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1949-11-27 第6回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十七日(日曜 日)    午前十時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際観光事業助成に関する法律案  (内閣送付) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより開会します。それでは観光事業に関する法律案を議題に供しまして、質疑をいたします。
  3. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この二條によりますると、結局「過去一年間における事業実績書を添付して運輸大臣に提出しなければならない。」ということになつております。そうすると新たにできた法人に対しては、この條文解釈で行くと補助の申請ができないというふうに考えられるのですが、この点どういうような御趣旨でありますか。
  4. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) この点につきましては、若し新たにできました観光機関助成金交付する必要がありました場合は、勿論過去の実績というものはございませんから、なくてもその必要があれば出すということになると思います。
  5. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 併し二條ではつきりと「事業実績書を添付して」ということを明記してある以上、條文解釈から言うと、新らしくできたものには補助ができないということになるのではないのですか。これを新らしいものにも適用するという解釈は少し無理だろうと思います。
  6. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 法は不可能を強いるものではございませんので、ないものはやはりなくても補助金交付すると、こういうわけでございますから、差支ないと思います。ないものを出せと言つても出されませんので……
  7. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 無論不可能を強いるものではないでしようけれども、この法文建前から言うと、結局一ケ年の事業成績というものが、補助金交付するかしないかという対象になるというふうに解釈すべきだと思うのです。
  8. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) それは三條にもございますように、補助を与えますのは、過去の実績も勿論でございますけれども、将来の計画補助交付しますとき、当該年度におきまする事業計画というものが中心をなして、その事業計画如何補助交付するかしないかの中心になりますので、三條にありますように事業計画を提出して、それを十分検討いたしまして補助を与えるということに相成りまする次第であります。
  9. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 第二條はどうしても明確を欠くと思うのです。ですからやはり新らしくできた適格の法人はこの事業実績書を添付しないでもいいということを明記することがいいのではないでしようか。法文というものはすべて曖昧なものはいけない。解釈によつてどうこうというのではなくてこの條文で明確にそれが分るということが必要だと思うのですが、どうですか。
  10. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 実は実際問題として考えておりますのは、第一條に掲げてありますように、法人でありまして、政令で定めるものでございますが、我々が今予定しております、明年度予定しておりますのは、今年度補正予算におきましては全国観光連盟でございますし、明年度日本交通公社とそれから全観連と両方を予定しているわけでございまして、それを限定するつもりでありまして、実際問題としてそう余計出すということは想像いたしておりませんので、先ずその実際問題としてさような心配は起きないと思いますのみならず、こういうような場合に、過去一ケ所新たにできたものでその実績のないものは、その実績を添付しないでもいいということは普通書かない事例でございますので、こういうふうにいたしたわけであります。
  11. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 具体的の事実は或いはそうであるかも知れないが、法文というものはそういうものじやなかろうと思います。これは一般的なものを規定する場合、将来にそういう法人ができないということは、これは断言できない。又運輸当局がそれを阻止することもできない。やはり條文は誰か見ても一見して明瞭であるというものでなければいかんと思うのです。過去にそういう例がなくても、新らしくできるものはそういう方針でやるべきだと思います。そういう意味において私はこの第二條はやはり不備なものであるという気持を持つております。重ねて一つその点について御答弁を願いたいと思います。
  12. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは補助制度の能力を剥奪するということにはこの條文からどうしても相成らないのでございまして、先程も申しましたように、非常に言葉がきつくなりましたけれども、法は不可能を強いるものではないという見地からこういつた事例は他にも法文上あると思います。よくない例があるからそれでいいじやないかというように取られても如何かと思うのでありますけれども、この程度十分差支ないものではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  13. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 その点は別に考えることにしましよう。  次にこの法案から言いますと、観光事業に対する補助というものは、全面的に運輸大臣所管されるということになつておるようであります。ところが運輸省設置法の第三條によりますと、こういうことになつておる。運輸省所管事項の中に「運輸に関連する観光」ということになつておるのであります。多少この法立案とは食い違いがあるのじやないか、幅において食い違いがあるのじやないかという感じがするのですが、その点を一つお聞きしたい。
  14. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) この問題につきましては、今お話通り運輸省設置法には、先ず運輸省任務といたしまして、「運輸に関連する観光」というふうに書いてございます。又それを受けまして、所掌事務の方に、運輸に関して、観光事業の発達、改善、調整、或いは運輸に関して、観光地観光施設調査及び改善、それから観光宣伝、こういうことがございます。これに運輸に関連するというふうな言葉を付けましたのは、実は我々といたしましても、観光事業プロパー仕事運輸省が殆んどその大部分を管掌いたしておるのでありますが、併し観光という言葉を非常に広く解釈いたしますと、観光に関連する行政というものは可なり他の省にも関係がございます。  例えば国立公園に関する行政、或いは又文部省の史跡名勝天然記念物等保存に関する件、或いは建設省の観光道路行政というふうなものも入つて来るように思われまするが、そういうことが入るということは趣旨ではございませんので、何らかその点含まないような趣旨に改めねばならなかつたわけであります。この点いろいろ研究いたしました結果、運輸省としては運輸行政というふうなものが中核をなしておりまするし、観光事業プロパー観光事業というものは運輸に関連しないというものは殆んどないから、余り適当な言葉ではございませんけれども、そういつた意味で、観光関係ある行政で他の省の所管であることが明瞭でありますものを、含ませないというような意味で、こういつた言葉使つたのでございます。それで他の省との関係で見ますると、観光事業という言葉が入つておりますのは、運輸省以外には厚生省所掌事務の中に、国立公園及び温泉地に関する観光事業指導、育成するという言葉があるのでございます。併してこの点は厚生当局の見解を質しましても、厚生省の方は厚生省設置目的でありまする任務のところには、観光事業関係のある任務といたしまして、国民保健という言葉があるのでございます。それで厚生省の、今申上げました所掌事務観光事業というものは、国民保健というものを増進するために国立公園、或いは温泉樹観光事業指導育成するという結果に相成るのであります。そういたしますと、国際観光事業というふうにこの法律で書いておりまするような事柄につきましては、誰が考えましても国民保健増進のためではございません。そういう意味からこの法律運輸大臣の專管であるというふうなことにつきましては、別に問題はないのであります。  従来観光事業所管についていろいろ議論がありましたが、この法律につきましては事務的にはつきりいたしておりまして、他にも異論はないのでございます。一応そういう現状でありまして、御了承願いたいと思います。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今の前之園君が御注意になりました第一條と第二條関係、「観光に関する事業を行う法人であつて営利目的としないもののうち政令で定めるもの」ということになつておつて、第二條には、過去一ヶ年間における事業実績書を添付しなければならないということになると、新たに観光事業目的として申請した場合においてその関係がどうなるのか。この点が従来の既設の観光事業関係のものだけ許して、新たに願うということの余地がないように思うが、これはどうですか。
  16. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) その点は只今荒木官房長からお話がありました通り、私共の考えといたしましては、我々が差当り考えておりましたのは既存法人でございますが、併し代表的な観光機関が新らしく設置せられまして、そうしてそれに対して補助金交付する必要があるということに相成りますれば、又当然考えなければいけないと思うのであります。過去一年間における事業実績書を添付すると書きましたのは、勿論既存団体に限るわけであります。新設団体法人の場合におきましては、実績がございませんので、無いものを出せということは法律として要求することができませんので、この場合にはこれが適用がないというふうに考え差支えないのではないかと考えます。一例といたしまして、この法律の大体の事務的な規定農業改良助成法というものに範をとつたのでありますが、これにも大体同様な規定が載つておるのであります。私共は一応これで新設法人に対しても差支えない。又実績がないから、事業実績を出せない場合に援用して補助金交付を拒否するという理由には相成らないと考えておるのであります。
  17. 内村清次

