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1949-11-02 第6回国会 衆議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十九日  宇田恒君、大和田義榮君、風間啓吉君、加藤隆  太郎君、白井佐吉君、西村榮一君、福田繁芳君、  井之口政雄君、山本利壽君及び松本太郎君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月二日(水曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 石原  登君    理事 大和田義榮君 理事 風間 啓吉君    理事 加藤隆太郎君 理事 西村 榮一君    理事 井之口政雄君 理事 山本 利壽君    理事 松本太郎君    田中  元君       鈴木 仙八君       淺沼稻次郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         郵政事務官         (郵務局長)  浦島喜久衞君     ————————————— 十月二十九日  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案(  内閣提出第一四号)は撤回された。 同日  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案(  内閣提出第二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求の件  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案(  内閣提出第二二号)  郵便物運送委託法案内閣提出第一一号)(  予)  郵政行政に関する説明聽取     —————————————
  2. 石原登

    石原委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。本委員会の活動を一層活発たらしめるとともに、遅帶なく運営いたしまするために、国政調査承認を要求いたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原登

    石原委員長 御異議なしと認めます。それでは衆議院規則第九十四條によりまして、国政調査承認要求書を議長に提出いたさねばなりませんが、要求書内容につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石原登

    石原委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  5. 石原登

    石原委員長 次に郵政行政の近況につきまして、当局より説明を聽取いたしたいと思います。
  6. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 まず今回の国全法改正並び衆議院議事規則改正によりまして、新たに郵政委員会が誕生いたしまして、皆様方にはその委員にご就任なされまして、お祝いの言葉を申し上げると同時に、今後よろしくご指導、御鞭撻あらんことをお願い申し上げる次第であります。  郵政事業の現況でございまするが、まずさかのぼりまして、末年度予算組成当時の模倣から、話を申し上げたいと存じます。御承知のように経済九原則、あるいはドツジ・ラインの線に沿いまして、従来の通信事業一般会計からの繰入れによつて、ようやくその収支を合わせておつたのでありましたが、二十四年度予算編成にあたりましては、従来一般会計から繰入れて来ましたところの費用を一切当てにせずに、いわゆる独立採算制を樹立いたしたのであります。この独立採算制の樹立にあたりまして、もちろんここで申し上げておきたいことに、当時より郵政事業電通事業が分離することを予想しておりましたので、この二つ事業を、同じ通信省でありましたが、予算面におきましてはまず大きく郵政事業電気通信業とを二つにわけて、しかも二つ特別会計という構想のもとに、昭和二十四年度予算編成されたのであります。従いまして二十三年度におきましては、約七十億程度一般会計からの繰入れによつてまかなつてつたのでありましたが、いよいよ本年度予算編成にあたりましては、結論におきまして郵政事業で約五十億の不足を生じておつたのであります。五十億以上でありましたけれども、切りつめたところが、どうしても五十億足りなかつたのでありまして、はなはだ遺憾でございましたが、郵便事業のうちのはがきを除いた一般郵便物値上げをいたしまして、これによつて四十九億をまかなうことによつて、ここに独立採算制というものが施行されるに至つたのであります。その後このような予算の執行に進んで参りましたが、遺憾ながら現在までの段階におきましては、完全な予算当時の収入がございません。一箇月に約一億円程度予算数字から見ると赤字を示しております。しかし現実に支出をした金額と、現実に入りました歳入面から見ると、経費の節約を極度にはかつております関係上、必ずしも赤では、ございませんけれども予算歳入面から見ると、大体一箇月一億程度赤字になつております。しかし昨年度成績、あるいは一昨年度成績等から考えてみますと、値上げによる利用減は、やはり六箇月程度たたなければ回復しないというような数字を示しておりますので、この点について必ずしも悲観説だけを唱えるのではございませんで、むしろ今月から来月、あるいは一月にかける郵便の多く利用される時期等を目当てにしながら、しかも内部的には、一大増収運動というようなものを起しまして、たとえばこれから御審議願うところのお年玉つき郵便はがきというようなものも、ひつきようするに一つのねらいは、赤字を補填したい。すなわち増収をはかりたいという念願にほかならぬのであります。なお昨日から展開いたしております郵便週間というような事業も行いまして、極力増収に向つて進んでいるような現状であるのであります。従いまして昭和二十五年度予算編成にあたりまして、必ずしもこの独立採算制が破綻するというような考えは持つておりませんで、なお強く健全な独立採算制を維持したいという見地のもとに、しかも郵便料の仕上げをなすことなく、またサービスを低下させることなくして、この独立採算制を維持したいと考えているのであります。  ついででありますから申し上げますが、二十五年度予算も、大体政府だけで内定をいたしております。その内容は大体数字において二、三十億の増にはなつておりますが、特別に申し上げることもございませんけれども、ただ一点申し上げたいことは、従来郵政事業局舎の建設、たとえば郵便局改築とか、あるいは庁舎改築という費用は、一切減価償却金額から持ち出して参つたのでありますけれども終戰後焼失あるいは腐朽した建物等考えますときに、この減価償却金額だけでは、郵政事業復興がおそ過ぎるという見地から、ごく少額でございますが、十億円程度公債に求めまして、この十億円の公債で、たといわずかでありましても、すみやかに郵便庁舎その他の復旧、復興にささげたいと考えておるような次第でありまして、その他の点につきましては、大体本年度すなわち二十四年度予算同一構想のもとに、編成されておるのであります。  その次の問題は、皆さんに御審議を願いました郵政省設置法並びに電気通信省設置法の施行に伴いまして、従来の通信省が二分して、新たに郵政省電気通信省が設立されたのであります。この二省に分立いたしました理由につきましては、該法案の審議の際に詳細に御報告申し上げて、皆さんすでに御承知のことと存じますが、要は従来の逓信行政のきわめて非国民的な運行であつたものを民主的に、それから非能率的的であつたものを能率的にする。あるいは非企業的であつたものを企業的に改組するというのが、この二省分割考え方でありまして、同時に二つ法律の根本の精神でもあるのであります。私どもはこの法律精神を十分尊重いたしまして、あらゆる面でこの郵政事業の発展に費しておるよう次第でございます。  第三に申し上げておきたいと思うことは、例の行政整理の問題でございます。行政整理は、言うまでもなく国民負担の軽減ということを中心に置かれまして、歴代内閣が相当困難であると考えられた、いわゆる歴史的な難事業をなし遂げたつもりでおるのでありますが、その構想を申し上げますと、当初三万八千人程度の減員という考えを持つておりましたが、いろいろ再調査をいたしました結果、結論において三万八千人というのを四万八千人ということにあらためて変更いたしまして、昭和二十四年の三月一日の予算定員に対して、四万八人千を減じたのが、先ごろ御審議願つた郵政省定員法定員であるのであります。しかしこの行政整理を施行するにあたりましては、当初この問題が具体化する前、すなわち私が逓信大臣に就任するやいなや、当然適当な時期に行政整理は敢行すべきものであるという見地に立ちましたので、まだ具体的な政府方針も、具体的な数字もきまらないとうちに、私の考えといたしましては、長年の間職場に働いておつた職員諸君が、自分の意志に反して行政整理をされることは、まことに気の毒であるという見地のもとに、たとい一人でもこの整理による対象となる人を少くしようということが、私の大きな責任の一つであるということを考えましたから、まず二月末でございましたが、全地方に私の考え方を指示いたしまして、今後新たに欠員が生じた場合に、その補充は一切差控ておく。新たに採用する場合には、必ず本省の特別の許可を受くべしという指令を出しました。その指令によりまして、各地方職員諸君は、自分たち同士犠牲者を一人でも少くすることのためには、一時定員が少いために、自分たち業務の量が非常にふえることも我慢しまして、私の方針に非常に熱心に盡してくれました結果ただいま申し上げました四万八千人分、実際に整理しなければならぬ数が、現実整理する時期の八月上旬におきましては、実際問題として一万一千五百人を整理するだけで、四万八千人の目的を達成し得たということは、不本意ながらまず私は、この私の方針に賛成し、努力をしてくれました従業員諸君に感謝の意を表するとともに、私自身も満足をいたしておる次第であります。  以上のような形で行政整理予定通り職員諸君協力のうちに終了をいたしました。しかしながら現在におきましても、具体的な局あるいは課というような方面におきましては、多少のでこぼこがございまするが、一日もすみやかにこのでこぼこを調整いたしまして、本来の定員数業務を担当してもらうべく、日夜検討を進めておるような次第でございます。こういうような状態で、大体行政整理ということも  一応終了いたしましたので、今後は極力国民大衆に対する郵便サービスというものを充実すべく、心がけておるような次第であります。  なおさらに申し上げたいことは、先ほど申し上げました通り、この郵便事業独立採算制を施行することになつた結果、また同時に定員法によつて職員の数が一定の制限を受くることになつた結果、従来二百ないし三百のいわゆる特定郵便局というものを年々増加して参つたのでありますが、この特定局を従来の通り伸ばして参りますと、採算面におきましては赤字増加すると同時に、一方定員面におきましては定員が著しく増加いたすのであります。そこで非常に苦しんだ結果、ここに第五国会簡易郵便局設置法というものを御審議願いまして、この簡易郵便局により、ただいま申し上げました特定局増加によつて生ずる赤字をなくすと同時に、定員法によつて制限された定員の数を食わずにやつて行けるような考えのもとに、簡易郵便局設置法を施行いたしました結果、先月の中旬から今月の初めになつて、実施に移されております。この数も、大体最初は本年度中に全国で三百程度考えておつたのでありましたが、地方からの要望が非常に多くありまするので、ここでさらに予算の操作を行いまして、年度内に少くとも四百八十あるいは五百程度簡易郵便局を設置いたしまして、そうして文化の程度のあまねくない、辺鄙な町村にまで郵便事業を普及しまして、郵便事業の恩典に浴せしむるように努力をいたしておるような次第でございます。  さらに保險事業でございます。この保險事業も、年度当初におきまして大体二十億というものを目標に邁進して参つたのでありまするが、最近におきましてすでに十七億という実績を得ておりまするので、目標通り二十億の被保險者増加ということも、必ず年度内に実行できるものと考えております。  次に保險積立金運用問題でございまするが、これは第五国会においても衆参両院におかれまして、満場一致で運用郵政省でなすべしという決議がございましたので、私どもはこの決議の趣意を体しまして、極力その線に向つて努力をして参つたのであります。幸いに大蔵大臣も、再三の交渉の結果、私の主張国会要望とを率直に認められまして、従来大蔵省扱つて来ました積立金運用を、郵政省に移譲することに異議がないということになりましたので、これまた閣議で了解を得ましてこれを決定すると同時に、私と大蔵大臣の連名で、関係方面に陳情をいたしておるよう次第であります。さらに官房長官あるいは内閣総理大臣の援助を得ながら、現在当初の目的を貫徹するつもりでおりますが、現状見方においては、必ずしも楽観を許さぬような状態であることは、まことに遺憾に存じますけれども、私どもはこの国会要望国民諸君の期待を考えまするときには、全力を盡して最後までその要望にこたえんとしておるような現状であるのであります。  以上が現在の郵政事業の大体でございまするが、なお郵便貯金の問題について申し上げまするならば、郵便貯金が最近、すなわち去る九月二十四日をもちまして、郵政省が多年の念願でありました一千億の貯蓄総額目標が達成されましたので、せんだつて日比谷の公会堂でこの祝福のつどいを催したような次第でありまして、この点におきましても、私どもが当初考えておりました通り郵便貯金増加を示しておるのであります。すなわちこの郵便貯金は、昭和二十一年度におきましては大体五百億であつたのであります。それが二十二年度におきまして下り坂になり、二十三年度の初めまでも下り坂でありましたが、昨年の九月以来どんどん増加いたしまして、昨年の九月におきましては六百億、本年の一月現在におきましては七百億、三月におきましては八百億、七月に九百億、九月二十四日に一千億突破という好成績を示しておることに、まつたく皆さま方の御協力のしからしむるところと、感激にむせんでおるような次第であります。まず事業面におきましては、私ども理想通りに進んであるつもりでありまするから、その点だけは御了承願いたいと存ずる次第であります。なおごく荒筋だけ申し上げましたので、あらためて皆さんから御質問がございますれば、後答弁を申し上げますことにして、一応郵政事業のあらましを申し上げて、御了解を得たいと存ずるものでございます。
  7. 石原登

