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1949-11-09 第6回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月九日(水曜日)    午後一時二十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○船舶法の一部を改正する法律案(内  閣提出・衆議院送付) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○小委員会設置の件   ―――――――――――――
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより会議を開きます。船舶法の一部を改正する法律案は、すでに衆議院を通過して本院に廻つて来たのでありまするが、これを議題といたしまして政府委員より説明を求めます。
  3. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) 只今から船舶法の一部を改正する法律案提案理由について御説明を申上げます。  御承知のごとく現在の船舶法によりますと、日本船舶所有者はその所有船舶につき船舶原簿登録をなし、船舶国籍証書を請い受けることを要することとなつており、又その後におきましても登録事項変更がありましたときは、当該船舶所有者又は当該船舶につき新たに所有権を取得した者が、変更登録及び船舶国籍証書書換等申請をしなければならないことになつております。従つて現行法の下におきましてこれらの諸規定が確実に遵守せられておりますならば、船舶登録簿登録事項に関する限り日本船舶現状を明確に記録し、船舶国籍証書も亦その記載事項について当該船舶を正しく察している筈であります。併しながら事実は必ずしもそうではなくて、一旦登録された船舶につき沈沒或い解撤、行方不明、国籍喪失又は改造等登録を抹消し、又は変更すべき事由が発生いたしておりましても登録簿上は依然として元のままになつており、船舶国籍証書も亦返還もされず、書換もされないでいるようなものも少くないのでございます。殊にこのようなことは戦時中の混乱に際して多かつたのでありまして、このため現在の船舶登録簿日本船舶現状と少からず食違つておるものと推定されます。このような状態を生じましたことは、現行の制度が船舶につき一旦登録がなされ、船舶国籍証書が交付された後においては、それらの変更登録及び書換が当事者の申出俟つて初めて行われることになつております。而もそれらの関係規定罰金をもつて強制されるだけであつて当該船舶運航自身は何ら差支えないことになつておるからであろうと思われます。そこで本改正案におきましては大略次のごとき措置を講ずることによつて今までに申上げましたような諸要件に応えたい、こういうような事情でございます。  第一には、日本船舶所有者をして定期的に一定期日までに、船舶国籍証書をそれぞれの船籍港を管轄しておりますところの管海官庁に提出させまして、その検認を行いまして、船舶原簿船舶国籍証書記載事項の一致を図ると共に、検認を受けない船舶国籍証書はこれを無効といたしまして、管海官庁においてその船舶登録職権をもつて抹消いたしまして、船舶国籍証書及び船舶原簿現状と合致せしめることといたしております。而してこの検認の時期につきましては、船舶種類であるとか或いは大きさによりまして、適当な期間を定めまして前回の検認又船舶国籍証書の交付を受けた日から、その期間経過しなければ、次回の検認はできないことといたしまして、船舶所有者の便宜を図つております。但し、第一回の検認につきましては、全船舶を一齊に検認し得ることといたしたいと存じております。  次に登録事項変更中、船舶所有者変更につきましては、他の登録事項変更に比較いたしまして非常に重大性がありますので、特に規定を設けまして、所有者変更の際には、変更登録並びに船舶国籍証書書換申請した後でなければ船舶航行さしてはならんということとしまして、所有者変更が確実に船舶原簿に記録され、船舶国籍証書面も真正な所有者名義となるようにいたしております。ですから日本船舶でなくて日本船舶を擬装するもの、或いは正当な手続を経ないで船舶国籍証書を請い受けることなく航行するもの等については、その行為の悪性が特に著しいときは船舶を沒收し得ることとした外、現下の経済事情に適応するごとく罰金の額を調整いたしたこと等であります。本法案要旨は、大体只今説明申上げました通りでありますので、どうか愼重に御審議願いたい、こういうふうに考えております。
  4. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 本案に対しまして若し御質疑があるならば引続いてやりますし、又研究するということであるならば後廻しにいたしますが、如何ですか。何かお尋ねがあるならばどうぞ。
  5. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 只今お話のあつたこの提案理由説明の中に、大体登録原簿と今の船舶現状と非常に食違つているというようなことを是正するのが、一つはこの改正案目的だと、こういうことであつて誠に結構だと思うのでありますが、ところが従来運輸省運輸その他いろいろな産業計画か何かにいろいろ触れる基礎というようなものができておりますけれども、只今お話のように食違つているのだ、今までそういうことを計画するのにできておつたデータというようなものは一体確信を以て出したということにもなるように思うんですけれども、そういう点はどういうふうにして作成をされたか、そのデータなつ基礎に対してのお考えを伺いたいと思います。  もう一つはすでに終戰後四年にもなているのに政府はどうして今日でこういう重大なことを放つて置いたのか。放つて置くつもりはなかつたろうとは思うけれども、そういう点に対する政府のお考えを一応伺いたい。
  6. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) 第一の御質問に対してお答えいたします。先程御説明いたしましたように、従来この法律建前が一旦登録いたしました後は、その所有者から登録変更申請のない限りは原簿を直さないことになつておりますので、新造した時、或いは改造した時に登録されたまま所有者から何も言つて来なければ、そのままその船はなくなつて登録原簿にはそのまま載つているわけであります。これはこの法律の不備な点でありまして、この点を今回の改正によりまして一遍出しました国籍証書を随時検認いたしまして、その検認の証のない国籍証書は無効とするということにいたして、職権を以てこれを抹消して原簿現状を合わせるというふうにしたわけであります。  それから第二の御質問の今まで何故こういうことをやつておらなかつたかということでありますが、これに対しましては、大体これは明治三十二年頃の古い法律でありまして、我々も前から改正しなければならんということは気がついておつたのでありますが、いろいろな事情で遅れておりましたのと、それから今までは余りそう現在ほど食い違つたあれもなかつたのですが、戰時中相当沢山の船がなくなりましたり、或いはその後密輸船等が非常に殖えて参りましたために、特に近来そういう問題が大きく取上げられまして、最近では関係方面からもそういう慫慂を受けましたので、この際思い切つてこの法律をこの臨時国会に提出した次第であります。
  7. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 この提案理由の末項にもありましたし、只今政府委員お話にもありましたのですけれども、密輸船というようなものが相当最近殖えて来たので、それの不正航行に対する取締というようなことも本案制定の眼目だということですけれども、その密輸船のために一体どのくらいのものがどういうふうになつて、或いは船はどういうふうにその密輸のために動いておつたかというようなことの実況が、政府としてお分りになつておるだろうと思うのですけれども、そういう点を伺いたいと思います。
  8. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 保安庁の方が見えたときにお答え願うことにいたします。
  9. 加藤常太郎

