運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-26 第6回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜 日)    午前十時三十六分開会   —————————————  本日の会議に付した事件通運事業法案内閣送付) ○日本通運株式会社法を廃止する法律  案(内閣送付) ○日本国有鉄道所有地内にある日本  通運株式会社施設処理等に関す  る法律案内閣送付) ○国際観光事業助成に関する法律案  (内閣送付) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○東鉄の荷拔事件に関する件 ○傭船料支拂遅延に関する件 ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 只今より開会いたします。運輸大臣より通運事業法案外四件の提案理由説明を求めます。
  3. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 只今より通運事業法案並びに日本通運株式会社法を廃止する法律案提案理由について御説明申上げます。  先ず通運事業法案について申し上げたいと思います。法案説明に入ります前に先ず小運送制度の沿革の概畧を申し上げ、御了承を得て置きたいと存じます。小運送業法昭和十二年に施行されますまでは、小運送事業自由営業であつたのであります。これがため業者乱立は甚だしく業者相互競争は激甚を極め、経営上の破綻を来すものも数多く荷主公衆不測損害を及ぼすもの又少くなかつたの政府としては微温的ながらも利用者利益の擁護と鉄道能率増進のため公認制度をとり、次で指定店制度を採用して参つつたのであります。がこれらの制度は反面指定店と非指定店との対立を招く等幾多の弊害を伴う結果となりました。そこで昭和十二年に小運送業法を制定して小運送業免許制度として、免許業者に対し適切なる監督取締をすることといたすと共に日本通運株式会社法を制定して小運送業者間の取引より生ずる債権債務の決済、貨物引換証整理保証、小運送業経済的助成、及び小運送業を行うため、数箇の会社を統合して日本通運株式会社を設立したのであります。その後時代の要請により漸次集約経営により業界の強化を計ろうとする機運が濃厚となり今日のいわゆる一駅一店制度実現を見たのであります。  以上述べて参りましたごとき経過により小運送業総合的運営が行われ且つ業界は従来の家内商業的な規模より近代的経営に移行し、種々困難な状況の下によくその公共的使命を達成して参つたのでありますが、その反面において漸次独占的な弊害も見受けられるようになり荷主公衆に対してもとかくサービスに欠くる傾向が生じてまいつたのでありまして、ここにおいて速かにその弊を除き小運送事業を公正な競争の下に健全に発達させサービスの向上及び小運送増強を図ることが強く要請せられたのであります。政府はこれがため過渡的方策として客年十一月「駅における小運送業者数複数化実施の件」に関する閣議決定を行い、これにより既存業者の外に新規業者差当り業者免許する方針をとり本年三月十九日第一次として主要地域三十三駅を指定新規運送業免許を行うことを明らかにし更に引続いて二十八駅を指定することにより着々と自由公正な競争をなし得る途を開いて現在に至つている次第であります。  これらの情勢に対応するためには現行運送業法では必ずしも十分とは申せませんので、新たなる構想の下に今回本法案を提出した次第であります。  以下簡単に本法案の骨子について申し上げます。第一に申し上げたいことは本法においては現行の「小運送」の名称を「通運」という名称に変え通運行為を明細に定義付けその対象を明らかにいたしたことであります。現行法におきましては小運送定義については何ら言及していなかつたのでありますが本法において明確に定義付けその業態を五つに分類いたしました。  第二に申し上げたいことは通運事業免許許可認可基準を定めその基準に適合するものは免許する建前とつたことであります。通運事業道路運送事業乃至鉄道軌道バス事業同様国民生活に直接重大なる関係を持ち、その社会公共への影響は大きいので主務大臣免許認可等行政監督措置をとることになつている点は現行法と変らないのでありますが、本法においては免許基準を設けすべてこの基準従つて免許許可認可等行政措置をとるようにしたのであります。この基準は徒らに免許許可認可を抑制するものではなく、公衆利便増進を計ると共に一般の需要及び鉄道運営効率を考慮し公正な競争が行われることに重点が置かれているのであります。  第三に本法通運事業公共性にかんがみ荷主公衆保護利便のため事業の公正な運営を期し業務取扱の面で通運約款荷主に対する責任に関する事項等に関し規定を設け通運行為法律関係を明確にして居ります。  第四に申し上げたい事は通運計算事業についてであります。通運計算事業は過去におきましては全国的には相当数濫立を示し種々弊害が認められましたので、日本通運株式会社法を制定し日本通運株式会社にこれらの計算会社を統合し、全国的に統轄された組織をもつて計算事業を行なつて参つたことは前に述べた通りであります。元来通運取引から生ずる債権債務通運事業者みずからの手でこれらの処理を行うより、第三者の立場にある通運計算事業者にこれらを集合相殺させる方が費用、時間の点からも又事務能率の上からも有利であります。政府としては、通運事業における秩序の確立、健全なる発達及び荷主公衆利益保護することに役立つ健全なる計算事業者の出現を望むものでありまして、これらの点を総合検討いたしました結果、計算事業認可制度とすると共に、特に一章を設け通運計算事業運営に関する規定、料金、計算規程認可制計算契約引受義務及び契約強制禁止等規定いたしました。  第五に申上げたいことは本法案道路運送法の両法の適用を受ける事項について適当な調整を図つたことであります。即ち道路運送法規定する貨物自動車運送事業免許を持つておりますものは、主務大臣取扱駅を指定いたしましたときは、本法律案にある集貸配達の事業について免許を受けたものとみなすこととし、又新たに通運事業免許を受け又は自動車を使用していない通運事業者通運事業のために新たに自動車を使用することにつき認可を受けたときは、貨物自動車運送事業免許をうけたものとみなすこととし、両法による手続の重複を省畧することといたしております。  最後に申上げたいことは運輸大臣法律に基く権限により免許認可等行政措置を講じます際は、すべて運輸審議会に諮り、その意見を尊重して行くこととし通運行政の適正な運用と免許認可等の公平を期しておる次第でございます。  なお現在施行されております小運送業法は本法律案が成立いたしますれば廃止されることになります。  以上通運事業法案につきまして極く概畧を御説明申上げましたが次に日本通運株式会社法を廃止する法律案について御説明申し上げたいと思います。  日本通運株式会社法による日本通運株式会社は、前にも申述べましたが小運送業の改善のためにその使命を果して参つたのでありましたが、小運送業の公証なる自由競争体制整備せんとする現段階においては、現在の特殊会社としての日本通運株式会社性格は適当でないので、現行日本通運株式会社法を廃止するために、本法律案通運事業法案と同時に本国会提案いたしたわけであります。なお本法案においては「日本通運株式会社法」が未だ効力を有するうちに通常商事会社性格を変更した場合は同法を適用しないこととし、経過措置を用意いたしました。  以上で二法案提案につきましての御説明を終りたいと存じますが、通運事業の健全な自由競争体制を確立し、公共の福祉を増進し、その民主的な運営を期するためには、是非共法律実施を必要とするものと考へますから、何とぞ充分御審議下さるようお願いする次第であります。  次に日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案提案理由について御説明申し上げます。  日本通運株式会社さき過度経済力集中排除法規定により指定を受けておりまして、近く持株会桂整理委員会より指令を受けることになつております。  又更に同社は会社経理応急措置法規定により特別経理会社なつており、従つて企業再建整備法により整備計画を立て、主務大臣認可を受けなければならないのであります。