運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-26 第6回国会 参議院 経済安定・大蔵・通商産業連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜 日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外国爲替及び外国貿易管理法案(内  閣送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。  昨日に引続きまして今日は第二回の連合委員会であります。外国爲替及び外国貿易管理法案予備審査でありますが、昨日に引続きまして一般質疑から始めて頂きたいと思います。最初質疑の順序も決めずに質疑のある方からどしどし御発言願いたいと思いますが、そういう方法で始めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ではそういうようにいたします。  尚この際ちよつと御報告申上げて置きますが、昨日申上げました今日午後一時からの参考人意見聴取の件は、参考人として民間代表から三名を予定しております。東京銀行調査部長の神野氏、それから東京貿易会の副会長の薮原氏、それから第一物産の常務の水上氏、以上三人であります。産業代表の方と御連絡をしたわけでありますけれども急でありましたので、どうも差繰りがつかないということで以上三人になつております。  午後一時から参考人意見聴取をやりたいと思いますから、この際ちよつと報告をして置きます。
  4. 和田博雄

    和田博雄君 丁度稻垣国務大臣が来られておりますから、私の大臣に対する二、三の質問ちよつとして置きたいと思いますが、この法律でやはり一つ主眼点外国爲替予算だろうと思いますが、外国爲替予算というものは一体どういう形でこれを編成される予定なのであるか。その点を一つお伺いして置きたいと思います。
  5. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 外国爲替予算の問題でありますが、これは無論輸出によつて得た爲替資金を、輸入に対してどのようにこれを配分するかという問題であります。従つてこれは従来も安本一般生産計画その他を立てたと、同じ観念で国内的の原料或いは必需品輸入についての一応の計画を立てる、予算という字句が使つてありますが、これは数字に関連するから予算という字を使つてあるので、一応の輸入計画を策定するということに相成ると思うのであります。
  6. 和田博雄

    和田博雄君 そうしますと結局外国爲替予算を組む前提として、一定生産計画なり或いは輸出入貿易計画をお立てになつて、そうしてそれを基礎にして予算が編成されて来る、こういうふうに理解してよろしうございますか。
  7. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) その通りであります。但しその計画年間的にやるとか、或いは四半期ごとにやるとか、これはそう区切られたものではありませんので、無論年間的の計画を頭に画かなければなりませんが、同時に四半期的な考えもしなければなりませんが、恐らくこの計画輸出との見合におきまして、又資金関係におきまして恐らく一月々々で変つて来る、例えば今一、四半期のものをやつた、この次には四、五、六とやる、この次には五、六、七とやると、こういう形に移つて行くだろうと思います。大体の枠は仰せの通りであります。
  8. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると結局、仮にまあ年間のものについては極めてラフではあるが、一応この外国爲替予算を組むときに、年間予算を組むのではなくて外国爲替予算それ自体は一月々々ぐらいのまあ見通しなり、実績なりを基にして作つて行くと、こういうのでございますか。
  9. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) その通りです。
  10. 和田博雄

    和田博雄君 私新聞で見たのですが、稻垣さんはシーツとお会いになつたそうでありますが、話の内容は新聞で見たのですが、大体日本産業あり方経済あり方についてお話があつたよう新聞で拝見したのですが、今回爲替予算を組んで今度の外国爲替その他、外国貿易管理をやる、こういう考えの底にはやはりこの大きな方法を通じてうまくやることによつて日本の将来の経済あり方、或いは日本経済復興の速度なり、或いはやり万なりについての、やはり何かそこに構想なり、或いは理想なりがおありになるだろうと思うのです。それなくしてこれをおやりになつても、一足飛びに貿易を振興するということを言われても、ちよつとそこのところが辻棲が合わんと思うのですが、結局今の考えだと、そういつた問題については、余り重きを置かれずにただその場その場の計画予算を組んで行かれるというようにここで解釈していいのですか、それともそうでなくして、やはりこの基礎には貿易自体自主性力を回復し、自由にして行くが、その背後にはやはり日本経済復興なり何なりについては、一つ計画を持つた動かし方をして行くというふうに理解していいですか。
  11. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 今和田さんの言われましたように、一番初めに年間計画というものの一応の目安を立てる。そうして一月々ごとに実際にこれに応じた爲替資金予算というものを組んで行く、かように申上げたわけでありましてへ例えば日本産業あり方なり、或いは日本経済の動かし方を、今後どうするがという問題が、いわゆるバツク・スクリーンになりまして実際にその日その日のものについても実はできるわけでありますが、大きなやはり一つ計画と言いますか、一つの土台の上にその月々計画を立てて置く、こういうことになると存じます。
  12. 和田博雄

    和田博雄君 そういう仕事は、実際上に責任を持つてやるのは、どこの官庁がおやりになりますか。
  13. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) これはまああの法文にもありまするように、名前は忘れましたが審議会によつてこれが策定をやります。これの実務安本において、安本の何局ですか、これが幹事役といいますか、実務をやることになつております。
  14. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると安定本部が中心になつてそういう下工作をやる、こう理解していいわけですね。
  15. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) その通りだと思います。
  16. 和田博雄

    和田博雄君 それから爲替維持の問題がここにあるのですが、爲替維持責任を負わされておるのですが、どういう方法で一体爲替を決められて爲替維持して行くのですか。
  17. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 爲替を如何にして維持されるか、こういう御質問であります。爲替管理法の建前は、日本輸出その他によつて取得する外貨は一応政府の手に納まる。そういう機構が樹てられるわけであります。それを使う方の場合は、只今問題になりました予算によつて使つて行くわけであります。これは一定予算を組む以上、予算以外に使われることはない。つまり金が足りなくなるという憂えはないのであります。従つて普通にいわゆる政府の金が外貨資金が足りないから、相場が下落するということは、この管理機構内では起らない。相場維持ということは、その意味では問題にならない、十分に堪え得る。ただもう一つ深い話になれば日本外貨が足りないから、従つて失業ができる。企業か十分に動かないというようなことで失業ができる。或いは生活程度が下るというようなことから、相場維持が困難になる。もう一つ深い問題になりますれば、日本経済復興という問題に全部かかつて来るわけであります。純然たる爲替維持のテクニックとしては、使う方は予算に載せて行くという仕組が確立して行く以上は、心配はないと考えます。
  18. 和田博雄

    和田博雄君 そういうことは、私は分つておるのです。技術的のことを私はお伺いしておるのではない。例えば爲替維持をする場合に、一体爲替平衡資金的のものは考えないのか。それとも今言つたよう爲替の問題というものは、君の言つたよう経済全般に実は関係して来ることなのであつて、これを維持して行くということは、技術的に維持して行くというだけではなくして、むしろ根本に本来の爲替相場というものを正確に日本として維持して行く。こういうためにはもつと具体的な、経済全体に対する一つ計画性を持つたものでなければならん。そういつたようなものが何らなくして、ただ爲替維持して行くということを表面に、法文の上に書いて見ても、それは果してその通りに行くのかどうか。今のよう政府のやり方で、これが行くのかどうかということを、私はお聽きしておるのであつて、むしろこれは大臣から答弁して貰いたいと思います。
  19. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 只今質問爲替平衡資金というようなものは、こういうような尚自由貿易に向つてはおりますけれども、全部大体において管理貿易的な方向でやつてつておりますから、その考え方とは違うのではないかと思います。
  20. 和田博雄

    和田博雄君 だから僕がお聽きしておる、これは外国爲替管理なんです。だから自由経済というものを基礎にしたのではなくして、やはり一つそこに日本経済については、この計画的なものを以て経済運営をして行こうという考え方が基本になつて外国爲替管理の思想が出て来て募るのか。そうでなくしてただ貿易が今まで貿易條件その他については、日本の場合は自主性がない。今まで殆んどGHQにおいて管理されておつたものを日本側に移して行く。その自主性を回復するという点において、貿易一種自主性を回復するというのであるか。基本的にはそうではなくして日本における経済運営は、管理制度を通じて計画的にやはり経済復興なり、何なりを図つて行くという方向に持つて行くかどうかということを、初めからお聽きしたのであります。
  21. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) もとより日本経済復興再建ということは、この中に織込んであると考えておりますけれども、御承知通り爲替管理貿易からローガン構想に基いた自由貿易への足取りをとつて、その方向で進んで行こうという、その姿であると思います。従いまして只今質問爲替平衡資金というようなものが、なければならんというふうなお考えように承わりましたが、そういう爲替平衡資金というようなものは、今の貿易の措置といたしましては必要ではないと、こういうよう考えております。
  22. 和田博雄

    和田博雄君 私は平衡資金が必要だとはちつとも言つていない。その関係はどうかということを、自由と計画についてお聞きしただけのことです。誤解のないようにお願いいたします。従いまして私はやはりこういう外国爲替管理、而も非常にこれは網の目を全部広く拡げておる事柄であるし、外国貿易なり、或いは爲替管理というものの性質からして見て、やはりこれは自由経済というものではなくして、やはり自由というものは回復しながらも、基本的には計画的なものを持つて日本経済というものを、今後は運営して行かなければならんという点について、何か政府としての構想というものがない限りは、こういう制度がここに一つできただけで、十分にこれがうまく動くということが保証されないということを申上げたかつただけなんです。それから又一つ簡単に質問して見たいと思うのでありますが、閣僚審議会というものがここにできるわけですが、これはどういう構成になるのですか。
  23. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 閣僚審議会はまあ率直に申しまして、副委員長というようなものができるかできないかということは、決まつておりませんが、構想といたしましては総理を委員長にし、副委員長を作れば、安本ということになつておりまするが、若しこれが副委員長等がないことにいたしますれば、関係経済閣僚、特に安定本部、それから通産大臣大蔵大臣農林大臣等が大体その委員に相成るように、自分は考えております。
  24. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 閣僚審議会政令案は、まだできておりませんか。
  25. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) まだできておりません。
  26. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) いつ頃の予定ですか。
  27. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 一両日にはできると思います。
  28. 和田博雄

    和田博雄君 この政令案一つ早く出して貰いたいと思います。それを見た上で、又閣僚審議会性質、その他いろいろな点について質問して見たいと思います。  まだ沢山質問者もおりますから、簡単に主な点だけもう一点、お聞きしたいのですが、これをやりまして、いろいろこれは輸出入に関して直ぐに、この貿易資金が問題になつて来ると思うのですが、その資金関係にどういうような策を持つておりますか。貿易資金の問題、金融面ですね。
  29. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 和田君にお聞きしますが、資金面意味ですか、どこに重点を……。
  30. 和田博雄

    和田博雄君 何か具体的な爲替管理をやるについて、これをやつた後で貿易に対するいろいろな金融面について、これとマッチするように何か政府は施策を持つておられますか。
  31. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 金融面の問題、これは現在の政府ではスタンプ手形なんかの方法と同じ形で、これは許しまするときに半分を、確か半額を保証供託することになつておりますが、これに対する融資方法については、我々特別に考えたいと思つておりますが、従来のやはりスタンプ手形式形式を追うて、これが融資の途を講じたい、かよう考えております。ここで問題になるのは、今度輸入につきましては恐らく問題として、外国のバイヤーと言いますか、トレーダ日本トレーダよりも有利な立場に立ちはしないかとも思いますが、私は必ずしもさよう考えないのでありまして、この点は恐らく出て来る問題だろうと心得ておりますが、やはり日本業者との間の結付きはいろいろな情勢を勘案いたしまして、日本トレーダの方が有利であることは勿論であります。ただ資金の面におきまして、殊に金利向うは非常に安いのです。日本金利は高い。そういうところから申しまして、恐らく向うの方が有利になるのじやないかということになりましようが、併しながらドルを円に換えますようないろいろな手続の問題、手数料の問題その他から考えまして、さような差額もないと思いますから、日本トーレーダとしましては外国資金を利用しても私は一向差支ない。かよう考えておりますから、その点はおのずから落着くところに落着いて行く。かように私は考えております。
  32. 和田博雄

    和田博雄君 どうも稲垣さん頭がよくて、聽かん先から御答弁がありますが、その点は後で又細かくお聴きするとして、もう一つだけお聽きし最初質問を終りたいと思います。この輸入の場合は、自由競争で、早い者勝にやるものと個別割当のものとあるのですか、その点は大体具体的なものが決まつておりましたら……。
  33. 松尾泰二郎

    説明員松尾泰二郎君) お答えいたします。原則といたしましては、早い者勝の輸入をやるということに考えられておりますが、例外といたしまして資金個別割当をする品目といたしましては、閣僚審議会の方で決めて頂くというふうな構成になつておりますが、今のところ予定されておるものを申上げますと、米、小麦等主食糧、それから油脂の原料、それから原棉、原料炭肥料原料、塩、原油及びその製品、それから硝安等の肥料、その他輸出用原料でありますよう雑品類を一応予定しております。
  34. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると必ずしも資金個別割当になる物は、例えば生活上非常に必要な物であるとか、或いは復興原料として欠くべからざる物であるとかいうよう一定個別割当と、自由との間を分ける基準というものは、一体どういうものを予定されておるのですか。
  35. 松尾泰二郎

    説明員松尾泰二郎君) 総括して申上げますと、輸入供給源限度がありますような物資、それからドル地域等から主として輸入するよう商品につきましては、外貨資金の枠におのずから制約がございますので、その輸入資金の枠に制約があるよう商品を一応予定をしております。
  36. 和田博雄

    和田博雄君 そうすると、資金ただ枠だけが問題ですね。
  37. 松尾泰二郎

    説明員松尾泰二郎君) 大体そういうよう考えております。
  38. 和田博雄

    和田博雄君 そうですか、そうすると全体の計画はどうなるのですか、生産計画なり輸入計画なりをやつて、これは産業面においてはとにかく自由だと言つて見ても、やはり一定の大きな枠があるわけですから、その点どうなるのですか。ただ輸入資金の枠だけで自由なものと分けて行く、そうするとそれが国民経済全体から見て、必ずしもそれだけの分量が必要でない物が沢山入つて来たり、或いは少く入つて来るという結果が起るでしようし、その点どういうように調整されるのですか。
  39. 松尾泰二郎

    説明員松尾泰二郎君) 先程も御説明がありましたよう原則としまして、先ず外貨予算というものが設定をされますので、そのときに今和田委員から言われましたようなことを勘案して、一応織込まれるわけであります。あとはただ輸入の技術的な方法に過ぎないわけでありますので、相当大きなものは、早いもの勝ちになりますが、今申しましたように、対外の供給源限度がある以上或いは資金関係から、おのずから限度があるというようなものについては、資金需要者のところへ配分する必要がございますので、そういう資金事前割当をすることになると思います。
  40. 和田博雄

