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1949-11-18 第6回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 上林榮吉君    理事 小峯 柳多君 理事 庄司 一郎君    理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君    理事 川崎 秀二君 理事 風早八十二君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       天野 公義君    井手 光治君       大上  司君   岡村利右御門君       尾崎 末吉君    角田 幸吉君       北澤 直吉君    小金 義照君       小平 久雄君    坂田 道太君       島村 一郎君    周東 英雄君       高橋  等君    田中 啓一君       玉置  實君    塚田十一郎君       西村 英一君    丹羽 彪吉君       船越  弘君    松浦 東介君       松本 一郎君    南  好雄君       稻村 順三君    西村 榮一君       水谷長三郎君    武藤運十郎君       北村徳太郎君    中曽根康弘君       野坂 參三君    深澤 義守君       米原  昶君    奧村又十郎君       小坂善太郎君    山本 利壽君       平川 篤雄君    松本太郎君       黒田 寿男君    世耕 弘一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         通商産業大臣  稻垣平太郎君         郵 政 大 臣         電気通信大臣  小澤佐重喜君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         国 務 大 臣 青木 孝義君         国 務 大 臣 本多 市郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         内閣官房副長官 郡  祐一君         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局長)         大藏事務官   河野 一之君         (銀行局長)         大蔵事務官   愛知 揆一君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         経済安定政務次         官       西村 久之君         (財政金融局         長)         経済安定事務官 内田 常雄君  委員外出席者         大蔵事務官   賀屋 正雄君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十一月十八日  委員麻生太賀吉君、根本龍太郎君、小金義照君  及び小野孝君辞任につき、その補欠として島村  一郎君、北澤直吉君、船越弘君及び村瀬宣親君  が議長の指名で委員選任された。 同 日  理事稻村順三君の補欠として勝間田清一君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  薪炭需給調節特別会計予算小委員会の設置  理事補欠選任  小委員及び小委員長選任  昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)  昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)  昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一  号)     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  昨日委員長は会期も非常に迫つておりますし、重要なる補正予算でありますがゆえに、なるべく徹底的に議員の方が質問する時間を多くとりたいと思いまして、議事進行をはかりました。西村君の御発言は、私は緊急な、しかも混乱した際でありましたがゆえに、多分議事進行質疑であろうと思いまして、上林山君の質問中にもかかわらず、これをお許しいたしました。しかるに本会に関連する総理に対する緊急質問のように考えましたから、これに対しては答弁は必要なしと申したのであります。その結果議事が混乱いたして、西村君も御発言を継続いたしておりましたがゆえに退場を命じましたが、これは秩序を維持するためのことでありまして、そのことは済みましたので、そのすぐあと実は退場を解消するよう取消しておきました。
  3. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は昨日議事進行についての緊急質問をいたしたのでありますが、何か委員長において誤解されたと思いますので、あらためて簡単にその趣旨を述べたいと思います。  昨日来紛議中心になつておりましたのは、委員長が本会議財政質疑の終了した後に、予算委員会審議に入りたいという御発言が去る十五日にございまして、そのことは当然従来の慣例から行き、かつまた第一院尊重政治観念から申しまして、当然に議事運営委員長の配慮であると考えまして、全員は了承いたしたのであります。ところが昨日に至りまして、この委員長方針が逆転いたしまして、予算委員会審議が先に始められるということについて、従来の慣例から疑義が生じて参つた。そこで従来の方針通り取扱うべしということを要求いたしたのでありますが、これが紛議中心でございまして、私は議事進行緊急質問をいたしました。その根本的な原因は、十六日に吉田総理が本会議に御出席にならなかつた。そのために本会議を開くことができなくて、順序がかわつたからであります。吉田総理が本会議出席できなかつた理由は、本会議開会の予定された一時から六時までの間の渉外関係用事のためと言われたのでありますが、この点が明らかにならない。従つて渉外関係の用務の内容まで立ち入つてお聞きしたいとは言わないのでありますが、本会議出席できないほどの重大な用事があつたかどうかということをここに明らかにしていただくことが、世間の誤解を解くゆえんではないか、こう考えまして、私は緊急質問をいたしたのであります。そこで本日あらためてその問題を総理にお伺いいたしたいのであります。どうか委員長におかれては、私の意のあるところを了とせられ、総理に御答弁を願うようにとりはからいを願いたいと存じます。  またただいま委員長より、上林委員発言中において私の発言を許したというお話がありました。私は過ぎ去つたことでありますから、委員長の昨日の議事進行ぶりについて、難詰その他をいたそうとは思いませんが、少くとも川崎君の動議提出の場合等、きのう一貫して流れておりました委員長の取扱い方は、きわめて不公平であつたという感じを受けるのであります。私は民主主義政治においては、少数派意見といえども、理解と納得の上で円満にやらなければ、議事運営は澁滞すると思うのであります。多数党の横暴つてする議事進行方法に対しては、少数党もまた対抗せざるを得ないといたしますならば、議事進行は結果において著しく澁滞いたすのであります。この点は今後もあることでありますから、私は植原委員長に希望したいのでありますが。犬養門下の闘士として、かつては多数党と長年闘つて来られた植原さんは、多数党の横暴は身をもつて御存じのはずである。しからば今日、多数に擁せられて委員長の席に着かれるとはいいながら、かつて苦い体験をなめられました植原さんは、自分の欲せざるところ他にも與うるなかれ、この金言従つて民主主義のルールに従つて、厳正公平なる取扱いを願いたいと思います。  次に、ただいまの私の退場をお取消しになつたという御発言であります。私はここに先輩植原さんにお伺いしたいのでありますが、議事規則のいかなる場合を考えましても、委員に対して退場を命ずることができるという條項はございません。本会議においては、議長議員あるいは傍聴人に対して退場を命ずることができますが、少くとも委員会における委員長が、委員退場を命じ、しかも退場を不合理なりとする主張に対して、衛視をもつて執行せしめ得るという條項はどこにもないように思うのであります。この点どこにあるか承りたい。教えていただきたい。衆議院規則第六十六條によれば「委員長は、委員会議事を整理し、秩序を保持し、」とは書いてありますが、発言を中止し、なお発言継続中の議員に対して、発言を中止せしめてこれを退場させる。その退場を不合理であるといたしますならば、衛視にその執行を命じ得るという條項はどこにもないのでありますが、いかなる根拠に基いて、昨日私に退場を命じ、かつまた衛視にその執行を命ぜられたかということを承りたい。
  4. 植原悦二郎

    植原委員長 西村君にお答えいたします。  ただいまの国会法によりますれば、委員会中心になつておりますので、本会議質問委員会とを並行することができるのであります。また委員会質疑だけをやつてつてもさしつかえないのであります。しかしですよ、本会議委員会のことでありますがゆえに、なるべく本会議の場合には、委員会質疑はあとに行く方が、形式的にも議員全体のためにもよいと考えまして、その手続をとるために、委員長は、特に議員発言を尊重し、なるべく議員諸君発言の時間を長く與えたいと思いまして、本会議の混雑も承知いたしましたから、これは形式の問題にとらわれず、必ずしも先例としないで、今回は本会議委員会にかかわらず委員会審議を進めるようあらかじめ理事の方にも相談し、実は言葉をきわめ、礼を低うして、各委員個人にも御相談申したのであります。委員長は食言するとかいうようなことは断じてないことをまず第一に、御承知願いたのであります。  次に、たとい緊急の議事進行でありましても、委員長を通じてでなければ、面接政府委員質問するということはできないのであります。にもかかわらず、西村君の御質問は、総理に返答せよという質問形式でありましたがゆえに、これは緊急質問でこの場合に取扱うべきことでない、本会議の問題に属すると思いましたがゆえに、あのようなとりはからいをいたしたのであります。  なおただいま、いかなる條項によつて委員長委員に対して発言を禁じたり、また退場を命じたかというのですが、衆議院規則第七十一條をごらんになれば、「委員国会法又はこの規則に違いその他委員会秩序をみだし又は議院の品位を傷つけるときは、委員長は、これを制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、委員長は、当日の委員会を終るまで発言を禁止し、又は退場を命ずることができる。」という規定かありますので、この規定に準じてやつたことを御承知願いたいのであります。  最後に、ただいま議事進行として、一昨日の本会議総理出席いたさざることにつきましてお尋ねがありましたが、これに対して総理は、今日ここに出席しておられませんので、出席されましたならば、総理にこのことを議事進行として委員長からお尋ねすることで御了承願いたいのであります。  議事進行中曽根君の発言を許します。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は薪炭需給特別会計の問題で、二点政府側議事進行でお伺いいたします。  まず第一は、この問題はすでに農林委員会においても、また予算委員会においてもしばしば論議されたところであり、最近の新聞によれば、すでに国警本部においてこれの検察を開始しているということであります。すでに全国で五百二十万俵の木炭が行方不明であり、しかもこれは関係官吏の汚職であるとか、取扱機関の不正であるとか、あるいは生産業者のから供出であるとか、国民にきわめて濃厚なる嫌疑を與えているのであります。こういうような疑惑がこめられている予算を、われわれはこのままにして審議することはできない。この疑惑はつきりしないうちは、私らはこれを審議することを差控えにやならぬ。このような不正や、あるいは疑惑があるからこそ、木炭の値段は高くなつておるのであつて、それがまた国民生活を圧迫しているということもある。こういう点を考えてみると、われわれはこの予算を一体政府はどういう気持を持つて出しているか、はなはだ私は疑問に思う。このような予算政府はなぜ撤回してはつきりしてから出さぬのか。これを撤回する意思がないかどうか、これをまず政府にお伺いいたしたい。
  6. 益谷秀次

    益谷國務大臣 ただいまの撤回する意思がないかどうかということについては、撤回する意思はございません。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 政府は撤回する意思がないと言われましたけれども、あなた方はこういう疑惑のこもつている予算をはたしてこのまま出していいか、もしこれがこのまま出て来て、政府関係者相当犯罪者やその他が出て来た場合に、政府は一体どういう責任をとるつもりか、そういう点までお考えになつて政府当局はこれを撤回しないということをおつしやつておるのかどうか、私はこの点は非常に追究したいところです。しかしこの前の予算委員会において、この予算はつきりしないうちは、われわれは審議は進められぬ。そこで私は動議提出しておつた。最近の新聞その他によれば、ますますその嫌疑は濃厚になつたので、私はこの前の動議をさらに修正して、もう一回確認してもらいたいと思うから、この薪炭需給特別会計の不正をつくために特別の小委員会をつくれ、その小委員会によつて、前には会計検査院を召喚しろと言つたのでありますが、私は会計検査院のみならず、関係当事者一切、国警本部関係官も検察庁の関係官等を召喚して、徹底的に究明することをまず議題に供すべきである。そういう点を確認していただきたい。修正の動議提出いたします。
  8. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長中曽根君に議事進行発言を許しました。動議発言ではないはずですが……
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 議事進行です。この前私が動議を出しておるのに依然としてお取上げにならぬ。ここで確認しないで理事会でもやらぬ。(「否決した」と呼ぶ者あり)否決も何もしない。そのままになつておる。それをどうしてくれるかということだ。議事進行でおとといやつたばかりです。理事会を先にすぐ開いておきめ願いたい。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  10. 小坂善太郎

    小坂委員 議事進行に関して緊急動議……。ただいま中曽根委員から緊急に理事会を開くべしという動議提出されておるのであります。その動議を採択するかいなかについてここで採決を願います。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  11. 植原悦二郎

    植原委員長 小坂君の動議賛成がありまして成立ちます。ただちにこの際理事会を開くやいなやを採決いたします。  理事会を開くべしとの方は御起立を願います。     〔賛成者起立
  12. 植原悦二郎

  13. 植原悦二郎

    植原委員長 この際お諮りいたします。理事稻村順三君が辞任されましたので、その補欠選任いたしたいと思いますが、これは先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議なければ勝間田清一君を指名いたします。     —————————————
  15. 植原悦二郎

    植原委員長 松本太郎君より議事進行について発言を求められております。これを許します。
  16. 松本六太郎

    松本(六)委員 私はなるべくすみやかに本論に入りまして議事を進めたいと存じますがそれにつきまして重大なる問題が一点ありますから、まずこれを解決いたしまして、すみやかに本論に入つて審議を進めたいと存じます。  その問題は外国為替管理特別会計六百七十一億余万円の予算案、並びに輸出金融補償に関しまする五億五千九百余万円のこの予算案に対する法律案が、いまだ提出せられておらないのであります。われわれはこの重要なる予算審議するにあたつて、その法律案提出されていない現段階におきましては、いかなる内容を持つものであるかという点についても了解することができないのであります。従つてこれはすみやかに法律案を出されましてこの内容を十分検討いたして審議することが、最も妥当適切であると存じますがゆえに、この点について政府の所信をただし、委員長においてしかるべくおとりはからいが願いたい、かように存じます。
  17. 植原悦二郎

