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1949-11-30 第6回国会 参議院 経済安定委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)    午前十時三十八分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○外国為替及び外国貿易管理法案(内  閣提出衆議院送付) ○価格調整公団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○外国為替管理委員会設置法案内閣  提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは第四回になると思いますが、安定委員会を開会いたします。今日が会期の最終日になつておりますので、現在までの付託法案その他について簡単に経過だけを御説明申上げておきます。  十一月の二十二日に、外国為替及び外国貿易管理法案と、それから同管理委員会設置法案、その二件が予備付託になつて二十四日にこの経済安定委員会の第三回の委員会を開いて、これを大蔵通産及び内閣委員会連合委員会を開くことを決定いたしました。次いで管理法関係につきましては二十五日と二十六日、二十八日及び昨日の二十九日と四回に亘つて大蔵通産との連合委員会を開いて安本長官通産大臣その他に質疑を続行したわけです。昨日でこの管理法関係連合委員会は一応打切つて、そうして本経済安定委員会一本でやるということになつたわけです。それからもう一つの方の設置法関係は、二十八日に内閣との連合委員会を開きまして、安本長官等質疑行なつたわけでありますが、これはそれ一回で連合委員会を閉じまして、これも経済安定委員会一本でやることになつておるわけです。尚設置法及び管理法は二十六日に衆議院通つて、二十七日に本付託になつております。それからもう一本ありました価格調整公団法の一部を改正する法律案は現在までのところ予備審査段階質疑をやつたところでストップになつております。そうしてこれは二十五日に衆議院を通過して、二十六日に本委員会付託されております。従いまして、ともかく現在この委員会付託されて審議をしなければならん法案としましては、今の調整公団法の一部改正法律案と、それから外国為替及び外国貿易管理法案と同委員会設置法案の三本であります一それから又請願が一応審議したもので留保になつているもの炉二件と、それから新らしく付託されたもの三件、都合五件が一応まだ残つておる。こういう状態であります。従いまして今日の議題といたしましては、今の三本の法律、及び時間があれば請願に取りかかつて行く、こういう段取りになろうかと思います。  先ず最初公団法改正法律案質疑が恐らくもう余りないだろうと思いますので、これを終了したいと思いましたが、まだ人数もはつきりと揃つておりませんから、質問が尚そのまま残つております為替管理法の方の質問を続行して行きたい、こういうふうに考えます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) そうして他の委員会との関係で、ここに委員が揃われたときに、今の調整公団法は直ぐに問題にしたい、こういうふうに考えます。それでは最初管理法議題にいたしますが、一般的な質疑が残つておりましたら御継続願います。
  4. 和田博雄

    和田博雄君 多少まだ一般的の質問が残つておりますので、それを続けて行きたいと思います。それから私今までこの委員会へ出ておつたのですが、政府答弁で非常に不明確な点がどうも私にはあるように思う。従つて質問自体が多少重複する点もあるかと思いまするが、私は他の委員に対する政府答弁を拝聴しておつて、どうも納得の行かない点は多少質問自体としては蒸し返しになるかも知れませんが、できるだけ避けましてやりますから、その点御了承願います。  一番初めに安定本部長官にお聞きしたいのですが、これは木村君も前に触れたんですが、この法案とそれから国際通貨基金とこの機構との関係ですがこの点に対して政府の説明だと、主としてブレトン・ウッズの関係とかいうものを予め前提として、この内容を作られたようにも説明されたのでありますが、その点をもう少し明確に説明して頂きたい点と、それから今一つアジア・マーシヤル・プラン関係でありますが、御承知のようにヨーロツパではマーシヤル・プランが大体実行に移されて、殊に一九四八年においでは、非常に生産面その他について成功と一応は見られる段階に達しておるのですが、今の世界の情勢は、これは御承知のように政治的にも、経済的にも一応問題の中心東亜地域に移つて来たと私は思うのです。今まではヨーロツパ中心であつたが、アジア方面に、世界のやはりいろいろな注目の的がアジアの方にやつで来たと思うのです。その中でやはり経済的な、丁度ヨーロツパにおけるマーシヤル・プランと匹敵すべきアジア・マーシャル・プランが事実日程に上つて来ておると思うのですが、殊にアメリカ政策としましても、トルーマンが大きないろいろな政策を立てましたが、その中のいわゆるフオア・ポイントである未開発地域開発というものが、アメリカ自体政府政策としても非常に大きくクローズアツブされて来たように私は思う。そこで今度ここへ出ておりまするこの法案、これは非常に将来の日本経済をいわば動かして行く挺子みたいな役割を果すものであると私は思うのでありまして、一体政府はこういう法案を作るときに、アジアマーシヤル・プランについて一体どういうような考えを持つてつたか、具体的にいえば参加一体意図があるのかどうか、そうして一体そのままで日本というものが一応どういう役割を一体果すというようなお考えになつておるかどうか、それらの点についで、少くともこちら側の連合国のスキヤツプと話合われて見たことがあるかどうかというようなことについて一応お尋ねしたい。それをきつかけにして又少しく質問したいと思います。
  5. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 和田さんのお尋ねにお答え申上げますが、これは私といたしましてはブレトン・ウツズ云々ということは、別にそういうことをはつきり申したわけではございません。問題はこの法案国際経済への正式参加ということと、特に国際通貨基金への加入を確立するというようようなことがこの法律作成一つ目的になつておる、こういうことを申上げたのでありまして、今日もその通り考えておる次第でございます。この趣旨が現われておりまする法案の規定といたしましては、第一に基準外国為替相場は、單一として、裁定相場を正しく決定して、これを維持しなければならないという旨を第七條で規定しておりますが、こういうような点は国際通貨基金が、その加入国に対して要請しておるところでありますので、さよう申上げた次第でございます。又外国為替予算は、権威のありまする機関によつて正確な計画の形で愼重に作られることも、通貨基金加入国の体制として望ましいどころでありますので、この法案におきましても関係閣僚より成りまする審議会によつて四半期ごと品予算として愼重に作られることを定められております。そういう趣意お答えを申したと思います。今お答え申上げることもそういう趣意でございますので、さよう御了承を願いたいと思います。尚アジア・マーシヤル・プランの問題、又イカツフ等との関係というような問題については、御承知通りこちらの立場は何といいましても鵜呑みの立場でございますから、いろいろと考えはいたしまするけれども、この法案を作りまする場合におきまして、は、この法案それ自体として直接に影響があり、関係がある点を中心とて、これを考え作成をいたしておりまするので、アジア・マーシヤルプラン参加するかしないかというような問題について、基本的に我々が話合つたこともございませんし、又そういうことは勿論重要な問題でありまするから、我々としても非常に注視はいたしておりまする。けれどもこの法案を作りますに際しまして、一々さような点について我々はこれを考えて、そうしてこの法案の中に盛り込んだというようなことはございません。勿論我々の考えの奥にはそういう問題も将来に属するということの意味においては考えはいたしますけれども、只今申上げましたように、この法案そのものとしては、一々そういう問題について、これに織込んで考えるというふうに考えたわけではございません。
  6. 和田博雄

    和田博雄君 私がなぜアジア・マーシヤル・プランのような問題を出したかといえば、この法案を見て見ますると、第一條に目的が書いてある、何々といろいろなことを書いて、最後に行つて、「もつて国民経済復興発展とに寄与することを目的とする。」と、こういつておる。とするならば、少くとも政府としては、この日本経済復興なり、発展なりについての一つの大きな構想を持つていなければならない。その構想を持ち、その構想実現する一つ手段として、こういう一つ法律というものが出て来なければならん、それは後になつていろいろ内容との関連においで質問を続けて行きますが、そう思うのであります。そういう場合において、一体日本産業構成、将来の経済あり方復興構想というものは全然なくして、そうしてこういすものを作つたとすれば、この内容におけるいろいろな事柄を運営して、例えば外国為替を組むということ一つを取つて見ても、実はそれが何ら関係のない日本経済なり、産業復興なり発展関係のない事柄として組まれるようなことになつて来ざるを得ないことになる、そうじやなくて、日本のやはり今の段階において、経済復興なり、発展なりを図つて行こうとするならば、日本経済が同時にやはりアジア或いは世界経済の中の一環として、日本経済というものを先ず捉えなければならん。而もこれは日本経済外国経済との一つの窓を通じて、外国貿易という大きな窓を通じて、そうして日本経済全体というものの復興なり、発展なりを図つて行こうとするから、尚更そういうような世界の大きな経済復興の動きに対する日本側としてのちやんとした構想がなければならんこう私は思う。そういう意味において私はその何を作つた場合は、日本が一体そういう点について、どの程度役割りを持つのかというようなことについて、政府がなんらかの構想を持つておると思うのでありまして、若し持つておられないのならばおられないでいいのですが、若しあればそういう点については、やはりどういう一体日本役割考えておるか効そうしてその経済復興なり、発展なりの構想というのは大体どういうものであるか、日本の将来におけるただ産業あり方というものについてはどういうものであるかということを私はやはり伺つて置きたいのです。安本長官はこの前経済復興は、長い将来の復興計画は立てられないが、二ケ年計画只今安本でやつておられるというのですか、私の聞きたいのは、具体的にそういうものではなくしで、どういう構想で、一体日本経済をどう持つて行こうとするのかという基本的なことについてもやはり大臣としての、又政府としての理想なりお考えをやはり伺つて置きたい。そういう意味で私は質問しておるのであります。どうかもう一遍その点をお答へ願いたいと思います。
  7. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは私個人といたしまして、どういう考え方を持つておるかという御質問であれば、それは多少持つておらんことはございません。併しながら私が今ここで本法案を通して、どういうふうに考えたかと言われれば、当面我が国が直面しておりまするのは、なんといつて貿易の振興でなければならん。殊にローガン構想という、この東亜と申しますか、日本中心としていろいろとこのアジヤにおきまする経済的な復興ということについて、恐らく何人も大きな興味と期待を持つておると存じますから、その意味におきまするいろいろな構想はもとよりあるのが当然であります。併しながら私はこの経済安定本部として考えておることは、日本がだんだん国際経済社会に進出して、そうして日本の本然の姿を取り戻し、更に発展のコースをたどつて行く、こういうことのための準備期間として与えられた今日の状態の下におきまして我々は先ずあらゆる意味において日本国際社会への鞘寄せということを考えておる。その前提としては先ず貿易を促進しなければならん。その貿易を促進することによつて、又同時に国の産業発展考えて行かなければならんというような意味で、私はこの国際経済社会への一環としての日本ということは、もとよりおつしやるまでもなく考えておるものでございます。併しそれならばどうすればいいかという問題になりますが、これは我々としては希望は沢山ありますけれども、我々の期待しておる先ず講和会議というような問題が、又我々としては間近かに追つて来たように思いますけれども、いつということは決定いたしておりませんが、ともかくもその場合は我々としては、この日本の国が将来立つて行けるということのための態勢はもとより考えて参らなければなりませんが、その各般の事項が大体におきまして、被占領国としての立場に置かれてありまするから、それらの点が漸次解かれて行くという状態の下における我々の立場ということから、先ず第一にこういう法案は一日も早く実行に移されることを期待し、而も明日からこれが発足するというような事態になつておりまするので我々はアジア・マーシヤルプランというような問題も勿論どういうふうに与えられて来るかということに興味を持つて見ております。そういうような関係で極めて抽象的ではありますけれども、決してそういうことを全然無視しているわけでもございませんし、考えてはおりまするが、私が先程申上げましたように、この法案といたしましては、眼前にある状態をともかくも解決して行く、こういう考えで進んでおる次第でございます。
  8. 和田博雄

    和田博雄君 明日からやらなければならないかどうかということは、これから又私は聞いて行くんでありますが、勿論とにかく政府としては経済復興なり、或いは発展に対する一定構想は今のところないと、こうまあ言つておるようでありますけれども、そういうふうに一応は受取つて置きますが、ただ私は今回のこの法案というものはローガン構想に一応基いたものでしようが、それはそうでございますか。
  9. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) そうでございます。
  10. 和田博雄

    和田博雄君 そうするとローガン構想というものの一体基本になつている、中心になつておるところは一体安本長官どういうお考えなんですか。
  11. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは勿論ローガン構想と申しましても、言わば根本的なイデオロギー的な感じを多分に持つておると思います。従つて今までの相当嚴格な、管理貿易暫時自由貿易の過程に移されて行く、こういうふうに自分考えております。
  12. 和田博雄

    和田博雄君 結局貿易面においては非常な自由をそこ与えて行く、自由貿易ということにして行く。こういう行き方ではあると思うんですが、ところがですね。この法案全体を見て見ると原則として輸出は自由である。或いは輸入の点についても自由である。その他外国為替、その資産の管理を含んでおる、この法案を流れているものは貿易その他のことは自由だといいながらやはりそこに一つの、前から私は繰返し繰返し質問いたしている点は、外国為替予算といつたようなものを組んで、而も外国為替予算というものは非常に計画的なものであつて、全体としては動かない形になつている、そういう点において完全に非常に自由に任して置くということではなくして、この目的にある国民経済復興発展とを図るためには、やはりそこに計画性を持つた一つの自由というか、そういうものを非常に尊重しているように、私はこう考えておるのですが、それはそういうふうに大臣考えだろうと思うんでございますが、どうですか。
  13. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) お言葉のごとく、この第二次大戰後世界経済社会の活動は、單に個人に任された自由放任的な考え方ではないことは私共よく分つているわけであります。従つて先ず第一に協定貿易貿易協定というものが大体前提になつている、ということも想像いたしますし、又戰時中、戰後に亘りまして、先程お言葉がございましたブレトン・ウツズ協定のごときものも、これは明らかに貨幣を通しての世界経済社会における或る程度というか、その程度の問題はいずれにいたしましてもうともかくも相当計画的に行われているということは、想像できるのであります。こういう意味から考えましても、過去におきますところの野放図な自由貿易といつたような考え方ではないということだけははつきりしていると思います。
  14. 和田博雄

    和田博雄君 ところがこの法案をよく見て見ると、この法案ローガン構想欠陷は可なり私は出ているように思う。例えばこれは輸出が非常に仮りに伸びたとする、併し輸入が非常に少なくなつておる、或いはなかなか輸出ができない。こういつたような場合にもこの法律で行くというと、そこに一定経済復興なり、いろいろなものに対する、かつきりとした産業あり方経済復興あり方というものについてのきちんとした構想がないとすれば、そういう面からいつて、必ずしも必要でないものもやはり入つて来るということになるように思うのですが、そういう点については、これは国民経済の点からいえば、成る程輸出は片方は伸びた、併し輸入そのものが必ずしも経済復興のために必要なものでないものまでも入つて来る、そういう自由はあるということになつて来ると、これは非常に或る意味からいうと、経済復興なり、国民経済発展の点からいえば、非常に無駄に獲得した外貨使つたという結果になるわけなんです。こういうことがこの法律ではやはり避けられていない。そこで実は私共が一番心配するのは、政府仮りに今までのような経済復興構想を持たないにしでも、外国貿易という大きな、又この外国貿易管理、或いは外国為替管理という日本経済世界経済と結付くその窓口を抑えて、丁度食糧の政策についていつてみても、昔外米輸入して来るが、外米数量を……輸入なり数量なりを適当に按配することによつて国内国民農業生産そのものをやはりリードして行つたと同じように、この法律はその外国貿易なり或いは外国為替といつたような、日本国民経済生活が成立つて行くためには、どうしてもなければならないその面を、政府一つ計画的にそれを運営することによつて日本経済全体の正常な発展と回復とを図つて行くというような意図で、これが本当に運営され、又作られて行くものだとすれば、やはりその基礎として政府自体はちやんとしてやはり今年、来年、再来年と行くように、日本経済発展なり、復興についての、やはり全般の構想というものを持つていなければ、折鶴いい手段を与えられながら、それが本当の意味で働かないということになつて来る。それ故に私は繰返し最初のときから国内における生産計画なり、或いは貿易計画なり、或いはそういつたものを総合した国民所得その他の計画というものと、これとを一体どういうように政府は結付けてやるのか。又、仮り外国為替貿易予算そのものを組むにしても、そういうものが、はつきりしたものが、やはり構想がなければ組めんのじやないかということを繰返しお聞きしておるのでありますが、その点に対しては遺憾ながら明確なお答えが未だにない。この点は私は両追求してもお答えが得られんと思いますから、この程度にいたして置きますが、もう一つ、これは委員長、後で各省ごと質問は許されるのでございましようね。
  15. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 大体そのつもりでおりますが、時間の状態によりまして、理事会で決定したいと思つております。
  16. 和田博雄

    和田博雄君 それでは多少細かいところに入つても止むを得ませんが、それでは次に一つ移つて、もう一つはやはり一つ問題になりました閣僚審議会の点でありますが、この点については昨日私板野委員質問に関連して、多少はつきりした点があるのでございますが、この閣僚審議会は、これは政令で選ばれましたような人達委員になつてやるわけでありまするが、ドイツの場合におけるローガン構想で、ドイツでやつた場合においても、やはりこれと類似のようなものができたと思うのですが、それは一体どういうような構想のものであつたのですか、丁度閣僚審議会と同じようなものが、同じか、それに類似したやはり一つ委員会なりなんかが私はできたように思いますが、これは一体どういうような状態であつたのですか。その点一つ……
  17. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) ドイツの場合におきましても、日本の場合におきましても、大体類似的だと思いまするが、ドイツにおきましては、私の記憶いたしておるところでは、必らずしもこの閣僚審議会といつた形ではなかつた記憶をいたしております。大体二つの委員会制度であつて、而かもそれは直接に実務に繋がりながら、而かも相当に大きな権限を持つといつたような意味で、多分一つ委員会であつたように記憶をいたしております。
  18. 和田博雄

    和田博雄君 まあ閣僚審議会といつても、これはここにあるような、それぞれの主管の事務を持たれた忙しい大臣方が作られるわけでありまして、ここで外国為替予算を作られるのですが、実際は実務の問題は安本貿易局ですか、いろいろやるのですが、やはりこの審議会構成がこれで見ると、非常に閣僚の集まりであつて、いわば民間側意見が、これは中川君もちよつと触れましたが、民間側人達がこの構成には入つていない。そういう意味では非常に非民主的と思いますが、何かそういう民間側の実際の人達意向が反映して行くような仕組というようなものは、これはやはり具体的に、今例えば物資別であるとか、或いはそういつたようなもので、あらゆる中小企業であるとか、或いは商業の部門であるとか、労働組合の労の意向であるとかいつたものが、何らかの形で反映されるような組織は、これはお考えになつておるのだろうと思うのですが、如何でしようか。
  19. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは法律を作りますにも、勿論民間代表者意見というようなものも相当参考にいたしておりまするが、併しながらこの事務を進めて参ります上におきましても、御承知通り経済安定本部は、貿易局長もこれは民間から起用いたしておるような次第でございますし、又その内部の構成におきましても、いろいろとそういういわゆる民主的な考え方というものは、取つておるように自分考えておりまするので、この方法で参りますれば、大した差支はなかろうかというふうに考えております。
  20. 和田博雄

