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1949-11-24 第6回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十四日(木曜日)  議事日程 第十四号     午後一時開議  第一 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 国有財産法第四十五條規定による国有財産類別表  第三 産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案内閣提出参議院送付)  第四 帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案内閣提出参議院送付)  第五 帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第六 帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第七 日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第八 自由討議     —————————————  一、自由討議の問題はこれを定めない。     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 日本国有鉄道法の一部事を改正する法律案内閣提出)  日程第二 国有財産法第四十五條規定による国有財産類別表  日程第三 産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案内閣提出参議院送付)  日程第四 帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案内閣提出参議院送付)  日程第五 帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第六 帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第七 日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出参議院書付)  日程第八 自由討議  内閣からの申出にかかる昭和二十四年度事一般会計予算補正第一号及び昭和二十四年度特別会計予算補正特第一号の両件中修正の件     午後一時二十四分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡村利右衞門君。     〔岡村利右衞門登壇
  4. 岡村利右衞門

    岡村利右衞門君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、十月二十九日当委員会に付託され、越えて十一月十二日政府より提案理由説明を聽取して以来、委員会を開くこと七回、これを慎重審議いたしたのであります。  本法案趣旨簡單に申し上げますと、日本国有鉄道会計及び財務に関しましては、現在は暫定的に国の会計を規律する諸法令適用を受けているのでありますが、今回会計の章を全面的に改正する等、日本国有鉄道能率的運営をはかり、これによつて公共福祉を増進し、日本国有鉄道設立目的に沿わんとするものであります。  その改正のおもなる点をあげますと、第一には、日本国有鉄道能率的運営に役立つよう財政法会計法等、国の会計を規律する法令の適用を排除したことであります。  第二には、予算流用、繰越し、予備費使用等予算実施面における現行法の諸制約をできるだけ緩和し、特定経費流用域外は單に通知のみでよいこととしたことであります。  第三には、現行法では、利益金処分は別に予算で定めた場合以外は国庫に納めることになつているのでありますが、これをまず繰越損失補填に充て、なお残額あるときは国庫に納付することとしたのであります。  第四には、現行法では規金はすべて国庫に預け入れることとなつているのでありますが、これを特殊の事情のある場合には郵便局または市中銀行に預け入れる道を開いたのであります。  第五には、現行法では資金調達は全部政府よりの借入金によることになつているのでありますが、これを政府からの借入金のほか、さらに鉄道債権の発行を認め、民間資金調達の道を開いたのであります。  第六には、会計に関しては、この法律及びこれに基く政令に定めるもののほか、日本国有鉄道会計規程を定めなければならないこと、及びその基本事項については運輸大臣の認可を要することとなつておるのであります。  第七には、役員及び職員給與については給與準則を定めなければならぬこと、及び給與準則予算の中に定めた給與額制約を受けることとしたのであります。なお営業線及びこれに準ずる重要な財産処分については、法律をもつて国会の議決を経なければならぬこととしたこと等であります。  次に質疑応答のおもなる点を申し上げますと、経営利益金を生じた場合には、繰越損失補填に充てた残額は一般会計に繰入れ、損失を生じた場合に政府交付金を交付することは、国鉄会計自主性を失い、独立採算制確立の精神に反するものであると思うがどうかという質問に対しては、政府から、日本国有鉄道は、私企業と異なり全額政府出資であるから、現段階においてはこの程度でやむを得ないと思う、将来諸般の情勢の進展に伴つて考慮すべきものと思うとの答弁がありました。そのほか、予算実施、現金の取扱い、関連事業への投資については、公共企業体の特性にかんがみ、さらに自主性を発揮できるよう改正すべきであると思うがどうか等について熱心に質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かく質疑を打切り、一昨二十二日討論に入り、日本社会党米窪滿亮君より、その党を代表して原案反対意見を述べられ、民主自由党關谷勝利君から、その党を代表して原案賛成意見を述べられました。次いで日本共産党柄澤登志子君、労働者農民事党石野久男君から、それぞれその党を代表して原案反対意見を述べられました。かく討論を終局して採決の結果、多数をもつて法案原案通り可決した次第であります。  以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。これを許します。松井政吉君     〔松井政吉登壇
  6. 松井政吉

    松井政吉君 私は、ただいま議題になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表して反対意見を述べるものであります。以下述べまする意見中心にいたしまして、わが党は修正案を作成いたしましていろいろ折衝を続けておつたのであります。その諾否決定するまで常任委員会における討論採決等の延期を願い出たのでありまするが、これが取上げにならないで採決をされましたことについて、はなはだ遺憾に考えている次第であります。(拍手)  第一番の反対理由は、三十六條から五十一條までにおける改正内容が、今回の改正内容につきまして特に目立つている点として、大蔵大臣権限が、大幅に日本国有鉄道という企業体経営の中に打出されていることであります。御承知通り日本国有鉄道は、国民全体を利用対象とする、公共性を保持しなければならない企業体であり、さらに独立採算制の上に立つて経営しなければならないという企業性を発揮しなければならない事業であります。従いまして、この公共的独占事業としての国有鉄道企業性に対する責任は、国有鉄道総裁が負わなければならない。さらにまた、公共性に関する責任は、当該主管大臣たる運輸大臣が負わなければならないのであります。さらに予算に関する問題、資金計画に関する問題、契約等に関する事項におきまして、閣議決定を必要とする事項に対しましては、行政府の長としての内閣が直接責任を負わなければならないという建前からつくられるのが、正しい法律内容でなければならないのであります。しかるに、今回の改正要点につきましては、公共企業体として独立採算制責任国有鉄道に押しつけておきながら、運輸大臣内閣の間において、大蔵大臣があらゆる権限を掌握しているということであります。かような大蔵省独裁的な傾向によつて日本国有鉄道運営しようとする事柄中心とした改正法案にわれわれは反対をするものであります。(拍手)  反対理由の第二点は、現行法第十二條におきまして、監理委員会構成規定されているのであります。現在設置されておりまする監理委員会は、大分仕事をやつていないということを伺つているのでありまするが、この法律規定しておりまする監理委員会仕事というものは、非常に国鉄運営上重要なる事柄を担当しなければならないことに相なつておるのであります。第十條によれば、「監理委員会は、第一條に掲げる目的を達成するため、日本国有鉄道業務運営を指導統制する権限責任を有する。」と規定しておるのであります。第一條目的とは、すなわち「鉄道事業その他一切の事業経営し、能率的な運営により」云々と規定しているのであります。これらから見ましても、監理委員会がいかに国鉄経営運営、指導、統制の面に大きな役割を果すかということがうなずけるのであります。この監理委員会構成が、運輸業、工業、商業、金融業をもつて構成することになつておりまするが、かように国有鉄道能率を上げなければならない、企業性を発揮しなければならない、あるいは国民大衆全体を利用対象とする公共性を発揮しなければならないという、あらゆる観点から考えてみましても、監理委員会構成の中に労働関係を除いたということについては納得できないのであります。すなわち、国鉄成績を上げ、能率を上げるためにわれわれが期待し、さらに願わなければならないものは、一人の国有鉄道総裁ではございません。運輸大臣でもございません。五十万か越える鉄道の第一線に働いている従業員諸君労働をもつてする協力なくして、日本国有鉄道経営能率を上げることは断じてできないのであります。(拍手)かような点から考えましても、監理委員会の中に労働に対する知識経験を有する者を入れないということについては、われわれは絶対に賛成しがたいのであります。  第三の理由といたしましては、職員に対して議員兼職を禁止しておるということであります。すなわち現行法第二十六條の二項において、日本国有鉄道職員は、国会議員国務大臣政府職員地方公共団体議員兼職ができないということをうたつているのであります。われわれは、国務大臣政府職員及び国会議員兼職が事実上できないということは承知するにやぶさかでないのであります。しかしながら、地方公共団体における議員兼職をも禁止するということについては納得しかねるのであります。なぜかならば、現行法第三十四條においては、公務員法適用を受けないと明確に規定しており、さらに公共企業体労働関係法適用を受けるということは明白なる事実であります。さらにこの事柄は、もし末端における議員兼職まで禁止するということになりますならば、憲法において保障されました政治的自由を剥奪するものであり、公務員法適用されないとうたつておきながら、公務員法以上の政治活動の禁止をするということにつきましては、明らかに国鉄職員に対する政治的弾圧條項であるといわなければならないのであります。  さらに第四の理由といたしまして、改正案第四十四條にうたつておりまする給與準則の問題でありまするが、第四十四條の規定によりまするならば、「当該年度予算の中で給與の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」と規定しているのであります。もしこの規定が全部適用されるといたしますならば、物価の変動がありましても、あるいは国鉄成績上つて利益の出る時代が参りましても、国鉄職員諸君給與というものは、次期国会が開かれて、再び予算できめられない限り、上げることも移動することもできないということに相なりますので、はなはだ矛盾撞着するものといわなければならないのであります。しかも、第二十八條の二項において「職員給與は、生計費並びに国家公務員及び民間事業従事員における給與その他の條件を考慮して定めなければならない。」と規定しておりながら、国家公務員ペース改正され、あるいは民間事業従業員諸君給與が移動され、あるいは価物の高騰によつて生計費に影響がありましても、第四十四條の後段規定によつて動かすことができないということは、立法的矛盾を遺憾なく暴露しているものといわなければならないのであります。私たちは、先ほどから申し上げている通り国民全体の利用対象としておりまする国有鉄道及びその企業性を発揮しなければならない国有鉄道のいわゆる従業員諸君の賃金あるいはペース等は、物価の移動の都度、企業性あるいは公共性の見地から能率増強に対して協力を願わなければならないとするならば、予算で押えなくて、そのとき、その都度において、団体交渉あるいは規定されているいろいろなる方法によつて処理すべきが妥当だと考えております。しかも第三十四條において公務員たる性質を規定し、第三十三條において勤務時間の延長等に対するきびしい規定を設けまして、働くべき義務だけは押しつけるけれども給與に対する権利を剥奪するがごときこの法律に対して、われわれは賛成できないのであります。  さらに私は、以上申し上げた諸点を中心にいたしまして修正案を作成し、委員会においても正式に修正案提出の了解を得て、関係方面との折衝も続けて来たのでありまするが、その諾否を待たずして、委員会採決をしてしまつたのであります。この事柄は、最近現われておりまする各常任委員会あるいはその他の審議の過程におきまして、明らかに民主自由党が、與党つて野党なきがごとき形においてあらゆる審議を続けているということに対して、たいへん不満を持つておるものであります。(拍手與党があつて野党があり、憲法治下において民主的議会運営をし、民主的な法案審議をなされている今日におきまして、もしこの事柄が続けられるといたしまするならば、いわゆる憲法にうたわれておりまする議会政治を冒涜するものであり、さらに民主的法案審議を冒涜するものであるといわなければならないのであります。  かような観点に立ちまして、私は、本日本国有鉄道法一部改正法案に対しまして、日本社会党として強く反対の意思を表明する次第であります。(拍手
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 柄澤登志子君。     〔栖澤登志子登壇
  8. 柄澤登志子

