運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-25 第6回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜 日)    午前十時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより会議を開きます。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題に供しまして質疑を継続いたします。どうですか、今国有鉄道質疑を継続しておりますが何か……
  3. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 昨日私がお尋をした第四十六條の問題ですが、これは結局国有鉄道財産の処置についてのことがこれに規定されてあるのですが、「営業線及びこれに準ずる重要な財産を譲渡」する、これは明らかに分つておりますが、「交換し」ということ「又は担保に供することができない」ということを区分的にこの條文に現わしておるならば、私は貸与ということもこれに入れなくちやならんことじやなかろうかと、かように考えているのですが、その主なる理由は、昨日私は九十九ケ年間ということを申上げましたが、一ケ年間の貸与をずつと切換えて行くならば、永久貸与ということもでき得ることであつて、又現在そういうような便宜的な方法でやつておることが多々ある。一例を上げれば、ここで政府は相当の有利な路線を政策的にそれを他の某に貸与する、そうして僅かな貸与料政府が取つて、そうしてその団体に運営させるというようなこともでき得ることであるのであります。かくのごとく交換又は担保というように区分的にこの條文に現わすならば、私は貸与ということをすることもできないというような條文をここに入れることが必要じやなかろうかと、かように考えておるわけですが、再び政府の御意見を拜聽したい。
  4. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) この現行法の制定の場合の経緯は私は存じませんので、その間、その貸与ということを考えたかどうかということは、その当時の事情は私、つまびらかにいたしませんのですが、併しこれを大体見ますと、重要な財産のこの所有権のような場合に、大きな影響のあるようなことをここに讓渡交換或いは担保というふうに書いてあるように私は考えます。又貸与という問題は、従来の恐らくそうしたことはなかつたであろうと思うのでありますが、まあ大体そういうことは予想されないというので、今申上げましたような重要な点について、この所有権の処分についでの重要な点について、ここに現定してあると思うのでありまして、貸与という問題は、成る程お話しのようなそういう場合も考えられるのではございますが、特に規定をする必要もないではないか、こういうふうな感じを私個人的な考えでございますが、お話を伺いながらそういうふうに考えます。
  5. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 それはいわゆるあなたのお考えであつて、私は客観的立場においてこれを見れば、かような区分は所有権移転政府の御答弁は主たる行為移転だというようなお話も伺つておるのですが、私は所有権移転する、移転に等しい行為において私は貸与ということも出来るのじやなかろうか。こう考えておるので、交換ということを入れている以上は、私は貸与ということを入れるのが私はこの文案を完璧にするものじやなかろうか、何かここに私は一つの拔道があるような気がしてしようがない。
  6. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 尚その点につきましては研究をさして頂きたいと思います。
  7. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は欠席しておりましたので或は質問が重複することになるかも知れませんそういう場合は御注意下されば質問しません。第三十九條の第一項に、「毎事業年度予算作成し」という言葉使つてあるのですが、この三十九條の全体から考えて、私はむしろこれは予算というよりも予算草案作成するというようなことになるのじやないか。昨日来非常に議論があつたのですが、いわゆる独立採算制というものに基いたところの自主的な予算というものが考えられる国有鉄道が、一つの案を作つて運輸大臣に出して、運輸大臣がそれを認定すれば大蔵大臣に送付して閣議にかける。いわゆる閣議にかけて決めたときに予算という言葉が使われるのであつて、三十九條の第一項の、いわゆる予算作成という、これは言葉が不適当じやないかということは、いわゆる非常に自主性に乏しい国有鉄道予算作成であるということが考えられるというふうに私は思うわけでありますが、むしろこの條文内容から考えて、「予算作成し」という言葉は当らないという気持がするのですが、その点どうですか。
  8. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 予算内閣決定して、国の予算と共にこれを国会提出するというふうに第四項に書いてあるのでございますが、併し日本国有鉄道は、国とは別人格の公法人でございますので、やはり国有鉄道としては予算作成して、これに対して運輸大臣或いは大蔵大臣検討をし、或いは所要な調整というような必要な手続を行いまして、それを内閣議会提出するというので、やはり予算という言葉で現わすのが、今申しましたような別個の公法人であるという考え方から適当ではなかろうか、こういうふうに考えます。問、予算作成しという言葉は、今御審議を願つております改正案でない、現行法にも使つております。
  9. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 言葉の綾としては、或いはそういうことになるかも知れませんが、実質的にも、むしろ私らやはり予算草案に過ぎないのではないかというふうに考えるわけでありますと共に、予算そのものに対しても自主性を貫くことはできない、運輸大臣が認めないということになれば、その予算というものは成立たないということになるわけであります。そういう意味において、実質的にもやはり予算草案みたような価値しかないものじやないかというふうに考えるのですが、重ねてこの点について御答弁を願いたいと思います。それからもう一つ類、これはしばしば委員会で論議されたところであると思うのでありますが、国有鉄道の本質から考えてもう少し経理というものは独立したものでなければならない。余りに運輸大臣或いはその他の干渉或いは認定そういうものを受けないものでなければいけないという気持が非常にするのであります。ところが三十九條その他の條文を見てみると、殆んど手かせ足がせをはめられておるような気持がするのでありますが、こういうようなふうに、二段にも、三段にも拘束をされるということの根本的な理由はどこにあるのか。例えば日本国有鉄道だけでは十分な経理ができないのだ、一人歩きはできないのだというような面があるのか、或いは日本国有鉄道だけに任して置けば、何をするか分らんという考え方が含まれておるものなのかどうか。こういうふうに各方面の干渉を受けなければならない根本的な理由がどこにあるのかということを一つ説明を願いたい。