    植原委員長 ただいま松本君の議事進行に対する御発言に対しまして、委員長政府に確かめました。外国為替特別会計の方は本日提出されたそうであります。また輸出金融補償特別会計に関する一件は、ここ一両日中に提出ができるだろうということであります。かような場合においては審議を継続して行く慣例がたくさんあるのでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。  なお西村君の議事進行に関する御発言中、総理が去る日、本会議出席しなかつたことの理由を承りたいということでありましたが、総理が御出席になりましたから、総理にその御説明をしていただきたいと思います。
  18. 吉田茂

    吉田國務大臣 私がちよつといなかつたので何ですか、この間——一昨日でありましたか、私が主席できなかつたことについてのお尋ねだろうと思います。これはある外国人会つておりました。だれに会つたか、どうしたかということは、私は職務上申し上げることはできませんが、しかし外国人会つてつたことは事実であります。
  19. 松本六太郎

    松本(六)委員 ただいまの委員からの御説明で大体了承いたしましたけれども、その一両日と申されます意味は、それは大体幾日に出されるのかということをはつきりさせていただきたい。
  20. 植原悦二郎

    植原委員長 御承知通り、これは関係筋との交渉によることでありますから、ただこちらだけの意見では申されないと思いますが、ただいま政府に問いただしましたところが、つとめて早い機会提出するつもりだ、こういうことでありますから御了承を願いたいと思います。  これより質疑に入ります。上林榮吉君。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 御承知のような事情によりまして、どうも質問者においても大きな被害を受けたわけでありますが、これから本質的な質疑に入りたいと思います。  まず私は大蔵大臣に対する昨日からの質問を保留いたしまして、建設大臣に対しましてお尋ねいたしたいのであります。公共事業費国民の切実な要望がほとんど実現いたしまして、今年度は百六億円、明年度失業対策費四十億円を含んで一千億円が確定したことは、有効需要の喚起の点からいつても、効果的な失業対策からいつても、注意するに足ると思うのでありますが、さらに一歩前進せしめて、われわれが考えて、しかも準備したいことは、公共事業、特に災害益盆復旧予備費をば二百億円、あるいは事業が許すならば三百億円程度のものを毎年確立して、わが国のあらゆる宿命的な災害対策に資すべきであり、かつまた法的にも、根本的な処置を講じて、たとえば災害補償法のごときものを確立しておく必要がある。こういうふうにわれわれは考えておるのであるが、これに対して建設大臣はどういうふうに考え、かつ努力をされておるかこの点をまず承つておきたいのであります。
  22. 益谷秀次

    益谷國務大臣 明年度予算におきましては、ただいま上林山君のお尋ねのごとく、公共事業費は大体一千億ということに決定をいたしたのであります。そのうち明年度起り得る災害に対する予備費、これに対しては相当額のものを予算の上に計上いたすべく努力いたしております。さりながら今日はまだ最終的の決定には達しておらぬのであります。百億になりますが、またそれ以上になりますか、最終的の決定には至つておりません。なお災害補償制度ということもありますが、これに対しては政府といたしまして研究をいたしております。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 公供事業費予備費を百億円程度組むべく努力をしておる、こういう点に対しまして、予測せざる災害防止という点から、政府が一歩前進の考えであるという意味において、われわれは共鳴するのであるが、先ほどから申し上げる通り、少くとも二百億円ないし三百億円程度のものを、将来はあらゆる財源を考慮した上で努力する。こういう点について政府の一段の努力を要望すると同時に、ただいま災害補償法のごときものについて研究をしておる、こういう答弁がありましたが、われわれも災害対策特別委員会等において、こういう問題について相当研究をしておりますが、政府考えておる災害補償法もしくはこれに類似のものはどの程度のものであるか、構想があるならば一応承つて参考に資したい、こういうふうに考えるが、その点お尋ねしておきたい。
  24. 益谷秀次

    益谷國務大臣 ただいまの御質問でありますが、これはひとり建設省関係のみではございません。政府全般の政策の一環として考えなければならぬのでありますから、私建設大臣として検討いたしておりますが、今ここに私のみの案を申し上げる機会に至つておりません。政府全般として研究いたさなければならぬ問題であると信じております。その研究に対しては私も重要な関係がありますので。すみやかに成案を得るべく推進をいたす考えであります。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 次に私は今回の災害実情を検討してみますと、直接河川あるいは大河川もさることながら、中小河川及び中小河川に指定せられざる河川に非常に災害が多く、その災害によつて耕地あるいは道路、人家、人命等に多大の損害を與えておるというのが特徴のように見受けられるのであるが、政府予算費定は必ずしもこの方同に一致していない。特に河川に直接付随しておる有効耕地面積重点を置いて、その査定が進められておるかのように聞くのでありますが、これは河川全体から来る災害防止——あるいは今日まで財政の都合によつて放置されておつたところのこの方面が非常に恩典に浴する点が薄い、こういうふうに考えるのでありますが、この査定方針について建設大臣はどういう実際上の処置をとられておるか、あるいは今私が言うこの問題に対して、どういう見解を持つておられるか、その点をただしておきたいのであります。
  26. 益谷秀次

    益谷國務大臣 災害査定につきましては、大体各都道府県から災害の直後に災害の申請がありまして、それに基いて私どもが検査をいたして査定額決定いたすのであります。しかして私の所管におきましては、御承知通り公共土木施設損害査定いたし、そして助成すべきものは助成をいたすということになるのであります。ただいまのお話のごとく、所によりましては公共土木施設というものはほとんどないところがございます。そうしてそういう方面において非常に災害が起つたという所もありますが、今日までの建設省といたしましての査定方針は、公共施設損害を比較的嚴密に査定いたすというわけであります。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 公共土木事業費に関する御答弁がございましたが、私が今申し上げておるのは、そういうような点から考えてみても、あるいは大臣所管以外の点から考えてみても、今度の災害特徴中小河川もしくは中小河川に編入せられないような方面に非常に災害が多い。これが実情であるから、直轄河川あるいはそういうようなものだけに重点を置かぬような査定方針で進んでもらわなければならぬ。もちろん政府全体としての問題でありますが、建設大臣はこの問題についてどういうふうにお考えになつておるか。しかも河川予算査定の方向を見てみますと、それに付随した有効耕地面積というようなものが重点になつておるように思われる。これでは中小河川その他から来るところの災害全体の防止ができるか、災害防止規則が惡ければ規則の改正をしなければならぬが、実際のところはやつてみなければ効果が薄い、こういう意味において申し上げておるのでありますが、これに対してさらに建設大臣あるいは関係の方がおられるならば御答弁を要求をいたします。
  28. 西村久之

    西村(久)政府委員 上林山君のお尋ねにお答えをいたします。政府といたしましては、災害費配賦につきまして上林山君のお尋ね通りに、各災難の実情を勘案いたしまして、河川はよりませず、あらゆる角度から各省関係災害配分をいたしまして適切な方途をとつておるのであります。建設省関係考え方は建設大臣のお考えのようになるわけでありますが、各省関係災害を総合的ににらみ合せまして、河川なり、あるいは農業方面なり、あらゆる関係を勘案いたしまして災害費配分をやつておるのであります。さよう御了承を願います。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 中小河川に対する査定方針、あるいは中小河川に編入せられざる、あるいは編入直前にある中小河川、そういうものに対する災害査定方針、これは私が言つたような意味において査定をされる御意思であるのか、それとも今までのような付随したる有効耕地面積というようなところに重点を置かれるのか、そこは少し微妙になりますが、そういう点を伺つておきたいのでありますが、建設大臣からでも安本次官からでもけつこうですが、御答弁を願います。
  30. 益谷秀次

    益谷國務大臣 災害の場合には直轄河川、直轄道路もとよりであります、指定してある中小河川についても公共土木施設損害を否定いたします。なお中小河川に編入せられない河川につきましても、災害についてはそれぞれひとしく査定をいたすのであります。ただ工事を施行する場合につきましては、有効的に予算を使つて参らなければならぬのでありますから、緊急地点を先にいたしておるという関係もございますので、従つて小さい川の比較的被害が少いというような査定をいたしました部分については、おのずから助成があとまわしになるということはやむを得ないことと存じます。
  31. 上林山榮吉

    上林委員 災害査定方針については、われわれの希望に即するように、一段の努力をば要望いたしたいのでありますが、次に港湾のごときあるいは漁港のごとき問題に対して、相当予算の計上を見ねばならぬのでありますが、われわれは災害その他の事情を考慮いたしまして、来年度は少くとも四十億、これくらいのものを予算に計上を要すべきであると考える。ことに航路標識のごときものは日本では等閑に付せられておりますが、災害の起る点からいつても、日本の海が非常に暗いという点からいいましても、どうしても少くとも十億程度予算を組まなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。建設大臣関係があるようでありますが、これに対してどういう方針を持つておられるか。比較的こういう問題については、災害あるいは建設両方面から考えても、どうも政府は関心が薄いように思う。だからどうしてもわれわれはこういうような方面に対して特に一般の努力と、しかも今言つたような予算額に近いような予算、こういうものに対する努力をばしていただかなければならぬと思うのでありますが、これに対する答弁を要望いたします。
  32. 益谷秀次

    益谷國務大臣 港湾漁港等は私の所管ではございません。しかしながら国務大臣の一人として私も予算編成に関與いたしておりますが、漁港湾の災害の復旧並びにただいま上林山君のお尋ねの航路標識などについても、格段なる注意をいたさなければならぬというので、次の通常議会に御審議を願います予算には、相当類の予算が計上いたしておることと信じております。
  33. 上林山榮吉

    上林委員 さらに災害に関連して大きな問題になつておりますのは、御承知通り、その重要性と緊急性からいいまして、私は戰災復興の問題であると考えるのでありますが、この問題に対して、政府においても今回戰災都市復興五箇年計画というようなものを確立されまして、約三百数十億円程度の継続予算を組む方針のように聞いておるのでありますが、戰災都市のこれらの問題については、われわれに対して切実な要望がありますので、これに対しては三百三十四億円という程度にとどまらず、少くとも政府は年百億程度の計画を立てられて、今まで往々にして放置されがちであるこの問題について、一段の努力をしなければならぬと思つておるのでありますが、建設大臣はこの問題に対してのその後の経過あるいは今後の見通し、これについてどういう考えを持つておられるのであるか、これは復興五箇年計画を樹立されるというその御努力に対しては、われわれも協力を惜しまぬものでありますが、さらに具体的な答弁があれば幸いであります。
  34. 益谷秀次

    益谷國務大臣 戦災都市復興については、これは政府の重要政策の一環として織り込んで復興に努力して参つたのであります。しかしながら国の財政はもとより、多額の負担をいたさなければならぬ地方公共団体の財政も極度に窮乏いたしておりますので、今回は去る六月末と記憶いたしておりますが、戰災復興計画の基本要綱を再検討いたしたのであります。そうして一日もすみやかに戰災都市復興をいたさなければならぬという建前から、去る九月の末に一再検討の案を確立いたしたのであります。そうして従来百十三都市でありましたのをたしか八十三都市に減じ、さらに区画整理の面積を一億万坪取上げておつたのを、八千万坪くらいに減じました。そうしてある都市——東京都のごとく、都市計画では百メートルの道路が三本も四本もあるというようなところもありました。この百メートルの道路などはもう少し縮小して、すみやかに復興都市計画が完了するようにという考えから、再検討いたして、案を決定いたしたのであります。これはただいま仰せのごとく、約三百三十億程度の金を要します。うち地方公共団体の負担は半額であります。国の助成金が半額でありますから、そうしてこれを五箇年でやるということになりますから、三百三十億を十で割つたすなわち三十三億程度を毎年助成金として支出いたして、五箇年で区画整理を完了する。そうして戰災復興のために特に住宅建設のために区画整理を断行いたして、すみやかに住宅の復興を企図いたすという考え決定いたしたのであります。従つてこの三百三十億の計画によりましても、なおさらに国家の財政、地方の財政から勘案いたしまして、圧縮すべきものは、十分に圧縮して、とりあえず五箇年の間に区画整理を完了いたすという建前から、来るべき通常国会に御審議を願う予算においては、相当額のこれに相応する予算を御審議願うようになることと存じております。
  35. 上林山榮吉

    上林委員 五箇年計画に基く今年度及び来年度の予算額、われわれは先ほどから申し上げておるように少くとも百億を要する。こういうふうに考えておるのでありますが、財政関係もあつて思うようには行かぬかもわからぬけれども、相当額努力をする。こういう言明を得ましたので一応了承いたしますが、その額は大体においてどの程度であるか。あるいは四十億円程度になれるものか、あるいは五十億円程度を目標にして努力をされるものか。努力目標をお示し願えるならば幸いであると思います。確定しておる問題でないから答弁はむずかしいと思いますが、努力目標をどこにおいておられますか。この点を伺つて参考にしたいと思います。
  36. 益谷秀次

