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1949-11-18 第6回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)  議事日程 第十一号     午後二時開議  一 国務大臣演説に対する質疑(前回の続き)     —————————————  第一 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  国務大臣演説に対する質疑(前会の続き)  日程第一 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時四十二分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。風早八十二君。     〔風早八十二君登壇
  4. 風早八十二

    風早八十二君 政府財政経済政策に対して、私は日本共産党を代表して質問するものであります。  補正予算の組立ては、例によりまして、いかめしい項目と、ややつこしい数字の魔術によつて武装されておりまするが、その種明しはきわめて簡單であります。  第一に歳出の方面では、食糧会計赤字百七十億円の穴埋め薪炭会計赤字五十四億円の穴埋め、この二本建の大赤字の柱が立つているのであります。この柱の土台をなすもの、言いかえれば、この赤字穴埋めは、四千二百五十円の低米価、六千三百円の低賃金並びに二百十三億円に達する水増し増税であります。  第二に、いわゆる減税二百億と、それを償つて余りある補給金削減二百三十億、言いかえれば物価の全般的なつり上げ貨物運賃八割の値上げ、ガス、電燈水道料金値上げ、さらに米の消費価格の一一%のつり上げであります。その結果は、あれほど国民要求している失業対策災害復旧、さらに地方配付金、さらに六・三制というものの要求は、無残に踏みにじられてしまつているのであります。(拍手)  池田大蔵大臣は、この補正予算を臆面もなく復興予算と呼んでおりますが、一体どこが復興であるか。何が復興であるか。失業対策のない首切りは人殺しではないか。今の賃金では月々三千円の赤字を出している。中小業者は、今税金で首をくくつているじやないか。     〔発言する者多し〕
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 静粛に願います。
  6. 風早八十二

    風早八十二君(続) 池田自身、昨日の本会議で、困つているのは中小業者だけではない、大産業もまた困つていると申しました。しかしながら、それがはたして安定であるか。なるほど、四割の利益を得ている大銀行のみは安定であるが、その他は全部不安定ではないか。ドツジ・ライン修正の声は、今やほとんど全国民に共通した叫びであります。この予算案は、この要求を完全に裏切つているではないか。大多数の国民は、吉田内閣をもつて濱口内閣以上の超不景気内閣と呼んでいるのであります。(拍手)  言葉はどうにでもなる。国民大衆の破滅は、われわれにとつては不安定である。しかしながら、政府にとつては安定である。白を黒と言う政府が、まことに言いそうなことである。いかに黒を白と陳弁することに得意な吉田内閣でも、この不安定な事実が承知しないではないか。政府人民大衆犠牲によつて穴埋めしようとしている食糧及び薪炭会計の二百三十億に達する大赤字は、第一に、それ自身吉田内閣外資依存政策外国食糧導入政策、この政策の必然的な結果であります。(拍手)第二に、官僚の不正、腐敗の結果であります。  今日農民が最も関心を持つている問題は、外国食糧輸入による農産物価格の人工的な下落である。ひいては農業生産そのもの破壊であります。外国からあんな高い米を買いながら、食糧を買いながら、何でおれたちの米をこんなに安く買い上げて行くのか、これは農民の偽らざる心情であります。(拍手)しかるに吉田内閣は、事前に国会にはかることもなく、小麦協定を結ばんとしている。農民国際独占カルテル利益のための犠牲にしようとしているではないか。(拍手)  米の生産費は、平均一万三千円を下らない。しかしながら、その供出値段は、補正予算によりますと、わずか四千二百五十円である。これはその三分の一にすぎない。しかも政府は、生産者価格に対して六割五分という、べらぼうもない中間経費をかけまして、消費者に対しては高く売りつけているのであります。一体、このさやは何に使つておるか。高い外国食糧輸入のための、この赤字のしりぬぐいではないか。(拍手)  補正予算案は、生産費を割る低米価を押しつけるだけでなく、同時に超過供出値段を、従来の三倍から二倍に切つて落してしまつた。しかも、他方において等級の格下げをやつた。この新しい米価というものは、実質的には、この面からさらに一層に低下せられておるのであります。われわれは、この赤字穴埋めのための不当な格下げというものに断固として反対いたします。検査規則の改正、これに対して即時撤回奨励金及び生産費を償う価格遡及支拂い要求するものであります。農林大臣は、これに対していかなる措置をとる考えであるか。  吉田内閣外国食糧依存政策は、日本食糧が不足するからではありません。その証拠には、今でも、乳兒を含む全人口一人当り年一石の米麦は完全に生産されておる。食糧が不足だから食糧輸入しなければならぬというような、おためごかしは、この際に絶対にやめてもらいたい。農林大臣は、この点に対して、いかなる所見を持つておられるか。  吉田内閣は、ただ高い食糧輸入するばかりでなく、この輸入に対して、四百六億円に上る厖大なる補給金を加えております。一体そんな金が出せるなら、なぜその金を農村の金づまりに用いないか。なぜ国内農業生産機械化近代化のために用いないか。もしそんな金があるならば、土地のない者は土地を買うことができる。また土地のある者は肥料を買うことができる。しかもこの輸入補給金は、輸入増大とともにますます増大する一方であります、補正予算面におきまして、現に食糧輸入のためだけに百十二億円の莫大なる補給金を追加計上しておるではないか。この点に関しては、総理大臣並びに農林大臣所見を伺いたいのである。  吉田内閣のこういう買弁的なる政策は、農地改革のサボタージユにもはつきりと現われておるのであります。第二次農地改革が徹底的にサボられておる。その証拠は、この登記事務がわずか十数パーセントしか完了されておらない。ここにも、はつきりと現われている。去る十月二十四日に開かれました農地委員会全国協議会臨時大会は、この吉田内閣農地改革を逆もどりさせたその責任を追究しておるのではないか。