  10. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 今の予算草案という表現の方がいいのじやないかという言葉の点につきましては、やはり先程御説明申上げましたような御説明しかできないと思うのでありますが、相当国有鉄道としての自主性を持つておりまして、單に予算草案作成をして、それが運輸大臣検討をし、或いは大蔵大臣が必要な調整を行なつて、それは何も決定権と申しますか自主性がないのだというのでなく、相当予算作成するという意味での自主性はあると考えております。  それから向後の予算提出してそしていろいろな拘束がある点はどうか、こういう質問でありますが、それは前前御説明申上げましたように予算という形式議会に出すか、出さんかということは、この草案を作りますときにいろいろ検討をしたわけでありますが併し国有鉄道が非常に大きな企業体でありまして、且つ政府がこれを全額を出資しておりこれの活用については国としては相当な何と申しますか、関与する面がなくちやいかん。又その事業公共性を帯びておりますので、そうした点から考えましても、やはり相当関与するという点がなければいかん。こうまあ簡単に申上げますとそういう結論に落ち着きまして、その関与程度如何の問題でございますが、この改正法に載つております点は現在の関与程度よりはずつと楽になつております。ただ前々御説明いたしましたように、会計法或いは財政法そうした一連の操作関係法規からの適用がなくなりますので、その点が非常に大きな国有鉄道としては利点だと思うのでありますが、同時にそうした法規に今まで書いてありましたものが、その枠から外れますために、その中の主要な部分をこの国有鉄道の中にはつきりした條文として取入れなければならんので、この改正案を見て頂きますと非常に効力が現在より強うなつたような印象をむしろ逆に与えるようなふうになつているんじやないかと思うのでありますけれども、併し現行法よりもそういう点はずつと楽になつております。例えば予算或いは決算の面におきまして、大体現行法を踏襲しているのでございますが、併しそうした財政会計法規から外れました結果、予算実施の面におきましては現在よりもずつと楽になつております。その一例としましては、従来の現行法では予算流用禁止が非常に沢山の項目亘つてございまして、或いは予備費使用予算繰越、それから毎四季期支出負担計画、或いは支拂計画、そういうものは原則として従来全部監督官庁の事前の承認を受けることに決つておつたのであります。そういうふうな予算実施上の監督官庁の強力な統制が行われた。それが今度の改正案におきましては承認を要するものとして、予算規定した経費流用を行う場合だけでありまして、予備費使用或いは予算繰越は、単純な通知事項になります。或いは毎四半期の支出負担行為計画及び支拂計画というものは、それに代つて資金計画提出をするということだけにこの改正案では規定をされている。こういつた点を考えて見ますと、予算実施上における国有鉄道財政自主性と申しますか、財政面から見た運営自主性というものは、非常にこの場合大きなものが実際問題としてあるのじやないか、こういう点を挙げることができると思うのであります。こういうふうに考えます。
  11. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 次に三十九條の三の二項になりますが「日本国有鉄道は、前項の予備費使用して、なお事業のため直接必要とする歳出予算に不足を生じたときは、予算の定めるところに従い、業務量増加により収入見積をこえる収入に相当する金額事業のため直接必要とする経費使用することができる」これはまあ平たく言うと、結局業務量が殖えた、それによつて収入が殖えるとその収入の殖えた額だけは使つてよろしい、こういうことになるわけなんですね。ところが収入見積というものはいわゆる見積であつて、実際においては見積通り收入がないかも知らん。そういう場合に喰違いを生じたときはどういうふうな経理になるのですか。
  12. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) この業務量減少による收入減少の場合はどうかという……
  13. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 減少じやない。見積收入減少
  14. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 收入減少でございますね。收入減少した場合はどうかという御質問でございます。そういう場合には歳出予算は、これは歳出限度を決めたものでございますから、従つて特に予算の修正をしない限りは、歳出限度までは経費として決算することは法律上可能な点があるわけでありますが、併し実際上收入が減じた場合に実行経費を節約して収入範囲内に止める、こういう操作になります。特に法律規定をする必要はない、こういうふうに考えております。
  15. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 こういうような心配はないものですか。仮に業務量増加があるということで、結局経費使用するというような場合に、これを悪用ができるというようなことはあり得ないものですか。
  16. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) それはないと思います。
  17. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の問題ですが、業務量増加によつて收入見積を越える收入に相当する金額を使えるというのですが、その金額予備費使つて予備費が足らない場合に使う、そうするとこれはどの費目から持つて来るのですか。
  18. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) それは業務量増加いたしまして、尚收入見積を越える收入があつた場合にはそれを直接必要とする経費に使うので、その殖えた收入から持つて来るわけであります。
  19. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 收入見積額に達しないという場合があり得るわけでしよう。
  20. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 收入が殖えて見積が非常に殖える場合ではありませんですか。
  21. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうでない、私の質問しているのは、結局收入見積額に達しない場合のことを聞くわけです。
  22. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 收入見積額に達しない場合ですね。
  23. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ええ。
  24. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) その点は実行上の経費を節約して収入範囲内に止める、こういうことになります。
  25. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 総体的にそういうことになるわけですね。それから昨日丹羽先生から御質問なつたところでありますが、四十六條のいわゆる貸与の場合、賃貸借、或いは消費貸借の場合がこの條文の中から抜けておつたということは、相当大きな問題でないかと思うのであります。将来非常な禍根を残すようなことになる虞れがあると私は考えるわけなんです。昨日丹羽先生の御質問があつて以来、いろいろとこの問題について私も考えてみたのですが、やはりこの條文の中に貸与に関しても何か挿入して置くことが必要だと私は非常に痛切に考えるのであります。ですから私は四十六條にそういう貸与に関するものも追加して置く方がいいというお考えはないものでありましようか、政府としてこれに。
  26. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) その点は先程御返答いたしましたごとく研究さして頂きます。
  27. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 研究されることは結構ですが、研究されてこの四十六條を修正するとか何とかいうところへ進まれる御意思があるかどうかということを伺つて置きたいと思います。
  28. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) その点は研究して一つどういうふうにいたしますかよく考慮さして頂きます。
  29. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 極く一つ近い将来に御研究の結果を御報告を願いたいと思います。
  30. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑ありませんか。
  31. 大隅憲二

