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1949-12-01 第6回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月一日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育委員会法の一部を改正するの法  律案に関する件   —————————————    午前十一時五十六分開会
  2. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) ちよつと皆さんに申上げます。別府国際観光文化都市建設法案につきまして、審議を始めるつもりでおりましたところが、提案者の村上君は、少しく時期を見たいからというので、これの審議を見合すよう要求で、この席から去つて行かれたのであります。と同時に地方行政委員の方から、これは地方自治体に重大なる関係があるから、連合審査をさせるようにして呉れという要求があるのであります。そういう関係がありますから、かたがた本委員会のみで直ちに進行はできませんから、これを暫く審議を後廻しにすることにいたします。御異存ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) それでは、そういうことにいたします。教育委員会法の一部を改正する法律案、本案につきまして、建設上に重大なる関連を持つよう考えまするので、政府説明を聽いて、御審議を願いたいと思います。
  4. 堀末治

    堀末治君 政府の答弁を聞く前に、私一言希望を申上げます。  今度の国会では、建設委員の方は非常に法案がなくて、どちらかというと、我々委員としては寂寥を感じておつたのでありりますが、急に会期の延長になつた際になつて、急にこういう法律案が出て来ると、而も昨日になつて、朝日は十時からやると、而も文部委員連合委員会を開くからと、こういうことで、昨日十時からという招集を受けておるものであります。我々さように心得て、今日は成るべく遅れちやならんと思つて、朝早くから登院しておつたのでありますが、さつきから二度も三度も急立てられて委員会に出席したところが、今日の説明委員は今漸く出て、丁度十二時です。而も委員長のおつしやることを聞くと、今日午後一時から連合委員会を開くと、そうしてこれは私共よく法案は分りませんけれども、大分絡み合つた非常に面倒な問題だと思う。恐らくこれは、説明によつて文部大臣の御意見も聽かなければならん。恐らく建設大臣意見も聽かなければならないという程、いろいろ絡み合つた問題ではないかと、私かように思うのであります。然るにも拘らず、午後一時から要するに連合委員会を開こうというのに、政府委員が十二時になつて出て来る、甚だ怠慢極まる。先ずこういう点について、政府に持つて行つて十分の戒告を加えた上で、この審議に入りたいと思いますが、委員長においてその処置を取つて貰いたいと思います。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 私は、多少この法案は輻輳しております関係上、一面文部委員会を開いて審議することを急いでおりますから、私の方で特に本日の日程に上程して、早く審議に入りたいという考えで進めたわけであります。或いは政府との連絡が十分に行かなかつた関係もありましようが、併し、先程来文部省から見えておりましたけれども、自分が弁明はできんからということでもありましたし、そうして只今政府委員が見えましたようですから、一つ説明を聞くことにして頂きたいと思います。
  6. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今まで文部委員会の方に出席しておりまして、丁度私の方に直接御連絡がございませんでしたために、今御連絡がありまして伺つた次第でありまして、故意に遅れて来たというようなことはないのであります。この点は御了承願いたいと思います。それでは法案内容について御説明いたしますが、この教育委員会制度は御承知の通り昨年発足をしたのでございますが、その狙いますところは教育民主化と、教育地方分権化教育自主性の確保という、三つの目標を持つて作られた制度でございます。それでこの従来、県について申上げますと、従来県知事が所管しておりました教育に関する事項につきましては、これを教育委員会の方に所管を移すということになつております。