○中平常太郎君 大体の
調査の報告はよく似たものがございますが、そういうところは大部分はどの地区にも通弊の感がありまして、それは今までの御報告において
指摘された面であると思いますから詳しくは申上げませんが、特に愛媛県、香川県において報告したいのは健康
保健組合の未収入額でありますが、昨年度の未収入額は、愛媛県におきまして九百四十二万余円でございます。これは五千六百五十一万円のうちの九百四十二万円で、一五%程に
なつておりますが、これは各業者が皆滞納しておるかというとそうではないのであります。僅かに三社が、三つの工業が滞納しておる。それを調べたところが
一つは別子鉱業、
一つは日新化学、
一つは四国機械、この三つが大きな会社でありますが、これが滞納いたしております。別子鉱業これは三十五万円でありまするが、日新化学は四百四十七万、四国機械が四百五十九万円の滞納をいたしております。その
調査をいたしましたところが、こういうような話振りであります。この事業者は
政府と契約しておる事業が沢山ありまして、
政府の方から取らねばならん、請求を喧ましく言うておるけれども、
政府の出さない金が二億円ある。この三つの会社が
政府から取らねばならん金が入らないために、この保險の金が
支拂われないという結果であるのでありますが、これは何かの方法で
政府とプラス・マイナス相殺するような方法がありはしないかと思うのでございまして、その他の事業者には未拂いはなか
つたのであります。大体において大変成績がよくや
つておるわけでございます。
それから
改正健康保險の施行後における
初診料の
負担に対するその結果でありますが、これはまだ取立てて言う程被保險者側からの苦情はないそうであります。黙
つて拂
つておるに相違ないのでありますが、ただ料率の値上げは事業者が非常な苦心をしておるのでありまして、今でさえはや健康保險の保險料の未拂いがありますので、先程申上げましたないというのは組合の方であります。それで
政府管掌の方ではやはり未拂いが沢山ございます。それに今度又料率が千対五十五になるというと、非常に
支拂いが困難になるような様子が現に
見えておるようでございます。
それから
政府は赤字があるなら標準報酬を上げたらよいじやないかと、これは大蔵省が始終言うことでありますが、愛媛県におきましては、
政府管掌の方は大体標準報酬が平均四千六百五十六円に
なつておりまして、組合管掌の方は六千六百二十四円であります。それで
政府の方が一千円程少いのでありますが、これは
政府管掌の側には紡績工場、織物工場あたりも入
つておりまして、女工の
関係があるので、男子のみの従業員でないという
関係がありまして、平均するとそれだけ安く
なつておるが、一方の組合管掌の方の六千六百二十四円というのは主に男子の方でありまして、殊に労組の組織が堅固でありますために、そういうふうに明らかに高く
なつておるのでございます。
保險医の監査の結果でありますが、監査は可なり嚴重にや
つておりまして、一ケ年に三回も四回もや
つておりまして長く続いて一ケ月もや
つておるようでありますが、可なり嚴重にや
つておるようでありますが、どうしても押え切れないものは被保險者の側に病気を大きく、取扱う傾向がある。これは
医者から言うのでありましよう。それから又
医者の方の側におきましては、又投薬、注射等の濫療と認め得るものがある。こういう点でございまして、両々相俟
つて、一方は大きく言う。取扱う
医者の方は濫療は差支ない……差支ないと言う人は一人もありませんが、心の中にできる限り
診療費の大きいことを希望する
気持から病気を大きく取扱うというふうに、例えて見れば注射をしなくともよいのに、注射を一本して下さい、何やらをや
つて下さい、ペニシリンをや
つて下さい、こう言うと、そうかということになるのではなかろうかと思うのでありまして、そんな
関係で
診療費は
増加の一途を辿
つておる。不正の手段によ
つて診療報酬を取
つたというような事例は比較的少ないのでありますが、濫診濫療は相当多いようでございまして、一二〇%一ケ年の間に事件を作
つております。中で三十九件までは業務上の失敗、即ち労災保險の方に廻すもべきのを
一般健康保險でや
つたというような誤謬も中には相当あるのであります。それで私共
考えたことは、本会議におきましても前に申上げたのでありますが、どうも診療報酬というものの査定が、如何に嚴重にやられましても根本において誤謬が混り、虚偽が混りしてお
つた場合の発見の途が極めてルーズであ
つて、知らず識らずの間に非常に診療報酬の額が大きく
なつて行くという虞れが多分にあるのでございます。これは前にも
厚生省の方の方に十分に申上げたけれども、宮崎局長の対策が我々の納得するような対策を講じておられません。これは今後問題といたしまして是非ともこの是正のために
一つの何かの途を講ずべきだと思うておる次第でございます。又
中央算定協議会におきましても健康保險や国民健康保險と別々に算定協議会がありますが、あれなどはもう一本でや
つて貰いたいという希望が段々ありますが、これも無理からんことと思
つてお
つたのであります。それから時間の
関係もありますから簡単に申上げますが、国民健康保險は漸次