    大隅憲二君 簡單に二点ばかり伺いたいのですが、私昨日遅く委員会に出ましたから或いはダブるかも知れませんが、三十九條の六項の「第一項の予算形式及び内容については政令で」と、尚この「同項の予算作成及び提出手続については大蔵大臣運輸大臣協議して定める」と、そこでこの予算形式内容とはどの程度のものを定めておるか、これを伺いたい。  今一点四十四條で、「日本国有鉄道は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない」  この場合において、この給与水準内容となる事項はどんなものか、これは具体的にここでもう一遍伺いたい、この二点を伺いたい。
  32. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 三十九條の六項の予算形式内容政令で定めることにしてありまして、この点については目下検討中でありますが、大体は現在の予算と同じような予算総則、或いは歳入歳出予算、それから債務負担行為、こういう三つの形式内容になろうかと考えておりますが、まだその点確定はいたしておりません。目下検討中であります。それから四十四條の給与準則にはどういう点を定めるかということでございますが、これは国有鉄道給与準則を定めるわけではありますが、大体決める事項といたしましては、現在の基本給、諸手当、そういうふうなものがこの中に入るかと思いますが、まだその範囲については検討いたしておりません。
  33. 板谷順助

    委員長板谷順助君) よろしゆうございますか。
  34. 大隅憲二

    大隅憲二君 よろしうございます。
  35. 内村清次

    内村清次君 運輸大臣に御質問いたしますが、大臣はこの国有鉄道法の一部改正法律案に対しましての質疑に今回まで欠席しておられまして、勿論多忙な点も認めるわけでありますが、重大な問題につきまして質疑ができなかつたのでありまして、この点私遺憾に存じますが、第一この大臣の今回の法律案説明に当りまして、この公共企業体に移行したところの日本国有鉄道がこの能率的な運営をし、且つ公共の福祉を増進することを目的としておるということをはつきり説明内容に申されております。そこでこの改正案の出まする根本のいわゆる第三国会におきますところの日本国有鉄道法が制定されるときに、本院といたしましては政府要望書提出しておるわけでありますが、その要望書が如何なるものであるかということを大臣は御認識になつておるか。その点一つどういう要望書であつたかということを御認識であるかということをここでお伺いしておきたいと思います。
  36. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 今内村君の御質問ですが、この要望書趣旨を酌んで今回日本国有鉄道法の一部の改正を提案したのでございます。
  37. 内村清次

    内村清次君 その要望書内容をよく御吟味になつておるかどうかを伺いたい。
  38. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) よく吟味してやつたつもりでおります。
  39. 内村清次

    内村清次君 どうもその要望書項目を今政府委員から提出されたようで、どうも今の御態度では初めて見られたような態度ですが(笑声)……
  40. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 冗談をいつて貰つては困るので私も内村君と一緒に議員であります。本来言いますと大体あの当時の参議院の空気が、本法案の通過に対して不満足であつたことは御承知通りであります。然るに勿々のことですから一応予め通して置く、その要望書趣旨を最も近い機会に具現して貰いたいというのが、この要望書精神であつて、今出ておるのでちよつと見ただけで、今それを初めて見たようなことは毫もないので、それは甚だ酷であると思いますが、まあ今回の国有鉄道法の一部改正條文ももう少し徹底的にやる方がいいとは勿論考えておりますが、しばしば委員会でも言明いたしました通り、やはり長い五十年の歴史を持つた日本国有鉄道コーポレーシヨンの形に一応切替えましたが、まだこのコーポレーシヨン実施後時間も少いので、果してどういう方向にメスを振つて行つたら組織なり或いは能率の向上にいいかというと、まだ的確には時間の関係で分らないが、今一応は不十分ながら今回の法律を提案いたしましたが、これから時間を経るに従いまして、悪い点があればどんどんこれを研究いたしまして、法律改正を必要とするものはこれを改正するに吝かでない、かように考えておる次第であります。
  41. 内村清次

    内村清次君 今回この改正案を出されましたが、これはもうすでに半年も出ておるのでありまして、而も又公共企業体として今大臣がいわれるように組織的な改革も相当現存しておるのでありまして、その点につきましては我々も認めまするが、併し六ケ月間の企業体運行によつて、特に改正をしなければならない点は、監督立場にある大臣はよく御承知のことと思います。そこで飽くまでも委員会といたしましても、又多数を以て決定せられましたこの要望書というものは近く改正されるであろう。即ち今回のこういうような時期に、この点を十分改正点に取入れてそして自主的な且つ高能率的な運営を図るようにするようなこの要望書であつた筈です。それを大臣の方では次々に将来考えて行くというようなことであつては、この厖大な公共性を持つたところの企業体というものが、スムースに行かない、いつまでも独立採算制目的に合わず結局赤字がどんどん出ておるというようなことになつて行くのは、私は非常にあろうと思うのですが、先ずそこで大臣が今認定されておりますような今回の改革の途上にある点において、何故、会計面におきましてもあなた自体監督をして、そうして企業体が自主的な動きをやつて行くというような事態を監督しておられるに拘わらず、三十六條以下三十九條に出ております予算の面におきましても、その予算執行の面におきましても、更に大蔵大臣協議をするというような項目を持つて来られたのか。その点につきましては要望書の中にははつきりと、会計経理する、法律原案作成に対してはこういう諸点を考えて貰いたいという言葉が織込んである、そういう点を何故考えられなかつたか、この点を一つ伺います。
  42. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 御説は尤もですが、大体日本国有鉄道の資産というものは政府から、国から全部財産を引き継いだものでありまして、且つ又予算を編成する権能が政府にあります。従つて直接業務上の監督者運輸大臣でありまするが、以上申上げました二点からしまして、やはり当然大蔵大臣がこれに交渉権を持つということは否めないのであります。然らばと言つてそれが決して、国鉄運行上のいわゆる自主権に、大蔵大臣関与が妨害になるという意味合いは、毫末もないと思つております。
  43. 内村清次