    和田博雄君 それはそう簡単に済まないように私は思うのですが、これは民間意見というのは、どこで一体入つて来るのですか。この閣僚審議会で行けば、例えば外国為替予算を組む場合には、どういう段階で入つて来ることになるのでございましようか。ただこの政令を見れば、安本に対して通産省はこういう資料を出さなければならんとか、或いは外の外国為替管理委員会は、外貨資金に対する収入見込に関する資料を出さなければならんということはあるのですが、民間の各産業意見が、輸出なり輸入なりについて、仮にこれが非常に輸出原則として自由であるというような資金の割当の面とか、そうでない面とか言いながら、ローガン構想はこの貿易の自由ということを標榜すると言つても、そういう人達意向がどこに一体入つて来るのか。その点はどの段階で一体入つて来るのでございましようか。
  21. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) この表面の形を見まするとおつしやる通りでございますが、この外国貿易の、外国為替委員会というようなものの関係につきまして、その方のお答えを願おうと思いますが、御承知通り、この閣僚委員会には、アドバイザリー・メンバーとして外国為替委員会委員長がこれに入つておることになつておりまするから、先ずその方面一つお答えをいたします。
  22. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 外貨予算を作りますについて、外国為替委員会委員長諮問委員として諮問お答えする。外国為替管理委員会は御承知通り、大体において民間人の起用ということになつておりまするので、その意味において私共はまあ民間に非常にタツチが多いという関係におります。私共を通じで民意の或るものは外貨予算に或る程度反映するということは、この仕組の中に入つておるということは申上げ得ると思うのであります。
  23. 和田博雄

    和田博雄君 これはドイツの場合に、ローガンがやつたときに、輸入諮問委員会があつて、そしてその下に物資別の各委員会作つたと私は記憶しておる。物資別委員会には各労働組合なり、各産業なり、商業なりの代表が参加して、そこから民間意向が反映して、輸出なり或いは輸入なりの事柄が許されておるように私は思うのです。ところが今度の場合は為替管理委員長、これは木内君みたいな有能な人がなされておるのですが、ただそれだけでこれは民間と接触するというわけにいかない。役所でも民間に接触しておるので、機構の上からいつて本当に堂々と民間産業なり或いはその他の面の意向が反映する機構になつていないということを、私はお尋ねしておるわけですが、その点がどういうふうになるのか……
  24. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 今回のこの法案並びにその他の政令関係におきましては、直接には運営の面に重点が置かれておりまするし、その輪郭が示されておるという意味考えますれば、民間の意思というものはどうも反映していないように見えるかと思いますが、御承知通り今日は各種の審議会、各種の委員会等が各省それぞれございまして、それぞれそれらの面にこの民間の総意とか民間の意思というものは、あらゆる意味において通じておるというふうに自分考えております。
  25. 和田博雄

    和田博雄君 それは私は答弁にならんと思う。私が聞きたいのは、こういうことを聞きたい。それは外国為替予算というものをお組みになる、そのお組みになるときに、これを見ると、各役所というものは二ケ月前からいろいろな資料をそこに出して行かなければならない。そしてその出して行つたものを経済安定本部貿易局に出しで行つて、そうして貿易局がこれを基礎にして外国為替予算をお組みになるわけであります。あの政府が発表を許されなかつた経済五ケ年計画を作る場合においても、各産業……これは委員会作つたわけですが、その委員会の下部は皆各方面労働組合であるとか、或いは産業民間人であるとかが集まつてああいうものをずつと作つて来た。仮にての外国為替予算によつて外国為替なり、貿易なりを管理して行こう、こういうふうにして行こうとするならば、これを本当に運営して行くときには、尚更そういつたような民間の本当の意思が反映されるような機構で予算が組まれ、そうしてこれが運営されて行くということになつて初めて……これはドイツにおいてすら、日本と違つてドイツのローガンが初めてやつたときですら、ちやんとローガンは民間の人の意見が入つて行つて、成る程貿易は自由であるとか言いながらも、国民経済全体としてはやはりそこに一つの見通しを持つたやり方をして、貿易を促進して行つたと思う。これはただ貿易が有田であるから出るとか出ないとかという簡単な問題でない。貿易が自由になつて外国が不景気で買わなかつたときには、幾ら自由であつても売れない。ダンピングをやつて行つても、限度がある。だから貿易で一番必要なものは官僚的な煩瑣な手続を廃してしまつて、そういう意味では自由にして、併し全体としては国の復興なり、経済なりに一番必要なものが輸入され、そして輸出もそういう煩瑣な点から来る障碍を少くして殖して行くということにあり、自由そのものが私は問題じやないと思う。そうして見ると、やはり民間において各産業がそれぞれの要求を持つておるわけですから、それをやはり貿易のこういう面にうまく総合してそれが反映されるような道は何か講ぜられる必要があるのでないかと思う。これをお訊きするのであります。今の答弁はただ役所が、それぞれの審議会がおられるから、民間の事情に通じておると言われておるのでありまするが、そういうわけには私は考えませんが、これは意見になりますから止めますが、その点については何も今のところそういう民間の意思が反映することは考えていない、こういうふうに理解して、私は次の質問を展開して行きたいと思います。  それから今度は、いろいろ聞きたいことがあるのですが、この第五章ですが、第五章はこれは何でございましようね、資本逃避と資本の流人の防止規定だと思うのですが、第五章は全体の目的はそうでございますか。事務の人に……
  26. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) さようでございます。
  27. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると、いろいろここに二十八條なり、或いは三十條に規定されておるのですが、外国におけるこういうような、ここに法律に規定されておる行為の取締というものは、どういう方法でやるのですか。
  28. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) これは只今和田委員からお尋ねになりました通り、これは日本からの送金でございますとか、送金に代る委託支拂とか、債権の格好で資本の移動をいたしますとか商券とか不動産の形で動きます場合を取締の対象といたしております。法令の効力が第五條と第六條の居住者、非居住者の関係におきまして、相当複雑をいたしておりまするけれども、大体において日本に参りました場合には、相当長くおりますと居住者という関係に相成りまして、日本人並びに日本人を含む居住者が本邦内において行ないます行為又はその人が、例えば本邦におります人が外国に商社を持つておられました場合に、それを売買をいたしましたり、不動産を持つておるのを売買いたしましたりする場合には、この適用がある。ただ外国人が外国で行為をする場合におきましては、これは取締ることができないわけでございます。尚日本に参つております外国人が外国で持つておる財産、例えば一時入つて来たバイヤーが向うで家を持つておる、その家を売るという場合におきましては、これを取締の対象にいたすのは不適当でございまするので、方々の規定においてそういう場合は除いておるというふうになつております。
  29. 和田博雄

    和田博雄君 実は政令一つも出て来ないので、政令と各條文の本文とをいろいろ照し合せて、いろいろな具体的な場合を頭の中で画くことが非常に困難なもんでありますから、質問する方でも非常に困るのですが、その点では、これはもう政府はなかなか長く出さないので、審議の上で非常に私は遺憾に思うのですが、例えばこれからいろいろ日本の商社なり貿易商の支店、代理店が外国に置かれるようになり、そういう連中が外国行つて、丁度この法律の適用を受けるような行為なり何なりをやつてみても、それを必ずしもこちらで正確に把握して取締ることはできない例がそこに出て来ると思うのですが、そこで実質的に資本逃避が外国におけるいろいろな場合においては起つて来るのでないかと思うのですが、それはどうなんでしようか。
  30. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) お示しのようになかなかむずかしい事態が起ると思いますけれども一例えば今仰せのように、日本の商社が外国にだんだん支店を持つようになり得るような状態になりました場合に、これは三段三段に押え得る規定がございます。例えば外国でそういう商社が不動産を売買しようという場合におきましては、第四節で取締ることができるのでありますが、その場合に先ずこちらから送金をいたすという段階におきましては、第二十七條で送金する場合に引掛りができる。その送金をして例えば外国で儲けた金で不動産を買うというような場合におきましては、第四節の不動産の売買の規定で引掛かる。又債権債務の発生する原因となる行為をする場合が第四十二條等におきまして規定されております。殆んど資本の移動並びに金の動き方に関しましては、二重、三重の抑える規定がございます。勿論活動いたします際には、二ケ所でも三ケ所でも許可を受けるということにいたさないことにはなるかと思いますが、殆んど完璧に抑え得る規定を作つてあると確信いたします。
  31. 和田博雄

    和田博雄君 法律の條文ではそれは私はあなたの言われる通りでありますが、私の聞きたいのは事実どういうことで抑えるのかということであります。法律の條文にみんな書けば、論理的に網の目をずつと組立てて行けばいいのですが、網の目がはれるのですが、実際問題としてそういうことが可能であるかどうかということなんです。
  32. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) お示しのようになかなかむつかしい、資本逃避というのはなかなか巧妙にくぐつて行われますので、むつかしい事態が起ることも想像できるのでございますが、只今申上げましたように、日本から送金をする場合におきましては、外国為替銀行を抑えればよろしいのでございます。その他この法律の運用におきまして、十分そういうようにいたしますれば、取締り得るかと思つておるのであります。
  33. 和田博雄

    和田博雄君 これは大臣にお聞きしたいのですが、無為替輸出入に対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  34. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 只今大蔵省の方からお答えがあつたように、無為替輸出ということについても、昨日の関連的な御質問がございまして、大体為替管理委員長お答えがありましたが、無為替輸出につきましては、従来からそういう点で資本逃避の一つの穴でありますから、これについてはこの規定の上でもはつきりと規定されておると存ずるのであります。
  35. 和田博雄

    和田博雄君 昨日だつたのですか、忘れましたが、外国為替銀行に対してもこの法律は統制ができるようになつておるというお答えでありましたが、実際は監督権限がなくて、これは司令部でやるのだ、司令部で許された範囲で確か外国為替銀行をやるのだということを御答弁になつて一応了承したのでありますが、この点については、併し実際の問題としては、日本側におきまする統制、取締りと外国為替銀行との間にはいろいろの点で公平といいますか、釣合が取れないような虞れが相当あると思いますが、そういつたような点についての今後における運営の仕方なりなんなりについて、外国為替日本側との間が公平にできるようなことについて、何かこの法律をお作りになるときに、いろいろとそういうことについては下打合せをしようとか、将来はこういう方針で進もうとかいうことについて政府としては御相談にでもなつておるのでしようか。その点はどういうふうになつておりますか。私共は非常にその点を、事務的の一応の説明では、これは表面的には納得したのですが、どうもそのところが将来は非常に私共はまだ疑念を持つておりますが、如何なんですか。
  36. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 和田さんのお尋ねでございますが、それは御承知のように大蔵省と通産省、それから安定本部の貿易局等を一緒にいたしまして、相互に万遺漏のないような相談は、これまでしばしばいたしておりまするので、今後の運営におきまして、やつて見た場合に何か失陥があるかということにあるということになれば、又それも改めなければならんということも考えておりまするけれども、今我々が相談をいたしまして、ここに盛られました範囲におきましては、大体において過誤なきものと信じておる次第でございます。
  37. 和田博雄

    和田博雄君 この通貨のコンパラテイビリテイの点については、政府としてはどういうふうにお考えになつておるか。私共は非常に通貨の自由交換が困難であるので、外国為替予算の金利も、実際は各通貨別の、昨日の木内君の話でもそういうふうになつてつたように思うのですが、協定の枠内でのいろいろな運営ということに止まつてしまうようなことになると考えられるのであつて、その面から見ても今度の通貨というものが、非常に何というか、政府は余り計画性のことを考えておられないようであるが、仮りにやつて見ても非常に不完全なふうな感じがいたすのですが、通貨のコンパラテイビリテイというような問題については、どういうふうにお考えになつておりますか。
  38. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは御承知通りに対ドル三百六十円という関係で、それから更に最低為替というふうなことになつておりますから、昔の自由貿易というような形で為替平衡資金といつたようなものの考え方、そういうこととは大分変つております。従つてこの貿易相当いわゆる計画的なものであります。それがいわゆる統制の意味でエクスチエンジ・コントロールというような形で現わされておる言葉の相違と自分は思います。従つて和田さんの御心配の点は余りなかろうかと思いまするし、又この輸出の方は別に制限をするわけではない、増加して行けば幾らでも増加することを期待するような形になつておると思います。
  39. 和田博雄

    和田博雄君 ちよつと安本長官答弁は的を外れておると思う。私は外国為替予算で第十七條に「通貨の交換又は振替の可能性」ということを一体考慮して、外国為替予算を作らなければならんということを言つておるので、通貨の交換又はこの振替の可能性ということについて、政府はどういうような見通しを持つておるかということをお聞きしたのであります。
  40. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) この通貨交換の可能性ということでありますが、これもここで規定されておりまするように、一定の枠のうちで行われて参りまするので、その規定の範囲ではできるということであります。
  41. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとここで進行上の御相談を申上げたいと思いますが、よろしうございますか。
  42. 和田博雄

    和田博雄君 結構です。
  43. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  44. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。それでは十五分間休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩    午前十一時五十四分開会
  45. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  お諮りいたしますが、先程から外国為替及び外国貿易管理法案質疑続行中でありますが、先程申上げましたように、この間価格調整公団法の一部を改正する法律案議題に供することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは同法案議題といたします。同法案は、先程申上げましたように、予備審査期間中に質疑を継続中であつたわけであります。従いまして、特に御質問がありましたならばお願いしたいと思います。特に御発言ありませんですか……御発言なければ、質疑は終了したものとみなしで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質疑はないものと認めます。質疑が終りましたならば、討論に入りたいと思いますが、御意見のおありの方は、一つ賛否を明らかにして御発言願いたいと思いますが、御発言ございませんか。
  48. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 この改正の問題は、すでに復金の融資が廃止になりました現状におきましては、これは当然法律の改正を要する問題でありますから、賛成いたします。  ただ調整公団の金融等につきましては、認承手形等が相当割れないもの等がありましたりして、金融がとかく円滑を欠く点から、一般の有効需要の現状と睨み合して、重要物資の供給が相当困難を来しておるような現状もありますので、価格調整公団の金融につきましては、政府におかれましても、特段の御努力御斡旋を願いたいと思いますことと、もう一つは早晩統制が緩和乃至廃止される段階になつて行きますにつれて、価格調整公団も相当多額の資金を動かしておるわけでございまして、従来の石炭配給公団その他各公団の終熄に伴う資金回収の非常な困難な状況乃至資金の焦付きというような問題から大きな問題が起つておるわけであります。従いまして、価格調整公団の金融等につきましても、早晩調整公団の廃止をも、十分考慮に置いて、資金回収に焦付きというような困難な問題が生じないように、今から資金回収等についても特段の処置を御留意願いたいと思います。以上意見を付しまして本法律案の一部改正案に対して賛成をいたすものであります。
  49. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外に御意見ありませんか……御意見ないようでありますが、討論は終つたものと見て差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは御異議ないものと認めます。それでは採決に入りたいと思います。価格調整公団法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。価格調整公団法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手願います。    〔総員挙手〕
  51. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、内容も簡単でありますので、委員長一つ御一任願うわけに行きませんか。御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御異議ないものと認めます。それからもう一つ委員長が議院に報告する報告書に多数意見者の署名を付することになつておりますから、御賛成の方の順次一つ御署名をお願いしたいと思います。    多数意見者署名      西川 昌夫  和田 博雄      横尾  龍  藤井 丙午      帆足  計
  53. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれを以ちまして価格調整公団法の一部を改正する法律案に関する問題を終了いたします。   ―――――――――――――
  54. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは前回に引続きまして外国為替及び外国貿易管理法案議題にいたします。質疑を継続したいと思います。
  55. 帆足計

    ○帆足計君 審議もだんだん最後に近付いて参りましたので、今まで各條目について一渡りいろいろ承わりましたが、私納得の十分行きません点を二、三お尋ねしたいと思います。従いまして極めて結論的に政府の御所見を伺いたいと思います。  通産大臣にお伺いしたいのでありますが、この法案の基礎になつておるローガン構想からしますると、従来の窮屈な貿易からやや自由になつて来るわけでありますが、只今の日本輸入商は、たびたび各委員から指摘ございましたように、買付にしましても非常に不自由でありますし、海外市場で活躍することもむずかしいことでございますし、又資力も不十分でありまするし、外商に対しまして非常に不利な状況に置かれておりますが、これに対しましてこの法案が実施されるようになりますと、政府当局としては輸入資金等につきまして、又輸入商の活躍の便宜に対しましてどういう御準備を具体的にお考えになつておりますか。今まで承わりましたことの結論として政府のお考えをお尋ねいたします。
  56. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) これは先般藤井委員の御質問でも御答え申上げたように、無論日本のイムポーターといいますか、トレイターが非常に盲貿易の観点なり、或いは従来のような大きい組織を持つておりました日本貿易業者というものが解体されたというような面もありまして、そこへ持つて来て海外の市況その他についても十分承知いたしておりませんので、この点は非常なハンデイキヤツプと存じておるのであります。これにつきましては丁度こういつた自由貿易に入りまする一つの或る意味から言いますれば、必要な條件ともいうべき事柄は海外に調査員も出せる、場合によれば出張所も出せると、又政府としても政府のそれに関する機関を海外に持ち得るということが絶対必要であろう、かように存じておる次第であります。それについては大体まあ話合が一部の国に対してはもう殆んど決定的に決まつておりまするし、又他の方面におきましても話は相当に進んでおるようなわけでありまして、この点は丁度これを機会に或いはこれを理由として、そういう方面に努力が続けられやすくなるということであろうと存ずるのであります。ただ国によりましては、日本人に対するところの、戦争中の日本人の行ないました行動、その他に対して非常な悪感情を抱いておる面もありますので、そういう国に対するところの通商官の設置とか或いは輸出入商の出張所を置くとかいう問題については、尚多くの難点があると存ずるのであります。まあこれは日を追つて打開できるだろう、かように考えておるような次第であります。  尚資金の問題につきましては、政府といたしましてこれが優先的に、資金の融資の問題については、十分考慮をいたしておるわけであります。関連方面とも連絡を取つて、この点については特段の協力をいたす考えでおるのでありまして、従来の貿手その他の割引により進んで、できるだけ殊にこの輸入の面なんかにつきましては担保の問題もありますので、尚更、この面についての考慮を拂う必要がある、かように存じて、その点の努力をいたしておる次第であります。
  57. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 本法律案はもうあと十一時間五十五分経つと公布実施しなければならん、相当押詰つたのでありますが、ですが、連合委員会あたりで非常に手間取りまして、我々非常にまだ御質問申上げなければならんのを遠慮しておつたのですが、すでにあと残り少い時間になりましたので、私の考えといたしましては、各委員の御質問お答えを入れて一時間ずつの持時間というようなことにお諮り願つて、少しスピードを上げて行つたらどうかと思いますので、お諮り願いたいと思います。
  58. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと議事進行につきまして御相談申上げたいと思いますから速記を止めては……
  59. 和田博雄