従つて教育という内容につきましては、教育内容は勿論ありますが、教育の人事、教育設備の充実、或いは営繕というようなことにつきましても、権限教育委員会に移されておるわけでございます。それは教育委員会法の第四條にその規定があるのでございます。それで今問題になつておりまする教育委員会法の第四十四條と第四十九條の第八号というのは、実は建設委員会関係において問題になつておる次第でございますので、特にこの両方の條文につきまして御説明をいたしたいと存ずる次第でございます。この第四十四條の現行法は「都道府県委員会事務局には、教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課を置く。」必要な部課の下に括弧がありまして、「(会社及び土木建築に関する部課を除く。)」ということになつております。  今回の改正におきまして、この括弧内を取るということになつたのでございますこれはこの趣旨でございますが、これにつきましては積極的に会計及び土木建築に関する部課を置かせるという意味ではございません。これらの点につきましては都道府県の方におきまして、地方分権という建前から地方自治に委かすことが適当であるということになりましたので、こういうふうな制限規定を設けずに、その必要であるかどうかということにつきましては、地方に委かせるということになつて来たのであります。このことは單に事務局においてこれを立案すればよいだけではございません。これは県会の決議を必要とするのでございます。県会において必要でないということになりますると、さよう部課は置けないわけでございます。そこでこの点はいろいろ御心配の向きもあるのでございますが、地方の方に委かせるのだという、地方実情に委かせる、地方実情に応じて処置をするということになつただけのことでございます。  それから次に第四十九條の第八号でございますが、第四十九條は教育委員会事務について規定しておる規定でございますが、この第四十九條の第八号に現行法といたしまして、「学校その他の教育関係の敷地の設定及び変更並びに校舍その他事物の営繕保全計画及びその実施指導に関すること。」という現行法がございますが、その中で最後のところの「の指導」というのを削りまして、「保全計画及びその実施に関すること。」というふうに、今回の改正案では直したいということでございます。この立法の趣旨でございますが、これはこの委員会制度が出来まして一ケ年間余りになるのでございますが、その間において委員会法の方には、かよう計画並びに指導という字が書いてありますし、又知事の方ではこれを実際具体的に実施するというふうなことであります。その間におきます関係が明瞭を欠くのでございます。そこで県によりまして、或いは委員会において実施をやつておる所もある。又県の方で実施をやつておるというふうでございますし、そこでいろいろ事故があつた等の場合におきまして、責任所在がつきりしないというふうなことがございます。そこでこの事柄が、学校その他の教育関係のことに関係いたしましては、先程も申しましたよう教育委員会でこれを所管するということに、この法律の第四條で規定してありまするので、この場合におきましても、この責任所在教育委員会に置く。但しその実際の場合におきましては、スタツフ等も現在の場合においてはございませんので、教育委員会の方から、知事の方の土木建築部課に対して、と申しますか、知事の方に向つて委託する。委託して実際の工事知事の方の部局においてやる。或いは又一般の業者にお願いするというふうなことになるのでありまするが、その責任所在は飽くまでも教育委員会であるということにしただけでございまして、従来はつきりいたしておりませんので、その関係が非常に明瞭を欠いておつて、例えば台風があつたような場合、校舍等が破損した、或いは倒れたというような場合、教育委員会責任であるか、知事責任であるか分らないという場合があるのでございます。そういうような場合にその点を、その責任所在を明瞭にして置くということが必要でございますので、そこで責任所在を明瞭にするというだけの意味において規定したのでございます。さように御了承願いたいのでございまして、実際の実施の場合におきましては、なかなかスタツフ委員会に揃えるということも困難だと思いますので、これは教育委員会自身で直ぐ工事実施まで、施行までするということは困難だと思つております。さよう意味において法律改正するということでございますので、御了承願いたいと思います。
  7. 北條秀一