    石原委員長 ただいまの説明に対して御質疑ございませんか。
  8. 井之口政雄

    井之口委員 大臣の今のお話では、行政整理が非常に円満に行つたようなお話でございますが、国勢調査におきましても言われておりまする通り、またわれわれが実地にいろいろな方面で見聞するところによつてもそうでありまするが、非常に労働強化された。とりわけ今までの行きがかり上、電通のことを申し上げておきますが、電話交換手のようなものの労働強化が、非常にきついものがあると思われるのであります。そういう点も十分、その後地方の方の調査を、大臣の方においてなさつていらつしやつた結果の、今の御報告でありますかどうか。その点をひとつお聞きいたします。
  9. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 その後の経過等も、今日までの現状調査しての私の話でありますが、今井之口君のお話のように、局部的には多少定員がまだ充実しないところがございます。というのは、できるだけ行政整理によるいわゆる退職者を少くするという趣旨から、ある程度において、ある局では定員以上に、ある局は定食以下であるものも、合計して定員になつておるのがありまするので、この人が配置転換に応じたいと言えば、一方においては定員以下で仕事し、一方においては定員以上である。その趣旨はどこにあるかというと、私ども配置転換をすることによつて犠牲者を少くするということを念願した結果、そういうでこぼこがありますが、これは本人の了解を得て、かつ福利厚生施設等考慮の上で、納得の行つた上で、この配置転換を完全に行えば、理想通りということになりますが、ただいま申し上げたような経過を持つものでありますから、でこぼこの点ももちろん多くの中にはございますけれども、これに対しては極力本来の定員の姿にもどつて、いずれの局も過剰もなし、不足もなしという姿に進もうとしておるのであります。
  10. 井之口政雄

    井之口委員 なお整理された人員に対しましては、これは大臣の今までの御答弁、いろいろ前の議会においてのものもあるのでありますが、決して思想その他政党支持関係によつて馘首しないということも言われておりましたが、実際やられた結果を見ますると、労働団体の幹部の人で進歩的な人たち、あるいは共産党員というふうな者が、やり玉に上つておるようであります。その人たちの中には、仕事の点においては表彰をされているような人たち、かえつてそこの局長なりいろいろな人たちから信頼されている人たちがいるのであります。そういう点はどうも大臣の言明と違うような結果に立ち至つていると、われわれは観察いたしますが、この点どうでありますか。
  11. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 この問題については、井之口君からたびたび開かれるのでありますが、いくら開かれましても、この前申し上げた通りであります。すなわち行政整理に当つて特定の党の党籍を有するから、これを整理するという基準は、全然つくりません。具体的に言えば、民事党だから残す、共産党だから切るというような標準はございません。しかしながら整理基準に該当するものであれば、それは民自党であろうと、社会党であろうと、共産党であろうと、遺憾なく整理をいたしておりまして、その結果見方によつては、共産党が非常に多いという井之口君の見方でありますが、もしそういうことがございますれば、偶然も共産党員整理基準に当てはまる人が多かつたということで、これは私たち共産党員が多いかどうかわかりません。なぜかというと、共産党に入つたといつても届出があるわけでなし、履歴書に書いてあるわけでもありませんから、要は公務員としてふさわしい人が残つておりまするし、整理基準に当てはまつた人が自然整理された、こういうことになつております。
  12. 井之口政雄

