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1949-11-25 第6回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君    理事 小峯 柳多君 理事 庄司 一郎君    理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君    理事 川崎 秀二君 理事 風早八十二君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       淺香 忠雄君    天野 公義君       江花  靜君    大橋 武夫君       大上  司君   岡村利右衞門君       角田 幸吉君    北澤 直吉君       小金 義照君    小平 久雄君       坂田 道太君    島村 一郎君       周東 英雄君    高橋  等君       田中 啓一君    玉置  實君       西村 英一君    丹羽 彪吉君       船越  弘君    松浦 東介君       松野 頼三君    松本 一郎君       南  好雄君    稻村 順三君       西村 榮一君    水谷長三郎君       北村徳太郎君    中曽根康弘君       村瀬 宣親君    野坂 參三君       深澤 義守君    米原  昶君       奧村又十郎君    小坂善太郎君       山本 利壽君    平川 篤雄君       松本太郎君    黒田 寿男君       世耕 弘一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 殖田 俊吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         通商産業大臣  稻垣平太郎君         運 輸 大 臣 大屋 晋三君         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君         労 働 大 臣 鈴木 正文君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         国 務 大 臣 青木 孝義君        国 務 大 臣 木村小左衞門君         国 務 大 臣 樋貝 詮三君         国 務 大 臣 本多 市郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         人  事  官 上野 陽一君         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局長)         大蔵事務官   河野 一之君         (主計局次長)         大蔵事務官   東條 猛猪君         (主計局長)         大蔵事務官   平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衛君         物価庁次長   福島 正雄君         林野庁長官   三浦 辰雄君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         (鉄道監督局)         運輸事務官   足羽 則之君         経済安定政務次         官       西村 久之君  委員外出席者         專  門  員 小竹 豊治君 十一月二十五日  委員井手光治君、尾崎末吉君、塚田十一郎君及  び武藤運郎辞任につき、その補欠として船越  弘君、大橋武夫君、江花靜君及び福田昌子君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)  昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)  昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一  号)     ―――――――――――――
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  質疑を許します。世耕弘一君。
  3. 世耕弘一

    世耕委員 安本長官に数点、簡單にお尋ねいたしたいと思います。  国家資源開発にあたつて、当然われわれが考えられるのは、水力発電開発であります。しかしながら現在のような日本経済状態では、自力で開発するということは困難のように考えられる。どうしても外資導入が必要になつて来ると思うのであります。この点についてどういう見通しがあるか。なおまた今問題になつておりまする大きな水力発電については、只見川とか、あるいは熊野川開発という問題も出ておりますが、具体的に何か進行されておるかどうか、まずこの点についてお尋ねいたしたいと思います。
  4. 青木孝義

    青木国務大臣 世耕委員質問お答えを申し上げます。  日本産業根幹である電力開発問題は、きわめて重要な問題であります。これにつきましては今年度三十三箇所の電力開発ということを目ざしまして、すでに関係筋からも計画が出ております。今年度は特に十七箇所ほど着工する段取りになつておりますから、これらを考えますれば、これは必ずしもよけいにはございませんけれども、全国的にこの開発計画が配分されておりますので、相当電力増加を期待できると思います。なお外資導入という問題でありますが、御承知かと思いますが、只見川開発という問題は、これは日本の資本でやるというようなことについてはなかなか容易ではございません。われわれしろうとが考えても十年、十五年を要するという、實に日本におけるTVA開発計画というような、大がかりの計画を立てなければならぬ重要なものでありますので、これについてはわれわれとしては、ぜひ外資導入してやつたらばよかろうという方針で進んでおる次第でございます。なお四国の那賀川、熊野川等に対する電力開発について、政府としては十分調査等をいたしている次第でございます。
  5. 世耕弘一

    世耕委員 予定の三十三箇所、並びに年度内に十七箇所施工するというお話でありましたが、この場所名前がおわかりでしたらこの機会に御発表願いたいと思うのであります。  なおついでにもう一点伺つておきますが、外国貿易が進展するに伴つて自然産業界も発展が伴うのは当然だと思うのですが、これについては失業者はどの程度吸收できる見込みがあるか。
  6. 青木孝義

    青木国務大臣 電力開発箇所につきましては、後刻政府委員からお答えをいたします。  失業者の吸収は、失業状態から考えますれば、大体今年度三十九万程度失業者考えまして、そうして公共事業その他電力開発とかいう問題を対象といたしまして、その方面に吸収できるものは吸收いたしたいという考えでございます。
  7. 世耕弘一

    世耕委員 ただいま私が質問申し上げた点について政府委員からお答えがあるというのですが、なるべく早くお答え願いたいと…思います。  次にこれは建設大臣にもお尋ねしておきたいと思うのでありますが、日本土木工事その他について考えてみますと、多くはつるはしとシャベルで工事をやつているという傾向が多く、原始的であります。機械力の応用ということが、開発事業には重要な役割を果すものと私は考えております。これについては、少くとも建設省並び安本にはいわゆる機械化という点から、相当考えがあつてしかるべきだと思うが、この点はいかがでありますか。
  8. 青木孝義

    青木国務大臣 日本はそういう点において技術的に遅れておる、あるいは機械力等に欠けておりますので、外資導入等対象になつておるものにつきましては、それらの点を勘案いたしまして、できるならばそういう開発資材機械類等をともにこの外資導入の中に含めて、そうして輸入する計画が問題になつておる現状でございます。
  9. 世耕弘一

    世耕委員 次にお尋ねいたしますが、最近は石炭木炭等燃料については、かなり豊富で、どうかすると場所によつては、もてあましておる感があるのであります。それ以外に石油並びにガソリン等燃料がかなり強く制限されて来たようであります。このままで参りますと、日本産業交通その他の関係にも非常な影響を及ぼすものと思うが、この点について何か安本では御計画があるか、石油のないドイツのごときに、人造石油のような代用燃料をもつて充てる方法も、それぞれ科学的に解決しておるのでありますが、日本ではこの点について、どういうお考えをお持ちになつておるか、伺つておきたいと思います。
  10. 青木孝義

    青木国務大臣 燃料の問題は重要な問題であります。石炭はお説のように大分滞貨があるというふうに言われ、これがいろいろと今後の日本一般燃料として使われるのは、すでに実行に移されかけておる状態であります。なお石油ガソリンの制限ということでございますが、これはわれわれも非常に心配をいたしておるのでありますが、御承知と思いますが、だんだん統制を緩和し、撤廃して参ります過程におきまして、燃料問題等におきましてもいろいろと従来と変化して参ると思います。ことにわが国の自国でできる燃料ということを考えますれば、今回の石炭自由販売ということから、それがいろいろ計画せられて来るものとも考えますし、またそれほど質のよくない石炭等におきましては、相当交通方面における燃料として、いろいろ民間においてはくふうされておるような状況でありまして、今後ガソリン等については、いろいろ心配はございますけれども、漸次燃料については、増加ができて行くであろう。民間における企業等においていろいろくふうせられておりますが、国としては別にそういう問題について、特にこれをどうするかということになれば、輸入の増加をはかるという一点なのであります。しかしまた国内における自由経済活動の面において、何かとくふうせられて参ることと考えあわせて、国としても十分その点は考えて参りたいと存じております。
  11. 世耕弘一

    世耕委員 人造燃料お話がなかつたようでありますが、あとの説明のとき加えておいていただきたいと思います。  次に現在の賃金並びに給與ベースをこのまま維持するつもりか、あるいは将来改訂する意思があるかどうかということをお尋ねしておきたい。  次にこれは農林大臣にもお聞きしようと思つておりますが、ついでに安本長官にもお尋ねしたいことは、米価審議会決定した価格が、俵代を入れて四千八百五十五員、閣議決定が四千二百五十円、俵代を入れて四千四百五円、農民の要求するものは五千七百円、三通りありますが、これは閣議決定でこの方針をきめたのであるが、この間の食い違いがどこから生じて来たのであるか、パリテイー計算にそんなにところと場所によつてかわるのであるか、この点に少し疑問を持てるのじやなかろうかと思う。この点について安本としてどういう御判断をしておられるか、しいてはお尋ねいたしませんが、お立場なりの御説明を願えればけつこうだと思います。
  12. 植原悦二郎

    植原委員長 世耕君に申し上げますが、その点はここでもうすでに質問されて、農林大臣から答弁されておることです。安本長官答弁は今までございませんけれども、なるべくひとつ他のこともお考えくだすつて、繰返しの質問だけは避けていただきたいと存じます。
  13. 青木孝義

    青木国務大臣 給與ベースの問題でありますが、これはいろいろと政府財政等とにらみ合せて検討中でございますが、今年度におきましては、ともかくも現在のベースを維持して行きたいと考えておる次第であります。  なおただいまの御質問の、米価については三様の考え方があるということであります。もちろん御承知かと思いますが、生産費計算というのは、日本農業におきましてはなかなかむずかしい問題でありまして、ことに日本農業特殊性から考えましても、容易にこの結果は出て参りません。そこで一応出ておりますものを対象にして考えてみますと、生産費計算が非常にまちまちであるから、結局昨年あたりからやつております従来のパリテイー計算というものに落ちついておるわけでありまして、今年度は御承知かと思いますが、特に米価を民主的に決定するという方針のもとに、米価審議会をやりまして、そこでそれぞれの代表の方方の御意見等から結果いたしましたその答申が、四千七百円という数字でございました。しかしそのことは財政関係その他で、なかなかそれを決定することができませんで、先ほどおつしやいましたように、基本米価四千二百五十円ということに決定が相なつたのであります。そうして超過供出については二倍ということに決定されたような次第でございまして、われわれとしては、今年度のこの米価決定につきましては、やはりマル公物価にさらに加えまして、自由物価についてもこれをパリテイー計算の中に取入れまして、できるだけ生産費的なものを加味するという考えを持つていたしたのでありますが、結局四千二百五十円ということに相なつた次第でございます。さようなわけで、いろいろお説はあると思いますが、現在のところに、原則としてパリテイー計算でやつておるということであります。
  14. 世耕弘一

    世耕委員 今お尋ねしたのは、次の問題を解決していただこうと思つて実はまわりくどいお尋ねをして、委員長から御注意を受けたのでありますが、給與関係米価比率関係を、ごく概数でありますが調べてみますと、給與ベースが千八百円のときは米が千七百円前後、三千六百円のときは三千五百円しておつた。それが六千三百円ベースになると今度は四千二百五十円、この間の開きが非常に大きいのです。こういう関係の調和をどこでおはかりになるか。実質賃金を上げてと言うけれども、そう簡單に行くことは私は困難でないかと思う。ここで実は結論を出していただこうと思つて、まわりくどい御質問を申し上げたのであります。しかしこの結論は、今ここで返答してくれということは申しませんが、十分この点を御考慮願いたい。すなわち賃金ベースに対しても愼重の御考慮を拂つていただきたいということ、この点を私は申し上げたのであります。御答弁がなければけつこうでございます。
  15. 青木孝義

    青木国務大臣 米価並びに賃金ベースの問題については、経済安定本部として十分今後とも検討いたしたいと存じます。
  16. 世耕弘一

    世耕委員 建設大臣がおいでになつたからお許し願いたいと思います。先ほど安本長官にも聞いたのでありますが、日本土木事業というものは、どうも封建的な機械使つてはなはだ非能率的である。これは進駐軍あたり工事状況を見ればわかるのであります。こういう意味において、進歩的な考えを持つておる建設大臣は、おそらく日本土木事業その他の機械化ということについて、相当深いお考えを持つておられ、あるいは御計画があろうと思いますから、この機会に御発表を願いたいと思います
  17. 益谷秀次

    益谷国務大臣 世耕君の仰せのごとく、日本建設機械は、よほど遅れております。そこで建設当局といたしましては、近年建設工事機械化ということに関して重大な関心を拂つております。本年は道路、河川等に関する機械は約十一億の予算を計上いたしまして、そうして機械を買つたり、あるいは既存の機械を修理いたします等のことに努めておるのであります。来年度におきましては、これ以上の予算を計上いたしまして、機械化に努力いたしたいという所存であります。新規の機械はもとより購入いたさなければなりませんが、旧内務省時代からたくさんの機械がございます。すでにこれは使用にたえないようなものもございます。これらのものは処分をいたしまして、使えるものは修繕整備をいたして参りたいと存じます。と同時に、日本の国情、地形と申しますか、そういうものにふさわしい機械をつくらなければなりませんので、そういうものの研究あるいは助成ということにも思いをいたしておるのであります。同時に、オぺレーターと申しますか、運転士と申しますか、機械を操作する者、こういう者の育成にも今後なお一段と力を注いで参りたいと存じておるわけであります。そうしてこれは政府直轄仕事のみならず、地方公共団体土木事業にもこれを十分に活用せしむるようにして、機械の普及をはかつて参りたいという考えでございます。
  18. 世耕弘一

    世耕委員 新しい機械を使用するについては、自然技術者の養成ということが必要だと思いますが、そういう方面について何か積極的な御計画がございますか。  なお特に耳新しく、土木その他の方面について能率を上げるような機械の購入の御計画や、あるいは現に購入したものがございましたら、この機会に発表していただきたいと思います。
  19. 益谷秀次

    益谷国務大臣 機械を製作する方面は、おのおの政府といたしまして相当機械を購入する、あるいは機械研究を助成するということをいたしておりますので、民間会社においてはそれぞれ專門の技術者を備えておるようであります。ただ機械は特殊のものでございますから、操縦士と申しますか、オペレーターと申しますか、それはやはり建設省といたしまして、十分に留意いたして参りたいと思うので、そういう方面にも今後なお一層力を注ぎたいと思つております。  それから新しい機械のどういうものを購入したかということであります。私名前をちよつと忘れましたが、最近御承知の富山県の常願寺川――四十メートルくらいの高さで、これは天井川と申しまして、よほど高くなつておる川であります。砂礫がたくさんあつて機械の名は失念いたしましたが、それを電気でまわしまして、そうして砂利をすくい上げますが、一回三分間くらいで往復六分かかりますから、それでトラツクに一ぱいくらいすくい上げて来るようであります。そういうような進んだ機械もございます。これはよほど大きい機械でございまして、常願寺川のような特殊な河川にしか使えないのであります。これの小型をなお産業会社に命じてつくるようなこともいたしております。また霞浦の浚渫のために約一千馬力くらいの船を入れております。それらは電気事情が許しませんからフルに運転はいたしておりませんが、晝夜兼行にやりますと、一箇月に十方立方メーターをすくい上げる。そしてこの附近は御承知通り沼地でありますから、そこヘすぐ放水するように、まつ黒な煙のようになつて来ますが、それで立ちどころにできるというような機械があるようであります。私專門家ではございませんので、機械名前等を失念いたしましたが、いろいろ種類のかわつたものがあるのでございます。これは非常に工事の費用を節減いたしますと同時に、事業量が非常に多くなる。同時に仕事が非常に迅速に行くというので、ぜひともこれはできる限り機械化をして参りたい。そのためには機械の奨励というような方面にも、及ばずながら心をいたしておる次第でございます。
  20. 世耕弘一

    世耕委員 こまかく御説明願つてけつこうでございますが、もう二点ばかりお聞きしておきたいと思うのは、日本でさような機械を製造するような技術者を養成することが必要である。同時にかような込み入つた機械を操縦する技術者を養成する、この二点が必要なのであります。同時に今の大臣の御説明よりももつと進んだ考えから、この機会に、よく日本政府からアメリカ等に観察にやるのに行政官が多く行くようだが、技術官の派遣もお許し願うような御交渉をなさることが、今日非常に適切じやないかと思うのです。ことに災害対策あるいは災害復旧等には機械化まつよりほかにない。一人の働きが十倍も百倍もの機械化によつて行くことにより、つるはしやシヤベルをもつてつておると一箇月かかるのが、わずかに三日でできるという、幾多の例があるのであります。こういう点について特に御考慮を拂つていただきたいということをお願いしておきます。  次にこの機会小澤大臣がお見えになつておりますから、小澤大臣に一言お聞きしておきますが、どうも通信事業緒外国の例から見て非常に遅れておる。敗戦国だからといつてことさらやかましく論じ立てるわけではありませんが、私がたとえば大阪を立つときに電報を打つ。もつとも私は急行で来るのですけれども、その電報至急報で打つて、私よりも三時間か四時間くらい遅れて来る。これは着いた電報の配達が遅れておるのか、あるいは事務が怠慢なのか、こういうことが、いわゆる吉田内閣の善政が末端に及んでいない。幸いに総理初め各閣僚諸君が非常に御努力されているその精神が、末端にしみ込んでおらないということは、はなはだ遺憾であります。この点御答弁願えればけつこうであります。
  21. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えいたします。言うまでもなく通信の任務というものは、最低の料金で正確に、しかも迅速に通信を行うことが使命であります。従つて現在のサービス、現在の速度、現在のあらゆる機関戦前から見て非常に劣つていることは率直にお認めをします。これは電話におきましても、戦前におきましては約八百万個あつたのでありますが、戦災によつて約五十万個に減つております。それから電報回線におきましても同じであります。さらにその三割程度の線は進駐軍の方で專用いたしておりますので、なおそれに倍加して遠隔地通信設備が不完全になつております。しかし線の不足ばかりでなく、さらにこの従業員心構え等もございますし、ことに郵便等においては一定の検閲客観情勢でやつておりますので、従前二日間かかつたものが四日、五日かかつていたのでありますが、幸いわれわれが関係方面に要請いたしました結果、最近におきましてはこの検閲制度が廃止されるような喜ばしい状況になつておりますから、漸次回復して参りますが、要は災害復旧をすみやかにやること、それからこれに携わる従業員諸君の真に通信従業員としての職責を考えてもらつて、まじめに通信業務をやるということ、さらに従業員諸君に対しましても福祉、厚生資金等を十分にやるというような見地から、極力本来の使命である正確迅速、しかも料金の低廉なることを望むような方向に進んでいる次第であります。
  22. 世耕弘一

    世耕委員 こまかい議論を抜きにいたしますが、通信事業は将来民営に移す考えはありませんか。今月の民主主義時代においてむしろその方が理想的ではないかと私は思います。
  23. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 通信事業と言いまして、大体そういう議論のあるのは電信電話方面でありますが、通信事業の方は大体各国とも官営となつておりますので、この電信電話については民営化するのが、適切ではないかというような御意見もあるのであります。また政府部内においてもそうした考え方がないわけではないので、要するにわれわれの考えといたしましては、民営にすべきか、官営にすべきか、あるいはこれの中間の公企業体にすべきかというようないろいろな考えがございますけれども、これを実施するにあたりましては、公企業体にすることによつて国民諸君にどれほど通信の改善、あるいはサービスがよくなるか、またこれを民営にすることによつて、どれほど通信サービスが良好になつて国民の希望するようなものになるか、ということが先決問題なのでありまして、現在内閣におきまして電信電話復興審議会において今審議しているものは、要するに端的に民営とか、端的に公共企業体と言わずに、理論づけまして、これら電信電話日本の現在の経済、現在の情勢、現在の文化の面から、およそどの程度電話個数が必要であろうか、先ほど申し上げた通り日本には約百万個の電話でございますが、この百万個の電話を見ますと、アメリカでは大体四人に一人の電話でありますが、日本では七十人に一人というような電話になつておりまして、このようなことでは、とうてい先ほど申し上げました政治、経済文化根幹である通信事業の完備ということはできないのではないか。では一体日本現状にどれだけの電話が必要か、あるいは二百万個必要だという意見もあります。あるいは三百万個必要だ、あるいは五百万個という意見もありますが、大体その審議会意見等を參酌してみますと、少くとも二十五人に一人くらい、すなわち三百万個の電話日本の現在の経済状態では、必要ではないかというような考えが出て来るのであります。三百万個の電話ということになりますと、現在の百万個の電話にプラスすること二百万個の建設が必要だということであります。二百万個の電話建設をするには、どれくらいの資材がいるか、どれだけ資金がいるか、ということを研究しなければなりませんし、一歩進んでその資金資材の面がはつきりしましたならばこの資金をどうして得るか、この資材をどうして製造するかという方面まで堀り下げて考えて、現在の官営ではとうていこうした資材が入らない、資金が入らないというような場合に、それでは外資で入るか、民間からその資金を吸收できるか、という点が明らかになつた場合において、なるほど民間ならば入る。あるいは公企業ならば入るというような見通しがつき、しかも国民諸君に対するサービスも、現在より以上に改善されるというような見通しがついた場合において、初めて今世耕さんのお話のような民営にすべきか、あるいは公共企業体にすべきか、現在通りの官営で幾多の改善をすべきかという結論を下す方針でありますので、現在においては、ただちに民営にするとか、あるいは公共企業体にするということは考えられませんが、要するに国民大衆の最も切望する、理想的な電信電話に復興すべく、目下考慮中でございますので、今ただちに民営が賛成であるという程度には至つておりません。
  24. 世耕弘一

    世耕委員 よくわかりましたが、大臣はどうも消極的な考えが多いようで、結論を言えば、泣言に終つているような感じがいたします。もう少し奮発していただきたいということをお願いいたします。  次にこれはあなたの管轄かどうかわからぬが、放送局――もうすでに世界はテレビジヨン時代になつて来ている。やがてこれは日本にも問題になつて来ることと思います。ところが日本は放送局は單一で、われわれはヨーロツパの実情をずつと見ましても、何かにつけてどうも非常に遅れている。それを一々申しませんが、それについても鋭敏な大臣は、当然何かここに新しい構想を持つているだろうと私は思う。ひとつこういう点についての御抱負を承りたい。
  25. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えします。放送関係の問題でありますが、すでに新聞紙等でも御承知のように、放送関係の三法案、すなわち電波管理委員会設置法案、それから電波法案、放送法案というものを実は本国会に提案の予定で、いろいろ準備を進めて参つておつたのでありますが、関係方面との折衝が終了しませんので、あるいは本国会には間に合わずに、来るべき通常国会に出すことになると思うのであります。その内容とするところは、現在の放送局というものをパブリツク・コーポレーシヨン――公共企業体にいたしまして、すなわち政府に近い機関といたしまして、一つの独占機関にいたします。一方名地に中波を基礎とした民間放送を許しまして、これは一般国民料金は徴收しないで、つまり広告料金だけで経営をまかなう。しかし公共企業体の方は独占的でありますから、一定の料金を徴收する。しかもこの内容の組織は、今お話のテレビジヨンというものも、日本には技術的には完全なものがあるのであります。ただこれを大衆化するようか安い金額で、一般民間にその機械器具が入るようになりますれば、早々の方におきましては、そう困難ではないのであります。ただ現在の日本のいわゆる機械製造能力におきましては、相当に高いものになりますから、これを普及することに相当年数を要することははつきりいたしておるのでありますが、ただいまのようにいたしまして、まず現在の放送局を公共企業体に改組いたします。公共企業体に改組する一方、他の民間放送局というものも許し、しかもこれは現在の放送だけでなく、テレビジヨン式にもいつでもかえ得るような法案の組織になつておるのでありますから、だんだん日本の技術が進歩いたしまして、そうしてコストが安くなつて、このテレビジヨンの機械簡單国民大衆に入るようになりますれば、いつでも設備するだけの技術的研究が終つて、試作品もいろいろなものができて、むしろ米英よりも優秀だというような機械さえも日本で生産されておるのでありますが、ただ値段の点において大衆向きではないので、何とかコストを下げて、大衆向きにするような構想を描いておりますが、なおこの放送局の組織等につきましても、詳細な説明をお望みでありますれば、御説明申しますけれども、一応概略だけを申し上げておきます。
  26. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつと簡単に本多国務大臣にお尋ねいたしたいと思います。昨日総理にちよつと片鱗だけ伺つたのですが、顔の様子を見ると、この上相当行政整理をやり、並びに人員淘汰等もやる腹構えがあるように私は感じ受取つたのですが、今後の行政整理、人員整理等について、国務大臣に何かお考えがあれば、この機会に承つておきたいと思います。
  27. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御承知のごとく、前国会で決定を見ました定員法に基く行政整理は、九月末日をもつて計画通り完了いたしたのでありますが、その後も政府といたしましては、機構人員の縮減という方針を堅持いたしておりますので、さらに研究を進めておりますが、ただ前回の全般的な行政整理というやり方により、再びやるという考えは、ただいまのところ持つておらないのでございます。御承知の通り、行政機構はその事務状況によりまして、機構、人員においても変化のあるものでございますから、その後の状況等の変化に対応する整理を、調査の結論のでたところからやつて行きたいと考えております。特に統制の撤廃あるいは簡素化に伴いまして、機構、人員の縮減を要する部門も出て参りますので、そうしたところを遅滞なくやつて行きたいと考えておるのでございます。
  28. 世耕弘一

    世耕委員 昨日総理に伺つたのですが、いずれ人事院総裁が御出席になつたらお聞きしようと思うのですが、人事院では高級官吏の試験をやるということを発表されている。試験は学校試験だけか、あるいは人物試験もともに行うのか、これは大きな問題であります。なぜそういうことを言うかというと、近ごろの官吏全部とは言わないが、素質の悪い者がたくさんある。それがために、せつかく優良な官吏の名誉を傷つけることがはなはだしい。そういう意味からむしろ学術試験よりも人物試験を中心にしてやること。なおもう一つは閣議でいかにりつぱなことを決定しておいても、末端において、途中でその善政が常に曲げられているということ、これ大蔵大臣にも私は事実をあげて説明しようと思うのだが、税の取立て等に対しての非常な矛盾した、政府方針と相反したことがかなりあるのです。本多国務大臣は直接に御関係ないかもしれないけれども、こういう点について何かお考えがあるかどうか、承つておきたいのであります。
  29. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまお話のありました趣旨につきましては、同じような考えを持つておるのでございますが、今回の人事院の試験につきましては、これは法律に基いて人事院がこれを決定して、その方針をきめることになつておりますので、私の方から直接は関與できないのでありますけれども、希望といたしましては、その試験の結果、真に行政を行う公務員としての適格がどういうことでよくわかるように試験ができるかという、誤らない試験をしていただきたい。これにつきましては、政府といたしましても、いろいろ希望を各省から申し出ておるようでございます。そういうことで真に公務員としての適格者が選ばれるというような試験になりますことによつて、いろいろ今日まで行政上好ましからざるような人物が、だんだん淘汰されて行くことになつて来ようと存じます。幸い今回の行政整理におきましては、国費上の節減額は御承知の通り平年度約二百億円となつておるのでありますが、この行政整理の結果、公務員の気風等も一新されて、たいへんによくなつたという一般的な風評を得ておるように思います。こういうふうに公務員の気風を一新して行く。そうして真に国家公務員たるの精神に徹して努力してくれるようにという指摘は、政府も努力して行く考えでございます。
  30. 植原悦二郎

    植原委員長 世耕君、あなたに割当の時間は、もう十分しかありませんから、そのおつもりで……
  31. 世耕弘一

    世耕委員 人事院の高級官吏の試験に対して、閣議で問題になつている。閣議では大半人事院の案を否決するような空気があるということが新聞に出ておりましたが、もちろん新聞の誤報でございましようが、私はそういうことはなかろうと思う。むしろ少くとも本多国務大臣がいる限り、私はこの点は心強く感じておるのですが、重ねて承つておきたい。なおこれは皮肉でも何でもない。私は率直に申しますが、野におる時分の御所論と、朝に入つた場合の所論が、往々にしてかわつて来る。皆さんがそうという意味だというわけではありませんが……。ことに官僚の気にいらんがために、往々にして省内の空気をよくするために迎合するきらいがある。これでこれまで政党政治がせつかく成立ちながら、ゆがめられて来ておる。私はこれははなはだ遺憾だと思う。きようも出ておりましたけれども、森農林大臣が野党側のやり玉に上つて不信任案を提出されておるということを私は聞いておるのですが、私は森君をよく知つておりますが、近来の農林大臣の中で最も有望な農林大臣だ。私は偽らないところこう思つている。それが評判が悪くなつたということは、彼が所信を曲げないで実行するからである。もし官僚の連中に迎合すれば、非常に人気のある農林大臣ができるかもしれぬ。今業績をずつとあげてみると、従来農林省がやらなかつたところの案をどんどん実行しておる、しかしまだ十分とは言えません。けれども野党、官僚の間にはさまれて苦心しておるだけのことは同情をもつてしかるべきだ。不信任案はもう少しあとでまとめてやるならよい。内閣全部をまとめての不信任案なら賛成だ。けれども部分的にやるのは、私の考えを申しますれば、これはおとなげない。しかも優秀な農林大臣である。党出身で党の苦労をして、でき合いの一、二度当選して来て、急に政党政治家になつたような意味の大臣とは違うということを、この機会に友人としてではなく、一代議士として、国民の代表として私は一言加えておきます。
  32. 本多市郎

    ○本多国務大臣 新聞にいろいろと伝えられたりしておりますので、政府としてもこの試験が適当な方法で行われるようにというような希望は、連絡をとつておりますが、人事院の権限で行うものを、閣議でもつてこれを中止させるというような決定をすべきものではないと考えておりますので、そういうことをしたこともありません。さらに政府としては、ただいまお話の通り、われわれは常に国務大臣であろうというその信念に基いて、すべての政策の決定にあたつておるのでございます。
  33. 世耕弘一

    世耕委員 まだ大蔵大臣のほか運輸大臣にお聞きしたいことがあるのですが、御出席がありませんから……
  34. 植原悦二郎

    植原委員長 ここで休憩いたしまして、引続いて午後は一時から開会いたします。     午後零時十四分休憩      ――――◇―――――   午後一時參十六分開議
  35. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を許します。勝間田清一君。
  36. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それでは大蔵大臣に御質問をさせていただきたいと存じますが、最近大臣も御案内の通りに、世間では非常にドツジ・ラインの修正ということが要求されておると思うのであります。特に最近では労働組合関係も、相当この問題は重要視して、声を高くしておりますし、また中小商工業者なども、非常に重大な関心を実は持つておるわけであります。農民にいたしましても同様であろうと思います。これはこの前の湯河さんの話から申しましても、なかなかその点は鋭くつかれておると思うのであります。なおこの前の参考人としての富士銀行の迫さんにいたしましても、もつとドツジ・ラインの緩和が遂げられなかつたか、こういう点が指摘されておるのであります。もとより経済を安定と自立の上に置くためには、相当思い切つたことをやらなければならないし、また相当思い切つたことをやる場合には、再三大臣が御説明なつたように、ある程度のリアクシヨンというものがあるものですから、このリアクシヨンというものも避けなければならぬということもあると思います。そこで私はいろいろの点でお尋ねしたいのでありますが、はなはだ恐縮でありますけれども、ドツジ・ライン自身について大蔵大臣にどうお考えになつて、どこに重点があると考えて、今度の予算の編成に当つてあられるか、この点をひとつお伺い申し上げたいのであります。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 ドツジ・ラインということを言つておりますが、これは吉田内閣財政経済政策でございます。たびたび申し上げておりますように数年にわたります、あるいは長くは十数年にわたりますインフレーションを、できるだけ早い機会に收束せしめ、自立経済また国際経済市場を通じての自立経済に持つて行くのが、われわれの政策であるのであります。
  38. 勝間田清一

    ○勝間田委員 インフレの收束という問題と自立の問題とはもちろんでありますが、インフレの收束の一番重点はどこに置かれておりましようか。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 通貨安定、物価安定、そうしてまた経済の復興にあるのであります。
  40. 勝間田清一

