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1949-11-23 第6回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十三日(水曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君    理事 小峯 柳多君 理事 庄司 一郎君    理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君    理事 川崎 秀二君 理事 風早八十二君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       角田 幸吉君    北澤 直吉君       小金 義照君    坂田 道太君       周東 英雄君    田中 啓一君       玉置  實君    塚田十一郎君       坪内 八郎君    西村 英一君       松野 頼三君    南  好雄君       北村徳太郎君    水谷長三郎君       西村 榮一君    中曽根康弘君       村瀬 宣親君    野坂 參三君       深澤 義守君    米原  昶君       奧村又十郎君    小坂善太郎君       山本 利壽君    平川 篤雄君       松本太郎君    黒田 寿男君       世耕 弘一君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         國 務 大 臣 殖田 俊吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         通商産業大臣  稻垣平太郎君         運 輸 大 臣 大屋 晋三君         電気通信大臣  小澤佐重喜君         労 働 大 臣 鈴木 正文君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         国 務 大 臣 青木 孝義君         国 務 大 臣 樋貝 詮三君         国 務 大 臣 本多 市郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         内閣官房長官 郡  祐一君         統計委員会委員         長       大内 兵衞君         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局長)         大蔵事務官   河野 一之君         (銀行局長)         大蔵事務官   愛知 揆一君         国税庁長官   高橋  衞君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         経済安定政務次         官       西村 久之君         (財政金融局         長)         経済安定事務官 内田 常雄君  委員外出席者         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)  昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)  昭和二十四年度政府関係機関予算補正機弟一  号)     ―――――――――――――
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。質疑に入ります。
  3. 風早八十二

    風早委員 議事進行について……。今度の補正予算に計上してありますところの輸出信用保証に関する費用でありますが、輸出信用保証法案というのが大体出ると思つておりましたが、これが出ておらないのです。そうなりますと今度の補正予算審議はどういうことになりますか、この法案が出ない限りは審議が続行できないのではないかと思うのでありますが。この点いかがですか。
  4. 池田勇人

    池田國務大臣 ただいま関係方面と話をいたしております。いずれ近いうちに提案できると考えております。
  5. 風早八十二

    風早委員 これは新聞に出ておることでありますから、政府はそれは知らないと言われるかもしれませんが、しかし大体われわれが聞いておるところでは、これは通常国会に提出するということが伝わつておるのでありますが、この点をひとつ政府の方で確かに御答弁願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    池田國務大臣 法案を向うまで持つてつておりまして、日夜折衝を重ねておるのであります。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 この問題についてこの委員会が始まる最初に、新政治協議会松本太郎君から大蔵大臣質問がありまして、輸出信用保証の問題と外国為替特別会計はまだ出ていないのでないかと言われたら、大蔵大臣はこの席上ではつきり一両日の間に出しますと言われた。一日ないし二日の間に出しますと言われた。それが出ていない。大蔵大臣はさきに一両日の間に出すと言われたのは食言であつたのか。どういう事情で出せないのかということをはつきりしない以上は、責任ある大蔵大臣答弁ではないと思いますから、大蔵大臣のはつきりした明細なる答弁をお願いいたします。
  8. 池田勇人

    池田國務大臣 一両日中に出す予定であつたのでありますが、内容につきまして関係方面との審議が重ねられておるので遅れたのであります。
  9. 植原悦二郎

  10. 川崎秀二

    川崎委員 財政基本方針と具体的な問題につきましては、昨日同僚中曽根君から民主党を代表いたしまして質問演説をいたしましたので、本日は総理大臣に対し、今度の国会を開会するところの原因になりました失業対策の問題、あるいは納税の問題、政局に関する問題について二、三所信をただしたいと思うのであります。  失業問題は過ぐる第五国会において、大きな問題として焦点になつた問題でございます。行政整理企業整備を断行した後において現われて来るところの顯在失業者をいかにして救済するか。また統制経済の撤廃によつてつて来るところの潜在失業者から顯在失業者への転換問題等を含めて、失業問題は非常に論ぜられたのでありますが、今国会が始まつてみますと、失業問題に対する論議はきわめて低調のようでございます。これは政府失業問題は、雇用の増大によつてすでに相当解決をいたしておるというようなことを言明いたし、一方経済は安定化して、これによつて失業者相当吸收しておるというようなことをしばしば言明をしておることが、大きな原因になつておると思うのでございますが、今日の失業状態は、私は行政整理が一段階を画し、これが成功終つたかどうか。政府成功終つたようなことを言つておりますけれども、私は成功終つたと見るのは間違いであつて、その後の收拾というものは実際にはしておらない。單に七月の上旬から八月にかけて諸種の事件が起つて、そのために政府が有利な立場に立つた。われわれはそれらの経緯に対して、ここで論議をするのではございませんが、少くとも国民感情行政整理だけは遂行させたい。行政整理の遂行を妨げてはならないという感情がありましたために、今日失業問題に対する関心が、割合に薄くなつておるけれども、しかし国民の中には、この顯在失業者救済の問題にしても、また潜在失業者顯在化の問題にしても、非常な不安を持つてながめておると思うのでございます。一体総理大臣は、失業対策の問題についてはきわめて簡單に施政方針演説で触れられただけで、今後のこの潜在失業者を含めての失業対策というものについて、深い構想を示されたことはなかたつたのでありますが、この機会において、失業対策考え方をひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  11. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えをいたします。この問題は内閣としてはしばしば説明を議会においてもいたしておると信ずるのでありますが、要するに産業興つて、そして輸出が増進されて、自然に雇用の増大がはかられる、根本的には、この点にあると思うので、政府としても、産業の安定なり、また経済の安定なり、輸出の奨励なりということは、十分はかつて来ておるのみならず、直接の失業問題についても、相当費用予算の中に組み入れてあるので、決して軽視しておるのではないのであります。また輸出も近ごろ、為替レートをかえないというような安心もできて、漸次増大しつつあることは御承知通りであります。
  12. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの総理大臣答弁では、輸出を大いに増進をする、また公共事業費その他を使つて相当雇用を増大させるための努力をいたしておるというのでありますが、実際にこの顯在失業者となつて現われた今度の犠性者の問題、それは予算の面においてどういうふうに現われておるのか。失業対策費は、わずかにその増は八億五千万円、それから失業保険費の八億五千八百万円、これだけであります。公共事業の中に一体どれだけ繰入れられて、そうして失業者が現にどういうふうに解消しておるかこれらの問題について伺いたいと思います。
  13. 吉田茂

    吉田國務大臣 それは関係大臣からお答えをいたします。
  14. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 失業対策の全体としての考え方は、先ほど総理が申された通りでありまして、全体の国民経済の中の雇用力の上昇というものが中心であるという考え方は、私どもも同様でございます。それから直接的な、ある段階的な、緊急的な情勢に処して行く方法は、一つ失業保險の運営、それからもう一つは、今川崎さんの御指摘通り緊急失業対策費でございます。ただそのほかに、公共事業というものが、これは災害復旧のようなものも含めてでありますが、それが段階的な失業対策として相当重要な、効果的の性質を持つておることも事実でございます。従つて広い意味でいいますと、補正予算にしろ、通常予算にしろ、予算全体の性格が、失業問題に対して一番單的な、根本的な関係を持つておるということに、むろんなるでありましようが、さらにもう少し実際的に考えますと、公共事業費性質――補正予算には御承知のように災害復旧その他を通じて、相当公共事業費が盛られております。これらが失業対策としての相当重要な性格を持つておるということは申すまでもないことであります。  それから御指摘のように、八億五千万円の緊急失業対策費が盛られておる。これは昭和二十四年度の当初予算においては、年間を通じて八億八百万円であつたものが、三、四箇月をもつて八億になるということは、この面における雇用費が約四倍ぐらいに引上げられるということになるわけであります。それからさつき申しました失業保險も、こういう失業の一番たくさん出て来る段階においては、重要な経済方法であり、この点につきましても、新たに開始する日雇い労働保險、これが大体十三万人を受入れて行く態勢をとつておりますが、その方の予算をも合せまして、約九億円近いものが補正予算に盛られております。  それから公共事業費の中にも、特に緊急な都市周辺における失業対策的な性格を持つておる費用も計上されておるわけでありまして、それらをすべて総合したところのものが、補正予算に現われた政府失業対策考え方である、こういうことになるわけであります。
  15. 川崎秀二

    川崎委員 そういうお答えなれば、私は労働大臣だけでけつこうなんですが、問題はそうでないのです。顯在失業者の問題だけで日本失業問題を取扱うということは、非常に危險な問題であり、現在潜在失業者というものは、一説には四百万とも言われ、あるいは一千万とも言われておる。推定六、七百万に及ぶところの潜在失業者というものは、一体どこへ隠れておるか、大体において農村生活圏の中にこれが包蔵されて、日本の古い家族制度、そういうものの中において消化をされておると私は思う。しかし政府の最近におけるところのデフレ政策によつて、いよいよ農村生活というものが緊迫をして来ることは火を見るより明らかであります。従つて私は、今後いよいよ潜在失業者の問題は大きな問題になつて来ると思うのでありますが、総理大臣一体、目に現われた失業者だけを救済するという考えなのか。顯在失業者は單に水面に現われた氷山の一角としかわれわれは考えておらない。その潜在失業者の問題について、今後どういう対策を立てて、そうして日本産業を健全なものにし、企業を健全なものにして行くかという点について、その基本的な構想を私はお伺いいたしておきたいと思うのであります。
  16. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えをいたします。失業者潜在であろうが、現に現われておろうが、いずれにしても社会の表面に出て、あるいは出なくとも、政府は、これを救済すベき必要を認めましたならば、それは財力の続く限り救済をいたしたいと考えております。
  17. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまのお答えで私は満足をいたしません。それは、わが国の失業問題というのは、繰返すまでもなく、顯在失業者救済だけではなしに、潜在失業者というものを含めての問題として、真に取上げて行かなければならないと思うからであります。また現に出ておるところの顯在失業者の問題にしても、労働大臣は八億五千万円で一体何人救済するのかしれませんけれども、きわめて貧弱な状態ではなかろうかと思う。この夏中を通して、あれほど労働問題が激化をいたしておつた最中に、政府失業対策に対して自身があるということを言つて、しばしば関係方面へ折衝されておる、その間において、二百億程度失業対策費を盛るということを労働大臣言明されたことがある。しかるにここに現われて来たところの失業対策費というものは、わずかに八億五千万円、公共事業費も八十五億でありますから、失業対策と見られるものがどの程度に上るかは、これはひとつ当局から言明をいただきたいと思うけれども、それにしても、あなたの最初構想とは非常に違う。これらの問題について、総理大臣一体どう考えますか。
  18. 吉田茂

    吉田國務大臣 現在政府の見るところでは、補正予算あるいは本予算において計上した費用をもつて、一応の失業に応じ得る財源と考えております。
  19. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの総理大臣のお考えと関連をして、労働大臣は、二百億程度失業対策費を盛るということを新聞言明しておられます。またその後、そのことが非常に困難だからといつて、ぜひとも百億程度は盛りたいというようなことも言明をされたことがある。これによつて相当労働界並びに一般産業界においても安堵の色があつたのであります。今度提出をされたところの失業対策費としては、まことに私は貧弱だと思う。これについて先般来参議院の本会議あるいは委員会等において、本年の下半期、すなわち来年の三月三十一日までには、百万人程度吸收するんだということを、最近では言説を翻して言つておられるけれども、現在一体どうするのか、これを聞きたいと思う。
  20. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 緊急失業対策費を二百億にするというようなことは、おそらくかつて一度も私自身考えたことはありませんし、言つたことがないと思います。川崎君の言われる二百億程度云々ということは、どの新聞のどの記者をさしておられるか存じませんが、私ども最初から繰返して申し上げます通り失業対策の全体は公共事業もひつくるめ、あるいは見返り資金注入等をひつくるめて、そして国民経済全体の雇用力を高めて行くところにあるのだ。民主自由党失業対策中心はそこにあるのだということは繰返して申し上げておるのでありまして、当初予算の八億円が補正予算でもつて四箇月八億円になつたということは、確かに雇用力が四倍程度にはなりますけれども、しかしそれが民主自由党の現内閣失業対策中心であり、ほとんど全部であるというような貧弱な考え方はいたしておらないのでございます。二百億という数字をどこであげたか、私自身新聞に対する記事の責任ははつきり記憶しておりませんけれども、私は失業対策補正をも通じ、また二十五年度予算をも通じて、脈絡のある形でもつて吸収策を立てて行かなければならないという考え方であつたのでございます。その考え方は、そのうちに提出される二十五年度予算をも参照していただきますならば、首尾一貫したものが必ずあると考えております。二百億でなく、もつと大きな失業対策的なものが、補正から二十五年度へかけまして、おそらく盛り入れ得ると考えておるのであります。
  21. 川崎秀二