    柄澤登志子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本日上程されました日本国有鉄道法一部改正法案反対するものでございます。  さきの第三国会において日本国有鉄道法が可決され、明治以来七十有余年鉄道経営方針一大転換を示したのであります。しかし、政府のこの方針は今日みごとに失敗いたしまして九十一億の赤字がその政策破綻を示しておるのであります。  この改正法案は、その趣旨といたしまして、日本国有鉄道法会計規定を来年四月一日改正することになつておりますが、それを急遽、予算その他の関係で本国会に上程されたということが、うたわれております。われわれは、この法案を上程し、審議し、採決いたします前に、まず政府国有鉄道のあの財産の引継ぎその他を十分に国民に示さなければならないということを主張するものであります。  現在国有鉄道が、今度の補正予算におきまして、三十億の長期貸付を上程いたしております。この上程に対しましても、さらに運賃を六割値上げするという閣議決定にいたしましても、さらに五月三十一日現在のあの国有鉄道へ引継ぎました国鉄財産の引継ぎにいたしましても、私ども運輸委員に対しましてすら、当局は十分なる説明をすることができないのであります。ただいま考査委員会におきましても、国有鉄道の不正の問題は、実に大きく取上げられておりまして、国民環視の的であることは、皆さま御承知のはずであります。われわれは、その法案がなぜこのように本国会において急遽上程されるかというこの政府意図に対しまして、十分監視をしなければならないと思うのであります。(拍手)  本改正案は、国有鉄道企業性を高めて行くために、というその趣旨によりまして、種々なる改正を行つておるのであります。私どもは、その企業性中心にしてやつて行くというこの大方針に切りかえて行くという観点から見ましても、この法案は非常なる矛盾を持つていて、その意図を十分に達しないというふうに考えられるのであります。なぜかならば、先ほど社会党松井委員が指摘されましたように、企業性行政との分離ということが、この法案では十分になされておらないのであります。私どもが考えますに、これは政府が、独立採算制破綻によりまして、とうてい国家財政の援助を得ることなしには国有鉄道経営をやつて行くことができないという観点から、一応大蔵大臣権限を強化し、さらに会計検査院検査を受けることにし、いろいろそういうような形の上の国有鉄道公共性理由にしたところの、依然とした官僚の支配ということが、この法案にうたわれておるのであります。(拍手)これは、補正予算の三十億の追加を今予算委員会で検討しております際に、特にこの法案の中にこの條文を盛らなければならないという政府意図であろうと、われわれは指摘せざるを得ないのであります。  しかしながら、この法案によりまして、国有鉄道事業特別会計法も、あるいは国有財産法も、会計法も、一切今後日本国有鉄道から切り離しまして、骨組みだけはこの法案でできたのでありますが、こまかい問題は政令その他によつて出されるのであります。それならば、国会権限委員会権限というものは形の上では大蔵大臣会計検査院というような名前は連ねられておりますけれども、いわゆる国民国有鉄道に対する権限というものはまつたく失われてしまう、フアシヨ的な、独裁的な法案だということを指摘することができるのであります。(拍手)  なお、ただいまの九十億からの国有鉄道赤字解決——市中銀行に金を預けるとか、あるいは鉄道債権を発行して一般の広い融資の道を開くということを主張しておるのでありますけれども、今の九十一億の赤字は、政府当局答弁によりましても、これは決して国有鉄道経営いかんにあらずして、政府のいわゆる吉田内閣経済原則の結果であるということを言つておるのであります。すなわち、経済原則によりまして、集中生産によつて中小企業がつぶれ、人民大衆が窮乏に陷つておることによつて鉄道の乗客が減つておるということが、国有鉄道赤字の最大の原因なのであります。(拍手)  それに対して政府は、いかにして融資の道を得るかと言えば、吉田首相によれば、外資鉄道を売り渡してもよいということすら申され、現に鉄道融資は、この見返り資金にその大部分を仰いでおるのであります。われわれといたしましては、重要な国有鉄道のこの将来の融資の見通しに対しましても、この法案によりまして、国有鉄道が形だけは企業性を主張して、実質的には外資支配下に入り、さらに独立採算制のできない現在の政府政策の失策を、国民からの税金によつて国家から財政によつて補助を得てこれを埋めて行こうという、こういう政府意図を、この法案の中に十分感知することができるのであります。(拍手)  しかもこの法案後段には、第四十八條に明らかに、今まで会計検査院検査の十分に済んでおりませんところの国有財産検査後のいろいろな不始末は、全部これは従業員が負担しなければならないという規定があるのであります。さらに独立採算制の成立を見越して、国家予算追加しなければならない場合という條項をうたつておりながら、第四十四條の給與準則には、この労働者給與の場合だけは避くべからざる場合とは考えないと政府は言うのであります。つまり、追加予算に組めないというのであります。すなわち、今仲裁にかかつておりますあの国有鉄道の全従業員給與ということに対する要求は、まつたくこの法案では予算のわくの中に縛りつけられて、国会から国会までの間は一切これを顧みることができないということになつておるのであります。さらに公共企業体労働関係法の中にうたわれておりますところの、仲裁の法定に服さなければならないという條項すら、これを否決しようとしているのであります。明らかに立法上の矛盾であるということ、法律の蹂躙ということを指摘しなければならないと思うのであります。  でありますから、この上程されました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が、現在日本経済原則実施のもとに、国有鉄道赤字をまつたく克服することのできない條件のたくさんあります中で、かかるごとき法案を上程して急いで通過しようとします政府意図に対しまして、まつこうからこれを反対し、国民大衆がこれによつて犠牲を受け、ただひとり独占資本のみがこれによつて利潤を得ることに対しましては、まつたく反対の意を表明するものであります。  国有鉄道赤字原因は、運賃の値上げや、あるいは労働者の数の多いところにあるのではありません。その証拠に、六月公共企業体の制度を実施しまして以来、国有鉄道は九万数千人の労働者を首切り、六割の旅客運賃を値上げいたしましたのに、現在現実に赤字を示しているではありませんか。この赤字原因は、独占価格であります石炭、鉄の独占資本擁護政策を切りかえて物件費を引下げない限り、絶対に国有鉄道企業性すらも保つことができないということを主張いたしまして、わが党はこれに反対するものであります。(拍手
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  ただちに採決に入ります。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 国有財産法第四十五條規定による国有財産類別表議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員会理事川端佳夫君。     〔川端佳夫登壇
  12. 川端佳夫

    川端佳夫君 ただいま上程されました国有財産総額別表につきまして、決算委員事会における審査の結果を御報告申し上げます。  本件は、国有財産法第四十五條規定により、国会の承認を求めるために提出せられたものでありまして本院は、すでに第五回国会において議了いたしたものでありますが、参議院審議未了に終りましたため、今回計数補正の上、再度提出せられたものであります。  今その内容の大体を申し上げますと、昭和二十三年七月一日現在、国有財産の総価額は七百八十六億一千四百余分円であり、これが一般会計特別会計所属ごとに、行政財産普通財産とに分類されているのであります。すなわち、一般会計所属行政財産内訳は、公用財産四十二億三千一百余万円、公共福祉用財産千八百余万円、皇室用財産二億一千七百余万円であり、同じく普通財産は二百六十五億二千三百余万円となつております。また特別会計所属行政財産内訳は、公用財産二十億七千三百余万円、公共福祉用財産二十五万余円、企業用財産三百九十五億七千五百余万円であり、同じく普通財産は五十九億七千四百余万円となつております。かくて、両会計を合せた行政財産合計は四百六十一億一千六百余万円、普通財産合計は三百二十四億九千七百余万円となるのであります。なお詳しい種別、数量、価格等は総類別表について御承知願いたいと存じます。  本件は、十一月十六日、本委員会に付託せられ、同じく二十二日、政府当局より説明を聴取いたしまして、慎重審議の上、多数をもつて承認すべきものと議決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 別に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本件に関する委員長報告は承認すべきものと決したものであります。本件委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本件委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第三、産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案日程第四、帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案日程第五、帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案日程第六、帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日程第七、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、右五案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員会理事神田博君。     〔神田博君登壇
  16. 神田博