    加藤常太郎君 この改正案の中に「日本船舶所有者ハ主務大臣ノ定ムル期日マデ」とありますが、期日は大体いつ頃ですか。
  10. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) 第一回のは先程申しましたように一齊にやるつもりでおりますが、この法律通りまして一月末か或いは二月の初め頃やりたいと思います。
  11. 加藤常太郎

    加藤常太郎君 そうして期間は……。
  12. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) それからあとは鋼船につきましては百トン以上の船については四年に一回、それから百トン未満の鋼船については二年に一回、木造船が一番所有者変更なり登録の変動が多いものですからこれは毎年、こういうことに考えております。
  13. 加藤常太郎

    加藤常太郎君 第一回のは何ヶ月ぐらい、期日は何日から受付けして……早速いつからでもそれをやるのですか。
  14. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) 第一回のは始めるとき遂行……。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 私語をしないように願います。
  16. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 今の加藤委員の御質問と関連するのですが、ちよつと私聞き洩らしたのですが、「主務大臣ノ定ムル期日マデニ」ということは、現実の問題としては、今ある船を全部この期日までに一応ずつと登録をし直そうということなんですか、その点はどういうことですか、五條の二は簡単にいうとどういうことなんですか。
  17. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) もともと完全な国籍証書を持つておる船を職権で抹消するわけではございませんので、不正な国籍証書を持つておるものを取調べる意味でやつておるわけでありますから、証書提出期日が遅れたから職権で抹消するというような意図は毛頭ございませんので、たまたまその船籍港におる船ならば直ぐそこから管海官庁に出して貰います。今申したように或いはその船が航行中であつて、いつまでには帰つて来れないということであれば、この船はこういう都合でいつまでには帰つて来れないからいつまでに提出するということを申出して貰えば、その期日まで延期を認めるように亡まして、そのために船の航行に差支えるようなことはできるだけ避けたいというように考えております。
  18. 加藤常太郎

    加藤常太郎君 検認を受ける場合には船舶管海官庁に持つて来なければならんのですか。ただ国籍証書だけを管海官庁に提出して検認を受けるか、検認方法具体的方法を……。
  19. 甘利昴一

    政府委員甘利昴一君) 船を持つて来る必要はございません。ただ船長なり所有者国籍証書所轄管海官庁へ提出する又遠くの場合には最寄の管海官庁に持つて来て貰えばよいのであります。
  20. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 本案に対する質疑後廻しにいたします。   ―――――――――――――
  21. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、これはまだ予備審査でありますが、一応政府委員から説明を求めます。
  22. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 只今から日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  さきの第三国会において、日本国有鉄道法が可決せられ、公共企業体としての日本国有鉄道は、本年六月一日をもつて発足いたしましたが、その会計に関する諸規定は、準備期間が充分でなかつたため、同法第三十六條の規定に明示するごとく、鉄道事業の高能率に役立つ会計に関する法律が制定施行せられるまでは、暫定的に、従来通り国会計を規律する諸法令によらざるを得なかつたのであります。従つて日本国有鉄道は、その会計に関し、公共企業体にふさわしい形態を具えないまま、その設立をみたわけでありますが、その後鋭意研究の上、同法第三十六條の趣旨に添い日本国有鉄道能率的な運営をはかるため、「第四章会計」を全面的に改正する法律案を、ここに提出することになつた次第であります。  日本国有鉄道は、同法第一條に明示いたしますごとく、その能率的な運営により、公共福祉を増進することを目的とするものでありますから、この目的を達成するためには、特にその会計の面において自主性を與えられその企業性を発揮すべきことは申すまでもないことであります。併しながら、日本国有鉄道は、全額政府出資により設立された公法上の法人であつて民間企業とその性格を異にいたしますと共に、厖大な組織を有する独占的な企業体であつて国民経済上重要な地位を占めるものでありますから、政府においても、特に公共的見地から、これに対する統制を必要とすることもまた明かなところであります。又この統制程度も、その時の経済的情勢によつて相当の差があるべきものでありますから、本改正に当りましても、これらの事情を参酌の上、現状として、最も妥当な範囲において、その能率的運営図つた次第であります。  次に、この改正の要点といたしましては、日本国有鉄道に対して、財政法会計法等従前国有鉄道事業会計に関する諸法令の適用を排除したこと、予算実施面における自主性を広く認めたこと、経営上生じた利益を先ず前年度からの繰越損失の補てんに当てること。現金の取扱上、例外的に市中銀行等を利用する途を開いたこと、鉄道債券を発行して民間からも資金を調達する途を開いたこと等でありますが、これが詳細につきましては内容を御説明する際に譲ることにいたします。  以上を以て提案理由説明を終りたいと存じますが、今回の改正の結果は日本国有鉄道能率的運営に一歩を進めることとなりますので、これによつて公共福祉を増進し、日本国有鉄道設立目的に副うことができると存じております。  尚この改正昭和二十五年四月一日を以て施行いたしたいと存じますが、予算及び契約の規定については実施を急ぐ必要がありますので、本国会に提出することになつた次第であります。愼重御審議の上可決あらんことをお願い申上げる次第であります。
  23. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後一時四十分速記中止    ―――――・―――――    午後一時五十五分速記開始
  24. 板谷順助