    内村清次君 ちよつとお尋ねいたしますが、今の観光事業法人でこの法律を適用するような事業はどんなものがありますか。
  18. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 差当りこの法律対象として考えられておりますのは、先づ社団法人全日本観光連盟、それから来年度において考えておりますのは、社団法人日本交通公社であります。それ以外に法人格を持つておる代表的な観光機関といたしましては、社団法人日本観光通訳協会、それから同じく社団法人日本ホテル協会、そういう団体であります。それからその他代表的な団体もございますが、例えば日本海上観光協会、これは法人格はございません。それから全国外客宿泊設備を有する旅館国際観光連盟というものもございますが、これも法人格はございません。その以外にもう一つ自動車関係におきましては日本観光自動車連盟、これも法人格はないと存じます。大体代表的な全国的な機関としてはその程度であります。地方的のものは沢山ございます。
  19. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、この法律案の成立と共に、第一條によつて政令を以て予定するところの法人格に対する助成は、大体どれぐらい政府の方では予定がありますか。
  20. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 本年度におきましては、補正予算全日本観光連盟に対しまして一千万円計上しております。それからまだ次の国会に提出されます予定なつております本予算におきましては、来年度におきまして同じく全日本観光連盟に一千万円、それから日本交通公社に二千万円を計上いたす予定なつております。
  21. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、これは予算範囲内において政府の方で助成額の決定はいたしましようが、現在の観光客及び又その後の観光客誘致方法といたしましては、政府の見込といたしまして相当進展するものであるというようなお考えの点につきまして、御所見を伺いたいと思います。
  22. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 外客の来訪の現状見通しにつきまして、先ず現状につきましては、参考資料として昭和二十四年度目的別入国外客数及び推定消費額調という表を差上げておきました。これを御覧になりますと、昨二十三年におきましては合計六千三百十名の外客を迎えまして、推定消費額が三百四十四万ドルなつております。ところが本年に入りましてからは、先ず四月に入りましては、御承知通り外地におりまする一世、二世の日本人のいわゆる近親訪問というものが認められまして、非常に殖えて参りました。又これが最近におきましては近親のみに止まらず、友人の範囲にまで拡大されまして、又その期間が従来六十日でありましたものが、場合によりましては百二十日まで延長し得るということに相成りました。それから商用客バイヤーにおきましても、従来その期間がやはり一応二ケ月ということになつておりましたが、最近の指令によりまして、これが殆んど無制限に相成りました。それからいわゆる観光客入国につきましても、その期間が今年に入りましてから三十日まで延長されまして、現在観光客団体旅行につきましては七日、十四日、二十一日、三十日というふうな各種旅行が認められておるのであります。この観光客入国につきましても関係方面の意向としては、我が国受入態勢整備されるに従つてこの入国制限を逐次撤廃して行く。こういうようなことを言明されております。月々の実績を見ましても、着実に殖えています。この九月までの実績はお手許に差上げました通り、もうすでに昨年の六千名を遙かに突破いたしまして一万八百名、その消費額が五百六十三万ドルに相成つておりますので、本年におきましてはこの数字が恐らく一万五六千名程度、その消費額は八百万ドル近くに達するのではないかと想像いたしておるのであります。来年度見通しといたしましては、この傾向がますます著しく相成りまして、更に入国制限も逐次撤廃されるし、又外客に対するいろいろの便宜の供与という問題も、今年より更に進展するのではないかと考えられておるのであります。例えば外客の招致につきまして、現在日本に入つて参ります場合に、ドルを円に替えることは幾らでも認めておりますが、一旦円に替えましたドルは、それを出国する場合に更にドル替えるということが禁じられておるのであります。その結果、入国の場合にドルから円に両替えを、幾らか手控えするという傾向が多分にあるのでありますが、この点極く近い将来において戻し両替えが認められるというふうな方向に向つておるのであります。それから又外国人旅行範囲が、御承知通り現在は大体東は日光から西は宮島辺までに止つておりますが、この点も主としてこれは外人団体観光旅行におきましては、日本食糧を使わないという建前から、主要都市におります〇・S・Sオーバーシー・サプライ・シヨツプという店から食糧を買わなければならないということに相成つております。それが東は東京から西は神戸までしかございません。これがつい先日仙台、札幌、それから福岡というような地域までその店が設けられましたので、この団体旅行のコースも北は札幌、西は九州まで延ばし得るということに相成つたのであります。これは一二の事例でございますが、こういうふうにいろいろの制限が逐次撤廃されております。又今後におきましても、更に多くの便宜が供与できると思うのであります。そういつたふうな見通しからいたしまして、来年度におきましては、私共は入国外人数が約二万二千人、その推定消費額を約一千万ドルと見込みました。又昭和二十六年におきましては、この数が約二万六千人、又その数定消費額は約一千三百万ドルというふうにふんでおるのでありますが、これは私共といたしましては、非常に堅くふんだ数字だと考えておる次第でございます。
  23. 内村清次

    内村清次君 今の政府説明で大分将来の問題が分かりましたが、一体そういう様な外人がやつて来るような情勢におきまして、本年度一千万円の補助を出すという様な点でありまするが、この一千万円の助成金というものは、一体どういうような点に主眼として使用されるものであるか。その点について明確にして置きたいと思います。
  24. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 本年度補正予算に組みました一千万円は、社団法人全日本観光連盟に対する補助金ということに相成つております。この全日本観光連盟は御承知かと存じますが、全国の殆んど主なる観光機関をその傘下に持つております。例えば全国各都道府県にはそれぞれ観光協会というものがございますが、それが全部この会員なつております。それ以外に主要な鉄道会社、又汽船会社、或いはホテル、又観光光事業関係のある文化団体というふうなものも会員なつております。現在約二百少しございますが、そういつた意味におきまして、これは代表的な日本観光機関総合団体であります。そうしてその使命といたしまするところは、先ず観光事業重要性をよく国民に普及せしめますいはゆる観光観念の普及に関する運動或いは又観光資源観光地保存整備運動、例えば全国を緑化するというふうな緑化運動というものを非常に大きな国民運動というものを大々的に展開いたすことに相成つておるのであります。更にその上に観光施設整備に関しましていろいろの指導、或いは斡旋をするというふうな仕事もいたしております。それから外客接遇に当ります観光関係従業員指導教養というような点につきまして、例えばサービス講習会、或いは外語講習会というようなものをやりましたり、又は適当なパンフレツトを頒布いたしまして、そういつた人々の資質の向上に努力いたしておりまするいろいろな調査研究をいたしまして、その施設整備というようなことにつきまして、民間団体といたしまして一つのプランを作つて、そうしてそれを政府或いは関係方面へ慫慂するというような仕事もいたしておるのであります。これを一口に申上げますというと、この団体観光事業外客受入態勢整備というような点を主眼といたしておるのであります。観光事業といたしましては、内に対してはそういう受入態勢整備をいたしますと共に、外に対しまして観光宣伝を展開しなければなりません。この点は日本交通公社がやられて参つておりますが、この点につきましては遺憾ながら本年の補正予算に計上できなかつたのであります。来年度からは積極的に対外観光宣伝交通公社をしてやらして行きたいと考えておる次第でございます。
  25. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、交付されますところの助成金問題につきまして、大体の使途方面は分つたわけですが、この第二條によりまして、この事業計画書、即ち一年間を通じての実績書を提出しなければならないようにしてあるのですが、そうして見ますと年間におきましては、当初の即ち助成金というものを交付してからその次の即ち事業年度予算にしか組まれないというような状態のときに、現に先程政府の方で言われた外客誘致というものが進展しておる情勢に対しまして、助成金交付というものが余り喜ばれない。その時期に適しないというような事態が起つた場合においては、政府はこの法律従つてどういうふうな処置をとられるのか、この点について。その期間において一千万円やる、来年度も一千万円やる、ところが外客はどんどんやつて来る、宣伝も相当活溌にやらなきやならないというようなときに助成金はやはり固定したところの一千万円で来年度も過するのであるか。或いはそのとき随時の方法をとつて助成するかどうかという点であります。
  26. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 今の御質問の点につきましては、本年度につきましてはもう半年も過ぎておりまするし、大体見通しも立つておりますので、先ずこの一千万円でやつて行くより外ないと思つておるのでございます。来年度見通しにつきましては、勿論我々といたしましても或る程度見通しは立つておりますが、併し情勢の変化によりまして、更にこれが急激に進展するということも考えられますし、又私共の見通しからいたしましても、来年度助成金については不満なのであります。併し国家全体の予算建前からこの程度に相成つたのでありますが、併しこの点につきましても、大蔵省あたりとの間におきましても、例えばすでにドイツはアメリカにおきましてニユーヨークに観光事務所設置が認められておる。我が国といたしましても、従来のようにただこちらにおきましてパンフレツト作つて向うの業者とタイアツプして宣伝して貰うというような間接的な宣伝ではなしに、アメリカに参りまして積極的に出て、そういうふうに宣伝誘致をするということが必要と考えておるのでありますが、最初はそういう経費も要求したのでありますが、来年度予算には予備費制度もございますので、そういつた事態が進展し、そういつた事業をやることが必要であるという事態に相成れば、予備費の方で考慮するというような事務当局の問には或る程度に了解も付いておるのであります。そういつた事態の展開に対しましては、事務当局といたしましても十分善処いたしたいと考えております。
  27. 内村清次