    和田博雄君 まだ私沢山質問がありますが、一応この程度で……。
  41. 中川以良

    中川以良君 只今和田委員からいろいろ御質問があつたのでありまするが、この外国爲替予算を編成するに当りまして、特に輸入計画等を決めますのが、閣僚審議会においてお決めになると存じますが、これは政令を拝見しておりませんから、十分にお尋ねもできないと存じまするが、この際に、閣僚審議会で真に正当なものができるか、審議会運営をどうなさるか、特に民間の意向というものを、何らかの手段で以て御聴取になるかどうかというような点は、どういう御構想でございましようか、お伺いいたします。
  42. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 閣僚審議会は、勿論閣僚のことでありまするから、一々事務をとるというようなことは恐らく不可能でありますので、恐らく経済安定本部がこの事務を取扱い、その事務の中の特に計画というような部門を担当いたしまして、その案につきまして、閣僚審議会いろいろと審議をいたしましてやる、こういうよう形式を取つて行くのではないかと存じております。
  43. 中川以良

    中川以良君 当初安定本部の中に、輸入委員会を置くというような話もあつたと存じますが、その後爲替管理委員含のいろいろな御意見相違等も承わつてつたのでありますが、これらの結果遂に内閣審議会というものをお作りになることになつように想像されるのでありますが、その辺が一体安本長官とされまして、どういうような御意見をお持ちであつたのでございましようか、果して実際に即応した審議会ができるかどうか、その点を国民懸念をするのではなかろうかと思うのであります。
  44. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 御承知通り、今までは爲替管理委員会なるものがございまして、そこで新らしくローガン構想等に基きまして、今回の外国爲替或いは、外国貿易管理法というものを、一本に作るということになつたのでありますが、その委員会におきまする事務全体、それから今回のこの法案ができまする経過に相成りましたところでは、多少変化を来しておると思いますが、そこで大体御承知通りに、この輸出手続等については、何しろ十月一日にこれを決めなければなりませんし、輸入が来年の一月一日ということになつておりまして、これを別々にやるというので、この八月以来いろいろと検討をし募りました。そうして今回の案等につきましても、結局安定本部なり、それから爲替委員会及び通産省の、これに関係方々と逐次折衝をいたしまして、この案ができるということに相成つたのでございまして、相当これについては研究をして参りました結果、ともかくこの外国貿易の振興ということは、国の最も重大な事柄でありまするので、この輸出入に関しましては、閣僚審議会とそれに繋がるところの事務局に類するものを設けまして、そうしてその間の連絡を取つて輸出入に万違算なきを期したいというよう考え方で、これができ上つておるのでありまして、この権限等の問題についても、相当検討されて参りまして、こういうものができ上つたような結果になつております。
  45. 中川以良

    中川以良君 我々待望の貿易の自由が実現されんとしておりまするところの、いわゆる日本経済の大転換期に直面いたしております。これを実施するに当りまして、苟くも官庁機構権限争いになるというようなことは少しでもないように、この辺は一つ十分に御注意願いたいということを私共は念願をいたしておる次第であります。  それから更にお尋ねいたしたいことは、先程もお話がございましたが、外国商社の問題でございますが、私共今までは貿易が全くめくら貿易であり、ややともすると高いものを買わされ、又出しますものは不当に安く持つて行かれるというようなことが、しばしば実例があつたのです。今度自由になりました曉におきましては、ただ外国商社が優先的に優位にありまして、一種の特権を持つて交渉を圧迫するというようなことがあるといたしますと、折角のこの構想が何にもならないことになります。この点私共は非常に懸念をいたしておりますので、外国商社に対しますところの制約なり、これに対する規正、或いは外国商社違反行爲に対しますところの取締方法というようなものは、何か御構想がおありでございましようか。
  46. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 中川委員からの御質問でありますが、成る程今まで日本商社はめくら貿易であつたわけでありますが、この法案を出します際に、できるだけこのめくら貿易の点については、これがそうでないように施策しなければならんということが問題でありまして、この点については大体商務官なり、或いは領事というような形になつて参りますかどうかは分りませんが、貿易事務所なりはできるだけ各方面に出して頂くということで、この方の了承は、まあアメリカは勿論といたしまして、その他の所でも二、三応諾をしておるような所もございまして、尚進んで日本商社の人或いは生産業者の人達が渡航することにつきましては、御承知のリテイン・システムで大体話が始まりましてから、九月までに行きたいという方は百八十名ばかり申出がございますが、これが手続関係で非常に遅れておりますけれども、すでに三十人の方は許可を得られて渡航せられた方もあります、或いは今後渡航せられる方もあります。尚その外に最近では各方面に対して技術指導というよう名前において、或いは出しました製品に対する据付けというよう名前において相当な人が出得るように相成つておりますので、その点に対する従来の不利の点は順次拂拭されて行く、かよう考えておるわけであります。尚外国商社に対して何らかの制約を設けるかどうかという問題は、これは特別に外国商社に対して制約を設けることは私はできないと存じております。これは同じ立場において競争する外に仕方がないと存ずるのでありますが、併しながら違反行爲につきましては、これはもう勿論我々は相当の処置をいたさなければならん、かよう考えておる次第であります。
  47. 中川以良

    中川以良君 通商官を漸次派遣されるようなことになつて甚だ結構と存じます。殊に立派な方を御人選になるようでありますが、これに民間人を御起用になるという御意思がおありかどうか、その点を一つ通産大臣に……。
  48. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) これは民間人をこれに充てたらどうかというような御意見方々にございますが、この点はなかなかむずかしい問題でありまして、仕事の上においては民間の方が非常に適当でありますのと、一面におきまして又その他の我々の方との関連におきましては、不便な点もあり、一利一害であると私は存ずるのであります。併しながら決してこれを排斥する意思一つもないのであり、民間人で適当な方がありますればこれも御推薦申上げてよかろう、別に民間人、それから官界の人という区別はいたしておりません。
  49. 中川以良

    中川以良君 今度の法案によりますると、外国爲替銀行権限が非常に大きく増大をされることになりまして、現在でもややともしますると、バンカー第一主義で、どうも金融の面から産業制約されるというような点を、私共は遺憾に考えておりまするが、今回のごときは相当大巾の権限銀行に参るのでありまするが、これらに対しまして、殊に輸入商品の問題、時期的に輸入申込の際の優先順位を決めるというよう点等につきまして、いろいろな問題が私は惹起するのではないかということを懸念いたします。なかんずく銀行特殊関係のあるもののみが輸入を独占するという嫌いがないか、成る程輸入割当二割以上はできないという規定があるようでございますが、今日大資本閥というようなものはないのでありまするが、一部の者のみが輸入を独占するというような心配がありはせんか。この点につきましてどういうお考えでございまするか、稲垣大臣からお伺いいたします。
  50. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) まあその点は何も輸入の問題だけでなく、あらゆる一般の問題としても考えられることでありまするけれども、併しながら御承知ように、二〇%以上というものはいけないという一つ制約を置いております。これはそういう点も十分考慮に入れての話であります。この点については私は御指摘のような、これは何といいますか金融、殊に外人が日本貿易の面において一つのインフルエンスを及ぼす、こういう形には私は持つて来ないと、かよう考えております。
  51. 中川以良

    中川以良君 先程お話を承つたんでありますが、輸入の場合に資金の割当をいたしまする物資と、自由に輸入する物資がございますのでありますが、資金を割当てられましたところの物資の、国内におきまするところの統制はどういうふうにされるか、それから資金の割当をしない、自由に輸入される物資は、今後統制の形態をどういうふうに持つて行かれるか。殊に私がお尋ねいたしたいのは、公定価格の点について、これらの物資に対してどういう御構想をお持ちであるか。それからガリオア、イロアで入りまする物資が、外に自由に輸入される物資と両面に跨がる場合があるだろうと思います。この場合には一体どういうふうになるのか、又ガリオア、イロアの資金は米国のみでなく、外からもこれを以て輸入されるということができるかどうか、こういうような点につきましてお伺いいたしたいと思います。
  52. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 全体の産業計画の問題がありますから、私がお答えしていいかどうか何でありますけれども、どちらへの御質問か分りませんが、一応私からお答えいたします。一体日本の公との関係がどうなるかという問題でありますが、これは私は輸入の割当とは全然無関係考えて然るべきだと、根本的には無関係考えるべきだと思います。併し、ただ先程も御質問がありました全体的な計画の上から申します場合には、それは無論関連も持ち得ると私は存ずるのでありますが、併しながら個々の場合について考えまするときには、この公というものと輸入資金の割当というものには、何ら因果関係は私はないものと心得ていいのではないか、かよう考えております。  それからガリオア、イロアの問題がございましたが、この問題は、これは勿論ガリオア、イロア資金で入つたものとの競合というような問題もありましたが、この点はむしろ閣僚審議会で、場その割当のときに考慮さるべき問題だと私は考えておかますので、それで何らか差支ができるということは、私はそれを審議会で考慮しますならば差支が起きないと思つております。それから最後の御質問のガリオア、イロアを他の国へ転用してやれないかという問題、それからその資金によつて輸入ができないかという問題であります。この問題は実は非常に重大な問題でありまして、又今日各国において、例えばこれはまあ一つの例でありまするけれども、南の方の国から一つの、例えば紡績工場なら紡績工場のホール・プラントを一つ建設してくれないか、或いはゼネラル・プラントを全体において建設して貰いたい、併しながらこれはどうも金が要ります。全体の計画ということになると金がないから何年聞かのインストルメントで計画する、こういうような問題があります。そういう場合に日本業者といいますか、或いは貿易業者でも生産業者でもよいのでありますが、とてもそういつた代金を固定させることはできない、こういうような場面も今二、三問題が起つております。そういう場合に、こういつたようなガリオア資金なり、イロア資金なりが、そちらの方へ適用できるということが可能であると、日本経済再建の上には直接にこれをこちらへ貰つて、それを見返資金で使うよりも、より有利であるというよう考え方を私は持つておりますので、そういうことが可能であるかどうかということについて、研究をいたしております。或いは研究という言葉をもう少し解説いたしますと尚その点について一応の折衝をしておる、こういうことを申上げて置きます。
  53. 中川以良

    中川以良君 統制の問題は……。
  54. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 統制の問題は今丁度公の問題で私がお話したと同じ形になるのじやないかと思います。併しながら大体において私は観念といたしまして、これは今の問題と少し離れるかも知れませんけれども、余計物を入れれば余計売れるんだ、余計入れて物を作つて余計売るんだ、こういう考え方から言つて、物が入つて来た場合に一体統制の必要が起つて来るかという問題になるのでありまして、実際は私は統制はおのずから……、とにかく計画的という問題がさつき和田さんから提起されましたけれども、計画的でありましようとも、とにかく貿易それ自体の何は自由であるという立場から考えまして、この統制というものは原料の問題、或いは入つて来るところの競争品の面から言いまして、おのずから私は統制というものは崩されて行く、これは当然だと私は考えておるのであります。ただ特殊のものについては、これは他の意味から、例えばいわゆる日本生活安定、民生安定というよう立場から、どうしても制約しなければならないというものに対する統制は、勿論必要でありまするけれども、一般的な理論といたしましては、統制はおのずから外されて行くものである。外れて行くものである、こういうふうに考えております。
  55. 和田博雄

    和田博雄君 今の輸入した物資ですね、それで資金を割当てたものも、それから自由に輸入したものも、国内価格の点を中川君は聞いておられるのだろう思う。私はいろいろな点、爲替維持とかいろいろな点にやはり多く響くのではないかと思う。従つてその国内価格の調整という問題について、どういうよう考えておられるかということを、中川君は質問しておられるのだろうと思う。私もそれは後で聞こうと思つていたのですが、その点をお答え願いたいと思う。
  56. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) お答えいたします。これは輸入物資の面からの統制価格の面は、価格の問題にどういう変化を及ぼすかということについては、これは私は後でこの政令に出されるという話でありましたが、そこまで一体閣僚審議会でも入つて行きませんと、本当の輸入計画というものは立たないし、それから又、これの地域的の割当も私は立つて行かないのだと思います。その点は私はそこまで入つて行くべきものだ、かよう考えております。そこまで入つてつて、おのずから入つて来る物の価格が、国内の価格に対してどういうような影響を及ぼすかという点まで入つて行かなければ、この審議会が本当に言つて動いて行かないものだと、かよう考えております。
  57. 中川以良