    北條秀一君 今回の改正案についての説明は今分りましたのですが、質問いたしたいのは、今説明がありませんでしたが、第三十二條の二の「委員は、教育委員会職務一体として行うものであつて個々委員としてのその権限を行使するものではない。」というあれがあるのでありますが、教育委員会が出来てからこの一年間、委員会教育民主化或いは分権化自主性の確立という線に十分は副わなかつた。ところがこの一年間の経験と同時に、従来の委員会はばらばらに動いておつたのでありますが、今度は一体化して行くという地固めが出来たのて、そうなると教育の中心である施設教育家と被教育家、この三者が渾然として教育委員会の下につかなければ、教育の本来の使命を果すことができない、こういうふうな考えように伺えるのでありますが、この点について御説明を承りたい。
  8. 辻田力

    政府委員辻田力君) 第三十二條の二の問題について只今質問があつたのでございますが、これは新らしく加わつた規定でございます。教育委員会都道府県におきましては七人、市町村におきましては五人の委員から成立しておりまする会議制執行機関でございます。そこで会議制機関でありますから、これを構成いたしております個々委員は、特別の権限を持つておるわけではございません。教育委員会構成員が全部集まりまして、そこで会議をいたしまして、その結果によりまして方針が決まる、その方針によつて事務が執行されるわけであります。さよう意味におきまして、第三十三條の二の教育委員会職務、この職務と申しますのは第四十九條に書いてある事項でございますが第四十九條にずつと列挙してございますが、教育委員会事務でございますが、ここに書いてあります事務を行う場合には、一体として行わなければならないということで、個々委員がこの第四十九條に書いてあります職務権限を勝手にそれぞれ行うということはできない。これはやはり会議制会議によつて決まるものであるということを、ここに明瞭にしただけの規定でありまして、個々委員が講演をされるとか、或いは個々のいろいろな行動をされたということについての制限をここに設けたりしたのでは全然ございませんです。何故それではこういうふうな規定を設けたかということになりますと、これは教育委員会会議制執行機関であるということが徹底いたしておりますれば、いわば必要ないということにもなるわけでございますけれども、過去一ケ年余り経験によりますると、教育委員会を構成しておられます個々委員の方が学校へ参りまして、直接に指導をしまして、この教育が駄目だとか、このことはこういうふうに教えるべきだというふうに指導される場合があるのであります。それは教育委員会方針によつてつておられるならばまだいいのですが、そうじやなしに、個人々々の主観に基きまして、そうしてやられるというようなことが間々ありまして、学校の方の指導される立場から申しますと、教育委員会から決つた方針として来た事柄と、教育委員会の方が個々に来られて指導されることが時々違つたりしまして、非常に迷惑をするわけなんでございます。それでそういうことが実例としてあるわけでございますから、そういうことがあつてはならないししますので、この点については特に強く教育委員会発足最初でもありまするししまするので、教育委員会制度というような、日本においてはまだ新らしい会議制執行機関ということでございまするので、初めを誤るといけないからというので、関係方面も非常にこの点に対しては強い希望がございますしいたしまして、我々といたしましても非常にこの点は、制度の開始の最初に当つて根本的なことを誤つてはいけないというよう趣旨から、かよう規定をこの際置いたというだけのことでございます。
  9. 北條秀一

    北條秀一君 既往においてはそういうふうな誤つた向きがあつたわけでありまするが、今回その教育委員会土木建築に関する部課をおいて、その面の仕事をするということになると、全くこれは未経験仕事教育委員会がやることになりまして、又一層既往の失敗を繰返すという結果になりはしないかということを私は虞れるのですが、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の御質疑にお答え申上げますが、教育委員会委員は必ずしもいわゆる玄人ではございません。国民の代表としてその高い識見と、広い知識を持つておられて、教育に関心を持つておられる方であれば結構なんでございますが、この教育委員会の下に教育長がございまして、その教育長の下に事務局がございますが、事務局構成メンバーの中には、これも現行の第四十五條にございますのですが、建築その他必要な事項に関する專門職員、並びにその他必要な事務職員を置くという規定がございますが、ここに若干の技術的なこの知識を持つておる者はいるわけでございます。そこで学校建築というよう專門的立場からの、どう申しますか、事務を取扱えるわけでございますし、何もかも教育委員会がやつてしまうというようなことは現在のスタツフとしてはできませんです。そういうことでございますので、先程申しましたよう責任は飽くまでもはつきりいたしまして、その下におきまして、教育委員会責任の下におきまして、県の方の土木或いは又建築の方の部課に委嘱する委託するというようなことが実際行われておる次第でございまして、その点を特にこの際変えてしまうという考えはないわけでございます。
  11. 北條秀一

    北條秀一君 或県によつて土木建築に関する部課を置き、他の県については置かない。このことはすべての各県の議会によつて委されておるということでございますが、この既往経験によつて土木建築に関する部課を置いた方がよいという点を、これはもう一度はつきり言つて頂きたい。
  12. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先程申しましたように置かなければならんということはこの際規定しておりませんので、第四十四條の改正におきましては、これを県に委しておりまして、県の方の実情から考えまして置いた方がいいということをこれは委員会もそう思い、知事の方もそう思い、或いは県会においてそういうふうに決定されれば、その時には置き得るものだということでございまして、置かなければならんということになつてはいないわけでございます。
  13. 北條秀一