これらの整備計画及び認可は、過度経済力集中排除法の施行に伴う企業再建整備法の特例に関する法律により、過度経済力集中排除法決定指令内容に従わねばならないこととなるのであります。  ところがこの集中排除決定指令日本通運株式会社のみに対する一方的措置でありまして、この指令適確且つ迅速に実施するためには更に必要な法律上の措置をとる必要がありますので、本法律案提案いたしました次第であります。以下簡単に本法案内容について御説明申し上げます。  第一に申上げたいことは、日本国有鉄道に対しその所有地内にある日本通運株式会社の一定の施設を譲り受けるべき義務を課したことであります。  譲り受けるべき施設範囲は、日本国有鉄道がその事業運営上荷主又は通運事業者に対して有効な利用を保証し、共通の利便を与えるために必要なものであります。更にこれらの物件については、日本国有鉄道指定することといたしました。譲受価格その他に関しましては、公平且つ適正を期するため、当事者の外に、両者協議して定める候補者のうちから第三者運輸大臣が選定上、これら三者の協議によつて決定することになつて居ります。次に譲り受けの方法といたしましては、日本国有鉄道が所有する日本通運株式会社株式対等額範囲内で交換し、尚不足の場合には予算のうち工事勘定で定められた額の範囲内で譲り受けることにいたしております。  第二に申上げたいことは、日本国有鉄道はその所有する日本通運株式会社株式を他に譲渡しなければならないことであります。日本国有鉄道は前に述べましたごとく、日本通運株式会社施設対等額範囲内で交換する外、株式の価額の方が高いときには、その額の株式については有価証券の処分の調整等に関する法律により他に譲渡しなければなりません。  第三に申し上げたいことは、日本国有鉄道日本通運株式会社以外の通運事業者よりその所有地内にある施設予算範囲内で譲り受け又は賃借りしなければならないことであります。日本通運株式会社の場合と異なる点は賃借りし得る余地が残されておることであります。これに伴い通運事業者はこれらの施設日本国有鉄道讓渡し又は賃貸しする義務を負うこととなつております。  第四に地方鉄道業者或は軌道経営者の場合についてであります。この場合においては、日本通運株式会社が、これらの地方鉄道業者及び軌道経営者の要求により、讓渡し或は賃貸しなければならない施設価格その他の事項は、両者協議によつて定めることといたしました。  以上が本法律案の極暑の説明でございますが、通運事業における自由公正な競争を確保するためにはさき提案いたしました「通運事業法案」及び「日本通運株式会社法を廃止する法律案」と共に、本法案是非とも必要なものと考えられますので、何とぞ十分御審議下さいますようお願いする次第であります。  次は国際観光事業助成に関する法律案提案理由について御説明申し上げます。  御承知のごとく、戰後におけるわが国経済的復興国際親善増進を図りますためには、国際観光事業振興にまつところ極めて大なるものがあるのでありまして、現に海外の事例を見ましてもイギリスフランススイス、ベルギー、カナダ、メキシコ等、欧米の諸邦はいずれも観光事業振興に大きな努力を拂つているのであります。例えばイギリスにおきましては、戦後新設された公益的観光機関たる観光休暇局に対しまして昭和二十三年度は四、十二万五千ポンド、邦価にいたしまして約七億六千万円の補助金交付し、またスイスにおきましても同じく公益的観光機関である中央観光局に対しまして年々二百五十万フランの定額補助金に加え、五十万フラン以内の臨時補助金併せて邦価約二億七千万円を交付し、観光宣伝積極的展開を図りますと共に、観光施設整備促進外客接遇充実等に非常な努力を拂い、大なる成果を攻めているのであります。  さて我が国におきましては、国際観光事業振興見地から、さき内閣総理大臣諮問機関である観光事業審議会が設置され、又運輸省には大臣官房観光部が設けられておりまして、同部の指導監督の下に財団法人日本交通公社が主として対外宣伝実施及び外客の斡旋に当り、また社団法人全日本観光連盟観光観念普及観光関係従事員に対する指導育成観光地観光資源等開発保存乃至整備等いわゆる外客受入体制整備に大きな努力を拂つているのであります。  今試みに本年一月から九月までの観光統計を見ますると、入国外人数は約一万八百人、その推定消費額は五百六十万弗、邦価にして約二十億一千六百万円の多額に上つているのでありまして、而も今後なお急激に増加する傾向にあるのであります。従いまして、わが国における最も代表的なこれ等の公益的観光実施機関活動は、これをいよいよ活発ならしめる必要が痛感されるのでありますが、その所要経費を民間の負担にのみ仰ぎますことは、現下の経済事情から見て不可能であるのみでなく、その事業活動の効果はわが国の全文化、経済乃至産業界にあまねく潤うものであり、従いまして、その事業経費相当部分イギリススイスフランス等海外観光国の異例に徴しまするも、当然国家において負担すべきものと思料するのであります。現に昭和二十三年度におきましては日本交通公社に対しましては五百万円、全日本観光連盟に対しましては一千万円の補助金交付したのでありますが、本昭和二十四年度におきましては均衡予算影響をうけまして全額削除されたために諸般の国際観光事業実施する上におきまして致命的な制約を受けるに至つたのであります。四囲の情勢の好転と相まち、海外に対しまして積極的な外客誘致宣伝を展開致しますると共に、内におきましては、これに呼応し外客受入体制整備に邁進すべきときに当りまして、この事実は我が国際観光事業界にとり重大暗影を投ずるものといわざるを得ないのであります。  その後種々折衝致しました結果、幸いに本年度補正予算案中に若干の補助金を計上し得たのでありますが、補助金交付法律に基くべきであるという建前によりまして、お手元に配布してありますような法律案を作成し、本国会に上提することといたした次第であります。  次に本法案内容について申上げまするに、先ず第一條において、国際観光事業振興いたしますため、対外観光宣伝をはじめ観光地観光資源開発保存乃至整備観光観念普及観光関係従事員指導育成等外客誘致促進に資し得る各般事業に携つております非営利の観光機関に対しまして、その事業の遂行に必要な経費の一部を政府か補助しうる旨規定いたしておるのであります。次に第五條において、この法律によつて交付される補助金国際観光事業振興に役立たない用途に使用することを禁ずる旨規定し、又第四條において若し当該観光機関が当初に出講した事業計画等を変更しようとするときは、予め運輸大臣承認を受けなければならない旨定め、次で第六條において運輸大臣承認を経ずにその事業計画等を変更し、又は国際観光事業振興以外の用途補助金を使用したような場合は、その補助金還付を命じ、万一故なくその還付をせず又は補助金を他に流用した責任者が尚その職に止まつているときは、爾後その観光機関に対し補助金交付しない旨の規定を設けているのであります。そのほか補助金交付申請手続監督上必要な各種の書類及び報告の徴収、会計の処理等についてもそれぞれ規定を設け、補助金の有効適切な使用に遺憾なきを期しておる次第であります。  以上本法案提案理由並びに法案内容につきまして御説明申上げましたが、何とぞ愼重御審議上速かに御可決あらんことを御願い申上げます。
  4. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ではちよつと速記を止めて下さい。    午前十時四十五分速記中止    ——————————    午前十一時六分速記開始
  5. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて下さい。  次に国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして説明を願います。
