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1949-11-17 第6回国会 衆議院 郵政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十七日(木曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 石原  登君    理事 宇田  恒君 理事 大和田義榮君    理事 風間 啓吉君 理事 加藤隆太郎君    理事 白井 佐吉君 理事 福田 繁芳君    理事 井之口政雄君 理事 山本 利壽君       天野 公義君    淺沼稻次郎君  出席政府委員         郵政事務官         (郵政局長)  浦島喜久衞君  委員外出席者         郵政事務官   白根 玉喜君         郵政事務官   小池 行政君         郵政事務官   中村 俊一君         專  門  員 稻田  穰君     ————————————— 十月十五日  七合郵便局集配事務開始請願高塩三郎君  紹介)(第二八七号)  簡易保險及び郵便年金融資再開に関する請願  (井出一太郎紹介)(第二八八号)  川原村に特定郵便局設置請願坪内八郎君紹  介)(第二八九号)  相馬大倉郵便局電話架設請願松井政吉君  紹介)(第二九〇号)  二枚橋郵便局電話架設請願松井政吉君紹  介)(第二九一号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便物運送委託法案内閣提出第一一号)(  予)     —————————————
  2. 石原登

    石原委員長 これより会議を開きます。  郵便物運送委託法案議題として審査を進めます。質疑を許します。
  3. 白井佐吉

    白井委員 私はこの機会に、ただいま議題となりました郵便物運送委託法の審議に先だちまして、一、二の点について当局の御意見を伺つておきたいと思う点がありますので、お許しを願いたいと思うのであります。  それは先ごろの新聞紙上に散見したところでありますが、従来の全逓労組当局に対して賃金の八千九百円、それから越年資金として収入の一箇月分を、要求しておるという記事を拝見したのでありますが、これに対しましての当局の御意見をまず伺つておきたいと思うのであります。
  4. 白根玉喜

    白根委員 お話の点につきましてお答え申し上げます。今度できました全逓従業員組合が登録されまして、大臣に初交渉があつたときに、その話があつたことは事実でございます。その点につきましては、実は私から御答弁申し上げるのもはなはだ僭越でございますが、その当時におきまして大臣がおつしやつたことを、機械的にお伝えいたしたいと存ずる次第でございます。ペースの問題につきましては、政府といたしましてこの際改訂することは困難であつて、むしろ実質賃金の方で行きたいというお話があつたのであります。それから一箇月の補給金と申しますか、越年資金と申しますか、この点につきましても政府といたしましては、何とかしたいとは思うておりますけれども関係方面との関係があつて、ただいまの段階ではどの程度やるやらぬということは、まだ言明する段階でない。こういうような御答弁があつたのでございます。私からはこの程度でごかんべんしていただきたいと思います。
  5. 白井佐吉

    白井委員 申し上げるまでなく、先ごろの行政整理によりまして、非常に各局の作業に圧迫が加えられておることは事実でございます。從つて実質賃金向上というような問題は、現在の政策の推移にまつて、初めて実現されることだろうとに思いますが、現実においてはなかなかそれが具体的には現われておりません。この場合において一般従業員の労苦は、非常に加重されておるということも言えると思うのであります。ことに今日では、課長であつても何であつても、肩書きのいかんを問わず、その局舎において事に当つておる者は、全部が一丸となつて働いておるという現状のように見受けられます。そこで金額の多少は別問題といたしましても、ある程度の張合いをつけてやるという親心をここに示されることは、今後の景気の高揚の上から言つても、また簡單の向上の上から行きまして、きわめて必要なことであろうと思われるのでありまして、苦しい財政の上からのやりくりが、はたしてそれを許すかどうかということは別問題でありますが、とりあえず当局としてはそういつた方向にお気持を持たれて、せつかく善処されんことを希望してやまない次第でございます。  なお次は、おびただしい数に上るところの郵袋であります。この郵袋の始末が非常に非衛生的でもあるし、また多くの手数を要するというような実情も、現場について拝見しております。その数が何十万個であるか、あるいは何百万個であるか存じませんが、おそらくこれに対しての洗條あるいは補修といつた面に、相当巨額な金が支出されておるのではないかと思われるのでありますが、これはおよそどのくらいの金が支拂われておりますか。一応参考のために伺つておきたいと思うのであります。
  6. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 お話のように、全国におきまして百何十万個の郵袋をもちまして、運転をいたしておるのでありますが、何分郵便取扱い作業は忙しく、またスピードを要します関係上、相当郵袋がいたむわけであります。従つてこの郵袋のいたみましたものを、さらに完全に補修しまして、できるだけ経済的に郵袋を使いますために現在東京大阪門司等で、郵袋修理所直営でやつておるのでございますが、これらの作業に従事される従業員の方は、もちろん郵政従業員でありまして、それらの人件費を除きまして、実際補修に要しまする物件費は、どのくらいかという御質問でございますが、これに要しますのは、ミシンと糸布地等でございまして、はつきりした数字は私本日記憶がありませんので、申し上げにくいのでありますが、これらに要する一切の物件費というものは、全体からいたしますればごくわずかな数字であると思うのであります。きようは具体的な数字を計算して参つておりませんので、いずれはつきり数字ををまとめまして、御説明申し上げたいと思いますが、この修理の費用は、人件費を除きますと、全体の数からいたしますれば、大した数ではないということを申し上げておきます。
  7. 白井佐吉