    川崎委員 私の質問をあえて緊急失業対策費二百億を計上するというふうに言われたのであるが、速記録を見てもらえばわかりますが、失業対策に対してあなたが二百億程度を計上するということを言つておられる。それはもとより公共事業費はもちろんでございましよう。また見返り資金相当あなたは当てにしておられたけれども、そういうことをも含めてのことであること、前提にして申した次第でございます。しかしながら、それでは少くとも本年の会計年度内において、これらのことを達成するように言明をしておつたことは事実であつて、ただいま言いのがれのために、来年の二十五年度予算を通せば首尾一貫しておる。こういうような言辞でのがれておるけれども一体その点はどうなるのでありましようか。
  22. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 新聞に出ておつた二百億云々という問題を基礎にしてのお質問ははなはだ迷惑でありまして、私は新聞にあつたかどうかという問題を抜きにしてお答えいたします。そうしてそういう考えのもとに、緊急失業対策費というものだけではなくして、御承知のように災害復旧その他の公共事業相当盛られておるのでありまして、私どもそういつた考え方は、この補正予算にも現われておる。それから二十五年度は、別にそれを韜晦するために申し上げたのではなくて、首尾一貫しておらなければだめなのでありまして、二十五年度にもその考え方を貫いておりますということをお答えしたのであります。
  23. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの労働大臣の御答弁は、私ははなはだ納得が行かないのであります。数字を見ましても、昨年の七月からことしの七月にかけて、職業関係人口構成がどうかわつているかということを調べてみると、農村関係で二百五十万人人間がふえている。それから工業からは七十万人減つております。それから土建からは四十万人減つている。それから鉱業からは十五万人の人間が減つている。こういう人口の移動というものはどうして起きているか。あなた方のお考えは、ことしの四月の御説明によれば、まず輸出を振興して、それに吸收すると言われた。見返り資金が出るからそれに吸收するのだと言われた。輸出を振興しておるか、ポンドの切下げによつて、かえつて逆の現象になつている。見返り資金は出ているか。八百五十億の見返り資金のうち、出ているのは百八十億と四億円くらいではないか。出る出ると、一体何ですか。出そうで出ないのは見返り資金と、もう一つ人事院勧告であると言われている。でそうで出ない。出る出ると言われながら人をごまかすような態度は、私は納得できない。しかもあなた方は十分御承知のように、日本失業をいうのは独得の現象だ。失業中小企業農村潜在的に入つているのだ。農村には二百五十万人も入つておる。マイニングや中小企業に入つて、できるやつは行商をやつているけれども、できないのは毎日ぶらぶらしている。実は今度の国鉄の行政整理でやられた連中だつて、われわれのところへ毎日履歴書を持つて来ている。代議士一人二十枚くらい履歴書をもつております。そういう現状を知つていながら、そういう半失業に対する対策は何もしてないではないか。四十万人の失業者があると今言つた。それに対する八億程度のものを出しているにすぎない。一番大事なものは二百五十万出た農村の半失業状態をどうするか。これを農村工業によつて救済すると言つておるが、では幾ら農村工業に金を出してくれる。それができないならば、税金を幾らまけてくれるんだ。そういう具体的な政策でなければ、私は誠意ある失業対策とは言えないと思う。中小企業についても同じです。そういう半失業状態にある農村に対するもの、中小企業に対するものを、どういう具体的な政策でやるかということを、私は明確に承りたいと思う。あなた方は公共事業費を出すと言うが、しからば災害対策公共事業費ではこの農村から何人これを吸收するか。あるいは失業保險でやると言うが、残りの者はどうなるか。そういう明確な御答弁を私はお願いしたいと思います。
  24. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 失業者の数の推定、それから分析という問題になりますと、いろいろな角度から行われておるのでありまして、特に潜在失業分析というような問題になりますと、残念ながらこれならば絶対だという分析方法資料はなかなかないのでありまして、私ども政府考えているところの、見ているところの実際では、この間も申しましたように、総理府の内閣統計局でつくつたところのあの調査によるものを一応の参考として、そうして現実と照し合せて考えて行くという考え方が、今やり得る最も信憑すべき考え方だと考えております。その数字は、中曽根さんはどういうふうにお考えになるか知りませんが、かつて会議でも申し上げましたように、たとえばことしの五月あれは三箇月ごとにやるのでありますが、五月にとつたところの数字を見ると、追加労働希望している人たちが四百十八万人おる。そのうち実際には三十五時間以上働いておる。しかし生活を充実させるためにもう少し働きたいという希望を持つた人たちが、この四百十八万人のうち二百六十六万人おる。それから同じ追加労働希望しておるという人たちの中におきましても、二十時間ないし三十四時間働いておるという人たちが百二万人ほどいる。それから十九時間以下しか働いておらないという人が五十万人。それから完全失業者という数字が出ているのが四十何万人かおる。系列でもつて大体の趨勢が出ておるわけでございます。申すまでもなく、これは引き抜きの調査でありますからして、そのままこれを全部決定的の数字として信用するということはどうかと思いますが、一つ趨勢を知り得る資料であると同時に、現在日本にあるところの数字のうちでは、最も価値のある数字だと思います。こういう状態考えてみますと、四十数万の完全失業というのはやや少いという感じがする。しかしこれは調査した方法が、その調査した一週間以内に一時間も働かなかつた、同時にその一週間以内にだれかを通じて就職運動をしたという嚴重な二つのわくがあるから、相当低くなつて来るのではないかと思います。統計のこまかい專門的な知識はありませんから、あまり申し上げませんけれども、そうすると、ここに私は五、六十万程度完全失業者がおるのではないかということをかつて申し上げたのでありますが、それもお断りしておきましたように、これは推定でありますと申し上げたのであります。そうすると潜在失業――私は潜在失業という言葉考えずに、この調査においては追加労働希望者という言葉になつておりますけれども、この追加労働希望者の中ですでに三十五時間以上働いておつて生活を充実させるためにもう少し働きたいのだという人たちは、むしろ普通の意味失業者というよりは、生活の充実というものを考えておられる方ではないかと一応考えられるのであります。そうしますと十九時間以下の五十万人の人たち、これは完全失業者に近い状態ではないかと思うし、その中間にあるところの百万人前後の人たちは、場合によつて経済状態がよくなつて来れば、上の方の三十五時間以上の層に入つて来る人であるとも言えるのでありましようし、経済状態が非常に悪くなつて来た場合には、下の方の十九時間以下、あるいは完全失業者の方に移動して来るという性格を持つておるのではないか。これが労働省の事務当局分析した大体の結果であります。そういうふうにして考えてみますと、私どもは本年の下半期において百万人以上程度吸收計画、それから二十五年度を通じては二百万人前後の吸收計画を持つ必要があるとい結論に達したのでありまして、その吸收計画はすでに申し上げました通りつておるのであります。但しお断りしておきますのは、最終雇用の形においてこれだけ吸收するという意味ではありません。その中には、たとえば何十万は失業保險によつて受けとめて行くという人たちも、一応その段階における吸收計画の中に入つておるのでありますから、六箇月たてば失業保險が切れると同時に、全部ではないけれどもあらためて失業者として現われて来る人たちもある。そういうふうに繰返し繰返しして転換されて行くのでありまして、その転換たびごとに、今年の秋あたり失業のピークとして、だんだんと完全失業者として残るしりを少くして行く。それまでの間は失業保險なり、緊急失業対策なり、あるいは見返り資金の投入によつて持ちこたえて行くということが、現在できるところの失業問題処理の手法でありまして、それ以外の奇想天外の動きというものはないと思うのであります。そういう意味の計画ならば、なおまた別の機会に、労働省当局考えておるところの詳細な吸收計画数字をも申し上げますけれども、そういう考え方のもとに予算も、実際の吸收計画も実際に立つておるのであります。
  25. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの御答弁でやや全貌がわかつて来ましたが、労働大臣すでに御存じのように、日本失業機関というものは四十万人とかあるいは五十万人とか、失業保險をもらいに来るものが失業問題の主軸ではない。日本独特の性格として、農村にあるもの、中小企業にあるもの、あるいは商業に入つておるもの、ここに日本失業問題の主軸というものがあるだろうと思う。それに対する対策をはつきりしなければ、失業問題というものは論ぜられないと思う。ただいまはやや都会を中心にする程度のものについて、そういう構想があるように私は承つておる。しかし去年以来二百五十万人農村に入つておる。これらの潜在失業者をどうするかということについては、まだはつきり伺いません。この二百五十万人に及ぶものは、あなた方の統計に載つて来ない人間である。あるいはいろいろな体面や何かを重んじて外には申し出られない性格のものがある。こういうものを一体どうなさるのか。これは農業政策にも関連するけれども、農業関係の方がおりましたならば、あわせて御答弁願いたい。農村工業によつてやるのか、あるいは災害復旧費によつてどの程度やるのか、この二百五十万の人間をどうするかということをもう一回伺いたい。
  26. 鈴木正文

    鈴木国務大臣 中曽根さんが御質問の最後で、実はお答えを出していただいたのでありますが、これは政府全般の経済政策につながる問題でございまして、労働省もむろんその責任の一斑でありますけれども、農業政策だけといわず、あるいは輸出政策あるいはその他全般の政策自体の中に――こういつた潜在失業、もしくは日本農村家族制度の中に潜在的に隠れた人たちに対する将来的の措置というものは、広い意味政府政策全体につながつておるのでありまして、累日この委員会においても御検討を願つたと思います。そういう広い意味失業対策の問題でしたならば、一言にしてこれを言い盡すような名文句はないのでありまして、政府政策全体を慎重に吟味していただきたいと存じます。
  27. 中曽根康弘

    中曽根委員 政策全体でおやりになると言われておるけれども、その根本はどこにあるかというと、私はやはり景気のある程度の回復だろうと思う。しかし大蔵大臣はこの間の財政演説で何と言われたかというと、物価を下降の趨勢に導くことに努力すると言われておる。他面ではまた復興予算だとも言つておる。しかし根本は物価を降下の趨勢に導いて、国際経済にマツチさせることにあるだろうと思う。しかも国際経済はどうかというと一年間ぐらいデフレの方向に入ろうとしておる。そういうときに、はたして今内閣のやつておる政策で、根本的な景気回復政策ができますか。大蔵大臣の御答弁を願います。
  28. 池田勇人

    池田國務大臣 お答え申し上げます。お話の通り農村その他に潜在失業者的のものがあることは私も認めております。これはインフレを收束して、自立経済に入るときの一つ現象であるのであります。従いまして私が財政演説で述べた通り、インフレの收束の見通しはついておる。これから復興をやり、経済の発展をはかり、これによつて潜在失業者も救おうといたしておるのであります。物価を低落の傾向に持つて行くということは、まず物価の安定を期して、そうして国際経済にマツチし、わが国の経済力を強くし、外国との競争力を増すためには、どうしてもある程度の物価を低くする方向に施策を向けるということは、当然であろうと考えております。
  29. 川崎秀二

    川崎委員 総理大臣に対する質問でありますので、これを続けます。ただいま労働大臣失業問題の質問に関連して、いろいろ構想を明らかにされました。しかしながらこの春多くの議員の質問に対して、本年度は約百七十万人程度失業者が出る。これは百四十万人ないし百八十万人と、ないしという言葉で言われた方が正確であつたかもしれませんが、そのうち一般産業に対して三十万はこれを吸收する。輸出産業に対して三十万人を吸收するというような、きわめて明快なる失業対策を示されたものと私は思うのでありますが、これに対して今日ではこれが時間的なずれもあり、あるいは政策的なずれもあるかもしれませんけれども、少しも解決されておりません。先般参議院の本会議において森下議員の質問であつたか、これに対して答弁されておるところを見ると、現在行政整理企業整備の結果出た三十五万人に対して六七%の就職がある。従つて政府の失策対策は一応成功しておるというようなことを答弁されておるけれども、その六七%の就職はどういうところに吸收されておるかということを考えてみると、これは決して政府自身政策成功によつたものではなくして、地方におけるところの失業事情というものは非常に悪化をいたしまして、これに対して何とでもしてこの失業を食いとめなければならないということで、市町村自身みずから各種の対策を立てておる。そのことによつて吸收された方の率が多いのである。しかも今日の答弁を聞いておると、来年度の失業対策と関連して首尾一貫しておるという逃げ口上で答弁されておるけれども、私はこの春の答弁と関連して、労働大臣答弁はまことに不誠意きわまる。――不誠意きわまるというよりは、すでにこの失業対策の問題に関しては、労働大臣考え方は、そのときどきによつて非常に変化をいたしておるということを私は指摘せざるを得ないのであります。しかしともかくあなたの今の答弁を聞いておると、そういうような失業対策のほかに、失業保險制度をもつて吸收をして行こう、当面大量失業者が起つた場合には、この失業保險を有効に活用してやつて行くというように考えておられるけれども、それならば総理大臣にお伺いいたしたいが、失業保險法は現在の状態ではたして満足なるものなりやいなや。なお失業保險の期間の問題にしても、給付の問題にしても、考えなければならぬ問題が起つておると思うのでありますが、これらに対してどういうふうなお考えを持つておられるか、お伺いをいたした。
  30. 吉田茂

    吉田國務大臣 私に対する質問よりも、労働大臣に対する質問の方が根低をなしているようでありますが、もちろん労働大臣といえども、現在失業保険その他の社会制度をもつて満足しているものではないだろうと思います。財政の余裕がつかないから今日これにとどまつているのであつて財政の余裕があれば、また現在救済を必要とする事態が起れば、これに対して相当の応急の措置を講ずるであろうと思います。政府としては決してうつちやらかしておるわけではないことを御承知願います。
  31. 川崎秀二

    川崎委員 失業保險に対する答弁がない。
  32. 吉田茂

    吉田國務大臣 私の考え労働大臣考えと少しも違わないわけであります。
  33. 植原悦二郎

    植原委員長 川崎君、ほかに派生することに免かれませんが、総理に対する質問者がまだたくさん残つておりますから、なるたけ総理大臣に限つてお願いいたします。
  34. 川崎秀二

    川崎委員 それでは労働大臣に一点関連をして質問をいたすのでありますけれども、現在の失業保險の給付率、それから期間というものに対しては、最近の労働事情、失業事情を考慮いたしますと、これはどうしても延ばさなければならぬのではなかろうかというので、われわれ野党の各派におきましては、その給付率の引上げ、あるいは給付期間の延長ということを提案いたしておる。政府は今日の状況から見て、野党の提案といえども適切なるものはこれを取上げて行くべきではないか、財政事情々々々々と言われるけれども失業保險法の拡充によるところの経費は、それほど今日の国家財政を圧迫せるものではないと私は考えておるのであります。年間二十一億、今度の失業保険費の増は八億五千万円、しかも最近の傾向はだんだんこの失業保險をとる者がふえて来ておつて相当効果的に行われておるのでありますから、大量失業が起つた場合、失業保險法を整備する建前からして、野党側の意見を国家的立場から取入れる意思はないか。
  35. 鈴木正文

    鈴木国務大臣 ただいまの質問にお考えする前に、さつきの御質問川崎さんの敬遠しておられる点がありましたので一応釈明しておきます。  百七十万の失業者が出る予想であるということを決して私申したことはないのであります。百七十万の離職者が出るのではないかということを申したのでありまして、離職者と失業者とは違うのであります。そしてその大体の傾向をたどつて、爾後推移しておる。これは予想であるし、それから推移の実態がかつかめないのでありますからはつきりしたことはわかりませんが、著しく予想違いでもなかつたように考えております。それが一つ。それから輸出で三十万その他で三十万、合せて六十万の国民経済内の雇用云々ということに申しませんでした。輸出で二十万、そり他で二十万合せて四十万くらいの雇用が、国民経済の中に今年度あるだろうと申したのでありまして、輸出の方はいろいろの事情でもつて変化しておりますけれども、要は輸出だけを言うのではなくて、輸出をも含めた全国民経済の中で四十万人の雇用と申したのでありまして、その雇用は確かにあつた、ありつつあると考えております。  それで失業保険のことでありますけれども財政が許せば期間を延長することも考えられるでありましよう。また給付率の引上げという問題も考えられます。実はこの春の国会で皆様に御審議をいただいたのでありますけれども、給付の計算の基礎を諸手当を除いてその何パーセントという計算でやりましたのを、手当てをも含めて何パーセントということにいたすことによつて、数パーセントーー明確な数字は覚えておりませんけれども、四、五パーセント程度の引上げは、法律はかえなかつたけれども、実際には行われておつたということを申しておきます。  それから今の御質問でありますけれども、現在の財政状態等をも考え失業者はいつでも出て来るけれども、私ども考え方としてはこの秋を中心として一つのピークではないかとい考え方でございまして、大体そういう線をたどつておると思います。そうであるならば、失業保険の人たちで保険の給付の期間が切れて来るという人たち相当あるけれども、こう状態がずつと同じように、来年あるいはずつと永久的に続くものではないのでありまして、財政の事情等も考慮いたしますときに、今の段階において期間の延長あるいは給付の率の引上げということは考えないで、先ほどからいろいろ申しますようか諸政策の充実によつて雇用量を高めて行くという方式に、全力を注ぐべき段階考えております。
  36. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの御答えは私ども考えとその立場を非常に異にしております。できれば失業者がでて、その失業者をこの失業保險によつて、次の就職のきまりますまで完全に救い上げるという政策が、打たれなければならぬというのが私どもの政党の建前であつて、民自党はそういう政策をおとりになるのであるから、それは政党の立場からあえて追究いたしません。  しかしながら次に総理大臣失業対策と関連いたしまして、特にお伺いいたしたい点は、施政方針演説の一番最後のくだりに社会保障制度の確立の問題がございます。私は社会保障制度の確立ということについて、総理大臣が御言明なつたことを非常に喜ぶものではございますけれども施政方針演説の一番最後にあつた、一番最後のお言葉がそういう点でありますので、これはなるほど吉田内閣性格を表わしておられるというふうに受取つておるものでございます。そこで一体失業問題あるいは社会における困窮者というようなものが大いに派生して参りまして、社会の非常なダーク・サイドを形式しておる、これをどうしても救わなければならぬということは、いずれの政党としても取上げて行かなければならぬ問題だと思います。戰後社会保障制度の確立ということが、ひとり日本だけの問題でなく、ヨーロツパにおいても、あるいはアメリカにおいても、真劍にこれが政党の政策として取上げられ、これがむしろ政党の政策の根幹になつておる現状でありますけれども総理大臣経済は今や安定正常化したと言われておる。安定正常化したならば、これらの社会保障制度の確立について、失業対策というような小さな観点でなしに、大きく取上げて行かなければならぬと思いますけれども総理大臣の御所信を承つておきたいと思うのでございます。
  37. 吉田茂

    吉田國務大臣 施設方針の中の最後とか最初とかいうことは、私においてはあまり重きを置いておるものではないのでありまして、どこにありましても同じように政府はするのであります。また社会保障制度についても、政府としては財政の許す限り、財政の緩急をはかつて十分に必要な費用を出すということについては、決してあなたと考えは違つておりません。
  38. 川崎秀二

    川崎委員 財政の許す限り社会保障制度の確立をされるというので非常に安心をいたすのでありますが、それならば一体本年度の補正予算にいたしましても、また二十五年度のいずれ提出を見ますでありましよう予算にいたしましても、社会保障制度の確立への予算、あるいは社会保障制度を実施するについての政府の御決心は、私はどこにも現われておらぬと思う。單に社会保障制度の企画調査費が三千万円という程度でございまして、これで社会保障ができるでございましようか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  39. 吉田茂

