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1949-12-01 第6回国会 衆議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月一日(木曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 三浦寅之助君    理事 青野 武一君 理事 春日 正一君    理事 島田 末信君       麻生太賀吉君    船越  弘君       松野 頼三君    福田 昌子君       前田 種男君    聽濤 克巳君  出席国務大臣         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         (労政局長)         労働事務官   賀來才二郎君         (職業安定局         長)         労働事務官   齋藤 邦吉君  委員外出席者         労働事務官   堀  秀夫君         専  門  員 濱口金一郎君         専  門  員 横大路俊一君 十一月二十五日  委員平澤長吉辞任につき、その補欠として小  淵光平君が議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員小淵光平君、島田末信君及び福田喜東君辞  任につき、その補欠として平澤長吉君、寺本齋  君及び鹿野彦吉君議長指名委員選任さ  れた。 同月二十九日  委員鹿野彦吉君林讓治君、本多市郎君、寺本  齋君及び井出一太郎辞任につき、その補欠と  して福田喜東君、篠田弘作君、金原舜二君、島  田末信君及び竹山祐太郎君が議長指名委員  に選任された。 十二月一日  理事吉武惠市君の補欠として廣川弘禪理事に  当選した。 同日  篠田弘作君及び島田末信君が理事補欠当選し  た。 十一月二十四日  失業対策促進に関する決議案野坂參三君外三  十五名提出決議第四号)の審査を本委員会に  付託された。     ————————————— 本日の会議に伏した事件  理解の互選  失業対策に関する決議案野坂參三君外三十五  名提出決議第四号)   請願  一 舞鶴市の失業救済事業に関する請願(大石    ヨシエ君紹介)(第二六六号)  二 失業対策に関する請願江崎真澄紹介)    (第五一八)  三 日雇労働者救済に関する請願淺沼稻次郎    君外二名紹介)(第八九一号)  四 生理休暇に関する請願外四件(苅田アサノ    君外六名紹介)(第一〇四六号)  五 賃金遅配並びに分割拂い解消対策に関する    請願春日正一君外一名紹介)(第一〇四    八号)  六 自動車工業人員整理反対請願春日正    一君外一名紹介)(第一〇五一号)  七 公共企業体労働関係法撤廃等に関する請    願(河田賢治君外二名紹介)(第一〇六六    号)  八 同(松澤兼人君外六名紹介)(第一〇六七    号)  九 同(中原健次紹介)(第一〇六八号) 一〇 労働基準法完全実施に関する請願江崎一    治君外三名紹介)(第一〇九三号) 一一 労働者災害補償保険險法の一部改正に関す    る請願岡西明貞紹介)(第一一四三    号)  陳情書  一 失業対策に関する陳情書(第四六号)  二 失業救済事業費全額国庫負担陳情書(第    六二号)  三 失業対策事業に対する国庫補助増額陳情    書(第一〇五号)  四 失業対策に関する陳情書(第一〇九号)  五 同(第一二八号)  六 労働基準審議会に対し予算増額陳情書(    第一七七号)  七 労働基準行政職員増員に関する陳情書(    第一七八号)  八 失業対策に関する陳情書(第一九四号)  九 失業救済対策樹立陳情書(第二三七号) 一〇 失業救済に関する陳情書(第二六〇号) 一一 職業安定機関職員増員に関する陳情書(    第二八〇号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。去る十一月十五日に理事吉武惠市君が、また十一月二十四日には理事篠田弘作君が、さらに十二月二十八日には島田末信君がそれぞれ委員辞任されましたので、理事が三名欠員となつております、この際理事補欠選挙を行わねばなりませんが、補欠理事選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは、    篠田 弘作君  廣川 弘禪君    島田 末信君 をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に失業対策促進に関する決議案を議題といたします。提案者趣旨弁明を求めます。春日正一君。     —————————————    失業対策促進に関する決議案   戰後国民生活窮迫背景とする現下失業問題は、失業者の数及び窮乏度合において従来に比を見ない深刻な状態に立ち至つている。   失業によつて日々の衣食に事欠く者はいよいよ増加し、自殺一家心中等悲劇もすでに数多く発生し、重大な社会不安をかもし出している。   迫りくる冬を控え、政府は、この際失業者緊急救済措置をなすとともに、失業問題解決抜本的対策を樹立し、これを次期国家に報告するべきである。   右決議する。     —————————————
  5. 春日正一