    白井委員 その金額を明細にお聞きすることは後に譲りたいと思いますが、一口に言えば、現在直営でやつていられる作業を、民営に切りかえられる御意思があるかどうかということになるのでありますが、その点についてお伺いいたします。
  8. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいま御尋ねの点はまことにごもつともな点でございまして、じつは郵袋修理作業と申しますると、一般郵便事業とは趣が違うのであります。塵埃の中で、しかも相当労働でありますので、できましたならば、現在の従業員給与におきまして、その仕事実態に即しました給与をやつて、そうしてその修理の出来高によりまして、十分な給与を支給するということが、作業実態といたしましては一番いいわけでございます。しかしいろいろ給与法との関係でさようなことができませんので、そういうようになつていないのでありますが、実は私ども事務当局だけの考えでございますが、さように給与面からいたしましても、非常にむりな面もございますし、また修理の能率を上げるということが、やはりそれだけ郵袋運転が非常にうまく行くということになりますので、さような点からいたしましても、できるならば民間請負という方向に持つて行きたいと存じまして、目下具体的に検討いたしておるのであります。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつとお尋ねしますが、きよう大臣おいでになりますか。
  10. 石原登

    石原委員長 今葬式に行つておりますから、必要があれば呼びます。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 この間お願いした総係費として必要な経費、つまり労務費に使われているものの明細をいただきたいということになつておりますが、それをきよういただけるでしようか。
  12. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 はい。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 なおこの前に、淡路志築特定局局長が兼務しているという事実に対するお取調べを願つておいたのですが、それも調べてありますか。
  14. 小池行政

    小池説明員 調べてあります。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 なお勤務者に対するいろいろな手当の問題につきましては、いずれ大臣おいでになるでしようから、そのときにお尋ねすることにいたしますが、きようは運送委託法案に入るのですか。
  16. 石原登

    石原委員長 そうです。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 これは提案説明されましたか。
  18. 石原登

    石原委員長 ずつと前にありました。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 それではこれについてお尋ねします。
  20. 石原登

    石原委員長 井之口君、その前に淡路郵便局の問題で、小池説明員から答弁があります。
  21. 小池行政

    小池説明員 お尋ね淡路志築特定局長が、漁業組合理事長を兼職しているということは、特定局長の職務と両立しないではないかというお話がございました。この点につきましては、大阪郵政監察局調査によりますと、現在志築局長特定局長として、漁業組合役員を兼職しておりますが、これは大阪逓信局時代に、大阪逓信局長の許可を得ているので、別段規定に違反していることはない。なお現在漁業組合役員は、名誉職として兼職しているので、それがために特定局長の職に悪い影響を及ぼしている事実は、見受けられないという返事でありました。  なお第二点としてお尋ねがありました漁業組合公金を、郵便局金庫に保管してあつたという事実が指摘されましたが、この事実は確かにこれを認めております。但しその漁業組合の金が紛失したという事実は認められません。これは郵便貯金通帳に預入してあつたということが後日わかりまして、その金が公私混同されているという事実は、認められなかつたということが報告されております。  なお公金を費消しておつたという疑いがあつて警察から取調べられた事実があるがいかんというお尋ねでありましたが、この点は、ただいまの漁業組合の金が、当時判明いたしませんでしたので、あるいはその金の行方について、警察において取調べた事実は認められておりますが、先ほど申し上げましたように、この金は貯金通帳に預入されておつて、現金として保管されておらなかつたという事実になつて、誤解があつたように見うけられます。なお公金と個人の金とを混消しているということは、その点だけでありまして、公金を費消しておつた事実は認められないという調査であります。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 この方は特定局長会議の会長もしておられる方であるし、そして今日は漁業組合というふうなものは、戦時中の組織から非常にかわりまして、名誉職といえども單なる名誉職とは違い、従来の戦犯の人はみな追放されて、これはほんとう協同組合へ発展して行くという時代になつて仕事が非常に多いのです。そういうふうな事情もよく考慮されて、そして今日の情勢のもとにもなおこの兼職をお許しになる方がいいとお考えになるかどうですか。  それから今の漁業組合公金を同じ金庫の中に入れるということすらが、すでに公私混同である。たとい公金を消費しておつてもあとから埋めればいいというようなことを考えてやられる場合に公私混同が起るのでありまして、法律上の責任はないにいたしましても、專業にこの局長はやつていないから、やはりこういうことが起つて来るので、将来その点は郵便事業を発達させる上において、障害となるのじやなかろうか。とりわけ志築の局は大きな局でありまして、やがて特定局から一歩進まなければならないというような局だ。そういう局の局長兼業を許されるということはどんなものかと思いますけれども、これについて当局の責任ある御答弁を願いたい。
  23. 小池行政