  6. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 只今から、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  国有鉄道におきましては、去る五月旅客運賃改正行つたのでありますが、その後の経済事情の変化その他の事情によりまして、予定の収入を得られず、本年度大体八十六億の赤字を生ずる結果に立到りました。来年度におきましては、このまま推移いたしますれば大体二百数十億円の収入不足となるわけでございます。  国鉄におきましては各般にわたり経営合理化を行い、これに対処していることはいうまでもないことでありますが、何分にも運送原価の半ばにしか達上ない貨物運賃の下において収支均衡を得ることは頗る困難といわざるを得ません。  このような事情によりまして、今回公正な原価を償うという観点から貨物運賃の八割値上げをいたしたいと存ずるのであります。この八割値上げによりまして、平年度においては収支均衡を得ることができ、輸送力維持増強に必要な経費を賄い得ることとなるのであります。併し国鉄貨物運賃は單に国鉄の財政上のみから考うべきでないことは勿論でございまして、現在問題となつております海陸輸送調整観点からも検討さるべきでありますが、これにつきましては、国鉄運賃八割値上げによりまして、海運賃採算ペースに基く自由運賃形態に到達することが期待され、海陸調整は十分その目的を達し得ることとなるのであります。  国鉄貨物運賃を八割値上げすることにつきましては、それが一般物価影響を与えるのではないかという論議があるかと考えますが、検討いたしました結果、最近におきましては、インフレも終そく段階にあか、価格統制も漸次緩和されつつありますので、この程度値上げでは消費者価格影響する程度は僅少であると考えるのであります。  次に旅客運賃調整の問題につきましては、財源の関係上、来年度において通行税法改正されます機会に、それと睨み合せて遠距離逓減、一、二等倍率の引下げ、長期定期割引き等について考慮したいと考えておりますので、或いは来る通常国会国有鉄道運賃法一部改正として御審議頂くことになるのではないかと考えます。  以上国有鉄道運賃法の一部改正法律案提案理由とその内容について御説明申上げましたが、何とぞ愼重御審議頂きまして、速やかに可決あらんことをお願い申上げます。
  7. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に通運事業法について補足的の説明を願います。
  8. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 私から只今大臣から提案理由の御説明がございました通運事業法日本通運株式会社法を廃止する法律案日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案の三者につきまして、相関連する点がございますので、補足的に御説明申上げたいと思います。  小運送業昭和十二年以前におきましては、自由営業でございまして、昭和十二年現在におきましては、四千数百店を数うる多数の業者濫立しておつたわけでございます。当時の鉄道省といたしましては、この業者濫立から生じまする不当の競争、或いは不公正な取扱い、或いは荷主公衆に及ぼす不測損害等を考慮いたしまして、これを免許事業といたしまして、昭和十二年に小運送業法実施いたしました。同時に日本通運株式会社法を制定いたしまして、両者相俟つて運送事業濫立を防ぎ、又公正な業態にいたそうということに努めて参つたのであります。本年の三月現在におきましては、お手許に差上げました資料の中にございますように、一般免許を有する小運送業者は二百二十七店、その他限定免許と申しまして、荷主或いは取扱い地域指定する等の限定免許を有するところの業者が百三十二店、合計いたしまして三百五十九店となつております。この中に日本通運株式会社も勿論入つておりまするが、非常に小運送業といたしましては、家内商業的なものから近代的経営に進みまして、当時の経済事情並びに輸出状態からいたしますれば、非常にその成果を挙げたものと思うのであります。併しながら終戰後事情から考えて見ますると、ややもいたしますれば独占的な傾向が出て参りまして、そのサービスの点におきましても又取扱いの面におきましても、いろいろと批判される状態もございますので、運輸省といたしましてはここ両三年の間、この小運送業法改正ということにつきましては種々研究を進めて参り、又小運送業公共性に鑑みまして、免許事業の下におきまして、自由公正な競争態勢を確立することに努力して参つたわけでございます。昨年の十一月におきましては、閣議決定といたしまして小運送業複数制実施することにいたしまして、只今これが実現に着々進んでいるわけでございます。第一次に全国の主要な三十三駅を指定いたしまして、すでに十九箇所におきまして新たな小運送業免許実施いたしております。更に現在第二次といたしまして、全国に二十八箇所の小運送業免許申請を受付けまして実施準備中であります。併しながらこの閣議決定におきましては、やがて小運送業法改正を期待いたしておりました点もございましたので、差当り新たに免許いたしますところの事業者は一店に限つておりまするし、又限定免許等につきまして当分の間は行わないという暫定的の性質もありまして今回新たに漸く通運事業法案並びに日本通運株式会社法律廃止案がここに御審議が願える段階なつたわけであります。  併しながらこの二つの法案だけによりましては、小運送業の独占を排除いたしまして、真に自由公正な競争態勢を確立いたします上からいたしますと、何分にも日本通運株式会社の機構が過大に失すると申しますか、全国におきまして最も大きなものでありまして、他が余りにも小さいという関係もございまするし、又国有鉄道との関連におきましても、国有鉄道施設所有地の中には、相当多数の荷役機械、上屋であるとか、或いは倉庫であるとか、労務員の詰所であるとか荷置場であるとかというような施設を多数所有しておりまするので、これらの施設一般に開放いたしまして、新たに免許されました事業者に公平平等にこれを使用させませんと、真の公平な態勢というものは確立できない見地からいたしまして、ここに日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等法律案を提出したわけでございまして、平たく申しまして、通運事業法によりまして現在一駅一店制をとつておりましたものを、法律に定める基準に合致するものはこれを免許する建前にいたす複数制実施いたしまして、又同時に日本通運株式会社が特殊の法人であり、政府又は国有鉄道といろいろ特殊の保護を受けるような法規的な関係にあります特殊会社でございますから、これを断ち切りまして、一般の商法上の会社にしてしまう、同時に国有鉄道所有地等にいろいろの施設を持つておりまして、非常に有利な態勢にございますから、この施設国有鉄道が買受けて、一般の新たな業者にも平等にこれを公開しで使つて行く。そういたしまして結局この運送業の自由公正な競争態勢を作ろうというのがこの三法案の相関連したところの狙いでございます。  最初に通運事業法の要点を極めて簡單に申上げたいと思います。通運事業法の第一條におきましては、只今申上げましたような目的を明示いたしております。第二條におきましては、旧小運送業法等におきましては、小運送という名称を使つておりましたが、今回は通運という名称にいたしておりますが、この通運定義がはつきりいたしておりませんでしたから、今回は第二條におきまして五号を掲げまして、一から五までの間に通運というものの定義を掲げました。即ち第一におきましては、従来の運送取扱業、第二におきましては運送代弁業、第三といたしまして、陸上鉄道によつて運送されるところの物品の集貨、配達、勿論商法でいいますところの海上におけるものは除いております。第四は、従来の規定によりますと鉄道車輌へ物品を積込んだり、或いは取卸すというようなことが小運送業であるかどうか非常に定義が不明確でございましたので、今回はこれを明確にいたして第四号に記載いたしたわけでございます。第五号といたしましては、従来の鉄道利用してする運送契約につきまして明示いたしておるわけでございまして、一号、二号、並びに五号につきましては法律的な行為でございまして、三号、四号においては事実行為を明記したわけでございます。これが旧法と違いまして、従来のよりも定義をはつきりしたわけでございます。又通運事業と申すものは、これらの通運行為を行うところの事業をいうと規定いたしておりまして、これらはすべて他人の需用に応じてなす場合をいうのであります。従いまして他人の需用に応じてこれらの通運行為を行う事業でありますれば、これを通運事業ということにいたしまして、有償でございましようとも又無償であろうともすべてこの法律にいう通運事業となるわけでございます。  次は第三條でございますが、これはこの法律におきまして初めて通運計算ということを規定いたした次第でございます。