    内村清次君 もう一点、本年度補助金計画は分つたのでありますが、将来におきまして政府計画しておる法人格事業団体に対しての対象も分つたわけですが、この補助金交付する資格、即ち第一條におけるところのこの政令で決めるところの法人或いは又運輸大臣が許可するところのこの補助金対象法人事業団体につきましては、その予算範囲を拡げられかどうか、その点につきまして伺います。
  28. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) この点につきましては、我々といたしましては全国的の代表的な観光機関というものを対象にいたしておりますもので、数がそう沢山殖えるということは考えられません。併し一つや二つ或いは将来考えなけばならんということになるかも知れません。又実際問題といたしましても、私共は本年度予算の要求をいたします場合に、昨年度海上観光部門を担当した海上観光協会に対しましても、七十五万円の補助金が出たのでありますが、これに対しましても補助金を要求いたしたのでありますがこれは予算査定の過程におきまして削除の運命に相成つたのであります。こういうような点もございますので、或いは今後一、二の団体が追加されるということも考えられますが、併し趣旨といたしましては、代表的な全国的の観光機関ということに考えておりますから、その数がうんと殖えるということは考えておらないのであります。
  29. 内村清次

    内村清次君 最後に運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、今回助成金交付なつた経緯からいたしまして、これは先般、先国会におきましての参議院における観光事業に関する決議案の精神に基いてこういうような法律作つて、今後この方面事業助成して行くということに連関した対策として出されたのであるかどうかということが第一点と。それから今後この事業に対して大臣はどういうふうなお考えで対処して行かれるのか。又来年度のこれに対する予算につきましても更に御努力があるか。その点を伺います。
  30. 大屋晋三

    ○国務大臣大屋晋三君) 決議案趣旨を体していろいろ考慮いたすべき問題の無論一環であることは間違ないのであります。  それから又来年度におきましても先程来御説明申し上げました通り観光客の到来するのが、非常に期待を持てます関係で、各種観光事業は国内的と国際的とを問わず外客誘致するため、例えば輸送の面におきましては道路或いはバスの整備というような点から旅館ホテル施設、或いは気持のいいサービス整つた設備のよい車輛というようなものを増設いたすということはますます盛んにやつて行きたいと考えております。且つ亦今回のこと法律に立脚いたしまして出ます観光事業補助金を以ちまして、海外に交通公社等をして駐在員を置くというようなことを種々考えておる次第でございますので、又予算の取り方にいたしましても、でき得れば来年度以降におきましては、来年度は決まつておりますが、殖やすとも減らすようなことはしないつもりをいたしております。
  31. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一点、国立公園厚生省所管なつておるというのでありますが、これは先程政府説明もあつたように、保健衛生の観点から厚生省所管なつておるわけですが、実際の国民の常識から申しますると、やはり観光ということが主になつておるように考えるのであります。国立公園に指定した貰いたいというので全国から猛烈な運動が行なわれておる。私も厚生大臣と一緒に九州の各地を廻つたんですが、例えば天草全体を国立公園にして貰いたい、或いは人吉の玖摩川を取入れて国立公園にして貰いたいとか、それから鹿兒島であれば、薩摩半島の一帶を霧島にくつ付けて指定して貰いたいとかいう非常に猛烈な陳情があるのであります。ところがこれらの陳情は本当の精神というものは、いわゆる保健衛生というものでなくて全く観光であります。観光施設によつて外来客を誘致する。それによつて地方の繁栄を図るということにあるのであります。殆んどそれは九分九厘までそうであると考えておるのでありますが、然るに今日の所管から言うと、厚生省なつておるということは如何にもどうも矛盾であるように考えられる。無論保健衛生という立場もありましようが、大部分は観光事業であるという考えからしてやはり運輸省所管であるべきであると私は考えるのでありますが、この点について運輸大臣は、どういうお考えを持つておられるかということをお尋ねいたします。
  32. 大屋晋三

    ○国務大臣大屋晋三君) 今の前之園君のようなお考えをして下されば運輸大臣も非常に満足なのでありまするが、とかく観光という事業に対しまして、役所の問に所管争いが非常にありますので、多少の障害を感じておるんですが、特に運輸省だけはそういうような関係がありまして、設置法に運輸に関する観光というふうに明記いたしまして、運輸に関する面は何びとの批判も……運輸省が当然やつて差支えないのだという、これは明らかにしたんですが、例えば国立公園ですとか或いは文部省の管轄しておる天然記念物ですとか、或いは史蹟保存ですとかいうようなものは、これはやはり観光対象になるので、いつも争いが起きているので、実は逆にですね、この管轄争いで運輸省でやつているものを奪おうというような、奪つてよその省が自分の管轄へ取つてつてしまうというような運動もありますので、運輸省としては自明な事柄に拘わらずなかなか油断がならん。ところが運輸省は今まで国立公園運輸省の管轄に移せというようなことは言つたことはないんですが、そんなようなわけで事柄は甚だ所管争いで何ですが、余り感心しないのですが、まあ今のところでは、それをすべて観光に関するものを一括して運輸省がやるべきであるというような実際上の行動はまだ実は取つておりませんので、むしろ現在はとかく今まで話題に上りました権限の扱いの所管争いが行なわれておるというのが実情であることを御了承願いたいのであります。  然らば今の運輸大臣は、御指摘のような事柄を運輸省に持つて来る考えはないかという問題になりますが、これはなかなか運輸大臣一人で行きませんので、追つて一ついろいろ御配慮を願いたいと考えておる次第でございます。
  33. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この国際観光事業助成に関する法律案ができますと、結局観光事業に対する助成というものが運輸大臣所管になるというので、観光事業運輸省所管に一歩近着いて来るのだというような感じもせられるわけです。先程申上げましたように、国民の常識から言つても殆んど観光事業である国立公園であり、これは一つ強くそういうような要望を適当な機会に閣議に取上げられて、私共やはり国立公園運輸省所管になるように御努力を願いたいと思います。  尚この際関連してお聞きしたいのですが、現在この国立公園厚生省所管であるんですが、これに対して例えば国立公園を指定する等の事項について、運輸省は全く何らの関係もないのか、或いは内面的に多少の交渉を持たれるのであるかどうかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
  34. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 国立公園の指定に関しましては、これは国立公園法によりまして厚生大臣が指定するということに相成つておりまするが、併しこの指定に際しましては国立公園審議会の審議を経てやることに相成つております。これは民間の方が大部分でありますが、関係官庁の代表者も入つております。私もその委員になつております。審議会におきまして十分指定に関する意見を述べる機会があるわけであります。又仕事の面におきましては、運輸省所管行政関係のある地域について指定をする場合、例えば鉄道線路を含ませるというような場合等におきましては運輸省に協議をしてからでなければやれないことに相成つておりますが、その点は運輸行政国立公園行政との間に指定の場合に問題が起きることはない建前なつております。私共といたしましては、国立公園そのものは今の法律によりまして厚生大臣所管なつておりますが、併し問題は指定にあるのではなくして、その中の施設整備いたしまして、そうして内外の旅客の観光に資するということが非常に大きな目的であろうと思つております。施設整備につきましては一厚生省だけではできないことであります。実際問題といたしましては運輸省なり或いは建設省なりがやるべき面の方が多いのであります。そういつた意味から行きましても、我々は指定の問題につきましても結局これは指定しつぱなしでは国民に申訳ないというような考えであります。指定しまする以上はやはりそれ相当の施設整備というものを各省がそれぞれ考えて行かなければならないというような気持を持つておりますので、従来の指定等につきましても、我々外から意見も十分向うへ通じておるような次第であります。
  35. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 只今前之園君の質問に対して関連して大臣に伺つて置きたいが、観光事業を今後積極的にやるということにつきましては、或る程度の統合した機関によつてやらなければ徹底しない、そこで大臣も各省の繩張り争いについてはどうも感心せんというだけのことじや済まない、現に国際観光ホテルの問題について早晩この法案が出るでしようが、厚生省と今所管争いしているようなわけでありまして、従つてこの運輸省観光部というものが設けられておる以上は、観光事業というものはいろいろの方面関係があるのでありますから、運輸省所管にとるというだけの決心がついたらば、積極的に閣議においてこの問題の解決を願いたい。現にこの運輸委員会におきましても観光小委員会を設けて観光事業に対しては積極的に今調査研究をやつておるような次第でありますが、それだけの決心がありますか。
  36. 大屋晋三