    井之口委員 局長から、非常に精勤者であり、技術の点においてもすぐれておるし、いろいろな表彰をもらつておる人たちがおるのであります。そういう人たちに対しては、今の方針にもそむくかと思いますので、それならばあらためて考慮される意思はありませんでしようか。  なお年末にもなりますし、お年玉の問題さえも出て来る状態で、年末のいろいろな給與の点がどうなつているか、この点について伺いたい。それからこの間の本会議におきましても、寒冷地のいろいろな手当なんかの質問も出たようであります。この点も郵政省方面においてその準備ができておりますかどうか。
  13. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 第一番の、おそらく再採用する場合に、そういう完全な公務員として欠席のない人は、考慮に入れるかという質問だと思うのでありますが、それは当然入れます。たとえば十一月一日から定員を多少ずつ割つておりますから、その場合には原則的に優先的に整理者を採用したいと考えております。しかしながらこの整理者を採用するにあたりましては、やはり一定基準がございますので、公務員としてふさわしくない者は採用しないつもりでありますし、ふさわしい者はもちろん優先的に扱つて、他の新しい者に先んじてこれを採用したいと考えております。  それから給與の問題でありますが、この問題につきましては新聞紙上にも出ましたように、公務員諸君の現在の生計のあり方は、まことに御同情申し上げなければならぬ現状にあると思うのであります。しかしながら井之口君も御承知通り給與というものは給與法によつて法律で決定されております。いやしくも俸給以外は、何らの名目をもつてするも出してはいかぬという法律になつておることは、あなたも御承知通りでありまして、この法律改正が可能であるかどうか、それに対する予算の裏づけがどうかというような問題がありますので、政府の気持といたしましては、せめて年末における昨年の例などもありますので、何とかしてできるだけ予算基本方針をこわさない範囲で、公務員諸君にやれるような方法はないかと考慮いたしておりますが、まだ最終的な決定にはなつておりません。  第三の寒冷地手当並びに石炭手当の問題でありますが、この問題はすでに第五国会法律化されまして、しかも法律が施行せられ、また人事院からもこれに基く勧告もありましたので、政府はさつそくこれを調査いたしまして、一応の成案を得まして、関係方面了解を得べく、いろいろと折衝を続けておるのでありますが、不幸にして運輸省関係予算が、関係方面了解を得る程度までに進んでおりません。しかしながら現状北海道あたり石炭手当をもらう人たち立場考えてみますと、いつまでもこれを放置してはおけないというので、一応せんだつて一つ暫定措置を講じております。暫定措置だけではいけませんから、本来の法律の規定通り急いでおりますが、これはこの国会が御審議を願おうとしておる補正予算が終了しなければ、その実現はちよつと困難ではないかという見通しを持つております。
  14. 井之口政雄

    井之口委員 先ほど人員の点において、でこぼこがあるというようなお話でございましたが、ひとつこれを至急調査の上、でこぼこはどんなふうになつているか報告していただきたいのです。今すぐというわけには行きませんでしようが。  なお先ほどの御報告で、積立金運用問題がそのままになつておるということですが、これはどういう混乱のためにそういうふうになつておるものか。将来これをもつと進める上においては、どういう腹案を持つておいでなるか。この点をひとつお開きしてみたいと思います。
  15. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 定員でこぼこについては、後刻人事部長から調査の土御報告申し上げます。積立金運用の問題でございますが、これは御承知通り今から三年ぐらい前に大蔵大臣あてに、従来大蔵省扱つてつた積立金運用を、資金の一元的な運用という立場から、大蔵大臣に移すことが適当だ、こういう指令が来たので、従来逓信省でやつてつた積立金運用大蔵大臣運用することになつたのであります。しかしながらあの当時における日本の経済状態と、現状経済とは違うという点ばかりではなく、地方から吸収いたしました財源というものを、またその地方に還元することなく、他の地方にいたずらに動かすというようなことは、これは理想から育つてもよろしくないし、また一方保險積立金の本来の性質を考えてみると、この簡易保險のねらいは、要するに国民の中の最下層の人が、不慮の災害にあつた場合における明日の安全弁として設けられておるのであります。従つてこれによる経費というものは最小限度にとどめて、そうして保險契約者負担最小限度に少くするのが、われわれの理想でなくてはならぬのであります。ところが現在大蔵省積立金運用いたしておりまする結果、この百数十億の積立金の利率が、現実においては八分六厘程度にまわつておるにもかかわらず、保險特別会計に入つて来るのは、四分というものは大蔵省がやつておるために、その実費というような形で保險特別勘定に入つて来ないのです。四分というものは約八億から九億、約十億に該当するのです。年に十億というようなものは、いわゆる保險契約者に対する利益償還という意味において、配当金として出すのが、むしろ簡易保險の本来の姿でなければならないというのが、私ども考えでありまして、こういう面におきましても、ただいまの積立金運用は、郵政省でやることが適当だという強い信念を持つておることに、国会決議にあつたと同様であります。従いまして歴代内閣もこれを考えておつたのでありましたが、現内閣になりましても、先ほども申し上げました通り大蔵省はなかなかわれわれの主張を率直にくみ入れてくれなかつたのでありますが、幸いに皆さん決議もありましたので、大蔵大臣と再三交渉の結果、私のただいまの主張を認めて、日本政府といたしましては、郵政省積立金運用をさせることが適当だという結論になつたのであります。ところが先ほど申し上げました通り、この積立金運用大蔵省でやるというのは、先方からの指示によつてつておるのでありますから、その指示が取消されない限りは、日本政府だけでどうこうできないのであります。従つてども大蔵大臣と私の名前で、まず閣議でこういうような決定を見て、国会ではこういう決議があつたのだから、すみやかにその指示を取消して、日本政府考え通り運用さしてくれという陳情書を出しておつたのであります。陳情書を出しておつても、これだけでは諸般の事情がただちにわれわれの要求を入れてくれそうもないので、先般吉田総理大臣にも御盡力を願つて、向うと交渉中であります。また政府の代表者という意味で、官房長官ども再三マーカット代将などと会つて、日本政府考え方を強く懇請しておるような現状でありまして、用は私ども考え井之口君の考えも同じことだと思いまするが、関係方面のこの運用に関する、すなわち資金の統制一元化という問題を離すことがいいか惡いか、すなわち私ども主張の利益と、日本の経済現状において資金の統制が一元化されることと、どつちも利益があるかということについて、いろいろ御檢討中だと考えております。しかし私どもはどこまでも当初の信念に向つて、極力これが実現されるように、現在も努力を継続中であります。うつちやつて置くわけでも何でもありません。
  16. 井之口政雄

