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1949-10-28 第6回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十八日(金曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————  委員氏名    委員長     奧 主一郎君    理事      中平常太郎君    理事      柴田 政次君    理事      柏木 庫治君    理事      川上 嘉市君    理事      來馬 琢道君    理事      米倉 龍也君            カニエ邦彦君            羽生 三七君            吉川末次郎君            荒井 八郎君            草葉 隆圓君            西山 龜七君            平沼彌太郎君            森田 豊壽君           池田七郎兵衞君            淺井 一郎君            竹中 七郎君            谷口弥三郎君            安部  定君            阿竹齋次郎君            伊藤 保平君            江熊 哲翁君            小野  哲君            姫井 伊介君            藤野 繁雄君            結城 安次君            千田  正君   —————————————   委員の異動 十月二十五日(火曜日)委員羽生三七 君は辞任した。 同日議長において板野勝次君を委員に 選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件分科会設置の件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) 只今から決算委員会を開会いたします。本日昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算及び昭和二十二年度特別会計歳入歳出決算が当委員会に付託になりましたが、この審査根本方針は、先国会と同様といたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) 御異議ないものと認めます。それではそのように決定いたします。  次に審査方針にもありますように分科決定しなければなりませんが、これはいかがいたしましようか。
  4. 中平常太郎

    中平常太郎君 分科の数は二分科とし、その所管は第一分科国会、会計検査院、外務省、大蔵省、農林省及び商工省に関する事項並びに第二分科所管に属しない事項復興金融金庫大蔵省)を含む)  第二分科は裁判所、法務庁内閣、文部省、厚生省、労働省、運輸省及び逓信省に関する事項建設院及び公団石油配給配炭価格調整食糧配給等公団)を含む。等は内閣所管である。)とし、その担当委員の選任は委員長において御指名せられんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) 中平君の重議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) 御異議ないと認めます。それでは私から指名いたします。  第一分科担当委員に、    カニエ邦彦君  吉川末次郎君    柴田 政次君  平沼彌太郎君    淺井 一郎君  奧 主一郎君    阿竹齋次郎君  伊藤 保平君    江熊 哲翁君  川上 嘉市君    藤田 繁雄君  板野 勝次君    千田  正君  米倉 龍也君  第二分科担当委員に、    中平常太郎君  姫井 伊介君    荒井 八郎君  草葉 隆圓君    西山 龜七君  森田 豊壽君   池田七郎兵衞君  竹中 七郎君    谷口弥三郎君  安部  定君    柏木 庫治君  來馬 琢道君    結城 安次君 を指名いたします。  次に閉会中行ないました派遣議員に関して各班より代表者にその報告をして頂きます。
  7. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) それでは大阪和歌山班は私から報告いたします。決算委員会は院議を経て六月六日から十日迄の間に、大阪府及び和歌山県下における、特殊物件処理状況調査した。  調査を行なつた委員は、奥委員長及び阿竹議員である。尚波江野專門員及び建設省高田総務課長が之に参加した。    〔報告内容イメージ参照〕備法により解散団体指定のため及び物資配分未済等のために、徴収出来ないものである。なお未決定額のうち、主なものは、塩酸キニーネ約六百万円であり、これは、G・H・Qから処分許可のないものである。  4.結論    大阪府に於ては、特殊物件処理に関する直接、間接の職員数は最も多い時期には数千名の多きに達していたが、現在に於ては、上述通り連合軍から処分許可がないために、未処理となつている極めて小部分を残すのみで、殆んど処理を完了したと云い得る状況であり、又代金徴収も大部分は終了し、未徴収は、閉鎖機関指定された等の理由により、徴収困難の事情にあるものであつて特殊物件処理は殆んど終つている。現在においては、数名の職員兼務残務整理事務行なつている。なお、特殊物件に関する犯罪で、特記すべきものは、無いとのことである。 二、大蔵省所管状況  1.