○石井繁丸君 ただいま
上程されました両法案に対しまして、
日本社会党を代表し反対の討論をいたすものであります。
ただいま委員長代理が述べたごとくに、本法案は、昨日の午後の四時に農林
委員会に
上程されたものであります。公報等にも出されずに、午後四時に突如
上程いたされまして、会期切迫の折柄、急いで審議をしてもらいたいということになり、本日におきましてその質疑を終り、そうして、この二日において討論をし、急遽本
会議に
上程されるというような段階にな
つたのであります。この点からしまして、われわれは、先ほど委員長の
報告にもありましたごとく、これは
国会の審議権を無視するものである、許しがたいものであると、断固その点からも反対をいたしたのであります。
この法案の内容は、委員長が
報告をいたしたごとく、肥料配給公団の基金を五千万円より三十三億二千八百万円に改め、油糧公団の基金を十五億一千万円より二十五億二千六百万円に改め、都合両公団合せて四十二億九千四百万円の増額をいたすものであります。かような大金が、
国民の血の出るような税金の中から、世間にいろいろと疑惑の目をも
つて見られておるところの油糧、肥料両公団の基金として織り込まれるという法案でありますから、決して簡単なる法案でないのであります。その審議のためには相当に時日を費し、十分に公団の内容を検討した上でなければ結論は下せないということは、民自党各位も異口同音に述べた点であります。提案の遅れた関係上、
皆様のボツクスの中にも、本法案はまだ入
つておらないのであります。また重要法案は、去る三十日におきまして、ほとんど審議を盡され、そうしてこの期間は、社会党等の主張しました会期延長の期間でありまして、もはやこの期間におきましては、衆議院には重要法案はほとんど残
つておらないと、だれもが考えておつた。かようなときにおままして、突如としてかような法案が
委員会に付託せられ、本
会議に
上程せられるということは、
何人といえ
ども意見なきを得ないのであります(
拍手)
本法案の
予算措置は、ただいま委員長が述べました
通り、これは今回の
予算において、ついてお
つたのでありますから、この
予算の措置がついたと一緒に、この法案を農林
委員会に付託しなければならないということは、農林省事務当局もよく知
つておる問題であります。つまり、この法案を会期切迫の昨日出したということは、薪炭問題あるいは食確問題等、農林
委員会の強烈なる
野党の追撃を恐れたるところの農林省
官僚群が、これを韜晦せんとして、
国会の審議権を無視して、かような拳に出たということは、一言も弁解の余地はないと断言し得るものであります(
拍手)これは、まことに
国会として看過すべからざるところの処置でありまして、與党、
野党を通じ、
国会の審議権を無視するこの態度に対しては、断固反対せざるを得ないものであります。(
拍手)
なお前
国会におきまして、この肥料公団の増資ならびに油糧公団の増資が、今回と同じように会期切迫いたして
提出せられたので、農林委員長を初め、われわれ委員におきましても、かようなことは
国会の審議権を無視するものである、今後十分に警戒をするようにと厳重なる警告を行いましたにかかわらず、またかような処置をとつたということは、はなはだ遺憾でありまして、まことにわれわれは、
国会の審議権尊重の
立場より、この点を糾明せざるを得なか
つたのであります。
特に、この法案の提案理由に至りましては、ただかように述べてあるだけであります。「肥料配給公団の基本金を増額する必要がある。これがこの
法律案を
提出する理由である。」、重ねて申しますが、この法案の提案の理由には、「肥料配給公団の基本金を増額する必要がある。これがこの
法律案を
提出する理由である。」というだけであります。かような提案理由というものは、われわれは、いまだ見たことがないのであります。つまり、この法案の
提出理由は、道楽むすこが親に向
つて、金がいるから、おやじ出せ、というのような問題で、まことに言語道断なる提案理由の説明であると言わざるを得ないのであります。これは、吉田
内閣が
国会を軽視しておるのか、または事務
官僚が吉田
内閣を軽視しておるのか、いずれかの
一つでありまして、
国会としましては、その権威にかけ、その真相を究明しまして、審議権確立のために断固たる態度をとらなければならないのであります。
第二点としまして、農林五公団に対しましては、前