    内村清次君 憲法によりましても、いわゆる行政権主権者というものは、内閣総理大臣国会の指名によつてつておることは、もう当然申す迄もないことですが、即ちその総理大臣が任命したところの閣僚の人達は、これは同等の資格において而も又所管責任者として企業体即ち自分の所管事務監督して行く、同時に又その監督外の問題につきましては、これは閣議決定をして行くという線が立法最大要点であると思うのです。そうして見れば勿論予算編成上の点につきましての事務上の問題については、これは大蔵大臣協議をなさることも必要であろうが、これを立法化するについての、即ち立法精神というものはどこまでも監督者企業体監督をし、同時に予算面においては閣議責任を持つてこれを決定する、それが運輸大臣をして重からしむるところのゆえんであると私は思うのです。あなたの上に大蔵大臣がおるということはあなた自体もやはりこれは権限執行上においてどうも不満を感じて貰わなくちやいかんじやないかと思うのですがね。
  44. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 内村君は誤解をされております。この法律を読んで見まするというと、日本行政組織法の中には各一省でなくして二省に跨がり或いは三省に跨がり、共管或いは共管よりももつと弱い意味協議を要するというような仕組になつておるのでありまして、あなたの只今仰せられたように、この本法律條文大蔵大臣運輸大臣の上に介在をして権力を振うということは毫末もないので、それは誤解でありますから、誤解を解いて頂きたいと思う。運輸大臣業務監督し、財政法その他予算編成意味におきまして、或いは国有鉄道財産政府財産であるというような点に関連いたしまして協議乃至共管という意味合いになつておるので、決して運輸大臣の上に大蔵大臣が介在しておるということはないからさように御了承願いたいと思います。
  45. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 内村ちよつとお待ち下さい。
  46. 内村清次

    内村清次君 重大問題ですから……
  47. 板谷順助

    委員長板谷順助君) あなたの御質問については、この委員会においては再三繰返されましたので、実はこの前の委員会におきましても、今お話のような要望書というものを出してある。ところがその実際は、公共企業体として独立採算制を獲得する上において、自主性を持たせるという意味において、然らば最後責任を誰がとるかというところまで問い詰めたところが、政府委員は、それは鉄道総裁最後責任をとるという意味のことをいつたので、従つてこれにつきましては、今加賀山説明員も御出席を願つておるのでありますが、果して自主性を保つ上において、最後責任総裁が取るか、取らんか、取ることになるのか、これを先ず第一に伺つて置きたいと思います。そうすると、例えばこの運営の上において、或る程度弾力性を持つという権限総裁にあるのかないのか、そういう点を先ず第一に伺つて置きたい。政府委員はそういう答弁であるが、あなたはそれを肯定なさるのかどうか、それを承わりたい。
  48. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 政府委員の言われる通りです。
  49. 内村清次

    内村清次君 これは加賀山総裁が言われることは無理ないことであつて、それに決定しておるのですから、勿論その法案に、そういうふうに加賀山総裁をして言わせるような規定になつておるのですよ。これでは委員長が今言われましたような、即ち自主的な運営というものは、総裁権限ではない。結局これは運輸大臣監督をし、更に又三十九條で運輸大臣といわれるけれども、この第三十九條の第三項に、運輸大臣が即ち前項の規定による予算提出を受けたときは、これを検討して、適当であると諦めたときは、これは大蔵大臣に送付しなければならん。そうすると、大蔵大臣は、前項の規定によるところの、予算の送付を受けたときにはこれを検討して必要の調整を行い、閣議決定をしなければならん。そうすると、やはりあなたが監督をして、そうして検討したやつでも調整をして行かなければならんというような権限がある以上は、やはりあなたの監督権というものは、この点においては、やはり大蔵大臣から一歩下つたことになる。同時に而も又それを閣議決定を経なくちやならんいうものは、これは最終段階にしなければならん。その席上で協議の形で、いわゆる大蔵大臣の御意見を聞かれますこともこれはよいでしよう。併しながらそこで決定することはいいのだが、その過程において大蔵大臣を持つて来る必要はないと思う。そこは、あなたの上にあるという論法はそこです。
  50. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 内村君は日本のいわゆる政府の行政組織誤解しておるのであつて、例えば運輸大臣の管理しておるところの日本国有鉄道であろうと、他の、仮に例えば文部大臣所管する六・三制の経費を取る場合におきましても、如何に経費を盛るかという文部大臣考えと、予算編成権を持つておる大蔵大臣が従来、やはりこれと同じ関係にある。農林省の関係を見ても然り、日本の各行政組織は皆さようになつておるので、それを上だとかというようなことは毫もないのでありますから、さよう御了承願います。
  51. 内村清次