    春日委員 先に決議案の案文を朗読いたします。    失業対策促進に関する決議案   戰後国民生活窮迫背景とする現下失業問題は、失業者の数及び窮乏度合において従来に比を見ない深刻な状態に立ち至つている。   失業によつて日々の衣食に事欠く者はいよいよ増加し、自殺一家心中等悲劇もすでに数多く発生し、重大な社会不安をかもし出している。   迫りくる冬を控え、政府は、この際失業者緊急救済措置をなすとともに、失業問題解決抜本的対策を樹立し、これを次期国家に報告するべきである。   右決議する。  非常に簡單でありますけれども、大体これで趣旨は盡してあると思います。さらにもう少しこまかく説明しますと、大体失業者が非常に出ておるということは、政府発表でも言われておりますけれども、しかもその失業者の問題の背景になつておる一般国民生活、特に労働者生活というものが非常に窮迫しておるという特質が、今の失業問題を、これまでの失業問題よりももつと深刻なものにしておる。たとえば就業労働者生活を見ましても、今度の減税で、多少賃金の面では楽になるというようなことも言われておりますけれども、しかし実際調べてみますと、労働者生活で、大体月三千円程度の赤字ということになつております。そしてそれのやりくりをどうしておるかと言えば、結局借金、売り食い、内職、こういうことをやつておる。しかもその借金には限度があるし、売り食いにしても限度があるために、現在では家庭行つていろいろ聞いてみますと、大体安いものを買う、食物の質を落とすというところまで来ております。そういう状態になつておる。だから、そこからも新しい失業者が出てくるという状態があるわけです。たとえば今まで家庭において、家庭仕事だけやつてつて、それで済んでおつた婦人が、主人賃金が安いために働きたいというような状態で、労働市場に出て来るというような面もあるし、またもう一つの面としては、非常に広く行きわたつておる賃金の未拂いであります。これは私がいろいろ説明するまでもなく、全国的に行きわたつておる。特に小さな企業では、ほとんどもうあたりまえというような状態になつております。たとえば自動車労働組合の中で、百五十の分会の内、百分会が賃金遅配をしておる。大体三分の一は賃金の遅拂い。特にひどいのは、たとえば川崎の特殊鋼管のごときは、八月ごろの給料しか拂われていない。しかも今やめるという人に対して、今やめても退職手当は拂えないというような状態になつておるということが、非常に広く行われている。この面でも賃金が結局もらえない。主人の働いたもので生活ができない。この家庭人たちが、やはり働かなくちやならぬということで、仕事を求めるような状態に追い込まれておる。さらにこれに加えて賃金が実質的に切り下げられる。最近日経連方面の方針で、全国のあらゆる工場にわたつて厚生費削減が行われております。たとえば鶴見造船のごときでも、療の食費とか、床屋の費用とか、そういうものが全部独立採算性実費主義になつて、今まで会社から補助されておつたものが削られるために、それだけでも一人平均月五百円くらい負担が増大しておる。これは東芝でもそうだし、日本鋼管でもそうだし、大体あらゆる工場でこういう形の厚生費削減というものが出ている。労働者生活は非常に苦しくなつている。そうしてまた日本失業者を吸收する非常に大きなプールであつた農村というようなものも、最近は非常に金が詰まつて来、苦しくなつて来るという状態で、ここからも失業者が都会に職を求めて出て来るというような傾向になつて、こういうふうに国民生活が、商店でも農村でも、あるいは労働者でも、一般にどうにもならぬところまで行つているために、失業者の吸收されるということが非常に困難になつている。そういうものが農村に入つていくために、さらに今まででさえ低い一般生活水準を、ひどく押し下げているというような状況が、いろいろな資料で出ております。そういうふうな状況である。しかもこれらが工場に吸收されないというために、こういう人たちが結局にわか商人になつて、露店を並べるとか、あるいはりんごを売るとか、飴菓子を売るとかいうような簡單商売を始めるために、現在すでに不景気になつている商店が、こういうにわか商人のために非常に圧迫されている。たとえば、私の近所なんかでも八百屋さんがこぼしていますけれども、最近統制撤廃なつたために、八百屋さんが五軒もふえた、売上げが減つてどうにもならぬというような状態一般的に出ているし、農村ではむだ飯食いをかかえ込むというような状態になつて、このような問題が、單に失業者が食えないという問題だけでなくして、さらに現在まで苦しい生活を続けて来ておつた商人とか農民とか、あるいはほかの就業労働者生活の上に、大きな圧迫を加えているというような状態になつているわけです。こういうふうなものを背景にしているために、失業者就職の問題は、実際言えば、ほとんど絶望という状態になつております。たとえば沖電気の場合について見ましても、今年の五月に首切りがありまして、その後一箇月半の後に調べましても、あそこの沖電気の三つの療では、就職者は皆無である。一人も就職していないという状態。そうして退職金あるいは失業保險食いつぶして、何とかやつているというような状態になつております。これらはいい方で、とにかく退職金なり失業保險をもらつているから、半年は何とかやれるという状態になつておりますけれども中小企業なんかでは、その失業保險にも入つていないし、あるいは退職金もほとんどもらえない。名目的にはくれる約束になつているけれども、実際には支拂われない。あるいは分割拂いというようなところが非常に多いのであります。五反田あるいは芝園橋職安を調べて見ますと、あそこに来る人たちの中で、中小企業退職者を調べて見て、大体退職金をもらつているという人はほとんどいない。そうしてそういう人たち安定所にすぐにやつて来る。大工場では首になつて一月二月は、安心して仕事を探せますけれども、それがもう現在就業労働者でさえ食えない状態になつている。赤字になつているんだから、切られたとたんに、もうすぐ仕事を探さねば困るという状態で、すぐ職業安定所にやつて来る。調べたところでは六回、多いのは十八回も通つているけれども、どうしても就職ができないということで、結局登録労働者として、失業対策事業の方に吸收されて行くというようになつているわけです。しかも、これらの人たち登録労働者として、全部吸收されればいいわけですけれども、現在ではもはや予算わくが一ぱいになつて、吸收されなくなつて、いわゆる登録どめということをやつております。登録をとめている。これは少し古い話ですけれども、七月に私ども関西の方を調べたときでも、京都の職安では対策事業で百七十四円を拂つて、四日あるいは五日に一回という状態になつている。百七十四円を四日に一回もらつたつて、これではどうにもやれぬことはわかつている。あるいは神戸なんかではそういうように失業者が多いために、人をふやすために百二十七円、つまり六時間働かせて拂つている。それでも三日ないし四日に一回という状態になつている。その後、政府措置で、対策費を繰上げ使用というようなことで、多少わくを広げたようでありますけれども、しかしその後もつとどんどん失業者が出て来ている。この事態は決して軽くなつていない。これは現地に行つて朝でもお調べになれば、どこでもあぶれている。だから、柳橋の職安なんかでは、あそこに行つて仕事をとるために、夜中の一時から起きて行くというような状態が出て来ております。しかもなお、これでも登録されて働ける人は、月に五千円か六千円の收入を得て、辛うじて命をつなぐということができますけれども、こういうようなむりをして、結局身体が続かなくなる。あるいは雇いどめのために、就職できないというような人たちは、どうにもならなくて、石けん売りとか、そういうようなことをやつて生活費をかせぐ。しかしこういうものは現在では、そう昔のようにはどんどん売れませんから、結局配給の食糧がとれない。あるいはもつと悲惨なものは、とつて来た米を売つて、粉だのいもだの買つて、とにかく食べるものの量をふやすというようなことをやつているのが非常に多い。板橋の明星寮なんかでは食拔きというのが二十九世帯、六十九%そうして二十七世帯六十二%の人が、明らかに病名のついた病人をかかえているというような状態になつている。こういうところに落ちて、これが非常にふえている。しかも、そういうところに行つて、どうにもならぬということで、自殺心中というようなことが、今年になつて非常にふえている。たとえば警視庁の統計を見ましても、今年の七月は、警視庁始まつて以来最高だというようにいわれている。最近の自動車首切り、いすず自動車首切り発表になると、すぐ一人自殺している。日産でも首切り発表になると、すぐ自殺している。そういうような状態まで追い込まれているわけです。しかもこういう直接工場を首になつたという人だけが、現在では失業問題の対象ではなくて、先ほど来申しましたように、今まで家庭で何とかやつておられた人たちが、職を求めて労働市場に出て来ている。こらは調査の上に現れて来ない。しかもこういうものが非常にたくさん出て来ているし、農村からも出て来ている。あるいは引揚者の人々なんかも、ほとんど職が得られない。大体最近の新聞で見ますと、五十%ないし六十%が就業ということになつていますけれども、私ども調査では十%で、就業と言いましても、職がないので、しかたがないから、みかんを売るとか、あるいは何かそういう商売をやるというようなことで、とにかく食わねばならぬから、何か仕事をしている。何か仕事をしているものを、就業という定義をすれば、それはみんな働いてはいるけれども、決してこれは正常の就業とは言えない。失業状態ということになつている。こういう人たちも非常にたくさん出て来ているというので、政府発表では、この間の大臣の説明でも、四十七万人完全失業、それで潜在失業を入れて四百六十七万でしたか、多分そういう数字をあげておられましたけれども、あの調査の基礎においてすら、それだけ出ている。だから、これに漏れたもの、こういうような事情を考慮して数に入れれば、労働組合側調査して発表しているところの一千万ないし千五百万という数字は、決してこれは不当な数字ではない、こういうものが現在生死の境にいる。これは決して誇張した言い方ではないと思う。ほんとうに食えないという状態になつているわけです。  そこで、こういうものに対する対策を出すことが、非常に重要な問題になつて来ているわけでありますけれども政府でも今度は対策費をふやすというようなことをされて、これに対する処置をとられたようでありますけれども、たとい四万人の失業対策吸收人員をふやしてみたところで、それでは東京だけの失業者すら十分には吸收できない。それからさらに土木事業なんかをやられても、そういうものは農村に現在非常に失業者がいるし、土建関係自体でも、私どもの調べたところでは、土建業者がたくさんのそういう人たちを、半失業状態で遊ばせているから、やはりそういう人たち仕事に出れば、それに吸收されて行けば、政府調査に出ておるような失業者というものが、政府の予定した数字のように、十分に多く吸收されるということはちよつと見込みがない。そういうことになると、さしあたつてどうしてもこれらの大きな問題が解決されなくちやならぬ。特に今この際に重要なことは、工場で首切られて六箇月たつた人たち、この人たち失業保險がこの十一月、十二月から切れ始めて来ている。失業保險を切られてしまう。工場側から追い出されて、しかも職がないというような深刻な問題が、暮れを控えて今出されている。そこで緊急にやるべき問題として、この職安緊急対策事業行つておる人たち、こういう人たちも非常に多くの請願陳情を持つて来ておる。それでこれについて要求しておりますけれども、とにかく一日に二百三十二円、東京でさえ二百三十二円というような日当で、しかも月に平均して二十一日くらい、あるいは二十日くらい、このくらい働いたんでは一箇月やつていけない。一ぱい一ぱい以下の生活をしておる。しかもそれが暮れが迫つて来ている。どうにもならない。借金も返さなければならないという状態になつて来ておるし、寒さも迫つておる。こういう働きたくても働く場所のない失業者、しかも若干働いておつても、この寒さに向かつて冬をしのぐに足らぬ状態にある。この失業者に対して、食糧衣料というようなものを、無料で配給するという緊急の措置をとらなければ、餓死人が出るようなおもしろくない事態が出て来る。これは十分予想される事態だと思う。そういうような緊急の処置が必要になつて来るし、特に問題になるのは、病弱の人でもつて、たとえば救世病院に入院しておつて首を切られた。これでは就業の意思あるとしても、病人だからしかたがない。しかもこういう人たちがたくさんいる。これらの人たち生活にも困つておるし、衣料にも困つておる。病人でとにかく工場に籍がある者が、病人だといつて首を切られる。これは病人をみすみす殺すようなものだ。やはりこれに対して生活保護あるいは医療の保障というようなことは、緊急にやらなくちやならない問題じやないか。  それから失業保險の問題でありますけれども保険金をもらつておる人はごくわずかです。しかもこのもらつておる金額が、政府発表を見ましても、平均月三千円というようになつておる。こういう金額ではとても生活がやつて行けない。だから失業保險給付金もつと増額する。百パーセント出してやる。同時に六箇月で期限の切れるという問題——この期限は、六箇月もやつておれば、何とかなるという見込みできめられた期限でありますけれども、現実に何とかならずに、すでに四月に保險を受け始めた人は、もう先月、あるいは今月で切れてしまうというような事態が発生しておりますので、この給付期限を延ばして、つまり半年という期限をとつてしまうようにして、失業者生活の道を一切奪われてしまう最後のたよりになつておる保險というようなものを、もつ失業者が生きていけるように適用してやらなければ、これだけではどうにもならなくなる。それから保險適用されない失業者、これが非常にたくさんあります。たとえば官吏というような人たちは、失業保險適用されていない。保險金に相当する額は、退職手当に含めてもらつたと言いますけれども退職手当はごくわずかであつて、しかもそれは四箇月、半年の間には使つてしまうというような状態になつているし、引揚者なんかもそうです。農村あるいは商店から出て来る失業者というようなものも、これは失業保險適用がなくて、しかも働くところがない。一切の收入の道を奪われておる。だから、こういう者に対して失業保險適用する。あるいは事実上それができないなら、生活保護法拡大適用というようなことによつて、これらの失業者が職にありつくまでの生活というものを、何とか立たせてやるという義務があると思う。  それからこの失業対策事業公共事業の問題では、政府も今度努力して出したと言われておりますけれども、あれだけの金額では、どうにもならない。ごくわずかなものだと思う。だからこういう対策事業——公共事業費というようなものを、もつと増額するということである。同時に地方の町村なんかに行きますと、対策事業をもらつてきてやりたいけれども、地方自治体で三分の一負担するという、その負担金額がないから、対策事業がやれないというようなところもある。だからそういうものに対して、全額国庫負担で、失業対策事業を必要な場所で起こすということが必要になつて来る。さらに失業者対策事業行つてあぶれた場合に、この前にきまつた保險——積立金の方は実施されておりますけれども実情によりますと、対策事業その他に行つておる失業者日雇い労働者というものは、あの失業保險というものはごまかしだと言つておる。というのは、五日失業して一日もらう。五日に百円もらつて何になる。その後に断続してもらうときには、七日あぶれなければもらえない。七日に百円すつもらつてどうなる。実際には、そんなに月のうち幾日も休んでは食えませんから、月十五日なり二十日なり働くということになれば、掛金はかけつ放しだ。だからむしろこういう失業保險というようなものでは、実際には失業者を、日雇い労働者を救うに足りないんだ。だからこれをもつと改善して、あぶれた日にはやはりその場で失業手当がもらえる。賃金の六割ないし七割なりもらえるようにしてもらわなければ、実際助からないという実情が出て来ております。特にこういう人たちの望んでいることは、健康保險である。健康保險に入つていない。しかも病気になつたり、けがしたりする者が最近多い。だから健康保險適用してもらいたいということも要求されているわけです。そういう面もある。  さらにこまかいいろいろな労需物資の問題、あるいは加配米の問題とか、いろいろありますけれども、しかしとにかくそういうふうな処置によつて、今失業しておつて食えない人間身体をみすみすなしくずしにこわして行つている人間、これに対してもつと大きな措置をとる必要があるし、特にこの暮れから冬にかけてのこの措置は、緊急にとる必要がある。そこでそういう措置がとられても、失業保險を絶えずやつて置くわけにはいかぬというような意見も出て来ると思いますけれども、やはりこういう失業の問題を解決するための基本的な対策というものは、国の経済全体の立場に立つて立てられる必要があると思う。これは労働大臣もこの間の答弁で言われましたけれども、今日の失業の問題は、單に労働者が首になつたというだけの問題ではなくて、国民経済全般の問題である。労働委員会だけで処置できる問題ではなく、これは厚生委員会の問題もありましようし、あるいは大蔵や予算や安本の問題もありましよう。とにかく国の政治全体にわたつて、こういう失業者を出すようなことを早くなくなして、全体が吸收されていく方向に行かなくちやならない。そういうためには、やはり賃金の引上げ、労働時間の短縮、失業者の復職、さらに新しい者の吸收、それによる購買力の増大、この方向で続けられなければ、失業者の問題は決して解決されない。もつ事態は深刻になつて行くと思う。現に炭鉱にしても、鉄鋼にしても、肥料にしても、こういう企業整備対象として一番あとまわしにされておつて、ここだけは安心だと労働者が頼んでおつたところで、現在非常に首切りが出て来ているというような点をお考えになれば、やはりこういう面で、基本的な産業政策が立てられなくちやならない。そういう見地に立つて日本の産業全体を見て行くということになりますれば、当然災害の復旧あるいは治山、治水、電力の開発、あるいは平和産業の復興というような計画が、十分立てられて来ると思う。そういう大きな政策を立て、これを緊急に実施する方向に向かつてつて行かなければならない。だから要約して申しますれば、さしあたつて今困つている、たくさん出ている失業者をどうして救うかという問題は、特に今日食えないというような人間に対する緊急な施策、保險その他の問題に対する失業者の救済の問題、これを吸收していく経済政策全般の問題という大きな見地から、これをもつと早く、もつと大規模に確立されなければならないということを考えるわけです。そういう意味で私どもこの提案を出したのであります。おそらくこれにはどこの党派としても、失業者を出すという事態を、好ましいという人もないだろうし、失業者が食えないという現実を、見殺しにするような党派は、おそらくないじやないか。そういう意味で、あなた方の全面的な御賛成によつて失業問題解決のために、ただちにこの決議案を通過させ、さらに将来これを実現させるために御協力をお願いしたい。これが提案の趣旨であります。
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまの決議案に関して、提案者に対する質議及び政府当局の意見聴取については、請願陳情書の審査後にいたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。  この際しばらく休憩いたします。     午後二時三十分休憩      ————◇—————     午後三時二十四分開議
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本委員会に付託されました請願の審査に入ります。  まず日程第一、舞鶴市の失業救済事業に関する請願、大石よシエ君紹介、文書表第二六六号について紹介議員の説明を求めます。——紹介議員がお見えになりませんから、大橋委員よりその趣旨の御説明を願います。
  9. 大橋武夫

    ○大橋委員 この請願の要旨を申し上げますると、舞鶴市は終戰の結果といたしまして、従来の軍港都市から商港都市に転換するに至りました。これがため市民は生活の本拠を失いまして、多数の失業者を生じたのでございまするが、幸いにして軍港施設を生産工場へ転換することによりまして、失業者の一部を吸收いたしておつたのでございます。しかるに最近に至りまして、また企業整備のために飯野車両工場が閉鎖をいたしました結果、重ねて多数の失業者が増加をいたしました。市といたしましては、この救済の方法といたしまして、失業救済対策として、市内における下水道、公園、広場等を整備する計画を立てておる次第でありまするので、この失業救済事業に対しましては、ぜひとも国家におかれまして、これが助成をしていただきたい。こういう要旨であります。
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見があれば承ります。
  11. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 舞鶴市の失業の情勢につきましては、私どもの方にも情報が入つておりまして、現在でも多少の失業対策事業を実施いたしております。しかしながらこれだけでは最近の舞鶴市の失業の情勢から申しまして、十分だとは考えておりませんので、第四・四半期以降におきまして、さらに現在の失業対策事業の割当を拡充いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質議はございませんか。——ほかに御質議もないようでございますから、次に移ります。     —————————————
  13. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第二、失業対策に関する請願江崎真澄紹介、文書表第五一八号について紹介議員の説明を求めます。——紹介議員が出席しておりませんので、大橋委員からその御説明を願います。
  14. 大橋武夫