    井之口委員 見返り資金の方からも、融資がこつちに来ているだろうと思います。そういう方面の使途の状態、それからそれに対して何かきつい條件がまだついておつて、将来今言うようにいろんな縛られるような趣旨があつて政府の意見も国民の意見も通らぬことになるようなことはありませんか。また電気事業には諸機械の購入が重要でありまするが、そういうふうなものの購入も、外国からの輸入にまつような傾向にあるのでになかろうか。またそれの製造につきましても、外資の入つているような工場に注文を一方で出すというような方針ではなかろうか。その辺の実情をひとつ承りたいと思います。
  17. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 お答えしますが、郵政事業には見返り資金は本年度は一文も入つておりません。先ほど申し上げました通り、従来局舎の建設というようなものを減価償却で行つてつたのでありますが、これで荒れ果てた郵政省局舎をすみやかに復興することは困難であるから、来年度わずかでありますが、十億だけを建設資金として見返り資金で運用できるように、日本政府だけでは内定いたしております。しかしながら二十四年度予算では、郵政事業に関する限り見返り資金は一文も使つておりません。おそらく井之口君のお話は、電気通信事業の本年度の百二十億の問題であろうと思いますが、この委員会とは違いますけれども、せつかくの井之口君の御質問でありますからお答えいたします。この百二十億は、当初の計画通りこの百二十億と、減債基金に行く四十二億、終戰処理費から来る二十数億、合計百九十数億の資金で、電話の復興建設が本年度進行中でございまして、これが竣工したあかつきは、計画からし上げますと六万七千個の電話、三万個の接続電話、二千個の自動電話というような目標のもとに進んでおりまするが、年度当初において見返り資金の運行の方針が少しく遅れたために、多少予定よりは工事が遅れておりますが、現在ではこの資金がフルに入つておりますので、この計画通り年度内に完了するつもりでおります。さらにこの資金を借りたがために、将来この資金が大きなたたりになつて、電気通信事業に対していろいろさしさわりが来るのではないかというお話でございまするが、これは大体年五分で、年限はきまつておりませんが、大体十五年の公債で発行しておりまするから、利息を返す責任と、それから元金を期限に返す責任は負いますけれども、それ以外の拘束は全然受けておりません。それから電気器具の製造期限でございますが、日本の電気通信事業の発展のためには、電気器具のメーカーと歩調をそろえて進んで行かなければ、ひとり電気通信省だけが進みましても、これは絵に描いたぼたもちになつてしまうのであります。従つて電気通信事業が次次と発展すべき、あるいは建設さるべき計画と、メーカーの経営というものが、ある程度了解し合つて進まなければできないのであります。その辺につきましては従来もそうでありましたが、今後も密接な連携をとりまして、電気機器のメーカーが突然自分の計画を変更したり、事業を縮小したりすることがないように円満な強調をとりながら進んでおるような現状であります。
  18. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 井之口君からの質問で大体了承下のですが、二点ほど伺つておきたいと思いますことは、馘首いたしました場合の一つの標準——まあそれによつて馘首されたことであろうと思うのでありまするが、その場合において、いわゆる非協力者ということで首を切つているのが大分あるようでありますが、一体非協力者というのはどういうような内容を持つのか。少し私に内容を聞かせておいていただきたいと思うのであります。というのは、多かれ少かれ多数の人が団結をいたしまして、団結した者の中から意見が出て参りまして、その意見をとりまとめて、上部の方に何か出して参ろうとする場合におきましては、案外形の土においては非協力的な形が出て来るのでありまして、自然そういうようなことから、首を切られる人が相当あるやに私は承つております。要するに表向き労働運動をやつておりまするならば、当然民間においては資本対労働の関係におきまして、対立のに妥協もし、あるいは話合いもつけて行くという形が出て来ておるのでありまして、根本の産業者のものについては一体でありまするけれども、利害が相反するという形が現われて来ておると思うのであります。従いまして国家のいわゆる行政官としての立場から来るものと、單なる労務の提供者との間におきましては、おのずからそこに隔たりがあると思うのであります。従つて多数の労務の提供者が集団して何か要求した場合には、どうも非協力という態度に出るのは当然だと思うのであります。ことに中闘と申しますか、いわば全逓労働組合の中におきまして、われわれが見れば、この人かとして首になつたかと思われる人が、一人、二人首になつておるのでありまして、ああいう人たちがどこに非協力な態度があつたかという点も、私どもには考えられるのであります。そういう点で非協力という意味と労働問題というものに対して、どういうお考えを持つておられるか。まず最初に承つておきたいと思います。
  19. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 非協力という言葉が、整理基準なつたかどうかは、発表する限りではございませんが、大体それに似寄つた基準があつたことは事実であります。そこでその非協力者というのは何ぞやという問題でありまするが、私ども考えでは、これは全逓との交渉のときも、再三再四に、わたつて論争を行つたのでありますが、公務員法で認められた職員組合の執行委員が、即非協力者になるかというような質問をされたのであります。これは絶対にそんなことはない。職員組合は法律で認めあつて、しかも公務員でありますから、団体交渉権はありませんが、それに類似した交渉権を認めている以上は、これに対して当然の権利であるべき公務員の代表としての発言、これを行つた者がただちに非協力者だ、そういうような古くさい考えは持つておらないつもりであります。従つてただその協力程度が——執行委員としての行為が、公務員法が認めた範囲におけるいわゆる組合運動であれば、言葉が猛烈であろうと、あるいは上長に対して無礼なことを言おうと、それは時の勢いでありますから当然であります。しかしながら根本からこの法律を無視いたしまして、公務員にあるまじき行為、こういうものがあつた場合におきましては、これは非協力者と言わなければならないと思うのであります。たとえて申しますならば、これは間接で非常にめんどうでありまするが、全逓の場合、秋田大会における決議の実力行使がどうとかいうことは、われわれの考えでは公務員法は、そうした組合運動は認めていないと思うのであります。そういうふうに、合法的な運動であるならば、これは非協力者にならないし、いやしくも公務員法に違反する形が現れた者は、非協力者として処断しておるのでありまするが、具体的な問題については、いろいろ淺沼君が指摘されたように、多少これはおかしいじやないかという点もございましよう。人間によつていろいろ見方も異にするのでありますが、しかし私ども自分たちのやつたことをすべて正しいという建前に立たずに、むしろ人から注意を受けますれば、これは再検討して、再採用の場合には十分考慮すべきだ、こう考えております。
  20. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そこでそのことに関連して希望を申し上げたいことは、やはり職員組合があつて、団体交渉権というものは違つた形において認められておるのでありまするが、労務の提供者と思われる人たちが数多い郵政省におきまして、いろいろな問題について、組合が行動を開始することは当然だと思います。そういう場合において、今大臣の言われたように執行委員としての行動が、国家公務員法の制限の範囲内であるかないかということを策定することは、これはなかなか困難な問題だと思うのであります。自然ただ団結をして、対立ではないと思うのでありまするけれども、要するに立場を異にしてやるのでありますから、そこに対立的なものが出て来ることは当然でありまして、そのことのゆえに正常なる労働組合運動を圧迫しないような形をとるべきだと考えるのであります。最近の労働組合運動に対して、政府のやる行為の中に、憲法を軽視し、あるいは法律を蹂躙するようなものがある。だからわれわれは正当防衞の見地よりいたしまして、力をもつて対抗することもやむを得ない。こういうような形の出て来ることは見のがすことのできない事実であります。私も全逓の秋田県の大会には参りまして、いろいろ実情を伺つておりましたが、定員法が通過をいたしまして、行政整理が行われるという前提として、実力行使を決定したのでありますが、その際の空気をうかがつておりますと、政府は憲法を軽視して、さらに政府が法を蹂躙する形が出て来る。しかもそれが議会の多数の名においてなされる場合において、われわれがこれに対抗するには、正当防衞の見地から実力行使をする以外に道がないのではないかという見解が出て来ておるのでありまして、私はこの説には賛成できません。一たび議会できまりますれば、それが誤つたものでありましても、人民の意思で決定された法律でありますから、それに服従して参らなければならぬと思うのでありますが、一面におきましては、そういう実力行使に立たせるような條件を政府みずからつくつておるということも、お考え願わなければならぬような気がするのであります。さらにそのことを対立的に非協力者という形で見た場合には、それならばやつてしまおうかという気持も多分にあると思うのでありまして、御考慮のほどを願わなければならぬと思うのであります。  次には給與ベースの問題でありますが、この間本会議で吉田総理大臣よりいたしまして、政府の方では勧告があれば改訂する用意があるやのことを、私どもの松澤議員の質問に対して言われたのでありますが、そう言いながら一面におきましては、この年末には越冬資金というような形において、これをカバーしようという考え方があるようであります。このことは片山内閣時代にやはり賃金問題でいろいろ問題がありました際に、こういうような賃金形態はいけないということになつて、いわゆるボーナス制度というものがなくなつて、ボーナスであつたものが本給に繰入れられるという形がとられて参つたのであります。これは関係方面との関係において、なお賃金体系をつくる形態から出て来ておると思うのでありますが、それをあえて不可能だということがわかりながら、こういうような議論を迷わす——迷わすと言つては語弊があるかもしれませんが、一面においてはこのために、ボーナスが出るのではないかということを印象つけておるのではなかろうかと思う。実際から言うと、出ないのが真実の姿であつて、どうも政府のやり方の中には、よい案を確かにつくるけれども、結果はおれの方はこう考えるのだが、客観情勢がそう許さないといつたような、昔で申しますと、紫のふくさというものをかさに着るような気があるのでありまして、これはどうも私に当を得たやり方ではないと思うのであります。一体ボーナスというものは、今労働が強化されていることが一つ、物価の値上りが一つ、さらに何か法律によりますと、年末に仕事もまたふえるような法律も出ておるようでありまして、そうなつて参りますと、自然金を出してやらなければならぬことになつて参ろうと思うのでありますが、どちらで行くのか。実際ボーナスは出るものか、またボーナスが出ないのに宣伝されることは、單なる自分考え方で、誠心誠意やるのだ、誠心誠意やるには違いないけれども、客観情勢が許さないということが初めからわかつてつてそれをやることはいかがであろうかと思うのでありまして、一体政府はいずれをとられるか。賃金ベースをとられるか、あるいは年末賞與といつた形の方をとられるのか、また両方とつて必ず出すのか、こういう点をちよつと聞かしていただきたい。
  21. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 吉田総理がこの賃金ベースの問題でどういう答弁をしたか存じませんが、少くとも吉田総理の言われた趣旨は、もし人事院が、人事院の職権で政府に勧告した場合には、そのときに適当に考慮して善処する。その中には必ずしも上げるとか、あるいは動かすという観念は、入つておらぬのだろうと思うのであります。ただ法制の立場上、人事院は勧告する権利があるのでありますから、これを否定することもできないし、それを考慮する必要はないということを言うことはできませんから、とにかく現在の段階では賃金ベースを変更する考えはございませんが、あらためて人事院あたりから合法的に勧告があつた場合には、その勧告の対策を検討し、また財政方面ともにらみ合せて、あらゆる角度から政府の態度を決定する趣旨だと私は受取つております。  それから今の賞與の問題であります。給與ベースと賞與はどう考えるか、それから実行方法はどうかという問題でありまするが、大体今後の賃金と物価をどう考えて行くかということが、前提になると思うのであります。従つて日本政府といたしましては、できるだけ現在の貸金と現在の物価で、来年度予算編成したいという念願でありまするし、現在は困つてつても、こういう方針政府として具体的に決定した暁においては、恒久的に給與を変更しなくても、一時的の措置をとつたならば何とかしのげるのではないか。しかも財政の安定ということを深く考慮に入れますときに、いたずらに賃金ベースを改訂して、経済の根幹を乱すようなことになつては困るということに重点を置いておりまするし、また一方公務員諸君の生活の現状、それから民間の賃金ベースとの差というものを考えてみますと、何らかの措置を講ずることが、ほんとうの実情に沿うた政治ではないか。こういう考え方から、名前は賞與ともつけません。あるいは年末調整金とも飾つておりませんが、何とか考えていいじやないかという程度の話が閣議でもありましたけれども、これは決定したわけではありませんから、今淺沼君の言われたように、給與法の制限もありまするし、これをやたらに、決定して発表すれば、今お話のようにいろいろの見方も出て参ります。従つてどもとしてはこういうものを秘密にいたしておつたのでありましたが、新聞社の力で発表いたしたものでありますから、一応真相だけを御報告申し上げるのでありまして、要するに現在の公務員諸君の窮状、それから日本財政の安定という大きな線から、これをどう調和して行くかというような、いろいろ具体的な意見が出ますと、今のように年末調整金という議論も出て来るのでありまして、私どもは必ずしも名前は賞與とか何とか考えておるわけではありません。もちろん所得税の減税によつて公務員の実質賃金を上げる。それからやみ物価を撲滅して、やみ物価の値下がりによつて実質賃金を向上する。あるいは配給量を増大してどうこうというような総合的な見解のもとにこの矛盾を調和して、何とか切り拔けて行きたいというのがわれわれの念願でございまして、今ただちに賞與にすべきか貸金にすべきかという結論は、まだ得ておりませんし、またこれを手段として、国民にこれを発表して、内閣がちよつとでもいい子になろうというような考えは、現内閣は毛頭持つておりません。ただほんとうに公務員諸君がお困りになつている窮状を思うときにいろいろな議論が出て来て、何らか実現したいという希望を持つていることだけを御了承願いたいと思います。
  22. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 よくわかりました。現業の人をよけい扱つておられる省でありますから、ひとつ下で働いている人たちが暮れを楽に暮らせるように、大臣は特別の御奮闘を願つておきたいと考えるのであります。  もう一点だけお伺いしておきたいと思いますことは、今大臣の言葉の中に、昭和二十五年度予算について、これは大蔵省関係で言うのが当然だと思うのでありまするが、物価と賃金は前年度を踏襲した形で行う。これは予算のことは抜きにいたしまして、一体郵政省関係においては、昨年の給與ベースと、今の関係からいたしまして物価の問題をそのまま去年通りに見て、郵政省並びに電通省、大臣関係しておる二省においては、実際上の作業ができるのでしようか。そこに非常な疑問を私どもは持つのでありますが、これはただ見通しだけを伺つておきまして、これ以上はこの委員会の性質が異なりますし、なお予算全体に関する問題でありますから、ただどういうお考えであつたかということだけを伺つておきたいのであります。
  23. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 淺沼君の御承知通り郵政省事業としては一応物価も賃金も現在並という建前でございます。しかしながら補給金の削減によりまして基幹産業の、たとえば石炭とか鉄とかいうようなものが、自然の値上りが生ずると思います。もちろん企業努力によるコストの値下がりを考慮しましても、やむを得ない値上がりもあるかと思います。しかし一方生産の増強と統制の撤廃によつて、自然の値下がりのあるものもございますので、一応平均では現状の物価通りでありまするが、今申し上げました補給金の撤廃によつて、多少上るべきものがあることは予測しながら、総金額では現在の物価通り考えてやつております。
  24. 大和田義榮