    内村清次君 そこはいわゆる事務上の問題は事務上の問題として、大蔵大臣所管する予算編成上についてのこれは財政法上で決まつておりますが、その点についてそれはやつてよいのだが、併しそれはどこまでも事務上の折衝にして、閣議の席上においてそういうような調整の問題は考えて然るべきものである。而も又今回の問題というのは、公共企業体になつておる。そうして自主的な、独立採算的なやり方を総裁及び管理委員会自主性に任せて、そうしてやらせるというような根本的な考えがある以上は、これは国家統制というような面からは一歩緩かになつた即ち問題であると思う。この企業体を円滑にされるためにはやはりそこに重点を置いて立法精神というものは作られなくちやならんと私は思う。その点が一つも認められていない。これは委員会で一致したところの要望書の中にある條項が一つも認められてないというゆえんなんです。
  52. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) それはしばしば繰返す通り、国鉄の厖大なる財産というものが政府の出資であり、且つ国鉄の予算をつまり一般の予算と同じように編成するという組織になつている以上は、その予算の編成をめぐる決定に対して大蔵大臣がこれに対して発議権を持つということは、ひとりこの本法律案の特殊な問題でなくして、只今申上げました日本の行政組織体に対する大蔵大臣予算編成権という共通な部面の一つに属するに過ぎないのであつて、決して、そのこと自体日本国有鉄道運営に関して運輸大臣がこの国鉄総裁監督することは、これは当然でありますが、更にその上に大蔵大臣が介在するということは毫もないのでありまするから、そこは一つ御了解願いたいと思います。
  53. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今の話なら大抵、何じやないですか。
  54. 内村清次

    内村清次君 併し今日は監督の方も、所管大臣も来ておられるし、それからこれは加賀山総裁も見えておるから、こういうようなやはり機会を委員長一つつて頂きたかつたんです。
  55. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは発言をなさるのはいいんだが、今の問題は意見の相違で幾らおつしやつても盡きないだろう。
  56. 内村清次

    内村清次君 加賀山総裁ちよつとお伺いしたいのですが、第四十四條の点に対して、これは非常に公共企業体としての権限について心配している問題があります。勿論関係法案についての支障があるように認められますから一言お伺いしたいのでありますが、條項によりまするとこの事業年度内の年度支出は国会で議決をする、そうするとその予算の中で給与の額というものがこれははつきり決まるわけですが、この給与の額をはつきり決めて、その額以上の即ち操作というものはこの立法においては認められない、拘束されるというようなことになりまするが、そういうような拘束されたことで今後企業をやつて行かれる点について、いわゆる即ち従事員の協力を求めて、そうして或いは節約をやつて行くというような、即ち特別な労力を必要とするようなときにおけるところの給与の問題については、支障がありませんかどうかと私達は考えておる点が一点です。この点につきまして一つ先ず御答弁をお願いしたいと思います。
  57. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 本来でございますれば全く独立の経営体として自主的に給与の額並びに準則を自主的に決められるということは、これはまあ非常にいいことだろうと思うのでありますが、先程から大臣並びに政府委員から御答弁のありましたように、国有鉄道は非常に比類のない大きな組織であつて、又独占的な公益的な企業であります。従いましてこの従事員の給与につきましても、本来のこの予算を決めるときに、根本の重要な枠でありますとかを決めて、そうしてそれに基いて準則を決めるということに相成ろうかと考えるのであります。成る程任意に勝手にそれを事業年度内において自由奔放にやるということはできないかも知れませんが、一面そういつた余り自由奔放では、他の公務員或いは民間における給与にも非常に影響を与えますし、そこらを自制しつつ最も適切な給与を立てて行く。その根本は予算の審議を受ける前すでにそういつた問題を考慮して処置をして行く。事業年度内において特別の変更すべき事情が出て来れば、再び又これは予算補正の問題として国会の審議を受けるということになると思うのでありまして、その点について非常に経営上著しい支障になる点はないというふうに私としては考えております。
  58. 内村清次

    内村清次君 この公共企業体関係労働法につきまして、この点でこれは総裁にも関係しますし、運輸大臣にも関係する問題でありまするが、特にこの際明らかにしておきたいのでございまするが、十六條の問題でこれは政府委員からも説明もありましたが、更に一つ責任者といたしましての観点からお伺いしたいのですが、その公共企業体労働関係法によつて団体交渉権が認められておりまして、いわゆる経済問題につきましての団体交渉権はこれは立法精神で許されております。現在のように変動する経済情勢の下におきましての組合従事員といたしましては、やはりこの給与の問題につきまして相当関心を持つことは当然なことでありますが、こういうような即ち団体交渉で両者の即ち決定によつて成立をいたしました、その給与の問題の額については、これは当然十六條の可能の範囲内においての予算でやりくりというものはできる問題であるとこう規定されてありますが、その点は総裁も認められておりまするかどうか。その点と即ち四十四條とのこの拘束の点につきましての関係について、何も支障はないかどうかということを一つ明確にして頂きたいと思います。
  59. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 公共企業体労働関係法上、この仲裁の裁定がありました場合は、法律上これは当然拘束を受けるのであります。国有鉄道といたしましては、そういう仲裁がありました場合には、この仲裁の趣旨に副うべくあらゆる努力をいたさなければならぬ。これが予算の問題にかかつて参ります場合には、これは公共企業体としては政府に対してまあこういう措置が必要であるということを申出て、これは政府の問題として取上げる。これは政府予算的措置を要するかどうか、或いはそういうことをすることが適切かどうかということを考えて行く、それ以上は政府の問題に相成るというように考えております。
  60. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 内村君に申上げますが、今運輸大臣は衆議院の方から矢の催促で来てくれというのですが、こちらでばかり独占するわけにも行きませんので、鈴木君、大臣に対する何か御質問があるならば、内村君ばかりやつても……鈴木君も待つておられますから、どうですか。
  61. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 あります。
  62. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや大臣は今衆議院の方から来てくれというので非常にやかましく催促を受けておりますから、他の政府委員でよろしいならばあれですが、大臣質問があるならばやつて下さい。
  63. 内村清次