    委員長板谷順助君) では速記を始めて下さい。  只今日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する質疑がありましたならば、お申出を願います。  運輸大臣に伺いますが、運賃法案は出ませんけれども、運賃改正のその後の経過はどうなつておりますか、一応御説明願います。
  25. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) その問題は運輸省の原案といたしましては、運賃を、陸上運賃貨物現行よりも九割、海運の方を九割三分上げて貰いたいという考えであります。而してその貨物運賃の九割を上げまする中で、その一部分の増收分旅客運賃調整をやりたい。その調整はどういう内容かと申上げますというと、先ず、三等旅客運賃に関しまして、長距離逓減法を現在の二階段のやりを四階段ぐらいにしようというような事柄、それから現在の定期券が一ヶ月、三ヶ月、一本の率になつておりまするやつを、三ヶ月、長期の分の割引をいたすということ、又一等から三等までの三等を基礎とした倍率が、三倍飛びになつておりますやつを、二倍に改めるというような方法の旅、客の運賃調整をやりたいという考えで、目下関係方面と折衝をいたしておりまするがまだ結着いたしておりませんが、多分一両日のうちに先方の意見が明らかになると、こういうふうに思われる程度になつております。而も運賃の値上の実施の始期は十二月一日をこちらは考えておりますのです。ところが先方の意向がまだ十分わかりませんが、極く最近、そのうちに分るような模様を先刻大蔵大臣から私聞いております。その程度でございます。
  26. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 先達てこの委員会において運賃改正に関する中間報告を聞いたのでありますが、その際においては貨物運賃を九割上げる。これがいわゆる運輸審議会における答申であるという説明を受けたのでありますが、その際運賃九割を上げるとして具体的にどういう数字が出るか、或いは鉄道独立採算制の確立の上において確信があるかどうか、その具体的の数字を要求しておつたのでありますが、その準備はできておりますか。
  27. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) できております。
  28. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじやどうぞお配り下さい。
  29. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 今日は準備しておりません。
  30. 飯田精太郎

    飯田精太郎君 運賃の何はいずれ後から出ると思いますが……。
  31. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 国有鉄道改正法案に関連して経過だけ聞いておかなければならない。
  32. 飯田精太郎

    飯田精太郎君 質疑に入る前に、中間的にこの前に説明を頂いたのでありますが、最終的に決つた法案に対する條文的な説明を一通りもう少し伺いたいと思うのであります。それから質疑に入りたいと思います。
  33. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは一つ運賃改正法案逐條的に一応御説明願います。   ―――――――――――――
  34. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 ちよつとこの前に船舶法の一部を改正する法律案というのは、もう衆議院の方は通つておるというような話であるし、それから鉄道法の一部を改正する法律案はまだ予備審査であるというような関係もありますから、折角一院を通つているものなら、そうした方を先に審議して、上げるものならば早く上げてしまつたらどうかと思いますが、如何でしよう。
  35. 板谷順助

    委員長板谷順助君) その点について先程念を押したのでありますが、とにかく丹羽君は遅く来てまだよく分らんというお話もあり、あなた方の方でも十分……、問題は極めて簡單でありまするが、併しここで質疑が終了すれば、勿論衆議院を通つておる案でありますから、結末をつけることは差支ありませんけれども、そういうようなお話がないようであるから、それで後廻しにしたわけですが、別に御質疑を打切るならばそれでも結構です。
  36. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 政府から提案理由説明があつただけで、改正法律案内容に対しての御説明くらいがあつてから質疑をするのなら結構ですが、その御説明もないうちに……。
  37. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 船舶法の一部を改正する法律案提案理由説明がありました。
  38. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 提案理由説明はあつたのですが、それだけで、それならばそれでいいです。委員長がそういうおつもりならば……。
  39. 飯田精太郎