    吉田國務大臣 政府予算にあげた額が少いということも、御存じの通り財政の緩急をはかつて、できるだけのことをいたしたつもりであります。
  40. 川崎秀二

    川崎委員 私は最初に社命保障制度に対します総理大臣の御抱負を伺いたかつたのであります。最初にあつても最後にあつても同じだという今の御答弁は、ただ財政の許す限りやりたいというようなことであると思いますが、私はここに今後の政党を率いて立つところの指揮者、政党の総裁というものは、どの政党に属しておつても、当然社会保障制度に対して、大きな抱負を持つて行かなければならぬものだと思うのであります。戰後におきまして、イギリスが社会保障制度を実施した。これは労働党の手によつて今日実施を見ておりまして、先般大谷長三郎氏の質問関連して、池田大蔵大臣は、社会保障制度を確立したために、かえつてイギリスは経済不安定を来しておる状態であるというようなことを放言されて、そのときの水谷氏の質問とは全然違つた意味お答えをなすつたことを記憶いたしておる。これははしたなくも民自党の考え方性格というものが現われたものだと思うのでございますけれども一体この社会保障制度というものは、決して資本主義政党の立場にあるからといつて、あるいは社会主義政党の立場にあるからといつて、これらを自己流に判断をいたしまして、そうして社会保障制度全体を傷つけるような考え方、否定をするような考え方になつてはならぬと私は思う。そこで私は特にお伺いいたしたいことは、社会保障制度審議会は超党派的にすでに組織されておつて、しばしば政府に対して勧告をいたしております。たとえば七月二十四日に、この社会保障制度審議会は、現在の健康保險と国民健康保險、その他の疾病保險に関連をいたしまして、この危機をどうしても救わなければならぬ、健康保險制度、国民健康保險制度を利用する者がふえて来たということは、それだけ国民大衆が私的医療の機会に恵まれておらないことを意味しておるのでありまして、なるべく医療の公共性を把持しなければならぬということがここにも私は現われて来ておると思う。今日国民はそれほど医者にかかるのに苦しんでおる状態でございまして、これを何とかして救済して行かなければならぬから、早く三十一億の赤字については国庫が負担をしろ、今日保險料率の引上げとかいうような手段をとつても、とうてい及ぶものではない。従つて国家がもつと大きな構えでやるべきである。第一社会保障制度確立の一歩から間違つているのではないか、現在日本の社会保障というものは、制度としては行われておらないけれども、現実においては健康保險あるいは国民健康保險あるいは生活保障法というように、ばらばらには行われておるのであります。そういう現在の社会保障さえ崩壊をいたしておる、これだけはぜひ食いとめてもらいたいというようなことの勧告をいたしたにもかかわりませず、それに対するところの措置は何ら行われておらないのである。総理大臣はそういうことに対してどういうふうにお考えになるでありましようか。
  41. 池田勇人

    池田國務大臣 社会保障制度の必要性につきましては、われわれも十分それを認めまして、お話の通り審議会でただいま検討をせられておるのであります。その答申によりまして、財政の許す限り、できるだけのことはいたしたいと考えております。お話の今年度におきまして健康保險あるいは国民健康保險の支拂金の遅延によりますいろいろな支障は、厚生省と相談の上適当の措置をとりまして、その不円滑な点は改めたのであります。従いまして社会保障制度全般の施策ができますまでに、つなぎ的に国民健康保險あるいは健康保險につきましての事務費を、来年度は相当増額することにいたしております。三億五、六千万円の事務費の増額をいたしております。経常資金もできるだけ一般会計から出すようにいたしておるのであります。  ただいまイギリスの保障制度の問題がございましたが、イギリスの社会保障制度が行き過ぎておるということにつきましては、社会的に論議があるところであるのであります。私は財政をこわしてまで社会保障制度をやるということはいかがなものかと思いますので、財政の許す限り、できる限りやりたいという方針でおります。
  42. 川崎秀二

    川崎委員 大蔵大臣答弁によりますと、手当をしているものは手当をしているということでございますけれども、実際にはそれらの経費は審議会の要求するようには計上されておらない。そのために健康保險、国民健康保險というもりは非常な危機に立つている。社会保障制度審議会はできましてからすでに六箇月、相当政府に対して勧告もし、現実的な案を出している、決して飛躍した理論のもとに社会保障制度の理想的な体系をつくれなどということは要求いたしておりません。それにもかかわらず、その一班さえ実施されない。しかも社会保障制度審議会の来年度の審議会運営の費用は、驚くなかれ三百二十何万という僅少の額によつて運用されておる。これは皮肉ではございませんけれども、実際審議会というものは幾つも幾つもできまして、現在内閣に二百九十幾つも審議会ができている。審議内閣だというようなことを言われておつて、中には野党の役員の不満を解消さすために審議会をつくつたものさえある。審議会には相当費用を計上されておつて、マツカーサー元帥の勧告によつて超党派的につくられた、大理想を盛るところの審議会の構想に対して積極的な支持がないということは、これは吉田内閣の私は性格を雄弁に物語つていると思う。何とそこの点については、十分なる反省をいたしてもらいたいと私は思うのでございます。この社会保障制度の問題は、今後の政党の運命をもきめて行くところの政策であると考えておりますので、吉田総理大臣初め民自党の有力なる諸君によつても、これらの問題については十分な検討を加えられたい。今池田大蔵大臣はイギリスの社会保障制度は行き過ぎであるというようなことを言われたが、一体何も始まつてない現在、社会保障制度の社の字も始まつていない国が、社会保障制度の非常に完備をしている国に対して文句をつける、先進国の大理想に対して文句をつけることに対しては、非常に異議のあることではないかと私は思うのでございます。たとえば医療国営が行き過ぎであるというようなことで、保守党の陣営でもこういうような考え方に対して反対をする人があるならば、私は相当考えてもいいことと思うけれども、社会保障制度全般に対して、多少揶揄的な非難的な言辞があるということは、私はその政党の運命はその後はたしてどういう展開を示して行くものか、諸君に対して警告を発しておく次第でございます。  次に総理大臣にお伺いをいたしたいことは、先般木村国務大臣なる者は、保守合同とかに関連をいたしまして、えたいの知れない声明を出した。何でもその構想によると、吉田内閣を長期にわたつて援助する、五箇年計画で援助するなどというような構想が発表されまして、まことに世間を驚かしたのでございます。吉田内閣は長期生産計画を放棄いたしましたが、政権五箇年維持計画というものを有力なる関係によつて発表されているのでありますが、まことにおめでたいことだと思う。しかし私はそういうことを聞いているのではない。また木村氏はここに見えていないからそういうことを聞こうとは思わない。しかし今地方財政の問題は重大な問題であります。先般来地方行政委員会はしばしば委員会を開いて大臣の出席を要求している。しかるに木村国務大臣は杳として消息を絶つて姿を現わさない。そのうちに現わしたかと思うと、紙上意見であつて、保守合同に対するところの構想、しかも吉田総理大臣とはまつたく反対の構想を発表しておられる。こういうような閣僚を――地方行政委員会に一ぺんも出席しない、そういうことでいいものかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  43. 吉田茂

    吉田國務大臣 木村君は最近まで病気であつて開議にも出席しておりませんでした。病気と御承知を願いたい。
  44. 川崎秀二

    川崎委員 病気で相当の政界の裏活動をされておるということの事実はもはや明らかでありまして、これをとがめられないから、とがめられないでよろしい。  いま一つお伺いいたしたい点は、現在政界の明朗性というものが失われている点は、民主党連立派というものがあり、これを吸收しない点にある。何とか早くこれを引取つてもらいたいということは、私ども政党の願望でございます。何とかひとつお受取りをいただくようにしていただきたいと思うのでございます。保守合同の問題に関連をいたしまして、一体志を同じくする者の保守合同ということをしばしば言つておられるが、これをいつごろ実施されるものか、この際明快にお答え願いたい。
  45. 吉田茂

    吉田國務大臣 川崎君のご希望はありがたく承ります。また合同については、私はいつも申しておるのでありますが、むりはしたくない、自然の情勢に従つてできるときにしたいと思つております。明快にお答えいたします。
  46. 植原悦二郎

    植原委員長 川崎君に御相談しますが、きようは御承知通り、若槻さんがおなくなりになつて、その葬儀がありまして、十二時半に勅使がおいでになるので、総理がそれにお会いになつてお悔みを申したり、いろいろすることがあるそうですから、それを済ましてまたお帰りになるそうです。どうか総理の時間の都合について御了承をいただきたいと思います。
  47. 川崎秀二

    川崎委員 わかりました――総理大臣は一昨日の外務委員会に出席されまして、講和問題に関して、いろいろと御答弁があつたことを私承知いたしております。重複の点は、予算委員会でありますのでなるべく避けますけれども、講和問題は申すまでもなく軽々に論ずベきものではないということは、総理がしばしば言われておる通りで、当局としては、これが国際的な普及、あるいは責任者としての立場から、言明をしかねる点もあると思うのであります。しかしながらわが国の講和問題は、何としても新憲法の精神に沿つて、戰争を放棄したその姿を世界にはつきりさせる。この線に沿つて行く講和というものが、私は望ましいと考えるのでありまして、世界に日本の安全をゆだねたところの憲法の精神は、私はあくまでも全面講和でなければならぬと思うのであります。單独講和か、全面講和かというような問題は、外務委員会などで相当論議されておりますので、私はそう深くは追究をいたさないのでありますが、一体総理の今日立てておる信念としては、これは私は全面講和を求めるだけは求めなければならぬと思うのでありますが、いかにお考えでございますか。
  48. 吉田茂

    吉田國務大臣 この点も、しばしば申しておるのでありますが、全面講和に越したことはないのでありますが、今日日本が全面講和をしたから、單独講和をしたいからと申しても、選択の余地はない。と申すのは、これは極東委員会か、連合国の間に話がきまるわけで、われわれがこれに対して何らの処置もできない状態におるのであります。でありますから、いいか、悪いかということの希望を言えば、全面講和にしくことはないのでありますけれども、これは連合国の間の関係によつてきまつて来ると思います。
  49. 中曽根康弘

    中曽根委員 総理の御答弁で選択の余地がないというお言葉を今言われた。そうすると講和問題に関してわれわれの立場というものは、いささかも主張する要素があり得ないのであります。われわれ日本人は日本人なりの希望なりあるいは要請というものを持つております。その希望や要請というものを関係各国に訴えて、その実現をお願いするという余地はないのでありますか。向うがおきめになる通りに易々諾々としてのまれるよりしようがないというのですが。この点の総理の御見解を明確に承りたい。
  50. 吉田茂

    吉田國務大臣 この問題はしばしば私は述べておるのでありますが、本質的に申せば、無条件降伏をいたしたのでありますから、かれこれという注文を権利として主張することはできないが、しかし国民希望なり、あるいは意見なりというものを全然無視した講和条約ができたときには、これは結局行われないことになつて、やがてその講和条約が問題となつて、さらに国際的に粉砕を来すわけでありますから、連合国においては必ず日本国民希望なり、期待なりというものに反せざるものができることと私は思います。
  51. 中曽根康弘

    中曽根委員 総理の御答弁は、連合国がそういうふうにやられるだろうという推測をお述べになつたのでありまして、総理大臣としての、日本人としての自分の考えを申されておらない。しかしわれわれはポツダム宣言にもありますように、われわれ国民は家庭に復帰して、平和的、生産的な生活を営むことができるとか、あるいはまた日本国はその経済を支持し、かつ公正なる実物賠償の取立てを可能ならしむるがごと産業を維持することを許される。あるいは産業について原料の入手を許される。将来また世界貿易関係へ参加することが許される。こういう日本中に與えられておるものがあるのです。これをたよりにして連合国各国に対して、日本国民の戦争を大いに表明しなければならぬと思うのでありますが、そうい国民の要望を受入れ、判定する機関いうものは連合国が單独にきめるだけであつて、われわれとしては何らこれに対して主張することはできない立場にあるのか。少くともこういう文章で書いてある限りは、日本人として主張する余地があると思います。これは客観的の世界的理念というか、通念より判断して、主張する余地があると思いますが、こういう日本に認められる部分に対して、総理はどういう措置をなさるか、御答弁を願いたい。
  52. 吉田茂

    吉田國務大臣 これもあなたにこの間お考えいたしたと思うのでありますが、アメリカ政府の声明として、日本連合国に対してあれこれという注文を主張する権利はない。しかしながら米国政府としては自己の言つたことについて義務は守る。けれども降伏した日本が権利として、これを主張することはできないのであるということをはつきり申しております。
  53. 中曽根康弘

    中曽根委員 総理大臣にもう一つお尋ねいたしますが、たとえば、講和条約なら講和条約の条文が、ポツダム宣言に書いてあることと若干違背する、日本人として条約違反であるというようなことがあつた場合に、日本人として、これは困りますとしてそれを向うに主張する余地があるのですか。最後まで困る困るといつてこれをかえてもらう。相当長期にわたつてがんばる。そういう余地はあるのですか。
  54. 吉田茂

    吉田國務大臣 問題がはなはだ微妙であるし、仮説の問題についてはお考えしないということはしばしば申しております。従つてこの問題についてお答え申し上げません。
  55. 風早八十二

    風早委員 総理大臣にお尋ねいたします。吉田総理大臣は今初めて希望としては、全面講和に越したことはないと言われたことは、私は非常にけつこうなことだと思います。ただこれが権利として主張はできないということも了承いたします。しかしながらこの希望がある以上は、この希望をどういうような形で表明するかということは、目下非常に必要なことと考えるのでありまして、総理大臣が先般から講和問題について、とかく言論の制限抑圧といつたような傾向を示されることは、はなはだ遺憾である。でありますから、むしろ総理大臣としては進んで全面講和の希望を表明をさせるように、国民に対しても一大国民運動を起させるくらいの方向に出てもらいたい。これはおそらく全国民の要望であると考えるのでありますから、この点について総理大臣として、どのように国民輿論について、この問題を指導せられるつもりであるか、お伺いしたいと思います。
  56. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えしますが、私は国民希望なり、輿論というものを抑圧することはいたしておらない、慎重にして参りたいということを言つたのであります。また政府が指導とかなんとかいうことは、民主主義に反するのでありますから、国民の間に輿論が自然に起つて、その輿輪の傾向に従つて政府が方針をきめるのが、民主主義ではないかと思います。
  57. 川崎秀二

    川崎委員 今の風早君の質問その他とも関連をいたしまして、一体講和問題については、国民は非常な関心を持つておる。そして最近においては、これがだんだん国民の具体的な要望として現われて来ておる部面もあるのであります。従いまして、過ぐる正月に行われたところの総選挙というものは、題目が違つておる。正月の総選挙の際において行われた主題は、決して講和会議間近しということで行われた総選挙ではないと思うのでありますが、輿論が準次要求をいたして参ります際には、この講和問題あるいは経済安定というような問題に関連をいたしまして、総理大臣は総選挙をする意思はないか。私はそういうことはだんだん濃厚になつて来ると思うのであります。大政翼贊会的な保守合同というようなことを繰返すより率直簡明に判断を下すのが国民の最高の審判であります。従いまして、荻外莊などに住んでおる人は、常に翼贊会的思想をつぎ込んで、独裁者的な考えを持つのでありますが、でき得れば総選挙を断行して、国民の冷静な判断に問うということをやつてもらいたいと思うが、総理大臣はどういうお考えを持つておられますか。
  58. 吉田茂

    吉田國務大臣 この点もこの間はつきり申したつもりでありますが、総選挙をいたす考えはない。なぜかといえば、講和会議の一日も早からんことは国民の要望しておるところでありまして、この前の総選挙においても、講和問題を国民考えてわが党を第一党に推したものと確信いたします。
  59. 植原悦二郎

    植原委員長 これにて休憩いたします。午後は午後1時半開会いたします。     午後零時十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十五分開議
  60. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を聞きます。  質疑に入ります。風早八十二君。
  61. 風早八十二

    風早委員 池田大蔵大臣に伺いたいのですが、今回の補正予算におきまして、所得税の歳入について自然増が相当見積られております。また自然減も出ておるのであります。この点につきまして、数日前に私の名において資料の提供を要求してあるのでありますが、一向に出て来ない。そのために非常にこれは持ち時間の不経済になるのでありますが、いささか資料的な点にわたつて質問せざるを得なくなつております。  まずこの所得税の自然増と言われる問題でありますが、源泉徴收分について上つておりますところの自然増、これの内訳なり根拠なりを一応御説明願いたいものであります。
  62. 池田勇人

