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1949-11-28 第6回国会 衆議院 郵政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 石原  登君    理事 宇田  恒君 理事 大和田義榮君    理事 風間 啓吉君 理事 加藤隆太郎君    理事 白井 佐吉君 理事 井之口政雄君    理事 山本 利壽君       天野 公義君    淺沼稻次郎君       平川 篤雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         郵政政務次官  吉田  安君         郵政事務官         (郵務局長)  浦島喜久衞君         電気通信政務次         官      尾形六郎兵衞君  委員外出席者         議     員 千賀 康治君         議     員 高塩 三郎君         議     員 前田 種男君         郵政事務官   白根 玉喜君         郵政事務官   金丸 徳重君         專  門  員 稻田  穰君 十一月二十五日  委員西村榮一君辞任につき、その補欠として武  藤運十郎君が議長の指名で委員選任された。 十一月二十八日  理事西村榮一君の補欠として武藤運十郎君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  郵便物運送委託法案内閣提出第一一号)(参  議院送付)   請願  一 野方郵便局復活に関する請願花村四郎君    外一名紹介)(第三六号)  二 碧南市の通信施設拡充に関する請願(中野    四郎紹介)(第三八号)  三 五日市郵便局集配事務復活請願山本    久雄君紹介)(第五二号)  四 川合郵便局集配事務開始請願前田正    男君紹介)(第六五号)  五 下淵郵便局集配並びに電信電話事務開始    の請願前田正男紹介)(第一二六号)  六 此花郵便局復興促進請願前田種男君紹    介)(第一七七号)  七 川崎鹿島田特定郵便局設置請願(白    井佐吉紹介)(第二六八号)  八 七合郵便局集配事務開始請願(高塩三    郎君紹介)(第二八七号)  九 簡易保險及び郵便年金融資再開に関する    請願井出一太郎紹介)(第二八八号) 一〇 新庄市金沢に郵便局設置請願圖司安正    君紹介)(第八二二号) 一一 郵便年金増額請願八百板正紹介)(    第八五六号) 一二 農産種苗郵送料金軽減に関する請願(宇    野秀次郎君外二名紹介)(第九二八号) 一三 簡易生命保險及び郵便年金融資再開促進    に関する請願江崎一治君外三名紹介)(    第一〇八一号) 一四 郵政省の不正管理者追放に関する請願(江    崎一治君外三名紹介)(第一〇九一号) 一五 岩津大字宮下字ヲチタに無集配郵便局設    置の請願千賀康治君外一名紹介)(第一    一四二号) 一六 岩津大字宮石村三部落地間に無集配郵便    局設置請願千賀康治紹介)(第一一    五四号) 一七 特定郵便局における勤務時間に関する請願    (江崎一治君外三名紹介)(第一一六九    号)     —————————————
  2. 石原登

    石原委員長 それでは開会いたします。  会議を開くに先だちましてお諮りいたしますが、理事西村榮一君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になつております。この際、理事補欠選任をいたしたいと思います。選任方法委員事長に御一任願ひたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原登