    飯田精太郎君 船舶法説明を簡単に逐條的に伺つたらどうですか。
  40. 林坦

    説明員林坦君) 御説明申上げます。  今度改正趣旨と申しますか、要旨につきましては、先程船舶局長から御説明申上げましたが、逐條的にやや少し詳しく御説明申上げますと、「第五條ノ二」というのを今度船舶法に加えたわけでございます。これは、本條は船舶国籍証書に対する検認制度を確立しますために新たに追加したものでございまして、第一項は、船舶所有者検認を受ける義務を決めたものでございます。本項によりますと、検認運輸大臣省令又は告示を以て定める期日までに当該船舶船籍港を管轄する管海官庁、これは要するに海運局又は海運局支局等でございますが、そこに国籍証書を提出して検認を受ける、こういうことを規定いたしました。この省令又は告示を以て定められた期日は、後に述べる第二項の制限により頻繁に行うことはできないことになつておりまして、本項の義務違反に対しては別段罰則はないのであります。併しながらこの義務に違反すれば船舶国籍証書は無効となり、船舶所有者当該船舶については船舶法五條により登録申請をしなければならないこととなるのであります。  第二項は第一項の規定により、運輸大臣が定める検認期日についての制限を定めたもの、即ち滅失、沈没等船舶国籍証書返還事由の発生及び船舶国籍証書記載事項変更可能性の度合によりまして、大体三つに分けまして、百トン以上の汽船につきましては、四年間はこういう検認を更にやらない。それから百トン以下の汽船につきましては二年間はやらん。それから木船につきましては、これは非常にその状態の変ることが頻繁でございますので、それを一年間の期間を設けて、一年間経過後に又検認をやる、こういうふうな規定にしてあるわけでございます。それからこれによりまして船舶国籍証書を出さなかつたもの、検認を受けなかつたものは国籍証書は無効になる。それから管海官庁船舶原簿をとじる、こういうことによりまして船舶国籍証書、それから船舶原簿船舶の現存ということを一致せしめる、こういうわけでございます。  それから「第六條ノ二」といいますのは、所有者変更がありましたときに、新所有者国籍証書書換えを申請した後でなければ船を航行させることはできない。こういう規定を設けたのでありまして、これは船舶国籍証書記載事項中、所有者変更という問題は一番重要な問題でありまして、これがはつきり捉えられないということは、船舶現状はつきり捉えることになりませんので、船舶所有者変更というときには、変更した場合には必ず国籍証書書換える、原簿も変えるということになつて初めてその船を動かすということができるような建前にいたしたのであります。ただこれは相続等の場合等もございまして、「事実ヲ知ルニ至ルマデノ間及其事実ヲ知りダル日ヨリ二週間以内」は特に「船舶航行セシムルコトヲ得ズ」というこの規定除外例を設けて但書を設けてございます。  それから後は第二十條の規定がございますが、これは條文の整理と、あれが変りましたので、「第四條乃至前條」というふうに書換えました。  それから第二十二條といいますのは、これは「日本船舶二非ズシテ国籍詐ル目的以テ日本国旗掲ゲハ日本船舶船舶国籍証書若クハ仮船舶国籍証書以テ航行シタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長所有ハ占有ニ係ル其船舶沒收スルコトヲ得」というふうに規定をいたしましたのは、今まで国旗の使用は規定がございましたが、国籍証書日本船舶以外の船が用いまして、日本船舶国籍証書なり仮船舶国籍証書なりを持つて航行する場合の規定はつきりいたしておりませんでしたが、最近の国際情勢に鑑みまして日本の船の国籍証書或いは仮船舶国籍証書なるものを持つて航行する、いわゆる不正な密入国船といつたようなものとかそういつた種類の船を取締の必要上、この規定を設けまして場合によつてはその船を沒收することができると、こういう規定を設けたわけでございます。それから船長に対しましても一年以下の懲役というふうに懲役刑をここに加えまして権衡を図つたわけでございます。  それからその第二項は従来にもその国旗の場合にございました規定であります。これは外国の立法例にもあります。その通りにそのまま残して置きました。  それから第二十二條の二といいますのは、「船長当該官吏吏員臨検ニ際シニ呈示スル目的以テ他船舶船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書船内ニ備置キ其船舶航行セシメタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又八十万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長所有ハ占有ニ係ル其船舶沒收スルコトヲ得」これは要するに現在の自分の船の国籍証書でなくて他の船の国籍証書自分の船に積んで置いて、そうして調べられたらそれを見せるというようにしてこれを船内に置いて航行せしめるというようなものがあれば、それを取締る必要上設けた規定でございます。  それから第二十三條は罰則をそれに対して前に倣つて整備いたしました。  それから第二十五條は今までの規定を削除いたしました。これは六條の規定……と申しますのは、先程の別の規定が「日本船舶ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外船舶国籍乱書又ハ仮船舶国籍証書請受ケタル後ニ非サレハ」云々という規定でございまして、この規定に違反した者は他の規定が先程設けられましたので、これを削除いたしたのであります。  それから後二十六條は罰金を最近の経済情勢等に睨み合せまして調整をいたしました。  二十七條ノ二もさようでございます。  それから最後に先程の第五條の二の第一項によりまして、鋼船につきましては四年或いは鋼船の百トン以下につきましては二年というような検認期間制限がございますが、第一回は一齊にこれを行いたいと思いますので、附則の第二項を設けまして、最初に受ける検認期日については同條第二項の規定は適用しないということにいたしまして、最初には一軒検認ができると、こういうふうに規定したのでございます。
  41. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この法案審議については海上保安庁の出席の要求もありますから、この次にしたらどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして逐條の説明を求めます。
  43. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) それでは只今から日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内容について御説明申上げたいと思います。街今回の改正におきましては第四章の会計篤改正が主でありますが、條文では十二條とそれから三十六條から五十一條までと、それから六十三條と全部で十八條改正いたしまして、改正法律案ではそれを四十ケ條にいたしております。非常に細かい技術的な点もございまするので、御説明を申上げる便宜上項目にまとめまして、その項目について條文を纏めて御説明を申上げたいと考えます。  先ず一番初めにこの法律全般の関係でございます。日本国有鉄道会計に関しましては現行法の三十六條によりまして、原則として財政法それから会計法のそうした従前の国有鉄道事業会計を規律した諸法令が現在適用されておるのでありますが、同僚にも規定をいたしてありますように、鉄道事業能率的な運営を図るためにはこれに適する便利な法律を制定する、それまで暫定的に今申上げましたような法律が適用される、こういうふうになつておるのであります。従つて能率的な運営に適する法律の制定を可能にいたしますために、改正案におきましては三十六條で現在の「日本国有鉄道会計及び財務に関しては、本章の定めるところによる。」というふうに規定をし、又第六十三條の改正において三十六條の改正と照応いたしまして、財政法会計法、国有財産法等国の会計を規律することを目的とする法令は日本国有鉄道に対しては適用がない、こういうふうに三十六條と六十三條とを前後照応して改正をして適用のないことを明らかにしました。先ず大体の改正の全般的な点はそういうところでございます。  次には予算関係でございます。予算は事業の計画としては最も重要なものでありますから、これを国会に提出をしてそうしてその議決を受けることは申すまでもないことでありまして、従つて改正案におきましてもその三十九條から三十九條の八までの間において、現行法と同様本予算、修正予算、追加予算及び暫定予算に関する作成、提出、議決等につきましてそれぞれ規定を設けた次第であります。  以上のように国会に提出する予算につきましては、現行法と殆んど同様な規定を設けましたが、予算実施の面におきましては、三十九條の九から三十九條の十五に亘るまでの規定を設けまして、その中に多くの改正を行うことにいたしました。