    北條秀一君 非常に未確定な問題でありますが、こういうふうな改正をやろうとする趣旨は、どうしてもこういうものは必要だという必要に迫られて、改正案を用意したのだと考えるのですがね。ところが今のお話だとそういうものを置き得るかも知れない、置き得ないかも知れない、そういうことは万事県に委して置くんだということでおやりになるならば、そうすると建設委員会としては、この問題について根本的に文句が言いたくなるということになつて来るわけです。特に建設委員会においてこの問題を審議するということを、文部省の方でお考えになる際には、余程こういうことをした方がいいのだという積極的な理由はつきりとしなければ、この建設委員会は本来の建前から言つて、こういう建設行政を県に委せるということはいけないという結論になり勝なんです。ですからそれには余程あなたの方では決心をされて、はつきりした説明をされないと困ると考えるものですから、私は先程申上げたのです。
  14. 安部定

    安部定君 あの今各府県にやはり営繕に関する課がありますね。これは置くことはできないようになつているんですが、何という課になつておりますか。例えば校舍の図面を引いたり何かするその課は何になつておりますか。
  15. 辻田力

    政府委員辻田力君) 土木建築に関する部課としては置いておりません。これは法律上禁止してあることでございますから置いてありませんが、総務課とか或いは施設課とかという、総務課一つの係でございましたり、施設課内部にあるというふうな、内部一つの係としてあるというふうなことになつておりまして、その中におきますスタツフとしましては、先程申しましたように、第四十五條におきまして建築その他に必要な專門職員を置き得るということが書いてありますので、それによつてその人達が構成しているわけでございます。  それから尚先程の御質問にお答えいたしますが、それは文部省がこれを積極的に置かなければならんという意味で、この規定改正したのではないのでございます。これは飽くまで今日地方部課のことというようなことにつきましては、これは地方実情に委せるのが最も適当である。それで文部省の方であれこれ指示する、文部省ではありませんが、法律によつて指示するということは適当でない。地方の方で今のように、例えば名古屋市等においてそういうことを事実やつておりますが、それはそこで私は必要があるのだと思うんです。ちつともそれは市当局建築関係とは混雑も何もしていないわけなんです、巧く行つているんです。そういう必要がある場合におきましては、これは置いてもいいので、併し何も無理に置かす必要もないので、特に只今お話ございましたように、行政簡素化一体化ということもございますし、又経費をできるだけ節約いたしまして、常に冗費を省くということも必要でございますので、それらはいろいろな面から考えまして確定ではありませんが、地方の方で必要だと、それも考えて円滑に行くんだということでございましたら、これは特にこちらの方で法律によつて制限して置くということはないのじやないかということにまあなつたわけでございます。それを何もいたしませんで、今のように外の名称等によつてつて行くということになつて来ると、面白くない結果になると思うんです。そういうふうな程度でございます。
  16. 安部定

    安部定君 私は学校建築は実際にやるのは市町村であつて教育委員会ではないものと理解しておる。これまでもそうであつたし、これからもそうであろうと理解するのですが、先程のお話の件でわかつたのでありますが、「(土木建築に関する部課を除く。)」としておきながら、第四十五條では建築專門職員を置き、第四十九條の八号では「営繕保全計画及びその実施指導に関すること。」をやるというふうに書いてあつたこと自体が、すでに矛盾であつたのではありませんか。それでそのように、実際には建築のことを、一般的な意味においては建築のことをやつている部課があるにも拘らず、この法律の第四十四條に縛られで、そういう名前故意に避けて、そして施設とか総務とかという名前でやつておる、そういうことであるのではないですか。
  17. 辻田力