    和田博雄君 ちよつと議事進行について、私は今朝からいろいろ御質問申上げておつたのですが、非常に政府答弁が不満足だと私は思うのです。できるだけ私も急いでおるということでありますので、本法案中心にして而も本法案と直接関係のあることに質問を私は限定して今までやつて来たのでありますが、非常に残念なことに答弁が極めて不明瞭であり、納得の行かない点が非常に多いのであります。そこで私はこの際一つ幸い両大臣が出ておられるので、正式にお尋ねしたいのですが、この提案理由を読むと、輸出の方は十二月の一日からやらなければならん、やりたいということを言つておられるのですが、今までの審議によりますと、政令にしても、省令にしても殆んど準備ができていない、仮りに十二月一日からこれを実施してみても、実施することによつて直ぐに輸出が増進するなり、何んなりという結果がこれは期待できないように私共は思う。とするならば十二月一日からということは、非常に政府側において不準備であるので、私はその点についてはこれはもう少しこの委員会としては考えで、もう少しほかの大臣大蔵大臣とか農林大臣なんかにもやはり御出席を願つた上で通産大臣の御出席を願つて、やはり委員会としては盡すべき質問は十分に盡して行くように御審議を願いたいとこう思うのです。まだ十二時までは十一時間もあるのですし、午後からの御質問によつてどうしても実施しなければならないかどうかという期限についても、もつと詳しくいろいろなデーターによつてお尋ねすれば必ずしもその点だつて緩和できないことではないと考えますので、どうかそのように委員会としては御審議をお進め願いたいと私はこう思うのであります。
  60. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 議事進行については外に御発言はありませんか。なければ速記の方を止めて皆さんに御相談申上げたいと思います。それでは速記を止めて。    午後零時八分速記中止    ―――――・―――――    午後零時二十五分速記開始
  61. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 再開して下さい。それでは一応午前中の委員会をこれで休憩に入りたいと思いますが、午後一時からきつかりと始めて、そうして大蔵大臣その他の出席も得まして、最大限馬力をかけて一つ午後から審議したいと思いますから、そういうふうに一つお願いいたします。それではこれで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十八分開会
  62. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは午前中に引続いて委員会を再開いたします。  午前中の委員会の終いに、大体目標を四時か五時頃において、その間に技術的に力一杯審議を先ずして見ようというお話でございましたので、それに基きまして理事会でもつて、一応の目安を立てたわけです。一応の目安ですから決して拘束されるわけでありませんが、一般質問及び逐條的な審議がまだ全然残つておりますので、目標を一応逐條質問に入る前の一般質疑を重点的に、先ず一時間ぐらいの目標で力一杯これはともかくやつて見よう、そうして、それで一応行けそうにあるならば章別の逐條審議に入つて見よう。大体こういう見当で運営して行つて見たいと思います。尚その一般質問に入る前に、今手許に五、六部の省政令及び附属資料が配られておると思いますが、逐一見ておる時間が今ありかねるので、一つ政府の方で五、六分乃至十分間程度一つ政府の概畧の見方を先ず御説明願いたいと思います。
  63. 帆足計

    ○帆足計君 通産大臣は御出席になりますか。
  64. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) お見えになります。
  65. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 事務的に極く簡単に申上げます。この法律は先般来申上げておりますように、十二月一日から輸出に関しまする部分が動き出しますわけでありますが、輸出に必要な部分といたしましてお手許にございます外国為替及び外国為替管理法の一部の施行期日を定める政令案という一枚紙のものがございます。これによりましてどの條項を施行いたしますかということが書いてございますが、まず第一に、第一條から第八條まで施行いたし、これは定義でございますとか、一般的の規定の外に第七條は為替相場を決める問題、それから第八條は通貨の指定というような問題、第一章の九條を除きました規定の全部と、それから、第二章の外国為替銀行、及び両替商の規定を九條から二十條まで、それから第四章、第五章の集中の規定と資本の移動に関する規定は施行いたしませんで、第四十七條の第六章外国貿易に関する章が施行になる。それからその後訴願に関する五十六條から七十三條の異議の申立の部分が適用になつております。それから雑則の部分は殆んどみんな施行になつておる。それから罰則もみんな全部施行になる。大体の考え方は只今申上げましたように一章、二章それから第六章以下全部施行になるという考え方でございます。そして今度は細かい方に参りまして、そういう施行をいたしますにつきまして、必要なる処置といたしまして、まず條文の順序を申上げますと、第七條を御覧願いますと、為替相場の指定に関する一枚紙がございます。第七條は「本邦通貨の基準外国為替相場は、すべての取引を通じ単一とし、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める。」これは現在の為替管理法ですでに一ドルは三百六十円、裁定相場が一スターリングポンドが千八円ということが決まつておりますがそれをそのまま第七條に基く告示に切替えたわけでございます。それからその次に第八條がございまして「この法律により認められる取引は、大蔵大臣の指定する通貨により行わなければならない。」というのがございます。これの規定といたしましてお手許にございます第八條基く告示が、これは要するにドルとポンドとを指示するという告示でございます。で、ドルとポンドによれない場合におきましては、大蔵大臣が個々に許可をする。第八條に基く指定というところでございます。それからその次の條文に参りまして外国為替銀行の規定でございますが第十條、第十四條、つまり外国為替銀行並びに両替商の規定を適用いたしまするために大蔵省令がお手許にございます。これは極く簡單なことでございますが、外国為替業務とはどういうことかということ、両替商はどういうことか並びに外国為替銀行並びに両替商の事業を営もうとするものは許可が必要でございますので、その許可の様式を定めたものでございます。それからその次に第十五條の外国為替銀行並びに両替商から報告を徴する政令がございます。これは外国為替銀行及び両替商の報告に関する政令というのがございまして、外国為替管理委員会大蔵大臣通産大臣は各々第十五條の規定に基、いて報告を徴するという規定でございます。大蔵省の関係は只今申上げました為替相場の指定、それから通貨の指定、外国為替銀行並びに両替商の申請の様式、それから十五條の報告の様式、これだけで十二月一日から施行いたします部分については勅令、省令並びに告示が全体でございます。尚通産省の方の第六章の方は通産省の方からお話があると思います。
  66. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 通産省の方がいなければ、外国為替委員の方から……
  67. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) お手許にお配りいたしました外国為替委員会規則でございますが、これは輸出貿易管理令の中で第一條におきまして、貨物を輸出します者は、第三号でございますが、管理委員会規則で決める代金の決済方法によらないで、輸出する場合には、通産大臣の承認を得なければならない、こういう規定がございまして、この管理委員会の規則に従つておる場合には輸出ができるということになります。それによりまして起案いたしましたのがこの外国為替管理委員会輸出貿易決済規則でございます。この大体の内容につきましては、現在行われております輸出代金の決済方法そのままを踏襲したのでございまして、第一條におきましては、この指定通貨、これの定義を掲げてございます。決済通貨は大蔵大臣が御指定になりますが、この通貨を適用されます、決済通貨を適用されます地域をここに詳しく表に掲げたものでございまして、別表にございます。非常に沢山の百数十の地域を掲げてございます。この地域に対する輸出につきましては、この代金はボンドで決済しなければならん、それから第二号でございますが、それ以外の地域に向けた貨物の支拂については、ドルで決済しなければならないということを規定してございます。  第二條のこれが標準決済方法でございまして、これは現在行われております通り輸出貨物の代金の支拂が必ず的確に行われて、その回收ができるという見地に立ちまして、その條件を決めてございますが、要するにその眼目は貨物の代金及び諸がかりの全額につきまして、一覧拂いの手形を振出すことそれからそれについて取消不能の信用状、インヴオがブル・レターオブ・クレヂツトの発行によつてなされること。それからそれの決済が別表の第二に掲げてございます特別勘定に振り込まれるということを規定してございます。  それから第三條、第四條でございますが、これは信用状の取得に対する報告、それから為替の買取りに関する報告、管理委員会といたしましては、この報告によりまして又、この報告、それからもう一つは税関から報告を受けます。通関の場合の報告、この三つの報告によりまして、この輸出貨物の代金が確実に回收されるかどうかということを審査する趣旨でございます。
  68. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは今提出されました省政令関係の説明を終ります。先程申上げましたように一般質疑の継続に入りたいと思います。御要求の大蔵大臣及び通産大臣も見えておりますから先程申上げましたように、でき得れば一般質問を一時間見当で力一杯の能率を上げて行きたいと思いますから、御協力を願いまして御質問をして頂きたいと思います。尚これまで出ておりました質問その他につきましても、不十分であつたり、或いは明確を欠いた点がありましたならば、包括的に今の時間の範囲内で一つ能率的に御質問を願いたいと思います。
  69. 帆足計

    ○帆足計君 この法案は先程大蔵大臣から運用の如何によつては非常に朗報とも言えるというお話がございました。私もそうであると思います。併し日本の今の復興の過程にある日本の現状からいいますと、一歩を誤まれば逆に生産の障害となる点もあろうかと思うのであります。特に輸出入がより自由になつて行く傾向になつて参りますと、日本の現状では復興途上にあることの外に非常な、御承知のような数々の不利な條件もありまするし、又能率化の途上にある産業も沢山ありまするし、又ものによりましては、国内産業がただ能率が悪いということだけで倒れるというのでは困るので、そういう為替はもつと有利な有用な輸入に充てなければならんという必要に迫られている面もたたありまして、今までたびたび質問に出ましたように、国内復興計画と、それから輸入為替の運相等がやはりマツチすることが必要な段階に尚あると思います。それでそのためには関税定率法において、やはり日本産業を健全な意味において保護をするような政策が確立され、更に私は輸入に対しましては物によりましては輸入禁止の幅を広くし、物によりましては、輸入の制限又は優先的に輸入するもののリストというようなものが背景にあつて、それと睨み合せての為替予算並びに為替管理運用でなくては困ると思います。それらのことが機構的にどういうふうになされるようになりまするのか、又産業保護といいますことが一歩を誤まりますれば、国内において非能率な産業を温存し、独占価格を残して公共の福祉に反するという結果にもなりまするから、そこらの調整は極めて重要でありますけれども、日本復興の途上にある、而も非常に弱体な不利の條件にある日本産業に対しては、私は相当のやはり自主的な保護政策がとられなくてはならんと思います。従いまして日本産業の保護の立場から通産大臣はどういうふうにお考でありましようか。又為替予算、並びに為替管理の運用に対しまして、国内復興計画とそれがマツチするようにしまするために、どういうふうな機構上の御準備がおありでしようか、例えば審議会諮問委員会がついておりますと申しましても、諮問委員は一人というふうに出ておりますが、西ドイツ等におきましては、輸入諮問委員会には各種の業者を網羅し、諮問委員会には工業代表、手工業代表、労働組合代表まで参加してよく輿論を徴して運営しておるように承つておりますが、そこいらの点を伺いたいと思います。
  70. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) この問題はこの前の委員会つたと思うのですが、木村委員からの御質問に答えたときにも触れたように私は思うのでありますが、要するに日本産業をどう持つて行くかという御質問と同じことになると私は思うのでありますが、この点については、私この前にも申上げましたように、一方においては結局帰するところは一つはプライス・フアンクシヨンによつて行くんだ、そうして一つ国民全体のいわゆる安定ということを中心としたその規模の上において、プライス・フアンクシヨンによつて行われていく、こういうことになろうと思うのであります。従つて私は一般の産業については、根本的にはプライス・フアンクシヨンによつて決めていくのであるけれども、又これが国民全体の福利といいますか、安定といいますか、そういつたものを中心として考える場合においては、或る業種については、暫くの間何らかの助成をしなければならんという場面も起きると思うのであります。或いは或る種については何らかの配給なり、或いは価格の統制の必要の場面も起きて来ると思うのであります。併しながら根本的には要するにプライス・フアンクシヨンによつて行われていくのが私は本筋だと、かように考えておるわけであります。それから機構の問題でありますが、これはまあ私の領分でないのでありますが、通産大臣にというお話でありますから申上げるのでありますが、無論この閣僚審議会につきまして、これに材料といいますか、それを閣僚審議会審議すべき議題についての材料その他を得る機関といたしましては、これは恐らく安定本部の貿易局がこれに当ると存ずるのでありますが、その外にこれは今お話のように、或る場面において輸出入のいわゆる貿易業者の意見も聞く必要がありましようし、又同時に経済産業方面等の人の意見も聞く必要もあろうと思いまするし、又労働組合あたりの意見も聞く必要もあろうかと思うのでありますが、そういう点についてはその必要に応じて私は調節して行くべきものだと、かように考えております。
  71. 帆足計

    ○帆足計君 通産大臣のお話では価格を以てそのバランスのあとにするというのが先ず基本的であるというお話でありましたが、私は戰後世界の資本主義機構におきましては、価格による自動的調節作用というものは、御承知のようにやはりやや限定されておると思います。従いまして確固たる国の再建計画、又は保護政策についての方針が確立しておりませんければ、価格の自然的調節作用だけでは甚だしく不十分であると思います。それで国内の諸般の事情を考慮すると申しましても、為替委員会におきまして余程国内産業計画並びに毎年度、又四半期ごとの国内の配分計画等とマツチして運営が行われませんければ、意外な所にいろいろな無駄や又過剰輸入、又は飢餓輸出というようなことが起ると思いますので、機構的にもそういう連繋が十分取れるようなことを、予め考えて置く必要がありはしないかと存じます。で、ローガン構想によりまして世界経済がだんだん自由の方向に向うと申しますけれども、戰時中以来の戦争経済並びに官僚統制は崩壊して参りますけれども、それならば価格による完全な自由為替、並びに自由な世界通商が復帰するかと申しますると、世界経済機構の現実は、私は必らずしもそのようにはなつておりませんし、今後共なり難い、新らしい諸環境、現実の諸條件の中にあると思います。従いまして只今の通産大臣にお尋ねいたしまして恐縮でございましたが、閣僚審議会の運営につきまして、御担当の大臣から更にもう少し具体的なお話を願いたいと思います。
  72. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) ちよつと先に関連いたしますから、私帆足さんに申上げます。私のプライス・ファンクシヨンによつて云々と申上げましたことは、これはよく私の意味がお分りになつて頂けると思うので結構なんでございますが、これは私が一体根本的に日本産業はどこに持つて行くかということについて、私は一面プライス・ファンクシヨンというものによつて、当然行われる、これは根本的な課題である。この点は帆足さんも御同感下さると思つているのであります。それと同時に一面においては国民経済の安定といつたような規模の上に、そこに又或る一つの制約がある。その点は御承知だろうと思います。そこで閣僚審議会がものを決めます場合においては、私は当然いわゆるこれが安定本部の中に設けられたということは、結局全体の生産計画なり或いはその他を基準として、この問題は当然私は検討されるということを、前提としてのお答えであるということを、尚附加えて置きたいと思います。
  73. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今の第二番目の管理機構の問題は午前中の和田委員の御質問にもありましたが、安本長官から簡單に明瞭にもう一遍お答え願います。
  74. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 閣僚審議会におきましては、我々のところで事務局で作りました案を審議いたしまして決定いたします。この場合に輸入輸出それから金融、或いは為替一般等のことにつきましては、大蔵省なり、通産省なりという実施に関係する省がございますし、我々のところといたしましては、やはり日本経済の見通しというようなものを前提としながら、国際経済の動き又景気変動といつたような問題を十分検討しながら、それらの計画をできるだけ完全なものとして作り上げて、それの計画に基いて案ができるであろうということを、今から予想しておる次第でございます。
  75. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 尚ちよつと申上げますが、大蔵大臣は先程から大蔵委員会からも呼ばれておられるそうです。ですから成るべく最初大蔵大臣の方の御質問がありましたなら、早くお願いしたいと思いますが……
  76. 帆足計

    ○帆足計君 それでは大蔵大臣に対する質問を先にして頂きます。それが済みましたら、私は又通産大臣にお尋ねいたします。
  77. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今の問題よろしゆうございますね。
  78. 帆足計

    ○帆足計君 一項目だけ。
  79. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは大蔵大臣に対する質問がありましたならば、成るべく早く……
  80. 帆足計

    ○帆足計君 後私一つしかございませんから時間を取りません。  大蔵大臣に対しまして只今の第八條の為替の規定につきまして、アメリカ合衆国の通貨並びに連合国のポンド通貨を指定なされ、そうして施行令の第二條に、その他のものは許可を得てやる、ということになつておりますが、これは例えばルーブルとか、中国の人民銀行券とか、香港ドルとかその他のヨーロツパの小国の通貨などにつきましては、非常に厳重になさるという意味でしようか。それとも取引数量が少いから別に取扱うというような意味でございましようか。
  81. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 後段の考え方でございます。概ねポンド地域、ドル地域というようなものでございます。一応一ドル三百六十円、一ポンド千八円と決めるわけでございます。
  82. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御質問がありましたら……今の議事進行の前提を御了解願つて委員外議員ですが、御質問よろしゆうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) どうぞ。
  84. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 大蔵大臣一つ質問しておきたいのは第五十四條に、通産大臣が貨物の輸出又は輸入に関し、税関長を指揮監督するとある。税関長の指揮監督は大蔵大臣のやつておるところと思いますが、この通産大臣が更に横合いから出て来て税関長を指揮監督するということになると、その辺の調整はどんなふうに考えておられますか。
  85. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 五十四條に規定いたしておりまするように、通産大臣の所掌に属する貨物の輸出又は輸入でございますから、これは通産大臣がおやりになつて結構だと思います。従来も税関におきまする仕事の中でいろいろな仕事がございました。その場合に税関長が例えば検疫になりますると厚生大臣である。或いは食糧関係の検査になりますと農林大臣の指揮監督を受ける。こういうことはありうるのでございます。この法案の執行の完璧を期しますために、通産大臣の所掌されまする貨物の輸入輸出手続きにつきまして、税関長が指揮監督を受けましても、そこに支障はないと私考えております。
  86. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) その問題ですが、税関長に関する税関の事務が非常に複雑になつていると、いろいろな官庁が横合いから出て來ておるために、税関の事務が非常に複雑になつて来てそれをできるだけ簡素化するというのが今日の要求であろうと思うのですが、そこへ持つて来て又こういう問題が出て来ますと、ますます複雑になつて来る。従来から複雑だからそこへ出て来ても構わんというのではなくて、できるだけ簡素にするような方向に持つて行くべきじやないかと思いますが、これは大蔵大臣が税関長を指揮監督をするということにしたつて悪くないじやないですか。どうでしようか。是非とも通産大臣が出て来なければならんのですか。
  87. 池田勇人

    大蔵大臣(池田勇人君) 只今のところ、やはり通産大臣輸出入に関しまする計画をお立てになる等のことから考えまして、通産大臣の指揮、監督になりましても、別に支障はないと考えておるのであります。
  88. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) いやその貨物の問題は、恐らく通産省の所管でありましようが、税関事務になつて来れば、もう税関の固有の仕事になつて来るのじやないかと思う。そうであれば大蔵大臣がやつたつて差支えないのじやないかとこういうことです。そういうことにして、簡素化して行つた方がよくないかと思うのです。
  89. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お考えの点もありまするが、やはり、こういう際には、通産大臣が貨物の輸出入に対しまして、税関等を監督するから、大蔵大臣が、税関の根本的事務について排除されたわけでもないので、私はこの程度のものは必要じやないかと考えております。
  90. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) ただ私が希望したい点は、こういうことによつて益々税関の機構を複雑にしてしまうということが、この輸出貿易、その他に関して好ましくない、できるだけ簡素にするのが目標でなくちやならないという意味において、こういう規定があることに非常に不満なんです。ただその点を申上げて置きます。
  91. 和田博雄