    ○勝間田委員 通貨の安定という問題でありますが、通貨安定の場合に、安定自体というものを取上げてみまして、通貨の増発という面を考えていらつしやるか、あるいはむしろこれを縮少する考えでいらつしやるか、あるいはもちろん経済をノルマルな意味においての増加は必要と思いますけれども、現段階においての通貨の量というものについては、どうお考えになつていらつしやるか。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 通貨の安定は、やはりその裏には通貨価値の維持というものがあるのであります。従いましてその経済事情に応じまして、適正な通貨であることが望ましいのであります。それには経済事情の変化によつて増減はあるものと思いますが、私といたしましては、大体今の段階におきましては、この程度でよいと考えております。
  42. 勝間田清一

    ○勝間田委員 通貨の量は大体この程度でよいと言うことは、現在では相当通貨は縮小を現に見ておるわけでありますが、この通貨の縮小の面というものを、やはり続けていらつしやろうというお考えでありましようか。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 通貨の縮小と断定なさるようでございますが、私はあえて通貨を引締めようという気持はございません。
  44. 勝間田清一

    ○勝間田委員 しかし現に通貨の縮小を相当見ておるわけであります。もちろん季節的の意味においては、十二月を前後といたしまして、若干ふえるだろうと思うのでありますが、しかし予算の編成の上において、通貨の縮小を来すような政策が、十分この中にくみとれると私は考えるのであります。たとえて申しますれば、この前もお話がありました通りに、いわゆる見返り勘定の使い方にいたしましても、また復金債の償還にいたしましても、いろいろの面を見てみますと、確かに通貨を縮小させる線が非常にそれ自体出ておる、こういうように考えるのでありますが、この点はいかがでございましようか。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金が予定通りに出なかつたからとおつしやるのでありましようが、私は先般もこの議場で申し上げましたように、今後相当出るものと期待しておるのであります。従いまして今の通過の状況は、二十四年度当初予算を組みました場合に、私の想像しておる通りだと思います。この程度が適当だと考えます。
  46. 勝間田清一

    ○勝間田委員 予算編成当時は、大体三千五百億ぐらいだつたと私は思うのでありますが、通過を増加もせず、またそうかといつて縮小もしない。ちようど中間の線をねらつて行くというのが、たしか大蔵大臣の御答弁だつたと私は思うのでありますが、事実は収縮したのではございませんでしようか。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 昨年の年末が三千五百億でございます。そして御承知のように、二十三年度内、すなわち今年の一月から三月までに千億円余の政府の受超になつております。その関係上、四月ごろに三千億円台になりました。今は大体それを続けておる状態であります。
  48. 勝間田清一

    ○勝間田委員 通貨の縮小の問題については、まだ十分納得が行くと思いませんが、それはその問題として、ぜひ取上げて参りたいと思いますのは、この前のシヤウプ勧告案の中で非常に傾聴に値したと私が思うのは、この予算がたしか超均衡予算だということを言つております。このシヤウプ氏の言つた超均衡予算ということについて、あなたはどうお考えになつていらつしやいますか。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 普通の意味の均衡予算よりは、やはり均衡の意味が強くなつております。その感覚が相当ありますことをシヤウプは言つておるのであります。しかしあのインフレを収束するためには、超均衡予算といわれるような予算を組むのが適当であつたと考えます。
  50. 勝間田清一

    ○勝間田委員 さらにお尋ねしたいと思いますが、いわゆる国債及び復金債の償還というものに対する態度、これは私は非常に重要な問題だと実は思うのでありまして、あえてシヤウプの言葉をかりなくても、おそらくドツジ・ラインの一番のキー・ポイントである、こういうふうに考えられますがゆえに、国債及び復金の償還という政策を、今後どう続けられて行くかという問題が、一つのわれわれの興味であります。そこで来年度、昭和二十五年度予算において、いわゆる復金債、国債の償還ということを、一般会計及び見返りでどの程度考えていらつしやるか、この点をお尋ねしたい。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま一般会計並びに見返りの資金特別会計で、どれぐらいの債務償還をするかということを発表する段階に至つておりません。一般会計におきましては、大体拂いが五百億円程度にいたしたいと考えております。
  52. 勝間田清一

    ○勝間田委員 たとえば本年の三百三十億とか、あるいは六百三十五億とか、約一千億に近いいわゆる復金債、国債の償還を行つて行かれる。また今のお話によると、一般会計で大体五百億――五百七億程度の償還をされて行く。そうすると、見返りがある程度まで出て来るだろうと実は考えるのでありますが、この復金債及び国債の償還というものを、一体どういう基準でその金額を定められるのか。私はおそらく思いつきでそれぞれの金額を出されると思いませんが、そういう数字が出る根拠というものを実はお尋ねしたいのであります。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 財政経済状況の見通しによつて考えなければなりません。従いまして今年度債務償還と申しますか、租税で今年度取上げたものでどれだけをやるか、来年度においてどれだけやるかという問題は、おのずから経済情勢の変化によつて考えなければならぬ問題であります。見返り資金で償還する問題は、これは別でございます。これはまた議論のあるところでございますが、見返り資金は一応別にいたしまして、一般会計でどれだけの債務償還をやるかという問題は、財政経済上の状況によつて判断いたしておるのでございます。
  54. 勝間田清一

    ○勝間田委員 財政経済の都合によつて、一般会計による債務償還の額をきめて行かれる、こういうわけでありますが、はなはだしつこいようでありますけれども、その場合の條件というものはまだあるのじやないかと思いますが、お尋ねしたいと思います。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 一般財政経済状況と申しますと、主として収入が租税の中でどれくらい入る、そうして経済界の動向がどうということできめて行くのであります。従いまして今年度租税収入等によりまして償還します金額と、来年度におきまして償還する金額は、御承知の通りインフレの収束の見通しがつきましたから、今年度よりは来年度は少くする考えでございます。
  56. 勝間田清一

    ○勝間田委員 本年度よりも来年度を少くするということでありますが、これは一般会計だけでありましようか、あるいは見返り勘定を含めてでありましようか。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げておりますように、債務償還の問題につきまして、見返り勘定は別個に取扱うべきものだと私は考えております。
  58. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これもシヤウプの言葉をかりては、はなはだ恐縮でありますが、シヤウプ氏は御案内の通りに、いわゆる地方債の発行を相当上まわる程度のところでいいのではないか、これがあまり大きくなりますと、税に非常なむりがかかつて来て、税改革がほとんど不可能になつて来るというのは、これは相当大きな勧告だろうと考えておりますが、地方債の発行というものが最小限度と考えてよろしいでございましようか。その点についてはどうお考えになつていらつしやいますか。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 シヤウプ博士は地方債の発行ということについて、債務償還の問題と兼ねあわせましてお考えになつているようでありますが、私は必ずしもそういう議論にはなつて来ないと思います。地方債の発行を最低限度にするか、あるいは特別会計の方の分も考えるかという問題もあると思うのであります。しかし債務償還の多きを望んでも多過ぎては困りますし、また少な過ぎても困るのであります。シヤウプ博士が地方債の発行限度をどれだけにするか、三百五十億円程度と言つておられるとすれば、大体私の見当に合つているのではないかと考えております。
  60. 勝間田清一

    ○勝間田委員 最近ある新聞で見ますと、来年度の一般会計で当初政府は約三百億程度のものを考えておつた、しかしながらこれが五百七億程度のものに増額されたというようなことであつたのでありますが、これはドツジ氏が来られて、特に債務償還という点を強く考えられているとこう見てよろしゆうございますか。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 私は租税収入を大体四千四百億円程度徴収することが、けつこうだという考え方のもとに歳出を切り詰めて見ますと、五百億円が出るのであります。しかしてこの歳入のうちには、先ほど申しましたが、税でとるものと、今までなかつた特別の収入が考えられます。普通以上の収入、それは何かと申しますと、まだ御審議を願うことにいたしておりませんが、来年度においては百八十七億円の復金からの受入れがございます。これは税じやございません、そうやつてみますと五百億円の債務償還に対しまして、来年度はインヴエントリー・フアイナンスの復金特別会計の二十四億円だけ、そうすると五百二十四億円のインヴエントリー・フアイナンスの債務償還、しかしてこれが復金から入つて参りますと――これは税じやございませんが、アメリカの援助によるもの、これから百八十七億を引きますと三百四、五十億になりまして、結果においては、私はシヤウプの意見に賛成したわけではございませんが、私とシヤウプの意見がたまたま合つたということになります。
  62. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そのたまたま合つたのが五百億になつたというところは、どういうわけですか。
  63. 池田勇人

    池田国務大臣 それは今申し上げたように来年度の経済状況財政状況を見通しまして、租税収入を四千四百四十億円程度にし、歳出を、公共事業費を千億円程度にする。それらいろいろなことをやつてみまして、そうしてでき上つたのを計算してみるとそうなつておるのであります。私はシヤウプの三百五十億円ということはあまり考えなかつた。ところがあなたが今おつしやいましたので、ああそうかと思つてここで計算してみると、シヤウプとぼくは意見が合つたものとこういうふうに私は思つたわけであります。
  64. 勝間田清一

    ○勝間田委員 たまたまお会いになつたということでありますから、それ以上何でありますが、いわゆる復金債の償還をこれほど忠実にして行くという事柄は、申すまでもなく、それ自体は非常にデフレ條件をつくることになると私は強く思うのであります。たとえばそれを今までは大蔵大臣は、いやマーケツト・オペレーシヨンをやるからいいじやないかと、こういうことを言われるけれども、マーケツト・オペレーシヨンをやるからいいというのではなく、そのこと自体の政策が、デフレ政策ではなかろうかと実は考えるのであります。その点をお尋ねしたいと思います。
  65. 池田勇人

    池田国務大臣 くどいようでありますが、債務償還について申し上げます。シヤウプ博士の債務償還三百五十億円というのは、前年度剰余金によります債務償還を入れて計算したのではないかという御議論もあるのであります。普通の意味で行けば、すなわち前年度剰余金の半額を国債償還に充てる。この二百六億円というものをシヤウプ博士が債務償還という計算をされたならば、シヤウプ博士と私との債務償還は二百六億円違います。私は前年度の剰余金による国債償還というものは、その年度から比べてみますれば、その年の租税収入でその年の歳入をまかない、債務償還するのとは違いますから、必ずしもシヤウプ博士と合つたとも言えないのであります。私は厳正なる意味におきまして、来年度は三百五十億円程度の債務償還になるのではないか、見返り資金特別会計というものを置いて、そうしてこれによつて私企業なり、あるいは公企業なり、あるいは余つた金で債務償還をするということはデフレ政策ではないか、こういう御質問でございますか。
  66. 勝間田清一

    ○勝間田委員 一般会計からです。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金は一般会計でございませんし、見返り資金へ持つてつて突き出す、そうして見返り資金から先ほど申し上げたような企業に投資する、あるいは債務償還に充てるというのは、デフレ政策でないと思います。
  68. 勝間田清一

    ○勝間田委員 見返り勘定ではなくて、一般会計からこれほどのいわゆる金を返して行くということ自身が、私は非常にデフレ政策ではないか、こう実はお尋ねしたわけであります。言葉はあるいは違つておるかもしれませんけれども……。そこでなおお聞きしたいのでありますが、これは従来私どもが再三党を代表して、大蔵大臣にお願いしたときにも言つた言葉と思うのでありますが、シヤウプ博士がやつぱり言つていらつしやる、これを一般会計で見るというよりも、増額するということであれば、むしろ見返り勘定から見た方が、デフレに対してはかえつてこれは緩和策になるのだ、すなわち一般会計の税金で復金債、国債の償還をやつて行くよりも、いわゆる見返り勘定でやつて行つた方が、むしろデフレを防止する意味においては、よりベターであるということがあるように私は思うのでありますが、この点について大蔵大臣はどうお考えになつていらつしやいますか。
  69. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がわかりませんが、一般会計から見返り勘定へ出すということは直接にはいたしておりません。搬入物資に対する補給金は税でもつてまかなう、そうしてそれが特別会計を通じて見返り資金会計の方へ行くのであります。今年度は租税によつて徴収いたしました金額のうちから、復金債の償還は三百億円いたしました。それでこの分は税でもつて復金債の償還をすることがどうかという問題になりますと、これは復金債の償還に充てた金が民間の方ヘすつとまわつて来れば、金融には影響はないのであります。
  70. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その民間にすつとまわるところがまわらなかつたのじやございませんか。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 まわらなかつたとは私は考えておりません。企業に対しまする直接投資としてはまわりませんでございますが、繰入れました金は糧券の引受け、日本銀行の預金になつて市中銀行にマーケツト・オペレーシヨンとして出ておるのであります。
  72. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そのマーケツト・オペレーシヨンによつて金融機関に行くと言いますけれども、それは主として大企業に対してのマーケツト・オペレーシヨンであつて、いわゆる中小企業、あるいは農民等々の大衆が主として税金を負担している。それが早く言えば日銀に行つて、重要なマーケツト・オペレーシヨンは大企業だけに使われているというような形をとると、いわゆる収奪は大衆から、マーケツト・オペレーシヨンは大企業へという形をとつて、そうしてそこに大衆は融資力が減退して来るのではないかと思われる。この点はいかがでございますか。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 収奪は大衆から、やるのは大企業へとおつしやいますが、見返り資金から行つて日本銀行へまわつております金は、これは大企業にも行きましよう。また中小企業にも行くようにいたしておるのであります。市中銀行へ行つた金は、市中銀行で適当な方法で貸出しをやつておると考えます。
  74. 勝間田清一

    ○勝間田委員 今見返りが中小企業に行つておるということでありますが、見返り資金はいわゆる中小企業に行つておりましようか。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金は、ただいま使つております金は百八十億円の鉄道、通信と、四億円足らずの私企業、そうして三十億ばかりの復金債の償還、そうして別に糧券の引受け等によつてつておるのであります。その見返り資金から出た金がどこへ行つておるかということは、これはひもがついておりませんからわかりませんが、大企業なり中小企業なり各方向を潤しておると思います。ただ予定の計画電気とか、あるいは造船、また炭坑、鉄鋼というふうに出す予定であつたのが、今少しく遅れておるというだけでございます。いずれは出て参るのであります。しかし余つた金を遊ばしてはいません。日本銀行へ預ける、あるいは直接市場が消化すべき食糧証券等をかなりに消化しておりますから、その点において市中銀行はいつもより金が潤つているということになるのであります。
  76. 勝間田清一

    ○勝間田委員 鉄道に行つた金だとか、あるいはその他の金が間接に中小企業に行く場合ももちろんあると私は思うのであります。しかしいわゆる中小企業ポピユラーあるいは農業者に対して、なぜこの見返り勘定が使われないのか。この点についてお尋ね申したいと思います。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り勘定資金の使い方につきましては、あらゆる力を盡して早期に解除せられるように申込んでおります。しかし何分にも初めてのことでありますし、当初は金利もきまつておりません。また金を借りますのには、おいそれと右から左に行くものではございません。今まではいわゆる準備期間でございました。それで先般の機会に申し上げましたように、私の方から相当の金額に上る申請をいたしておりますから、私は年内から来年の三月までに相当の金額が出て来ると思います。そうして軌道に乗りましたら、来年度におきましては私が考えておるように千億程度か、あるいはそれ以上のものがどんどん出るようになると思います。今までは実は産みの悩みであつたということが言えると思います。
  78. 勝間田清一

    ○勝間田委員 産みの悩みであつたことについてのお話でありますが、この前第五国会における大蔵大臣の非常な、何といいますか御自信と、現在の結果については、あまりにも違うということで、私はまことに残念に思うのでありますが、これはいわゆる農林中央金庫というようなものの長期金融、あるいは中小商工業者に対するやはり長期の金融などを、見返り勘定の中から出してもらいたいということを、再再今までお話しておつたのでありますが、今のお話によると、いわゆるどんどん出るということの中には、中小商工業者に対する金融、農林関係に対する金融が出るということをその中に含まれておりましようか。その点をお尋ねしたいと思います。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 四月の予算委員会のときに言つたより、よほど違つているというお話でございましたが、あれは三百三十円レートでやりまして千七百五十億円、三百六十円レートになりましてふえましたものの、向うの予算がきまりませんために延びたわけでございます。大体五百億円程度直接投資に向けられるという金が、出ようが遅れた点があります。また五百億円全部出ぬかもわかりませんが、復金債の償還とかあるいはいろいろなことで相当出たり、また直接投資に充てられなくても、ただいま申し上げましたように日本銀行の金融は相当潤しておるのであります。しかして見返り資金から今の農林中金、商工中金のような特殊の産業に対しまする金融機関に出すか、あるいは個々の小さい中小商工業者に出すかという問題があると思いますが、私は見返り資金から直接に個々の農業者、個々の中小商工業者に出るということは、今の手続上はなはだ困難ではないか。やはり償還計画を立てましてやる関係上、見返り資金から直接に出ずに、あなたのお話になつておりまする証券金融をやる。すなわち見返り資金でもつて今までの債務償還をやるとか、あるいはほかの証券を持つかというふうにして、直接に出さずに、他の適当な金融機関を通して出すのが、見返り資金の使い方としてはいいのではないかと考えております。
  80. 勝間田清一

    ○勝間田委員 たとえば農林中央金庫などの、最近は中金法の一部改正などが考えられて、これは今明日ということでわれわれも與党に協力してやつておるわけでありますが、そういうものの債券の発行限度は約二十倍になり、百六十億ぐらい入つて来る。そういうものを見返りで引受けるということは考えられましようか。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 金融の方法として考えられぬことはないと思いますが、これを直接に百六十億円の農林中金債券を引受けるのがいいか、あるいは国の債券償還をいたしまして、すなわち八、九百億、千億円持つております市中銀行の国債を償還いたしまして、そうしてその金でもつて市中銀行が農林中金の債券を引受ける、こういうふうに行くかは問題があると思います。私は向うさんの考えでは、一応国債を償還して、そうしてその償還金を市中銀行が受取つた場合に、その金で農林中金の債券を引受けるというかつこうが、向うさんがすく方法じやないかと考えております。
  82. 勝間田清一

    ○勝間田委員 しかし私どもの希望から申しますれば、やはりこういうものは直接買取つていただくということが、見返り勘定というものを強く浮き出しておる今度の財政から行けば、きわめて適当ではないかと実は考えるのでありますが、これは大蔵大臣などもさらにひとつ御検討願いたいと思うのであります。  それから最近私ども非常に考えられる事柄は、やはり見返り勘定に対する政府の態度なり、あるいは国の、いわゆる関係方面の態度ということでありましようか、見返り勘定の使い方には、最近非常に転換が来ておるのではないかという感じを持つのであります。すなわち従来長期金融とか、あるいは復興金融とかいう面に、この面を使つておるということは大きく打出されておつた問題であるし、それから同時に、当初からは六百二十五億程度のいわゆる復金債等々の買入れが行われることになつておつたのでありますが、これがどちらかというと、今後いわゆる短期の資金、特に運転資金に使われて行く傾向があるのではないか、こういう感じがいたすのでありまして、その問題はたとえて申しますれば、今度の貿易資金などというものがさしあたり問題になつて来る。あるいは貿易管理法などが今度は提案されて来るということになりますと、貿易の金融をどうやつて行くかという問題が出て来る。その場合には私はまたお聞きしたいこともあるのでありますけれども、たとえば外国商社のいわゆる金融というような問題、こういうものにあるいはこれが使われて行くというようなことが、ないではないだろうかというような点も実は懸念されるのでありまして、この見返り勘定を当初日本政府考えておつたよりも、最近では使い方か大転換を遂げつつあるのではないだろうかという感じがいたすのでありますが、この点について大蔵大臣はどうお考えになつておりますか。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 勝間田さんはどういう情報でそういうことをお考えになるか存じませんが、私は全然考えておりません。初めは今の公企業に対して、今年度におきまして二百七十億円、この金は減つて来るのではないかと思います。そうして復金債の償還の六百二十四億円、これはもう復金債はなくなりますから、この償還もなくなりましよう。そうしてみますと、残る問題で短期金融とかなんとかいうものに、見返り資金は出るべき筋合いのものではありません。特別会計に書いてあります通り、そうなつて来ますと、私は公企業並びに私企業――しかも公企業において鉄道、通信は今年度ほどには出ないかもしれませんが、公企業のうちでも、ほんとうに日本経済の再建に必要な方面、また日本国民の福祉増進に必要な方面に出て来ることを期待いたしております。しこうしてまた私企業の方面につきましても、ほんとうに長期的にいる水力とか、あるいは資金関係で困つておる造船などの方面にたくさん行つて、公団とか製鉄はなくなるか、少くなるのじやないか、こういうことを私は想像しております。またそれがほんとうだと思います。その余裕金があつた場合に債務償還に充てる。こういうかつこうになることを私は期待しまたそれを見込み得る状態に今なつております。いずれ五、六日か十日のうちにはごらんに入れることになると思いますが、そういうような意向でやつておるのであります。従つて外国に本店を有しております内地支店銀行に、見返り資金が出るようなことは、私はいやでもございますし、また想像もしておりません。またそうすべきではないと思つております。
  84. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それでは見返り勘定についての考え方はかわつていないし、またそういう可能性もない。それから同時にますます建設的な面に公私ともに使つて行く、貿易関係のような短期資金でこれを使つて行くことは想像できない、こういうよう理解にしてよろしゆうございましようね。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 一番しまいがちよつと誤解があるといけません。あなたの御質問は、外国銀行に対して短期融資をするかということですが、それはございません。見返り資金による外国商社に対します分は、願つてもおりませんし、ないと思います。しかし見返り資金使つて輸出の通貨、いろいろな輸出金融に役立つような情勢が来た場合には、私はそういう方面に使うように申請する用意はございます。
  86. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それでは問題が幸いにして明らかになつたのでありますが、今度の貿易会計などの内容を見ますと、相当貿易金融というものが過迫するのではなかろうか。あるいはたとえば非常に滞貨が多い。民間の貿易商においても資金が非常に少い。そこに持つて来て、外国と競争して行かなければならないという状態において、貿易金融というものが非常に私は重大になつて来ると思いますが、それについて見返り勘定の中から、これをあるいは使うということを考えてもよろしい、こういうように理解してよろしゆうございましようか。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 今のところは考えておりません。債務償還によつてやるのが常道である。しかし貿易の状況によりまして、見返り資金をそういうところに使えぬのだと言つてくぎづけにしてはいけない。輸出金融の方に必要であり、それが国内の産業の復興に役立つものならば、考える余地は残したいと思う。ただ問題は外国商社に対してこれを優先的に使わすような御質問であつたから、私はそれは考えてない。こういうわけであります。
  88. 勝間田清一

    ○勝間田委員 いわゆる国債の償還の問題、それからこの見返り勘定の使い方の問題等で、かなりはつきりして参つたのでありますが、もう一つやはりドツジ・ラインとして将来の大蔵大臣方針をお尋ねしたいと思うのであります。均衡ということをよく言われるのでありますが、この均衡の場合に、私はやはり今後緩和ということが考えられて行くとすれば、いわゆる短期の均衡ということももちろん必要ではありましようけれども、ある場合にはやはり相当の長期の均衡というものも考えてよいのではないか、もちろんこの長期ということも比較的な問題でありまして、たとえて申しますならば、鉄道の建設というような問題、あるいは産業復興というような問題、あるいはその他いろいろ問題がありますけれども、現在の予算では、非常な短期的な均衡だけが考えられておる。しかしある由を持たせれば、一時はそこに厳密な意味の均衡はないかもしれないけれども、しかし全体を見ればはつきりそこに均衡が出てくる。こういう問題があると思うのであります。従来持つて来たところの均衡予算というもの一つの大きな批判の中に、この要素が非常に含まれているのじやなかろうかという感じがいたしますが、このことについて、特に将来の問題について――二十五年の問題について、こういうことについての考えがございませんでしようか。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 短期の均衡、長期の均衡、こういう議論から建設公債などの問題も起つて来るのであります。しかし私は今の財政経済状態では、建設公債なんかというものは考えません。従いまして常に短期の均衡を考えると同時に、長期にわたつての構想は持つているのであります。五箇年計画とか十箇年計画はつくりませんが、気持としては、まず五箇年計画、十箇年計画をつくり得るような、安定した経済にしたいというのでやつきになつているわけであります。私の考えは、国内における財政経済の均衡は得つつあります。しかし今後は国際的にも均衡を考えなければならぬ。日本の通貨維持のために国際的な均衡を考えなければならぬ。また財政面の均衡だけじやなしに、事業面につきまして今お話がございましたが、鉄道の建設とか鉄道の電化という問題がございます。われわれもやりたい。しかし鉄道電化をやるために何が一番欠乏しているか。鉄やあるいは銅は欠乏しておりません。機関車は十分つくれる。しかしそれかといつて電化した場合に、停電々々の騒ぎになつちやいけません。長期の均衡の考えのもとに、先ほど申し上げましたように見返り資金なども水力発電に一番たくさん持つてつている。財政的の均衡のみじやなく、経済的の均衡物資の均衡もこれによつてはかつて行こう。こういう構想のもとにやつているのであります。
  90. 勝間田清一

    ○勝間田委員 なかなか先を越した御答弁で恐れ入りますが、次にお尋ねを申したいと思いますのは、今度は鉄道の運賃を八割上げるとか、あるいは船舶の方を六割三分上げるとかいうことになつておりますが、三月までに一体どのくらいの収入が上るわけでございましようか。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 鉄道は原則として八割上げます。海運の方が九割三分と記憶しております。上げずにおつた場合は大体九十億程度の赤字になる予定であります。そうしてこれを十二月から上げますと十分カバーができた。一月から上げますためにこの九十億の赤字がカバーできない。従いまして一般会計の方から、石炭手当等を加えまして二十九億円かの補給をやつたと思います。
  92. 勝間田清一

    ○勝間田委員 この九十三億からの赤字が出て来たという原因は、一体どこにあつたのでございましよう。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 旅客運賃が見込みほど上らなかつたこともありましよう。また貨物がそれだけ動かなかつたのも一つの原因と思います。
  94. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そこで大臣は旅客運賃が上らなかつたこと、それから貨物が予定通り行かなかつたこと、二つをあげられたのでありますが、旅客運賃が予定通り行かなかつたことについては、大きな責任はやはり六割値上げという点が、高過ぎたということになるのではございませんでしようか。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう点もありましようし、あるいは六割値上げの場合の収入減の見方が、低過ぎたということもありましよう。
  96. 勝間田清一

    ○勝間田委員 大蔵大臣自身が認められる通り、貨物が減つたということがやはり原因に数えられておるのでありまして、確かに貨物の輸送量というものは、最近の統計を見ますと、相当の減少を見ておる。その貨物の輸送量が最近減少をしておるやさきに、また八割上げるということについては、一層収入減が起つて来るのではなかろうかという感じがいたすのでありますが、大蔵大臣はこの矛盾をどうお考えになつておりましようか。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 先のことでわかりませんが、大体八割程度上げたならば、収入減を見込みましてもカバーでき得ると想像いたしております。こまかい数字の問題でございますから、政府委員から答弁させていただきます。
  98. 勝間田清一

    ○勝間田委員 金額は幾ら利益するかわかりませんけれども、私はその点で非常に心配をいたします一つの点は、これは大した利益にならないということがはつきりいえると思うのであります。たとえて申しますれば、今度価格調整費がふえただけでも、予算の中にある数字だけでも、すでに十二億四千五百万円くらい余分にかかる。いわゆる鉄道、海上の運賃を上げただけで、すでに補給金がこれだけ増大することになる。それから食糧管理特別会計におけ屡運賃日の増というものが来る。これについて説明書の中には十分書いてありません。これがどの程度来るのか、政府委員の方に御質問申したいと思うのでありますが、食糧管理特別会計における運搬費の増を相当見積つておられるのではないか。この点をどう見るかという点を見てみますと、現在の予算の中だけでも、私は相当マイナスになつて来る部分を考慮しなければならないという点が考えられるのであります。ましてやこの問題は、他の一般の輸送に及ぼす影響の非常に大きいことは言うまでもないのでありまして、たとえて申しますれば、私どもの方に非常に熱心な要求のある石炭の問題にいたしましても、もちろん距離によつて違いますけれども、トン当り四百五十円ないし六百五十円くらいの負担増になつておる。これは石炭関係から行けば非常に重大な問題だと思うのです。なお石炭山が使う坑木、綱材というものに及ぼすこれの影響というものも非常に強い。だからこれらに依存をしておる石炭山の受ける影響は、非常に強いだろうと考えるのでありまして、またいわゆる消費者に及ぼす一般のはね返りも、相当考えておられるようでありますから、こういう点を考えてみると、八割上げる、あるいは九割三分上げるということ自身が、また再び前の六割のあやまちを犯すおそれのあることを多分に含んでおるということと、それから得られる結果が少いということを考えて来ると、これは非常な不十分な検討だろうと実は考えるのであります。もう少し研究してみる必要があつたのではないかという感じがいたすのでありますが、大蔵大臣はこれに対してどういう所見を持つていらつしやいますか。
  99. 池田勇人

    池田国務大臣 食糧の方に鉄道運賃の値上りは見込んで計算をいたしております、貨物運賃について上げるか上げないかということは、ずつと前からの問題でございます。一昨年でございましたか、鉄道は三百億円近い赤字を一般会計から繰入れなければならない。一日一億円の赤字が出る。こういうときにこの赤字をどうするか。貨物運賃は物価に影響するから上げない。そこでその身がわりになつたのが取引高税だつたと私は記憶いたしております。しかして今の貨物運賃が適正な貨物運賃なりやということは、検討してみる必要があると思う。物価に対して運賃がどういう割合になつておるか。戦前の物価に対してどういう割合になつておるかということを考えますと、戦前の分が適正であるとすれば、倍額ぐらい上げていいということが考えられるのであります。そこでこのままほうつておいたならば、鉄道の赤字がまた数百億になる。こういうことを考えると、そのままではなかなか過されないだろうというので、貨物運賃を上げたのであります。しかして貨物運賃を上げることによります物価高につきましては、われわれは取引高税を減らして、物価に対する影響をできるだけ少くする。物品税を少くする。こういうことで行つておるのであります。ここ二、三年来の貨物運賃を適正にして、独立採算制を採用する。そして一般会計から補給するのをやめて減税をする。これがわが党の政策であるのであります。運賃自体が物価に対して占める割合は、貨物運賃は八割上げても、これからの状況並びに戦前日本状況から比べまして、上げ過ぎではないと考えております。     〔委員長退座、小峯委員長代理着席〕
  100. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これが早く言えばわが党の政策だということでございますが、わが党の政策、いわゆる民主自由党の政策は、この前から再々言われておつたように、貨物運賃、旅客運賃の値上げ反対というのが自由党のお考えのようだつた。これが急に貨物運賃の値上げにかわつたわけであります。それは早く言えば大蔵大臣の独立採算論が勝利を占めたということになるかもしれませんが、私は民主自由党の公約が実行されたと考えておりません。  それでもう一つお尋ねしたいのは、船舶を九割三分、鉄道の貨物運賃を八割上げるということでありますが、従来どちらかというと船舶の方が不振であつた。そしてその点は陸上運送の方が割安であるために、陸上に輸送をとられておつたというのが、むしろ実際ではなかつたかと理解するのであります。そういうことであれば、船舶運営会のいわゆる赤字を埋めるという単なる数字の比較の問題ではなくて、船の貨物の値段と、陸上運送の値段との間における比率を考えて行くべきではないだろうか。早く言えば船の貨物の方の九割三分というものをむしろ低くして行つて、陸上貨物とのつり合いをとるのが穏当ではないかという気がいたすのでありますが、この点はいかがでございましようか。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 これは考え方の問題で、私は専門ではございませんが、船会社の方からいえば、八割値上げでなく九割ということを主張いたしましよう。これはそう主張するのが当然でありますが、私は運賃につきましては、できるだけ合理性を持たせたいという考え方で行きたいと思うのでございます。貨物運賃も九割三分上げまして、今の船舶運営会をコントロールした場合の状況を見ますと、私は相当の摩擦が起ると思うのでありますが、鉄道運賃をまず合理的にきめて、船賃についてはこれにマツチさすようにいろいろな手を打つべきだと考えております。何も運賃を上げるのに海上と陸上とを比較するという二次的の考え方で行くべきでないと考えております。
  102. 勝間田清一