現行法では予算の流用を多くの項目に亘つて禁止してございます。それから予備費の使用それから予算の繰越及び毎四半期の支出負担行為計画及び支拂計画などは、原則として監督官庁の事前の承認を受けることに定め、予算実施上において監督官庁から強力な統制を行なつておる。これが現行法の建前でございますが、これに対しまして改正案では監督官庁の承認を要するものとしましては、予算で指定した経費の流用を行う場合だけにいたしまして、予備費の使用或いは予算の繰越などについては單に通知事項に止める、監督官庁に対してそういうことの通知事項とする。こういうふうにしますと共に毎四半期毎の支出負担行為計画及び支拂計画これは事前承認を受けておつたのでありますが、そうしたものに代りまして、資金計画の提出を規定をする、そういうふうに資金計画を提出する、こういうふうに規定をいたしました。これらの点で実際のこの予算実施につきまして、日本国有鉄道の非常に実際の仕事をやつて行く上の自主性を広く認めることになる。この点は非常な予算実施の上の進歩だと考えております。その点は今後の能率的な運営にとりましては事実上相当進んでいる。こういうふうに考えている次第であります。  その次は決算でございますが、決算については現行法は余り多く改める必要がございません。従つて改正法におきましては、その四十條から四十條の三までの間に現行法と殆んど同様の規定を設けまして、予算と形式を同じくする決算報告書を作成し国会に提出すること、それから決算報告書とは別に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成しまして、監督官庁の承認を受けて公告する、そういつた点を規定することにいたしたわけであります。  次は利益金の処分の点でございますが、現在の日本国有鉄道法におきましては、日本国有鉄道は全額が政府出資によつて設立せられているという点を考慮して、その四十三條で経営上生じた利益は、別に予算によつてその処分を定めた場合を除きまして、全部これを政府の一般会計に納付する、こういうふうになつているのでございますが、改正案におきましてもこの四十一條において、現行法のごとくその利益については予算に定める場合を除いて、国庫に納付するという原則には変りございませんが、併しそういうふうにいたしますのに先立つて、利益を前年度からの繰越し損失の補填に先ず充当をする、而して後荷利益がある場合に、それを今申しましたごとく国庫に納付するというふうに決めまして、国有鉄道の経営の健全化を図る、こういうふうに規定をした次第であります。  次は現金の預け入れでございますが、六現行日本国有鉄道法ではその四十七條で、現金はすべて国庫に預け入れるというふうにいたしております。即ち「日本国有鉄道の業務に係る現金については、法律又は政令の定めるところにより、国庫金の取扱いに関する規程による。」こういうことによつて全部国庫に預け入れる。こういうふうにいたしているのでございますが、併し收入金の現送の必要なども生じまして現金の取扱上不便がひどい、又現送についての危険性なんかもございますので、改正案にお富ましては、従つて以上の点を考慮して、その四十二條でその例外を決めまして、現金を安全に取扱うために、日本銀行の支店又は代理店を簡単に利用できないときは、市中銀行なんかを利用する途を開く、こういうふうにいたしたのであります。  次は資金の調達でございますが、現在の田本国有鉄道法におきましては、その四十四條において資金はその全額を政府から調達をする。こういうことになつているんでございますか、改正案においてはその四十二條の二におきまして、現行通り政府から資金を調達する外に、その調達の円滑化を計りますために更に鉄道債券を発行して、そして民間からもこの資金を調達し得る途を開く、こういうふうにいたした次第であります。尚鉄道債券につきましては、政府が引受ける場合も考えられますので、改正案の四十二條の三におきまして、政府鉄道債券の引き受けをすることができる。こういうふうに規定をいたしました。  次に会計規程でございますが、国有鉄道会計及び財務に関しては、国の会計を規律する財政法或いは会計法等によらないで、この改正案によつて規律するということを申上げたのでございますが、併しこの会計或いは財務に関しましては沢山の詳細な規定を必要といたします。又この改正案及びこれに基く政令に規定するに適しない事項も多く含まれておりますので、改正案の第四十三條においてそれらの事項については日本国有鉄道会計規程を設ける、こういうことをこれに規定をいたした次第です。併しこの会計規程というものは非常に大切なものでございますから、これの基本事項については監督官庁の認可を要する、こういうふうに決めております。  次は給與準則でございますが、国家公務員の給與につきましては国家公務員法に規定をされておりますが、併し日本国有鉄道の役職員については国家公務員法の適用がございませんので、改正法案におきましては四十四條で、日本国有鉄道はその役員及び職員の給與について給與準則を定めるということ、及びその給與準則は予算の中に定めた給與の額によつて制約を受ける、こういう意味のことを規定したのであります。  次は財産の処分でございますが、現行法においてはその四十九條で、営業線及びこれに準ずる重要な財産を処分するときは予め運輸大臣の認可を必要とする、こういうふうになつておるのでございますが、この点につきましては日本国有鉄道全額政府出資設立をされておりまして、そうして従前の国有鉄道事業特別会計の資産を包括的に承継をしておる。従つて財産の処分につきましても單に運輸、大臣の認可を受けるというだけにしないで、もう少し愼重な手続を必要とするのじやないか、した方がいいのじやないかという意見が本法を作るときからあつたようでございますが、今度の改正案におきましてはその四十六條において、これらの財産の処分については法律を以て国会の議決を経る、こういうふうに改正をいたしました。  以上がこの改正案の重要な点について、まとめて現行法と比較して御説明申上げたのでございますが、面これ以外に改正いたしました点は、十二條において委員と役員、及び委員と国有鉄道の役職員と非常勤の政府職員との兼務ができることを明らかにしたわけであります。これは例えば観光委員会とか、或いは工業標準化法によつて設立されております委員会とか、或いは建設業法の委員会とか、いろいろそうした委員会に対して、これは一応非常勤の政府職員と考えられるのでありますが、それと国有鉄道の役職員との兼務ができるという点をはつきりいたしませんと、現行法の解釈上支障がございますので、その点を改正によつてはつきりいたしたわけでございます。  尚四十八條におきまして特定の会計を担当する職員が、その職務の範囲で総裁を代理するということ、それから四十八條の二におきまして現金若しくは物品の出納職員に対して、総裁が損害の弁償を命じ得ることを規定いたしました点、それから四十九條におきまして、契約の関係でございますが、この公開入札及び公正な協議の方法による契約の締結ということを定めました点、附則の第三項におきまして昭和二十四年度の国有鉄道事業特別会計の損失の取扱について規定をいたした点、そういう点が改正の点でございます。  尚今回の改正案はこの附則の一に規定しておりますように、昭和二十五年の四月一日から施行したいと考えております。併し予算に関する規定はこの二十五年度の予算から適用いたしたい。それから決算に関する規定昭和二十五年度の決算から、契約に関する規定はこれは早急に実施をする必要がございますので、公布の日からそれぞれ適用する、こういうふうにいたした次第であります。以上が極めて簡単ではございますが、改正案内容についての説明でございます。以上であります。
  44. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 質疑に入ります。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 只今の御説明でこの四十四條ですが、この四十四條は日本国有鉄道の職員に対して支給する給與については給與準則を定めなければならない。この給與準則というものは、その一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給與の額として定められた額、これはいわゆる職員に対する給與としてやつていいんだが、その間においていわゆる職員の給與額が変更した場合には、それはどういうようなことになりますか。
  46. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) それは予算措置で行くことになると思います。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 予算措置と申しますると、いわゆる追加予算国会に提出をして、国会の議決を以てその給與というものが決定するというわけですか、どうですか。
  48. 足羽則之