    益谷國務大臣 先ほどお答えいたしました通り三百三十億を要するのです。これをさらに圧縮しまして、区画整理だけは早く完了いたしたいという考えから、今予算編成に努力しておりますが、最終的の決定はいたしておりません。しかしながら戦災復興都市の区画整理は都市局で担当いたしております。ゆえに、單に建設省のプロパーの予算のみではなく、あるいは失業対策予算もございます。そういうものをなるべく——失業対策ということが主でありますが、計画的に都市計画の方面、あるいは街路修理の方面に使うという方向で、都市計画固有の金額は、あるいは十分でありませんが、災害失業対策の労働省の持つておる予算等を運用いたしまして、そうして都市計画をすみやかに完了いたしたいという考えであります。しかしてただいま御審議を願つております予算のうちでも、五億の失業対策の費用があるのであります。これは計画的に大都市周辺の道路もしくは街路を修理いたすという方面に使いたいという考えから、安本、労働省等と今交渉いたしております。この五億は、ほとんど労務費であります。資材の費用は大したことはございません。この五億を有効に使つて、そうして戰災復興都市の区画整理に資したい、あるいは戰災都市の街路の修理に資したいという考えを持つております。
  37. 上林山榮吉

    上林委員 シャウプ勧告書の第三編の三によりますと、中央政府災害復旧に対する財政上の全責任を引受けてよいであろう、そういうふうに勧告されておるのでありますが、大臣も御承知通り、地方の財政が非常に逼迫して、災害及び戰災復興が遅れておる。このことはよく御承知通りであろうと思いますが、大体政府においての国庫補助は、全額にする方針であると思いますが、その全額にするという意味は、府県までを全額にするのであるか、それとも市町村までも全額国庫負担にするのであるか、この点を伺つておきたい。ことに市町村の財政の逼迫の状況は、今回の税制の改正によつて、妙味のある税金である入場税であるとか、あるいは遊興飲食税、事業税というものが県に移管された。非戰災都市であるならばまだしもでありますが、戰災都市にとつては、こういうふうにせられた結果、土地は荒野になつておるから、地租は十分にとれない。あるいは家屋はバラック建が多いから、これも家屋税は十分にとれない。住民は減少しておるから、これも予定通りとれないのでありまして、これを非戰災都市あるいは戰災都市と、画一的に税収をお考えになつては、私どもは予定された戰災復旧はできないと思う。これに対し市町村まで全額国庫負担で行くか、それができないならば、こういう非戰災都市、非戰災都市を勘案されて、平衡交付金などによつてこれらの調節をやるか、それとも現在二万の一である、市町村の補助をもとむと通りにして、三分の二にこれを復元するか、何らかの具体的な方途を講ぜられなければ、この点が十分でないと思うのであるが、これに対してどういう見解を持つておられ、さらにどういう努力をしておられるか、伺いたいのであります。
  38. 益谷秀次

    益谷國務大臣 戰災復興都市計画に関する政府の補助は、現在は半額助成であります。これを全額国庫負担にする考えがないかというお説でありますが、戰災復興都市計画についての助成金は、今日の財務状態から見まして、現在の補助金に遺憾ながらとどまらなければならぬと思つております。しかしながら、財政のゆとりがつきますと、従来のごとくあるいは三分の二、あるいは全額というようなことも考慮せられるものと存じております。  ざらに一般災害でありますが、上林山君の仰せのごとく、シャウプ勧告案によつても全額国庫負担にすべきものであるという勧告がございましたので、明年度からでありますが、明年度からは原則といたして、災害については全額国庫負担ということに知ると存じておりますが、ただ問題は、明年度から起る災害を全部国庫負担にするか、あるいはすでに災害のあつた——明年度から申しますと過年度災害でありますが、これをも二十五年の四月一日からは、全部国庫負担にするか、この点については、いまだ決定をいたしておりません。今日においては、私の方では各省とも相談をいたして、今研究中であります。これはまだ未定であります。従つて市町村の河川あるいは市町村負担の道路というものも、あるいは災害の場合には全額国庫負担になるのではないかというように考えております。これはただいま申しました通り、なお最終的の決定はいたしておません。目下関係各省と共同して検討中であります。
  39. 上林山榮吉

    上林委員 この問題は非常に重要な問題であると思うので、さらに伺いたいのでありますが、ただいま大臣のお説を承つておりますと、明年度の分については、府県を問わず、市町村を問わず、災害に対しては全額国庫負担になるように努力中であり、大体その見通しはついておる、こういうふうに聞いてよいのかどうか、それが第一点。  第二点は、非戰災都市と戰災都市とによつては、非常に地租あるいは家屋税、住民税というものにハンディキャップがついておる。だから、これに対して平衡交付金を交付する場合において、相当実情に応じた交付金をやらなければならぬと思うのであるが、この点をどういうふうに考えておるか、これが第二点であります。  第三点は、過年度の災害に対しては、全額国庫負担になるかどうか、現在のところはわからない、こう言つておられるが、将来のいわゆる災害に対する政府のそういう努力は、先ほどの私の質問の趣旨からいつても、われわれは共鳴するところであるが、過年度の災害に対して、おつしやるように全額国庫負担をしてもよいというのがこの勧告書の趣旨ではないかと思う。ということは、もちろんこれは純財政上の勧告でもありますけれども、いわゆるシャウプ氏が日本に来て、日本の災害がいかに重要であるか、被害が大きいかということをまのあたり見ての勧告であろうと私は思う。そういう点から考えまして、過年産の災害に対して、地方は非常に困つておるわけでありますから、これに対するところの見通しがあいまいであるように聞くが、もう少し具体的に見通しは伺えないかどうか。御相談する方面があるならば、相談されて、ただいまでなくてもよろしいが、適当な機会にお答えくださつてもけつこうですが、この点について、もう少し承つておきたいと思います。
  40. 益谷秀次

    益谷國務大臣 災害につきましては、戰災都市と戰災都市でないところと区別するかどうかということ、また戰災復興についての政府の全額国庫負担等については今検討中でありますが、これは直接衝に当つておりますのは大蔵省でありますから、幸い大蔵省の局長が見えておりますから、この点についての今日までの大体の経過を局長から答弁するようにいたしたいと思います。
  41. 河野一之

    ○河野政府委員 シャウプ勧告に、災害を全額国庫負担せよとありますのはその通りでありますが、この災害の全額国庫負担の問題につきまして、どういうふうに考えるかということでありますが、まず災害もいろいろあるものでありますから、たとえて申しますれば、風水害とか、地震とかいうことは当然入ると思いますけれども、そのほかに鉱害であるとかあるいは旱害、あるいは地盤沈下であるとか、こういつたものを災害として全額国庫負担する対象に入れるかどうかということに問題が一つございます。すなわち災害の範囲の問題であります。それから災害の対象といたしまして、公共的な施設、たとえて申しますれば道路も河川、港湾というものが当然入るかと存じますけれども、農地であるとかあるいは住宅、家屋であるとか、あるいは公共的な建物がございますが、どの程度まで国で全額持つものであるかというような対象の問題の検討しなければならぬと思つております。もちろん現在あります災害土木費国庫補助規定によります災害土木費というものは、当然全額国庫負担すべきでありますが、シャウプ勧告にもあります通りに、非常に軽微なものは負担を通常の市町村団体においてやるべきものだというふうなことも書いてございますし、その軽微なものというのはどの程度のものをとるべきであるか、一件当りの金額で行くのか、あるいは地方財政の税收の何パーセント以内のものはそうするのであるかというような点が、まだ検討しなければならないところだろうと思います。従つて府県の分にするのか、市町村の分も含むのかという点についても、なお地方財政との関係もにらみ合せてきめなければならぬというふうに思つております。但し先ほど上林委員から言われました通りに、町村その他におきまする災害費の負担に対して、平衡交付金で考える用意があるかというお話でありますが、その点につきましては平衡交付金の中にある程度特別の交付金を設けまして、そういう特別の財政事情を考慮するというような措置がどうしても必要ではないかというふうに、私どもとしては考えております。  それから過年度分の問題でありますが、これは非常にむずかしい問題でありまして、過年度分の災害を全額国庫負担するということになりますと、今までたまりましたものが事業費で約千億程度に相なるわけであります。これは農地なんかを除きまして、道路、河川、港湾といういわゆる災害復旧費がその程度に相なるものであります。これを何箇年でやるかといろ問題もございますし、中には、ある府県におきましては国の補助なしにある程度進行せられておるといつたようなところもあり、ある府県におきましてはそれもできないということで、過年度の分について全額国庫負担するということになりますと、その辺において非常にやつかいな問題が——厚薄と申しますか、不公平と申しますか、そういつたような問題もあるわけであります。従つてでき得べくんば二十五年度以降ということが、一応は制度的には望ましいわけではありますけれども、現在地方団体が非常に災害のために財政窮乏している。それを救うという趣旨から、考えますならば、過年度のことも考えなければならぬというような点もあるのであります。こういつた問題は来年の地方財政の姿を検討いたしまして、愼重に善処したいと考えております。
  42. 上林山榮吉

    上林委員 この際私は先ほどから申し上げているのでありますが、一言大蔵大臣にお伺いいたしまして、さらに個々に質問に入りたいと思います。先ほどから建設大臣及びその他の人にお伺いしているのでありますが、はつきりしない点は、非戰災都市と戰災都市もことに今度の税制改正で妙味ある税金であるところの入場税、遊興飲食税あるいは事業税というものが県に移管される、そうして残つたものは結局地租と家屋と住民税が地方都市に移管されるわけでありますが、そうなると非戰災都市と戰災都市の場合においては、非常に税收において懸隔がついて来る、御承知通りに地租をとろうとすれば焼野原である、あるいは家屋税をとろうとすればバラックが多い。あるいは住民も非常に減少しておる。こういう状態でありまして、戰災都市は財政的に特に窮乏しております。この際ただいま事務当局から平衡交付金等によつて特別交付金等のような制度を設けてもその凹凸を是正するにやぶさかでない、こういうような経過報告があつたわけでありますが、これに対して大蔵大臣の所見を伺つておきたいのであります。
  43. 池田勇人

    池田國務大臣 地方税制度がシャウプ勧告案によりましてかわつて参るのでございます。従いましてお話のように戰災都市と非戰災都市では、従来にも増して非常な不権衡が起つて来ると予想しなければなりません。従いまして財政平衡資金をうまく活用いたしまして、厚簿のないようにして行かなければならぬことは当然だと考えております。
  44. 植原悦二郎

    植原委員 これにて休憩いたします。午後は一時半に嚴格に会議を進めたいと思います。できるだけ全部の委員国民のために有効に時間を使いたいと思いますから、時間を厳守していただきたいと思います。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  45. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  午前に引続いて質問を許します。上林榮吉君。
  46. 上林山榮吉

    上林委員 本年度の補正予算及び明年度の本予算は、言うまでもなく、十五箇月の計画によつて編成されているわけでありますが、日本の経済回復への橋渡しとなるためには、予算と歩調を合せた活発な金融政策、滯貨等のない堅実な貿易の振興対策、特に輸入食糧の増大から来る農村経済への影響をいかに調節するかというところに、重大なキー・ポイントがあると考えられるのでありまして、この問題については大蔵大臣から金融対策について、農林大臣からこの方面の問題についての意見を拜聽したのでありますが、この際私は通産大臣はこれらの予算と並行して、いかなる貿易の振興対策を持つておるか、おおまかに具体的な問題について御説明を煩わしたいと思うのであります。
  47. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 ただいまの御質問についてお答を申しますが、貿易振興対策、ことに輸出対策については、御承知のポンドの切下げ等によりまして、年初といいますか、為替の三百六十円レートを開きました以後の足取りが、大体月平均三千五百万ドルから四千万ドル程度進行いたしておりましたものが、ポンドの切下げによりまして、にわかにポンド地域に対しては前月の四%という程度に一時下つたのであります。これはしかしながら私の考えといいますか、その当時想像いたしましたように、実際にポンドの切下げによつてポンド地域に対する価格が一割ないし一割五分程度つたという事実、それからこの地方から参ります輸入品についてはそれだけ安く入つて来るという観点から、三〇%の幅がかなりそれで狭められたということ、並びに今われわれがとつております考え方は、できるだけ従来のFOBあるいはフロア・プライスを廃止する、またオーシヨン・ヴェッセルはたくさんはありませんが、あるだけのオーシヨン・ヴェッセルは利用する、こういつた措置によりまして、また同時に日英通商協定が締結された関係におきまして、俄然また元の三千五百万ドルの平均ベースにただいまは大体帰つているのであります。これが大体の情勢でありまして、今後できるだけ海外の市場を検討する、あるいはローガン構想により自由貿易を行つて行くという以外に、私といたしましては従来の通商協定というか、相対的な通商協定という面から、できるだけ多角的な週間協定の面に持つて行く。たとえばただいまアルゼンチンとやつておりますようにそのアカウントを他のドル地域に利用できるようにする、あるいはスターリング・ブロックにおいて場合によれば三国ないし四国の多角的な通商協定を結ぶ、こういつた方向に努力することも、一つの方法であろうと考えていります。また対中共に対する貿易問題も往々にして問題になるのでありますが、これにつきましても、これはもとよりわれわれは司令部の管理下にあります以上、そのポリシーによつて動かなければなりませんけれども、しかしながらできるだけ機会をとらえて実際上貿易ができるようにいたしたい。また一月から八月までの香港を経由しての取引において、輸出額は二千四百万ドル、輸入額は千七百万ドルでありますが、そのうちの大きな部分が中共地域に実際に入つていると考えているのでおります。また日本内地におきますバイヤーを通じまして、ドル貨支拂いで中共地区へ、天津あるいは北支方面へも実際には物が流れているとは想像いたすのであります。できるだけこういう方面についても、力を盡して行きたいと考えている次第であります。
  48. 上林山榮吉