    ○国務大臣大屋晋三君) 国立公園やなんかの監督権というようなものをどうも運輸省に今直ぐよこせと言つてもなかなかこれはよこさんと思うのです。併し、只今前之園君がしばしば御指摘下さいましたが、この提出の法案の中にも、この法案によるまする予算の使途の中にも、例えばやる仕事として国立公園施設改善というようなものが謳つてある。所管は厚生大臣所管国立公園にもこの法律予算が使われるというようなことで、それを監督するのは主務大臣運輸大臣であるというようなことになつておりますので、観光の面は広くやはり運輸大臣の監督下にあるわれでありまするから、観光という広い面におきまして、運輸大臣は積極的に考えることには無論吝かでないのでありますが、細かく考えまして、今の文部省の所管に属しておる、或いは厚生省所管に属しておる道路の建設、或いは厚生省国立公園の所掌を運輸省観光郡の中に入れて、全観光をまねく網羅いたしてやるというところまでには、まだどうも少し時期が未熟であるのじやないかと思いますが、併し観光という面の全面的、積極的の促進発達に対しましては、大いに勢力いたすつもりをいたしております。
  37. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑ありませんか。高田君どうですか。
  38. 高田寛

    ○高田寛君 今日はどうも遅れて来まして、今までどういう御質問が出ましたか承知しておりませんので、質問が重視しては恐縮だと思うのでございますが、この観光事業につきましては、これは余程政府が本腰を入れて積極的に助成すべき時期が丁度今来ていると思うのでありますが、これについて先程からお話がありましたように、政府の方におきまして観光所管がどうもばらばらになつておるという点が誠に遺憾なのでありますが、まあ一つ方法としてこれを総合する政策を立てるために観光審議会というような制度が設けられておるのでありますが、又これが今年の五月に一応委員が解消してしまつて今日までそのままになつておる。一時は又委員を新たに早急に任命し、国務大臣がこの委員会をはつきりと相当を決めて、各省の間のばらばらになつている仕事の総合調整を図ると承つていたのでありますが、これが一向その実現を見ないような情勢なつている。この観光審議会というものをどういうふうに活用されるおつもりか、その点をお伺いしたいと思います。
  39. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) 只今の御質問に対しまして、私の知つている限りのことを御答弁申上げますと、五月末で前の審議会がなくなりまして、新らしく総理府の設置法に基きまして、総理大臣の下に内閣に観光事業審議会が置き得ることに相成つたのであります。内閣の方におかれましては、その後二十人の委員の人選を具体的に進めておられまして、任命もすでに近くなつておつたのでありますが、実はその後いろいろな関係でこれを十名増員するというような問題が起きまして、これに関する政令の改正手続等を内閣で進めておられたのであります。ところがたまたま内閣の方針として、全面的に委員会、審議会等を再検討するというふうなことに相成りまして、事務的には行政官府庁が中心になりましてその案を作つております。そういうふうな事態に相成りましたので、遺憾ながら従来発足が遅れておりましたので、もう少し委員を任命しないで審議会の整理総合がはつきりするまで待つたらどうかというふうな御意見が大多数であるというふうに聞いておるのであります。私共運輸省事務当局といたしましては、一刻も早くこういつた審議会ができ上りまして、そうして基本的な問題について審議決定されると同時に、広く各省に関係しておりまする事項につきまして、十分調整を図つて頂くというふうなことを希望いたしておる次第でございます。
  40. 高田寛

    ○高田寛君 今の経緯は分りましたが、審議会のような種類のものは、そのときの必要に応じて次から次へと出て来て、余りにその数が多過ぎるということは秋共も認めておるのでありますが、この観光審議会につきましては、これが今振興を図るべき必要に迫られておる時期でありますから、審議会がいろいろと整理されるような場合にありましても、この観光審議会というものは是非共これをいろいろ強化して置かなければならんということを強く要望したいと思うのであります。
  41. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑ありませんか。
  42. 小野哲

    ○小野哲君 ちよつと伺いたいのですが、今の高田さんの御質問に関連をしておりまするが観光審議会についてはいろいろ政府もお考えなつておるようでありますが、今度の国際観光事業助成に関する法律案を立案されます場合に、むしろ観光審議会というものが総理府の附属機関として置かれておるような現状を是正して、先程大臣も言われたように、国際観光事業助成に関する基本的な法律が審議されようとしておるのでありますので、むしろこの法律の中に国際観光事業助成のために必要な機関として従来考えられておるような観光審議会というようなものを置かれることを御研究になつたかどうか、又この補助金交付される場合においても、單に政令で定めるというふうなことしないで、そういうふうな機関が設けられた場合においては、そういう機関が十分に慎重に審議して決めたものを政府が尊重して補助を与えるというふうな途を考えられたかどうか、この点を伺つて置きたいと思います。
  43. 間嶋大治郎

    政府委員間嶋治郎君) その点につきましては、実は昨年五月に観光事業審議会ができましたときには、先程申上げました通り、所期の目的は、先ず基本的な方針を審議決定しますと同時に、関係各省の行政の調整を図るということにありましたが、更に閣議におけ了解事項といたしまして、各省が観光に関する重要事項を決定する場上には予めこの審議会の議に付すると、こういうふうな了解をしておつたのであります。そういつた関係で、例えば観光関係のある法律、又重要な予算というふうなものにつきましても、この前の審議会におきましては、それぞれ審議会の議にかけて、一応審議会の意見を尊重いたしまして各省が実施に移すと、こういう建前をとつてつたのであります。この法律を作りまする場合には、現在まだ発足はいたしてはおりませんが、併し観光事業審議会というものが置き得ることになつておりますし、又その設置についての準備が進んでおりましたので、若しこれができておりますれば、当然この審議会の議にかけて、そうしてその意見を尊重してやるべきだと考えたのでありますが、まだそれができておりませんのでかけなかつたのであります。  又、最初に仰せになりましたのは、内閣の総理府でなしに、別に審議会を置いたらどうかというふうになお話であつたかと思いまするが、この点につきましては、観光事業審議会が最初に置かれましたときにもいろいろ御議論があつたのでありますが、広く観光ということを考えますと、非常に沢山の省にも関係がございますので、これは運輸大臣所管下に置くということは、我々といたしましては、固有の、プロパー観光事業は大部分運輸大臣が專管いたしておりますので、それでも運営は十分できると考えますが、併し関係各省といたしましては、むしろそれよりも内閣に置いて、そうして各省が共同の立場でこの審議会といろいろの関係を保つということが適当だというふうな意見が強うございましたので、そういう結果に相成つたのでございます。私共といたしましては、これが内閣になりましても十分に密接な連絡を取りまして、運営に遺憾なきを期したいと考えております。
  44. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑はありませんか。御質疑がなければ本案に対する質疑は大体において終了したとみなしてもよろしいうございますか……実はまだ予備付託でありますので、いずれ衆議院から送付されました場合においては、簡單な御質問はお許しすることにして、とにかく大体終了したということに決定してよろしうございますか……それじやそういうふうにいたします。   —————————————
  45. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 実は昨日の委員会におきまして、この委員会に付託されました法案の中に予算関係のありますのは、只今御審議を願つた国際観光の法案並びに運賃改正の法案でありますが、運賃改正の法案につきましては明後日午前十時に証人喚問の形式において公聽会を開くということになつております。そこで衆議院から送付されました案が通運事業法案外二件、それから道路運送法案、これは衆議院を通過してここに参つて来ておりますが、その順序についてはどれを先にこの委員会で御審議願うことにするか、一つ諸君の御意見によつて……まあ昨日も申上げましたけれども、改めて御相談したいと思います。
  46. 内村清次

