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1949-11-22 第6回国会 衆議院 郵政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 石原  登君    理事 宇田  恒君 理事 大和田義榮君    理事 風間 啓吉君 理事 加藤隆太郎君    理事 白井 佐吉君 理事 井之口政雄君    理事 山本 利壽君       天野 公義君    鈴木 仙八君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         郵政政務次官  吉田  安君         (郵務局長)         郵政事務官  浦島喜久衞君  委員外出席者         議     員 坪内 八郎君         電気通信監   山下知二郎君         専  門  員 稻田  穰君     ————————————— 十一月二十一日  郵便物運送委託法案内閣提出第一一号)(参議院法付) 同月十九日  農産種苗郵送料金軽減に関する請願宇野秀次郎君外二名紹介)(第九二八号)  簡易生命保険及び郵便年金融資再開促進に関する請願江崎一治君外三名紹介)(第一〇八一号)  郵政省不正管理者追放に関する請願江崎一治君外三名紹介)(第一〇九一号)  岩津大字宮下字ヲチタに無集配郵便局設置請願千賀泰治君外一名紹介)(第一一四二号)  岩津大字宮石村三部落地間に無集配郵便局設置請願千賀康治紹介)(第一一四号)  特定郵便局における勤務時間に関する請願江崎一治君外三名紹介)(第一一六九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便物運送委託法案内閣提出第一一号)(参議院送付)  郵政行政に関する件   請願  一 川崎南河原郵便局復活請願白井佐吉紹介)(第三号)  二 電報配達に関する請願渡邊良夫紹介)(第一〇号)  三 野方郵便局復活に関する請願花村四郎君外一名紹介)(第三六号)  四 碧南市の通信信施設拡充に関する請願中野四郎紹介)(第三八号)  五 五日市郵便局集配事務復活請願山木久雄紹介)(第五二号)  六 用合郵便局集配事務開始請願前田正男紹介)(第六五号)  七 下淵郵便局集配並びに電信電話事務開始請願前田正男紹介)(第一二六号)  八 比花郵郵局復興促進請願前田種男紹介)(第一七七号)  九 川崎市鹿島田に特定郵便局設置請願白井佐吉紹介)(第二六八号) 一〇 七合郵便局集配事務開始請願高塩三郎紹介)(第二八七号) 一一 簡易保険及び郵便年金融資再開に関する請願井出一太郎紹介)(第二八八号) 一二 川原村に特定郵便局設置請願坪内八郎紹介)(第二八九号) 十三 相馬大倉郵便局電話架設請願松井政吉紹介)(第二九〇号) 一四 二枚橋郵便局電話架設請願松井政吉紹介)(第二九一号)     —————————————
  2. 石原登

    石原委員長 これより会議を開きます。  この際ちよつとお知らせいたします。郵便物運送委託法案は、きのう当委員会に本付託になりましたから、御了承を願います。  それではただいまより郵便物運送委託法案を議題といたしまして、審査を進めますが、質疑に入る前に、参議院において修正された部分につきまして、政府より説明を求めます。
  3. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 それでは、私の方からご説明申し上げますことは筋違いと思いますが、便宜参議院において修正せられました個所についてご説明申し上げたいと思います。  修正されました点は三点でありまして、その第一点は第五条の第三項についてでございます。政府原案によりますと、第五条第三項は「運輸大臣が、運送料金基準変更について運輸省設置法第七条の規定に基いて運輸審議会から勧告を受けたときは、郵政大臣に通達して、その勧告に基きこれを変更することができる。」こういうふうになつておりますのを、この中の「郵政大臣に通達して」というのを「郵政大臣に協議してこれを変更することができる。」こういうふうに修正せられました。従いましてただいまの箇条の訂正されたものを読んでみますと「運輸大臣が、運送料金基準変更について運輸省設置法第七条の既定に基いて運輸審議会から勧告を受けたときは、その勧告を尊重し、郵政大臣に協議してこれを変更することができる。」というふうに書かれております。  それから第二点は、第十五条の損失補償の条文についてでございますが、十五条の本文には修正はなかつたのでありますけれども、さらに二項目追加せられまして、第十五条の3として「郵政大臣は、前項補償金の額を定めたときは、遅滞なく、そり旨当該運送業者に通知しなければならない。」すなわちこの十五条によつて郵政大臣損失額を定めるわけでありますが、定めた場合には、遅滞なく運輸業者に通知しなければならぬという、郵政大臣の義務が規定せられたわけであります。  それから第四項として「第二項の補償金の額に不服のある者は、訴をもつて増額を請求することができる。但し、前項の通知を受けた日から一箇月を経過したときは、この限りでない。」すなわち郵政大臣の定めた補償金につきまして不服があるときには、郵政大臣に訴えをもつて増額の請求をすることができるという、運送業者増額要求のできる道が開かれたわけであります。しかしその増額を請求する期間については、一箇月に限られたわけであります。  修正の第三点は、附則の刑罰の経過規定でございます。附則によつて従来の鉄道船舶郵便法が廃止になりますので、この旧法のときに行われました犯罪行為に対する罰則がどうなるかという問題がはつきりしておりませんでしたので、この点を明確にするために附則の第二項、すなわち「鉄道船舶郵便法(明治三十三年法律第五十六号)は、廃止する。」という文句の下に「但し、この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」ということが明記せられたわけであります。以上であります。
  4. 石原登