    中川以良君 現在GHQのこの方の勘定は一体どういうような状態になつておりますでしようか。これが根本的に変つて参りますかどうか、現在の状態をお聞かせ願えますならば……。
  58. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) この問題については、実は発表することができないし、又ちよつと私共の方でも分りかねます。
  59. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとこの際申上げますが、この連合委員会の今の御質疑中で、時間の関係もありますが、成るべく大蔵委員及び通産委員の方の御質問を先にいたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。  それからもう一つは、質疑される場合に、成るべくならば答弁大臣を御指定願つて質問された方が、はつきりすると思いますから、そういうふうにお願いいたします。
  60. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 安本長官にお伺いいたします。先程皆さんからも御質問があつたのですが、非常に重要な点が政令に讓つてあるので、具体的な質問ができないのが残念ですが、それでただ一点、非常に重要な点だと思われるので、その点についてお尋ねしたいのです。それはこの法案が、国際通貨基金に加入することを前提として作られた、そうして第七條はそれを予定して、この條文を作つてあるというお話つたのですが、そこで先程和田委員お話がありましたが、日本爲替相場維持方法として、国内的な生産以外に、国際通貨基金に加入する、こういう方法において、日本爲替相場維持し、安定させるということが、一つの非常に重要な政策になつておると思う。そこで一体国際通貨基金に入るか入らないか、そういう事態が非常に私は大きな問題だと思うのです。入つてしまうと、国際通貨基金によるいろいろな制限があるわけです。それが有利であるのか不利であるのか、これも一つの重要な研究問題だと思うのですが、すでにそれを前提として、この法文を作成してしまつた、こういうように言われておるのですが、この点についてブレトン・ウツヅ協定、国際通貨基金及び国際復興開発金庫ですか、それとの関係を、どういうふうにお考えになつておるか、それから非常にこの法案の作成を急がれますが、通過を急がれておるようですが、もう国際通貨基金に加入する準備が進められておつて、講和條約ができる前に国際通貨基金に入る予定になるのかどうか、そういう心構えで何か準備されているのかどうか、それから日本の通貨制度、これに関連して日本の通貨制度は一体どういうふうにして……、これは日本の通貨制度と重大な関係があるわけです。いわゆるドル本位にして行くのか、円本位にして行くのか、それから爲替相場のあれでも和田委員お話がありましたが、爲替相場をペツグしてしまう、一ドル三百六十円にしてしまつて日本経済にいろいろな変動が起きても、爲替相場に縛られてこれを適当なところに調整できない、こういうことになると思うのですが、この点について爲替相場との関連において日本の通貨制度、これをどういうふうにお考えなつたか、この点について御答弁願いたいと思う。
  61. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 成る程この、規定は、国際通貨基金への参加ということを目標としておる。即ち通貨基金への加入態勢を確立するということはこの一つの大きな目的であることはおつしやる通りであります。併しながら只今その問題について明確にプレトン・ウツヅ協定に参加することのできる準備をどんなふうにしておるかと言われれば、実は私共のところでは、はつきりとそういうことについて準備をしておるとは申されませんが、併しながら一ドル三百六十円というその対外爲替の基準、即ち相場が決まつておりまするので、従つてこれを基準といたしまして、大体我が国のこの経済の安定計画ということが幸に成功を攻めまして、そうしてその基盤の上に立つて国際貿易を順調に進行せしめて行く、少とも今回のこの法律の目的に副うように、又その目的の達成ができるということになれば、自然そこに国際経済への参加ということが具現して参りまするし、通貨基金への加入ということが具体化して来るということになると考えまするので、今のところ私といたしましては、その準備としては、今やつておるこの進行過程が一つの準備であるというふうに考えておる次第でございます。
  62. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 この国際経済への、待望の参加態勢が急速に確立できる段階になつたということは誠に我々としては喜ばしい次第であります。が併しながらこの法案考えによつては、日本経済自立の根幹をなす問題であり、又日本産業構造にも、運用如何によりては一大変革をもたらすような非常に重要な法案でありますので、審議期間の短かいということを非常に私は遺憾に思うわけであります。  そこで私は、先程和田委員がお尋ねになりました点で、まだちよつと十分納得できない点がございますので、関連して安本長官にお伺いしたいのでありますが、先程通産大臣の御説明もありましたように、この爲替予算の編成については当然その年度乃至四半期或いは各月別の国内の生産計画、或いは物資の需給計画資金関係等を勘案して、又国際情勢の変化も受けて設定しし行かれるということは当然でございまするが、そこで私も、和田さんもさつき指摘しておられましたけれども、成る程貿易の自由になることはこれは非常に望ましいことでありますけれども、日本経済復興の現状から言いまして、やはりまだ相当程度計画性を持つて行くということが非常に大事に思うのです。無論当面の現象としてはそういうふうにお運びになるわけでありまするけれども、その背景としては、先程申しましたように、日本産業構造の変革をももたらすような、運営如何によつては結果になりますので、やはり少くとも二年、三年の日本経済復興計画というものを前提に置いて、やはりそれを基盤として運用して行くということが必要じやないか。先般吉田首相は、安定本部で折角苦心されました復興五ケ年計画報告を放擲する。それは客観情勢の変化が烈しいから立てるにも立てられないというお話でありましたけれども、併しながら今私の申しましたよう意味で、やはりはつきりした復興計画というものがなくても、少くとも二、三年の目途を置いたものが必要じやないかと思うのですが、その点につきまして、閣僚審議会等で、今後そういつたものについてお考えになる意思があるかどうか、お伺いしたい。
  63. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) お言葉の通り復興五ケ年計画は、一応発表を差控えておるという形にございます。いわば検討中になつておるということでありますが、私共のところでそういうふうに考えておるわけでありますが、我々としては、この事態が日本経済再建復興を中心といたしまして、いろいろと変化極まりない状態にある、こう言つて差支えないと思いまするが、こういう変化の際におきまして、長い計画が立てにくいということは、御承知のことと存じます。そこで私共としては、先ず大体見通しのやや確実であるという程度を見込みまして、今年乃至来年とかいうように、二年間ぐらいの計画を立てて行くということが妥当ではないかという考え方で、実は私共のところでも、いろいろと今作業しておるところでございます。そこで仮に今年から二十五年への計画というようなものを考えますれば、大体その見通しといたしまして、来年度においても特に輸出の振興であるとか、或いは建設投資の拡大であるとか、更に又国民生活の安定であるとか、こういつた項目を特に摘出いたしまして、そうしてそういう点から、日本の人口の増加、御承知通り、私共の計算によりますれば、来年度におきまして、十月一日の計算は、人口といたしましては八千三百七十七万三千人というような数字が出ております。従いまして、これらを睨み合せまして、ファイナンス関係のいろいろな諸点から国の政策を運営して行くということを第一に考えますると、御承知通り、来年度の予算はすでに骨格ができております、皆様御承知通りであります。そこでこれによつてデフレ傾向でも招来するようなことになれば、我々として今日経済のディスコントロールを多くしつつある現状におきまして更にディスインフレの線を堅持しておるということを示しておりますので、そこで特に日本銀行の国債の操作とか、買上げの操作であるとか、或いは又適切なる政策の運営等によりまして、このことの維持を図つて参りたいというよう考えも持つておりまするし、又国内における合理化運動につきましても、例えば前々から申しておりますように、できるだけ合理化の線を促進いたしまして、そうして操業度を高めるとか、或いは又設備の近代化であるとか、そういつたようなことも考え、又合理化を徹底させるというような運動もいたしまするし、努力もいたしまするし、又進んでは、我々は貿易の促進に副いまして、いろいろとそれの計画も立てつつあるようなわけであります。今はつきりと詳細には申上げられませんが、先程も申しましたように、作業中でございますので、そういうことと勘案をいたしまして、貿易輸出輸入計画等も大体は立ち得るというように自分は考えておる次第でございます。
  64. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 只今安本長官の御説明につきましては、もつと掘り下げてお質疑したい点が多いのでございますが、時間の関係でこれは別の機会にいたしまして、そこでこの第三條の爲替予算を作成する場合に、当然貿易外政著いろいろ問題になる思いまするが、今のところは僅少でありましようけれども、例えば運賃とか保険料その他の貿易外收支と外国爲替予算との関係はどうなつておるか、或いは又貿易外收支等は今明年度中にどんなお見込になつておるのかという点を伺いたい。
  65. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 貿易外收支の問題でありまするが、今日のところでは、これははつきりと申上げるわけにも参りますまいが、大体私の承知いたしておりますところでは、いろいろなものがございます。併しながら国内におきまして現われておるところから私の承知しておるところでは、年額七千万ドルくらいの貿易外收入というものがあることを聞いておりますが、若し私の記憶にして間違つておりますれば、後に又改めて申上げます。
  66. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 それから当然国際收支と大きな関係を持つ問題で、輸出のCIFの問題、輸入のFOBの問題、或いは外洋船就航の問題等、しばしばいろいろな機会に政府から御答弁になつておりますが、具体的にはまだはつきりせん点が多いので、こういつた問題の実現の見込等につきまして、御承知の限り一つ伺いたいと思います。
  67. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 今のお話の問題でありますが、日本船を使うという問題は、御承知ようにオーシャンヴエッセルがありませんので、今日本で使える船は使つていいわけですが、これをこの前本会議で申上げたように、日本のA型船の改造をやりまして、大体二十万トン、これが改造を終りまして就航できるようになりますれば、これを使うことについても了解を得ておりますし、又我々は使うつもりでおります。ただ実際に現状におきまして南方諸地域にも、今の外洋船以外の、まあこれに準ずるもので取引の許可を得まして南の方へ出したという場合におきましても、その仕向け地の政情といいますか、日本人に対する感情の問題から、実際に寄港できない。寄港しても船揚げ作業、船積み作業ができない、こういつたような面もありまして、そういう方面からの実は制約も受けておるというような事態があります。この間ヅングンの鉄鉱石も半分は日本船で引取る契約をいたしたのでありますけれども、これもその寄港地の政情の関係で、約束して実際はふいになつたというような実情もあります。それらの点も、今後できるだけ先ず日本人に対する感情をやわらげるという問題も、大きな問題として今後起つて来ると思います。併しながら、先般もさる高官が見えたときにも話したことでありますが、いわゆるガリオアで送られるところの品物はアメリカ船を利用することになつておりますが、それも半分は場合によれば外船を利用してもいいということになりておるので、日本のいわゆるオーシャン・スティーマーができれば、これを利用することも差支ないというような実はお話も伺つておるようなわけでありまして、実際に船がない、従つて日本の外洋向けの造船を急がなければならん、こういう立場に置かれておると存じます。  GIFの商売の問題でありますが、これも輸出につきましては、近く十二月一日から輸出取引が自由になるのに関連いたしまして、GIF建の輸出は、先方のバイヤーといいますか、先方の輸出先との話合によりまして、この問題はもう私は解決の緒につくと、かよう考えておるようなわけであります。そうなりますれば、自然日本の保險業者との問題も起つて来ることになると思うのでありますし、日本船の問題は先程申上げたようなわけでありまするけれども、外国船を利用することにいたしましても、こういうGIF建になります場合は、或いは日本の海上保険会社を利用するという問題も起ると思います。但しこれは向うにエージエントがありませんから、この点で私は難点があるかと思うのでありますが、こういうことも向う日本の損害保険会社のエージェントを出し得るような域にも遠からず行き得ると思います。まあ実現はそう遠くない機会にできるのではないかと思います。
  68. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 そこで、あの先日の説明の際、第四章の外国爲替の集中の問題で、この外貨資金の集中的活用を図るために、別に政令を以てということを御説明になりました。同時に又第五章の支拂の制限及び禁止の問題も、外貨の流出防止のため、完全な管理網を張る、こういう御説明でございましたが、これらいずれも政令によるわけでございまするが、先日の御説明では、この方は大体三月三十一日までで、今すぐには間に合わんというようお話でございまするが、大体この第四章及び第五章の外国爲替の集中乃至は支佛の制限及び禁止の問題については、どういうふうな御構想を持つておられるか、同時にこれが十二月一日、乃至は一月一日から輸出入が開始されるしますと、その政令等が整備されるまでの過渡的な措置を、どういうふうにお採りになるか、お伺いしたいと思います。
  69. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) その過渡的な措置といたしましては、輸出手続或いは輸入手続というような、政令でそれはやれるというふうに考えております。
  70. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 もう一つ通産大臣にお伺い申上げたいのですが、この輸出貿易管理令で、通産大臣の許可を要する問題、貨物を輸出する場合に許可を要する物資ですが、別表云々とありまするが、これは附属しておりませんが、大体これは国内流用の統制物資その他と思いますけれども、どんな品目が予定されておるか、お伺いいたします。
  71. 武内龍治