    内村清次君 私はこの際提案いたすわけでありますが、この通運事業法案は御承知のごとく独占禁止法から今回解放されまして、持株整理委員会でも一つの整理の対象なつておるものであるし、又運輸省といたしましても小運送業法で長い間やつておつたものが今回通運事業法となつて発足するわけでありますが、そういうような関係で、相当この法案につきましては長い間一般世論からも注目されておつた問題でありまして、終戰後この問題については業界でも相当注目しておつたというような状態でありますし、この法律案の取扱いにつきましては、過般運営委員会におきましても、この法案は予算も伴なわない、而も又今回独立法として出発する以上は、やはり今後相当の公共性をも加味したいわゆるこの法案である以上は、公聽会を開いて行くべきであるからして、この国会においてはすでに次の国会も間近かに来ておるから、この次において審議した方が一般にもよくこの法案の骨子も納得されて行くというような観点の論議があつたことを私は記憶しておりますが、又我が党の運営委員からももうそういうふうな空気になつておるのだというふうな点を伺つて、我々は、これに対する関心も、次の国会という点に主力を持つておつたわけでありまして、こういうような状態からいたしまして、昨日突然関係の三法案共に出て来たというような状態でありますが、今委員長の言われましたような、予算と密接な関係があるところの運賃法案あたりは昨日漸く政府が提出した。而も会期はあと三日しかないというような切迫したときに、こういうような重大な法案をここで審議するということはこれは余りに議員に対する負担が過重であつて、同時に先程申しましたように、国民の輿論も聞きたいというような関係もありまするので、いわゆる参議院規則の六十條乃至六十一條規定によりまして、公聽会を開くというような点もここで取上げて頂くか、或いは又そうでないならば、この法案というものは衆議院の過程においては僅かこれは二、三日で上げておられるようで、併し衆議院の勢力分野としてはこれはいたし方ないと思いますが、やはり参議院としては参議院の立場があり、この法案をもう少し愼重に研究したい気持でありまするので、その公聽会を開く意味においても、一つ委員長の方では来国会の方に持込む、或いは又ここでできれば公聽会をして頂くというような点を一つ御協議あらんことを切望いたします。
  47. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 内村君、この問題につきましてはですね、先般議院運営委員会において、増田官房長官が、法案の説明をしたときにですね、まだこの通運事業法案については関係方面からオーケーが来ておらん。来ておらんならば、予算関係がないからして、場合によつては通常議会に出したらいいじやないかという説もあつた、その程度でありまして、衆議院がすでに可決をして、本院に廻つて来たる以上は、この委員会に付託せられたる以上は審議をせんわけに行かん。審議をしたその結果によつて、委員多数の意見によつて、或いはどういう情勢になるか分らんが、かけないわけに行かんことは一つ承知置きを願いたい。  それから公聽会を開くということにつきましては、御承知通り予算関係のあるものは必ず開かなければならない。これはもうちやんと国会法で決めてありますが、予算関係のない法案については開くことを得という程度で、この委員会の決議によつて決めべきものである。これも一つ承知置きを願いたい。
  48. 内村清次