    石原委員長 御異議ないと認めます。それでは理事武藤運十郎君を指名いたします。
  4. 石原登

    石原委員長 これより郵便物運送委託法案議題といたしまして、討論に入ります。討論の通告があります。これからこれを許します。加藤隆太郎君。
  5. 加藤隆太郎

    加藤(隆)委員 郵便業務の一部をなす郵便物運送を、経済的理由等によつて鉄道自動車等事業者にゆだね、あるいは山間僻地集配を他のものに委託していることは、わが国郵政事業現状であります。これらは元来独占事業建前上、国みずから行うべきものを、他に委託してやらせているのでありますから、必ずや法律の根拠がなくてはならぬこと言を要しないところであります。しかるにこれらの場合を規律する現行法律としては、五十年前に制定せられた鉄道船舶郵便法があるだけで、その内容もきわめて不完全であるばかりでなく、延べキロ程二十三万余キロにわたる委託路線中、その八割三分を占める日本国有鉄道自動車運送事業者等に委託する場合に関しては、何ら法律のよるべきものがないのであります。この点にかんがみまして、このたび政府において法の不備を充足し、民主国家にふさはしい法規内容を整えて本法案を提出されたことは、まことに当然のことであり、法案内容も概ね適切妥当と認め、民主自由党を代表して本法案に賛意を表するものであります。この機会に二三所信を申し述べて政府の考慮を促したいと思うのであります。  その第一は、今度削除せられました郵便法第十條との関係であります。現行郵便法の制定にあたり、同法中の他の規定と区別し、第十條のみの施行期日政令で定めることとし、さらにその政令昭和二十三年四月一日までに施行しなければならないとしている建前上、同僚にいう法律とは、郵便法施行の際に現存する鉄道船舶郵便法を指称することなく、まさに本法案のごときものを予想していたことは、きわめて明白であります。しかるに新憲法下において、当然法律の定めを要する委託業務につき、今日まで法規空白時代を持ち越したことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。  第二に、郵便物保護に関してであります。国の独占にかかる郵便事業に対し、高度の信頼感をもつて託されたところの郵便物に関しては、業務を国みずから行う場合と、他をして行わしめる場合とにおいて、その保護につき、厚薄の差があつてはならないことは、申すまでもないことであります。しかるに本法案による委託業務に従事する者は、国みずから行う場合のそれと、法律上の地位を異にし、まつたく契約に基く一私人の立場に立つために、刑罪規定適用上差異あるのみならず、業務を行う者の心構えにおいても、これに対する一般公衆側の心証においても、大きな隔たりを生ずるおそれのあることは、言をまたないところであります。しかしながら委託業務の全面にわたつて、これに従事する者をことごとく公務員と同一の地位に置くときは、郵便物保護については欠くところがない反面、不和の他人に不測の損害を及ぼす憂いなきを得ない結果、いずこに一線を画すべきか、きわめて難問題に逢着せざるを得ないのであります。今日この問題を未解決のままに置くことは、はなはだ本意でないのでありますが、信書に対する国の保障は、基本人権にも関係のあることでありますから、政府におかれても今後愼重御考究の上、郵便物対外表示等にも格段の創意研究を積まれるとともに、郵便物保護につき、さらに一層手段を盡さるるよう希望してやまぬ次第であります。  第三は、本法案運用についてであります。第四條に掲げる場合を除き、郵便物運送等を委託する方法は、競争による契約原則とすることは、第三條の明示するところでありますが、この原則は、競争に加わろうとする者に対する郵政大臣認定権運用いかんによつては、空文に帰するおそれがあるのであります。認定権運用は、運輸大臣のなす道路運送の免許とも関連性を持ち、複雑な関係を生ずることと思いますが、政府におかれては愼重御考究の上、一部事業者独占的傾向を助長することなく、せつかく民主的規定有名無実に終らしめざるよう、御配意を願いたいのであります。  第四は、運送等を委託する場合の條件である経済的であることに関してであります。現在官営企業が、民営企業に比し、著しく不経済的結果に終始しておりますことは、わが国一般の通弊であつて、はなはだ遺憾とするところであります。本法案運用においても、自動車運送のごときは、とうてい官営経済的によくするところにあらずというような、抽象的先入観念にとらわれることなく、真摯不断の検討を積まれ、科学的、能率的運営のもとに、現在の委託業務をことごとく官営に移行せしめ得るとに窮極の目標を定め、その目標に向つて鋭意邁進することが、独立企業体の真にあるべき姿ではないかと思うのであります。
  6. 石原登