    ○大橋委員 本請願の要旨は、失業救済につきましては、現在の行政整理及び事業の縮小によりまして、毎日失業者は拡大いたしておる現状でありますから、すみやかに失業者生活権を擁護いたしまするために、失業救済対策を講じていただきたいという次第でございます。
  15. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見はありませんか。
  16. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 一宮市につきましても、その失業の情勢の報告が安定所より参つておりまして、現にある程度の失業対策事業を実施いたしておりますが、なお第四・四半期におきましては、一宮市の失業の情勢を勘案いたしまして、その情勢に即応いたしました措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質議はありませんか。——ないようでありますから、次に移ります。     —————————————
  18. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第三、日雇労働者救済に関する請願淺沼稻次郎外二名紹介、文書表第八九一号の審査に入ります。紹介議員の説明を求めます。——紹介議員が出席しておられませんので、大橋委員よりその趣旨の御説明を願います。
  19. 大橋武夫

    ○大橋委員 本件請願の要旨といたしましては、日雇い労働者というものは定着せる雇用主を持つておりません結果、不当に福祉を阻害されておる実情でございますので、次の各項目につきまして、政府におかれて誠意のある施設を実施していただきたいというのでございます。その項目といたしましては、一、最低賃金制の確立、二、完全就労の実施、三、寄場の急速増設、四、健康保險法の適用、五、福利厚生施設機関の設置、六、日雇失業保險法の改正、七、失業救済事業、就労者に対する勤労所得税の撤廃、八、労務物資の特配、これら八項目につきまして、すみやかに誠意ある施設を講じていただきたい。これが趣旨であります。
  20. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見がありましたら、承ります。
  21. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 ただいまの要望の中の第一の、最低賃金制の問題でありますが、この問題は、労働基準法に定められた方式に従つて、最低賃金の問題を慎重に考慮する段階に入つた労働大臣としては見まして、広い意味で最低賃金制の問題を検討し、続いて立案という段階に入りたいと考えております。日雇い労働者の最低賃金制の問題も、従つてこの全般の最低賃金制の問題と同じに考えるべきであり、特に日雇い労働者に限らず、特殊の業務について、ほかと違つた考え方をもつて、最低賃金制の問題を実行しようというような考えを今持つておりません。広く全体の最低賃金制の問題とにらみ合せてこの問題は検討し、もし幸いにしていい案が得られましたならば、実施をいたしたい、現在のところはそう考えております。
  22. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 次の項目につきまして申し上げますれば、二番目の完全就労の実施の問題でありますが、完全就労を今ただちに実施するということは、きわめて困難な問題もありまするけれども、その線に沿うて努力を続けておるわけでございます。御承知のように公共事業の規模の拡充、明年度における公共事業の九百六十億の内定、あるいは失業対策事業の拡充、その他各般の努力によりまして、こうした線に沿うて、将来とも努力をいたして参りたいと考えておる次第であります。  寄場の増設の問題でありますが、これも全国一齊に今ただちにということには参りませんけれども、寄場の増設につきましては今日まででも努力を続けて来ております。本年度の予算におきましても、ある程度の予算がありますので、東京その他重要な都市に寄場の増設をいたしたいと目下計画中でございます。なお明年度におきましても、ある程度の寄場の拡充の予算が計上されておりますので、今ただちに全部というわけには参りませんが、その線に沿うて努力を続けて参りたいと考えております。  なお健康保險法の適用の問題であります。これは労働省の所管ではございませんが、厚生省におきまして、日雇い労働者にいかにすれば健康保險法を適用することができるであろうか、そうしたまず抜術的な問題を研究して、健康保險適用することができるというのでありますれば、できるだけすみやかに法案を提出いたしたいと申しておりましたことを、お伝えしておきます。  次は福利厚生の問題でございます。この問題につきましては、必ずしも労働省所管のものばかりではないのでありますが、厚生省の社会局とも十分なる連絡を目下とりつつあるのであります。また過去におきましても、社会局の援助によりまして相当の福利施設のできた例もありますので、私どもといたしましては厚生省と連絡の上、そうした努力を続けて参りたいと考えておるのであります。  次は日雇い失業保險法の改正の問題でございますが、内容は多々あると承知しております。待機期間の問題、給付日額の問題が大きな問題でありますが、給付日額の問題につきましては、法の実施が一月以降になります関係もありますので、実施後の状況並びに実施後の一般賃金の情勢を勘案いたしまして、考究をいたしたいと考えております。待機期間の問題につきましては、あるいは御承知かとも思いまするが、現在のは連続五日、断続七日という待機でありますが、幸いにもつい二、三週間ほど前に、日曜日の失業の認定をいかにするかという問題を解決いたしまして、日曜日における失業の認定は、次の週の最初に現れた日において、さかのぼつて本人の申立てによつて失業の認定をしてやるという省令の改正をいたしましたので、そうした面から事実上待機の短縮ということもできておるのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。いずれにせよ日雇いの失業保險制度は去る十一月から実施せられて、明年の一月から給付が始まるという情勢にありますので、法実施後の情勢を勘案いたしまして、必要がありますれば、改正の手続きをとることには、やぶさかではないと考えております。  次は失業対策事業の勤労所得税を撤廃する問題であります。いやしくも労働者は、失業者であろうが、なかろうが、所得のあります限り、勤労所得税を納めるべきものであるという原則はけつこうじやないかと思いますが、失業対策事業に働いております労働者生活状況等を考えますれば、こうした線に沿うて、勤労所得税の軽減の努力を続けて参ることは、きわめて必要かと考えておりまして、今回のシやウプ勧告によります勤労所得税の問題につきましても、大蔵当局とも目下折衝と続けておりまして、事実上の問題として、ほとんど所得税がかからないように努力を続けて参りたいと考えておる次第でございます。  次は日雇いに対する労務物資の加配の問題でございます。食糧あるいはせつけん、地下たび等の労務物資の問題につきましては、今日まででも努力いたしておりますが、将来とも経済安定本部と連絡をとりまして、増配に格段の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  23. 春日正一

    春日委員 職業安定局長にお伺いしたいのですが、今の労務物資の問題です。一昨日の三鷹の職安で働いておる人たちの話では、労務物資の配給はある、しかしくじ引きだから、とる者はとれるが、当たらぬ者は、一年以上も働いておつて、ちつとももらえないという話しを聞いております。これは配給の規定というものがあつて、公平にわたるような処置をとられておるのですか。
  24. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの労務物資のくじ引きということは、私うかつでございますが、承知いたしておりませんでしたが、これは当然、各日雇い労働者全部に渡るように配給することが適当だと考えております。従いまして、主食の方はちよつと困難でありますが、せつけんあるいは地下たび等の配給につきましては、労働組合の方々の御協力も得まして、適正の配給ができますように実情調査いたしますが、将来ともそういう方向で努力いたしたいと考えております。
  25. 春日正一

    春日委員 それからもう一つは、同じ三鷹の職安で出しておる、失業対策事業に就労する場合の心得というものでありますけれども、これを見ますと、いろいろ書いてありまして、終りの方に、仕事の都合により中止の場合もある、というふうになつておりますが、こういう場合の賃金はどうなるかという問題。それから賃金は都合により二、三日延びることもある、ということも書いてあります。しかし失業対策事業に行く者は、日雇いといつて、その日その日金をもらつて来なければ、食べて行けない人たちです。またその日に拂う建前になつておる。ところが心得として、都合により二、三日延びることもある、とはつきりプリントして出しておるわけですが、そういう処置はどういうところから来るのですか。
  26. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 賃金の支拂いが二、三日延びることもあるべしというのでございますが、私の方といたしましては、即日支拂いでするようにということを、いつも実は指導しておるわけでございます。おそらくそれは、賃金拂いの事務は事業部局でやつておるわけでありますが、事業部局の都合で、あるいは遅れるかもしれないということを、一応御了解を願つておかぬと、万一その日に拂えぬという場合があつたときに困るということで、そうしたのじやないかと思います。私どもといたしましても、あまり好ましいことではありません。従いまして東京都と連絡をとりまして、失業対策賃金はあくまでもその日拂いということにいたしたい。かように考えております。
  27. 春日正一

    春日委員 大体P・Wの方で、東京では、たとえば重労働に属する雑役の場合には最高三百二十五円ということになつておりますれども、この間の基準局長の御説明では、東京の場合は最高を出しておる。それで二百四十五円手取り——三百二十五円ということでございましたが、拂う場合に三百二十五円が二百四十五円になるということで、非常に低く水準をきめたということになるのと、最低百九十五円、最高三百二十五円といのは、私聞いておるところでは、大体東京都とか、神奈川というように、地域によつて三百二十五円、もつといなかへ行つて百九十五円ということになつておるようでありますけれども、それを平均して二百六十円にして、それの九十%か、八十%か、二百四十五円という計算になつておるようでありますが、地域で別々に差等をつけたものを全国平均して、それを東京へ持つて来るということは、これは少し不当でないかと思います。やはり東京での最高三百二十五円を出すなら、それの何パーセントということにならなければならぬはずだと思います。もう一つの問題は、この前の国会でこの法案がきまつたときに、プリペーリング・ウエージより若干安くする——五%くらいと私は聞いておりますが、現場から訴えて来ておるのを見ると、九十%ないし八十%、十%ないし二十%低くして、この問題ではきめておる。あのときも一般水準が低いからなるべくこの幅は狭くというような意見が相当方々からあつたと思いますが、これを八十%、九十%でなく、もつと上げるということはできないものか。この点をお聞きしたい。
  28. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 春日さんの今の御質問の中に、三百二十何円とありましたが、これらはP・Wではありませんので、進駐軍労務の最高でございます。P・Wの関係では東京の重労働は百九十六円から二百九十五円までであるわけであります。そこで百九十六円から二百九十五円の中間、いわゆる標準賃金として二百四十五円というものをとつたのでありまして、三百二十何円はちよいとこれは違いますことを御了承願います。  なおこの問題につきましては、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、御承知のように失業対策事業は、民間企業の労務者あるいは公共事業労務者の今すぐそれに行くことのできない方方に、一時そこにプールでやつていただく。こういう趣旨でできておりまして、現在のところでは東京の二百四十五円という賃金は、これは全国の最高なのであります。横浜の例を見ましても二百円、二百七円という状態でありまして、将来日本賃金が上昇して、プリペーリング・エウージというものが改訂されない限り、今ただちに二百四五十円という賃金を上げるということは、私は困難でないかと思います。あまりそういうものを上げますと、結局公共事業によい仕事がありましても行かないという例があります。たとえば芝浦等において、最近はないようでありますが、ちよつと風聞で聞いたところによりますと、港湾荷役で重労働のはげしいものがあつても、やはり失業対策の方がよいというので、行きたがらなかつたという例もあつたやに聞くのであります。そういうことで、上げることもけつこうでございましようが、やはり現在の賃金の情勢は、P・Wで動いておるという実情を御認識いただけば、現段階においては、すなわちP・Wの改訂のない限りは、ここしばらく二百四十五円でしんばうしていただくほかない。しかもこれについては、よその方面からも、重労働の標準をとるというのは高過ぎるという向きもありますので、この辺が適当なところだと御了承を願いたいと考えております。
  29. 春日正一