    内村清次君 その点は十分分つております。併しこの法案の性質が予算を伴わないものであつても、やはり相当民衆には、直接的に関係があるわけであります。やはり許可認可の点につきましても、相当今までこの点については関係を持つておつたような状態でありまするので、そういう点も十分一つお汲みになりまして、その法案自体が本当にそういうような要望を備えておるかどうかという点、又希望の点においても国民の輿論を聽いて置きたい。そういうふうに思つております。
  49. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは昨日この委員会で御承諾のあつた通りに、運賃改正法案を審議することにいたしましよう。如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは国有鉄道運賃法案に対する審議を議題にいたします。これより審議に入ります。  私から政府委員に伺いますが、現在貨物の輸送の状況並びに在貨トン数の現在の状況、使用者の状況とこれを一つ一応御説明つて置きます。
  51. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 委員長から只今お尋ねのございました、現在の貨物の輸送状況でございまするが、御承知通り、今年度の当初に当りましては、年間約一億四千万トンという貨物輸送計画を立てたのでございます。ところがその後御承知のようにドツヂ・ラインによりまする均衝予算が実施されて行くに従いまして、デイス・インフレと申しまするか、多少物資の移動、生産等につきまして、当初予定されておりましたような動きが少し緩慢になつて来た。殊に基礎物資でございまする石炭につきまして、有効需要が特段に停頓して参り、相当滞貨を生じて参つてという状態でございます。従いまして輸送実績は、この一億四千万トンの計画に比較いたしますると、大体四月におきましては九五%、五月が八九%、六月九五%、七月九八%というようなふうに、幾らかずつこの一億四千万トンの計画に対しましてと下廻つておるような状態でございます。この結果、大体の本年度の出荷予想といたしましては、一億四千万トンは少し無理ではないではなかろうかということでございまして、恐らくこれは約一億三千万トンをやや超す程度に止まるのではなかろうか、かように推測されておるのでございます。併しながらこの下半期に入りまして、生産状況は若干好転いたしまして、その当時予想しました状態よりは大分輸送の需要も増して参りまして、九月におきましては実績は大体計画の九九%まで行つておるようであります。従いまして、当初の一億四千万トン輸送の計画には到達し得ないことは、これはまあ当然でございまするが、併しながらやはり一億三千万トンは相当突破いたしまして、昨年度実績よりも多い貨物輸送になるのではないか。在貨のトン数につきましては、これは御承知のように昨年の半ば以後急激に増加が減つて参りました。これは一面には出荷が減退したというようなことも言えるのでございまするが、併しながら一面又輸送力が充実いたしまして、いつでも貨物が送れる、そう早くから申込んだりなんかしなくても送れるというような状態に相成りますると、自然見越しの出荷申込み、或いはダブつて出荷を申込むというようなことがなくなりますので、急激に收縮いたすのではなかろうかと思うのであります。そういうような関係で、本年の四月頃には在貨トン教が五十万トン或いは六十万トン程度になりまして、ほぼ一日の発送トン数に対しまして、二日或いはそれ以下というような状態を現出いたしたのでございまするが、その当時といたしましては、いろいろ車の種類の関係から無蓋車は相当余つた、有蓋車については需要に対して足りないけれども、無蓋車は多少余り気味という情勢もございました。併し九月以降ね国鉄の運転用炭を、自分の列車で以て陸送を開始することをいたしましたのと両々併せまして、大体において現在では設定された輸送力に対して充実した輸送をいたしておりますが、又、在貨もその後逐次殖えて参りまして、特に秋冬繁忙期と申しますか、毎年十一月、十二月にかけましては出荷の要請が多いのでございますが、その関係、季節的な関係もございまして、大体昨今では百万トンをやや超えておるというような状態でございます。これは一日の発送トン数約三十万トンに比較しますと、三日分程度なつております。やや輸送力に対しまして、需要が強調であるという程度数字ではないかと思います。併しながら曾つてのごとく在貨が二百万トン、三百万トンというような、いわゆる輸送力が極端に逼迫しているというような程度の時の状態よりは遙かに改善された状態である。かような傾向にあるのでございます。大体……
  52. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 御質疑がありましたら、
  53. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 只今のお話で、貨物の輸送量が最初の見込みより減つたということは、大きな原因だと思いまするが、本年の五月に、旅客運賃の値上げをしました際に、大体あの値上げで收支は均衡がとれるという見込みだつたのでございます。昨日法案の提案理由の御説明のときに、本年度は今の状態だと八十六億円の赤字が出ることになる、それで貨物運賃を上げたいというようなお話であつたんですが、この赤字の出た原因について、経済事情の変化、その他の事情によつて赤字が出るようになつたというお話でありまするが、この赤字の出た原因をもう少し詳細に御説明願いたいと思います。貨物の減つたことでどのくらい赤字が殖えたか、又旅客の方も相当減つたのだろうと思います。見込み違いの点をもう少し詳しく御説明を頂きたい。
  54. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 只今国会に提出いたしまして御審議を願つておりまする運輸收入の見込みにつきましては、当初の予算に対しまして、旅客收入におきましては八十七億の減少となつております。それから貨物運賃につきましては、これは一月一日から八割値上げを御承認頂くという建前で、五十七億八千万円の増加となつております。一月一日から八〇%の増加額を幾らに見込んだかと申しますと、これが五十四億六千九百万円でございます。従いまして貨物收入につきましては、当初の予算額に対しまして、現行の貨物運賃の場合で、つまり八割値上げなかりしものとして当初の予算に対してどれだけ見込みが違つているかと申しますと、これが三億一千万円程の実は増になつているのでございます。一億四千万トンの計画に対しまして、予算面におきましては、むしろトン数は減つているが増加となつている、このことがございますが、これは実は当初予算のときに貨物の方の一トン当りの輸送キロ、つまり貨物の足が実際よりやや多少短か目に見積られておつたわけでございます。トン数におきましては減少いたしまするが、逆に足の方におきましては当初の見積りより約十キロ程度延長いたしておりまするために、却つて実績といたしましては増加になるというような数字なつているのでございます。それから旅客運賃の方は、これはお言葉にございましたように、本年五月旅客運賃の六割値上を御承認頂きます際に、大体それで以て千百五十二億という旅客貨物、雑收入、いろいろ合せました運輸收入の全体が千百五十二億となりまして、支出経費の千百五十二億と見合うということで御承認を頂いたのでございまするが、その後かような大きな欠陥を産じました理由につきましては、これは当時と雖も御説明申上げましたように、六割値上によつて運輸数量が少しも減らないという考え方ではなくして、約一〇%の收入は落ちるであろうという見込みでいたしたのであります。この一〇%の收入が落ちるという見込みは、これは人間の頭数が一〇%減る、つまりお客さんの利用が一〇%減るということには直ちにはならないかと思うのであります。と申しまするのは、若しお客さんの減り方が遠距離、近距離各距離に亘りまして、丁度近距離のお客さんも遠距離のお客さんも、平均に一〇%減るといたしますれば、これは一〇%だけやはり收入が減ることになるかと思うのであります。ところが予算の方で御審議願いましたのは一〇%だけ減るという予算の総額において御承認願つたのであります。この点について当時それは見込過少ではないかというような御注意もあつたことも記憶しております。併しながら私共の方といたしましては、支出経費、收入がそれに相応いたしませねば、支出経費において何とか削減いたさなければならん。然るに御承知のように支出経費につきましてはこれは凡そ平年度に換算いたしまして恐らく二五%程度の圧縮をされている本年度予算でございましたので、これ以上支出経費も減らすわけにも参りかねるし、又收入の財源もこれと見合うだけのものがなくてはならんので、旅客收入の一〇%減ということも一応御指敵のような筋合もございましたが何とかやつて行かれるだろう、かような考え方であつたのでございます。ところが御承知のように五月一日以降丁度新年度予算が実施されるようになりますると、経済界の状態はいわゆるデイスインフレの様相を呈して参りました。この影響いたします範囲がこの旅客輸送というような面に非常に端的に、又非常に急激に現われて参つた。各種産業等におきまして企業の合理化等を行います際には、やはり何と申しましても、交通費とか或いは旅費とかいうようなものが一等先に緊縮の財源になるのではないか、まあそういうような関係も相当影響したのではないかと思うのであります。現に官庁方面におきます予算などにつきましても、先ず旅費が槍玉に上るというようなことも相当影響していると思うのでありますが、そういう関係で遠距離客は公用と申しますか、或いは社用と申しますか、私のプライベイトな旅行とそういう公社用のような遠距離旅客との割合は、これは近距離の場合よりも遙かに私的の旅客の割合が少いのでございます。そこへそういうような情勢になりましたために、極端に遠距離客が減じました。人の頭数におきまして一〇%減つても、むしろ收入は更にそれよりも余計に減るというような結果を生じたのでございます。大体定期外の旅客というものに対しましてはこれは過去昭和十一年頃からずつと戰争中この方、鉄道の定期外のお客は、一人当りの平均乗車キロが四十キロ内外、殆んど四十キロを割らないというのがずつと過去におきまして示した実績なのでございます。私共もその後昨年の七月の運賃改正におきまして、これでまあ一応旅客運賃としては或る程度の社会的な意味におきまして限度に達しているのじやないかという感じを持つたのでございます。この時以後大体旅客一人当りの平均乘車キロが多少微々たるものではございまするが減つて参りました。三十六キロ、七キロというような数字になつたのでございます。運賃改正直後におきましてそういう結果を見ますことは、これは過去の運賃改正の際常に見られる現象ではございましたが、昨年の七月の運賃改正の場合にはこれが減つて、それから逐次回復するという様相がなかなか見られない。そうして約三十七、八キロで以て、まあ国鉄といたしましては十数年来の記録を破つて、そういう三十八キロから九キロというようなところで落着いて参つたのであります。そこで今回の運賃改正によりましても、或る程度社会的な限界に近付いておりますので、運賃改正の結果として又この一人当りの輸送キロが減るということも当然考えなければならなかつたわけでございます。それは予算上の考え方といたしましては、平均乘車キロで考えるよりは、全体予算、全体として一〇%、言い換えれば足の短かくなつたことと、人間の減つたことと両方合せて一〇%くらい、ということで一応予算を立てたのでございますが、この旅客の足の減り方が、長さの減り方が、非常に極端でございまして、運賃改正直後は三十キロを割つておるのじやないか。最近やや回復はいたしておりますが、恐らく年間平均いたしましても三十キロそこそこではないか、こういうような見通しになりまして、過去十数年間の固定した数字から十キロも減るというような極めて大きな現象を示したのでございます。そういうようなわけでございまするので、勿論私共といたしましては、当初予算の見込に当りまして考え方が甘かつたのじやないかというお叱りはこれは誠に止む得ないことかと思うのでありますが、逆に單に運賃の賃率操作に基く以外の経済現象の影響というものが相当予想を超えて広く影響して参つたということも御了承願えたら大変仕合せだと思う次第でございます。
  55. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 大体分りましたが、ついでにもう一つつて置きたいのですが、今のお話で、旅客の減收がまあ大体の八十六億の減或いはそれ以上になつておる。その外に大きな減收の原因というものはありませんか。
  56. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) その外の減收といたしましては、雑收入が当初予算におきましては三十四億八千万円を計上してございまするが、今度御審議願います補正予算におきましては、これを二億1千万程削除して頂きまして、三十二億七千万円ということにいたして頂きたいとかように考えております。まあ二億程度でございまするので、只今お話のございました大きな原因というところに該当するかどうか、この点は或いはお答えにならないかとも思いますが……
  57. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 次にお伺いしたいのは、これも昨日の御説明の中にあるのでありますが、このまま推移すると、大体来年度は二百数十億の收入不足となるという説明であつたのございますが、二百数十億の大掴みの内訳を一つ、どういう点が二百数十億の内訳になるか、御説明願いたい。
  58. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 二百数十億と申しますのは、只今私共の方で一応大蔵省と協議をいたしまして、関係方面と折衝いたしております来年度の支出経費、これと見合つて二百数十億不足になると、こういう意味でございます。来年度の経費を然らばどのくらいに考えておるかということでございまするが、これは大体増額をいたしまして、現在のところは千三百四十億程度考えてございます。そのうち純粋の経営費につきましては、これは大体千九十三億という程度考えでございまして、二十四年度の経営費とほぼ同額でございまして、この点については、経営は本年度以上の輸送量を考えておりまするが、併しながら経費の方は増さない。それ以上増加いたしまして考えておりますものは、勿論利子等が殖えたことも多少ございまするが、尚約百五十億の減価償却手当金、その外にこれも概畧五十億程度の剰余金を、余裕金を来年度に持つて行きまして、二百億程度控除財源として、自己資金で賄つて参りたい。かような考えを入れての千三百四十億でございます。これに対しまして現行の賃率を以て来年度の輸送量を想定いたしますときに約一千百四億程度になりますので、従いまして二百数十億の收入不足になる、かように考えております。
  59. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 只今のお話にありました輸送量はどちらかというと殖えるに拘わらず、経営費は本年と大体同じくらいになるというようなお話であつたのでありまして、これも昨日の御説明のように各般に亘る経営の合理化を行うということから来ているだろうと思うのでありますが、経営の合理化の主なものはどんなことをやつておられるか。お伺いできませんか。
  60. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 経営合理化につきましては、今年度予算におきましてもすでにいろいろな方法考えられ、又実行面におきましてもいろいろな方法考えられたのでございますが、来年度予算編成に当つて特に大きな問題といたしましては、本年度行政整理の結果人員が減りましてございます。そのための人件費の減少と、それからこの石炭費の減少とが大きな項目として挙げられております。
  61. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 今のお話の人件費の減少というのは、この前の整理の結果だと思うんですが、それ以上に何かまだ人件費の整理をなさる御計画があるのですか。
  62. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 今年度行政整理の結果約九万五千余の人が減つたわけでありますが、尚来年の二十五年度予算におきましては、欠員の不補充という点が大きな項目として挙げられております。
  63. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 今の欠員不補充でどのくらい減ることになりますか。
  64. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 約八千人程の見込でございます。
  65. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 諸君にお諮りいたしますが、もう十二時でありますし、法案に対する質疑は継続することとしてどうですか……
  66. 村上義一