    石原委員長 質疑を許します。白井君。
  5. 白井佐吉

    白井委員 ごく簡単に一、二の点についてお尋ねしたいと思うのでありますが、この運送委託法案施行せられてから後六箇月以内において、競争による契約をしなければならぬということに相なつておるのでありますが、現在委託業務を実行中の業者のほかに、この契約競争に参加しようとする者が、どの程度に期待できるか。たくさんあると思われるか。あるいはきわめて少いものであろうかという当局の見通しを伺いたい。さらにこの契約ができるということであるとするならば、どういう人々が予想されるかという点について、まず第一にお聞きしたいと思うのでございます。
  6. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 この法律施行後六箇月間は、従来の受命者、すなわち運送業者におきましてそのまま仕事が継続できるわけでありますが、六箇月を経過いたしますと、この法律によりまして新しく契約をし直すということになるわけであります。従いまして法律建前は、その施行六箇月後、郵便物運送をしたいという意思のある人は、だれでも参加できる建前になつておるわけであります。しかしながらこの法律の第三条第二項におきまして、その郵便物運送等に関し必要な能力を有し、かつその者に業務を行わせてもさしつかえないと郵政大臣が認めた者でなければならないという規定がございますので、おのずから実質的な夢参加範囲というものは、これで限定せられるわけであります。従いまして従来の業者はとにかく長い間その経験もございますし、また今日まで郵便物運送につきまして支障なく運行いたしておりますので、その競争に加えまして、いわゆる資格の面におきましてはすでに実証済みでございますので、大体従来の業者がもしさらに引続いて運送を委託したいという意思がありますれば、そのまま自由競争に参加し得るわけであります。従いまして六箇月後の参加者数は、この法律建前はとにかく自由競争でありますので、だれでもできますが、第三条の第二項によりまして、おのずからそり範囲が制限されることになるわけであります。それでその数いかんということでございますが、その数も結局従来の受命者はその数の中に入るわけであります。しかし従来の受命者でない、新たに郵便物運送契約したいという人が、どれだけあるかということにつきましては、郵政省としてはつきり未通しもつきかねるわけでありまして、その点の数ははつきりと申し上げることはできないと思うのであります。  第二点の御質問競争者範囲の点につきましても、ただいま私が申し上げました点から、おのずからはつきりすることと思うのでありまして、要するに自由競争の面に加わらんとする者は、まず第一次的に第三条第二項によりまして、郵政大臣がその能力があり、また支障が生じないと認める者でなければならないという根本原則によりまして、範囲がおのずからきまつて来るわけであります。
  7. 白井佐吉

    白井委員 そのことはこの法文に明記されてあることでありますが、私はいま少し掘り下げて考えてみたいと思うのであります。それは競争ということをお認めなつたことは、要するに機会を均等に與えるということが原則でなければならない。従つてここに従来の受命者という者を対象にし、また範囲考えておられるならば別問題でありますが、私は少くともここに多くの者がこう機会をとらえて、競争の仲間入りして行こうというふうになつて来るのではないか。またそういうふうに導いて行かんとせられるところの事柄が、すなわち本法の精神ではないかというふうに考えるわけであります。しからばもしかような観点から行くとするならば、その人を選ぶにあたりまして、いかなるものを基準にするか。ただ資格がある、また郵政大臣の認めた者であるということは、たいへんに抽象的聞える言葉でありまして、いま少しく具体的に、設備が十分であるからこれは資格があるのだからとか、資力があるからとか、あるいは人格が高潔であるからこれも資格があるのだからといつたように、何らそこに基準をなすべき中心がなければならぬと、かように考えるわけでありますが、これらの点について御所見を伺いたいと思います。
  8. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問の点につきましては、要するに第三条の第二項の能力の認定の問題でございますが、これにつきましては具体的に大体郵政省として考えておりますことは、まず第一点はとにかく郵便物運送は、継続的にしかも正確な運行条件としますので、まず、この郵便物運送に対しまして、その運送業者は深い理解と認識を持つておる必要があるわけであります。また運送事業というものは特殊な仕事でございますので、相当経験を有し、さらにその運送事業を完全におこないますためには、資力というものが必要であるのでありまして、この点につきましては、一般競争契約の関します大蔵省令、すなわち大正十一年四月に出ております「一般競争ニ加ラムトスル者ニ必要ナル資格ニ関スル件」この省令に準拠いたしまして、必要な条件を定めたいと考えたわけであります。  さらに消極的な条件といたしまして、従来郵便物運送等に対しまして、不正の行為のあつた者は排除する。また安全、正確に十分に、従来の郵便物運送運行につきまして、成績が悪い者、あるいはまた何らか郵便物運送につきまして著しく阻害の行為のあつた者等につきましては、排除したい。こういうふうに考えておるわけであります。  もう一つの点といたしましては、一般自由競争によりまして、ある特定運送業者が落札いたしましても、その運送業者が、いわゆる道路法に基きました貸物運送事業免許を持たなければ、実際車を動かし得ないわけであります。特にこの郵便物の荷を専用運送します場合には、運輸大臣から特定貨物運送事業免許をもらわなければならぬわけであります。従いまして、かような免許を持つている人、あるいは免許を受けられる見込みのある人につきまして、契約をして行かなければならぬわけでありますので、かようなことも実際に必要なわけであります。  以上大体三点につきまして、お答えいたしたわけであります。
  9. 白井佐吉

    白井委員 そういたしますと受命会社と申しますか、受託会社と申しますか、運送法による契約相手方というものは、もうほとんどきまつたもののように結論づけて考えられるわけなので、そうすると従来の関係会社であつた郵便運送会社と申しますか、その会社がほとんど独占的な事業になつてしまう。よしんばそこに若干の相手方がおつて、幸いにして契約を締結するまでに至りましても、経験は乏しいし、資力は乏しい。設備も貧弱であるといつたような関係から、競争をいどまんとしても、それはとうてい及ぶものじやない。必ずある年月の間には圧倒されて、従来の運送会社が一本でほとんど独占的にしてしまうという結論になろうかと思うのであります。そうなりますと、これが弊害を招くかどうか、そこに業務運行の上にどういうよう結論が出て行きますか。これは将来の問題でありますから、若干杞憂にすぎないかも存じませんが、どうも独占事業というものにつきまとうものは不正であり、あるいは弊害であり、横暴であるといつたようなことであるのであリまして、せつかく公企業が、そういうもののために汚されるということになつてはたいへんだということを案ずるあまり、今のようなことをお伺いするわけなんですが、そういう懸念はお持ちかどうか、この点をまず伺いたいと思う。
  10. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、これは法の建前としましては、日本郵便運送会社のみに契約して行く建前ではないのでありまして、要するにこれは運送業者実力の問題なるわけであります。従いまして、ある一定区域内に、郵政省郵便物運送せしめたい場合に、日逓と同じ実力を持ち、同じ設備を持つておる会社がありましたならば、これは法によりまして自由競争ができるわけであります。従つてそういう場合には自由競争によりまして、実力のあるものが新たに個々に契約をされて行くことになるのでありまして、法の建前としまして絶対にさような御心配の点はないものと思います。また実際の運用におきましても、何も日本郵便運送会社独占せしめるために、あれができたものじやないのでありまして、たまたま会社ができました当時の情勢としまして、従来の各地の受命業者によつてあの日本郵便運送会社をつくつたのでありまして、その地域以外にもちろんその後多少は区域を拡張した点もございますが、大体当時の受命会社が持つておりました区域内の仕事をやつておるわけでありまして、従つてたとえて申しますと、北海道全部あるいは九州の鹿児島県全部、あるいは静岡県の伊豆半島のような広範囲には、他の運送業者専門にに郵便物運送つておるわけでありまして、従つて日本郵便逓送会社独占をしておるという点はないわけであります。また将来におきましても、郵政省としてはある特定会社独占せしめたいというような考えは毛頭ございません。あくまでこの委託法案によりまして、自由競争によりまして、実際に実力のある会社に、郵便事業運行上最もよいと考えられるものに契約をして行きたい。こういうように考えておる次第であります。
  11. 吉田安