    春日委員 大体私はその意見には反対で、もつと出さなければいかぬと思つております。とにかく三百二十五円もらつてみたところで、二十日で六千円、これではとても食えないから、もつと出さなければいかぬと思いますが、それはそれとして、この二百四十五円から毎日十円ずつ税金を天引でとつておる。これは勤労所得税の性質からいつても、日拂いで税金幾らという規則には、私はなつていないと思います。一箇月の収入、年収幾らに対して基礎控除二万五千円という年通計でやられておるわけです。そうすると二百四十五円で一年三百六十五日、そのうち幾日働けるか、常傭労働者なら大体わかつておるからよい、その月々の賃金から引いて行く、年末に調整するということもありますけれども日雇い労働者の場合、その日その日引いて行くということになると、働けぬ日も出て来て、月に十五日しか働けない、二十日しか働けないということが出て来ると、とるべからず勤労所得税をとるということになり、これは事務上非常にめんどうになりますし、失業対策事業というような性質からいつても、特に一般水準から低いという性質からいつても、わずか十円としても、一月まとまれば二十日で二百円で、一日分になるのでありますから、こういう税金の取立て方はすべきものではないというように考えるのですが、その点はどうですか。
  30. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 これは私の方よりもむしろ大蔵省で御説明申上げた方がよいのかもしれませんが、春日さんの御意見でありますけれども、私どもが大蔵省から聞いておりますのは、日雇い労働者の日拂い賃金から、実は十五円の所得税をとることになつておる。ところが御承知のように、東京都の日雇い労働組合から、今年夏ごろからいろいろ意見がありまして——私の方では実や大蔵省にしよつちゆう連絡に行く、家族数その他の問題などもあるのですが、この日雇い労働者実情も考えまして、簡易な手続で進んで行こうということで、この十五円もむしろ十円に軽減しておるわけでありまして、一般でありますならば、実は十五円になるのであります。この点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。なおシやウプ勧告の実施については、私どもはいろいろ家族数によつてほとんど所得税のかからないようにという、結果的にそうした線で目下交渉しておる。こういうことでございます。もともとこれは十五円であるべきものが、十円ということになつた、結局失業者のいろいろの実態を大蔵省が認識されて、実はそういう簡易な手続で軽減されておるということを、誤解のないように御認識願いたいと思います。
  31. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまのような御質議は、決議案のときに十分お願いすることにいたしまして、次に移ります。     —————————————
  32. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第四、生理休暇に関する請願外四件。苅田アサノ君外六名紹介、文書表第一〇四六号の調査に入ります。紹介議員の説明を求めます。
  33. 春日正一

    春日委員 生理休暇に関する請願であります。一般にいつて、どこでもそうですけれども、婦人の生理休暇というものが最近非常に縮められて来ておる傾向があります。ここへ出して来たところでも、やはり衛生施設もないし、非常に忙しい職場で使われておつて、しかも人事院規則で認められておる二日の生理休暇さえ、全然返上して働かされておる。そういうことで非常に多くの仕事をやらされ、からだが疲れ、からだに非常に影響してきておる。ここに調査されたものもありますけれども、大体生理休暇を使用しておる人員が、一日使つておるものが、千三百六十七名のうち四百三十三名、二日使つておるのが四百二十名、三日五十一名、四日以上三名、しかも腹痛を訴える人が五百三十四名、腰の痛み百二十九名、それから気分の悪い人が三百五十七名、疲労七十七名、めまい四十一名、ヒステリー三十二名、交通事情で生理時に出られない者百二十六名、それから自分の健康を考えてやる人が四十一名、それから頭痛百七十一名、その他三名というようなことになつております。しかも休暇を使わない人の内訳は、人員不足のために使いたくても使い得ない人百四十二名、忙しいために使えない——同じようなものでありますけれども九十名、その他七十名、苦痛感覚がないというので、必要ないという人は五十六名、そういうような状態になつておるわけです。これを見ても大部分の人が生理時に苦痛を感じておるし、休みたいと思つておるけれども、実際には人が足りない、仕事が忙しいというために休めない。しかもこれは人事院規則からいつても二日は認められておる。だからそういうことをやらせずにおけば——戦争前まで生理休暇というものがなかつたのだけれども、やはりそういうふうなむりをさせておけば、だんだんからだが痛んで、子供の方にも影響して来るし、寿命にも影響して来るということになる。だから生理休暇を少なくとも三日もらいたいということと、それから母性保護の意味で、厚生施設その他何も整つていない職場では産前産後、つまり妊娠した人々の休暇を十五週間もらえるように、人事院規則を改訂してもらいたい。これが請願趣旨であります。
  34. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。——御質議はありませんか。
  35. 福田昌子

    福田(昌)委員 女子の生理休暇は、生理休暇という名前がつけられるだけに一つの生理的な問題であります。従いまして工場におきまして衛生施設が完備すれば、こういう規則いわゆる生理休暇の規則は、いらないものであろうと思います。しかし日本の現実の工場施設、ことに女子の衛生方面に対しましては、何ら設備のない工場衛生におきまして、特に若い女子がほとんど立つて一日中作業しておる専売公社の現場の仕事場のような職場におきましては、私はただいま春日委員から請願がありましたように、女子の生理休暇というものは、三日ぐらいとるのが当然ではなかろうかと考えるのであります。人事院規則では二日に訂正されましたが、職場によつては二日でもいいところもあります。また全然とらないでもいいところがあるわけでありますが、現実の日本工場全般をながめてみますると、どこにも女子に対して働きいいような、衛生的な設備というものは設けられておりません。ことに立つて作業しておるような場所におきましては、少なくとも三日ぐらいの生理休暇をとるという、職場別な日数をおきめいただくのが、至当ではないかと考えるのであります。医学的に言いましても、当然三日ぐらいが適当でありまするし、また現実の問題といたしまして、こういつたつた作業に従事しております女子は、ほとんど三分の二ぐらいが月経時の異状を訴えております。その異状を防ぐために、鎮痛剤を飲んだり、あるいはいろいろ頭を働かしまして、いろいろな保温装置を考えたりして、とにかく職場に勤めております。それから女子ははずかしいという感じと、人員が足りないのでお友達に済まないというような感じで、むりをして働いておる場合が非常に多いのでございます。こういつた現実から見ましても、立つて作業する工場の従業員に対しては、生理休暇を三日与えるということに政府当局は御考慮願いたいと思います。
  36. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの生理休暇の問題につきましての関係を御説明申し上げます。初めの春日さんの御質問にありました人事院規制に定めた生理休暇の日数の点でありますが、これにつきましては、ただいま国家公務員の労働条件の監督につきましては、人事院が所管するということに、国家公務員法で規定されれておりまして、労働省の直接の所管ではないのでございます。一般の民間産業におきましては、生理休暇の日数を二日あるいは三日というように限定するということはしておりません。われわれ労働基準局の監督方針といたしましては、生理休暇の必要がある者に対しましては、その体質その他に応じまして、必要な限度の休暇を与えるということが、妥当であるというぐあいに考えております。但しいろいろな民間の工場等の例を見ておりますると、この生理休暇がたまたま濫用される。たとえて申しますと、一月のある期間のうちに、生理休暇を請求する女子が集団的に発生しておるという状況もありまして、その濫用を防ぐとともに、真に必要な者に対しましては、その必要なだけを与える、こういうぐあいに監督しておるわけであります。なお福田委員の御質問中に専売公社につきまして、人事院規則で二日と規定されておるというようなお話がありましたが、専売公社につきましては、専売公社法によりまして労働基準法の適用があります。従いまして専売公社につきましては、労働基準法の一般原則に基いて指導いたしていきたい、こういうぐあいに考えております。
  37. 春日正一

    春日委員 これについて基準局長に質問がありますが、民間の場合でもそうでありますけれども生理休暇を今あなたがいわれたように黙つて出すと、用のないのにとるという見解から、非常に厳重に取り締まつて、実際にとれないようにしておるところも多いわけです。たとえば私どもこの七月調査に行つたとき、日紡貝塚工場で例のメンス部屋の話を聞いてみた。そうすると会社当局の言い分では、とにかく生理休暇をとつて外に遊びに行くのはけしからぬから、この部屋に一日中寝ておれ、寝ているのがいやだつた生理休暇はやらぬと言う。こういうことはあなた方の方針と一致するかどうか。生理休暇を休んで、外に出てはいかぬと言つて監禁するというようなことは、明らかに不当であるし、若い女の子を生理休暇をとれぬように仕向ける措置だと思う。だからこういう点についてどういう態度をとられるか、お伺いいたします。
  38. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの春日さんのお話のように、もし生理休暇を請求したところ、お前この部屋に入つておれということで、この部屋以外に出ることを禁ずることは、それは基準法違反になります。     —————————————
  39. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次に移ります。日程第五、賃金遅配並びに分割払い解消対策に関する請願春日正一君外一名紹介、第一〇四八号、及び日程第六、自動車工業人員整理反対請願春日正一君外一名紹介、第一〇五一号を一括して審査いたします。春日正一君の説明を求めます。
  40. 春日正一

    春日委員 これは自動車労働組合からの請願でありますけれども、ここの遅払いの状態は、先ほどの失業対策のときの説明では百五十分会中、遅払い、分割払い百と申しましたけれども、百十五分会中遅払い、分割払い百という状態になつております。そこで基準局の方でよく骨を折つて、三十億あつたものを二十七億に解決したというように努力をされておるようでありますけれども、その努力の済んだあとすぐ遅払いになつて行く。だから次々に解決されて、次々に出て来るというような状態でこの状態が非常に悪化して、しかもこのために従業員としては生活が立たぬという状態になつておるわけであります。だから先ほど来私が説明しましたけれども、家族の者があさりと売るとか、内職をするとかして、つなぐという状態になつておるわけであります。遅払いは御承知のように基準法二十四條で明らかに違法になつておる。しかも違法行為が現在では圧倒的になつて、どうにもならないような状態になつておる。しかしそれは労働者の立場からいえば、一番大事な自分たちの生活が保障されて行く法律が適用されないわけですから、非常に生活上困つた問題になつておるわけであります。そこでこの遅払いを、基準法その他の規定に基いて解消してもらうように処置をしていただきたい。こういうことが今後続いて、一度今月分を片づけても、また来月起るというようなことのないように、少くとも今のような安い給料は、働いた月にちやんと払つてもらえるように処置してもらいたい。  それからこれに関連して首切りの問題でありますけれども、現在首切りが方々で行われて、自動車関係でも首切りがやられております。会社側の首切りの理由とするところは、結局今自動車が売れなくなつて、会社を再建するためにはどうしても三割くらいの首を切つて、残つた人たち賃金は一割くらい下げて、その他材料、経費を極度に節約しなければならないということで、首を切つておるのでありますけれども、先ほど私が申しましたように、首を切られて行く先がないという問題が一つ。それからもう一つは、こうやつて首を切ることによつて自動車産業の再建ということは実際できない。たとえば日本製鋼その他の場合を見ても、首を切つたあと、さらに第二次、第三次と首を切らなければならない。これは理の当然のことでありまして、自動車の方では、今まで非常に労働組合も協力して能率を上げて、生産台数も上げて来ておる。ところが生産台数を上げて来たために、能率を上げたために、今度は首を切られなければならないということになると、働いては損だという観念になつてしまう。そういうことで、はたして日本の産業が再建できるか。このために日本自動車産業がますます荒廃していく、能力を失つて行く。これは日本の産業にとつても大きな問題であると思います。現在残されておる日本の産業として、自動車産業が、おそらく総合的な技術の高さという点において、一番大事な企業だと思います。それがそういう状態になつて、わずかの退職手当で首を切られて行く。そういう人たちのことも考え、今の失業情勢では困るというこの切実な立場をもう一ぺん考えて、戦後復興してきた自動車産業がつぶれて行くということでは、これは自分たちだけでなく、日本のためにも非常に困るということで、この首切りはやめて復興する方向に持つて行つてもらいたいという請願です。民間企業で首を切るのを、政府の法律として首を切つてはいけないと干渉する規定はないわけであります。しかし自動車工業全体の問題として、自動車の月賦販売、あるいは中日貿易促進のための自動車の輸出促進など、請願は一時に出されたのでありますけれども委員会の都合で通算の方にまわつておりますが、そういうものと関連して、自動車工業において首を切り、事業を縮小することのないように、ぜひ委員会としても配慮を願いたいし、政府としても考えてもらいたいという請願であります。
  41. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。——御質議はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  42. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第七、第八、第九の公共企業体労働関係法撤廃等の関する請願三件を一括して審査いたします。紹介議員の説明を求めます。紹介議員が出席しておられませんので、前田委員よりその趣旨の御説明をお願いいたします。
  43. 前田種男