    ○村上義一君 ちよつとお尋ねいたして置きたい問題があるのですが、この問題はまあ後で伺うとしまして、この議員の発議案で、身体障害者福祉法案というのがあるのであります。この附則の五十條に、国有鉄道運賃改正が出ておるのです。一つ国会に二つの運賃改正法律案が出るということになるのですが、これにつきまして、一体政府はどういうふうにお考えなつておるか、伺いたいと思います。
  67. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 身体障害者福祉法案の附則で以て国有鉄道運賃法の改正案が出ておりまするが、これは実は議員提出の法案でございまして、一応行政府でありますところの我々といたしましては、形式的には関係ないことになつておるわけでございまするが、このいきさつをざつくばらんに申上げますると、身体障害者に対してもろもろの福祉を国家の手によつていろいろ御計画なつて、そうして又その際の費用も負担されるというような趣旨で、いろいろ厚生省において研究いたしました当初は、政府提案として考えておつたようでございますけれども、その際に私共の方に連絡がございまして、鉄道運賃を免除するとか、或いは減額するというようなことを法案に書きたい、こういう話でございました。それにつきまして運輸省といたしましては、これはやはり企業の建前から言つて、そういう社会政策的な事柄はこれは国家において負担する、いわゆる一般会計において負担する。特別会計であるところの国鉄なり、或いは一般の企業会社でありますところの私鉄というようなものに負担を負わせるのは、趣旨は結構であるけれども筋が違うのではないかというような意見を申して置いたのであります。その後の折衝といたしまして、私鉄についてはこれは私企業であるし、憲法にはつきり公共のために供するときも補償しなければならないという規定もあるから、これは私鉄については法律の中に書くのを止める。併し国鉄はこれは私の企業とは言えないのであります。従つて国鉄に関する減額を法律に書きたい、こういうことでございました。それに対しまして私の方といたしましては、御趣旨は結構であるが、国有鉄道の独立採算制の建前から見まして、やはり一応これは負担というものは、国家負担にすべきじやないか。減額をすることはいいが、その部分は国家において国鉄に補償するということが一番筋が通るのであるし、且つ又この運賃の全体的な建前から見ましても、これは財政上の措置を要する問題である。従つて單に法律に書いて、そこで直ぐ減額がなるというようなことになりますれば、あらゆる社会政策的、経済政策的の見地から運賃の減額等についていろいろの御要求があり、それに対してすべて法律で書きつぱなしにしてしまえば、国鉄が如何なる損失を葬つても何ともいたし方ないというようなことになるのは困る。身体障害者の方々に対してのみこれを考えるということなら、これは多少額といたしましても、国鉄の財政に致命的な影響を及ぼすような額ではないのでありまするから、建前法律に書くのはどうか。国鉄が御趣旨のようにこれは身体障害者と申しましても、附添人を要する身体障害者、介護者を要する者でありますが、この介護者を要する身体障害者に対しては、御本人と附添の方について運賃を割引く、大体五割くらい割引くことは差支えないではないか。そういう程度のことは実際上するから、法律に書くのは建前上如何なものであるか、かようなことを申上げたのでございます。ところがこれがいろいろの御関係から、議員提出にお変りになつておるのでございます。そうしてその際に私共実は一昨日でございましたが、両院の厚生委員会の合同審査がございまして、そこに行つて初めて法案を拜見したのでございます。それには今までの私共の伺つておりましたのでは、国有鉄道は政令の定むるところによつてそういう人達に運賃の減額をしなければならない。こういう規定をするというように聞いておつたのであります。それが実は忽然として国有鉄道運賃法の改正となりまして、そうしてこの身体障害者に対しましては半額にする。確定的に半額ということをそこに書いてある。而もその内容を見ますると、三等の普通旅客運賃のみならず、その書き方といたしましては、一等、二等の旅客運賃についても適用されますし、又定期の旅客運賃についても適用されるというような恰好になつておるのであります。そういうようなことでございまするので、私共といたしましては、これは運賃法は国鉄の財政とも併せて総合的に運輸委員会等で御審議を願いまして、そこで運輸委員会で以て御決定になりますものならばこれはまあ予算上の措置を伴うものは然るべき予算上の措置もいたしますし、又予算上の措置によらずして可能なものは、又それの御決定に従うべきことは、これは法律で以て運賃を決定する以上当然なことと存じておるのでございまするが、そういう国鉄の財政と併せて総合的な御検討を頂かずして、運賃法の改正が外の法律の附則ででき上つて行くということにつきましては、実際の衝に当つております者といたしましては相当困る結果になるのではないか。かように考えておる次第であります。
  68. 村上義一