    小池説明員 第一点のお尋ねの現在特定局長局長をしながら、なおかつ漁業組合役員を兼ねるということは、支障があるではないかという御意見に承りますので、この点につきましては大阪郵政局といたしまして、志築局長から、地方郵政関係行政機構がかわりましたので、あらためて再び申請をしておるのでございます。大阪郵政局としてはこの点につきまして新たな見地から、ただいま検討をいたしておる次第でありますので、いずれ決定次第またお知らせいたしたいと思います。  それから第二点の御指摘の郵便局金庫に、漁業組合の金を保管しておつた事実は間違いはないか。これは御説明の通りでありまして、その金が紛失しようとしまいと、郵便局金庫に保管しておること自体が、公私混同だというこの非違は、もちろん私ども認めておるわけでございます。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 では新しく許可するという今の段階に来ておるといたしますれば、この事情もよくしんしやくなさいまして、今までほんとうに何日間くらい出て来ておつたか、出席の点もよく調べた上で、適当であるかないか判断してもらいたいと思います。私が観察するところによりますと、こういうところは兼業としては、きわめて不適当なところと思います。従業員諸君もそのために非常に混乱して、業務が進まないし、近所の市民の方々も、非常に不熱心であるということを言つておる方が多いようであります。この点は十分考えていただきます。  それからこの間失業切手の問題で、労働省当局者に御質問したのでありますが、今日来ていらつしやいますか。
  25. 中村俊一

    中村説明員 本日先ほどまで労働省の係官が参つておりましたが、司令部の方に呼ばれておるというので、私にこれだけのことをお伝え願いたいというおことづけをもらいましたので、お伝えいたしたいと思います。  本年度の補正予算における失業保險のための切手の売りさばき額は、約一億である。それからこの前に出ておつたのは三億であつたのでありますが、二十四年度補正予算一億の算定の根拠は、この印紙を買う人の数を二十万人と算定いたしたそうであります。そしてこの二十万人のうち、失業保險切手は御承知のように、日給百六十円以上の人は六円、それ以下の人は五円、こういう定額の切手を出すわけでありますが、その割合は百六十円以上の人が九〇%、それ以下の人が一〇%、従つて二十万人という総人員を、百六十円以上の人九〇%というので十八万人、それ以下の人が二万人ということで計算してあるそうであります。それから二十五年度におきましては六十万人を見込んであるそうであります。それだけお伝えしておきます。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 現在日雇い労働者は、二十万人そこそことは思われないので、あります。そういうのは地域別に何か調書でもしたものがございますか。
  27. 中村俊一

    中村説明員 その点は私どもの方で承知いたしておりませんが、労働省の方もその点には本日は触れておりません。この日雇い労務者失業保險関係する人の届出を、今とつておるそうでございますが、九月末までの届出はほとんどないそうでございます。十月の分はまだ統計が集まつておらない。これだけ言い落しましたから、つけ加えておきます。
  28. 井之口政雄

    井之口委員 これは雇い主の方で六円なり五円なりの切手を、郵便局から買つて張るようになつておるのですか。
  29. 中村俊一

    中村説明員 これは私の方の所管ではありませんが、便宜上開いておりますところを申し上げますと、これは本人の日給のうちからその切手相当額を差引きまして、雇い主が納めるという制度だそうでございます。
  30. 井之口政雄