    ○前田(種)委員 詳細は請願書の内容に盛られておりますから、私は時間の関係上その内容に譲りたいと思います。根本的な方針といたしましては、公共企業体労働関係法の撤廃に関する請願でございます。これは終戦以来の労働組合運動のあり方、官公労の動向、それから国家公務員法の制定、専売公社並びに国鉄の公企業体関係になつて参りました組織の変更等から来ておるわけであります。過去の過程は皆さん御承知の通りでございますが、今日の実情から申しまするならば、もうすでに公企業になつておりますところのこうしたものは、ことさらに特別の法規を設けて、それの拘束の上に運営をやるという必要はないではないかと私は考えます。官公労の場合は公務員法が今日厳としてございますが、国鉄並びに専売公社、いわゆる公企業になりましたもの並びにそれに類似したものといたしましては、電気、ガス、その他重要度においてはいろいろな企業体があるわけですが、これはできるだけ単純に一本にして、労働行政を一括することが国の行政面からいつても、ぜひ必要だと考えます。過去の過程としてはやむを得なかつたことをわれわれ認めますが、すでに今日の労働組合運動の動向から行きましても、できるだけ整理統合して、単純な一本の法規のもとに指導育成することが必要でございます。ことさらに公共企業体労働関係法をいつまでも存続する必要はありませんし、すでに労働組合法は改正されましたから、労働組合法一本で民間すべてをやつて行くに伴つて、その他のいわゆる労働三法をそのまま適用してやつて行くというやり方がいいのではないかと考えますので、ぜひその線に沿うて、具体的に請願の内容に盛られておることをごしんしやく願つて政府当局のこの面に対する十分なる御検討を願つておきたいと考えます。  その次には、請願の中にもあると思いますが、専売公社関係の労働組合から提出しておる、半日休暇実施の問題に対する基準法の解釈の問題でございますが、これはせつかく公社と労働組合との間において、団体交渉によつて決定しておるものが、基準法の解釈上困るという基準局長の通達がございます。労働量は一日ということに単位がきめられておるから、半日休暇は困るという局長の通達らしいのです。しかし私は事業場その他の関係上、一日の休暇を半日休暇というように、公社との間に団体交渉によつて円滑に妥結しておるので、何とかそこの法の解釈にゆとりをもつて、法の精神を曲げないことによつて円滑に行けるということでありますれば、労働省としてもう一度その面の解釈あるいは取扱い等について、善処を要望しておきたいと考えます。ぜひそうした問題等には、そう不都合なことなくして、それぞれの企業体の事情によつて、休暇の日が一日を単位としているのに対して、半日休暇というものを認めていいように、この点はぜひ再考を促しておきたいと考えます。  それからその次には、専売公社関係の定員の増加に関する問題もございまして——それは定員法その他の関係がございますが、その点と、それから専売公社の賃金値上げに関する点もございます。これは相関連いたしますが、公社ということになり、精神には独立採算性を認めながら、依然として大蔵省の所管で、しかも厳重な監督の上で物事をやつて行こうというやり方に対して、私はあくまで独立採算性の上に立つた独立した公社として、自立経営ができるように、方針を立てて行かなければならないと思います。しかも一千二百億という厖大な税金を、いわゆる利益の形において国家に納付しておりますところの専売公社の経営の上においては、一般官公吏とは別の取扱いを当然なさつてしかるべきだと考えます。赤字を出して、政府から補助金をもらつておるところのいろいろなものとは、当然別に考えられまして、一千二百億というような厖大な利益を、わずのか従業員において出して補つておりますところの、公社関係の従業員定員等については、特別な方法講ぜられてしかるべきだと思います。もしそうした特別な方法なり、待遇なりが講ぜられますならば、さらに利益は増大いたしまして、国家に資するところのものは十分あると私は考えます。そうした面等において、この公社の独立性を主張するとともに、公社関係の全従業員が、一般官公吏とは別に独立した待遇、あるいは定員等においても、この事業が十分充実したところの内容を持ちつつ国家に利益する、また従業員みずからの待遇も、それによつて十分確保されるという内容にしていただきたいと考えます。  それから最後に、専売公社の民営払い下げの問題等がございます。タバコ民営の問題は相当議論になつておりますが、私は今日の現状において、公社をさらに民営にするということに対しては絶対反対いたします。これには多くの論議を必要といたしませんので、ぜひともそういう方向に推し進めてもらいたいということを希望いたしまして、私の説明の足らない点は、請願書の内容に盛られておりますから、その内容を十分生かして取扱われるようお願い申し上げまして、説明にかえます。
  44. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見はありませんか。
  45. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 最初の公共企業体労働関係法を撤廃せよという御要望に対してだけ、政府の考えを申し上げておきます。大体この法律は、むろん一つはマつカーサー元帥の手紙の示唆によつてもつつたのでありますけれども、あえてマつカーサー元帥の手紙の示唆という意味だけでなくして、当時同じく官吏であつたところの人たちが、一方では公務員法ができて、公務員法によつて運営されて行く。それに対して現業的な性格を多分に持つた今の二つの面には、公務員法において実現されたこと、たとえば団体交渉権もないというような制約を加えるのは、適当でないのではないかとも考えまして、あの法律ができ、団体交渉権というものが、いろいろな制約はありますけれども、とにかく残されておる、与えられておるというような形で出て来たものであります。どうしてそうしたかということにつきましては、立法の当時、あらゆる面にわたつて御質問も受けましたし、それから政府側の考え方も申し上げた通りでもあります。簡單に言えば、一つは国家が資本を完全に持つておるところの企業体であると同時に、その企業自体が、きわめて公共の福祉に密接な、直接的な関係があるということ、完全国有法人であるというような関係から考えまして、あの法律の立て方が適当であるというふうに考えて参つたわけであります。実施後すでに多少の時期がたつてつて、いろいろな経験は積んでおりますけれども、ごく大まかに言えば、大体公務員とはわける、しかも公共性からかんがみたところの一定の事情は有するという線においては、妥当な運営を示して来ておると思います。従つて今ここでもつてあの法律を撤廃して、労働三法によつてつて行くというような方向に転換する考えは、政府としては持つておりません。ただ法律自体は、組合法を改正するときにもそう言つたのでありますが、この変転のはげしい時代に、政府の立案が必ずしもいつも百パーセント正しいというわけでもありませんから、実施の結果、現実に合わないという面に対しましては、虚心坦懐にその実情に合せて改正していくという考え方におきましては、当時組合法を改正したときと同じ考えであります。しかし同時に一方労働関係法というのは、きわめてデリケートなものであるから、部分的な現象をただちに取上げて、やたらにしばしばこの法律をいじることに対しましては、慎重な態度で望んで行きたいと思つております。
  46. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 専売公社職員の賃金の値上げの問題について、お答えいたしたいと思います。御承知のように専売公社の職員は、賃金の値上げにつきまして、公共企業体労働関係法に基きまして、専売公社調停委員会に申請をいたしております。その後約一箇月にわたつて調停委員会は審議を続けておりますが、われわれの得た情報によりますと一両日中には、この調停案を両者に提示する段階に至つていると承つておるのであります。なお調停委員会は独自の立場で調停をいたすのでありますから、どういう調停が出ますかはわかりませんが、その審議の途中におきましての情報によりますと、生産報奨金の問題について、特に注意して審議がなされたようであります。もう一つは今御指摘の専売公社が、公社法に基きまして独立採算性をとつていながら、その実際におきましては過渡的とは申しながら、大蔵省との関係におきまして、まだまだ真の独立採算性の公社としての動きが十分でないというふうな点につきましても、調停委員会では研究をいたしたということを承つておるのであります。いずれこれらの問題は、調停委員会の調停を通じまして、一度には行かぬと思いまするが、逐次さような方角に向かつて処置せられるものと期待しております。
  47. 前田種男

    ○前田(種)委員 労働大臣より政府側の方針の説明がございましたが、私は先ほど基本的なものの考え方の上に立つて申し述べたのでございます。もちろん今日施行されております法律を、できるだけ現実に沿うように、よりよきものにするということには、異存はないわけであります。しかし今日考えてみますと、ちようど公共企業体関係になつたために、所管も労働省になつた。そうして実際に考えてみますと、その他の重要な企業との関係から見ましても、私はむしろ労働組合法一本に統合して、労働組合法をさらにりつぱなものに仕上げて行くという方針と立てて、その線に沿つて行くという行き方の方がいいと考えます。もちろん施行されて一年たつか、たたない今日、施行された法律をさつそく廃止するということは容易ではありませんが、私労働組合運動の将来、日本の将来等を考えてみて、ぜひそうした方向に持つて行くということがいいと考えております。しかもそうすることによつて、いろいろな煩雑さを避けて、一本の法律をりつぱなものにして行きたいと考えますから、私の主張をさらに申し上げておきたいと考えます。  それから先ほど説明を省略いたしましたが、専売公社の内部における組合加入の制限の問題について、ぜひ労政局長から御答弁を願つておきたいと思いますのは、組合法の改正のときにも十分論議を盡しました、いわゆる守衛の組合加入の制限の問題です。国会で審議された内容と、国会後における関係方面その他との関係から、国会で労政局長が答弁した通りには今日なつていないことを、私は遺憾に思います。しかし聞くところによりますと、公社の中には、いわゆる一般巡視と監視あるいは巡視長というように、いろいろの階段があるわけです。これは民間企業にもございます。それを一律に全部守衛として組合に入つてはならぬということにすることは、前国会においても相当掘り下げて論議がかわされたのでございますが、現実にそういう階級がある場合に、監視、巡視長あるいはそれぞれの主任というような人々が加入するということは、あの組合法の関係から言つて——われわれもそこまでは譲歩できますが、一般巡視あるいは下級の巡視というような者までも組合加入の制限を厳重にされ、加入してはならないという解釈をとることは、あまりに酷だと私は考えます。それが請願趣旨だと考えますので、そういう幅をもつて御考慮願えるかどうか、あるいはさらにかわつた御意見があれば、局長から承つておきたいと考えます。  それから先ほど申しました公企法に基いて、団体交渉によつて締結されたところの半日休暇の問題ですが、これは法律によつてそうした交渉が決定して——公企法だけで行けばそれが首肯されます。たまたま基準法のそうした解釈、しかもその解釈も労働日というのは一日を単位としておるという解釈から、半日休暇というものは認められないという局長の通達でございますが、この点については、公企法によるところの団体交渉という法律上の効果を持つものの決定と、基準法の解釈という点は、一体どちらが優先するかという点についても——優先するとか、しないとかいうよりも、基準法の解釈を、公企法のそういう団体交渉というものによつて締結された結論に対して、何とかそれを生かしてやるという方法がとられてしかるべきだと思います。今日は基準局長がお見えになつておられませんが、その他の政府委員の方からでも、その点に対する御答弁がございますれば、幸いだと思います。
  48. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの御質問の半日休暇の問題でありますが、これにつきましては基準法の三十九條にありまするように、「六労働日の有給休暇」というのが最低条件になつておるわけであります。この関係につきまして、基準法できめました最低条件を下まわる労働協約が、団体交渉で成立した場合にどうかということになりますと、基準法は強行法規でありまして、労働者の最低条件を保護するという建前でありますから、やはり基準法の方が優先すると考えております。  なお分割できないかという解釈の問題でございます。これにつきましてはわれわれもいろいろ研究してみておるのでありますが、現在の基準法の条文によりますと、どうもこれを時間割式に分割するということは、基準法の法文の上からちよつとむりではないかと考えます。時間として与えます場合には、時間という言葉を全部使つておりますがこの場合には労働日という言葉を使つておりまるので、現在の法令の解釈としてはむりじやないかと考えます。
  49. 前田種男