    ○勝間田委員 若干その点は意見を異にするようであります。それから先ほど申した通りに最近は物資が漸次回復して来たというものの、輸送関係からいたしますれば、九州の物が北海道へ運ばれるという状態でなければ、真の物資の需給というものはできません。その中心の地域だけが自給自足の態勢を整えるという時代ではないと思う。そこへ持つて来てこの貨物の運賃が、八割なり九割三分なりという大幅の値上げを来すときにおいては、物資の移動には相当の影響があると思うのであります。だからこういう時代においては、やはり長距離に対しては、逓減の方法をとつて行くのが妥当ではなかろうかと実は考えておりますが、八割値上げ、九割三分の値上げについては、その点はどうお考えになつていらしやいますか。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 仰せもつともの点があると思うのでありますが、八割の平均値上げに対しまして、個々の物資につきましていかなる措置をとるかということは、関係大臣からお答えする方が適当だと思います。
  104. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これはどうも運輸大臣にお尋ねした方が筋だと思いますから運輸大臣の方にさせていただきたいと思います。  それからこの予算の中でやはりわれわれの目につく重大な問題は、何といつても実は所得税の問題でございまして、この所得税の源泉の徴収分を、百四十九億円の自然増収を見積つておるのでありますが、これは政府の資料を見ると、八月現在までのいわゆる増収分に対して、八月の所得がそのまま続行するものと見て、この計算が出ておられるように見ておるのでありますが、私はこの八月を見るということについて、かなり疑問を持つものでありまして、むしろ今後の方が勤労所得は減つて来るのではないだろうか、特に八月以降においては減つて来るのではないだろうか、もちろん十二月のある期間においてのピークはあり得ると私はは思いますけれども、全体としてはこの勤労者全体の所得は減ると考えるのであります。これを八月の所得と今後同じように推定して行つて、それに従来の八月以前の分を合計して増収というものを見積るのは、かなり見過ぎておるのではないかと考えるのですが、大蔵大臣はどう考えておられますか。
  105. 池田勇人

    池田国務大臣 私はその見方が適当であると考えております。
  106. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その見方というものは、現在の政府の出された資料の通りの見方であるというのでしようか、私のようにいわゆる下ると見て行つた方が適当であるのか……
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 私は八月を基準にして見て行つてけつこうだと考えております。
  108. 勝間田清一

    ○勝間田委員 八月以前の増収があつたという原因は、大蔵大臣はどこにあつたと考えていらつしやいましようか。
  109. 池田勇人

    池田国務大臣 今年度の源泉課税所得の分は、昨年の十一月の賃金ベースで行つておるのであります。それがその後だんだん上つて参りまして、増収があつたのであります。それでそれが今後そう減るとは――ある程度は減つたりふえたりしましようが、八月を基準にして行けば、大した過不足はないと考えておるのであります。
  110. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私は給與の数字を調べてみましても、それから雇用量の面を調べてみましても、私はそこに大して税がふえているようにはどうも考えられない。しかし依然としてこういうものが実際には徴収されておる、少くとも八月以前におきましては徴収されておるということは、非常に苛斂な徴税が行われておるのではないだろうかという感じがいたすのでありますが、この全体のいわゆる自然増も非常に多かつたように私は思うのであります。特に御案内の通りに本年度の繰越しが非常に多い、これの一体原因はどこにあつたと考えられましようか、この点をお尋ねしたいのであります。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 見込みより資金が上つたことでございましよう。しこうして苛斂というふうな言葉がございましたが、この勤労所得に対しましては、たびたび申し上げますように、俸給、給料、手当の支拂者が支拂いのときに徴収してやるのであります。何もここで更正決定とかいうような問題は起らない。そろばんだけで行くのでありますから、そう苛斂誅求の問題はないと思います。しかもまたそれは俸給とか手当に属するものか、属しないものか、こういう議論はございましよう。しかしこれは微々たるものでございまして、全体の数字はあまり関係はございません。
  112. 勝間田清一

    ○勝間田委員 何も源泉徴収がいわゆる更正決定を多くするとかいうようなことはあろうはずはないのでありまして、そういう問題ではなくて、いわゆる昨年の自然増の問題も、今年の自然増の問題も、すべてが勤労者の勤労所得税の自然増というものに置かれておる。これをわれわれは非常に注目しなければならぬと実は考えておるのであります。それから二十五年度予算の草案の閣議決定を見ますと、これも自然増であつて、前年度の剰余金繰入れを二百四億でありましたか、入れておつたように私は記憶いたすのでありますが、明年度も国債基金に入れる部分も含めて約四百億程度の、翌年度繰越しがあつたと見ていらつしやるのでしようか、その点をお伺いしたいと思います。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十三年度で四百十二億数千万円の自然増収ではございません。歳計剰余金があつたのでございます。二十三年度に四百十二億数千万円あつて、そのうち半額は今年度の補正予算で使いまして、残りの半額は普通の状態で来年度の収入にあげて、そうしてこれを国債整理基金特別会計に入れるのであります。従いまして予算をつくります前に、自然増収を見込むということは全然ございません。
  114. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから私はもう一つ非常に重要に思いますのは、申告と源泉との間に、いわゆる税がだんだん源泉に押し込められて行く、このことはもちろん所得の問題を議論して行かなければならない問題でありますけれども、しかし私は吉田内閣の性格を見る上においては、非常に重要だと実は考えるのであります。     〔小峯委員長代理退席。委員長着席〕 多分私の計算が間違いないとすれば、二十三年のときの申告と源泉との割合は、二十三年が申告は七割二分五厘で、源泉が二割七分五厘だつたと思うのであります。この前の二十四年度予算のいわゆる千九百億円と千二百億円の比率は大体六割対四割になつておる。今度の補正予算を見ると、もつと源泉にしわがよつておりまして、源泉の方は四割三分、申告の方が五割七分に実はなつておる。こうしていわゆる勤労者のふところ、さいふをねらつた税金をどんどん増やして行く率というものが強くなつておる。これは池田財政というものの性格をはつきり現わしておるのではないかと思いますが、いかにお考えになりますか。
  115. 池田勇人

    池田国務大臣 二十三年度のお話ははつきりわかりませんが、当初予算では、事業所得の申告納税に対する分が千二百億に勤労所得が六百億円以上だつたと思います。しこうして事業所得に対しましては五、六十億の赤字が出たと思います。勤労所得に対しましては百億余りの自然増収があつた。そうすると千百五十億に対しまして七百九十億になるのであります。これは勤労階級からとります勤労に対する所得税がだんだん多くなつて、事業所得の方の分があまりふえない、伸び方が足らない、これは池田財政と言つてもそういうものではございません。これは税法できめてあるものであります、それは中小商工業者が勤労者になつて行く場合も考えられましようし、また中小商工業者、農民の利益が増加するよりもより以上に、勤労階級の名目賃金がふえる場合もありましよう。こういうようないろいろな社会的情勢の変化で来るのであります。税率をどうしようとか、あるいは勤労階級に対する課税の方法、事業者階級に対する課税の方法をかえようとかなんとかいうのだつたら、財政でございましようけれども、きめられた税法を施行して行くのに、池田財政とか吉田財政とか勝間田財政というものは、ありつこないと思います。
  116. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それならば私は池田さんにはつきり言いたいのですけれども、なぜ今度は勤労所得税の軽減をもつと大幅に認めて行かなかつたか。これを私にむしろあなたにお尋ねしたいのであります。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 勤労所得税の方を大幅に認めて行かなかつたかということは、それは今後の問題でございます。私が説明したように、一月から三月までは臨時的にとりあえず措置をとろう。こういうのであります。シヤウプ博士の言をもつてすれば、勤労階級と事業者階級との今の所得税は不適当である。従つて勤労階級に二割五分控除をやるのは控除をやり過ぎる。だからこれはさかのぼつてやるわけに行かぬから、事業者に対しまして来年勤労階級一割にするとするならば、正常の状態だと一割五分引き過ぎておる。その引き過ぎておるやつを二十四年分から農業者、中小商工業者に適用しよう。こういう勧告なのでございます。その一割五分を全然適用するといかぬから、十月から適用することにして、所得から三・七五%引けというのがシヤウプ勧告でございます。しかし私はこれには賛成いたしません。減税は来年の一月からスタートする。そうして中小商工業者の分は待つてもらいまして一月から一斉にスタートする。根本的な中央地方を通じた税制案については検討を要します。検討を要するからといつて、今後の予算に出さなかつたならば、一月から源泉徴収する勤労階級は迷惑をこうむるから、そこでとりあえずシヤウプ勧告案に近い減税案を出して、そうして一、二、三を過そう。それで今度の本国会に予算案とともに減税案を出そうとしておるのであります。何も勤労階級にきつく当つたわけではございません。シヤウプ勧告案によりまして勤労階級の方へよけいやる。そうして事業者階級の方は一応がまんしてもらつておるという状況にあるのであります。
  118. 勝間田清一

    ○勝間田委員 源泉徴収の方の徴税歩合と、申告の徴税歩合は何パーセントに見ておりますか。
  119. 池田勇人

    池田国務大臣 これは課税の方法が違いますので、片一方に支拂いのときに支拂い者が徴収する場合につきましては、私はたしか九十五、六パーセント見ておるのではないかと思います。それから賦課課税の問題につきまして更正決定その他なかなかやつかいな問題がありますので、これは経済界の状況を見て勘案しなければならぬ。あるいは六六%に見た場合もありましようが、今年は七十五、六パーセントと見ておるのではございませんか。あまり詳しいことは存じませんから、政府委員をしてお答えいたさせます。
  120. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その点で政府の方ひとつお願いいたします。
  121. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいま勤労所得税と申告所得税の伸び方について議論があつたようでありますが、これは先般もたしか説明したかと思いますが、農業所得は前年度に比べまして所得二割四分程度しか伸びておりません。それから営業所得税三割五分程度増加を見ております。それに対して勤労所得はやはり五割ぐらいの増加になつております。主として税の収入が当初予算に比べましてバランスがかわつて来ましたのは課税所得の増減が、勤労所得と申告所得との間に差があるということが大きな原因でございます。  それから今何パーセント年産内収入を見ておるかというお話でございますが、これは勤労所得は九七、八パーセントと見ております。それから申告所得税の方は、当初予算では六六%年度内収入に見たらいいのではないかというのが、最近の状況に基きまして七四・五%見込んでおります。
  122. 勝間田清一

    ○勝間田委員 大蔵大臣はさらに労働者に対して、もしほんとうの同情を持つておるということでありますならば、私は減税というからには、現在の労働者の失業状況、就業状況、現在の賃金状況から見て、実際にはこの自然増収のものまでもカバーできるようなもの、これをほんとうにやつて、なお五十何億なりの減税が行われるということであれば、納得行くと思うのでありますけれども、あなたは自然増収は自然増収と見、減税は減税として見るんだという一応の形式論から行つて、これを逃げておられると思いますけれども、私はほんとうに勤労大衆の税を負けるということでありますれば、現在この徴税率の差から考えてみましても、この自然増収をなおカバーして行く程度のやはり増税案を出し、しかも減税案を出すべきではなかつたかと思いますが、どうでございますか。
  123. 池田勇人

    池田国務大臣 これは自然増収というものは予算の見積りとの関係であるのでありまして、負担の問題ではございません。繰返して申し上げますが、自然増収というものは予算の見積りとの関係においての問題であります。そうして税法改正は、これは負担の問題でございます。こうお考えを願いたいと思います。  なお将来の税制改革の問題といたしましては、できるだけ実態に沿つたような課税、シヤウプ博士のあの勧告に従いまして実態に沿つたような課税をしたいと思つて、今検討を加えておるのであります。
  124. 勝間田清一

    ○勝間田委員 先ほど勤労所得税に対する今度の減税案は、暫定的な措置だと言われたのでありますが、来年度のことをお聞きするのはあるいは早過ぎるかもしれませんが、この点については現在どう考えられていらつしやいましようか。もし発表ができましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  125. 池田勇人

    池田国務大臣 今回勤労所得税にとりました減税の措置は、従来の基礎控除一万五千円を二万四千円に改めた。そうして扶養家族の控除一人の一千八百円を所得一万二千円にしたこと。そうして税率の問題を五万円以下二〇%、こういうので行つたのであります。すなわちシヤウプ案通りであります。シヤウプ案が現行の状態に一番適合しておるという問題を論じなければいかぬと同時に、今までの税法と負担が非常にかわつて来るということについての検討も、参考に加えなければならぬと思うのであります。私は税法としまして、もし財源があつたならば、理論的にいえばまず基礎控除を多くし、そうして税率の調整をやる。その次に余裕があれば勤労所得税の控除の一割をもつとふやすべきだ、こう私は理論的には考えております。しかし経済的の問題を見ますと、事業所得者に対する申告制度もほとんど行つていない今日、しかも勤労者の生活状況考えたとき、二割三分控除を一躍一割控除に改めるということは、いかがなものであるかということをまず第一に取上げたいと思います。しかる後に税率の問題に行こう。三段目に基礎控除の問題に入つて行こう。こういうふうに理論としては基礎控除、税率、勤労控除と行くべきだろうと思いますが、経済的には勤労控除、税率、基礎控除、こういうふうに行つて、来年度の税制につきまして、もしシヤウプ勧告案以上に減税できるとすれば、理論よりも経済的の方を考えて、まず勤労所得からの控除をふやすことから話を進める。こういう気持を持つております。これはしかしできればの話でございます。その点は誤解のないようにお願いいたします。
  126. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その誤解がいい方の誤解になつてくれることを私は希望するものでありますが、その場合になるほど理論的な面と実際の面から、むしろ勤労控除の面から実際は進めて行きたいということでございますが、最近は社会保障制度なり、あるいは最低生活という問題が現在上つて来ておるわけでありますが、今度われわれがシヤウプ氏のもとにおつたヴイツクリー氏をお伺いいたしましたときにも、この点はかなり強くお願いしたわけであります。特に今回の勧告案の中にも、大体その点についての答弁があるようでありますが、税だけでこの問題を解決づけるということは、もちろんできないと思います。これはやはり物価の面、賃金の面、いろいろの面で解決をつけなければならぬと思いますけれども、税の面で、いわゆる最低生活保障という線を、はつきり出して行くことも必要ではないだろうか、実はこう考えるのでありますが、勤労控除の面においても、基礎控除の面においても、この点をお考えになる意思があられるかどうか、お伺いいたします。
  127. 池田勇人

    池田国務大臣 基礎控除の問題を、最低生活費の問題と関連して議論する人もございます。私はこれを否定するものではありません。それは一つの議論にはなるかと思いますが、大した問題ではない。やはり基礎控除の問題は、それよりも国民生活、財政の問題から行かなければならぬ、まずそれであります。そうして財政の許す限りにおきましては、最低生活の方を引受けて行く、こういう考え方であります。
  128. 勝間田清一

    ○勝間田委員 財政の方から基礎控除という面を考えて行かれるということでございます。それならば、三十万円以上の高額所得者に対して五割五分どまりという勧告をなされておりますが、これについては今後どう考えて行くつもりでありますか。
  129. 池田勇人

    池田国務大臣 これは所得税構成の最も重要な議論でおりまして、シヤウプ博士があの勧告案をつくられますときにも、われわれは白墨で黒板に絵を画きながら議論したところでありますが、大体シヤウプ博士あるいはその随員の人は、所得税の最高限度を七割ないし七割五分ぐらいにとどむべきだという学者的の考え方を持つておられます。イギリスの九割程度、あるいはアメリカの八割五分程度、ドイツ、フランスの八割程度のものは、所得税としては行き過ぎである。日本でほんとにいい所得税をつくるとすれば、地方の住民税を加えて七割程度で行くべきだ、こういうかたい信念を持つておられるようであります。しかして、それじや今までのあれとは非常に違うのではないかという問題で、富裕税なんかを出しておられるようでありますが、これに向うの考えであります。一躍三十万円超五五ということ、並びに地方の住民税は、税引所得の二割という基準を置いておるようでありますが、これにいたしましても六割七、八分、七割足らずになります。そういう関係で、三十万円超五五ということは、ただいま申し上げましたように、税率の問題として検討いたしております。結論はシヤウプ案と同じになるかならぬかわかりませんが、一つの問題であると考えて検討いたしております。
  130. 勝間田清一

    ○勝間田委員 先ほど、中小商工業者及び農業者の税の軽減は、所得に対する三・七五%で一斉に出発したいから、十月一日からのものを一月一日までこれを延ばしたのだというように聞いたのでありますが、これは中小商工業者及び農民に対して非常に落胆を與えたろうと私は思います。中小商工業者の場合は、取引高税の撤廃あるいは間接税の撤廃という面で、ある程度希望にかなつたところがあろうと思いますが、特に農民の希望は、今度の税改革案はほとんど無視されておるという状態であると思うのであります。池田大蔵大臣はこれをどう考えられるのでございましようか。
  131. 池田勇人

    池田国務大臣 今度の税改革案というお言葉が問題でありますが、今度の恒久的な税改革案というのは、織物消費税と取引高税の全廃、物品税の軽減、こういうのであります。直接税は、全部米国会にゆだねておるのであります。直接税を第七国会の御審議にゆだねましたゆえんのものは、中央地方を通じ、しかもまた来年度の予算のわくを見て、とにかく恒久税法をつくるのに、根本的な検討を加えなければならぬという考えのもとに延ばしたわけでございます。しこうして、そういたしますと一月、二月、三月の源泉徴収を受けまする勤労所得者に対しまして、四月から新税法を適用する場合には、一月、二月、三月についてもとしてやらなければならぬ、還付しなければならぬという手数が起りますので、とりあえずシヤウプ勧告案でやつておりますが、実にシヤウプ勧告案よりもつと軽減したいという気持を持つております。しかしシヤウプ勧告案よりもつと軽減して来年度の予想を立てたときに、四月から増税ということになつてはいかぬから、とにかく少し先の見通しをつけまして、先は相当減税になるのだが、今はそこまで行かずにやろうというので、シヤウプ勧告案程度にいたしたのであります。これは随時的のものでありまして、昭和二十五年度から本格的の税制改革をやるのであります。シヤウプ勧告がああいうようなことを言つておられまして、中小商工業者、農民の方々が落胆したことは十分わかつておりますけれども、税というものは、初めにさかのぼつてどうこうということはやらなくてもよいということになつたのでありまして、必ずしもシヤウプ勧告案を聞いておりません。取引高税は四月からやれというのに一月からやるのであります。織物消費税は段階的にやれというのを一度にやつております。酒の税金を上げろということになつておりますが、上げておりません。
  132. 勝間田清一

    ○勝間田委員 時間も大分切迫しましたから、次に資産の再評価の問題についてお尋ねしたいと思うのであります。  これも勧告案におきましては、資産再評価を強制的にやつて、六%の増税をやるということでありますが、これについて大蔵大臣は、再々声明なりあるいは談話を発表されているようであります。これは産業に重大な影響を及ぼす――もちろん、いわゆる減価を償却するとか、あるいは社内保留を増大するということにはわれわれ賛成でありますが、しかしこれをうつかりやりますと、今申しました通り、私鉄だとかあるいは日本発送車だとか、あるいは物価に及ぼす影響というものは非常に大きくなる。それで資産再評価についてまず第一にお尋ねしたいことは、あの評価の形で、すなわち所得価額から減価償却額を引いて、あとに物価の比率をかけて行くという考え方を通される考えであるか、あるいは収益価額というものを考えて行つて、収益の低い工場ではいわゆる収得価額が高くても、それを低めて行くということが考えられる。だからこの収益価額というようなものを認めて行く考え方は、考えられないのかどうか。やはり依然としてあのシヤウプ博士の評価の方式をとるかという点が一つ。もう一つは、いわゆる強制か強制でないかという問題。第三の点は、税率の修正はどう考えるか、この三つをお尋ねしたいと思います。
  133. 池田勇人

    池田国務大臣 一の収益価額によるかという問題、これは収益価額によりません。シヤウプの考えた通りに再評価をやります。  二の強制かという問題に、強制とも任意とも申し上げられません、一様におやりを願う。しこうしてその程度は、シヤウプ博士の勧告を最高限度にいたしまして、新物価、会社の経理状態その他の見通しにより、適当に勘案するようゆとりを持たしたいと思います。しかしそのゆとりの程度についてはどうするかという問題は、今実地について検討いたしております。  税率についての六%はかえない考えでおります。納税の時期については、ある程度緩和したいということであります。
  134. 勝間田清一

    ○勝間田委員 大蔵大臣に最後にお尋ねしたい事柄は、この資産再評価の面でもそうでありますし、先ほど申し上げたいわゆる賃金の問題もそうでありますし、その他補給金撤廃の問題もそうでありますが、大蔵大臣考えておられる政策は、いわゆる物価を下げて行く政策ではなくて、もちろん他面においてはデフレ政策をとつておるけれども、他面においては、それと相矛盾した物価の値上げという政策を多分にとられておる。だから再評価する問題についてもあるいはそういつた問題についても、全部そういうことになつておると思う。そこで政府答弁の中でも、いわゆる低物価、低賃金ということをよく言われるけれども、物価をどんどん高めて行く政策が、多分にこの中に織り込まれているのではないだろうか。たとえて申しますれば、国際価格へのしわ寄せの問題もそうでありまして、この前も食料価格をどんどん値上げした。あるいは補給金の撤廃というもので米価が上るかもしれないということで、国際価格にしわ寄せて来れば、食糧の値段は上つて来るのだということで、いわゆる引上げの考え方をお持ちになつておられる。そう考えて行きますと、今までのいわゆる低物価、低賃金で行く政府の政策の中に、非常な矛盾を含んでおると思う。この問題について、池田大蔵大臣はどう考えていらつしやるか。
  135. 池田勇人

    池田国務大臣 低物価、低賃金とは言つておりません。適正物価、適正賃金と言つておるのであります。これは誤解のないようにしていただきたい。あなたは資産再評価のいろいろな問題、国際価格へのさや寄せという問題などを言われたが、私は物価を原価計算主義で行かない。従来安本でやつておつた、物価を原価計算主義でやらないということは、私の根本方針であります。従つて資産再評価についても、おのずからその限度があると存じます。従つて強制はしたい、ゆとりを持たす、こういう考えでおります。何も低物価、低賃金というのではなく、国際価格と見合いまして、適正な物価にする。しかもその適正な物価でも、できれば競争力を強くする点において、低目をねらつておるということだけであります。
  136. 勝間田清一

    ○勝間田委員 議論になるようでありますけれども、いかに原価計算をしなくても、企業家は採算をしなければならないのであつて、これは政府がどう考えようと、考えまいと採算をするわけであります。ですから、物価の原価計算主義、いわゆる再評価の問題にしても何の問題にいたしましても、それは物価の値上げをする要素になつておると思う。こういう形から行けば、私はこれは当然政策の中に、矛盾が非常にあると思う。それを池田さんはいわゆる統制撤廃だとか、自由競争だとか、いろいろなことをおつしやるけれども、結局は政府が責任を負わない政策に持つて行こう。早く言えば政策に対する責任を放棄するのだ。ずるく言えば、ずるく逃げるのだ。ぼくはそういうふうにしか実は考えない。というのは、現在の日本の統制経済から自由経済への、撤廃の過程において、政府のとりつつある政策が、国民に対して非常な負担がかかつておる。政府が責任を負おうとするのではなくて、国民に責任を負わして行こう。それによつてつじつまを合して行こうという傾向が非常に強く見えるのであります。これは最近農林大臣にも申し上げたのでありますが、たとえばいもの統制撤廃、それによつて影響を受けるのは、いもをつくつておつた農民です。それから木炭の統制撤廃を八月一日からやると、昨日から聞いておるように、いわゆる十四億も農業会、協同組合はだまされて、いろいろ負担を負つておる。こういういろいろな問題から見ると、統制から自由への撤廃は、大衆へ非常な負担を負わすことであると同時に、政府の責任を回避する手段になつておる。だから現在の大きなつじつまを、日本国民経済全体のバランスをとつて動かして行く能力がむしろないために、あるいはそういうことに努力しないために、かえつて国民には重い負担がかかつておるではないか。こういうことを、私は池田大蔵大臣に最後にお尋ねしたいと思う。
  137. 池田勇人

    池田国務大臣 勝間田さんと私の議論も最後に来たようであります。これはあなたと私の見解の相違でございまして、あなたは社会主義的な経済論で言つておられるが、私は、今までのように原価計算主義で行く統制経済は反対なのです。世界の市場は、御承知の通り売手市場から買手市場にかわつて来ている。セーラーズ・マーケツトからバイヤーズ・マーケツトにかわつて行くということは、あなたは御存じだと思う。日本も今までの統制経済、そうして原価計算主義ということから離れて行つて、もう買手の市場になつたのではないか。私はバイヤーズ・マーケツトになつて来つつあると思うのであります。ここでいくら原価計算主義で値段がどうなつても、買手がなければ経済は保ちません。そこで私は世界の趨勢と日本の趨勢とを見合いながら、今までのような統制的な、社会主義的な原価計算主義にはよらない。ここがあなたと私の意見の相違だと思うのです。私にあくまでバイヤーズ・マーケツトの市場を形成してその間にだんだん国際市場に乗り出すという考え方であるということを申し上げておきます。
  138. 勝間田清一

    ○勝間田委員 またそれについてはずいぶん議論があると思う。たとえて申しますならば、それならば政府の企業に対する干渉、あるいは企業に対するいろいろの要求、あるいは物価に対する統制、あるいは賃金に対する統制、あるいは若干残つている物資の配給といつた面に制限を加えておるし、また日本の農民や労働者に対しては、非常な制限がある。現在日本の農民は一定の価格で、一定の数量をどうしても強制的に出さなければならぬという要求を押しつけられておる。そういう機運と状況をむしろ強くしておいて、他の面では自由だ、バイヤーズ・マーケツトだとか、何マーケツトだということで、農民には非常に重い負担をかけているということを真劍に考えなければならぬ。こういうことを考えないで、バイヤーズ・マーケツトがどうだとか、コストがどうだとか、何がどうだとか言つておる。だから、今度の米価の問題にしても、賃金の問題にしても生産的な問題は考えておらない。パリティーでやつて行く。そういうように、農民は今度の超過供出をどうするかということで、厖大な調査供出をさせられる。しかも二倍という価格に下げられる。こういう状態を一面農民や労働者に押しつけておいて、他面においては、バイヤーズ・マーケツトであるから、こういう統制を撤廃して行くということは、資本家に都合のいい経済統制撤廃であるということを、ほんとうに考えていただかなければならない。日本の再建についてもあなたは考えておられるけれども、こういうことでは日本の再建をほんとうに考えている勤労大衆の失望を買い、勤労者の協力を得ることができない。こういうことをやつていただかなければ、経済の安定ということは、とうてい言えないと思います。しかしこれは議論になりますから、これで大蔵大臣に対する質疑は終ります。
  139. 池田勇人

    池田国務大臣 私は先ほど申し上げたような根本方針によつて経済財政政策をやつて行くのであります。こういう問題は一朝一夕にはできない。補給金の削減の問題も、だんだん米価が近い将来において――近い将来といつても、二、三箇月とお考えになつては困ります。とにかく私の申しました考え方が、世界市場にさや寄せする、そうしてバイヤーズ・マーケツトになるにしても一度にはできませんが、徐々にやつて行く。そうして経済の安定が度を加えるにつれて、私の考え方がそれと同様に、早い時期に来ることをここではつきり申し上げておきます。
  140. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それでは今度経済安定本部長官にお尋ねしたいと思います。この前途中で終りましたが、政府委員の方からでもけつこうでありますが、最近のいわゆる有効需要の変化ということを、御発表願いと思います。
  141. 青木孝義

    青木国務大臣 経済安定本部は有効需要の関係につきまして、かねてから作案をいたしておつたのであります。その結果を通じて見ますと、大体全体として漸次下つて行く傾向にあつたということは、一般的には言い得るのであります。もちろんこの関係におきましては、まずセメントであるとか、化学肥料あるとか、板ガラスであるとか、洋紙であるとか、こういうものについては大体下つておりません。それからまたそのほかにカーバイトであるとか、あるいはまた亜鉛であるとか、硫黄であるとか、こういうものの種類をあげてみますと、ほとんど下つておりません。しかしこれに対して下つておるものをあげますと、数が多いので簡單に申し上げたいと存じますが、全般的に見て当初の計画より下つたもの、それは綱材において当初の計画においては百八十万トン、有効需要は百六十七万トン、アルミニウムは当初計画においては二万五千トンでありますが、有効需要は二万トンであります。綱につきましては当初計画が六万五千トン有効需要が五万二千トン苛性ソーダにつきましては当初計画が十四万トン、有効需要十二万八千トン、石炭におきましては御承知かと思いますが、当初計画においては四千二百万トンでありました。しかしこれまでの経過から見ますと三千六百万トンというようなことで、これは今申しましたように大分下つております。なお車両については二十三年度の百十二億円に対しまして、二十四年度は四三%の四十九億円であります。そういうふうに予想されております。それからまた通信機は二十三年度に比べますと、約六〇%に減少しておると予想される次第であります。かようなわけで有効需要の点におきましては多少下つてつておりますことは今申し上げた通りでありますが、この有効需要のおもなる減退の原因を考えてみますと、御承知の通り四月以降海外市場が不況になつた、あるいはまたポンドの為替相場が切下げられたというようなことで、輸出振興の途上におきまして、いろいろとそこにさしつかえが生じたいわゆる貿易の行き悩みという点であります。さらに二十四年度におきますところの鉄道とか、通信電話それから公共事業政府事業の予算を削減いたしましたことは、たしかに有効需要を減退させた要因であるというふうに考えます。しかしながらこの点でよくわれわれが考えなければならないと思つておりますことは、海外依存度の高い日本経済といたしましては、輸出貿易の飛躍的な増進を実現し得ない限りは、経済の自立ということはもちろんのこと、有効需要を振起せしめるということは困難であると考えます。従いましてこれに伴つて政府事業予算をふくらます等のことによつて、ただちに有効需要を上げることはなかなかできないということを考えますれば、やはり貿易の振興をはかりながら、国内に対してはできるだけ財政面における国内の需要を考えて行くということの方針で、いろいろとわれわれに生産、ことに公共事業等の方面につきましても、できるだけその配慮をいたしまして、来年度においては一千億の公共事業費が見積られておりますから、そういうことによつて、漸次有効需要が増加して行くことができると考えておる次第であります。
  142. 植原悦二郎