    政府委員辻田力君) 御尤もな御質問だと思うのでありますが、これは何でございますか、第四十九條の第八号にありますように、学校その他の教育機関のことにつきましては、やはり專門的知識なり技術なりも必要でございます。そこで例えば一つ理科ならば理科実験室を作るにいたしましても、その理科実験室がどういうふうな設備であるのが最も適当であるとか、或いは又一つ天秤台を置くにしても、どういうふうなものが最も能率的であるというような、いろいろな教育的な見地からの專門技術的なものが必要なのでございます。そこで第四十五條におきまして、特にこの方面の專門家を置き得ることになつておるわけでございます。そうして第四十九條の第八号におきましても、計画、或いは実施指導に関しては、この委員会でやるということになつてつて、両々相俟つてやるということになつておるわけなのであります。ところが両々相俟つてやると、いうことは非常に結構なのでありますが、ところがその両々相俟つてやる場合に、責任所在はつきりしないということになつて一体これは計画が悪かつたのか、或いは工事実施が悪かつたのかというふうな場合もありますし、いろいろありますので、その点を権限と申しますよりも、むしろ責任所在を、どこが大体責任者であるかということをはつきりいたしまして、その下におきましてこの工事実施するという、具体的の実施するという場合におきましては、大部分の場合におきまして、恐らく県の方に、知事の下における土木建築部課の方に委託するというふうな形になりますると、その関係が明瞭になつて来るわけでございます。そういうよう意味におきまして、この第四十九條第八号、第四十五條規定等があつたわけでございます。
  18. 北條秀一

    北條秀一君 先程にもう一度帰るようでありますが、先程の御説明によりますと、政府としては別に、そう積極的にこれを、この第四十四條の点を改正しなければならないというふうには考えてなかつたのであります。ところが各府県、或いは市町村の方でこういう必要が生じて来た。だからその新情勢に応ずるためにこういうことを書いたのだ、こういうふうに私は受取るのですが、そこで大変迂遠なような話でありますが、原案の「(会計及び土木建築に関する部課を除く)。」先に積極的に除くと決めた法律を作つた当時の精神ですね、それを御説明を願えますと、対象がはつきりしますから、よく我々は理解できると思うのであります。お分りになつたらその点を知らせて頂きたい。
  19. 辻田力

    政府委員辻田力君) 御尤もな御質問だと思うのですが、これはこの際におきましては、最初はやはり教育委員会制度が出来ますために、我が国としては最も新らしい制度でありますので、こういう制度が出来ますために、必要以上に地方経費の負担をかけてはならないというやうな考もございまして、我々としましては、できるだけ一本化で行こうという考であつたわけでございます。それでそういう趣旨を織込んでおるわけなんでございます。まああちらこちらにそういうふうな部局を置く必要はないじやないかという考で、この括弧をしておつたのでありますが、ところがその後、先程申しますように、一ケ年半からの経験でございましたが、これは私達の方も経験いたしましたし、又関係方面等にもいろいろな資料が行つておるように聞いておるわけでありますが、その関係上、これをこういうふうに書いて置くことが、必ずしも地方実情に適しないというふうな実情が起つて参りまして、そこでこういうふうなものを何も書いて置く必要がないじやないかというふうになつてこれを消そう、それは地方分権的な意味もありますし、地方自治の尊重というふうな意味から行きましてしただけのことでございます。
  20. 細川嘉六

    細川嘉六君 この改正をしなくちやならんというこの理由ですね。先から質問があり、お答えもあつたのだが、まだはつきりしないのですが、過去一年間の間の経験上、どうしてもこれは法律改正しなければならんという実情を、理由を具体的にもつとお話願えないでしようか。
  21. 辻田力