    ○前田(種)委員 もちいろん法的な厳格な解釈は、私もその点掘り下げて研究しておりませんから、今の答弁の通りであるかもしれませんが、事業場及びいろいろの都合上、そうした便宜な処置をやる。それは法を越えてやることは許されませんが、法の範囲内で、法の意思を忖度しつつ、現実にいわゆる団体交渉によつて半日休暇ということになりました場合、これの取扱いを、公社と組合の間にいろいろ検討いたしまして、今御答弁になつたような趣旨に違反しないような何か便法等も、さらに当事者に考究してもらうように私はお願いしたいと思います。基準法の解釈を、そう厳格にせなければならぬかどうかという点等についても、実情はよくおわかりの通りでございますから、それを何とかそういう点の解釈取扱い上に、もう一度労働省としても御検討を願つて、生かしてやるという方向に熟慮願い、ご相談願えるように、再度私は希望を申し上げておきます。
  50. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 専売公社の非組合員と組合員との区別でありますが、これは御承知のごとくに公労法によりまして、労働省が政令で定めることになつております。しかしながら立法の場合にも申しましたし、また精神から言いまして、事実上非組合員と組合員の範囲のわけ方は、一方的に労働省が決定するということをせずして、両者の意向をくみ、あるいは交渉をさせまして、その上でできるだけ納得ずくで範囲をきめていくという方法をとつたのであります。ただいよいよどうしてもその範囲について、両者の意向が一致しない場合に限りまして、労働省がこれを裁定するような形できめたのであります。御指摘の守衛の問題でありますが、これは労働組合法改正の当時の趣旨とは違つておりません。すなわちその守衛の問題につきましては、一つは守衛長であるとか、あるいは監視長とかいうような階級で切ることはいたしておりません。もう一つは職能を考えて行く。従つて組合法の二條一号にありますように、その人の職能が、自己の職分を盡すための責任と、組合員としての責任と相反する立場にあるような場合には、これは使用者の利益を代表するものとして、非組合員とするという仕方をとつたのであります。そこで専売公社の場合におきましては、守衛というような単なる一つの言葉で現すことなくして、その責任が組合員としての責任と相一致しないというような警備の任にある者という考え方をしておるのであります。従いまして守衛というような立場にあります者につきましても、できるだけ組合員たらしめるような方法をとる。同時に守衛というような立場にありましても、たとえば門を出ますときに身体検査をやるというような立場の者につきましては、これを非組合員にする。かようなことで話合いがついておるのであります。但しもしそれが実施にあたりまして、使用者側がこの言葉を広く解釈して実行しておるというようなことがありますれば、これは調査の上で注意いたしたいと考えております。
  51. 倉石忠雄

    倉石委員長 前田さん。どうでしようか。決議案もありますし、また他の日に委員会を開きますから、これは重大な問題なので、なるべく一般質問として、そういうところにまわしていただきたいと思います。
  52. 前田種男

    ○前田(種)委員 もう簡単ですから——今の御答弁でございますが、これは前国会における組合法審議のときの局長の答弁と、実際とがまつたくかわつて来ておるのです。私はかわつて来た事情もよく知つてはおりますが、実際問題において、どこに組合員の加入の範囲の線を引くかということが、デリケートな問題であることはよくわかります。今専売公社の場合における巡視等も、それぞれ重要な責任にある者と——あるいは倉庫番をやつておる者も私はあると考えます。正式にほんとうに今答弁されたような職務をやつておる者と、そうでない者とあろうと考えますがそういう取扱い等につきましても、私も今後直接公社と組合の間において、さらにその問題に対していろいろ意見もかわされると思いますが、労働省としてもその取扱い等につきましては、ぜひ今後の問題として御検討願つておきたいと考えます。  それから先ほど賃金の問題で御説明を願つたのですが、公企法の十六條の解釈のいわゆる賃金の調停仲裁の問題に対して、これは重要な問題でありますから、再度局長の見解を明らかにしていただきたいと考えます。
  53. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 守衛の問題につきましては、御指摘もありますし、なお実際はどうなつておりますか、注意いたしてみたいと思つております。  公企法に基きます調停、仲裁の状況は、専売公社の点につきましては、先ほど申し上げた通りでありますが、国鉄仲裁委員会も、爾来一箇月の審理の結果、一両日中にその裁定案が発表せられるという進行状況になつております。     —————————————
  54. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次に移ります。日程第十、労働基準法完全実施に関する請願江崎一治君外三名紹介、文書表第一〇九三号を審査いたします。紹介議員の説明を求めます。紹介議員が出席されておりませんので、春日委員よりその趣旨の説明を願います。
  55. 春日正一

    春日委員 この請願は、全通労働組合の代表から出されているものであります。今まででも特に官公庁の現業部門、鉄道とか、あるいは通信においては、基準法がほとんど無視されており、この前の国電争議というものは、人民電車といつて大騒ぎしましたけれども、ああいうところでも非常に基準法が無視されているというような面があるわけであります。特に今回の整理、それによつて人員が不足し、労働時間が延ばされ、それで実質的には週休もとれない、生理休暇もとれないというような状態が出ているし、有給の公休すらもとれないというような状態が出て来ている。基準法に週休制とか、あるいは公休とかいうことがきめられていても、人が足りなくて、労働が強化される。いくら休みたくても、実際人が足りなくて、仕事があれば出ざるを得ない。これは労働者としての責任感からいえば、休むことができぬということのために、基準法がほとんど無視されているし、しかもそういうことに対する監督というようなことも十分やられていない。特に作業用のいろいろな物資、それから作業上の安全衛生というような面でも、これは通信関係だけでなく、非常に基準法に実際に違反した問題が各所に出ておつて、非常にたくさんな問題が出されている。従つてそういうものをなくするというために、事実人が足りなくて休暇がとれないというなら、これはやはり人をふやさなくてはならぬし、そうしてこの基準法の精神を完全に生かすということを、ぜひやつてもらわなければならぬという意味の請願であります。
  56. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見はありませんか。時間の関係がありますので、なるべく簡明に願います。
  57. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいま春日委員からの御説明によりまする全通の関係は、先ほど申し上げましたように公務員の関係上、人事院の関係になつておりますから、一般の問題もありますので、これにつきましては、私どもといたしましては、基準法が実施されましてから約二年近くになりますが、今までにその足ならしを終りまして、これからはほんとうに実質的に掘り下げたことをやつて行つて労働者の福祉施設、労働条件をよくすることによりまして、労働意欲の上昇を行いながら労働の生産性を高めるというぐあいに、ぜひ持つて行きたいと思つております。ただ何分基準局だけの問題でなくして、これは日本全体の経済の問題でありまして、基準局といたしましては、誠心誠意をもつてこれを実施していきたいと思つております。
  58. 春日正一

    春日委員 時間がないからごく簡単に申しますけれども、今基準局に人が足りないからということを言われますが、足りなかつたらふやしてもらわなければいかぬと思います。そうして資料をこんなにたくさん持つておりますが、基準法違反が非常にたくさんある。今ここで時間がないというから説明しませんけれども、こういう基準法違反が至るところでやられておつて、しかもそれに対して何らの勧告も監督もされていないということで、現場の労働者に言わせれば、基準監督官が何かうまいことをやつているのではないかというような疑いさえ、非常に持たれている。だからそういう意味でこれは厳重にやつてもらいたいし、足りなければ足りないで、やはり増員を請求してやるべきだ、それが問題になれば、私どもふやすということは支持するのだから、この基準監督官をもつとふやして徹底的に基準法を実施して、労働力を有効に使い、人を生かして行くということをやるようにしてもらいたい。     —————————————
  59. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは日程第一一、労働者災害補償保険法の一部改正に関する請願岡西明貞紹介、文書表第一一四三号の審査に入ります。紹介議員の説明を求めます、——紹介議員が出席しておられませんので、大橋委員よりその趣旨の御説明を願います。
  60. 大橋武夫

    ○大橋委員 この請願の要旨を申し上げます。現在の労働者災害補償保険法によりますると、災害にかかつた労働者に給付すべき保険金、補償金は事故発生日以前に支払われておりました賃金の平均額を基準として補償されることになつております。しかしながら今日は、貨幣価値の変動が非常にはげしい結果といたしまして、この考え方はいろいろ不合理な点が多いと存じますので、すみやかに今日の物価に適合した補償金の給与を得られるように、同法の一部を改正してほしい、こういう趣旨でございます。
  61. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の意見があれば承ります。
  62. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの請願でありますが、現在の基準法、それから労災保険法、どちらによりましても、保険給付は事故の発生しました以前の三箇月間の賃金を基礎として定めることになつております。これによりまして、貨幣価値の変動のはげしいときは、労働者の保険が十分でないからというのが趣旨のようでありますが、労災保険法の趣旨は大体失業保険等とは多少違いまして、いわゆる損害賠償、無過失責任という点に基く点もあり、それから労災保険法の関係では、御承知のように、労災保険の保険経済の点も勘案しなければなりませんので、ただいまの請願趣旨は十分研究させていただきたいと思います。
  63. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質議はありませんか。——御質議がないようでありますから、本日審査いたしました請願については、いずれも一応の審査を終了いたしたことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。
  65. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に陳情書の審査に入ります。陳情書日程第一ないし第五、第八ないし第一〇の各陳情書は、いずれも失業救済事業に関する陳情書でありますので、これを一括して審査いたします。便宜上専門員をして趣旨を説明いたさせます。浜口専門員。
  66. 濱口金一郎

    ○濱口専門員 日程第一、第四六号は香川県高松市議会議長藤本慶一氏よりの失業対策に関する陳情でありますが、その趣旨失業救済の実施にあたつて政府は受入れ対策費として九百億円の支出を発表されたのであるが、全国地方都市はおのおのその状況を異にしているから、これが実施に関しては、地方の状況調査の上、実情に即した施策を講ずるとともに、失業応急対策事業の業種拡張と賃金単価の引上げをされたいとの内容のものであります。  次に日程第二、失業救済事業費全額国庫負担陳情、第六二号、陳情者、東京都議会議長石原氷明外九名、社会経済情勢の推移と行政整理等に伴い、中小企業者並びに知識階級の失業者がますます増加の傾向にあるから、地方財政窮乏の現状にかんがみ、全額国庫負担によりすみやかにこれが救済事業対策を講ぜられたいという内容であります。  次に日程第三、失業対策事業に対する国庫補助増額陳情、第一〇五号、陳情者、川崎市議会議長木島栄次郎、川崎市は工業都市としての特色上失業者がきわめて多いので、その救済対策として公共事業を起こし、失業者の吸收を企画しつつあるも、該事業費予算をもつてしてはとうていその目的を達することができないから、政府はこれが対策として大幅に国庫補助を増額されたいという内容であります。  次に日程第四、失業対策に関する陳情、第一〇九号、陳情者、大阪市議会議長残利弘次郎、本要旨は第四十五号に同じでありますから、省略いたします。  次の日程第五、失業対策に関する陳情、第一二八号、陳情者、日本経営者団体連盟常任理事諸井貫一本趣旨は第四十六号に同じでありますから、省略いたします。  次に日程第八、失業対策に関する陳情、第一九四号、陳情者、東京都議会議長石原氷外九名失業情勢の悪化にかんがみ、一、緊急失業事業費を大幅に増額するとともに全額国庫補助とすること、二、共同作業施設及び知識層失業応急事業に対する国庫補助を継続すること、三、職業安定機関を拡充することを実現されたいというのであります。  次に日程第九、失業救済対策樹立陳情、第二三七号、陳情者、岸和田市長毛利一郎、失業者の救済につき、地方財政の現状では、いかに有効適切なる施策構想もとうてい実現不可能であるから、積極的にして具体的なる対策をすみやかに樹立されたいという内容であります。  次に日程第一〇、失業救済に関する陳情、第二六〇号、陳情者、金沢市議会議長島畠徳次郎、現下わが国の混乱せる経済事情のため、失業群の増加は遂に社会不安を醸成せんとしつつあるから、中央が各地方に適合する失業救済対策事業を直営するとともに、これに対する補助起債並びに補助金を大幅に認め、この一大危機を救われたいという内容であります。
  67. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見はありませんか。
  68. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 簡単に申し上げますが、陳情のおもなる内容は、一つは公共事業失業対策事業の拡充であります。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、拡充の方向に向かつて努力をいたしておるような次第でございます。  なお失業対策事業の全額補助の問題でございます。これにつきましては、今ただちにこれを実施することは困難でありますが、将来の問題といたしまして、十分考究いたしたいと存じます。
  69. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次に移ります。日程第六、第七、第一一の陳情書を一括議題といたします。専門員に趣旨の説明をいたさせます。     —————————————
  70. 濱口金一郎