    上林委員 九月末の政府の資料によつて調査してみますと、相当の滯貨があるわけでありますが、そのおもなる滯貨について、具体的にどういうような方法で処理するおつもりであるのか、またどの程度に滯貨が近いうちに処理される見通しがあるのか。この点についてさらにお伺いをいたしておきたいと思います。
  49. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 御質問の滯貨の問題でありますが、輸入滯貨の方をまず申し上げますと、輸入在庫は大体四百五十七億あります。その四百五十七億のうち、いわゆるトランシット・ディポジットを除きますと、いわゆる滯貨と称せられますものは九十七億見当に相なつておると存ずるのであります。トランシット・ディポジツトは月によりましていろいろ変化することはありますが、その中でいわゆる滯貨というものは大体九十七億であります。そこでこの九十七億はどうしてできたかと申しますと、主として終戰直後から昨年度あたりにわたりまして、日本の内地の経済事情とそれを入れますところの品物の間に、実際のずれが生じて来た。これを注文したときとそれを入れるときとずれが生じて来たということがおもなる原因の一つ。またその当時と国内価格が非常にかわつて来ているということも一つの実情であります。そういう意味合いで滯貨が起つておると私は存ずるのであります。そこで実際にこれら輸入滯貨の処理については、できるだけ早い機会にこれを処理したい。できれば今年度内にも私は処理いたしたいと思います。そういたしますと、これで惡く行くと大体四十五、六億の損失ができるのではないかとわれわれは考えております。そこでその滯貨の処理につきましては、あるものは一旦入れたが、それは日本にただいま必要ないから、またもう一ぺん転輸出するというもの、あるいはあるものに、つきましては用途を振りかえて使うというものもあります。また当時、先ほども申し上げましたような事情で、日本内地の経済事情と入つた品物との間にずれが来たというようなもの、たとえば薬品とかその他のもので長く置けないものについては、これは非常に安い値段で内地に放出するようにしたい、こういつた事情にあると思うのであります。  次に輸出の方の滯貨の問題に移ります。輸出の滯貨の数字につきましては、大体鉱工品について申せば、在庫と称するものが九十四億、うち船舶車両が大体七十三億あります。そのうち純滯貨となるものは約十六億であります。これは規格がはずれたものでありますか、あるいはその当時は荷が全部出る予定であつたものが出なかつた、こういつたようなものでありまして、その損失見込みは約九億四千万円にあたると存じております。それから繊維品の在庫でありますが、大体繊維品の在庫といたしましては百九億でございます。これを処分いたしますと、その処分益は六億円であります。これはプラスになります。それから国有品でありますが、いわゆる国の綿花、そういつたような綿とか毛というもの、これが大体三百三億あります。そこでこれの利益は大体三百余億円程度に相なるのであります。それが現在の在庫の実情であり、またそれに対する処分の考え方であります。なお国内の繊維在庫については、できるだけ関係筋の了解を得て、国内放出をしたいと思つております。
  50. 上林山榮吉

    上林委員 大蔵大臣に対する質疑を保留いたしてありましたので、便宜質問を継続したいと思います。大蔵大臣は私の質問に答えて、苛斂誅求にならないように特に徴税の行政刷新をはかつて努力をいたしたい、こういう御答弁であつたのでありますが、もちろん大蔵大臣初め大蔵省の幹部諸君あるいは国税庁の幹部諸君の考えは、徴税、課税の行政を刷新して、不当なる苛斂誅求にならないように、しかも民主的な課税徴收を行い得るようにという心がけをもつて善処されていることは、われわれたびたび承知いたしておるのであります。けれども第一線の税務署などになりますと、この意向が十分に浸透していないために、非常に徴税、課税等についていろいろの具体的な事件も起り、またいろいろ納税者に対する納税思想を退化せしめておる事情が多いのであります。詳しく事情を申し上げて質疑を試みたいのでありますけれども、これを略しまして、そういうような状況にある際でありますから、大蔵大臣のその意向を末端まで徹底させるのに、具体的にどういう方法を今後講じようとしておるのであるか。この点について、もう少し具体的に計画があるならば、これを伺つて参考にしたい。ことに私ども予算委員会といたしまして国政調査の際に各税務署の実態を調査してみますと、専門学校以上を出た者がわずかに全体の二割、しかも年齢にいたしまして二十三歳以上がわずかに三割、さらに経歴経験という意味において、二年以上ないし三年以上の経験のある者がわずか二、三割、こういう状態でありまして、実にその質の劣惡であるということは、調査をいたしてみてまことに驚いたわけでありますが、これに対しまして、大蔵大臣としては具体的に、先ほどから申し上げる通り、いかなる積極的な処置をされる方針であるか、これを伺つてさらに進んで参りたいと思います。
  51. 池田勇人

    池田國務大臣 租税に関しまする不平の起ります原因は、かなり税が重いこともその理由でありますが、他に税務行政がうまく行つてない、すなわち税務官吏の中に不心得者が、ある程度つたということも原因でありますので、私といたしましては常に税務官吏の素質の向上に意を用いて来たのでありますが、いまだ十分とは申し得られないので、先ほど上林委員のお試の通り、まことにその素質は貧弱であるのであります。従いまして今後は自然退職者を埋めます場合に、新たに自然退職者を埋める新規採用につきましては、相当の常識あり、また教育のある者を入れたい、以上の方針で進んでおります。また現在の職員につきましても、財務講習所——昔は財務講習所と普通の講習所がありましたが、この教育機関を拡充して行きたいと考えております。なお税務官吏の行政部面におきます監督といたしましては、国税庁を設けます場合に相当数の監督官を置きまして、税務官吏の行動あるいは態度その他についての監督をいたさせており、また先般新聞にもありましたように、納税者に対しまして不穏の態度をとるような者がありましたならば、匿名で私の所、あるいは国税局調査官に申し出ていただきまして、そういう事例を起した職員に対しましては、十分な戒飭を與えることにいたしておるのであります。この納税者側からの通知によりまして、戒飭する制度を設けましたことに、よほど税務官吏の態度その他につきまして、よくなつた原因をなしておると考えております。
  52. 上林山榮吉

    上林委員 相当政府においても、これが再教育もしくは行政の刷新という意味重点を置かれて、刷新をされつつあるということは、まことにけつこうな話でありますが、先ほどから申し上げるように、この中央の方針が末端に浸透していないということ、この点については格段の努力をすべき点であろうと私は考えるのであります。そこでこの際私は再教育を徹底するという方針、あるいはまた新しい機関に配置転換をするというような方針と、あわせて特に政府考えてもらわなければならぬ点は、われわれの主張であつたところの取引高税あるいは織物消費税、あるいは物品税等の減免、こういうようなことによつて相当多数の剰員——われわれが推算するところ約七千名近くの人間がここに余つて来るのでありますが、こういうような意味から考えまして、思い切つたところの刷新をはかる。先ほど言われる再教育と、さらに新しい機関への配置転換とこういうことにあわせて、姑息な手段ではなくして、思い切つた方法によつて、行政整理というわけでもないが、そういうような方向でこれを処置する御意思はないかとどうか。取引高税に関しておる人だけでも約六千人くらいあるのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、まず予算庁であるところの大蔵省から、こういう方面に思い切つて手をつけて、行政の能率を上げ、さらに刷新をはかり、ひいて合理的な節約をはかる、こういうふうにして行くべきではないかと私は考えるのでありますが、これに対する大臣の所見を伺つておきたいのであります。
  53. 池田勇人

    池田國務大臣 先般の行政整理の際におきまして、税務官吏の定員は七万五千名あつたのでございますが、これを二割整理いたしまして六万人にいたしました。従つて従来税務系統におきましては、行政整理でも血を見ることはほとんどなかつたのでございますが、前回は四千名ばかりの首切りを見たのであります。その後の税務の執行状況を見ますと、今の陣容をもつてしては十分とは言い得られないのであります。お話通りに取引高税を撤廃し、織物消費税をなくしまして、また一方地租事務、あるいは家屋事務が移管される関係上、大体七、八千人の人がなくなるように考えられるのでありますが、今までの所得税の調査におきまして非常に手不足でございまして、納税者の帳簿を実地について調査することなしに、大体の達観できめておるような状態であつたのであります。従いまして課税が非常に粗漏になり、また收入のために更正決定という手段をとりまして、相当摩擦を来しておるのであります。この点にかんがみまして、シャウプ博士は、今後はぜひとも実地について調査するようにせよ、しかも今度所得税法の改正に載つておりまする青色の申告をした人もすなわち、所定の帳簿を備えつけてその帳簿によつて申告をした人につきましては、実地調査をせざる限り更正決定はできないというふうな方法で行こうといたしておるのであります。この点を考えますと、農業あるいは営業を合せまして数百万人の納税者に対し、所得税の係が三、四万人くらいあるいはそれ以下と思いますが、その陣容ではとてもやり切れないと思うのであります。しかし役人の数をふやさないという原則がとられております関係上、実態に沿うためには相当の増加をはからなければならないのでありますが、そういう関係で、ある程度の増員をし、税務行政の万全を期したいと考えておる次第であります。
  54. 上林山榮吉

    上林委員 今申し上げたような方面政府が積極的な処置を講ずると同時に、これは一般公務員の待遇改善とも関連があるので、なかなか思うように行かない事情も私承知しておるのでありますが、特に警察官とか税務署の吏員というようなものに対しては、往往にして情実も入りやすいし、さらに具体的にいろいろ経済的な問題も起しておるのでありまして、私どもといたしましては、これはいろいろ誘惑のある点もありますが、原則的に考えて待遇が惡い、こういう点がありますので、これをほかの公務員よりも優遇せよということは、いろいろ関係があつてなかなか思うようにできないわけでありますけれども、何らか特殊の方法を講じて、これらに対する待遇の改善というようなことをお考えなつたことはないか。われわれはこの点は一般の公務員の関係があつて、こういう席上では十分に大蔵当局は説明できぬと思うけれども、何らかの方法でこれらの諸君の待遇というものを、もう少し引上げて行くというようなことをお考えにならないか。この点を御質問申し上げておきたいのであります。
  55. 池田勇人

    池田國務大臣 税務官吏の俸給は、一昨年からだつたかと思いますが、他の官吏よりも二、三級高めの俸給を組んでおります。その他出張の場合におきまする危険手当も考えておりますし、われわれとしては財政の許す限りの要求をいたしておるのであります。この程度をもつてして十分かという問題になりますと、これはやはり権衡の問題がありますので、私はただいまのところこの程度でやつて行きたいと考えております。ただ問題は先ほど申し上げましたように、平均年齢が二十四、五、しかもまた未経験者が多いというふうな状態でありますのでもその資質をかえて行く、すなわち相当の常識教育ある人にだんだん置きかえて行こう、これがいい方法ではないかと考えております。
  56. 上林山榮吉

    上林委員 さらに大蔵大臣にお伺いしたいのは、今度のシャウプ勧告案を見るまでもなく、従来われわれ主張しておつたわけでありますが、今回苦情処理機関の設置ができる、こういうことになりまして、ある程度われわれこれに関心を持つておるのでありますが、この機関は言うまでもなく、課税あるいは徴税に関係のないところの独立の機関としなければ、公平に実情に即した処置ができないというわけであろうと思いますが、この際私どもはいつからこの苦情処理機関を政府は設置するか。しかもその構想の中に政府の推薦する適当なる団体の代表者をこれに参加せしめなければ、日本のようないまだ官尊民卑の思想の残つておるところでは、理想的なことをいつても始まらないので、役人のみをもつてする苦情処理機関であつては、屋上屋を重ねて單に事務が煩瑣になり、納税者はこれに対して十分に活用する道を知らぬ、こういうことになりまして、それこそ何らの効果を收めないという懸念があるのであります。これに対するところの大蔵大臣考えはどうであるか。さらにこれと同じ意味において簡易税務裁判所ができるはずでありますが、これも経費の節約あるいは能率を上げる、こういう意味合いにおいて、普通裁判所にこれを併置する考えはないかどうか。この点につきましてお答えを願つておきたいのであります。
  57. 池田勇人

    池田國務大臣 シャウプ勧告案にあります苦情処理機関並びに簡易裁判所につきましては、ただいま検討中でございます。苦情処理機関の構成につきまして、今私が考えておりますことは、やはり民間の人を採用して行きたい、こう考えております。もちろん勧告案にもあります通りに、苦情処理機関の職員は官吏であるのであります。しこうしてこの官吏を税務官吏からみな持つて来るということになりますと、税務の陣容が非常に弱体化しますのと、また民間の苦情を聞くためにはやはり民間から出た人の方が公正な判断もできますし、とらわれないというような関係から、苦情処理機関におきましては官吏出身の人よりも、民間出身者をうんと多く入れる考えで進んでおります。
  58. 上林山榮吉