概要別紙大阪II参照)    昭和二十四年七月現在における大阪府下特殊物件の旧軍用国有財産の主なるものを挙ぐれば次通りである。   総 計    土地 約六百万坪     台帳価格約一億五千五百万円    建物 約三十九万坪     台帳価格  約五千二百万円    工作物     台帳価格  約四千二百万円   右のうち返還受数量    土地 約二百四十三万坪     台帳価格  約八千三百万円    建物 約十四万八千坪     台帳価格    約二千万円    工作物     台帳価格  約四百八十万円   内訳売拂管理換貸付、一時使用のもの    土地 約二百万坪     台帳価格  約五千九百万円    建物 約十三万三千坪     台帳価格  約千九百十万円    工作物     台帳価格  約三千二十万円  未活用のもの    土地 約四十三万坪     台帳価格  約二千四百万円    建物 約一万五千坪     台帳価格    約九十万円    工作物     台帳価格  約百五十七万円  2.大阪城周辺軍用財産返還並びに使用状況別紙大阪II参照)  その主なものを挙ぐれば次通りである。   イ、旧中部軍司令部、旧大阪陸軍兵器補給廠城内倉庫の一部    土地約四万坪、建物約五千坪    右のうち土地の約二割と建物の殆んど全部を、大阪市警察局に有料で使用せしめている。   ロ、旧第四師団司令部、同倉庫、旧大阪陸軍兵器補給廠、同城内倉庫の一部、土地約四万三千坪、建物約六千坪、    右は国家警察大阪管区本部警察学校に、その殆んど全部を無償使用せしめている。   ハ、旧歩兵第三十七聯隊    土地約二万坪、建物約六千坪、    右の大部分厚生省近畿医務局大阪地方経済調査庁経済安定局労働基準局有償使用せしめている。   ニ、旧歩兵第八聯隊    土地約二万九千坪、建物約八千坪、    大部分大阪警察局日本赤十字病院等に、有償使用せしめている。   ホ、旧大阪造兵廠    土地約三十五万六千坪、建物約十二万坪、    これは未返還のものであるが、土地の約半数及び建物の一部を大阪大学、大阪財務局近畿木材株式会社産業復興公団城東振興株式会社等有償又は無償使用せしめている。 三、大阪陸軍造兵廠事件概要   (大阪IV参照)(極秘)   所謂大造事件終戰直後における緊急放出物資について、リスト上の数量と実在の数量との間に差異があつたことに起因する、犯罪緊急搬出指令に基いて、緊急搬出を実行しつつあるのに、更に緊急搬出取消し指令が出たことに起因する犯罪であるが、後者に起因するものが主なものである。   現在判決未確定であるので、その内容の詳細は発表されていないが、その概要を示せば、昭和二十二年十一月六日に地方検察委員会及び同事務局が設置され、昭和二十三年十一月迄に受理された件数は一三一件、人員一四六名であり、起訴された件数は八十三件、人員八十六名である。   その内訳は、窃盗十四件、横領三十二件、業務横領二十九件、収賄七件その他である。   検収物資は、鉄鋼非鉄類約四万九千瓲、繊維製品約百十万碼、三万五千ダース、三万点、其他である。その合計金額は、当時の公定価格で約六億五千万円である。   取調を受けた人員は三百七十七人に達している。    第二章 和歌山県  調査団は八日和歌山県庁に於て荒木副県知事、鹿嶋経済部長並びに、県関係官鹿嶋大阪財務部長蒲原和歌山地方部長並びに大蔵省関係官から、県下における特殊物件処理状況について詳細な説明を聴取し、その後和歌山市所在の旧陸軍用財産使用状況視察し、翌九日には、扶桑金属工業株式会社和歌山製作所視察した。 一、内務省所管状況   (別紙和歌山I参照)  (1) 概要    特殊物件集積箇所は約二百ヶ所であつた。その処分の方法は、他の都道府県と同様であつて、中央の指示に基くものは、統制機関に引渡し、その他のものについては、県特殊物件処理委員会の議決を経てその拂下げを行つた。特殊物件の主なるものは、次の通りである。   米、リストに記載された数量             約六十万瓩    実際検収した数量            約四十七万瓩    (右の外に放出数量約七十四万瓩あり)   麦、リストに記載された数量            約九十四万瓩    実際検収した数量            約七十五万瓩    (右の外に放出数量約十二万瓩あり)   米、麦は、統制機関を通じて処分した。  (2) 特殊物件経理的処置    特殊物件拂下売却見込額は、約千八百四十六万円であり、全部の処分を終つている。代金徴収決定も終了して、その徴収も順調であり、未徴収の約八十五万円も近く納入見込である。  (3) 結論    和歌山県に於ける特殊物件処分は、上述通り全部終了し代金の未納が少しあるが、これも近く納入見込である。現在数名の職員兼務残務整理に当つている。なお、特殊物件に関する刑事事件は殆んどない。 二、大蔵省所管状況  (1) 概要別紙和歌山II参照)    昭和二十四年七月現在における和歌山県下の特殊物件の旧軍用国有財産の主なものを挙ぐれば次通りである。   