    説明員(武内龍治君) 政令の別紙の禁止、要許可品目は、大体三つに分けていいかと思いまするが、第一は輸入物資、或いは主食、油脂、肥料、こういうような需給関係から、輸出の許可を要する、これが第一の種類でございます。  二番目は国内の需給関係、及び関係筋との話合の結果、事前許可を必要と認められたもの、これはやや品目が多うございますが、後で主なものを申上げます。  三番目は生糸、絹織物、これはチエツク・プライスの関係がありますので、これは暫く許可を要することになつております。表を少し詳しく申上げますが、主要食糧、それから石油、石炭、鉄鉱石、銑鉄、その他鉄、合金、それから機械で建設機械、鉱山機械、或いは鉄道車両、船、ディーゼル機関、爆薬、それから化学製品等いろいろございますが、それからキニーネ製品、ラジユーム、繭、生糸、それからその外武器、火薬、そういうような品目で約六十くらい今のところ予想しております。
  72. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 第五十條に輸出取引の公正の條項がございまするが、これは「当該貨物の最終仕向国における不公正な競争の禁止に関する法令を十分考慮した上で輸出しなければならない。」こういうことになつておるのですが、現在通商官その他商船のエージエントがありませんから、具体的にはそういつたものができるまでの間、どういつた方法でこの問題をチエツクされて行かれるのか、通産大臣にお伺いしたい。
  73. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) この問題は、この間実はフロア・プライスを落しましたときにも、英国あたりではダンピングはしないか、競争が行われはしないかというので、実は私のところへ直接に抗議というのじやないが一応の意見の申入があつたというような情勢であります。この点は非常に私も心配いたしております。そこで実際に輸出されまして、今度は例の輸出申告書が私の方に廻つて来た場合に、その出されましたところの値段が、日本における市価よりも非常に安いものである。或いは日本にない品物から言いますれば、一応生産費を調べまして、調査いたしまして、そうしてその生産費にどうしても追いつかないような安い値段で輸出されている、こういつたようなものにつきましては、場合によつて年間輸出を禁止するというような措置をとるというよう考えております。然らばそれじや一体あとでチエツクいたしました場合に、これが本当にダンピングの目的であつたかどうかということを検討するのはなかなか困難だと思うのであります。こういう意味合におきまして、従来日本でありましたような各業種別の協会なり組合なりというものがあつて、そうしてこういつたものを自発的にチェツクして頂けるということになれば、私は最もこれがいいのだと存ずるのでありますが、この問題は例の事業者団体法の改正というような問題にも入つて参りまするので仕方がありませんから、先程申上げましたように、通産省自体で、あとで輸出申告書の写を得ましたときに、それによつてこれを調べて先程申上げましたように、不当なるものには年間輸出を禁止するというような措置をとらざるを得ないだろう、かように思つております。但し今の事業者団体法の改正という問題につきましては、尚私といたしましては、何らかの時期にそういつた方向に向わせたいという考え方は捨てていないということを申添えて置きます。
  74. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 それじや私は又別の機会に詳しくお伺いいたします。
  75. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとその前にお伺いいたしますが、時間がこういうふうになつておりますので、当然今日中には全部質疑が終らないだろうと思います。従いまして今油井さんから御質問があるらしうございますが、適当なるところで休憩に入つて、成るべく休憩時間を長くして午後早く始めたいと思います。と言いますのは、商工委員会からもお話がありまして、その休憩の間にやる仕事があるから、成るべく休憩時間を長くとつて欲しいということでございますので、御相談申上げますが、油井さんの御質問で切上げて休憩に入ることにしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは油井委員どうぞ。
  77. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先ず第一は、日英通商協定が大分遅れたために日本産業上に及ぼした影響が多かつたのでありますが、将来もあんな工合にいつでもだらだらになつては困る、この点について見通しはどうか。第二点として日英通商協定式のものが他のあらゆる国にもやれるかどうか、この見通しをお伺いしたい。
  78. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 日英通商協定がだらだら長くなつたというのでありますが、これは御承知ようにその当時たまたまポンドの切下げという問題が間に挾まつておりまして、この問題が決定しないと自然通商協定も進行し得ない情勢にあつたために、非常な長い期間を要したということであります。従いまして、これは特別な例とお考えを願つてよかろうかと思います。それから私は本会議のときにも申しましたように、どうしても今日の世界的のドル不足というものに備えまするためには、どうしてもいわゆる相互のバーター協定と言いますか、通商協定によつて貿易を促進して行くより外はないとかよう考えております。従つて今日中南米においては八ケ国の間に通商協定をいたしておりますし、最近大体大部分の国の間には通商協定を了しておる。尚その協定のないところに対しましても、引続き協定の取極めをいたしたい、かよう考えておる次第であります。尚できればいわゆる多角協定ということも、今日最も考えられるものではないかと考えておるものでありまして、ただ一国対一国の協定でありますというと、おのずから交換しますところの品種に限界があり、これがうまく行かないという場合もあるのであります。金額的にも制約されることに相成りますから、これが幸に余つたところの金を他の国の品物へ振向けられる、その余つた金を輸入に振向けるというように、いわゆる多角的な三国間或いは四国間というような、多角な貿易協定ができることが最も望ましいと思つております。そういう方向に持つて行きたい、かよう考えております。
  79. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この法案によつて銀行権限というものは、先程中川委員からもお話がありましたが、相当増大するようになりますが、その場合は銀行特殊関係にある商社は非常に利益を得るというようなことが懸念されますが、これに対して対策がありますか。
  80. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) お答えいたします。これは特殊の関係がある者が利益を得ると言いますけれども、結局銀行の方たちも商売でありまして、安全なものに対するところの融資ということは、これは特殊の関係というものとは、立場としてはおのずから私は変つている問題だと思うのであります。個人的に知つているということ、頭取さんをこつちの社長さんが個人的に知つているというようなケースは無論威力はあります。又そういうような人が利益を得るということは或る意味において、社長さんが頭取さんに特別に平生努めていらつしやる、こういうことでありますので、これはやはり商売の努力の一つだと思つておる。だからしてそういう特殊の関係金融方面で特別の会社が金融業者から利益を得る、これを何か制約するということはやるべきでないと、進んでそういう特殊関係を各方面で結んで頂きたいと逆に考えるのであります。それで特に制約を加えるなどということは考えておりません。
  81. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 輸入物資に対する補給金は、将来も継続なさる積りですか。これは通産大臣でも安本長官でも結構でございますが……。
  82. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 重要基礎物資、食糧等につきましては尚特別な輸入、そういう理由に基きまして継続して参る積りであります。
  83. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうすると若し輸入物資は今のところ高いのが原則になつて量るから、価格補給金も出るでありましようが、アメリカあたりで食糧が非常に安くなつたというような場合に、日本の農業者とのバランスがとれなくなつて輸入物資が安くなるというような場合は、どんな方針を採りますか。
  84. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) それらの関係は、事実と照合して定めて参らなければなりませんが、現在割当を実行しているというような限りにおきましては、これを継続せざるを得ないと、こういうよう考えております。
  85. 木内四郎

    ○木内四郎君 十八條によると、各通貨別にいろいろな外国爲替予算を組まなければならんように書いてありますが、これに関連して予算を組むに当つてどういう資料によつてこの予算を組まれるか。各地域別の輸出入計画外国爲替の、売買計画をどういうようにしておられるのか、通貨別に出して頂きたい。
  86. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 資料の要求ですね。
  87. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 只今御要求の資料につきましては、まだ私共の方ではそれができておりませんので、直ちにこれを差上げるというような準備はできないのでございます。
  88. 木内四郎

    ○木内四郎君 非常におかしなことを承わるのですが、すでに外国爲替の売却の予算も出しておるのです。或いは買取の予算も出しておられる。而もこの法文の第十八條によれば、各通貨別に予備費まで設けなければならんという規定があるのですから、それを未だに作つておらないということは非常に意外な御答弁だと思うのです。
  89. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 予算の作り方でございますが、予算の作り方には、最初外貨資金の状況が分らなければならないので、その状況は私共の管理委員会で十一月一日からその記帳の一部の移管を受けましておりますが、まだ資金全部についてはその移管を受けておりません。この法律が通りましたら、十二月中に予算を作成する、こういう運びになるのでありまして、その前に資金の状況これは例のオープン・アカウント、総合決済勘定でするものでありまして、なかなか複雑なんでありまして、その状況を審かにしましてから作成いたす、こういう段取になることと承知いたしております。
  90. 木内四郎

    ○木内四郎君 これから予算を作ると言われるが、予算を組んですでに国会に提出されているのですからね、外国爲替売拂の予算も買取の予算も出しておられる、而もあなた方のたてた法律によれば、十八條にそういうことがちやんと書いてある。それに基いて予算を出しておられるに拘わらず、これから予算を作るということは私は甚だ意外だ。
  91. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) その点は御説明に落しまして相済みませんでした。提出しました予算のあれは貿易の総額を予定しましたので、今のこれはドツジさんの指示ということであります。輸出入の総額を予算に組むという建前から取つたのでありまして、その必要上総額の見積りについてはしているわけであります。併しその内訳がどうなるか、而も通貨別にどうなるかということは、これから研究しなければならない問題であります。こういうようなわけであります。
  92. 木内四郎

    ○木内四郎君 ドツジさんはどうあろうともこういう法律ができている以上、この法律に依らない予算が出される筈がない。それをこの法律に依らないで計算した予算を出したというようなことを伺うと非常に困る。もう少し答弁を考えて、後からでもいいから次会にでも御答弁を願いたい。やはりの法律を出したら、この法律によつて予算を組んだのだと答弁して貰わないと困ります。
  93. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今の問題、そのまま留保しておいて頂いてよろしうございますか。
  94. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 今外国爲替管理委員会委員長の答弁いたしましたよう只今状況でありまするが、尚私共といたしましては、早急に御質問の要旨に副うよう一つ努力をいたすつもりでおります。
  95. 木内四郎