    井之口委員 これは見当違いですから、この次にひとつ労働省の役人の方に出て来てもらつて聞きたいと思います。  それでは託送の方の問題に移りますが、第一にお聞きしたいのは、これが山間部における郵便の収集、並びに配達の方を規定されるものと思いますが、今日そういう方面は事実どういうふうになつておるか、現在のところをちよつと知らせていただきたい。
  31. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 この運送委託法案対象となります運送施設は、自動車並びに山間集配ばかりでなくして、あらゆる運送機関郵便物を局間に運びますために必要な運送機関国鉄私鉄、あるいは軌道、あるいはバス、また索道等運送機関として利用せられる全部のものを対象としましての規定であるのであります。そこで郵便事業が始まりまして以来、局間に郵便物を運びますために、ただいま申し上げますような輸送機関をすベて利用いたしまして、運送をいたしておるのであります。その内容はお手元に関係資料として印刷物で差上げてあると思うのでございますが、鉄道におきまして日本国有鉄道はほとんど全部利用をいたしておるのであります。私鉄におきましても、私鉄のありますところにほとんど全部利用いたしております。また船につきましても、今日は外国向け船舶はございませんが、国内の沿岸におきまする船舶におきましては、郵便物だけを專用に運びますものは、延キロ程におきまして五百六十八キロ、それからほかの旅客と一緒に託送しておりますものが二万一千七百三十三キロ、こういうふうになつております。また自動車におきましては、郵便物のみを專用に運んでおりまする專用自動車は、全国で六十六の受命業者がおりまして、その延キロ程は三万九千六百七十七キロというふうになつております。また各地乗合バスがございますが、その乗合バスを利用いたしまして郵便行護託送いたしておりますが、この託送受命業者全国で百二十三ございます。その延キロ程が三万七千余キロ程になつております。それから馬匹でございますが、馬車等におきましては、全国受命業者が十九ありまして、延キロ程が五千八百五十五キロ、索道におきましては、全国に四箇所ございます。これは東北と北海道でございまして、主として專用の炭鉱でございますが、これに利用しておりますのが四箇所あります。そのほか人力つまり人の肩で運送いたしておりまする請負——人力におきましては、直営のもございますが、請負をいたしておる受命業者全国で十六箇所という状況でございます。大体以上のような状況でございます。
  32. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、国有鉄道地方鉄道船舶のごときものも、これで律せられるということでありますが、競争に応ずるものがないときは、どういうふうにして処理されるのでありますか。当然随意契約でやられるわけですか。
  33. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 條文をごらんいただきますとおわかりだと思いますが、国鉄でありましても、自動車でありましても、その他私鉄でありましても、とにかく法案建前としましては、郵政省がその運送業者契約をして行くというのが根本の建前であります。しかしながら鉄道につきましては、ある一定の区間に一つの鉄道しかないという場合には、競争相手がないわけでございますので、そういう場合には随意契約をしてもさしつかえない。こういう規定もございますし、さらに郵便物運送につきましては、もしどうしても運送を受命する人がない場合は、事業の運行上非常に支障を来します。従いまして郵政大臣は必要な郵便物運送の要求をなすことができる、こういうふうな規定をなされまして、第二章第二節第八條以下において、所要な内容規定をされておるわけであります。従いまして純前としては契約であります。国鉄におきましても、郵政大臣国鉄との間に郵送協定を結ぶ。従来は鉄道省との運送協定書と申しておりますが、今後はこれに基きまして、新たに契約するということになつて行くと思います。
  34. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば現在の日米郵便逓送株式会社というようなものができて来て、これが国鉄と競合する場合に、自動車で運ぶということになると、この法案によると入札ということになつておるわけであります。あるいは私鉄というようなものとの間に競争が起ると思うのでありますが、そういう場合はどうなりますか。
  35. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 たとえて申し上げますると、郵政大臣におきまして、ある区間において鉄道がありまして、鉄道によつて郵送を委託するという場合には、鉄道になるわけであります。従つて現在の自動車運送しております区間と申しますると、鉄道のないところ、あるいは鉄道から奥地に入つている区間では、大体自動車の方を利用するわけであります。従いまして鉄道自動車競争ということは原則としてあり得ないし、また郵政大臣におきまして、どちらが郵便運送上正確であり、またスピードを期せられるかという観点におきまして、その運送種類を指定いたしまして、その種類の中でお互いに競争するということになると思います。
  36. 井之口政雄