    政府委員辻田力君) 繰返して甚だ恐縮でございますが、この第四十四條の改正は、先程来いろいろ申上げましたよう趣旨で、最初はこの括孤のようにいたしまして、できるだけ地方経費を省こう、冗費を省こう、一本でできるだけやりたいというふうな私達の考であつたわけでございます。ところがその後の経過を考えた場合におきますと、この括孤の規定がありますために、必要がありましても、事実必要がありましても、それをできないというふうなことでございますので、まあ潜つてやるというふうなことも場所によつては超つて来るわけであります。併し現在やつておる場所におきましても、これは極めて円滑に行つておるわけなんです。このやつておる場合ではですね。うまく行つておるわけなんでありますが、ちよつとも支障なしにやつておるわけなんです。それでそういうふうな実情をいろいろ見ますと、この際法律の中でこういうことを括つてしまう、引括つてしまうということは面白くない。むしろ地方の実体に即して地方自身で決めるべきじやないか。このどういうふうな課を置くとか、部を置くというようなことまで、法律で何にも書く必要がないじやないか。そこは地方県会なり、或いは市会なり、そういうところに委せればいいじやないかということになつたわけでございます。結論としまして申しますと、やはり地方自治地方分権の精神から来ておるわけでございます。それと、過去一ケ年間の、一ケ年余り経験ということでございます。  それから次に第四十九條の第八号につきましては、先程来申上げますように、この号に、計画とか指導とかいう字がありまして、計画指導はここでやる、この委員会でやる、併し実施は、実施と申しますか、施行はこれは県の方でやるということになりますと、その間におきまして、責任が明瞭でないということになつて来るわけでございまして、実際やつて見た経験上そうなんでございます。そこで先程実例として申上げましたが、何か台風でも起つてそのときに校舍が倒れた、或いは傷が入つたというふうな場合に、計画が悪かつたのか、或いは施行が惡かつたのかというふうなことも起つて来るわけであります。そうして互いに委員会知事の方の関係者とが、責任のなすり合をするというふうなことがあつてはならないのでございまして、この点ははつきりして責任を持つて……、特に工事というようなものは、私が申上げるまでもなく、して置かなければならんわけであります。そこでこの事柄教育に関する建物のことでございまするので、教育委員会責任を負う。併しまあ実際責任を負うからと言つて、その施行まで何もかも細かいことをやる必要はない。それは餅屋は餅屋で、特に知事の下にありますスタッフを活用するということで結構なのであります。そこでその責任所在を明らかにいたしまするためには、指導という字ではおかしいのでございます。その点をこれもまあ一ケ年、過去一ケ年余り経験に鑑みまして改正して行くわけでございます。改正したいと思つておるわけでございます。
  22. 細川嘉六

    細川嘉六君 もう一つ。先程の御説明の中に、関係方面へも具体的の問題についての報告が出ておつた。関係者から報告を出しておるというようなことがあつたようですが、それはどういうことなんですか。関係方面までもそういう問題が取上げられて行つたということだから、相当のことはあつたわけなんですか。どうなんですか。
  23. 辻田力

    政府委員辻田力君) これは具体的に実際上のことに関しては、一々話が関係方面からございませんが、併し大体関係方面から、規定はどちらに責任があるのかということを、随分私共も聽かれるわけでございます。向うの方ではいろいろの実例を持つておられるように聞いておりますが、併し私の方に一々説明がございませんから、具体的にどこの場合はどうだということは私の方から申されないのですが、私達がいろいろ折衝して行きます場合に、向うの方からこういう場合はどうなるのだというふうな、抽象的な話のような形で質問を受けるわけでございます。それは具体的なことから出て来ておる質問だと私は伺つておるわけであります。
  24. 細川嘉六

    細川嘉六君 そうだとすると、実際に教育責任に当つておる方が、具体的に各地方にどういう問題が起きておるということを承知していないということになりますが、それはどういうわけですか。
  25. 辻田力

    政府委員辻田力君) 私達の方でも若干の点は無論資料を持つておりますが、これは個々の県については分りませんので、この際いろいろお話することも如何かと思いますので避けたいと考へております。
  26. 細川嘉六

    細川嘉六君 そういう実状を知らずして、この問題の審議はなかなかむずかしいことじやないのですか。
  27. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) これは一応の質疑が終りましてから、政府委員の退席を求めまして委員会の態度を決めたいと思います。
  28. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 曾てこの建設省設置法案のときに、建設行政を一元化する方針の下に地方自治法の一部を改正して、建築に関する部課を置いたわけでございます。ところで今度の改正案によりますると、この教育委員会建築部課を置くということになつて、直接工事を施行すると第四十九條にあるようですが、そうなるとどうも建設行政が二分化されるというふうに感ぜられてしようがないのですが、もう一遍御説明願いたいと思います。
  29. 辻田力

    政府委員辻田力君) 第四十四條の問題で、土木建築に関する部課を置かなければならんというふうにお取りになつておるのじやないかと、私拝察するわけでございますが、そうではないのでございまして、ここでは改正法によりまして都道府県委員会事務局には、教育委員会規定の定めるところによつて、必要な部課を置くということになりまして、必要な部課であるかどうかは地方の実状に応じて、この総務課、学務課或いは社会教育課に分けるか、或いはそういう分け方ではなく、全然別の分け方にするということは、そういう部課の方の分け方等につきましては、地方自身の裁量に任すというふうにするわけでございまして、土木建築部課を置かなければならんというふうな積極的なことは考えていないわけであります。それでございますから、その点は仮に土木建築部課に関して、或る県において置く必要があるという場合に、やはり県会の決議を経まして、その上で置くということになります。この教育委員会自身で勝手に置くというようなことは、予算も伴うことでありますので、置けないと思うのであります。
  30. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 強制的に置くのでなしに置いても宜しいというのでありますけれども、置くということの枠は一応出来るわけですね。そういうふうに承知して宜しいのですか。
  31. 辻田力