    ○木内四郎君 答弁は研究してから、差障りのない答弁をして頂きたい、委員長から御注意を願います。
  96. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 承知しました。  それでは午前の質疑は一応これで中止いたしまして、休憩に入りたいと思いますが、その前にちよつと申上げますが、今の資料の御注意もありましたし、その他政令関係を早く出して呉れという要望が非常に強いわけであります。輸出入関係は出ておりますが、その他の税制関係を一日も早く出して、そうして審議が早くできるよう一つ政府の方で御努力願いたいと思います。  それではこれで休憩いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時四十七分開会
  97. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では午前に引き続きまして連合委員会を開会いたします。  午前中に申上げましたように、午後からは参考人としてお願いいたしました次の五人の方、東京銀行の神野さん、それから日本商工会議所の荒木さん、東京商工会議所の吉田さん、第一物産の水上さん、東京貿易会の數原さん、以上五人の方から順次この外国爲替及び外国貿易管理法案についての参考意見を聽取いたしまして審議の参考にしたいと思います。大体おのおの二、三十分程度一つ重要点をお説明願いまして、後は参考人との質疑応答という恰好で進めたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこの順序に従いまして、最初東京銀行調査部長の神野正雄君を御紹介いたします。お願いいたします。
  99. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) それでは外国爲替及び外国貿易管理法案に対して考えたことを申上げたいと思います。何分にも非常に急いで、まだよくすつかり読んでございませんから、非常に粗雑なことしか申上げられませんが、大体の考えを申上げたいと思います。結論から先に申しますと、この法案は非常に我々としては双手を挙げて賛成であります。これは早く実現せらるべきものだと思つております。何故だと言いますと、大体世界的の問題と日本的の問題とに分けますが、各国で爲替管理を持つていない、貿易管理法を持つていない国というものは極く少ない。国際通貨基金も、外国爲替外国貿易というものは、全面的に経済が本格的に安定しないうちは、これは是非管理しなければならんという意向なのであります。今世界中で爲替管理貿易管理のない国は、アメリカ合衆国とガテマニア、サルバール、ハイチ、コスタリカ、そういうような小さな国で、全体合せて七つくらいでありまして、あとの国は全部爲替管理貿易管理をやつております。スイスもやつておりますけれども、スイスは普通の爲替管理とは逆でありまして、どうかして外貨を使うという方に重点を置いた爲替管理でありますから、ちよつと問題が違うと思います。こういうよう意味で世界爲替の動向からしまして、爲替管理を早く持つということが日本が一人前になる一つの要件であります。例えば今噂に非常に上つております講和会議という点におきましても、早くこういうものを完備して置かなければならん。完備して置く以上はちやちなものでなく、本格的なもので完備して行かなければならん。そういうふうに思うわけであります。この爲替管理法をお読みになりまして、恐らく非常に変つているので、驚く方があるかと思います。それは今までの官僚、今までのお役所が作りました法律とは相当違うのであります。非常にバタ臭い。例えて申しますと第二條に、この法律のこういう制限は大体段々減らして行く方針だ、逐次緩和、又は廃止をする目的を以て再検討するのだということが書いてあります。こういう條文を法律に入れるという芸当は、今までの日本の法律にはなかつたのであります。これから見ましてもこれは相当変つた、或る意味において非常に進んだ、今までの型を破つた法律だと思います。そういうところからも一つの世界的の匂いというものが、この日本の法律の中にも入り込んで来たということを痛感するわけであります。  それから日本の問題としましても貿易の振興、殊に輸出の振興は又不可欠の要素でありますが、貿易の振興には貿易の平常化が必要だ。それから外貨資金というものを日本側管理に移して貰うことも必要だ。そういうためにはどうしても爲替管理を作らなければいかん。それから若し講和会議後におきまして日本爲替の主権を或る程度つた曉に、爲替相場維持ということも問題になります。従つてそのときにおいても非常にはつきりした恒久的な爲替管理貿易管理立法が必要だということで、今日こういう法律案が出ておりますことは非常に賛成で、むしろ驚き過ぎるくらいだと思つております。ところでそれでは直接この法律について申しますと、この法律の非常によいと思われる点は、大体次の八つであります。  第一は、この一つの法律に貿易爲替に関する重要問題を大体全部網羅してある。そういう網羅的な法であるという意味において非常によろしい。  それから第二は、非常に簡単明瞭に法律的体系を以て述べられているという点であります。昔の外国爲替管理法を御覧になる方は、恐らくあれを読んでお分りになる人は普通ない。非常に條文が羅列的でありまして、ドイツ式立法なんであります。そういうものに比べて非常に大きなコントラスをなしております。  それから第三の非常にいいと思います点は、相当その時々によつて機動性を持たしておるという点です。これはいい点であると同時に多少心配になる点でありますけれども、恒久立法としての機動性も備えているという点であります。  それから第四には、通貨基金の協定の精神に則つて、これが作られておること、ドイツにおきましては大体昨年の暮あたりに、時間ははつきり分りませんけれども、これに似たものが政府の措置として出ておるようであります。それを見ましても大体これに似ておる。例えば爲替のレートを、單一レートを、基準レートを作るという問題、それから基準レートと売買相場の開きを作つて置くという点なんかは、国際通貨基金でこういうことを決めろということを要求しておりますところに則つております。その点でも将来の爲替界に日本が参加する場合に、非常にこういう法律を持つておるということが強味ではないかというふうに思います。  それからその次は、この法律は非常に恒久立法をしておる、と同時に暫定的の要素を配しておるという点です。これも大体世界的に爲替管理貿易管理の條項を見ておりますと、段々そういうふうな傾向になつて行き、昔のように小さなことを全部法律に盛るという傾向はなくなつておるようであります。その点においてもこれは世界的の一つの風潮といいますか、それに則つておるという点で、まあ優れておりはせんかと思います。  それから第六には、爲替管理貿易管理のその制限を最小限度に止める。そうして先程申しましたように、第二條でこれは将来更に緩和するのだというような方針を掲げて、日本貿易の正常化或いは自由化という点に非常に大きなグランテイーを掲げておるという点で、非常に日本としても好ましい行き方ではないかと思うのであります。  それからその次に第七としましては、ここに閣僚審議会というものが設けられる、そうしてそれが外国爲替予算を作成する、外国爲替予算制を採用したという点、十六條から二十條、こういう点が非常に日本としても大切な点で、こういう重要な立法がなされておるということが非常に好ましい。殊に日本としては講和会議後の爲替相場維持の問題、それから外貨の少い日本としては外貨資金の効率的な運用ということが最も大切なんであります。こういう重要な、而も今まで爲替管理貿易管理がなかつたものが、ここに入つた爲替予算制なんというものは、非常に好ましいものだと思います。  それから最後に第八は、これは属地主義を取つておる、従つて外人、外商もこの制限の下に服さなければならんという大方針を謳つてある点であります。実際問題といたしましてはいろいろの問題がありまして、果してこの通り行くかどうか分らないという説も多いのでありますけれども、それはこの法律が今の状態よりも、ちよつと先の状態を想定して作られておるものであつて、例えば講和会議後において、或いは講和会議前でも、外人との協定において、これに服従するということは必ずしもできないわけではない。その点において非常に危惧されておりましたところの外人尊重性、一種経済治外法権ができるのではないかという危惧の一つに、回答を與えたものとして、これは非常に我々としては重要現しておるわけであります。何としましても日本商社或いは日本銀行が、貿易界、爲替界に活躍しなければ、本当の日本貿易爲替の復活というものはあり得ない。この点において外人に、或いは外商に勝手なことをさせて置くということは、非常に将来日本貿易爲替の障害になります。その意味においてこういう属地主義の法律が採られたということが非常に好ましい。この問題は非常に詳しく申しますと限りがありませんけれども、大体属地主義賛成ということは、ここでくだくだしく申上げるまでもないかと思います。  大体こういうような八つばかり、非常にこの法律に優れた点があると思うのであります。その意味におきまして最初私が申上げたように、この法律はもう我々としては全面的に賛成なのであります。ただ法律そのものではなくして、この法律の運用の点において果してうまく行くかどうかという、多少の危惧の念をちよつと申上げて見ますれば、これは委任立法が非常に多い。この條文を御覧になると政令の規定を除いてはどうこうという條文が非常に多いのであります。これは先程申しましたように機動性を持たせるという点で非常に優れておると同時に、若しもこの恒久法の本当の精神を汲まないで、勝手に政令を出されるというようなことがあれば、この法律の精神は蹂躙されてしまうのじやないかという危惧もあります。それから政令というものは時々刻々割合簡単に変るものであつて従つていつどう変るか分らないという多少の心配もあるわけであります。それからもう一つこの委任立法が多いと、勢い各省間の権限争いが非常に多くなつて我々としては非常に迷惑です。そういうようなことが多いので、多少委任立法の多過ぎるという点に危惧の念を抱いておりますけれども、ただこれは昔の爲替管理法でもこれに劣らないぐらい委任をやつておる。従つてこの点だけを挙げて、特にこの法律の欠点とするわけには行かないのではないかと思います。それからこの法律は先程申上げましたように、まだ客観的情勢がそこまで熟していない時に、ちよつと先のところを想定して立法されておる。従つて来年三月までにこれにいろいろな法律、政令が揃うというような所を見ましても、ちよつと先の状態を予想しておる。従つてそこへ行くまでのギヤツプをどういうふうに埋めて行くか、この運用が非常にむずかしいのじやないか。それからタイムの問題もありますので、相当馬力をかけていろいろな、例えば爲替レートの問題であるとか、外貨資金の問題であるとか、そういう問題を駒を揃えてずつと成るべく早く解決しないとこれがワークしない、こういうことになります。そのギャップの埋め方が非常にむずかしいのじやないかと思います。それから先程最後にちよつと申上げましたように、内外人平等の原則である以上は、これを厳守しなければならんのでありますけれども、今の客観的情勢において、果してこの制度に内外人の代表の全面的なサポート、或いは服従が得られるかどうかという点に危惧の念を持つておるのであります。それからもう一つは、各省の非常に分担がややこしくなつておる。この法律によりますと大蔵大臣相場を決定したり、最低相場維持したりする点、並びに取引通貨の指定であるとか、外国銀行とか両替商の設立の認可、そういうものを與える権限を持つておる。委員会外国爲替の売買の操作であるとか、外国銀行のコルレスを承認する権限とか、それから手数料、そういうものを決める権限を持つております。それから通産省は特定の貨物、或いは特定の取引、或いはそれに対する決済についての承認であるとか、それから法令違反者に対する輸出入の禁止、それから船積の非常差止め、それから税関長の指揮監督、そういうようないろいろの権限を持つております。これは一応何となく体系付けられておるように見えますけれども、こういうよう権限がそこら中にばらばら置かれていて、果してうまく行くものかどうか。今までのお役所の実績から言いまして、権限争いで又我々民間が苦しむというようなことがないだろうか、というようなことをちよつと心配いたします。例えば外国爲替銀行の設立の認可は大蔵大臣がやる、これは第十條であります。それからコルレスの承認は外国爲替委員会、これが十一條、それからその処罰関係は又大蔵省に持つてつてある、これは十三條であります。こういうふうに何となくあつちに飛んだり、こつちに飛んだりするような感じがするということが非常に心配な点でありまして、この点において官庁機構の簡素化或いは明確化ということが、これに伴つて行われた方がよいのじやないかと思います。  それから最後にこれは政令に讓つてありますから同じことでありますけれども、外資導入に関しこの利潤の回金の規定がここにはつきり書いてない。それは政令に讓つてありますから、政令で規定すればよいのでありますけれども、これは恒久立法であつて外国に表向きに出るのはこれだけである。これだけ見ますと何か一般的な制限だけでありまして、果して外資を導入しても利潤を回金できるのかどうかということが、これだけではばつとして分らない。むしろできないのじやないかというふうにとられ易い。従つてむしろ慾を言えばこういうところにそういう條文を入れた方が、外資導入の場合によいのじやないかということも考えられます。併しながらこれは政令か何かで極めて的確にそういうものが、出ますれば或いはそういう危惧も解消するのじやないか、そういうふうに思う次第でありまして、大体法律のよい、或いは心配になるというところを述べれば、以上のようなものであります。  これを総括いたしますれば、世界の爲替の動向からしましても日本の現状からしましても、この法律は非常によい。今のいろいろな危惧の点はありますけれども、そういうものは外の点でカバーできるものでありまして、我々としては非常に賛成しております。大体私の言うことは以上であります。
  100. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。  次に東京商工会議所の吉田政治さんにお願いいたします。
  101. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) この法令が出ることは非常に望ましい、我々が期待しておつたということは神野さんのお話通りであります。それからこれの長所を神野さんから非常に詳しくお述べになりました。もうこれ以上長所を申上げる必要はないと思いますので、短所の方を申上げて見たいと思います。短所と言つてもそう大してないと思いますが、事実この中に渡れておることで大事なことが沢山あるのじやないかと思います。それから最後に各條項の字句等につきましても少しずつ気がついたことを申上げたいと思います。  今日輸出入貿易を最も重要とする日本経済再建の立場から見まして、輸出入爲替が自由になるということは非常に結構なんでありますが、輸入品の制限というものをどういうよう政令でお決めになるか分りませんけれども、先般ローガン氏などのお話によりますと、保護的の考えは一切ない。こういうお話なんですが、これは法令には決められないことかとは思いますけれども、保護主義というものを全然加えない輸入というものをやつたときには、日本産業は忽ち非常な打撃を受けるのじやないかと思うのです。こういう点におきましてどれ程の手加減が今後加えられるか、これは非常に重大な問題と思います。国会等において余程よく御審議を願いたいと思います。  それからもう一つの問題は、日本爲替銀行外国銀行との関係ですが、これは神野さんからも今お話がありまして、今度の法律は属地主義になつておるから、外国銀行の特別の優越権は認めないということになつておるのは結構であるというようお話で、それはその通りでありますが、同じ立場に今日同じように置きましたならば、日本銀行が非常な不利な立場に立つことは明らかと思います。この点は今少し何らかの点で規則が設けられて、そうして大蔵省なり、法案なりの示すところによりまして、それに従わなければ外国銀行仕事ができないというよう一つの拘束があつてもよいのではないかと私は考えるわけです。それから法案そのものとしましては、今も委任條項が多過ぎるというお話でありましたが、私も同感で、余りに政令に譲るというようなことがある。その政令を見ますと、又譲るということになつてつて、委任事項が多過ぎるのではないかと思つております。  それからもう一つ、各條項の中によく「ことがある」ということになつて、非常に「ことがある」「ことがある」、何々する「ことがある」と、こう書いてあるんですが、これ又甚だ曖昧な点が多く、こういう点はもう少しはつきりされて、これはいけない、これはよいということをお決めになつてもよいのではないかという点が、相当あるようにも思うのであります。或いはそれは決めにくいという点があるかも知れませんが……。  それからもう一つは、先程神野さんから大変お褒めになつて、私も非常に意外に、初めて見たんですが、この第二條が如何にも面白い規定と思いますが、これはこれを以て拘束の最大限度を示したものであつて、これ以上拘束しない、順次緩和する、こういう気持で作られたと思いますが、一方立案者の気持は非常によく分りますが、これで足りない所を補うということを、もう少しこの先まで御親切にお書きになればお書きになつてもよいと思います。これで十分だと思わして、これ以外のことはないのだというように感じますが、どうも人間の考えることではそうは行きませず、情勢が変化するに従つてもつと必要が起つて来るのではないか。この中に盛られておる以外のものがあるのじやないか。全部これで網羅してあるという気持が、ここに出過ぎておるのじやないかと思いますが、これは用語上の問題かも知れません。  それから條項別にちよつと気付いたことをもう一つ、これは内容に触れますが、四條の外国爲替管理委員会というものが現在はあるわけですが、これがどういうように……今後新らしい制度になると思いますが、これに関しては何もありませんけれども、これ又国会等におきまして御審議の節は、従来よりは今少し民間の経験者なり或いは実際関係者というような者が、もう少し参與し得るよう方法を取られた方がよいのではないかと思つております。  それから極めて些細なことになつて行きますが、第六條の第七号の定義には、支拂手段とは信用上の手段のようになつておりますが、あそこに木内さんがおられますから、それでもよいのかと思いますが、どうかと思います。それから第七條に、「大蔵大臣は、各外国通貨について正しい裁定外国爲替相場を決定し、維持しなければならない。」ということがありますが、裁定という言葉も、これはアービトレイトなんですから、裁定という言葉を使つてもいいのですが、三つの貨幣があつた場合に、裁定という言葉を対外相場一つ一つに対して、裁定という言葉を使うのは従来の少くとも我々が、私共予備、後備に入つておりますけれども、考えますと、変に思いました。  もう一つは、大蔵大臣爲替相場維持しなければならないということは、私は少し大蔵大臣に荷物を掛け過ぎておる。それは日本国民全体の力で、維持しなければならない問題であつて大蔵大臣維持のために特殊の対策を取ることがあるという意味のことをお書きになるのは、これは極めて尤もなことで、その意味がこの條項には出ておりませんから、これは大蔵大臣爲替相場維持のための何らかの処置を取るものだということを一つお示し願いたい。外は大変親切に出ているんですから、そのくらいはお書きになつてもよいので、大蔵大臣維持しなければならない、こう書くのは少しどうかと思うのです。それから同じく第七條の第四号に取扱手数料というのがありますが、この取扱手数料というのは外国爲替を売買して置いて、その外に又手数料を取るのか、或いは売買しないところから取るのか、このところが読む人にして見れば何が手数料になるのか分らないので、爲替売買後更に手数料を取るというようなことをやられたのじや、貿易業者としては甚だ困りますから手数料とば何ぞやということは、一つ分るようにして置いて頂いてもいいのじやないかと思うのです。それから第五号に外国爲替の直物として電信又は一覧拂とありますが、この電信拂とデマンド一覧拂とは同じ率になるような行き方に書いてありますが、これは一覧拂のものは日数等を要する場合は、ときによつては相当まあ一月もかかるような場合もあると思いますので、一覧拂の相場と電信拂とは同じ場合もあるし、同じくない場合もあり得る筈でありまして、これを一つにして書いて置くのはどうかと思います。それからその次に、同じ條項のうちに百分の一、この基準相場に対して百分の一という開きが認めてありますが、これは戰前等に普通例えば一シリング二ペンスの爲替のときに十六分の一から六十四分の一ぐらいの開きを持つておりましたから、これは百分の一とマキシマムを示しておるのだろうと思いますけれども、少し大きくなり過ぎるのじやないかと思いますが、それくらい取つてもいいかも知れませんが、このところはどうかと考えます。それから爲替相場を定めるときにこのくらいまでお決めになるならば電信料、それからその他売買相場手数料等を、一番日本銀行外国銀行との対立の場合に重大な問題はユーザンスに対する開きであります。これが日本金利外国金利との相違から、例えば三ヶ月後とか六十日後とかいうようなことによつて、非常な開きが出て来るわけです。そういう点までもお決めになる必要がないというお考えならばそれでもよろしいかに思いますが、そこに今後実際の上におきましては多くの問題が出るのじやないかと考えるのであります。  それから第十條に入りまして、大蔵大臣が一旦認可を與えておつた銀行に対して外国の信用が不十分であり、職員が足りないからと言つて取消すことができる、こういうことは如何にも大蔵大臣としても不見識極まる規則だと思います。若しそういうよう銀行なら初めから認可を與えなきやいいのであります。何か間違つた行爲がその後に出たときには、それは認可は取消してもいいわけでありますが、外国の信用が不十分であるとか、或いはその職員が足りないからと言つて、認可を與えたものを後から取消すということを先ず法律に初めから書いて置く、如何にも誠に幼稚な不安心なやり方に見えますから、これは何かの方法にお変えになつた方がいいのじやないかと思います。それからこれは又定義で、第十四條その他に両替商というものがありますが、両替というのはどういうものか、初めは用語の定義が非常に詳しくしてありますが、両替というものについては定義がないのですが、貴金属の方におきましては殆んど想像し得ないものまでもいろいろと入つおりますが、両替商とは何ぞやというようなこと、外国銀行とは何ぞやというようなことは書いてありませんけれども、この両替というのは外国通貨の流通を認めない場合に、両替商というものが、国内に外国通貨の流通、流通というとおかしいのですが、存在を認めない場合にもあるとは思いますけれども……、相当あることを予定されておられるかと思うのでありますが、その外の意味で出ておるかも知れませんが、両替ということをもう少しはつきりする必要があるのじやないかと思います。それからこの前に「ことがある」という場合のところで申しましたがこの法案がその通り行きまして、外貨集中の條項でありますが、これが金の強制買上げということもあり得るようなことに考えられるのでありますが、この点が今少しはつきりした方がいいのじやないかと思うのであむます。今私特別の対案もありませんが、この点についてはもう少し外の書き方が、決め方があるのじやなかろうかと思つております。  それから細かいことでありますが、例えば四十三條に外人のために用役をなしたるときは必ず報償を取らなければならんと、こういうことがありますが、こういうことはどうなんでしようか、何か少し無理に規定し過ぎておるように感ずるのです。外人のために用役をすることもいろいろあるのじやなかろうか、無報償の用役もあり得るのじやなかろうかと思います。そのこともどうかと思います。  そうして初めにも申しましたよう輸出入の許可、特に許可を要する場合のこの各條項というものが、どういう品目がどういう範囲内において許されるかということが明白になることが、国民業者にとつては最も重大なる問題でありまして、これをいつも頭に入れて国民としては輸出入関係考えておるわけであります。今少し明白になるべく早く而も適当なる示し方をして頂きたいと思います。  それから外国輸入爲替をやるときには、常に担保を要するということになつております。これは銀行が信用状を発行するという場合ならばそれで担保がなくともいいのじやないか、或いは信用状というものが担保のうちに含まれておるか知れませんが、この規定ではすべて担保の要るような式に書いてありますが、これももう少し変つていいじやないかと思つております。  少し間違つた考え方で、私、今日書初めて参りまして、それから直ぐ思いついた点だけを申上げたので、十分考慮しておりませんから、間違いがありましたら訂正いたしますが、大体感じましたことだけを申上げます。
  102. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。続きまして第一物産の水上さんに一つお願いいたします。
  103. 水上達三