    井之口委員 国有鉄道の方でりつぱにやつて行けるものを、もしこの法案を合法的に利用するとして、いろいろなこうした私企業の会社がそこへ行つて、それを自分で引受けて、自動車運送するというようなことも、可能になつて来るわけではないですか、どうですか。     〔石原委員長退席加藤委員長代理着席
  37. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいまの御質問でございますが、たとえて申しますと、鉄道四六時中汽車が走つているわけではございませんで、やはり列車の回数とか時刻等があるわけであります。原則といたしましては、そこに国有鉄道がありますれば、これを利用いたしますけれども郵便の速達あるいはその他の事務におきまして、その間に国有鉄道の利用できない場合、さらに他の自動車運送を必要とする場合には、これは自動車運送会社契約するということはあり得ると思います。しかしこれは非常にまれでございまして、大体鉄道のあるところは日本国有鉄道によりまして、鉄道のないところ、たとえば東京都内局相互間というものは、鉄道が走つておりませんので、これは自動車を利用する。それから駅から奥地の方に対しましては自動車を利用する。こういうふうになりまして、そこに実際的には国有鉄道自動車とは競合しない。競合するということはあり得ないと私ども考えております。
  38. 井之口政雄

    井之口委員 今お話のあつた日本郵便逓送株式会社というのは、今どういう関係になつておりますか。
  39. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 これは実は日本郵便逓送会社のできました当時からの事情を、お話申し上げた方が都合がいいかと思うのでありますが、日本郵便逓送会社昭和十七年にでき上がつたのであります。それまでは逓信省におきまして各地運送業者と、個々に契約をしてやつたのであります。たとえて申しますと、東京都内におきましては、東京都内運送業者契約いたしてやつたのでありますが、ちようど昭和十七年といいますと、戦争の当初でございまして、当時日本貨物運送業界におきまして、物資あるいは資材、あるいは従業員の獲得上、非常にきゆうくつになつて参りましたので、自動車運送業界においての統合という問題が起つて来たのであります。しかしその当時の運輸省の方針といたしましては、郵便物專用運送は特殊なものでございますから、その統合から除外されるいう傾向でありましたので、受命業者自身が自己を守るために、各地におけるおもな大きな受命業者のみが相談いたしまして、日本郵便逓送会社をつくつたのであります。東京のみならず大阪、名古屋、神戸、京都これらの大きな受命業者が、そのときの情勢において合体いたしました。しかも自分の持つておる資材施設、資力を出し合いまして、この日本郵便逓送会社をつくつたのであります。しかしこの日本郵便逓送会社郵便物のみを專用運送いたしますので、郵便業と非常に密接な関係にあるわけであります。要するに郵便業の外郭の形態をなすわけでありますので、逓信省との関係におきまして相当深い関係業務上においてありまして、この日本郵便逓送会社ができました当時におきまして、逓信大臣から日本郵便逓送会社命令を出しまして、重役の任免あるいは定款の変更等につきましては、承認を受ける必要があるというふうな命令も出されたのであります。しかしながら終戦になりまして、新憲法下におきましては、別に逓信省日本郵便逓送会社との間に、特殊会社的な関係があるわけではございませんので、それらの命令の問題を撤廃をいたしまして、民間の一運送業者と同じく今日は取扱われております。その命令撤廃いたしましたのは、昭和二十二年に撤廃をいたしまして、今日におきましては、一般の六十六の受命自動車会社と同じ取扱いをいたしまして、何もそこに特殊的な関係はございません。
  40. 井之口政雄

    井之口委員 六十六の自動車会社というお話でございますが、そのうち專門的にやつておるものは幾つくらいありますか。
  41. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 專門的郵便物のみを運送しておりまする受命業者は六十六社ございます。ただし日本郵便逓送会社は、ほかの貨物運送はやつておりません。これはほんとう郵便物だけであります。しかし六十六の他の業者の中には、たとえば伊豆半島一円をやつております東海自動車は、バスもやりますし、乗用車もやつております。この東海自動車会社が、さらに伊豆半島全体におきます郵便物運送業務をする赤自動車を動かしておるところもございます。これらのものも入りまして六十六になるわけでございます。
  42. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると日本郵便逓送株式会社というのは独占的なもので、戦時中これに皆統合されたもので、そのほかのものはみなバスが本職で、その地域的な部分の郵便をたまたま引受けておるというふうに理解してよいのですか。
  43. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 独占という言葉の意味でございますが、日本郵便逓送会社業務は、郵便物のみを專門に運送するものでありまして、そうして郵便物運送します仕事に対しては、日本郵便逓送会社が独占しておるかどうかということは別問題であります。六十六の会社がございますので、決して郵便のみを運送する仕事を、日本郵便逓送会社だけが独占しておるということはないのでございます。
  44. 井之口政雄

