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政府委員(
足羽則之君) それでは
只今から
日本国有鉄道法の一部を
改正する
法律案の
内容について御
説明申上げたいと思います。街今回の
改正におきましては第四章の
会計篤の
改正が主でありますが、
條文では十二條とそれから三十六條から五十一條までと、それから六十三條と全部で十八條
改正いたしまして、
改正法律案ではそれを四十ケ條にいたしております。非常に細かい技術的な点もございまするので、御
説明を申上げる便宜上項目にまとめまして、その項目について
條文を纏めて御
説明を申上げたいと
考えます。
先ず一番初めにこの
法律全般の
関係でございます。
日本国有鉄道の
会計に関しましては
現行法の三十六條によりまして、原則として
財政法それから
会計法のそうした従前の
国有鉄道事業の
会計を規律した
諸法令が現在適用されておるのでありますが、同僚にも
規定をいたしてありますように、
鉄道事業の
能率的な
運営を図るためにはこれに適する便利な
法律を制定する、それまで暫定的に今申上げましたような
法律が適用される、こういうふうにな
つておるのであります。
従つて能率的な
運営に適する
法律の制定を可能にいたしますために、
改正案におきましては三十六條で現在の「
日本国有鉄道の
会計及び財務に関しては、本章の定めるところによる。」というふうに
規定をし、又第六十三條の
改正において三十六條の
改正と照応いたしまして、
財政法、
会計法、国有財産法等国の
会計を規律することを
目的とする法令は
日本国有鉄道に対しては適用がない、こういうふうに三十六條と六十三條とを前後照応して
改正をして適用のないことを明らかにしました。先ず大体の
改正の全般的な点はそういうところでございます。
次には
予算の
関係でございます。
予算は事業の計画としては最も重要なものでありますから、これを
国会に提出をしてそうしてその議決を受けることは申すまでもないことでありまして、
従つて改正案におきましてもその三十九條から三十九條の八までの間において、
現行法と同様本
予算、修正
予算、追加
予算及び暫定
予算に関する作成、提出、議決等につきましてそれぞれ
規定を設けた次第であります。
以上のように
国会に提出する
予算につきましては、
現行法と殆んど同様な
規定を設けましたが、
予算の
実施の面におきましては、三十九條の九から三十九條の十五に亘るまでの
規定を設けまして、その中に多くの
改正を行うことにいたしました。
現行法では
予算の流用を多くの項目に亘
つて禁止してございます。それから予備費の使用それから
予算の繰越及び毎四半期の支出負担行為計画及び支拂計画などは、原則として監督官庁の事前の承認を受けることに定め、
予算実施上において監督官庁から強力な
統制を行な
つておる。これが
現行法の
建前でございますが、これに対しまして
改正案では監督官庁の承認を要するものとしましては、
予算で指定した経費の流用を行う場合だけにいたしまして、予備費の使用或いは
予算の繰越などについては單に通知事項に止める、監督官庁に対してそういうことの通知事項とする。こういうふうにしますと共に毎四半期毎の支出負担行為計画及び支拂計画これは事前承認を受けてお
つたのでありますが、そうしたものに代りまして、資金計画の提出を
規定をする、そういうふうに資金計画を提出する、こういうふうに
規定をいたしました。これらの点で実際のこの
予算の
実施につきまして、
日本国有鉄道の非常に実際の仕事をや
つて行く上の
自主性を広く認めることになる。この点は非常な
予算実施の上の進歩だと
考えております。その点は今後の
能率的な
運営にとりましては事実上
相当進んでいる。こういうふうに
考えている次第であります。
その次は決算でございますが、決算については
現行法は余り多く改める必要がございません。
従つて改正法におきましては、その四十條から四十條の三までの間に
現行法と殆んど同様の
規定を設けまして、
予算と形式を同じくする決算報告書を作成し
国会に提出すること、それから決算報告書とは別に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成しまして、監督官庁の承認を受けて公告する、そうい
つた点を
規定することにいたしたわけであります。
次は利益金の処分の点でございますが、現在の
日本国有鉄道法におきましては、
日本国有鉄道は全額が
政府出資によ
つて設立せられているという点を考慮して、その四十三條で経営上生じた利益は、別に
予算によ
つてその処分を定めた場合を除きまして、全部これを
政府の一般
会計に納付する、こういうふうにな
つているのでございますが、
改正案におきましてもこの四十一條において、
現行法のごとくその利益については
予算に定める場合を除いて、国庫に納付するという原則には変りございませんが、併しそういうふうにいたしますのに先立
つて、利益を前年度からの繰越し損失の補填に先ず充当をする、而して後荷利益がある場合に、それを今申しましたごとく国庫に納付するというふうに決めまして、国有
鉄道の経営の健全化を図る、こういうふうに
規定をした次第であります。
次は現金の預け入れでございますが、六
現行の