  7. 井之口政雄

    井之口委員 この法案に対して、共産党を代表して反対いたします。  この法案は、郵便物輸送に関する法案でありまするが、現在行われている状態をそのまま、法律によつて確認するというふうなことに表面はなつております。事実われわれは今日行われているところの輸送業務に対して反対なのであります。これをもつと輸送業務を一元化して、真に国営事業としての郵便物、また社会公共事業としての郵便物運送ということを、徹底的にわれわれは社会主義の本旨に沿うように向けて行つてこそ、ほんとうのものだと思うのでありますが、その中の一部分といたしまして、託送業務につきましてこの法案が出ている。郵便物運搬についてよく考えてみまするに、たとえば鉄道で委託してこれをやる部分、あるいは私鉄にこれを委託する部分、あるいはすでに存在しているところのバス交通に委託してこれをやる部分、あるいは專門的自動車でもつて郵便物輸送している部分、あるいは馬車、また個人の輸送というふうに、いろいろの状態があるのであります。その場合に、この法案が実施適用せられるときに、最も重大な部分として現われて来るのは何かといえば、專門的自動車運送をやつている者に対して競争入札のもとにこれをやらせるというのが、この法案の実際適用部面における効果なのであります。そのほかの部分につきましては、この競争入札によらずして、自由契約をやるようなふうになつておりますが、中心となつてこれが活動する部面は、專業的にやつている自動車に委託して、郵便物運搬をやらせるということが主になつている。そこで今日もその点がありまして、今日事実日本郵便逓送株式会社に、自動車運送に委託している部分の八割見当を委託しているというのが実情であります。してみると、こうした部分はすでにそういう私企業がりつぱに成立つておる。いわんやこれを国家公共建前からやつて人民のためにこれを運営するという、民主主義的な運営でなければならないという点からいうならば、さらに一層効果上つて、一層経済的になり、そして人民利益を守ることができる建前なんです。それを今日やつておるような方法であるために、むしろ経済的にもかえつて惡いというようになつておる。われわれはこの日本郵便逓送株式会社事業面やり方を見ますと、多額の利益を上げておる。しかもその利益上げ方は、あるいは宴会費だとか、あるいはいろいろな名目でもつてこれを浪費しておる。そういう状態が起つておるのであります。のみならず、この事業に携わつておる人たちは、かつて逓送事業に働いたところの、古い官僚の方々のうば捨て山みたいになつておる。または逓送事業における共済組合の金が、資金面にこれが使われておるというふうな点がありまして、当然国有国営としてやられなければならない部面が、こういうむりな形態をとつて、そして一部の人たち利益を与えるというふうになつておる。この事実をもつてしても、これは国家独占的にやり得る自動車業務というものは、当然国家が経営して輸送をやらなければならぬものだと思います。かつ経済の点は、もしわれわれが民主主義的にこれを運営することになれば、もつともつと有利に効果を上げることができることは明らかであります。今の郵便事業はむしろ官僚的な国家独占資本主義形態をとつておるがために、効果が上らないのであつて、真にこれを社会主義的な基盤の上に立てることになつたならば、もつともつと効果上つて国民のために有利となると思う次第であります。  以上の理由からいたしまして、郵便託送事業を一元化するというこの根本方針を貫くことに反対して、逆行するようなことを許すこの法案に対しまして、反対せざるを得ないのであります。国鉄方面におきましても、荷物の小口取扱い部分だけを切り捨てて、国営から移して、そして地方ボス勢力の温存のためにそれを委託するというふうな傾向が現われて来ておるようでありますが、ちようどそれがこの郵便事業に現われておる。これは民自党一連政策であるとわれわれは考える次第であります。こういうやり方をしていたならば、公共企業がみなばらばらになつてしまつて国民はそのためにますます不便を感じなければならない。のみならず、もつと考えなければならぬことは、この專門的に使われる自動車運送等が、もし民間にずつとまかされまして、法律によつて保護されて行くようになつて行きましたならば、これはいくら法律自由競争を許し、そうして競争入札を許したところで、これは経済上必然的にどうしても独占的になる性質のものである。独占的な性質のものをそういうふうにして独占的でないような仮面をかぶつたところで、結局はなかなか目的を達するものではないから、そういうものがますます栄えて参りますれば、この独占事業がかえつて鉄道事業その他の今の託送事業と一層競争になつて来て、現に鉄道に一部分委託しておるような部分をも、さらにこの自動車運送にまかしてしまうというふうな傾向が将来起り得ることが、朗らかに今日から懸念されるのであります。この点からわれわれは民自党一連自由経済政策というふうなものと結びついておるこういう託送政策に反対する次第であります。
  8. 石原登

  9. 淺沼稻次郎

    淺沼委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつております郵便物運送委託法案に対して賛成をするものであります。  原則的にこの郵便事業国営事業として、その独占形態を貫くべきものであると思うのでありまして、将来は輸送事業を一本化して、国営化する目標に向つてやらなければならぬことは当然であります。しかし質疑応答の中に現われました通り、現実にやつておることをただ法文化するということに私ども伺つたのでありまして、このことを率直に認めまして、原則的なことは将来大いにそれに向つてつていただくということを條件として、賛成したいのであります。  さらに一言この際要望を申し上げたいことは、これは賃金ースに関する問題でありますが、行政整理の結果、労働強化相当行われて来ております。さらに生活費は増大いたしまして、賃金ースの要求が全官公庁の労務者並びに公共企業体労務者の中から起つております。また人事院は近き将来において勧告するということを伝えられておるのであります。しかし政府におきましては、勧告があつても、それを了承しないというようにも私どもはよく承るのでありますが、現業を預かつております郵政大臣としては、やはりこの従業員要望が達成されるように、閣内において御奮鬪願うことが、従業員のためであり、また今問題になつておりますものを合理的に解決するゆえんだと思うのであります。もしこの解決がうまく行かなければ、いろいろの方面において合理的にやつて来たが——たとえば国鉄の問題を例にとつて申しますれば、合理的に行政整理を認める結果になり、さらに調停委員会を活用して、調停委員会の結果ものんだ。それも政府は認めないから、今度は仲裁委員会にかけて、仲裁委員会の結果はこれまた政府が認めないで、一切を国会の決定にまつというような態度に出て来れば、自分たちが合理的にやつて来たにもかかわらず、われわれの鬪争を政府自体が非合理に追いやるというような形から、あるいは予期せざる結果を招来しないとも限らないのでありますから、その点には非常に念を入れられまして、多くの現業を持ちます郵政大臣として、これらの人々のために閣内においての御奮鬪を希望しておきます。
  10. 石原登

  11. 山本利壽

    山本(利)委員 私は民主党連立派を代表いたしまして、今回議題に供されました郵便物運送委託法案について、賛成の意を表するものであります。  本法案がこの委員会に付託されましてから、その特質については各委員より詳細にわたつていろいろな論議があつたのでありますけれどもわが国現状から考えまするときに、この法案は最も適当なものであり、しかもかかる法案を有することが必要なことであると考えましたので、他の委員から申し出られましたいろいろの要望事項について、政府がこの法案運営にあたつて十分注意されることを希望いたしまして、賛成の意を表します。
  12. 石原登