    和田博雄君 大蔵大臣は忙がしいようですから、大蔵大臣に対する関係だけをちよつと聞きます。この外国為替銀行の認可は、大蔵大臣の権限になつておりますが、どの程度の数を認可される予定なのか伺います。
  92. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 従来外国為替銀行は、十九あつたかと思いまするが、今回は差向き十一行を認可する予定でおります。これは本店を内地に持つております銀行で日本の銀行であります。本店を外地に持つております外国銀行につきましても、相当数を認可する考えております。
  93. 和田博雄

    和田博雄君 それからこのガリオア資金とエロアの資金、これの転用というものは一体認められる情勢にあるかどうか。
  94. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 転用というと、ちよつと言葉が分りませんが、今回のあれは、ガリオア、エロアの資金を除きまして、日本輸出貿易の均衡発展を図るというところから出ておるのであります。ガリオア、エロアの資金は、御承知通りに対日援助見返り資金特別会計の方に入れまして、これが日本産業復興の、いわゆる何といいますか、呼び水になるわけであるのであります。併して、この見返り資金がこの外国貿易の助長にどの程度行くかという問題につきましては、今後検討いたしたいと考えております。
  95. 和田博雄

    和田博雄君 これは、まあ御承知かと思いまするが、外国でマーシャル・プランでやられておるのでも、その点がヨーロツパでは相当問題になつて来ておると私は思うのですが、それは相当高等政策に属することでありますから今後十分御研究するということでありますから、御研究を願いたいと思います。それ以上は恐らく事情も不明な点もありましようから、その程度に止めて置きたいと思いますが、この為替の差損、例えばポンドが切り下げになつておるので、為替関係で損をするということが起つて来ることが将来考えられる。そういつたような場合は、一体どこがこれは損失を負うことになつておりますが、これはいわゆる為替差損の問題が出て来ると思います。
  96. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先だつてのポンド切り下げによりますることにつきましては、経過的の措置をやりました。外国為替資金の方で調節いたしたと思うのであります。将来そういうことが、起つた場合にというお話でございまするが、そこは今までもそういう場合におきまして措置を取つてやりましたような方法で解決できると考えております。
  97. 和田博雄

    和田博雄君 具体的にはつきりしませんが、まあその点は、その程度にして置きますが、この為替の売り相場、買い相場を決めることになつておりますが、大体、どの程度の売り相場と買い相場になつておりますか。
  98. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 外国為替特別会計の方では、売り買い共三十五銭のマージンを取つたと思います。只今司令部の方で外国の連中と検討いたしておるようであります。
  99. 和田博雄

    和田博雄君 大蔵大臣はたしか為替の相場の維持をしなければならないという規定がどこかにあつたと思うのですが、七條の第二号に、「各外国通貨について正しい裁定外国為替相場を決定し、」これを「維持しなければならない。」とある、これは一体大蔵大臣だけに課せられて、大蔵大臣だけで一体こういつた外国為替相場を維持することができるかどうか。どういう範囲のことを言つておるのか。ただ名目的なものを維持して行くというだけのことなのか、それとも具体的に実際為替相場がここで決めた三百六十円なら三百六十円、或いはポンド関係は、千八円なら千八円というようなものが、実際的な為替相場として維持されて行くような、もつと、実質的なことまでもやらなければならんような義務になつておるのかどうか、これは一体、どういう程度のことなのか。一つ……
  100. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは極めて技術的のことであると考えております。これは勿論全般的の問題として、国内通貨の価値維持の当面の責任者は、大蔵大臣が、その何と申しまするか、所掌いたしておりまする通りに、私は外国に対するときには、国際的に日本の円の価値を維持する当面の責任者は、大蔵大臣考えておるのでありまするが、第七條第一項において書いておるのは、そういう根本的の広い意味のあれではないと考えております。具体的には政府委員から答弁することにいたします。
  101. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 技術的のことを申上げますが、第七條の第一項は告示にございますように、一ドルが三百六十円、それから第二項は差当りのところポンドを指しておるのでございますが、国際通貨基金に登録いたしましたクロス・レートによつてポンドが二ドル、八十セントが千八円という相場を維持をしろと、こういう意味でございます。
  102. 和田博雄

    和田博雄君 じや技術的なものだと解してよろしうございますね。
  103. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) さようでございます。
  104. 和田博雄

    和田博雄君 それからこの外国銀行と国内日本側の銀行との間の立場が、或る意味で平等だということを、この間木内君が説明されたのですが、殊にこの外国の銀行は、円資金を持つておらんのだから、だから円に換えるときに統制できることによつて外国銀行がいろいろな点で有利になることはないであろうということを、この間たしかこの前の前のときであつたか、説明されたような記憶があるのです。併しこの外国為替及び外国貿易管理法で、日本としてはやはり今一番欲しがつておるのは、これはやはりドル資金であろうと私は思うのですね。そうすると、このドル資金が非常に欲しいときに、そういうドルの資金を持つておるものがそれを円に実際変えることを有利に一体押えることができるかどうか、そういつた点が相当外国銀行の地位を日本の銀行より円をもつと有利にして行く結果になる虞れがあるのですが、そういう点については、政府の方としては、そういうことは余りないだろうという見通しなのですか、そこのところはどういうように実際上……ドルは実際日本は欲しいのだ。ドルが欲しいときに、一つの條件を持つておる外国側の銀行についてどういうことをお考えになつているか、若しも御構想があればお話しを願いたい。
  105. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 我々の欲しいのは、ドル資金ばかりではございません。ポンド資金も欲しいのであります。而して、木内君がお答えなつたというお話しでありまするが、内国銀行も外国銀行も同じスタンドに立つてやるわけでございます。而してお話しによりますると、外国銀行はドル資金を沢山持つている、こういうお話でございますが、ドル資金は向うにあるのでございまして、こちらにはございません。向うのものをこちらに持つて来るとか何とかというときには、この法律でやるわけでございます。私は木内君と同じように、同等の立場に立つていると考えているのでございます。
  106. 和田博雄

    和田博雄君 ドルの資金もボンドの資金も欲しいということは、これは抽象的に言えばそうであろうが、一番今世界でどの国も困つているのは、ドル・キヤツプに困つているのである。イギリスだつてドル・キヤツプに困つているので、ドルを持つているということは、世界に通用する貨幣を持つているのに殆んど等しいというここになつて来れば、今言われたように、外国銀行がドル資金を持つているのは、外国に持つているのだと、それはその通りなんです。併し資金は、これは外国が持つてつても、日本側に資本というものは或る意味においては流れることが自由なものなんです。それが故に外国に持つてつても、日本に来るということを考えなければならん。そのときにそれを完全に押えられるという意味であれば一番よいのだが、そういう点について我々は危惧を持つから、その点を今お聞きしているわけなんでありまして、今の大蔵大臣答弁では、私は問に問を以つて答えているのであつて、今のでは満足いたしません。  それからこの点は、午前中にちよつと外国銀行の資本投資に対しても、一応内地側の銀行についてお聞きしましたが、その点は事務の方のあれで一応了承いたします。  それからもう一つは、結局外国為替なりを集中することをこの法律では考えておりますが、実際問題としては、そういう集中された外国為替は、どういつたような銀行に預けられることに主としてなるのでありましようか。
  107. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 資本の一国内からの流入、流出は、これはあるのでありまするが、それを統制いたしまして日本外貨資金をバランスし、そうして有効に使つて行こうとするのが、この法案考え方であるのであります。その外貨資金は、御審議を願つておりまする外国為替特別会計の資金になるわけでございます。
  108. 和田博雄

    和田博雄君 特別会計の中に皆入つてしまうわけですか。
  109. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) さようでございます。
  110. 和田博雄

    和田博雄君 これは或いは大蔵大臣ではなくて、外の大臣かもしれませんが、この前ちよつと出た問題でありますが、通産大臣でもよいのですが、編入の補償金の問題ですが、これは一体どの程度に取るのでございますか。輸入補償金を取る場合に、限度は一体決まつておるのですか。この間の説明では、何か個別的に決めるようでもあつたし、その点余りはつきりしなかつたように思うのですが……
  111. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) これはまだはつきり確定はいたしておりませんが、大体まあよその国の例あたりでは、五〇%程度つてあるところもあるようでありますそこで我々の方といたしましては、併しながらその都度々々というわけにもまいりませんが、例えば業種によりまして、或いは又それを適用する時期的な問題もあり、業種の問題もあり、それから又輸入者の問題もあると考えるのでありまして、只今ではこれをどの程度ということははつきり決定いたしておりません。
  112. 和田博雄

    和田博雄君 最後にもう一つお聞ししたいのですが、閣僚審議会は、これは実際上は総理が委員長ですが、実際は仕事ができないというと、主になつてその閣僚審議会を纏めて行くために、副委員長みたいなものを作るかどうかということについて、その点は実際上どうお考えになつておるか。
  113. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は、総理の下に、安本通産、農林、大蔵大臣外貨予算を作り得ると考えておるのであります。その際に、副委員長とか何とかいうものを置くということは余り検討いたしておりません。
  114. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると実際問題として、仮りに総理が出なかつたときにこの五人の閣僚が集まつて議事を進行して行くというようなときに、誰が一体主になつてこれを纏めて行くのですか。
  115. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 総理がお決めになるかも分りませんし、又我々でそれを選任して、そうして議事の運行を図ることもあると思います。
  116. 和田博雄

    和田博雄君 まあ極めて漠たるものであるということだろうと思うのでありますが、それでもう一つお尋ねしたいのは、この外国為替予算は、予算という一つここに名目を持つておるわけですが、今まで審議したところでは、閣僚審議会は、これは結局内閣に対しては責任を帶びるが、国会に対しては実は責任を帶びないということを言われておるのでありますが、実際問題としてこの外国為替予算が通常に組まれる時期というものは、今度の一―三月は別として、来年度昭和二十五年度のものについて、普通にこの事務が進展して行つた場合には、ほぼいつ頃一体組まれるのか。それはこの予算を組むために、そうして又閣僚審議会がこの予算を決定するために必要な事務を安定本部の貿易局でやるようになつておりまして、そうしてそれには四半期ごとにいろいろな何を二ケ月前にやつて行かなければならんことになつておるのですね。それで二ケ月前に実は資料がすべて集まつてできるようにするのだが、実際はこれは普通の年度で一体いつ頃これが本当にでき上つてしまうのか、その点は政府の方としては、どなたでもよいのですが、安本長官でもよいのですが、どういうふうになつておるかをお聞きしたいと思うのです。  それから大蔵大臣にお聞きしたいのは、可なり外国為替予算によつてずつといろいろなことをやつて来ておるというと、これによる国民所得、或いはその他輸入物資の価格、そういつたいろいろな径路を通じて国民所得相当響いて来るし、関連して来ると思うのですね。そうすると通常予算を組まれる場合にも、外国為替予算というものは一つのデータになつておるので、関連性を持つて来なければならんと思うのですね。それで一般の予算を組む場合とこれとが関連を持つて来るということになれば、そこのところをどういうふうに調節して実際上一般の予算を組み、又撥ね返つて外国為替予算というものを組まれて行くのか、その辺実際問題として、政府がいろいろな施策をやる上において大きな意味を持つて来ると思うのです。その点一体運営の具体的なことをお考えになつていらつしやるか、お聞きしたいと思います。
  117. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 私の方からお答えいたしますが、この計画は、昨日も申上げましたように、一つ予算言つておりますが、計画でございますが、その計画を、一年において、一年間計画を樹てまして、それに更に四半期ごとに計画を立てる。併し二ケ月くらい前からそういう計画を立てますけれども、実際にその計画において多少差支えを生ずるというようなことがあれば、これは改めて行くというような処置を取るつもりであります。
  118. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の点誠に御尤もでございまして、私は幸いにこの閣僚審議会委員になつておりますので、国内予算を作りますのに最も重要な、何といいますか、関係事項なり、又この予算を作ります上につきましては、金融その他財政と継りがあるのでありまして、大蔵大臣の仕事としては最も重要な仕事と相成つて来ると思うのであります。いつ頃からどうなるかという問題でありまするが、これは成るべく早く正確なものを作りたいと考えます。而も又これは資金的には直接にガリオアとかイロアの資金と直接の継りはございませんが、実際問題としては相当関係があるのであります。国内予算を作るよりももつと数等むずかしい問題じやないかと考えております。
  119. 和田博雄

    和田博雄君 一つ僕の希望としてその点は十分両方で正確な資料に基いてちやんとしたものを作つて貰いたいという希望を添えて大蔵大臣に対する僕の質問は終ります。
  120. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今のことに関連してちよつとお伺いしたいのですが、昨日か一昨日か忘れましたが、藤井委員からの御質問の際に今と似たような、閣僚審議会委員長である総理が不出席の場合に誰が議事を進行するのかという質問に対して、安本長官から恐らくそういう場合には事務当局を担当する安本長官がそれに当るのではなかろうかという意味お答えがあつたと思いますが、今の大蔵大臣の場合は総理が指定するか、或いは審議のメンバーの中で決めるか、両方の場合があるだろうというふうに話されましたが、そうすると合せて大体三つの方法があるということになりますか。
  121. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 私が昨日申上げましたのは、総理が出席しない場合には、どうするかという御質問でございましたから、その場合におきましてはそれぞれ大蔵大臣なり通産大臣なり安本長官或いは農林大臣それぞれメンバーの者がおりますから適宜やつて行くと思うのでありますが、実際におきましては安本長官がときどきそういうことをやつて行くということも起りましようというふうに申上げたのでありまして、決して私が一人でやるというふうに申上げたわけではないのであります。
  122. 和田博雄

    和田博雄君 その点は後で御質問したいと思いますが、そのところは幹事を誰に決めるかということです。それはやはり政府としては責任者をお決めになつておらないと、大蔵大臣でもいい、安本長官でもいいというわけにはいかないので、やはりその点は幹事をお決めになつてきちんとやつて行かれないと、私ここでは言いたくないが、今までここまで持つて来るのにも各省の間でそれぞれいろいろあつたのは衆知の事実です。だからそういう意味で、こういうものが円滑に運営されて行くためには、構成構成であるが、これを運営して行く点についての機構というものも同時にきちんと整理してお考えつて置きたい、考えなければならん、こういうふうな意味で私共は質問いたしているのであります。ただ意見に亘りますからそれを述べなかつたのでありますが、その点私も今の委員長質問と関連して、政府の方で若しそれを、今の大蔵大臣の御意見ではまだ余り考えておらないようでありますから、是非きちんと一つ考えるというふうにして頂きたいと思います。
  123. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちよつと伺いますが、二十二條に、政令の定めるところにより、特定の場所に若しくは特定の方式により保管若しくは登録し云々と書いてございますが、「大蔵大臣が定める価格で本邦通貨を対価として売却する義務を課せられることがある。」その後に貴金属というものがあります。これはどういう方法で、これを登録する方法をどういうふうにお探りになるおつもりかということ。それから我々今通貨の方で金というものがどれだけあるか知らないのでございますが、この問題についてその外何か御説明頂きたいと思うのでございます。
  124. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御承知通りに只今日本で生産いたします金は全部政府が買上げることになつております。第五国会に貴金属特別会計というものを拵えまして、今年度は銀を併せまして約二十六億円ばかり買入れました。来年度も大体二十四、五億円買入れる予定でございます。全部政府の特別会計が持つことに相成つておるのであります。これはやはり建前といたしまして、まし外国為替及び外国貿易管理法といたしましてこういう規定を置きます以上は、貴金属につきまして特別の措置を講じなければならんのであります。特に新たに設けたものでなしに今まで日本でやつておるようなことであります。  日本に金がどれだけあるかということになりますと、日本にあります金は従来日本銀行が持つております一億二千万ドルの金と、先程申上げました貴金属特別会計で今年買上げた分で、入歯とか、その他に大体半分ぐらい出しておりますが、その残りのもの程度であるのであります。
  125. 奥むめお

    ○奥むめお君 それに関連してもう一つちよつとお聽きしたいのですが、戰争当時も家庭にあるものを登録したのでございますけれども、登録ということが完全に行われるか行われないかということに対して、隠して置く方が得だという我々経験を持つております。そういうことに対しまして大蔵大臣はどういうふうなお見通しを持つていらつしやいますか。
  126. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 戰争中は指輪とか貴金属製品を日本銀行が買上げたり、或いは保管したということがあつたのであります。その後そういうことは止めまして、今ここで私の申上げておるのは、貴金属製品でなしに金の地金についてやろうとしておるのであります。
  127. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 本法案の第四章、第五章において、外国為替の集中とか、或いは支拂いの制限、或いは禁止という條項はこれは誠に属目すべき特徴でありまするが、今後の輸出輸入の両面に互つて日本の商社は販売面はおろか、外国市場調査等今の段階では全然持つていない。そういつた幾多の不利な條件に加えて、外国商社は何と言いましても非常に豊富な資金を持ち、又低利の資金を持つて闘うわけでございまして、金融面からしても日本の商社は極めてまだ微弱なものと考えなければなりません。そういう意味において、輸出輸入両面において貿易金融という問題が非常に大きな問題になるわけでございますが、これらについて大蔵大臣はどういう対策をお考えになつておりますか。
  128. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の通りでございまして、貿易金融、特に輸出の方に対しましては、特段の工夫をこらさなければならんと思うのであります。従来貿易金融に特別の金融的措置といたしましては、貿易手形は特に低利にいたし、又金利を下げる場合におきましても、一般会計よりも早く大幅に下げておるようなわけであります。今回御審議つておりますが、輸出信用保険制度なんかも、これは貿易金融の一つの役に立つものではないかと思います。尚この機会に申上げまするが、何と申しましても、今ポンド地域の方はドル資金に困つております。で今までの管理貿易時代におきましても、相当のいわゆる貸しがあるわけです。この貸しがあるということは、我が国の物を買つてくれる一つのあれで、私は許されれば見返資金なんかを貸付に使つて、そうして日本にも沢山入つて来る。そして又向うのものを買つて来て、私は何と申しましても、外国為替の問題につきましては、今後これでやつて行けばスターリング・エーリヤの、どこの国よりも日本はよくなるのではないか、こういうふうな気持があるのであります。又そうさして行きたいと考える。従つて国内でできる我我の金だけで十分活用いたしますと同時に、見返資金もその必要によつては使うというところまで行き得るようにいたしたいという考えを持つております。
  129. 和田博雄

    和田博雄君 ちよつと一つ大蔵大臣にお聞きしたいのですが、これはこの大蔵大臣の指定する通貨がポンドとドルになつておる。そうすると一番早く問題になるとすれば、中共貿易が問題になつて来ると思う。その点については一体どういうふうに政府考えておるのか。それから今、現在の貿易関係を見ると、香港ドル建で相当貿易ができておるのでないか、そういう点に対してどういう取扱いをするのか。一つお願いいたしたい。
  130. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは大蔵大臣よりも、通産大臣お答えなつた方がいいと考えております。私は中共貿易は本格的になるかどうかということは存じませんが、希望し得ることでないか。それまではやはり今まで通りに、香港を中継として香港ドルで行くより外にないと思います。又相当の香港との取引はあると考えております。
  131. 和田博雄