    ○神田博君 ただいま議題となりました産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案外四件について、本委員会における審議の経過並びにその結果の概要を御報告申し上げます。これら五法案は、去る十月二十六日、予備審査のため本委員会に付託せられました。まず提案理由について簡單に御説明いたします。  初めに産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案でありますが、これら両営団は、いずれもすでに解散し、現在は清算中のものであります。しかるに、両営団法はいまだ廃止せられず、形式的にはなお存続しておりまするから、この際これら両営団法について、その失効時期をあらかじめ明確にするとともに、特殊清算以外のいかなる業務をも行い得ないこと、また新たに産業設備営団あるいは交易営団を設立してはならないこと、以上三点に関する規定を設けて廃止に至るまでの法律関係を明確にせんとするものであります。  次に帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案でありますが、当会社は、企業再建整備法に基いて去る七日解散いたしましたため、同会社に対する特別な監督及び助成について規定した法律を廃止して、法の体系を整えんとするものであります。  次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案及び日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案でありますが、これら三者は、いずれも政府財政收入増加をはかるため、これら各会社に対する政府の出資義務を解除いたしまして、政府が所有する株式の処分を可能ならしめんとするものであります。  本委員会は、十一月十日、十一日及び十二日の三日間にわたつて予備審査質疑を行いましたが、去る二十一日、参議院送付案としての正式付託を受けましたため、昨二十三日討論採決を行いました。詳細は委員会会議録に譲ることといたしまして、次に討論の概要を申し上げたいと思います。  民主自由党代表小金義照、民主党野党派代表有田喜一両君は、いずれも強き要望を付して全部の法案賛成の意を表したのであります。小金君の要望事項中主要なるものを列挙いたしますると、株式処分の際、国庫損失をかもすことなく、また証券市場を圧迫し、これを混乱に陥れるがごときことのないよう善処すること、これらの基礎産業は、終戰後の今日といえども、毫もその重要性が減退したものではないから、この際これらに対する根本方策を確立するとともに、これが開発増産上万遺漏なきを期するため、業者に対してさらに一段の奮起を促すはもちろん、政府においてもまた、資金、資材、労力等はもとより、科学技術の活用に関する諸般の施策そのよろしきを得ること、これがため、今後においても引続き日鉄その他の私企業に対して適切なる監督を行うこと、また急激なる補給金撤廃のため産業の衰微あるいは製品価格の暴騰等の惡影響をもたらすことのないよう、企業の合理化と相まつて緩急よろしきを得ること、等であります。  有田君もまた株式の処分、地下資源の開発、補給金の撤廃等に関して政府の善処を要望した点においては、おおむね小金君と同様でありますが、同君はなお、石油工業については原油の輸入に重点を置くとともに、製油工業整備のため、さらに一段の努力を要すること、石油の配給、特に機帆船に対する配給の適正公平を期すること、鉄鉱、粘結炭等の輸入は可及的東亜の隣邦にこれを仰ぐこと、原油、鉄鉱等の輸入に関し極力国内船を活用すること、弱少企業の壊滅による生産の減退、労働不安、社会不安等を惹起することのないよう措置すること等について政府の善処を要望いたしました。  日本社会党代表加藤鐐造、日本共産党代表川上貫一両君は、両営団並びに帝国燃料興業株式会社は、いずれもすでに解散しておるのであるから、これら関係法規の廃止もまたやむを得ない次第であるが、その清算については、不当なる損害を国庫に與えることのないよう適正敏速なる処理を要望されたのでありまして、これら両法案に対しては消極的賛意を表明いたしましたが、帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案外二件に対しては、全面的に反対の意を表されました。反対論の要旨を申し上げますると、この種産業の重要性にかんがみ、従来の助成策を放棄することなく、かえつてさらに強力な保護政策を採用すべきであり、この見地から、むしろ国営に移すべきであること、金融逼迫、株価低落の折柄、政府出資株の大量放出はさらにこれに拍車を加えることとなり、所期のごとく財政收入の増加をはかり得るや疑いなきを得ないこと、国内産業の骨格とも目すべきこれら重要産業の自主独立性を喪失し、外国資本への依存性を強化するに至ること、多年にわたり国民の税金によつて育成されました大規模産業を独占資本家に移譲することの不当なること、基礎産業を国営化せんとする世界的趨勢に逆行すること、中共、ソ連等との貿易を度外視して重要産業の改革を断行するの不可なること、等でございました。  討論を終つて採決を行いました結果、両営団法及び帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案については満場一致賛成、残る帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案外二件については多数をもつて可決すべきものと議決いたしたのであります。  以上報告いたします。(拍手
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。その発言を許します。今澄勇君。     〔今澄勇君登壇
  18. 今澄勇

    ○今澄勇君 ただいま議題となりました産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案並びに帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案については、社会党を代表いたしまして賛成の意を表する次第であります。さりながら、産業設備営団法その他のものについては、それらの帳簿、会計整理を明らかにして、国民の疑惑を招かざらんことを一言注意する次第であります。  次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案の三件については、一括して反対討論を試みる次第でございます。  私の反対理由の第一点としては、従来国策会社として非常に保護助成をされて来ましたこれらの会社が、何らその重要性を減退しないにもかかわらず、政府は鉱業政策全般の対策を立てずして、ただいたずらに自由放任する、ということは、国際場裡において、これらのわが国内産業が非常に不利な立場に立ち、遂には、ただ單なる外資の導入のみによつて救おうとする、ならば、その外資導入は、わが国のそれら産業の上に重大な影響をもたらすものであるということ。  第二点は、株式市場は御承知のように現下非常に圧迫されておりまして、この不況なる株式市場の中に、財政的な理由だけで多数の株を放出するということは、政府が所期するところの財政的な一つの收穫をあげ得ないであろうということ。  第三点は、これらの單独の法律を通ずる全般的な問題として、現在の政府は、鉄鋼政策においても、あるいは石油燃料政策においても、一般鉱業政策においても、何らの定見と見通しと対策とを持つていないということでございます。それらの問題を——時間がございませんから簡單に述べておきますがわれわれが委員会において政府に質したところ、政府は産業五箇年計画を放棄した——それらの産業五箇年計画を放棄して、これにかわるところの計画は何らないのであります。われわれは、例を鉄鋼業にとつて銑鉄について申しますと、銑鉄一トンに対して石炭が二トンいる。その二トンの石炭は、粘結炭を外国から輸入する値段が二十三ドル、わが国における石炭は大体五千五百円とすると十五ドル。しかし、アメリカのいわゆる銑鉄工場の工場渡しの石炭の値段はわずかに七ドルでございますこのような二十三ドル、十五ドル、七ドルというような開きのある石炭を二トンも使わなければならないところのわが国の銑鉄が、補給金を撤廃して、諸外国の競争場裡において対抗できるかどうか。これに対して、ただ石炭の自由販売ということだけでこれを処理しようというのが政府政策であります。  第四点は、その鉄を生産する鉄鉱石の問題であるが、これも輸入鉄鉱石と、国内における鉄鉱石の開発をするための試掘その他の政策、あるいは保護助成の政策その他については、何一つなされておらない。その鉄鉱石をどこからどうして輸入し、また国内の鉄鉱石とどういうふうな割合にしてやつて行くかということについても、何らの策がございません。さらに鉄鋼は、来年二百二十万トンと伝えられておりまするが、それらの鋼材をつくるには、くず鉄が必要なことは御承知通りであります。そのくず鉄は、平炉においては、銑鉄対くず鉄の比は三対七、あるいは鉄鋼一貫作業においては六対四と言われているが、委員会における政府説明によると、その割合をずつと減しても、くず鉄はあと一年半は持たないであろうということでありました。一年半を経過すると、それから先は、日本の鉄鋼作業に使うくず鉄がない。輸入をしたらどうかということになりますが、輸入をするためには、これらのくず鉄は一万円もしている。わが国では今三千円ぐらいの状態で、これまた見通し立たず。このように、鉄鋼業政策については何らの見通しを持たないで、ただ補給金を打切つて、わが国の鉄鋼産業が企業の自主自立性によつて十分やつて行けるという政府の考え方こそは、まことに無謀無知といわざるを得ない次第でございます。(拍手)  石油事業についても、これと同じことが十分言えると存じます。すなわち日英貿易会談の結果、中東から石油が六十三万トンも入ると言われている。第一回の三十二万トンは、近くわが国に着くと称されておりまするが、為替の関係上、これらの原油の値段は大体六千五百円ぐらいであろうと言われます。しかも、それらのものは、精製されて市場へ出て来れば七千円から七千五百円ぐらいになる。しからば、現下わが国需要量の一割を生産している帝国石油は——現在のマル公九千幾らからすると、そのような中東の石油を、マル公を下げて安く売り出すならば、それらのわが国の一割を生産している国内石油会社は、崩壊のほか道はない。これらの石油の価格政策はどのようにするつもりであるかということを質問したのに対して、政府は、それはまだどのようにするか、答弁するような資料がございませんと言う、まことにその日暮らしの政策でございます。  このような状態において、わが国の石油資源の開発は、石油資源開発法等の法律によつて、本年度において一億九千万円、来年度において一億三千万円を支出して十分であると政府は言つているが、わが国内における石油資源の開発試掘の問題、これに対する資金の問題、設備の更新の問題、技術の問題等は、技術白書にも十分うたわれておるように、鉄鋼、石油等に対するわが国の技術が、そのようなあらゆる要素において諸外国に十分誇り得るものでないことは、論をまたないのであります。全面的な鉱業政策——硫化鉱、金、銀、すず、亜鉛、鉛、これらのものに対しても、一貫した試掘の問題、資金の問題、価格政策、その他産業五箇年計画にかわる政府の鉱業政策として、国民の前に発表し得る何物をも政府が持たないことは、まことに遺憾千万である、このような状態のもとにおいて、この三法律案においてうたわれているように、政府がその財政的な見地からのみこれらの法律案の一部を改正することには絶対に反対であることを表明いたしまして、討論を終る次第でございます。(拍手
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 川上貫一君。     〔川上貫一君登壇
  20. 川上貫一