国会より、その改廃につき論議されまして、食糧、飼料を合せまして食糧公団とし、食料品と油糧を合せまして食品公団として、肥料をそのままにしまして、五公団を三公団にするというような問題に相当の検討が加えられまして、公団再出発の問題が一応論議されてお
つたのであります。しかるに、選挙等におきましては、公団制度改廃等、いろいろと方策、施策を持つたごとくに申したところの吉田
内閣並びに民自党におきましても、政権をとりましたあとは、何ら定見なく、何ら法案に対するところの根本的対策なくして、荏苒今日に及んでおるので、われわれは、その無定見に驚くほかないのであります。
その公団の存続期間は、御
承知の
通り、一応二十五年三月末日までと
なつておりまして、公団関係者は常に不安の
立場に立
つておるのであります。その運命が、法律の規定上、来年の三月三十一日までと規定せられておりまして、かような関係上、
日本におきましては、御
承知の
通り、さつまいも、あるいはばれいしよが統制撤廃になりまして、らつかせい、あるいはごま等の作付転換等がなされ、国際的の油の輸入関係等いろいろな問題が発生するので、公団の問題については、肥料にしましても、あるいは油糧等にしましても、根本的なる改訂を加えなければならないという段階に来ておるのであります。
かような関係上、
政府におきましては、すべからく公団問題の本質につきまして正しい方策を立て、従業員の
立場を安定し、
国民の公団に対する疑惑等を一掃する責任があるのであります。基金の増加あるいはその他の問題は、これらの処置が解決をいたしてからでよろしいのでありまして、何を好んで会期切迫した今日、急遽
上程して、これが審議の必要があるのか、疑われるのであります。われわれは、
政府に対しまして、これが撤回を要求いたしたいと考えざるを得ないのであります。(
拍手)
ただいま委員長代理は、公団の基金は一般会計から支出し、通貨の縮小をはかり、そうして潜在的悪性インフレを根絶するために必要である、つまりドツジ・ラインでありインヴエントリー・フアイナンスというような
立場から、かようにするのが、しごくもつともであり、あたりまえであるというような形を述べておるのであります。ぐあいの悪いときには、みな関係
方面の指示があるからというようなことを述べまして、ぐあいのいいときには吉田
内閣の手柄にしよう、かようなる態度が常にとられておることを遺憾千万に思うものであります。(
拍手)われわれは、これは卑怯千万のやり口であると言わざるを得ないのであります。
もはや、法規上三月までの存続期間と両公団はきま
つておるのでありますから、一応四十三億円を一般会計から基金に繰入るることなくして、預金部資金等を使いまして運転をいたして行くのが当然であるということは、あらゆる企業の経営、あるいはその他の流動資本を使う場合におけるところの企業の根本体系であります。失業者が町にあふるる今日、わずかに十七億円の金を支出して失業対策に充て、あるいは減税と称しまして、自然増収の陰に隠れて苛酷なる徴税をいたしておる。そうして、その金を何ゆえにかような公団に繰入れるか。公共事業費あるいは失業救済費等に充当して実質的なる減税に充てるということが、
国民の要求するところであり、また民自党も同じく要求しておるところであろうと考えるのであります。
われわれは、なぜかようなことを申すかと言いますと、預金部からの借入金でありますれば、比較的その金について預金部特別会計の監視等もありますから、大事に金を使うのであります。しかるに、一たび基金に繰入れられまするや、
日本の
国民は、公団の金あるいは公金等に対しましては、非常にルーズな考えを持ちますから、今回入りました基金四十三億円等も、公団の経営上、その存続期間が短かいというようなことに籍口されまして、あるいは薪炭特別会計の二の舞を踏み、
国民に多くの
犠牲と負担をかけるのではないかということをおそれておるものであります。
かような
立場からしまして、われわれは、一、
国会の審議権を無視したところの提案であり、
国会全体がこの点について反対をしなければならない。第二点としまして、公団制度については根本的改訂を加うべき段階である。この段階において、いたずらに基金をふやすということは、正しい措置ではない。
最後といたしまして、ドツジ・ラインの線に隠れまして、公団経理等について正しい
予算の方針を組まないということは、
国民に対して、はなはだ相済まない措置であるという、この根本的三理由に基いて、本法案につきまして反対の討論をいたすものであります。