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説明員(
小林義男君) 二百五十五号は「
工事の施行に当り
措置当を得ないもの」というのでございまして、大阪大学で二十三年の二月に医学部の附属医院の屋根五百八十坪の防水修繕
工事を施行したのであります。この屋根は大分傷んでおりまして、在来のモルタルを取り除きまして、防水層の破損箇所を補修した後に、新たに防水層二層を施行する、それはアスフアルトとか燒砂をしますとか、その上に又モルタルをするとかいう
工事でありまして、その支拂に当
つて請負人の提出した見積
内訳書の
通りの
金額を拂
つた。ところがその
工事にはセメントを使うのでありますが、そのセメントはこの当時の
工事としては官がセメントを支給するのを普通とし、或いは支給しなければ割当切符を渡すのでありますが、このときにおいては割当切符を
交付しなか
つた。請負人持で
工事をさせたのでありますが、そこで当時セメントの闇相場というものは相当高か
つたのでありますが、その闇値を官に請求するわけにも行きませんので、その闇値の分くらいをモルタルの設計数量を多くする、それから使
つた人間の歩掛を、沢山人間を使
つたようにして見積書を出した。それに対して
代金を支拂
つた、こういうのでございます。それをまあ一つ一つに申しますと、セメントの方では大体五十トン程度で足りると思われるのは、六十二トンを積算してある、ですから十トン内外多か
つた。それから労務費でありますが、労務費の方は二千七百人
余り積算してあるのでありますが、これは非常に多過ぎる、それでこれをいろいろ計算して多過ぎるということで、後で
工事の実際使役の実績表を提出して貰
つた。それを見ますと、大分手直
工事、
工事が一遍できてから後で手直
工事のために四百何人使
つておる、こういうことにな
つておる。ところがその手直というようなものは、
工事がうまく行かなか
つたから手直ということが起きたので、むしろ請負人の負担になるようなものなので、そういう手直というものが最初の
工事代金に含まれておるのは合点が行かない、こういうわけであります。尚こういう
工事は、他の丁度当時東京大学が大体似たような
工事を、農学部の一号館の屋根でや
つておるのでありますが、それに比べても、そのときの歩掛でありますが、坪当り東京大学の方では、農学部の方では〇・六人でよろしい、ところがこの方は坪当り一・五人を必要としておるということにな
つておるので、人間の見積りが少し多過ぎるのじやないか、結局こういうふうな
工事を施行した原因を考えて見ますと、それは
文部省本省が資材の伴わない、割当切符のない
工事をさせたことに原因があるのでありますが、多少工法の点にも少しうまくない点があ
つて、若し農学部と同じような工法を採用したならば、もつと安く所期の
目的を達し得たであろうに、闇のセメントを多量に請負人持としたために高く
なつた、こういうものであります。