そうして、その即時退陣要求しておるではないか。(拍手)  政府が低米価、低賃金水増し重税によつて穴埋めしようとしておる補正予算赤字は、以上に指摘しました高い外国食糧輸入補給金とともに、食糧及び薪炭特別会計の運営における官吏の一大不正によつて生じておるのであります。(拍手)たとえば薪炭会計の五十四億円の厖大なる赤字でありまするが、これは主として官僚卸売業者の結託による不正によつて生じておるではないか。現に今日の朝日新聞は、その論説に、この問題を国民の声として大きく取上げておる。  私は、最近農林省の職員組合によつて徹底的に暴露せられました、三重県における一千万円の空気木炭事件について申し上げたい。これは、本年一月末ないし二月初旬に、三重木炭事務所が、三重卸売業者、すなわち三重林産燃料株式会社に対してありもしない、から木炭に対して、代金一千万円を供與したという事件であります。この事件には、時の農林大臣、現在の政務次官並びに林野庁長官が直接関係しておると伝えられている。林野庁長官は、去る十一月十一日の決定委員会におきましても、この事実の一部を認めておるのであります。この点にかんがみまして、われわれは予算委員会においても、この点は徹底的に糾明せんとしているものであります。いずれにせよ、われわれ国民は、かくのごとき官僚の不正によつて生じたこの赤字のしりぬぐいのために高い税金を納めることは、まつぴらごめんである。(拍手)これについて、総理大臣並びに農林大臣の責任ある事実の証明を願いたいのである。  しかも、農民に対するこの低米価政策というものは、労働者、サラリーマンに対する食えない賃金の裏づけになつている。政府は、補正予算において依然として六千三百円ペースをくぎづけにしておりますが、月々三千円以上の家計の赤字を無視して低賃金政策を強行する意図は、これをてことして、さらに全産業労働賃金を、一部独占資本家利益のために引下げようとするねらいに違いない。  吉田首相池田大蔵大臣は、この税金軽減物価の引下げによる実質賃金引上げをやると言つておる。それはでたらめである。苦しまぎれの言いのがれである。私は、今手元にある労働省の資料によつてこれを反駁します。労働省は、その労働者の毎月の統計によりまして、今年の一月ないし七月の生計費指数を出しておりますが、政府が、昨日大蔵大臣の口を通じて、六月以後この実質賃金が上つていると言つたが、これはまつかのうそである。実質賃金は、六月一七四から、七月一七一に下つておるのであります。(拍手)しかもこれは、三月一八四に対しまして七%も下つている。これは労働省統計であります。これについて、昨日の、あの実質賃金は上つておる、あるいはこれから上るというその証明は、具体的にいかなる方法で、いかなる時期になされるか。これについて、特に吉田首相並びに大蔵大臣に設問するものであります。  第一に、税金軽減インチキもはなはだしいものである。補正予算は、二百億円に上る名目的減税であるということを言つておりますが、その代償には、二百十三億円の水増し増税をやつている。補給金削減によりますこの物価つり上げとともに、固定資産の再評価も、それ自身物価つり上げになつている。こうなつては、政府のいわゆる賃金物価悪循環ではなく、税金物価悪循環で、これがいよいよと激化せざるを得ないのであります。(拍手国民は、減税どころか重税と高物価に押しつぶされてしまうのであります。かくのごときインチキなる実質賃金引上げは、厳然たる生活の事実が反証をあげているではないか。食えないという事実が一切を反駁しております。労働階級は断じてだまされない。  政府最後の奥の手は、ただ一つである。弾圧分裂政策。しかしながら、この弾圧分裂政策自身も完全に失敗しておる。政府弾圧分裂政策のただ一つの拠点にいたして、あらゆる術策を弄して育成しておつた国鉄民同幹部諸君さえ、今や大衆の戸に押されて、九千七百円ベースの要求政府に突きつけておるではないか。(拍手)さらに、人事院規則によつてしばられていながらも、全官公庁労働組合もまたそのかきを破つて、強く年末越冬資金要求をいたしておるではないか。この弾圧、さらに分裂政策てことする低賃金政策は、ただただ政府のいわゆる安定の破綻を証明するのみである。首相並びに本多国務大臣は、この弾圧分裂てことする給與くぎづけ政策、これの失敗を認めるかどうか。この点を明らかに答えてもらいたい。  労働大臣は、かねがね輸出産業振興によつて失業者を吸收すると称しておつたが、はたして何人吸收したか。また年の瀬に追つて失業保険退職手当もすでに切れようとしておるのであるが、政府一体いかなる対策を持つておるか。その見通しについて労働大臣所見を伺いたいのであります。  政府が鐘、たいこで宣伝しておりましたシヤウプの減税は、水増し増税で差引かれ、国民税金負担増大なつたのでありますが、その名目的な減税さえも、大資本に厚く、労働者農民、漁民、中小商工業者には、依然としてすずめの涙であります。来年のことを言えば鬼が笑う。この不景気のどん底にあえぐ中小商工業者、また農民には、年末更正決定が追つておるのであります。中小商工業者は言つておる。来年はどうでもよろしい。今この税金をどうしてくれるか。この補正予算は、この点についても、完全にこの要求を裏切つておるのである。私は、池田大蔵大臣に特に伺いたいのである。この国民の窮状にかんがみ、この年末更正決定を中止し、申告をやり直す考えがあるか。  さらに全国の数千万の家庭の主婦は、主食のかけ売りの切実な叫びをあげておる。しかしながら、今日事態はさらに一層先に進んで、このかけ売代金、この米価によりまして、それで押しつぶされてしまおうとしておるのであります。これに対して農林大臣はいかに答えられるか。答える勇気があるか。  これらの大衆の切実な要求は、予算においてまつたく踏みにじられておる。これらの大衆の切実な要求は、予算において完全に踏みにじられておるのだ。この弾圧による低賃金、低米価首切り失業、これこそが日本国内市場狭隘化をもたらしておる。今日眼前に展開しつつある一大不景気の実体をなすものであります。  真の安定を築いて景気を直すためには、まず第一に大衆課税を撤廃することである。食える賃金生産費を償う米価、これを基礎とした人民的なる物価体系を確立することである。そうして平和産業発展をはかり、このことによつて国内市場再建すること、これがわが党の主張するところの自主的な再建である。これがわが党の主張する自主的な日本再建の道である。  しかるに政府は、このような自主的再建の道を選ばず、アメリカから物を買つてポンド圏に売るということを建前としておるが、この方式は、みごとに失敗しておるではないか。