総 計    土地 約百五十七万坪     台帳価格 約五百四十九万円    建物 約三万七千坪     台帳価格 約六百七十一万円    工作物     台帳価格 約二百九十一万円   右のうち返還受数量    土地 約百五十四万坪     台帳価格 約五百四十二万円    建物 約三万六千坪     台帳価格 約六百三十三万円    工作物     台帳価格   約二百五万円   内訳   売拂管理換貸付、一時使用のもの    土地 約九十八万坪     台帳価格 約三百三十六万円    建物 約二万四千坪     台帳価格 約四百九十六万円    工作物     台帳価格    約八十万円   未活用のもの    土地 約五十六万坪     台帳価格   約二百五万円    建物 約一万一千坪     台帳価格  約百三十六万円    工作物     台帳価格  約百二十五万円  (2) 和歌山市内国有財産使用状況別紙和歌山II参照)   (イ) 旧歩兵第六十一聯隊    土地 約四万三千坪       価格 約二百三十五万円    建物 約六千坪       価格   約六十四万円     右のうち土地約二万坪、建物約三千坪その他を和歌山県立高等学校及び和歌山市立中学校に売却し、その売却価格は、約千六十万円である。     その他の大部分和歌山県、建設省近畿土木出張所和歌山経済専門学校日本赤十字社等貸付又は一時使用せしめてゐる。   (ロ) 旧歩兵第三十二旅団司令部    土地 約一千坪、其の他         台帳価格 約七万円     右の全部を日本赤十字社貸付けている。   (ハ) 扶桑金属工業株式会社和歌山工場別紙和歌山IV参照)    建物 約四万二千坪      建設価格 約二千六百万円    機械        約五百台      建設価格   約四千万円   其の他を合せて合計金額      建設価格 約六千八百万円   右のうち    建物      約二万八千坪        価格 約二千三百万円    工作物 価格  約百六十万円    計   価格 約二千四百七十万円   については戰時補償特別措置法第六十條の規定により、同社有償譲渡対価約千七百四十万円)するよう大蔵省進達済である。    残余物件については、同社に於て買受希望があるので、これに売拂いする見込である。   「備考」戰時補償特別措置法、   昭和二十一年十月十八日   第六十條、国……に対し……建物……を譲渡し、又は国……に……建物を収用された場合において、その対価請求権について戰時補償特別税を課せられたときは、国……は、この法律施行の際、現に当該……建物……を有する場合に限り、旧所有者……の請求により、当該……建物……を現状において、これらの者に対し譲渡しなければならない。 三、扶桑金属工業株式会社和歌山製作所概要別紙和歌山II参照)  視察団国有財産転用工場である、扶桑金属和歌山製作所視察し、井關所長鈴木製造部長等並び大蔵省関係官から説明を聴取した。  (1)概況    本工場戰時中鉄鋼品の急激な需要増大のために鉄鋼一貫作業を目標とし、昭和十四年に建設に着手し、昭和十七年四月一部の完成を見たが、同年二月兵器等製造事業特別助成法が公布されたので、同法に基く官設民営工場として建設を進めることとなつた。    官有設備範囲については製造設備のうち、鋼材整備に限定し、共通設備はすべて、これを民有設備決定した。    助成法に基く命令設備のうち、海軍艦政本部関係については、建物関係は殆んど完成し、機械は五四六台、約八千万円が完成したがこのうち、七十台約六百万円の精算終戰後なつたため、その買上代金戰時補償特別税として納付することとなつた。又海軍航空本部軍需省関係については、建家は全部完成機械は百十八台約一千万円の完成を見たが、このうち四台、三十六万円は精算終戰後なつたので、戰時補償特別税として納付の止むなきに至つた。    以上の機械のうち焼爆による損失及び終戰後連合軍並び関係者搬出、又は破損による滅失を差引き、現在においては、五百五十六台を保有しておつて、その管理は、大蔵省及び商工省所管に属して居るが、終戰と共に操業を停止し、賠償工場指定後は極力管理に便な工場に集結して保全手入に努めた。建物は全部大蔵省所管であるが、その坪数は艦本関係で約三万坪、軍需省関係で約一万坪である。  (2)戰後生産再開状況    戰時中荒廃した鉄道施設復旧の一環として、当時最も緊急を要した鉄道車輌用外輪精算のため「タイヤーミル」施設稼働運輸省から慫慂されたので、昭和二十一年六月民需転換許可を受けて、前記一連設備使用して、タイヤーの生産を開始した。    又二十三年度に至り鉄鋼増産計画に伴い当社に対する鋼管精算が急増したので、休止中の「スチーフェルマンネスマン式製管設備を復旧することとし、これが稼働につき、G・H・Qの民需転換許可を受けて熱間仕上鋼管精算を開始した。  (3)使用料に関する陳情の要領   (別紙和歌山VI参照)    鋼管製造設備である「スチーフェルマンネスマン式製管機を中心とする一連機械設備は、戰時中当社において設備建設し、戰時中兵器等製造事業特別助成法施行に伴い、これを建設命令中に包含せられたものであつて、その所有権は国にあるが、これを一時使用認可に基いて現在稼働しつつあることは前述の通りである。    その使用料算定については、これ等設備を時価に評価し、据付以降の償却額を控除したものについて査定する方針大蔵省当局で内定している由であるが、現在政府は、低物価政策を堅持し、物価庁決定している鋼管生産者価格、瓲当り三万五千余円中、減価償却費として認められているものは四円であるから、使用料も当然この範囲内に止まるべきものと思われるのに大蔵省算定方式に従えば八百円位となる。企業資産再評価が決定的段階に達していない現在において、官有財産についてのみ時価評価替を認めて、これに基いて使用料決定することは企業経理上甚だ不都合を生ずるものである。而も二十四年度の生産計画は、生産能力の五十五%の低操業であり、又同機械は、終戰後一時休止していた関係上、再開に当つては、約二千万円以上の資本を投下したこと等をも、使用料査定に当つては考慮に入れられたい。    第三章 結び  本調査の結果を綜合すれば次通りである。 一、特殊物件処理について   大阪府、和歌山県ともに殆んど全部の処分を終え、代金徴収額も僅少であつて、大体順調に処理を完了しつつあり、又これに関する犯罪も少なかつたと認められる。 二、旧軍用国有財産処理について   実地を視察した大阪城週辺旧軍用財産及び和歌山市内の旧軍用財産については、大体順調に進行しておると認めらる。併しその他については、なお、未活用のものが相当あるから、これの活用については、当局は更に一段の努力を拂うべきである。 三、国有財産使用料について   扶桑金属工業株式会社において陳情している旧軍用国有財産使用料の問題は、全国的に、同様の事例があると思われるが、相当の理由があると思われるから、当局はその決定については、不合理のないよう、最