    和田博雄君 これは通産大臣にも関連してお聞きしたいと思うのですが、非常にローガン構想以来、この法案を急がれておるということは、やはり例えば、講和問題という問題だけでなくて、やはり大きく見ればアメリカ側の中共承認の問題であるとか、或いはアメリカ以外の西ヨーロツパの諸国、或いはアメリカも含むところの西ヨーロツパの諸国の、中共との貿易の問題とかいうようなものに対するいろいろな態度が決まりつつあるというような感情を、私共は持つわけであります。その一つの流れとして、やはり日本においてもこういうものが具体的に問題になつて来たとまあ考えるのですが、それらの点についてやはり中共の貿易といつたようなものについては、大体こういう面から可なり実際的に促進して行こう、こういう意図を一体含んでおるのかどうか。そうでなしに、表面はポンドとドルということに決めてはおるが、実際問題としてはむしろ中共側の貿易関係も、この法案等ができることによつて、より一層具体的に促進して行こうということを考えての上のことであるかどうか。そういう点についての政府のお考えを若しも承われば、具体的にはどの程度の一体観測を持たれておるのか、一つお聞きしたいと思います。
  132. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は直接関係はないと考えておるのであります。御承知通りに占領軍の直接管理貿易であるのが我々国民の手に帰ることが最も喜ばしいことであるので、で一日も早くとこういう氣持でおるのであります。
  133. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 大蔵大臣への質問は宜しうございますか……それでは質疑を継続して頂きます。
  134. 帆足計

    ○帆足計君 中国の問題につきまして、私も同様な趣旨の質問をいたしますから、御一緒にお答えを願いたいと思います。私は為替の運用上、中国との輸出貿易が過小評価されることを非常に憂慮するものでございます。従いまして先程第八條の規定について御質問したわけでありまして、先程通産大臣は中国との貿易も占領軍の政策と同調しつつ考慮せねばならんという愼重なお話がありましたが、確かにそうでございますけれども、私は占領軍の政策連合軍司令部としての占領軍の政策は尊重せねばなりませんけれども、アメリカ一国の利益にただ日本が追随するというのは、必ずしもそれだけでは妥当でなかろうと思います。民主主義を学び自尊心を持つ国民として、やはり自国の利益、正当なる利益は主張し、それとアメリカなり、連合軍の利益と調整することが最も賢明な友好的態度であると思います。それで私は中国の問題につきましては、これは日本に取りましてはアメリカと違いまして、又御承知のように、あのイギリスが非常な努力をしておりますことは、皆様御承知通りでありますけれども、そのイギリスとも違いまして、日本に取りましてはいわば死活の問題でございます。従いまして中国を除きました日本貿易、又は日本復興というものは、それはかたわの貿易であり、かたわの復興である。日本として中国との合理的な意味の何らかの提携の道を探さなければ、私は日本の将来の希望というものは絶対にあり得ないと信ずるものであります。ところが由来我が国は御承知のように非常に封建性の強い国でありまして、思想問題に対しまして、ただ彈圧と憎悪を以つて対処するという伝統の牢固たる日本でありまして、私は日本の敗戦後の今日、又資本主義社会には相当欠陷がございますから、貧困と失業と深刻な生活不安があるときには、当然その必然的な結果として相当激しい思想が生まれることも、これは当然のことでありまして、何ら驚く程の問題では私はない、健全な社会現象で、健全と申しますよりも、必然的な社会現象であると思います。従いましてこれらに対する対策としましては、結局日本産業の健全な復興、健全にして合理的な社会制度、そうして明日への希望、そういうものがそれに対する最大の復興の保障であると思います。従いまして、我々が連合軍の政策を顧慮することは必要でありますけれども、然らば連合軍の政策がどういうものであるかということについて私はい人によつて認識が違いますけれども、共産党に対しましてはアメリカの下院の外交委員会の共産党の戰畧に対する報告書というのを見ましても、日本の著しく保守的な方々が考えておる考え方とは相当距離があるのではなかろうかと思います。これは思想問題等につきまして、政府がよく政策を発表されました後に、連合軍司令部の特にガヴアーンメント・セクシヨンからよくそれを抑制し反省を促すような反対声明が出る事実を以て見ましても、我々がよく経験しておるところでございます。  そこで然らば占領軍では極東に対してどういう政策を今やつておるかと申しますと、御承知のようにジエサツプを委員長としまして、極東政策並びにアメリカ世界政策は検討中でありまして、最後の言葉はまだ発表されておりませんけれども、先日私共財界人はローガン氏にお目にかかりました。そのときに出た内々の話でありましたけれども、中国、満洲等に対する日本貿易というものが、如何に重要なものであるかということは、十分理解しておられる様子でございました。又中国との貿易につきましてはパリ、ロンドン、サンフランシスコ等の商工会議所は相次いで積極的声明を発し、そうしてイデオロギーを離れて貿易の必要を非常に強調しておるような現状にありますのに、何故か謙譲の美徳と申しますか、引込思案と申しますか、それとも臆病と申しますか、日本産業にしましても、亦それぞれの関係方面にしましても、中国との貿易はまあ止むを得ない、なしでもやつて行けるかのごとき印象を与える程、日本の輿論が弱いことは、非常に私は遺憾であると思いますけれども、然らば占領軍の政策はどうかというと、本日のジエサツプ氏の国際連合における演説を見ますると、中国に対しまして、門戸開放政策の明朗なるアメリカの態度を発表されております。私はこの本日のジエサツプ委員長の発表は、アメリカ世界政策のみならず、極東政策についての重要な結論の一環を発表したものであると思われ、極めて注目に値するものであり、同時にその内容は、さすがにアメリカ合理主義の言葉であるとして、我々もこれは極めて妥当な、そうして世界の平和のために公正なる、極めて合理的な極東政策の行き万を暗示するものであるという感を受けました。先般蒋介石、李鐘晩、キリノ大統領が太平洋同盟を作ろうとしましたときに、日本の与論はそれを相当誇大評価したようでありますけれども、直ちにアメリカ及びイギリス政府の反撃があり、そうして反対にキリノ大統領はその修正案を出しました。その修正案は極めて合理的な、やはり思想に対する問題はただ思想として見る。そうして現実においては合理的な社会制度国民の自由、そうして明日への復興という健全なる政策に協力するということがアメリカ政策のようでございました。そのような政策並びに本日ジエザツプの声明を見ますると、私は中国に対する態度はアメリカ同様に明朗であり、そうしてイデオロギーを離れて、協定すべきものは協定することが必要である。そういうような方針は可能であるということを一層痛感するわけであります。本日の国際連合に対するアメリカの極東政策の一端が発表されましたことは、実に日本の講和條約に取つても重要な前触れをなすものであり、先程の和田さんの言われましたように、このローガン声明に引次ぐ本日の法案の運用の将来につきましても、非常に明朗な前途を約束するものでありまして、このようにアメリカ政策を合理主義的に理解しまするならば、中国に対しまして、余力消極的であり過ぎる必要は私は毫もないのではないかと思うのであります。勿論アメリカとしましても、相当右翼的な人もおりますので、いろいろな議論が行われ、甚だしきに至つては、台湾は又日本に戻すというような馬鹿げた新聞記事が、日本の新聞を賑わしたようなことがありまするが、それはアメリカにもいろいろの人がおるという証拠であります。我々はアメリカ政策の中の最も合理的な客観的なものを大体見て、それによつて日本の方針を同調させる必要があるのである。そういう観点から見ますと、実業方面に御練達の通産大臣としましては、私は中国問題をもう少し強くお取上げ下さつて、そうして前の吉田さんの声明は、総理には若干の経緯が、ございましたけれども、そうして私は総理の声明のし方などは、中国、アジアの状況に関しまする限りは、お年のせいもありましようが、少し頑迷過ぎると考えて、そういう印象を受けておりますが、内外ともそういうふうな印象を受けておるようでございます。従いまして通商大臣におきましては、それらの事情を勘案されまして、やはり積極的に産業復興並びに貿易の振興を担当しておられまする所管大臣といたしまして、中国の貿易に対しましては、公正妥当な見地から大体イギリスと歩調を合せて、そうして早く再開のできるように、その條件といたしましては、私はやはり本日のジエサツプ委員長の声明の線、日本に飜釈しますと、やはり中立と平和と新憲法の線で参りますならば、必ず中国との親善関係はこれは確保できると思いますが、為替運用委員会が、若し国際情勢の認識を誤まりまして、中国との貿易に対して消極的態度をとり、為替輸出入許可、認可等の仕事におきまして、退嬰萎縮するような方針をとられるようなことが万一ありとしまするならば、非常に不利になるということを痛感するわけでございます。従いまして通産大臣がそれらの点についてどういうお考えをお持ちになつておられますか、御所見を承わりたいと思います。
  135. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 先程の和田委員からの質問とも関連いたしましてお答え願いたいと思います。
  136. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) 只今帆足さんから非常に立派な御意見を拜聽しました。和田さんからのお話も承つたのでありますが、私は中国貿易に全然力を置いていないというごとき印象を与えることを申上げたこともないし、勿論さように考えてもおりません。私はしばしば申上げましたように、我々が中国との対中国貿易というものが、非常に日本貿易にとつて重要性を持つておるものであるということは、しばしば私が申上げた通りであります。又その線に向つて実は働いておるのでありまして、まあ先程和田さんもおつしやつたように、この法案自体もそれへ働く一つの大きな原動力になるだろうと私は存じておるのであります。ただ私がしばしば日本管理下にあるが故に、司令部のポリシーに従わなければならないという意味は、ポリシーという意味を非常に広い意味和田さんはおとりになつておるように存ずるのでありますけれども、私の言う意味はそういう意味ではなくて、まあ我々が管理下にある日本といたしまして、今の司令部の指示と申しますか、それに従わなければならん立場におるということを私は申上げたと存じておるのであります。そこでできるだけこの貿易を、対中共と申しますか、中国と申しますか、その貿易を促進するということにつきましては、これは従来香港貿易があつた、この間も申上げましたように、大体今年の一月から八月までに二千四百万ドルの輸出輸入としては千七百万ドルを輸入いたしておる。この数字は相当の数字に上つておるのでありますが、そのうちの大部分というものは、恐らく中共地区との取引になつておる。従来はそれだけでありましたけれども、最近におきましては、青島経由、或いは天津経由というようなところで、日本へ来ておりますバイヤーとの間の商談も行われておるのであります。ただ今日の情勢におきまして、例えば日本が中共に対して正式貿易使節団を出して、そうしてこの国との間に通商協定を結ぶといつたような段階にはまだ至つてはいないのであります。ただそういつたような、一日も早く正常化するところの取引に進みたいと存じますると同時に、それまでの間の地ならしといたしまして、部分的にも、或いは又各業者が個人的にもいろいろな関係をつけて行く、そうして実際の問題といたしまして対中共貿易を促進し得る、それがやがて正式な対中共貿易の形になつて来るということが最も望ましいのでありまして、そういう点について決して私は今帆足さんが指摘されたように、米国筋の方でも決してノーとは言わないと私は存じておるのであります。むしろそれが日本経済自立する上において必要だということも、十分私は認めて呉れていると存じまするし、又その関係の多い人にお目にかかつたときも同じような意見を洩らされておりますので、その点には私は何ら懸念はないと思つております。ただ先程申上げましたように、我我は管理下にあり、又司令部の下にありますので、その指示に従わなければならんということは、どうしても條件がつくと存ずるのであります。併しながら私としては、決して中国貿易というものの、中共貿易というものを度外視しておらず、非常に熱意を持つてこれを打開して行かなければならんと考えておりますことを申上げて置きます。
  137. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 質疑がありましたならば又繰返して戻るといたしまして、この辺で先程申上げましたように、逐條的吟味をして行つたらどうかと思いますが、如何でしようか、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは必要がありまするならば、逐條的に審議をした後に一般質問が残りましたならば繰返すといたしまして、一応條文的に見て参りたいと思います。章別に大体吟味して行けばいいのじやないかと思いますが、そういう方法でよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは先ず最初に第一章総則につきまして、特に御質問がありませんでしようか。
  140. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第六條の第五項ですが、この居住者と非居住者を区別しているところの終りの方に「非居住者の本邦内にある支店、出張所その他の事務所は」云々とあつて、主たる事務所が外国にある場合においても居住者と見なすと、これは居住者と非居住者の区別が非常に混同することになるのではないかと思うのですが、具体的にどういう場合のことをいつておるか御説明を願いたいと思います。
  141. 林修三

    政府委員(林修三君) 私から御説明いたしますが、これは原則的な居住者は始めにございます通りに、本邦内に住所又は居所を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人でございます。これによりますと、本邦内に主たる事務所出張所、本店、又は普通申します会社の場合には本店でございますが、これで申せば大体、いわゆる日本法人ということになるのでありますが、日本法人以外のもので外国に本店を持つておりますものでも、本邦内において支店、出張所その他の事務所を持つて、そこである程度の仕事をやつておるものにつきましては、これを居住者といたしまして、この法律を適用する、又この為替管理の上から申しますと、そういたしませんと、この法律の運用の目的が達せられないと思います。  本邦内において事業活動をしておりますものは、外国法人の支店、出張所でありましても、居住者として日本人とこの條文の中においては、多少その取扱いを異にしておるところもございますが、原則的には日本人と同じ取扱いをして行く、こういう意味でこういうものも出しております。
  142. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) その限定規定の「法律上代理権があると否とに拘わらず」というのはどういうのでございますか。
  143. 林修三

    政府委員(林修三君) これは実は余り大した意味を持つておりませんけれども、そこでやつておる支店なり出張所、その他の事務所でやつておるものが、いわゆる何と申しますか本店の名前でやるとか、或いは支店の名前でやるというそのこと如何に拘わらず、或いは支店とか出張所という名前を掲げないでも、事実上外国にあるものの代理人であると、法律的には違う名義を掲げておつても、事実上代理になる場合も、含むのだと、そういう注意規定でございます。  法律上代理の規定があるにも拘わらずというそれ程強い意味じやない。そういうふうな非居住者が本邦内において支店、出張所、事務所を持つている場合は皆居住者になるのだ、こういう意味が強く現われているのです。
  144. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第七條の第三項ですが、外国為替委員会外国為替を売買する相場を定めなければならん、この売買する相場はこれは毎日決めて公表するのですが、或いは時期的にいつ決めて公表するということですか。
  145. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 私からお答えいたしますが、これは大体まあ政府のする売買でございますから、そう毎日変ることはないと想像しております。場合によつては毎日になることもあるかも知れません。
  146. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうすると現在のところは、今三百六十円というあれが相場になるのですか。
  147. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) さつき、ちよつと大蔵大臣からお話がありましたが、三百六十円に三十五銭の鞘をつける、そうして三百六十円三十五銭で我我は売る、そして三百六十円三十五銭というものより三十五銭引いたもので買う、そうすると三十五銭づつ儲かるわけであります。
  148. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第五項のこの直物の売買の取引の場合が書いてありますけれども、先物の取引はこれを認めるのですか、どうですか。
  149. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 認める方が商売の都合上いいことでありますからなるべく認めたいと思います。
  150. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) その場合に、直物取引の場合にもこの百分の一以上の開きがあつてはならんということが適用されるわけですか。
  151. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) これは直物の取引だけ百分の一というのがありまして、先物は金利の関係が入りますから、金利を織込んで相場を立てる、立てないという二つのやり方があります。若し織込んで立てますれば、百分の一をオーバーすることが出てまいりますから、実はそのことは置いていなかつたのであります。
  152. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうしますと、この先物相場は勿論必要だと私は思うが、先物相場の方から、いろいろな日本為替を崩されるような悪影響が来る虞れはないのですか。
  153. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) そこは非常にむつかしいところでありまして、先物相場を立てたいのですが、先は皆非常に弱い、円が弱いと見ておる場合にどういうふうにやつて行くか。折角立てても商売しなければ何もならんことになります。先物を扱うことはなかなかむつかしいのです。そこで必らずし法律に謳つていないのであります。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  154. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) その点については非常に大きい問題だと思うのであります。外国為替管理委員会はどんな方針、構想を持つておられますか。
  155. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 現在は商売は皆許されたものだけがあるのでありますから、許されたものの為替、先に政府が指定する相場が変つても、すでになされた商売が、そのままなされたときの為替が有効であるということは、一つ原則として貫きたいと思うのです。その原則を十分信頼して守つて呉れれば、必ずしも先物相場はなくても宜いと思うのでありますが、商売のことですから、いろいろ心配があつて先にこういう商売をするのだが、それについて為替の予約を決めて置きたいという希望があれば、成るべくならば認めて行きたいというふうに考えております。
  156. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) これは先物取引を認めるとしますと、非常に広汎な世界経済の中に足を踏み込むことになるわけで、なかなか、この法律では取締れない部面が沢山出て来ると思うのですがね。
  157. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) お話の通り先物というものは扱いようによつてはなかなかむつかしいことが出て来るのです。これを法律的に、法律の條文でどういうふうに規定するかということは、ややもすれば先物は許さんという規定になつてしまうかも知れない。許して行きたい。成るべく商売の実情に合せて行きたいという頭で法律を起案しますと、結局こういうことになるのです。あとは運用でうまくやるより外はない、こう考えております。
  158. 和田博雄

    和田博雄君 第九條ですが、今九條に緊急の必要があると認めるときは、取引を停止することができるようになつておりますが、ポンド切下げといつたようなときには別ですが、大体どういう場合を予想しておるのですか。緊急の必要というのは、具体的な場合はどういう場合ですか。
  159. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 今和田委員がおつしやつたポンド切下げという問題が一番予想しておる点でございまして、そういうふうな場合には、二、三日為替取引を止めまして、平静になつたときに又考えるというふうな考え方でおります。従いまして第二項におきまして決してこれでデポルトすると何とかすることを、この規定があるために与えるといけませんから、そういう支拂の遅延というふうなことは、これによつて起す意思はないのだという、考えであります。
  160. 和田博雄

    和田博雄君 今のはどつちかというと、経済的な面であつて、政治的にこれをうまく使うという意図ではもう全然ないのですね。
  161. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) お示しの通りであります。
  162. 和田博雄

    和田博雄君 それから第二條ですが、二條は従来ある法律なり、命令なりを廃止する目的を以て再検討する、こういうことをいわれておるわけですが、差当つてどういつたことを予定しておるのですか。この條項は……
  163. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) この二條は、実は国際通貨基金との観点で、例えば通貨基金の第八條の第二節に世界貿易の増進を阻害する外国為替諸制度の除去を援助することを約しておる。併しながら第十四條第二節で過渡朝の間は為替管理は仕方がないというようなことを国際通貨基金でも規定いたしております。現在の世界の諸国で加盟の国が四十七ケ国であつたかと思いますがその中で為替管理をやつておりませんものはアメリカ外三ケ国しかない状態でございます。併しながら、どの国でも為替管理ということは望ましくないのでありますから、できるだけ国際收支が均衡するに従つて為替管理というようなものは緩和をして行くべきであるという、考え方から第二条に闡明いたしたわけでございます。只今どの規定をどういうふうに外して行くかということはまだ具体的には頭にないわけであります。
  164. 和田博雄