    ○濱口専門員 日程第六は、労働基準審議会に対し予算増額陳情、第一七七号、陳情者、山口地方労働基準審議会長河野實、山口地方労働基準審議会においては現下経済情勢上、ますます審議調査事項の増加の傾向にあつて、数次審議会を開催して解決にあたる必要があるにもかかわらず、その予算はきわめて僅少で出席委員に対する旅費さえも支弁できない状態であり、業務の困難を生じているから、本審議会に対する予算を増額されたいという内容であります。  日程第七、労働基準行政職員増員に関する陳情、第一七八、陳情者、山口地方労働基準審議会長河野實、政府は今回の行政整理に際し労働基準行政職員の定員の約二割を減員したが、労働基準法はその施行後二箇年を経過したにすぎず、いまだ法の適用事業場すら完全に把握されていない現状であるから、行政職員を増員して労働不安を一掃し、もつてわが国経済の発展に寄与せられたいというのであります。  日程第一一、職業安定機関職員増員に関する陳情、第二八〇号、陳情者、鳥取県議会議長中田吉雄、現在の失業対策事業の施行地域は都市に限られているが、失業者の分布はひとしく農山漁村にも及び、その消化吸収はとうてい望み得ないから、職業安定機関職員の増員失業対策事業費の全額国庫負担並びに事業地域の拡張を実現して、現下わが国の当面する失業問題解決の一施策とせられたいというのであります。
  71. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  72. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの陳情労働基準審議会に対する予算増額、それから労働基準行政職員増員及び職業安定機関職員増員に関する陳情でございますが、これにつきましては、基準局といたしましては、さしあたりのところは、行政事務を極力簡素化いたしまして、それによりまして現場の監督を行うという方向で解決して行きたいと思います。なお予算については目下いろいろ考えております。労働基準審議会予算につきましては、たとえば審議会の開催方法の改善あるいは能率化ということによりまして、この解決をはかつて行きたいと考えております。
  73. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質議はありませんか——ないようでありますから、本日の陳情書日程全部について、審査を終了いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければさように決定いたします。     —————————————
  75. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に先ほど決定いたしました通り、失業対策促進に関する決議案を議題といたしまして、審査に入ります。この際本決議案に関連いたしまして、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木労働大臣
  76. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 先ほど決議案趣旨の弁明につきまして、春日委員よりいろいろ現場の実情、その他相当貴重な事実をもあげての御説明を承りました。その中にはわれわれと考えの違つたところもあり、また傾聴に値する現実をお知らせいただいたという面もありますが、これに対しまして、この際政府として、これはしばしば本会議なり、各種委員会なりで申し上げてきたことが大部分でありますけれども、もう一度ここで総合的にそれらのこと、及び今日まで申し上げなかつたことをも加えまして、政府失業対策はどういうふうな計画で、そういうふうに進んでおるかということをまず一応申し上げたいと存じます。  失業対策の根本としては、しばしば申し上げた通りに、国民経済の中で経済の再建が進んで、そうして真の意味における雇用の増加がもたらされ、ここに失業者が安定的に吸收されるということにあることは申すまでもありません。従つて対策の根本は、あくまでも政府経済政策の安定、再建の方向への推進にまたなければならないのであります。この考え方につきましては、先ほど拝聴しておつた際、春日委員からも、確かにそういうふうな意味において、諸経済政策の急速なる充実と、この振興を云々という御指摘がありましたが、私どもも根本的な考え方としてまつたく同感でございます。この面から、国民経済の中から生ずるところの雇用量というものが、一体どれくらいあるか、これがまず第一の問題であります。昭和二十四年度にはそれが四十万あるであろう、これは春の国会で私どもはそう説明申し上げて参りました。それから二十五年度には同じ意味において八十万と計算されております。これは安本、大蔵省、通産省等と打ち合せて、十分の検討を経た数字であります。昭和二十四年度の四月以来、今日に至るまでの実情に照らし合せてみますときに、この二十四年度内の雇用量四十万という数字は、十分達成し得られると確信し得るような推移をたどつておるものと、私どもは見ておるのでります。しかしこれは失業者就業者の数の差引を言つておるのではなくして、失業者数字の推移と全然離れて、別に新たに生ずる雇用の計算だけをしたものであることは、申すまでもないのであります。  第二に有力な雇用増加の基盤として今日考えられることは、見返り資金の散布によるところの雇用の増加であります。この面から産まれるところの雇用量の増加は、見返り資金の散布の時間的関係その他について、いろいろの御批評もありましたが、二十四年度の下半期において十五万人前後、二十五年度にはさらにその上に相当の量の増加があるものと見られております。  第三には、以上二つの要件によつて生ずるところの新しい雇用に比べては、やや暫定的の性質のものでありますが、しかし相当の安定性を持つところの雇用増加の基盤は、公共事業であります。二十四年度下半期における公共事業関係によるところの新規雇用量の増加は十三万五千ないし十八万五千であり、そのうち補正予算公共事業費の追加によつて生ずるものが、六万ないし十一万、公共事業への失業者吸収力を引上げることによつて生ずる雇用量の増加が七万五千、それらを合せてただいまの数字になるのであります。この計算の基礎方式等につきましては、必要がありましたならば、別の機会に御説明申し上げていいと思います。さらにまた二十五年度において、同じ計算で公共事業費九百六十億によつて百万の雇用が期待されております。但しこのうち二十五年度に純粋に増加するものは五十万であります。これは二十四年度すでに五百億円の公共事業で、五十万の雇用が実存しておるわけだからであります。  以上のような三つの要因によつて生ずる雇用の増加は、安定的もしくは相当安定的なものであつて、この三つのわく内に失業者を全部吸収することができましたならば、失業問題は大体解消するわけでありますけれども、そういうふうに一挙に根本的に解決することはなかなかできるものではく、特に今年度のごとく諸種の悪条件が累積しておるところの、失業者発生の最もはげしいときにおきましては、一層そうなのであります。この段階に処するためには、どこの国の例に見ましてもそうであるがごとく、段階的な、緊急的な対策が迅速に行われなければならないのであつて、この緊急失業対策として第一に取上げられますのは、失業保険制度の適用であります。幸いわが国の失業保険制度の内容は、この難局に十分耐え得るだけのものを持つておるのでありまして、二十四年度下半期において、五十三万人の保険給付をなし得る準備を整えてあります。その内容は一般失業保険において四十万人、日雇い失業保険において十三万人であります。同時にこれらの予算措置をも講じてあります。補正予算において八億五千万円の失業保険政府負担金を計上したのはこれがためであります。これらを当初予算と合せると、二十四年度分は約二十九億円の政府負担となりまするし、さらに二十五年度においても同様五十三万人の給付が計画され、予算におきましても失業保険の国庫負担金四十三億円が計上されております。  第二の緊急対策は、いわゆるしばしば問題となるところの緊急失業対策事業であります。われわれの緊急失業対策事業に対する考え方は、初めにも申し上げましたように、根本施策の方こそ失業対策の中軸をなすものであり、いわゆる緊急失業対策事業は、これらの根本的な諸施策をもつてしても応じ切れない最後の方策として、失業保険と並んで応急的に行われるところのものである、こういうふうに考えております。それではこの事業の内容がどう変化しているかと申しますと、二十四年度当初予算においては、御承知のように予算が八億八百万円でありました。そうして一日の就労者は約二万人であつたのでありますが、下半期に入るとともに、失業の情勢とにらみ合せまして、繰上げ利用を決心し、総司令部の承認を経まして、本年十二月までにこの八億八百万円は全部使うことになつております。これによつて雇用量は第三・四半期の当初において約三万人に引上げられ、さらに十一月からは約四万人に増加しております。従つて補正予算においては新たに八億五千万円を計上して、これを一—三月の第四・四半期において使用することといたしまして、総数八万二、三千人の人人を救済していけるということになつております。さらに二十五年度には、この経費は四十億円計上されておりますから、十万人前後の吸収力があるということになるのであります。  最後に、さらにもう一つの吸収力は、これは一時的のものでありますが職業補導事業であります。現在の補導所は三百五箇所、明年度においては三十五箇所増設が計画され、予算の裏づけもできております。この事業は労働力の配置転換の上からも、今後最も力を入れたいと考えておるわけであります。以上申しましたような全部の施策を融合したものが失業対策の骨格なのであります。  申すまでもなく、これらの施策の中には根本策の第一、すなわち国民経済わく内に生ずる雇用力の増のごとき、また第二の見返り資金の増によつて生ずるもののごとき、失業の最終的安定吸収といつた性格を持つものもあり、また失業保険の保険給付期が終了するとともに、相当の者が新たな失業者として再出現するものもあり、公共事業のようにこの二つの中間的な性格を持つているものもあるわけでございますが、最初に申し上げましたごとく、根本施策で一挙に失業者を安定吸収するがごときは、こういう際におきましては、いずれの国の実例に見ましても、至難のことだと思うのであります。つまり根本施策を推進しつつ、緊急的方法による吸収者の数並びに新たに生じてくるところの失業者の数を減少して行つて、そして漸次安定雇用のわく内に吸収して行く、これが最も着実にして実施し得るところの方法であり、この線に沿つての計画と予算的裏づけとは、一応できておるものと確信しておるのであります。これらを運用して行く中核となる行政機関は職業安定機関でありまして、これについての経費なり人員なりの点について、この危機を乗り切るのに不足しておるのではないかという御意見が、過去の国会からしばしばありました。その結果もありますけれども、私ども実情にかんがみまして、定員法をくずすのではございませんが、各方面において、たとえば統制経済が廃止されて行くに従つて生ずるところの官庁の定員の余りというふうなものを、こちらにもつて来るという方法をとりまして、二十五年度におきましては一千八百八十人の職業補導関係の職員をふやすことに決定し、予算の裏づけも済んでおります。このうち約一千百人は十二月から実施するという方針をとつております。それから経費の点でありますけれども、経費はこういう際大きいほどいいのでありますけれども、しかし予算とにらみ合せまして、それとの関係を考慮しなければならない。そういう関係を考慮いたしました結果、明年度予算におけるたとえば超過勤務手当というふうなものは、本年度において四千万円であつたものを、職業安定行政の性格と重要性にかんがみまして、一億一千四百万円に増加しております。旅費も七千万円から一億円に増加しております。通信費も三千五百万円から四千八百万円に増加し、これらを総計して大体一億二千万円程度の増加で、昨年度に比べてはこれらの経費が倍ということになつております。これでもちろん完璧だとは考えておりません。失業して職業がなくて困つておられる方々のことを考えれば、この程度の努力をもつてして十分であるということは決して言えませんけれども政府は現在の条件の許す限りにおきまして、この線に沿つて十分の努力はして参りましたし、今後もやつて参りますことだけは明確に申し上げ得ると思うのでございます。なおこれらは計画でございまして、それを運営して行く上において、実情に応じての誠意ある政府仕事はもちろん必要であり、これらの点につきましては、先ほど春日議員から御指摘になりましたような実情をも、とるべきものはとつて、謙虚な気持で対処して行きたい、これが私どもの考えでございます。
  77. 倉石忠雄

    倉石委員長 労働大臣はただいま院内において緊急やむを得ざる会議に出席しなければならないので、退席されますが、審議に必要ある場合には御出席を求めることといたします。本案に関しまして質議の通告がありますから、これを許します。三浦寅之助君。
  78. 三浦寅之助

    ○三浦委員 私の質問せんとしたことは、先ほどの陳情請願並びに労働大臣初め政府委員の答弁によりまして大体盡しておるのでありますから、ただごく簡単に二、三について質問をいたしてみたいと思うのであります。失業問題において最も重要なのは日雇い労働者、あるいは自由労働者、すなわち屋外労働者が根幹となるだろうと思うのであります。それで第一に日雇い労働者就業します場合におきましては、申し上げるまでもなく公共職業安定所において紹介を受けるのでありますが、聞くところによりますと、安定所においては、職業安定法第十七條第一項の規定によりまして、求職の申込みが法令に違反しない限りは、必ずこれを受理しなければならないことになつていると思うのでありますが、新しい申込みを拒否したり、あるいは女子労働者にはその就業の機会を制限しようというようなことがあるように聞いているのであります。これらの取扱いの点につきまして、御答弁を願いたいと思うのであります。
  79. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの安定所におきまして、女子あるいはその他の求職の申込みを拒否するといつたふうなことがあるというお尋ねがあつたのでありますが、もしそういうことがありますれば、これは間違いなく安定法上いけないことでありますので、厳重に注意をいたして、さようなことのないようにいたしたいと存じます。
  80. 三浦寅之助