    石原委員長 これにて討論は終結いたしました。  これより本案について採決いたします。原案通り可決することに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  13. 石原登

    石原委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお本案に対する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 石原登

    石原委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。     —————————————
  15. 石原登

    石原委員長 次に請願の審査に入ります。  まず日程第六、此花郵便局復興促進請願議題といたします。紹介議員より趣旨説明を求めます。前田種男君。
  16. 前田種男

    前田種男君 簡單に御説明申し上げます。大阪此花区は御承知のように西大阪工場地帶を包含している地域であります。戰災のために相当被害は受けましたが、終戰後いち早く復興した地区であるわけです。大阪における大工場がたくさんあります地区で、晝間でありますならば、いまなお数万の労務者が働いておるという現状であります。その後住宅等復興いたしまして、昨年から本年にかけまして市営住宅、一般住宅合せまして、一千戸ぐらい新築されました地区で、人口もすでに四万という地区になつておるにもかかわらず、戰災で燒けましたところの郵便局がそのまま今日置去りになつているわけです。四万からの人口を持つている地区に二等郵便局がないということは、いろいろの点から不便でございます。また先ほど申し上げましたような大阪における産業の中心地に、そうした郵便局がないということは、非常な不便を感じているわけです。前の国会におきましても請願を御採択願いまして、皆さんの御援助を得ましたが、ちようど行政整理のさ中でございましたから、行政整理が一段落つきますならば、ぜひとも此花郵便局復興のことは考慮したいというのが、政府委員の答弁でございました。すでに行政整理も一段落つきましたし、地区的にも重要な場所でございますので、ぜひとも此花郵便局復興できますように、特段の御配慮を願いたい。場所等につきましても、地元においてある程度の場所も物色いたしまして、もし政府が何とかしたいということになりますならば、その面についても地元としてできるだけの協力、援助をいたしまして、この目的が達成できるように念願しておるわけです。そういう点等もあわせ御考慮願いまして、ぜひ御採択の上に、政府当局の一段の御盡力を願つて、実現できるように御配慮願いたい。以上申し上げまして、簡單ではございましたが説明にかえます。
  17. 石原登

    石原委員長 この際政府意見があれば承つておきたいと思います。
  18. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御請願の御趣旨はまことにごもつともな点でございまして、ただいまるる御説明がありました通り、この此花地区には戰前におきましては郵便局があつたのでありますが、不幸にして戰災によりまして燒失しました。また附近局此花局享便地域戰災によりまして燒失しましたので、戰後におきましては隣の堂島郵便局に統合いたしまして、郵便事務を取扱つておる次第でございますが、この此花地区戰後復興状況をよく勘案いたしまして、局の復旧をはかりたいと存じておるわけでありますが、何分この際この此花郵便局を新しく復旧しますためには、局舍の新築につきまして相当の予算もいりますことですし、また定員におきましても約二十六名の増員を必要としますので、今日まで実現に至らなかつたのでありますが、この地区は市街地の復興状況とにらみ合せまして、当然将来は復旧さるべき地域でありますので、将来におきまして十分に考慮いたしたいと考えておる次第であります。     —————————————
  19. 石原登

    石原委員長 日程第七、川崎鹿島田特定郵便局設置請願について、紹介議員説明を求めます。     〔以下筆記〕
  20. 白井佐吉

    白井委員 本請願の要旨は、往時は宿場でありまして、川崎在戸数五十戸にも足らぬ一寒村に過ぎなかつたのでありましたが、昭和初年に川崎・立川間に南武鉄道の開通と、京浜沿岸工場地帶の発展に伴いまして、漸時開発一途をたどりつつありましたが、日支事変進展とともに急激に発展開発されて、今日に及んでいるのであります。すなわち附近住宅営団及び市営住宅並びに各会社工場の社宅、寮舍の建設、または日立製作所、三菱重工、大同製鋼東芝特殊合金等を初め、多数の工場が建設されますと、俄然活況を呈しまして、目下戸数六百戸に激増いたしまして、附近部落もまた同様の経路をたどつて、ますます盛況を継続しているのであります。それがために省線鹿島田駅の昇降者のごときは、一日一万数千に及んで、今後とも一層漸増の一途をたどる情勢となつております。しかるに一方文化施設においては、保安、医療、市役所支所等、いずれもその緒についたのでありますが、一般公衆日常生活に最も密接で関係深い貯金、納税、郵便施設を欠いておりますために、附近の住民ははなはだしく不便、不利を来しておる現状であります。今かりに当所新局設置による受益戸数を推算いたしますと合計二千七百戸、その他前に述べました各会社工場寮舍並びに省線鶴見操車場等外来通勤者を考慮いたしますと、無慮三千余戸の都市にも概当匹敵いたしまして、いかに広範多大の効果一般公衆に与へるかは、察するに余りあるものがあります。しかしながら当鹿島田は、あたかも川崎旧市域と中原地区との中間に位いたしまして、多摩川、鶴見川に近く、史蹟勝景に富む夢見ケ崎日吉台に連なる絶好の住宅地帶でありまして、京浜沿岸工場煙地域には、必要欠くべからざる唯一の保健地でありますから、今後ともますます発展することを予想されるのであります。以上述べました状態にある当所は、地理的にも駅を中心として、当地方文化発祥地を形成するものでありますから、すみやかにこの鹿島田特定郵便局を開設せられますようお願する次第であります。
  21. 石原登