    吉田(安)政府委員 白井委員のごもつともな御質問に対しまして、大体郵務局長のお答えで十分だと思いますが、まつたく御意見の点は、私どもも一応さように考えられる点もあるのであります。しかしこれは決して日逓独占するというようなことは、全然ないことだと信じております。ただどうも日逓の発足が、これに従事するということがあの会社の目的であります。それに資本その他の設備相当に充実しておりますから、どうも一般から見ますと、この日逓の存在が多少じやまになるような感じが、他の業者にはあるかのごとく聞いております。しかし、すでに白井委員も御承知でありましようが、この日逓のほかに全国に五、六十の、やはりこの方に従事している会社の数があるのであります。さような関係でありますから、決してこれが独占であるとか、あるいは一面から言うと独占禁止云々ということの懸念は、全然ないであろうと存じております。同時にまた今度の法案建前から、これは今までの対象となる自動車会社その他の運送機関にも広く求めまして、さようなものから競争入札させる。かような公平な建前をとつているのでありますから、ごもつともな御意見ではありますが、その点はさような方面に流れて行くということは万々ないと存じております。どうぞさよう御承知を願います。
  12. 井之口政雄

    井之口委員 白井さんの御疑念はごもつとものことだと思うのでありますが、これは引合はないものであれば競争入札に入つて来るはずはありませんし、かつこうした事業は自然的に独占的な方向に進んで行く傾向を持つている。独占的にならなけれげ引合わないものである。独占的になつて来れば横暴なことが起つて来る。暴利をむさぼるということが起つて来る。どつちにころんだつてこれはぐあいが悪いのです。それでこの法案がねらうところは、今までのやり方とこれとの間にどういう差があるか。今までやつていたととにおけるところの弊害が、この法案によつて除去されるのか。あるいは今までの弊害がますます助長されて来るのか。これまでのいろいろ適用されておるところの法案との区別を、そつちの方でどうお考えになつていらつしやるか、聞いて見たいと思います。たとえばこの法案ですぐ中心的な問題となつて来るのは、自由契約の問題であります。鉄道とかあるいは私鉄とか、その他のこれに準ずるものは、自由契約から除外されておりまして、随意契約になつておりますが、競争契約をするとなれば、自動車事業的に運送しているというようなところが、自由契約としてはほとんど残るのじやないだろうか。自動車一般的な旅客運搬をやつているところのバスのようなものは、自由契約大臣命令してやらせている。ところがそうでなく、専業的にこれをやる自動車の方が、競争としてやつている。ところがまたそういうふうなものは、一線路において二つも三つもあり得る性質のもりではない。どうしても一つにまとまる性質を持つている。こういう点をよくよく考えて見ますと、この法案に今までの何か不備を取除けるというような点、どこかいい点が少しでもあるのではなくて、むしろ今までの悪い点、弊害をかえつて助長するようなふうになるのじやなかろうか。こういう危惧を抱くのですが、今までの法案との差異をお伺いしておきたい。
  13. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 従来の契約方法弊害という点につきましては、はたして弊害があつたかどうか、私ども弊害がないと思つているのでありますが、ただこの法案と従来の契約やり方につきましては、根本的に違つている。と申しますのは、従来に一定のあるAとBの地域に、自動車によつて郵便物を運びたいということを逓信省において計画いたしました場合に、ある一部の運送業者随意契約をいたしまして、しかもそれは契約をして運送命令書という、いわゆる上からの命令仕事をやらせるという建前をとつて来たのであります。ところが今度の法案ではそういう建前を打開しまして、一般の私法上の契約建前をとることにいたしまして、しかもそれが契約におきましては自由競争によつてやるという建前とつた点が、大きな違いであろうと思います。従いまして、従来のように運送命令書という言葉を使えるかどうか。今後はそういう形は、おそらくこの法案の趣旨からいたしまして、とれないのじやないか。もちろん運送要求等につきましては、そういうことはありますが、自由契約の場合にはあくまで契約自由の原則建前におきまして、そういう形をとつている。そこに根本的な違いがあるわけであります。従つて従来の行き方が弊害があつて、今度のがいいかということでなくして、要するに民主的な思想によりまして、お上からの仕事を預かるということでなくして、命ぜられるということでなくして、あくまで契約者郵政大臣と対等に、合意のもとに契約を結んで、郵便物受託をせしめて行う。こういうところに根本の違いがあると考えております。
  14. 井之口政雄

    井之口委員 たとえばバスが通つているところに郵便物を委託する場合は、今出されている法案によりましても、やはりこれは随意契約になつていると思うのであります。そのバスがずつと運行している。それに附帶して委託したのでありますから、これは競争入札ではなくして随意にするように、これから除外されております。実際競争契約をするとすれば、むしろ専門的にやつている人との競争契約になるのであります。それで非常に懸念するところはどこであるかと申しますと、そういう会社が次第にバス自動車なりを持つて全国的に多くなつて来て、そうして今日国鉄または大きな汽船会社というようなところに委託してやつているものが、むしろ自動車運行専門的にやつている輸送会社競争を開始して、そうしてこれが経済的的だというようないろいろな名目か何がでもつて、あべこべに私的な競争会社の方に吸収されてしまつて、より有利な国家の交通機関を利用するとか、あるいは従来公共的に運行されていたところの線路よりも、むしろ営利的な方向に移つて行くとかいうような、そつちの方競争が移つて行くりじやないかと思いますが、どうでしようか。
  15. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 競争契約は、いわゆる郵便物専門運送する自動車のみに限られて、その他は随意契約ではないかというような今御質問でございましたが、この点につきましては、随意契約をなし得る場合は、第四条におきまして、自由競争者がなくて、しかもそれに契約結ばなければない。もう一つは、一定区間内に一本の運送機関運送施設しかない場合、それから動力を使用しないで主として人力で運送する場合とか、その他災害、非常の場合等に限られているのでありまして、乗合バスでも、同じ区間二つ乗合バスが走つている例がたくさんあるわけであります。そういう場合には乗合バスでも第三条の方の場合に入りまして、自由競争にされるわけでありまして、決して専用自動車のみが自由競争という建前をとつていないわけであります。従いまして御心配の、専用自動車の方にどんどん走るという方向に向くのではないかというような点でございますが、どういう運送方法を選んで、どうい機関でやるかということは、あくまでも郵政大臣が計画を立てるわけでありまして、そこに乗合バスの路線があり、しかも郵便物の数量が非常に少く、乗合バスを利用してもさしつかえないという区間につきましては、あくまでも経済的に乗合バスの方を郵政省としては利用して行くわけでありまして、従つて専用自動車会社がだんだん独占的に拡張されるということは、郵便物が多い、あるいは専用自動車を利用した方がより郵便物輸送カが拡大する、しかもスピードを増す、こういう点がない以外は、会社自体の力によつてだんだん広まるということはあり得ないと考えておりますから、御心配ないと思います。
  16. 井之口政雄