通運事業者はその通運行為が隔地取引の性質からいたしまして、どういたしましても通運から生ずるところの通運事業者間の債権債務の決済を必要といたします。その債権、債務の決済又は債権の取立てをするという一つの計算事業というものは想像されますので、ここに第三條に通運計算事業定義を掲げまして、通運計算事業についてのことはこの法律におきましては、第三章におきまして明記いたしております。  それで次に申しますことは、この法律によりますと、各所に免許であるとか或いは許可であるとか、認可という言葉を使用いたしております。併しこの法律の特色とも申しますることは、従来の小運送業法と違いまして、従来の小運送業法でありますればただ免許或いは許認可のことにつきましては、その基準は施行令或いは施行規則等に譲つておりますけれども、今回はこれらを全部法律の上に基準を掲げまして、その基準に適合いたしますものは免許或いは許認可等をなす建前にいたしております。  第四條におきましては通運事業経営する者に対する運輸大臣経営免許でございますが、これは免許に対しましてのことを書きまして、第五條にその申請の方法を書いております。それから第六條におきまして免許基準を掲げているのであります。  それで第六條におきましては「運輸大臣は、前條に規定する申請書を受理したときは、左の基準によつて、これを審査しなければならない」、それで第一項におきましては審査のことを書いておりますが、第一項の一号から四号までが免許基準でございます。その基準に合致しているかどうかということを運輸大臣は審査いたしまして、第二項におきまして、「運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が、同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、通運事業免許をしなければならない」といたしているのであります。第一項の四つの基準に適合いたしておりまして、第二項の一から三までのいわゆる欠格條項に該当しない場合におきましては、運輸大臣といたしましては通運事業免許をすると、こういう建前を取つているのであります。こういう建前が従来の小運送業法と比べまして異なつている点でございます。  その外に第七條におきましては事業の譲渡、第十條におきましては事業の管理、第十二條におきましては事業計画の変更、第十三條におきましては自動車新規使用、第二十條におきましては運賃及び料金、第二十一條におきましては通運約款、こういうものの規定におきましても、やはり許認可いたします場合におきましては、すべて基準を掲げてこの基準に適合したものは許認可をなす建前を取つております。  又同時に三十三條におきまして、これらの許認可をなす場合におきましては、運輸審議会が認めました軽微なものを除きまして、すべて運輸審議会に諮問をしなければならない、こういうふうに決めまして、従来運輸大臣の自由裁量の範囲が非常に広かつたこれらの権限は、これによりまして自由裁量の余地を狭めた、見方によりましては、民主的な方法に変更したということが言えると思うのであります。  第二に申上げますことは、免許事業者の権利義務関係を明確にいたしまして、通運事業の公正な運営を図つたことでございます。このことは例えば十七條より二十五條に掲げてある事項でございます。十七條におきましては通運事業者に対しまして通運引受の義務を課しておるのでございまして、通運の引受を拒絶していい場合を五つ掲げてございます。従来は通運引受の義務法律の文面には出ておりませんでしたが、今回より通運引受の義務を課しまして、拒絶し得る場合を列挙いたしたわけであります。又十八條におきましては通運の順序を定めてありまして、通運の申込を受けましたならばその申込の順序によりまして鉄道に物品を託送する。ただ鉄道の輸送上の理由、その他正当の事由があるときは順序を変更してもよろしうございますが、通常同じような貨物を受附けましたならば、その鉄道託送の順序というのは必ず申込の順序によらなければならぬ、こういうふうに通運順序につきましても規定を設けておるのであります。  更に十九條におきましては物品の種類及び性質の確認、通運事業者通運の申込があつたときは、その物品の種類及び性質をはつきり言つて貰う、又その言つて貰うことを委託者に求める権利を与えておるのであります。内容がどういうものであるか分らないで荷物を受託いたしまして、そのために又いろいろむずかしい法律問題等も起る場合もございますしするので、明告を委託者に求める権利を与えております。又それにつきまして委託者の同意を得て、その立会の上で点検する権利も第二項において与えておるのであります。若しも点検をいたした場合におきまして、物品の種類及び性質が委託者の明告したところと異ならないときは、これがために生じた損害の賠償を通運事業者はしなければならない。通運事業者はどうも内容がおかしいからこの内容を点検しようというので点検をいたしましたところ、内容が少しも申告されたものと異ならないときは損害賠償をする。又第四項におきましては、点検した場合におきまして、物品の種類及び性質が委託者の明告したところと異なつておる場合には、委託者は点検に要した費用を負担しなければならないということになつております。尚この明告を求めましてこれに応じないときは、第十七條によりまして通運の引受を拒絶することもできる、こういうふうにいたしております。  その他二十三條におきましては物品の寄託、二十四條において競売こういうふうに規定を設けまして、免許事業者の権利と義務関係をはつきりし、又通運事業の公正な運営に資しよう、こういう趣旨であります。  次は第三章でございますが、通運計算事業に関する規定でございまして、先程も申上げましたように、この章全部の規定は新たなものでございます。通運計算事業というものは免許事業者が多数今後で営ますると必ず必要とする事業でございまして、而もこれらのものは信用のあるしつかりした事業でございませんと、通運事業者延いては公衆に及ぼす影響も多いのでございますから、認可事業といたしたのでございます。更にこの通運計算事業はややもしますと経済的な非常な力を振います関係もございますので、三十一條におきましては通運計算に加入することを申込んだ場合には、その加入を承諾しなければならない、又三十二條におきましては加入を強制して何でも自分の計算事業に入らなければ商取引をやらないというように脅かすというようなことがないように、又一旦加盟をいたしました計算事業から脱退をするというような場合におきましては拒絶をしてはならない、計算事業に加入することも又出ることも自由であるし、又加入を強制されることもない、こういうふうにいたしておるわけでございます。  次は道路運送法との調整でございますが、十二條と十五條でございます。それに附則の六号と七号によりまして、従来道路運送法によりますところの地場のトラック業者と小運送業との関係におきまして二重の手続を経なければなりませんでしたし、又小運送業者も地場の免許を受けなければトラツクの使用ができないという不合理がございましたので、これらの点を十三條、十五條並びに附則の六号、七号によりまして解決いたした次第でございます。  以上が通運事業法の御説明でございますが、次は日本通運株式会社法を廃止する法律案でございますが、これは誠に至つて簡単な法律でございまして、ただ日本通運株式会社が、この法律実施は恐らく通運事業法と同時になりますれば来年の二月一日施行になると思いまするが、その施行の日前におきまして、商法上の会社になるために定款の変更或いはその他の株主総会の特別決議をなした場合におきましては、そのとき以後におきまして日本通運株式会社及び経済関係罰則の整備に関する法律は全然適用しないということにいたしておる点だけ申上げて置きます。  第三の国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案でございますが、これは至つて少い六條だけの規定でございますが、第一條におきましては、国有鉄道がその所有地内にありますところの日本通運株式会社並びにその他の通運事業者を含めまして所有しておるところの荷役機械その他の施設を讓り受けまして、その譲り受けた施設を公正且つ有効な利用と、通運事業に公正な競争の確保を図らねばならないという目的を表示しているわけであります。  