    石原委員長 政府意見があれば承ります。
  22. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御趣旨ごもつともでございます。局設置予定地川崎鹿島田附近といたしますと、局間距離は、川崎古市場局へ一、一キロ、享便戸数は七千人で、最近局との距離及び利用人口とも置局の標準に達しておりますので、置局の必要があるものと思はれますが、定員事情及び他との振合いから見まして、ただいますぐに実現いたしますことは困難でありますが、将来の計画土の参考といたしたいと思います。     —————————————
  23. 石原登

    石原委員長 次に日程第一五、一六、これは紹介議員が同じでありますので、一緒に説明を願います。
  24. 千賀康治

    千賀康治君 この二つの請願にあります当地方は、全国におけるガラ紡績発祥地でありまして、明治十三年ごろこの地の渓流を利用して、原始的水車によりまして、ガラ紡績を創業して、爾来今日まで七十有余年間時代の推移とともにガラ紡績業も大なる進展を遂げまして、水車時代より電力時代にかわつて工場の増設に伴つて紡糸生産の増強と相まつてガラ紡織物国民衣料資源重要性は日とともに増加して参りまして、再生原料より織物までの一貫作業による企業体が続出して全国有数生産地たることを自他ともに認識するに至つております。現在この地域施設された工場は二百余を数え、当地に本社を有する会社だけでも十指を数へるに至つておりまして、愛知のガラ紡は実に当地方中心として、特に品質の点においても、かつ生産数量の点においても、他の追従を許さない自負心を有して、将来の向上は偉大なるものがあると確信しているのでありますが、この地は乘合自動車があるのみで、実に交通不便な山間僻地に位する部落でありまして、住民は通信機関を唯一のたよりにしている実情であつて、現在の業態はまつたく通信機関の不完備が、生産面の最大隘路となつておるのであります。しかるにこのガラ紡糸及び同織物生産地帶に特に必要な該機関としては、岩津郵便局、松村郵便局の二箇所の局がありますが、最短距離にしても一里半、遠くは三里余も離れている実情でありまして、二百余の工場に対する電話の施設は、わずかに六本を数えるのみであります。これが生産面の隘路打開の第一歩は、通信にまつほかなく、数年前より村民そろつての熱望であります。ことに今日占領治下における九原則の実施と、寸刻を争う日本再建の任務を思うとき、いよいよ黙視するに忍びないのでありましで、なかんずく最重要部門である纎維工業の円滑なる進展に資すべき通信網の拡充を懇請する次第であります。何とぞ現地の状況を御精査の上、急速に無集配郵便局の設置をお願いする次第であります。
  25. 石原登

    石原委員長 政府側より意見があれば承ります。
  26. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいまの請願附近の地況から見て、局設置予定地大字宮石宇宮石とすることが最適地と思はれます。この場合は最近局との局間距離は四・一キロで、享便戸数も多く、置局の必要があると思はれるのでありますが、現下の定員事情及び他との振合から、早急に実現することは困難であります。しかしながら窓口機関利用上の不便を救済するために、十二月一日から簡易郵便局を設置することにいたしました。
  27. 石原登

    石原委員長 次に日程第一三、第一四、第一七の審査に移ります。紹介議員にかわつて井之口君より御説明を願います。
  28. 井之口政雄

    井之口委員 簡易生命保險及び郵便年金融資再開促進に関す請願について説明いたします。さきに第五回国会において、簡易生命保險、郵便年金の郵政省移管が、衆参両院において満場一致をもつて決議されましたが、今に至るまで郵政省において再開実施に至つておりません。今や金詰まりは、地方においてはその極に達し、六・三制学校の公共事業も改定、地方公共事業、土木事業等はまつたく行われず、疲弊その極に達しております。すみやかに郵政省は簡易生命保險、郵便年金を地方還元の趣旨にかんがみて、すみやかに地方貸付をなし、零細な庶民の金を庶民の手に有効に使用するようにしていただきたいと思います。このことは国会の決議を政府が実行することをサボることを整理する一面、今金詰まりによつて行き詰まつた地方財政を救つていただきたいと思いますので、ぜひ国会でお取上げ願いたいと思います。  次は郵政省の不正管理者追放に関する請願について説明いたします。本請願の要旨は、逓信省の予算の三分の一は、官僚の宴会や私腹を肥やすためにたくさん使われております。この不正がなくなれば、首切りもべらぼうな税金もなくなり、事業復興もできるのであります。全逓信労働組合におきましては、本年初めよりこのような不正を摘発して来ておりますが、政府はこれらの不正管理者を追放しないのみか、かえつて不正を摘発する正義の士を首切りしているのが実状であります。国会におかれましてかかる不正管理者を追放し、行政の明朗を期せられるようお願いいたします。  次に特定局における勤務時間に関する請願について説明いたします。本請願の要旨は、特定局における現行勤務時間は、法律第二百六十五号に違反し、不当に労働條件を惡化せられているので、人事院に対して異議申請中でありますが、今国会において審議せられ、公務員の公平なる勤務條件を確立せられたくお願いいたします。
  29. 石原登