池田君も、国際收支赤字だから、さらにいわゆる産業合理化をやらねばならぬと言つておる。この飢餓輸出政策の行き着くところは、またしても低賃金首切り以外にはあり得ないのだ。合理化というのは名ばかりだ。その証拠は、この補正予算に生きましても、真の合理化のための基礎であるところの科学技術振興費は、びた一文も計上しておらぬではないか。また、この科学技術振興のその基礎になるところの六・三制についても、前国会におけるわれわれ一同の決議を無視しておるではありませんか。(拍手)これについては特に文部大臣所見を伺いたい。  通産大臣にお伺いするが、政府協定貿易によつて輸出振興をはかると言つておる。しかしながら、日本側はその結果忠実に買わされるが、相手国に買つてもらう義務條項がその協定の中にあるかどうか。この点については、通産大臣は明確なる答弁を與えられたいのであります。また、そもそもこの貿易協定国会の承認なくして結んでおるとすれば、いかなる根拠に基いておるか。もしそうだとすれば、これは明らかに憲法違反であります。(拍手政府は、もらつてもありがたくないものを、ありがた迷惑なものを、抱き合せ輸入という形でかかえ込んでおるのであります。いわゆる押しつけ抱き合せ輸入だ。この点について通産大臣見解はどうか。  政府は、いらないものを輸入して、税金負担ばかりを増大させておる。国内産業をつぶしておるだけでなく、足りなくて欲しいものを入れた場合においても、国内産業再建のためにこれを使つておらない。たとえば石油であります。政府軍事施設の復活ということをあえてして、原油輸入をはかつておるが、一方機帆船、漁船その他無燈火農村に対して、どこに石油をまわしておるか。この原油輸入によつて得るところは、ただ單に低廉なる加工賃だけである。失うものはポツダム宣言の蹂躪である。また平和日本破壊でなければならぬ。この点に関して、特に総理大臣並びに通産大臣所見を伺います。  このようにして、政府はいわゆるローガン構想長期クレジツト構想をまくらとして、東南アジアとの結びつき最後の活路とせざるを得なかつた。しかしながら、時すでにおそしだ。この東南アジアの地域こそは、世界資本主義過剰生産が投げ込まれておるところのるつぼであります。土着産業は急速に衰退しておる。購買力は減退しておる。まつたくそこには、割込みの余地はもはや残つておらないのであります。
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 風早君に申上げます。申合せの時間の制限に達しましたから簡單に願います。
  8. 風早八十二

    風早八十二君(続) このようにして、われわれは国内市場再建基礎として、互恵平等の関係において、新中国ソビエト同盟を初め、すべての国々との経済関係の拡大をはかることを主張するのであります。新中国との貿易については、密貿易を除いて、吉田首相一体いかなる成算を持たれるか。今や国際情勢は大きく転回しつつあります。資本主義諸国は深刻なる恐慌に悩んでおる。一方において、社会主義人民民主主義諸国におきましては、すでに戰争の痛手を回復して、経済一大飛躍の道をたどつておる。社会主義人民民主主義諸国は、今や資本主義諸国救済者として立ち現われておるのであります。ソビエト同盟においては、国土の開発、生産の飛躍的な発展のために原子力が利用され始めておる。今や歴史はまつたく新しい段階に到達しておる。この背景において、米ソの融和、大国間の協力は必須であります。事態はまさにこの方向に進んでおります。トルーマン大統領並びにスターリンの声明も、これを裏書きしておるではないか。講和問題もまたこの方向において解決されなければならないし、解決されることは明らかであります。私は、この際特に総理大臣に伺いたい。総理大臣がみずからなした高言にかんがみて、次の問題に対して答えてもらいたい。  吉田総理大臣は、しばしば外債の償還を云々しておるが、一体講和條約を締結した際に、支拂うべき借金は幾ら残つておるか。これを外債その他について明瞭に述べてもらいたい。さらにつつ込んでお尋ねするが、今次の大戰の敗戰国として、これらの借金代償軍事基地等の利権を許した前例はあるか。またわが国の場合においては、どうしようとしておるか。この点について吉田首相の明確なる答弁を求めるものであります。私の質問は、吉田首相が、この軍事基地の提供によつて外債援助資金の債務を帳消しにしようとしておる意思があるのかどうか、この点を明確に伺いたいのであります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂登壇
  9. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。小麦協定には、まだ日本政府は入つておりません。まだ農地法実質賃金貿易等いろいろお尋ねがありましたが、これは主管大臣からお答えいたします。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎登壇
  10. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農地改革吉田内閣において阻止されておるような御議論でありましたが、それは先般マツカーサー司令官から総理大臣に出されました手紙によつて承知を願いたいと思います。  米価問題につきましては、先般水谷議員にお答えしたことによつて承知を願いたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 風早君は、今回の補正予算並びに来年度予算案につきまして、不安定予算だという御意見でありまするが、私はそう考えません。六・三制、公共事業費は、補正予算並びに来年度予算で十分見込んでおります。大体今の世界の状況から見まして、片一方では歳出を減らし、片一方では減税をするという予算は、今年度のどこの世界予算にもないのであります。日本だけであることを御承知を願います。  次に食糧管理特別会計に百七十億円を繰入れたのは赤字補填だという御者見でありまするが、決してそうではございません。輸入食糧が増加したための運転資金であつて、決して赤字ではないのであります。外国から米が来た場合には米が暴落するという御意見でありまするが、今の日本の米は、外国の米や小麦に比べまして六割程度にしか行つておりません。外国から米が来ましても、やみこそ下れ、公定価格が暴落することは絶対にないことを申し上げておきます。  次に、輸入食糧に対しまして補給金を出すことに反対でありましたが、もし補給金を出さなかつたならば、勤労階級の消費する米価が暴騰いたしまして、勤労階級は非常に困ることを御承知おき願います。  実質賃金につきましてよくならないというお話でございますが、一月以降、実質賃金は横ばいでございます。そうしてまた、来年からは減税によりまして実質賃金はよくなることを、ここにはつきり申し上げます。  なお、今回の補正予算におきまする二百十三億円の自然増收が水増しとおつしやいますが、あの自然増收の内容をごちんくださいましたならわかると思います。しかも、申告納税農業所得営業所得につきましては、予算よりも二百億円減を見込んでおるのであります。従いまして、更正決定をやめるというふうなことは毛頭考えておりません。     〔国務大臣鈴木正文登壇