    政府委員足羽則之君) 途中で給與が変つた場合のお話だと思うのでありますが、それは予算措置を必要としないもの……この公共企業体労働関係法十六條関係の問題の御質問かと思うのでありますが、これは予算を必要とするものにつきましては、議会に予算を提出することになると思いますし、又予算を必要としないものにつきましては、議会に提出をしないで運用によつてやることになると、こう考えております。
  49. 内村清次

    ○内村清次君 これは今回の問題とも関係しますし、今回の国鉄労組の決議の問題にも関係いたしますし、同時に又時期的にも相当重要な問題でありますから、特に運輸大臣の御答弁をお願いしたいのですが、昨日だつたか、中労委いや仲裁委員長の末弘さんがいわゆる当局側を呼んで、そうしてお話があつた。当局側の意見を聞かれたという次第で、その席に大臣も見えておられたそうでありまするが、今回のいわゆる給與ベースの変更について、仲裁委が近くこれは法律によりましても、一ケ月以内には仲裁をやらなければならない法文になつておりますし、仲裁を発表することだろうと思いますが、この仲裁の発表に対しまして、運輸大臣といたしましてはどういうような態度を取られるか、それを先ず一つといたしましてお伺いいたします。
  50. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 仲裁の内容が了承し得られるものである場合には、それを法の命ずるところに従つて議会に出しまして、議会の審議を仰ぐということでこれは無論それで差支ないと思うのですが、その内容が了承し難い場合には、やはり運輸大臣といたしましては、内容運輸当局としては了承し難いという意味合の意思表示をくつつけて、議会に出すより外しようがないと、かように考えております。
  51. 内村清次

    ○内村清次君 これはもう公労法にも明記してありますように、仲裁委員会の裁定というものは決定事項になつております。そこで只今運輸大臣のお言葉から言うて見ますると、自分日本国有鉄道に対しては監督権があるのだ。だから監督権という立場から了承されなかつたときには、その了承し得ないところの具申を内閣に出そうと、こういうようなお考えでありますか、或いはその裁定を拒否されるような処分をされますか、その点一つお伺いいたしたいと思います。
  52. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) それは仲裁委員会の答申があつたならば、それをやはり運輸大臣としては、只今申上げたように内容の如何に拘わらず、やはり予算関係の伴うものに関する限りは、これを法律規定従つて議会に提出をすべきものであると私は考えております。その場合にその内容に関しまして同感の場合は勿論差支ないが、同感でない場合には了承し難い、この点は了承し難いという註釈といいますか、意見を附けて出すより外にないというふうに考えております。
  53. 内村清次