    ○三浦委員 実はその点につきましては、三多摩方面の三鷹職業安定所の取扱いとして、そういう意見があるのでありまして、この点につきまして、政府におきまして、もしできますならば三鷹の職業安定所について御調達願いたいと思います。  その次に、従来の日本労働組合運動は、工場の組織労働者のみに重点を置かれているようでありますけれども、自由労働者の数から申しましても、また自由労働者の立場から申しましても、私は自由労働者に対する組織の問題、あるいは失業者の組織の問題等が最も重要であると思うのであります。こういう点に対しまして、政府労働行政を行う場合におきまして、自由労働者なり、あるいは失業者労働組合というような組織に対しましても、十分な考慮と育成をすべきであろうと思うのでありますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  81. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 御承知のように日雇い労働者労働組合は、安定所ときわめて密接に動いていくことがきわめて望ましいことだ。かように考えている次第なのであります。御承知のように日雇い労働者は、日々の職業を得まして、それによつて生活の安定を得るという労働者でありますので、安定所によつて職業を得るということはもとより必要なのでありますが、それと同時に、労働組合の非常な御協力によりまして、そうした職業を確保するということがきわめて必要なことだと存じている次第でございます。今日までにおきましても、御承知かと存じますが、労働物資の配給その他につきまして、一、二労働組合の全面的な御協力をお願いしておりますけれども、将来におきましても労務物資の配給につきまして、さらに一層労働組合の御協力をお願いするような組織にいたしたいと存じておりますほか、日雇い労働者就職確保というふうな面につきましても、安定所と緊密一体の体制をつくりますように、目下研究をいたしておりますので、近い将来そうした線に沿うて、さらに一層努力をして参りたいと考えている次第でございます。
  82. 三浦寅之助

    ○三浦委員 従来の公共事業であるとか、あるいは失業対策事業というようなものが、大都市を中心に行われているようにも考えるのであります。ところが昨今の失業者は大都市ばかりでなくて、だんだん中小都市あるいは農村方面にも現れていると思うのであります。それでこれらの事業も、その方面に実施すべきだろうと思うのでありますが、その点に対する御見解を承りたいと思うのであります。なおまた一般土木事業に、失業者を使用するように要望があるのであります。たとえば、これも一昨日でしたかの三多摩方面の自由労働者からの陳情でありましたが、東京都下三鷹方面の労働者でありますが、井之頭公園の国費による改修、善福寺川の国費による改修、三多摩地区の水道の開設、キリスト教大学、巨人軍用のグランドの建設、こういうことを要望しているのでありますが、この点に対しまする当局のお考えをお伺いしたいと思います。
  83. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 お尋ねの第一の問題でございますが、御意見のありますように、最近における失業情勢は、大都市からさらに中小都市、農村にまで及んでいるよな状態であります。御承知のように緊急失業対策法による失業対策事業は、失業者が多数存在いたしております地域において行うということでありますので、それは必ずしも大都市のみに限つてはおりません。従いまして緊急失業対策法による失業対策事業につきましては、大都市あるいは中小都市等に関わることなく、失業者が多数出ましたならば、その地域においてこれを実施する。こういうことにいたしております。最近の例を申し上げますれば、たとえば平の炭鉱地区あるいは宇都の炭鉱地区、あるいは鉱山の企業整備等によりますと、やはり小坂銅山といつたふうな山間の土地においても行うということでありますので、私どもの方針といたしましては、大都市あるいは中小都市、そういうものには拘泥せずにやつて参りたい。かように考えている次第でございます。  それからなお次の問題は、三鷹地方におきます工事種目の問題でありますが、これにつきましてはもちろん当該地方の実情を十分承りまして、御希望に沿うような事業種目を選定したいと存じております。
  84. 三浦寅之助

    ○三浦委員 次に福利施設の問題であります。これも先ほど来陳情等によりまして、るる政府当局の意見を聞いたので、あまり重複することを避けたいと思いますが、ただ念のために、自由労働者の立場からほんとうに困る問題として、天候その他の理由で働けなかつたり、いわゆるあぶれたような場合、ことに婦人労働者のあぶれというような問題に対しての対策、あるいは託児所であるとか、あるいは無料宿泊所、公営質屋というような施設とか、あるいは医療施設というような点に対して、もう一度御答弁を願つておきたいと思うのであります。
  85. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねの福利施設の整備の問題でありますが、これは私どもも、日雇い労働者の実態から申しましてもきわめて重要で、何とかできるだけすみやかに拡充をしたいというふうに考えておるところの問題であります。しかしながら、この福利施設の拡充につきましては、これは労働省だけで参らぬものがやはり相当あります。従いまして、従来におきましても主としての所管は、医療あるいは託児、無料宿泊ということでありますと、厚生省関係の施設になるものが多いのでありまして、私どもといたしましては、将来とも厚生省の社会局方面に十分連絡をとりながら、事情によつてできるだけこれを整備してもらうように、側面的なお願いをし、また地方に対しましては、できるだけそうした線に沿うてやつていけるように援助をし、努力をして参つてきておるのであります。しかしながら、現在までのところ、まだ十分とは申せない事情にありますので、関係各部局とも相談いたしまして、特に日雇い労働者の福利施設の整備のために、さらに一層の努力を続けて参りたい、かように考えておる次第であります。
  86. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから労務物資の配給の衣料でありますが、これをなるべく原反で配給してもらいたい。そうすれば家庭において適当に処理できるというような要望もあるのでありますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  87. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまの衣料の配給の問題につきまして、私まだ十分詳細を承知いたしておりませんが、御趣旨のありまするところは、経済安定本部に連絡いたしまして、十分御希望に沿いまするように努力をいたしたいと存じます。
  88. 三浦寅之助

    ○三浦委員 次に、これも労働省だけという問題ではないから、質問としてはむりかもしれませんが、失業者あるいは自由労働者の立場からしまして、年末を控えまして二百三十円の手取りでは、とうてい家族を養うことができない、正月も冬も越せないから、越冬資金を出してもらいたいというような要望もあるのでありますが、この点に対する御意見も承りたいと思います。
  89. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 失業対策事業に就労しておる労働者に越冬資金を支出することについてのお尋ねでございますが、現行の法制の建前からいたしましても、さらに現在の予算わく内から申しましても、越冬資金を支給することは困難でございます。しかしながら、歳末におきまする失業者のいろいろな生活状態等も、十分に考えなければならない問題でありますので、十二月におきましては、安定所は休まないで勤めようじやないかということにいたしまして、十二月の日曜は東京その他大都市みなそうなりますが、安定所の職員は休暇を返上して就労をせしめる。さようなことにいたしまして、多少なりとも労働者の収入を高らしめるようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  90. 三浦寅之助

    ○三浦委員 もう一点、これは三鷹職業安定所を一応お調べ願いたいと思うのでありますが、労務物資配給の問題について、非常に不明瞭な点があるということを訴えて来ておるのでありますが、この点に対しまして御調査を願いたいということをお願いいたしまして、一応私の質問を終ります。
  91. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 十分調査いたします。
  92. 春日正一

    春日委員 先ほど三浦君の質問の中で労働組合云々という話がありましたが、それとも関連しますけれども職業安定所行つて緊急対策事業をやる労働者に対して、安定所にいわゆるボスというようなものがおる。そうしてたとえば横浜の柳橋の安定所のごときは、そういう連中が実際仕事のやりくりを握つてしまつて、自分の気に入る者には仕事をまいてやる、気に入らぬものにはまわさないということにして、仕事を独占して、仕事をさせて、仕事をしてきた連中には、ばくちをさせてまき上げてしまう。ばくちを打たぬやつには仕事を渡さぬということが言われておるのであります。これは川崎安定所の場合でも、あそこで労働組合をつくつた人がぶんなぐられて、けんかをしたという事実も起こつております。私は神奈川県で、川崎と柳橋の実情しかよく知つておりませんけれども、おそらくほかの安定所にもそういうボス的な要素がおつて失業者を救済するというこの貴重な仕事を握る、しかも乏しいものをとつて自分たちが腹を肥やす、あるいは労働組合の結成というようなことも、彼らの利害に反するために、妨害するというようなことがある。これについて、あなたの方としては、どういうふうなお考えがあり、あるいは方針をおとりになつておるか。この点をはつきりしておいていただきたい。
  93. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 顔役と申しますか、ボスと申しますか、そうした者がおりまして、労働者の就労について、組合の名においてそういうことをするということがありますれば、当然これは法の違反になるわけであります。御承知のように、安定所以外の者がそういう労務の配置あるいは募集——これは一種の募集になりますから、そういう方面のことを無届でやることは、適当なことではございません。むしろ私どもの方といたしましても、そういうことは排撃すべき問題だと存じております。随いまして、将来ともそういう顔役の跋扈しないようにできるだけ努力を続けて参りたいと思つております。しかしながら、労働組合が適正な労働組合であるかどうか、すなわち組合が民主的に運営されているかどうかという問題は、これは御承知の通り労働委員会が認定する建前になつておりますが、私どもの方でそういう点についてまだ十分わかつていない事柄があるかもしれませんので、将来とも地方の労働委員会と連絡をとりまして、もちろんさようなボスがはびこらぬようにいたしたいと考えております。
  94. 春日正一

    春日委員 私が言つたのは、労働組合がやるのではなくして、つまり労働組合のないところに、土地のいわゆる博徒といわれる人たちの子分が、何人か組んでそういう横暴を働いている。それで労働組合をつくることを妨害しているということになるのですから、この点はあなたの方でも厳重に調べて、そういう事実があつたら取締つてもらいたいと思います。  もう一つの点は、これは仕事の性質によつて、どうしてもその仕事に必要な設備というか、何というか、そういう必要なものがあるわけです。たとえば東京なんかの例で言いますと、三鷹あるいは五反田あたりからも言つて来ておりますけれども、女の労務者がどぶさらいをやらされている。ところがこのどぶさらいが、ほとんどももの辺りまで入る水の中でやつてつても、素足でやつているためにガラスのかけらその他で絶えずけがをするという状態になつているわけですが、そういう仕事をやらせる場合には、たとえばゴムの長ぐつを貸すとか何とかいう施設をする必要があるのではないかと思うが、そういうことができておるかどうか。できていなければ、やれるかどうかという問題と、もう一つは、そういう人たちが、現在水の中に入つてきたない仕事をするために、どうしてもふろに入つたり何かしなければ家に帰れない。ところがそういう窮迫した人たちだから、毎晩十円のふろ銭ももつたいないというのですが、こういう特殊な作業に対しては、特別に賃金をこのくらいの分は、高目に見積もるということをやる必要があるのではないか、こういう点についてお答え願いたいと思います。
  95. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 どぶさらいに従事しておる女子の労働者についてのお尋ねでございますが、特別な日額を出すということは、現在のところ、ないと聞いております。なお将来そうした問題については調査をいたしたいと思います。なお現場における——男女を問いません、すべての労働配置の問題でありますが、もちろん本人の能力なり、本人の適性に従つて、適正なる現場の仕事の配置をやるべきものでありまして、お尋ねのような衛生上あまり好ましくない事例がありますがどうか、十分調査いたしまして、現場々々において本人の性格なり、本人の体力なり、各般の事情を調査して、適正なる配置をするというようにいたしたい、かように考えております。なお長ぐつ等の問題でありますが、これもどの程度三鷹あるいはその他で整備されているのか、十分承知はいたしておりませんが、必要かありますれば、できるだけ整備いたしたい。かように考えております。しかしながら御承知のように緊急失業対策事業費の予算は、事務費といたしましてわずかに一人一日十五円になつておりまして、これだけで長靴あるいはその他の資材を全部そろえるといとことは、きわめて困難な問題でありますので、従つてこうした問題につたましては、地元の東京都においてできるだけ多く金を出すようにということをお願いもいたしております。目下開いておりまする都議会におきましても、こうした予算を計上するように、お願いをいたしておりますので、逐次よくなると私は思いますけれども、今すぐ何もかもそろつているということは言えないだろうと、かように考えます。
  96. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまの決議案につきましては、なお慎重を期するために、次会に審議を継続いたすことにいたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十分散会