては、全国が同じレベルで行われませんというと、一つの県がずぼらであるということは、即ち他の県に対する脅威と相成りまするので、そういうふうな足並みを揃えるというような点から申しますと、いわゆる最小限度の要求というものをはつきりと線を引いて、而も現在やつておりまする衞生行政のレベルとの間の開きを充当して行く。それを国が平衡交付金で持ち、県費がどれだけ持つかということを直ちに実行いたしますことは、これはなかなか困難な問題ではないが。殊に私共が心配いたしまする点は、同じレベルでやつて行く、各府県が同じ足並みでやつて行かなきやならんという足並みの揃え方をどういうふうにして揃えるか、私共は取敢えずこれら法制的な措置を講じまして、その足並みを揃えるということに努力すると同時に、指導の面を、十分強化して行かなければならないと考えておるのであります。併しながら指導の面ということになりまするというと、先程申しました人員増加という点と喰違を生ずるというようなことで、その成り行きにつきましては非常に心配をいたしておるというのが現状でございます。  次に屎尿の関係について根本的な方針如何というお尋ねでございますが、屎尿の問題は、これはもう非常に古くからある制度でございまするが、御存じのように汚物掃除法におきましては、市町村の義務ということになつておりまして、いわゆる国家的義務として取上げられておらないのであります。而も地方におきまするこれらの実際の実情を見まするというと、概ね肥料の屎尿として考えられておるというようなことでございまして、いわゆるこの屎尿というものがすべての法定伝染病の源泉である。これらを処理することにこそ誠に衞生費を支出することであるというような考え方に至つておらないのであります。そこで今年初頭からこれらの環境衞生の問題は屎尿を含みますが、この環境衞生の問題はいずれも従来疾病予防を中心にして参りました我が国の衞生行政が、環境衞生に転換すべき時期である。かように考えまして、これを強力に推進いたしまするために、或いは閣議決定或いは各種の施策を行なつて来たのでありまするが、併し、その成果につきましては、我が国の財政の現状に照しまして左程な進歩を見ておりません。一例を申上げまするというと、この屎尿に関しまする国の補助金というものは、今年二十四年度は百八十八万円という額であります。というようなわけでございまして、大いに努力を必要と存じておるのでございます。  尚目的税等の制定等につきましても各関係当局の了解を得ておりますので、これらによりまして若干の財源を地方的に得られるというようなことでございまして、是非ともこの部面は強力に推進いたしたい。かように考えておるのでございます。
  54. 藤森眞治

    藤森眞治君 もう一言保險局長にお尋ねしたいのですが、先程医務局の方で例の共済組合と診療報酬に対しまして直接拂いの件を聞きましたが、医務局の方では十分何がないということですが、これは保險局としてはどういうふうにお考えなつておりますか、共済組合から国立病院え直接支拂いをするということでありますと、勢い基金は考えない。そうするといわゆる基金の制度というのは政府みずから認めない。こういうふうな結論になると思うのですが、どういうようなお考えでございましようか。
  55. 安田巖

    説明員(安田巖君) 誠に御尤もな御質問でありまして、実は丁度持つております雑誌にそのときの通牒が出ておるのでございますけれども、病院療養所との共済組合員と被保險者の診療の分とは直接共済組合から病院に拂つつて宜しいということであります。これも保險局として勿論こんなことも望んでおるわけではないのでありまして一般的に原則通りつて頂きたいのでありますが、確か基金との契約になつておりますので、共済組合の方で大蔵省に話をして、大蔵省の方で差支えないというようなことがあつたので止むを得ずこの処置になつたということを私聞いております。私が就任する前からのお話であつたようでありまして、そういつたような事情なつておるのであります。
  56. 藤森眞治

    藤森眞治君 いろいろな事情がございましようが、制度として殊に保險が今非常にいろいろな方面から大きな対照になつておりますから、そうした一貫した何を私は希望するところであります。
  57. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと先程の山下委員お尋ねにあつたのですが、屎尿の問題ですが、この頃ちよつと聞いておりますんですが、それは外でもないんですけれども、子供が生れました後の胎盤の処置でございますが、胎盤からホルモンが取れるとか何とかいうことを聞いたのでございますが、胎盤の処置はどういうふうになつておるのでございますか。大変この胎盤からいろいろな材料が出るというような話を聞いたのでございますが、ちよつと伺いたいと思うのでございます。昔産後の胎盤は幾らかお金をつけまして、そうして焼却して処理をして貰うようにしたのでございまして、この頃は反対に胎盤が売れるというような話を聞いたのでございますが、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  58. 三木行治