    ○内村清次君 前国会でありましたか定員法を出されまして、そうしてその定員法の中にこの附則九項だと思いましたが、退職金につきましてはこれは政令で決めるということで、政令は勿論大臣が関係しておられますることでもあるし、特に閣議の席でこれを御決定になつたと思いますが、この政令の退職金の額についての流用につきましては、つまり支給の方法につきましては、全くその後状態を見て見ると、国有鉄道国会において議了されたところの、即ち了解されたところの予算の中からこれを出したが、当然これは法文的に定員法で予算関係を附けて、そうしてこれは我々は不満であつたが、政令でされたと、いうことであつたら、一その整理人員を附けて、これは国家予算の一般会計の中からこれを出すべきであるけれども、それを国鉄の即ち公共企業体予算でこれを流用された事実がありますが、その点は大臣は認めておられますか。
  54. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) この前の行政整理の時の退職金の予算に認められたものは、不幸にして従来運輸省において慣行されておつた額と著しく異なつたものが査定をされてしまつた。それで運輸大臣の希望する額が承認されずに削減されたという事実は、正に内村君のおつしやる通り、然るに現実の支拂は何とか従来の慣行に従つてやらざるを得ない実情で、外の項目から実は融通をして、従来の慣行の額にそぐうような支出をいたしたという事実は、正にあなたのおつしやる通りです。
  55. 内村清次

    ○内村清次君 そこでそういうような事態は、私といたしましては納得行かないことであつて、いわゆる定員法が、もう整理後におきましての状態を見ても、整理当時の状態においても、非常に無理があつたという事態というものは、見方如何に拘わらず、共通的に考えられている問題であると私は思いまするが、そういうような法文的に附くべきところの当然な予算が、いわゆる退職金というものが、国有鉄道予算内から流用できるものか、これは簡単にできるものだとしたならば、今回の法律いわゆる公労法で決めました即ち十六條の問題は、予算の可能な問題である。不可能でなくして可能な問題であるとして、先程言われた運輸大臣が不可能ならば自分達は不可能な意見をつけるというような御心境でなく、これはもう当然今後の運賃問題とも絡む問題であるとは思いますが、予算内で可能な問題であるとしたならば、この裁定を生かして、法律を生かして、そうして裁定の線に沿うような態度に運輸大臣が持つて行かれた方が、自本国有鉄道の今後の円滑なる運用に至大な関係がありはせんかと思うのですが。
  56. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) その点は運輸大臣の認定の如何にかかわる問題でありまして、前の処置は運輸大臣の意見が正しく予算に組み入れられておらなかつた。非常にそこに誤差があつたが、予算が議会で承認されてしまつたからいたし方ないという事実がありましたから、只今申上げたような処置をとつたのでありますが、今後発生するであろうところの仲裁委員会の答申か運輸大臣の認定のし難い場合には、運輸大臣はそれをどうしても認定し得られないと考えます。従いまして予算の中から更に給與を増し、給與の方に外の項目から支出するということは従つてとられない、そういう手段はとられないと、いうことになろうと思います。一にかかつて大臣が仲裁委員会から出ましたつまり給與の答申の案に関する妥当であるか、或いは妥当でないかという大臣の認定の意思にかかると思います。
  57. 内村清次

    ○内村清次君 これは仲裁委員会がどう仲裁の額を発表するか、これはまだ未定の問題でありまして、未定の問題を前にして論議することもどうかと思いましたが、併しながらこれは調停委員会では、いわゆるこの八千五十八円の線を出しておりますし、而もこの調停の内容から申しましても相当一般工業平均よりも低い、私鉄の賃金よりも低いという線で出している以上は、仲裁委員会も現実の給與統計から見ましても、当然この線に来ることはこれは予測されるのであります。予測される問題であるが、運輸大臣はこういうような即ち裁定の額というものが決定した後においては、決定を見なくては分らん、これも一応私達は納得いたします。納得いたしますが、ただもう施政方針演説では、すでに給與ベースの改訂はやらないということを総理大臣は言つておられる。而も実質賃金を向上させると言つているが、一体それでは運輸大臣は監督者として、この日本国有鉄道の職員の給與ベースというものが妥当であるかどうかという点に対する、即ち労働対策上からの見解はどう思つておられるか、その点一つつておきたい。
  58. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) その問題の本質論は、内村君の前後のお話があつたか、出たときの答申案の内容を見た上で論議した方が妥当だと思うのですが、今の最後の国鉄の賃金が妥当であるかそうでないかという見解の御質問ですが、それはやはり何と申しますか、収益能力と言いますかに鑑みてやはり出すべきもので、且つ又私としてはコーポレーシヨンの実体は法律的には公務員ではありませんけれども、コーポレーシヨンになる五月三十一日までは、御承知のようにやはり公務員であつたのが、六月一日からコーポレーシヨンという形になつたので、やはり自然他の公務員の給與関係とそこにパラレルに、並行的に実際的には考えざるを得ないという考えを持つております。
  59. 内村清次