    井之口委員 最後にお聞きいたしますが、逓信省の方では運送一元化ということを、やはり原則としておいでになると思います。それをこうした法案によつて自由競争を許しやれるようになつて来ますならば、一元化に進んで行こうとする方向努カを拂わないで、郵便物運送を営利的に運用するようなことになつて来て、ちようど国鉄の方でも荷物の小口扱い民間にまかしてしまうような現象が起つております。これも政府の方針として過般きめられたようでありますが、そういうふうに小間切りにして、次第々々に郵政事業民間に払い下げて行くその手初めに、まずこういうようなことを奨励するような法案を出して来られておるのじやなかろうかと思いますが、将来の点はどうですか。
  17. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 運送一元化の点でございますが、ただいま井之口委員は、郵政省自体において逓送一元化考えておるのに、この法案は逆行するのではないかという御質問でございます。元来逓送一元化の問題は、全逓組合なり、あるいは前の国会等におきまして各委員会から御質問もあつた点でございますが、逓送一元化の問題につきましては、いろいろ問題があるわけであります。逓送業をやるところの機構を一元化するのか、あるいは仕事一元化するのか、あるいはまた逓送業務自体を一元的に充実して行くのか、こういう点があるわけであります。組合側のおつしやる一元化の内容はどの点にあるか、私どもにはまだのみ込めないのでありますが、多分機構の一元化に力を入れられておるようでございます。この逓送業の一元化の問題は、自動車、汽車によります輸送、あるいはそれに附随しますいろいろな問題を全部一元化して、しかもその機構を全国的に一本にまとめようというような御意向のようでありますが、御承知のように鉄道郵便につきましては、鉄道郵便局というものが各地にありまして、それを第一次的に郵政局が監督しまして、本省で統轄いたしておるわけであります。それから陸路の自動車運送につきましては、この法案にありますように、各郵政局がそれぞれ運送業者と契的を結びましてやつておるわけでありまして、それらの鉄道郵便と自動車による運送業、あるいは人力による運送業、あるいは馬車よる運送業も一元的に管理して行くところの機構を、全国的に一つにまとめようという御意向といたしますと、これは相当に研究しなければならぬ問題でありまして、郵政省としましてはあらゆる点から検討いたしまして研究中でありまして、これを一元化する考えはまだきまつておらぬわけでありますので、どうかその点誤解のないように御了承願いたいと思います。
  18. 井之口政雄

    井之口委員 当局においては、まだそういう一元化の方針を持つておいでにならぬということは、よくわかりました。これは初めは経営の方の一元化をすることが望まれるでしようが、次第にそれが進んで参りますれば、機構の方への一元化ということも行かれるものである。たとえば一つの私企業にまかしておつて、その運営だけを政府の方で監督するというのも、一元化の一歩でございましよう。しかしもその私企業の方が利益をむさぼる、いわゆる利益の少い点に対しては、あまり手を出さないというようなことになつて来れば、やはりこれは運営の方の一元化を阻害するような傾向になつて来ますし、実際の経済上の大きなカをもつて独占してしまうというふうなことになれば、自由契約法律上あつても何も役に立たないというふうになつて来て、結局はそれが機構の点においても、一元化される必要が起つて来る問題であろうと思うのであります。それで個人として運搬するとかなんとかいう点、それから鉄道がすでにある点、汽船かある点、こういつた点に今までずつとやつておつたのだし、この法案によつて別に大きな影響はこうむらないと思うのですが、一番大きな影響をこうむるのは、今申しますように専業的にやつておる独占的な全国の自動車運送、これに対して、一番大きな問題が起るものだから、それが成長して行つて一元化を阻害するような弊害が起つて来やしあないだろうかということを懸念して話したわけであります。これで私の質問は終わります。
  19. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)委員 本法案の第二条によりまして、郵便物の輸送の契約が成立し、その郵便物の輸送を行う者は、第十六條によりますれば、郵便物運送を安全、正確かつ迅速に行わなければならぬという規定がある。この規定に従わない者に対する責任については、さらに罰則も設けられておるようでありますが、ただこれは甲の局から引継きを受け、乙の局に引継ぎをする間の道程において、契約による責任を問われることだけであつて、同じ公務に従事しながら、この輸送の機関における責任を果たす上において、法令による条項が何らこの法案規定されておらぬように思われますが、当局に甲から乙に至る間の輸送責任を、しかも公務を保護して行く上において、法令に何らかの規定を設くる御意志がないかどうか、承りたいのであります。
  20. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 甲乙間に郵便物運送して参りまするときに、その仕事を保護するために何らかの令が必要ではないかという御意見でございますが、それに関連して考えますことは、まず第一点として、その郵便物運送しておりまする従事者は、郵便の業務に従事しておる者かとうかという点であります。この点は郵便法の七十九条、八十条におきまして、郵便の業務に従事する者につきましては、加重刑が規定されておるわけでありまして、従つてこの観点からその従事しておる者が郵便の取扱いをしないとか、あるいはその他の犯罪を犯すということは、この加重刑において十分に郵便の業務を保護されておるわけであります。従つてこの点につきましては御心配な点はないと思います。  なおも一つは、第三者いわゆる公衆が、その郵便物運送している自動車運行を阻害した場合に、どういうことになるかということでありますが、これつきましては提案しておりますが政府原案におきましては、公務従事するものとみなすという規定がございませんので、刑法上の公務執行妨害罪の第九十五条の運用がないわけであります。従いましてさような場合には公務執行妨害罪が成立しないわけでございます。そうしますと郵便の業務運行支障ががあるのではないかという御心配があるかと思いますが、この点につきましては先日の委員会におきましても、郵政省として考えております点をるるお話申し上げた通りでありまして、郵便物運送の形態はいろいろあるわけであります。ある場合には汽車に郵便車をつなぎまして、こちらの現業の人が直接乗つて仕事をされる場合がありますし、また乗用自動車に託してやる場合もありますし、また郵便物のみを専門運送しておる専門自動車もありまして、このあらゆる場合場合すべて公務執行妨害罪を成立させることが、はたして国民の側、いわゆるその業務を見ております国民の側からいたしまして、適当であるかどうかという点もいろいろ考えられるわけであります。従つていろいろな点を提案いたしまして、かような規定を設けなかつたのであります。もちろんこの規定がないといたしましても、多くは公務執行妨害の場合には、暴行その他のいわゆる危害を加えられる点もございますので、そのよう場合には刑法の二百八条の暴行罪の問題で処罰されることになりますし、またその運送業者業務の妨害という点が起るわけでありますので、これらも刑法によりまして三年以下の懲役に処せられるという点もあります。また郵便法の第七十八条によりまして郵便の障害になるような行為があつた場合には、五年以下の懲役というような規定もございますので、刑法並びに郵便法の規定からいたしまして、刑の軽重におきましては公務執行妨害罪とさしたる差異がございませんので、十分にその目的が達せられる。こういうように私ども考えまして、この規定を設けなかつた次第でございます。
  21. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)委員 ただいまのお話の点につきまして、大体了承はできるのですが、この法律自体から見て、この輸送の契約に従事するものといたしまして、当然この運送契約によるところの責任にを遂行する上におきましては、いわゆる委託者の怠慢によつて生ずることが罰則に触れることはもちろんでありますけれども、公的な業務に従事するものといたしまして、法案自体の点から考えて、ここにはつきり甲から乙へ至る間の過程において、郵便物の輸送についての法令上の責任を明らかにしておくことが必要かと存ずるのでありまして、私は第二条は何らかの但書一、二項を加えていただく必要があると感ずるものであますが、かような点につきまして、当局としてはいかにお考えになつていられるか、承つておきたいと思います。
  22. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 先ほどから申し上げるように、郵政省としては、公務に従事するものとみなすという規定を必要としないという解釈で、この規定を明示しなかつたのでありますが、かりに何らかさような規定を設けるといたしましても、いろいろ運送の場合々々が違いますので、そこに限定的にほんとうに郵便物のみを運送している場合のみにしますと、専用自動車はみな赤く塗つておりますし、テイ字標識をつけておりますから、公衆が見て、これが郵便物を運んでいるという認定も容易である。乗合自動車に人が乗つている場合に、それが郵便物を積んでいるかどうかを知るのは、非常にむずかしいと思います。従つて何らかそこに実際的に必要な場合に限定されますならば、郵便業務運行の確保という観点から、郵政省としても支障ないのではないかと考えているわけであります。
  23. 大和田義榮