    内村清次君 二点だけですから。
  64. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや内村君。
  65. 内村清次

    内村清次君 大臣、今の点に対して一つ答弁して貰いたい。後一点、公共企業体労働関係法の十六條で可能な予算のときに、組合の団体交渉で決定される、そういうときにはこれはこの四十四條とは抵触なくその裁定されたところの予算額を出していいかどうかということなんです。
  66. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 四十四條の制限は無論この制肘は受けなければならないと思いまするが、団体交渉で予算範囲内において決められる問題は無論差支ないと思います。
  67. 内村清次

    内村清次君 それはあなたの答弁の中には、一つの枠がもうできてしまつているのだから……それは事業年度の当初にその予算額というものは決定される。ところが情勢の変動でこの給与の額というものが法律で決まつた裁定によつて拡がつて来る、そういう場合でも予算の全部の予算額内での異動であつたならば、これは公共企業体総裁言つておられるように、最後には裁定に服さなければならんという点があるのです。それは当然あなたの方では、前段の御説明では、この給与の額を決められた給与の額以内ではということがもう一つ……そういうことでは実際法律を無視することになる。
  68. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 併し内村君、四十四條を読んでごらんなさい。「日本国有鉄道は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給与の額として定められた額をこえるものであつてはならない」給与の額として定められた額を超えるものであつてはならないということになつております。これの四十四條の拘束を受けるということは法律でここで規定しておりますから、この枠を逸脱するということはこの法律の解釈上当然できないと思います。
  69. 内村清次

    内村清次君 それでこういうような法律というものはあなた自体がよく見られまして、そうして他の法律決定を活かして行くという線から、こういうことは削除して行かなくちや駄目です。そこが機動的な運用と同時に関係法の方の公共企業体を活かして行くという点であるのです。あなた自体は衆議院では、こういうものがあつちや困るじやないかということを、これは総裁も困るだろうということを発言されておるのじやないですか。
  70. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) それは内村君の希望でありまして、四十四條の解釈はとにかく一定の額を事業年度で当該年度の給与として定められたその枠の中でのいろいろな措置は総裁が自由にできますが、その枠を超えてはならんという法律があるのですから、これを止めろということなら別問題ですが、四十四條の解釈はどうかと言えば、これは明らかで、私の解釈以外に解釈はありません。
  71. 内村清次

    内村清次君 その通りです。四十四條の解釈はあなたが言う通りです。それだからこの解釈でこの立法ではいけない。これではいわゆる公共企業体の性質が、即ち運用ができないことと同時に、折角これはあなた方が我々の反対を押切つて作つた企業体の労働関係法ですが、この中で決めたことさえも制限を受けるようなことを更にやろうとしておられる、それでいけないというのです。だからこの点に対しては大臣としては一つ速記録において、これは公共企業体の方を重くすると、併しこれは予算の問題ですから何もあなたが心配する必要はない、監督者として……予算外といつたときは国会がやりましよう。不可能なときは国会がやる気になつておりますが、それだけは了承するというようなことを一つここで衆議院で言われたようなことを言つて頂きたい。
  72. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 四十四條のつまり條文内容の中で、団体交渉をして如何ように決めてもそれは自由です。
  73. 内村清次

    内村清次君 それはもう衆議院の方でもはつきり言われたように、これは総裁も困らせぬか、同時に十六條の問題も困らせぬかということをあなたははつきり言つておられるんです。
  74. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 若しこれが困つてその話の結果がいわゆる公共企業体の十六條のように予算外の支出を必要とするような話合いになつたときには、政府も勿論公共企業体の方も拘束されませんが、それがどうしても必要であるというならば私としてはそれは仲裁委員会からそういうような仲裁の内容の通知を受けたときには、それを検討して意見を付して私は国会にいずれにしても提出しなければならん。拘束されないけれども国会に、予算を増すなら増すべきであるけれども、予算を増そうというその仲裁には直ちに応じかねるという意見を付しまして、運輸大臣としてそれを国会提出して、あとは国会の議員の自由裁量で自由になるという順序を踏むべきであつて、この法律がありますときに十六條の予算上の支出を増す必要のあるような仲裁委員会の仲裁の案を受理いたしましたときは、運輸大臣提出するととは提出しますが、そこに意見を付して出します。それを処理するのは国会の勝手です。そういうことを衆議院では答弁しております。
  75. 内村清次

    内村清次君 最後一つ、それではコーポレーシヨンでも困るし、結局仲裁委員会の裁定というものも効力をなさないというこれは重大な、即ち立法精神と合わない結果というものが出て来る問題でありまするから、この問題につきましては大臣としてはなかなか苦しい答弁でありますが、議院としてこの立法措置については相当考えなければならんという点を私は申上げまして質問を終ります。
  76. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 余り出ておらなかつたので質問することが重複するかと思いまするけれども、今までの話の内容なんかを聴きますると、大体内村君から質問しておりますので、その答弁は聽いておりますからよろしゆうございます。
  77. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 他に御質疑はありませんか、それじやどうも……それでは質疑は終了したものと……
  78. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は総裁質問したいと思いますが、管理部が廃止せられて鉄道局が十九とか二十とかできるのだという報道がありましてから、全国的に非常な波紋を描いておるということは御承知の筈だと思うのですが、この鉄道局を作るという方針が国鉄にあられるのかどうか。作られるというならばどういう理由で管理部を廃止して鉄道局を作らなければならぬということをまあ根本的に御説明願いたいと思います。聞くところによると試験的に北海道に鉄道局を作られておるということであるが、その成績はどうであるか。それから鉄道局を作るとされると、全国に幾ら鉄道局ができることになるか、又鉄道局も同じ程度のものではなかろうかと思うのですが、おのずから大きい小さいがあるだろうと思うのですが、そういうような区別等も承わりたいと思います。それから作られるとするならば、いつ頃から作られるのであるか、これに要するところの費用等大体どの位要るものであるか。又伝えるところによると、北海道に試験的に鉄道局を作りますが、今度は九州に試験的に鉄道局を作つてみるんだというような話も聞いておるのでありますが、そういう点。それからまあ全国的に鉄道局を作るということになると九州には幾つ鉄道局ができるのか。又その設置場所等についても御検討になつておられるのか。鉄道局を作られる場所の選定等に対する基本方針というようなものを承わつてみたいと考えております。もう一つありますがこれは済んでから。
  79. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今この法案が済んでからゆつくり一つお聞きになつたら、どうですか。
  80. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それでもよろしうございます。
  81. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは質疑は終了したものとみなし、これより討論に入ります。
  82. 内村清次