    池田國務大臣 勤労所得に対します源泉徴收の所得税は、予算の千二百億円に対しまして、十月末までに六十二パーセント程度つておるのであります。こういう実績からみまして、今年度におきましては、それが千三百五十億円程度、すなわち百五十億円程度收入増を見込まれる次第であります。
  63. 風早八十二

    風早委員 今お尋ねしましたのは、その内訳と根拠であつたのでありますが、根拠の点については、まだ全然お答えがないのです。どうして勤労所得税が今のような形でふえるかというのです。
  64. 池田勇人

    池田國務大臣 先ほど申し上げましたように、十月末までに六割余りが收入できておるのであります。この順で参りますと、年度末までに百五十億円程度の徴收になるわけであります。
  65. 風早八十二

    風早委員 そういうことなら何もわれわれが予算審議をやる必要もないのです。もう少し立入つて、なぜこの勤労所得税がふえるか。つまりこれは一般の常識に反しておるわけです。勤労所得税が、首切りやまた賃金の切下げによりまして、実際に課税対象たる課税所得がふえるはずはないと思うのであります。そこのところをほぐしていただきたい、こういう意味で申し上げておるわけですから、その点もう少し御親切にお願いします。
  66. 池田勇人

    池田國務大臣 御承知通りに、所得には事前所得とか、農業所得とか、営業所得とか、あるいはその他いろいろございますが、これは俸給を支払うときに徴收せられる勤労所得一本でございます。千二百億円の予算の見積りは、昨年十一月の賃金べースでやつております。その賃金に移動がありましたので、毎月收入のぐあいが非常にいいのでございます。前年度の状況を見ますと、予算は六百億円程度で、自然増收が百億ばかり出たと思います。前年の状況を見ますと、十月末で予算に対して四十四、五パーセントしか入ついなかつたが、それでもなお自然増であつた。今年は昨年よりも十月末までの收入ぐあいがよほどいいのでございます。これは毎月移動があるのでございまして、たとえば六月とか七月にはたくさん入る。従いまして十二月末は、年末賞與その他の関係もあつてたくさん入つて来る。そういうことを勘案いたしまして、百五十億程度の増收があると見込んでおるのであります。
  67. 風早八十二

    風早委員 大体六月という月は異例な月でありまして、これは話にならぬかもしれぬが、多少でもボーナスなんかが出ておるわけです。かつ六月からは大量に首切りも始まつており、退職賜金の支給も相当あるわけです。むろんこの退職賜金が横から税金として相当とられて行くことも明らかなのでありますが、退職賜金などにおける税金收入というものはどのくらいになつておるか。退職賜金についてだけでもけつこうですが、今までの現況――これは六月だけでなく、六月、七月、八月、九月と大量首切りが続いておりますので、これについて概算を伺いたいと思います。
  68. 池田勇人

    池田國務大臣 行政整理によります退職金に対しましての所得税が、幾らになつておるかということにつきましては、資料を持つておりません。しかし全体といたしましては、大したものではないと考えております。
  69. 風早八十二

    風早委員 大したものでないといつて、幾らですか。
  70. 池田勇人

    池田國務大臣 概算もはつきり申されませんが、大したものではないと思います。いずれ調査いたしましてお答えいたします。
  71. 風早八十二

    風早委員 大したものではないと言われるからには、やはりある程度数字を示していただかなければ話にならないのです。われわれは今政府が出しておられますものの根拠、つまり勤労所得税の自然増收を見込まれるという根拠が、きわめて薄弱であると考えるがゆえに、この点を聞いておるわけであります。そういう甘い考え方でこの自然増收が、はたして実現できるかどうかということを考えておるわけです。実現できないとなると、今度はしやにむに強行して行く、またほかへも転換して行くというような問題が起りますから、今この予算をきめる際に、やはりこの点はみんなが納得の行く程度の見通しを持つておらなければならぬ。そういう意味で聞いておるのでありまして、退職賜金がどのぐらい出たか、これに対して課税はどのくらいであつたが、これは今日にもさつそくあなたの下僚に命ぜられまして、すぐ出していただきたいと思います。これがやはりきようの私の質問一つの前提的な事実になるのでありますから、その点をお願いします。やつていただけますか。
  72. 池田勇人

    池田國務大臣 退職賜金に対します源泉所得税が幾らになるかということは、これは大体の見当はつきますけれども、たとえば運輸省なら運輸省で、退職賜金に対しまする所得税と一般俸給に対しまする所得税と一緒に拂込んでおりますので、それを調査いたしますことはなかなか困難なことではないかと思います。概算で申しますと、大体行政整理による退職賜金全体が五十億程度であつたと思うのであります。そうやつてみればおのずから大体の金額はわかる。しかし歳入全体の問題につきましては、そういうことも勘案して百五十億を見込んでおるのであります。
  73. 風早八十二

    風早委員 そういたしますと、この退職金あるいはボーナスなどに対する課税のために、税收がふえたというようなことを基準にして、この年末までの労働者に対する、勤労所得税の増收を見込むということは非常に危險じやないかと思う。今一時的に増收がありまして、六〇パーセント入つたから、この後もその調子で入るということは言えない。大量首切り後の労働者に対する支拂い総賃金の予想、これは大体どのくらいになつておりますか。これは労働人員の予想と同時にひとつお知らせ願いたいと思います。
  74. 池田勇人

    池田國務大臣 退職者に対しまする退職賜金の所得税につきましは、今申し上げた通りでございます。そういうものを見込んで大体今年度の増收を計算いたしておるわけであります。退職者に対する今までの給與がどうであるとか、あるいは一般の給與所得がどうということについては、今正確な数を持つておりません。
  75. 風早八十二

    風早委員 今正確ということは私ども実際期待していないのです。ですけれども、少くもこういうはつきりした数字、増收に見込まれる以上は、その基準になつている労働人員なり、あるいは支拂い総労働賃金なりがかわつているはずだと思う。それがわかつていなければ、増收という数字が出て来るはずがないのでありまして、今全然わからないということはおかしいと思う。そうい点について、もう少し率直に言つていただきたいと思います。
  76. 池田勇人

    池田國務大臣 労働人員、俸給額その他につきましては調査したものがございますので、後刻出してもよろしゆうございます。しかし問題は千二百億円の收入に対しまして、ただいま六十何パーセント入つておる。こういうことから勘案いたしますと、どうしても千三百五十億円程度出ることは、連年の実績を見ましてもわかることであるのであります。従いまして、私は百五十億の自然増收は、間違いない確実な数字考えております。
  77. 風早八十二

    風早委員 そういうふうにまつたく根拠なく間遣いない、確実だと言われますが、だからこそ確実な根拠を提出していただきたいのです。連年と今年とは違います。今年は大量の首切りがあつた。そのために一時退職賜金に対する課税などがあつて、増收があつたかもしれないが、これは二十四年度後半期おきましては、まつたく事情が違つて来るわけでありまして、その点について同じように連年大体上半期に何十パーセント收入があつたから、それで後半もそうである。今年は六〇%あつたから、それで成績はよろしいから、この後半期もまたよろしい、こういうような推理はできない。そこに今年は特殊な問題があるわけであります。あなた方が大量首切りをやつたということの一つの大きな結果でありまして、その効果としてこの後半期には労働界にはすさまじい不況、生活難というものが見舞つておるわけであります。失業者というものをどういうふうに見積つておるか、労働人員がどれだけあるか、こういうことも就業労働者、その支拂い賃金、これらがわからないでこの数字が出て来るはずがない。また源泉徴收でありますから、必ずその数字がなくちやならぬ性質のものでありまして、これについてお考えがないということは、ただ不誠意であるというだけでなく、まつた政策がでたらめであるということを意味しておる。それで一向数字も何も示されないのでありまして、この点はわれわれも銘記しておきますが……。(「今後も首切りをやるんだ」と呼ぶ者あり)だからそういうことも含まれておる。今後も首切りをやるわけであります。  次に賃金の遅欠配の実情、これはわずか七百名ばかりの小さい会社でありますが、私の知つておる富士産業の荻窪工場などにおきましては遅欠配が今六百万円あります。こういうような小さな会社でも相当多額の遅欠配があるわけでありまして、非常に困つておる。これが大体全国的に見積りまして、今政府のお調べではどれくらいに上つておるか、これもできるだけ率直に言つていただきたいと思う。そう何もかも秘密的にお隠しにならないでやつていただきたい。それでなければ公正な政治というものはできないと思う。ひとつ池田大蔵大臣にお願いしたい。
  78. 池田勇人

    池田國務大臣 行政整理によりまして、一時的に退職所得に対する税金が上つて来ておる。また今後退職者が相当出るからそれを見込んでおるのではないかというようなお話が第一点だつたと思います。先ほど申しましたように、五十億円程度の退職金でございます。しかしてこの五十億円の中から大体どれくらいの税金をとつておるかと申しますと、今までの分の引き足りない人もありますし、また御承知通り退職金にはその半額に対して課税するのであります。それに普通の税率をやりますと五十億円払いましても、その退職金に対する税額は五億円かそこらのものであるのであります。風早君は首切りなんかによつて非常に税收が動いておるだろうというお話でありますが、一千万人以上の給与所得者がある場合に、十万か十五万ぐらいの行政整理があつたからといつて、收入見込みにそう大した影響はあるものではない。  なお遅欠配に対しても同様で、会社が営業不振その他によりまして、俸給を支拂つていないところがあるということは私も聞いております。それを一々政府の方で調べるということは、とてもたいへんなことでございまして、私はそういうことも見込んで收入計画を立てておるのであります。
  79. 風早八十二

    風早委員 何を伺つて数字一つも出て来ない。遅欠配は今現実にあるのです。ほとんど例外なくあらゆる会社にあるのでありまして、ただ会社だけでない、官庁におきましても、国鉄なども超過勤務手当てというものにつきましては、やはり遅欠配がある。この事実をお認めになるかどうか、数字が出て来なくてもそういう事実があるということは、確認されると思いますが、大蔵大臣どうですか。
  80. 池田勇人

    池田國務大臣 俸給についての官庁の遅欠配はございません。超過勤務手当につきましては、予算できめられた範囲しかないのでございます。それだけしか拂つておりません。
  81. 風早八十二

    風早委員 超過勤務というものは、これは單にその手当が支拂われていないというだけではない。労働基準法を無視して労働強化やつておる。労働時間をいたずらに無視しておる。これについては人事院の規則にもおそらくあると思うのでありますが、人事院からの通牒、あるいは労働省からの通牒もあると思いますが、手当が拂えないのに、超過勤務をやらせるということは、いけないということになつておるわけであります。それに違反しても超過勤務をやらせておる。そうして事実その手当を拂わない。こういう実例があります。これはただ民間の産業だけではない。国鉄自身にもあるのでありまして、この点については大蔵省大臣がよく御存じないようであるから、運輸大臣に伺いしたいと思います。
  82. 植原悦二郎

    植原委員長 運輸大臣はおりませんから、次の機会にお譲りください。
  83. 風早八十二

    風早委員 それでは留保いたしまして次に厚生施設関係費用でありますが、今までは国鉄などにおきましても、電燈料とか水道料とか、独身者なら独身者の寮がありますが、その寮におきまして電燈料、水道料、ガス料といつたものが事実上は当局が支拂つておる。それは低賃金である関係から、これを補充する意味で、今までは一つ厚生施設として支拂われておつたのであります。従つてこれが実質賃金に入つてつた。しかるに最近ではこれらの厚生施設を自弁でやれ、あるいはその補助を半減する。こういつたような事実が現に起つております。なお一般の民間会社におきましては、こういうふうなものは全額自弁になつておる。さらにこれが社宅に及びまして、社宅などでも今までの社宅料というものを倍にする、三倍にする、こういう実例が続々と出て来ておるのであります。こういう事実について確認されるかどうか、大蔵大臣に伺いたい。
  84. 池田勇人

    池田國務大臣 私は各省でやつております、業務の経営につきましては、一一存じておりません。
  85. 風早八十二

    風早委員 運輸大臣はいつ来られますか。――運輸大臣がいなければ通産大臣でもよいのですが、各産業におきまして、今までは低賃金の補充として行われておつた厚生施設費が、事実今はぎときらてしまつた。こういう事実をあなたは知つておられるか。
  86. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 今の私への質問は、一般の産業界においてという御質問でございましたでしようか。念のためにお聞きします。
  87. 風早八十二

    風早委員 そうです。
  88. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 一般の産業界についてはいろいろでございます。ある場合には、賃金に厚生施設の費用を含めるとか、あるいは厚生施設について改訂を施したところもあるようでありますが、またそういうことを全然やつていないところもあるようであります。またある場合には厚生施設費は会社で負担するということをなおよけいにやつておる面もあるようであります。種々雑多でございます。一様にはお答えできません。
  89. 風早八十二

    風早委員 種々雑多であつて、やはり一部についてはこういう事実が今あるのですが、それを一部については認められるというわけですね。
  90. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 一部にはそういうことをやつておるところもあるようであります。それはしかし多分ほかの条件において、これをカバーしておるところもあるようでありますから、ただこれは厚生施設費としても、これをこちらから振りかえる。こつちの勘定を右から左に振りかえるという、そういう場合もあり得るということをなお申し添えておきます。
  91. 風早八十二

    風早委員 念のために伺いますが、どういうようなものでこれを新しくカバーするのですか。これは小さな問題のようですが、大事な問題です。厚生設備費というものは最後の切札なのでありまして、そういうところが今切りとられて来るということが、今日の新しい特徴なんです。それをどこでカバーしておるか。そういうことがあつたら一例でよろしいからお示し願いたい。
  92. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 たとえば私の知つておる会社においては、厚生設備に、たとえば家賃を従来かりに五十円とつておるとする。これを世間並にというよりは世間並よりは安いと思いますが、何割か上げる。しかし上げたもの賃金に加える。こういうふうなところもあるようでありますが、これは私の承知しておる実例であります。
  93. 風早八十二

    風早委員 賃金増額ですか。
  94. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 そういうところもあるようであります。これは種々雑多であります。これは各議員について一々私がこれをどこの産業はどう、これはどうとここで申し上げる材料を持つておりませんけれども、これは厚生施設費を削減しているところもあれば、削減しないところもあるし、お説のように厚生施設費が非常に多くなつておる。この面を節約しよう。こういつたような行動をとつておるものもあります。これは一概にお答え出来ません。
  95. 風早八十二

    風早委員 厚生施設費の問題は、今総理大臣にこれを削除して貸金に加えるといつたような例があると言われますが、われわれ多くの例からその実情を調べておりますが、そういうふうな例どころか、あべこべに賃金を削つて、その最後に厚生施設費が削られているというのが、今日の全般的な特徴であるということを発見しているわけでありまして、この点で今日われわれが実質賃金の問題を考えて行く場合に、どうしても厚生施設費の削除に対して、政府が今後はつきりした施策を出してもらわなくちやならない。というのは、政府は実質賃金の引上げということを言つているのでありまして、これを税金の面から、また厚生施設費の面からと言つているのでありまして、厚生施設費が削除されることに対して、通産大臣として、一般産業に対してどういう政策をとられようとするのか、この点を今度は積極的に出していただきたい。
  96. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 個人の企業に対して、一々われわれが干渉することは避けたいと存じます。しかしながら勤労者に対する厚生施設に対して、十分に留慰してもらうということについての考え方については、各産業に対して、われわれの今お話のような点についての意見を行き渡らせることはできますけれども、各産業に対して、これが内部の経理状況あるいは内部の経営の状態について、一々干渉すべきものではないと心得ております。
  97. 風早八十二