    参考人(水上達三君) この法律は今までの日本貿易の統制の段階というよう意味から申しまして、非常に機宜を得た、而も将来に対処し得る体制をとつた法律だという意味におきまして賛成します。ただこの講和会議が成立しまして、日本が将来国際通貨基金に参加し得るような体制を整備するための、いわば恒久法のようなものとして差支ないものと考えておりますのですが、前の方々が言われたようにこの法律はその必要の現象に伴い、逐次緩和又は対処する目的で再検討するという特殊の使命を持つておるものと考えておりますので、今後の推移につきましては非常に重要なる注意を抑うべきものと考えます。  それで通覧いたしまするに、大体いわゆるローガン方式というものが基本になつて、こういうものができたのじやないかと考えられる節も相当あるのでありますが、前の方々が言われたように非常にこの運営に、或いは委任事項が多過ぎる。そのために各省間に跨がつておるところの問題が多いことでもあり、我々業者といたしますると非常に迷惑することがあるのじやないかというふうな感じを相当懐かせられる。従つてこの運営委任事項につきましては、委任事項をできるだけ少くすると同時に、運営に万全を期すということにつきまして特に希望して置く次第であります。  それから特に私の関係の深い点について申述べますというと、輸出輸入の項でございますが、第五十條「貨物を輸出する者は、当該貨物の最終仕向国における不公正な競争の禁止に関する法令を十分考慮した上で輸出しなければならない。」これは勿論そうでありまするが、日本の現在の貿易業者の実態におきましては、こういうことを十分考慮はするでありましようが、することができない人が相当おるんじやないかと思います。こういうことに対して、適切な措置が予め講ぜられなければ、日本貿易の振興に相当な阻害を與えるということが、危惧されるわけであります。それから現在の協定貿易の大部分を、協定貿易によつて貿易をしておるというような状態におきましては、協定貿易の内容なり、その進捗の状況というものを相当詳しく、而も適期に的確に発表して頂かないというと、業者としては、こういう法律によつて縛られたところの條件を厳守することが、不可能になるのじやないかと考えております。勿論この法律に附帯するいろんな事項、政令その他必要なる事項につきましては、適当な時期にできるだけ早く公表されるものとは考えまするが、その点については、特に留意を促す次第であります。それから、これは貿易業者としては、誰も皆そう考える点だと思いますが、第五十五條の「貨物を輸入ようとする者は、政令で定めるところにより、当該輸入の実行を保証するために、保証金、証券その他の担保を提供する義務を課せられることがある。」これは実際にないならば問題がありませんが、実際にこれはあることだと思うのですが、これの金額なり、額というものにつきましては、愼重に考慮して決められたいと思います。  それから属地主義で徹底しておる法律であるようでありますが、必ずしもこの属地主義の法律が、例えば外商外人というものに対して行われていないというふうな点があるんじやないかという点も心配される。これは絶対に同一の條件に外人外商が置かれるような措置を講じて貰うと同時に、その実際の運営について果してそうやれるかどうかという点を確かめて頂くことが望ましいと思います。御承知ように、日本の現在の貿易の状態で行きますというと、先ずこういう外国爲替管理法案の成立によりまして、各貿易業者は海外の大貿易商と太刀打ちして行かなければならないような状態になるのでありますから、そういう場合に、今考えるだけでも船の問題とか、金利の問題とか、外に算え挙げれば数限りない不利不便の條件に甘んじてやつているのであります。従つてこういう法律で縛る以上は、全部平等に縛つて頂きたいという、まあ分り易く言うとそういうことになるのであります。  それからこれは先程も申上げましたし、前の方々もおつしやられておりまするが、成るべく官庁といいますか、この統制の機構を一本化して頂きたいという点であります。これは従来例えば肥料問題で農林、商工、爲替問題につきましてもいろいろと問題がございまして、業者といたしますると、一つ仕事につきまして書類も同じものを、ときによりますと十通以上も作らなければならない、又その数だけの窓口を通らなければ、一つのものが欠けてもその申請なり何なりが通らないというふうなことで、国際競争を本にして立つところの外国貿易につきましては、特にそういう点を留意されまして、幸い外国爲替管理委員会というものに相当な権限を與えてやるようになつているのでありますから、思い切つてその権限をここに付與して、仕事の円滑適切な行動ができるように措置して頂きたいと、こう考えている次第であります。  その外のことにつきましては、前の方から詳しくおつしやられましたので省略いたします。
  104. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。  次に東京貿易会の數原さんにお願いいたします。
  105. 數原三郎

    参考人(數原三郎君) 先程から皆さんが縷々御開陳になりまして、私共考えておりますることはほぼ完全な方法お話になつておりまするから、敢て重ねて申上げませんし、又その逐條的の研究もできておりませんので、簡單に中小工業、輸出品の中小メーカー及び中小貿易業者立場から簡単に申上げたいと思います。  先程からお話の出たごとく、この法律は、日本爲替及び貿易日本政府にその管理が移されるということになる以上、この程度の法律は必然的に必要でありまして、大体において必要にして十分な程度のものであるということが言えると思うのであります。ただお話場の出たごとく、如何にも政令委任事項が多いのでありまして、これは又当然のことであります。時々刻々変つて行くことを処理して行くのでありまするから、政令に委任せられることができるだけ多い方がこれ又必要でありましよう従つてかかつて運用にあるのであります。この法律の効果如何はかかつてその運用にあると思うのでありまするから、これ又いたし方ないことと思います。由来今日まで貿易のみならずすべての産業の統制等は如何にも煩雑でありまして、これがために特に中小企業の受ける困難は非常なものでありまして、従つて良い品物を安く作ろう、これは今日輸出に課せられた大きな命題であります。良い物を安く作れと言われても、今までのような煩雑な手続では到底できないのであります。従つて輸出品に限らずすべて中小企業の生産品というものは、大体において戦前からも過剰人口と過剰物資との所産品でありまするから、深刻な競争の下に生れて出て来た品物であります。煩雑な手続とむずかしい統制下にあつたのでは、到底良い品物は安くはできないのであります。それと同じよう貿易手続においても、できるだけ簡単に創意を活かして商売のできるようにすることが絶対に必要であります。只今までのところではどうしても中小輸出業者は、その手続或いは間接費が嵩むために、大貿易業者と太刀打ちできないような状態に相成つております。今後そういう隘路の撤廃されるに従つて、中小貿易業者の進出も亦期待し得ると思うのでありまするから、こういう法案もできるだけ手続を簡素にして、間接経費の嵩まないようにすることが誠に必要だと思います。尚先程のお話ちよちよい出ておりまするように、各省間の関係事項はできるだけ一ケ所にまとめて委任されて、簡單にその処理ができるような考慮が最も必要であるということ、その他考えておりましたことはありましたけれども、すでに皆さんお述べになつたことでありますから、結論としてはこの程度の法律は必要にして十分なものであると思うことと、この運用についてはできるだけ簡素に行われるようにその運用に留意して貰いたい、以上を申上げて私の陳述を終ります。
  106. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。  最後に、日本商工会議所の荒木さんにお願いいたします。
  107. 荒木光太郎