    政府委員辻田力君) さようでございます。
  32. 安部定

    安部定君 ちよつと休憩したらどうですか。
  33. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 先ず聽きたいのですが、教育委員会の財政というものは、県会の方から分けて貰つたようなわけで、はつきりしないので、教育委員会の財政の独立というようなことが問題になつておりますが、その件はどうなつておりますか。
  34. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育委員会は先程申しますよう会議制執行機関でありますが、これは公共団体の機関でありまして、公共団体と対立するものではないわけであります。ですから鳥取県なら鳥取県の行政執行機関として知事があり、教育委員会があるというふうなことでございまして、従いまして最終的なその県における意思決定は県会自身においてするわけです。そこで県会で決つたことを教育については教育委員会、その他の全部のことについては知事の所で執行するだけのことであります。ですから教育委員会は公共団体と対立して設置されるというふうな問題はないのでございます。一つ執行機関に過ぎないのであります。さように先ず御了承願いたいと思います。従つて教育委員会の財政の独立権がないというふうな問題でありますが、この意味によつていろいろ違うわけでございますが、教育委員会執行機関でありますという関係から、議決機関でございませんから、従つて現在の法律建前といたしましては、飽くまでも財政に関することは県会自身で決める。その決つた範囲内において教育委員会がこれを執行するわけです。従つてそういう意味において、財政的の独立はないというのは分ることでありますが、現在の法制上の建前としては当然なことだと思うのであります。ですからいろいろ問題になつております点は、教育委員会の財政的独立と申しますよりも、むしろ教育費の確保という面において努力がなされている次であります。教育費は新憲法によつて、文化国家として成立さすためには、教育は非常に重要であります。その点において教育費を或る程度確保しなければ、教育の振興は期されないというふうな立場におきまして、今論じられておる次第でありますが、その場合に教育費が確保されますと、結局その教育費を使いますのは教育委員会でございますから、教育費が確立されれば、教育委員会の財政的裏付がそこでできるというふうな形になりまして、教育委員会自身地方公共団体に対立してと申しますか、別個に教育費を独立させるという考は全然ございません。
  35. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 結局今のところ教育委員会は財政的独立はない、又将来もそういうようにしたいという意向もないというような御答弁ですね。
  36. 辻田力