    石原委員長 ただいまの三件について、政府意見があれば承ります。
  30. 金丸徳重

    ○金丸説明員 簡易保險及び郵便年金積立金の郵政省による直接運用の再開は、両事業の再建発展のために不可欠でありますので、郵政省が直接運用いたすことに閣議決定の上、関係筋に懇請中であります。
  31. 白根玉喜

    ○白根説明員 逓信省の不正管理者追放に関しての御請願でありますが、官規の維持につきましては常に努力いたしておるところでありまして、惡質の非違者に対しては、嚴重処分いたす方針で措置いたしておりますから、組合側においても協力を切望する次第でございます。  それから特定局の勤務時間の問題でございますが、これは従来逓信省では内勤定員三十人未満の特定局における郵便、電信、電話従業員の勤務時間は、労働基準法によりまして週六十時間まで認められておつたのであります。これは特定局の夜間の勤務が比較的閑散なために、この程度まで勤務時間を延長することは、普通局方面との権衡から申しましても、妥当であるとせられたからであります。昨年五月三十一日法律第四十六号によりまして、職階制新給与ヘの切りかえを行いました際は、現行員の勤務時間も考慮せられることとなりまして特定局員につきましても当時における六十時間勤務制を前提といたしまして、格づけをいたしたものでありまして、新給与法にいはれております「俸給算定の基礎となつている職務」と該当いたすものと解釈いたしております。昨年十二月改正新給与法が制定されました際、三十五條の規定を設けました経緯は、鉄道、現行警察、刑務職員等の場合と同様に、通信現行中の一晝夜交替勤務者をも、これに該当せしめる趣旨のものでありますことは、当時のいきさつからも言い得ることと考へるのであります。従つて郵政省といたしましては、特定局員の一部は、新給与法三十五條の該当者として、週四十八時間以上の勤務を設けておりますことは、何ら違法ではないと考へております。なお本年十月以降の官庁勤務時間が四十四時間制に短縮されました際におきまして、特定局の勤務時間を、日勤は最低定員三人以下の局等を除きまして、すべて四十四時間制、宿直は内勤定員別に、二十人以上三十人未満の局は五十一時間、十人以上二十人未満の局は五十五時間、十人未満の局は五十七時間に短縮することといたしまして、これによりまして相当服務時間が軽減されたものと考えております。目下のところこれ以上の時間短縮は、定員法及予算との関係上不可能ではないかと考ヘます。
  32. 石原登

    石原委員長 次に日程第八、七合郵便局集配事務開始請願について、紹介議員より趣旨説明を願います。
  33. 高塩三郎

    ○高塩三郎君 本請願の七合郵便局昭和九年六月十一日無集配局として取扱い事務開始以来、満十四箇年間に及び、村民の利用ますますその度を加え、村唯一の欠くべからざるものであります。その間において昭和十四年七月十四日より電信電話の交換事務開始により、これまた村民に対する感激と認識がさらに深まり、利用する者逐次増加をなし、現在においては電話十加入を擁し、両本年度も新規申込者増加の傾向をたどりつつあります。全国的に最近の郵便集配関係を見ればいかなる山間僻地の農村に至るも郵便集配の利便なる今日、特に七合村の現状においては、郵便物の敏速は期し得られず、これがため利用上に非常なる不便を感ずるところ甚大にして、まことに遺憾とするところであります。七合郵便局所在地は、南に烏山局、北に小川局、東北に馬頭局ありて、各局へ約八キロないし十キロの距離を有し、該局はその中間に位し、本村交通の中央地点にある。市内には七合小学校、大桶警察官駐在所、七合村農業協同組合支庫、烏山タバコ專売局タバコ取扱所あり、東は武茂村役場、同村農業協同組合、同中小学校、同警察官駐在所ありて相対峠し、また交通関係においては鳥山駅を起点とし、該局所を経由、八川、馬頭町を通過し、茨城県大子駅に通ずる常野線の省営自動車の便ありて、人家稠密にして交通頻繁なる重要地点であります。本村は戸数千百五十八戸、人口六千七百五十二人を有し、南北に長き農村にて、重要農産物としては、本県の名ある野州だるまタバコの特産地であり、その他米、かんしよ、これに次ぐ当村に集配局なきため、現在は一村内でも二局の集配区内で、小川局区内として大桶、白久、谷田、烏山局区内として谷、浅見、中山、滝田、興野の集配であるために、郵便物の速達はとうていはかれず、村内間の発着にも三、四日を要する現状で、村役場を初め、農業協同組合、各中小学校、公共団体等、最も郵便の利用多き官公署は、あまりにも集配日数を要する関係上、多人数の小使、使用人夫を郵便配付のために急派して、職務執行に当りつつあるので、その支出経費実に厖大なるものがあります。なお七合局より仙台、北海道方面への郵便物は便利と推察せられるが、宇都宮市内、東京都内方面ヘの郵便物は、小川局を経て大田原局、西那須野局を経由して発着のため、たとえば県内、宇都宮市内往復ですら約十日間くらいも、また東京都内方面往復に至つては約十四、五日間を要するため、村民全体の不便この上もない現状であります。七合郵便局集配事務開始せられるにおいては、本村産業文化の発展に影響するところまことに大にして、また郵便通信事業には一局速達となり、ために村民一般の利便と幸福はこの上もありません。以上申し上げました事由により、村民全般の不便を感ずるところ甚大なるものがあるので、今回特別の御詮議をもつて、七合局に郵便集配事務開始せられんことを、本村の代表者として請願している次第であります。
  34. 石原登