    上林委員 その点についてはわれわれの希望に即しておるようでありますので、この程度にいたしたいのでありますが、私はこの際徴税と関係のある基礎的な問題について、一言政府の所見をただしておきたいのであります。  昨年より今まで非難されておつた目標額が廃止されましたことは、まことに時宜を得た改正であると考えておるのであります。今回もさらにこれが踏襲されることは明らかな事実でございますが、しかしながら今までの資料あるいは今までの実績、そうしたようなものが前提となるおそれがある。また事実今年の状態を見てみましても、中央の方でどう考えておつても国税局あるいは税務署等においては、目標額でない目標額というようなものを基礎にしても実際の徴税課税をやつている。この際私は税務機関その他の制度を改正される機会に、実質的に全国的に業種別にこれが再検討を加え、かつまた地域的あるいは府県別的にこれが、再検討を加えて、目標額を廃止した趣旨に沿うような前提に立つての一切の課税をやるべきである。こういうふうに考えておるのでありますが、これに対する各国税庁関係の資料をここに持つておりますけれども、私はこれに対するところの大蔵大臣の今後の考えについて伺つておきたいのであります。たとえば東京都の陶器店とあるいは広島の陶器店とあるいは鹿児島の陶器店と比べてみまして、同じくらいの取扱う数量、同じくらいの利益を上げておるのに、税務の規定から行けば、これは何ら矛盾のないはずでありますが、実際の調査はそれに非常な矛盾があるのであります。こういうような問題、あるいは県と県との区別の比較の問題、これなどはそこのいわゆる財政状況、負担力によつて非常に相違があるにもかかわらず、これが相当の矛盾がありますので、この点は研究調査の上、ひとつ是正を願いたい。こういう意味におきまして従来の目標額に関連して質問をいたした次第であります。
  59. 池田勇人

    池田國務大臣 従来各税務署、各財務局に割当制度があつたということで問題になつたのでありますが、先般の国会で、割当は一切いたしませんということを言明しましたので、その後も割当等のないように指示いたしておるのであります。全国各地の課税の権衡につきましては、その後も十分注意をいたしまして、ただいまは国税庁に相当の経験者を集めまして——いわゆる調査官制度でありますが、この調査官は各局から来ておりまして、国税庁長官直属になつております。従いまして東京の瀬戸物屋を調査すると同時に鹿兒島の瀬戸物屋も調査するというふうに、全国をまたにかけて課税の厚薄のないような制度にするよう検討を進めておる次第であります。
  60. 上林山榮吉

    上林委員 最後に来年度の税制改正に関連いたしまして一言質疑を試みたいのであります。本年度の補正予算においては、所得税の改正が一部行われて、大体において間接税中心の改正が行われておるわけでありますが、来年度は所得税その他に対する改正をさらに政府は企図せらるるはずと考えますが、この際に私どもが政府に要望したいことは、勤労所得税の改正に対しまして、基礎控除を補正予算の場合よりも引上げる意思はないか。できるならば基礎控除は三万円程度にするのがわれわれは適当である、こういうように考えるのであります。また扶養控除についても、現在の案よりもさらに引上げて、せめて二万円近く、あるいはそれができないならば一万円、一万五千円程度にこれをなすべきではないか。なお勤労控除はせめてこれを一五%にして、党及び政府も一応この線を考えておられたのでありますから、これが実現のためにさらに努力する意思はないか。さらにつけ加えて申し上げたいことは、税率等についても現在の案よりもいくらかでも軽減するような方向に努力をしておるかどうか。この点はもめる程度きまつたような問題でありますけれども、さらに私どもはこの際政府の善処を要望する意味におきまして、この点についての所見を伺つておきたいのであります。
  61. 池田勇人

    池田國務大臣 来年度の予算のわくは大体きまりました。従いまして租税收入につきましても四千四百四十億円程度に大体きまると思つておるのであります。それで私は常にできるだけ減税ということを考えまして、今お話になつておりましたようにまず勤労所得の一割五分控除、基礎控除の二万七千円控除、そして税率の三十万円超五五%というのをシャウプ案よりももつと減税いたしまして、百万円超五五%くらいの税率のもので行つてみたいという案をつくつて、実は折衝を重ねておつたのであります。まだはつきりしたことは申し上げられませんが、今申し上げましたように一割控除を一割五分控除にいたしますと、年間百億円余りの減收になります。そうして基礎控除二万四千円を二万七千円にいたしますと、年間百七、八十億円の所得税の減收になります。そしてまた税率を三十万円以上五十五を百万円以上五十五にすることにしまして、その間の調整をいたしますと、これまた百億円ばかりの減收になる。そうして上林山君のおつしやるようにも、基礎控除を二万四千円を三万円ということにしますと、相当の減收になります。従いまして今申し上げました一割五分控除、二万七千円控除、そして税率百万円以上五十五、こういう考えで行つても、三百七、八十億円の減收になります。この案は私はぜひともやつて行きたいというふうに努力しましたが、望みが薄くなつて参りました。しかしせめてそのうちの一つくらいは何とかしようというので、今なお折衝を続けておる状況であるのであります。御了承願いたいと思います。
  62. 上林山榮吉

    上林委員 私は減税に対する政府努力は、劈頭に申し上げましたごとく、相当敬意を表して、協力しているわけでありますが、この問題は、本予算あるいは補正予算を通ずる重大な問題であります。ことに勤労所得税に対して、あるいは所得税に対して、政府がわれわれ国民の要望をよく察知して努力せられておるのでありますが、ここに一歩前進した改正はできましたけれども、今の答弁を聞くまでもなく十分な改正ができておらない。今大蔵大臣は、基礎控除あるいは勤労控除なり何か一つ具体的に改正する熱意をもつて努力しておられるということを聞いたので、私どもさらに大臣のこの方面に対する努力を期待をいたしまして、ことに減税全般に対する努力を期待いたしまして、大蔵大臣に対する質疑を終りたいと思います。
  63. 池田勇人

    池田國務大臣 ただいま申し上げました数字にちよつと狂いがございますので、訂正しておきます。勤労一割五分控除によりまして、百億円の減收、これは間違いがございません。基礎控除二万七千円にした場合に百八十億と申し上げましたが、これは百億でございます。税率を改正した場合は百八十億円でございます。記憶違いでございました、御訂正願います。
  64. 植原悦二郎

    植原委員長 庄司一郎君。
  65. 庄司一郎

    ○庄司委員 建設大臣にきわめて簡單な二、三のお尋ねをしてみたいと思います。その一点は、終戰後におけるわが国のあらゆる国土を、立地として、凡百の殖産興業の復興並びに積極的な振興のためには、どうしても総合的なしかして計画的な国是がなければならない。過般総理が本会議における御演説中にも、また安本長官の本会議における御答弁の中にもも総合開発国土計画云々というお話がございましたが、まことに共鳴されるものが多いのでございます。しかるにそういうお話だけで、具体的なる御計画をいまだにお持ちになつておらないように見受けられるのであります。しからばその後どういう総合開発の国土計画を国是として定められて、わが国の再建のために善処されるものであるかどうか。総合的開発的な御計画がなければ、政府の施策がばらばらと相なるおそれがあるのであります。現にばらばらとなつておる。たとえば建設大臣所管河川の問題をとらえてみましても、その河川の上流は農林省所管としてあるいは土砂打止なりあるいは砂防工事、あるいはその中間は建設省河川の改修あるいは復旧をおやりになつておる、河口あるいは港湾は運輸省がおやりになつておる。かような状態で一方の川でさえも上流、中流、最下流という点において三つの省が主管しておる、この間何らの脈絡あるいは緊密なる連繋がなく、極端なる各省割拠的な施策が行われておるというような状態は、まことにわが国の復興のために遺憾千万なことであると考えておるのであります。そこで政府はいかなる具体案をこの後計画をされ、あるいは現在計画をされておるか、かような信念をお伺い申し上げると同時に、今までばらばらとなつておるところの各省割拠的の施策を、ほんとうに総合的に連繋の緊密な一本化した建前の上から、たとえばかりに名前をつければ河床国土開発法案というような立法を必要としないか、他の多くの法律に優先して、さような意味の立法の必要性をお感じになつていないか、あるいはさような御計画を持たれておるかどうか、こういう一点をまず最初お伺い申し上げておきたいと思うのであります。  第二はただいま議題となつておる補正一般会計予算の中にも厚生省所管の住宅一億六千万円ですか、さような住宅関係予算が提案されておる。しかるに一方昭和二十四年度の既決予算の中には、全国の公務員、あるいは学校教員等を加えて、予算においては十一億円ですか、そういう既決予算をとらえておるが、その十一億の予算をただいまどのように具体的に活用されておるか、その予算のもとにどういう御計画をもつて全国都道府県あるいは戰災都市、その他引揚者等の多い市町村等に特に優先的に住宅を計画されておるか、こういう点において厚生省も住宅をやる、あるいは建設省もおやりになる、その他の各省も住宅をおやりになる。特別会計関係においてまた住宅を計画される。電気通信大臣の小澤さんもいらつしやいますが、そういう特別会計関係においては、電気通信管理所というような新しく出店を張つた役所方面においては、ほとんど住宅というものは全国一戸もない、そういうばらばらな住宅政策をとられておる。そういう引点は何とかこれを総合的に統合して、計画性のある御計画のもとに進まれることが望ましいと考えておりますが、さしあたり既決予算の十一億を具体的にはどういう面にこれを活用されておるか。本年度の中間報告的なお尋ねをしておるのでございますが、その点に触れて建設大臣の御答弁をいただきたいと思うのであります。  今一点はこういう問題であります。政府——と言うては語弊がございますが、従来の政府の特殊会社、たとえば北海道拓殖会社とか、あるいは南満鉄道であるとか、朝鮮拓殖とか、そういう意味において、ただ一つ現在残存しておるのは御承知通り東北興業株式会社であります。言うまでもなく東北興業会社法という法律によつてこの会社が昭和十四年かに創立されておる、この会社創立の目的はもとよりすべての点において遅れがちの状態にある東北地方の文化面において、あるいは港湾、運輸交通その他百般の面において東北に消極的には救済する、積極的には振興させるという建前で政府が大株を持たれ、あるいは利子の補給をなさるとか、いろいろな面において政府が助成をされて東北興業という会社をつくつたのであります。これは特殊会社として残されておるただ一つの会社でありますが、ようやくある程度の整備計画を立てられ、新聞等で散見するところによると、北上川の上流岩手縣方面にあたかもアメリカのTVAのような方策をもつても特殊地域における国土計画を政府がせんとしておるというような報道もございますが、この第三点の結論は、わが国においてただ一つだけ残された、またその筋の了解も多分あるでありましようこういう特殊会社の今後の整備計画あるいは積極的計画に対し、この会社を指導され、監督権をお持ちになつておる建設大臣は、いかなる方途において、この会社の健全なる発達を望まれておるものであるか。従来のような利子の補給金ははずされました。また政府のいろいろな助成はなくなつたのでありますから、この会社はどうしても自主的に立つて行かなければならない。この会社は七十の子会社を持つてつたけれども、十二、三の会社だけを残して、他はいわゆる証券の民主化、株式の民主化の意味において、東北六縣方面に独立会社とされたのであります。わずかに残る十二、三の会社及びこの会社の直営として行わんとされておる北上川総合開発というような問題について、政府、特に建設省はいかなる対策をもつて保護助長されんとするものであるか。この三点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  66. 益谷秀次

    益谷國務大臣 国土の総合開発は、政府といたしましても非常に関心を持つておるのであります。また政府の重要なる政策の一つとして取上げております。御承知通り国土総合開発については、政府部内に総合国土開発審議会なるものをつくりましてもその審議を今やつておる次第であります。この答申が来ますれば、その答申をどこまでも尊重いたして、国土総合計画の樹立、実行をいたしたいという考えを持つております。  さらに行政機構の問題をお尋ねでありましたが、申されました通り川の元は農林省、すなわち山林であります。川は建設省、河口、主して港湾は運輸省というばらばらの統一のない行政機構では、国土総合開発を樹立実行することはできないではないかということであります。これは理想といたしましてはお話通りでありますが、今日経済安定本部が中心となりまして、各役所の所管の事務事項、また事業を総合的に調節をいたしまして、各省ばらばらのやり方をいたしておるというわけではございません。各関係省は緊密な連絡をとつておのおの協議をいたし、それぞれの公社事業を実行いたしておるのであります。しかしながら日本の経済を復興し、民生を安定し、その他のいろいろな観点から治山治水を根幹とします災害対策、今日最も問題となつております災害対策の抜本的、恒久的対策を樹立いたしまして、それをすみやかに実行いたし、国土の保全をいたして参りますと同時に、さらに進んでは国土の総合的開発をいたして参りますことが、最も緊要なることであると思います。そこで治山治水、国土の保全、開発、利用ということにつきまして、それに対する建設的の公共事業を一元的に総括的につかさどる行政機構をつくることが、国土の総合開発あるいは利用保全という意味合いから見ますと、基礎的條件であろうということも考えられるのであります。そこで建設省といたしましても、一建設省というものにとらわれることなく、大所高所的に見まして、国土開発、保全、利用という立場から来まする建設的公共事業を一括して所管する行政機構を確立いたしたいという考えから、建設省といたしましても具体的の案をつくつているのであります。そして政府部内につくりました行政機構審議会にこれを案といたしまして提出いたしたく、今審議を願つておるのであります。さりながらこのことは非常に関係するところが多岐広汎でありまして、容易にこれを実現することはなかなか困難かとも考えておりますが、国土総合開発の建前から十分に検討いたして、でき得る限りむりのないように実現いたしたいという考えを持つております。
  67. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 住宅の問題に関する庄司さんの質問でありますが、この問題について他の委員会でも一応御答弁申し上げておきましたが、御承知のように郵政、電気通信両省におきましては、今年度独立採算制の確立という点から住宅の予算が少しも計上せられてなかつたのであります。しかしながらこの住宅問題が、職員の能率増進のために、最も必要であるという見地から、共済基金等を利用いたしまして、各省とも本年度内において一億六千万円程度の住宅を建築中でございます。しかしながら来年度においては約三億ないし二億五千万程度のものは住宅資金として計上されると思いますから、これを実行いたしたいと考えております。  なお建設行政の統一問題については、ただいま建設大臣お話通りであります。
  68. 益谷秀次