日本国有鉄道法ではその四十七條で、現金はすべて国庫に預け入れるというふうにいたしております。即ち「
日本国有鉄道の業務に係る現金については、
法律又は政令の定めるところにより、国庫金の取扱いに関する規程による。」こういうことによ
つて全部国庫に預け入れる。こういうふうにいたしているのでございますが、併し收入金の現送の必要なども生じまして現金の取扱上不便がひどい、又現送についての危険性なんかもございますので、
改正案にお富ましては、
従つて以上の点を考慮して、その四十二條でその例外を決めまして、現金を安全に取扱うために、
日本銀行の支店又は代理店を簡単に利用できないときは、市中銀行なんかを利用する途を開く、こういうふうにいたしたのであります。
次は資金の調達でございますが、現在の田本
国有鉄道法におきましては、その四十四條において資金はその全額を
政府から調達をする。こういうことにな
つているんでございますか、
改正案においてはその四十二條の二におきまして、
現行法
通り政府から資金を調達する外に、その調達の円滑化を計りますために更に
鉄道債券を発行して、そして
民間からもこの資金を調達し得る途を開く、こういうふうにいたした次第であります。尚
鉄道債券につきましては、
政府が引受ける場合も
考えられますので、
改正案の四十二條の三におきまして、
政府は
鉄道債券の引き受けをすることができる。こういうふうに
規定をいたしました。
次に
会計規程でございますが、国有
鉄道の
会計及び財務に関しては、国の
会計を規律する
財政法或いは
会計法等によらないで、この
改正案によ
つて規律するということを申上げたのでございますが、併しこの
会計或いは財務に関しましては沢山の詳細な
規定を必要といたします。又この
改正案及びこれに基く政令に
規定するに適しない事項も多く含まれておりますので、
改正案の第四十三條においてそれらの事項については
日本国有鉄道で
会計規程を設ける、こういうことをこれに
規定をいたした次第です。併しこの
会計規程というものは非常に大切なものでございますから、これの基本事項については監督官庁の認可を要する、こういうふうに決めております。
次は給與準則でございますが、国家公務員の給與につきましては国家公務員法に
規定をされておりますが、併し
日本国有鉄道の役職員については国家公務員法の適用がございませんので、
改正法案におきましては四十四條で、
日本国有鉄道はその役員及び職員の給與について給與準則を定めるということ、及びその給與準則は
予算の中に定めた給與の額によ
つて制約を受ける、こういう意味のことを
規定したのであります。
次は財産の処分でございますが、
現行法においてはその四十九條で、営業線及びこれに準ずる重要な財産を処分するときは予め
運輸大臣の認可を必要とする、こういうふうにな
つておるのでございますが、この点につきましては
日本国有鉄道が
全額政府出資で
設立をされておりまして、そうして従前の
国有鉄道事業特別
会計の資産を包括的に承継をしておる。
従つて財産の処分につきましても單に
運輸、大臣の認可を受けるというだけにしないで、もう少し愼重な手続を必要とするのじやないか、した方がいいのじやないかという意見が本法を作るときからあ
つたようでございますが、今度の
改正案におきましてはその四十六條において、これらの財産の処分については
法律を以て
国会の議決を経る、こういうふうに
改正をいたしました。
以上がこの
改正案の重要な点について、まとめて
現行法と比較して御
説明申上げたのでございますが、面これ以外に
改正いたしました点は、十二條において委員と役員、及び委員と国有
鉄道の役職員と非常勤の
政府職員との兼務ができることを明らかにしたわけであります。これは例えば観光
委員会とか、或いは工業標準化法によ
つて設立されております
委員会とか、或いは建設業法の
委員会とか、いろいろそうした
委員会に対して、これは一応非常勤の
政府職員と
考えられるのでありますが、それと国有
鉄道の役職員との兼務ができるという点を
はつきりいたしませんと、
現行法の解釈上支障がございますので、その点を
改正によ
つてはつきりいたしたわけでございます。
尚四十八條におきまして特定の
会計を担当する職員が、その職務の範囲で総裁を代理するということ、それから四十八條の二におきまして現金若しくは物品の出納職員に対して、総裁が損害の弁償を命じ得ることを
規定いたしました点、それから四十九條におきまして、契約の
関係でございますが、この公開入札及び公正な協議の
方法による契約の締結ということを定めました点、附則の第三項におきまして
昭和二十四年度の
国有鉄道事業特別
会計の損失の取扱について
規定をいたした点、そういう点が
改正の点でございます。
尚今回の
改正案はこの附則の一に
規定しておりますように、
昭和二十五年の四月一日から施行したいと
考えております。併し
予算に関する
規定はこの二十五年度の
予算から適用いたしたい。それから決算に関する
規定は
昭和二十五年度の決算から、契約に関する
規定はこれは早急に
実施をする必要がございますので、公布の日からそれぞれ適用する、こういうふうにいたした次第であります。以上が極めて簡単ではございますが、
改正案の
内容についての
説明でございます。以上であります。