第二條におきましては、日本国有鉄道日本通運施設のうち、どういうものを譲り受けるかという範囲を示しております。即ちそこに書いてございますから四号までの施設荷役機械、貨物の入換に使用する動力車、倉庫、上屋、労務員詰所、荷扱所その他作業用の建物、貨物の積卸及び保管に使用する構築物、これらの一から四号までの施設の中で国有鉄道事業運営いたして参ります上において、荷主又は通運事業者に対しその共通の利便を与えるために、有効な利用を保障する上からしまして必要なものに限つているわけでございます。そしてその国有鉄道が日通から譲り受ける方法は、第四條の第二項で規定しておりまするところの交換の方法か、或いは又工事予算の中に決められた額の中で譲り受ける必要があるということを規定しておるのであります。  第三條は、第一項におきましては譲り受け物件は誰が指定するかということでありまして、日通から買受けます施設全国の各駅所にございますが、それをどの物件を譲り受けるかということは、日本国有鉄道指定をして決めるわけでございます。第二項におきましては、譲り受け物件の価格の評価をどうするかということを決めております。この方法は、物件の価格の評価と、第四條によりまして、日本国有鉄道日本通運株式会社株式を九十九万株持つておりますからこの株を処分しなければなりません。その処分をいたす場合におきましてその対等額範囲内におきまして、物件と交換することを第四條で決めておりますが、その株式価格の評価、日通から護り受けますところの物件の評価と、日通へ譲り渡すところの株式の評価、その他譲り受け、譲り渡しに必要な事項を決めなければなりません。その決めます方法は国有鉄道日本通運会社第三者との三人によつて決めるのでありまして、その第三者を決めます方法は、国有鉄道日本通運とが協議をいたしまして候補者を作ります。その候補者若干人の中から運輸大臣が選定をして第三者を決めるのであります。この運輸大臣第三者を選定いたします場合には、国庫大臣たるところの大蔵大臣に協議をすることといたしております。この三者によりまして協議がまとまりますと、株の値段、施設の値段というものが決まるわけでございますが、これは運輸大臣承認を得なければいけないということにいたしております。運輸大臣承認をいたします場合にはやはり大蔵大臣と協議をするということを第二項及び第五項で書いております。若しもこの三者の協議が整わないときには、又協議することができない場合には、運輸大臣が裁定をすることにいたしております。運輸大臣の裁定をいたします場合にはやはり大蔵大臣に協議をすることにいたしております。この裁定がございますれば実際の裁定の定めるところに従いまして効果が発生することを第四項に書いてあるわけであります。  第四條は、先程も申し上げましたが、日本国有鉄道が日通の株を九十九万株持つておりますが、これを他に譲渡することを第一項に決めまして、第二項におきまして日通から譲り受けるところの物件と対等額範囲内で交換することができるということを書いておりますが、その交換の方法によりますと、予算を通さずして対等額施設の譲り受けができるわけであります。この交換する場合におきまして施設価格の方が株式価格より高い場合におきましては、金銭でその差額を支拂うわけであります。この支拂の限度等につきましては工事予算によつて決められました予算範囲内でやります。若しも株式価格の方が物件より高い場合におきましては日本国有鉄道は他にこの超えただけの額の株式を処分しなければなりません。第五項におきましては、国有鉄道株式を交換によつて処分いたしました場合には証券処理調整会議にはかけないでやる。第六項においては、第四項によりまして日通以外に株式を譲渡いたします場合には証券処理調整会議にかけて処分するということを規定いたしております。  それから第五條におきましては、国有鉄道がその所有地内にありますところの日本通運以外の施設についても、やはり予算範囲内で譲り受け又は賃借することを定めておりますが、この場合には必ずしも所有権を国有鉄道が取得しないでもいい、ただ借りて全部に公開をすればよろしいという意味合であります。  第六條におきましては、地方鉄道軌道、私鉄の所有地内に日通が施設を持つております場合がございますが、私鉄から日通に対しまして施設の譲渡又は賃貸の要求がございますれば、勿論日通は別に集排指令によりまして義務を負うことと相成りますので、これに応ずるわけでございます。従いましてこれによつて生ずるところの譲渡又は賃貸の価格決定の方法は、日通と私鉄の該当者の協議によつてやることを定めておるのであります。  甚だ長くなりましたが、以上をもつて三法案概畧を申上げて置きます。    〔内村清次君「議事進行について」と述ぶ〕
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この際審議の順序について諸君に御相談をいたしますが、只今政府が御説明になりました法案はいずれも予備審査でありまするが、そのうち国際観光事業助成に関する法律案並びに国有鉄道運賃改正に関する法案は、これは予算関係がありますので、まず第一にこの審議をやりまして、その次に道路運送法通運事業法外二件の法案審議する、こういうふうにしたいと思いますが、如何ですか。御異議がなければ……
  10. 内村清次

    ○内村清次君 その問題に対して意見があります。私は議事進行でその意見を申上げたかつたのですが、この通運事業法案外二件の関係法案につきましては、これは予備審査の形でありますから次回の運輸委員会にかけて頂くということにいたしまして、先程御提案になりました国有鉄道の運賃法の一部を改正する法律案、これは運賃率の引上でありますから、国民経済に及ぼす影響も大きいと存じます。そこで参議院の議事規則により、即ち六十條及び六十一條にまつて公聴会を開いて貰いたいということを一つお諮りをお願いしたいという点が一つ。そうして先程運輸委員の方から緊急質問が出ておりますから、その点も運輸大臣も出席しておりますので、それもやつて頂きたい、かように議事進行をお願いしたい。
  11. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今あなたのお話のように、先ず第一に審議の順序を決めまして、そうして運賃改正法案については公聽会を開く余日があるかないか、或いはないとするならば、証人喚問の形式でやるかということを諸君にお諮りするつもりでおつたのであります。只今のその順序については如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 御異議ありませんければそういう方法に一つ進みましよう。   —————————————
  13. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや緊急質問がありますから、前之園さんあなた一つ。
  14. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 政府委員の御答弁によつて大体犯罪容疑の輪廓だけは分つたわけでありまするが、相当長い期間に亘つて、而も多額の物品を東京車掌区の三分の一以上の容疑者が関係しておるこの大きな事件をまき起したということは、実に遺憾に堪えない気持がするのであります。終戰このかた鉄道の貨物、小荷物、手荷物等の事故、いわゆる拔き荷等の事故、或いはこの小包の事故というものは頻々として起つて、国民にも非常に大きな迷惑をかけている。又鉄道に対する信用というものが非常に薄くなつておつたことは争われない事実であると考えるのでありますが、最近幾分よくなりつつあつたという気持を私共は持つておつたのであります。ところがあに計らんや、こういうような大きな事件が、長い間分らないでおつたということを只今聞かされて実に驚いておる次第であります。終戰後道義の頽廃と申しまするか、いろいろな関係で裁判所に現われておるところの事件の中で、この窃盗というものが一番多い、殆んど八割を占めておるという状況でありますが、私共多少そういう方面に関係いたしまして、やはり普通の窃盗には多少取られる方にも責任があり、戸締りが悪いとか留守をするとか何とかいうような、多少の責任があるのでありまするが、鉄道のこういうような窃盗のごときものは、全くこの荷主というものに責任がない、占有を鉄道に移しておる。