○
内村清次君 私はこの際
日本国有鉄道法の一部を
改正する
法律案に対しまして、修正案を
提出いたしたいと存じまして、実は昨日成規の
手続を以ちまして
委員長の手許に出しておるのでありますが、その要点につきまして、この
理由を申述べたいと思います。
先ず第十二條の監理
委員会の構成につきまして、第一項中に「又は金融業」を「金融業又は労働」について広い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者と、
改正規定を加えるものであります。それで
日本国有鉄道法によりまして、
国有鉄道は
公共企業体として発足したものでありまするが、その
趣旨と申しまするのは、官僚的な国家経営を改めまして、より能率的な且つ又民主的な
公共企業体にせんがためであると信ずるものでありまするが、この場合に経営の最高機関であるところの監理
委員会に直接その経営の
運行を日夜担当しておりまする労働代表を参加せしめるということは、国鉄
公共企業体の実態に即応した円滑なる
運営のためにも不可欠な條件であると思います。
更に又終戦後あらゆる面におきまして民主主義の進展は激しく、今日においてもその経営の従業員の意思を無視しては、その円滑な
運営は到底不可能でありまして、ただ一片の上からの命令のみでは、心からの協力は到底期待ができないものであります。そこでこの民主主義の原則であり、且つ又国鉄従業員の創意と熱意ある協力の
態度をこの制度の上に生かしまして更に倍加させたい。かような基本的な原則からいたしまして、監理
委員会の構成員の中に労働代表を加えたゆえんであります。
次に第二十六條、第二項を次のごとく改めるものであります。即ち「
国務大臣、
国会議員、又は
政府職員は職員であることはできない」と改めまして、地方
公共団体の議員であるが故に職員たり得ない
項目を削除したいのであります。その
理由といたしまするところは、本来
公共企業体の職員も、その政治的活動の自由であることは憲法における基本的人権の保障ばかりでなく、又国家公務員の制限からも別の取扱いをなされておるものでありまするが、そういたしますると、この場合に
国務大臣と中央における
国会議員の場合、これは職責上一時
公共企業体の職員は常勤いたしかねまするが、地方
公共団体におけるところの議員は、その数も非常に多く、又勤務にさほどの影響もない場合が多いのであります。で現在国鉄職員は五十万おりまするが、この組合などに結集しておりまするところのこの勤労大衆の意思は、是非とも地方各
議会に反映する必要がございますし、且つ又そのことは
日本の民主化のために実に大きな役割を果すものであると思います。この地方における
公共団体の議員は、これは
質問の点におきましても明らかでありまするように、すでに多数を占めておりまして、これを
拘束するということは、政治的にも又社会的にも非常な障碍を各方面に与えるものでありまして、憲法におきますところの基本的人権の保障という点からも即時撤回すべきものであると思います。現に同じ
公共企業体といたしまして、専売公社におきましてはこの
項目はすでに撤去されておるものでありまするから、国鉄におきましてもこの
項目の削除は当然行わるべきであると思います。
こういうような観点からいたしまして修正案を
提出した次第であります。
第三には、国鉄
公共企業体の
会計につきまして次の諸点の
改正を要求するものでありまするが、
公共企業体といたしまして出発しました
理由の
一つは
会計の独立採算を図るという点であります。併しながら今回出ておりまするところのこの一部
改正の
法律案につきましては、国鉄の実情からいたしまして、その
公共性という点からいたしまして無理な点が非常に多いように思われまして、而も又漸時
独立採算制を助長して近い将来に経済が安定をいたしましたならば、この
会計の自主制と
責任制の確立をいたすということは基本的な原則でありまするが、この原則に基きまして企業
会計の自由な自主的な
運営を行うために、
大蔵大臣の過度な
関与と
権限を排除することが必要であります。この
改正案におきましては
大蔵大臣の
権限が細目に互
つて過度とな
つておるのでありまして、この点を改めまして、この国家
公共性としての
監督は
運輸大臣と
内閣全体の
責任においてこれを施行する。この点を主に取りまして、
大蔵大臣はただ單なる
事務的交渉に止むるという点がこの
目的であります。そこで第三十九條の第二項、国鉄
予算の
提出があつた場合、
運輸大臣は「
大蔵大臣に送付しなければならない」ということを「
内閣に送付して
閣議の
決定を経なければならない」かように改めたいのであります。又第三項の「
大蔵大臣は、前項の
規定により
予算の送付を受けたときは、これを
検討して必要な
調整を行い、
閣議の
決定を経なければならない」とあるのを削除して、以下一項ずつ繰上げまして、以上の修正によりまして新の第二十九條の六第二項、新の三十九條の七第二項及び新の三十九條の八第二項中、いずれもその中にある第六項という句を第五項に改めて頂きたいのであります。以上の
趣旨によりまして、第三十九條の十三、
予備費使用の場合の第二項、第三十九條の十四、四半期毎の資金
計画、第三十九條の十五、債務、収支の報告等、いずれも
大蔵大臣に
提出し、報告するとある
項目を
内閣にと改めるのであります。第四十條の二第一項、決算報告につきまして、「
運輸大臣を経て
大蔵大臣に
提出しなければならない」を、「
運輸大臣に」と改めるのであります。又同條第二項における「
大蔵大臣」も同様に「
運輸大臣」に改めるものであります。
第四に、
給与準則を定めました新四十四條におきましても、その後段にあるところの「この場合において、この
給与準則は、これに基く一
事業年度の支出が
国会の議決を経た当該年度の
予算の中で
給与の額として定められた額をこえるものであ
つてはならない」という
項目を削除するものであります。即ち職員の
給与は、一定の
予算の枠を以てして縛られることはなくして、
公共企業体の経営と採算條件によ
つて団体交渉の結果決められることがこのたびの新制度の
趣旨であります。今まで国鉄がインフレのため赤字にな
つていたときは、独立採算を早急に行う事によ
つて、一般
財政からの
給与支出を抑制していながら、今後経済安定に伴いまして独立採算が確立された場合におきましては、却
つて予算の枠で
給与全体を縛るというのでは、全く国鉄職員の人権と団体
交渉権を無視し蹂躙する
規定であると言わざるを得ないのであります。かかる点からいたしまして新四十四條の後段を削るものであります。
以上修正案を
提出いたしますから、
委員長におきましては、各委員の方々にこの点お諮りをお願いしたいのであります。