    和田博雄君 それからこれは大蔵大臣に伺つても余り明瞭に言われなかつたのですが、例のポンドとの関係ですね。これは暫く政府としては現状のままで行くということに理解してよいのでございますか。
  165. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 左様でございます。ただ第八條はいろいろな今後の進展に伴いまして、如何なる通貨でも措置し得ることになつております。
  166. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 これは字句の問題ですが、第七條で第二項は裁定外国為替相場を決定し維持しなければならんとなつておりますね。ところがその前の本文の基準外国為替相場は維持しなければならんというようなことはないのですが、これは特に維持しなければならんと言つたのはどういうわけでしようか。我々の考えでは元になる方が維持しなければならんのであつて、それから裁定相場が維持されなければならんということは分るのですが、元はこういうことが書いてなくて、裁定相場だけ維持しなければならんということが書いてあるのはどういうわけですか。
  167. 林修三

    政府委員(林修三君) これは大体申しますと、正しい裁定為替相場と申しますのは、御承知通り国際通貨基金、に登録されておりまして、クロス・レートで決定されるので、クロス・レートを外してはいけないという、そういう意味でこれが入つておるのでありますから、クロス・レートを外したいときは、或る基準相場を決めれば、それで外の通貨との関係はクロス・レートをずつとやつて行く。そういう意味で或る程度継続的な表現を使つたものと思つております。
  168. 和田博雄

    和田博雄君 第一條はこれは一般質問から繰返し聞かれたのですが、外貨資金の最も有効な利用を確保するの最も有効なというのは何に対して最も有効なのか、私が今まで聞いたところでははつきりしなかつたのですが、どういう目的に対して最も有効なのか、それはどういうふうに解釈すべきものですか。
  169. 谷林正敏

    政府委員(谷林正敏君) これは外国貿易の正常な発展を図り、国際收支の均衡を図る上において、又通貨の安定、そういうことを実現するために最も有効な使い方をする。こういう意味であります。
  170. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これはやはり日本経済の安定と、日本経済復興再建に取つて今日いわれておるそういう日本経済の安定のために最も必要なという意味だと思います。
  171. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第一章関係で他に御質問ありませんか。  第二章に移つて宜しうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  172. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは第二章に移ります。これにつきまして御質問がありましたら……十條乃至十五條で……
  173. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 十條の第二項で、これはこの前の公聽会が開かれたときも問題になつたのですが、「大蔵大臣は、当該銀行が十分な国際信用を得ることが困難である場合」云々の認可を取消すということになつておりますが、こういうようなことは初めから決まつておるのだから、初めから認可しなければいいじやないかという意見が公聽人から述べられておつたのですが、どういう意味でこれを入れたのですか。
  174. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 波多野先生のおつしやる通りこれは大蔵大臣が認可いたします場合の基準でございまして、取消すという規定ではございません。
  175. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 両替商の問題で、両替商というのは外国為替銀行と異つた仕事もやるのですか、或いは同じ仕事をやるのですか。
  176. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 外国為替銀行にも勿論両替商の仕事が小さな部分として関連的に入つておりますが。只今日本交通公社を両替商として指定いたしております。これはホテルなんかの通貨の取替えというような仕事でございます。
  177. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 両替商という概念は、外の国で二つの違つた通貨が相並んで流通しておる場合、そういう問題があると思うが、国内で單一通貨しか流通しないというときは、両替という概念は使わないと思うのですが、どうですか。
  178. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 両替商は通貨の取替えをするものでございます。お手許にございます大蔵省令第二條にあるように両替業務とは、業として行う外国通貨の売買及び外国から仕向けられ、又外国通貨を以て表示された旅行小切手の買入というようなことでございます。主として外貨との交換ということを考えております。
  179. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうしますと全く一方的の交換ですね。
  180. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 日本の現状におきましてはさようでございます。
  181. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) ただ疑うのはこの規定からいろいろ考えられるのは、二つの通貨が竝んで流通する場合も予想されるから聞いたわけです。
  182. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 外国の通貨の流通ということは日本国内では望しくないと思つておりますから、殊に外貨を取得いたしますことは至難でございますが、これは四章の規定で集中することになつております。日本国内は円価の流通が望ましいと思います。
  183. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第二章関係は宜しうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  184. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは三章に入ります。
  185. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第十八條には緊急な需要に応ずるための予備費、これを通貨別に設けるということになつておるのですが、これも大体の御説明を願いたいのですが、この前、外貨予算全体についての御説明があつたのですが、あの程度のことは御説明願えると思いますが、如何ですか。
  186. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 十八條の予算は、大体金を使う方の金額が出ておるわけです。それでこの間申しました通り、大きく言えばポンドとドルに分れております。そのドルならドルの方だけをとつて見ますれば、使うつもりで組立てた予算の方に何か不慮なことができるかもしれない。これは大もとの金であるものを別に残して行くわけです。それが運転資金と名附けてもいいわけです。何千万ドルかの金はこれは手を着けないものとして残して置く、こういうことが謳つてある。別に雛型を示しているものではなく、一つそういう項目を出せばいいわけであります。
  187. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) これは單なる通貨別だけではなく、相手国別にも作るべきものじやないですか。
  188. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) これは相手国別の必要はないと思います。と申しますのは、御承知のように協定国がオープン・アカウントでやります場合には、つまり金なしの取引でありますから、それは若しスウイング・アカウントがあれば借越になつてもいい、そういうことになります。如何なるオープン・アカウントも、最後においてはドルで拂えばいいということになります。ドルの予備金というものは全体に対して一つでよろしいということになります。つまりドルに対するアカウントがあれば信用保持に差支えなかろう、こういうふうに考えております。
  189. 和田博雄

    和田博雄君 外国為替予算というものは、いつまでに作らなければならんという義務は何もないわけですね。予算を作る時期というのは……
  190. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 一口に言いますれば年間予算はないわけでございます。但し援助懇請と絡む筈でありますから、すでに御説明がありました通り、現在は七月から来年の六月までの計画がある、それで現在の援助が決まると聞いております。若し来年の援助を懇請するならば、七月から先は適当なる時期に組まなければならん、こうなります。
  191. 和田博雄

    和田博雄君 これは或る程度時期が確定していないと、輸入なんかに対するものが困つて来はせんかと思いますが……
  192. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 今ちよつと私言い足りませんでした。これに謳つてあります予算は、この年間計画を元にした四半期別の予算でありますが、これは一、三ならば今すでにできていなければならん。これから大急ぎで作ろうこういうわけであります。二、四ならば遅くも一月中、こういうことでございますが、それでお答えになりましたでしようか。
  193. 和田博雄

    和田博雄君 その点第六條の二項で実際上の予算を作つて行く場合、まあ二ケ月前に出せということがありますから、各半期ごとにはどの程度いつ頃作らなければならん、作るものだという大体のめどはつきますけれども、これはとにかく非常に遅れてしまつたりなんかして、各半期ごとのものさえ、半期の半ば頂くらいにならなければできないということになつて来ると、そこのところは法律上は何も義務がないものだし、それから国会に対しても、これは何らの責任も帶びないということになつて来て外国貿易を振興すると言いながら、実はその点で実際問題として非常にさし障りが出て来ることが予想されるのですが、なぜこれは予算については或る程度の期間において決定すべき時期をはつきり決定しなかつたか、これはどういうふうになつておりますか。
  194. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) これに謳つてあります予算は、それで事実許可を出して行くのでありますから、これは一、三の予算は一月までに、すでにできていなければならんというような明確なる時期をせめて指定するとか、尚それに対して準備をどういうふうにしてやるかというようなことについて、政令に一応謳つた規定もあるわけでございます。それでうまく行くだろうと考えております。
  195. 和田博雄

    和田博雄君 それでまあこの一、三の予算が実は十二月にはできていなければ困るのがはつきりしておるのですが、そういうふうにやはり時期的にはきちんと早めにできて行くということが、やはり何かの形ではつきり保障されていないと……できなくてもそれは或る意味から言うとかまわん、それはかまわんと実際上はなつてしまうのですね。その意味からこれは計画性を持つということが非常に重要なんであるから、而もこれはこと商売に関することなのであるから、こういう予算については、或る程度時期的にはつきりするということが僕は非常に必要だと思うのですが、非常に考えるべき事件なりそれから條件がむずかしいので、実際上そこに見通しをとつた置かなければ困るという考えなのか、折角貿易を振興すると言いながら、そういうような点で可なり私は欠点があるように思うのですが、その点はどういうようなお考えなのですか。
  196. 谷林正敏

    政府委員(谷林正敏君) この外貨予算と言いますのは、大体昨日もお話し申上げたのでございますが、大体年間の輸入計画を立てなければならない。ところが現在は御承知のようにその半ばに近いところの金額というものは、いわゆる援助資金で賄われておるという関係上、G・H・Qとの関係といいますか、G・H・Qといろいろ相談して内容を検討するというようなことも相当必要性があるのであります。それでG・H、Qの方でも絶えずその金額が或る程度つていないと、その次の年度における先方の援助計画というようなものを立てる上におきまして、非常に困難があるというふうなことで、実は絶えず四半期ごとに組み、絶えず必要があれば訂正をしておるというような現状でございまして、現在できております七月から来年六月までの輸入予算というようなものも、これは全然変更をなし得ない、変更しないというような予算ではないのであります。又そのときの必要に応じて向うの方から訂正を申込まれる、或いは又訂正をするということがあるのであります。これは現在我が国の手で全部の予算をなし得るというような事態でないので、これはいたし方ないと思うのであります。そういうような関係でこの予算を作るということも、実は現在予算を作るのに毎四半期ごとにこれをやり、絶えず必要な事項を改訂しておりまして今後この予算によつてやる場合には、政令に、閣僚審議会の中でもちよつと謳つてありますように、二ケ月前には必ずこの資料を集める、それでこれを作るということになりまして、そこに時期的にやや近い、余りに近すぎるというような御意見も出るかと思いますが、一方におきましては外貨予算を作るということは、一年間のを作つて、それを割つてできるというようなものでもなく、余程期近になりました輸出状態とか、或いは輸入の振興度というものを相当参考にしなければならないというようなことで、余り前広にもできない。併し余りに近附いても只今の御意見のように間に合わないということもある。そういうようなことで二ケ月前までには必ずこれを出すというようなことになつておりますので、結局その二ケ月と実施期との間にこれを完成するというような目論みでやるつもりでおります。
  197. 和田博雄

    和田博雄君 これは最近は一般の国の予算に、二十五年度の予算は前の国会に出るようにはなりましたが、とにかく相当これは厄介な仕事だと思うのです。そこで昨日のお話では、この外国為替予算を組む出発点としては、いろいろの手持外貨一つの出発点と言いますか、その外に組むのに考慮すべき非常に沢山の事件があると思うのです。而も一般の年間のものを組んで、而も尚その上に各期間別に実際上動くものを、もう一遍具体的なものを組んで行かなければならない。そうすると先ず年間のものを、相当早目に組まなければならんということになるわけですね。年間のものを組むということになつて来れば、そのとき考慮すべき要件についての確実性というものが、いわゆる期待を現実化することが非常にやはりむずかしい、考えれば考えるほど相当むずかしいものになつて来ると思う。その操作だけでも、例えば有効需要なんかの計算をやるとして見ても、余程人の手間とそれから相当な努力をしなければ、早目にはなかなか組みにくいと思うのです。而も可なり信憑できる、自信の持てるものを作ろうというには余り時間がかかるということになつて来れば、どうしても遅れる。早目になることは余り期待できないで、遅れるようになる期待の方が私は多いような気がするのです。そこでこの点については何かやはり早く予算と同じように、一般の予算期間が始まる前に、少くとも年間計画を先ず作らなければならんとか何とかいうようなことを定めて置かないと、ただ閣僚審議会でこれを定めるとか、各官庁がこれに材料を出すとかいつても、本来この法律自体目的としている本体が、本尊ができ上らない危険が私は多分にあるのじやないかと思いますが、その点についてやはり大臣としてはどういうふうに一体お考えになつているのですか、その点一つお聞きしたいと思います。
  198. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは勿論日本経済のそのときそのときの情勢ということはもとよりありますが、大体この予算を作りますといたしますればレート・フアンドであるとか、或いは受取勘定であるとか、或いは貿易外の勘定、或いは協定貿易というようなことを考えまして、そうして他の資料と共に勘案いたしまして、できるだけ早く作るというようにまあ考えております。
  199. 谷林正敏

    政府委員(谷林正敏君) ちよつと只今の御質問で追加の御説明を申上げます。只今作られております年間の輸入計画と申しますのは、先程申上げましたように、七月から六月までで、若しもこの一―三というのが丁度この最後に当りますと、或いは最後からその次になりますと、今の御質問のように非常に大変なことになる。幸いにこの七月から六月までというのに一応決まつておりまして、その中で今回はやるので非常にその点の手数は省けるのであります。ところが来年の七月からその次にかけますと、これはやはりいろいろ御説明になりましたような、いろいろなアイテムを入れまして、そうして年間を考え、それからやらなければならんということになるのであります。ところがそのときに非常に時期的に困りますのは、七月から始まつて六月までというのは何故はつきりするかというと、先程申上げましたように、アメリカの援助資金がそこではつきり分る、こういうところが非常にある。例えば四月から始めて日本の会計年度にしつくり合わしたものを作るというのは、四月から六月までははつきりしたのがあるのでありますが、その先からその次の三月までというのは非常にまあ不便なものがあるというようなことになりまして、今回の分は丁度その七―六に入つておりまして、その中の一―三でありますから、その大綱としての全額という一つの見通しというものは一応できているというのが、今回は非常に急いでやるが、その点がこれはそういう他の時期に比べて楽だということになるということをちよつと申上げて置きます。
  200. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第三章関係よろしゆうございますか……それでは次に第四章に移ります。第四章、外国為替等の集中の章について御質問ありませんか。
  201. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 ちよつと安本長官にお伺いいたします。この第四章と第五章と両方一緒に御答弁願いたいと思います。先日私の御質問申上げましたのは、政府委員の御説明がありましたように、外国為替等の集中、或いは第五章の支拂の制限及び禁止、これに対する政令事務の都合もあつて相当進捗しなければならんという事情から、大体、明年三月三十一日までに準備完了して、政令を作つて、その間の過渡的な措置としては安本長官は簡単に現行の法規で十分にこの目的を達し得るというような御説明があつたのですが、先程木内委員長の御説明だと、これはただ單に現行の法規で取締れるというような程度のものではなくして、相当これは外人関係については愼重、考究を要する点があるので、そのためになかなか簡單には作れないというお話でありまするが、そうだというと、先般の安本長官の説明は余りにも簡單であり過ぎたように伺うのです。もう一遍過渡的な措置について御意向を伺いたいと思います。
  202. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) そのおつしやるような政令ができていないということは甚だ遺憾でございますが、やはりこれは外国為替委員長が説明いたしておりまするように、これを決めまするのにいろいろ手数がかかる。なかなか困難な問題だ。こういうことでありまするが、併しこれは現在のこの輸出関係等につきましては、大体差支えないということでございます。輸入関係につきましては、御承知通り一月一日から入りまするので、それまでには相当に準備も整つて行くと思いまするので、私の考えとしては、それは何とかやつて行けるというふうに御答弁したかと記憶いたしております。現在も全くそういうふうに考えております。
  203. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 この只今の御答弁でも、輸出については差支えないというお話でしたが、その差支えないとおつじやるのは、この條文にありますような、乃至はその政令で規定せんとするような効果を、差当つては現行の法規でその効果を挙げ得るということでございまするのか。それとも今のところそうは行かないが、十分な政令等が用意されるまでは、当分止むを得ない。当分目をつぶつで行くというつもりなのか。その点もう一遍伺いたいと思います。
  204. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは、私が大して差支えないというふうに考えておると申上げましたのは、この輸出輸入関係が時期が違つておるというようなことと、まだ期間がございますので、できるだけ早急にそれの準備を整えて行くというような意味差支えがないと思つております。
  205. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 重ねて恐縮ですが、木内さんからもう少し具体的にお話を願いたいと思うのです。
  206. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 私今朝申上げましたことが却つて誤解の種になつたかと思つて恐縮しております。輸出を十二月一日からこの法令に乗せて行くということには、四章、五章を施行しなくても差支えないのであります。そのわけは輸出貿易、今まで例えば契約にすでに許可が入用であつたというようなものを止めて、ただ遵守して貰いたいものは、何かというと、代金を全部回収する。資本投資をしないということその他若干ありますが、はつきり極く僅かな條件だけを課して行きたいと、こういうことになります。そうすると四章、五章関係で、輸出に関して必要なことは何かと申しますと、向うへ物が行つて金になつた。その金になつたものが政府の手許に集中されるということだけであります。その間においては現在ポツダム政令三百五十三というものがありまして、それが集中せよということを謳つております。それを殺さないということによつて法制的に差支えないのであります。ですからこれに乗せてやることは、その輸出の代り金を全部集中したいという目的に関する限り、何ら差支えないのであります。その点御安心を頂いてよろしいと思います。私が四章、五章なかんずく五章に関して将来もつと研究の上で規定して行きたいと考えましたのは、五章は御承知のように網を細かく張る規定であります。その網の張り方は輸出品の代り金が入るということ以上に亘つております。その点は何も必ずしも急がなくても当面の輸出品の代り金さえ入手できればいいのであります。これは後に延しても差支えない、こう申したわけであります。長官の御答弁と別に違わないと思います。
  207. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第二十四條、第二十五條、集中の勅令の問題なんですが、特に第二十五條、これはあれですか、本法による外人が例えばドルで受けた俸給といつたようなものに関するものですか。
  208. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) その考えの点も一つありますが、例えば日本にバイヤーが参りまして、そのバイヤーが外国で貴金属を持つてつた、そういうものが二十二條の規定によりまして、集中し得るような状態になるわけであります。外国人が日本へ入つて参りまして、日本国内で取得したようなものにつきましては、二十二條に集中の規定の適用ができ得るようにするのは当然でありまして、自分の国に置いて来たものまで引掛かつてしまうというのは不適当でございますので、二十五條で除いたわけでございます。二十四條は、これは二十一條二十二條で只今御説明いたしましたように、外貨資金は集中いたして参りますが、外国為替銀行、両替商等に対しましては、或る程度オペレーシヨンの下におきまして金の程度は残して置かなければなりませんので、そういうふうな場合にどの程度の金を残して置くか、どの程度集中するかというようなことを規定いたしましたために二十四條を置いたわけでございます。
  209. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 二十四條の問題ですが、これは政令で決めるのですが、「政令においては、」とあるから……これは決まつておりますか、まだこのオペレーシヨン用の外貨をどの程度留保させるかという問題ですか。
  210. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 只今御説明申上げましたように、この第二十四條の規定はまだ確答いたしませんので、政令はまだ決めてございません。
  211. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) どんなふうな方針ですか、方針は……
  212. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 先程木内さんからお話がございましたように、政令三百五十三号というポツダム勅令が出ております。それに従いまして外国為替銀行とか以外のものは、外貨を皆外国為替銀行に出さなければならん。それから現在の実情におきましては殆んど全面集中でございまして、手許に残つておるものはないわけでございます。それをどの程度にいたしますかは、これから研究を要する問題でございます。
  213. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第四章よろしうございますか。
  214. 和田博雄