    ○内村清次君 どうも大臣の答弁はよく分らないのですが、由来日本国有鉄道法によると、いわゆる現在の総裁が責任を以てこれを運行しておられることははつきりしている。併しながら五十二條にも明らかでありまするように、大臣はこれの監督権を持つておられる。而も運輸省の設置法にも明らかなように、企業の円滑なる運営を監督しておられることも、これはもう責任上はつきりしているわけであります。そうすると円滑なる運用と言いますと、やはり従業員の能率関係、これはもう常に大臣は能率向上をするということを言つておられるが、こういうような能率関係に至大の関係のある労務対策の、給與の面に対する対策がなくちやならぬ。この対策においてはもうすでに検討しておらなければならんと思うのでありますが、こういうような具体的な検討がどこまで行つているかという問題、本当に現在の給與そのものというものが妥当であるかどうかということの御認識が一つと、それから若し閣員の一人として、総理大臣がいわゆる施政方針の演説で、給與ベースは上げない、同時に実質賃金を上げるということであつたならば、どういうふうな方法で実質賃金を上げられるかということは、これはあなた方閣議の席上で御決定なさつて、そういうような具体的方法考えておられる筈だと思うのであります。上げないならばどういうような方法で実質賃金を上げて行くか、この点を一つ説明して頂きたい。
  60. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) 総理大臣が施政方針の演説の中で言つたことの内容に関しては、実は内村君は、すでに具体的にはつきり何か決まつているだろうというお尋ねですが、実は決まつていないのであります。まだはつきりしておらんのであります。ただしばしば今まで閣議でも何か、例えばこれは年末にボーナスを出すようにしたらどうかというような事柄、それからいわゆる何手当といいますか、超勤手当なんかが規定があり、又実際に超過勤務をしておつても、その勤務賃が抑えないというような事柄も沢山あるのですから、実際に超過勤務をした者には超過勤務を抑えるようにしたいものだというような事柄、いろいろな話合いはしておりますけれども、実際にまだ本質的に公務員の給與を引上げるということに対しては、勿論そういう意思はないのですが、外の形で何らか一つ優遇をしたい、或いは厚生施設というような点、或いは住宅をうんと殖やすというようないろいろな事柄を話題に上しておりまするが、まだ実は具体的に決まつておらないのです。従いましてこのコーポレーシヨンの賃金問題は、まあコーポレーシヨンの総裁が予算を睨み合して、又一般の民間或いは公務員なぞの給與との比率を睨み合せてコーポレーシヨンの総裁がやることで、運輸大臣がみずからそれを左右することではございませんが、運輸大臣といたしましても、公務員政府の職員に関する待遇の問題としては只今申上げたような程度でございますので、従つて運輸大臣の監督下にある鉄道のコーポレーシヨンの従業員の給與問題に対しても、具体的にまだ十分考えておる域に達しないというのが実情でございます。
  61. 内村清次

    ○内村清次君 これは大臣としては、実際のことを誠に率直に発表して頂きまして結構なことでございます。又コーポレーシヨンの給與ベースについては今後の成行によつて決定をしようし、又今のところ確実の給與の決定ということはしておらん、同時に又昨日の施政方針演説の中にある公務員に対するところの給與べースについての点についても、はつきりした明確な点も決つておらないというようなお話でありまするが、問題は先程大臣のお言葉の中にもあつたようにコーポレーシヨンに移行してからまだ間もないことであるし、すでに当局の方から大体実績の点においては非常に独立採算的に円滑な運営ができて、経費の諸節約もできておるというようなことも発表しておられますことだし、現在施行しておるところのコーポレーシヨンで石炭節約もやつておるが、相当な実績を挙げておる。而もその節約額というものは将来企業の円滑なる運営の方に合理化して行くことだと思うが、その半面あの機関車に乘つておるところの乗務員の熱意というものがあるし、運転従事員全般に列車の系統が乱れないというように、これは従事員全体としての一致した協力がなければこういうような合理化はできないと思うのですが、そのできないところに従事員の敢闘に対しまして現在の給與では、これは我国の現在の統計学、これを以て見ても現在の指数は相当GPSを上廻つておるということは、はつきりしておる問題であるし、現実又非常に困難しておる状態考えられまして、この点は一つ監督者たるところの大臣も今後の仲裁の決定に対しましては、これは法律を守つて今後健全な労働運動ができるような点もありましようし、又企業の円滑な運営の点もありましようから、この点を十分一つ考えになつて、適切なる処置をとられんことを希望いたします。
  62. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質問がなかつたら、御研究の上衣の機会に譲ることにいたしましよう。  それから次に御相談いたしだいのは、観光小委員会は従来継続いたしておりましたが、これを継続することについて尚御確認を願いたいと思います。それから更に請願委員会の小委員会をこの国会においても別に御異議がなければ設けることにいたしたいと思います。それで従来継続されておるところの観光小委員会の委員の方は、小野君、丹羽君、入交君、内村君、高田君、結城君、加藤常太郎君が今度新たに観光小委員になりまして、請願は、小泉秀吉君、飯田精太郎君、鈴木清一君、村上義一君、前之園君、植竹君が観光から請願の方に廻りまして、この六名になりますが、この通りでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それではそういうことに決定いたします。尚小委員長は委員の方が互選の上お取決め願いたいと思います。  何か外に御質問がなければ、次の委員会船舶法の一部改正法律案が、これは衆議院を通過しておりますから、十一日の午後一時から海上保安庁の長官を呼んだりしで、結末をつけたいと思いますが、誰か外に呼ぶ人がありますれば予めお申出でを願つておきたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            飯田精太郎君            丹羽 五郎君    委員            内村 清次君            植竹 春彦君            大隅 憲二君            加藤常太郎君            高田  寛君            村上 義一君   国務大臣    運 輸 大 臣 大屋 晋三君   政府委員    運 輸 技 官    (船舶局長)  甘利 昴一君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (鉄道監督局国    有鉄道部長)  石井 昭正君   説明員    運輸事務官    (船舶局管理課    長)     林   坦君