    ○大和田委員 ただいま白井委員より指摘された問題につきましては、政府委員より詳細な説明がありまして、了承したのでありますが、要は独立採算制と民主的との二つをねらつて、従来やつたことの法的措置を講じたという結論になると思うのでありますが、さように承知してよいのですか。いま一つ専用のものであれば、赤く塗りあるいはテイの字をつけていることはその通りでありますが、バスのような場合においても、それらの者に責任を感じさせ、誇りを持たせる意味において、あるいは迅速を期する上において、戦前などにはよくあつたが、テイの字を書いた旗を郵便物を運ぶ場合にのみ用いることは、有効であると思います。今後こうした措置を講ずる考えがないかどうか。こういうふうにすることがよいと考えるのでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  24. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 この法案が独立採算制と直接的に結びつているかどうかという点については、そこまでは考えていないのであります。しかし民間運送業者に委託した方が、経済的であるという観点からいたしまして、経費の節約等から見て、独立採算制の様に沿うということは言えると思いますが、独立採算制をやるがために、この法律をつくつたということは、直接的にはございませんので、御了承願います。それから乗合自動車等につきまして、テイの字の旗を揚げたらどうかというお話でありますが、昔はそういう旗を揚げたこともありますが、同じバスにしても、各便全部郵便物を積んでいるわけではありませんで、一日数回走つている便の中の、郵便物を配達する上に最も効果のある便を選びまして、その中の数便に委託しているところもあるわけでありまして、そのバス運送業者郵便物運送を受命しても、常に旗を揚げることはどうかと思いますし、またかりに郵便物を積んでいる際に旗を揚げることも、一つ考え方だろうと思いますが、昔から郵便はお上の仕事だという一般の観念があつて郵便物を積んでいるということは、お上の仕事をしているという特権意識が強くなるという点もあると思います。従つてはたしてそういう旗を揚げることが、今日の民主的時代において、運送業者が喜ぶかどうか。しかしこれは郵便が積んであるということを国民に表示する意味においては、意義があると思いますが、さような観点からいたしまして、目下のところ旗を掲げさせるというところまでは考えていないわけでございます。
  25. 大和田義榮

    ○大和田委員 今申し上げたのは、その路線を歩くバスに対して、常に旗を揚げるという意味でなしに、その郵便物を持つた場合においてのみをさした次第でございます。それで国民的な世の中ではそういうことにどうかと思うという御説は、一応ごもつともと思いますが、前段申し上げましたように、その運転手なりに責任と誇りを持たせるために、なお郵便物がそうした旗を掲げて置きますと、一本きり行かない場所は、道路が悪いのであります。馬車も従つてそのテイの字を揚げた場合には、早く行つてくれということになつて、話合いもできますし、どの場合にもその旗を揚げたことが、お上の仕事でちるというふうには考えられないのですが、一応研究が願いたいと思います。
  26. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 その点は御好意ある御意見と思いますので、十分研究をいたしてみたいと思います。
  27. 石原登