    ○大和田委員 ちよつと伺いしますが、簡易郵便局の開始は、少くとも今お話のありましたごとく、今まで郵便文化に恵まれなかつた人々が、非常に喜んでおる現状であることに御承知の事実であります。また郵政経済という面からいたしましても、期待するところが大であると考える次第であります。そこにおきまして今お話のありましたごとく、当初三百の予算であつたものが、四百八十となり五百になつたということでありまするが、さらに今後事情を勘酌して、十分調査の上に、開始せねばならぬ地帶があれば、五百の線でとどめずして、適当の時期におきまして増設開始するの方針があるかどうかということが第一点であります。  次には、こうしたような地方民が喜んでおる施設ではありまするけれども、これが不なれであります関係から、十分の指導と監督とが必要であると思うのであります。もちろん現在におきましても所属郵便局、その他監督者等の段階に入つておると思うのでありますが、もしこれが徹底しないということによりまして、不詳事件が起きるということになりますれば、せつかくのこうした施設も、あるいは郵政全般に汚名を残すというような場合なしとしないのであります。この点から考えました場合において、これが監督にあたつてどういう方針で進んでおるか。あるいは進まんとするものであるかという二点につきまして、お伺いしておきたいと思います。
  25. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 簡易郵便局を本年四百八十ないし五百で満足するつもりかという話でありまするが、当初三百と決定いたしましたのは、大体これが一般世間にも知られていないし、この程度要望しかないであろうというので、三百という決定をしたのであります。ところがやつてみますと、現在八百近くの申出があります。しかしそれを希望があるからすぐ許すというわけに行きませんので、この委員会で御審議いただきますので御承知通り、この局を設けることは、他の局に影響するとか、あるいはここは近過ぎるというような問題も多少ございますので、希望に対してさらに郵政省として、どういう弊害があるかないかを調査して、そうして今までの申出で許してしかるべきだというのが五百程度でございます。従つて毎日のように新しい申請が出て参りますから、四百八十で困難だという場合には、予算の面を何とかいたしまして、できるだけ要望にこたえたいと考えております。必ずしも四百八十とか三百に制限されておりません。しかも予算的措置はごくわずかな問題でありまして、赤字になる心配はないのでありますから、私どもといたしましては、できるだけただいまのわく内のものはどんどん許可をして、運用に当りたいと思つております。  第二点の、新しい仕事でありまするから、おそらく仕事に不なれのために、いろいろな犯罪が起きたり、あるいはサービスの不完全があつたりするというようなことは、私どもこれを設置するに先だつて心配しておつた事情なのであります。従つて本省といたしましては、全国の関係官を集めまして、一定の期間これに関する講習をいたしまして、そのよつて生ずる弊害を多少でも少くするという方針を立てておりまするし、現在も設置された郵便局に対しましては、過渡的に現場に行つて指導するように、その直接の局でありまする集配局の担当者もきめておるような次第でありまして、できるだけそれによつて生ずる弊害がないよう、万全を期した、つもりでありますけれどいかにせん新しい事業でありますから、今大和田の言われたような失態も、あるいは少数起こるかもしれません。しかし私どもといたしましては、どこまでもその弊害が生じないような、万全の措置を講じたいと考えております。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 今簡易郵便局の問題が出ましたが、この簡易郵便局は監督を非常に嚴重にしないと、いろいろな弊害が起こつて来ると思うのです。現に特定でさえも、この私が淡路で調査いたしましたところが、淡路の志筑の局長でありますが、特定局長でありながら、漁業組合長を兼職しておる。そうしてほとんど局にいない。郵便局の金庫の中に漁業組合のお金を入れている。そうしてそれがなくなつて郵便局員がそのためにみんな嫌疑を受けて、警察へ引張られて調べを受けたというような事実もある。こうしたこともそのときに私に注意はしておきましたけれども、なお局の方においても、大臣の方においても調査して、そういつた点をひとつ注意して、そういう弊害がさらにこの簡易郵便局などには起らないように御協力願いたいと思います。
  27. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 井之口君の御注意はごもつともでございまして、私どもといたしましてはそういう事態が起こらぬようにやつております。しかしながら何しろ一万数千の局のことでございまするし、いろいろなことも起こりましようが、起りましたときにはどうぞ御遠慮なくご注意願いますれば、これに対する適当な措置を講じて、将来に向つて心配のないように努力したいと考えております。
  28. 風間啓吉