    和田博雄君 これは第四章で集中した外貨ですね。外貨外国為替銀行にやはり預ける場合がありますか。
  215. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) あると存じます。
  216. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは第五章に入ります。制限及び禁止、これは相当長くあるのですが、第一節支拂いの項、如何ですか。
  217. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 未為替輸出という問題は何で取締りになつておりますか。
  218. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 貿易の方の章の四十八條で承認をすることになつております。
  219. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第二節債権、第三節証券、その辺よろしうございますか。
  220. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 二十八條の終りの方に「居住者が、外国においてこれらの行為をする場合も、同様とする。」二十九條若しも居住者が外国においてこれらの行為をする場合も同様だというのですが、これはどういう場合のことですか、ちよつと御説明願いたい。外国における行為を日本において取締るというのは……
  221. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) これはちよつとむずかしい法律でございまして、二十七條で要するに外国へ向けて支拂いをいたします。これとか、そういう点を中心にして取締つておるのでありますが、二十八條、二十九條は現実にそれと同じように委託支拂とかいうふうなことで、現実に外国へ金が出たりするのと同じような行為のあることを取締る、こういう今お示しの二十八條の「居住者が、外国においてこれらの行為をする場合も、同様とする。」というのは例を取つて申上げますと、例えば日本で家を買つて、そうして外国行つたときに外国で支拂うというようなものがいけないと、まあこういう例がいいかどうか知りませんが、二人の人が外国に出張を命じられて、日本で家の売買をして旅費の中から外貨で支拂うというふうな、居住者が外国でこういうふうな行為をすることを取締るという考えであります。為替管理の非常に厳重な一つの例であります。
  222. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外にありませんか。三節証券、四節不動産、五節その他、第五章関係で……
  223. 和田博雄

    和田博雄君 これは字句ですが、労務の場合も何かありますか。取締つてないですか。
  224. 谷林正敏

    政府委員(谷林正敏君) 第五節の第四十二條で「支拂、決済その他の取引を伴う役務」と申しまして、サービス全体を含んで契約することをこう申したのであります。
  225. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第六章外国貿易に入ります。
  226. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第四十八條、未為替輸出の場合なんですが、この特定の取引若しくは支拂の方法により輸送をするものは、大臣の承認を受ければいいわけなんですか。例えば米為替輸出をやろうという場合に、大臣の承認を受ければいいという意味なんですか。
  227. 林修三

    政府委員(林修三君) さようでございます。
  228. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そういつた場合に、そういう未為替輸出の承認を与えられることが予想されるのですか。
  229. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 現在のところ余りございませんが、今後販売政策上海外に委託販売に出します場合は、一応出すときには未為替輸出を出しまして、あとで代金を回收するという場合が想像されます。その他若干投資的な輸出も今後考えられるのじやないかと思いまして、或いは海外における鉱山の開発のために開発機械を一応未為替で出しまして、その代りに向うで堀つた鉱石等を未為替で貰うとか、大体そういうふうな場合を予想しております。
  230. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) もう一つ特定の種類の貨物という中に、今の資本財も一つありましようが、例えば戰畧物資といつたようなものもこれに含んでおるわけでありますか。
  231. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 含んでおります。
  232. 和田博雄

    和田博雄君 特定の種類の貨物の中に、戰畧物資を含んでおるという答弁でありますが、これは許可制度になつておるのですか。日本としては戰争を抛棄して戰畧物資がどうこうということは一つ関係ないのだが、戰畧物資だから出すことを許可するとかせんとかいうことを予定して戰畧物資を入れておるのでありますか。
  233. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 戰畧物資という表現が或いは悪いかも知れませんが、現在の日本の置かれておる立場から見まして連合軍の政策によつて或る程度輸出物資について加減をしなければいかん場合が存在するわけであります。そういう場合に戰畧物資をとります、表現が惡いかも知れませんが、要するに進駐軍の意向によりまして、輸出した或る一部分を抑えなければならんというふうなことも特定物資の中に予定いたしておるわけであります。
  234. 和田博雄

    和田博雄君 そうするとマーシヤルプランで援助国の課せられている義務のようなものを日本もこの場合……貿易の自主性も、そういう制約はあるのだという意味ですか。これは大臣から御答弁つたらいいと思います。
  235. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 大体そんなふうに解釈していいと思います。
  236. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 次に移りましてよろしゆうございますか。
  237. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第四十九條に関しまして輸出の承認を受ける場合に、又五十二條の輸入承認を受ける場合にですね。承認を外国為替銀行だけがやるということになつておると思いますが。そういたしますと現在地方にある小さな貿易業者なんというものは、この外国為替銀行の本店、又は支店のあるところまで出て行つて承認を受けなければならないということで、非常に不便を感ずることになるのではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  238. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 五十二條の輸入の承認につきましては、只今御指摘の通り為替銀行の承認ということになると思いますが、もともと貿易であります以上、輸入いたします場合は信用状を渡したり、或いは向うに送金いたしまいす場合、結局為替銀行まで行かなければ用が達せんわけでありますので、それは止むを得ざる事柄と思つております。
  239. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 輸出の場合に関しましてですね、余り金額が大きくない輸出をする場合に、現在何か制限を設けて、五百ドルでしたかね、何か地方に承認を移譲しておるようなものがあるのじやないか。ああいう形のものを中心としては考えていないのですか。
  240. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 輸出の場合におきましては五千円未満のものであります。
  241. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 五百ドルではありませんか。
  242. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 五百ドル未満のこれは無償見本の場合、除外例を設けておりますが、輸入の場合におきましては、その幅を狭めておるわけであります。
  243. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そういう運用上の問題ですが、これは地方の業者からよく聞くのですけれども、この法律でやられると、現在のような小さい貿易業者は参つてしまうということを頻りにいうのですが、その手続上の問題らしいのですね。そういう点は政府の方でお考えになつておりますか。何か救済策を講ずるといつたようなことを……
  244. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 私からちよつと申上げます。現在はいちいち輸出の許可を得るために官庁に行かなければならんのでありますが、その官庁に行く手間を省いて差上げて、銀行に行つて自分はそくばくの手続と、條件に適つた輸出というものを示せばいいということで、輸出する業者にとつて手続は非常に簡單になるわけでありますが、尚、不十分の点はあるかも知れませんが、御心配の点はよくなると思います。
  245. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 全国ずつと外国為替銀行は地方にあればいいのですけれども、それがないから却つて面倒になりはせんかとこういうわけであります。
  246. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) その点はさつき答弁がありましたように、為替銀行にはいずれ行かなくてはならないのであります。一度行けばいいので、そう面倒なことはないと考えております。
  247. 和田博雄

    和田博雄君 四十七條から。これは輸出目的に合する限りは、輸出為替銀行が許可するという義務があるわけでありますか。
  248. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 外国為替銀行は輸出の場合はただ認証するだけであります。所定の手続を踏み、特定の指示された、限定した品物でないということを確めればいいわけであります。輸入の場合はローガン構想でありますが、すでに為替割当を受けておるか、或いは政府の予定した、AならAの予定した商人、その百万ドルなら百万ドルを使い切つていないうちに、その人が為替銀行に駈けつけた場合には、為替銀行はそれを拒むことはない筈であります。要するに為替銀行を経なければならん。商売上の義務を考えるから、業者が嫌だというものを、無理にやれということはないわけでありましよう。その点銀行が承知なら、銀行は認証を拒むことはない筈であります。
  249. 和田博雄

    和田博雄君 それからこの前五十條が非常に問題になつたのですが、これはダンピングの判定の基準というか、あのときの御説明では非常に不十分だつたように思いますが、もう一遍その点をはつきり教えて頂きたいと思います。
  250. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) これは今まで問題になつたところでございますが、不正競争ということの禁止は、これは日本で幾ら見ても一方的のもので、相手方の方でこれに反するというように言われたら仕方がないじやないか。こういうことであると思いますが、それは御尤ものことでございまして、これはこちらから輸出する場合に、できるだけそういうことのないように、十分先方のバイヤーなり、又先方の規定等にも意を用いまして、それを十分調査いたしまして、そうしてこれは不正輸出にはならないというようなことも大体考えて、これを輸出するものについて注意を与えるというような考えでこれはできておると思いますので、そういう意味で不正競争が禁止できるというような考え方もできて来ておると考えます。
  251. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 五十五條の保証金、証券ですか、貨物などを沒收される場合ですが、この規定によると、第二項ですね。「貨物の輸入の承認を受けた者が当該貨物を輸入しなかつたときは、政令で定めるところにより、前項の保証金、証券その他の担保物を国庫に帰属させることができる」これは輸入できる状態にあるのに、故意に輸入しなかつたという意味だと私は思うのだが、そういう場合には沒收されても仕方がないと思うけれども、例えば相手方の事由によるとか、或いは途中で難破したというような、いろいろの理由が、輸入し得ない事情が起るには、いろいろの原因があると思うが、沒收するのは故意に輸入しなかつた場合に限るのですか。
  252. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) さようでございます。正当な理由がありました場合には、沒收しないというように整備案に規定されております。
  253. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) それから五十四條を一般的に大蔵大臣に伺つたのですが、通産大臣が税関長を指揮監督をして出かけて行くという権限を持つわけですが、ここに規定しておるところではちよつと後段に「輸出又は輸入に關し」とあるので、相当広い範囲に亘るのではないかと思いますが、政令ではどんなふうに決まつておりますか。税関長を通産大臣が指揮する範囲を一つ
  254. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 政令におきまして、一部軽微なる処理につきましては、税関長に権限を委任する場合が予想されるのでありますが、そういう場合に指揮監督をするとこういう意味でございます。
  255. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうすると通産大臣がこの第二項による権限を税関庁に委任することができる、委任できる権限に関してのみ指揮監督すると、こういうことですか。もう一つ言葉を換えていうと指揮監督というけれども、実はそれは全部委任するんだとこういうことですか。
  256. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 只今申上げましたが、ちよつと間違つてつたのですが、その委任をいたしました場合のみならず、政令におきまして、この銀行の認証を輸出業者が得ておるかどうかということにつきまして、書類の確認義務を課することになつておるのであります。従いましてその場合におきまして、税関庁を指揮監督するとこういう意味でございます。
  257. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) その場合確認するのは税関庁が確認するわけなんですね。
  258. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) さようでございます。
  259. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうしますと、それを又通産大臣が出て来てそれをなぜ指揮監督しなければならないか、大蔵大臣がやればよいのではないでしようか、その問題は。
  260. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) これはやはり只今の問題では、官庁の事務系統の関係から申しまして、貨物の輸出入については、通商産業省の所管でございますので、大蔵大臣は税関庁の身分の監督権及び関税法上の事態については指揮監督いたしますけれども、貨物の輸出入に関しましては、やはり税関庁を指揮監督するのは通産大臣、これは先程大蔵大臣も申上げましたが、税関庁というのは通産省で、一総合官庁でございまして、いろいろの仕事を、旅客貨物の支拂いということについての一種の日本外国との窓口の役所でございますので、各省に関係いたしております。従つて身分上の監督は勿論大蔵大臣でございますけれども、仕事の面におきましてはやはり従来からも、過去においてもそうでございますが、現在においても、各所管大臣がそれぞれ通牒なり或いは個別的の指揮をするこういうのでございます。
  261. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 一つ安本長官に聞いて置きたいが、日本の税関の機構が実に複雑怪奇を極めておるのです。日本の税関のあれだけを見ましても、戰前と戰後を較べまして、戰前はもつと簡單であつたが、戰後になつて非常に複雑になつて来た。それは戰争中いろいろ軍需省なんかができて、それが税関業務に入つて来たために、而もそれが今も残つて清算されていない。そのために戰前に較べて非常に複雑になつている。外国の例に較べれば問題にならない。相当複雑になつておるという実情がある。こういう行政機構の簡素化は民自党の一番喧しく言つておられることであるが、そういう問題について税関の機構の簡素化ということを考えておるのでありますか。
  262. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 只今御質問のような問題も、一応我々も検討いたしたように記憶いたしております。御承知のように関税関係は従来大蔵省がやつてつた。併しながら又これは港等のことに関連して考えれば、運輸省の関係もあり、又国際対外的な関係でいろいろ外務省関係というような問題もございますし、只今御質問のような、この貨物の輸出入については通産大臣云々というようなこともございますので、尚我々としてはこの点も更に将来検討いたしたいと思つております。相当重要な問題だと存じますので、尚一層今後とも考えて行きたいと存じます。
  263. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第六章よろしゆうございますか。
  264. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 この五十二條の輸入の承認の問題で、この貨物輸入に関する政令案、通商大臣の特別承認を受けなければならんというものの中の六の第三項に、外国為替管理委員会規則で定める通常の決済方法によらないで、貨物を輸入しようとするとき、これは具体的にどういうことを指しておりますか。
  265. 松尾泰一郎

    ○説明員(松尾泰一郎君) 無為替輸入を指しております。大体……
  266. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第七章に入ります。不服の申立及び訴訟。それと八章雑則。
  267. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 第六十八條ですが、これを一つ説明をして貰いたいのは、主務の行政機関が立入検査する場合、主務行政機関は当該職員をして外国為替銀行又は両替商の営業所又は事務所に営業時間中立入つて帳簿書類その他を検査するという権限を持つているわけなんだが、当該職員というのは何を指しているのか……
  268. 林修三

    政府委員(林修三君) 当該職員という言葉の使い方は従来法令上使つておりますが、主務の政府機関が、主として大臣でございますが、大臣から委任を受けた職員という考え方で、従来権限を持つ職員として見て、当該職員ということを法令上ずつと使い慣れております。
  269. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) 具体的に誰が当るのですか。
  270. 林修三

    政府委員(林修三君) これは為替銀行に対しては恐らく大蔵大臣及び外国為替管理委員会、又は通産大臣がこれに関係して来ると思うのでありますが、通産大臣或いは大蔵大臣或いは外国為替委員会でそれぞれこの立入検査の権限をそこの所属の職員に対して委任されることと思うのであります。
  271. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) それが問題なんですね。入代りたち代り方々の方から、これは非常に沢山あるのですからね。たち代り入代りやりに来たのでは困る。誰が主になつてやるのか、これを決めなければいけないと思うのですがね。
  272. 林修三

    政府委員(林修三君) これはこの法の運用の問題であると思うのでありますが、立入検査の権限は行政取締法規には大体いずれも入つているのでありますが、この條文の規定によつて立入検査をするということは、実際には滅多にないことではないかと思うのであります。大体報告義務を課しておりますし、必要があれば一定の報告を取り、それを調べまして尚何か必要があるという場合に、最後の手段として物件の検査、又関係のある人に質問させるということで、これは実際上にこの條文によつて検査が行われることは極めて稀なことじやないかと実は考えておるのであります。
  273. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) そうでもないのですよ。この頃は税関係の問題にしても無茶苦茶にやつて来るのです。そこで為替の問題は相当これからいろいろ複雑な問題が提起されると思うのですよ。そういう場合に今度は通産大臣のあれを持つて来る、今度は為替管理委員会が出て来る、次に又大蔵省から出て来る、入代りたち代り来るのは迷惑だと思う。そこで運用上どつかに決めて置いた方がよいのじやないか。主として大蔵省の者が行けばよいのじやないか。
  274. 林修三

    政府委員(林修三君) 大体においてはおつしやる通りの結果になるのではないかと思います。
  275. 波多野鼎

    委員外議員(波多野鼎君) どういう結果……
  276. 林修三

    政府委員(林修三君) 大蔵大臣の方の職員が主として銀行に対する……為替管理委員会も多少関係がございますけれども、併し大蔵大臣の方が主ではないかと思います。
  277. 和田博雄

    和田博雄君 今の点はすでに政府部内で決まつているのではないですか。この法律を決めるときに大体決まつているのではないか……
  278. 林修三

    政府委員(林修三君) 勿論各々権限がございますので、決まつているわけでございますが、法令で大蔵主務機関である大蔵大臣外国為替委員会、或いは通産大臣かということになるわけでございますが、御承知通り大蔵大臣為替銀行に対する認可権を持つております。一般的な監督官庁であります。外国為替委員会は、外国為替管理委員会設置法にもございますが、為替の集中問題に関しまして、或いは為替資金の運用問題に関しまして、やはり外国為替銀行に対する監督権を持つております。通産大臣は、やはりこの貿易関係政令におきまして銀行に認証させましたり、或いは輸入の承認というような事務もある。そういう関係関係はあるわけです。一番の関係と申せば、本筋の関係大蔵大臣であろうと思います。
  279. 和田博雄

    和田博雄君 決まつているというのは、三つに決まつているのであつて、一本ではないという、こういうわけですね。
  280. 林修三

    政府委員(林修三君) さようでございます。
  281. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 第八章はよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 九章罰則、(「原案異議なし」と呼ぶ者あり)特に問題がなければ九章及び終いの附則まで引つくるめて……
  283. 和田博雄

    和田博雄君 事務の人に聞きたいのですが、罰則関係というのはこういう法律で、ここに書いてある罰則は外の法律の罰則との釣合いは、これでいいのですか、いろいろな罰金とか体刑があるのですが。
  284. 林修三

    政府委員(林修三君) 罰則関係は大体法務庁の検務局で統一しておりますから、経済関係の罰則につきましては、これは財政経済関係の罰則は大体釣り合つていると存じます。
  285. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 附則関係も、御質問ありませんか。それでは一応この條文についての逐條審議を了したわけです。初め申上げました通り、まだ一般的の問題につきまして、今どなたでも御質問ありましようか。
  286. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 別にありません。
  287. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 一般的にも條文的にも質疑終了したと見て差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質疑終了したと認めます。  ここでちよつと御相談申上げますが、皆さん直ぐに討論に入つて行きますか、どういたしましようか。
  289. 和田博雄

    和田博雄君 少し休んで貰いたいと思います。
  290. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと五、六分休憩いたします。    午後四時三分休憩    ―――――・―――――    午後四時二十七分開会
  291. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは休憩前に引続きまして委員会を再開したします。  質疑は終了いたしましたから、これから討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして御意見の御発表を願います。
  292. 和田博雄