    益谷國務大臣 答弁を漏らしましたので補足をいたします。住宅十一億の分は大蔵省の所管でありまして、建設省がこれの仕事をしますが、政府の職員住宅でございます。なお東北振興会社のことについてお尋ねでありますが、御承知通りこれは東北の振興を目的といたしてつくつた会社でありますが、その後戰争中御承知通りの状態であります。戰後におきましても最初の目的に沿う仕事がなく今日に至つておるのであります。しこうして北上川の総合開発ということ、これは会社といたしましても計画はいたしておるようでありますが、これはまだ決定いたしません。政府においても研究をいたします。しかしながら東北振興株式会社の創立の趣旨に沿つて参りたいという所存でございます。
  69. 河野一之

    ○河野政府委員 十一億の政府職員の住宅施設の使い方の御質問があつたようでありますので、お答え申し上げます。先般通りました国家公務員の国設宿舎に関する法律によりまして、大蔵省所管に計上いたしました十一億の金を使つて行くわけでありますが、十一億のうち一千百万円が事務費でありまして、いわゆる施設費に属するものが十億八千九百万円であります。このうち公邸の買收費、すなわち検事総長でありますとか、最高裁判所の裁判官でありますとか、国家公安委員長でありますとか、そういつた公邸の買收費が四千四百万円、それから無料の宿舎の買收及び新築、これは従来義務官舎といつたような性質のものでありまして、電波庁でありますとか、あるいは航空保安庁、天文台、そういつた僻陬の地にある政府職員に対して無料で宿舎を提供してやる、こういう経費が三千万円、それからその他の一般職員の、有料でありますが、その新築及び買收費が十億千五百万円、約二千五百戸建てる計画にいたしております。これは全体の計画でありますが、さしあたり着手いたしておりますのは、第三・四半期で六億円でありまして、六億円のうち事務費が六百万円、残りの五億九千四百万円というものが施設費でありまして、買收は大蔵省においてやつておりますし、大部分のものは、ことに有料宿舎につきましては建設省においてやつていただいております。その他小規模のものにつきましては、各省に予算配賦してやつておる次第であります。十一億円のうち六億円さしあたりやつておるのでありますが、次の計画の立ち次第残額を有効に使いたい、こう考える次第であります。
  70. 庄司一郎

    ○庄司委員 よろしゆうございます。
  71. 植原悦二郎

    植原委員長 小峯柳多君
  72. 小峯柳多

    ○小峯委員 十四日の本会議における大蔵大臣の演説の中でも、本年度の当初予算は安定予算という性格であつたが、この補正予算から来年度の予算に通算して復興予算にするんだという意味のことを言つておられるのを承知しておるのであります。そこで今までの予算の消極的な性格がよほど直つて来る筋合いにあるのであります。私の考え方からいいますと、予算がそういうようになればなるほど、金融の問題が非常に大きな重さを持つて来ると思うのであります。そこで私は金融の問題を掘り下げて、吉田内閣で考えておる金融政策の構想をただすつもりでありますが、大蔵大臣は本会議のようでありますから、多少順序は狂いますが、安定本部長官にその一環をただしたいのであります。私は金融の問題を掘り下げたいと申します順序は、最初に本会議大蔵大臣が言われたいわゆる池田金融の構想がまだ漠然としておりますので、その肉づけをしてもらうことが第一番目。  第二番目には長期金融の面と関連して、有価証券に対する政策の問題を掘り下げてみたいと思います。  第三番目には外資導入の問題、この外資導入の実態はどういうふうになつておるかという問題、及びその見通しについてただしたい。  第四番目には外銀の対邦銀業務の開始の問題、外銀と邦銀との調整の問題に関しまして、これをただしたいと思います。  第五番目には中小企業金融のあり方といいますか、中小企業金融が言われるごとく古くしてなかなか進展しませんので、この内閣になつて年末にかけて、特に考えておる中小企業金融のあり方をただしたい。  第六番目に結論として年末の金融をどういうふうに考えておるかということをただすつもりなのであります。  しかし先ほど申し上げましたように、大蔵大臣がお見えになりませんので、第三番目の外資導入の実際の問題、またその見通しにつきまして、安定本部の長官に伺いたいのであります。  まず第一点は本年三月十五日から外資委員会が発足しておるのでありますが、その外資委員会が発足して以来の同委員会の活動の状況を、できるだけ詳細に承りたいと存じます。
  73. 青木孝義

    ○青木國務大臣 小峯委員から外資導入の対策と見通しはどうか、またその現状について御質問がございましたので、この点についてお答えを申し上げたいと思います。  外資委員会は御承知通り、本年の三月十五日に設置して発足をいたしました。それ以来本年の九月末までの外資の活動状況は、事業活動の申請が二百八十七件、うち認可済みのものが百三十八件、それから財産取得の申請が百九十三件であります。うち認可済みのものが九十七件という数字であります。かように数字的には相当多数の外資案件を処理した形となつております。しかしながらこれら外資案件の内容を検討いたしますと、石油関係あるいはゴム工業の関係、造船関係等の少数の例外を除いては、外資導入の案件としては比較的小規模なものが多いので、本格的な外資導入はいまだしといら感があるのであります。外交導入が第一年度において比較的実績の上らなかつた理由といたしましては、わが国をめぐりまする国際政治情勢と申しますか、不安の情勢であつたということをあげることができると思いますが、主としてはやはり外資導入の態勢が整つていないということであります。その態勢が整つて参りますれば、漸次外資は入つて来る見通しがつくと考えますが、御承知通りに外国資本、特に米国民間資本が一般的に対外進出に消極的な態度をとつて来たということになるのでありまして、御承知通り、第二次世界大戰終結後の米国の政府は、対英クレジットであるとか、あるいはマーシャル援助、占領地管理救済費等、各種の形式による多額の政府外国投資を各国に提供いたしましたが、民間資本の対外進出は、大体において石油資本等の若干の例外を除きまして、きわめて小規模でありまして、單にわが国に対する投資のみならず、欧州諸国その他の地域に対する投資も一般に不振であつたことは皆さん御承知通りであります。従つてこの米国が民間資本の対外進出については、これを積極的に推進する決意をあらゆる機会に明らかにしておることは、これまた御承知通りでありまして、現在わが国における外資受入れ態勢の整備は、本年に入りましておおむね良好でありますが、しかしながら先ほど申し上げましたように、その態勢が十分整つていないということでありまして、これが態勢が整つて来次第というから考えますれば、おそらくわれわれの想像では、本年以降においては、わが国の外資導入情勢は相当好転するのではないかと考えておる次第であります。もとよりこの米国資本の対外進出については、世界の政治情勢が大きな影響をもたらすものでありまして、その見通しは容易に立てがたいのでありますが、今日の段階において常識的に判断いたしまする限りにおいては、これらの諸情勢も来年度において惡化するものとは考えられませず、またわれわれが現に取扱つておりまする折衝状況から見ましても、好転するのではないかという観測を裏書する材料が多いと存じます。ちなみに申しますれば、この九月から十月末までに事業活動の申請数が三百十二件になり、認可が三百一件、財産取得申請が二百二十九件、うち認可済みが百二十一件というふうに増加しておりますし、また新聞紙等に散見いたしますように、外国の投資対象として只見川等が大きくクローズアップされておりまする点等にかんがみまして、来年度においては相当の希望が持てるのではないかというふうに、自分は考えておる次第であります。  このアメリカの対外投資について、われわれはまず考えなければならぬことは、すでに一応收束の段階に入つた考えられるインフレーシヨン並びに経済の安定ということの線に沿つて、日本にアメリカの投資が誘引せられるという條件がまず第一に整つて来た。今後におきましてはなお貿易の伸張等に関連いたしまして、世界的な、あるいは国際的な一般的好転状況から見て、漸次民間の国際投資にかわつて行くということが想像せられると思いますし、今までのアメリカの政府投資としてのマーシヤル・プランであるとか、あるいは対英クレジットであるとか、そういう種類のものが漸次民間の投資にかわつて行くという足取りは、われわれの常識的に想像し得るところであると考えておる次第でございます。
  74. 小峯柳多

    ○小峯委員 非常に行届いた御答弁をいただいたのでありますが、やや抽象的に過ぎるような点もありますので、少し具体的にお伺いいたしたいと思います。先ほどたくさん件数をあげて御説明がありましたが、その中で石油、ゴムに関する問題、それがどういう形で外資が入つて来ておるか、またどういう提携をしておるか、その点御承知でしたら伺いたいと思います。
  75. 青木孝義

    ○青木國務大臣 外国人の日本に対する投資として取扱われている事務の内容については、私ども一々干渉いたしておりませんが、しかしその現われております状況から見ますと、たとえば、業種別に申し上げますと、外貨建織物販売業、外貨建サービス業、外資建シップ・チヤンドリング業、外貨建建物賃貸業、外貨建レストラン業、船舶代理店業、こういつたものがあげられております。それからその地業種別にいたしますれば、銀行保険業とか、あるいは弁護士、その他出版だとか貿易一般、そういつたもので、われわれの委員会において事業活動関係の案件で申し出ておるもの、こういうものについて許可を與える。またそのほかあげますと、外国人の財産取得関係の案件では、たとえば株式による個人的な投資、それから本格的投資、株式取得の予約であるとか、不動産賃借権、担保権、特許権というようなものがありますが、今ここで問題になりましたのは、大体株式の投資であるというふうに自分は考えております。もしその点調べまして、間違つておりますれば改めるつもりでありますが、そういうふうに了解しております。そして大体九月末までに五億六千九百万円というような数字が出ております。それから外国政府の財産取得関係は、たとえば土地三千九百八十一坪、あるいは土地賃借権一万三千百七十四坪、こういつたものがそれぞれ金額にしてあげられております。こういうふうに五億六千九百万円という数字がありますが、これはことごとく外資であるというわけではございませんので、そういう点はさよう御了承を願いたいと存じます。
  76. 小峯柳多

    ○小峯委員 私がこまかいお尋ねをいたしておりますのは、外資のあり方の問題で、私どもの期待しておりますのは、外資によつて生産を推進する——戰争中設備の更新がほとんど行われておりませんし、また能率なんかの点でも、日本の産業諸設備は遅れておる、いわゆる老朽化しておると思いますので、これはよほどそういう方面の技術も含めた外資の問題を考えませんと、大蔵大臣のおつしやるように国際経済と密接に関連さして行くことはむずかしかろうと思います。そういう意味で今お伺いいたしたのであります。外資の内容は、サービス業だとか、代理店業だとかあまりぱつとしないものが多いのでありますが、実際に日本の生産を復興して行くような徴候でもないかどうか。これは政府委員の方にお聞きした方がいいかもしれませんが、その辺の、日本の生産に直接結びつくような徴候でもその中からつかみ得られましたならば、その傾向を伺いたいと思います。
  77. 青木孝義

    ○青木國務大臣 投資のいろいろな手続の問題でありますが、これは今申し上げましたように、今までのところあげられておりますのは大体こまかいものでありまして、大がかりな投資は先ほどあげておりますようなもの、石油であるとかもあるいはまたゴム工業であるとか、そういうものであります。それは主として株式というように自分は考えておりますが、そのほか今日問題になつております、たとえば日本の電源その他の資源開発計画というようなことで、投資をしたいというような希望のもとにいろいろ折衝されておるもの、そういうものがあります。また日本に資金を持つて来ても、日本で直接にいろいろな事業を営みたい。そういうものもしばしばわれわれのところにお話があるのでありますが、まだまとまつたものはございませんので、そういうものに対する事務的な処理というようなことについては、関係政府委員からまたお答えをすることにいたします。
  78. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほど応じ上げましたように、詳細なことは必ずしも大臣の御答弁を必要としませんから、事務当局で資料を整備していただきまして、どうか委員会に提示願いたいと思います。  先ほど大臣の御答弁の中に、来年は外資導入がよほど進むじやないかというふうなお話があり、外資の受入れ態勢が設備されるからというような意味のことがあつたように承つたのでありますが、その外資の受入れ態度を大臣はどうお考えになつているか、承りたいと思います。
  79. 青木孝義