そうしてこれを取るということは実にたやすいことだ、自分の懐ろのものを取るに等しきものである。ただ国民は鉄道を信頼してそうして大事な荷物を預けておる。職後物の不足のとき非常にお互いの生活の窮迫。中から、他所におるところの子供に物を送る、或いは親類に乏しい自分の生活の中から物を恵むというような、そういう物まで頻々として鉄道の人に取られておるということになりますると、国民の憤激、国民の鉄道に対するところの信用というものは、全く地に落ちると言つても私は過言ではないかというふうに考えるりであります。而もこれが長い間知られなかつた。私共よくは知らんのでありますが、荷物を託送しこれが駅から送り出されて到着駅に着き荷主に配達されるか、されないか、いわゆる発送と到着というものは、これは直ちに分らなければならない仕組になつておるだろうと考えるのであります。そうなつておらなければならん筈であるが、そういうような仕組になつておるに拘わらず、長い間それが分らなかつたということは、全く私は監督者の不行届の点も多いのではないかと考えるのであります。併し私は今更過ぎ去つたことに対してとやかく抗議するものではないのでありまするが、この善後措置を考える上において、かくのごとき犯罪容疑というものがどういう原因によつて行われたか、監督者に監督不行届というものがあるならば、どういう点において監督不行届があるか。又鉄道事業遂行上の不統一というものがあるならば、どこに不統一があるかというようなことも、この際明瞭にして頂きたいのであります。  更に犯罪容疑者の多数の人を出しておるが、何が故にこういう犯罪を犯すに至つたかという、その動機についてもお教えを願いたいと思うのであります。終戦後の道義の頽廃或いは綱紀の弛緩というものもありましようが、或いはそれ以外に、こういうような犯罪容疑者が如何なる思想の持ち主であつたか、或いはどういう政党に関係しておるものが多いかというような点までも御調査になつて然るべきものではないかと思う。さりながら今日ひとり鉄道のみではありませんが、各給料生活者というものが安い給料でこの物の高いときに生活苦に悩んでおる、そういうような生活苦から来るところのものも相当にあるのではないかと思うのであります。それらの調査いわゆる犯罪容疑者の数との関係というような点にまで御調査をして頂きたい。そうして明瞭なる御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  尚又、この犯罪事件については、私は法律上どの程度までこの監督責任をとらなければならないものであるか、大きく言えば監督者である運輸大臣責任があられるであろうし、或いは日本国有鉄道の総裁も責任があられるでありましようが、そこまで及ぶものではなかろうと思う。どの程度までこの責任を負われるべきものであるかということもお尋ねしたいのであります。  更に折角国民が鉄道に対する信用というものを取り戻しつつある。去る行政整理このかた鉄道サービスも非常によくなつておる。国民の感情も鉄道に対してよくなつておる。今日これらの問題を起して非常に又国民の鉄道に対する信用というものは元に帰りつつある。これをどういうようにして国民にお詫びをし、そうして信用の回復に備える御自信があるのか、どうかという点についても、この際承わつて置きたいのであります。  更にこういうような犯罪というものは将来にも起り易いものである。只今監督局長から御説明の通り、非常に巧妙であるのでありますから将来とも起り易い犯罪であると思うのでありまするが、これを全く防止するという的確なる方法をお考えになつておるか、御研究になつておるかということも併せてお尋ね申上げたいのであります。  更に相当多額の被害に上つておるようでありますが、この中には禁制品等もあつて損害賠償の申出をしないものもあろうかと考えるのでありまするが、その損害の賠償の方法、知れないところの荷主などに対して、如何なる方法を以て調査して損害賠償をせられるつもりかということもお尋ね申上げたいのであります。  更に私は希望として申上げて置きたいことは、すでにできたことはこれは如何ともしようがない。臭い物に蓋をするというような態度に出られない。すべてこういうものは検査当局の捜査、審議等に対してできるだけの便宜を与えられて、そうして将来こういうことの起らないような最善の方法を講ぜられることが適当であると思ふのであります。  私は申上げたいこともいろいろありまするが、時間を要しまするので本日は以上で止めて置きまするが、お分りになつておる範囲において御答弁を願い、若しお分りにならない所は御研究の上他日御答弁をお願いします。私は責任云々のことを申しましたが、鉄道責任を追求してどうこう言う気持はないのです。鉄道の信用を回復して、国民が安心して鉄道に荷物を託することができるようにされるにはどういうふうにしたならばよいか。むしろ善後措置に対して万全の研究と施設とをして頂きたいということが、私の質問の要旨であります。お分りになつておる範囲において答弁をお願いいたします。
  15. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 只今御指摘の点は実は運輸大臣といたしましても数日前にそういう事件が今起き、且つ司直の手あるということの報告を受けまして、又全貌に対しましては只今局長が申上げました大体の程度が分つておる程度で、目下司直の手で糺明をいたしておりまするので、只今御指摘の点は一々御尤もで、又本件を惹起いたしました点に対しましては監督者でありまする運輸大臣といたしましても、誠に恐縮且つ遺憾に思つておる次第であります。事件内容を詳細に司直の調べの進行と相俟ちまして、当局者といたしましても十分取調べ、且つ又かかる事件が将来に決して起さないというようなこの措置に対しましても万全の措置と注意をいたす考えであります。尚又詳しいことは後日詳細に御報告申上げるつもりであります。
  16. 板谷順助

    委員長板谷順助君) よろしうございますか。
  17. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 監督局長の方でお分りになつておる点だけ御答弁を願つて、お分りにならない所は後で結構です。
  18. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 先ほど申上げましたのが大体現在分つておる程度でございまして、問題の全体が今司直の手によつて調べられておりますので、いろいろ只今御注意のありました点、一々誠に御尤もだと思うのでありますが、そういう点につきましても、十分気を付けて今後徹底的に取調べ或いは対策を考究いたして参りたいとこう考えております。
  19. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これは随分長い間のことでもあり、殊に運輸省の足許にそういう重大な問題が起つておる。司直の手で調べつつあると言うても、とにかく相当多い人数で運輸上にも非常に差支が来ておる状態なんでしよう、皆な引つ張られておるのでしようから、その容疑者は。
  20. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 今四十八名引つ張られております。
  21. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これは重大問題だからこの委員会に詳細の御報告を願います。