    ○村上義一君 只今お説伺いましたが、これは相当考えなければならん問題だと思う。こういうふうのことを、まあこの金額は幾らになりますか、これも一つ政府当局で御見当がついておれば、一つお伺いたいと思いますが、本人及び附添人が両者共半額になる。言い換えれば一人が無賃だ、こういうことになる。金額の如何を問わず、こういうことが他の法律で、本文なり又附則なりで決められる、決めていいということの建前を取るとすれば、国鉄の独立採算制というものは根本において崩れるのじやないかと思う。尚これにつきましては、又他日に意見を述べたいと思いますが、大体これを実施した場合にどれくらいの金額になるか、一つ伺いたい。
  69. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) このために国鉄の蒙むる減収はどのくらいかというお尋ねでございまするが、これは実は身体障害者、介護を要する身体障害者と申しますと、大体全盲の方と、それから四肢が、両手不自由、両足不自由というような方と思うのであります。これは厚生省の調べによりますと、大体全国で十万人程度ということでございます。十万人余ということでございます。従いましてこれが介護者をつけますと、先ず二十万人余という数字になるかと思うのであります。この方が一体一年にどのくらい国鉄を利用されるかということによつて問題は決定するかと思うのであります。で、実は私共の方では、こういう方々がどの程度実際施行されるかという具体的な資料がございませんので、甚だ判定に苦しむのでございますが、仮に只今全国民一人当り、これはいわゆる不便な山の中に住んでいる方々も、それから又生れたばかりの赤ん坊の方も全部含めて、いわゆる活動人口ではなくして、全人口に対しまして鉄道の乗車回数がどのくらいになるかと申しますと、これは定期外におきまして普通旅客といたしまして約七十回でございます。そこでこの数字をそのまま適用するのも如何かと思いまするが、先ずこれを十五回と考えますと、大体一年に七旅行半ということになるのでございますが、まあ二月に一ぺんよりはちよつと多いというくらいの計算になるのでございます。それで計算いたしますと、現在の平均乗車キロで見た場合に、大体全部の上るべき運賃収入は一億四千万円、若しこれが半額減額いたしますと七千万円という相当の額になるわけであります。このことを厚生委員会で私申上げましたところが、厚生委員方方のお考えは、そんなに沢山旅行はしないのだ、そういう身体の不自由な人が旅行されるのはよくよくのことであるという御意見が相当強かつたのであります。仮に一年に一往復といたしましても大体一千万円。こういうことになるわけであります。この見積りは結局はどのくらい乗られるかということによつて決まるのでございますが、厚生委員会方面の御意見のように少なければ、国鉄といたしまして財政の方から見ましても、堪え得られないことはないと思うのであります。先程御発言がございましたように建前の問題として今後他の方面でもこういうようなことがどんどん行われるかということについては、只今多少私も不安を感ぜざるを得ないことがございます。総合的に国鉄について、いろいろ御検討願う運輸審議会の御決定ならば、これは私は御審議して頂いて御決定して頂くならば、これは私共当然運輸省といたしましても、国鉄といたしましても十分これに従わなければならんと思うのであります。そういう観点で御検討をお願いいたしたいと思います。
  70. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 本法案の提案理由の説明として運輸大臣はこういうことを言つている。インフレも収束の段階にあり、価格統制も漸次緩和されつつあるので、この程度の値上では消費者価格に影響する程度は僅少であると考える。この御説明では甚だ抽象的であり、又非常に見様によつては安易なお考えであるようにも見える。或いは又非常に苦しい御説明であるようにも考えられるのでありますが、僅少であるという御説明をもう少し具体的に一つ説明を願いたいと思うのであります。  それから次に消費者価格に影響する程度は僅少であることを言及せられておりますが、生産者価格というものについては殆んど言及しておられないのであります。その点についても一つ説明を願いたいと思うのであります。例えば例を私は木材に取つて申上げて見たいと思いますが、この木材のごときは非常にかさ張る。そうして木材のごとく比較的価格の安いものに対するこの運賃の値上の影響というものは非常に大きいのであります。例えば九州から大阪に持つて来る、或いは東京に運搬する木材、或いは北海道から大阪方面に輸送する木材というものは、この八割の値上が実現されるということになると、殆んどただになる。ただどころではなくて一〇%も一五%も足を出すという結果になるのであります。御承知のように木材は現在マル公がありますが、実際においてはマル公を割つて販売されつつある。二割も三割も割つておる。でありますから、仮に大臣の御説明のごとく統制を撤廃されても、木材の消費者価格というものがそう値上りになるということは考えられない。ですから結局木材の動きというものは、この値上によつて殆んど企業は停止するということになるのではないか。現在電力も節減、或いはその木材の消費が非常に少くなつておるというような関係で、全国的に見まして三五%ぐらいの転廃業者を出しておる。全国的に見ますると、これに従事しておるところの従業員及びその家族を合せて約一千三百万人ぐらいあると思うのでありますが、その中のすでに三五%というものが失業に陥つておる。更にこの値上によつて幾らということも予想ははつきり付きませんが、私共の考え方によると、少くも更に現在ぐらいの転廃業者が出るのではないか。結局六、七〇%の失業者を出すということになつて、非常なる社会不安を招くという虞れもあるのであります。更に又北海道であるとか、或いは九州であるとかという方面の木材が中央都市の建築資材に与えられる。大阪のごときは南九州から来るところの木材によつて建築されておる。ところが運賃によつて殆んどただになる。ただどころではなく足を出さなければならんということになると、経営が継続して行かれるわけはないのでございますから、先程申しましたように、転廃業等によつて大阪の木材の生産というものは非常に落ちる。いわゆる復興途上にあるところの各都市の需要を満たすこともできないという結果になつて、一面においては復興を阻害する。一方においては多数の従業員の失業者を出して、そうして社会不安を増すということにもなる。これは一に製材業者のみならずこういうところの影響は大きいと思い。私は例を木材に取つて申上げたのでありまするが、こういう面は非常に多いと考えるのでありますがね運賃の値上が生産者価格に及ぼす影響についてできるだけ具体的に御説明を願いたいと思います。
  71. 大屋晋三

    ○国務大臣大屋晋三君) 只今の問題が一番重要な点なんですが、只今お手許に配付してある資料の、鉄道運賃に関する資料の十二頁に、各商品別に鉄道が扱つておる運賃改正資料という資料を差上げてありますが、その十二頁に鉄道で現在扱つておりまする主要なる二十六品目に対するいろいろなる統計が載せてあるのでありますが、個々のものに対しまして、今御指摘のごとく木材は非常に重要商品であり、而も価格の中に占める運賃の割合が相当大きなものの一つであるわけなんです。そこで個々に対する商品の生産状態、或いは経済状態という点から考えまするというと、いろいろなことが考えられまするのですが、先ずここで運賃を値上をするという政策を立てまする場合にね根本的に果してこの運賃を値上げしたならばどういう影響があるかということを先ず考えて見たのであります。それで一応この数字によつて考えて見まするというと、大体現在は、この二十六品目を総平均しまして、価格に占める運賃の割合いは二・三%なのであります。ところが、日本昭和十一年が最も経済状態が安定した、バランスの取れておつた時であつたと思うのでありますが、その時にはこの価格に占める運賃の平均のパーセンテージが四・六一%で、現在よりもちよつと倍になつておるわけなのです。單に数字の上から見れば、現在の貨物運賃の価格に対する比率というものは、昭和十一年の経済安定時期に比較して半分であるということが数字の上で言えるわけなのです。そこで、これを今回八割を値上いたしますというと、現在の比率二・三%が四・三%になるわけなのです。比率から言えば昭和十一年の四・六%に比して尚少し低目にある。こういうことに一応数字の上ではなるわけなのです。そこで今度は各商品に対する特殊の事情なのでありますが、木材のごときは非常にかさ高なものであり、且つ又今御指摘のような事情があるかと思わけるのですが、私としましては、総体的にはどうも今回の八割値上の運賃は、これを理論的、経済的に大きな大掴みの批判からいたしますというと、インフレーシヨンがどんどん進行しておる過程におきましては、些細なことでも物価に刺戟を与えるような政策をとつては相成らんと考えておりますが、現在は十分ではございませんが、インフレはやや進行を止め、むしろデイスインフレというような恰好をとつておりまするところへ持つて参りまして、また運賃の値上げをしても、すべての環境から考えて、総体的な大きな意味においては、これが国民の消費面においては吸收ができると考えたのであります。それならば何故又運賃の値上をせねばならんかと申しますと運賃が大体コストをカバーしていないのであります。鉄道政策は従来昭和十一年あたりは鉄道收入の上げ方を旅客運賃と貨物運賃と大体とんとん、鉄道の收入が仮に百億あるといたしますれば、そのうちの五十億は旅客運賃によつて、他の五十億は貨物運賃によつてとね大体においてとんとんの五分五分くらいの見地で收入を得て参つたのでありまするが、昭和十二年になりまするというと非常にその比率を変えまして、貨物運賃というのはうんと少くいたしまして、ここにも表がございますが、旅客運賃の方に基本を置きまして、それがずつと下りまして、昭和十八年頃におきまするというと、もう八〇%を旅客運賃で收入を上げて二〇%を貨物運賃にしたということを裏から考えますれば、貨物運賃は政策運賃で、コストが百円かかつておる場合におきましてもその運賃を四十円なら四十円、或いは三十円なら三十円しか徴收しない。その赤字を旅客運賃でカバーしておつたという政策をとつてつたのでございます。現在も貨物のコストに対しまして、実際の貨物運賃はその原価に対しまして現在は四八%しかカバーしていないのであります。後の五二%というのもは旅客運賃の方から助け船を出してカバーしておる。これではまずいから少くともコストの百円かかるものを百円の運賃にすればいいのですけれども、一挙にそうはできませんから、それを八割だけ上げていわゆるコストにミートする運賃を、近い運賃を作り出すという、いわゆる原価採算的に申しますればそういうようなわけなんで、そういうような意味合から見ましても、それから日本の経済の今の進み工合から見ましても、あらゆる物価に占める運賃のパーセンテージが八割値上いたしましても平均して四・三%だという事実に鑑みて、私は全体的としてはいたし方ない、尤も今の前之園さんの御指摘のように、木材というようなものに対して生産者側に御指摘のような事実があることは私もよく承知いたしておる次第であります。
  72. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 前之園君の御質問は重大問題でありますから、又適当の機会に徹底的に御下問なすつた方がいいと思います。それでは本案に対する質疑は継続することといたしまして、この程度で散会いたしたいと思います。  本日の公報に明日午前十時という開会のことがありましたが、御承知のように明日は本会議がございますし、午後一時から請願委員会がありますから、午後二時からこの委員会を開きたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            飯田精太郎君    委員            内村 清次君            植竹 春彦君            大隅 憲二君           前之園喜一郎君            小野  哲君            高田  寛君            早川 愼一君            村上 義一君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 大屋 晋三君   政府委員    運輸事務官    (大臣官房長) 荒木茂久二君    運輸事務官    (大臣官房観光    部長)     間嶋治郎君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (鉄道監督局国    有鉄道部長)  石井 昭正君