    政府委員辻田力君) ちよつと言葉が足りませんでしたが、教育費の確保につきましては、できるだけ努力しております。
  37. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 教育費の確保について努力した。教育委員会の財政的独立とは別にしてそういうことは考えてない。ところでそういうふうに将来は教育委員会の財政なるものが、県の財政、公共団体の財政に従属する場合において、この教育委員会土木建築実施を行う責任者になるというようなことは、財政的に非常に大きな問題となり、財政的に従属すべきものがその責任を負うということになつて、我々は一沫の不安を感じ、そこに混乱が起きはせんかとかように先ず思うわけです。それから大体教育委員会というものは、もつと純粹な教育というものに專心すべきものなんです。ところがともするというと、地方の実状を見るというと、教育委員会或いは教育長なるものが、どうも仕事屋になる傾向が相当あるように見受けられるところもあるので、そういう際にはこの責任教育委員会にあるという枠を與えられることが、悪用されることを私は心配するのです。悪用され、又それが公共団体と混乱して、公共団体にもいろいろの人があるから、両方がそういう事業に関連して何かしようということになつて、更に私は混乱が多くなりはしないか。二分することが混乱し、或いは県民、或いは自治体に迷惑をかけることが多くなりはしないか、そういう危惧をするのです。そういうことについてどういうふうに考えられますか。
  38. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先程教育委員会に財政の独立がないということについて申上げましたが、この点については、只今財政的に従属しておるのだから、その執行について責任を持つということはおかしいじやないかというふうな御趣旨の御質疑がございましたが、この点につきましては、私の説明が不十分なために、言葉の足りなかつたために、誤解を起したのではないかと思つて恐縮に存ずる次第でございますが、それは県会において最終的に決定されることから独立しておるわけではないという意味でありまして、県の地方公共団体における経費は、全部県会によつて審議され決議されるわけであります。従つてそれより別に教育委員会は独立して、県会関係なしに、教育委員会自身が收入を図り、自立するということではないという意味でございます。県会が決定した範囲内において、知事知事に関する所管事項について財政を執行し、その他教育に関することは教育委員会において執行するというのでありまして、その点は知事に従属しておるという意味ではございません。でさように御了承を願つて置きたいのでありまして、この点はいわばよく教育知事といわれる場合がございますが、その言葉の当否は別として、教育に関する限りにおいては知事と並立するものであります。そうでありますので、今のことに対してはよく御了承を願いたいと思います。  次に教育行政については純粹でなければならん。然るにいろいろなものを持込んで来て、本来の教育を忘れて、むしろその他のことについて仕事を作つて行くというようなことは適当でないという御質疑でございますが、一面御尤もと思うのでありまして、教育行政教育内容の振興、人材の養成ということが主眼であることは勿論でありますが、これは併し教育基本法にも謳つてありますように、教育者或いは教育を受けるところの被教育者が、教育をでき易いように、或いは教育を受け易いように環境を作るということは、これは当然教育行政の所管する者のなすべき事柄でありまして、それについていい環境を與えるために、できるだけいい設備をするとか、いい学用品を與えるとか、或いは堅牢な建物を建てて、教育上支障のないようにしてやるということは、教育行政の問題から逸脱した問題でない。むしろ教育行政立場から行きますと、非常に大切なことだと考えておる次第であります。
  39. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先程から政府委員は、責任所在を明らかにしたい……。これは御尤もと思います。そこで責任所在でありますが、教育委員会土木建築に関する責任を持たせるか、或いは現在のよう責任をやはり土木建築の方のものに任せるかというこの問題でありますが、むしろ教育委員会は実際財政的においても、教育委員会そのものが、学校を建てるだけの財政を持つておるわけでありませんから、そういう方の責任は現在通り、県の建築課もありましようし、そういう方に責任を持たして、仮に台風で学校が壊れた、そのときこれはどうしてくれるか。それは教育委員会が強く知事におつしやいまして、それを財政的にも或いは技術的にも十分に持つておる、或いは町村というか知事というか、その方に責任を持たして、責任の追及を強く押す、そういうことは実際においては個々にあるのでないですか。
  40. 辻田力

    政府委員辻田力君) これはいろいろ考え方としては成立つと思います。どちらに置くがいいかということについて、御意見があることはよく承知しておりますが、教育委員会制度というものを日本に置かない場合は問題は別ですが、教育委員会制度を置いて、その第四條で、従来県について申上げますと、知事の持つておつた教育に関する権限はこれを教育委員会に移すということを明記しておる。而も教育というのは、單に教育内容だけでございません。人事のこともあるし、設備の充実ということもあるし、その他財政上のこともございますし、事務教育委員会法の第四條によつてはつきりといたしておる。そこで今どちらがいいかという問題はいろいろ言い得るわけでありますけれども、併し教育委員会法を最も忠実に実施いたしますためには、責任教育委員会が背負つて来るというふうに、自然的になつて来ておるわけであります。ただ今のよう実施の面において、これは理窟ばかりでものは通りませんので、そこで理論的には正しいかも知れんが、併し実際上職員がなければ、仕事ができないというようなことがございますので、そのためめには実際上教育委員会よりも、知事の方における土木建築の部下が充実しておるということならば、そちらに委託するということにして、仕事は支障ないようにすることが適当であると考えておる次第であります。
  41. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) それでは文部当局に対する質疑はこの程度にしまして、本日はこれで散会いたします。    午後零時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     石坂 豊一君    理事      島津 忠彦君    委員            岩崎正三郎君            島田 千壽君            堀  末治君            水久保甚作君            赤木 正雄君            安部  定君            北條 秀一君            細川 嘉六君   政府委員    文部事務官    (調査普及局    長)      辻田  力君