  12. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 六月もしくは十二月は、賞與月あるいは昇給月でありまして、これをすぐ翌月の実質賃金と比較すれば、いつでも落ちるのが当然でありまして、比較の根底にはなりません。だからこそ、季節的変動を考慮のほかに置けば、大体上昇過程であるということは、昨日申し上げた通りであります。  それから輸出において四十万人雇用が上昇するということは、かつて説明したことはないのであります。輸出をも含めた全産業における雇用が四十万人であるという説明を従来からして来たのでありまして、その傾向はくずれておりません。  それから失業保険を受ける人たちがどのくらいあるかと言いますと、下半期において約十八万人であります。これに対しまして、二十四年度下半期吸收計画は九十九万人ないし百四万人、それに見返り資金関係がプラスされることになつておりまして、これによつて回答ができていると思うのであります。(拍手)     〔国務大臣高瀬荘太郎登壇
  13. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 科学研究費につきましては、すでに本年度の本予算におきまして、昨年度の約七割の増額が計上してあります。つまり、昨年二億七千万円程度のものを四億五千万円に増額してありますので、今回は補正予算に計上しなかつたわけであります。  補正予算における六・三制予算につきましては、もちろんこれで十分とは言えないのでありますが、これを近く二十五年度予算に計上を予定しております部分と合せて考えれば相当の額に達するのでありまして、わが国現在の財政状態から考えれば妥当な予算額であると考えております。(拍手
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次は松本太郎君。     〔松本太郎登壇
  15. 松本六太郎

    松本太郎君 私は、新政治協議会それ表いたしまして、政府財政経済政策に対しまして質問をいたすものであります。  われわれは、本年五月第五国会におきまして、政府の提案いたしました予算案、これに関連する財政経済政策に対しまして、かくのごとき構想をもつてしては、わが国経済復興国民生活の安定は断じて期しがたいということを強調いたした。同時に大蔵大臣は、上の予算案金科玉條であつて、これによつてのみ日本経済復興は得られるとおつしやつた。しかも、補正予算は断じて出さないということをしばしば言明せられた。しかるにもかかわらず、半歳ならずして、ここに予算補正を行わなければならなくなりましたことは、いかに当初予算においてその構想を誤り、しかも杜撰なる予算案であつたかということを証明するものでありまして、まことに遺憾のきわみであります。  しかも、今回御提案になりましたこの補正予算なるものも、まことに矛盾と大きな誤解の上に立つ予算案であることを悲しむものでありますが何となれば、これは昨日来の質問におきましても、同僚諸君からしばしば指摘せられた点でありますが、今日の日本経済界におきまして、自然増收法人税において二百二十余億円、酒税においで百余億円、合計三百三十億円のこの厖大なる自然増收を見込まれたということは、それ自体大きなる見解の誤りであります。二百億の減税をいたしますがために机上の数字減税いたしまの、いわゆる作文予算であると断ぜざるを得ないのであります。われわれは、かような予算の編成をいたしたところの大蔵大臣の御所見が、先日からの御答弁では了解できないのであります。この三百三十億の増收が確実に見込まれるというその論拠を、もつと具体的に国民が納得のできるまで御説明願いたいのであります。  さらに次の問題は、ただいま共産党の風早君も御質問に相なりましたけれども、今日の地労財政の窮乏と申しますものは、言語に絶するものがあるのであります。しかるに、今回の補正予算においては、わずかに九十億の計上をせられておりますが、今日この疲弊困憊の極に達した地方財政に対する措置といたしましては、はなはだ貧弱なものであつて、かようなことであつては、とうてい地方自治体の維持すらも困難であります。来年度以降においては、特にこの点われわれの注意をいたしておるところでありまして、しばしば蔵相は、来年度は大きな減税をするということを主張せられておられる。しかもその減税は、国税において相当程度減税をすると申されるが、われわれの見るところによれば、国税におきましては、ある程度減税は期待されまするが、その半面、地方税におきましては非常なる重税となつて現われ、今日疲弊いたしておる地方財政が一層の不況に立つことが想像されます。この点に対して、大蔵大臣はいかなる手段をもつて地方財政を救済し、これが健全なる運営をはかるべく企図しておられるのでありますか、この点について詳細なる御答弁を願いたいのであります。  さらに政府の財政経済の根本的な問題でありまするが、政府は、わが国経済復興産業の進展、国民生活の安定をば、輸出貿易振興にまつてこれをなそうとせられるようであります。私は、輸出貿易もちろん重要でありまして、貿易の重要性については異論はないのであります。しかしながら、この貿易が、しからば将来いかなる地位に置かれているか、この点は通産大臣の明確なる御答弁を願いたいのであります。  かつて日本が、戰前世界の一等国として多くの領土を持ち、多くの資源を持ち、しかも工業水準におきましても、世界列強に比して遜色はなかつた。いわんや、六百万トンの商船を持つて世界の海洋を自由に馳駆いたしまして、この国力とこの産業力とをもつて貿易をいたしましたそのときにおいてすら、多くは輸入超過と相なつたのであります。