    風間委員 行政整理後の実情につきまして、意見を述べて御参考に供し、第二次行政整理につきまして、大臣の御意見を承りたいと思います。先ほど井之口君からは、行政整理後たいへん労働強化になつておると、いろいろな御意見があつたのでありますが、私の調べた範囲におきましては、それは統計として発表するほど大がかりな調査をしたわけではないのでありまするが、老若男女、各地区にわたつて一般の国民の御意見を徴してみると、行政整理後の鉄道と郵便は、たいへん親切になり、正確になり、迅速になつたという好評を博しておるということは事実であります。あえて私は郵政当局者のちようちんを持つわけでも何でもないのでありまして、いいことはいい、惡いことは惡い、公正な考えのもとに申し上げるのでありますが、これは行政整理によつて綱紀の粛正が保たれ、なまけておつたり、職務規程に反したり、あるいは労働組合運動等の行き過ぎがあると、ああいう目にあうというということが、職場の大きな戒めとなつた結果ではないかと思うのであります。なるほど私どもをして言わしむれば、親切、迅速、正確という窓口事務のあり方、あるいは配達事務のあり方の理想から言うと、現在なお理想には隔たりがあるようでありますけれども行政整理後は、整理以前よりはよくなつたということに、争うことのできない事実であると思うのであります。なお従業員につきまして、私も知り人が郵便局に働いている方が多いのであります。そういつた方面から忌憚のない意見を徴してみると、行政整理以前は、郵便局員としての職務のほかに九月攻勢であるとか、八月闘争であるとか、いろいろ新聞記事をにぎわした闘争の言葉がありますが、ああいつたものに関連いたしまして、就業時間が終わつた後に、夜おそく深更に至るまで、地区何とか委員会、何とか準備会とか、協議会というようなものが盛んに行われまして、労働組合に関係しておる幹部と称するような人々は、郵便局に働く仕事よりその方で疲れる。寝不足になるというようなことがありましたが、最近にそういつた、ことがやや少くなつたので、大いに助かつておるというよう実情を私は聞いたのでありまして、あれこれを総合して考えました場合に、なるほど労働強化になるというようなこと、郵政当局におきましても今後慎重に御研究を賜わらなければならぬことでありまするが、行政脇整理の結果が期せずしてそういうよい結果になつて、職場においてもまじめな人たちに喜ばれて、一般国民郵便局を利用する人々も喜ばれる結果となつたということは、まことに私ども満足するところでありますが、これを機会に第二次行政整理をもつと徹底的にやつてもらいたいと思うのであります。そういう点につきましてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  29. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 今風間君から非常におほめの言葉をいただいて感謝いたします。しかしながらおほめの言葉があつたからといつて、ただちによだんするというような態度ではいけないと思うのでありして、もし従業員がそういうふうにまじめになつたならば、私どもはこの従業員のために、よいサービス国民に與えることができるのでありますから、この従業員諸君の福利厚生ということに愼重な考慮を拂つて、できるだけの努力をすることがむしろそれに報いるわれわれの任務であると心得ております。一方井之口君からは、いかぬという点もございまして、これまた愼重に考えて、そういう事態の起らぬように考えることが必要であります。要はおほめにあずかつたからといつてうぬぼれて満足しておりませんし、またしかられたからといつて怒るようなことはいたしませんで、両方の御意見を十分に徹底するようにしたいと考えております。  なお第二次行政整理の問題でありますが、行政整理を終始やつておれば今のようによくなるというので、ばかの一つ覚えみたいなことであつてもしかたがありませんので、私どもは第二次行政整理は目下のところはやる考えはございません。
  30. 大和田義榮

    ○大和田委員 ちよつとくどいようでありまするが、言葉に語弊がありまするが、貧乏世帶の郵政として最も重要な積立金運用につきましては、とことんまでお話なつたようでありまするが、正直なところ、というと大臣が正直でないことを言つたようでありますが、正直なところ今後融資が再開になりますかどうか、ほんとうのお見通しを承れれば幸いだと思います。
  31. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 この積立金運用については、先ほど井之口君にお答えした通り、これ以外の何ものもございません。なお大和田君は要するにお前たちの見通しとして可能かどうかということの、最後のねじめを押えようというのでありますが、それは私どもとしては必ずしも現在楽観できないと考えております。従つて楽観ができないから、また新しい何かの手を打つことが必要じやないかというので、いろいろその打ち方を考えておるような次第であります。
  32. 石原登