  22. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 一つ緊急質問をいたします。船舶運営会に関連してのことでございますが、船舶の運営会から民間の船主に支拂うべき傭船料その他の支拂金が非常に遅延をしておる。いわゆる支拂遅配とでも申しますか、それで業者の中には傭船料が唯一の収入であることは勿論でありますけれども、それが入つて来ないために船員の俸給等が殆んど支拂いかねて、或いは造船会社の修繕料も相当に満つておるために造船会社自身も会社経営に困難をしておる。その外食糧その他莫大な費用がつまり経費として支拂うべきものが支拂われないので、金融業者から金の借りることのできる者は相当な金利を拂つて、それを忍んで借りることができるけれども、誰もが金を借りるというようなわけに行かないので、それで運営会に対しては現金を貰えなければ、運営会自体が支拂手形でも出すといへようなことをして呉れれば金融業者との融通もできるのだというようなことで、随分嚴重に交渉をするが運営会はそういう方法は絶対にできないのだと、こういうことで今のところいわゆる泣く子と地頭には勝たれんというようなことで、非常に高利な金を借りて船員の給料を支拂うというようなことまでしておるというのが実情であります。で、そういう心臓の弱い船主は高利で借りて来て支拂うということをしておりますが、大体は金がないのだから支拂えないというようなことで船員の給料もひどいのになると二ヶ月ぐらい一部分ずつしか拂つて貰えないというのが実情でありますので、そういうことに関して一体政府はどういうふうな御監督をしておられるのか。又政府で相当金を渡しておつても、運営会の方の都合で金が行かないのかという点を一つお伺いすると同時に、是非拂うべき金はどんどん拂つて、そうして海運の正常な進展といいますかそういうふうにするように御協力を願いたい。こういう意味で御質問申す次第であります。
  23. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 傭船料の支拂が非常に遅れておりますことは誠に遺憾の極みでございます。傭船契約によりますと、傭船料は月の初めにお拂いする、こういうことに相成つておるのでありますが、実際は今御指摘の通りに月の中旬頃に相成つておるわけであります。その理由の最大なものは、運営会は運賃収入だけでは傭船料その他の支拂いが賄い切れないのでありまして、国からの補助金を取得して初めて抑えるわけでございます。ところが現在までのところ国からの補助金の月割の額だけでは足りないのでございまして、月割額以上に補助金を出さなければならない。その補助金を出す場合に、軍に日本国内だけでは処置できないのでありまして、関係方面に対して何故この月はこれだけ要るかという事柄を十分説明して、その上で補助金の支出の了解を得ておる次第であります。従いましてその手続その他に相当の日数を要するわけであります。で私共といたしましてはその補助金を取得いたしますとその翌日若しくは翌々日には必ず傭船料を支拂うようにいたしておるわけであります。その補助金取得の点が非常に遅れておるというのが原因でございます。尚九月までは傭船料はその全額を支拂つておるのでありますが、十月以降傭船料の約八〇%を内拂いにいたしております。その理由といたしましては、十月以降新たな傭船料を立てるわけでございます。稼働率を変更いたしますると共に、更に傭船料中の償却方法を高率から低率に変える、こういうことのために今六百五十隻の船につきまして、一々新たな傭船料を算出しつつあるわけであります。従いましてその手続が完了いたしませんので取敢ず八〇%の傭船料を拂つております。併し実際の下半期十月以降の傭船料の額は、今度国会提案されておりまする二十八億の追加予算から考えまして、丁度八〇%が本当に艦主の手に入る額になるのではないかと思うのでありますが、今のところ仮拂の形で八〇%を拂つておるのであります。尚これを促進するといいますか、運営会だけの收入からしてもつと早くやる方法はないかということでございまするが、その一つの方法としては滯つている運賃を取立てるということでございますが、これがまあ私共非常に困つている点でありまして、我々の手であらゆる方法を講じますると共に、又関係方面からの手を通じてその促進をやつているのでありますが、その大きなものといたしましては配炭公団に対する運賃の未収金でございます。これが約十億八千……約十一億ございます。それから貿易庁といいますか通産省の方から貰うべきもので、ペルシヤから持つて来る油の運賃、これが相当量今滯つているのであります。これにつきましては、配炭公団のこの整理につきましてはまあ官庁関係の方をあと廻しにする、こういう政府の方針のために非常に難澁をしておるのでありまするが、何とかこれを早く回収するようにいたして行きたいと、かように努力をいたしているのでございます。この点につきまして国会方面の御協力をお願いできるとすれば幸いと存じます。
  24. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今のお話だと配炭公団との関係で十一億、その他運輸省関係、要するに政府関係の金が入つて来ないから、いろいろ政府の間で運営会に支拂いができない、従つてそれが民間業者に、今申上げたような不便ができておるのだということであるなら、政府政府の間のことなら、一つ銀行なりに、当然拂うべき金があるのだからと言つて保証を政府がするのか、或いは船舶運営会自体が当然期限が来たら拂えるのだからというようなことで、手形を出さなければ何か手形に代えるようなことで金融業者が安心をして金融のできるような方法を政府助成して行くというような手はないのでありますか、それをお聞きしたいと思います。
  25. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 船舶運営会が金融手形を出すということは、これは政府機関が借入金をしてはいけないという強い方針の下に固く禁止されておりまして、現在のところそういうことが固難でございます。両先程お話の船員の給料が或いはその一部でございましようが、二ヶ月も滞つておるということは現在の運営会から船主に対する支拂状況から見まして、それほど詰つているものではないだろうと私共考えております。  それから更に下半期にこのように傭船料を減額いたしました一つの事由といたしましては、上半期に稼働率が相当上りまして、それによつて予算で予定している以上の金が船主の懐ろに入つておるのであります。従いまして上半期分においては十分とは言いませんが幾分かの余裕があつたのではないか、かように想像しております。従いまして船主の方でやり繰りを願いますれば、何とか片の付くものではないだろうかかように私共考えております。
  26. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 いずれにしても拂うべきものを拂つていないというのが今のお話で事実であつて、今の御説明のように船員の給料は十分あるにしても、船主の経費に対しては、申すまでもなく運営会から貰うもの以外に収入というのは今のところないのであります。支拂うべき先は十分あるのですから、配炭公団その他のところからどうしても取れないのだから仕方がないのだというようなことになると、結局弱い者いじめになつてしまう。でそれは法律で要請されておるのであつて、自由意思で今のところじや運営会に使われておるのじやないのであります。そういう点も勘定に入れて政府の方でもう一段の御努力を願いたいとかように申して希望を終りたいと思います。
  27. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 海運局長の御答弁の通り、とにかく運営会の支拂いが遅れておるために船主としてはそれはやり繰りをして或る程度抑えんこと、はないというお話ですけれども、いわゆる傭船料の中から船員に拂うということになるのだから、船員の給料をだから運営会をもつと督促をして例えば配炭公団の十一億円の赤字が取れぬということはあるべきものじやない、それはもつと努力をしもつと目鼻を付けるように御配慮を願います。
  28. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それからこの際諸君に御相談をいたしますが、運賃改正は国民あらゆる方面に及ぼす影響が重大でありますので、会期も切迫しております関係から、公聴会を開くといつたところでこれ又困難であります。この前運賃改正のときの証人喚問の形式において、利害関係のある方をお呼びして意見を聽きたいとこういう方法をとりたいと思いますが、如何でしようか。
  29. 内村清次

    ○内村清次君 これはずつと運輸交通委員会にかかつておる議題を見ましても、重要法案が相当あるのですが、とにかくこういつた会期の切迫したときに出て来るのですね。そのために成規の手続が適正に、国会で決められたところの規則というものが一つも公平に実行せられない。而もこれは国民としては今回は海陸一緒の運賃値上げでありまして相当関心を持つておる問題です。この国会提出に遅れるということは政府責任である。而も又補正予算が出される時期においては当然この問題というものは出られなくちやならん。こういうように遅れる責任というものは明確にして、一応責任者であるところの運輸大臣は閣議の決定が次々と遅れておるような状態のままで了承しておるようですが、何か私達が見ますとどうも政府の意図によつて、そういうような会期間際に重要法案が出て来るというような感じがするのですが、この点を一つ大臣から明確にしてもらいたいと思います。