    ○川上貫一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする五つの法案のうちで、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案及び帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案反対の意を表明するものであります。  まず日鉄法の改正でありますが、これは一見いたしましたところでは、ただ一箇條の改正のようでありますが、その内容は、日本鉄鋼業政策を根本的に改めるという法案であつて、きわめて重大である。すなわち政府は、今まで国家の保護と助成によつて今日に至つておりまするところの日本鉄鋼業を、この際突如として民営に移し、そうして政府の出資を引上げ、その上に日本製鉄会社法それ自体をも廃止してしまうという考えなのであります。これは、表面上の理由財政上の理由と言うておりますけれども、その実質は、日本の鉄鋼業に対する国家の保護と助成の放棄なんだ。その結果は、当面の日本の産業が置かれておる状態から考えまするならば、日本鉄鋼業の自主的発展とその独立的存在を失わせる方向である。これは明らかだ。かような政策をとりますと、日本の産業の骨格であり、脊髄であるところの鉄鋼業は、結局どうなるか。これは單なる外国の加工方式に転落する危険がある。これこそ、やがて日本が独立性を失う第一声であるということを、はつきりわれわれは言わなくてはならぬと思う。(拍手)  第二には、かような改正は、日鉄の分割、民営、それから外資導入、すなわち吉田内閣外資の受入れ態勢をつくる法案であると思う。伝えるところによると、民間こう言つておる。日本製鉄の広畑工場は、吉田内閣総理大臣の側近の者がこれを外国に売る工作をしておると言うておる。(「うそをつけ」と呼ぶ者あり)これは真偽を私は言うのではないが、こういう風説が出ることそれ自体が、吉田内閣はこんなことをやる内閣だということをみんなが知つておる証左なんだ。(拍手)はたせるかな、きのうの新聞に何と書いてあるか。デイロン・リード社による民間投資の対象として、只見川及び熊野川の電源開発とともに、日鉄広畑の経営対象になつておると、はつきり新聞に書いてある。  現に石油産業を見たらよろしい。どんなことになつておるか。日本石油は、その権利の大部分を、すでにカルテツクスに渡してしまつておる。東洋燃料は、株式の五一%を外国の資本に渡してしまつておる。太平洋岸の製油工場は、外資関係の会社によつて、ことごとく再開されようとしておる。その上に、日本における石油の販売は、その九〇%までが外国の三つの会社、外資関係の会社によつて完全に押えられておるじやないか。(拍手)これが日本の石油産業の状態なんです。  しかるに政府は、今度は日本の鉄鋼業をまたまた外資にゆだねる政策をとろうとしておる。それは、日本の鉄鋼業をば石油産業同様の運命に陷れて、遂に日本の産業の性格を、外国のための産業、外国のための鉄鋼業に転落させる危険きわまる政策であるといわなくてはならぬ。(拍手民主自由党は、委員会における討論において、本案は民主自由日本を建設する法案であると討論されました。とんでもないことである。われわれは反対に、かような政策法案は、自由を放棄した植民地日本をつくる法案であるということをいわなくてはならぬ。(拍手)  第三の理由は、本案国家財政上の必要ということになつておりますが、国民の税金で長い間育成して来た産業、日本製鉄や帝石を内外独占資本にくれてやろうとするのが、この法案なんだ。もちろん政府は、くれてやるんじやない、株は売るのだ、と言うでしよう。ところが実質的には、この株は必ず二足三文にやられてしまう。証拠がある。現に井華鉱業株の処分にあたつて何をしたか。大蔵省は、その所有株六十万、持株整理委員会の株八十万を、一株八十円で売つているではないか。しかも、この当時における株の値段は、たしか二百五十円はしておつたはずなんだ。これが、いつもの独占資本政府のやるやり口なんだ。独占資本の一番すきな吉田内閣が、これをやらないとだれが保証するか。(拍手)第四には、本改正は基本産業の国営化という世界の民主的趨勢に逆行することは、今澄君が述べられた通りであります。  第五に、このきわめて重大な改革、すなわち鉄鋼業政策の根本的改革をするのにあたつて、中国、朝鮮、ソ同盟等との貿易ということを全然考慮に入れておらない。これは私の独断ではありません。委員会において政府当局が明らかにそうだと言うている。なかんずく中国との貿易は、今では、産業資本家を加えて全日本人民の輿論である。およそ経済と政治を口にするくらいの人間なら、万人が万人、この実現を望んでいる。それなくしては日本の再建も復興もあり得ないということは、もうすでに国民の輿論である。稻垣通産大臣も、昨日の委員会においては、中日貿易は必要だと言つてござる。ところが、それにもかかわらず、この大改革にあたつては、中国との貿易は考慮に入れておりませんと、はつきり政府は言うている。こんな政府がどこにあるか。世界の一方にばかり目玉を向けて世界を見ることを知らない。これは無見識というよりも、政府はまさに政治に対する痴呆症である。民主自由党も、かような政府とともに壇の浦まで行くことばかり考えないで、こんな政府のふんどしばかりかついで、公約を破るばかりが名誉ではありますまい。少しくらい外国を見たらよろしい。世界の趨勢を見たらよろしい。私はこう言いたい。われわれは、かような政策ではなく、こういう基本的産業はこれを国営化する、人民管理にする方向に発展させて、世界各国との親善互恵の自主貿易と相まつて、生産の飛躍的増大と国内市場の培養による人民生活の安定を保障する政策を立てなければならない。日本共産党は、かような理由によつて法案反対するものであります。(拍手
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。ただいま議題となつている五件の法律案中、まず日程第三及び第四を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に日程第五、第六及び第七の三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。百     〔賛成者起立
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第八、自由討議に入ります。  石田博英君、発言者を指名願います。
  25. 石田博英

    ○石田博英君 民主自由党は中川俊思君を指名いたします。
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 中川俊思君、発言を許します。     〔中川俊思君登壇
  27. 中川俊思