    内村清次君 私はこの際日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出いたしたいと存じまして、実は昨日成規の手続を以ちまして委員長の手許に出しておるのでありますが、その要点につきまして、この理由を申述べたいと思います。  先ず第十二條の監理委員会の構成につきまして、第一項中に「又は金融業」を「金融業又は労働」について広い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者と、改正規定を加えるものであります。それで日本国有鉄道法によりまして、国有鉄道公共企業体として発足したものでありまするが、その趣旨と申しまするのは、官僚的な国家経営を改めまして、より能率的な且つ又民主的な公共企業体にせんがためであると信ずるものでありまするが、この場合に経営の最高機関であるところの監理委員会に直接その経営の運行を日夜担当しておりまする労働代表を参加せしめるということは、国鉄公共企業体の実態に即応した円滑なる運営のためにも不可欠な條件であると思います。  更に又終戦後あらゆる面におきまして民主主義の進展は激しく、今日においてもその経営の従業員の意思を無視しては、その円滑な運営は到底不可能でありまして、ただ一片の上からの命令のみでは、心からの協力は到底期待ができないものであります。そこでこの民主主義の原則であり、且つ又国鉄従業員の創意と熱意ある協力の態度をこの制度の上に生かしまして更に倍加させたい。かような基本的な原則からいたしまして、監理委員会の構成員の中に労働代表を加えたゆえんであります。  次に第二十六條、第二項を次のごとく改めるものであります。即ち「国務大臣国会議員、又は政府職員は職員であることはできない」と改めまして、地方公共団体の議員であるが故に職員たり得ない項目を削除したいのであります。その理由といたしまするところは、本来公共企業体の職員も、その政治的活動の自由であることは憲法における基本的人権の保障ばかりでなく、又国家公務員の制限からも別の取扱いをなされておるものでありまするが、そういたしますると、この場合に国務大臣と中央における国会議員の場合、これは職責上一時公共企業体の職員は常勤いたしかねまするが、地方公共団体におけるところの議員は、その数も非常に多く、又勤務にさほどの影響もない場合が多いのであります。で現在国鉄職員は五十万おりまするが、この組合などに結集しておりまするところのこの勤労大衆の意思は、是非とも地方各議会に反映する必要がございますし、且つ又そのことは日本の民主化のために実に大きな役割を果すものであると思います。この地方における公共団体の議員は、これは質問の点におきましても明らかでありまするように、すでに多数を占めておりまして、これを拘束するということは、政治的にも又社会的にも非常な障碍を各方面に与えるものでありまして、憲法におきますところの基本的人権の保障という点からも即時撤回すべきものであると思います。現に同じ公共企業体といたしまして、専売公社におきましてはこの項目はすでに撤去されておるものでありまするから、国鉄におきましてもこの項目の削除は当然行わるべきであると思います。  こういうような観点からいたしまして修正案を提出した次第であります。  第三には、国鉄公共企業体会計につきまして次の諸点の改正を要求するものでありまするが、公共企業体といたしまして出発しました理由一つ会計の独立採算を図るという点であります。併しながら今回出ておりまするところのこの一部改正法律案につきましては、国鉄の実情からいたしまして、その公共性という点からいたしまして無理な点が非常に多いように思われまして、而も又漸時独立採算制を助長して近い将来に経済が安定をいたしましたならば、この会計の自主制と責任制の確立をいたすということは基本的な原則でありまするが、この原則に基きまして企業会計の自由な自主的な運営を行うために、大蔵大臣の過度な関与権限を排除することが必要であります。この改正案におきましては大蔵大臣権限が細目に互つて過度となつておるのでありまして、この点を改めまして、この国家公共性としての監督運輸大臣内閣全体の責任においてこれを施行する。この点を主に取りまして、大蔵大臣はただ單なる事務的交渉に止むるという点がこの目的であります。そこで第三十九條の第二項、国鉄予算提出があつた場合、運輸大臣は「大蔵大臣に送付しなければならない」ということを「内閣に送付して閣議決定を経なければならない」かように改めたいのであります。又第三項の「大蔵大臣は、前項の規定により予算の送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議決定を経なければならない」とあるのを削除して、以下一項ずつ繰上げまして、以上の修正によりまして新の第二十九條の六第二項、新の三十九條の七第二項及び新の三十九條の八第二項中、いずれもその中にある第六項という句を第五項に改めて頂きたいのであります。以上の趣旨によりまして、第三十九條の十三、予備費使用の場合の第二項、第三十九條の十四、四半期毎の資金計画、第三十九條の十五、債務、収支の報告等、いずれも大蔵大臣提出し、報告するとある項目内閣にと改めるのであります。第四十條の二第一項、決算報告につきまして、「運輸大臣を経て大蔵大臣提出しなければならない」を、「運輸大臣に」と改めるのであります。又同條第二項における「大蔵大臣」も同様に「運輸大臣」に改めるものであります。  第四に、給与準則を定めました新四十四條におきましても、その後段にあるところの「この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給与の額として定められた額をこえるものであつてはならない」という項目を削除するものであります。即ち職員の給与は、一定の予算の枠を以てして縛られることはなくして、公共企業体の経営と採算條件によつて団体交渉の結果決められることがこのたびの新制度の趣旨であります。今まで国鉄がインフレのため赤字になつていたときは、独立採算を早急に行う事によつて、一般財政からの給与支出を抑制していながら、今後経済安定に伴いまして独立採算が確立された場合におきましては、却つて予算の枠で給与全体を縛るというのでは、全く国鉄職員の人権と団体交渉権を無視し蹂躙する規定であると言わざるを得ないのであります。かかる点からいたしまして新四十四條の後段を削るものであります。  以上修正案を提出いたしますから、委員長におきましては、各委員の方々にこの点お諮りをお願いしたいのであります。