    風早委員 池田大蔵大臣は――吉田首相もそうでありますが、実質賃金が上りつつあるし、これからも実質賃金を上げて行くんだ、これによつて今日の名目的な低賃金を補つて行くんだ、こういうことを最近しばしば言明しておられるのであります。つきましては、今申し上げましたように、税金負担につきましても、大体勤労所得者の税金についてみますと、所得税だけについても、独身者から夫婦者、子供が一人、二人、三人、四人と、子供四人かかえて月收一万円の場合においても税金負担は増大することは、すでに数日前の公聽会において、井藤半彌教授も数字的にこれを証明しておりましたが、税金負担は実際には増大して行く。しかしこれはただ單に直接税だけでありまして、住民税その他地方税の負担が今度は非常に大きくなる。こういうのも痛める腹は同じなのでありまして、それらを合せると、税金負担は今までよりもはるかに過重になるわけであります。さらに賃金の遅欠配というのは今日普遍的な事実である。超過労働手当につきましても遅欠配があるし、また切下げがある。厚生施設費も削減せられておる。こういうことを勘定に入れると、どこを押したら実質賃金が実際に上つて来るか、われわれはまつたく了解に苦しむところである。ただ実質貸金を上げる上げると言われるが、実際の施策においてどういう施策を示さんとせられるか。こういう点を池田大蔵大臣にお尋ねしたい。
  98. 池田勇人

    池田國務大臣 私は先般の公聽会に遺憾ながら出席しなかつたのであります。新聞によりますと、井藤半彌先生から卸売物価は昨年の七月に比べて五割何分も上つておる。各自賃金はそれだけ上らないから実質上の課税だ、こういう御意見があつたようでありますが、私は全然意見を異にしております。昨年七月の、あの芦田内閣のときの新々物価改訂のあれをもつて議論を立てられることは、よほど危險だと考えております。従いまして私はCPIの計算によつてつてみますと、来年の一月から三月までには、この補正予算に繰り込みました減税案によりまして、お話の夫婦子供三人の月收一万円の人につきましては、相当の実質賃金の上昇を来すことをはつきり申し上げることができるのであります。ただいま大蔵省でやりました計算と、物価庁でやりました計算とを合せまして、両者調整を加えて大体でき上りましたから、明日くらいには正確な数字をごらんに入れることができるかと思うのでございます。少なくとも今御審議を願つております補正予算におきましては、相当実質賃金が上つて来ることになつておるのであります。ただ年收五万円の独身者につきましては、あまり変化はないのでございますが、それにいたしましても、ある程度の上昇の数字が出て来るのであります。しこうして地方税が非常にかさんで来るというお話であるのでありますが、これは来年四月からの問題でございます。来年四月からの問題は、第七通常国会に全般的の中央、地方を通ずる税制改革を御審査願うことにいたしておりますので、そのときに御議論を願いたいと思います。
  99. 風早八十二

    風早委員 今池田大蔵大臣がこの唯一の根担にされておるのはCPI、ところがこのCPIにつきまして、今までフイツシヤー式でやつてつた場合には、実質賃金はどんどん下つておる。これは安本がはつきり出しておる。しかるに今度八月に突然ラスパイレス式に改めた。それによりまして、同じこのCPIでも、その基準が違うために、このラスパイレス式によりますと、今まで上つてつたはずの実質生計費というものが、今度は上らない。むしろ下る。こういうことになるのであります。これはわれわれとしては、いろいろ統計作成の意味につきまして、非常な疑問を持たざるを得ない。そういう点で、なぜこの八月に特にラスパイレス式に改めたか、この点は昨日も大内博士の御説明がありましたが、ああいう説明ではさつぱりわれわれはわからない。大蔵大臣がひとつ專門家として責任ある御説明を願いたいと思います。というのは、このCPIが唯一の政府の根拠になつておる。事実われわれがどこを見ても、まただれが考えても、実際の体験上上つておらない。生計費が上り、われわれの実質賃金は下つておる。この現実をただ数字でごまかしておるんだとだれも考えておる。でありますから、もつとみなの納得の行く御説明があつてしかるべきだと思うのであります。大蔵大臣の御答弁を願いたいと思います。
  100. 池田勇人

    池田國務大臣 ラスパイレス式に改めることが、適当であると考えて改めたのであります。しこうして私はその方が実態に沿うと考えてやつたことと思うのです。私は統計のことはあまり專門でございませんが、やはりCPIによつてわれわれは計算したほうが、一番いいという考えでやつておるのであります。
  101. 風早八十二

    風早委員 一番いいと言われるのは、つまり実質賃金が上ると言うのに都合がいいという意味ですか。実際上つておるという、この事実を、どういうふうにして数字説明せられますか。その点を説明していただかなければ、だれも納得行かない。今実質賃金が上つておる、またこれからも上るというような見通しで政策を立てられたのでは、一切の政策の根本が間違つておる。その点で今の御説明ではどうにも納得が行かない。大内博士の御説明を願つてもけつこうです。
  102. 大内兵衞

    ○大内政府委員 ただいまの御質問につきまして、昨日の説明が非常に不完全でありましたし、それから非常に大切な問題であると感じますので、私から技術的なお話を二、三分間申し上げてみたいと思います。お許しを願います。  今の御質問通り、ラスパイレス式というのにかえました結果、この前のフイツシヤー式というのによつてつたのよりは、確かにこの二箇月ばかり、すなわち七月、八月でありますが、低く数字が出るようになるのであります。それはまことにその通りであります。しかしこれはたとえば今年の、半年間をとつてみますと、おそらくはそういうふうにになるまいと存じます。前の式と今度の式とが大体同じ結果になるだろうと存じます。なぜそういうふうになるかということを説明するのは、少しめんどうくさいのですが、前のは終戰後八箇月をとつて基準としておつたので、今度のは二十三年一箇年をとつて基準といたしました。その結果、前のでは八箇月でありますから、野菜の出まわりとか、あるいは米の配給の関係とかで、一年間の生活の形態を十分に現わすことができない。そういう非常に不完全なものであつたのです。しかし終戰後のことでありますし、今まで日本でそういう消費者の家庭に関する統計がありませんでしたから、やむを得ずそれをやつたのであります。ところが今度は大分経済界が落ちついて来ましたので、もう少しよいものをつくりたいと思いまして、一年間を基準にいたしました。それで野菜の出まわりとか、あるいは米の配給とかの関係が、一年間の方でやつた方が、すなわち今度の新しい式の方がよく平均しているのであります。それで二つの方法によつて計算したものを私ここに持つておりますけれども、その計算によりますと、どうしても夏分というようなところは、前の計算によれば、消費者の物価が高くなる形になつている。新しい消費者の物価の計算によりますと、夏分の方が幾分か低くなるが、そのかわり一年を通じて言えば、どつちによつても大体の数字が同じであるということになつております。ですから、今までのと比べまして最近、特に今年の八月――風早さんの問題にされている七月、八月であろうと思いますが、その辺のところは、新しい数字と前の数字と比べますと、新しい数字の方は確かに消費者の物価が下り過ぎておるのであります。そのことは認めなければならないと思います。しかしどつちが統計方法として正しいかと申しますと、それは新しい方法が正しいのであります。それは第一には、一年間の消費者の消費形態を基礎としているということにおいて正しいのであります。それから形算の基礎が、ほんとうの事実を調査した上での基礎に立つて、それを推定する意味において、ラスパイレス式というものが正しいのであります。世界各国の統計で五十五、六箇国を調べてみましたけれども、十二箇国がラスパイレス式という今やつている方式に従つております。これがまず現在のところ、世界で普通にやつておる方法であります。その点については、ことさらにこの統計を曲げてつくつたとか、そういうことはありません。ただいかなる統計でありましても、特に消費者の統計では、先日申し上げました通り、その統計だけから賃金があるいは労働者の受けるところが、多くなつておるとか、少くなつておるといつたことが、的確にわかり得るという完全な統計は、今日のところできておりません。また技術上できません。日本のCPI統計は、世界において最新の方法においてやつておることは確かでありまして、これは世界に誇るに足る方法であると思いますけれども、それでもそんなに完全な統計というものにできるものではありませんから、その点はどうぞあしからず御了承願いたいと存じます。
  103. 風早八十二

    風早委員 大内博士から非常に御適切な御説明がありまして、ありがたく感謝いたします。この統計だけから的確に実際はかるということは、これは今の統計の力をもつてしてはできない、このことはわれわれ銘記しなければならぬと思うのです。自然科学におきましても、一つの法則が正しいかどうかということは、実際に実験してみて初めてわかるわけでありまして、統計ども、その統計が今比較的正しいと言われましたが、正しいかどうかということは、実際の生活にこれを適用してみて、実際に合つているかどうかということによつて、初めて言われ得ることでありまして、いかにこれが国際的に認められておろうが、そんなことと関係なしに、今実際これを適用したところが、あにはらんやこんなに実質賃金が下げられて、生活が窮迫しておるのに、そのことが逆に統計によつて示されるということになればこれは統計それ自身最初から破綻していることを、みずから暴露しておるのでありまして、そういう点ではこのラスパイレス式であるか何であるか、こういうような新しい統計方式を、この際に適用されておるこのこと自身が非常に大きな問題である。しかしこれは統計上の問題であるというのではない。これはすなわち今日吉田内閣池田大蔵大臣が、実質賃金が上つたということを何とかしてその根拠を出したいということについて――先ほど池田大蔵大臣はCPIを唯一の根拠としておられる。井藤半彌教授が実際の計算でもつてやられたことはそれは当らない。われわれはCPIによつてつたから反対の結論が出るのだ、こう言われたところによりましても、この統計というものが、今いかに政治的に実際の実質賃金の低下ということをおおい隠さんがために、その反対を示さんがために、使われておるかということについては、学者としての大内博士に対しても警告を発しておきたい。そういうふうに今統計が使われておるわけである。この意味におきまして、あるいは統計学者としての、あるいは統計委員長としての大内博士も、十分にこの統計の実際の意味についてお考えあらんことを切望したいと思います。大内博士がこれに対して何か御所見があれば承りたいと思います。
  104. 大内兵衞

    ○大内政府委員 御注意ありがとうございました。私ども統計をつくる上におきましては、吉田内閣であるとか、あるいは社会党の内閣であるとか、その他の内閣であるとか、そういうことを考えてはつくらないのであります。指令によつて方法をかえたり、あるいはつくるか、つくらないかということを決定するつもりは毛頭ございません。統計委員長としてはそのために困ることもあると思いますけれども、それでも学問上正しい方法を、一日も早く日本に確立するというふうに努力しておるつもりでありまして、決してそういう意味でこのたび発表したことはありません。ちよつと申し上げておきます。
  105. 風早八十二

    風早委員 日本の低賃金の問題につきましては、もうかねがね国際的にも非常な注目を受けておりまして、イギリス方面からもあるいは向うのエコノミストのような代表的なブルジヨア雑誌そのものも、日本の低賃金ということに対しては、非常な警戒として攻撃の矢を放つておるわけであります。また昨日もちよつと触れましたように、アメリカ方面でも、やはりアメリカ自身日本の低賃金ということについては非常に警戒をいたしておる。今後また再び日本がこの低賃金でソーシヤル、ダンピングをやるということついては、特にオーストラリヤなどは非常に警戒をしている。それでありますから、われわれとしてはこの国際的な世論――これは事実についても私どもはその通りだと思うのでありますが、国際的な世論という点を政治的に考慮する見地から申しましても、日本の低資金というものについては、日本の政治は格段の注意を拂わなければならぬわけです。ただこういうCPIの統計数字で、事実その統計数字から実質賃金が上つておるということで澄ましておつたところで、実際に貿易をやつてみれば、すぐこれはばれるわけであります。日本の製品というものがいかに低コスト、言いかえれば低資金でやられておるかということは、もうすぐばれるわけでありまして、これらのことを考えたならば、われわれは今日吉田内閣がとつておる低賃金政策、それから実質賃金の低下、名目賃金のくぎづけという点については絶対に承服できない。これは国際的にも非常な災いをこれから次々に拡大して行く政策であるということを断ぜざるを得ないのであります。  池田大蔵大臣に引続いてお尋ねしたいのでありますが、この水増増税の問題につきまして、中小商工業者については、減收を見込んでおられるというのは、これはいかなる意味でありますか。
  106. 池田勇人

    池田國務大臣 最近の経済情勢その他を勘案いたしまして、減收を見込んでおるということであります。
  107. 風早八十二

    風早委員 最近の経済情勢というのは、つまり中小商工業者の破産数が猛烈にふえて来る。現金ではほとんど首もまわらない、こういつたような状態を認める。つまり中小商工業者に襲いかかつておるところの不景気というものを認める。こういうご趣旨に承つてさしつかえございませんか。
  108. 池田勇人

    池田國務大臣 あなたのお考えになるほど不景気ではありません。予想したよりもあまりよく景気が行つていないというところから来ているわけであります。
  109. 風早八十二

    風早委員 それほどではないと言われるが、やはり不景気ということは池田大蔵大臣も認めたわけでありまして、われわれがかねがねこれが実際なんだと言つておることを、池田大蔵大臣も認めざるを得ないというふうに私は解釈いたす次第であります。
  110. 中曽根康弘

    中曽根委員 関連して……。私はここで大蔵大臣にご質問いたしまして、一体税金の滞納額がどのくらいあるか、各税種別にお答えしていただきたいということを申し上げましたが、今日国税庁から長官がおいでになつて数字を持つておいでになりますから、その数字を、ひとつ説明願いたい。
  111. 植原悦二郎

    植原委員長 昨日の中曽根委員質問に対して、大蔵省より滞納の数字答弁が保留になつておりました。この際これを許します。高橋国税庁長官
  112. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 今年九月末における滞納の総額が五百十七億三千三百余万円であります。その税種別、並びに過年度、本年度別を申し上げますと、源泉所得税におきましては、過年度分は九億九千万円、本年度分は二十五億二千万円、合計三十五億一千百万円であります。また申告所得税分におきましては、過年度分が二百三十四億七千八百万円、本年度分が六十億一千四百万円、合計二百九十四億九千三百万円であります。次に法人税でありますが、法人税の過年度分は、三十一億三千万円、本年度分が五十八億四千三百万円、合計八十九億七千三百万円であります。酒税におきましては、過年度分の滞納金額が四千七百万円であります。本年度五億九千万円合計六億三千八百万円であります。織物消費税におきましては、過年度分が七百万円、本年度分が九千万円、合計九千七百万円であります。物品税におきましては、過年度分が五億七千八百万円、本年度分が二十三億六百万円であります。合計二十八億八千五百万円であります。取引高税におきましては、過年度分が十八億九千三百万円、本年度分が一億八千二百万円であります。その他の税を合わせまして総合計におきましては、過年度分が三百三十四億五千五百万円、本年度分が百八十二億七千七百万円、その合計が先ほど申し上げました通り、五百十七億三千三百万円余、以上であります。
  113. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の数字で私が特にお聞きしたいのは、非戰災者家屋税、非戰災者税、及び戰時保障特別税、増加所得税、その残額がどれぐらいあるか、その他の中に入つておると思いますが、その額をお聞きしたい。
  114. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 いずれもきわめて小額の金額に上つておりますので、はつきりした数字を持ち合しておりませんが、戰時補償特別税のみにつきましては、ここに数字を持ち合しておりますので申し上げます。戰時補償特別税の過年度分は十億三千四百万円、本年度分が、一億三千六百万円、合計十一億七千万円であります。戰災者税、並びに増加所得税等につきましては、金額がきわめて僅少でありますので、ここに数字を持ち合しておらないのであります。
  115. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま風早さんの御質問に対して、大蔵大臣は景気はそんなに悪くないと言われております。しかし今、国税庁長官がここで発表されましたように、今年の滞納の状況は一体どうです。五百十七億あるうち大体五分の二ぐらいが今年のものである。特に源泉所得税のごときは、過年度分が九億に対して、本年度は二十五億、このような滞納がある。この滞納が激増しておるという事実は、これは勤労者にしても、あるいは一般の営業者にしても、その生活がきわめて深刻になつておることを現しておるに違いない。それにもかかわらず、景気はそんなに悪くないと言われるのか。大蔵大臣はこの数字をいかにごらんになるか、御所見を承りたい。
  116. 池田勇人

    池田國務大臣 昨年度の事業所得に対する所得税は千二百億であり、今年度は千九百億円を見込んでおつたのであります。その後の状況から二百億円足らずの減少を見込んだのでありますが、昨年度に比べますと、相当の收入が見込まれまして、風早委員のおつしやるようにそんなに不景気ではないと考えております。  なお滞納につきましては、いろいろな原因があると思います。五百億ぐらいの滞納は、全体の租税收入五千百億円から比べますと、少ないことはございませんが、そう大して心配はいらないと思います。
  117. 風早八十二