    参考人(荒木光太郎君) 本日こちらから、何か委員会に出て意見を述べろということでありましたが、非常に急でありまして、私の従来考えておつたことを申述べるに過ぎないと思います。個々の條文について一々申上げることができないと思いますが、大体拝見いたしましたところ、その簡素化という点においては非常に結構にできておると思います。ただ私は今貿易会の副会長の方からお話がございましたように、実際はこれらの法律はやはり運営にあるのだと思います。その点から申しますというと、この中にあります重要なところが相当に政令等に委任されておることでありまして、例えば重要な審議会構成とか、或いは外国爲替委員会構成とかいうような点については、どういうようにできるのであるか、その点についてはつきりしないと思います。殊に爲替予算というものは重要な問題であつて、これがどういうふうにできるのかということについても、これだけでは私は分らないので、その意味から、これだけで批判しろというのは無理じやないかと思います。それで例えばこの審議会を作つて、これが重要な役目をいたしますが、この場合に一体官僚ばかりで以てやるのか、或いは民間意見もそこに述べる機会が與えられるのかどうかという点は、一つ十分考えて頂きたい点だと思います。又外国爲替委員会についても、その構成がどういうように今度法律によつてできるのか、これもはつきりいたしませんが、これらについてもここで例えば爲替相場決定ということがあるのでありますが、爲替相場の決定ということは重要なことであつて、今後の貿易に重大なる関係を持つているということは申すまでもありません。併し例の国際通貨、基金に加入する場合を考えますというと、そこに当嵌まるところの相場というものが基礎になつて、それが更に実際の売買には時価幾らになるかというような修正を以てできるのではないかと思いますが、それらについても、その爲替相場の決定というものがどういうふうにして決まるのか、どこでどういうよう手続で決まるのか、それらの点についても重要な問題であるので、その点がはつきりしなければならないのじやないかと思います。又爲替予算でありますが、この予算のことも十七條か十六條にあるようでありますが、これは非常に重大であつて、どれだけの予算が割当てられ、又どれだけ各人に割当ができるか、或いは各業種別に割当ができるかということは、これは日本貿易の全政策に関係する問題であります。従つて一体この割当というものはどういう機構によつてこれを定めて行くのか、これらについてもただ一部のいわゆる政府だけの問題としてこれを決められるのであるかどうか、この点についても一つ十分の御考慮を願いたいと思います。殊に先程もお話がございました統制というものは、今後の戰争後の統制は、これは従来の官僚統制と違つていわゆる自主的な統制であり、又民主的な統制でなければならん。その意味におきまして、十分民間の声を入れて、そうしてここにでき上るものでなければならないと思いますので、それらの点が果して十分行くかどうか、これは只今お話がございました運営という点にあるのであつて、その点から申すならば、今後どういうよう方法によつてそれができるか、その点に特に御注意を願いたいと思うのであります。私はこの相当の部分がここにちよつと勘定いたしましても、五、六十以上のものが皆細かい点は政令に讓つてあるようでありますが、この点がはつきりしませんというと、全体としての運営がどうなるかということは、ちよつと私としては判断がつかないのではないか、この法律だけを拝見いたしますと、これは最小限度の統制に必要な條項は載つておると考えます。併し問題はそれをどうするという点、例えば先程申上げました爲替予算の問題、それから閣僚審議会の問題、それから外国為替委員会構成爲替相場の決定というような点について、もう少し詳しくこの中に規定されなければ、私はこの問題の運営の上においてどうなるだろうかという予想はつかないと思うのであります。簡單でありますがこれだけ申上げます。
  108. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。これで一応の参考意見の御開陳が終了したわけでありまして、質疑に入るわけでありますが、若しできましたならば、特に木内委員長あたりから、今の参考人から特に出された問題、或いは輸入補償金の問題、或いは、外銀、外商に対する問題、産業保護の問題、それから官庁の官吏機構の問題等につきまして、政府において考えておられる点を一つ述べて頂いたらどうかと思います。
  109. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 御注文によりまして、今の点について知つております限り、これは必ずしも私の権限事項でないのでありまして、又すでに決まつておることばかりはありませんので、これから研究さるべきこともあるのでありますが、この法案意味の御理解に資するため、私の知つておる範囲を御参考までに述べさせて頂きます。  私、うつかりしてメモを取つておらなかつたので、おつしやいました点をなかなか網羅できないかと思いますが、大体現状においてはこれは適切な法律であるということをおつしやつて下さいました方が多いので、大変嬉しく存じます。大きな問題、小さな問題、いろいろございますが、その中で先ず小さい方から申上げますと、相場に関しては大蔵大臣に大きな権限をとおつしやいましたが、それは第七條第二項の維持という問題なんですが、これは裁定相場を決定したら、それを勝手に変えてはいけないという意味維持でありまして、全体の相場は第一項の方の基準の相場、この問題であるのであります。これは今朝程和田委員から御質疑がありまして、技術的には問題はない。何となれば予算であるのだから問題はない。但しその相場日本経済全体として持てないようになるかも知れないから、これは政府の政策全部の問題であるというような問題が出ましたが、これはそういう意味であります。  それから裁定相場について御質問がありましたが、ここで言つております意味はこういうことなのであります。例えば対米三百六十円と決めたならば、国際通貨基金に登録してあるポンドの相場はニドル八十セントならば、三百六十円へニドル八十セントを掛け合せて、それを対英相場にしろ。正に御指摘のありました通り、三角関係のことを言つておるのでありまして、これはそういう意味であります。  尚外国爲替管理委員会相場を決める場合もあるのでありますが、これが非常な責任ように言われたのであります。責任には違いありませんが、いずれに決めましても百分の一以上の開きがあつてはならないのでありまして、百分の一と申しますと、三百六十円に対してつまり三円六十銭は上下に開いてもいいということであります。これは国際通貨基金に入つておる国々が一律にこの條件を通貨基金として謳つておる次第でありまして、それをそのままに将来参加のことも考えて採用したのでありまして、事実は三円六十銭開かせるというようなことは殆んどあり得ない、それよりずつと小さいことを考えております。その程度でしかないわけであります。つまり実際の爲替に使いますときには、細かい何十銭といつたところで動くわけであります。その程度のこれは商売に属することなので、それが爲替管理委員会に任してある次第であります。大体そのくらいのことで、相場に対して疑問にされたようでありますが、それを申上げて、相場はそのくらにいたします。  あと大きな問題として、権限の問題、これは成る程御指摘のありました通り、この法律に現われておりますところは、方々権限が分散したように見えておりますが、その一つの理由は、貿易爲替を一括して規定したためであります。従来は全く別の法律で規定してありましたが、それをここにこうして一つにして規定したのであります。貿易爲替とは裏腹になつて実は一つなのでありますから、それを二つの法律で扱つたものを一つの法律にして出した方がずつと簡素になつておるのでありまして、この点は余り御心配下さらんでもいいと思います。ただ権限関係が少し不明確になりましたのは、新たに外国爲替管理委員会というものが入つたからでありますが、これが例えば爲替管理に関する権限は、大蔵大臣に一括して委して行くということにすれば、成る程見た目はそれが簡單であります、構成的には……。併しわざわざ管理委員会を作りましたわけは、大蔵大臣でありますと他のこともありますが、同時に爲替許可、つまり誰が爲替を使つていいかということも、おのずから言う場合が出て来るであろう。そうしますと、それが使う立場といいますか、或いは使わせる立場といいますか、それを使う方の立場であります。それに対してお金の番人をする立場というものを別個の官庁にして、大蔵大臣の掣肘を受けない他の官庁にする方が監督は正確に行くのだということが、最近は諸外国でも採用されておるそうであります、その点を採つたのであります。そのために権限官庁がこの法律の上では一つ殖えたから成る程紛更するように見えておりますが、事実においてはその意味でありまして、従つて大蔵大臣爲替管理委員会との権限の分界ははつきり立て得る。外貨に関してはお金を使つて貿易をしておる方ということになります。相場の方の問題なんかはこれは運営でありますが、これは基礎的なものが大蔵大臣であつて、オペレーシヨンと申しますか、資金運営に属するものが管理委員会、これは限界は必ずしも画するに難からずでありまして、先ず画し得ておるものと存じております。この点は只今お話し下さいました方々はこの法律だけを御覧になりまして、爲替管理委員会の設置法案を御覧になつていないのではないかとそう思うのであります。別途設立いたしますような設置法案がございます。その点はそれによつてはつきりしておると私共は考えております。  次は予算でありますが、外貨予算の組み方ということは午前中も質問がありまして、私お答えしたのですが、甚だお答えの言葉がまずかつたと思つておるわけでありまして、改めて言わして頂きます。すでに提出になつております予算なるものは、あれは円の予算であつて、最近の予算貿易の総額というものを貿易会計、それから分離しました爲替会計というもので、輸出は全部円の拂出し、輸入は全部円の受入れと、こういう体裁で出すことになつておりますが、かくのごときやり方がいいか悪いかについては聊か議論がございますが、現在はそうなつておる。その予算が提出されておるわけであります。これは日本貿易と、貿易外を込めまして外貨の受取、外貨の支拂、全額を算定したその円の概算であります。それに対してこの法律で言つております予算なるものはそれとは少し気分が違うのであつて、これは外貨を使う予算なんであります。言い換えれば、それだけの予定されたよう輸出があつて従つてこれだけ輸入し得るということが決まりましたならば、それをどういうふうに配分するのだ、商品にすればどういうふうに配分するのだということを月々、又時期的には月割りにすればどういうふうに配分するかということを考えまして、最も適切に組んで行こうこうなるわけであります。これはすでに提出いたしました円の予算で、日本の現実に使い得る予算である。これはまだ遺憾ながら、それがどういうものであろうかということについては十二月中に私共急いで立案をいたしまして、一月からその構想によつてつて行きたいと考えております。十二月中は大いに勉強を要するのでありますが、現在は遺憾ながらそこまで来ておりませんので、どうなるかということをお示しできないのを残念に思います。もう少しその点について追加いたしますと、これは今朝程も説明がありましたが、補足の意味でありますが、年間の中で或る程度の、ラフではありましようが、一つ構想を持たなければ無論駄目であります。その構想予算になつて、現に先程申上げました円の予算になつて出ておるわけであります。それを使うに関しては現実に現在使い得る金、現実に使い得る金というものを大体三ケ月先を予想して、十二月中には一月乃至三月の予算を組み、その実施の状況を眺めながら一月には二月乃至四月ですか、三ヶ月先を組む、一ヶ月先にずらして組んで行く、こういう構想考えております。多分それになると思います。これは審議会の決めることでありまして、私は多分そうなることであろうという、持合せております知識を申上げるわけでありますが、そうなると、それの中に民間人の採用があるかというお話でありましたが、その原案を作る者は多分安本貿易局あたりになるのではないかと思いますが、そこにおいて民間意見を十分に斟酌する余地はあると思います。多分そういうふうにお努めになるのではないかと思います。併しその予算なるものはそういうふうに頻繁に出て来るものでありますけれども、恐らくその全貌は公表されるものと思うのであります。そうしますとその予算を見て世間に活発な論議が行われて来るのであります。日本の貴重なる外貨というものをどう使うかということに対しては、民間は敢て官庁に出頭して意見を述べなくても、非常な関心を持ち、知識を持ち、その結果が又時々刻々現われて来ることになりますから、一つの輿論がそこに形成されて来るのであります。政府にしてその輿論を巧みに取入れたならば、非常に良い運営ができるのではないかと、こう思つております。  それだけにしまして、あと委任立法が非常に多いというお話、これは誠に御尤もであります。実は少し打あけ話になりますが、この法律を作ろうと決心しましたのは八月の初めでありまして、それから私共の委員会、大蔵省、通産省、安本、その他の省の方も時々参與して頂きましたが、研究を始めまして一つの案でありますが作りました。その時の案の構想は、委任立法は成るべくよそう、且つ成るべく必要な部分だけを取ろう、言い換えれば穴があつてもそれは敢て問わない。日本の現状として是非必要なことだけはしつかり押えて、後はまあ多少小さな魚の逃げることは構わないで行こう。その方が管理法というもの一切が分り易くできていい。且つその中に若干手続のことを謳つて爲替管理というものはどういうふうに行われるのだということが、一見して世間の方にも分つて頂けるということを狙いに、実は書いておつたのであります。ところがその後にいろいろありましたことは、一つはローガン氏の来朝であり、私共の考えておりませんでした構想を教えて貰うことができたのであります。司令部には外のミツシヨンも参りましたが、なかんずく大きな影響を與えたのは村田博士の説であります。このお方の説を伺いましたが、成る程それは私共の考えておつたことも一つの行き方であるが、それでは如何にも抜け穴が多くて、専門家が見ればそれは頼りない立法になる。成る程確かにその通りであります。私共はその頼りなさは構わないが、素人分りといいますか、どんな者が見てもよく分るということが、尊いと考えて来たのでありますが、余り抜け穴の多い法律を作りましたのでは、こういうぼやぼやした法律を持つておる国であつて爲替管理はうまく行かないであろう、行かなければ例えば日本に投資してもその利拂というものは、ついでながら申しますが、その利拂は予算に組むことによつて信用を博すということになるだろうと思いますが、管理自体が抜け穴が多いものであつては、それではやはり国際的信用は得られないということがありました。且つ諸国は実際手続等は相手もあることでありますから、相手が例えば爲替管理を施行する、その手続を変える、そうするとそれに即応して変わらなければならんよう関係がある以上、皆委任立法になつておる。その点を余り気にするのは行き過ぎだというよう意見がありました。それでいろいろ審議の末その意見に磨いたわけであります。従つてこういうふうな法律になつたのであります。これが打あけ話でありますが、従つてそれを申上げたわけは、私共もできるだけ委任立法を避けたいという意思を以て実は出発したのだということを申上げたわけであります。そこでこの委任立法の実体でありまするが、これを御覧になりますると、非常に委任の点が多くて、わけが分らんという感が非常に強いのです。その点成る程御尤もな点もあるのです。それが分らなければ国民として困るという点も確かに多いのであります。御指摘のありました閣僚審議会構想というようなものも確かにその一つでありますが、併し一番ごたごたして分りにくい集中と制限禁止、この四章の二つに関しては、非常にいわゆる「ことがある」と書いてみたり「ならない」と書いてみたり、非常に複雑なんでありますが、これが分らないのを気にするのは日本人でなく外人の関係なんです。日本人の方は爲替管理原則は、当分日本人として何等かの事情によつて外貨を取得したならば、それを円の対価にして政府に提供して貰うという、この原則が一本立つているだけであつて、これに不平があればどうも困るのでありますが、これはどうも止むを得ない原則で、これを取得することはいたし方がないものだと国民が認めたならば、この法律が政令でどう変ろうともそんなことは動かないのであります。従つて国民から見れば政令委任事項がどう動こうとも大して違いはないのであります。ただその政令に任せた、こういうものは主として政府の手に一応集めるについて、例えば為替銀行等はおのずから一定外貨資金を持たなければならないでしようから、その持つ限度は時々刻々変えるかも知れない、それは政令に任すのだ、或いはその持つものは爲替銀行に限らず船会社であるとか、保険会社であるとか、外貨で商売をするものが一定のバランスを持たしてもよかろうということが考えられますので、国民から申しますれば軽くなるのが政令に委任されておるわけであります。制限禁止のところではなかんずく二十一條のごとき「居住者たると非居住者たるとを問わず本邦にある者は」、非居住者で本邦にあるという者は大体外国人の族行者です。その人達は本邦内にある限り貴金属を持つていたら、それを日本円を対価として売る義務を課せられることがあるということです。それをそのまま読みますと、旅行者が女の方で指輪をはめて来たら、それを政令の定めるところにより売らなければならない、そういつたことになるのです。驚くのはこれは外国人が驚くのです。ところがこういうことをしたら日本に旅行者が参りませんから、族行者を除くということを言わなければならない、大体そういうのがこの委任の実態で、そうでないものもございますけれども、多くのものはそうだということを申上げて、委任立法に対する一つの御参考にしたいと思います。尚どんなことがありましたか、外銀外商の問題があつたのです。外銀外商はどうするかということに関しては神野さんから初めにお話があつたそうでありますから、私は遅刻してよく分りませんでしたが、これは属地主義で一様に行くのだということであります。法律面から言えば何等の差別待遇はないのですけれども、ただ仕事の面で彼等に負けはしないかという心配が、この法律の不備ではないかという点となつて現われておるのですが、これは法律上は問題はないのです。ただ仕事面ではどうかと申しますと外銀は勿論有利な点を持つておりまして、その点は主として、彼等は二ユーヨーク、若しくはロンドンの安い金利の資本が使えるという点であります。併しながら外銀はつらい面も又沢山持つておるのでありまして、日本に来て、例えば月一千ドル給料をとる人があれば、それは月三十六万円の給料になります。それに対しては非常な税金がかかります。つまりその税金を拂つてやらなければ雇い人はこちらに来ないでありましよう、非常にコストがかかるのです。その点から見ますと、日本人が今耐乏で安い給料で我慢して働いておるのに比べまして、外銀というものは必ずしも有利でない。現に外銀は今のよう日本に来たのでは、皆赤字であると非常な不平をこぼしております。そういう関係から申しますと必ずしもニューヨークの安い金利を持つから、日本側銀行よりも有利な商売をしてお客を吸收してしまうのだろう、お客を吸收して日本の商売を脅やかすという憂えは勿論あるのでありますが、ただニューヨークの金利と東京の金利と比べて考えるだけでは決して分らない。且つ銀行というものは御承知通り大体人間に依存しておる、相手のある機関でありまして、店舗の数、人の数、それによるのであります。外銀が僅かな店舗を使つておるので、如何にニューヨークをバツクにしようとも、そうのさばれるものでない。その点聊か資金の方は杞憂が多いのではないかと思います。  併しもう一つの問題がありますのは、彼らの円資金の問題であります。日本側外貨資金は或いは僅少でありましよう。或いは円の資金に関しても、外銀これ亦非常に僅少なのであります。如何様に彼らに円資金を與えて、どういう手段によつて彼らが円資金を得るか、その円資金を得る手段の一つがこの爲替管理法でありますが、この運用に当つて適当に日本側と外銀側は、何もいじめることは決してよくないことでございますが、適当にフェアー・コンペティション、公正な競争でやつて行くことが、できるのだろうと思います。  尚輸入保証金の問題がございましたが、この輸入保証金は法律には、「ことがある。」と書いてある。必ず取るわけではないのです。輸入に関しては例の早い者勝ち、先着順という方式で外貨の使用権が與えられるものと、前に事前割当があるものと二つになつております。事前割当は吟味の結果與えるのでありますから、事前割当の場合は保証金を取ることは、恐らく殆んどないのだろうと思います。ただ早い者勝ちという頗る一見乱暴なよう方法によつて外貨の使用者を決めますについて一つ心配があります。それは何かと申しますというと早い者勝ちですから、ただ銀行に行つて、それが予算で決めました項目によつて、Aという商品は一月に百万ドル輸入を許すのだ。それをその中の何分の一かを一月の最初の月曜に発表したとします、それを聞いて輸入したいと思う人は銀行の窓口に行つて、その希望を申述べれば、早ければ輸入権が貰えるわけでありますから、ともかく貰つておこうという人が殺到して非常に困る。来た以上は本当に輸入するのだという真面目な人だけが欲しいわけであります。そこでその真面目に実行するかどうかを保証する、法律にもそういう文句が使つてありますが、そのために保証金ということが考えられる。ドイツは五〇%まで取ることにしておるそうでありますが、ローガン氏自身より私聽きましたが、これは非常に大事なことであるから是非やれと言つておられましたが、今日本考えておりますことは、敢て五〇%という高いものを取らんでもいいだろう、これは日本がインフレ状態にあるか、デフレ状態にあるかに関係するだろうと思います。現在のような状態では、今考えておりますことは、低くして五%か一〇%でいいじやないかということが、現在の一応の意図になつております。これはそういう意味であり、且つそのぐらいなことを考えておるのであつて、このデフレの世の中に非常に、大きな保証金を積ませられて輸入するというような、大問題を起させるという意図はない。この点は十分注意して運営されるものと、これは私の御説明する限りでありませんが、そういうふうに聞いておりますから、御安心願いたいと思います。  大体盡したつもりでございますが、洩れておりましたら更に申上げたいと思います。
  110. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 元に戻しまして政府提案者に対する御質問は、まだ午前中の続きが残つておるわけでありますが、それ以前に今日の参考人の陳述に関する質問がありましたらお願いしたいと思います。
  111. 境野清雄

    ○境野清雄君 神野さんと水上さんにちよつとお伺いしたいのですが、先程のお話官庁間の権限争いを防ぐために、或いは又管理機構の複雑化を少くするためにというような点で、この法案をどこか修正をする方がいいと思われる点がありましたらお聞きしたい、例えば外国爲替銀行の許可権を外国爲替管理委員会に與えるというような点で何か具体的な案がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  112. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 別に私は具体的な案を持つておりません。そうかと言つて大蔵省から全部取つて管理委員会一本にするというようなことがいいかどうかとなると、又いろいろな問題が出て来る。各庁間の協力というものも必要であろうと思います。私としましてどつちへ持つてつたらいいということは、別に案を持つておりません。ただ運用も、こういうふうになつておりますれば運用を明快にして頂きたいと思います。
  113. 奥むめお