    ○青木國務大臣 外資の受入れ態勢につきましては、まず原則的に、投資対象が確実であるということ、投資した資金が安全であるということ、またそれが続継的に安全に維持せられ、同時に利益があるというようなことは、たれでも考えるところの投資対象の要件であります。日本に対して今まで投資が少かつたということは、世界的にも民間投資はそれほど盛んではなかつたと先ほど申し上げたことと関連いたしておると思います。その点はさよう御承知を願いたいと思います。今後わが国に対する米国の投資というような問題を考えます場合には、まず一応日本の経済が安定して来て、輸出輸入の関係等もいろいろ整備せられて来る——輸出輸入等の法規も今国会において審議せられるような状況になつて参りました。そうして自由貿易的な面がよほど現われて参りますと同時に、やはり貿易外の受取り勘定というものに中心が置かれて来ることになるだろう。もちろん貿易ということを重大視しているのは言うまでもありませんけれども、日本はやはり外来者を迎えて貿易外の受取り勘定をふやすとか、あるいは船舶の建造とか改良をいたしまして、貿易外の受取り勘定を増大する必要があります。同時に、日本の資源の開発等の問題——われわれ民主自由党として、たとえば治山治水を基本とする国土計画云々という問題も登場いたしておりまするとともに、国内資源の開発等についても、非常に大きな期待が持たれておると考えております。たとえばアメリカのTVAのような問題も、頭の中にはお互いに考えているところであると思いますので、こういう資源の開発についても、できることならば対日援助見返資金等を期待することも考えるのでありますが、もしこれができないとすれば、日本には蓄積資本が非常に乏しいのでありますから、できるだけその受入れ態勢を準備する、こういうことに向わなければならぬことは言うまでもございません。ことに関税問題等について、相当に関心を持つて参りましたことは御承知通りであります。従いましてもそれ相応の受入れ態勢を整えると申し上げたのは、今申し上げたようなことを意味しているのであります。きわめて抽象的ではありますが、一言お答えを申し上げておきます。
  80. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほどの大臣の御答弁の中で、来年から外資導入が相当積極的になるだろうし、また接触する範囲の材料でもそういうことが想像されるというようなお言葉があつたと思いますが、接触する範囲の材料について承りたいのであります。と申しますのは、御承知のように最近盛んにアメリカからいろいろの代表の方々がお見えになりまして、私どもがこうして見ておりますと、あの人が来たから外資の話が出はせぬか、あの人が来たからどうだろうという期待もありますし、ついそういう方に関心が行くのであります、おそらく国民もそうだろうと思いますが、一番政府を代表して接触の多いあなたのことでありますから、こんなことがありそうだという接触する範囲の材料がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  81. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ごもつともな御質問でございまして、私どもが折衝いたしております範囲においては、実はけさほどもぜひ日本に投資をしたいというような意味でごあいさつに来られて面会をいたしました。そういう例もございますし、またわれわれが接触いたします関係筋におきましても、特にシーツというような人は、この点について関心を持たれておると見えまして、私に対する直接の質問等におきましても、一体外国人が資本を投下するという場合を、お前がみずから投資するという場合にどう考えるかといつた問題を投げかけて、私に質問した等のこともありますし、相当関心を持つておられるように自分は観察をいたしておる次第でございます。
  82. 小峯柳多

    ○小峯委員 接触するあちらの人たちに関連してなのでありますが、昨日来アメリカの財務長官がお見えになつておられるようでありますが、その財務長官がお見えになつたことに関連して、日本の新聞で為替の問題を何か含みのあるように扱つておるのを拜見したのであります。外資導入あるいは貿易の問題でもそうでありますが、為替に対する不安があります間は、一番大きな障害になると思います。せつかくいい機会にいい人が来てくれたのでありますが、むしろ来た人の関係において、為替の問題が少しぼけたような扱いをされるということは、政府のためにも、また国民から見ましても、非常に疑惑を感ずるのでありますが、この機会に為替レートの問題を——これは大蔵大臣もおつていただくと非常にいいのでありますが、もう一ぺんきつぱりと伺つておきたいと思います。たとえば直接お会いなさつた関係からいいましても、そういう問題に触れていないとか、あるいはそういうことは絶対ないということをきつぱり伺つておく方が、これからのいろいろの問題の上に国民が決心をする上にいいのではないかと思いますが、おさしつかえなければその辺の消息を聞かしていただきたいと思います。
  83. 青木孝義

    ○青木國務大臣 自分の接触経過におきましては、別段為替問題について云云ということはまつたくございません。その点は率直に申し上げておく次第でございます。なおそういう問題につきましては、かねてから強く声明をされておりますように、われわれといたしましてはすでに二十四印度の補正予算において、また二十五年度の一般予算においても、さような考えは毛頭織り込んでございませんし、またわれわれとしてはようやく落ちつきかけて来たわが国の経済が、三百六十円を基準にしていろいろ産業界の合理化とか、あるいはまたそのほか貿易上におけるわが国の輸入関係等ともにらみ合せて考えてみて、われわれとしてはまつたく今日の為替をかえるというような考えは毛頭ないということをはつきりと申し上げておきたいと存じます。
  84. 小峯柳多

    ○小峯委員 御明確な御答弁をいただいてありがとうございます。もとより私どもはそれを疑つてつたわけではありませんが、一般の国民を代表して実は確かめたようなわけであります。  なおもう一点……。御承知でありましようが、日本で外国銀行が相当活躍しておるのであります。私の記憶にして誤りがなければ、全国で店舗の数が二十以上あると思います。まだ戰前のような積極的な活動をいたしておりませんが、この外銀が日本人に対する営業——現在のところではとめられておりますが、邦人業務に進出いたしまして、日本の銀行と大体同じような立場でもつて仕事をしたいというふうな希望があるのであります。この問題に対する詳細な質疑は私大蔵大臣あるいは関係当局に伺いたいと思いますが、ただ外交の問題と関連いたしまして、私はこういう外銀の対邦人業務の進出というような問題は外資の入るきつかけになりやすいと思います。もちろん今の日本の銀行の状態で外銀が進出して参りますと、いろいろの影響があると思いますが、あちらの外銀が日本人相手の業務を積極的にやるのであるならば、その中から外資導入ができるというふうに考えて、この問題は日本の銀行に対する影響を少くするような方法を考えながら、積極的に進むべきであると考えますが、外資の問題と関連いたしまして、安永長官はどういうふうにお考えになつておるか、伺いたいと思います。
  85. 青木孝義

    ○青木國務大臣 この問題は主として大蔵大臣の管轄に属すると思いますが、私の考えますところでは、この国会に提出されるであろうところの貿易関係の法規、これらによつて外銀の活動当も認められて行くというふうにも考えますが、これに関連いたしまして、もちろんおつしやる通り、外資の導入等の関係についても、この活動によつて十分期待せられ得ると自分も考えておる次第でございます。
  86. 小峯柳多

    ○小峯委員 私の長官に対する質問はこれで終りたいと思います。
  87. 植原悦二郎

  88. 勝間田清一

    ○勝間田委員 実はまだ準備が十分できておりませんけれども、せつかく安本長官が御出席でありますからお尋ねしたいと思います。非常に抽象的な広範囲な問題ですけれども、最近国内需要の問題と対外的な貿易の問題というものとが、当初の予定からは相当つたものになつて来ていると私は思う。国内的な需要をかなりしわ寄せして、外国貿易にすべてが持つて行かれておつたわけでありますが、かなり当初の予定からは違つたものが私はできておると思う。それで実際に今度の補正予算を出される場合に、有効需要なり生産計画なりというものがどういうように変更されておるのか、その点についてひとつお尋ねを申し上げたいと思います。
  89. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまの勝間田委員の御質問についてお答え申し上げます。私どもは前回の臨時国会におきましても、今回の臨時国会におきましても、大体一貫した考え方は持つて来ておるのであります。と申しますのは、貿易を優先的に考える。こういうこととドツジ・ラインを堅持しながら九原則を実行して行く。こういうことでやつて参りました。過去の経緯から考えてみますと、やはり貿易優先ということが大体において予定の方向であつたということが言えると思うのであります。この意味でもちろん漸次やつて参ります間に広く統制を漸次解いて行く。それに従つて一方におきましては価格調整費を削減する、こういつた問題とからみまして、もちろんこれが物価への影響等も考慮し、しかもその物価への影響は二次、三次の製品によつてこれを吸收するとか、いろいろな措置をとつてつておりますけれども、ともかくもわれわれは国内においては三百六十円という單一為替レートを基準とし、対外的にはその基準で輸出が増加されるような各般の処置を講じて行かなければならぬということが、いわゆる合理化と関連をいたしまして強く要望せられて参つた次第であります。このことから考えてみて、われわれとしては貿易がだんだん民間の手に移つて来る。そうして政府貿易的な色合いが、民間的な色合いにだんだんかわつて行くということに伴いまして、できるだけ自由に貿易を営んで行くというようになつて来なければ、日本が戰時中なり戰後にわたりまして相当に停滯して来た、相当に遅れて来た技術であるとか、あるいはまた設備の老朽化を改めるとか、改善するとかいつた問題の解決ができない。そのことを顧みますならば、われわれとしては、計画はその線に沿つて——多少変更はして来たとは思いますが、しかし大体においてわれわれそういう方向を構想してやつて来たというふうに申し上げることができると思います。その意味から私どもは今後とも輸出の増進をはかつて参る考えでありますが、御承知通り十二月一日から輸出貿易、来年の一月一日から輸入貿易というふうに、その貿易上における手続ないしはその他いろいろ各般の関係が法規によつてきめられようとしておる現在のことでありますので、おつしやるように相当かわつて来たんだという見方も、必ずしも間違つた見方ではないとは存じますけれども、われわれとしては大体そういう方向で、輸出の増進を今後とも推進して参りたいという考えで、ただいませつかく努力をいたしておる次第でございます。
  90. 勝間田清一

    ○勝間田委員 しかし実際現在は相当貿易も予定通りは進んでおらない。この事情もお尋ねをしたいと思うのでありますが、しかし半面においては非常に滯貨がふえておる。しかも国内的には非常に窮乏が進んでおるというような状態におきましては、むしろ国内市場の確保の面を当面はかつて行くということが、やはりデフレーシヨンに対しては妥当な方法じやないか。その意味で長期に考えて、輸出貿易に重点を置いて行くということは正しいかもしれませんが、そこにタイムリーというものを増えて行く場合においては、国内の生活の面をやはりもう一ぺん再認識する必要があるのではないか、この前の大蔵大臣お話によるとも安定が来たと言われておりますが、当面非常に困難な事態が起きておりますので、この困難の事態ということ、すなわち国内市場の面ということを相当重要視して考えて行かなければ、今までの政府のやり方では、私は破綻するのではないかという感じを持つのであります。貿易と国内市場との関係について、国内市場を重点考えて行くという考え方は、当面持てないかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
  91. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ごもつともなお言葉でございまして、国内に有効需要が増して行くということには、いろいろな政策が考えられると思います。本会議等においても一応御答弁を申し上げたのでありますが、もちろんきわめて大まかに御答弁を申し上げたのでありますけれども、ドツジ・ラインを堅持しながら、われわれは安定へと急いでおる、その線に沿つて努力をいたしておりますが、大体においてその安定への軌道に乘つて来た。こういうような観点から、われわれが従来考えて来たような考え方といえば、多少そこにタイミングの問題がある。そういう問題を織り込んで考えますと、急激にこれを実現するというためには、多少そこに摩擦が生ずるということは、何人も認めざるを得ない現象であるかと存じますし、またそういうことからいたしますれば、現在の有効需要等が多少減退した。それに対してどうするかという問題もあとに残るのでありますが、御承知のようにわれわれとしては、この補正予算及び二十五年度の一般予算におきましても、できるだけ有効需要をつけて行くということに、この予算の線に沿つて努力して行きたいと考えておりますし、また失業対策等におきましても、これは労働大臣所管でございますが、その方面でいろいろ対策を考えておることとも存じますし、多少有効需要が減退したことは事実であると存じますけれども、しかしこれは安定化への道行きにおける一つの摩擦であつて、漸次これを取りもどして行くように、われわれとしては努力して参りたいと存ずる次第でございます。
  92. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それで安本の方ではおそらく有効需要の測定などをやられておると思いますが、来年度の予算にいたしましても、今回の補正予算とずいぶん連絡を持つておられるようでありますから、有効需要の測定ということをどう考えていらつしやいますか、その点を、何だつた政府委員に連絡して、御説明いただければけつこうだと思います。
  93. 青木孝義