    植原委員長 ちよつとお待ちください。先刻の勝間田委員の質疑中貨物運賃に関し、運輸当局の答弁が保留となつておりましたのでこの際答弁を求めます。足羽鉄道監督局長。
  143. 足羽則之

    ○足羽政府委員 御質問の要旨は、先般旅客運賃を値上げいたしまして、その後今回貨物運賃の値上げをする運びになる予定でありますが、貨物運賃が今度値上げになつた以後も大した減少はないかという御質問のように伺いますが、先般旅客運賃の値上げを五月から実施いたしまして、大体今年度の運輸收入の予定を推測いたしてみますと、予定よりも約七十六億円ほどの予定減になつております。今回貨物運賃を八割値上げすることといたしまして、実施期日は一月一日というふうに考えてみますと、約五十五億円本年度において増收をすることになると考えます。なお初めは十二月一日から実施するものとして計算をいたしておりましたが、その実施期が延びます関係上、不足する金額がございます。その不足します金は、石炭手当、寒冷地手当に対する不足金を合せて約三十億円の借入金をする予定でありまして、その結果旅客収入の六百九十四億円、貨物収入の三百九十四億円、その他を加えまして、今年度の収入総額は千百五十億円余になる予定でございます。これは今年度の当初計画から考えますと、一億五千万円の減になる予定でございます。なお運賃の値上げをいたしました結果の見通しといたしましては、運賃の値上げによつて輸送料は予定の約三%減になるかと計算をいたしておりますが、今度この運賃値上げによつて收支の状況は好転して参ると考えております。
  144. 勝間田清一

    ○勝間田委員 いわゆる長距離逓減の説をとる考え方なないのですか。
  145. 足羽則之

    ○足羽政府委員 実は八割値上げの計画考えられておつたのですが、運輸省といたしましては国有鉄道からのそうした申入れに対しまして、これを運輸大臣が運輸審議会に諮問をしたわけであります。運輸審議会ではいろいろ検討をいたしました結果、鉄道の採算、運輸原価を償う考え方で運賃値上げをすべきである。そういうふうに考えます場合には十割以上の値上げになり、つまり輸送原価が貨物については收入の倍以上かかつておるわけであります。従つて十割以上値上げをしなければいけないと考えられますが、しかし一挙にそうした値上げをするということはいろいろな観点から考えて、少し控え、この再九割の値上げをすることが妥当である、こういう方針がありまして、そこで八割と九割の差額一割約二十九億円ほどになるのでありますが、それをもつて旅客運賃の従来問題になつております点、たとえば長距離の運賃について現在は区間制で二区間制をとつておりますが、さらに四区間制に区間を増して、長距離運賃の逓減をはかつてはどうかという点と、それから一、二等の運賃が、戦争前には三等運賃に比較しますと二倍、三倍になつておつたのを、戦争中にいわば禁止運賃にひとしいような三倍、六倍というような運賃をとつて現行まで参つたのであります。そこでこうした一、二等運賃の低減調整という点と、それから定期運賃につきまして、現在は一箇月定期しか売つておりませんが、三箇月、六箇月の定期を発売する、この定期運賃の割引、こういう三点を以上の八話と九割との差で財源にして調整をしてはどうか、こういう意見が出て参つたのであります。そこでその意見を尊重いたしまして、そういう考え方でいろいろ計画を進めて参つたわけであります。しかしいろいろ検討の結果は、八割の値上げが妥当であろうという結論になりましたので、八割運賃値上げの計画におきましては、貨物運賃を一月一日から八割値上げするということにいたしまして、なお旅客運賃につきましては、将来通行税の改正の機会があると思いますので、その機会にそれとにらみ合せて、前記の運輸審議会の答申の意見を尊重して、考慮して参りたい。こういうふうに考えております。
  146. 勝間田清一

    ○勝間田委員 有効需要の変化を見ますと、先ほど案本長官のおつしやつたことは、これはほとんど財政支出の削減によつて起きたものが一番大きい、鉄道車両とそれから通信関係が非常に大きいと私は思う。それからあとの石炭にいたしましても、鋼材にいたしましても、苛性ソーダにいたしましても、綱にいたしましても、これはとばつちりで申訳ありませんが、池田財政の大きな犠牲だろうと思うのでありますが、今度の鉄道車両、通信機等の建設に対して、どうしてこれを補正予算に盛られなかつたか。これは私は非常に疑問に思うのでございまして、この点は経済安定本部長官としては、この有効需要から見ると、これは非常に寒心にたえないだろうと思うのですが、どうしてこの予算の計上ができなかつたのか、増額できなかつたのか、この点をひとつ安本長官にお尋ねしたいと思います。
  147. 青木孝義

    青木国務大臣 御承知の通り、今申し上げました有効需要の設定は、大体四月以降九月までくらいの状況を見たのでありまして、本年度の予算承知の通りドツジ・ラインを堅持しながら、九原則を今後実施し、そうして日本経済安定いわゆるインフレーションの收束を目ざして進んでおつたという経過にほかなりません。もちろん有効需要の減退について、われわれとしてはなお現在の日本経済の活動過程におきまして、これを復興して行く。すなわち財政的な面で一応決定せられておる中で、現在並びに将来に向つて、先ほど申し上げましたように、さらに公共事業費というような方向その他一般経済活動をもつて、これが有効需要をつけて行くという努力は、もちろんこの中でやつて行こうというふうな考え方で進んで来た次第でございます。
  148. 勝間田清一

    ○勝間田委員 十五箇月予算だとか言われておりますが、二十五年度予算を見通しての有効需要などは、まだ見通しは行つておられませんか。
  149. 青木孝義

    青木国務大臣 作業はいたしておりますが、まだ結論を得ておりません。
  150. 勝間田清一

    ○勝間田委員 最近は盛んに安本の機構改革がよく論議されておるのであります。安本の機構改革をどうされるのですか。ありましたらひとつお聞かせを願いたい。
  151. 青木孝義

    青木国務大臣 安本の機構改革と申しましても、これまでの過程を簡單に申し上げれば、御承知の通り吉田内閣の方向といたしまして、漸次統制を緩和撤廃して行く。それから自由経済への方向をもつて進んでおるということの現われといたしまして、先ほど問題になつておりました今年度においてさえすでに価格調整費を二百三十億も減らした、来年度においてはさらに九百億というような予定を持つておりますことから考えましても、経済安定本部の機構が多少ずつ縮小されて行くというような事実でありまして、この点はやむを得ないことであると存じます。従つて将来と申しましても、安定本部の生命は一年々々でありますから、そのたびにまたいろいろとそのときの情勢に応じ、またいろいろとそのときの情勢に応じ、またいろいろな必要な面も起つて来るし、減ずる面も起つて来るというような状態が、多少続くのではないかというふうに考えております。
  152. 植原悦二郎

    植原委員長 時間がもう一ぱいですから……
  153. 勝間田清一

    ○勝間田委員 もうちよつとですから、…次に小沢郵政大臣にお尋ねしたいと思うのですが、今度の特別会計の簡易保險の関係の中で、收入が約四十一億円、それから支出が大体十二億七千万円でございましたか、今度の見積りをいたしたようでありますが、この收入の見積りの基礎はどういうことになつておりましようか。
  154. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 簡易保險関係におきましては、今年度契約総額を目標にして進んでまいつたのであります。ところが従業員諸君の努力によりまして現在大体推定十七億、本年度中に二十億の目標を達成する方向になつてつておるのであります。これらの契約から見ます收入と、それからこれに伴う新しお歳出によつて補正したのですが、その数字については政府委員から詳細に説明いたさせます。
  155. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そうすると、従来までのは十五億程度のを二十億程度になるからということでありますが、支出の十二億七千万の方はどういう基礎に立つておりますか。
  156. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほど申し上げた通り本年度の目標は二十億でありましたけれども、本年度予算決定するにあたつて二十億の契約はちよつとむりではないか、こういう意見が出たのであります。そういう意味におきまして、実際の歳出面におきましては、十五億しか目標通りに行かないだろうというような面において支出を計上し、一方今度は予備金等を設けて二十億の支出費用を計算しておつたのであります。従つて歳入においては十五億、それから歳出においては二十億というような組み方をしておつた関係上、いよいよ二十億の目標が達成できるというので、今の十四億というものが予備に入るようになつたのであります。
  157. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その歳出の方のは、結局解約返付に関する件数だろうと私は思いますが、この件数が、私の方の調べによりますと、従来三百七十万件というものが予定されておつたのが、今度は実際千九百万件になつて来るのだ、私どもの調査は実はこうなつておるわけであります。そうしますと、一番お気の毒なのは何かといえば――これをする人件費というものをどこかに見積らなければならなかつたはずではなかろうか。いわゆる三百七十万件が千九百万件にふえるのでありますから、それだけ勤労者に労務負担が多くなるわけであります。この負担の多くなる部分をどこか予算に計上してあるかどうか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
  158. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいまのいわゆる事務量かふえるという問題については、賃上げというような方法によりまして、臨時的の事案でありますから、臨時の職員を依頼しまして、仕事をやつてもらつております。従つてそれは一般賃金の方に入つておりますので、今のお話のような労働強化になることもありませんし、同時に費用は賃金の方に入つておるわけであります。
  159. 植原悦二郎

    植原委員長 勝間田君まだありますか。
  160. 勝間田清一

    ○勝間田委員 まだあります。重要な質問です。
  161. 植原悦二郎

    植原委員長 まだあとに質問がありますから、それらの質問からおのずから出て来るかもしれませんから、超過しているので、もう五分だけ許します。
  162. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それでは今度は労働大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、最近進駐軍の首切りが非常に多い。この前のときは大体三万人くらい実は整理の予定だということでありますが、最近見ますと、五万、何万というようにどんどん出て来る、その他でもどんどん首切られて来る、こういう状態にありますが、それらの人たちに対して、どういう政策をもつて臨んで行くか。たとえば失業対策、あるいは失業保險をどうするのか、その点についての労働大臣のお考えを承りたいと思います
  163. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 進駐軍関係でもつて大体三万人前後の離職者が出るのではないかということは、前に発表したことがございます。それは少しそのままではちよつと誤解が出るかもしれないのでありまして、もう少し詳しく申し上げますと、本年の一月から六月までの進駐軍関係の退職者は、自己退職による二万六千人をも含めて約七万人くらいが退職したわけであります。しかし同じ期間にその反面十二万人の雇い入れがあつたのでありますから、結局七月までのまには差引五万人雇用が増加しておつたというのが実情でございます。しかしながら本年度予算におきましては、予算を見ますと、予算定員が、この七月の最高時に比較して約三万人くらい三月末までに減少するという予算の数字が出ておるわけであります。この予予算は目下遂行されつつある、こういう形になつております。従つて政府の下半期に離職者が各方面から出て来る推定の中には、一応この予算従つて予算通りに行けば、七月に比べて三万人前後の人たちが減少して来る。それだけ離職者が出て来るということを考えて一応計上し、そしてまた御質問のようにその対策という問題も一応考慮したわけでございます。  対策のことを基本だけ簡単に申し上げますが、進駐軍の方に限らず、あるいはその他の各方面からいろいろな形で出て来る、たとえば補給金関係で鉱山から出て来る適職を持つておらないような人たち等、それぞれ全部同じに重要な失業の対策として考えるべきであつて、特に進駐軍関係であるから、あるいは何々関係であるからといつて、特殊のわくを置いて政府の失業対策事業を生み出して行くような考え方は、失業者及びその他の機会均等の原則から申しても、適当でないのでありますから、そういう特殊のわくによる救済の方法ということは別に計画しておりません。しかしどの失業者にもそれぞれの性格なり立場があるのであつて、たとえば住居の問題あるいは能力の問題等でもつて、そういう面からのくふうにそれぞれの失業者に対してそれぞれしなければならない。進駐軍関係の人たちの中には、何といいますか、日雇い労働的の仕事をやつておられる人たちもあり、それからただいま勝間田委員が指摘されたような事務的の人たちもあるので、これらのことを考慮いたしまして、それらの人たちに対しては総合的に特殊の形で、その離職される前から、離職の過程にあるような人たちに対しては、職業安定所と連絡をとつて、次に適する処置をやるということが一つ。それからこの人たちに対して、ほんとうの意味で採取的に就職させるために、今政府がやつております補導事業をもこの方面と結びつけまして、しつかりした就職口を探してやりたいというのが一つ。それからもう一つ、日雇い的の性格を持つた人たちに対しましては、今年の四、五月ごろに比べれば、四倍程度の人たちが就労し得る緊急失業対策費も幸いに計上してあるわけでありますから、この日雇い的の段階にある人たちに対してもこれを採用しますし、さらに将来にわたつて日雇い失業保險というもりを――全部が日雇い労働者でありませんけれども、そういつたものも採用して総合的にやつて行きたいと思います。
  164. 植原悦二郎

    植原委員長 勝間田君、たいへん時間がオーバーしておりますから……
  165. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これは重要な問題ですから、そうきゆうくつでなく願いたいと思います。
  166. 植原悦二郎

    植原委員長 それじや五分と限定して、それ以上は許しませんから、簡單に片づけてください。あなたの質問はたいへん具体的で、いい質問だから、大分委員長考慮してあなたに余裕を與えておりますから、そのつもりで願います。
  167. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それならば、農林大臣にお尋ねしたいと思いますが、これも要点だけにさしていただきます。これもまたはなはだ憎まれ口をたたくようでありますが、今度の第六国会を見て、私は農民が一番落胆をしたろうと思います。米価は低い、税金は負けてもらえない、供出はふやす、これから超過供出はやる、その法律は通る、こういうことを一々列挙いたしますと、私は往年の森農林大臣も、今度は顔色ないのではないだろうかという感じがいたすのであります。一体こういう事態のときに、いろいろの点を考えなければならぬと思いますが、現在のまま放置して置くと、農民はおそらく未曾有の苦境に陥つて行くと考えるのであります。ただそのうちの一つの問題は長期投資、いわゆる設備の拡大再生産というものをどうやつて行くかという問題が一つと、価格がどうなつて行くかという問題が一つ、これは非常に重大な問題だと思う。あとは農民の組織、協同組合がどうなつて行くかという問題が非常に関心が大さいと思う。ところが現在の場合だと、いわゆる土地改良等に対する長期投資、設備投資という問題が少しも減つておらない。また災害復興費も、約五億だと言われますけれども、これでは農耕地の原状復旧さえできないのでなないか、こういう感じが私はいたします。それで土地改良とか設備の更新とかいうものを、現在の農村の実情でやつて行けないのを、どういう資本でこれをカバーして行こうとするのか、それに対してどういう対策をとつて行こうとするのであるか、この問題をまず第一にお尋ねしたいことが一つ  それからもう一つお尋ねしたい問題は、昨日来できるかできないかはわからないといたしましても、国際小麦協定に参加を希望しておるということで、大蔵大臣からの答え弁あつたわけでありますが、私は国際小麦価格は一体どのくらいになるかと思つて実は調査をしてみたのでありますが、あれは御承知の通り四箇年の協定になつておる。そうすると一ブッシェル最低一ドル三十セント、最高一ドル八十セント、一年に十セントずつ下げるということになつておる。今の日本の小麦の値段は一トン当り二万一千円くらいになる。これを船賃、保険料等を加算して行きますと、丁度アメリカへ行つて一ブッシェル一ドル四十セントないし五十セントになる。ちようど今の小麦の価格と、国際小麦協定の明年年の価格というものがつり合うという形になる。これは現在の日本の小麦というものと、アメリカの小麦というものが同じ品質だとい前提に立つて言えばそういうことになるが、アメリカの小麦が日本の小麦よりも非常に良質だということは、戦前から言われておるところである。そうしますと来年国際小麦協定に参加いたしますと、ちようど現材のまだ値上げしない二万一千円の小麦価格がようやくだということになつて来る。ここで私は国際価格に今度行くということについて、一面大蔵大臣は昨日は肥料の補給をせぬとか、国際価格にさや寄せをするということを言われましたけれども、国際小麦価格という現実の事実にぶつかつて行くと、もう農産物の価格を引下げる余地というものは、対外的にないのだということがはつきりわかると思う。そこで日本が国際小麦協定に参加して行くということになると、早く言えば実はここに農村が非常に圧迫を受けるわけです。そこで日本米価は来年からは下る一方だ、もう上る余地はないのだ、昭和二十四年の、今年きめる産米の値段というものに、日本では最高だという感じを私は受けるわけであります。でありますから私は国際間の問題を通じてみて、今度の日英協定を見ますと、ごらんの通りにずいぶんたくさん入つて来る。そういう日英協定を見、国際小麦協定の参加を見て、今後の農産物の価格政策をどうするか。それから恐慌に落ちようとする日本農業の長期資金投資をどうやつて行くか。以上の二点、これは中心でありますから、森農相のお考えを実は聞かせていただきたい。それでないと税金も負けてもらえない。何も負けてもらえないというので、実に怨嗟の的になつておる現状を、私は非常に遺憾に思つておりますから、どうかこの二点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  168. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。今日農村におきましては御承知の通り担保力がなくなりまして、ことに預金等も非常に減少を来しております。しかも災害は年々起つて来る。これらの災害に対しましても政府は十分な助成をやり得ないというような状態でありますので、この際長期の低利の資金を融通するということが、今日農村に対して最も必要ではないか、かように考えておるわけであります。つきましては農林中金の機能を現在以上に発揮せしめて、また一面土地改良等に対しての特別なる資金の融通計画を立てまして、今後災害に対しての資金を都合したい、こういうことを考えておるわけであります。  なお協同組合等もまだ発足いたしたばかりで微力なものであります。ことに行政措置ではありますが、連合体がばらばらになつておりますので、今後これらの協同組合の連合組織等にも考慮を拂いまして協同組合という力で強力な活動を考えて行かなければならぬ、かように考えております。  また食糧問題について小麦協定に加入いたした件でありますが、これは御承知の通り、百二十万トンを予定しておるのであります。日本の食糧が将来とも自給度を高めて行きましても、増加する人員等を考えまして、どうして自給自足ができるかという問題でありまして、当然これは自分の力で相当の輸入をしなければ、まつたく食糧は自給自足で行けない、かような考えを持つわけであります。それで現在では食糧の需給も自主的に行われておらないのでありますが、将来におきましてもこの小麦協定に加入いたしました百二十万トン程度の外食の輸入ということは、当然必要であるということを考えますと、決してこの百二十万トンの小麦協定ヘ入りましたがために、日本の農産物の価格が圧迫を受けるというようなことは私はないのではないか、かような考えを持つておるわけであります。
  169. 植原悦二郎

    植原委員長 次に村瀬宣親君。
  170. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 今回の補正予算を通覧いたしまして、吉田内閣の政策の貧困から、森農政は今や弾劾の俎上に載せられんとしておるのでありますが、これは必らずしも森農林大臣個人の手腕力量のみの問題ではなくて、吉田内閣全体の責任であり、特に安本、大蔵両大臣の責任は重大なのでありますが、森農林大臣は農林行政当面の担当者として、当然その責任を追及されるということもやむを得ない運命であるとお考え願わなければならぬのであります。そこで私は何がゆえに予算面に現われた森農政を、かくも鋭く追求せねばならないかという点につきまして、要点だけをピック・アツプいたしましてお尋ねをいたしますから、農民に対して申し開きのできる理由がありますならば、農林大臣並びに関係大臣から明確にお答えを願いたいのであります。  森農相はまさにくずれ行く農家経済の様相をながめて、その原因の最大なるものは、農産物の価格シエーレの増大にあるとお考えになるかどうか。すなわち現在農産物の価格シエーレはあると思うか、ないと思うか、それは増大の傾向にあるか、縮小の傾向にあるか、まずこの点をお尋ねをいたしたいと思います。
  171. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今日の農産物価格は必らずしも満足すべき径路をたどつておるとは思いません。一般工産物の情勢に比較いたしまして、農産物というものを比較的に安くしたいということは考えておるわけであります。
  172. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 価格シエーレは現在あるということを、農林大臣ははつきり言われたようでありますが、そういたしますと、まず今日の農政の根本は、その不合理をほぐして行く点にあることは当然であります。この問題を解消することなしにどんな施策を講じて見ましても、それはさらに水を注ぐと同じでありまして、農家経営の危機を防ぐ方法ではありません。これに対して先般森農林大臣は中曽根君の質問に対しまして、色をなして言われたことがあります。ここに速記の一部を読んでみると、「ガリオア物資で輸入されておる今日、日本米価をきめる上においては、パリテイー指数によつてきめざるを得ない。今後日本が外国の食糧事情と融和して行くには、日本の食糧の価格を上げなければならない、これをお話したのであります。現段階と将来とをチャンポンにされては困ります。」こういう御答弁があつたのでありますが、一体ガリオア物資で食糧を輸入しておるということと、米価をパリティーできめねばならぬということと、どういう因果関係があるのでありましようか。つまりガリオア物資で食糧が入つて来るということは、農民以外の国民のためであります。農民はこれによつて安くたたかれるおそれこそあれ、何もそれによつて直接の利益はありません。日本の混乱によつて農業も営めぬとなりますれば別でありますが、直接の恩恵というものはないのであります。このガリオア物資で食糧が輸入されておる限り、どうしてもパリティーによらねばならないという理由はどこにあるか、それからまず伺いたい。
  173. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今日米価をきめますにつきまして、パリティー指数によることが妥当であるということを申し上げたのでありますが、いかにもお話の通りガリオアで入つておるのは一応こちらの仮定した価格によるのでありますから、この価格の決定日本の農産物と何らの関係もない。日本日本自体の価格を定め、そうしてガリオアの輸入食料の価格をきめれば、これは理論に合うわけでありますが、今日の農産物の価格をきめますのに、その価格の決定があらゆる間に波及する、すなわち食糧の価格の高いために、生活費が高くなり、労賃が高くなつて行く。従つてまた労賃のために農産物の再生産費が高くかかる、こういうことを繰返すという事情から考えまして、今日ガリオア物資に仰いでおる日本としましては、日本の農産物の価格をきめるのに、できるだけ公正に、ほかの物資との関連性を持たす上において、パリティー指数によるということが今日考えられておりますので、そのパリティー指数によつてきめることが妥当である、かように考えておるわけであります。
  174. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 パリティーそのものには、非常に科学的欠陥が存在をいたしておるのでありまして、安本長官はいらつしやいませんが……
  175. 植原悦二郎

    植原委員長 安本長官はおります。
  176. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それでは安本長官にお伺いいたしますが、今行われておりますものは、フイツシヤー理想算式パリティー計算と言つておるものでありますが、これは明らかに自由に、作為的にどうにでもなる算式である。ほんとうのフイツシヤー式ではありません。一つの類似式でありまして、こういうことは申し上げたくないのでありますけれども、とにかくウエイトのとり方等においてフイツシヤー式でないのでありますが、そういうものを特に米価に持つて来て、農林省の企画課では、ちやんと同じパリティーで四千五百十六円五十三銭というものをつくつておるのでありますが、特に安本が設けられた四千二百五十円というような金額をここに待ち出されたということに、公正な米価をきめようとするのではなくて、先に価格をきめておいて、あとから還元的に数字を合せたという感じがいたすのでありますが、現在安本でお使いになつておるパリティーというものは欠陥はないとお考えであるか、これからまずお伺いいたします。
  177. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいまパリテイー計算についてどうも正当でないというような御判断のようでありますが、物価庁といたしましては、このパリティー方式をもつて妥当な方法であるというように考えて、これを計算いたしておるわけであります。ただ問題はすでにたびたび申されておりますように、日本における生産費計算というものが問題になつておりまして、これをどういうふうに加味するかというような問題が、御承知と思いますけれども、米価審議会においても問題になつたのであります。しかしわれわれが計算の基礎としておりますパリティー計算は、われわれとしては一応妥当なものとしてこれを計算をいたしておりますので、なお欠陥があるといたしますれば、われわれとしてはさらに検討いたしたいと存じます。
  178. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 予算委員会でパリティーの議論をするつもりではなかつたのでありますが、妥当なりとお答えになる以上は、これを申し上げねばなりません。一体パリティーの基準となつております基準年度と米価、これは当然深川正米価格、神田川正米価格、堂島正米価格の三つをとらねば公正なものではないにもかかわらず、深川正米価格だけをとつたということは確かに誤りであります。それからあと二、三簡單に言つてみますと、基準年度の価格を動かしては最後の結果はどんなにでもなつてしまいます。基準年度の価格は動かすべきではない。しかるに二十二年度の千七百円にきめるときには、かわらを五銭としておられたが、二十三年度のときは八銭五厘にかえられておる。七割も上げておるのであります。疊表は九十八銭であつたものを一円二十五銭に上げておる。地下たびは一円十二銭と計算されておるが、中央農林協議会で調査したところによると六十八銭であります。身欠きにしんのごときは十貫九円七銭であるけれども、東京都の水産物卸市場の調べでは四円六十九銭で半分である。そういうように基礎の価格を全然中途でかえたり、全然不公正なものをそのまま御材用になつておるが、今年はこれをおかえになつたかどうか、――かえておらぬのはわかつておるのであります。あるいはまた同じウエイトの点におきましても、たとえば電動機のごときは、前はサービス料や取付け料がみな加わつておりましたが、最近のは加わつておりません。豆腐のごときは重量を加味しないでただ一個として計算をしておるが、そういうことでウエイトが出る気づかいはないのであります。ことに地下たびなどは品質を考えますならば、前の一足で労働に従事して耕作のできた日数と、今の地下たびの耐える日数とは非常に違うのであります。そういうはつきりした誤りがあるのをそのまま妥当なりとお考えになるのは、どこに根拠があるのですか。
  179. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいまの御質問のような問題も、特に私の記憶いたしておるところでは、深川の正米相場であるとか、地下たびの問題であるとか、そういう問題も出たことを記憶いたしておりますが、なお詳細につきましては、ただいま物価庁次長が参つておりますから、この点について御答弁を申し上げます。
  180. 福島正雄

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。今日パリティー計算の内容につきましてのこまかい御質問が出るとは思いませんで、今御質問のような非常にこまかい点につきまして答弁いたします材料を持ちませんが、御必要に応じまして取寄せますが、この問題は米価審議会におきましても非常に問題になりました中心であります。深川の正米市場の価格だけをとつて、堂島のをとらないのはどういうわけかということでありますが、パリティー方式が採用されました経過からいたしまして、その根本になります数字を動かすことが、今日の情勢におきまして採用できないのであります。それから地下たびの問題は、確かに品質、命数は元のものより今日のが悪くなつていることは事実であります。しかしその品質の相違、命数の相違をパリテイー計算に入れますことは、かなりめんどうがあろうと思いますが、そういうこまかいことがいろいろ積つておりますパリティー計算の根本は、原価計算の方式と非常に違うようなお考えでありますので、原価計算というものは、御承知の通り、そのときの農家の経済米価の生産原価を構成いたします緒物資の価格をきめましてできるものと考えますが、パリティー計算の基礎であります基準年次の米価も、その当時の原価計算あるいはその当時の農家経済の主要材料を積み上げましてつくつたその当時の価格であります。その当時に用いられました原料、物資あるいは生産に用います物資の騰貴率を見まして、ここにパリティー指数といたしたのであります。従いましてほんとうにその比較いたしますパリティー物資の値上げの率が正確に勘定されていますならば、ここで今日生産原価を積み上げました金額、基準年次の米価から騰貴率を計算いたしまして積み上げました米価とは、ほぼ一致するはずなのであります。ただその点にいろいろ今のお話のようなこまかい点につきまして、あるいはマル公物資だけでなく、自由価格の物質を入れますこと等によりまして、多少の相違が起ることもあります。またやみ価格が、現在のパリテイー計算におきましては入つておりません。従つて今日の実際の生産費と多少の違いが起るかと思います。パリテイー計算によります米価の計算方法、原価計算によります米価の妥当性を、米価審議会におきましても繰返し繰返し議論されたわけであります。原価計算におきましても、北は北海道から南は九州までの非常に気候その他の條件のかわります地帯におきまして、どこをとつて米価の原価計算といたしますかについてはいろいろ議論があることでありまして、やはり一種のバルクライン・システムによりまして、米価の原価をきめるよりいたしかたがないのであります。これも全国を通じまして一本の価格で妥当性を與えることは、はなはだむずかしいと思います。もつと科学的に申しますれば。(「簡単に願います」と呼ぶ者あり)パリテイー指数のこまかい点につきまして、非常につつ込んだお話がありましたが、さような場合に十分に盛り込めない点があります。
  181. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 あなたの御説明は実効価格相互間の比率と、公定価格相互間の比率とが、対応した場合に正しいのです。現在対応しておりませんから、間違いです。あなたが幾ら長く御説明になつても、絶対的にこのパリテイー計算というものは、今あなた方がやつておられるものはどの間から言いましても――簡単な例を上げたわけですが、ラスパイレス式のウエイトはとにかくとして、パーシエ式のウエイトでは、なつておらない。大体P分のPQであなた方は出しておる。これを相殺すればQになるとお考えになつておる。そこにあなたの間違いがある。これは議論すれば幾らでも議論になりますが、これ以上議論いたしません。時間が惜しいから次に進めますが、しからばもし食糧庁の企画課でパリティー計算によるものが四千五百十六円八十三銭となつておつたものを、何ゆえに安本の四千二百五十円を御採用になつたのであるか。これは農林大臣としても責任があります。あなたの方でちやんと四千五百十六円八十三銭と一応計算したもの――もつともこの中からいろいろな品物をかつてに抜いて安本が安くきめたらしいが、そういう点、どうして安本はこの安い方をおとりになつたのか、それをお伺いしたい。
  182. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいまの物価庁次長答弁で大体おわかりのことと存じますが、ことさらに安いのをとつておるというわけではありません。
  183. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 一つもわかりません。しからば品目におきまして、これ以上のことは言いませんが、ひとつ農民の得心の行くようなはつきりした御答弁を願いたい。農民の前で言つても、ちやんとわかるような御答弁を願いたい。最初食糧庁で御決定になつております四千五百十六円五十三銭の中には、酒、キヤラメル、りんごにみかんが加わつておる。これで五点というものは指数が上つております。ところが安本ではこれを除かれた。それがためにみすみす五点というのが下つた。一体農民の子供には、キャラメルなどは一切食べぬでよろしい、こういうふうにあなた方はお考えになつておるのでありますか。せつかくこういう適切な品目を入れておきながら、それを除かれて、農林大臣はよろしいと黙つておられるのか、二人の御意見を聞きたい。
  184. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。これは物価庁の案も農林省の案も一つの試案でありまして、先ほどお話のように深川の市場だけとるということになつておりますが、農林省といたしましては、当時の状況を追想して堂島も――これは関西の中心の市場であつたから、堂島の相場もとるべきであるという意見もあつたのであります。四千五百円にしましても、四千二百円にいたしましても、これは両省おのおのの試算でありまして、これが決定されるにつきましてはいろいろの手続等がありまして、今のりんご、キャラメルというような問題もずいぶん議論をした結果、除かざるを得ないというふうになつた次第であります。これは物価庁責任をもつてきめられるのでありまして、物価庁と関係方面との折衝の結果、相当われわれも考慮したのでありますが、内容の変更についてはそういう径路をたどつたような次第であります。
  185. 植原悦二郎