  83. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御意見ありませんか。
  84. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 私はこの法案に対して相当強い実は意見を持つておるのです。今の内村君の意見とは少し違いますが、大体この法案をよく見ておりまするのに、財政法会計法改正をいたしまして予算実施に対して自主性を持たすこと、経営上生じた利益金の処分を前年度からの繰越した損失の補填に充てる、市中銀行から金融を図るというようなことで、非常に日本国有鉄道の能率的運営に歩を進めたようには実は見えておるのでありますが、当委員会におきまして第三国会において三ケ條の強い要求書を出して、政府に是非ともこの点は今度の改正に入れて貰いたいということを要求しておりましたにも拘わりませず、今度出ました法案は殆んど、その片鱗は見えておりますが、本体はなくしておるというような結果になつたように思われまして、非常に私はこの法案に対しては不満を実は持つておるのであります。且つ昨日から、四十六條のととろの財産権の措置ということに対して、そこに交換があれば貸与ということが是非必要だということを強調しております。政府はさようなことを予見していなかつたのかどいうことを申しまして、政府も予見をしていなかつたということを言つておる次第でありますが、物を交換するのに対しては、貸与ということは必ず付くべきものだ、こういう貸与というような言葉は、私は恐らく若しも疑獄事件が起きるならば私は四十六條から必ず起るということをここで強調して置きたい。前之園委員も昨晩からその点を法律家として非非常に詳しく研究して来たが、貸与ということはこの中へ修正意見を出してでも、入れて置きたいということを強く前之園委員も強調されておつたので、私もよく同委員の研究に対しては敬意を表する次第であります。  且つこの四十九條におきましても政令でこの請負業者を決めるということを昨日政府委員説明を受けたのですが、大体この四十九條の但書の中に、「緊急な必要のある場合、一般競争入札の方法に準じてすることが不利である場合」、これは成る程請負業者が談合して来たり何かして来て、政府に非常に不利な態勢をとつて来た場合には、これは私は「一般競争入札の方法に準じてすることが不利である場合」となるならば「この限りでない」ということは入れておくことは差支ないと、かように考えておりますけれども、「場合又は政令の定める場合においては」この「政令の定める場合」ということが、私は、これ又大きな問題を起して来る、鉄道においてはいろいろの問題が過去に起つておるのでありますから、かような問題の起りやすい法文をここに置くということは、公共の福祉に反するのじやなかろうか、かように考えておるのでありまして、実はこの法案に対しては私はさような観点から、修正なり又は何かをしてこの法案を直して頂きたいという考えを持つておりますけれども、まあ法案は今度、新らしく財政法改正においていろいろの日本国有鉄道としては処置をして行かなければならぬ、会計法上の処置を早くしなければ困るということも或る程高能率を発揮するゆえんであることも又一方考えて見たい。かように考えまして第四十六條の点は、特にこれは政府に一員も早くこの貸与ということのできるということを実施するということに要求をいたしまして、遺憾ながら私はこの法案に賛成いたします。
  85. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 私はこの改正案によりまして日本国有鉄道公共企業体としてその自主、独立性が確立せられ、又責任の所在も明らかになつて、経営の自由が確保せられるような態勢が整つて、これまでの官業の非能率がこれによつて一掃せられるものと期待しておつたのでありますが、この改正案を見まするに、甚だその点不十分であると思うのであります。併し根本的な修正はなかなか短時日には容易でないようでありますので、私はこの際次の要求事項を付してこの案に賛成するものであります。  要求事項を読み上げます。  「この法律改正案日本国有鉄道独立採算制による公共企業体として、その責任において高能率な経営をなし、且つ経済界の変動に応じ自主性を発揮しうるには不充分と認むるので、政府は第三国会に於ける本院の要求事項趣旨に基き更に研究の上、その実現に努力すること。」
  86. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御意見ありませんか。意見ありませんければ討論は終結したものと見なします。  先ず内村君より討論中に述べられましたる修正案について採決をいたします。  内村君の修正案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者少数〕
  87. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 挙手者少数と認めます。  尚丹羽君並びに飯田君が述べられました御意見は希望意見であります。この希望意見を付しまして衆議院送附の原案通り賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  88. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 多数を以て可決すべきものと決定をいたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は委員長に御一任を願います。  それではどうぞ御署名をお願いすることにいたします。  多数意見者署名    丹羽 五郎  飯田精太郎    早川 愼一  植竹 春彦    大隅 憲二 前之園喜一郎
  89. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            飯田精太郎君            丹羽 五郎君    委員            内村 清次君            植竹 春彦君            大隅 憲二君           前之園喜一郎君            小野  哲君            高田  寛君            早川 愼一君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 大屋 晋三君   政府委員    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君   説明員    日本国有鉄道総    裁       加賀山之雄君