    石原委員長 この際委員長より二、三の点に対して質疑をいたしておきたいと思いますが、実は郵便物運送の現状を見ておりますると、大部分の労務の面は、すベて郵政省自体の直営になつておりまするが、機械力を応用する面は、そのほとんどすべてが委託されているというような現状になつているのであります。私どもが通例考えますると、今日の現状においてはむしろこの労務管理が非常にむずかしい面でありまして、この面には相当の研究を要する。機械力の運営の面に対する管理というものは、むしろかえつて楽ではないかというような考え方を持つものであります。さようにいたしますると、今日郵政事業は月間約三億円程度の損失を招いているのでありますが、こういう面にも郵政省が直接にくふうをいたされまして、あるいは努力をいたされまして、改善されまするならば、今日のこの赤字も相当程度消せるのではないかということを考えるわけであります。そこで第一番にお尋ねいたしたいことは、今日やつていらつしやる委託業務というものは、将来も引続いておやりになるのか。今日までの質疑の中に聞いておりますと、このやり方は将来もずつと引続いて行われるというように聞かれるのでありますが、少なくとも本法案の第二条によつて明らかになつたことは、この郵便物を委託するということ自体は、あくまでも経済的であるということが前提になつておりまして、この行為が少くとも経済的でなかつたならば、これはすべてやめてもらわなくてはいけないとわれわれは考えるのであります。さようにいたしまするならば、今日通例常識といたしまして、このお役所仕事に非能率的であるということは万人承知いたしておりまして、これは国民といたしましても、またわれわれ国会といたしましてもまことに遺憾千万なことでおります。最も能率の上らないところの役所に、最も大事な仕事を国民は委託している。そうして投入も国民もこれ認めるというようなことでは、将来日本の事業というものは非常に憂議されなくてはならない。こういうことを私は考えるのでありまするが。私はこの委託事業につきましても、郵政省が格段の努力をいたされまして、そうして一般民間会社が行うよりももつと能率的に、もつと経済的に運営されるまでに努力をいたしてもらいたい。そのためにはどの面をどのように改善したならばよろしいか。こういうことについてももちろん真剣な御研究がなくてはならないと考えるわけであります。  そこで私がお尋ねいたしたいのは、郵政省としてこういうような問題に対して、大体どの面をどのように改善したらいいかというようなことに対して、過去において研究をされたことがあるかどうか。もし研究されたとするならば、どの点を将来どのように改善したい。こういうふうにお考えであるかどうか。この点を質しておきたいのであります。  さらに、もう一点は、経済的であるという根拠があります以上は、民間に行わした方が現在よりもなおかつ経済的であるということを、抽象的ではなしに、もつとはつきりするような方法でもつて、明らかにしていただきたい。この点だけ最後にお尋ねいたしておきたいと思います。
  28. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 最も根本の大きな問題を御質問でありまして、私が十分御納得の行くように御答弁ができますかどうかわかりかねるのでありますが、一応私がただいまの質問によりまして、考えておりますことを申し上げたいと思います。  まずご質問の趣旨は、機械力の利用にどんどん進むべきではないか。従つて機械力の利用というものについて、直接郵政省自体がそういう方向に行くべきではないか。こういうような御質問のようでございますが、この点につきましては、機会力の種類にもよることでございまして、たとえて申しますと、鉄道あるいは軌道等につきましては、すでに全国にこの鉄道、軌道圏が敷かれておるのでありまして、これを郵政省が直接そういう施設をして行くということは、かえつて経済的であるかどうかという点について問題があると思います。もちろん必ずしも機械力の利用というものは、直接みずから機械力を設備してやらぬでも、既存の機械力を利用、活用して郵便物を送るということも、一つの機械力の利用ではないか、かように私は考えておるのであります。かような点からいたしますと、すでに鉄道圏が敷かれておる今日の現状におきましては、他の業者によつてやられておるところの鉄道圏を利用するということに、一つの機械力の利用ではないかというように考えますので、鉄道方面につきましては、おそらく将来においても直接郵政省が直轄して行くということは、非常にむりではないかと思います。ただ問題は自動車による機会力の点でございますが、これはなるほど自動車等は、郵政省において自動車を買つて、それを動かせばいいわけでありますけれども、この点につきましても先日の委員会においても申し上げました通りに、自動車運送業というものは、特殊の技術と、運行上の感というものが必要でありますので、その辺はなかなか役人仕事ではうまく行かないと思うのであります。しかも現在自動車専用でやつておりますのは、行き方としましてはあくまでも、自動車運送します場合にも、運送自体の計画ということは郵政省がやつておるのであります。たとえばどの区間にやるかということ、あるいはその区間に何回やるか、何時に出発するという計画は、あくまで郵政省がやるのでありまして、その運送業者がやりますのは、要するに民間の努力によつて車を整備し、従事員を雇つて郵政省からやつてくれというボタンを押してもらえば、はいと言つて機動的に車を動かす仕事をやるのでございますので、かえつてそういう場合の方が便利でもあるし、また経済的な面もあるのであります。すなわち郵政省が直接自動車を買いまして、自動車網を全国に張るということは、資本がいるわけであります。また既存の自動車運送業者を買収するということも、非常に大きな経費を要することでございますので、結局今日におきまして、直接自動車運送するということを郵政省でやることは、はたして経済的に可能であるかどうかという点が、相当考究すべき点であると思うのであります。ただ委員長の御質問の、将来官庁の事務というものが非常に能率的に、経済的にやられたならば、民間のさような事業と何らかわりがない。むしろ民間事業より以上に能率的で、経済的になるという時代が来たならば、どうかというような御質問でございますが、これは仮定でございますが、もちろんそうなりますことは、国家的にも非常にいいことだ。官庁事務がそうなりますことは、非常にいいことでありますので、その時期になりましたらまたその時期として、郵政省として考慮すベき問題でありまして、今からさような前提のもとに必ずやるということは、ちよつと私ども明言ができかねると思いますので、この点はそういう点で御了承願いたいと思います。  なお従来かような運送についての十分な改善方法について、具体的にどういうことを考えておつたかということでございますが、従来いわゆる運送施設を改善します場合には、あくまで経費が節約になるということが一つ。もう一つ郵便物運送が期せられる。この二点からいたしているわけでありまして、多くは従来運送施設の改善と申しますと、十里も二十里もあるような長いところを、人力で、肩にかついで郵便物を選んでおつたのを、そこに自動車の路線が開かれた。あるいはそこにある特定運送業者が、専用自動車郵便物を選びたいというチヤンスがありましたときに、郵便物のスピードという観点から、人力による運送業務を、自動車によるところの逓送施設に改善をいたして参つているのであります。また自動車路線がありましても、そこに鉄道が敷かれて、その鉄道によつて郵便物運送した方が、より以上にいいという場合には、自動車路線を鉄道に切りかえた場合もあります。またある軌道の運送が非常に不経済で、非能率であるという場合には、逆に自動車の路線に切りかえたこともございます。それはおのおの各区間の各路線の状態、それから郵便物運送という観点から、個々に具体的に検討しまして、できるだけ経済的に、しかもスピード化するという二大原則のもとに、郵便の逓送施設の改善を今日までやつて来ている次第であります。もちろんこの点は将来におきましても、郵便事業根本でございますので、そういう観点からこの運用施設の改善をやつて行きたいと思つている次第であります。
  29. 山本利壽