    井之口委員 日本郵便逓送株式会社内容に対して、ひとつそつちで調べておるだけ知らしていただきとうございます。
  45. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ここでお答えしますと長くなりますので、大体概容を印刷してございますから、いずれ御配付したいと思います。それをごらんいただければと思います。
  46. 井之口政雄

    井之口委員 それでは簡單に二つ三つ、ここで先に聞いておきたいと思います。それにここの役員の方々と、逓信関係におられた方々との間に、逓信省からやめてここの重要な幹部に入つたとかいうふうな方々がいらつしやるかどうか。またここの経営がどういうふうに成立つているか。戦争後今日までの経営の状態を、ごく簡單に知らしてもらいたい。
  47. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 先ほど申し上げましたように日本郵便逓送会社は、従来の主要な受命業者が合併してつくりました会社でございますので、その当同時の主要な受命業者は、大体現在日本郵便逓送会社役員になつておるわけでありますが、しかし日本郵便逓送会社ができます当時におきまして、郵便事業と非常に密接な関係がございますので、その会社の設立を援助し、また一つは資金の有利な投資という観点からいたしまして、共済組合の資金が出資されたのであります。かような関係からいたしまして、業務上において関係があるということと、資金におきまして共済組合から投資されたというような観点からいたしまして、元逓信省役員をしておられまして、現在役員になつておりますのは、二人だけであります。津川氏と渡邉氏の両常務だけでありまして、ほかの役員は全部従来の榮者でございます。  それからこの会社の経営内容でございますが、これは先ほども申し上げましたように、郵便物のみを專門に仕事をします会社でございますので、その運送料金、いわゆる請負料と申しますが、郵政省からもらいます一年間の請負料の中で、この会社の経営をやつて行くわけであります。従いまして会社として利益を上げますためには、やはり会社内部の経営の合理化、経費の節約というような観点から、利益を上げて行くわけでございますが、現在大体五億程度の利益配当をいたしておると想うのであります。
  48. 井之口政雄

    井之口委員 これは新しい株券の募集をやつておるようですし、非常に事業も拡張しつつあるようであります。なおいろいろ会計報告なんかを見てみますと、接待費だとか、やれ旅費だとか、たくさんのものが出されておるようでありますが、こういうふうなものから見て、相当大きな利益が上つておるのではなかろうか。五億というのは配当の面だけのことではなかろうか、こう思うのでありますが、なお政府の方からここへ支拂つておるのが、現在のところ幾らぐらいあるか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  49. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいま御指摘になりました経費の点でございますが、これはやはり会社としまして、業務遂行上必要な観点から、かよう経費を株主総会にかけまして、予算に計上したものと思うのでございまして、これは先ほど申し上げますように、郵政省とは特殊会社関係ではございませんので、会計の内容までこちらでかれこれ指摘する立場にありませんので、これに対する意見は差控えたいと思います。  それからもう一つ、現在日逓が請負料として逓信省からもらつております額はどれだけかという御質問でありますが、これは二十三年度におきましては、年間におきまして五億七千万円程度でございます。
  50. 井之口政雄

    井之口委員 二十五年度では、どのくらいの予算が組まれておりますか。
  51. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 日本郵便逓送会社だけの請負料は、予算としては計上してありませんので、全国專用自動車の受命会社の大体の請負料として、予算を計上するわけでございまして、それが二十五年度におきましては十三億程度計上してございます。
  52. 井之口政雄

    井之口委員 そのうちでこの逓送会社へ行くのは何割ぐらいですか。
  53. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 これは年度におきまして、請負料の算定との関係がございまして、大体回数、車台数というものはきまつておりますが、やはり運びます郵便物の数量によつても違いますわけで、実際は幾らいりますか。その年の実績が上らなければわからないわけであります。大体予算といたしましては十三億計上いたしまして、そうして日本郵便逓送会社仕事をいたしました量に応じまして、これを支給することになるのであります。大体見当といたしましては七〇%か八〇%と、過去の実績から行きまして御了承を願つたらよいのではないかと思います。
  54. 井之口政雄