    石原委員長 政府意見があれば承ります。
  35. 吉田安

    ○吉田(安)政府委員 七合局に集配事務を開始いたしますと、地形上郵便区を七合村の大宇滝田、与野を除く一円といたしますほかはないのでありまして、七合村の中、滝田、与野の二大字は、烏山局より集配いたしますのが便利であります。従つて区域が狹少となりまして、施設標準に達しないばかりではなく、郵便物の速度は局所在地附近に発着する郵便物が多少速達となるほかは、現在と大差はなく、それに引きかへて定員の増加と遞送便の関係上、多大の経費を要するのでありまして不経済施設となりますので、さしむき実現は困難であると考へますが、しかしながら将来計画上の参考といたしたいと考えております。
  36. 石原登

    石原委員長 高塩君、よろしゆうございますか。
  37. 高塩三郎

    ○高塩三郎君 ただいま、御意見を承りましたが、政府側の御意見は非常にさびしいと思います。政府側におかれましては、ただ地図の上だけでの御計画のように思われます。私は七合村の実情をよく承知いたしておるのでありますが、人件費は別といたしましても、物件費は七合郵便局集配事務を開始するだけでありまするので、大してかからないと思います。郵政省におかれましては実情をよく調査していただき、ぜひとも実現させていただきたいと思います。郵政委員会におかれましても、実情を十分調査いたされまして、ぜひとも本請願を満場一致採択されんことをお願いいたします。どうもありがとうございました。     —————————————
  38. 石原登

    石原委員長 次に日程第二、碧南市の通信施設拡充に関する請願、及び日程第五、下淵郵便局集配並びに電信電話事務開始請願を一括して議題といたします。紹介議員がお見えになつていませんので、大和田委員に代つて趣旨説明を願います。
  39. 大和田義榮

    ○大和田委員 本請願の要旨は、農、水産物の産地として、また中、小産業都市として中部日本の枢要都市であるが、その神経系統である通信施設は碧南郵便局と三河新川郵便局ばかりで、その設備も老朽となつており、市政運営に多くの支障を来している。ついては碧南市中枢部に庁舍を建設し、該市の通信事務の整備拡充をはかられたいというのであります。
  40. 石原登

    石原委員長 政府の御意見があれば承ります。
  41. 吉田安

    ○吉田(安)政府委員 お答え申し上げます。碧南市の通信施設を整備拡充してもらいたいとの御請願のようですが、現在の地況では今ただちに通信施設を整備統合することは時期尚早と思われるので、市の発展状況とにらみ合せ、将来計画上考慮することといたしたいと思います。
  42. 尾形六郎兵衞

    ○尾形政府委員 ただいまの御請願説明についてお答え申し上げます。当市においてもこの件については、実現に努力中でありますが、本件は多数の資材、資金を要するところ、終戰後毎年度予算は極度に圧縮されるため、都市の発展に即応し得ないことはまことに遺憾でありますが、あとう限り実現し得るよう将来とも努力いたしたいと思います。
  43. 大和田義榮

    ○大和田委員 次に日程第五を御説明いたします。本請願の要旨は、奈良県吉野郡大淀町は人口一万四千余、県下有数の大町にもかかわらず、集配局は一箇所もない。しかるに該町は近年商工業の発展目ざましく、町内には私鉄の五停留所があり、各地との通信連絡がとみに増加しているが、通信機関は旧態依然としておつて、産業の発達を阻害している現状である。ついてはすみやかに下淵郵便局集配並びに電信電話の事務を開始されたいというのであります。
  44. 石原登