    植原委員長 安本長官答弁いたしません。
  186. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私たちは吉田内閣、特に森農政、青木安本長官の農民観というものは、酒も百姓は飲まぬでよろしい、キャラメルも食べぬでよろしいという思想のもとに、今年の米価はおきめになつたと了解いたすものであります。だから最初、私は森農林大臣に価格シエーレをお認めになるかどうか、それを解消する道はどこにあるかということを第一問として出しておるのでありますが、ここに至つてやはり価格シエーレは認めるが、不公正な、得心の行かない価格で、ともかくも低米価政策を一応とる、りくつのない政策をとるということよりほかに解釈はできないのであります。  この際もう一つ価格問題で、これは予算の執行と当然関係があるのでありますが、この価格を決定なさるにあたりまして、外国の食糧事情を御考慮なつたかどうか、この点について安本長官の御意見をお伺いします。
  187. 青木孝義

    青木国務大臣 外国の食糧事情は、もちろん日本に影響のある範囲においては、勘案しておりますが、本年度外国における食糧というものは、大体において好況であるということでありまして、日本に影響のある程度においては、これを勘案いたしておる次第であります。
  188. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 どうも御答弁がはつきりしないのでありますが、私がこのことをお伺いいたしましたのは、去年まで三倍であつた超過供出代金を、二倍にきめられたその根拠を伺いたいのであります。法律的根拠、科学的根拠を、何によつたか、どういう統計によつたか、どういう指数によつたか私の想像では今シヤム米を輸入いたしますと、大体トン百三十五ドルくらいになるのでありましてチヤージを入れまして、CIF価格が百五十五、六ドル、これを換算いたしますと、石九千円程度になると思うのでありますが、もし二倍で供出しなければ外米を買つてやるぞと、こういう一つの観点から、三倍を二倍におきめになつたのであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  189. 青木孝義

    青木国務大臣 御質問でございますが、さようなふうには考えておりません。
  190. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それでないのなら、どういう理由なのでありますか、その理由を伺いたいのであります。ちやんと科学的な理由を、パリティーから割り出しておるとか何か……
  191. 青木孝義

    青木国務大臣 二倍というのは、今年度の米の生産量が相当によろしい。少くとも平年作以上であるというような観点から、そういうことに相なつておる次第であります。
  192. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これはまた重大なことをお伺いしたのでありますが、しからば今年九月二十五日現在のものを六千五百五十四万八千二十石と御発表になりました。これは非常に農民に衝動を與えたのであります。ところがこれに対しまして、約一千百万石ほどの減収を知事が訴えて来ておる。森農林大臣自身も四百万石ぐらいは当然補正をせなければならぬであろうとかつては言われておつたものでありますが、それに対しまして百十四万七百石しか補正をしないということになつて、きようなどは府県知事会議で大問題を起しておることは、すでに御承知の通りであります。安本長官も知つておるはずであります。ところが今年は非常に豊作だから、それで三倍を二倍にした、こういうのでありますけれども、かようなことを府県知事であろうが、調整委員であろうが、地方の担当者が伺いましたときには、現在の内閣閣僚諸公の実際の農民に対する認識、産米数量に対する認識というものは根本から誤つておるのであつて、これでは百姓は本当に救われぬという感じをしみじみ起すと思うのでありますが、一体今の安本長官お答えに対して、農林大臣はどういうお考えをお持ちでありますか。ことにこの補正割当に対しまして、あなたは四百万石は必要であるとこう言われておつたのでありますが、百十四万石というのは、何を基準にそういう数字が出たのでありますか、その点今の安本長官の御答弁から疑わずにはおられない。
  193. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。超過供出の奨励金が二倍である、あるいは三倍であるということは、科学的に算出いたしたものではないのであります。従来超過供出が特に食糧事情として必要な場合におきましては、ぜひとも農家の協力を得なければならないという考えで、特に奨励金を出すことになつておつたことは御承知の通りであります。なお早場米の奨励金のごときも、端境期をどうして切り抜けるかというような心配のあつた過去において、ぜひとも出してもらいたいという意味において供出奨励金が出ておつたのであります。この三倍が二倍になつたということにつきましては、二倍が妥当であるか、一倍が妥当であるかという問題でありますが、当初前年通りの三倍にやりたいという考えをこちらは強く持つたのでありますが特別会計の予算の上におきまして、またこれが結局消費者の価格にカバーされることになるのでありますから、もし超過供出の石数が二百万石である、あるいは三百万石であるというこの数字を予想することによつて、消費者価格にこの強化供出の奨励金が、カバーされるということを考慮されまして、遂に二倍ということに決定をいたしたわけでございます。なお補正の数量でありますが、これは本年は非常に収穫時期も遅れております。本来ならば九月二十五月の大体の予想数量、それから十二月になりまして実收数量というものの統計をとるのでありますが、本年はこの九月末より十月の一箇月の間に非常な稻熱病の発生がありまして、当初豊作型でありましたがために、六千五百余万石に予想をいたしたのでありますが、その後、これに御承知の粒数検査でやる統計の結果でありますので、これを坪刈りに移しまして調査をいたしますと、約一割ぐらいの減収が予想されておるのであります。ところが各府県からの要請を見ますと、増額いたしておるところもあるが、減額数量としては千百万石ぐらいが減収であるというふうな数字も集まつておるのであります。御承知のこの供出制度を行いましてから、生産額の統計というものは、はなはだまちまちに現われて来る現象があるのであります。これは従来とも、昨年の米の生産額に比較いたしましても、地方から報告いたしますこと、あるいは作報の報告をいたしますこと、あるいは食糧事務所において参考に調査をいたしましたことの統計か、おのおの食い違つて来るのであります。そのいずれを信憑すべきかという問題でありますが、これは現在の政府といたしまして責任ある調査をいたしますのは、作物報告事務所の統計が科学的に組織されておる関係上、これを信憑いたしてすベてを考えて行くのであります。従つて今回六千五百余万石に報告いたしました昨報の統計が、その後臨時的な調査でありますが、約一割の減収を来すというような統計が出て参つたのであります。本年の供出事前割当は三千二百余万石であります。これをどれだけ補正するかという問題になりますが、本府知事会議に発表いたし、先般中央調整委員会にも発表いたしました百十四万六百石というこの数字は、先般この問題を解決するに対して天然資源局より指令されました数字であります。この指令を十一月十五日に受けまして、この百十四万右の補正額というものの根拠につき、あるいはそれらの修正に対して、こちらと考え方相当つておりますので、今日まで相当折衝を重ねて参つたのであります。しかもその指令は十一月の二十五日までにこれを各府県に割当てるという強き指令でありましたので、本日知事会議を招集いたしましたが、まだ結論に達しませんので、本日も天然資源局に朝から参りまして、その交渉を続けて来たのでありますが、司令部といたしましては、本年の生産額は科学的調査の結果、六千九百余万石を想像される。それであるからこの補正額は、この百十四万石において妥当であるという、強き立場においての司令でありまして、これは断じて動かすことのでき得ない指令であるから、これによつて補正すべきであるということを指令いたされまして、政府といたしましてはこの指令に基きまして、本日知事会議にこれを指示したような次第であります。
  194. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたの時間はあと五分です。     〔「大臣がまじめな答弁をしないからだめだ」と呼ぶ者あり〕
  195. 植原悦二郎

    植原委員長 静粛に願います。
  196. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 その指令をされたというのでありますけれども、農林大臣は四千方の農民の父であります。その農林大臣が明らかに六百数十万石は減収である。最初の割当の三千二百万石から比べても、約三百万石は足らないということは明らかにわかつており、あなたはその信念があつて、なおかつそれを無視するような指令が出るということに対しましては、それは農林当局の、内閣の熱意が足らぬ。責任の重さを感じないということを農民は思うのであります。従つて私はただいまの御答弁では、とうてい日本の農民は満足をし、得心をして供出できるかどうかということは疑問であると思うのでありますが、いよいよ十二月の十五日には最後のほんとうの数字が出るわけでありますが、そのときに再補正をなさるお気持はあるかどうか。それを簡単にお聞きいたします。
  197. 森幸太郎

    ○森国務大臣 再補正につきましても司令部と相当の折衝をいたしたのでありますが、この十二月十五日の実收高の結果、現在の百十四万石を割当てましたために再生産ができない、あるいは保有量を欠くというような場合が生じた場合につきましては、農家に対して適当なる措置をとることを考えておるわけでおります。
  198. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 非常に時間が切迫いたしましたので簡條書に――まだ農林大臣の御答弁は私は非常に不満足でありますが、委員長から盛んに時間の御催促がありますので、簡単にして次に移ります。  農地証券の資金化、金融化ということについてどういうふうにお考えになつておりますか。それが第一。  第二は地方税が非常に高くなるのでありますが、それに作つて小作料を改訂なさる御意思はあるかどうか。  なお農村の金融で一番困つておりますのは、従来ならば田を一反持つておれば、病気の場合あるいは子供の学資等に何らかの担保力があつたのでありますが、今農地改革以後全然担保力がなくなつた。ここに農村金融の非常に窮迫した原因があるのでありますが、この田畑に対する担保力を持たせる方策お持ちであるかどうか。この三点をお聞きいたします。
  199. 池田勇人

    池田国務大臣 お答え申し上げます。農地証券につきましては、当初予定いたしておりますよりは、小作人が一時拂いの金額は相当多いのであります。ただいま四十億円余りございます。これをできるだけ早い機会に地主にお渡ししたいと計画しております。私といたしましては債務償還に充て得る金額が相当ございますので、元の地主に対して一度に拂つてしまおうかという考えのもとにいろいろ計画いたしてみましたが、これは実行できないことになりそうであります。それで今集まつた金につきましては、できるだけ早い機会に地主にお渡しする計画を立てております。  第二の小作料の問題でございますが、私多分これは米価七十五円で行つておると思つております。この点につきましては適正な米価をきめまして、改訂をしなければならぬ段階に来ておると私は思うのであります。  次に田畑の担保力でございますが、これは何と申しましても金融の道をつけるのが第一であります。たびたび申しておりますように、農林中金の改組をいたしまして、農家への金融を十分考えたい。かく思つております。
  200. 植原悦二郎

    植原委員長 村瀬君、もう時間ですけれども、たいへん御熱心ですから、もう一つだけお許しいたします。
  201. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 簡単ですからもう二つだけ伺います。大蔵大臣は見返り資金千四百九十億円、これが近々二百億円ぐらいは出る。来年度にまわるのはわずかである。こういうお話でありましたし、これにはたびたび皆さんがお聞きになつたのでありますが、これが特に農村金融方向へ――金融というよりも、直接農家自体の土地改良その他へ貸しつけるという方法を交渉されたことがあるかどうか。当然これは見返り資金自体が、国民大衆の強制貯蓄的なものから組み立てられておるのでありまして、この内容を解剖すれば、当然農村へこういうものこそ還元といいますか、貸し付けるべきものであると思いますが、今までの大蔵大臣の御答弁は、一般的に二百億出せるようになつたとかいろいろなお話はありましたけれども、特に農村関係へどういうふうな方法で出せるというような、具体的な御答弁はなかつたと思うのでありまして、詳細な具体的な御答弁を承りたい。
  202. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金の今年度の使用につきましては、ただいま関係方面に申出をいたしております。そのうちには農村関係に使うような申請はいたしておりません。来年度におきましては、私は農村関係相当な金が出るようなことをほのかに聞いておるのであります。従来も努力いたしておりますが、今後におきまして、少くとも来年度におきましては、農村関係相当出るように努力いたしたいと思つております。大体の見通しもついております。なおこの機会に申し上げますが、見返り資金への繰入れは、強制貯蓄とお考えになつてくださつては、これはたいへんな誤りだと思います。
  203. 植原悦二郎

    植原委員長 たいへん農家のために御熱心ですから、ではもう一つだけ……
  204. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 見返り資金を強制貯蓄とは申しませんが、あの組立てをずつと解剖してみますと、強制貯蓄的な性質からでき上つておると思うのでありますが、この議論はきようは差控えます  そこで今度の千四百九十億円には全然農村関係は触れておらないというお話でありましたが、キユアリング倉庫として五億円、あるいは中小灌漑等に一億円、その他土地改良に十九億円、合せて二十五億円というものを最初御計画なつたと聞いておるのでありまして、いわゆるかんしよのキユアリング倉庫などはすでに全国にでき上りつつあるのであります。それに対してはどういう計画を持つておるのでありますか。  それから最後に安本長官にお伺いいたしますが、すべて農産物価格は非常なむりが行つておるということを先ほどから私は申し上げたのでありますが、特に価格等統制令を無視したきめ方をしておる事実があるのであります。たとえば大豆の価格の決定あたりまして、六十キロにつき六円十五銭というようないわゆる増産奨励費をちやんとその価格の中に入れて、これは当然告示になつた価格でありますが、その六円十五銭分として二、三千万円があつて、それを別にしておいて大豆協会に交付されて、今問題になつていることは御承知でありましよう。この内容を聞きますと、食品局の油脂課長というようなのが安本の係と相談をなさつて、かつてに価格をさようにきめて、その分だけとつておく、こういうことをされているのであります。これは明らかに価格等統制令の違反であります。こういうことができますならば、価格等統制令は死文であります。自由に一課長あたりが相談をして、この価格はこういうふうにきめよう、そしてその価格の中に六十キロにつき六円十五銭というようなものを含ませておいて、それを別にちやんととつて、そしてそれは消費者からとつて政府の収入にも何にもしていない。そういうふうな価格のきめ方を一体なぜ御承認になつたか、その経過はどういうことであるか。あるいは分解、硬化用の油脂価格差金というものを七千万円ほど、これまた油糧公団へ別に渡しております。価格としておきめになつたものならば、これは当然公団の収入として政府へ入つて来べきでありますが、別にこれをまた大豆協会等へ支出をして、いろいろな問題が起つている、こういう農産物価のきめ方において、百姓は実に得心の行かぬきめ方を次々とされておるのでありますが、これら大豆価格のいわゆる増産奨励費を含ませたものの内容を、詳細に御答弁願いたいと思います。
  205. 池田勇人

    池田国務大臣 本年度見返り資金から、お話農業関係、ことにいも類のキユアリング等に対する融通は、ただいまのところ、努力はいたしておりますが、望み薄でございます。御了承願います。
  206. 青木孝義

    青木国務大臣 大豆の価格について、その奨励費はとつております。しかしその内容については、農林省がこれを扱つておりますから、その点については私は存じておりません。
  207. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 一体価格等統制令でちやんとしかれております今日、さようなことでよろしいのでありましようか。ちやんと告示をして、この価格は何ぼ、こうきめておるが、その中に一つ奨励費というものが別にある、それは農林省で扱つていると言われるが、いかにもそれは食品局の油脂課長がきめたというのでありまして、そして公団へそれだけをとつて別にしておく、そしてそれをかつてに――大豆協会は帳簿も備えていないとはつきり言つておるのでありますが、その帳簿もないようなところへ出している、そういう方法で農林大臣はいいと思いますか、この点お伺いいたします。
  208. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今安本長官より答弁されました通り、価格をきめるについて、そういう構成のもとに部課長がきめられました。それを農林省といたしましては、従来食品局でやつておつたのでありますが、奨励の立場から、その物価決定の方法に従つて処置しておるわけであります。
  209. 植原悦二郎

    植原委員長 深澤義守君。
  210. 深澤義守

    ○深澤委員 まず政府に食糧政策についてお伺いしたいのでありますが、今日食糧問題は、日本の将来の独立の基本的な問題でございます。政府はこの食糧問題の解決に対しまして、国内における自立方針を根本的な方針として考えられているのか、それとも外国依存の方針を根本的な方針として考えられているのか、この点について安本長官農林大臣の御答弁を願いたい。
  211. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これは本会議、当委員会において、たびたびお答えさせていただいた問題であります。限りある国土で限りなくふえて来る人口を養つて行くのでありますから、どうしても将来は食糧が足らぬという結論が出るわけであります。しかしできるだけ国内の食糧を増産いたしまして、そして足らぬ分は海外に依存しなければなりません。ただその依存の仕方が、今のようにただもらうということはいつまでもできないのでありますから、将来はこの不足の食糧を、日本が働いて外国一ら食糧をもらつて来るというより道はないと考えております。従つて日本の食糧はあらゆる角度から増産をして、自給度を高めて行くということはもちろんのことであります。
  212. 風早八十二

    ○風早委員 議事進行に関して……。今ちようど本会議のべルが鳴つておりますが、きようの本会議は、今御答弁になつております森農林大臣の一身上の問題にも関係いたしておりしまして、われわれとしても全員本会議に出席しなければならないと考えますので、暫時休憩をお願いしたいと思います。
  213. 植原悦二郎

    植原委員長 それは動議ですか。
  214. 風早八十二

    ○風早委員 まだ動議はしておりません。
  215. 植原悦二郎

    植原委員長 最後の日でありますから、なるべくこの議事を進行したいと思いますが、もし委員の多数できまればいたしかたありません。     〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
  216. 植原悦二郎

    植原委員長 議事を進行します。深澤義守君。     〔「緊急動議」と呼びその他発言する者多し〕
  217. 風早八十二

    ○風早委員 一旦休憩して、本会議に出ることに賛成かどうか、ひとつ動議を提出いたします。
  218. 上林山榮吉

    ○上林山委員 会期も切迫しておりますし、協定もありますので、議事進行をはかられたい、こういう意味において動議に反対いたします。
  219. 植原悦二郎

    植原委員長 今反対の動議が出ましたから、その動議を処置いたします。風早君の動議に賛成の方起立を願います。     〔賛成者起立〕
  220. 植原悦二郎

    植原委員長 起立少数。動議は否決されました。深澤義守君。     〔「動議を提出する」「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
  221. 勝間田清一

    ○勝間田委員 動議を提出いたします。ただいま風早君の動議はもちろん成立ちませんでしたけれども、私はあらためて、休憩しまして、そして理事会をすぐ開いて今後の措置を講ぜられんことを提案します。
  222. 植原悦二郎

    植原委員長 向うの時間とにらみ合せて、もう少しやつてください。なるべく議事を進行せしめたいと思いますから……     〔「動議はどうした」「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
  223. 植原悦二郎

    植原委員長 もう少しやつてください。深澤義守君。――深澤義守君に発言を許しました。――発言放棄ですか。(発言する者、離席する者多し)農林大臣はここにおります。深澤義守君、時間が経過いたします。
  224. 深澤義守

    ○深澤委員 勝間田君が動議を出したのは一体どうしたのです。
  225. 植原悦二郎

    植原委員長 勝間田君には今お話して、もうしばらくあなたの方を継続ということにいたしました。深澤義守君の発言を放棄するかしないかの問題です。あなたに発言を許しました。     〔発言する者多し〕
  226. 深澤義守

    ○深澤委員 こういう議場では質問しても徹底しないから私は留保いたします。委員長が議場を収拾して、発言した場合に十分徹底するようにしなければ……
  227. 植原悦二郎

    植原委員長 議場を故意に混乱せしめようとする場合には、多数で決するよりいたしかたがありません。
  228. 深澤義守

    ○深澤委員 勝間田君の動議を取上げないではありませんか。
  229. 上林山榮吉

    ○上林山委員 勝間田君の動議に反対いたします。
  230. 植原悦二郎

    植原委員長 勝間田君の動議を採決いたします。勝間田君の動議に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  231. 植原悦二郎

    植原委員長 起立少数。勝間田君の動議は否決されました。(発言する者多し)深澤義守君。
  232. 深澤義守

    ○深澤委員 このような議場の状態では発言できません。議場を収拾してください。     〔「自分で妨害しているんじやないか」「発言できなければやめろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  233. 植原悦二郎

    植原委員長 深澤君、妨害はあなた方のお仲間だけです(笑声)すベて議会制度は多数に従うということであります。多数をもつて二つの動議は否決されました。
  234. 深澤義守

    ○深澤委員 委員長は発言者が十分発言できるように議場を整理してください。それまでは発言を留保いたします。
  235. 植原悦二郎

    植原委員長 それならば、次の発言者に発言を許します。奧村又十郎君。
  236. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は主として大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。大蔵大臣に対して、酒税の問題、金利の問題、滞納処理の問題などについてお伺いをいたしたいと思います。  まず酒税の問題でありますが、今回の補正予算で酒税は百二億の増徴を予定しておりますが、これの数字的の根拠をお伺いしたい。すなわち年度内の酒類別の庫出、数量及び昭和二十四酒造年度の酒類別の造石数量、かねて政府委員に資料の提出を求めてあつたのでありますが、その数量をお聞かせ願いたいと思います。
  237. 池田勇人

    池田国務大臣 今年度の酒類の造石見込みは、この議場においてたびたび申し上げました通り、しようちゆうに充てますかんしよの数量が予定の五千万貫の倍額一億万貫になりました。従つて非常な増産がありましたのと、ビールについて例年よりも相当出荷が多かつたのであります。なお清酒の方については大した増減はないのでありますが、予定通りに行つておると思います。なお昭和二十四酒造年度の酒類の生産見込みについては、ただいま米の割当について関係方面と話を進めておりますので、まだ正確な造石見込みはできておりません。
  238. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は大体の数字をお伺いしておるのでありますが、もうこの年度も十一月、十二月に入りますから、大体数字はおわかりのことと思いますが、これは御発表になれませんか。御発表になれぬとすればこれはどういうわけでありましようか。しようちゆうなどの場合においては予定がつかぬ、こういうわけで御発表にならぬか、お伺いいたします。
  239. 池田勇人

    池田国務大臣 何も秘密なものではありませんから、発表いたします。各酒類ごとの造石高についての数字も早急に調べてお知らせいたします。
  240. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これはすでにかねてから政府委員に資料の提出を要求してあります。本日中に御報告を願いたいと思います。  次にお伺いしたいことは、清酒について今年度いまだ原料米の割当がはつきりしないから石数がわからぬ、こういうことでありますが、今年度は昨年度以上にアルコールを添加いたしまして石数をふやすやに承つております。このアルコール添加によつて清酒の石数をどれだけふやされるか、お伺いいたしたいと思います。
  241. 池田勇人

    池田国務大臣 清酒の増石をするために、もろみ添加の方法でアルコールを入れておることは御承知の通りであります。昭和二十三酒造年度におきましては、大体二割五分から三割程度のアルコールを入れました増石があつたと考えております。
  242. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで本年度はこの事をもつとふやして、酒造家の自由にまかして、五割ないし六割にも添加率をふやす、こういう御方針のように承つておりますが、いかがでありますか。これによつてどれだけの増石ができるか、お伺いしたいと思います。
  243. 池田勇人

    池田国務大臣 日本人の嗜好から申しまして、合成酒より清酒の方が割合にいいのでありまして、私といたしましては、できればアルコール添加の増加をはかりたいと思つております。しかし何分にもあまり添加いたしますと、合成酒との差ができて来ないようになりますし、またこれを添加せずにしようちゆうで売つた方が増収がないというわけのものでもありません。それはやはり嗜好の状況考えて適当にやるべきだと思います。
  244. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで昨年度より今年度は、アルコールの添加の率が多いということは、確実のように承つております。そういたしますと、清酒と合成酒とがだんだん似通つて来る。そこで大蔵省の方では、将来近い機会に合成酒と清酒との混和を認めるというご方針のように承つておりますが、これは将来特に業者にとつては非常な大きな問題でありますので、この際ご方針を明らかにしていただきたいと思います。
  245. 池田勇人

    池田国務大臣 清酒と合成酒を混和いたしますと、非常にいい酒ができるということは聞いております。しかし昭和二十四酒造年度におきまして、これを認めるか、認めないかは、検討いたしておるのであります。よほど業者の経営状況等も考えませんといけませんので、ただいまのところ検討はいたしておりますが、決定いたしておりません。
  246. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこでこれもいずれ時期の問題と思います。またアルコール混和も避けられないことでありますが、これは私の希望意見として、そういう一方に増産を目的としたアルコール添加、あるいは合成酒はけつこうでありますが、一部にやはり日本酒の特長を残す意味において、特に特級酒などにおいてはアルコールを全然添加しないか、あるいは添加しても一割にとどめるか、特に日本酒の特長を保存できるような、特殊の特級酒というものをあくまでも残されたい。こういう希望を持つておるのでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  247. 池田勇人

    池田国務大臣 同感でございまして、その線でやつておると思います。
  248. 奧村又十郎

    ○奧村委員 次にしようちゆうが相当出まわつたので、しようちゆうの密造はかなり少くなつたと思います。ところがいまだに米でつくるどぶろくの密造は減つておりません。むしろこのどぶろくから転化してそれを清酒にして、清酒の密造が全国に相当はなはだしいと思います。これを防止するには、いろいろな政府の御努力にもかかわらず、なかなか成功いたしません。これはどうしても酒の価格を引上げてはならぬ。安い価格の酒を出すということが、密造対策の第一であると思います。ついてはシヤウプさんの勧告にもかかわらず、これに十五箇月の予算でありますから、昭和二十五年度においても清酒の価格は現在の程度で、引上げてはならぬと思うのでありますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  249. 池田勇人

    池田国務大臣 密造酒のありますことはまことに遺憾でございます。いろいろな点を考えまして、今臨時国会には、シヤウプ勧告案にもかかわらず、酒税の増税は行わなかつたのであります。しかし来年度の歳入状況等を考えまして、ある程度の補正はやむを得ないのではないかと思います。従いましてシヤウプ勧告案の程度に――今年の四月に減税いたしました当時にもどすことはいたさない考えでおりますが、ある程度の補正はしなければならぬと思います。ことに地方におきまして酒類に対して附加税をとつておつたのが、今度もどつて参ります。附加税はなくなります。そういうことと、そうして原料米並びに原料が高くなりました関係等を加味いたしまして、上るのもあるし、また売れ行きその他を勘案して下るのも出て来ると考えております。大した増税はありません。
  250. 奧村又十郎

    ○奧村委員 酒税の問題はこの程度にいたしまして、先般の大蔵大臣財政演説で、従来の一県一銀行主義はこの際とりやめる、銀行の新設の機運があれば、これは許可してもよい、こういう御方針で、まことにけつこうであります。そこで今日相当資金原価が高くついておりますから、新たに銀行の新設ということはなかなか困難を伴うと思うのでありますが、この許可に際して大体資本金をどれくらい、あるいは何かその他の條件をもつて許可をされるのかどうか、この許可の條件についてお述べを願いたい。
  251. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまの銀行法におきましても、地区別に銀行の貸本金を規定いたしておると記憶しております。従いまして新たに設立しようとする銀行が、どういう地方で計画されるかによりまして考えなければならぬと思うのでありますが、私は今の一県一行主義にはあきたらぬものがございます。今後認可申請の出て来た場合におきまして、そういう点は具体的に考えたいと思つております。
  252. 奧村又十郎

    ○奧村委員 地域的に考える、まことにけつこうであります。しかしこれは予想されることは、既設の銀行が、新設に対して表からと裏からと猛烈に反対するということは今から予想されると思います。この反対に大蔵省は乗ぜられぬようにここに希望しておきます。  さて、銀行は何と申しましても預金がかんじん、預金を集めるのには銀行の信用が第一、ところが今は新設するということであれば、既設の銀行と比べればなかなか預金は集まりにくい、これは当然であろうと思うのであります。そこで私は銀行を新設すべき地域においては、むしろ銀行新設よりも、既設の銀行の支店または出張所の設置を許可されるのが容易であり、またそれが効果的であると考えるのでありますが、支店、出張所の許可も同様になさるのかどうか、お伺いいたします。
  253. 池田勇人

    池田国務大臣 支店、出張所の新設の問題もさることながら、私は地方の金融を円滑にするために、別に新銀行をつくる機運に向けた方がよいのではないかと考えて、ああいうふうな演説をいたした次第でございます。
  254. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは支店、出張所の新設は許可しない御方針でありますか。
  255. 池田勇人

    池田国務大臣 許可しない方針ではございません。適当なものがあれば許可するにやぶさかではございません。
  256. 奧村又十郎

    ○奧村委員 取り立てて新設のみを御演説になりましたが、出張所、支店の新設については従来は許可しておりません。今後許可せられるなら、明らかに許可するということを御公表になつていただきたい。支店、出張所は許可されるということであるから、これは私はこれ以上つつ込みませんが、銀行の新設よりも、むしろ支店、出張所の許可の方が、地方の金融のためには有利である。特に一県一銀行主義で金融が独占されている地方においては、支店、出張所の許可の方が有利であると考えるのですが、大蔵大臣の銀行の新設の方がいいというお言葉は私は納得できませんので、もう少しく御所見を承りたい。
  257. 池田勇人

    池田国務大臣 支店、出張所を新しく許可することにやぶさかではないのであります。認可しないとは言つておりません。しかして、一県一行主義の方策は昭和十一年ごろに非常に大きい問題として取扱われて、金科玉條のように言われておつた原則なのであります。従いましてこういう大きい問題を財政演説の中に取入れ次第であります。
  258. 奧村又十郎

    ○奧村委員 くどいようでありますが……支店、出張所の数において制限をしておられるので、もし一地方で支店、出張所をふやすならば、どこかの支店、出張所を減らさなければならぬということが、銀行間で言われておりますが、これは誤りでありますか。
  259. 池田勇人

    池田国務大臣 私は何もそういう政策をとるとは言つておりません。情勢によりましては、こういう問題はいつでもかえてしかるべきだと考えております。
  260. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この問題はこの程度にいたしておきます。「国の予算」というものを主計局の一部の方がおつくりになつた、これによつて私も非常に勉強が助かりました。この御熱意に対しては敬意を表します。そこでさつそく御質問を申し上げるのでありますが、百五十八ページに日本銀行の納付金三十七億円とありますが、この説明の中に、日本銀行の昭和二十三年、昭和二十四年の利益金約七十六億円から、所有国債の帳簿価格と時価との差を二年間に均等償却するための一年分の償却三十六億年となつております。そうすると日本銀行のその当時の国債帳簿価格が幾らであつたか。なおその上、一年分が三十六億の一部であるから、二年分で七十二億の償却をやる。そうすると現在国際の償還が額面で行われるのに、なおこの上七十億もの償却をするということは、はなはだ不当に思うが、この数字に対して明細にお述べを願いたいと思います。
  261. 池田勇人

    池田国務大臣 所有有価証券の償却につきましては、国債が大体五分程度までに達することになつております。しかし日本銀行は、銀行の性質上そういうふうに認めることは許しておりません。しかし最近の情勢によりまして、日本銀行の国債の償却を変更する必要なしと考えてそういう金額が出て来たのであります。
  262. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ついてはただいまの数字をぜひお願いいたします。日本銀行の帳簿は幾らであるか、時価を幾らにするか、これによつて普通銀行の帳簿価格あるいは時価を見て行きたい。これは私のこれからの質問の基本になるのでありますが、大蔵大臣答弁では不満足でありますから、事務当局から詳しく御答弁を願います。
  263. 庄司一郎

    ○庄司委員 議事進行について……。ごらんの通り、委員世耕弘一君を除く以外の方は、かつて委員の席を立つたのであります。限りある時間内における質問でありますから、世耕君以外のこの席をけつた諸君は、質問の時間をみずから放棄したものであるということを認識しておかれたいと思うのであります。
  264. 植原悦二郎