    ○山本(利)委員 大体この問題に関しましては、質疑も出盡したようでありますから、これにて質疑を打切られんことを希望いたします。
  30. 石原登

    石原委員長 ただいまの山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 石原登

    石原委員長 御異議なしと認めまして、本案に対する質疑はこれにて打切ります。これより討論、採決に入るのでありますが、都合によりまして次会に延期いたします。     —————————————
  32. 石原登

    石原委員長 次に郵政事業復興施策について質疑を継続いたします。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 郵政大臣がおいでになると非常に都合がいいのですが……。
  34. 石原登

    石原委員長 大臣の出席を要求しております。
  35. 大和田義榮

    ○大和田委員 この問題について一、二御質問申し上げたいと思うのであります。切手やはがき類の調製でありますが、現在は主として印刷庁にこれを当てられており、ごく少量のはがきについてのみ、民間会社を利用しているように承知しておりますが、民間会社に発注の単価と、印刷庁に発注の場合と比較してみると、民間会社の方がはるかに低廉でありますことは、はつきりいたしているのであります。従いまして将来政府におきましては発注の場合、印刷庁のほかに適当な民間会社を含めて、競争方式をとるお考えがあるかどうか。もちろん切手等につきましてはいろいろ機械がいりますので、ただちにこれを民間会社に移すというようなことはできないといたしましても、しかしながら今日機械もだんだん多くなつてつておりますので、切手ももちろんのこと、はがきにつきましては政府意見としても、一部民間会社競争方式に進まんとしているようなことにも、見受けられる点なしとしないのでありますが、この点を伺いたいと思うのであります。これを数学的に見ますと、印刷庁のものを全部民間会社に発注したというようなことにかりにいたしたとすれば、おそらく千八百万くらいのそこに利益の差があるのではないかというような数字が見られるわけでございます。この点につきまして当局の御意見を伺いたいと思います。
  36. 吉田安

    吉田(安)政府委員 ただいま大和田委員の御質問は、まことにごもつともな御質問と存じます。何しろ郵政省といたしましても独立採算制をとつて、これからは自前でやつて行かなければならぬという関係でありますから、少しでも経費を省くということは大事なことでもあります。従つてただいまお説のようなことも、これは十分考慮を拂うべきが当然だと思います。従来のことは私詳しくは存じませんが、これを一方的に偏在したところにのみ発注しておくということは、今の経済面から見てどうだろうかという疑問が出ますことは当然であります。なお今おつしやるように、民間の方も加えて競争方式をとるかどうかという点は、それが計数面から非常に経済的であるということになりますれば、御意見の旨をよく体しまして将来善処いたしたい、かように存じます。
  37. 大和田義榮

    ○大和田委員 大体了承いたしましたが、今日までごく最近において、そうしたような交渉をしたことがありますか。あるいはいたさんとする計画をいたしておりますか、承りたいと思います。
  38. 吉田安

    吉田(安)政府委員 お答えいたします。従来はこれは印刷局の方に一本としてずつと注文をしてやつておつたのであります。しかしいくら印刷局といたしましても、仕事がさばけないようなことがあるのであります。どうしでもこちらから注文したのが、間に合わないというようなことがありますときは、もちろん民間の方にこれを注文をしてやつておつたという事情でございます。今度の御承知のお年王つき年賀郵便なんか、まつたく時間的に見て間に合いません。でありますから、民間の方にこれを注文している。これはもちろん一部でありますが、そういうこともありますので、お説のようなことも十分考慮してやつ行きたいと考えます。     —————————————
  39. 石原登

    石原委員長 次に本日公報に掲載の請願日程を議題として、審査に入ります。  まず日程第一、川崎南河原郵便局復活請願紹介議員より趣旨の説明を願います。
  40. 風間啓吉

    ○風間委員 本請願の要旨は、川崎市南河原地区には終戦直前まで南河川原、柳町の二局が置かれていたが、戦災に会い焼失した。しかるに、該地区は、復興目ざましく、特に最近人口増加し、急激に発展しつつあるが、いまだに郵便局の設置はなく、産業、文化上多大の支障を来たしている。ついては、南河原地区にすみやかに郵便局を復活されたい次第であります。
  41. 石原登

    石原委員長 政府意見があれば承つておきたいと思います。
  42. 吉田安

    吉田(安)政府委員 請願御趣旨はよくわかります。ただここに無集配局の設置予定地を旧川崎南河原附近といたしますときには、他の最近局との距離が非常に近くなりまして、御承知の通り局の設置には一定の距離についての標準がありますために、その標準距離に適合いたしかねます。従つて今すぐにこれを実現するということは、さような点で多少困難を感じておるのでありますが、請願の御趣旨はよくわかりますから、近き将来において実現ができまするようには十分考慮いたしたいと、かように考えております。
  43. 白井佐吉

    白井委員 ただいまご説明くだすつたことによつて、ほぼ盡きておるわけなのでありますが、ここは世帯数二千八百三十七、人口一万二千七百十七、その附近の人口における人口増加の状態は、毎月平均四十世帯、二百人ずつの増加を示しております。附近の会社、工場というものは、まず川崎市の中央市場、それから東芝電気柳町工場、日発柳川変電所、池貝鉄工、日産化学、日本油脂、川崎製パン、このほか局舎の付近にはこの新設を希望しておる二十有余の大小工場が存在いたしております。交通状態は御承知の通り第二京浜国鉄が、最近新大橋の架橋を完了いたしまして、とみに活発な交通状態を示しおります。それから川崎市を縦貫するところの産業道路も、現在非常に利用価値を増しているというような状態であります。ただいま趣旨についての御説明がありましたように、南河原、柳町、この二つの局従来あつたわけです。ところが不幸にし三分の二が戦災で焼失になりまして、爾来五年経過しておるのでありまするが、さきに申し上げました通り非常な勢いをもつて復興しつつあり、おそらく川崎市の復興のパーセンテージの上からいたしますと、該地区が一番先端を切つておるという実情でございます。というのは、交通及び諸般の条件に恵まれておりまする結果、さようなことに相なるのでございます。東芝堀川工場の一角に一つ郵便局がございますが、ここまで一定の距離がないとおつしやるならば、その場所を条件に適するところへ引離しても、一向苦しないのであります。ただ利用者がかくのごとく密集しておるという関係をひとつ御了承くださいまして、この請願の趣旨が貫徹されるよう、最善の努力お願いする次第でございます。
  44. 吉田安

    吉田(安)政府委員 ただいま白井君から実際の状況等詳細に御説明になりましたし、当局におきまして、もその点さらにひとつよく調査いたしまして、定員の関係もあることと思いますから、善処いたしたいと思つております。     —————————————
  45. 石原登