    ○奥むめお君 神野さんのお話、遅れて参りましたのですが、吉田さんと水上さんもそういう御主張だつたと思いますが、私共は貿易関係がなくて、素人で何にも分らないのでございますけれども、この法律は国際情勢の変化に応じて、日本貿易の自由を原則としてこれを作るのだと謳つているのでございますけれども、私共が見ますと、自由を原則として拵えた法律であるよりも、むしろ取締とか管理とかいういろいろなことで、むしろ喜んでいい法律だというよりも、悪い法律で困るのじやないかというふうに思うのでございますけれども、それを、質問というよりも、大変いい法律だと思つて皆さんは喜んで歓迎されていらつしやるが、本当でございますか、念のためにもう一度伺いたいと思います。
  114. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) 私の感想を申しますと、最近幾らかよくなりましたけれども、三年間つて来ましたやり方を比べますれば、非常によくなつたことは確かでございます。私共の感じは、世界の情勢なり或いは通貨の世界の情勢にずつと従つて行くためには、こういう工合にしなければならないだろうと思いますのと、それから日本人が自由に爲替を売つたり買つたりやると、必ず通貨というものは悪くなる、インフレになる場合は非常に危険ですから、この程度の取締はなければならん。最小限度の必要なものだと思いますので、心の底から正直に、こういうものがあつた方がいいと思つております。
  115. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 私共も又正真正銘、こういうものはなければならんと思います。例えば日本人なんというものは、すぐ外貨を導入したりするのが出て来ます。それから商人でももぐりが出て来る。そういう非常にこすつからいことをするのが必ず出て来る。こういう場合には、こういうものは全然なしにしてフリー貿易に、フリーに爲替を動かして参りますのでは、そのために却つて日本が破綻してしまう。特に日本はどうしても輸入過剰の国であります。外貨というものはしよつちゆう少くなつております。その外貨を、どうにかして効率的に使わないと日本の必要な物資も入らないというときに、何と申しますか、これは締めるための法律ではなくて、うまく外貨を使つて、そうして日本生活水準を高めるというための法律だと思います。この程度の制限は必要不可欠のものであります。例えば往来を歩きましても交通制限があるように、赤なら通つていけないという程度のものです。
  116. 奥むめお

    ○奥むめお君 もう一つそれに関連して、例えば大変沢山大臣の許しがなくちやできないことがあります。そういうような問題はあなた方としてはどういうふうに御解釈になつておりますか、主務大臣の何とかという條項が随分あります、役所の判が要るわけです。そういうような問題、役所の管轄争いがあると困るというお話が午前中に出ておりましたようですが、業者立場から言いまして、もう少しあなた方が自由にこういう條項までは要らないじやないかという問題がおありにならないか、そういうところまでは判を貰わなくてもいいというところはないですか。
  117. 水上達三

    参考人(水上達三君) この法律は、限られた外国通貨をできるだけ有効に、例えば日本国民経済の発展に寄與するように使われるという意味においてできておるものと思いますが、併し世界の経済情勢の変動に伴いまして、漸次この法律の必要でない部分は減少もし、改正もして行くというふうに了解しておるのです。そういう意味におきまして戦後の日本人は特にいろいろな意味で頽廃しておるところがあります。この間ちよつとフロア・プライスの撤廃という問題があつた、フロア・プライスを撤廃する前に危惧された点は資本の逃避という点が非常に心配されたわけなんです。そういうふうなことは必ずあると見なければならん。それから又外国爲替というものに対する日本人の考えというものは、従来の我々の生活の実情から行きまして余りない、殆んど外国爲替の観念というものは日常生活においてはないと見ております。そういう国民に対して、而も現在のような情勢にある日本の国としましては、この程度外国爲替に関する法律は必要だろうと思います。従つてお世辞を言うのではなくて、実際にこういう法律はいいと思う。ただ先程私も指摘しましたように、判こはできるだけ少くしたい。そういう意味におきまして外国爲替管理委員会の設置法案はあのときには拝見しておりません、ここに今頂きましてまだ見ておりませんが、恐らくこれに相当なことが規定されてあると思います。方針としましては、できるだけ少く一つのところにまとめて頂きたい、これは是非お願いしたいと思います。
  118. 境野清雄

    ○境野清雄君 吉田さんにお伺いしますが、先程のお話で、日本銀行が大変不利益を蒙るというお話がありましたが、その点で外国銀行の方の受ける利益というものはどんなものでしようか、それが不公正な競争であるならば、公正な競争に直すのには具体的な案がおありかどうか伺いたいと思います。
  119. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) 先程木内委員長からお話がありましたように、主として日本銀行外国銀行との対立の場合に、日本の側は不利な金利関係にあると思います。現在としては海運関係とか、保険関係とか、すべての問題で非常に不利な立場にあるわけです。こういうのは日本が充実して行くより仕方がない、充実しても金利関係が一番長く続くだろうと思います。それは措置を取つてもやれないわけです。但し爲替相場等におきまして、外国銀行が不当な競争的な鞘でぐんぐんと少くしてやつて行かれるというようなことは困るから、或る程度日本側銀行がやらなければならんことと同じことを、外国銀行がやらなければならんことになると思うのです。そこに尚もう少し日本側銀行だけが不利を被らないような具体案を申上げることはできませんが、外国銀行も同じように扱われる。外国銀行だけが金利の面から非常に有利な立場に立たないよう方法が何か必要ではないかと思つております。
  120. 數原三郎

    参考人(數原三郎君) ちよつと補足して申上げたいと思います。先程こちら側からの御意見を非常にこの法律を謳歌しておるようにお聽取りのようですが、私はこう解しております。こういう取扱を、日本政府に段々渡して行く以上は、どうしてもこういうものが必要だ、これなしで日本政府がやつて行くわけには行かんというので、最小限度のものは決めるというのが、この法律だとこう思うのです。従つてただこの中で我々が注意したいことは、非常に簡單にするのだということは、この通りもう続いて書いてありますが、果して実施面においてそういうふうになるかどうか。いよいよやつて見るとあれも必要だ、これも必要だというようなことで、細かいところまでおせつかいするようになるのじやないか。それを非常に恐れるのです。要するにこれは非常に必要な法律であり、この程度はこの際止むを得んのじやないかと思うが、これの実施に当つて、余り又おせつかいするようなことなしに、貿易ができるだけ自由に運営されて行くように運用して貰いたい、これが私の希望であります。
  121. 木内四郎

    ○木内四郎君 皆さんの御説を伺つていると、今日の日本の段階では、外国爲替管理は必要だ、貿易爲替管理は必要だ。甚だ失礼だけれども抽象的に必要だということは言つておられたのですが、そうすると皆さんいずれもこれを実施されれば、官庁権限がはつきりしないので、いろいろ自分達は迷惑することが非常に多いだろうということを心配しておられることは、御説明の中で非常に明らかだと思うのですが、今數原さんからもお話があつたのでありますが、最小限度管理は必要だと考えられておることは分るが、然らば最小限度管理であるかどうかという点について、吉田さんと神野さんから一つ伺いたいと思うのですが……。
  122. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) これは最小限度であり、最大限度であると思うのです。何となれば「ことがある」というように書いてありますから、どちらにでもなるのです。
  123. 木内四郎

    ○木内四郎君 そういう意味ですか、そうするとできが悪いという意味ですか。
  124. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) できが悪いと思います。
  125. 木内四郎

    ○木内四郎君 神野さんは如何ですか
  126. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 私はこれは最小限度だと思うのです。と言いますのは、やはりこれ以上に放すと、大体日本経済がこういう経済でして、アメリカのように全然フリー経済になし得るものでもないし、又これは私個人の考えですが、日本全体の経済はどうしても或る程度の統制を以て行かなければやつて行けないのじやないか。そういうような点から見ましても、爲替管理貿易統制というものは、これは将来も全然なくなるように書いてありますが、そういう日はまあ殆んど来ないのじやないか。今よりも多少日本経済が安定しまして、この程度の取締は要らないというようなことになつた時には、或いはこれよりも統制が薄れるかも知れませんが、このくらいな統制はやはり常時日本の統制として残さざるを得ないのじやないか、例えば先程他の官庁権限の問題で、官庁権限はここにありますのは大体どの省がどういうことをやるのだということの規定が多かつた、許可を受けなければならないという規定は案外少い、外国爲替ですから我々が印を持つてつて御許可を願いたいということは、非常に少いのです。それから例えば外国爲替銀行はまあ認可を受けなければならん。この認可を止めて、どの銀行でも全部外国爲替をやつてよろしいということは、果していいかどうか、銀行にもいろいろありまして、非常にに小さな地方の銀行もあります、こういう銀行が全部外国爲替を行うということになると、外貨の統制上これは非常に困つたことになるのじやないか。却つて不便がある。そういうよう外貨資金の能率的な運営、それからこういうようなやはり全般的な取締の穴を成るべく出さないという意味において、まあこれくらいのことはやつても仕様がないと思う。
  127. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の御説明だと、まだ法律の方もはつきりしないで、官庁がこういうことをやるということだけ書いてあるので、やるかどうかということは、やることがあるというふうに書いてあるから、そこは分らない、併し自分達は相当の官庁の複雑な機構で迷惑を蒙つても何でも、その程度のことは仕方がないということですか。
  128. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 迷惑を蒙るとか、そういう問題じやないですね。
  129. 木内四郎

    ○木内四郎君 抽象的に爲替管理貿易管理は必要だということは分るんですが……。
  130. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 例えばこれに基いて、名前はよく分りませんが、管理令みたいなものが出ましたですね、それを見ましても非常に自由になつて、戰略物資であるとか、そういうものだけは許可制になつて、外の物は早い者勝ちでやるというふうに、非常に自由に段々なつておる、従つて我々としては、そう迷惑することはないんじやないかと思うんです。これも実際先程皆さんおつしやつたようですが、運用で妙なことをされたら、これは困ります。それからお役人の方は非常にちやんとした考えを持つていでも、いつも末端のカウンターに行くと、不必要に我々を縛るということもあります。そういう運用の面さえちやんと行けばいいと思います。
  131. 木内四郎

    ○木内四郎君 神野さんは余り迷惑のことを初めからおつしやらなかつたので、私が御質問したのはちよつと間違つてつたかも分りませんが、水上さんは相当まあ迷惑をする点があるということをおつしやつたんですが、外国爲替貿易管理は、抽象的に、この段階で避けられないとして、最小限度にもう少し簡單にできないだろうかというようなことは考えられないですか。
  132. 神野正雄

    参考人(神野正雄君) 感じとしましてはそういう感じがするんですが、具体的に実は余り逐條的に勉強しておりませんので、具体的にはちよつと申上げられませんが、感じとしましては、できるだけ簡素化して、こういう拘束というものはできるだけ少くして貰いたいというのが、これも人情です。併し先程申しましたように、現在の段階におきましては、この程度のものは止むを得ないというよりも、むしろ必要ではないかと考えます。
  133. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) よろしうございますか。特に外に御質問なければ、参考人の方に対する御質問は終了したいと思いますが、御異議ありませんか。
  134. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) ちよつと木内さんに伺いたいと思いますが、よろしうございますか。
  135. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) はあどうぞ。
  136. 吉田政治

    参考人(吉田政治君) この六十五條の集中排除法、独占禁止法、事業者団体法、この関係がはつきり示す通り、我々の最も希望しておるところが、明らかに否定されておるんですが、輸出組合法を作り、或いは輸出業者の団体によつてダンピングを防ぐとか、その他日本貿易のためによくなる、外国品に対して何らの害を與えない業者の団結……、と言う程じやないですが、連合の、協力的なものによる対策をやるということが、すべていけないことになつておる。非常に好もしいことがいけないように書いてあるんですが、これはいろいろ交渉して頂いたことだと思うんですが、この点について進駐軍側の意向であろうと私共は察しておるんですが、到底この点は見込ないですか、輸出入組合等を作ることは見込ありませんか。
  137. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 私を指名でお尋ねでありますが、私関係しておりませんので、他の者からお答えいたします。
  138. 松尾泰二郎

    説明員松尾泰二郎君) 実はこの六十五條の規定は、公正取引委員会のまあ権限を規定されておるんでありますが、実は実際論といたしましては、この條文がここにございませんでも、別段問題がないのでありますが、貿易の章のところに輸出取引の公正、先程も議論のありましたように、第五十條のところに、ダンピングを防止するための、いわば道徳的なような規定を挿入しておりますが、これに関連いたしまして、或る程度通商産業大臣貿易業者に対しまして戒告を加えたり、或いは取引の審査をするというふうな場合が起つて来るのでありますが、それは又同時に現在独占禁止法によりまして、公正取引委員会がいろいろ不当競争を防止するために、取引価格について審査をすることになつております。それを排除するものではないという意味において、いわば念のために規定されておるのであります。従いまして今御指摘のありました輸出業者が或る程度団結をすることがこの第六十五條によつて禁止されておるのではないかというふうなお尋ねかと思うのでありますが、全然別個の問題でありまして、この法律によりますれば業者の独占を許す規定も何もないわけであります。現在のところ独占禁止法によりますれば、業者の団結ということについて、非常に強い制限があることは御存じの通りでありまして、それは別途関係方面にもかねがねお願いを申上げておる点なんでございますが、今日の段階といたしましてはまだ貿易業者の団結を認められる程度にまで了解は達していないのであります。
  139. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) お諮りいたします。参考人に対する質疑は終りましたが、政府提案者に対する質問は、午前から残つておるわけでありますが、時間も大分経ちましたので明後日の委員会に継続することといたしまして、今日はこれで切り上げて閉会することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは閉会いたします。    午後三時三十三分散会  出席者は左の通り   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            西川 昌夫君            帆足  計君    委員            和田 博雄君            川村 松助君            横尾  龍君            奥 むめお君            藤井 丙午君   大蔵委員    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            玉屋 喜章君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   通商産業委員    委員長     小畑 哲夫君    理事            廣瀬與兵衞君            玉置吉之丞君    委員            栗山 良夫君            下條 恭兵君            中川 以良君            境野 清雄君            宿谷 榮一君            駒井 藤平君   国務大臣    通商産業大臣  稻垣平太郎君    国 務 大 臣 青木 孝義君   政府委員    外国為替管理委    員会委員長   木内 信胤君   参考人    通商産業事務官    (通商局長)  武内 龍治君    通商産業事務官    (通商局次長) 松尾泰二郎君    東京銀行調査部    長       神野 正雄君    東京商工会議所    参與      吉田 政治君    第一物産株式会    社常務     水上 達三君    東京貿易会副会    長       數原 三郎君    日本商工会議所    専務理事    荒木光太郎君