    植原委員長 しかるべく考慮して取り扱うつもりでありますから御承知を願いたいと思います。  午後六時半から再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。     午後五時五分休憩      ――――◇―――――     午後七時十二分開議
  265. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。奧村又十郎君。
  266. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほどお伺いいたしました酒税の増収の根拠の数についてお知らせ願います。
  267. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 酒税の各酒類別の大体の庫出し見込み石数を申し上げてみたいと思います。まず清酒は五十四万六千石、それから合成酒が六万四千石、みりんが一万六千石、しようちゆうが六十二万二千石、ビールが六十三万九千石、雑酒が二万石、果実酒は一万一千石、合せまして自由販売酒は百九十一万八千石であります。当初予算においては大体百三十六万石ほど見ておりましたけれども、五十五万石程度の増になります。配給酒の方は、清酒が十五万石、合成の二級酒が二十万六千石、しようちゆうが八万石ビールが五万五千石、合わせまして四十九万一千右、当初予算は五十三万五千石見ておりましたので、若干減であります。総体合せまして、当初予算で百八十九万石程度見ておりましたのが、補正予算では二百四十万九千石、これは大部分いもの増加によりますしようちゆうの増産分でありまして、しようちゆうが当初見込んでおりましたのに対しまして、約五十四万石ほど増加いたしておる次第であります。
  268. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御説明でちよつとはつきりしなかつたのですが、当初予算よりも増加した石数、しようちゆう、ビールだけちよつとお願いいたします。
  269. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 しようちゆうは、自由販売は当初七万七千石程度見ておりましたのが、今度の補正で六十二万二千石であります。それからビールは、当初自由販売で四十八万七千石程度見ておりましたのが、六十三万九千石程度見込んでおります。
  270. 奧村又十郎

    ○奧村委員 次にいま一つお尋ね申し上げたいことは、日銀のマーケツト・オペレーシヨン、それから今年度及び来年度における一般会計からの国債償還、それから見返り資金からの国債償還、これによつて国債、復金債が非常に多量に償還されます。そのうち市中銀行の手持ちの国債及び復金債に関して、これはおそらく額面で償還されるでありましようが、市中銀行における国債、復金債の帳簿価格なるものは、額面よりも相当低いはずであります。この市中銀行の手持ちの国債もしわかりましたら復金債の総額、それからその帳簿価格をお知らせ願います。
  271. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 国債につきましては、本年八月末現在で、市中金融機関のうち、都市銀行と地方銀行にわけまして、都市銀行が四百五十四億八千五百万円、地方銀行が三百七十一億九千三百万円、合計いたしまして、八百二十六億七千八百万円、それから復金債は御承知の通り、本年度三月までに全部償還されるわけであります。
  272. 奧村又十郎

    ○奧村委員 帳簿価格をお願いします。
  273. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 帳簿価格は、全国銀行七十四行のうちで、九月のごく最近の数字を集計いたしたものがございますが、それの六十五行について申し上げますと、額面の総額が六百八十億でございますが、帳簿価格は六百四十八億ということになつております。
  274. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、市中銀行の帳簿価格が六百四十八億、それから額面が六百八十億、三十二億の差が出ております。償還されますと、償還されたときにすでに市中銀行にこの三十二億という利益が出て来るはずであります。この利益は今日までの銀行の利益の中から償却されておるはずであります。これは特別銀行に認められた償却であろうと思うのでありますが、今日までに復金債あるいは国債が銀行に相当償還されておる。そうすると、この償還における帳簿価格と、額面との差額の利益なるものは相当莫大になつておると思います。これはあとから申し上げることとして、それから日銀が市中銀行へ貸し出す貸出金利を、これは私の議論のついででありますから、ちよつとおつしやつていただきます。
  275. 池田勇人

    池田国務大臣 国債の買入れ価格、そうしてその後におきます償却額というのは、銀行ばかりではございません。一般の事業会社についても一定限度の償却は認めておるのでございます。それが額面で償還されるならば、それは利益に出て来るのであります。それから復金債につきましては御承知の通りに短期のものでございますから、国債のようにあまり償却はできないと考えております。日銀からの貸出金利につきましては銀行局長からお答えいたさせます。
  276. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 日銀の貸出金利は、御承知のように種類がございますが、一番低いものは一銭四厘、それから一銭五厘、一銭七厘というふうになつております。さらにそのほかに、御承知のように、いわゆる高率適用というものがございますが、それの基準は一体二銭一厘ということになつております。
  277. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この国債の償還利益によつて、私は今ただちに金利を引下げる時期が来ておる、こういうことを考えるのであります。しかしこの金利を引下げるか、引下げぬかということは、今日までかなりお伺いしておりますから、時間の関係上私は差控えます。しかしこの金利を引下げなければ、大蔵大臣の言われる農林中央金庫の債券、あるいは商工中央金庫の債券の発行に非常な関係があると思いますので、特にこれを強調した次第であります。  これに関連してお尋ねいたしたいことは、今後一般会計から国債が償還される、それから見返り資金からも国債、復金債が償還されると、市中銀行に償還されたその金は、ひもつきとして農林中央金庫あるいは商工中央金庫の債券の償還に向けられるようにしたら最もいいはずであるが、そうなるのかどうか、お尋ねいたします。
  278. 池田勇人

    池田国務大臣 本年度におきまして、国債の償還は国債整理基金の方からある程度はいたしておりますが、今年度は大した金額にはなつておりません。来年度におきましては、二十三年度ノ剰余金二百六億円余りが国債償還に充てられましよう。また来年度の債務償還五百億を見込んでおりますが、これなども国債の償還に相当部分が行くと思うのであります。
  279. 奧村又十郎

    ○奧村委員 シヤウプ案によりますと、銀行の無記名預金なるものは廃止する、こういう意見があるのでありますが、この無記名預金なるものは相当多額に上つておるはずであります。特に割増金つきの定期預金なるものは、ほとんど全部無記名預金である。この無記名預金の総額及び定期預金の総額をお示し願いたいと思うのであります。
  280. 池田勇人

    池田国務大臣 シヤウプ博士の無記名預金廃止によりまして、いわゆる源泉課税のものをやめるような勧告が出ております。これが具体化につきましては、ただいま検討中であります。無記名預金は、おおむね定期預金のうちにあるのでありますが、大体七百億円余と記憶いたしております。
  281. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 資料としてお配りいたすつもりでございますが、概略申し上げますと、普通銀行の九月末現在の預金残高が六千五百四十四億円、そのほかに特殊銀行の預金五百六十九億円ございますが、そのうち定期預金は大体千三百八十億、そのうち無記名と推計せられますものは七百八十一億円でございます。詳細は資料を差上げることといたします。
  282. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先日中曽根君が要求して出された滞納の金額を調べてみますと、本年五月一日現在の過年度滞納金額、これが五月一日でありますから、言いかえれば本会計年度に繰越された滞納金額が合計で七百四十二億、そうして十月一日現在の過年度滞納金額が百八十四億に減つております。そうすると五箇月間に差引五百五十八億円の滞納金額が大幅に整理されておる。これは国税庁ができて非常に努力なさつた結果と存じてまことに敬意を表するのでありますが、しかし本会計年度に繰入れられた金額は、その滞納の整理金額と比べてまことにわずかである。この五百五十八億の整理の結果をお尋ねいたします。
  283. 池田勇人

    池田国務大臣 五百数十億円のうち、現金収入で国庫に入つて参りましたのが百八十億余りでありますその他は不納欠損あるいは誤謬訂正によるものであります。
  284. 奧村又十郎

    ○奧村委員 不納欠損か誤謬訂正と言われますが、五百五十八億のうち百八十億、そうすると三百七十億というものは不納欠損、誤謬訂正ということになりますが、それだけではちよつと理解が行きません。もつとこまかい数字をお示し願います。
  285. 池田勇人

    池田国務大臣 三百数十億円のうち、四割程度は不納欠損であります。六割程度が誤謬訂正であると記憶したしております。何分にも課税が十分に行つておりませんので、その後六月から七月に計画を立てまして、そうして内部の整理をしますと同時に、外部の整理をいたしまして、今までの課税が不備であつた点を訂正いたしますと同時に、また徴収すべきものは徴収した結果であるのであります
  286. 奧村又十郎

    ○奧村委員 誤謬訂正と言われますと、大体更正決定の過大であつたということになると思うのであります。すなわち私ども予算委員が、この休会中に国勢調査に歩いた大阪国税局管内を調べてみても、五月において百六十六億の滞納があつた。その百六十六億の滞納のうち、今回は四十六億が滞納になつてつて、すでに約百数十億が整理されておる。ところがこれが大阪管内では、大体昭和二十三年度の更正決定額のうち、すでに五月に徴収されたのは、更正決定額の約半額であります。例をもつて言いますれば、下京の税務署では、昭和二十三年度の更正決定額約十億のうち、半額の五億入つておるが、あとの五億は滞納であります。その滞納の大部分が今回整理されたとすれば、それは税務署の更正決定の誤りであると言わざるを得ないと思いますので、大蔵大臣の御答弁を願います。
  287. 池田勇人

    池田国務大臣 更正決定の誤りが大部分であると思うのであります。
  288. 奧村又十郎

    ○奧村委員 一国税局管内で、百数十億円の金の大部分が更正決定の誤りである。これを大蔵大臣がここで言われるということは、はなはだ遺憾であります。そういう日本の税務機構であるか。これは議論にわたりますから、この程度で納めておきます。  それでは農林大臣に一言お尋ねいたします。農林大臣米価問題で非常にお苦しみでありますので、私はこれ以上申し上げるのは心苦しいのでありますが、今度は魚価問題であります。水産物の統制撤廃はいつおやりになるのか。政府は第四・四半期以後の分の漁業用資材に対する補給金を全部打切られた。従つて漁期は約二倍半、ロープは約三倍の値上りであります。米価のパリティー計算の例をもつて言いましても、魚価は倍に上るべきであります。しかし、承ればそういうことをやらずに、いつそその他の値上りは統制撤廃によつて吸収さしたがよかろう、これが政府のご方針のようであります。はたしてさようであるかどうか、方針を伺いたいと思います。
  289. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。鮮魚は現在十八品種に限定されておるのでありますが、その統制が厳正に実施せられまして、消費者に鮮度の高い良好なものが公定価格の範囲内で配給せられるということになれば、一日も早く統制をはずしてしまいたいと考えております。
  290. 奧村又十郎

    ○奧村委員 一日も早く統制をはずしたい、これはもうわかつております。しかし現実に補給金は切られ、資材は値上りしておるのであります。従つて資材の値上りと同時に、魚価の統制は撤廃すべきものであります。これは少くとも一月に撤廃していただきたい。なぜかと申しますと、全国的に見て一月から春漁期に入ります。もしかりに三月末日をもつて統制を撤廃されるとするならば全国的に春漁期の最中であります。そうすると、漁のさ中に統制をはずされるとはなはだもつて混乱が生ずるので、一月に統制をはずされるかどうか。今度は漁民の方から農林大臣不信任の声の起らぬような御答弁を願います。(笑声)
  291. 森幸太郎

    ○森国務大臣 漁期ということは統制をはずす場合に十分考慮しなければならぬと思います。しかし一月に統制をはずすというようなことは、今申し上げられないのであります。また統制をはずしたから必ず魚価が上つて来るということは、私は断言できないと思うのであります。補給金を廃止しましたことによつての値上りに対しては、われわれとしても非常に考えなければならぬと思つておるのでありますが、統制をはずしたら、ただちに自由価格になつて、これが高いものになるというようなことはなく、やはり需給関係によつて市価は決まつて来るのであります。豊漁と不漁との関係もありますので、そこに自由価格にいたしましたところで、必ず今統制している価格よりも有利に考えられるということはないと存じます。
  292. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうもそれでは困ります。統制をはずしても魚価は必ずしも上らない、これはごもつともであります。しかし、魚は漁不漁がありまして、不漁の場合、あるいは漁期と漁期との中間は、値段が相当上るのですが、中間において統制があれば価格が押えられる。少くとも統制をはずせば、一年を通じて全体的に価格の上るのは当然です。何も価格が下るからといつて最低価格をきめなくても、上るときを押えである価格ですから、統制をはずせば上をとつただけに上るのは当然であります。そういう御答弁では漁民は満足しません。しかしこれ以上つつ込んでも何も出そうもありませんから、これもやめておきます。  最後に農林水産金融についいてお伺いをいたします。ご存じのよりに、農業においては農業協同組合連合会、水産においては漁業組合連合会がすでに発足しておりますが、両方の連合会とも資金難のために旧農業会、漁業界から財産の引継ぎができないという現状でありまして、これは農林大臣もよく御承知があります。この金融にどうなさるか。これは農林中央金庫によつて相当長期の金融をしなければならぬということになつているが、これについて大蔵大臣の御答弁はまだはつきりしたものをつかめません。一体これを実施していつ金が流れるか、お伺いいたします。
  293. 森幸太郎

    ○森国務大臣 統制価格を一月にするかどうかという御質問、一月に統制を撤廃する見込みはまだ立つておりません。  なお水産業に対する資金の問題でありますが、これはひとえに中央農林金庫を利用するより道がないのであります。この中央農林金庫の試算の点について、今検討を加えておるわけでありますが、この金庫の出資を倍額にいたしまして、百六億余万円程度資金によつてこれを実施したい、かように考えておるわけであります。一方では漁業の手形制度も相当成績が上つておりますので、今後におきましても、あの手形保証制度によつて金融の道をはかる。いずれにしましても、今度漁業会が漁業協同組合に転換しますについては、農業協同組合と同じ立場にあるのでありまして、一時に大きい金がいるのであります。その金の融通に対しては、中金を利用するようにいたしまして資金の点をはかりたい、かように考えております。
  294. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その金を実際に出される時期はいつでありますか。
  295. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今いつからということは申し上げられませんが、農林中央金庫の性格については、関係方面の了解を得ておりますので、できるだけ早くこれをやりたいということで、せつかく努力を続けておるわけであります。
  296. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私の質問はこれで終ります。
  297. 植原悦二郎

    植原委員長 深澤義守君。
  298. 深澤義守

    ○深澤委員 先ほど農林大臣に食糧問題について質問申し上げたのでありますが、農林大臣は、日本の食糧問題は国内の自給度を高めて行くことによつて解決する、それが根本方針であるというぐあいに明示されたのであります。日本の食糧の問題を計決する上に、われわれは真劍にひとつお願いしたいと思うのであります。現在の日本の食糧状態において、はたして自給自足ができないものか、こういう問題について御質問申し上げるのでありますが、農林省の現在の数字をもつて計算いたしますれば、二十四年度の事前割当の数中は米にして六千三百万石であります。夏の雑穀が四百五十万石、麦が二十五年度の事前割当の数字が千七百万石、冬の雑穀が二十三万石で、大体米麦雑穀で八千五百万石になるのであります。それ以外にかんしよ、ばれいしよを米穀換算いたしまして千四百八十万石、合計九千九百七十六万石というものが、わが国土において生産されるという計画ができておるのでありますが、これだけをもつてして日本の食糧問題が自給自足できるではないかという計数的な結論が出て参るのであります。これに対して農林大臣はどういうお考えを持つておられるか。真に日本が自給自足によつてつて行くとするならば、これでもできるではないかという見解をわれわれ持つておるのでございますが、これに対してどういうお考えを持つておられるか、お聞きいたしたいと思います。
  299. 森幸太郎

    ○森国務大臣 私のような農林政策で申し上げていいのかどうかわかりませんが、食糧の生産は申し上げるまでもなく原始産業でございます。今年は農林省といたしまして六千五百万石ぐらいの收獲予想をいたしたのでありますが、知事は一千二百万石も減收だと言うて来るのであります。これは化学製品と違いまして、原始産業でありますから、天変地異の非常な影響を受けますし、当てにして当てにならぬ品物であります。一応数字の上から申しますと、自給自足の数字は出て参りますが、しかし今日二合七勺を配給しておるのは、これに千四百カロリーでありまして、満足すべき量じやない。これはいつかも農林委員会で申し上げましたが、日本人が戦前のように働くのには二千四百カロリーいる。二千四百カロリーの食糧をとるとなりますとなかなか今日の生産ではできません。そうして人口が百四十万も一年にふえて来るのでありますから、自給自足の道を一応数字の上で立てましても、不可能だということを私は考えておるのであります。今は外来物資で食糧をもらつておりますから、何だか食糧の前途が明るいような気持がいたしますれども、これは一時的な現象でありまして、いつまでも正続するものではありません。だからわれわれは食糧増産についてはたゆみたき努力を続けて行かねばなりません。そうして今後増加する人口につきましては、われわれの力でもつて海外の食糧を確保するという努力を続けて行かなければ、この人口の増加と食糧の自給ということは解決しない、かように考えておるわけであります。たまたま数字の上において自給の道が立つと申しましても、これを正直に聞きますれば、本年各府県から集まりましたのは一千二百万石の減收だ、こう言うのでありますが、そういう誤算が出て来た場合にどうしてこれを処理するか、はたして自給自足で行けるかということを考えますと、非常にこの食糧問題の自給自足ということは、愼重に考えなければなりません。ことに外国の食糧を依存いたしました場合においても、現在の情勢等も頭に置いて考えなければならぬと思いますから、私は当分海外に依存しなければならない日本の食糧事情であると思う。しかし日本としてはできるだけ自給度を高めて行くという方針に持つて行かなければならぬと、かように考えておるわけであります。
  300. 深澤義守

    ○深澤委員 申し上げるまでもなく、食糧自給のできない国は、その国の立場を強く海外に主張することができないということは、古今東西の歴史を見ても明らかであります。わが日本が今日の苦境に立ちまして、将来の独立を考える場合におきまして、この食糧問題解決のためには、必死の努力と今後の考えを必要とするのでありますが、われわれの考えるところによりますれば、この食糧自給ということについてははなはだ冷淡であります。もつぱら外国の食糧に依存するというような傾向が強いように考えられるのであります。それにつきまして、まず今日の輸入食糧の現状についてお伺いしたいのでありますが、二十三年度、二十四年度の状況、それから二十五年度は計画になりますが、この食糧輸入計画はどういうぐあいになつておりますか、この点をひとつお伺いいたします。
  301. 森幸太郎

    ○森国務大臣 二十五年度と申しましても、来年の四月なのでありますが、三百十一万トンの輸入が予想されております。
  302. 深澤義守

    ○深澤委員 この三百十一万トンは、はたして日本が必要やむを得ざる食糧であるかどうかという問題でありますが、先般の農林委員会におきまして森農林大臣は、最初は二百二十四万トンであつたが、今度は非常にたくさん入つて来る、これは外国の援助の増加と申しましようかという言葉において、これを答弁されておるのでありますが、この三百十一万トンというものは、はたして、わが国の食糧問題から必要やむを得ざる事情において輸入するのか、それともいわゆる援助の増加と申しますかという状態において輸入されるのか、この点をお伺いしたいと思う。
  303. 森幸太郎

    ○森国務大臣 日本の食糧の生産が不安定であるということが第一だと思います。従つて食糧の責任を持つておるアメリカといたしましては、相当の量を日本に輸入しなければ、日本の食糧問題についての責任が背負えないという立場を考えておるのではないかと思います。
  304. 深澤義守

    ○深澤委員 この援助資金によつて輸入されるもののほか、最近において日英通商協定が結ばれ、さらに先日も総理がこの席上において御答弁なされましたように、個々の協定をもつて海外との輸出輸入関係を確立して行くというようなことが言われたのであります。そうしますと東南アジア関係における通商関係におきましては、相当の輸入食糧が入つて来るという見込みが立つのであります。そういたしますと必要やむを得ざる以上の食糧が、日本に入つて来るという可能性が多分にあるのでありますが、どの程度のこの援助資金以外の食糧が入つて来るかということについて、何かお見通しがございましたら、お伺いいたします。
  305. 森幸太郎

    ○森国務大臣 どれだけが援助資金で入り、どれだけがバーター制で入るか、その数字の内容は申し上げられませんが、いずれもこれは仮定の数字であります。ただこのくらいのものが日本に輸入されるという計画だけの話でありますので、これは予想として考えていいと存じます。
  306. 深澤義守

    ○深澤委員 われわれは外国食糧が非常な過剰の状態において日本に輸入せられるという傾向を強く意識しておるのでありますが、これが日本農業に対する非常に大きな圧迫になり、日本の遅れた零細農業が、大きな打撃を受けるということを心配するのでありますが、最近において政府超過供出価格を三倍から二倍に下げたというこの事実は、外国の非常にたくさん入つて来る食糧を見通して、こういうぐあいに価格を下げたというふうにわれわれは解釈できるのでありますが、まさに日本農業恐慌の一つの前兆としてこれは考えることができると思うのであります。この点はいかがですか。
  307. 森幸太郎

    ○森国務大臣 この二倍とか三倍ということは、科学的な根拠はございません。よけい輸入するために、三倍にすべきものを二倍にしたというようなことは、毛頭考え決定したわけではありません。
  308. 深澤義守

    ○深澤委員 政府日本の食糧の自給度をますます高めて行くということを申されておりますが、そのためには日本農業生産を百パーセントに充実することが、一番必要であると考えるのであります。その第一の点といたしましては、農地改革の徹底を行わなければならないと思います。御承知のように農地改革の問題につきましては、これは單に日本農業の問題を解決する根本方針であるばかりでなくして、実に日本民主化の国際的義務であるというぐあいにわれわれは考えます。ところが吉田内閣はこの農地改革に対しまして、まことに冷淡であるということをわれわれ言わざるを得ない。その一つの例証といたしまして、市町村農地委員会を来年度におきましてはなくしてしまいまして、農地改革の実体的な推進力をまつたく抹殺しようとしておられるのであります。この点についてはどういうぐあいにお考えになつておられますか。
  309. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農地改革については冷淡ではありません。マッカーサー司令官からうまく行つておるといつてこの間ほめられました。決して悪く行つておりません。農地委員会を廃止するなんて毛頭考えておりません。あるいは食糧調整委員会を農地委員会に合併するかもしれませんけれども、農地委員会はますますその重要性を増しております。(拍手)
  310. 深澤義守

    ○深澤委員 農地委員会を存続すると申しますが、農業調整委員会を合併いたしまして、農業委員会というものにすりかえようとせられておる。そうして今まで農地改革費並びに農業調整費として出したものを半分削減しようとせられておるのであります。そういうところにこの農業委員会の計画がおありになることをわれわれは聞いておるのでありますが、はたして来年度から今ちよつと申しましたように農地委員会、農業調整委員会を廃して、農業委員会という形において食糧の調整と、農地委員会を一緒にしてやつて行くというような御方針があるのかどうか、この点をお伺いします。
  311. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農地委員会と農業委員会とを合併してもいい。そうしてその更正の形式についても幾らかの変更を加えてもいいという指令は受けております。これは今日までの農地委員会の仕事と、今後の農地委員会の仕事仕事の重大性は今後に残されておりますが、分量の点においては農地委員会の仕事が少くなつて来たのでありますから、農地委員会を農業委員会に改めまして、農業調整委員会の仕事を町村において行わしめるということが、経費の節約の上から妥当であるという気もいたされるわけでありまして、その方針に進みたいと考えております。
  312. 深澤義守

    ○深澤委員 経費の節約の結果招来するものは、結局事業ができないという結論になりまして、明らかに農地改革の仕事を少くして行くということが、はつきり結論づけられる。  さらにその次にお伺いしたいことは、政府は農地改革を推進する法律でありますところの自作農創設特別措置法、農地調整法法を改悪いたしまして、農地の強制買收制度、さらに遡及買收の制度を廃止し、賃貸借契約の復活等、この制度を廃止するというような計画を持つておられるように新聞では発表されております。さらに農地改革並びに小作料を引上げまして、今までやつて參りました農地改革の成果を非常に低下するような法案を準備せられておるというぐあいに聞いておりますが、この点はいかがですか。
  313. 森幸太郎

    ○森国務大臣 当初考えました残部のものは当時の方針によつて進行いたします。今後農地改革は、従来のように国家が中へ入りまして、これを買い取つて売りつけるという方針に改めた方がいいと考えております。小作料のごときも石当り七十五円では、とうてい今日の地租の負担もできませんから、適当に是正いたしたいと存じております。農地改革の一段階終つた以上、三段階に入る場合においては、適当な処置を法の改正によつていたして行きたい、かように考えております。
  314. 深澤義守

    ○深澤委員 農地改革の次の問題は農地の若返り法でありますが、戦争以来の日本農業は未曾有の荒廃に瀕しております。しかるところ、日本全国におけるところの農地の災害復旧並びに土地改良というものは、非常に放擲せられております。おそらく全国における耕地の災害関係を復活するために数百億の予算を必要とするのでありますが、昭和二十四年度においては百四十億、このたびの補正予算においては二十何億ということになつておりますが、これではまつたく日本における農地の災害復旧すら十分にできないのであります。政府は食糧の自給度を高めると言いながら、常識で当然どうしてもやらなければならないところの農地の災害復旧が、その半分もできないという状況にあるのであります。この点について今後どういう方針を持つておられるか、お伺いしたい。
  315. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農地の改良は重大な問題であります。また災害復旧もできるだけやりたいと思いまして、御満足の行く程度に参りますまいが、予算の確保をいたしておるわけであります。しかし農家みずからが自分の耕地を自分のものとして、その土質の改良というものをしなければなりません。過去のごとくすベてが国費に依存ということでは、ほんとうの土地改良はできないというように考えておりますが、政府としてはできるだけの助成をいたしたいと考えております。
  316. 深澤義守

    ○深澤委員 土地改良については、農民自身の利益になるのであるから、農民自身がやるべきである。農業はあくまで私企業だという見地においてなかなか予算をもらえないのであります。ところが、日本の農民は米価政府決定し、供出も政府決定いたしまして、生産物を出す面においては、まつたく公共的な性格を押しつけられておるのであります。ところがその生産物をつくる面におきましては、これはお前たちの利益になるのであるからお前たちがやれということで、私企業的な責任を負わされておるのであります。このように日本の農民は今没落しようとしておるのでありますが、さらに生産物価格を政府決定し、供出も政府が天くだり的にやるというこの公共的な性格に対応いたしまして、この土地改良は全額国費をもつてどしどしやるべきである。これが日本の食糧の気球度を高める最も早い道であると考えるのでありますが、土地改良に対する国庫全額負担のお考えを持つておられるかどうか。
  317. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農業生産物が公共的な性質を持つておるということは、お話の通りであります。従つて個々の小さい問題は、これは個人で解決を必要といたしますが、あるいはダムをつくつて灌漑、電力、あるいは河水の整備、あるいは治山治水等の公共的仕事は、公共事業として国家が然責任を持つわけではありませんけれども、大いなる力をもつていたしておるのであります。末端のものまで公共的であるといつて、国家がこれを背負い込むということは、今日の予算との関係ででき得ないと存じますが、できるだけ公共的な企業だけは国家がこれを責任をもつて処置をいたすつもりでおります。
  318. 深澤義守

    ○深澤委員 日本農業の実態を、農林大臣はもう少しお考え願いたいと思います。日本農業は耕作反別平均七反歩という実に零細な状態にある。しかも山と川との間に非常な努力をしておるのであります。しかし今日の日本農業経済をもつてしては、この荒廃した農地を農民の自力によつて改良するというが、現在農民経済には余力がないのであります。従つて大きいところには国家は補助するが、小さいところには補助しないというところに、この零細なる日本農民のどうしても浮べない原因があるのであります。従つてこの零細な農民こそ、国家が救済すべき対象であるというぐあいに考えますが、その点はいかがでありますか。
  319. 森幸太郎

    ○森国務大臣 個人として解決する事業は個人にやつてもらいたいと政府は思います。公共的な治山、治水、あるいは灌漑排水川排水等、こういう個人の事業でどうしてもできないようなものは、公共事業として国家が責任を持つてやるべきものである。かように考えております。
  320. 深澤義守

    ○深澤委員 今の問題については非常に御認識が違うので、この点はまた別の機会に讓ります。  次は米価問題でありますが、これは同僚諸君から十分に質問されましたので、詳しくは省きますが、一体このたび決定されましたところの四千二百五十円の米価をもつてして、農業再生産が保障せられるように考えておるのかどうか、これで農民が満足しているかどうか。その点農林大臣意見をひとお聞かせ願います。
  321. 森幸太郎

    ○森国務大臣 米価問題と申しましても、ぴんからきりまであります。二十三年度の生産費を農林省で調査いたしましたら、石当り千円のものと、石当り一万円のものとあります。その平均のところが三千五百四十五円になつております。三千五百四十五円というところが、適正生産費と申しますか、この生産費より下の人はもうけて、それから上の人は損しておるというわけであります。再生産々々々とおつしやいますが、一体米価をどの程度にきめることがあなたの御意見に沿うのか知りませんが、二十三年度の統計によると、一石当り一万円の生産費があります。これをいわゆる再生産費を償うといえば、一万円以上の価格にしなければならない。私は三千五百四十五円という平均生産費に、この以上かかつている人は、できるだけかからないようにこれを指導して行くということを考えなければならぬと思うのであります。ですから、四千二百五十円という米価がはたして再生産に引合うかと考えてみますれば、半分はけつこうであります。半分はこれで引合わないという生産者の立場になるのではないか、かように考えておるわけであります。
  322. 深澤義守

    ○深澤委員 寡聞にして日本の農家に一千円で一石の米を生産するということをわれわれは聞いていないのであります。一体一千円で一石当りの米の生産のできる所はどこにありますか、その点明示していただきたい。
  323. 森幸太郎

    ○森国務大臣 それでは二十三年度の統計表を後日差上げます。
  324. 深澤義守

    ○深澤委員 この一千円の生産費問題については、また別の機会に拝聽いたしますが、これを日本の農民が聞いたといたしますならば、まつたく唖然としてわれわれは日本の農政というものに対して、疑問を抱くであろうと考えるのでありますが、この点は別の機会に讓りたいと思います。  さらにその次の問題といたしましては、供出の関係でありますが、この点も同僚諸君から十分申されたところでありますから、繰返すことを避けますが、現在本国会におきまして、食糧法の審議が行われているのであります。この供出後の超過供出に対する法的な措置によつて、供出させるという食糧法は、現在民自党が考えておるところの米券制度や、あるいはいも類の統制の廃止という問題とまつたく矛盾するのであります。従つてこういう米券制度とか、いも類の統制問題等を論議するならば、その前にまず食糧法の撤回をすべきであるとわれわれは考えますが、政府は食糧法の撤回を考えておられるのかどうか、この点をひとつ……
  325. 森幸太郎

    ○森国務大臣 食糧法の撤回は考えておりません。
  326. 深澤義守

    ○深澤委員 さらに農民生活を圧迫しておるところの問題は、税金問題であります。吉田内閣経済の安定を非常に主張せられておりますが、今日数字に現われて参つておりますところの申告納税のつまり農民関係が含まれております申告納税の滞納が二百九十四億あるそうであります。さらに納入の状況にいたしましても、十月末現在において二一%というような数字が示されておりますが、これは明らかに今日の農民生活が、非常に窮迫しているということの表現であると思うのであります。税金問題は大蔵大臣でありますから、一体大蔵大臣に、今日の農民生活が上昇線をたどつておるとお考えになつておるのか、それとも下降線をたどつておるとお考えになるのか、その点をひとつ……
  327. 池田勇人