    石原委員長 政府の御意見があれば承ります。
  45. 吉田安

    ○吉田(安)政府委員 不淵局に集配事務開始についての御請願にお答え申し上げます。下淵郵便局集配事務を開始することは、施設標準に達しない上に、局所在地附近に発着する郵便物は、時間的に多少の速達となるが、その他の地域に発着する郵便物は現在と大差なく、その上外勤定員二名の増員を要しますので、さしむき実施は困難でありますが、将来計画上の参考といたしたいと思います。
  46. 尾形六郎兵衞

    ○尾形政府委員 下淵郵便局電信電話事務開始についての御請願につきましてお答えいたします。下淵郵便局は下市郵便局の加入区域内にありまして、加入区域内の郵便局には今後電信電話の事務を開始せずに、公衆電話を架設して行く方針になつているので、本件につきましては御希望に沿ひ得ないと存じます。     —————————————
  47. 石原登

    石原委員長 次に日程第一、第三、第四、第九、第一〇、第一一及び第一二の審査に移りますが、各請願趣旨説明につきましては、文書表によりまして御承知のことと思いますので省畧いたします。政府の御意見があれば承ります。
  48. 吉田安

    ○吉田(安)政府委員 野方郵便局復活についての御請願でありますが、野方地区一帶の利便をはかるためには、なるべく中野郵便局移転と同時に、移転跡またはその附近に窓口機関設置を考慮いたしたいと思います。計画といたしましては局間距離は最近局であります中野鷺宮局へ〇・九キロ、移転後、中野局へ三・三キロとなり、野方郵便局復活によりまして享便人口一万六千四百三十人となります。当局といたしましては本請願趣旨に沿うよう考慮いたしたいと思います。  次は広島県佐伯郡五日市局に集配事務を復活せられたいとの御請願でありますが、五日市局に集配事務を開始いたしますことは、施設標準に達しない上、定員二名の増員を要しますほか、現在五日市町の主要部が普通局の市内地でありまするので、集配事務開始の結果、かえつて集配施設は低下する不利がありますので、さしむき実現は困難であります。  次は奈良県吉野郡川合局に集配事務を開始されたいという御請願のようでありますが、もし川合局に集配事務を開始いたしますとすれば、現在洞川島及び和田局に二分されてをりまする天川村を三分いたすほかないので、川合局及び洞川局の受持区域が著しく狭少となつて施設標準に達しない上に、所要定員一八の増員を必要といたしまするので、同村に三つの集配局を置くことは実現困難であります。しかしながら逓送線路その他の事情もあるために、洞川局の集配事務を現状すえ置きとするか、川合局へ移換するかについて、なお考究を要するものがあると思われまするので、現地の事情をもよく調査した上におきまして、いづれかに措置いたしたいと考へております。  次は簡易保險及び郵便年金融資再開に関する請願でありますが、この請願は先ほど、御説明いたしました簡易生命保險及び郵便年金融資再開促進に関する御請願と同一趣旨のものでありますので、省畧いたします。  次の御請願は新庄市金沢に郵便局を設置してもらいたいとのことですが、当局といたしましても御請願の箇所でありまする新庄と稻舟の境界線にある長倉東に、郵便局を設置することを必要と認めているのでありますが、現下の定員事情及び他との振合い上、さしむき実現は困難と思われます。なお請願の御趣旨につきましては、将来、計画上参考といたしたいと思います。  次に郵便年金の支拂い金額の増加の請願についてお答えいたします。申し上げるまでもなく郵便年金は、国民経済生活の安定と国家社会の円満な発達のために設けられましたものでありますから、この請願趣旨をそのままお認めいたしたいのでありますが、御承知の通り郵便年金は、一般恩給とは異なりまして、その毎年支拂う年金は、契約者の拂い込まれた一定の掛金と、それを運用して得た利息によつて支拂われるのでありまして、しかもその掛金は、一定の死亡率と一定の予定利率を基礎としたもので、それら一定の名目価値による計算であつて、拂い込まれた掛金は、貨幣価値が下落してもいささかもその額が増加しませんので、貨幣価値の変動によつて当初お約束した年金額を増減することはできないのであります。従つて本件のような場合には、事情まことにお気の毒には存じますが、請願趣旨には賛成いたしかねる次第であります。  次に農産種苗用カタログの郵便料金軽減に関する請願についてお答え申上げます。農産種苗の通信販売のためのカタログが、一般にあまねく容易に頒布されることが、食糧生産のため緊要であることは、まつたく同感ではありますが、このカタログの郵送は、農産種苗の通信販売と一体をなすものであり、農産種苗郵便料金は百グラムごとに一円という極めて低料であるので、両者の郵便料金を一体として考えるときは、必ずしも高きに過ぎるものとは認められないばかりでなく、現在郵政事業特別会計においては、実收が予算收入より相当下まわつているので、カタログの郵便料金を第四種郵便物の料金以下に低減することは、きわめて困難であります。
  49. 石原登

    石原委員長 以上審査いたしました請願の採択は、都合によりまして次会に讓ることにいたし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十八分散会