しかるに、日本の現在の百国際的地位、日本の現在の資源、あるいは工業水準、この環境の上に立つで、貿易によつて日本経済再建をせられるということは、非常に困難な問題であると存ずるのでありまするが、具体的にはいかなる方法によつて貿易振興し、これによつて日本経済再建をしようとするのであるか、具体的なる御答弁を願いたいのであります。  われわれは、日本経済再建は、その根本的なる問題は、わが国食糧の有給官足にあり、農業、漁業の振興によつてのみ初めて日本経済再建し得られると確信いたします。今日のごとき厖大なる食糧輸入を将来も続けるといたしますならば、日本の國際收支のバランスは、断じて均衡を得ることはできません。われわれは、この輸入食糧を最小限度にとどめ、でき得べくんば近き将来において時給自足の域まで持つて行かなければならないと信じます。それなるがゆえにこそ、前国会におきましては、この食糧増産のための土地改良に関する決議案は、何でも反対せられる共産党の諸君までが賛成せられ、満場一致をもつて本院を通過している。しかるに、この補正予算を見ますると、院議をもつて満場一致決定をいたし、政府に強く要請をいたした土地改良に関する予算は、さらに計上せられてはおらない。まつたく院議を無視するものであります。政府は、観念的にわが国食糧の自給自足は不可能であるかのごとき考えの上に立つておられる。しかし私は、決してこれは不可能ではないということを断言するものであります。  昭和二十二年度のわが国の農業生産力は、米に換算いたしまして、米、麦、雑穀、ばれいしよ、あるいはかんしよ、これらを合わせますれば、九千六百四十二万石の收穫をあげておるのであります。上の九千六百四十二万石に対して、輸入食糧は、その上に約米換算一千三百万石を輸入したのでありますが、この一千三百万石は、国内生産に対しまするところの約一割四分強であります。この一割四分強の増産ができないということは断じてない。すなわち、積極的なる土地改良、未墾地の開発、肥料の増産、電化その他による農業の機械化、あるいは技術の改善、あるいは品種の改良、これらの問題を、総合的に、しかも国が積極的にこれを行いまするならば、この一割四分強の増産は断じて可能であります。しかるに、外国食糧厖大なる輸入によつて多くの調整金を出しておる。この調整金の半ばをもつてすれば、断じてわが国内における増産が可能であると存ずるのであります。私は、農林大臣、案本長官が、これに対していかなる御所見をお持ちであるか、この点について御答弁を願いたいのであります。  さらに、今回の補正予算に盛られておりまする油糧、肥料の両公団に対する四十二億余万円の出資金であります。一体、民事等の諸君も、政府も、公団はすみやかにこれを整理あるいは廃止するということを標榜しておられる。われわれも同感であります。しかるに、ここにかえつて逆行をいたしまして、油糧、肥料のこの両公団に四十二億九千四百万円という出資金を計上しておられまするのは、いかなる理由に基くのであるか、将来これらの公団に対して政府はいかなる措置をおとりになるのであるか、この点について農林大臣の御所見を承りたい。  最後に、吉田総理大臣並びに文部大臣にお尋ねいたしたい。前第五国会予算委員会におきまして、私は吉田総理大臣に対しまして、わが国の文教振興に関してお尋ねをいたしました。吉田総理は、口を開けば文化国家の建設を強調しておられる。この文化国家の建設というのは、言うまでもなく文教の振興にまたなければならぬことは、議論の余地がないのであります。この意味において、今日財政窮乏の中にあえぎながら、各市町村が今や非常なる苦境に立つておる六・三制設備補助金の問題に対しまして、お尋ねをいたした。吉田総理はそれに答えられていわく、この問題は非常に重要であるから、最も近き機会に四、五十億円程度予算化をはかりたい、四、五十億あれば町村があまり迷惑しなくてもよいということを聞いておるから、最も近き機会においてこれを実施するように努力する、かように公約をせられた。しかるに、今回の予算を拜見すると、わずかに十三億であります。この十五億の少額をもつてして、いかにして今回の六・三制の完成を見るか。これははなはだ不可解にたえない。また国会におけるわれわれに対する公約を裏切るものである、かように考えるのでありますが、総理大臣の明確なる御答弁をお願いいたしたい。さらに、先ほど風早君からも御質問があつたのでありますが、文部大臣はかような予算で満足しておるのか。一体日本の文教をいかになさるか。この点について御答弁をお願いいたしたいのであります。  以上の点につきまして、各所管大臣の明確なる御答弁要求いたします。(拍手)     〔国務大臣吉田茂登壇
  16. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。教育費は現内閣において最も重要視する政策一つでありまして、本年補正予算においては十五億と上ましても、二十五年度の本予算において相当額の予算を組んでおります。予算の詳細のことは文部大臣からお答えがあるであろうと思います。     〔国務大臣池田勇人登壇
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 増收の根拠を示せというお話でございます。いずれ他の機会に資料をお上げしてもよろしゆうございますが、簡單にお答え申し上げます。  増收を見込みました税目は、まず法人税であります。二百二十七億円を予定いたしております。十月までに、予算の二百七十億円に対しまして、すでに九五%の收入があるのであります。なぜ法人税がそんなにたくさんとれたかと申しますると、法人の業績はかなりよろしゆうございます。しかもまた、法人の申告納税脱税が非常に少くなくなりまして、申告納税が非常にいいのであります。こういう関係法人税二百二十七億円の増收。次にお酒が百二億円であります。いもを五千万貫しようちゆうとするのを、一億万貫をしようちゆうにして売り出すことにいたしました。従いまして、やみかすとりしようちゆうが退治せられて、しようちゆうが全部増收になつて来る。これで百二億円。決して水増しではございません。次に、勤労所得税が百五十億円の増收でございます。これは賃金が上つた関係もございましようし、また予算が少し見方が少かつた点もあるかとも思いますが、とにかく百五十億円の勤労所得税の増收であります。これは決して水増しではございません。かく計算いたしますと、その三つの税金で四百五、六十億円増收があります。しかして、片方では苛斂誅求とか申しまする申告所得です。営業に対する課税、農業に対しまする所得税は千九百億円の見込みであつたのでありますが、その後の情勢を考えまして、二百億円減收を見込みました。こういうことでありますので、決して水増しではないのであります。  