    石原委員長 次に日程を繰上げまして、日程第一二、川原村に特定郵便局設置請願審査に入ります。紹介議員より趣旨の説明を願います。坪内八郎君。
  46. 坪内八郎

    坪内八郎君 この請願はよく請願したけれども、非常に深刻な請願なのであります。この長崎県の西彼杵郡川原村は私の隣村でありまして、請願の趣旨にも書いてありますように、大体戸数が五百、人口が三千余りあるわけであります。非常に郵政事務が多くて、現存隣村に行つて、いろいろな郵政関係の事務をやつているというような実情でありますけれども、並んで行列をつくつてつているというような実情であつたために、たまたま今年の十一月から発足いたしました簡易郵便局も熊本郵政局でいの一番に取上げて、この川原村に簡易郵便局を設置したというような実情のところでありますので、ぜひこの委員会でも請願を採択していただくと同時に、関係当局においても二十五年度中にはぜひ郵便局を設置してもらいたい。かように考えまして請願いたしておる次第であります。昨年は千八百も無局村があつたというようなことでありましたが、二十五年度におきましては、その方面の予算もどういうようになつているかわかりませんけれども、ぜひ特定局をこの川原村に設置していただくよう、特にお願いする次第であります。
  47. 吉田安

    吉田(安)政府委員 ただいまの請願の御趣旨は、十分当局でもわかつております。そういう関係もありますから、熊本の郵政局も、おつしやる通り十一月一日から、とりあえず簡易郵便局を設置されておりますから、次に来るものは大体何かということを御想像の上、しばらくお待ち願いたいと思います。必ず善処いたします。
  48. 坪内八郎

    坪内八郎君 今年の予算でほ、郵便局のないものは国内に千八百もあつたけれども、行政整理あるいは予算、資材関係から、とうていやることができなかつたというようなことでありましたが、この機会にお尋ねしたいと思いますが、二十五年度におきましては、そういつた特定局の新設というものが何か考慮されて、二十五年度の予算を組んでおるかどうか。ちよつとこの機会に教えていただきたいと思います。
  49. 吉田安

    吉田(安)政府委員 郵便局長から聞きますと、ごく少数の予算を組んでおります。
  50. 坪内八郎

    坪内八郎君 ごく少数の予算が組んであるというようなお話でありますから、どうぞその少数の中にぜひこれを入れていただきたいと思います。
  51. 吉田安

    吉田(安)政府委員 御承知の通り定員の関係もあるものですから、その点にも一つ障害がありますが、御了承願いたいと思います。     —————————————
  52. 石原登

    石原委員長 次に日程第二、電報配達要員に関する請願を議題に供します。
  53. 風間啓吉

    ○風間委員 本請願の内容について説明させていただきます。電報配達通数一箇月百五十通以下の郵便局電報配達要員は、通信第七六号によつて全面的に廃止され、すべて臨時職員をもつて配達されるようになつたが、しかし事業性質上臨時職員で配達することは、電報の使命である迅速性を欠き、また通信の秘密が漏れる等、多大の違感をこうむることが多い。ついては、このような電報配達要員制度を改正されたい次第であります。
  54. 山下知二郎

    ○山下説明員 お答えいたします。電報の配達数の僅少な局、ただいま一箇月百五十通以下のところに対しましては、大体一部は六月初めから、全面的には九月の一日から臨時職員による配達に切りかえました。そういたしましたことは、電信事業の経費の合理化をはかりますとともに、行政整理の職員の重点配置伴います、不経済施設におきまする通信サービスの低下を、極力避けるようにいたしましたやむを得ない処置であります。こうしますことによりまして、御指摘のような通信サービスの低下、あるいは秘密の漏洩とかいうようなことが、絶対にないように極力その措置をとります。そういうところに適任者を得ることに努めております。またそういう適任者を得ることが、もし不可能であります場合におきましては、一定の人を日雇いにしまして、常駐使役する等の処置を講じまして、ただいま御指摘のような不便のないように、極力いたしておる次第でありますから、どうかこの点一般業者の行ににも理解のある御協力を願いまして、この効果が達せられるようにお願い申し上げたいのであります。     —————————————
  55. 石原登

    石原委員長 日程一三、相馬大倉郵便局電話架設請願を議題といたします。請願の趣旨説明を求めます。
  56. 風間啓吉

    ○風間委員 ただいま議題となりました請願の趣旨を弁明せていただきます。福島県相馬大倉局は、盤成大館局から十キロの地点にありまして、林産資源をはじめ、農産物、タバコの生産多く、これが適期輸送は通信連絡円滑のため滞貨多く、その上供出期を失する等、経済的不利はなはだしく、また急病などの場合は、医療機関のない該村では、徒歩連絡の外はない。ついては、すみやかに該局に電話を架設せられんことをお願いする次第であります。
  57. 山下知二郎

    ○山下説明員 本件は加入区域外通話の関係のことと思われますが加入区域外通話の事務開始は、これに多大の経費と育材を必要としますばかりでなく、郵政大臣の委託事務の関係もありますので、年間通じまして、大体約五十局程度しか実施できないような現状にあるのであります。来年度以降におきまして、現地の事情や通話の需要量等を十分に調査いたしまして、予算、資材両面の許します限り、できるだけ早期に請願の趣旨に沿うよ努カいたしたいと思います。     —————————————
  58. 石原登

    石原委員長 日程一四、二枚橋郵便局電話架設請願請願の趣旨説明を求めます。
  59. 風間啓吉

    ○風間委員 ただいま議題となりました二枚橋郵便局電話架設請願につきまして、趣旨を説明させていただきます。福島県二枚橋局は、川俣局から八キロ、盤成大館局から八キロの距離にありますが、関係民は、該局に電話の設備がないので、急病の場合とか、産物の輸送に多大の支障を忍んでおる実情でありますから、すみやかに二枚橋郵便局に電話を架設されるようお願いするものであります。
  60. 山下知二郎

    ○山下説明員 これもまたただいまの相馬大倉郵便局電話架設の分と同様に、加入区域外の通話開始のことと思われますが、前段申し上げましたように、加入区域外の通話開始につきましては、多大の経費と話材を要します関係から、来年度以降におきまして、同様現地の事情や通話需要量等を十分調査しまして、予算の許します限り御趣旨に沿うように努力いたします。
  61. 石原登

    石原委員長 本日は都合のよつてこの程度といたします。残余の日程は次会に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十五分散会