  30. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 政府は少しも早く出そうとしているのでありまして、意図によつて殊更に遅延しておるなどということは毫もないのです。内村君よく御承知の通りに法案が委員会に提出されるまでにやはり関係筋の方の了解もとりつけなければなりませんので、いろいろやはりそこに時間がかかつて政府の怠慢というようなこと、特に殊更にこれを故意に遅らせるということはないのでありまして、会期切迫の折で十分な時間がないということは今日私も認めるのですが、そういう点は一つ卒直に理解を願いたいと思います。
  31. 内村清次

    ○内村清次君 政府は直ぐ関係当局との折衝というようなことで、どうも最近はすべて閣僚の発言というものがそういうふうになつておりますが、やはりこれは政府当局の努力如何によつて問題は解消すると私は思う。而も又予算大綱を決められるときにおいてもはつきりして行かなければならん問題であるし、又補正予算が出ているので運賃問題はもう八割と九割三分の値上げ一というものははつきりしておるのです。そういうような問題の後の事務上の手続が今日まで遅れるというようなことは私共は了承しない。それは大臣一として委員会に対しまして今この際重要な法案を僅か三日間か四日間のうちに片付けてしまうというような事実、予備審査も済ませまして本審査が今日からの問題になつておる。実際委員会としても我々委員の一員としてもこんな重要法案を今出すという点は政府責任で振るから一つ委員長におかれましても公聽会の問題につきましても今すぐ一つお互いの気持を察して善処して頂きたいと思います。
  32. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 私も只今内村委員のおつしやることには同感で、こういう重要法案を如何に関係方面の了解を得るものであつたかも知らんけれども、こういう間際に出されるということは実際この委員会としては迷惑な話で、十分の審議を盡すことのできないことを私は非常に遺憾に考えております。従つて運賃改正の際は国民に及ぼす影響が重大でありますから、これは当り前ならば堂々と公聽会を開いてやることだけれども、今小泉君のお話のように例えば政府の支拂いが延びておるが、特に船員あたりは非常に困つておるというような状態であるから、予算関係の場合は成るべく早く通してやりたいというような考えでありますけれども、まあ政府努力も足りないが一つ……
  33. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 今委員長の言われておるように、成るべくこの前の旅客運賃値上げというようなことでも公聴会をやりましたが、これは利用者という一応の限度があるのであります。御承知のように貨物運賃の大幅値上げですが、一般生活消費物価への影響は非常に運輸大臣説明は僅少だということを言われたのですが、これは非常に影百響が大きいのであります。パーセンテージはいつか大臣が本会議で説明したときに二・三から四・三になるという説明つたのでありますけれども、それはただ物価の上らないときのパーセンテージが物価の全体の中でそれだけ上つたというだけの表明であつて、当時よりも物価が上つておるということは一律に言われていない。実際あなた方は僅少であるという御意見ですけれども、消費物価に対する値上りというものははつきりパーセンテージが出て来ると思うのであります。どうもいきなり生活へ影響は来ないから、国民はこれに対しまする関心がないような考え方でおるから輿論が余り上つておらない、こう解釈しておられるかも知れませんけれども、旅客運賃の値上りよりもより以上に貨物運賃の値上りは重要だと思うのです。日限のないことを再三前提にしてお話になるようですけれども、日限はまだ三日延びても通常国会の日にちまであるわけであります。ですから日限に拘束されてこの重大な問題を一般の輿論から聞かないという方法で行くことはとてもいかんことだと思います。運輸委員会としてはどうしてもこれは公聽会を開いて一般の輿論を聞いてやつて行くということを私は主張したい。そうしてその意味で内村君の提案の公聽会を開く意見に全面的に賛成をいたします。成る程日限がないということを言われておりますけれども、過日の議院運営委員会でもまだ日限はあるということを前提にして議論された党派の人達もあるのであります。でありまするからして日限が限られているということであるけれどもこの日限についてはそう拘束的に考える必要はない。日限がないからというようなことでこの重要問題を内村君が言つておる状態において運んで行つてしまうというような過去の例は、この程度で打切つてしまわなければ、いつまでたつても議会は信用されて来ない。こういう点で日限ということには余り拘束されずに、この問題は重要であるから日限は議運にかけてこれを延ばして貰うということまで議員各位が気持を持つて頂かなければならない。  それで運輸委員会からそれだけの意向が出なければ運輸委員会が国民に対してもおかしいと思うのであります。そういう意味で公聴会を開くということを私も主張したいのであります。
  34. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは君のお説のように公聴会を開くのが或いは正式であるかも知らんが、併し外の予算のいろいろ関係もあつて從來の運賃改正の当時の例にならつて証人喚問ということで一つ進みたいと思います。実は二十八日に開きたいと思うのでありますけれども、明日は日曜でありますから来る人の連絡もつきません関係から、二十九日の午後一時に証人喚問の形式によつて輿論を聞くという順序に運びたいと思いますが、如何ですか。
  35. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 どうもその点委員長独断じやないかと思うのであります。あなたはこう行きたいと思うと委員長から直ぐそういうふうに決めるのでありますが、その点たびたび御注意申上げようと思いましたが委員長独得のところが出まして、私はこういう点に触れたくないと思うのでありますが、今後気を付けて頂きたいと思います。
  36. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 私は公平にやつておるわけです。
  37. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 今公聴会を開くべしという意見が出ておるわけですが、開くか開かんかということを一つ採決されたら……
  38. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 公聽会を開くとなれば新聞にも出して……
  39. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 今日の委員会で開くか開かんかということを……
  40. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  41. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて下さい、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            飯田精太郎君    委員            内村 清次君            大隅 憲二君           前之園喜一郎君            早川 愼一君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 大屋 晋三君   政府委員    運輸事務官    (海運局長)  岡田 修一君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (自動車局長) 牛島 辰彌君