    風早委員 今中曽根委員からもいろいろ実際の数字の提供がありまして、もはや池田大蔵大臣がいくら不景気じやないと言つても、不景気ということは政府統計からも出ておる。そういう次第でありまして、これはただただ池田大蔵大臣言葉の上で不景気ではないと言われただけの話でありまして、実際の不景気は政府もこれはどうすることもできない。ただその事実を言葉だけでもつてごまかすことを暴露されただけだと思います。つきましては、今中小商工業者に対する年末更正決定が迫つておりますが、今の中小商工業者の気持というものは、来年がどうだこうだということは、もはや問題ではない。今はこの年末更正決定に最後のとどめを刺される、こういう事態になつておるわけでありまして、この年末更正決定を根本的に御破算にして、そうして申告のやりなおしをやる意思があるかどうか。もはや事実において不景気ということは池田大蔵大臣も認めておられる。私はどれほどの不景気とは言つていない。とにかく不景気は認めておられますし、また減收も認めておられますから、特に年末更正決定のやり方について、何らかそこに変更を加えるということを意味しておられるのかどうか。われわれがかねがね主張するように、この年末更正決定を今回は全部御破算にして、申告のやり直しをやらせる。そして実情に即した税金をとる。こういう建前をとる意思があるかどうか、この点をあらためて伺います。
  118. 池田勇人

    池田國務大臣 年末更正決定をやらずに、申告をやり直す。――どうもご質問の趣旨がわからないのでございますが、この仮更正決定というものは年度中に適当なときを見はからつてやるのであります。これはあくまで仮更正決定であります。ほんとうの税金が確定するのは一月末の確定申告でありまして、それが出て更正決定をやるかやらないかということになるのであります。年末に仮更正決定を見て申告をやり直すという御質問の趣旨が、私にはわかりません。
  119. 風早八十二

    風早委員 つまり仮更正決定、年末の更正決定に対して、もうすぐそれを追いかけて税務当局は、これに対して差押え処分、または公売処分を今やろうとしておるわけです。例年そうです。ですからこれは仮更正決定があつたらだめなんです。その点は今回何か特段の処置をとるお考えはないか、ということを伺つておるわけであります。
  120. 池田勇人

    池田國務大臣 租税の徴收状況を見まして、年末までに仮更正決定をやる場合もあるということを、ここで申し上げておきます。
  121. 風早八十二

    風早委員 具体的に今この仮更正決定、差押え、公売、こういう関係を全部見通して、それに対して特別の酌量的な処置をとられる具体的なお考えはないか、この点でありまして、これは現在差迫つておる問題であります。つまりこれによつて中小商工業者がもう廃業をしなければならない、もう破産しなければならない、そういう今の状況でありますから、この点はもう少し積極的な方向を政府がまず示され、それによつて税務署に対して指示を與えられる。その点を具体的な問題として私は聞いておるわけであります。
  122. 池田勇人

    池田國務大臣 当初予算千九百億円を千七百億円にいたしましても、なお十月末までに三百九十億円程度しか納まつておりません。しかして問題の農業を除きました事業所得は、千九百億円のうち千二百億円ばかりに達しておるのであります。これが非常に納まりが悪いので、税務当局としてはこのままにおいて置くわけには行かない。まじめに申告をした人もありましよう、あるいはまた中に不心得者なきにしもあらずであります。もし担当の利益があるにもかかわらず、申告を過小しておられる方に対しましては、いかんながら更正決定をやらざるを得ないのであります。しかして更正決定をやつて税金をとろうとするのでありますが、これによつて納まらない場合に、仮更正決定では、差押えはできますが、公売はできません。
  123. 風早八十二

    風早委員 この中小商工業者並びに農民の申告所得税につきましては、今実際に納められておるのは予定の二一%である。そういう非常に成績の悪い状態なのであります。これはなぜか。成績が悪いから、このまま捨てておかれないと言われるが、実際に納められない。われわれは実情をよく知つております。決定そのものがはなはだしく不当であるために納められない。そこのところを全部抜きにして、ただ今まで成績が悪いから、これからどんどんとらざるを得ないといつたようなやり方では、結局中小商工業者をつぶしてしまうということにならざるを得ない。そういう点で吉田内閣は、中小商工業者並びに農民はどうなつてもよろしいというお考えだとしか受取れないのであります。  この税金の問題につきましては、先般来本委員会においても、いろいろな委員から質疑が出て、大体明らかになつておるようであります。戰前の所得税免税点は千二百円であつた中曽根君も昨日言われましたが、中曽根君の計算では三十万円余りだと言われますが、われわれの計算では四十二万円ということで、四十二万円以下のものが全部免税になりまして、ようやく戰前並の負担を背負おつているに過ぎないのでありまして、そういう意味で今日大多数の中小商工業者、農民の納めることのできない状態の者が、いかにしいて税金を要求せられておるかということがわかる。そういう意味でわれわれは免税点は四十万円ということを主張しておるものでありますが、他面におきましてそうなりますと、やはり財政に大きな穴があく、これについてはどうしても大口のやみ脱税に対する追求をやらなければ、財政としても困るであろうというので、今までもこの点は主張しておつた。幸いにしてシャウプ勧告案によりますと、この点について大口のやみ脱税、修理費とか、いろいろな名前をもつて経費から落しまして脱税しておる。こういう点については、相当具体的に例をあげてシャウプ勧告案は警告を発しており、非常に注意を向けております。最近の実際を見ますと、政府は確かに若干の経営について大口脱税の追求をやつておることは、認めます。たとえば三菱化成といつたものが新聞によれば二十数億となつておりますが、その後政府側の数字によればそれほどではないが、非常に巨額な、悪質なる脱税をやつておる。これは遂に司法当局の手にかかつておる。われわれは当然のことであると思うのでありまして、こういう脱税が幾つかあれば、徹底的にこれを追及すれば、大衆課税という面には十分軽減が可能なわけであります。しかしここで私が特に政府にただしておきたいのは、こういう大口の脱税と二つ、三つ、ほんのちよつぴりやりまして、そのあとがたいへんな問題だと思う。そのあと今度右にならえで、中小に対して、また裸申告といつたものを徹底的にやつて行くというようなことになつたら、これはたいへんなことである。そういう意味で、大口のやみ脱税というものと、それから中小の問題、これについて脱税追求の政府のお考え――これは聞くところによると、大口のやみ脱税を今二、三やるのは、これをまずやつたからというので、今度は中小に対して一齊に非常に苛酷なる追求をやつて行くためであるということも伝え聞いておるのでありますが、そういうような意思があるのかどうか。この点を特にただしたいのであります。
  124. 池田勇人

    池田國務大臣 脱税の摘発につきましては、職員を督励して、税の執行の適性を期しておる次第であります。大口の脱税摘発をやつて、右にならえで中商工業者にまで行こうという考えは持つておりません。あくまで調査官、査察官を使いまして、大所得者については特に注意をして、実地調査をしておるような次第であります。
  125. 風早八十二

    風早委員 今の問題に関連して、この三菱化成の非常な巨額なる脱税が、一応政府の手によつても――これは数字は出ておると思いますが、すでに国警本部でもこれに対しては手をつけておるといつたような状態であります。これについて査察部長の脇阪氏が最近に突如として転勤になつておりますが、これはいかなる意味において転勤があつたのか、ちよつと池田大蔵大臣に事情を御説明願いたいと思います。
  126. 池田勇人

    池田國務大臣 人事の異動は私の責任においてやつております。脇阪君は学校を出まして十数年来ずつと主税局内におりましたが、第一線で働いた方が国のためにいいと考えたので、関東甲信越国税局長にしたのであります。しこうしてそのあとの査察部長としては適当な人を……。
  127. 植原悦二郎

    植原委員長 風早君、大蔵大臣は三時で時間が切れますから……。
  128. 風早八十二

    風早委員 それではしかたがありません。大蔵大臣に対する質疑は留保しておきます。
  129. 植原悦二郎

    植原委員長 総理は二時半においでになるということでしたが、熱が出たのできようは出て来られないということになりましたので、ここで休憩いたしまして、このまま残つてつて理事の方の御相談を願います。     午後二時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時四分開議
  130. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。
  131. 中曽根康弘

    中曽根委員 議事進行に関しまして発言をいたします。私はこの機会に植原委員長及び政府に対して嚴重なる要望を申し上げたいと思います。  実は今日予算委員会を開くということは、総理大臣が御出席になるからやるという條件で、われわれ野党は出席いたしたのであります。しかるに聞くところによると、総理大臣は午前中はぴんぴんとして大みえを切つておられた。しかるに午後になつて急に熱が出て出られないということは、前から植原委員長が申されている通り、この予算委員会を軽視する総理大臣の本来の性格がここに出て来ているのであろうと思う。こういうことはわれわれとしては絶対に許せない。総理大臣がいない委員会などというものはもぬけのからである。ことに民主自由党内閣はワンマン・パーテイと言われておる。そのワン・マンがいなくなつたらあとはゼロであります。そういう委員会にわれわれが出るということは、この委員会を侮辱することであろうとわれわれは考えるのであります。かつて濱口雄幸氏は、腹の中へピストルのたまを撃ち込まれたのを、むりをして議会へ出て、それがためになくなられたという事実を、植原委員長は現にお知りの通りである。しかるに旧憲法でない新憲法の時代に入つて、一国の総理大臣たるものが、三十何度の熱が出たかもしれぬが、わずかの熱が出たということを口実にして出ないということは、新憲法を無視するもはなはだしいと私は考えるのであります。こういう総理大臣考え方、議会軽視の傾向に対しては、植原委員長より厳重なる警告を、総理大臣に申し込まれんことを私は申し入れいたします。  第二に、大蔵大臣が三時より出席できないという話でありますが、予算委員会というのは大蔵大臣が主管者であります。その大蔵大臣がいないということは、また予算委員会というものをまつたく無意味ならしめるものなのであります。最近来大蔵大臣の御答弁ぶりを見てみると、きわめて不誠意であり、不明瞭である。しかもわれわれは、植原委員長がかつてあの犬糞門ドで官僚主義と闘うために努力なさつたと同じ精神で、ここで今や池田大蔵大臣中心にする官僚勢力に対して闘わんとしているそのときに、われわれが池田大蔵大臣にいろいろ関連質問するというのに、植原委員長がこれを押さえるがごとき態度をとるのは心外にたえない。今後議事進行に関しては、そういう植原委員長の精神を継ぐ野党の立場を十分考慮されて、議事運営を民主的にやることを希望し、かつ大蔵大臣がすみやかにここに出席するように希望するものであります。  第三番目に、木村国務大臣がここにお出でになつておらぬ。御承知のように今度の議会は税金の議会である。国税と同様地方税の議会であります。その主管者たる木村国務大臣がおられないということは一体何事でありますか。聞くところによると、民主自由党その他政府では捜索願いを出しているそうでありますが、一国の国務大臣がどこにおるかわからぬというような状態では、まことに情けない状態であります。木村国務大臣をすみやかに捜索して、この議場に出してくださるようにこれも嚴重に私は申し入れます。  以上予算委員長並びに内閣に対して嚴重なる申入れをいたしまして、この委員会を再開することに同意いたします。
  132. 植原悦二郎

    植原委員長 中曽根康弘君の御意見の御陳述につきましては謹聽いたしました。議会を中心にしてわが国の憲政を運用して行くという、原則的の御趣意に対しては全然同感であります。昨日のお約束もありましたので、きようは諸君もよくお努めくだされました。総理も実は昨日以来風邪でありましたのを押して出られたのであります。午前中はお出になりまして、御承知通り政界の長老である若槻さんの葬儀のためにやむを得ずこの場をはずされたのであります。それから二時半にお出になるというお覚悟でありましたけれども、熱が少し出たということでお休みになつたのでありますが、これははなはだいかんでありますけれども、病気のためならば、中曽根君は議会を尊重し、ヒューマニテイの立場で非常に御奮闘なさる方でありますから、病気をおとがめなさるようなことはないと思いますので、これだけはお許しを願いたいのであります。  大蔵大臣につきましては、昨日からの約束でありまして、きよう三時にドツジ公使とお会いになるという約束でありまして、渉外関係のことはよく御承知のことと思いますが、これはのつぴきならぬことだから、これをも中曽根君がおとがめなさろうとするような酷なことはなさらぬ、その点はすこぶる寛大だろうと思いますが、そういうことですから、やむを得ないものと御承知願いたいと思います。  木村国務大臣はまだ出席いたしません。病気だということでありますが、実は委員長は病気のことを承つておりません。なお病気でない限りは、明日にでも出席するように督促いたします。病気であるならば、またやむを得ないことと御了承願います。  その他のことにつきましては、多数の官僚諸公もおいでになりますから、中曽根君の御趣旨はよく御了承くださつたことと存じます。  これより質疑を継続いたします。風早八十二君。
  133. 風早八十二

    風早委員 大体議事進行によつて問題が明らかになつたのでありますから、これ以上申さないで、私は委員長の御指名に従いまして質問を続行いたします。  今ワンマン・パーテイということが問題になつておりますけれども、しかしこれはここに並んでおられます各大臣に対して、はなはだ失礼な話なんでありまして、私は安本長官に今伺いたいと思いますが、安本長官は一城のあるじでありまして、決して吉田内閣のワン・マンの陰に隠れておるというわけでもないのでありましようから、ひとつその御気魄をもつて答弁願いたいと思うのであります。  今回、これはおそらく安本委員会でありましようが、外国為替及び外国貿易管理法案、並びにそれに付随する諸種の法案が出ているようであります。私はこの法案について今問題にしようとするのではない。これは安本の委員会にまかせておきます。しかしながら、事はまず第一に、民自党の一枚看板でありますところの統制撤廃、貿易の面では自由貿易、民間貿易――この民間貿易というものが、いかなるものであるかということを明らかにすべき重大なる法案である。他方におきまして、またその結果は、ただ單に国内におきまして、大きな資本家、いわゆる独占資本家と言われるものと、中小の産業資本家以下、こういうものとの関係というだけではなく、日本の全産業、全日本の民族的な産業の興廃に関する重大問題であると考え意味におきまして、予算委員会の建前から、二、三質問をいたしてみたいと思います。  まず今回こういうふうな外国為替及び貿易についての新しい管理方式がとられることになるといたしまして、その場合の為替管理委員会は、一体いかなる権限、性質を持つておるものであるかという点と、あわせて官僚審議会なるものの性格、これについて、簡單でけつこうですから、直截に御答弁願いたいと思います。
  134. 青木孝義

    ○青木國務大臣 この法案は、近日あるいは明日か、最近において上程になろうと存じておりますが、ただ今の御質問委員会は、もちろんこの委員会の構成につきましても、実はその輪郭だけはきまつておりますが、そのメンバー等についてはまだ決定いたしておりません。それからその輪郭を申せば、一名の審議会会長及び副会長、その他の委員数名という構成であります。これは閣僚であります。それから為替委員会は、もちろんこれまでの為替管理委員会そのものが、今後ともその事務等についてはこれを鞅掌いたすことになつておりますが、多少内容の事務関係が変更されると存じます。また権限等についても違つて来るものと考えておりますが、この法案ができ上がりませんと、今私としてもはつきりこれ以上のことは申し上げにくいと存じます。
  135. 風早八十二

    風早委員 問題になりますのは、この官僚審議会というものが、為替予算を作成する責任を負うておる機関であるということになつておりますが、これは重大な問題でありまして、この為替予算というものは、われわれ国会で扱つておりますところの国家予算とどういう関係に立つか。この点さらに申しますれば、これが国会審議権というものの行使の対象になるのかどうか。その点をはつきりさせていただきたいと思います。
  136. 青木孝義

    ○青木國務大臣 その点でありますが、これは為替予算というような言葉が使われております。そして内容は輸出輸入に関する一定のファンドをどういうふうにしておくかということでありますが、これは主として貿易の輸出輸入商品に関することであり、またそれが貿易為替関係との間に、一応の予定の金額等が定められるものと存じますが、この点も私としてはまた明瞭に承知をいたしておりません。
  137. 風早八十二