    ○青木國務大臣 おつしやる通り、私どもでは有効需要の測定という作業も営んで参りました。それは生産局でやつておりますが、ただいま参つておりませんので、あらためて説明させていただきたいと思います。
  94. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それではこの有効需要の面は後ほど承りたいと思います。今までの統制経済から漸次自由経済にかわつて行くという面もかなり理解ができるのでありますが、しかしこの前本会議でありましたか、たとえば産業五箇年計画をやめて行くのだというような御意見を、総理も安本長官もおつしやつてつたようでありますが、これからの統制様式、あるいは統制様式というものができないということであれば、どういうところに指標を置いた一つの経済の運営をやつて行こうとするのか、すなわち今までの統制にかわるべき一つの指標というものを、自由主義経済はどこに求めて行こうとするのか、この点についてはおそらく国民も、どこをよりどころにして生産というものを開いて行つたらよいかということについても、苦しんでいるだろうと思うのでありますが、こういう指標についてのよりどころを、自由主義経済はどこに求めて行こうとするか、安本長官は自由主義経済そのものの計画的な推進をいかようにはかつて行こうとするか、この点ははなはだ重要だと思いますので、はなはだ抽象的で申訳ありませんけれども、方針を承りたいと思います。
  95. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいま五箇年計画の問題のお話がありました。われわれは御承知通り漸次統制を緩和し、あるいは撤廃して行くという方向は、一応皆様に申し上げてあるのであります。そこでその方向で行くか、今後どうするか、こういう御質問だと思います。この点は私どもとしては、当面の世界情勢の変化がはげしいというような状況のもとにおきましては、はなはだ立ちにくい問題でありましたが、ともかくも二箇年あるいは三箇年程度というか、なるべく期間としては短かい程度で、見通し作業的なものは現に私ども経済安定本部でやつておるのであります。ただ方針といたしましては、今までの統制を原則としてやつて来たような経済から、自由経済への移行過程というものをたどつていると思いますし、また現在のところでは大体おもなるものの統制、たとえば価格統制におきましても、振返つて見ますと、大体半ば以上を統制を解き緩和したというふうに私は了解をいたしておりますので、さらに今後これらの統制をどこまで解いて行くかという問題を、一つの方針として示し得ますことは、まず今年度におきまして、御承知通り価格調整費を一応削減をいたしました。さらに来年度におきましての予算面に現われております点では、御承知通り九百億の程度にとどめる。こういうことであります。再来年度においてはそれはどういうことになるか、こういう問題が残されているのであります。しかしわれわれはまつたくの自由放任経済等を考えているわけではありませんので、その間の中和をはかつて行くというようなことも考えているのでありまして、もちろんそれは対象による問題でもありますので、私がここではつきりと今申し上げるわけには参りませんけれども、今の過程としては、なお統制を緩和し解除して行くという方向をたどつておりますから、今後一、二年のうちにその見通し作業としてはつきりとした見通しをつけて、実行可能なる方法で進んで参りたいというふうに自分は考えている次第でございます。
  96. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私の質問のやり方が惡かつたせいか、よくわかりませんが、今までは生産計画なりあるいは一つの復興計画の目標というものが初めに立てられて、それに従つてたとえば物動的な面もあつて、物の面から統制もとつて来たし、あるいはある場合においては、石炭が中心となり、ある場合には電力が中心となり、資金統制というものが中心となつて計画的な運営が行われて行つたわけであります。それは御案内の通りに、物の不足な非常に生産力の低い時代においては、当然経過しなければならぬ重要な問題であろうと思うのでありますが、しかし今日になつて民主自由党の内閣が統制を撤廃して行くといつた場合に、私はそれが自由放任という形ではないだろう千と思います。そういう條件が許されるということであれば、たとえば対外的な援助物資を受ける場合においても、たとえば食糧の場合であつたならば、何百万石か食糧が入つて来るとか、あるいは対日援助資金が何億ドル入つて来るというようなところにも規制もされて来るし、ましてや為替貿易の点でも規制を受けて来るし、早く言えば統制撤廃というようなことでは事は済まされないだろうと思う。そこで自由主義経済のもとにおいて、一つの復興計画を計画的に推進して行く場合に、何をよりどころにして安本長官はこれを推進されて行こうとするのか、もし自由主義経済というものが單なる放任であつて、一つのいわゆる利潤追求だけで事を済まさして行こうということであれば、これは別問題でありますけれども、そうでなくて、そこに一つの道を開いて行こうとすれば、そこに政治なり、経済政策の責任が出て来なければならぬと思うのでありますが、その指標をどこに置いて日本の経済のスムースな運営をして行こうとするのか、それを一つお聞きしたいわけであります。それでないと、われわれは従来まで統制であるとか、自由であるとかという一般的な考え方をよく確論をしがちであつたのですけれども、そういう抽象論では済まされない、そう思いますので、安本長官のお考えを承つておきたいと思います。
  97. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまの御質問に対しては、こういうふうにお答えするほかないと思います。御承知のように、今国際情勢が大きく変化しつつある、そこで国際情勢のまず一端をとり上げて申し上げますならば、たとえば貿易の点で考えてみますと、日本は今の為替の状況から、率直に申し上げますれば、アメリカから輸入いたしますガリオアとかイロアは別といたしまして、その他の地域から輸入すると仮定いたします場合にも輸入には有利で輸出には不利だ、こういうことが一応考えられる。しかしその場合において、対英関係なり、あるいは対インドの関係、朝鮮に対してというような場合には、年間これだけの輸入をする、これだけの輸出をするというようなことが協定せられて、相互にバーター・システムによるような貿易政策が生れて来るということも考えられるところだと思います。そういうところから考えますと、日本の貿易というものが、一応輸出輸入というような関係のバランスをどんな形でとつて行かれるという見通しもついて来ると考えられるようにも諸外国においてもやはりそういう態勢で進んで行くものとまず一応了解ができると思います。そういう形になりますれば、やはり日本の国内におきましては、自国の自立態勢としてどういうものが主として開発され、生産されなければならぬか、また生産が増大されなければならぬということがきまつて来るでありましようし、また国内におけるところの見通し作業としても、大体世界的な動向なり日本の現在のあり方、現状把握等から推測いたしまして、その目標はおのずから立つて行くものと考えますので、私としてはただいまのところ一応さようにお答え申し上げておくほかはないと存じます。
  98. 植原悦二郎

    植原委員長 この場合御了解を得ることがあります。先刻の小峯君の外資導入に関する質問について、安本長官の答弁になお補足しておきたいという外資委員会事務局長からの申出がありました。これを補足しておくことがすべての委員の御参考に御便利と思いますから、この機会に外資委員会事務局長賀屋正雄君に発言を許します。
  99. 賀屋正雄

    賀屋説明員 小峯委員の御質問に補足的にお答えをいたしたいと思います。さきに青木長官がどの程度の御答弁をされましたか存じませんので、多少重復する点もあるかと存じますが、その点はあしからず御了承願いたいと思います。  御質問は三月十五日発足いたしまして以来の外資委員会の活動の状況と、それに伴いまして外資導入の実績がどの程度に上つておるかということ、並びに今後の外資導入の見通しはどうであるかという点にあるように承るのであります。そこで外資委員会が三月十五日発足いたしまして以来約七箇月の間におきまして、御承知の外資委員会の職務といたしまして持つております二つの種類の仕事、一つは外国人が日本の国内におきしまして一定の財産権を取得する場合におきまして、外資委員会の認可を要するということになつておりますが、その許可の仕事が一つであります。もう一つは外国人が日本におきまして事業活動をいたします場合には、司令部の許可が必要であつたのでありますが、その司令部が許可をいたします際に、はたしてその事業活動は、日本の経済に適するかどうか、こういう点につきまして日本政府意見を求めて参ります場合に、この外資委員会で回答を司令部側に出す仕事をやつてつたのであります。この外国人事業活動につきましての仕事は、今度多少かわりまして、先月の二十一日に司令部から覚書が参りまして、従来何でもかでも司令部が事業活動について許可を與えておりましたのを、一定の事業を除きましては、許可はいらないことにいたしました。ただ銀行、保険、通信、運輸その他の自由職業といつた限られた業種について、今まで司令部が許可しておりましたのを、日本政府に許可の権限を讓つてつたのであります。従いまして、今後そういつた限られた業種につきましては、日本政府が許可をすることになりました。従来の意見の回答というやり方が多少かわつて参るわけであります。この両方を通じまして、外資委員会が処理いたしました件数は、非常に数が多いのでありまして、そのこまかい数字については、すでに長官から御答弁があつたことと思います。ところが、これら外資委員会が処理いたします案件は、すべて直接あるいは間接に外資導入に関連するというものではないのでありまして、たとえて申し上げますれば、事業活動で非常に数の多いのは、外国人が外国の消費物資を国内に持つて参りまして、国内に参つております外国人に対して、外貨でこの消費物資、たとえば酒、タバコその他食料、衣料、そういつたものを販売する商業的な活動が非常に多いのであります。これはどちらかといえば外資導入にはならない例なのであります。そのほかただいまでの制度では出版関係事業を営みます場合には、やはり許可が必要であつたのでありますが、これも海外の情報を国内に頒布するというだけのものでありまして、経済的の外資導入とは言えないのであります。そういつた関係で外資委員会の取扱います案件のすべてが外資導入そのものではないのでありますが、逆に外資が導入されます場合には、ただいま申しました事業活動あるいは財産権の取得という、どちらかの面でほとんど例外なく外資委員会が扱うことになろうかと思います。そこでただいままでに外資委員会が扱いました案件の中で、多少日本の経済に役立つておるような事例として、どういうものがあるかということになるわけでありますが、結論的に申し上げますと、まだ遺憾ながらそのケースは非常に数が少いのであります。長官から御説明があつたと思いますが、その中で多少とも日本の経済に役立つケースといたしまして目ぼしいものを拾つてみますと、石油業関係、ゴム工業関係、化学薬品関係、造船業の関係その他機械に関する関係というたものについて、それぞれ一、二件ないし三件程度あるのであります。具体的な会社の提携は、あまり具体的になり過ぎまして、この席でお話するのが適当であるかどうか疑問に存じますが、新聞にもすでにたびたび出ておりまして御承知のことと思いますが、石油につきましては、カルテックス石油会社と日本石油との提携、スタンダード・オイル・カンパニーと東亜燃料との関係、タイド・ウオーター会社と三菱石油との関係、それから造船関係ではスイスのズルツアーという優秀な舶用エンジンをつくる会社がありますが、そこと三菱工業とか播磨造船といつたような会社との提携関係があるのであります。そのほか化学薬品では非常にポピュラーなものといたしましては、DDTの特許の実施計画に関する提携がガイギという会社と日本側の——これは相手が非常に多いのでありまして、保土谷化学その他二十数社との提携があります。そういつたような提携関係がございますが、その内容はいろいろありまして、場合によつては株も持ちますし、資本参加もして参りますし、あるいはただいまの造船事業の場合、薬品工業の場合におきましては、外国の優秀な特許の実施権を日本側の会社に與えまして、一定のロイヤルティの支拂いを受けるといつた契約が大部分を占めておるのであります。今日までに外資委員会が扱いました案件の中で、経済的な効果の上りそうな提携は、そういつた種類のものなどであります。  今後の外資導入の見通しという問題でございますが、これは実は非常にむずかしい問題でありまして、相手方のある問題でありますから、こちらがいくら希望いたしましても、向う側が乘つて来ない以上は、どうにもいたしかたがないわけでおります。まあ日本側といたしましては、長官からも御説明があつたと思いますが、すでに受入れ態勢として実施いたしました事項も数多くありますが、今後もたとえば税法の改正の点、それから貿易為替に関する管理機構の確立、そういつた点につきまして所要の措置が講ぜられることと思われるのであります。外資の導入につきまして、よく話を聞いてみますと、一番障害となつておりますのは、どうも元本並びに利子、利潤の外貨送金の問題だろうと思うのであります。従つてこういつた点につきましての措置が今後とられますれば、将来の外資導入についても相当明るい見通しを立てても誤りではないのではないか、かように考えておる次第であります。     —————————————
  100. 植原悦二郎

    植原委員長 この際お諮りいたしたいことがあります。薪炭需給調節特別会計予算に関しまして、小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。なお小委員の数は十一名とし、小委員及び小委員長の指名は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  102. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。小委員には    苫米地英俊君  尾崎 末吉君    田中 啓一君  小平 久雄君    高橋  等君  池田正之輔君    武藤運十郎君  川崎 秀二君    深澤 義守君  奧村又十郎君    平川 篤雄君    を指名いたします。委員長池田正之輔君を指名いたします。これを御了承願いたいと思います。     —————————————
  103. 植原悦二郎

    植原委員長 次に通産大臣が御出席なにつております。次の質問順位は稻村順三君でありますが、稻村順三君、その他の申出もありまして、委員長はきわめて公平妥協的でありますがために、なるべく議事を円満に進行せしむるために、皆様方からも相当御譲歩願うこともあろうと思いまして、委員長はこの場合、諸君の申出を入れまして、本日はこれで散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。     午後三時五十三分散会