    石原委員長 ほかに後質疑にございませんか。——この際委員長からも政府当局にちよつと希望を申し述べておきたいと思いますが、元来郵政行政は非常に地味な行政でありますがために、これは現在だけではありませんが、十年一日のごとく、一向画期的な変化も見られないというような状態ではないかと考えております。現に郵政行政独立採算制であるにかかわらず、相当の赤字を出しておりしまして、これの補填もなかなか容易でないというような見通しのようでありますが、これではせつかく出発いたしましたこの郵政の特別会計の将来が非常に危ぶまれますので、ここで一つ根本からこの問題に対してご検討を願いたい。もちろん政府としましては、冗費の節約その他いろいろこの赤字を満すことに対してご努力なさつていることは本委員会においても率直に認めるところではありますけれども、ただ單なる消極面だけを見ないで、全国的に持つております強大な組織を活用いたしまして、郵政行政がもつと画期的に発展運用される面があるのじやないかということを私ども考えるのであります。これからは郵政委員会が格段の努力をいたしまして、政府と郵政業務につきまして徹底的に研究をいたしまして、協力いたしたいと考えますので、政府当局におきましても今後は積極面の方に特に一段の力を入れていただきたいと希望いたしております。     —————————————
  33. 石原登

    石原委員長 次に去る十月二十九日本委員会に付託されましたお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案、及び二十六日に予備審査として付託されました郵便物運送委託法案の両案を、一括して議題といたしまして、審査に入ります。  なおちよつと御報告申し上げますが、去る十月二十七日本委員会に付託されましたお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律は撤回されました。本日より御審査をお願いいたしますお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案は、その後に付託されたものでありますから御了承を願いたいと思います。  それではまず政府の提案理由の説明を求めます。
  34. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 まず第一にただいま議題に供されましたお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案の提案理由説明いたしたいと存ずるものであります。  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案については、年頭のあいさつを郵便によつて行うわが国民の美しい風習は、明治初年わが国の新式郵便の創設後、施設の普及と利用の一般化につれて、自然に発生したものでありまして、この年賀郵便の数は明示三十八年には約一億一千万通となり、その後漸次増加しまして、昭和十二年には約八億五千万通に達し、その収入額も郵便の総収入額の一割ないし一割二分を占め、郵便事業の重要な財源をなしていたのであります。ところがその後日華事変の勃発等による国民生活の変動に伴いまして、年賀郵便の物数は毎年激減の一途をたどり、昭和十六年からは年賀特別郵便の取扱いが停止されるに至つたのでありますが、終戰後国民生活も漸次明るさをとりもどし、年賀状の差出しも増加する機運にありましたので、昨年末から年賀特別郵便の取扱いを再開したのであります。ところがその利用数は約七千万通にすぎず、またその収入額は郵便の総収入のわずか2%を占めるにすぎなかつたのであります。  かくのごとき事情にかんがみまして、郵政省におきましては年頭のあいさつを郵便で交換する従来の好ましき風習を助成しますとともに、近来赤字に悩みつつあります郵便事業の収入増をはかりますために、年賀状の差出しを積極的に勧奨いたすべく、くじ引きによりお年玉をつける年賀郵便はがき発売することとし、このためお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の制定を提案することとした次第であります。以下この法律案の要点につきまして、若干ご説明申しあげます。  まずお年玉の額につきましては、お年玉の性質にかんがみ、きわめて軽微なものとする趣旨に基きまして、その單価は最高二万円を越えてはならず、またその金額及び価格の総額は、お年玉つき郵便はがきの発行総額の百分の五を越えてはならないことにしたのであります。  次にお年玉の債権消滅の時効につきましては、お年玉は宝くじなどの当選金品に比べてきわめて軽微なものであり、かつ全国的に広汎多数の金品授受取扱いを行うことを考慮いたしまして、六箇月の短期時効としたのであります。  なおこの法律は、西欧諸国やわが国におけるいわゆる慈善切手等の発行の例に徹しまして、郵便切手や前に申し上げましたお年玉つきの年賀はがき等に、社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体に対する寄付金をつけて発行できるようにするため、必要な事項を規定したのであります。すなわち寄附金を受ける団体に、その選定を公平にいたしますために、郵政大臣はその選定に当りましては必ず郵政審議会に諮つて指定すること、寄附金の交付を受ける団体は、寄附金つきの郵便切手または郵便はがきの発行及び賣りさばきのため、郵政省において特に要した経費郵政省に納付しなければならないこと等を規定したのであります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。  次にただいま議題になりました郵便物運送委託法案の提案理由を御説明申し上げます。  郵便物の取集め、運送及び配達日、郵便業務の一部をなすのでありまして、事業独占の建前上、国においてみずからこれを行うことが一応期待されるのでありますが、国有鉄道及び地方鉄道によつて郵便物を運送する場合のように、当然これらの運送期間に郵便物の運送を委託する必要がある場合、また自動車等を郵便物の運送に使用する場合、もしくは山間僻地における郵便物の取集め、配達の作業のごとく、事業経済的経営の観点から、民間運送業者等にこれを委託するのを適当とする場合が少くないのであります。  しかして郵政大臣郵便物の運送を委託する場合に関する法律といたしましては、鉄道船舶郵便法があります。しかしながら同法はその規定の対象が、地方鉄道法による鉄道運送業者、及び商法による船舶運送業者に限られておりまして、自動車運送業者等その他の運送を行う者に及ばないばかりでなく、運送を委託する場合及び委託する方法等についての規定に欠け、また同法に定められております料金率も、現下の情勢に沿わないのであります。従いまして鉄道、船舶のみならず、自動車等のあらゆる運送機関の利用についても規定するとともに、運送委託の場合、委託の方法及び委託の内容につきましても、早急に規定する必要がありますので、ここに本法律案を提案した次第であります。  本法律案に規定してあります主要な点につきまして申し上げればおよそ次の通りであります。  まず第一に郵政大臣郵便物の運送を他に委託することができる場合の條件を明らかにしたことであります。いかなる場合に委託することができるかと申しますと、委託により業務を運営することが、郵政省の直営とするよりも経済的であり、郵便物の運送上支障がない場合であります。  第二といたしまして、郵便物の運送を委託する方法を規定いたのであります。運送の委託に契約によることといたしてありまして、しかも契約は競争によることを原則といたしております。しかしながら競争に応ずる者がないなどの理由によりまして、競争契約によることができなかつた場合、あるいは鉄道または軌道を使用する必要がある場合におきましては、当該区間にその数が二以上ないときは、随意契約によることができるように規定いたしてあります。しかして鉄道、軌道その他の一般運送業者が、郵便物を運送する場合における運送料金は、一般には郵便物の運送原価に、公正妥当な利潤を加えた金額基準とし、その資本金を政府が全額出資する運送業者、及び地方公共団体についてはその事業者の性格上、郵便物の運送原価のみを基準とすることといたしております。なおこの基準の設定にあたりましては、厚生を期するため、運輸大臣があらかじめ郵政大臣協力して運輸審議会に諮り決定することといたしたのであります。  第三に、今申し上げたように郵政大臣が契約によろうといたしましても、運送事業を営む者が契約に応じなかつた場合には、郵便物の運送をどうしても確保しなければなりませんから、最後の手段として鉄道、軌道その他特に指定した一般運送業者に対して、郵便物の運送及び運送に関して、最低限度必要な事項を要求できるようにしてあります。しかして郵政大臣の要求に基いて郵便物の運送をし、また施設もしくは役務を提供した運送業者に対しては、前に申し述べました郵便物の運送料金の基準に基いて補償金額を決定する等、正当な補償を行うことといたしてあります。  第四といたしましては、郵便物の安全、正確、かつ迅速な運送を確保するため、郵便物の運送を行う者に対して、たとえば郵便物の運送中において事故の発生した場合、郵便物の保護その他必要な措置をとらなければならない等、郵便物の取扱い上守るべき義務を規定いたしてあります。  以上申し上げましたほか、所要の罰則を規定いたしまするとともに、附則におきましてこの法律の施行期日を定めるとともに、この法律施行に際して必要な経過的措置を規定いたしてあります。  以上、本法律趣旨及び法案の大要を御説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御審議の上すみやかに御賛成くださるようお願いたします。
  35. 石原登

