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説明員(荒木茂久二君)
税制改革に関しまして、
政府としてどういうふうなことで参るかということが、まだ確定いたしておりませんのでありますが、一応
シヤウプ勧告案を読みまして、運輸
関係産業においてどういう影響があるだろうかということを、一応シャウプ
勧告案を基として
考えまして、それで
運輸省として、それに対する対策を
考えまして、国内の
関係方面に配付いたしまして、運輸産業に対する課税の不当な
状態が起きないように、
努力いたしておるわけであります。大体問題となり得る点を簡単に申上げますと、国有鉄道に対する課税の問題でございますが、この国有鉄道に対する課税といたしましては、原則として先に
委員会で御
決定を願
つておりますものによりますと、国税はこれを課さない。
地方税も特に
日本国有鉄道法に
規定してございます鉱産税とか、木材取引税とか、遊興飲食税、遊興飲食税割とい
つた、そうい
つた消費税的なものを除いては課税しないと、こういう
方針にな
つておるわけでございますが、シャウプミッシヨンの勧告、その他の
関係からして問題になり得ると思われますものは、不動産税と附加価値税でございます。不動産税につきましても、附加価値税につきましても、国有鉄道の公共企業の性質というようなこと、その他の点から
考えまして、これは課税すべきものではないと思うのでございますが、その額を計算してみますと、相当尨大な額になりますので、そうなりますと課税した額だけはそのまま
運賃の
値上げということによ
つて賄わなければ、現在の国有鉄道の経理
状態から尨大な税金は拂い得ないと、こういう
状態になるわけでございます。大分折衝をいたしておりまするが、まだこれが課税しないということに確定されたということにはな
つていないような
状態でございます。
次は
関係産業のことでございますか、我々として一応
意見を申述べておりますのを大小のものを取混ぜまして、御
説明申上げますと、先ず第一に法人税でございますが、この海運
関係で船舶安全法の
規定によりまして、船舶は定期的に強制検査を受けることにな
つておりますが、このために業者の表する費用を毎年度積立てておるのであります。この積立てでおる金を益金こしますと、これが課税の客体になりますので、これを損金とじて課税対象にしないようにして貰いたい。もう
一つはこれと同じような意味合いにおきまして、
自動車運送事業におきまして、三万キロ走るような
整備をするわけでがざいます。それに要する準備金についても、船舶定期検査に扱うのと同じような扱い方をして貰いたい。こういう希望を持
つておるわけでございます。二番目は海運の
関係でございますが、海運は御承知のように景気変動が非常に激しいものでございますから、償却が当然なさるべきですが、景気重心いときは償却できませんので、償却が繰越になるわけです。そうすると繰越されたときにおきます償却金が、普通の償却金の額より多くなるのでありますが、その繰越償却を損金として課税の対象にしないようにして貰いたい。三番目は代船取得を條件とする保險差益に対する免税期間を現在は二年とな
つておりますが、五年に延長して貰いたいということです。
次は、第二番目は、資産再評価の
関係でありますが、資産再評価につきましては皆さん御承知のように、非常にいろいろ各業種によりまして差異があるわけでございますが、陸運海運を通じまして、交通事業におきましては非常に大きな固定資産を持
つておるわけでございます。而もそれが
運賃を交通事業においては上げられないという制約を受けまして収益率が非常に少ないわけでございます。従
つてそれを
シヤウプ案の
通りに再評価をいたしまして、それに六%の税率を掛けて三年分納ということになりますと、
地方鉄道軌道を初め果してそれで事業が継続ができるかどうかというような危殆に瀕するような
状態に陷りますので、我々といたしましては、先ず企業別に企業の
実態に即応した課税率を定めて貰いたい。三年分納ということでなしにもう少し分納期限を延期して貰いたい。
それから不動産の稼働するまでは再評価を延期して貰いたい。又実際に使
つていない未稼働の
状態にあるものに対しては再評価を延期して貰いたい。原価償却済資産の再評価は残存価値以上に評価換えをしないようにして貰いたい。
四番目は、最高限度までの再評価を強制せず、且つ、固定資産の性質に対応した倍率を定めること。それからこれは大体認められておるようでありますが、陳腐化資産については特別の考慮を拂
つて貰いたい。分納延期をや
つて貰うと同時に株式、社債等による物納を認めて貰いたい。再評価につきましてはいろいろ実情が違いますので、再評価に関する
委員会を作ります場合には業種別にや
つて貰いたい。それに対しては海運なら海運、
地方鉄道軌道なら軌道というように、その事業の
実態のよく分
つておりますところの人なり、所管官庁の者が必ず
委員にな
つて十分
運輸省所管事業の実情を酌み取
つてその実情をよく認識した上でよく
措置をして貰いたい。こういう希望でございます。
以上国税でございますが、次は
地方税であります。御承知のように国税の面よりも
地方税の面に最も大きな問題が存しておるわけであります。その中で先ず問題になりますのは事業税でございますが、事業税において附加価値として
考えられますものが、交通事業におきましては一度に尨大な固定資産を作りまして、そうしてそれに材料費を購入するというようなことが極めて少なくて、いわゆる労力がそのサーヴイスの
内容をなすというようなサーヴイス業にありましては、非常に不公平な過重な課税になるわけでございます。例えば紡績事業でありますならば、紡績の原棉を買
つてそれに加工いたしまして売るわけでございますが、その原綿の代金はこれは控除されるわけでありますが、運輸業にありましてはそうい
つた材料に該当するものがございませんで、專らサーヴイスという価値を生み出すものが労力によるのでございます。その労力を控除しない、こういうことでございますから、いわゆる
地方鉄道軌道というようなサーヴイス業において最も苛酷にな
つて来ると思うのでございます。この点を十分に
考えて事業税を賦課するようにして貰いたい。これが最もシリアスな陸運界と言わず、海運界と言わず最も事業税がシリアスなものとして
議論されております。
二番目は不動産税でありますが、この不動産税につきましても、尨大な土地を要する陸上交通事業におきまして、この不動産税が今度のような重い倍率になりますと大変なことに相成る、わけでございます。御承知のように
地方鉄道軌道におきましては、現在軌道敷にな
つておるものについては地租は免税にな
つておりますが、そうい
つた制度は踏襲して貰いたい、こういうことを要望しておるわけでございます。
尚、船舶税でございますが、これも
地方税になるわけでございますが、これも船籍港を如何に移すかというようなこと、その他技術上も非常に困難な問題がございますので、この船舶税を国税として独立せしめる、税率を制限して貰いたい、こういうことを要望しておる次第であります。
その他遊興飲食税に関し、揮発油税、
自動車取得税、道路橋梁損傷負担金、その他いろいろな問題がございますが、主な点はそういう点でございます。特に我々が交通事業に対して心を悩ましておりますのは
地方税たる事業税と不動産税でございます。この点につきましてはどうか運輸上の
実態をよく御存しの皆さん万におかれましても、御援助をお願いしたいと念願しておる次第であります。