  8. 中平常太郎

    中平常太郎君 長崎県班は私から報告いたします。  長崎県下に於ける特殊物件実情調査のため決算委員会から派遣せられた委員は、中平常太郎姫井伊介の二名であつた。(随員として、森專門員坂井調査主事、及び委員部から長谷川参事が参加)一行は左の日程で視察行なつた。  七月十日 朝、東京発  七月十一日 夜、長崎着  七月十二日 長崎県庁に於て各方面から説明聽取長崎市内外視察  七月十三日 諫早、大村川棚地方視察  七月十四日 佐世保市役所に於て各方面から説明聽取佐世保視察  七月十五日 佐世保早岐地方視察  七月十六日 朝、佐世保発  七月十七日 夜、東京着 左にその調査の結果を報告する。    〔報告内容イメージ参照〕   即ち右の表により収入済額は、調定済額に対して八一%に当つている。なお未収入金に対しては、鋭意回収に努力して居り、又この未収入金の起きる原因並びにその対策についての意見は後に記す。 (二)国有財産利用状況   国有財産は、土地及び建物の一部が未返還であるのを除き、他の大部分連合軍から返還を受けた。而して、「自作農創設のための所管換」「国立病院等厚生省えの所管換」「売却済」「利用者えの貸付済」等それぞれその利用の途を講ずることに努力している。そのうち特筆すべきものは、旧佐世保海軍工廠施設重要部分が、一括して佐世保船舶工業株式会社貸付けられ、船舶修理、その他各種機械製作及び修理業務を営み、将来佐世保市の繁栄の中堅たらんことを期していることである。その他川棚の旧海軍工廠大村の旧海軍航空廠等施設が、それぞれ各種工業会社等によつて利用せられ、国家経済再建に貢献するため、地方人の熱意が注がれている。   なほ視察した地区利用状況は左の通りである。  (1)旧、川棚海軍工廠    建物返還済なつたが、土地は未返還である。この未返還土地利用に対して、町としては将来工場の誘致を望んでいるが、経済上の問題もあつて結論には至つていない。    建物の数は大小合せて百二十八棟あるが、このうち空爆によつて、倒壊した建物が約一三%ある。現在利用されているもののうち、公的なものとしては、病院引揚者寮、小学校、孤兒院等があり、このうち引揚者寮使用している建物は、旧工廠工員宿舎であつて、約三百棟、六百家族を収容し得るものである。現在はその約六〇%が使用されている。住宅料は月六十円くらいである。又産業方面のものとしては、国際陶器株式会社日本製網株式会社川棚工場等がある。前者は陶器製造業として、原料は、五島、天草、方面から入手し、主として輸出品としてのコーヒーセツトを生産し、その能力は、年数十万セツトであり、優秀な成績を上げている。後者魚網製造業として、本年四月創業、現在は従業員八〇名、織機二五台、縒機六台以つてモヂ網製造をなし、一ヶ月六百反(大巾)の製造能力を持つている。これは九州全土モヂ網を賄い得るものであり、なお第三、四半期頃からは、モヂ網以外の機械を入れる予定とのことである。  (2)大村、旧第二十一空廠    土地、三三町九段五歩——     台帳価格   五四九、〇二四円〇二    建物、五九、二六五、二坪——     台帳価格   一六、四〇〇、八九四円七六    右建物のうち、売却済なつたものは、二十棟であり、一時使用として現在貸付けてあるものが七棟である。    売却済のうち、現在代金回収のものは、福岡製鋼株式会社の約百二十四万円のみである。なほ買受者並びに一時使用者別紙「第二十一空廠管理処分状況調」を参照せられたい。  (3)佐世保地区    本県において最も広範囲に亙り、大量に物件の存在する所は、本地区である。   (イ)佐世保船舶工業株式会社通称S・S・K)旧佐世保海軍工廠は、幸にして戰時中その被害も少く、終戰と共に米占領軍の進駐するところとなり、昭和二十一年十二月第二復員省佐世保地方復員局営業部がその一部を整備し、二十一年三月まで専ら復員艦船修理に当つていた。これより先二十一年二月十六日連合軍最高司令官の「元佐世保海軍工廠再開に関する覚書」により、その施設民業転換が許され、これが運営のため、関係各省並びに造船聯合会斡旋の下に、二十一年十月一日資本金三百万円で、当社が設立せられ、二十三年資本金二千万円に、更に本年に至つて一億三千万円に増資した。(この資本金のうち一千万円は従業員、五千万円は佐世保市民の持株である。)   (a)営業種目     船舶修理及び期間の製作修理、鑄造品及び鍛造品製作電気機械製作修理炭鉱機器製作その他である。   (b)施設     係船岸壁は、総延長一千百五十米で、その内係船地岸壁は、延長九百五十米、水深十米に達し、二百五十屯起重機一基、十屯起重機二基を備える外、施設は完備し、巨船の横付修理も可能である。(係船地岸壁係留可能最大屯数五万屯のものが三ヶ所ある。)   (c)乾ドツク     第一ドツクから第六ドツクまで六基あり、入渠可能の船舶屯数は左の通りである。     第一ドツク   八、〇〇〇屯     第二ドツク  一五、〇〇〇屯     第三ドツク  二五、〇〇〇屯     第四ドツク  六〇、〇〇〇屯     第五ドツク   四、五〇〇屯     第六ドツク  一〇、〇〇〇屯   (d)船舶 三基     第一船台 一六六米     第二船台 二〇二米     第三船台 一〇〇米   (c)機械設備     工作機械 二四五台           鍛錬設備一〇基     金属加工機 四五台            仲鉄設備九基     木工機械 二七台      酸素製造能力毎時            一〇〇立方米     自動発電設備      三千KWA二基、五百KWA一基   (f)製作能力     船舶修理       年間 七百隻 九十万屯     鉄製炭車      二百台    以上の外に、木工場内に六千百台に上る賠償指定機械があるので、現在許可を得て使用している。    従業員は現在約三千百五十名であつて、その過半数は、旧海軍工廠に勤務していた技術優秀な工員であり、従つて機械設備にも馴れており能率も非常に良好である。    終戰後、即ち日本軍隊の解散後における佐世保市は全く活気を失つた状態にあつたが、このS・S・Kの発足により救われたと言つて差支えない。従つてこの会社の浮沈は誠に重大である。現在は、連合軍許可を得た外国船の修理をしているが、前述のごとく優秀な設備を有しているのであるから、大いに活用し、自由に大量な外国船の修理又は、建造をなし得るに至ることを希望している。    なお、一時使用料は年一千三百万円であり、台帳価格は三千七百万円となつている。(別紙佐世保船舶工業株式会社概要参照)   (ロ)新制清水中学校     旧重砲聯隊の兵舎を一時使用しているものであつて、建坪は約一千七百坪、現在生徒は約一千六百名、県下で最も大きな新制中学といわれ、設備はほぼ完備している、一時使用料は年約四十万円である。   (ハ)大阪鋼管株式会社     一時使用土地七、二七三坪    建物一、九七〇坪、     資本金一千万円、鋼管の再生産をなし、一八〇粍から三粍の鋼管を再生産、其の月産能力は、一五〇瓲である。    (別紙大阪鋼管株式会社事業概要参照)   (ニ)東洋油化工業株式会社     土地約一万坪、建物約三千五百坪の一時使用であり、その使用料は年十八万六千円、処分価格は三千万円となつている。現在の資本金は一千万円であるが、来春まで五千万円に増資の予定をもつている。従業員は七百二名であつて、バター、石鹸、魚油の製造をなしており、その生産能力は、石鹸年間一千五百瓲、魚油月産二十瓲である。   (ホ)九州冷凍工業株式会社     旧彈薬倉を一時使用しているものであり、建物坪数約一千八百坪、一時使用料は年約六万円である。     資本金は五百万円、作業人員は十八名であるが、その生産能力は製氷一日二十瓲である。この能力佐世保市の需要を満たすにやや不足するので、将来の魚船用、又は一般船積用を考慮して、一月六十瓲の能力をあげるべく現在設備中である。     以上の外、西日本工業株式会社(資本金三百万円、一時使用佐世保市直営の製釘工場、(工員十四名、坪数六四八坪)旧海軍工廠倉庫群(島地、千盡、前畑の倉庫地区)旧海軍工廠工員宿舎使用している市営大黒引揚者住宅(建坪一千二百坪、現在百六十四世帯住居している)並びに同宿舎を使用している福石新制中学校(将来母子寮とする予定)同ひかり授産場、或いは又旧海軍航空隊跡で、すでに長崎県綜合大学、水産学部設置場所として選定されているもの、並びに現在はまだ未処分地となつている、日宇元第廿一空廠跡等を調査視察した。然し前述のごとく広範な土地に、大量な財産が散在していることも原因とは、考えられるが、S・S・Kその他二、三を除いては適切な活用とは、言い難く、又未処分、未利用施設が相当あることは遺憾とするところである。 (三)国有財産利用に関する注意事項   国有財産利用状況について、注意すべき点を左に列記する。  (1)国有財産貸付又は売却に当り、地方的経済事情を考慮し、地方人に優先的処置を採つていることは適当であると思う。然し国有財産の主要部分が軍港、海軍工廠、航空廠、のごとき巨大なる海軍施設であり、なお、その所在地が必ずしも経済上の立地條件に適合しないため、大規模な建造物であつて、未だ利用者を見出し得ない状態にあるものが若干あるが、(特に川棚大村等のごとき、小都市に所在のもの)、その建物が鋼鉄製であるがごとき場合には、これを他に移転することが殆ど不可能であるので、斯くのごときものに対しては、その利用を広く全国に求め東京、大阪等のごとき大都市の大企業家の利用に供する等の方向に注意を拂う必要があると思われる。なお、地方的経済人の利用を優先せしめる結果として、小規模の工業に主として利用せられているきらいがあるように思われる。単に地方的需要に応ずるための産業(例えば製氷事業)はこれが適当であるが、全国的又は世界的規模において競争せられるべき大企業を、資本力に制せられて、殆ど手工業的に経営することは、国民経済的に損失であり、事業の発展性についても疑問があるであろう。  (2)土地建物等で連合軍から未だ返還を受けていないものの中には、実際上連合軍のため必要なものは致し方がないとして、然らざるものについては、中央政府において、今一度交渉の余地があるのではないか。例えば(イ)土地返還なつたが、建物は未返還であるとか(例、万津、塩浜町の海軍施設予定地)、(ロ)建物返還なつたが、土地は未返還であるとか(例、川棚海軍工廠)、斯くのごときものは、その利用価値が著しく減殺せられ、また従つて計画的な処分を行い得ないのである。  (3)国有財産の売却代金及び使用料について、未収納金額が割合に多いが、その原因及び救済策について記すと、   (イ)調定が年度末に迫つて行われることが多い。この場合に租税の納付、特に徴収の強行に迫られたり、また一般に年度末の決済が多いため、国有財産売拂代金使用料等の納付が後廻しとなりがちである。従つて調定の時期について適当の注意を拂うことが肝要である。   (ロ)経済界一般の資金難によつて、金融機関よりの借入も困難であり、売掛金の回収も意のごとくにならず、また政府の支拂の遅延もこれに加わつて納入の困難又は遅延となることが多い。これ等は、経済界の現状において止むを得ないことであるが、少くとも政府の支拂遅延だけは防止するように致したい。   (ハ)国有財産の一時使用許可しているものを、売拂に移すことが普通であるが、使用者使用料又は売拂代金の納付を遅延しても、その国有財産使用を取消されることが殆どなく、従つてその事業の遂行に支障を来さない。而して国税滞納処分のごとき強制措置が有効に執れないので、とかく納入成績が悪い結果となる。故に政府としては、生産活動の振興に妨げを生じない限り悪質の未納者に対しては、使用停止又は、契約解除等の断乎たる処置を講ずることを必要とする場合があるであろう。   (ニ)国有財産売拂代金を、一般企業家に対しては三年以内の延納を法律で許しているが多額に上る売拂代金を考えるとき、その企業の利潤率等を勘定し、産業の経営を圧迫しないためには、延納許可年限を相当延長する必要があるように思われる。    現に参議院に於ては昭和二十年度の決算審査報告に関し、返納金の取立について「産業の発展を阻害しないために、返納方法は実情に即した処理をなすべきものと認める」旨を決議していることを参照せられたい。   (ホ)国有財産については、政府は売拂を原則とし、貸付は特別の場合を除いては、行わないことになつているが、現在のような資金難では売拂の実行困難な場合も多い。それ故に相手方の業態を調査して、将来その事業が採算可能であり、産業の振興に役立つと思われるような場合には
  9. 淺井一郎

    淺井一郎君 富山県、石川県班は私から御報告いたします。決算委員会は院議を経て、七月十八日から二十四日までの間に、富山県、石川県及び福井県下における公共事業費中災害復旧費の処理状況並びに復旧事業の実地を調査した。  調査を行つた委員は、浅井、竹中両議員である。尚波江野專門員及び建設省津田技官がこれに参加した。    〔報告内容イメージ参照〕している。尚この外に工事は進行しており、従つて更に未拂金は増加しておるものと思われる。 四、常願寺川の復旧工事の現況  (別紙富山県III参照)   復旧工事の現状の一部を視察した本川は、相当の急流であり、又土砂石の流出の甚だしいのが特徴であつて、再議もこれに起因することが多い。現在各所で復旧工事を施行しているが、川底を下げることが災害防止に最も効果的であるという見地から、常磐橋の上流地域に二十三年度予算で二台、二十四年度予算で一台の「タワー・エキスカヴエーター」を設置しつつあることが特に目立つ施設であつて、その一台は完成の域に達している。一台の土石採取能力は年間二十万立米であつて、三台で年間六十万立米となり、常願寺川の土石流出量は年間百万立米と推定されるので、本施設完成の上は災害防止に著しい効果を挙げ得ることと予想している。本施設建設費は一台三千万円の予算である。 五、黒部川の復旧工事の現況   別紙富山県IVを参照せられたい。 六、庄川の復旧工事の現況   本川の出水は三十分位で高岡市を侵入せしむるものであつて、目下主として堤防を高くする工事を進めている。復旧工事の現況については、別紙富山県Vを参照せられたい。 七、小矢部川の復旧工事の現況   別紙富山県VIを参照せられたい。 八、災害復旧費補助その他に関する県の意見及び希望  (1)復旧工事は短期間に終了することが必要である。    復旧が長引くと、その間に、更に災害を蒙り、支出した経費が無駄となることがあり、場合によつては、更に大きな災害を蒙むるようなこともある。大体三箇年計画を目標としており、政府の方針も同様であるが、国庫の都合により、最近は国庫補助が三年以上に亘ることが多いから、三箇年計画の確保を希望する。  (2)国庫補助金の交付を急がれたい。    補助金の交付の遅くなることは、工事の進捗上甚だしい支障を来たすのみならず、県の立替支拂額も多額になつて、県の財政上にも影響が大きく、更に又未支拂金が巨額に達して業者の苦痛も甚だしい。  (3)起債の枠を拡張されたい。    公共事業に対する起債の枠が今年になつて縮小されたことは災害復旧工事に大きな支障を来たしている。折角国庫補助が決定しても、充分の起債ができないために、県の財政に余裕がなければ県の増税を図らねばならんが、本県においては県財政の余裕もなく、増税の余地も少いので、国の予算を返上するの余議ないことになる虞れがあつて、災害復旧が実行できないことになる。  (4)災害予防に一段の考慮を拂われたい。    戰時中の山林濫伐の実情に鑑み、災害を生ずる危険性が非常に多いから、災害を生じてからその復旧の策を講ずるは本末顛倒であつて、むしろこの際河川維持費の増加等災害予防工事に主力を注ぐべきである。  (5)食糧増産のための開墾計画の再検討を要望する。    開墾計画中には、山の中腹以上の個所や開墾の目的に副わないものがある。富山県としては、災害防止のため、開墾指示の辞退を農林省に申出している。