    ○中川俊思君 諸君、私は與えられたる自由討議のこの機会におきまして、私の所見の一端を申し述べて諸君の御賛同を得たいと存ずるのであります。すなわち私は、ここに国会議員をもつて強力なる行政監査委員会を設置し、行政整理並びに行政機構の改革を断行して、その民主化をはからんとする現内閣と表裏一体のもと、わが国官界の刷新と道義的吏道の確立に寄與し、もつて国会の使命完遂を全うせんことを、あえて提唱するものであります。  御承知のごとく、政変の有無にかかわらず、常住不断行政事務の担当者である官公吏の役得犯罪が、終戰後激増する傾向にあることは周知の事実でありますが、なかんずく利権と密接に結びつく経済関係官庁の腐敗堕落は、言語に絶するものがあるのであります。かかることでは、絶対に強く正しい政治が行われるはずがありません。いかに政界の腐敗を防止せんとしても、巨大な官僚組織に内在するバチルスを掃滅せざる限り、民主政治の明るい発展は、とうてい期待されないと存ずるのであります。  さきに片山内閣当時、官界刷新の大綱を決定し、官紀の粛正と民主的監察制度の確立とを企図され、われわれは多大の期待をもつてその推移を見守つたのであるが、残念ながら龍頭蛇尾に終つたことは、まことに遺憾にたえないのであります。また昨年三月、ドレーパー使節団が来朝いたしました際、わが国官僚機構の厖大と、行政事務の非能率と、官僚の腐敗とを特に指摘し、テリブルを盛んにとなえていたことは、今なおわれわれの記憶に新たなるところでありますが、折も折、当時使節団長たりしドレーパー氏が再び来朝される今日、くしくも同じ問題を国会の爼上にあげざるを得ざるに至りしことは、顧みてまことに慚愧の至りにたえざるところであります。  当時の大蔵大臣であつた北村さんは、特に同年三月二十六日、右使節団との会談席上、官吏の数に関する資料を要求され、説明されましたので、この間の事情は十分御承知と存じますが、要するに、右使節団が、当時の芦田内閣に対し、官僚機構の改革と、これに伴う弊害の除去とを要望したことは事実であります。しかるに、芦田内閣もまた片山内閣と同様、遂に何らの成果をあげ得なかつたことは、これを要するに、片山、芦田両内閣の熱意と気魂の欠如もさることながら、われわれは、いかにわが国の官僚組織が強靱であり、余人を近づけざる官廷政治であるかに驚かざるを得ないのであります。  彼らが役得を当然と考え、国費の濫費はなはだしきのみならず、法の運用さえ彼らに都合のいいように解釈するとともに、ややともすれば憲法を無視して、国会軽視の思想さえ見らるるに至つては、まさに病膏肓の感なきを得ないのであります。藩閥の時代にはそのすねをかじり、政党が盛んになれば、その中心に食い込み、軍閥の時代にはその爪牙となり、さらに終戰後新たなる権力が生ずれば、巧みにこれに食い入る巧智は、まことに度しがたいものがありまして、彼らの同化力というか、生活力の旺盛なることは、あたかもコレラ菌にもにた存在というべきであります。  われらが明治憲法を弊履のごとく捨てて新憲法を制定したのも、一切の封建的残滓を取除いて、ポツダム宣言の実行に伴う民主国家の再建を世界に誓つたからであります。しかるに、ひとり官外のみ依然として旧套を墨守し、非民主的なる独善ぶりをたくましゆうするにおいては、国家の前途すこぶる深憂にたえざるものがあります。あたかもドイツが、ビスマルク憲法を弊履のごとく捨て、ワイマール憲法を制定して民主国家の再建を企図せしにもかかわらず、やがてヒツトラーが現われまして独裁政治を敢行するに及び、遂にドイツ国家の破滅を招来せしことを想起し、われわれは断じて前車の轍を踏むべからざることを痛感するものであります。  さらにまた、今や講和会議近きを思わしむるの秋、すみやかに挙国民主化整備の観点からも、ただひとり独善を敢行しつつある官界の悪弊を看過することはできないのであります。現吉田内閣が、去る第五国会において、定員法の制定とともに、行政整理や機構の改革を断行いたしましたのも、前述の片山、芦田両内閣と同様、官界刷新に伴う行政の民主化を念願したからであります。ただ、前二者はこれをなさんとしてなし得なかつたが、後者すなわち吉田内閣は、よくこれを断行し得たというだけの相違であります。  しかしながら、要はあくまでも、今後における運用のいかんにかかつていることは申すまでもありません。国権の最高機関にあるわれわれ国会議員が、政務につき司令部と折衝する場合、法制局やGSを通ぜねばならぬ制約を甘受しながら、国会の監督下にある官僚は、しやあしやあとして司令部通りにうき身をやつしつつあるところに、彼らの独善が胚胎するのであります。国会に出席しては、まことに処女のごとき彼らも、足ひとたび国会を外にせば、脱兎のごとく振舞いつつあるのが、今日のわが国官僚の実態であります。英語のポリス・コミツシヨナーという平易な言葉を警視総監と訳す彼らであります。  行政の民主化、行政の合憲法化を妨げる原因の一つは、彼らが公僕精神になりきつていないからであります。換言すれば、こうしたキヤラクターの旧式役人が、旧官僚制の牙城をどこまでも守り抜き、独裁王国を築こうとしているところに、わが国民主化が阻害されているのであります。しかしながら、ローマは一日にして成らず、のたとえもあり、わが国官僚の民主化も、けだし前途遼遠の感なきを得ません。しかりといえども国民の嚴粛なる信託にこたうる国会としては、断じて傍観は許されざるところであります。  すなわち、彼らに対し特権排除の立法を周到にするとともに、公務員再教育法を強化する等幾多の方途が考えられますが、同時に、議員も大臣、次官等になつたとたん、官僚の軍門に降つて、ミイラ取りがミイラとなるがごときだらしなさは、嚴に愼まねばならぬところであります。さらにまた、経済原則の要諦により、好むと好まざるとにかかわらず自立安定の大方筆を敢行せねばならぬわれわれが、厖大なる国家予算を、実質的には大蔵官僚に一任し、彼らの成案が著しく変更されることなく、閣議でこれを了承し、国会またこれをうのみにするがごとき冒険については、かなり検討の余地があると考えるのであります。世情ややともすれば、憲法改正して、予算編成は国会でなすべし等の議論が散見いたしますのも、またむべなるかなの感を抱かざるを得ないのであります。しかも、ひとたび国会で承認を與えた以上、法の運用にはあくまでも責任ある国会が、実質的には官僚の恣意のままにまかせ、二箇年後に彼ら自身の作成になる決算書を突きつけられて平然たるさまは、断じて国民の信託にこたうるゆえんにあらずと存ずるのであります。  あえて尾崎咢堂先生の言をかりるまでもなく、われわれは国民の器、財産を預つていると言うも過言ではありません。敗戰の結果、国民は幾多の苦難と耐乏とを強要され、あまつさえ質八おいて納めた血税であつてみれば、かりに一銭一厘といえども官僚に浪費を許すことは、われわれの断じて承服できざることを深く銘記せねばならぬとともに、ひとり官僚のみ国民大衆のらち外に晏如たり得ることは、絶対に許されないのであります。これすなわち、本員があえてここに行政監査委員会の常設を要望するゆえんであります。  官界刷新上早急に実施せねばならぬことは幾多ございますが、まず経費の節減と事務の簡素化であります。特に諸経費中厖大なる人件費、物件費等が、はたして有効適切に使用されているかいなかにつき、実は若干の疑いなきを得ないのであります。去る第二国会において、本院予算委員会の要求に基き大蔵省の提出いたしました昭和二十二年度末の政府職員予算定員調べによりますと、当時一般会計で四十二万名弱、特別会計で百十五万名余でありまして、合計百五十七万余名であつたのであります。しかして、これに要する人件費は、当時のベースにおいて、一般会計では二百五十六億二千九百万円、特別会計では四百三十八億五千二百万円、合計六百九十四億八千百万円の巨額に達したのであります。しかるに、この予算定員に対し、実際の充足率はどうであつたかを検討してみますと、一般会計において九一・二%で、八・八%すなわち三万六千余名のさばが読まれ、この人件費が九億余円となつてつたのであります。また特別会計においては、九七、八%の充足率でありました関係上、同じく二、二%すなわち三万五千余名のさばが読まれ、この人件費九億八千余万円と相なり、合計いたしますと、約七万二千名近い幽霊官吏と、十九億円に上る幽霊人件費とが、やみからやみに葬られていたのであります。これは従来から予算編成上の技術と称され、黙認されていた官僚のやみ取引で、この莫大なる幽霊人件費が、各省、各局、各課の機密費として分配され、その大半は出張費や宴会費等に化けていたのであります。  また他方物件費においても、同様のことが今日まで行われていたのであります。すなわち、各省に割当られた物件費によつて購入された物品、資材が、年度内に完全消費されるということは、きわめてまれであるにもかかわらず、完全消費されたるものとして、次年度にはまた新規に物件費が要求されるのが従来の慣例であります。かくして、これらの残存物品、資材もまた機密費に化けるとともに、ときどきは、巧みに官庁内に食い入る民間ブローカーとの連繋によつて不正拂下げが行われ、民間市場に姿を現わし、やみの温床、インフレの助長となつた場合もあつたのであります。  これらについては多くを語らずとも、諸君は毎日の新聞紙上、並びに現在院内の考査特別委員会に取上げられつつあるものをごらんになつても、十分おわかりと存じます。昭和二十四年度並びに二十五年度予算、ドツジ声明や経済原則の要請により、諸法規の制定も行われ、従来のごときずさんなる予算の立案は許さるべきではないと考えますが、要は官僚の心構えであり、ことに多年にわたる悪弊が一朝一夕に改善されるとは容易に考えられませんので、国会はさらに重大なる関心を有すべきだと考えるのであります。  また官庁機構の複雑と、それに伴う事務の煩瑣とが、いかに国民に迷惑を及ぼし、国家再建を阻害しているかは、天下周知の事実でありまして些少な許認可にも、いたずらに長日月を要し、やつと許認可になつたときは、社会情勢並びに経済情勢の著しき激変により、まつたく手も足も出せない窮状に陷つていた等のことは、枚挙にいとまないほどであります。しかも、許認可を促進しようとする業者との間の醜関係を日常茶飯事と心得ている官僚の多いことも、一驚を喫せざるを得ない実情であります。御承知のごとく、アメリカの役所においては、こうした場合、わが国の官庁のごとく、下級官吏から十も二十もの捺印をとつて上級官吏にまわすのではなく、局長、部長のセクシヨンにおいて、きわめて短日月の期限を切つて部下に指示を與える仕組になつているため、多くの許認可は、長くても一週間を出でない実情でありまして、事務の澁滞や業者との醜関係等を生ずるひまがないのであります。私は、いたずらに外国の模倣に專念する必要もないと存じますがこうした長所はどしどし取入れて官庁事務の促進に資すべきだと考えます。  以上、私は所懐の一端を率直に申し述べたのでありますが、いたずらに過去を責めようなどとは考えません。要はわが国官僚が、いかなる場合においても国家機構の運営に対する潤滑油たるところに新たなる吏道のあることを認識し、翻然正道に立ち返ることを希求するからであります。しかして、あえて私の主張いたすところの行政監査委員会のごときは、さらにその必要を感ぜざるまでに立ち至らんことを深く念願するものであります。しかしながら現段階においては、残念ながら、今春四月二十二日、吉田総理が、参議院内閣委員会の常上、一委員の質問に答えて、行政改革の理由は、第一財政の縮小、第二行政の簡素化、第三官公吏の道義心の確立にありと答弁したことによつても明かなごとく、その必要を認めざるを得ざる実情にある関係上、あえて強力なる行政監査委員会の設置を要望せざるを得ないのであります。  最後に一言つけ加えたいことは、本委員会の性格並びに使命は、あたかも一七九五年アメリカ国会に設置されたる、公務局におけるチ—フ・エンジニアの権威と使命を果すものであらねばならぬことを強く要望するものであります。何とぞ諸君の御賛成を得て、すみやかに本委員会国会に設置され、わが国行政の民主化に伴い、祖国再建のすみやかならんことを切望してやまない次第であります。(拍手
  28. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 福永健司君、発言者を指名願います。
  29. 福永健司

    ○福永健司君 民主自由党は小高熹郎君を指名いたします。
  30. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 小高熹郎君、発言を許します。     〔小高熹郎君登壇
  31. 小高熹郎