    井之口委員 これはよく調べておきませんと、この法案の第二段階では、郵便物運送等を他に委託することが経済的であるということが、前提になつておるわけであります。しかるに国庫から出されるところのほとんど八〇%または七〇%の収入を得ておるところの大きな、独占的な、また全国的な企業が、非常に利益があるということは、これは政府事業として、公共事業としておやりになつても、十分に引合うというところの性質のものであることを立証するわけであります。そういう点でこうした法案がむしろかえつて郵政事業の上に、採算基礎を悪くするような結果になつて、将来この郵政事業民間に拂い下げるところの、一つのきつかけとなつて来はしないかという、ことを恐れるから、こういうことを詳しく聞いておるのであります。そこで現在やつておりますところのその会社なり何なりに支拂つている、託送を委託しておるところの実情を、もつと詳しく報告する文書を出していただきたうございます。  それからこれは入札によることになつておりますが、結局においては入札者の選定ということは、自由になるのではなくして、逓信大臣の指定になるりではないでしようか。そうすることになると結局みな根本において指定的なものになつて来るのではなかろうかと思いますが、この点どうでしようか。     〔加藤委員長代理退席、石原委員長着席〕
  55. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただいまの井之口委員の御意見でございますが、この十三億は請負料として支出いたします金でありまして、直営でやつた場合ににどれだけいるかということは、また別問題であると思うのであります。あるいは直営でやりましたならばもつといるかもれませんし、十三億のうちの七〇%が日逓に行つて、しかも日逓が五分程度の利益を上げるということでは、かえつて直営にやつた方がよいのではないかという御意見でございますが、この十三億と申しますのは請負料として出します金でありますから、直轄してやつた場合の計算とは別な計算になりますから、その辺御了解願いたいと思います。  それからもう一つ、郵政大臣が指定するのではないかという点でございますが、この法律の建前といたしましては、一般自由競争契約原則といたしておるのであります。しかし第二條の第二項におきまして、郵政大臣において運送等に関し必要な能力を有し、かつその業務を行うのに支障を生じないと認めるものでなければならなしいということで、実際運送事業を自営する能力、また業務上に支障のないという資格のあるものでなければならぬわけでありまして、この範囲内におきまして自由競争契約をとるという建前になつておるのであります。従いましてその範囲内におきましては、郵政大臣は指定するのではなくして、やはり競争入札によつて落札される。こういうことになるわけであります。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 私企業においてもうけがあるものが、公共企業としてやつてもうけがないとすれば、公共事業は能率が上らぬし、経営が悪いという結果になるのですが、そういう点はどう見たらようございますか。
  57. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 公企業におきましては、予算等の関係もありますし、とかく一般的に官庁の仕事は非常に能率が上らぬ、経費がたくさんかかるというような一般的な常識ではございますが、一つの例をとりますと、国鉄におきましても省営自動車をやつております。省営自動車は大体一台について七人の人件費がかかつている。ところが日逓の例をとりますと、現在従業員は約千八百人、車輌におきまして約七百台持つておりますから、一台について三人でやつておるわけであります。そこに非常に経済的に民間ではやつておるわけであります。そこで郵政省におきましても、そういうふうに経済的にやればできるのではないかというような御意見も、成立つと思うのでありますけれども、これはやはり民間事業の特異性と申しますか、そこに非常に官庁と違つた事業経営ができるわけでございますので、かように経済的な経営ができるのでにないか。こういうふうに私は考えております。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 民間業者がこれを請負いする場合は、当然利益があるということを予想してでなければ請負わない。しかしそういう場合は、当然これは政府でやらなければならなくなつて来る。そうするといいところだけは民間にやらして、悪いところだけを政府がやつて行かなければならぬ。それだから能率が低下して、そうしてそういう方面の採算が困難になつて来るのではないかと思うのであります。一般政府事業全体が能率が上らなくて、そうして採算の点が悪いというのであつたならば、これは政府当局者として、郵政事業を預かつておる皆さんとして、どんなものかと思うのですが、はたして皆様方は、そういう政府事業は能率が上らないという一般論を御承認なさるのですか。