    池田国務大臣 事業所得に対します今までの收入ぐあいは惡い。従つて農家が困つておるという根拠は成立たない。御承知の通り、農家は普通の営業者と違いまして、翌年の一月末に確定申告をする。それまでは実際の所得の計算はできない。従つて農業所得に関する限りは、従来もそう入つてない。来年の一月に入つて来る。そうして農業者に対しまする所得税の問題は、シャウプ勧告案を実施いたしますと、大体平均農業所得は十万円程度になるのであります。扶養家族四人の人は従来の一万六千五十円が五千六百円になつて三分の一くらいになる。しこうして私の計算によりますと、地方税が上りましても、農家の所得税、住民税、地租家屋税というもの全体をくるめまして、本年度現行法で負担しておるのよりよほど減つて参ります。三〇%程度つて来ることになるわけであります。
  328. 深澤義守

    ○深澤委員 この農家の苦しいという一つの表現は、同僚諸君からも言われたのでありますが、今年は農業手形の利用率が非常に高いのであります。全国的に千三百何十億という農業手形が発行されておるのでありますが、これが今度の供出代金の見返りとして、農民諸君はこれを政府から借りているわけであります。この農業手形というものは具体的に申しますれば、まつたく農民が来年つくるところの生産物に対する肥料の投下、その他のために使われておるのでありまして、いわゆる青田売りの性格を持つているわけであります。従つてここで供出代金が入つて参りましても、この農業手形に対するところの支拂いをしなければならぬのであります。その上にさらに税金も負担しなければならないというようなことで、まつたく負担にたえられないというような状況が、起つて来ることを大蔵大臣は御承知になつておるのかどうか。この点をお伺いしたい。
  329. 池田勇人

    池田大蔵大臣 生活が苦しいというのは農民ばかりではないのであります。一般の人も相当苦しんでおる状態であります。しかし幸いに農家の方々に、われわれの経済政策に御共鳴くださいまして、今年のごときは供米代金が預金になつてつて来る率は、昨年の四、五割増しになつておる。これは農家の方々がわれわれの経済政策に御共鳴くださつたものと信じて、非常に喜んでおるのであります。
  330. 深澤義守

    ○深澤委員 農林大臣にお伺いいたしますが、薪炭特別会計の問題であります。一般会計から特別会計へ繰入れる理由が、これは赤字補填でないということを農林大臣は先ほどの大蔵委員会において申されたのであります。そのあとで水田政務次官は、農林大臣は赤字補填でないと言われたが、これは赤字補填であるということを明らかに申しまして、農林大臣の御意見と大蔵当局の御意見は、食い違つておるのであります。大蔵大臣は薪炭特別会計への一般会計からの繰入れは、赤字補填というようにお考えになつておるのか、それとも支拂いのために繰入れるのだというぐあいにお考えになつておるのか、この点をひとつお伺したい。
  331. 池田勇人

    池田国務大臣 薪炭特別会計の経理状況がよくないということは私は知つております。しかし今回繰入れることがいいか惡いかということは別問題といたしまして、薪炭証券の償還期が来年の三月末まででありますので、この機会に処置をとつたのであります。一方薪炭会計に相当の損があるということは私も知つております。赤字補填の意味で今度組むかという問題よりも、薪炭証券の償還期が三月末で、そうして内容が相当悪いから補正予算で繰入れるようにしたいということであります。
  332. 深澤義守

    ○深澤委員 なお、お伺いたしますが、大蔵当局においては、納税につきまして目標額というものは廃止せられたと言われておりますが、去る十月に開かれました税務署長会議におきまして、仮定收入見込み額という形において指示されたという話を聞いておりますが、この事実があるのかどうか。
  333. 池田勇人

    池田国務大臣 租税の徴收に携わつております大蔵省といたしましては、第一線の税務署でどのくらいとれるかという見込みをとるということは当然でございます。
  334. 深澤義守

    ○深澤委員 その次には地方配付税の増加が九十億ございます。この九十億の中から地方国務院の寒冷地手当十三億、恩給法の改正増額七億、都道府県の共済組合に対する補助金六億その他十億、計三十六億がこの中から差引かれ、さらに地方公共団体の貸付償還金十八億五千万円が差引かれるというようなことを聞いておるのでありますが、この事実があるのかどうか。
  335. 池田勇人

    池田国務大臣 私はそういうようなことを考えまして、九十億の繰入れが適当であるというので御審議を願つたのであります。
  336. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは食糧管理特別会計の問題についてお伺いをいたしますが、この食糧管理特別会計の赤字問題については、森農林大臣は百三十億あるということを言われております。池田大蔵大臣は九十億の、赤字があつたが、これは消費者価格に織り込んで解決しておるというような御答弁があつたように承つておりますが、一体食糧管理特別会計の現在の赤字は幾らあるのか、この点をお伺いしたい。
  337. 森幸太郎

    ○森国務大臣 大蔵大臣はどういうお考えか知りませんけれども、約百三十億あります。この百三十億のうち六十億というのは公団から特別会計に返す金でありますから、これはこの年度内に返すわけであります。それから昨年は米の超過供出が多かつたので、予算よりも二十億ふえたわけであります。それからいもの切りぼしが非常にたくさん供出されまして、これが四十億ほどの赤字になつておつたのでありますが、さき申しました六十億は、この二十四年度の会計の進行に伴いまして償還されるものであります。またこの四十億の赤字も他の食糧の価格の上に織り込まれて、これは解決いたしておるのであります。補正予算に出ておる百二十億は今回の輸入食糧の金であります。
  338. 深澤義守

    ○深澤委員 米価決定する場合におきまして、米価審議会におきましても、生産者価格と消費者価格の中間マージンの問題でありますが、これは昨年度においては二千二百三十七円、生産価格に対する六割のマージンがあつたのであります。今年度は中間マージンが二千百九十円という見当になりますが、大体五割に相当するのであります。一体この中間マージンを五割も必要とするということは、どういう根拠に基くか、その点をお伺いしたい。
  339. 森幸太郎

    ○森国務大臣 そんなに中間マージンはありません。これはきよう午前中だつたかお答えいたしたのでありますが、実際の中間経費は一当り八百九十七円三十七銭であります。
  340. 深澤義守

    ○深澤委員 それは政府のマージンでありますか、公団も含めて全部のマージンでありますか。
  341. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これは純粹なマージンでありまして政府の経費の合計は四百十九円八十二銭、食糧公団の経費は三百九十四円二十残、目欠けが八十三円三十五銭、これを見ましたのが今申しました合計になるのであります。
  342. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは大分計算が違うのでありますが、昨年度の例をとつてみましても基本価格三千八百九十円、それから最後の消費者価格は五千八百三十二円という計算になるのであります。八百何十円という中間経費は、信じられないのでありますが、その点いかがでありますか。
  343. 森幸太郎

    ○森国務大臣 当面出ております経費は千七百五十円三十九銭であります。集荷手数料、倉庫保管料、特別指定倉庫加算料というものが、民間に帰るのでありまして、ほんとうの純粹の中間経費というものは、八百九十七円三十七銭であります。
  344. 深澤義守

    ○深澤委員 食糧公団の関係についてちよつとお伺いいたしますが、食糧公団の二十三年度の決算を見ますと、政府への未支拂いが五十億あるのです。しかるに食糧公団の預貯金に五十四億あるのであります。これが非常に食糧公団の経営の上においてわれわれ理解に苦しむのでありますが、こういうところにいわゆる浮貸し、流用というような問題が起つて来る可能性があるのであります。この点について農林大臣はどういうふうにお考えになつていますか。
  345. 森幸太郎

    ○森国務大臣 公団と特別会計との経理は複雑な問題でありまして、特別会計は政府から金を借りまして、これには金利を拂つておるわけであります。しかしこの金を公団にまわしました場合においては、公団は当座預金にいたしております。いつ金がいるかわかりませんから、当座預金に預けておるわけであります。従つてお話のようなことが時によつて生ずることは、やむを得ない経理の状態考えております。
  346. 深澤義守

    ○深澤委員 こういう問題がありますがゆえに――各食糧公団が政府の支拂いを延期いたして、それを他に流用しておるというところに、公団のいろいろ理解に苦しむ経営の状態があると思うのであります。一つの例をもつて申しますれば、大阪支店にそういうような事件があつたそうであります。この点について大蔵大臣は御承知でありましようか、その点をお伺いしたい。
  347. 池田勇人

    池田大蔵大臣 そういう事実は聞いておりません。
  348. 深澤義守

    ○深澤委員 それは去る日本経済新聞に発表されておるのであります。一定の預金を某銀行に行いまして、五百万円の報酬を得て、公団が架空の第二会社をつくつておつたというような問題から発展いたしまして、この問題が刑事事件へ発展しておるのであります。これは食糧問題がそういう政府に支拂うべき負債がありながら、なお別に預貯金を持つておるという余裕を與えておるところに、こういう問題が起つて来るというのであります。政府はこの公団から政府への支拂いの期間、あるいはいつまでにその拂下げ代金を納めろという規定か何かつくつておられるのかどうか。そういう規定がなければこういう問題は、今後もしばしば起る可能性があるのであります。その点、そういう規定がないのでありますか。
  349. 池田勇人

    池田国務大臣 食糧公団の取扱います金額は四千億程度になるのであります。毎日相当の金が出入りいたしておるのであります。少々の金はやはり公団の方へ置いておかなければ仕事が困難であります。ある程度置くことは必要だと存じます。
  350. 深澤義守

    ○深澤委員 今度の特別会計に対して一般会計から繰入れをするのでありますが、この食糧管理特別会計の赤字は現在一体あるのかないのか。それと今度の特別会計への繰入れは赤字の補填であるか、それとも運転資金であるかということについては、相当議論があるのでありますが、食糧管理特別会計の現在の赤字というものは、一体幾らあるのか、その点を伺いたい。
  351. 池田勇人

    池田国務大臣 百七十億円の繰入れが、赤字の補填なりやいなやということについて、議論があるというのでありますが、議論は私はないと思います。そういうつもりで大蔵大臣として申し上げたのではなく、輸入食糧の増加、並びに米価の高騰、取扱い物件の増大、これによるのであります。そして食糧管理特別会計について赤字が幾らあるかという問題でありますが、私が先に答弁したように、いもの腐敗その他によりまして、相当程度の赤字がございましたが、その後だんだん埋めて行きました。今では赤字はあまりないと考えます。
  352. 深澤義守

    ○深澤委員 食糧公団の運営問題についてでありますが、現在消費者価格の中には、各消費者の家庭に持ち込むまでの費用が全部含まれておるのであります。しかし現在日本至るところの食糧公団は、家庭の持込み配給はやつておりません。その内容を聞きますと、人員が足らないというようなことに原因しておるようでありますが、政府は消費者に対し、持ち込むまでの経費を計算しておきながら、現在持込み配給をやつていないことによつて日本全国の家庭の主婦がこれに費す時間というものは莫大なものがあるのであります。この点をどういうふうに考えられておるか、ひとつ伺いたい。
  353. 森幸太郎

    ○森国務大臣 大体持込み配給をやつております。袋を集めて袋に入れて、配給しております。しかしいものようなものは持込み配給がやつかいでありますから、これは受取りに来てもらつておるようであります。大体は持込み配給ということを原則としてやつておるわけであります。     〔「それは農林委員会で答弁するとつつぱなしてしまえ」と呼ぶ者あり〕
  354. 深澤義守

    ○深澤委員 こらは農林委員会でなく、ここでやるべき問題だよ。
  355. 植原悦二郎

    植原委員長 なるたけ新しい質問を願います。
  356. 深澤義守

    ○深澤委員 なお公団の運営についてでありますが、公団の副收入というものが相当あるようであります。たとえば空俵のごときは、これはどういうぐあいに処置されておるのか。この空俵の問題も農民にとつては重大問題であります。新しい俵でなければ受取らないということによりまして、この古俵が公団の副收入として、相当に処理をされておるのであります。しかもこれは公定よりも十倍くらいの値段で処分されておるということを、われわれは知つておるのでありますが、一体こういうことに対して、政府はどういう監督をされておりますか。
  357. 森幸太郎

    ○森国務大臣 俵代金は米代に含まれておりますから、農家から手は切れておるわけであります。公団が副收入あるいは雑收入としておりますが、俵代を処理するのは、公団の自由な処置にまかせております。
  358. 深澤義守

    ○深澤委員 しかしこれは公定がきまつておる。ところがこれを十倍にも処分しておるという問題で、これは農民の間から相当問題が起つておるのであります。  さらに、その次の問題といたしましては、公団は輸送費として約百億程度のものがあるのであります。これが各公団の支店において、管下の委託業者と契約をやつておるのでありますが、この輸送費というものが予算よりも非常に下まわつておるということが言われておるのであります。こういう点について、農林大臣は監督の責任において調査されたことがあるかどうかこの点をひとつお伺いしたい。
  359. 森幸太郎

    ○森国務大臣 そういう点まで農林大臣は直接監督いたしませんが、食糧庁としては、妥当なやり方でやるようによく注意いたしておるだろうと思つております。
  360. 深澤義守

    ○深澤委員 今日食糧公団その他の公団の会計の問題については、相当国民が疑惑を持つておるのであります。従つてわれわれはこういうこまかい問題についてまで、この予算委員会において質問せざるを得ないような公団会計の疑惑が、今日全国的にありますがゆえに、あえてこの問題を質問したのであります。  さらに概略的に御質問申し上げます。油糧公団、並びに肥料公団に出資金があるのでありますが、すでに御承知のように、油糧公団の問題も、これは考査委員会においても取上げられるような不正の問題があるのであります。さらに肥料公団の問題につきましても、運賃等については相当疑惑が持たれておるのであります。肥料公団の問題についても、農林省の農政局長は、肥料公団の運賃関係において、約五億の不当な利得があるということを認められておるのでありますが、こういう点について農林大臣はどういうぐあいにお考えになつておるのか。油糧公団の運営、肥料公団の運営等に対しまして、国民の疑惑のないような厳重な処処を考えられておるのかどうか、その点を、ひとつ伺いたい。
  361. 森幸太郎

    ○森国務大臣 肥料公団の問題は五億六百万であります。これは運賃の支拂いをする場合において、予備的にこれを経理いたしておつたのが問題になつておるわけであります。決して不当ではありません。不正でもありません。ただ経理のやり方において、今後検討を加えてみなければならぬ問題がありますけれども、不正でもありませんし、不当でもありません。  油糧公団の問題については、私は詳しく存知いたしておりません。
  362. 深澤義守

    ○深澤委員 最後に行整理の問題について、本多国務大臣にお伺いしたいのでありますが、定員法によつて相当に首を切られたのであります。その首を切られた対象が、ほとんど大部分が共産党員であり、さらに労働組合の幹部であつたということは、これはもはや明らかであります。一体この定員法によつて人員整理をやる場合において、政府は共産党員やあるいは労働組合の幹部を首切れということを主張されたのかどうか、その点が第一点。  それから第二点といたしましては、現行行政整理をやつた後におきまして、各官庁、公団等において、非常な業務の停滞が起つておるのであります。例をあげて申しますれば、農林省の食糧管理関係、あるいは作報関係においては、臨時の職員を雇つておるというような事実があるのであります。また高射関係におきましては、専売局におきましても、二千何百人かの臨時職員を雇つておる。国鉄においても、三交代制を二交代制に切りかえまして、労働強化を行つておるというような事実があるのであります。さらに先ほど申しました食糧公団等におきましても、当然持込み配給をすべき責任がありながら――先ほど農林大臣は持込み配給をやつておると言うが、これはほとんどやつていない。その原因は人員が少いところにその根源があるのであります。従つて吉田内閣のやつたところの行政整理は、まさに実情においては、その業務の運営を澁滞せしめる結果になつておるのであります。政府はこの定員法をさらに再改正をする考えがあるかどうか、この点もひとつ伺いたいと思います。
  363. 本多市郎

    ○本多国務大臣 お答えいたします。お話のような決定政府はいたしましたことはございません。従つてそういうような通牒等を発したことは全然ないのであります。行政整理の結果、たいへん事務が澁滞して、行政事務の運営が惡くなつているようなお話でございますが、全般的には国家公務員の気風も一新されて、その努力によつて非常によくなつていると考えております。ただお話のように、一部臨時職員が増加している面もあるのでありますが、これは定員法の建前といたしまして、常時勤務する者を定員とし、時期的、一時的に人を要する場合は、臨時の雇入れをもつてこれに充てることに建前がなつておりますので、それがその方針通りに行われております限り、臨時的な一時職員がふえるというのは、決して定員法の精神に反していないのであります。但しその事務が、常時勤務する職員をもつてやらしめなければならぬ仕事を、むりに臨時職員にやらせている面がありましたならば、定員法の精神にも反することでございますので、これはせつかくただいま調査中でありまして、来るべき次の国会には、定員法の修正すべきものは修正いたしましてお示しいたしたいと存じております。
  364. 植原悦二郎

    植原委員長 時間が残つておりますのは、米原君がまだ十五分ばかり使えるわけですが、農林大臣は、一時間前から天然資源局の方から来るようにと言つて来ておられますけれども、きようは重要なる予算審議であるから、それをなるたけ早く済ませるから、それまで待つてくれと待たしてあるわけで、次に農林大臣に対する質問松本太郎さんがありますから、これをひとつなるたけ農林大臣に対するもののみはしよつてつて、その事情を御了承くださるようにおとりはからい願いたいと思います。松本太郎君。
  365. 松本六太郎

    松本(六)委員 私は実は農林大臣に御質問申し上げると同時に、安本長官にも関連してお尋ねいたしたいのであります。その点御了承願いたいと思います。  今回のこの臨時国会におきまして、総理の施政方針の演説に対しても、あるいは大蔵大臣財政演説に対しましても、各党各派がほとんど集中して質問をし、あるいは議論をいたしております点は、御承知のようにわが国の食糧政策をめぐつての問題が非常に多いのであります。これは日本の債券のためにいかに食糧問題が重要であるか、しかも日本経済債券のための基盤をなす施策であるかということが、この一点を見ましても了承できると思うのであります。しかるに今回の補正予算を見ましても、また現内閣が組閣以来の政策を見ましても、この大きな関心事である農業生産力の増強という面に対しての施策は、まことに不徹底であります。     〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕 極端に申しますと、吉田内閣というものは、わが国の食糧増産に対しての考え方において、国民の要望とは根本的に相反しておる方向にあるのではないか、かよう考えるのであります。そこで農林大臣にまずお伺いいたすのでありますが、しばしば同僚議員からも御質問があつた点にも触れるのでありますけれども、一体日本経済再建をいたしますために、いろいろな仕事を総合的にやらなければならぬことは申すまでもないのでありますが、何を重心的にやるべきかという点であります。そこで私は先ほど来からも御議論がありましたが、輸入食糧の問題についても、どうも漠然として確固たる御方針がない。これについて農林大臣は、本年度に一体幾ら輸入するか、来年度は幾ら輸入するか、そうして国内の生産は幾ら生産をするかという、基本的な信念並びに御方針を持つておられるのかどうか、この点をまずお伺いしたいのであります。
  366. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これは先ほどもお答えいたしましたが、日本が自給自足のできない食糧事情にありまして、またアメリカが自分の軍費で日本の食糧の責任を持たなければならないという立場から考えておる今日の段階におきまして、日本の生産力はこれだけある、従つてアメリカからはこれだけ入ればいい。こういうような化字製品のような單純な計画を立てるわけには行きませんので、日本といたしましては、あらゆる力を増産に努めるべきであり、そのほかにアメリカからもらうということは、これはアメリカの国会において予算によつて考えられるのでありますから、アメリカがどういうふうな考え方をするにもかかわらず、日本といたしましては極力食糧の増産に努力するということより、今日の食糧問題について考えを持つことはできない、かように考えておるわけであります。
  367. 松本六太郎

    松本(六)委員 先日来しばしばこの委員会における質疑応答の間にも、大臣のおつしやることをわれわれ聞いておるのであるが、今日二合七勺の配給の量は千四百カロリーである。このカロリーをもつてしては不満足であつて、二千四百カロリーを必要とする。そういう観点から日本の食糧の自給自足というものはとうていこれを望むことはできない、従つて相当量の輸入をしなければならぬ、こういう御議論のようであります。しかし大臣はそこに相当大きな認識の誤りがあるということを申し上げたい。なぜならば、はたして今日の日本人のとつておりますカロリーは千四百カロリーであるかどうかという点であります。もちろん配給を受けております量は千四百カロリーであるかもしれぬ。しかしながら日本農業生産力によつて国民が現にとつておりますカロリーは、さような低いものではない。従つてわが国における農業生産力というものは、政府の施策そのよろしきを得ますならば、近き将来に――もちろんこれは人口の問題とも関連はありますけれども、現在の人口、もしくは少々ふえた人口くらいでありますならば、政府が積極的に増産の可能な施策をおやりになれば、自給自足必ずしも困難ではないということをわれわれは見ておるのであります。しかるに観念的に日本は自給自足はできないのだ、従つて相当多量の輸入をやらなければならぬのだという観点に立つて施策をお考えになる。そこに私は一つの大きな誤りがあると考えるのであります、従いまして私は政府に要望いたし、またこれは安本長官の御意見も伺いたいのでありますが、一体貿易を振興して日本経済の債券をはかるとおつしやるのだが、その点については、われわれも決して異論を申すのではありません。しかし貿易を振興するとおつしやるが、今日の貿易の占めまする品種別の比重です。一体食糧は、その輸入いたします物資のうちの比重において何パーセントを占めておりますか、これをまずお伺いしたい。
  368. 森幸太郎

    ○森国務大臣 千四百カロリーというのは、これは公定カロリーであります、アメリカから許されたカロリーであります。やみで物を食ベてカロリーを上げるということは、これはやみの話でありますが、日本人としてアメリカから許されておるのは千四百カロリーであります。しかしこれを今後二千四百カロリーまで上げて行くことは、自力でやつて行かねばならぬと思うのであります。私は日本の食糧増産をいたしまして、また増加する人口を工業面に動員をいたしまして、工業品の輸出によつて食糧を確保する。これはいわゆる講和談判の許された後の問題でありますが、自分の力によつて外地から食糧を買入れる。これがいわゆる自給自足であります。私は狭い土地にやせがまんを張つて、よその物を食わないで、日本の物を食う。そういうアウタルキーのようなことをやるのは、日本としてはできない、かように考えております。
  369. 松本六太郎

    松本(六)委員 農林大臣はただいま私が申しましたように、日本の食糧の増産というものは、自給自足は絶対にできないという前提に立つて、物をお考えになつておるようでありますが、その自給自足というものは、もちろん相当困難はあります。困難はありますけれども、今のような農林行政ではもちろんできない、できないことは明らかでありますけれども、これはやりようによつては、現在の日本農業生産力というものは、大体米に換算いたしまして一億万石に近い、九千六百万石余りはとれておるはずです。これはかんしよ、ばれいしよを加えてでありますが、そういたしますと、これの一割五分ないし二割程度の増産をやることは、不可能ではない。科学的にこれを考えて参りましても、さような数字は出て参るのであります。それにもかかわらず、絶対自給自足というものが不可能であつて、どうしても輸入に依存しなければならぬという、せつかく農林省をおあずかりになる大臣が、そういうお考えで農林政策をおやりになりますから、今日のような不信任案が出て参る。これは幸いにして否決せられましたが、しかしながら日本の農政の根本において、そういうお間違いがある。だから私はこれはどうしても、さようなあなたのお考えの間違つておる点を是正せられて、すみやかに大増産をやるという政策をお立てになる考えはないかどうかということであります。
  370. 森幸太郎

    ○森国務大臣 先ほど申し上げました通りに、自給度を高めるように極力増産をすることは、われわれあらゆる角度から進めて行くのです。しかし農業は先ほど申しましたように、今年ちよつと台風があつて、いもちがあつて、千二百万石も減収したということが叫ばれるような原始産業です。それでありますから、そろばんで一億万石あるから、二・一天作の五というように、うまく食糧というものが確保できない。それですから、自分の力によつて外国の食糧をとる努力をすることを考えなければなりません。それから人口は増加します。国土が広がらない。それだから、自給自足なんていう島国根性を出してやることは、あの戦争に導いた原因もそこに一つあつたわけでありますが、そういう考え方では日本の食糧の将来は考えられない。自給自足ということは、そういう大きい意味において私は考えております。従つて日本の生産力の増加ということは、一生懸命あらゆる角度からこれは総合的に進めて行くことは当然であります。
  371. 松本六太郎

    松本(六)委員 これは意見の相違みたいなものになつてしまつて、結局結論は出ないようでありますけれども、私はそういうふうな農林大臣のお考えであるから、今日のような農政が行われる。これをはなはだ悲しむのであります。  そこでさらにお伺いいたしたいことに、基本的な農業出産力の要素は、何と申しても土地改良、これをまずやらなければならぬのでありますが、今回の補正予算においては、災害に対する一部のものは見ておられるようでありますが、いわゆる土地改良の予算というものは全然ない。そこで土地改良を今後積極的におやりになる御意思があるかどうか。それから、それと関連して土地改良法という法律が制定されたわけでありますが、この土地改良をやる場合のやり方であります。これに対しては、最近協同組合が相当に発達をいたしておる。しかしながらこの協同組合の設立は相当の数に上つて、むしろものによつては多過ぎるというのであります。従つて農村におけるいわゆる農業団体の数が多すぎると言われておる。これはできるだけ整理をしなければならぬというくらいの段階にある。     〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 そこに、今度施行せられました土地改良法によつて土地を改良するために、さらに一つの団体をつくる、いわゆる土地改良区をつくつて土地の改良をやろうということになつておるのでありますが、これに対してわれわれとしては、さように農村の農業団体が多過ぎるのに、同じような目的、同じような仕事をする団体を新たにつくるということに、よほど考えなければならぬと思うのでありますが、大臣はこの土地改良の仕事は、いわゆる農村の経済の中心を握つている協同組合をして、主としてこのことをやらしめるというお考えがないかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  372. 森幸太郎

    ○森国務大臣 土地改良法は、前国会に通過いたしました法案であります。その当時も説明いたしました通り、耕地整理、水利組合法を廃止いたしまして、あの法案にまとめた方がいい、こういう考え方であの立法をいたしまして、御議決を願つたわけでありますから、あの法律によつて施行することが妥当なりと考えております。土地改良費につきましては、いろいろ予算編成等の関係がありまして、十分なる予算の獲得はでき得なかつたのでありますが、この土地改良につきましては、長期の低利資金を運用いたしまして、その事業の遂行に資したい。かような考えをもつて目下検討を加えておるわけであります。また予算の上におきましては、できるだけ土地改良費に対しての計上を今計画いたしておるわけであります。
  373. 松本六太郎

    松本(六)委員 今お尋ねいたしましたのは、あの法律がむだであると私は申したのではありませんが、土地改良区をつくらせて土地改良をやるという御方針であるか、またできるだけ協同組合をしてこの土地改良の仕事をやらせるというお考え方であるか、この点をお尋ねいたします。
  374. 森幸太郎

    ○森国務大臣 土地改良区と農薬協同組合というものが、その組織の上において必ずしも一致するとも考えられぬのであります。土地改良を必要とする場合においては、やはり土地改良区というものを設けまして、利害関係のあるものが一区としてこれをやるということが妥当と考えて、あの土地改良区を設けたわけであります。
  375. 松本六太郎

    松本(六)委員 もちろんこれは画一的に全部のものが必ずしも協同組合でやれるということでないと思います。しかし今日の日本農村の輿論は、先ほども申したように農村団体が非常に多い。その上にさらに土地改良のための団体をつくるというようなことは、農村経済を非常に圧迫する。あるいはかえつて事業の施行を困難ならしめる。従つて特別の事情のある所は土地改良区をつくつてやるもよろしいでありましようが、多くの場合は協同組合がこの仕事をやるということが、最も望ましいという意見が全国的に強いのであります。さような場合、これに対し当局が、どうしてもこの法律ができたのであるから、土地改良区でなければいかぬという態度に出られては、はなはだ迷惑であります。かような点で農林省の中においても、農政課と土地改良の関係仕事をやる方とセクショナリズムの意見の対立を見ておる。しかし私は、これは役所は法律ができたからそれによつて何でもかんでもやるという考えでなしに、農民多数の意見を聞いて、実情に即しておやりになるということでなければならぬと思いますが、大臣のお考えを聞きたい。
  376. 森幸太郎

    ○森国務大臣 御承知の通り、協同組合は任意組合であります。土地改良を考える場合においては、これはどうしても強制的な任務を持つくらいでなければ土地改良ができ得ない。背農業会がありましたけれども、やはり耕地整理組合というものがあつて耕地整理をやつたのでありますから、農業協同組合があつても、土地改良をやる適当な基盤とは考えられないのであります。
  377. 松本六太郎

    松本(六)委員 先ほど深澤君もちよつと触れられたが、肥料公団を廃止される意思はないか。
  378. 森幸太郎

    ○森国務大臣 肥料公団は時期が来れば近く廃止したいと思つております。
  379. 松本六太郎

    松本(六)委員 農業の生産力の増強に関連しまして畜産の問題でありますが、今日畜産の奨励は至つて貧弱であります。あらゆる施設を見ましても、多くの試験場は閉鎖もしくは縮小せられて、畜産に関する諸般の仕事が衰微いたしておるのであります。これは争われる事実であります。そこで農業生産力の増強のためには、どうしても畜産の振興にまたねばならぬ、かように考えておりますが、農林大臣にいかにお考えになりますか
  380. 森幸太郎

    ○森国務大臣 有畜農業ということは、日本の将来におきましても最も必要なことでありますので、大家畜の飼育ということを奨励いたしたいと思つておるわけであります。そこに飼料等の関係がありまして、大家畜の飼養がはなはだ停滞いたしておりますことと、また価格が相当高くなりましたために、一般農家にこれが普及しないという傾きもあるようであります。政府はこの大きい家畜を飼わすように、本年度予算においても考慮を拂つております。また飼料の点等におきましても、かんしよ、ばれいしよの奨励によりまして、家畜の飼料とするというようなことを指導いたしまして、家畜の導入に一層の力をいたす。かように考えるのでございます。
  381. 松本六太郎

    松本(六)委員 畜産振興に関連いたしまして、今日国営もしくは地方営の競馬を施行しておられるが、これはもはや今日の客観的ないろいろな事情から、われわれの考えるところでは民間に移してやるべきである。国あるいは地方庁が競馬の経営をやるということは適当でない。かように考えられるのでありますが、大臣はいかに考えられるか。
  382. 森幸太郎

    ○森国務大臣 競馬の民営か国営かということについては、相当議論があります。これは目下あらゆる角度から検討を加えており、近く決定いたしたいと考えております。
  383. 松本六太郎