    和田博雄君 私は日本社会党を代表して反対したいと思います。我々の立場は、このローガン構想を盛られた今度の法案の中には、一面非常によい思想も含められておると私は思います。従つて、若しも、もつと審議時間が与えられますならば、私はこの法案に対して、各種の点について修正を提出いたしまして、そうしてこの法案をもつと完全なものにして、そうして賛成をしたいと思うのでありまするが、先般来からの審議の過程において、各種の点に亘つてお伺いしたのでありますが、一面非常に審議をせかれまして、今日中に実は上げてしまわなければならんといつたような、極めて切迫した事情の下にこの審理をせかれておりまするので、我々としましては、この法案につきまして次の諸理由によつて反対いたしたいと、こう考えます。  第一点は審議中において明らかにせられましたように、この法案日本国際経済参加いたし、そうして日本経済活動を行うについて、私共の考えからするならば、外国貿易面という一つの点を大きくクローズ・アツプして、それを一つの枢軸として日本経済復興計画的に図つて行こう。こういうようにしておる法案だと思うのであります。ところがこれをやるにつきましては、外国為替予算を組むに当つては、明らかにその背後に国内経済復興についての基本的な構想をやはり必要とし、具体的な案を必要とすると思うのであります。そうしてその裏付けがあつて、それとの不可分な関係において初めて外国為替予算が組まれ、そうして実際に経済復興に、最も有効なる方法においてこれが運営されて、日本経済復興が達成される。かように考えるのであります。然るにいろいろ質問をしましても、その日本経済復興に関する計画というものはお持ちになつていない。計画性を、大きな具体的な復興計画を放棄された政府としては当然なこととおもうのでありまするが、私はそういうことであつては折角日本国際経済参加し、自主的な一つ立場に立つて、そうして経済復興を図つて行こうとする上から言いましては、甚だその目的を達しないような結果になろうと思うのであります。そういう意味におきまして、第一といたしましては右のような意味におきまして、私はこの法案を反対したい。  第二点は、審議の過程において明らかになりましたように、この法律というものは、結局運営ということが非常に重要なものになつて来ておるのであります。やはり制度を布きましても、それを運営するのは一つの機構であり、人であります。その関係に欠けるところがありまするならば、折角一つ法律を作つて、制度をここに拵えて見ても、実際は円滑に運営されずに、やはり昔のままの悪弊が残つて行つて、制度としての目的を達成することはできない。こう考えるのであります。そういう点から考えてこの法案を見ますると、この法案に当る各関係の官庁間における調和、統制というものがどうも欠けておるところがあるように感ぜられるのであります。閣僚審議会という一つ法案を運営して行き、この制度を運営して行く中心となる一つの機構においてさへ、この本当の責任のある人が未だに決まらずにおるといつたような状況、或いは審議の過程において明らかになりましたように、各末端におけるこの運営面においても、そこに何ら行政的な面において簡素化されることなく、昔のままのものがそのまま残つておるといつた事柄、こういうようなことを考えて見まするというと、私は日本輸出が自由になり、輸入は或る制約の下に、自由になるといつて見ても、やはり制度の運営という点において欠点がある以上、そこに非常な将来阻害される点があろうことを慮れるのであります。  それから第三点は、この制度を運営して行く中心である閣僚審議会に関してでありますが、閣僚審議会閣僚だけを以てこれは構成されているのでありますが、少くとも日本貿易が自由になり、そして輸入が自由になるという以上は、民間の側における貿易に関する意向がこの運営に当つて何らかの形でそこに反映されて行くということが、私はこれは絶体必要であろうと思うのであります。その点について各種の観点から政府に質しましたところ、極めてその点が欠けておるし、これは全体の機構として私は欠けておると思う。政府として何らそこに具体的な案を持つておらない。このところは非常な欠点だろうと思う。そして私は閣僚審議会というものの中に、為替諮問機関として、諮問委員として外国為替管理委員長が入ることになつておりまするが、むしろ外国為替管理委員長ではなく、その外に各産業或いは労働者といつたような人たちの意思が反映されるような機構を再編成すべきではないかということを感ずるのであります。  もう一点はこの輸出入の貿易、殊に輸入に関しまして、その裏付けとなる金融面の具体的な政策が何ら立てられていないということであります。  私は非常に多くのものが輸入されて来るときには、どうしてもそこに金融面の、政府としての施策が要ると思うのであります。殊に中小企業日本産業の大部分であるような経済構造を持つている国としましては、今までのように政策が丁度ずつと樋を通つて結局下へ行くからいいじやないかと、こういうような考え方ではなしに、やはり対象をはつきりして、この制度によつて影響を最も受ける、そういう人たちに対しては、この制度の本当の意味での利益が均霑できるような施策をやはり講じて置くべきであろうということを考えるのであります。その点におきまして可なりこの法案は欠けている点があると私は思うのであります。  もう一点は例えば五十五條に現われておりまするように、輸入に関する保証金の点でありますが、これは輸入をしようとするものは、或る一定限度の保証金を取られるということであるがその限度が極めて、五〇%といつたように、私はその限度が日本のような国に取つては余り適当ではないということを感ずるのであります。この点は西独においてやりましたときも非常に問題になつた論点だと承知しているのでありますが、このように中小企業が、日本産業の大体生産高からいつても六〇%、雇用人員からいつても六〇何%企業者の数からいえばこれは九〇何%といつたような、そういう産業構造を持つている日本としまして、やはり私はそういつた中小企業がこの法律によつて余りに打撃を受けるということは、これはできるだけ避くべきだろうと思うのであります。どうしてもすべてを表面には自由にすると言いながら、そこに一つのことを行なうというのに或る制限を立てるということになつて来ると、どうしても負担は大きなものに軽くて、小さなものに重いということに、資本主義の社会においてはなり勝ちであり、それが日本の資本主義を一に合理化させずに非常にいびつに発達させた点であろうと思うのであります。そういう意味におきまして中小企業に関する問題は金融面のみならず、法案自体においてもう少し考慮すべき点があるというのが反対の一つの理由であります。  以上のようにもつと細かく言いますならば、本法案につきまして修正を要すべき点は多々あると思うのであります。併しそれらの修正をしてこの法律を公布するには、どうもあまりに時間が私はないことを遺憾に存ずるのであります。それ故にこそこの法案を十二月一日から実際施行しなければならんかどうかということをしつこく問い質したのでありますが、一応政府としての答弁がありましたが、なかなか納得の行かない点もあるのであります。さような理由によりまして本来なら修正し、もつと完全なものにして、本当に国民が非常に待望しておつた貿易の自由性、或いは自主性、殊に自主性の点につきましては、この法案においては日本が今置かれておりまする地位から、必ずしも全面的な自主性というものが維持されるとは考えられない点が二三あるわけでありますが、併しとに角一応日本貿易というものが、こういつた意味において自主性を回復し、自由性を或る程度回復するという点は、これは我々としても素直に受取つておることであります。併し本当の意味でそれがこの法案の制度が運営されますためには私が以上五つに亘つて指摘しましたような、そこに非常に根本的に欠陥があると考えるわけでありまして、私は残念ながら日本社会党といたしましては、この法案に以上申述べました理由によりまして反対をいたす次第であります。
  293. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 私は緑風会の大多数の方の意向を反映いたしまして本法案に賛成の意を表するものであります。申上げるまでもなくドツヂ・プリンシプルの究極の目標といたしますところは、貿易の伸張によつて自力経済の一日も早く確立するというところに重点があるわけでありますが、その後の国際事情等から今春為替レートを決定いたしましたが、御承知のようにアメリカの一般的景気の後退、或いは国際的なドル資金の不足乃至はその影響を受けての最近におけるポンドの切下げといつたような、種々の外国的の惡條件の急激な累加によりまして、国内的には一応インフレは終熄の段階に入りましたけれども、逆にデフレの傾向になる一種の経済恐慌的な様想を呈するというような状況、並びに国内産業合理化といつた問題も、御承知通り進行しないために、最も国民経済力の集中すべき貿易が内外共に甚だ困難な事態に直面して、日本経済の重大な危機と申しますか、転換期に直面して参つたのであります。こうした情勢におきまして、フリール・ミツシヨン或いはローガン構想等によりまして、我々が終戰以来今日まで非常に渇望しておりました、いわゆる自主的貿易の確立、輸入においては原則として自由、輸出におきましてもイロア、ガリオア・フアンドの関係の物資はとに角といたしまして大体民間貿易に移行して行くという、非常な今日までの高度の管理貿易に制約されました、この日本貿易が少なくとも全面的ではありませんけれども、自主的態勢に一歩大きく前進し、国際貿易参加態勢に立ち向つたということは、これは国民経済の上からいつても誠に喜ばしき情勢であります。本法案にこういつた情勢を受けて、日本貿易乃至為替管理方式を国際慣行に準拠いたしまして、とに角日本為替管理制度というものを、中外に表明しなければならんという段階に来たわけであります。ただ只今の和田委員の仰せになりましたごとく、この法案内容につきましては、非常に急速にこれが成案されたというような事情から、幾多改善を要する問題がある。又当然今後内外の貿易事情等の変化に伴いまして、これは制限を緩和し、若しくは廃止して行くということは、この第二條にも明らかに謳つてあるようなわけでありまして、幾多の欠陷は私はないとは申しません。併しこの法案の長所といたしましては、第一に先ず得意主義を採つておりまして、我々が心配しておりました外人、外商の経済的な治外法権というようなものを全部排除しまして、そうして日本の自主的な貿易の振興と同時に憂慮せられておりました経済的な束縛も排除して行こう、こういう大きな狙いが第一点として私の特に賛成する理由であります。更に又先程申しましたように、輸出は大体において原則として自由輸入につきましても、援助物資等を除いては大体民間貿易に移向して行くということは、これは現在の情勢下におきましては、許す限りの大躍進だと私は思うのであります。いろいろな長所もございまするが、ただ私はここで希望として申上げたいことは、只今和田委員からも御指摘になりましたが、この法律案は結局今後の運営に重点があるのであるのでございまして、なかんずく閣僚審議会における為替予算の編成というようなことは、これは考えようによりましては、日本国民経済産業構造にも重大な影響を持つ事柄でございまして、ローガン構想によりますれば、輸入先行主義、これによつて一層大いに輸入を増進するということでありますけれども、何と申しましても先程申しましたように日本産業の合理化は、まだ必しずも高能率水準まで至つていませんし、況や設備技術等におきましても、欧米のやつておることは、十年も数十年も立遅れというような極めて脆弱な経済の基盤の上に立つておりますので、この辺のことを閣僚審議会におきまして為替予算を編成され、輸入計画を立てられるにつきましても、余程国内産業との影響ということを考えて頂かなければならんと思うのであります。  更に又本法は非常に政令に委任されたところが誠に多いのでありまして、考えようによりましては、これは非常に法の彈力性乃至は機動性もあるということも気付きますけれども、又一面におきましては先般の民間側の各証人も憂慮しておりましたように、運用を誤まりますれば、これが旧態依然たる各省のセクシヨナリズムに煩わされるとか、法文では手続等が極めて簡素化されることになつておりますけれども、運用面においては必らずしもそういう結果にならん、寧ろ煩瑣になつて、却て民間の自主的な活動乃至は創意工夫を拘束するというような憂いなきに非すであります。従いまして特に和田委員も御指摘になつておりましたけれども、私は本法を運用されるに当りましては、大臣諸公はもとより事務官僚諸君におかれましても、機構、制度等の切換は無論のこと、先ず第一に根本的に貿易の自主態勢に対する頭の切換をして、無用煩瑣なことによつて民間の創意工夫なり、積極的の活動を制約することのないように特に留意を願いたい、同時に先程も触れましたが、何と申しましてもまだ例えば海外交通の日本船の就航とか、商務官、或いは各商社の海外派遣の問題にいたしましても、だんだんと改善の見通しはありますけれども、又CIF、或いはFOBの問題にいたしましても、見通しがありましても、これが具体的な緒につくには相当幾多の困難と時日を予想されます。のみならず一面におきましては、日本産業基盤というものは、先程申したように非常に脆弱でございますので、これらの外飾的な條件を有利に確保する半面におきましては、やはり国内産業の合理化を徹底する。それれは単なる首切りというような程度のものでなくて、設備資金乃至は技術の導入等によつて、本当に可能な産業企業体の確立と産業基盤の造成ということについて、もつともつと政府が特段の努力をして頂きたい。更に又貿易金融等におきましても、何と申しましても今申しましたような不利な條件に加えて、外国商社等は豊富な、而も低利な金融力を以て対処するわけでありますので、日本の現在のごとき企業体、若しくは貿易商社等の誠に微弱な力を以てしますれば、圧倒されるという虞れが多分にあるのであります。こういう点につきましても、今後政府としましては、本法案の施行と合せて、これらの万般のつまり背景的な経済態勢を整えるに特段の努力を要すると思うのであります。それらの点につきまして、まだ沢山希望意見がありますけれども、冒頭申しましたように、これは我が国の経済自立の一つの大躍進を期すべき最も好ましき法案と存じまするので、賛成の意を表する次第であります。
  294. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外に御発言ございませんか。
  295. 安達良助

    ○安達良助君 民主党は只今藤井議員からの希望と同感でありますので、賛成討論は省畧いたしまして、政府原案に賛成をいたすものでございます。
  296. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 民主自由党は本法案に賛成するものであります。いろいろ審議の間に大抵は盡くされておりますがこの法案の立法の経過から見まして、多少どうかと思う点もありまするが、今迄殆んど完全な占領軍の支配下にあつた為替管理及び貿易管理を、我々国民政府の自主的な手にゆだねて貰うという、頗る朗らかな点におきまして、我々はこの法案の一日も早く実施されんことを希望し、且つこの法案の趣旨にあります第二條における劃期的な法律の精神としては面白いものでもありますので、これを例えて見ますればローソクのようなものでありまして、ローソク法というようなものでありまして、形だけは整つておりまして、直ぐ火をともして行くうちに段々なくなつてしまうことを趣旨とする法律でありまして、かような意味合いで、政府におきましても、亦その衝に当る官僚の面におきましても、そういつた完全な意味の杓子定規、重箱の隅をほじくるような運用をされては、この法律の精神が泣くんでありまして、ローソクのごとく、ともつてしまうと無くなるのがこの法律の精神であろうと思うのでありまして、どうぞその点をよろしく運用の要綱として頂きたいと思います。尚法の運用上公平を期するのは当然の話でありまするが、輸出産業並びに関係貿易商社、外国為替銀行、内外公平に扱うということは当然な話でありまするが、前の論者からもお話があつたように、本当に戦争の痛手でよたよたになつておる我が国の関係産業関係貿易業者を本当の意味の公平に扱うということは、実は不公平な扱いになるのでありまして、どうぞ日本政府らしくこの点を公平な扱いをして下さることを希望いたして、簡單でありますが賛成の意見とします。
  297. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 他に御発言ありませんか。御発言がないようですが、討論終局したものと認めて差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは討論終局したものと認めます。  それではこれから採決に入ります。外国為替及び外国貿易管理法案について採決いたします。本法案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  299. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、それから委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御了承願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御異議ないと認めます。  それからもう一つ委員長が議院に報告する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とされた方の順次御署名をお願いいたしたいと思います。    多数意見者署名      西川 昌夫  川村 松助      帆足  計  安達 良助      奥 むめお  横尾  龍      藤井 丙午
  301. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 尚引続きまして、外国為替管理委員会設置法案議題に供することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは引続きまして同設置法案議題といたします。  同法案予備審査中及び連合委員会におきましても大体質疑が行なわれたわけでありますが、先ず質問がありましたならば御発言を願いたいと思います。
  303. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 只今委員長のお話のごとく、この基本法と申しますか、外国為替及び外国貿易管理法案のときに、重要な点はもう質疑が終局しておりますから、この際質疑は省畧して、直ちに討論、採決に入つて頂いてはどうかと思います。
  304. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の藤井委員の御意見によりますと、質疑はもう止めたらどうかというお話ですが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは各條文についての質疑も以上で省畧したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  306. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれで同法案質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質疑は終了したものと認めます。  続きまして討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして御発表を願います。特に御発言ございませんか。
  308. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 この外国為替管理委員会は、基本法にも謳つてありますように、外国為替を売買するとか、相場を決めるとか、或いは又正当な外国為替取扱いにおける外国為替の売相場及び買相場及び手数料を決めるとか、こういつた外国為替の運用について、非常な重要な役割を持つ機関でございまするので、幸い錬達堪能な木内氏等も控えておりまして、人的構成についても万遺憾はないと思いますけれども、今申上げたような重要機関でありまするので、この委員の人選につきましては、最も適切なる人材を結集せられると同時に、運用に当りましては、先程もちよつと触れましたが、極めてビジネスライクに一つ運用して頂くように希望いたしますが、基本法と同様私は設置法案に賛成するものであります。
  309. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 他に御発言ありませんか。
  310. 和田博雄

    和田博雄君 私は基本法と同じ立場で反対をいたします。
  311. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 特に御発言なければ、討論終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 討論終局したものと認めます。  それでは続いて採決に入ります。外国為替管理委員会設置法案について採決いたします。同法案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  313. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告につきましては、先の法案と同様に一つ委員長にお任せ願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 更に議院に提出する委員長報告書に多数意見者の署名を附することになつておりまするから、御賛成の方は順次御署名をお願いいたしたいと思います。    多数意見者署名      西川 昌夫  川村 松助      帆足  計  安達 良助      奥 むめお  横尾  龍      藤井 丙午
  315. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) これで両法案審議は全部終了いたしましたが、最後にちよつと発言さして頂きます。管理法案及び設置法案は極めて重要な法案であるわけでありますが、それが満足し得べき十分な審議期間を持ち得ないような状態の下に提案されたのでありますけれども、それにも拘わらず各委員の非常な努力によりまして、連合委員会を開いて相当審議も行い、又單独委員会になつてからも、管理法関係におきましては逐條審議をも行いまして、まあ十分とは言えないかも知れませんけれども、最善の審議をすることができたと思います。この点委員長といたしまして委員各位に対しまして深く感謝いたします。  尚この際政府に対しまして注意的に希望して置きたいと思いますが、質疑中及び討論中にも各委員からもいろいろ御希望その他がありましたのでありますが、御承知のように相当無理な審議であつたことは、よく政府の各位も御承知になつていることと思います。従いまして討論の際にもありましたように、本当ならば修正をしたいけれどもその暇がなかつたとか、或いはその他の希望もあつたと思います。そしてそれらが討論とか、或いは質疑の中で相当に強く述べられておりますから、この点を政府とせられましては十分に勘案されまして、同法の運営に当りましては、今出たような、この審議の過程で出ましたような意見を十分に一つ尊重されますように、特に委員長として強く希望して置きます次第であります。  尚基本的な経済政策の問題は別にしましても、特に管理法関係におきましては、賛成の方も反対の方も運営上の問題として、強く心配されておつた点が、各関係官庁の統一的運営という点にあつたと思いますし、それから外国為替予算作成に当つて、何とかもつとうまく民間意見が十分に反映するような機構を考えて欲しいという意見相当強く出ておつたと思います。これらの点一つ十分にお考えを願いたいと思います。  それから最後にもう一つ本法予算の国会への報告の関係は、国会からの要請があれば報告するというようなお話でありましたけれども、これは私はでき得ればむしろ政府の方から進んで、少くともこの経済安定委員会に対しては逐次報告されて、相談されて、運営の万全を期せられるように、強く最後に希望して置きたいと思います。  以上蛇足かと思いますが附加えまして、本委員会を終了したいと思います。特に御発言なければ終了したいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれで散会いたします。    午後五時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            西川 昌夫君            安達 良助君            帆足  計君    委員            和田 博雄君            川村 松助君            横尾  龍君           池田七郎兵衞君            奥 むめお君            藤井 丙午君   委員外議員            波多野 鼎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    通商産業大臣  稻垣平太郎君    国 務 大 臣 青木 孝義君   政府委員    外国為替管理委    員会委員長   木内 信胤君    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    法務府事務官    (法制意見第二    局長)     林  修三君    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君    経済安定本部貿    易局長     谷林 正敏君   説明員    通商産業事務官    (通商局次長) 松尾泰一郎君