整備されつつあります。愛媛県におきましては運営のよろしきを得つつあるものが九十三ございまして、つまり四〇%は先ずよろしいというふうに
なつておりまして、一部休止或いは全体というのが六〇%に
なつております。香川県におきましては百五十五ケ町村の中で二十一しか活發なのはありません。あとはいまだ
整備中のものやら何かで目下どんどん奨励しておられるようでありますが、両県とも強い要望はこれを必置
條件にして貰いたい。
法律の
改正、つまり市町村公営の法文を明確にして呉れということにあるようであります。我々はこれは前から申上げたのでありますが、これは
社会保障の将来是非取組んで行かなければいけんところの、中心をなすところの問題でありまして、
社会保障と申しましても
医療程大きな問題は先ずない。一番大きなのは
医療でありますが、その中でも国民健康保險は将来の
社会保障の中核をなすものでありますから、これは市町村公営たる必置法文にしなければならんということを痛切に感じたのでございます。それから国庫補助については皆増額の希望がありますけれども、これは我々はそれぞれ弁明して置きましたが、まあ二十五年度におきましては、事務費が殖えるようなふうでございますので、我々の希望
通りには
なつておりませんが、せめて事務費だけでも全額
負担をせねばこういう社会保險のごときものは
日本厚生のような低い、或る
意味におきましては社会的に見て極めて思想の低い国におきましては、まだまだこういうような社会保險の事務費は、これは全額
負担にすべきであると思うのであります。それで
医者の濫療という問題について、一例を香川県で発見したのでありますが、だんだん
調査したところが、こういう濫診、濫療があ
つた。これは
国立病院でありますが、善通寺の
国立病院で、一人の肺
患者に対しまして、一ケ月の注射が六百本打
つておる。一人の肺
患者に対して一ケ月の注射が六百本で、九万円使
つておるという例があ
つたのであります。又糖尿病にぺニシリンを五十万単位又は六十万単位を使
つております。これなんかは、糖尿病にぺニシリンがよいか悪いか、我々素人でもこれはどうかと思いますが、そういう
医者の濫診、濫療が発見されて来たのであります。これは善通寺
国立病院でございますが、恐らく県庁の方の保險課の者に、このことを聞違いないかといえば、聞違いないということであります。これはお調べになれば分ると思います。これは
国立病院でありますから、今後特別会計にな
つたので、こんな馬鹿なことをや
つたら始末がつかんから、将来はあるまいと思いいますが、濫診、濫療の一例でございます。それで何さま健康保險の未拂の徴収には旅費が足らない。県下を廻
つて行くのに僅かな旅費しか貰
つていないので、どうしても督促ができん。ことのついでに行
つて見たり、行く者に頼んだりせにやいかんことに
なつておる。だからどうしても未収入を早く回収しようとするなれば、旅費の増額は極めて必要である。これに対して二十五年度におきましては旅費の増額をしておられるそうでありますが、果して相当活動し得るほどお出しに
なつておるかどうか、微温的なものでないかということをお伺いしたいのであります。
それからお伺いしたいのは、どうも保険
関係のことは
地方公務員法の第八條にあることでありますが、よく分らんのですけれども、県の職員とは同じ階級で平均五百円低いのでありますが、大分これの不満を聞きましたのであります。保険
関係の従事者が、同じ階級でこんなに五百円も県の職員より低いということになるなれば、県の職員にして貰いたいという希望があるのでありますが、このことはどういうものであるか、本省から来てお
つて県の職員より低いということまどんなものかということを我々は不審に思
つたのでございます。又組合管掌の側におきましても、国庫の補助は十三円、二十四年度におきましては三十円になりましたが、三十円だけでは旅費にも足らない、実際旅費の足しにもならないというので、組合管掌におきましても、未收入を取立てるためには、どうしても人件費の補給が三十円では足りないと言うので、希望はどんなかと申しますと、大体において一〇%ぐらい補助を貰いたいと言
つておりましたが、この算定は、私は何も賛否共に言うところはなく、聽いただけであります。それで安田局長にお伺いしたいのは、
一つは、国民健康保険組合を市町村の必置
條件にし、公営にするように
改正するところの意思があるかないかということ。濫診、濫給、或いは又医師の診療報酬の内部は間違
つていなくでも、診療報酬を書くまでに一種の悪い
考えがまじ
つておることを発見し得る適当な監督機構の
整備をどう
考えておられるかという問題。それから
中央算定協議会においての国民健康保険組合や、健康保険組合の算定協議会は一本ではいけないのかどうか、このこと。それから国民健康保険組合を必置
條件にしないならば、今日までの最も発達しない原因が三つあるが、それを今後どう指導されるか。即ち
一つは未発展の理由は有産階級の問題、それから市町村長、市町村議会人の冷淡及び受益者階級の発言力の無力、そういうものがあ
つて大体国民健康保険は発達しないのでありますが、それをどういうふうに指導されて行きつつあるか、又行かれる
考えであるかをお聴きしたい。これだけのことについて一応お伺いいたします。