    ○小高熹郎君 私は水産省設置への意見を開陳いたします。  本年四月上旬より五月にかけまして、約四週間にわたり、米国陸軍省並びに国務省よりの推薦と同時に、総司令部マツカーサー元帥の招聘に応じ、米国漁業使節団として、水産業界を代表する一流人物ともいうべきエドワード・アレン、フレデリツク・バンディー、ドーナルド・ローカーの三氏が来朝いたされ、各地の漁業状態をつぶさに調査し、わが国水産業に対する十分なる検討と、あわせて将来対する警告とを與えられましたことは、日本水産業界にとりまして大きな收獲であり、右三氏に対しまして衷心より敬意をささげるものであります。  そもそも総合令部の対日漁業政策につきましては、従来種々の機会におきまして、公式にあるいは非公式に、諸種の発表がなされておるのでありますが、しかもなお、その政策中心が那辺に存ずるかは、その点総司令部といたしましても、これを端的に表明し、あるいは宣伝することを避けていられたように見受けられるのでありまして、従つて、わが国一般の水産人も、当然十分な認識が得られなかつたように思われたのであります。しかるに、このたびの漁業使節団の報告によりまして、その点がきわめて明瞭に語られる機会を得たのであります。  すなわち、報告書第二章「占領政策の目標」の中にうたわれている通り日本水産業の復興は、ポツダム宣言より見て当然であり、食糧問題解決のためにもまた緊要である、この意味において、総司令部が、健全なる民主主義的機構に基く最大限度の増産を目ざす重要産業の一つとして水産業の振興を促進しつつあるということは、けだし当然のことと言うべきである、という趣旨を明らかにされておるのでもあります。もちろん総司令部といたしましては、日本産業の復興についてきわめて真劍であり、特に漁業部におきましては、一日も早く日本の水産業を世界の舞台へ復帰せしめようとして誠心誠意考えておられるのでありまして、先般漁区拡張を許されました一事について見ましても、その好意は十分くみとることができると思うのであります。  しかしながら、同じく報告書第二章において指摘されておりますごとく、日本漁業は過去において国際関係を無視し、ために幾多の問題を生ぜしめたことによりまして、遺憾ながら日本漁業に対する世界の眼は確かに猜疑的であり、同情も薄いのでありまして、これを緩和しない限り、日本漁業の国際復帰はおそらく不可能であるのみならず、講和條約に際して、むしろ封じ手を打たれぬとも限らないことをおそれるものであります。  しからば、それを緩和するにはどうすればよろしいのか。そこに、使節団の、いわゆる日本の水産業を資源保護政策に立脚した近代的企業たらしめることが、最大緊急事となつて来るのであります。しかしながら、ここに一考を要しますことは、いかに近代的企業化を叫び、新体制の確立を念願するといえども、現実の問題といたしまして、行政組織の完備せざる限り、單なる机上の一プランとして終らざるを得ないことを、深く憂慮するものであります。ここにおきまして、私は顧みてわが国水産行政の現状を思うとき、農林省の一外局にすぎざる現水産庁の機構をもつてしては、とうてい日本漁業をして国際場裡に活躍するの段階に至らしむることは望み得ないと信ずるのであります。すなわち、現在における水産庁は、当然同庁に所属すべきであると思われる重要事項が、他省または他局に隷属しておりますがゆえに、水産業者はもとより、官庁部内においてすら、はなはだしく不便とされておる状態でありまして、今これらの複雑煩瑣にわたる行政面につきまして、一応具体的検討を試みてみたいと思うのであります。  まず第一に、漁船の造修及び資材の割当計画に関しましては運輸省海運総局所管のため、とかく漁業の実態から遊離し、徹底敏速を欠く結果となつております。また一方船舶検査については、同じ運輸省とはいえ、海上保安庁の所管に属し、しかもこの検査は主として船舶の安全性に対する検査ということで、はたして漁業に適するやいなやは第二義的の感があるのでありまして、これらはよろしく一本にとりまとめ、資材の割当計画は、経済安定本部において一般船舶と分離して行い、また配給事務あるいは遺留検査は水産庁において行うことが適正妥当であると思考されるのであります。  第二に、漁網製造工場の管理は、繊維工業部門のゆえに通商産業省に属するのでありますが、そのほとんどが漁網專門工場であり、漁業家とは密接なる関係にある点よりいたしまして、これまた需要官庁たる水産庁の管轄に移し、漁業技術の進展とともに、資材面の向上をもはかるべきであろうと思うのであります。  第三に、船員の労働関係におきましては、船員法の適用を受ける三十トン以上の乗組員については運輸省の管轄であり、なお船員保険は厚生省、海技免状は海上保安庁であり、さらに一般的には労働省が監督する等、その所管はきわめて多岐にわたり、しかも十五万船員のために船員法が考慮されておるのにもかかわらず、六十万漁業労働者のためには何らの用意もなされていないというこの事実は、要するに漁業の実態、漁業労働の特殊性を認識しない証左であると断ぜざるを得ないのであります。  第四といたしましては、水産輸出品の検査は貿易庁において行うに対し、カン詰については食糧管理局の所管でありまして、これまた実情に即した水産庁に移管し、生産状態に即応する加工計画を樹立せしむべきであります。  第五に、冷蔵業は主として製氷冷凍事業に附帯して営まれ、保蔵貨物の約七〇%が水産物であるにもかかわらず、倉庫業の適用を受けるという形式的な理由をもつて運輸省の所管に属するということは、水産物の集荷配給もしくは統制上、きわめて不合理であると思われるのであります。  第六に、金融面におきましては、その種類に応じ、それぞれ、農林中央金庫を初め食糧庁、通商産業省、運輸省、あるいは貿易庁等に分割取扱いを受けており、この点、業者にとつてはまことに不便この上もないことでありまして、これらはよろしく一元化せしめ、むしろ水産庁内に、水産金融経済の実態に即応する金融課ともいうべき部門を設置すべきであると思うのであります。  以上、現在における水産行政機構の煩雑さと不合理性とを指摘いたした次第でありますが、かかる現状を見るにつけても、ひとしお痛切に感ぜられますことは、この水産国たる日本において、真に水産を代表すべき独立機関が、何ゆえに設けられないのであろうかということであります。はたせるかな、米国漁業使節団は、その報告書中、第四章第三節におきまして、水産省の設立をはつきりと勧告されておるのであります。いわく、「中央政府の漁業行政は、農林省の一局から庁へ昇格された。しかし、日本に対する漁業の重要性を考えるとき、日本に水産省のないのは意外である。国際問題を取扱うには、内閣において位置を占めることが最も有利であろう。」と述べ、さらに「本使節団は、緊密に接触した水産庁の人々には非常に好感を持つたが、同時に水産庁の立法権が明らかに制限されていることが印象づけられた。もし、それが省であるならば、これらの人々は、全国的並びに府県別両面の漁業活動を調整する点で、はるかに有力になるであろう。」と述べられておられるのであります。  私は先般、水産常任委員の一人として、業業法案継続審議のため全国各地に出張いたしましたが、その際、各地の輿論がことごとく水産省の独立を熱望しておりました実情にかんがみ、この際政府はすみやかに水産省を設置し、水産行政面の合理化をはかり、米国漁業使節団の好意ある勧告にこたうべきであると信じ、この点政府に対し強く要望いたしまして、私の討議を終わりたいと思います。
  32. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 福永健司君、発言者を指名願います。
  33. 福永健司

    ○福永健司君 民主党は野村專太郎君、発言を許します。     〔野村專太郎君登壇
  34. 野村專太郎

    ○野村專太郎君 私は、今深刻な社会問題として考えられておりまする、いわゆる露店の撤去に関しまして各位のご賛同をいただき、政府当局の善処を要望するものであります。  この問題は、ただいまのところにおきましては東京都の一地方の問題でありまするが、やがてこの問題は、全国的の問題として、しかも深刻なる生活苦と闘い、歳末を控え、明日の不安におののいている関係業者に対しては、最も重要なる問題でございます。すなわち東京都においては、知事、警視総監、消防長、この三長官の命によりまして、来春三月末日をもつて路上から撤去するようにと、こういうことでございます。これは、現在日本が再建にあたりまして困難な行政整理もまた国家再建のために忍んでやつておりまする現段階におきまして、失業対策の面から見ましても大きな重要性を持つわけであります。     〔議長退席、副議長着席〕  この撤去に関しては四つの点があげられている。すなわち、都市の美観を破壊し、あるいは交通の面において支障を来す、また保安衛生、その最後の第四といたしましては消防、防火の点から、こういう四つの点が指摘されているのであります。  都市の美観に対しましては、海外から来られまして、広い見解から見ますると、確かに都市の美観の点に対しましては考慮しなければならないと思うのでありますが、現在の都市としては、今日の敗戰下におきましては、まことにやむを得ざる状態とは思いますが、あの乱雑な広告、あるいは都市の形態、こういうことが考えられるのでありますから、都市の美観の上において多少欠くるところありといたしましても、深き同情と理解を持つて、いましばらく時期をかさなければならぬと思うのであります。  しかも現在の露店のあり方は、御承知通り戰時中、燈火管制、空襲下にありまして、やむを得ざる要望から、晝間において店を開く習慣ができて今日に至つております。もし日没後にこれを営業させるといたしまするならば、いわゆる都市の美観は添えましても、都市の美観を傷つけることはないと考えるのであります。  また交通の点に対して、なるほど繁華な場所においては、これは比較的この支障のない面に移さなければならぬことは当然であろうと思います。また消防、防火に対して支障ありと指摘されていますが、由来火災現場におきまして、露店の開設によつてその火災が拡大したという事例は、私らは知らないのであります。しかし、いろいろな観点から、この露店の問題が、いつかは日本が文化国家として完全に立ち上らなければならないときにおきまして、しかも文化日本の首都たるべき東京に、今日の形そのままが永続することは、許されないと思うのであります。しかし、この業者は不法に道路を占拠いたしているのではないのでありまして適法に道路使用料を納めて、いわゆる憲法が保障した営業の自由が認められているのであります。  しかし考えなければなりませんのは、かつてはその業態の一部において封建性が残存しておつた、こういう誤解の対象になつたのでありますが、その後数次の指令改善によりまして、今日におきましては、面目を一新いたしたのであります。しかも業者は、多くは同情すべき戰災者、あるいは海外から引揚げられた方々が多数なのであります。しかも終戰当時は、いち早くこの方々は立ち上りましてとしい、焼けた焦土に立つて、あるいは退蔵の物資を戰災都民、国民に提供されました大きな功績を、われわれは見のがしてはならぬと思うのであります。  現在国家財政の見地から、完全な失業計策がいかに困難であるかということは、われわれも認めるものでありまするが、この際失業対策の面から、業者は一万五千、関係家族数は二十万を突破するということが東京都だけでも考えられるのでありまして、どうかこの弱い業者のためにも、一日も早くこれを解決すべく、各位の御賛同を得て、関係当局の強い善処方を要望いたしまして私の討議を終る次第であります。(拍手
  35. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永健司君、発言者を指名願います。
  36. 福永健司

    ○福永健司君 民主自由党は大西弘君を指名いたします。
  37. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 大西弘君、発言を許します。     〔大西弘君登壇
  38. 大西弘