次に地方配付税について申し上げます。今回九十億円を増額配付することにいたしました。これは体予算を組みますときに、五百七十七億円では少な過ぎるという非常に強い意見があつたのであります。その後の財政状況を考えまして、九十億円ほどプラスして補給し得る見込みが立ちましたので、出すことにいたしました。しかして、来年度におきましては、シヤウプ勧告では、財政平衡資金として千二百億円を予定しておりますが、私は、これを千二百四十七億円程度今もくろんでおるのであります。従いまして、来年度におきましてはもちろんのこと、今年度におきましても九十億円の増收でありますから、ある程度地方財政は緩和されるものと期待いたしております。  次に地方税の増税の問題でございます。これはお話の通りに、国務と地方税は一体をなして考えなければなりません。従いまして、所管は違いまするが、大蔵省といたしましても、地方税の増税をできるだけ少くするように、地方財政を国の財政と同様に、できるだけ緊縮していただくようにお話を申し上げ、折衝をいたしております。シヤウプ勧告では、今年の千五百億円の收入に対しまして千九百億円を見込んでおります。その増加額の四百億円のつちには、従来税に相当する寄付金があつたから、この寄付金もこれに入れるという考えのもとに計画を立てておりまするが、このシヤウプの地方税收入は、その後においても相当かえなければなりますまい。かえるにいたしましても、極力減らすようにいたしたいと考えております。  なお農林大臣に御質問でございましたが、肥料公団並びに油糧公団に対して四十二億円の補給の問題でございますが、これは肥料公団や油糧公団をやめるやめないの問題とは別に、肥料が増産になりまして、また輸入の油が多くなりまして、その運転資金が増加いたしますために入れております。肥料並びに油糧公団は、将来の問題としては廃止する方向で検討を加えております。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎登壇
  18. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 輸入食糧の増加に伴いまして、日本の国内農業が非常な弾圧を加えられるような御心配で御質問があつたのでありまするが、今日日本国民に許されている食糧のカロリーは千四百カロリーであります。日本の健全なる時代におけるカロリーは二千四百カロリーを必要といたしたのでありまして、食糧の量におきましては、まだまだ決してこれに脅やかされて日本の農業が困るというようなことは絶対ないのであります。日本のわれわれ国民の食生活は、今後カロリーということより、むしろさらに栄養の方面、いわゆる蛋白の給源を求めて、合理的な食生活にかえて行かなければならぬと思うのであります。排他的な自給自足ということは、われわれ国民として決して考えてはならない。いわゆる融通無碍なる自給自足の立場において、海外の食糧もわれわれの力によつてこれを取入れて食糧とするというふうな建前に食糧政策を立てて行かなければならぬと思います。従つて日本の農業改良につきましては、お述べになりましたように、あらゆる角度において農業の増産に努力せなければならぬ、かように考えておるわけであります。(拍手)     〔国務大臣高瀬荘太郎登壇
  19. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 補正予算における六・三制予算が非常に少いという御意見でありましたが、近く提出されます二十五年度予算と合せてみますと相当の額に達するわけでありまして、これによつて、非常に悪い條件のもとにあります施設の相当の部分を解消できると考えております。六・三制の施設を十分完成しようということとは、相当長期にわたる計画を要するのでありますが、文部省といたしましては、まず第一の段階として、当面緊急を要する最小限度の施設を急速に整備するという方針をもちまして、補正予算及び二十五年度予算の計上を考えておる次第であります。そういう意味で、まず相当の金額を予算に計上できるものと考えております。(拍手
  20. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 通商産業大臣の答弁は、あらかじめ御要求がなかつたのでありまするから、これは適当な機会においてお願いいたします。  次は石野久男君。     〔石野久男君登壇
  21. 石野久男

    ○石野久男君 私は、政府財政経済政策に対しまして、労働者農民党を代表して質問いたします。  問題の第一点は、経済安定問題でありまするが、この問題につきましては、各党の同僚諸君から、しばしば政府所見をただしておるのであります。大蔵大臣は、経済安定問題については、安定しているということを頑迷にも固守しておられるのであります。しかし私は、この際民主自由党及び吉田内閣の諸君に、よく考えていただかなければならないと思いまするのは、諸君らが経済安定を頑迷に固守しておるときに、諸君らをこの議場に送り込んだ全国の手数百万の選挙民諸君は、今日経済の不安定、そのデフレ的な、恐慌的な姿の中に、どろ沼の中にあえぎ悩んでおるという事実を、皆さんはお忘れにならないようにしていただきたいと思います。この政府考え方は、明らかに国民諸君の立場に立つた見解ではないのである。それば金融資本の立場に立つた池田蔵相の見解であるということを明白に申し上げたい。  このような吉田内閣の中に、まだわれわれは良心的な方々があることを御報告申し上げます。それは、経済安定本部がドツジ氏に対する参考資料として出した「経済安定計画実施後の日本経済」という報告書の中に、日本経済を次のように規定しておるのであります。第一に、わが国経済は、市場が狭隘化し、輸出は非常な不振に陷つておる、そうして有効需要は減退し、生産は停滞して、縮小再生産の傾向を顯著に現わしておる、このように規定しております。これは明らかに日本経済の不安定な事実の率直な告白であると私は思うのであります。二十四年度予算を審議するにあたりまして、われわれは、政府の内部にこのような見解の相違のあるということを重要視しなければならない。私は、大蔵大臣にこの点に関しての所見をただしたいのであります。  大蔵大臣は、その財政演説において、かちえた経済安定の基盤の上に、施策の大体はこれをあくまで推進すると言つて、デイスインフレを強調しておるのでありまするが、どこにデイスインフレの形態があるのでありましようか。国民経済はデフレ恐慌におののいておるのであります。