  59. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 承認するということではございませんが、自動車運送事業と申しますと、特殊な技術と経験を要する問題でございます。たとえば軍需の問題とか、その他いろいろな点におきまして、また従業員を使役する点におきましても、郵便自体の仕事と非常に違つた技術とセンスを要するような問題がございます。従いまして過去におきましても、自動車運送業というものは民間で発達して来たというのが、過去の実績であるわけでありまして、かような点からいたしまして、官庁におきましてかような特殊な技能と、また運送業の技術というものを十分に体得して行きますためには、相当な問題があると思うのであります。従つて私に必ずしも民間事業が能率が上るというわけではなくて、郵政省において郵便物民間に委託しておりますのは、自動車運送業自体が非常に特殊なものである。こういう観点から、せつかく現在民間で発達しておりますかような運送業に輸送を委託した方が、最も経済的であり、合理的であるという観点から、自動車運送業の委託を利用して来ておるわけであります。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 自動車運送が公共事業として不向きであり、私企業としては特殊な才能を要するものだから必要であるということは、どうも納得しかねるのでありますが、それならそうとして、先ほどのお話にもありまする逓送株式会社が成立して来る場合に最初は労働が非常に足りなくて、いろいろな私企業の方面に産業が盛んに起つてつたために、つまり好景気であつたために労働が足りなくて、そうして逓信局の方においてそれを処理することが非常に困難であつた。そのために民間からの特殊な、こうした逓送事業を要求するような建前から、起つて来たのだということを先ほどから言われておつたようであります。そうすると今日失業者がたくさん出る。全逓からもたくさん失業者を出しておるというふうな時代に、とりわけこうした私企業に今仕事をどしどしと渡して行く。しかもこういう法案ができて、これが合法的にやられるということになつて来ると、今設けるような逓送部分が、次から次にそうした面に移されて行く傾向に、結局なつて行くのじやないかと思いますが、どうですか。
  61. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 私が日本逓送株式会社ができました当時の事情説明いたしました点につきまして、井之口委員は誤解をなさつておられるように思うのでありますが、私が申し上げましたのは、戦時中におきまして、当時の各地受命業者従業員が、戦争による応召その他によりまして、なかなか人手を得るということがむずかしかつた従つて当時の受命業者内郡の人的な面からの必要性もあつて、これは全国的にできるだけ統一をして、有効に人力を使つて行く方がいいという自主的な考えから、この逓送株式会社ができたというふうに、私は申し上げたつもりでありまして、逓信省において人を採用することが非常にむずかしかつたから、逓信省がこれを慫慂してつくらしめたという意味ではございませんので、御了承願います。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 今もしこれができるといたしますれば、労働の点において、さらにまた整理が次第に強化されて来て、従業員の人たちの首切り、配達夫の首切りということが起つて来るじやないでしようか、どうでしようか。
  63. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 先ほどから私が申し上げましたように、今日におきましては郵便物運送施設については、大体すみずみまで鉄道施設あるいは自動車、船、馬車というようなものが、ほとんど完備しておるのであります。従つてこの法案郵便法の第五條におきまして、郵政大臣がかような契約をする場合は、法律を要するということになつておりますので、現実の施設を法的に根拠づけるというのが、この法案の本旨とするところでありまして新しくそういう逓送施設を全体的につくり直して行く、こう言う趣旨でこれは提案されたのではないのであります。従つてこの法律によつてどんどん現在の施設を切りかえて、逓信従業員を首切つて、これに切りかえるということは、実際問題としてはほとんどあり得ない、私はかように思います。
  64. 井之口政雄

    井之口委員 今のような状態であれば、同じようにそこまで発達して来た逓送事業でありますから、さらにこれを公共化して、そうしてほんとうの公共事業としての本質を明らかにし、国民大衆の利益に奉仕させるようにして行くことが、私企業にまかすよりもより以上に合理的になつて来るのではなかろうかと思うのですが、どうでしようか。
  65. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 その点になりますと意見の相違になると思うのですが、要するに全部直営にした方が経済的であるか、今までのようにやつておる方が経済的になるかという問題になりますが、少くとも現在やつております方法で、郵便事業の運営上何ら支障がないわけでありますので、これを一時に全部直営にしまして、多額の経費をかけまして切りかえるということは、かえつて郵便事業会計上からいいましても不経済な点もございますので、切りかえるということは私どもとしては考虚しておらないのであります。
  66. 石原登

    石原委員長 ほかに御発言はありませんか。——では本日はこの程度で質疑をやめまして、次会に質疑を継続いたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後二時五十六分散会