    ○大西弘君 本日自由討論にあたりまして発言を許されましたので、教育並びに行刑に関して、いささか意見を述べてみたい、かように思うのであります。  現状において、日本の教育が真に民主主義的に進行しつつありやいなや、疑問を持つ者の一人であります。私がこの機会に私行為を申し述べるということは、いかがかと思うのでありますけれども、次に述べんとする事柄をわかつていただくために、私行為を前提において述べます。  私の郷里松山において、過去約四年ほど前から、「恩師にささぐる会」という会を結成いたしまして、なお今日、その会は盛んに継続いたしておるのであります。この会の目的は、私生活に困る六・三の訓導諸君を毎月救済するということが目的になつて発展いたしております。何が動機で本会が誕生いたしたかと申しますると、片山内閣当時の給與ベースの問題で、これら小学校の訓導諸君が、教壇を捨ててストライキを起すということが動機となつたのであります。  教育者が、いかに経済上困つたからと称して、子弟の教壇からただちに離れて行くということは憂うべきことであると同時に、子弟の側から言えば、自分らを教育してくれる先生が、私生活を案じながら、なおまたそれら先生方の家庭の非惨事を起さしめるということは、相ともにいたわり合うの必要があるのではありますまいか。先生は天使の気持で、できて行く子供のために教壇に立つてもらうべきであり、子弟はこの先生の御恩を永遠に銘記すべきであることは論をまたない次第でありますが、兒童の父兄の立場から考えてみますると、肉親の親でさえもてあます子供を、しかも親切に教鞭をとつてくれる先生方が、その家庭の生活上において破綻の状態にあるということを見捨てるべきではないと思うのであります。この意味におきまして、私は、率先もつて私の郷里松山市において「恩師にささぐる会」を結成いたし、困られる先生方の家庭を救うべく努力して来たのであります。  そこで私は、この問題は国をあげて、考えなければならないのではないかと思うのであります。しかるに、現状わが国の教育界の姿は、あるいは組合を結成し、もつおのおの経済を救わんとする声が強いのであります。少くとも義務教育たるところの六・三学校の訓導諸君には、まずまず極端な自己家庭の生計に憂いを感ずるということのない程度までは是正するの必要があると痛感するのであります。かかる見地から、あえて定員定額法の撤廃の意見を強調するものではありませんけれども、地方の事情に即して、超党派的にお考えを賜わりたいのであります。  かつて、故人であるところの医科学の泰斗野口英世博士は、黄熱病の研究のために自分の一命もささげ、もつて世界医学界に一大発見を残されたことは、周知の事実であります。この博士が医科学研究に熱意を持たれるように相なつた動機は、小学校時代の小林訓導が、教壇からながめた野口博士の特長を見出し、野口が科学の研究を終生続けるべく指導に努力したたまものだということが、その当時発表された事実であります。またノーベル賞を授與された湯川博士の今日あることも、博士の小学校時代に受持つた訓導が、彼湯川博士をして科学界に希望を持たしめたゆえんであるということが、最近の新聞紙上に報道されているのであります。  かかるがごとく、お互い人生の持つべき職業と申しましようか、または職業的本分と申しましようか、これらすべては、主として最高学府の大学において決するのではなくて、六・三制のような教育界の一歩から、その希望があらかじめ決定されるのではありますまいか。かかる見地から考えてみまして六・三制教育こそ実に人間完成の上に非常に大切な教育であるということは、私が論ずるまでもないことであります。  しかるに、この大切な教育を、大切であるということを知りながらも、重点的考え方がきわめて薄い、私はかように叫びたいのであります。六・三制建築予算もさることながら、完全なる教員があつてこそ完全なる子弟が芽ばえて行くのであります。しからば、完全なる教員をつくるということは、いろいろ理論もありましようが、これら教員の最大の優遇が大なる貢献をなすのではありますまいか。かかる観点から、教育再建のために、超党派的見地において教育者優遇問題をお考え願いたいのであります。  次は行刑の問題でありまするが、一旦間違つたことを犯して一定の場所に收容され、人生の再教育を受けている受刑者のことについて、思いを深くいたすのであります。これら受刑者が、その罪を犯したといいながら、人権擁護の建前からいつても、罪は憎むべきも、その人はどこまでもたつとぶべきであります。しかるに、このたつとぶべき人の再教育が完全に行われているでしようか。私は、これまた疑問を持つのであります。  なるほど、今日の行刑法を見てみますると、累進法と申しますか、みずからの力によつて、みずからが再教育される、というような理論の向きも多分に盛られておるようでありますけれども、何と申しましても、朝な夕なに拘束上の見地からせわにならなければならないのは刑務官吏であります。この刑務官吏が寄るとさわると及ぼすところの影響によつて再教育されるということは、実に大なるものがあることを見のがしてはならないのであります。かかる見地から考えて見ますと、この行刑官吏の優秀な人材が必要であるということが、痛感されるのであります。  最近の新聞紙上によつて見てみますると、某刑務所の官吏の中に、某刑務所を脱走した重罪犯人が刑務官吏になつて涼しい顔をしておつたという報道の記事がありました。まことに一笑事のようなことではありまするけれども、その内容たるや、実に憂うべきことであります。こういう事柄を惹起するということは、刑務官吏の優遇の問題が深い原因を持つのであります。同じ官吏ではあるが、刑務官吏は、官吏みずからも拘束されているような建前で、その日常を過さなければならないのであります。さような見地から、非常に任務が過重で、案外待遇が悪いというようなことから、りつぱな人材は転々と転職をして行く傾向が深い。しかるがゆえに、刑務官吏の質が非常に低下している向きが多いのであります。これを最大の優遇をもつて、行刑官吏としてふさわしい人材をもつて行刑の任に当つてもらうということが、行刑精神に当てはまつたことに相なるのでないかと、さように存ずるのであります。私はいろいろの観点から数字をあげて、その欠点を深く指摘いたしたいのでありますけれども、與えられた十分の時間では、そういうことが十分に述べられないことを、まことに遺憾とするものでありまする。  とにもかくにも、今申し述べました六・三制教員の優遇問題と行刑官吏の優遇問題、この二点については、特段の深い考慮をもつて処するの必要がある。さように痛感いたすものであります。何とぞこの点、皆様の賢明なる御判断によつて、超党派的にお考えあらんことを要望いたす次第であります。(拍手
  39. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永健司君、発言者を指名願います。
  40. 福永健司

    ○福永健司君 民主自由党は門脇勝太郎君を指名いたします。
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 門脇勝太郎君、発言を許します。     〔門脇勝太郎君登壇
  42. 門脇勝太郎

    ○門脇勝太郎君 私は、中小企業の振興に関する方途の一端を申し述べて、今後国会においても、また政府においても、その施策に際し、勇壮果敢に積極的政策を講ぜられんことを要請してやまない次第であります。  過ぐる第五通常国会におきまして、われわれは、折柄の経済的危局の岐路に立つに至つた全国中小商工業者を救う一助に資せんものと、全力をあげて中小企業等協同組合法案審議に当り、一部の議院修正をもつてこれを可決し、去る七月一日をもつて公布施行することと相なつたのであります。  爾来半歳、米国よりの使節団、顧問団が陸続としてわが国に来朝されまして、わが国産業、金融の両面にわたる経済復興と税制の改革に当られ、われわれもまた異常なる熱意と誠意をもちまして、これが支援をいたして参つたのであります。しかるに、率直に申しまして、全国におびただしく散在する中小商工業者の実態は、日を追うて窮迫の一途をたどりつつある状態でありまして、この際緊急に対策を講ずるにあらざれば、将来再び立つあたわざるの懸念さえ生じているのであります。しかして、そのおもなる原因に、本年初頭以来の金融の全面的逼迫の問題であります。金融梗塞という空前のあらしは、はたせるかな最も抵抗力の脆弱なる中小企業に向つて、直正面にいどみかかつたのであります。さなきだに憶病にして無情な金融資本の圧力の前に立たされた中小企業者の姿は、きわめて弱体でありまして、融資の抑制、さらに進んで貸付の取立て等、可能なる限りの圧迫を受けたことは想像のつくところであります。  しかるに、従来大企業者に対しましては、復金等の施設がありまして、積極的な大口の融資があつたのであります。また農漁村に対しましては、農林中金を中心とする積極的な活動があつたのでありますが、ひとり中小企業者のみに対しましては、わずかに現在商工中金の消極的施設があるにすぎないのであります。また銀行の貸出しを規正するため金融機関資金融通準則という規定がありますが、この場合中小企業者は、その順位において、おおむね丙丁という最下位に置かれているのであります。こういう事情であつたため、大分不満の声が高くなつたので、政府は、この夏ごろ、二十億ないし二十五億円の短期資金を、日銀から勧銀、興銀、商工中金を通じて、中小企業者に放出することになつたのであります。次いで日銀のマーケツト・オペレーシヨンによる二十億円の長期設備資金が地方銀行を通じて貸し出されることになり、ただいま中小企業庁が、地方機関を経てとりまとめ中であります。大体現在まではこの程度でありますが、これでは、いわゆる二階から目薬ほどのきき目しかありません。  そこで政府においても、目下商工中金の拡充強化をはかることに決定して、最近国会法律改正を提案するということでありますが、伝えられまする商工中金改正法案は、現在の一億五千万円の資本金を五億に増資し、商工債券発行限度を、現行の資本金の十倍を二十倍に引上げんとするもののようであります。さらに中小企業協同組合の共同施設に対する長期貸付等をその内容とするものであります。この商工中金法の一部改正法案は、目下政府当局において関係方面折衝中と聞いておりますが、すみやかな進捗を期待しております。また、目下各地方庁が中心となつてつております社団法人組織の信用保証制度でありますが、これは政府においてすみやかに取上げて、強力に法制化して推進することが、とるべき処置であると思います。また、従来市街地信用組合法によつて組織されておりました信用組合は、近く中小企業等協同組合法に全部移行することになつております。よつてこの機会に、大蔵省は積極的にこれが活用をはかり、預金部資金等をこの系統に放出して、金融緩和に乗り出すべきであります。  以上をもつてしても、もとより中小企業に対する融資対策として、その完璧を期するわけには、とうてい参りかねるものでありますが、われわれは、政府が今後とも常時中小企業に対する金融難打開に全力を傾注せられんことを切望する次第であります。  なおこの機会に政府に一応苦言を呈しておきたいことは、それら政府の配慮に基く資金の貸出しに際し、末端においては、必ずしもその趣旨が徹底しておらないのでありまして、ことに地方府県においては、日銀その他の出先機関が、全然ほおかむりをして知らぬ存ぜぬの一点張りで押し通しているものが、かなり見受けられるのでありますが、これらの目にあまる状態に労しては、今後政府は断固たる措置をとられるよう願いたいのであります。  次に税制並びに課税に関する中小商工業者の立場について若干論及してみたいと存じます。勧告案による資産再評価の方法及び基準といたしましては、資産再評価審議会において、特に簡易、便宜な方法を定めることが必要かと存じます。また附加価値に対する課税は、業種によつては著しく負担の増加を来しまして、きわめて不公平な結果をもたらすこととなり、また課税対象としての附加価値税の算定は、はなはだ複雑困難でありまするから、根本的に再検討を要するものと思う次第であります。  税務行政関係におきましても、青色申告書様式は、中小企業の特質にかんがみまして、納税者側、すなわち中小企業者にとつて、不必要かつ効果の薄い、煩雑な方法を避けましてもつとも簡にして要を得た、しかも正鵠を失せざるように、格段の配慮をいたすべきであると存じます。(拍手)これがためには、政府部内におきまして、官民よりなる委員会を設置いたしまして、基準帳簿様式の調整を行うことが、真に親切なる措置かとも存ぜられる次第であります。  なお、現在事業所得に対する税額が高率でありまして、これに非常な重圧を感じているのが現状であるのであります。今般のシヤウプ勧告に基く税制改革において、農民諸君とともに、この重圧が軽減されることを期待しておるのでありますが、これは必らず実行されることを切望いたします  以上の方途により、資金難と重税の圧迫がある程度緩和されることとなれば、中小企業者も今後若干活路を見出し得るのであります。(拍手)  最後に、去る七月発足いたしました中小企業協同組合の今後のあり方について、一言所見を述べてみたいと思います。本法は公布施行後日なお浅く、従いまして、その成果についてとかくの批判をなすまでに至つてはおらないのでありまするが、本法の立法精神の根幹は、あくまで中小企業者の友愛と団結とによる協力を基盤として、あらゆる長所を存分に活用いたし、大資本のよくなしあたあざるところに妙味を発揮し、よつてつて国内産業の振興に寄與する趣旨にほかならないのであります。全国の中小商工業者諸君は、今こそ立つて、この世界的な苦難に向つて、勇気凛々、強力に進発せられんことを衷心こいねがうものであります。  最後に再び、国会政府が中小企業者に対しまして一層の熱意を示されんことを要請して本討議を終ります。(拍手
  43. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 中垣國男君、発言者を指名願います。
  44. 中垣國男