十五箇月予算といわれるこの補正予算は明らかにデフレ予算であるということを、われわれは主張するものであります。  すなわち、食糧管理特別会計に対する一般会計からの繰入れ百七十億を初めとして、薪炭需給特別会計五十四億、公団出資金四十二億、国有鉄道への貸付三十億、船舶運営会への二十八億、これに加うるに、ローガン構想に基きます輸入超過額二百四十億は、これは明らかに財政面から来るデフレ要因であると指摘しなければならない。また見返り資金におきまして、日鉄、飯野海運への融資、あるいは鉄道、通信への貸付、米穀証券の引受等を差引いた、現在手持ちされておる約三百九十六億、あるいは預金部の残額である八億、あるいは復金貸出回收額の約二百二十億、政府出資金からの復金償還等、これらは金融面からするデフレ要因であるということを、われわれは指摘するものであります。  かくして、政府補正予算によつて政策は、政府機関への資金の偏在化、これを極度に強めておるものであります。民自党が鬼の首でもとつたように主張されております公共事業費百六億という額は、これらの手数百億に及ぶところの、固着して行くところの資金の前においては、まさに二階からの涙の効能しかないのであります。われわれは、かくのごとき補正予算は、明らかに通貨を金融機関と政府とに偏在固定化させるものであるということを指摘し、その反面、国民経済における流通過程におきましては、通貨はますます縮小いたしまして、デフレの傾向が濃厚に現われておるものであるということを指摘するものであります。この点に関しまして大蔵大臣所見を承りたいのであります。  質問の第二点は、貿易政策並びに価格政策における政府のいわゆる産業合理化の問題についてであります。大蔵大臣は、その演説におきまして、物価引下げの意図を明らかにしたのでございますが、補正予算では、為替レートを変更しない、あるいは補給金を廃止する、運賃の値上げ米価引上げをするというようなことによりまして、国内における物価引上げは必至であります。しかるに、ポンド切下げ等を見てもわかりますように、国際的な物価はますます低下しつつあるのでございます。この国内物価と国際物価とのギヤツプを埋めるために、貿易政策の基本としてこ産業合理化を主張されておるのでありますが、これは、その産業合理化とフロア・プライスの廃止と並行いたしまして、政府は基本的な立場を主張されておるのであります。しかし、これは明らかにドルの陰に隠れて貿易政策を推進しようとするものであり、低賃金によるダンピングを行おうとする政府の強い意思表示であるのであらまして、それはまた同時に独占資本の代弁をもなすものであるといわなければなりません。(拍手)  私は、この際の政府考え産業合理化についてお尋ねをいたすものでございます。産業合理化は、申すまでもなく技術の改良、生産諸設備の改善、あるいはまた労働の一層の強化された搾取あるいは收奪によつてなされるものでありますが、政府及び資本家は、常にこの後者に基いて産業合理化を行つて来たのであります。特に第二次吉田内閣が成立いたしましてから後は、露骨な資本攻勢に基いて、これを強力に実行して参つたのであります。労働を強化し、低賃金を強要して来ておるのであります。  鈴木労働大臣は、昨日の答弁におきましても、本日におきましても、実質賃金は横ばいしておると言つております。しかし、これはごまかしであります。それは第一に、この賃金が横ばいしておるという資料の基本となつたものは、CPIをフイツシヤー式からラスパイレス式に変更して、巧みに数字の魔術を使つたということである。第二には、賃金の遅拂い、欠配ということを無視していることであります。なおいま一つは、現金支出が労働者の問においで特に強く要請されているという事実を見のがしているのであります。  かくの如くにして、政府の企業整備あるいは中小商工業へのものすごい壊滅方策というようなものは、今日日本産業をほとんど麻痺させる状態にまで追い込んでいるのであります。このとき、三百六十円レートを維持するために行おうとする政府合理化政策というものは、これ以上の首切り、これ以上の低賃金を強要しようとしているのであるかどうかということについてお伺いし、労働大臣あるいは通産大臣の御答弁をお聞きしたいのであります。  われわれは、また産業合理化の可能性についても、今日の日本の実情から申しまして、資本家の積極的な犠牲の供與を強力に実施することなくして、今日わが国経済力の実情からいつて生産諸設備においても、また労働力の面からも、もはや合理化はその限界点に到達しているものであると存ずるのでありますが、政府はこれに対してどのように考えておられるのでありましようか。  次に、合理化と並行いたしまして為替レートの問題についてでありますが、吉田内閣は、やせがまんをして、この三百六十円レートを守るために、労働者を餓死させ、産業を壊滅させる合理化を行おうとしているのであります。それは決して戰後の日本経済再建させる方向ではないと存ずるのであります。ローガン方式によるところの満腹輸出をする前に、日本国民経済は大腸カタルで頓死してしまうであろうと私は存じております。(拍手)がむしやらに為替レートを維持することだけが能ではない。今日の場合、吉田内閣において、為替レート維持に対するかわつた考え方を持たれる御意思がないかどうかということを、特に私はこの際お聞きしたいのであります。なおわれわれはここの際通貨安定の施策として管理通貨を考慮するの用意がないかどうかということについてもお伺いしたいのであります。  質問の第三点は農業政策についてであります。吉田内閣は、由来農業政策については、ほとんどこれを述べていないのでございます。戰後、世界の農業は急速に復興しております。ただいまでは、農産物資は世界的に過剰生産の状態になつているのであります。米穀制度の廃止、あるいは国際小麦協定会議の発足等は、明らかにこれの事実の裏づけであると思うのであります。米国における最近の農業生産は異常な発展を遂げまして、戰前に対しては約二倍の能力を持ち、世界食糧供給力においては、その七〇%を持つているといわれているのでございます。大規模の経営が集約的に行われまして、一戸当り百五十町歩ないし二百町歩に及ぶところの耕地は、著しく機械化された農機具で、ごく少数の農業労働者をもつて営農されているのであります。最近、農産物資の過剰生産に対応して、作付面積を米国において減反したところが、逆に増産が行われたといわれております。すなわち、一〇%の減反が逆に二〇%の増産になつたという、このような事実があるのであります。本年の小麦、とうもろこし、棉花等の生産過剰は、一九三〇年の農業における豊作恐慌の当時をほうふつさせるものがあるといわれているのであります。