    説明員三木行治君) 胎盤等の出産時の汚物の処理につきましては、これは一般の汚物とその取扱いを異にする必要がございますので、各府県に対しまして、これらの処理に関する條例を作ることを奨励しております。各府県共それを実施しておるわけでございます。具体的の処理につきましては保健所がこれに当たるというわけでございます、只今指摘になりましたホルモンを取るというようなことにつきましては私存じておりませんので、いずれ取調べましてからお答え申上げたいと思います。
  59. 岡元義人

    岡元義人君 実は或いはもうこの委員会で了解されたかも知れませんが、若し何であつたちよつと委員長の御意見つて置きたいと思います。例の身体傷害者福祉法の法案提出に対して又この頃政府提出というようなことが出ておるが、どういうふうな経緯でああいう工合になつたのか、委員長はお分りになつておりますか。
  60. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) その点は委員の皆さんから大体私に善処するようにという要望がありまして話を進めておりますが、経過をちよつと申上げます。と、一昨日午後厚生大臣と会う約束をしておりましたが、厚生大臣都合で会えませんでした。昨日午前十時に厚生大臣と会いまして、政府は提案をしない。議院提出でやつて呉れということを正式に仰しやつたのであります。それで昨日衆議院の厚生委員長話合いをいたそうと思いましたが、どうしても会えませんでして、今朝程連絡を取りまして、この委員会が始まります時に私が席におりませんでしたのは、丁度その話合を衆議院の厚生委員長といたしておつたわけでございます。新聞なんかにちよつと、昨日の夕刊でしたか出ておつたようでありますが、決して政府の方で出す意思は持つておりません。衆議院の方の厚生委員長に会いました話の結果は、大体あの法案に対しまして第一国会以来参議院が議院の提出で、立法化したいという意思を持つてつたので、あれに関係する多くの請願、陳情等の採決いたしましたものもすべて送付いたさずに我々のところに留保したい。それは第一国会以来からこの問題は参議院の厚生委員会で立法化しようという意図を持つてつたからであります。更に又ヘレンケラーが参りました当時からいたしまして、立法化に手をつけておつた経過をずつと、お話いたしまして、そういう計画を持つておるのであるから、願えることならば参議院の厚生委員会で各派の共同提案にも、そうして衆議院の方でこれを受けて頂くようにして頂ければ幸いであるという話をしたわけであります。衆議院の方では明後日その問題について理事会及び委員会を開いて御相談申上げていずれ御返事をするという、こういう程度にまで進んでおります。御報告申上げます。
  61. 岡元義人

    岡元義人君 大体経緯は分りましたが、併し委員長が申されましたようにまだ相当いろいろ陳情請願の趣旨があの中には……今まで参議院の厚生委員会で検討されておりました陳情の趣旨が十分にまだ行つていない点もあるわけです。できましたら今の委員長の御趣旨のように当委員会、参議院の方から提出するような形を取つて頂きまして、そうして術修正の点がありますれば、ここで修正なりして、頂くような方法を一つ是非考えて頂くようにお願いしたいと思います。
  62. 塚本重藏

    委員長(塚本重藏君) 私のお願いしたいのも、あの法案をいよいよ議員提出といたしますためには、もう少し手を加えなければならん点があると思いますし、而も臨時国会に提案するには、できるだけ早く司令部の方に原案を出さなければならん関係もありますので、急いでその点打合せをいたしまして成案を得なければならん、こういうふうにも考えておりますので、できるだけ早い機会に皆さんの御相談をお願いしたいと思います。本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            谷口弥三郎君            岡元 義人君            今泉 政喜君    委員            山下 義信君            中平常太郎君            中山 壽彦君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            穗積眞六郎君   説明員    厚生事務官    (医務局次長) 久下 勝次君    厚生事務官    (保險局長)  安田  巖君    厚生事務官    (公衆衞生局    長)      三木 行治君