    ○中垣國男君 民主党は山本利壽君を指名いたします。
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本利壽君発言を許します。     〔山本利壽君登壇
  46. 山本利壽

    ○山本利壽君 今回昭和二十四年度補正予算案を拜見いたしまして、国政全般にわたつて政府当局が苦心を携われていることは了承いたしましたが、なお国策上重大なるものにして、その考慮の拂われ方のあまりに少なかつたと思われるものについて、與えられた時間内において、一、二取上げてみたいと、考えるものであります。  まずその一は、農林省関係において、林野庁所管事業に何らの考慮が拂われていないということであります。今回の戰争によつて、以前から狭いと言われておつた国土が一層狭くなり、他方海外よりの引揚者六百数十万人を加えまして、人口過剰の度はさらに増大したのであります。ここにおいて、われわれは、いよいよ狭い国土を広く使うくふうをいたさなければならないのであります。  狭い国土を広く使う一方法としては、森林地帯の開発利用ということが考えられるのであります。森林の所有者が、その林産物によつて收益を得ることはもちろんでありますが、森林は耕作地帯に対する灌漑の水源となり、あるいは洪水防止となり、さらに今後日本における工業振興のための電源となり、大きくは気温調節の役目をなす等、偉大なる公益性を有しておるのであります。ゆえに、その伐採並びに造林に関しては、政府として十分の注意を拂わなければならないのであります。  現在戰災復興に必要な用材並びに国民生活上不可欠の薪炭林の絶対量は、常に確保しなければならないのであります。しかるに、戰時中の無統制な乱伐、過伐の結果、既設林道地区の森林では、その成長量をはるかに上まわつて伐採しているのであります。全国的に見て、伐期は八十年、短くとも五十年と言われているのに、二十五年ぐらいのものが多く伐採せられているのであります。これでは、近き将来、この地区は無立木地と化して、わずかの降雨にも災害を起すことは必至でありますから、この地帶の森林は注意深く育成して行かなければなりません。なお、日本の森林で日本の需要を満たして行くには、現在の生産力を約二倍半に増大することが必要であると言われておりますから、この意味から申しましても、森林地帯の奥部に向つて林道を開設するということが必要なのであります。道路が奥地に向つて進むにつれまして林産物の獲得が増大することは申すまでもありませんが、居住者の数も、漸次その方向へ向つて増加するのであります。  わが国の森林を国有林と民有林とに大別してみまするに、国有林はわが国全林野面積の三分の二の広大なる面積を占めておりながら、その経営一般的に合理性を欠き、そのために、生産性はきわめて低いのであります。民有林の中では、私有林がその主体をなすものでありますが、その面積の七八%は五十町歩未満の中小森林所有者の手にあり、また森林所有者の数から申しますと、一町歩未満の零細所有者が全所有者の七三%に及んでおるのであります。でありますから、受益者の手で林道を開設せしめることは不可能であり、政府が全国的に林道網の計画を立て、全額国庫負担、あるいは少くとも半額以上の補給金を與えなければ、この目的は達し得られないのであります。国費を投ずると申しましても、開設費の約八割は労銀としてその地元に投下されるものでありますから、現在の失業救済問題解決の一助としても大なるものがあると思われるのであります。失業救済事業は、とかく都市にのみ考えられがちでありますが、今や多数の海外引揚者並びに最近の行政整理によつて失職した者の多くが、いなかに帰り、潜在失業者となつておるのでありますから、林道開設に力を入れることは、国策の重大なる一環でなければならぬと私は考えます。(拍手)  さらに第二番目に忘れられておることは、最近の新聞紙上でもたびたび論ぜられておりますけれども、わが国における文化財の維持保存ということであります。今回の戰争において、東京の博物館、あるいは京都、奈良、日光等多数の国宝あるいは重要美術品のある地点が爆撃を免れたということに対しては、まことに仕合せを感ずるとともに、これを爆撃しなかつた国に、対してわれわれは感謝の念を持つものであります。しかしながら、この残されたる国宝あるいは重要美術品を維持するについて、わが政府はいかなる処置を講じておるか。すでに最近焼失いたしました法隆寺の壁画であるとか、松山城、松前城等はいたし方のないところでありますけれども、松本城、姫路城、松江城、宇治の平等院鳳凰堂、山口の洞春寺、平泉の中尊寺、燈明寺等、多くの文化的に貴重な建造物が腐朽にまかされておるということは、新聞紙の報ずるところであります。  先日、私も観光事業国策樹立特別委員会の一人として日光に参つたのでありますけれども、表面上まことにさんらんとして輝いておるあの東照宮その他建造物にいたしましても、しさいに点検すれば、今手を加えなければ、ここ一、二年の後においては復興のしようもないというものが多々あることを発見したのであります。日本を文化国家として再建しようとしておる。ことに、観光事業を一つの経済的な方面から振興いたしまして、外客を招いて、その金を落させようとする際に、これらの、とうとい文化財というものが破壊されましたのでは、その意味をなさないと思うのであります。  昨年一箇年に日本に参りました外客は六千名を越えており、その人々の落した金は十億円に余ると言われておるのであります。第五国会委員会において講ぜられましたところでも、本年度の計画は八千人の外客を招いて、二十七億円の金を得ようというのであります。昭和十一年ごろ、すなわち戰前におきましては、わが国へ観光に来た人々の数は四万二千五百人余に上つているのであります。一年間に四万、五万という外客が参りましたならば、その落す金も相当なものがあるでありましよう。現在道路を復旧し、あるいは観光ホテルを建設いたしまして、外客を迎えようという準備はできているようでありますけれども、かんじんの見せるべき文化財というものが朽ち果ててしまつては、意味をなさないと考えるのであります。  今日までにも、国宝保存法あるいは重要美術品の保存に関する法律、または史跡名勝天然記念物保存法等の法律がございましたし、さらに今回は文化財保護法案というものが提出されるようでありますけれども、いかに法律的な処置を講じましても、これに対する財政的な裏づけがなければ何にもならないのであります。現在の内閣が、民主主義をとなえ、文化主義をとなえ、さらにこの人口の過剰を解決しようとしている際に、林道をさらに拡張して、この狭い国土を広く使う方面の注意と、さらに客を迎え、あるいはわが文化をさらに復興せしめるためのこの文化財の保存ということについて財的な処置を講じないということは、まことに遺憾しごくと考えるのであります。この点に関しましては、一般民衆の世論をさらに高め、われわれ議員もこの点に十分注意を拂いまして、今後この方面の進展をはかつて行きたいと考えるものであります。(拍手
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) この際暫時休憩いたします。     午後三時四十八分休憩      ————◇—————     午後四時三十六分開議
  48. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  49. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 内閣より、昭和二十四年度一般会計予算補正第一号、昭和二十四年度特別会計予算補正特第一号の両件中修正したいとの申出がありました。これに関して大蔵大臣より発言を求められております。池田大蔵大臣。     〔国務大臣池田勇人君登壇
  50. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 目下御審議を願つておりまする昭和二十四年度補正予算の一部につきまして、このたび修正書を提出いたしましたので、その要旨を御説明いたします。  さきに政府は、輸出を円滑にいたしまするため輸出金融補償制度を創設することとし、補正予算におきまして、これに伴う予算措置を講ずることといたしたのであります。その後諸種の事情を勘案いたしまして、当初の構想を改め、これを輸出信用保険制度に置きかえまして、所期の目的を達成することといたしたのであります。これに伴い、まして、予算の一部を修正することといたしました。何とぞ御了承の上、御審議をお願いいたします。
  51. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 右両予算修正の申出を承諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本件は承諾するに決しました。     —————————————
  53. 山本猛夫

    ○山本猛夫君 残余の自由討議はこれを延期し、明二十五日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  54. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会