    風早委員 あなたは安本長官として、安本委員会に対しては政府の代表として、この法案の一番骨子になるべきこの問題について御承知ないというのは、これはわれわれに受取りがたい御答弁でありますが、この点はかなりに予算という言葉をどういうふうに言うにしろ、フアンドの運営ということにしろ、予算というものは国家の財政フアンドの運営の問題でありまして、結局問題は、これが国会審議の対象にならずに、官僚審議会なるもの――これに構成はわからないと言われませんが、大体総理大臣がこれの会長になり、あと閣僚その他の官僚がこれに当ると思いますが、こういうことをかつてにやることができる、国会はこれに対して何ら審議権は持たない、こういうことになるのかどうか。つまりあとでだんだん申しますいろいろ広汎な権限が與えられておりますが、こういう権限をただ白紙委任状のように国会はこれに與えるのか。総動員法というものが昔ありました。これは結局軍閥がこの総動員法を使つてつてなことをやつて、今日の事態に日本を導いたわけでありますが、ああいう白紙委任状のような性質を持つたものであるかどうか。この点ははつきりさせておかないと、重大な問題でありますから、なお御答弁を要求するものであります。
  138. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただ今の御質問の法律は、大体九十條からなつておりまして、われわれもそういう点については相当注意をいたしておるものでありますが、しかしこれはごく近日、明日にでも上程になるものでありまして、詳細の点につきましては、これが上程せられましたときに、何かと御質疑をいただけば、まことにありがたいと思います。
  139. 風早八十二

    風早委員 はなはだけげんな御答弁でありますが、それでは少しばかり内容的な質問をしてみたいと思います。この法案を離れても、一体安本長官として今後の日本の貿易金融というものは、どういうようにこれを運営せられようとしておるか、この点についてのお考えを承りたいのです。
  140. 青木孝義

    ○青木國務大臣 貿易金融の問題は、もちろん検出、輸入等の一応のわくであるとか、あるいはパーター取引というようなものとにらみ合せて、全体の構想の上から考えられる問題でありまして、今のところはつきりとそういう金融の問題についてこうする、こうなるというようなことはまだ決定をいたしておりません。
  141. 風早八十二

    風早委員 決定したことだけを聞いておるわけではないのでありまして、いやしくもそれこそ一城のあるじたる安本長官としてそのお考えを承りたいわけであります。たとえばドイツにおきましては五〇%の保証金制度といつたようなものが、この貿易金融についてはとられることになつたのでありますが、日本ではどういう構想であるか、たとえば担保制といようなものをおとりになるのか、担保制をおとりになるということも聞いておりますが、そうなりますと、これは日本の業界においては、おそらく財界においても資力はなかなろうと思うのです。どうしてもこれはその結果、外国銀行、外国商館というものに押さえられるという危險がありはしないかと思うのであります。こういう点につきましては、安本長官はどういうお考えを持つておられるか。
  142. 青木孝義

    ○青木國務大臣 もとよりわれわれもそういうような懸念も多少考えております。しかしながらこの輸出、輸入の法案を一本といたしまして、作成いたしますにつきましては、最初輸出と輸入とを臨時措置法的に別個につくるというような構想を持つておりましたけれども、しかしこれを輸出、輸入一本にするということから、急遽これを作成いたしておりますような関係で、私としても詳細な点については、まだ承知をいたしておらぬ点が多々ございますために、ここで責任をもつて一々そういうことについて説明ができないのであります。
  143. 風早八十二

    風早委員 何を聞きましても、その主務大臣が承知しないという話でありますから、この法案審議がどう進むか見ものだと思いますが、少なくともこの点は承つておきたい。この貿易金融について日銀の再割引といようなものを考えておられるかどうか。
  144. 青木孝義

    ○青木國務大臣 貿易手形の再割引というようなことは、通常われわれとしては考えておるところであります。
  145. 風早八十二

    風早委員 次に金利の問題でありますが、外国銀行は御承知のように非常に安い金利で金融をやるわけでありますが、日本の場合におきましては、非常に金利が高いので、とても競争はできないわけであります。そこで日本におきまして、しいてこれと競争しようということになりますと、いろいろな問題が起ると思うのであります。さしずめ吉田内閣としてこの金利の問題をどういうふうに持つて行かれようとしておるか。おそらくこれを口実にしてむりやりにも低金利政策ということをとられようとしておるのではないかとわれわれは大体想像しておりますが、この点はどういうふうなお考えですか。
  146. 青木孝義

    ○青木國務大臣 御承知通り日本の金利が高いということは、戰後今日まで大体一般の考え方であります。しかしながらやはり金利等の問題は、その国の信用とか経済の実情等に沿うものでありまして、わが国の金利の高いということも、ある程度まではやむを得ないと思いますが、私どもといたしましては、なるべく金利は低い方がよかろうと考えております。
  147. 風早八十二

    風早委員 低い方がよかろうじやなしに、一体政府は低金利政策をとるのか、とろうとしておられるのかどうか、この点を聞いておるわけであります。また低金利政策をとられるとして、その場合においてやみ金融が発生するなり、あるいはまたそれでなくてもインフレーシヨンを助長するなり、こういう点が必然起つて来るわけであります。安本としてはいわゆるドツジ修正といつたようなことも、かつて――最近でありますが、そういうふうな見解をいろいろな文献によつて漏らしておられる。これは途中で、それこそ吉田ワン・マンによりまして引込められたというふうなこともあるかもしれませんが、とにかくいやしくも安本長官としてはそういうことを考えておられる。これらの点につきましてどういうふうなお考えか、もう少し、ただそういうこともあり得るというのでなく、政策としてどう考えるかということを明示していただきたいと思います。
  148. 青木孝義

    ○青木國務大臣 金利等の問題は御承知のように、相当ものによつてでこぼこがあるというような感じも今日ではいたします。ただ今風早委員がおつしやいますような、特に経済政策の上で、今日の日本経済の運営ということからにらみ合せて考えますと、われわれはドツジ・ラインを修正するというようなことは主張もいたしておりませんので、まず四月以来、昨日も申し上げましたように、経済九原則とドツジ・ラインを堅持するという方向で、インフレを阻止するという態勢を今後も維持して参りたいということであります。
  149. 風早八十二

    風早委員 今の問題は低金利政策をどうとるか、どういうふうに具体的に進められるか、その方針を承りたいと言つたのでありますが、どうもこの国会以来――前国会ではそれほどでもなかつたが、安本長官は非常にかたくなつておられまして、さつぱりお答がないわけであります。(「ぼけたのだろう」と呼ぶ者あり)今そういう声もありますが、それはとにかくとして、それこそ先ほど中曽根委員から出ておるワンマン・パーテイーになつたのか、これまたけげんにたえない次第であります。  次はこの問題に関連しまして、高利債を低利債に借りかえる、公債の借りかえといつたようなことを今考えておられますか、この点を伺いたい。
  150. 青木孝義

    ○青木國務大臣 公債の借りかえというような問題も、金融関係の問題は主として大蔵省に関係しておりますし、私どもの方としては、まず大体の輪郭とか、計画とかいうような点に重点を置いておりますので、特に大蔵省の実施間におけるいろいろな方向というか、そういうものを承らなければ、はつきりここで私はお答えできないと思います。
  151. 風早八十二

    風早委員 こういう法案の問題にしましても、これは根本の問題になるわけでありまして、この公債の借りかえということは現実の問題だと思います。この点についてやるのかやらないのかということを聞いておるのでありまして、このことは閣僚の一人としてお答がないというはずはないと思う。それをただ伺えばいいわけです。
  152. 青木孝義

    ○青木國務大臣 公債の借りかえ等はできればやらなければならぬ。あるいはまた時期が来たものにつきましては、やらなければならぬことも起ると思いますが、私は今のところ確信をもつてこれにはお答ができません。
  153. 風早八十二

    風早委員 お答がありませんから、この問題については一応打切りますが、一体この貿易金融をめぐりまして、国内興業復興のための融資順位が今あるわけであります。この融資順位というものがどういうふうにかわつて行くか、次々に伺いますが、全部お答がないというのは、これは問題にしますから、そのおつもりでひとつお答えを願いたいと思います。
  154. 青木孝義

    ○青木國務大臣 融資の順位等はこの四月以降途中でかえたのであります。従来の甲、乙、丙というような順位が相当地方産業に対して悪い影響があるということから、かえたけれども、今後どうかえるかということについてはまだ決定した意見を持つておりません。
  155. 風早八十二

    風早委員 われわれが融資順位を聞いているのは、今までの融資順位で、われわれがごくひいき目に見て、日本の民族独立の基礎となるべき日本産業復興が、曲がりなりにもここにあります。それが新しく外国商館が入つて来、為替が向こうさんに握られて来るということになりますと、貿易金融の面から融資順位がかわつて来る。今までの順位を今度は変更の結果、ほんとうに日本の民族産業の勃興にとつて必要であるという部分に、非常な金詰りが起りはしないか、この点を非常にわれわれは心配するのでありまして、国民経済の立場からこの点は問題を出しておるわけであります。そういう意味で融資順位の問題はもう少しこれはまじめにお答え願いたいと思います。大体融資順位を変更させる意思があるかどうか、変更されないとすれば、この貿易金融というものを具体的にどうして行くか。私は必ず融資順位は変更されると思うのでありまして、その変更された場合にはどういう順位になるか、この点を産業部門なりあるいはまた資産の大小によりましても御名答願いたいと思うのであります。
  156. 青木孝義

    ○青木國務大臣 御質問の要点であります貿易金融について、融資準則をかえなければならないかどうか、こういう問題は、私の考えとしては融資順位は貿易金融については関係がないと考えております。
  157. 風早八十二

    風早委員 貿易金融の面から融資順位の変更ということはないと考えておるというお話でありますが、もしも事実におきまして、長期設備資金の不足という問題が、はからずも各部門に起こつて参りました場合に、政府はどういう責任をおとりになるつもりであるか、長期設備資金の問題は、これはわれわれ共産党だけでありません。民自党の諸君にとつても、これは重大な今死活の問題であると思いますが、この点について政府は融資順位は変更されない、しかし事実上、設備資金が不足するという事態に対しては、今どういう予防策、どういうふうな対策を持つておられるか、この法案を出される以上は、必ずその方針がおありになると思いますからお聞きいたします。
  158. 青木孝義

    ○青木國務大臣 この融資順位等の問題から考えて、長期金融についてはどうかという御質問だろうと思いますが、長期金融の問題はしばしばここで出ている問題でありますが、かりにそういう問題が起つた場合にはどうするかということでありますが、かりに起つた場合にはどうするかという問題は、間接な問題になつて来るし、またかりにそういう問題が起つたらばということであれば、その場合においてはそのような措置をまた考えます。
  159. 風早八十二

    風早委員 もうその辺でやめます。  この外国為替銀行に指定せられる銀行は何銀行と何銀行でありますか。この点お答え願いたいと思います。
  160. 青木孝義

    ○青木國務大臣 外国為替銀行八つ、内国銀行十一だと思います。数字がもし間違つていたらあとから事務当局からお答えいたさせます。
  161. 風早八十二

    風早委員 十一は何々ですか。
  162. 青木孝義

    ○青木國務大臣 東京のおもなる銀行、特に帝国銀行であるとか、あるいは千代田銀行であるとか、これも事務当局からお答えさせます。
  163. 植原悦二郎

    植原委員長 風早さん、事務的なことだから今のような質問は、政府委員で答えられると思います。
  164. 風早八十二

    風早委員 事務的なことではない。どれを指定されるか重大な問題であります。大体東京、大阪、帝銀、千代田、第一、富士、三和、大和、勧銀のほかに埼玉銀行並びに協和銀行も入つておりますが、この点だけははつきりしておりますか。
  165. 内田常雄

    ○内田政府委員 先ほどの融資順位の問題に風早委員は誤解がございますようですから、私から大臣の答弁を補足いたします。融資順位は甲、乙、丙がありますが、その中に設備資金、運転資金があります。貿易につきましては本年の八月御承知のように、今まで丙種であつた貿易業を丙種をなくしまして、形式は乙に上げましたために、貿易業の所要資金は、融資順位上虐待を受けることは今日なくなつたのであります。そのほか貿易手形につきましては前から甲になつておりまして、貿易手形の割引資金は全部甲であります。ただここに一番問題がありますことは、融資順位の丙を乙に上げ、乙を甲に上げましても、それだけによつて金融機関が金を出すことには実はならないのでありまして、順位は甲であつても乙であつても、金融機関が現実に貸すか貸さぬかという問題、この点は特に設備資金につきましては、この問題が起つているのでありまして、われわれ政府側といたしましては、融資順位はもうすでに丙種の業種は実質上はないようになつておりまして、金融上の支障はありませんが、いかにして貿易金融を円滑にするか、設備資金を円滑にするかという問題にかかつて来るのであります。貿易資金につきましては、先ほどの大臣のお答えを補足いたしますが、これは輸出の面と輸入の面と、それから今度は輸出入業者のみならず、外国為替銀行が外国為替業務をやる上の資金の問題が、新しい資金のもとに起つて来るのであります。まず業者の輸出の場合には、従来の貿易手形制度をできるだけ移して行つて、十分にこの輸出のための生産なり、集荷なり、輸出手形が現実に決済されて、貿易為替資金から金が支拂われるまでの金融をつけて行く。それから輸入の場合には今までと違いまして、政府輸入が民間輸入になりますために、相当大きな輸入資金がいるわけでありますが、これが一番問題でありますけれども、これは簡單に申しますと、輸出の場合の貿易手形と同じように、輸入手形の制度を設けて、日本銀行をしてスタンプ制度のもとに担保貸出しにさせるという方向に持つて参りつつある。さらにまた外国為替銀行の輸出手形買取り所要資金は、これは国内の円資金の問題と、それから先ほど風早委員指摘されましたように信用状を開設する場合の外貨の保証金の問題、両面が起つて来るのでありますが、まず国内輸出為替等を、今までは直接政府の貿易特別会計が買い取つていたのを、今度は一応外国為替銀行が買い取つて、自分のものにしてから、大蔵大臣の集中命令によつて集中されるまで、買い取る資金が外国為替銀行にいるわけであります。ここに国内銀行と外国為替銀行とのいろいろな状態に違いが起るわけであります。これについては日本銀行をまん中に立てて、その方法日本銀行が輸出手形を再割引する方法によるか、あるいは今度予算でご審議つておる貿易資金特別会計の金等を操作するか、いずれかの方法によりまして、外国為替銀行に円資金が行き詰まりを来さないように研究しておるし、外国に外国資金を積立てるようなことになるわけで、外国資金は外国為替特別会計が管理する外貨資金を適当に操作することによつて、外国銀行と劣位に立たないような方法を現在研究いたしておるわけであります。  最後に設備資金でありますが、設備資金は先ほども申し上げましたように、融資順位だけの問題では解決がつかないので、いろいろ御承知通り構想をされておるようでありますが、何と申しましてもその主軸になるものは、結局本年度、来年度を通じて、財政上は相当の償還金が日本銀行に対しても行われる。マーケツト・オペレーシヨンの方法によりまして、社債の発行及び金融機関による買取りで、このマーケツト・オペレーシヨンを助けて行くという今の方法を主軸にして行くのが一番手取り早い。あるいは不動産金融機関を設置する構想であるとか、あるいは特殊の金融につきましては、農林中金、とか商工中金あるいは預金部の資金をそういう方向に動かす構想もありますけれども、いろいろもつれ合つておるところがあることは御承知通りであります。それらのできるだけもつれ合つているところを打開して行くために、金融債を引受けるなり、社債を引受けるなりして、あるいは農林中金債、商工中金債というようなものの融資をつけたいと思つております。  それから外国為替銀行ですが、先ほど大臣からお話のありました通り十一行、これは多分明日提出される法案によつて大蔵大臣が認可することになつておるわけでありますが、大蔵大臣の認可によつて外国為替銀行がきまるわけであります。これは東京では私の記憶に間違いなければ、帝国銀行、第一銀行、富士銀行、千代田銀行、勧業銀行、東京銀行、三和銀行、大阪銀行、それだけは確実に入りまして、あとの東海銀行、埼玉銀行、神戸銀行、大和銀行等につきましては、大蔵大臣の認可の準備内容を私はちよつとここに持つておりませんから、はなはだ申訳ありませんが、きようはひとつお答えを延ばさしていただきたいと思います。
  166. 風早八十二