    石原委員長 これより質疑に入りますが、郵便物運送委託法案は都合によりまして、次回より審議をお願いすることにいたしまして、本日はお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案について、御質疑を願いたいと思います。なお郵政大臣は急用がございまして出かけられるそうですから郵政大臣の分からひとつ先にお願いいたします。
  36. 井之口政雄

    井之口委員 これで幾らくらいの利益が上がる予定でございますか。
  37. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 大体一億八十万枚を売る予定でありますから、その二倍である三億六千万円が総収入であります。その五分に該当する利益を出します。その他共同募金の寄付金を集めたことによつて、多少この方からもお礼がありますので、その完全なる利益をどうこうということになりますと、計算が非常に複雑になりますが、少くともこの措置を講じまして、一億八千万枚という郵便が出られないのが出たということになりますならば、かかつた経費はごくわずかでありますから、郵便はがき印刷代を差引いても、相当の収益になるだろうと思います。
  38. 井之口政雄

    井之口委員 このために何か人員増加のことをお考えになつていらつしやいますか。どうですか。
  39. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 これは事務の方なども考慮いたしまして、現在の定員運用ができないというところは、臨時賃金で雇い上げまして、それを補いたいと考えております。
  40. 井之口政雄

    井之口委員 それの予想額はどれくらいですか。
  41. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 このために特別の臨時者を雇い入れるわけでありますが、何名雇い上げますか、ただいまのところぶつかつてみないとはつきりわからないのでありますが、おそらく臨時者の経費、その他必要な宣伝費、あるいははがきの調整費、こういうのを加えまして、大体八千万円程度見込んでおります。
  42. 井之口政雄

    井之口委員 臨時雇いの人数はわからぬですか。
  43. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 できるだけ常在員をもちまして、仕事がはけるようにいたしたいと思いますが、各局の年賀状を出します状況が、どれだけ出るか今から補足できません。従つて各局におきまして郵便物の従来出ました状況をにらみ合せて、必要な臨時者を雇い上げる、こういう建前をとつております。
  44. 大和田義榮

    ○大和田委員 あるいは聞き漏らしたかもしれませんが年賀郵便以外の、従来の二円のはがきを取扱わないかどうかということについて……
  45. 小澤佐重喜

    小澤國務大臣 従来のはがきは従来通り取扱いますし、また年賀郵便としても扱うことになつております。
  46. 石原登

    石原委員長 ほかに質疑はありませんか。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 この寄付を受ける福祉団体ですが、どういう団体を予定しておられますか。何か案はありませんか。
  48. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 この法律の建前といたしましては、「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体」ということになつておりして、限定はされておりませんが、将来いかなる団体を選ぶかは、この法律によりまして郵政審議会に諮つて決定するということになつております。今年におきましてはかような寄付金の募集は、共同委員会で一括して統制せられておりますので、共同委員会で募金はこれを行いたい、このように考えております。
  49. 井之口政雄

    井之口委員 その審議会に労働団体の代表も入れられる意思でございましようか。あるいは農民団体そういう民主団体の代表も入れられる予定でございますか。それともう一つ、労働者でいろいろな救援組織を持つております。たとえば労働者救援会のようなものでございますが、そういう団体もこの中に入るのでございましようか。
  50. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 この審議会は、郵政省設置法に基きまして設置しております郵便審議会でありまして、この団体をきめるための特別な審議会ではないのであります。従いまして現在の郵政審議会の委員は、関係官庁の次官並びに学識経験者等を委員として委嘱してございますので、特定労働団体その他の団体の方は、現在においては委員にはなつておられません。
  51. 大和田義榮

    ○大和田委員 今の御説明に、現在できている郵政審議会のことですか。
  52. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 そうでございます。
  53. 大和田義榮

    ○大和田委員 そうすると、お伺いしたいのですが、六月一日に政令が出ておりますが、不幸にしてまだそのメンバーを承知しておりませんので、おわかりであればお知らせ願いたいと思います。
  54. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 この次の機会に、郵政審議会その他郵政省関係の諮問機関、あるいは相談会と称するものの委員のメンバーを全部知らせていただきたい。そうすれば今の質問にも答えられることになると思います。
  55. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 それではあとで委員の顔ぶれを印刷物にして差し上げることにいたします。
  56. 風間啓吉

    風間委員 私が伺いたいのは、これはミシンをくれるとか、洋服生地をくれるとか、たいへん興味深いことでありますが、年末ともなりますと、各商店街ともちんどん鳴りもの入りで、いろいろ福引き売り出しというようなこともあるので、比較的こういう興味もふだんと違つて薄らぐのじやないかと思います。それで郵便局の窓口にそういうのを備えておいて、はたしてこれだけ売り上げる自信があるかどうかということが少し心配になるのですが、それともいろいろな団体等の顔を利用して、ちよつと外交して売り出すというようなことなのか。そういう点を聞かしてらいたい。
  57. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 このお年玉つき郵便の賞品でございますが、できるだけ家庭に喜ばれるもの、それから郵政省関係の宣伝にもなるような品物、こういう建前からいたしまして、特賞がミシン、一等が洋服生地、二等が学童用洋傘、三等がズボン、その他最低十円の記念切手シート、こういうようなものを賞品として目下のところ考えておるわけでありますが、この賞品を郵便局の窓口に並べまして、それによつてはがきが特に売れるということは別に考えてないのでありまして、これらのことはポスターとか、その他いろいろな宣伝におきましてかようなお年玉が出るということでいたしたいと思うのであります。なお特別に寄付金がつきますために、その発行につきまして、私ども相当努力をいたさなければならぬわけでありますが、これにつきましてポスター、その他各局におきまして抽選を行いますとともに、また共同委員会のほうにおきましても、積極的に御協力いただくということに話が進んでおりますから、大体消化できると私どもは思つております。
  58. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 これに追加予算で出て来るのですか。それとも前の予算に組んであるのですか。
  59. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 前の本予算におきましては、年賀状としましては一億、収入としましては二億の収入が見積つてつたのでありますが、これはあくまで収入のふえることは事業としてはさしつかえないわけでありますが、特別の支出がありませんので追加予算には組んでありません。
  60. 石原登

    石原委員長 ほかに質疑はございませんか。——ほかに質疑はないようでございますから、本案に対する質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  61. 石原登

    石原委員長 御異議ないと認めまして、質疑を打切ります。  ただいまよりお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律案の討論に入ります。討論の通告がありますから、これを許します。井之口君。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 この法案に反対いたします。第一、今世間でいろいろ競馬だとか、宝くじだとか、実に国民の射倖心をあおるようなことが行われております。これ自体がすでに苦々しいことで、国民道徳上こうしたものが盛んになるということに、亡国のしるしである。いわんや今度のこのお年玉つきでもつて、青少年の小さな心にまでこうしたばくち根性をあおるということは、将来の国民の教育の上からも非常に悪影響を及ぼすものだと思うのであります。少しでも今日の世相をまじめに考えられたならば、ただ單に苦しいから、金もうけだからというような單純な考えからして、こうした一つの試みを、しかも国家の事業としての郵便事業をもつてするということは、最も注意しなければならぬものだと思うのであります。御承知通りこれでもつて約数億の金がもうかる。そうしてそれの売込みも、あるいは有志の方々を通じて、強制的なふうで売り込まれて行く。またもう一つ方の厚生団体に対する寄付の募集も、今の赤い羽の運動と同じように、国家がほんとうに予算を組んで、厚生施設に対する十分なる支出を計画してやるというのが、建前なのであります。そういう方法をとらないで、こうした射倖心をあおるような方法でやつて行くということに対しては、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。
  63. 石原登

    石原委員長 討論は終局いたしました。これより採決いたします。本案について原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  64. 石原登

    石原委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたされました。  なお本案に対する報告書作成に関しましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 石原登

    石原委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時三十五分散会