日本の現状では、未開墾地域中には開墾の価値のあるものは少く、寧ろ土地改良によつて食糧増産を図るべきである。    第二章 石川県  調査班は二十一日、石川県庁に於て柴野県知事、土井副知事、山岡土木部長並びに県関係官及び八尾建設省金澤工業事務所長等から、県下における災害及び復旧工事の概要について説明を聴取した後、手取川復旧工事の現状の一部を視察し、更に大聖寺町において三森大聖寺町長及び村田石川県江沼地方事務所長から、震災に関する説明を聴取した。 一、震災及び暴風雨による土木関係の被害状況(石川県I参照)    昭和二十三年六月の北陸震災による被害は、建設関係二百五十七ヶ所八千三百万円、運輸省関係九ヶ所二千七百万円であるが、更に同年七月及び十月の暴風豪雨による被害を合算すると、建設関係約一億二千万円に達している。これに対する国庫補助は、昭和二十四年第二、四半期迄に三千百万円である。 二、北陸震災による建築物の被害並びに復旧状況北陸震災による建物の被害は、機業中心地の大聖寺町が最も大であるが、損害比率の最も大であつたのは、小漁村塩屋村であつて、全村壊滅の惨害を蒙つた。この外、片山津温泉地は埋立地の関係上、各旅館建物が殆んど半壊となつた。建物被害状況を数字で示せば、住家の全壊約八百戸、半壊約三千八百戸、非住家全壊約八百棟、半壊約千七百棟であつて、現在迄に右被害の約八〇%が復旧した。なおこれが復旧対策として施設したものは、事業費で約三千五百万円であり、そのうち国庫補助金は約千五百万円である。   なお大聖寺町及塩屋村の震災復興に伴う都市計画事業として、三ヶ年計画及び六千四百万円の予定をもつて進行しているが、今日迄の国庫補助金は、二千七百万円である。国庫補助率は二十三年度は三分の二であつたが、二十四年度において二分の一に減額されたので、地元負担の増加、起債の至難と相俟つて、本事業の前途については、困難を感じている。 三、災害復旧、其の他に関する県の意見及び希望(別紙石川県I参照)  (1)手取川改修促進を要望する。    手取川は、昭和九年の大水害によつて、甚大な災害を蒙り、政府は昭和九年度から昭和二十年度に至る十二ヶ年継続事業として、総工費四百九十五万円を計上して改修を行うこととなつたが、終戰前後国庫財政の都合と経済事情の変動により事業の進捗が遅々として進んでいないので、下流河床の上昇を来し、洪水氾濫の脅威が加はつている。事業費の増額と工事の促進等、既定計画の全面的促進を要望する。    なお、河口導流堤工事、辰口橋改築工事、砂防事業についても災害防止の見地から促進を要望する。  (2)震災地大聖寺町、塩屋村の都市計画事業に対する国庫補助率の復旧を要望する。  (3)北陸震災復旧に対する国庫補助金の増額を要望する。  (4)国庫補助金に関する手続の簡素化が望ましい。    三千万円の国庫補助金に関し、五百四十四回の手続を要した実例がある。その間、度々出張を要、しその経費、手数等軽視出来ない。  (5)会計検査院の実地検査に関し一考を望む。    実地検査は、各係毎に出張して行はれるので、年間数回の実地検査があり、約八十円の補助金に関して実地検査が行われた実例がある。その都度、資料作成等に多大の時間と労力を要する。成るべく各係が合同して実地検査の回数を減ぜられるよう要望する。  (6)予算費目間の流用を許されたい。    会計法の改正によつて、予算費目間の流用が従来に比し窮屈になつたので、工事施行上困難を感ずることが多い。再考を望む。    第三章 福井県  調査班は、二十二日福井県庁に於て、小幡県知事、北副県知事、安立出納長、小林土木部長、荒木農地部長並びに県関係官及び淺田建設省福井工事事務所長等から県下における災害及び復旧工事の概要について説明を聴取した後、同日午後及び二十三日に亘つて九頭龍川流域其の他災害地の現状を視察した。(別紙福井県I参照) 一、昭和二十三年災害土木事業の概要   (別紙福井県II参照)  (1)災害の概要    昭和二十三年災害の特異性は、地震と水害が併発したことであり、地震の範囲は狭小であつたが、その激烈の度は関東、濃美地震を遙かに凌ぐものといはれ、その余燼の納まらぬ一ヶ月後に、大水害を受けたものである。    即ち、地震による被害は人畜を始め、あらゆる地上物件に及び、又地盤に隆起、沈下等の変動を生じて、水防施設が脆弱化された後に来襲した洪水は、福井市を始め越前平野を濁水の海に化せしめたものである。  (2)復旧の状況    戰災の痛手がまだ消えやらぬとき、この震水災を一挙に受けた本県の打撃は極めて大きかつたが、関係方面の絶大な援助と県民の努力によつて予想以上の復興を遂げた。併しこれは民間の建築面の復興であつて、国庫補助に依存する土木の復興は漸く四〇%に過ぎない。    即ち、昭和二十三年度に下附された補助に基く事業量は、約四億円であるが、応急工事、地建委託工事に約三億一千三百万円を使つておるので、残りの約八千七百万円で道路、橋梁、河川砂防、港湾の復旧を図らねばならない窮状に陥つたので、県は資金の借入等の手段を講じて緊急箇所の復旧を図つている、今日迄に起工した支拂義務発生額は、約八億五千二百万に達しているが、二十四年第二、四半期迄の支拂済額は五億七千七百余万円(内、国庫補助金は約三億八千五百万円)であつて、差引二億七千四百余万円の支拂不足となつておる。    更に、本年度の今後の緊急起工額は、約二億六千六百万円の計画を以て、その実現を期しているが、国庫補助の大幅の削減で、復旧事業に一大暗影を投じている。なお二十五年度以降の施行額は、約九億八百万円と予定している(註以上復旧費の総額は二十億二千五百余万円となる。)  (3)結論    公共事業費の大幅な圧縮が災害復旧に致命的打撃を与えていることは全国的ではあるが、地震と水害とを併せて蒙つた本県に対し、他県の水害と同等に見做して、同じ比率を以て補助せられることは特に苦痛が甚だしい。地震はその範囲内の地盤に対して全面的に陥没、隆起等の変動を与えるため、その復旧は一挙にこれを行はねば効果を期待し得ない。 二、耕地関係災害復旧事業の概要   (別紙福井県III参照)  (1)被害状況    地震による被害総額三十二億一千百万円、水害による被害総額約八億二千三百万円、合計四十億三千四百余万円である。これに対する農林省の査定は、一応、震災関係二十二億二千五百余万円、水災関係三百余万円、合計二十二億二千八百余万円である。  (2)復旧状況    二十三年度において、国庫補助金の交付を受けて整理済のものを金額で示せば、震災関係においては約四億一千六百万円、水災関係においては百七十余万円であるが、この外に両者を通じて三億六千余万円が施行済であつて、この分に対しては借入金等によつて支拂を了したものである。  (3)今後の計画    二十四年第二、四半期以降の予算は未定であるが、県としては、一応約十八億一千万円の実施を予定している。  (4)耕地復旧について    耕地復旧については、二十四年度以降国庫補助打切となつたが、前記被害総額四十億三千四百余万円中、耕地被害額は、震災、水害を併せて約十五億八百万円であり二十三年迄に完了したものは、約五千六百万円であるから、今後耕地復旧に要する経費は、約十四億五千三百万円となる。 三、九頭龍川復旧計画要領   (別紙福井県IV参照)   復旧工事費は、二十三年七月に取敢えず、福井委託工事として約九億二千万円を以て、全体計画予算が決定されたが、同年十一月直轄災害工事に変更された。この間委託工事として約二億円を支出、竣工している。直轄災害工事としては、県委託工事に継続して、工費七億六千万円を以て施行することとなつた。   本復旧工事は、一日も遅延を許さぬ緊急工事であるので、特に二十三年度以降三ヶ年間に完成の予定である。 四、災害復旧その他に関する県の意見及び希望  (1)本県の災害土木事業の復旧については、他に優先せられたい。    地震によつて、地盤に大変動を与えているから、復旧工事は一挙にこれを行わないと、効果が期待出来ず、時期出水には全面的に被害を生ずるから、これが復旧には特に重点を置いて、他に優先させる必要がある。  (2)国庫補助金の増加を要望する。又補助金の交付を急がれたい。    復旧工事は極めて急を要するので、国庫補助金を予定して工事を施行しているが、国庫補助金の額が少く、又補助金の交付が遅延するので見越工事量が多くなり、従つて借入金等の手段を講じて支拂を行つているが、尚支拂遅延の額が多額に上つている。その為、工事請負者の苦境も甚だしく、又復旧にも支障を来す。  (3)国庫補助以外の農家負担に対しては、長期低利資金の融通を要望する。  (4)二十四年度から国庫補助打切となつた耕地復旧に対しては、本県の非常な災害を認めて特に補助復活を希望する。  (5)地震とを水害と併せて蒙つた本県に対しては、特別に補助の増加を要望する。    第四章 結 言  本調査の結果、考慮を要するものと感じた点を綜合すれば、次の通りである。 一、国庫補助金に関する件。  (1)災害復旧に対する国庫補助金については、事業計画に対する安本の認証、補助金の指令、補助金の概算拂、補助金の精算拂等の各段階があるが、各段階の手続が遅れがちであるから、その迅速化を図るべきである。これ等が遅れることは、或いは工事の施行に支障を来し、又は、支拂の遅延を来して、業者にも苦痛を与へ、或いは又、県の財政上にも種々の困難を与へることとなる。  (2)補助金の認証は、少くとも年二期程度に改める必要がある。    現在毎四半期ごとに区分して認証が行われ、従つて補助金の概算拂、精算拂も毎四半期に区分されているが、災害復旧工事は事実上数年に亘る継続事業であり、又工事の性質上、短期間に区分することは、事業の遂行上無理があり、また支障がある。  (3)補助金の手続につき簡易化を図る必要がある。    前述の通り、毎四半期に区分して事業の認証申請、補助金の申請、補助概算拂の認証手続、補助精算拂の認証手続が必要であり、本年九月中旬迄は、概算拂、精算拂について、小切手認証官の認証が必要であつて、すでに相当の手数と思われるが、更にこれ以外に種々の手続を要するものと思われ、その結果、無駄な時間、費用等を要することになるから、その手続の簡易化を図るべきである。  (4)公共事業費から支出する災害復旧国庫補助金については、年度繰越を認むべきである。    公共事業費の性質上、その年度繰越は認められないというが、災害復旧が可成短期間に完成を要するものであり、年度繰越を認めな
  10. 奧主一郎

    委員長奧主一郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会  出席者は左の通り。    委員長     奧 主一郎君    理事      中平常太郎君            柴田 政次君            柏木 庫治君    委員      カニエ邦彦君            西山 龜七君            草葉 隆圓君            淺井 一郎君            谷口弥三郎君            阿竹齋次郎君            伊藤 保平君            江熊 哲翁君            姫井 伊介君            藤野 繁雄