    風早委員 この問題の一番大事な点は、貿易がこれからこれによつて実際に伸びるかどうかという問題でありまして、この品目の点につきましても、仕向地の指定につきましても、その他貨物を差押えるとかなんとかいう点につきましても、いろいろ絶大な権限が一通産大臣に與えられるということになる危險性があるわけであります。そうなりますと、これは政府の根本的な現在の貿易の相手方の方向、つまり今主として東南アジアと貿易をやろうとしておる。これを全国民から――特にこれはわれわれだけではない。民自党の多数の諸君も同様でありますが、今中共であるとか、そういつた広く世界の各国にどんどん有利な貿易をやりたいという熱心な意向があるわけであります。こういう意向を無視して、政府は東南アジア中心といつたような構想を出しておりますが、言うまでもなく東南アジアはもうほとんど行き詰まつておる。それ自身行き詰まつておるところへ出せるわけはないのでありまして、そういう政府の貿易政策とこの貿易制限の規定とが結びつきますと、非常に危險なことになりはしないか。みずから日本がこれから発展し得る余地を、ここで阻止してしまう危險がありはしないか、この点について、この貿易の制限をやつていく條項といつたようなものにつきまして、安本長官はどう考えておられるか、これはどういう活用をせられるつもりであるか、この点ひとつ御名答願いたいと思います。これは安本長官自身の意見でいいんです。
  167. 青木孝義

    ○青木國務大臣 お答えいたします。貿易についていろいろご心配のようでありますが、これはまだこれからきまるのでありまして、それではそのきまる中の貿易をどんなふうに制限するかということであります。今のところ考え方としてはそれはあまり制限をしないという考えでございます。
  168. 風早八十二

    風早委員 制限をしないとすれば、これから民間貿易になるといたしまして、民間におきまして中共と貿易をするということも制限をしない。そういうことを含んでおられるのであるか、この点を伺いたいわけです。
  169. 植原悦二郎

    植原委員長 関連して稲垣通産大臣からお答えするそうです。
  170. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 関連してお答えいたします。貿易の関係は私の方に関係が大きいようでありますから、私の方からお答えいたします。今のお話でありますいわゆる審議に付する問題は、制限といいますか、その問題はいかなるものを輸入品目にするか、また仕向地をどういうふうにするかということを取扱うことであります。そこで仕向地の問題について今お尋ねがあつたわけでありますが、東南アジアと限つたという言い方はわれわれしておりません。しかしながら今日の情勢においては、東南アジアが主たるわが国の貿易圏内である。むろん南米もやります。あるいはまたアメリカから食糧も輸入いたします。だからどこと限つてはおりません。そこで今御指摘の中共なりあるいはソ連地区、こういつたものについての貿易はわれわれとして望ましいのであります。但しわが国は今もちろん占領下にありまして、従つて占領軍のポリシイと申しますか、占領軍の政策に沿うた取扱いをせざるを得ない。しかしながら実際問題といたしまして、中共との従来の貿易額は、大体において貿易の二割五分あるいは三割を占めておる。こういうことを考慮に入れます場合に、中共との取引が最も重大であるということは、われわれは十分承知いたしております。またその方向に進むように、われわれはあらゆる努力をいたしたいと存じております。現在におきましては、この一月から八月までの中共貿易は、おそらく香港貿易の大部分が中共地区との輸出入であろうと、私は考えておるのであります。そこで本年一月から八月までの大体の取引を申しますと、われわれの方からの輸出といたしましては二千四百万ドルに相なつております。おそらくその半分以上は、中共地区との取引だと存じております。輸入は千七百万ドルであります。これもその中のどの部分、どれだけの部分ということは、はつきり数字的に示されませんけれども、大部分がやはり中共地区からの輸入だと存じております。  ついでにお話申し上げておきますが、ソ連地区との取引は、終戰以来御承知のように支拂協定を行つております。その支拂協定によつて半年ごとに決済をいたしておるのであります。終戰以来今日までの取引額は、ソ連地区に対しては、われわれの方からの輸出は、端数を忘れましたが、大体七百八十八万何がしドルであります。そうして輸入が五百八十五万何がしドルであります。大体二百万ドル余出超になつております。従来われわれとしては向うに主として機械類を出し、向うからもらいますものはパルプ類あるいはマグネサイト類、あるいはフリント・ボールといつたものでありますが、遺憾ながらこの三月以来われわれがパルプをもらいたいとか、マグネサイトをもらいたいという要求をいたしましても、向うからこれに対してバーターする品物が参らないのであります。それでわれわれはこれを促進するために努力をいたすということを申し上げたいのであります。従つてある地域に限つたというような貿易の考え方はしておりません。できるだけわれわれの貿易はあらゆる方面に向かつて努力するものであつて、何も東南アジアに限つたものではなく、中南アジアでもよい。また仕向地についてはそのときどきの情勢に応じて、また日本の国内の需要をも勘案してやつておるのでありまして、ある地域に限るということはいたしておりません。
  171. 風早八十二

    風早委員 今通産大臣から中共との貿易その他については非常に望んでおり、かつこれに対してはできるだけ努力しているというお話がありまして、われわれもはなはだ同感であります。ただ実際においてはどういうところに障害があるのかということに問題があるのでありますが、とにかく政府がはつきりと中共なりソ連なりとの貿易は望んでおり、かつその実現に努力すると言われただけでも、たいへんな進歩だと思うし、われわれはまつたく同感であります。しかしながらこの点について、今まで国民は今の吉田内閣では中共やソ連とは取引はなかなかできないし、また吉田内閣がやつてつたのでは相手がなかなか品物を入れてくれない、また買つてくれないというふうに実際考えているわけです。それで一体どこに障害があると政府はお考えになつておられますか。
  172. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 今中共やソ連との取引を望んでいるということは非常に進歩だとおつしやいましたが、私は日本として大きな貿易の対象であるところの中共との取引は前から望んでおつたのでありまして、今あらためて進歩した意見を申し上げているのではないのであります。前から私の意見はかわつていないということをあらかじめ申し上げておきます。  なおどういう障害があるかということでありますが、御承知通りに、われわれは今占領下にあります。従つて今日われわれは司令部のポリシイーに沿うた行動をいたさなければなりません。そういうことを勘案いたしましてできるだけわれわれは中国がわれわれの貿易の大きな役目を占めているということに対しての認識を深めてもらうと同時に、何らかの形でこれらの取引ができることを期待しております。そこで以前は香港貿易だけしかなかつたのでありますが、最近は天律貿易もできております。またこれはむしろ日本に参つているバイヤーを通じての話でありますが、天律貿易もできておるのであります。私は最近の行き方から見まして相当の進歩をいたしており、取引の額においても、取引の方法においてもなお努力を続けて、できるだけ中共貿易が順調な軌道に乗るように努力したいと思つております。
  173. 風早八十二

    風早委員 政府希望並びに努力すると言われることは、われわれもこれを了とするのでありますが、いつも貿易の制限が問題になるのは、結局これが管理に置かれているということです。今回は民間貿易にする、あるいは自由貿易にするといつたようなことが盛んに政府によつて言明せられておるのでありますが、この点につきまして、今のこういう法案などをちよつと見ましても、結局具体的な問題はみな政令によつてきまるというようになつており、法案自体はほとんど骨抜きであります。今の仕向地にしましても、かりに政府がいくら望んでおるとしても、その仕向地が政令によつてきまるということになりますと、これは決して国民の意思を十分に反映するということはできないわけであります。やはり国民の意思は国会を通じて、その細目に至るまで常に国会の多数の議決によつて、きめられて行くのでなければならないと思うのであります。その点で、この法案全体が一つの委任立法のような形になつているというところに、根本的な問題があるわけです。もしもこれをこのままに置きますれば、名目は一部の閣僚審議会といつたような、現在の日本の官僚をもつて構成せられるものになるかもしれませんが、その実は、国際的な偽装貿易関係の、大きな資本家の利害にこれが従属して行くという危險が多分にあるわけであります。これは最初から多分にあり、この点で、いわゆる民間貿易なるものが――民間とは言いながら、結局今度はただ頭がかわつて行くというだけのことになるのでありまして、この点はこれからの審議にあたつて問題になることであると思いますが、この点について、政府はその場合どういう見通しを持つておられるか、これは委任立法になるという危険を十分認めておられるか、その点だけを最後的に伺つておきたいと思います。
  174. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 ただいまの御議論に対してお答えします。この御審議を受けるときには安本委員会にかかるそうでありますが、この法案の御審議のときには、大体われわれの省に関係した政令につきましては、要請を示して御審議を願うつもりであります。
  175. 風早八十二

    風早委員 今日の各新聞に日英通商協定について出ておるのでありますが、ところがどの新聞を見ましても、どうも日本人の顔がないのです。一体これは日本とイギリスとの協定であるか、それともアメリカとイギリスとの協定であるか、どつちなんですか。
  176. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 日本は今はまだ平和條約を結んでおりません。従つてわれわれは直接に英国と契約はできないのであります。この前ちよつと本会議でも憲法違反ではないかというようなお話がありましたが、われわれは今契約の当事者ではございません。この点ははつきりいたしております。従つてわれわれの方でこれにサインはいたしておりません。一方は英国の代表者であり、一方は総司令部の貿易関係の代表者がサインをいたしておるのであります。
  177. 風早八十二

    風早委員 それは大体わかつておりますが、しかしながらその場合、日本もオブザーバーとしては出ていると思うのであります。その場合に日本のオブザーバーに與えられている権限といつたようなものは、具体的にはどの程度のものでありますか。
  178. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 オブザーバーはオブザーバーであります。
  179. 風早八十二

    風早委員 そのオブザーバーというものは、内容には全然タツチできないというわけですか。
  180. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 品種その他についての内的の御相談は受けております。しかしオブザーバーであります。
  181. 風早八十二

    風早委員 実はそこに問題がある。大体このオブザーバーという形で、しかも日英の協定であるとか、あるいは日本とドイツとの協定であるとか、あるいは日本とアルゼンチンとの協定であるとか、ありもしない協定を日本の名前をかぶせてやつておりますが、その間に一体どういうことが行われて来るか。これは日英協定の内容を見ますと、とんでもないことになつて来ておる。それは日本がほしい物が必ずしも入つてくるのではなく、何か抱き合せて入つて来る。こういう点が多々あるのであります。特に日本の民族産業と競争関係にあるような物が入つて来る。たとえばゴムにしましても、鉄鋼にしましてもそうでありますが、ゴムなどはもう現在でも原材料は持てあましておる。しかも今まで三万五千トンでしたか、それが今度は五万トンにふえて来るということになりますと、それはもう全設備を運転しても追つつかない、そしていたずらに滞貨を激増させる、こういうことになるおそれが多分にあるわけであります。また鉄鋼につきましてもどんどん鉄鉱石が入つて来るということになりますと、一体それはどう始末するつもりであるか、これははなはだ迷惑千万である。政府はこれらの協定に対しては、オブザーバーであるから何も関係はないと言われるが、これは関係ないどころか、日本のこれからの民族産業はこれによつて支配されて行くのでありまして、こういう点に対して、一体政府はどうお考えになつているのか。私はこういう協定を次々とやらしておいて、やり過すということは、政府としては国民に対して重大な責任があるのではないかと思いますので、この点に関する政府の所見を伺いたいわけです。
  182. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 大分風早さんは実情を御存じないように私は承知いたします。たとえばゴムの例をおとりになりましたが、日本のゴムは需要がただいま七万トンであります。五万トンでは少ないのであります。そこで実際の設備能力はどうであるかと申しますと、フルに働きますと八万トン程度の設備能力を有しております。実際の需要は七万トンであります。それで実際にはあなたも御承知のように、たとえばトラツク、タイヤはやみである。これはタイヤが足りないからであります。自転車のタイヤもやみである。それも物が足りないからであります。あなたの御質問はこういう実情を全然御存じないからであります。ただ一部のゴム業者は、ゴムが入つて来ると値段が下がるから困ると言つておられる。その声に乗せられたお話にすぎないものだと思います。また鉄鋼について申しますと、風早さんは日本の鉄鋼業が鉄鉱石をとるのは間違つている。一体今の数量で余つているではないか。こういうお話でありますが、これも非常な間違いであります。現にわれわれは厚板の引合いを受けてもお断りしなければならない状態にあるのです。四万トンの引合いを受けた。しかも値段はいい値段である。しかしながらお断りしなければならない。オツト商会が引合い料をよこした。それも断らなければならない。これが実情であります。それで実際にはわれわれはできるだけ優秀な、値段の安い鉄鉱石を入れたいと考えております。そこで風早さんの御意見は間違つておりますから御訂正を願うとしまして、一般論として考えてみますと、抱き合せているではないか、押しつけられているではないかという議論がよく出るのであります。しかしながらわれわれは実際に取引する場合には、日本が必要なものの以外はとつておりません。実際に品目を見る場合に、ある時期においてはその品目は余つている。しかしながらあるときには足りないときがある。品目が並んでいるからといつてわれわれはそれを全部とるのではなく、われわれは四半期ごとに、あるいは一箇月ごと一箇月ごと一つ委員会において割当をやり、その割当によつて大体とつて行くということでありまして、これは必ずしも抱き合せてあるとか何とかいうことでなく、その実情に応じてやるものであつて、抱合せであるとわれわれは考えてもおらなければ、押しつけられているとも考えておりません。その点は全然あなたと私は意見を異にいたしております。
  183. 風早八十二

    風早委員 通産大臣でありますから全然知らないとは言わない。しかしながら通産大臣はまつたく一知半解である。たとえばゴムの問題につきましても、向こうから入つて来るゴムはどういうゴムか御存じですか。これは上質のゴムなんです。こつちで……。     〔「風早君、物笑いだよ」「ゴムはよしたまえ」と呼ぶ者あり〕
  184. 植原悦二郎

    植原委員長 静かに願います。
  185. 風早八十二

    風早委員 いかにゴム業者であつても、日本のあなたのようなゴム業者と日本の多数のゴム業者とはまつたくその見解が違う。われわれの実際にぶつかつているゴム業者は、雑品をつくつて輸出しようとしているのですが、それには上質のゴムははなはだ迷惑千万です。安い、上質でないゴムの方がかえつていいのです。しかるに向こうからは、いやでもおうでも上質のものが入つて来るというのが実情でありまして、その意味で私はこの取引は日本にとつてはなはだ不利である。日本の一部の大ゴム業者はいざ知らず、日本の多数のゴム業者にとつてはまつたく不利である。われわれはこういう中小の多数のゴム業者の利益をここに反映して申し上げる次第であります。向こうから入つて来る上質のゴムはごめんである。だからせつかく日本でやつているゴムの生産能力は十分発揮せられない。  さらにもう一点でありますが、今まで輸出向で貸越になつております三千八百万ドルという分が今度は輸入に充てられる、こういつた点は一体どういうことになつておるのか。われわれから考えれば明らかに日本にとつて不利であると考えるのでありますが、これは今度ドル建をポンド建にするということと相まつて、こういう点は一体どういう勘定になるのか、この点は政府説明をしていただきたいと思います。
  186. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 ゴムのことはお考え違いだと申しましたが、なおお話でありますのでもう一度申しますと、日本に入つているゴムは今FAQあるいはそれ以外の種類がいろいろ参つております。それからくずゴムも入つております。中小ゴム業者はいいものは困ると言われますけれども、これは中小企業の人が上質のゴムとくずゴムとの再生ゴムをおまぜになるとコストが安くなり、それからいい品物ができる。これは私はくろうとですからよく知つております。あなたは実情をよく御存じないからそれはおやめになつた方がいい。  それからあとの御質問は九百五十万ポンドで開始するということに相なつております。九百五十万ポンド、入れたときの値段のポンドをそのまま差引く、こういう形に相なつております。
  187. 植原悦二郎

    植原委員長 まだ風早質問がありますか。あればお許ししますけれども、みんなこの程度であなたの御質問はやめた方がよかろうと言つておるのですが、この程度で打切つてはどうですか。
  188. 風早八十二

    風早委員 それでは、池田大蔵大臣に対する質問を留保して、打切ります。
  189. 植原悦二郎

    植原委員長 明日は午前十時、定刻より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十一分散会