    松本(六)委員 農林大臣に対する質問はこれで終わります。
  384. 植原悦二郎

    植原委員長 この場合勝間田清一君。
  385. 勝間田清一

    ○勝間田委員 農林大臣にお尋ねします。同時に本多国務大臣にもお聞き願いたいと思いますが、先ほどいわゆる食糧特別会計の例の赤字が出たようでありますが、大体の金額が百二十四億でしたか、その程度でありますが、その中の六十二億はわかるのでありますが、あとのいわゆる早場米の非常に成績がよかつたということから約二十一億、それからかんしよの超過供出が非常に多かつたことが約四十億だと思いますけれども、それは單に早場米と超過供出だけではなくて、やはりその中には仮拂いというやつが相当ある。そうして実際にたとえば糧務で買入れた数と実際に支拂つた数量というものとの違いが出て来る。それから輸送関係でも、実際輸送したものと、輸送賃を拂つた数量との間には開きがある。加工に出した場合においても、加工業者出した数量と、加工賃の数量との間に開きがある。ここにいわゆる仮拂いというものに相当な赤字の原因がある。これは非常に重要な問題だと思う。この問題については、おそらく農林省は骨折つていらつしやると思うけれども、実際それを担当しておるいわゆる地方に働いておる従業員、この人たちが非常に手間が足りないわけであります。人間が足りない。早く言えば首を切り過ぎたわけで、人間が補充されていない。たとえて申せば、それを実際やはり地方の組合の者やいろいろな者が手伝つてつておるから、結局そういうものが出て来る。そこで私は現在食管の方では臨時雇いなんかやつていらつしやるように思いますけれども、私は将来の赤字ということを考えると、食管関係の定員は修正すべきだと思つております。そういう意味で修正の考え方があるかどうか、これを結論的に一言だけお尋ねしたい。この点は本多国務大臣もほんとうの意味で――單に政治的な問題でなくて、この問題は真劍に考えていただきたいと思うのですが、ちよつと御所見だけを伺つておきます。
  386. 森幸太郎

    ○森国務大臣 輸送等についての赤字のことはつまびらかに承知しておりませんが、今お述べになりましたその赤字の素因が、末端の行政整理の結果、手不足のためにそういうことができた。こういう御意見でありましたが、今回の公団の行政整理につきましては、配給面、運搬面あるいは加工面には全然整理をいたしておらないのであります。ただ食糧庁として問題になつておりますことは、末端における検査員が手不足である。これは臨時雇員を従来ともやつておりましたので、珍しい制度ではないのでありますが、米を買う、いもを買うについてに、金券の発行をするのであります。これが雇員という立場では法規上責任がないということによつて、代金の支拂いが複雑化し、遅延するという一つの故障ができておることは現実でありますが、行政整理は運搬、配給、加工という面については、いたしておらぬはずでありますが、食糧公団としての行政整理に対する将来の希望は、この買入れに対する伝票の切り方ということが、今懸案として研究を進めているような点であります。
  387. 本多市郎

    ○本多国務大臣 食糧事務所の定員のことにつきましては、さいぜんも大体それに該当する答弁を申し上げておいたのでありますが、臨時雇い上げ職員の増加が、その事務の簡素化、合理化等の余地がないものであるかどうかということは、そのやらせている仕事が臨時職員にやらすこともできる適当なものであるかどうかという点、そういう点をただいま真劍に研究中であります。どうぞ御了承願います。
  388. 植原悦二郎

    植原委員長 ただいま深澤君に割当てられました時間の残り十七分だけ米原委員質問を許します。米原昶君。
  389. 米原昶

    ○米原委員 時間がありませんので、ごく簡單質問します。まず文部大臣にお尋ねしたいのでありますが、この委員会でも六・三制の問題についてはたびたび問題になつております。そのときに補正予算で十五億のものはとにかく組んだが、今後も相当に組むということをおつしやられたのですが、その相当というのはどういう意味か、もう少しはつきり言つていただきたい。もちろん確定的な数字はきまつていないのでありますから、はつきりした数字は言えないかもしれませんが、大体の程度というものは言えると思います。たとえばこの説明書を見ますと応急最低必要面積を確保するために補正で十五億円、それから明年度二十五億円計四十億円あれば、最低のものができるというような説明がここに書いてある。来年度二十五億と見ておられるのか。それに若干改善を加えるために、さらに二十億円を追加して六十億円程度、この程度のものを相当と言つておられるのか。その程度はどのくらいのものかということを聞いている。それとも六十億円とすれば地方起債を合せても百二十億というわけでありましようが、それとも一千億くらいを言つておられるのか。この一千億というのは何も共産党の意見として言つているのではなく、現に地方自治庁の財政部長が、六・三割を今年は完全に終る年である。完全実施をするためには一千億が必要だということをはつきり言つているわけです。そういうものを相当というのか。どの程度であるかということをはつきり言つてもらいたい。
  390. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お答えいたします。私が本会議等で御質問を受けました場合に、来年度は相当と申しておりましたのは、むろん確定は次の予算を出さないと確定いたしませんが、四十五億を予定しておつたのでありまして、今年度の補正予算の十五億、来年度分の四十五億、合せて六十億ということを考えておつたわけであります。そうしてこれが緊急に施設整備を要する計画を大体完了し得る数字であると考えております。一千億という数字のお話でありましたが、御承知のように六・三制の施設の完備ということに、いろいろな意味がありまして、理想的に完備するといたしますと、普通教室をそれぞれ新制中学が独立に全部持ち、しかもその上に特別教室を数教室全部持ちまして、それから講堂を持ち、雨天体操場も完全に持つ、これが理想的な状態であります。これを完成いたしますのにはどうしても約一千億くらいはかかかるだろう、こういう数字であります。
  391. 米原昶

    ○米原委員 六十億にしましても二千六百の市町村の要求を満たすに足る程度と思うのであります。これだけでは現在方々で二部授業が行われておる、またあるところでは馬小屋授業をやつておるとか、階級教室とか、こういうようなものがあるそうでありますが、また全国各地で、たとえば山梨県とか岡山県では、六・三制の費用の足りないために、町村長も辞職までした。また自殺した町村長も現われておるというような実情でありますので、これだけではとうてい全国民の要望を満たすに足らないと思うのであります。今おつしやいました説明によりますと、それだけでとにかく満たせるような印象を受けたのでありますが、来年度うまく行つて六十億、その後は一切出されないつもりか。一切ということは少し極端な言い方ですが、大体これで打切られはしないかという点が一つ心配なのであります。その点についての見通しを伺いたいのであります。
  392. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 六十億で緊急整備の大部分を完了できると申しましたのは、今お話のありました馬小屋とか、小使室とか、廊下とか、これを使つておるのを全部解消し、また二部授業、三部授業を解消する、こういう意味であります。たびたび申しますように、計画を二段に今は考えておりまして、緊急整備でどうしても緊急にやらなければならないものをまず一応解消し、第二段として完成を漸次して行くという計画はいたしております。従つて緊急整備が終りましたら、あとは全然考えたいということは決してありませんで、やはり日本財政の漸次回復するに応じまして、漸次完成の予算は毎年計上したい、こういう考えであります。
  393. 米原昶

    ○米原委員 もう一つお尋ねしたいのはこの十五億でありますが、この十五億は本年度の四月三十日以前に建てたもの、補助金米交付のものは交付しないということになつているそうでありますが、四月三十日以前に建てたものは出す、出すから建てろというようなことをいつて建てたところが多いのであります。その以後に建てたものは補助金が出て、その以前のものは出ないということになると、これは非常に重大な問題になると思う。この点について文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  394. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 御承知の通り国庫が出しますのは補助金でありますから、法制的に申しますと、地方がいかに苦しんでも地方の財源をもつて完成したものに対しては、補助できないことに法制上なつておるわけであります。しかし完成したと申しましてもいろいろの事情があり、複雑な場合があると思います。従つて文部省といたしましては、完成されたものにつきましても、そういう実際の事情をよく調べまして、実情にできるだけ合うように調整をしたい、こう考えております。
  395. 米原昶

    ○米原委員 非常に問題があると思うのであります。いろいろ調べて補助金を出すところと出さないところができるというところに問題があるのであります。今までの二十三年度までは出て、その中間に建てられたものが出ないというようなところが起つて来ると非常な問題になつて来る。大体それまでに補助金が米交付なつておるものは、総額でどのくらいありますか、この点をはつきり伺いたいと思います。
  396. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 そういう点につきましては、正確な報告を完全に地方から受けておるわけではありませんので、正確な数字はわかりません。実情に即してやるという場合に、いろいろ情実が起きたりなんかして弊害が起きるおそれがある、こういう御心配でありますが、確かにそういう御心配もないこともないと思いますから、文部省としてはもちろんそういうことを考えながら、決してそういう弊害の起らないように調整をしたい、こういう考えであります。
  397. 米原昶

    ○米原委員 文部大臣が今までの米交付の総額がどのくらいになつているか、大体の見当がつかないというようなことはあり得ないはずだと思います。私が聞いておるところでは、百三十幾億に上つているということを聞いておるのでありますが、もしも交付金が行かないということになれば、実に重大な問題になるのであります。おそらくこのうちの大部分は交付金を出さなくてはならぬものだと思うのであります。実際にどこの地方へ行つても、六・三制の問題では非常に困つて、おそらくむりをして建てておるのであります。それがわずか十五億の金ではたしてできるかどうか。六十億になりましても、これで解決がつくかどうかは明らかだと思うのであります。しかしおそらくはつきりした御答弁は得られないかとも思いますが、その点についてどう思われますか。百三十億のうちのほとんど大部分が出ないことになるはずでありますが、大臣はこの点どう考えられますか。
  398. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 先ほど申しましたように、正確な数字は私はまだ持つておりません。むろん相当の金額に上ると思います。それで地方としましては、それを建築するにつきましては、ずいぶん苦しい事情にあつたということは、むろん想像いたしております。しかしそれを全部地方の希望通りに満たそうということになると、十五億ではむろん足りませんので、そこは地方にも相当の犠牲は考えてもらわなければならないという考えであります。
  399. 米原昶

    ○米原委員 文部大臣に対してはこれでやめます。ただ今のような十五億だけでは決して十分でないことは明らかなのであります。この未交付金を学校に交付するだけでもとても足りないということを、私は結論として申し上げておきます。  次に運輸大臣にお尋ねしたいのであります。今度の国鉄予算でありますが、今年の春国鉄の公共企業体になりましたときに、今までの国鉄は公共性だけあつて企業性がない、だから何回も何回も運賃を値上げしなければならなかつた。こういうようなことから公共企業体になつて独立採算性になつたはずだと思うのであります。またそういうことを政府当局も説明された。であるからあのときにも旅客運賃を六圓値上げし、そうしてそのあとに九万六千の職員の首切つたのであります。しかもこれらの九万六千の諸君に職がなく飢えておるのであります。そういうような犠牲を拂わせて公共企業体なつた。ところがそれがすぐに今度大きな赤字を出して、貨物運賃を八割値上げ、三十億円これに注ぎ込むということに対して、はたしてこれでいいのかどうか、公共企業体なつた趣旨がどこにあるか、ということを説明していただきたい。
  400. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 米原君の御質問の趣旨は私もまつたく同感でありまして、コーポレーシヨンに切りかえました趣旨は、米原君のただいま言われた通り、公共性は多分にあるが企業性が非常に少い。これをやはり引合うだけの事業に盛り立てて行きたいという考えでコーポレーシヨンにいたしたのでありますが、何分にもコーポレーシヨンに切りかえましてまだ時間が僅少でありますのと、その後の経済界の実情が、必ずしも反映をいたすという程度に相なつておりませんので、従いまして、この鉄道の運びます荷物というようなものが、当初期待いたしました通り出まわらなかつたというような関係から、やむを得ず先般旅客運賃の六割を値上げいたしまして、これで十分に財政が収支相償うと考えておつたのでありますが、遺憾ながらまだ所期の目的に到達できませんので、今回八割の運賃の値上げをいたすのやむを得ざるに至つた次第でございますが、将来は、時間の経過とともに、大いにこの公共性に加うるに企業性を十分発揮いたしまして、国民の期待に沿いたいと考えております。
  401. 米原昶

    ○米原委員 運輸大臣はそういうふうにおつしやられまして、たとえば最近つくつておられる客車なんかの状態を私が聞きましたところでは、観光用の寝台車とか食堂車、展望車、二等車というのは相当つくつているが、三等車というのは新造がないということである。ところが実際に収益をあげているのは三等車です。三等車だけは非常な収益をあげているのでありますが、こういうやり方がはたして企業性があるかどうか。それからこれはこの前も運輸委員会で問題になつたそうでありますが、たとえばほろ酔い列車なんというのを出した。那須から東京まで芸者六十人乗せて、お客を乗せて酒を飲ますという列車であります。長野県では芸者列車、大阪ではダンス・カー、マージャン・カー、スクリーン・カーというのをつくつている。ところがこれが必ずしも収益をあげていない。遊興列車であります。パンパン列車であります。こういうやり方がはたして企業性に合つているかどうか。これはもちろん公共性は全然ない。少くとも公共性と企業性と両者を備えたものでなければならぬ。この点について運輸大臣の弁解を聞きたいのであります。
  402. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 あえて弁解と申すならば、申し上げますが、パンパン列車あるいはほろ酔い列車、芸者列車は少し話が酷であると私は思うのであります。米原君は三等車には何らの手配も加えておらないという御質問でありましたが、これは事実相違いたしておりまして、三等車の新造はなるほど数が少いのでありますが、在来の列車を修復いたしまして、三等車は相当程度復旧をいたして配車いたしておるのであります。なお国際観光その他の点にかんがみまして、高級の列車にも採算性が十分引合うという意味におきましては、適当に増強をいたしておる次第であります。
  403. 米原昶

    ○米原委員 最後に樋貝国務大臣にお尋ねします。先日たしか中曽根君でしたかが質問しました警察力の問題であります。最近樋貝国務大臣のおつしやつたことははつきり覚えておりませんが、人員はふやさないけれども、暴徒が起つて数時間どこかが占領されても、追い拂うだけの訓練と装備は大いにやる、こういうことをおつしやるわけであります。数時間どこ占領するというのは、おそらく平事件その他のものをさしておられるのでありましようが、平事件については、もう共産党は法務委員会で少数派声明もやつておりますし、われわれの立場とあなた方の立場とで今議論しようというのではない。しかし警察力をいかに整備しましても、それだけではほんとうに社会不安を除去することはできない、こう思うのでありますが、樋貝国務大臣はその所管大臣として、社会不安を除去するのに、單に警察の装備とか訓練をよくして押えるということだけで、解決すると思つておられるか。もつと根本的に考えなければならぬと思つておられるのか。こういう点についてはつきりした見解を聞きたい思う。つま社会不安がなぜ起つてているかという問題に対して、ほんとうの根本策はどこに置いておられるか、それを聞きたい。
  404. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 御返事いたしますが、私が申し上げているのは、現在の與えられた條件でも、十分に治安は維持できますということをこの間申し上げた。治安については私どもは現在の警察を整備することによつて、十分にその目的を達成することを確信いたしております。昨日でしたか、ちようど御質問がありまして、数時間占領されたというのは春のことであります。言いかえれば、今日よりも訓練が足りない、どちらかと申せば、警察が逡巡しているような時代のことを言うのでありまして、今日においてそれをとりもどした状態においては、決して心配がないから、まくらを高うして寝られる次第であります。しかしながら警察を元のむちやな警察にしようとは考えておりませんで、力強く、明るく、民主的にやろうと思つております。
  405. 植原悦二郎

  406. 松本六太郎

    松本(六)委員 先ほど安本長官にお尋ねいたしたわけでありますが、まだそのお答えをいただいておりません。わが国の貿易の上に食糧が占める比重は、一体どの程度になつているのかという点であります。
  407. 青木孝義

    青木国務大臣 本年度の食料輸入は大体三七%だと覚えております。
  408. 松本六太郎

    松本(六)委員 ただいま三七%とおつしやいましたが、来年度の計画におきましてはどの程度になりますか、これをお伺いしたい。
  409. 青木孝義

    青木国務大臣 来年度の計画につきましては、まだはつきり決定をいたしておりません。
  410. 松本六太郎

    松本(六)委員 大体先ほど農林大臣からの御答弁もありましたけれども、安定本部といたしましては、今後の食糧輸入は、相当量これをふやすというお考えになつておられますか、この点伺いたい。
  411. 青木孝義

    青木国務大臣 御承知かと思いますが、二十五年の十月一日の人口は、私どもの経済安定本部で計算をいたしておりますところでは、八千三百七十七万三千人であると予想いたしますので、そういうような人口の増加従つて国内の増産も伴いましようし、また輸入の点も考えなければなりませんが、しかし今のところ先ほど申し上げましたように、来年の数量は決定をいたしておりません。
  412. 松本六太郎

    松本(六)委員 われわれの聞くところによりますれば、日本は貿易をいたします場合に、ポンド地域から――特にこれはポンド地域の問題であると承知いたしておりますが、ある種の品物を輸出いたしますために、その見返りとしてその地から何ものかを輸入しなければならぬ。しかもそのバーター的の立場に置かれるものは食糧が多い。さような輸出入の関係から、こちらの方ではあまり欲しない場合でも、これをもらわなければならないような場合が起るというようなことを聞くのでありますが、その点はどうでありますか。
  413. 青木孝義

    青木国務大臣 われわれのただいまの考え方といたしましては、なるべく余分であるようなものは、輸入したくないという考えを待つております。
  414. 松本六太郎

    松本(六)委員 なるべくいらないものは、もちろんこれは輸入したくないというのは人情のしからしめるところであるが、しかしながら今日の日本の国際事情その他の事情によりまして、いらないものでも、ある場合にはこれを受けなければならぬというような事態が起りはしないか、その点はいかがでありますか。
  415. 青木孝義

    青木国務大臣 多分そういうことはなかろうと思いますが、あればなるべくそういうものは輸入したくないという考えであります。
  416. 松本六太郎

    松本(六)委員 これはどなたか御質問なつたかもしれませんが、大蔵大臣にお尋ねいたします。小額紙幣の整理差金というのはどういう理由で計上されたか。
  417. 池田勇人

    池田国務大臣 小額紙幣の切りかえに来るのがもうなくなつたと見込みまして、それが政府の収入になりますので見込んだのであります。
  418. 松本六太郎

    松本(六)委員 租税の拂戻金五億四百万円はどういう理由によるものですか。
  419. 池田勇人

    池田国務大臣 租税を徴収いたしましてから後に誤謬訂正をいたしまして、拂いもどしをしなければならぬという状態になりましたものを見込んだのであります。
  420. 松本六太郎

    松本(六)委員 われわれの聞くところによりますと、ただいまこの程度ではなくて、あるいは訴願等の手続によつて、未解決のものが相当あるように承知しているのでありますが、この計上せられた五億四百万円で完全にこのことは決済されるのでありますか。
  421. 池田勇人

    池田国務大臣 当初予算で七億円ほど見ております。従いましてあなたの言うように、今後あるだろうということを想像いたしまして、補正予算で見込んだのであります。
  422. 松本六太郎

    松本(六)委員 次に大蔵大臣にお伺いいたしますが、日本の農村の経済復興ないし生産力増強のために、協同組合が発足をいたして、今進行の過程にあるわけであります。そこで今度いろいろの統制が改正になり、協同組合等に対しましても、法人税その他の課税が当然あるわけでありますが、今育成の途上にありますので、協同組合等に対しまする――農業協同組合に対する法人税については、特にさような農村の生産力増強のために、あるいは協同組合育成のために、特別の考慮を拂うというお考えはありませんか。
  423. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知の通り、特別法人税法をつくりまして、特殊の課税方法をいたしておりましたが、最近におきましては法人税法に統合いたしました。今後は経済活動をしまして、そこに所得があるならば、あらゆるものに対して課税する方針でいるのであります。従来公益法人につきましては、課税しないのを原則としておりましたが、シヤウプ勧告案にあります通りに、経済行為を営んでいるときには、それは公法人であろうとも課税する方針で行きたいと思つております。
  424. 松本六太郎

    松本(六)委員 時間もありませんから、もう一点お伺いして私は質問を打切りたいと存じます。さらに資産の再評価に関しまして、もちろんこれは一定の基準によつておやりになることとは思いますが、これも農業協同組合の資産と申すものは、最近資産の譲り受け等について資金その他の関係において非常に困難をいたしておる。かような事情もあるわけであります。従つてこれの資産これの再評価等については、特別な考慮を拂われるというお考えはないか、この点を伺いたいと思います。
  425. 池田勇人

    池田国務大臣 資産の再評価につきましては、法人、個人を通じまして、適当な方法でやつて行きたいとただいま検討中でございます。
  426. 松本六太郎

    松本(六)委員 時間が非常におそくなりましたから、残余の質問は打切ります。
  427. 植原悦二郎

    植原委員長 平川篤雄君。
  428. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいま米原さんから文部大臣に御質問になりましたことと関連をいたすのでありますが、経済回復とともに、毎年六・三予算を計上したいというお言葉であつたのですが、私の文部省関係者から聞きましたところによると、文部省には五箇年完成案と、三箇年完成案と、それから二十五年で終る案とがあつて、ただいま二十五年度予算並びに今回の補正予算考えられておるのは、二十五年度で完了する案だということを聞いておるのですが、確かでありますか。
  429. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 文部省はずいぶんいろいろの案をつくりまして、予算の計上を考えておるのでありますけれども、財政上の都合で、なかなか、計画通りに参らぬのであります。従いましてやはり財政の実情に応じまして、計画も始終訂正を加えて行かなければならないというわけでありまして、ただいま考えております。今おつしやつた二十五年度で完成する案と申しますのは、さつき申しました緊急整備についての計画でございます。それ以上のことは、先ほど申しましたように、以後の年度の財政状況に応じてまた計画を立てて行こう、こういう考えであります。
  430. 平川篤雄

    ○平川委員 今のではいけないのでありまして、実際二十五年度でその応旧が大体済めば、もう明後年度にやらないということになれば、ただいま必要としておるところは、全部集中して来年度にその補助金を得ようとしてやつて来るだろうと思う。ところが、ただいまのように、経済回復とともに毎年計上したいというようなことを漠然とおつしやると、またさつき米原さんがつきましたように、協同組合なんかで金を借りて、やりかけた仕事だからしかたがない。続いてやつて、あとからそれをどうしてくれるかというような問題が出て来ると思う。だからこの際はやはりそこをはつきりさしていただきたいと思うのです。一応来年度で打切るのだというならば、打切るというふうに、はつきりさしていただきたい。
  431. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 文部省といたしまして、お話のように、はつきりと計画を立ててその通りに実行して行きたいのでありますけれども、実情がなかなかそう参りません。それで二十五年度で緊急の整備を終るという計画は持つておりますが、それ以後につきましては、やはり経済の実情にあつた計画を立てて行かなければならないということで、お話のようになかなかはつきりとした、これで必ず行けるという計画が立ちにくい状況であります。
  432. 平川篤雄

    ○平川委員 六十億と、それに見合います起債とで、百二十億ででき上る学級数というものは、生徒児童一人当り〇・七坪という最小基準をとりまして、一坪当り二万円と考えても、ざつと一万七千教室ばかりしかできないと思うのでありますが、文部省の、六・三制校舎不足の実態と校舎建設の緊急性という資料によつて見ますと、二部教授、三部教授をやつておる。講堂、雨天体操場を使つておる。廊下、昇降口、物置を使つておる。避病舎や、馬小屋を使つておるというようなものを全部合せると、四万八千四百三十七教室あるそうでありますが、この一万七千教室というのは、その約三分の一にすぎない状態であります。ただいま地方の寄付金というものが非常に大きくなつておることは、シヤウプ博士も認めておられて、約四百億と言つておられるのでありますが、その寄付金の大部分がこの六・三制か、ないしは人民が恐れます税務署、警察がこれで建つておる。ほとんど学校の方に向けられておると考えていいのでありますが、この平衡交付金と申します中に、三百億ないし四百億というようなものを教育費に特別に組み込まれるというような御用意があるかどうか。これはちよつと大蔵大臣から御答弁をお願いしたい。
  433. 池田勇人

    池田国務大臣 シヤウプ博士が地方団体に対しまする寄付金四百億というのは一応の推定であるのであります。そうしてそのうちの大部分に六・三制の学校、あるいは警察であろうと思います。税務署は寄付によつて建つたのはございませんから、御承知願います。この寄付に対しましては、租税でまかなうのが至当だという考えのもとで、シヤウプ博士もその推定の四百億円のうち、三百億円くらいは税収入でやるべきだと言つておられました。従いまして地方税の賦課につきましては、その意見を尊重いたしまして、三百億円程度を地方税でとる、寄付にはたよらないということにしたいと思います。
  434. 平川篤雄

    ○平川委員 今の御答弁でちよつとはつきりしないのでありますが、時間がありませんので、そのくらいにしておきます。  次に本年の補正予算を見ますと、定員定額制に基いて、小、中学校教員の定員超過分に対して、約半分を手当をしておるようでありますが、定時制高等学校の職員の不足につきましては、文部省の寺中作堆君が、去る九月二日、参議院の文部委員会において、六千六百二十三人の組員があるということを報告いたしておるのであります。ところがこの定時制高等学校の職員の問題につきましては、文部大臣はよく御存じのように、非常に困難を告げておりまして、ことに芸能科の職員のごときは、時間数は少いし、ほかの科目は持てないで、旅費や滞在費まで全部地元父兄の負担によつておるというような実情であるのに、これの超員を補うという手段がとつてないということは、どういうわけであるか、これが一点。  それからまとめて申しますが、このたび教員免許法の施行細則が出たわけでありますが、これによると、中学校はもう二科目以上の教授はできない。高等学校なんかはもちろん一科目でありますが、こういうような状態になりますと、もしこの人たちが授業いたしますと、一年以下でしたか、禁錮に処せられるというようなことになつて、教えてはならないことになるわけです。そうすると、せつかくおやりになつた定員定額制というものは、この教員免許法の施行細則によつてくずれて行くと思うのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、これが一つであります。  それからこの免許法の施行規則は、すべての小学校、幼稚園の教員も込めまして、大学卒業以上の学歴を要求しておるわけです。ところが御承知のように、ただいま師範学校は、高知県などでは三割幾らしか応募率がないというような状態で、はなはだ憂慮すべき事態になつているのでありますが、この問題についてひとつ御答弁を願いたいと思います。  それから最後に平衡交付金の中に、はつきりと教育費のわくをつくる問題につきまして、大蔵省、自治庁、文部省それぞれのところに意見の相違があるやに聞いておるのでありますが、これのはつきりしたわくをつくりませんと、定員定額制はだめになつてしまう、あるいは教育委員会法の精神というものも無視せられてしまう、ひいては義務教育費国家負担法というようなものも有名無実なものになつてしまうと思うのであります。この点について関係大臣から御答弁をお願いしたい。以上の点で私の質問を終るわけであります。
  435. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 定時制高等学校に関する予算は、補正予算に入つておりません。今日のような時代でありますから、働きながら夜勉強するというような青年の教育は大事でありますので、その方もできるだけ充実いたしたいと考えたのでありますけれども、財政の都合上、これはできなかつたのでありまして、非常に残念に思つております。  それから定員定額制と関連いたしまして、いろいろ問題が起きるというお話でありましたが、幸い来年度は定員定額制につきましても、相当の余裕が予算の上にできる予定であります。大体の見込みといたしましては本年度五十人のクラスに対して、小学校一・三五を一・三にし、しかもその上に欠格教員は別に考える。中学校につきましても五十人クラスに対して一・七を一・八にいたしまして、そのほかに欠格教授は考えるというような予算になると考えておりますので、それらの点で御心配のような点が解消することになるのではないかと思つております。  それから教員の養成についての問題でありますが、教員養成は非常に重大で、しかも学芸大学等に対する志願者が、非常に少くて困るという状態にあることを非常に心配しておりますが、それにつきましては待遇の問題もできるだけ教員については別表をつくりたいというわけで、人事院と相談をいたしております。その上に育英会からの奨学の貸付金を学芸大学の生徒及び教育学部の学生で、将来、小、中学の先生になる方に対しては、全部に貸付けができるようにしたいという計画を立てております。しかし財政の都合上全部には参りませんが、学生の約五〇%に対しては、奨学金を貸付せられるような予算に来年度はなると思つております。そうしますと志願者の数もずつとふえて参るのではないかと思つております。  それから最後の一般の平衡交付金と義務教育の経費の問題でおりますが、御承知のように一般の平衡交付金で出されるということになりますと、今までとは予算の組立てが違つて参りますので、文部省としてはその中から地方に出される義務教育費の一般会計からの交付金につきましては、これをぜひ確保して行きたいとい考えて、ただいまのところは、教育費の最低基準というようなものを考えました。それだけは必ずいずれの地方においても確保されるようにしたい、これを法令等をもつて何とかして規定したいということで、案を練つております。それのつくり方等につきましては、むろん大蔵省と自治庁と相談をしなくてはなりません。それらにつきましてよく相談をして、確保できるようにいたしたいと考えております。
  436. 平川篤雄

    ○平川委員 大蔵省と自治庁の方に御答弁がなければ、その通りだと考えてよろしゆうございますか。
  437. 池田勇人

    池田国務大臣 財政交付金の問題は、シヤウプ博士の一千二百億の中には、義務教育費や生活保護費も入つております。組み方につきましては文部大臣お答えになりました通りに、今検討中でございます。生活保護費を厚生省所管に入れておくか、おかないか、義務教育費、公立学校の補助費を全部平衡資金に入れておくか、あるいはある程度文部省の予算に組むかどうかということは研究中でございます。なお、先ほどお話の寄付金に対する分は、平衡資金で見るか、こういう御質問でございますが、これは地方税でとることになつておりますから、原則として見ません。
  438. 木村小左衞門

    ○木村国務大臣 ただいまの大蔵大臣答弁の通りであります。
  439. 植原悦二郎

  440. 勝間田清一

    ○勝間田委員 最後に私は一言だけお尋ねをしたいと思うのですが、労働大臣にもお願いしたいと思います。いよいよ多数党の圧迫で質問も終るわけでありますが、(「ノーノー」)、予算委員会もようやく終りに近づいたわけであります。そろそろ寒さも加わつて来るのでありますが、今度のベース改訂ができなかつたことは、公務員の人たちにとつては非常にお気の毒だと私は考えるものであります。ついてはこの前、わが党の森下君の質問に対して、参議院で年末の特別給與を、條件が許せばこれを考慮したいということを答弁されておるのでありますが、もうすでに予算委員会もこれで終ろうというところでありますので、この年末の特別給與を、公務員の人たちのためにどの程度、いつ、出されることになるのか、これをはつきり最後にひとつお言葉を願いたいと思う。
  441. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 ただいまの御質問のその前提となつ質問は、そういうような形で答弁をしたのではなくて、ベースの問題は政府はやらないと言つておる。それから、手当、その他の問題は考慮しないのか、また何の努力を、従来もしなかつたが、今後もしないのか、こういう御質問があつたのに対しまして、ベースとか、あるいは手当とか、そういつた問題に触れたのではなくて、何らかの方式でもつて予算も許し、それから方式も許すような方法があるならば、考えたいという苦慮は、私も政府も重ねて参りましたし、今後もそういう努力はいたすつもりでありますということをお答えしたのであります。今もその通りであります。
  442. 植原悦二郎

    植原委員長 これにて質議は終了いたしました。但し左に述べる事項を除外いたしまして……  明日は午前十時より開会いたしまして、薪炭特別会計予算委員長より小委員会の報告を願い、これに関連して、理事諸君の協定通り、簡單に質疑を許すこととし、続いて総理大臣に対する西村委員の質疑の留保の分を五分間程度お許しすることとし、全部の質疑を終了する予定であります。  次に各等の態度決定のため休憩をいたしまして、午後一時再開して、討論採択に入りたいと思うのであります。右御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後九時四十四分散会