トルーマン氏の農産物支持価格制度のごときは、この事実に即応するものでございます。  政府は、このような農業の世界的事情のもとにおきまして、国際小麦協定に参加しようとしているのであります。問題は、農業の生産性の極度に低いわが国の農産物資を国際農産物価格に対して対応させる用意があつてこのことを考えておられるかどうかという点であります。私は、政府がこの点に対してどのような考え方を持つているかについての御見解を承りたいと思うのであります。(拍手)  米価の決定、輸入食糧等において補正予算に現われている政府の施策は、わが国農業の自立再建に対して何らの確信を示しているものではございません。低賃金のしわ寄せを農村に持ち込もうとする、その農村経済壊滅策のほかには何ものもないのであります。四千二百五十円の生産者価格の決定は、農民要求を無視したものであり、それは農業の再生産を妨げ、農家経済を弱体化し、農産物価合理化を一層不可能ならしめて、国際価格への競争力をますます不利にするものであります。百七十億円の食糧管理特別会計への繰入れは、輸入食糧が本年度において、その計画量より約六十万トン以上を増加するために組まれたものでありまして、その結果、わが国は総計二百九十万五千トン、約二千万石の食糧輸入することになつたのでありまするが、このことは、早晩わが国農村経済への圧迫となりまして、農民諸君に大きな問題を提起するであろうと思われるのでありまして、先ほど大蔵大臣は、この輸入食糧は決して農村に対しての圧迫にならないとおつしやられたけれども、これは明らかに間違いであると存じております。私は、この際政府にお尋ねするのでありまするが、食糧政策におきまして著しく不利になつておりまする国内農産物に対しまして、政府はこれをいかにして育成し、あるいはまた将来にわたつて保護するの所見を持つておられるかどうかということについて、はつきりした御意見を承りたいのであります。  なお食糧に関しては、麦と米との関係は、戰前と戰後では著しくその様子をかえておるものと思うのであります。パン食の普遍化している今日の状態は、わが国における米の重要性を小麦に置きかえるものであろうと思われるのであります。世界的な小麦生産過剰は、一層これに拍車をかけるでありましようし、吉田内閣政策はその上に拍車をかけるものであろうと私は思つております。こうした事情のもとに、わが国の農村経済は、一層世界的に緊密化を‥‥
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 石野君、今申合せの時間が参りましたから短簡に願います。
  23. 石野久男

    ○石野久男君(続) 増すものと思うのであります。従つてまた、憂えられるところの農業恐慌はますますその時期を早めるものであると思うのでありまするが、政府はどのようなお考えであるかということを承りたい。小麦問題は、こうした意味で、わが国の農業恐慌にとつては新しい一要素でありまするが、これはまた新しい農業構造の問題でもあります。政府は、はたして予想される農業恐慌に対して、どのような対策を持つておられるでありましようか。またいかなる農業政策をもつて、新しい農業構造に対して農村経済再建をはかろうとしておるのであるかということについて、明白なる御答弁をお聞きしたいのであります。  最後に、かくのごときわが国農業の危機に直面して、土地改良の一層の促進と土地改革の徹底は緊急の要務であると思うのであります。民主自由党は、第三次農地改革はやらないというようなことを言つておりまするが、はたしてそのような所見であるか、政府意見はつきり承りたいのであります。  これをもちまして私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石野君は、貸金をくぎづけし、資金を吸收してデフレ政策を強行しておるというお話でございますが、もし賃金くぎづけせずに、お金をどんどん出して行つたならば、これは悪性インフレでございます。従いまして、私は今の状態をデイスインフレと申し上げる根拠は、通貨も大体適正になつたし、物価も上つて行かないし、そうして生産も大体持続しておる。これがデイスインフレの現象であるのであります。  次に、三百六十円の為替レートをかえないために労働者は非常に困つておるというお話でございますが、もし三百六十円をかえたならば、一部資本家はよろしゆうございましようが、国民大衆は非常に困るのであります。かえないことが国民のためにいいのであります。(拍手)  なお管理通貨を実施する意思があるかというお話でございますが、管理通貨の定義をどうお考えになつておるか、私は、ただいま金準備もないのでありますから、今の状態が管理通貨の状態と考えております。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎登壇
  25. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。  世界食糧生産事情が非常に好調になりましたことによつて、あまりにも脅かされ過ぎるではないかという御質問だと思うのでありますが、日本食糧は、先ほど申しました通り、人口の増加の点から考えてみましても、また今日の攝取いたしておる量から申しましても、決して今後過剰になるようなことは断じてないのであります。  なお、農地改革政府は中止した掛こういうお話でありましたが、さきに計画いたしましたいわゆる第二次農地改革は、これはその計画通り推進いたすのであります。皆様のお考えになつておる第三次農地改革という内容を聞きまして、全部の耕作地にいたすというお考えらしいのでありますが、さようなことは政府は断じていたしません。  なお農業恐慌ということをお叫びになりますが、私は先ほど申しましたように、今日農業がこの輸入食糧のために恐慌を来すということは断じてない、かように考えております。
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次は佐竹晴記君。     〔佐竹晴記君登壇
  27. 佐竹晴記

    ○佐竹晴記君 社会革新党を代表いたしまして若干の質疑をいたします。  第一に、金融梗塞と消費物価の高騰による国民生活の不安に対する対策をお尋ねいたします、大蔵大臣は、その演説の冒頭において、政府は各般の施策の目標をすべてインフレの收束、経済安定の線に集中して来たのであるが、インフレもおおむね終息を見、わが国経済はようやく安定の軌道に乗ることができたと述べられたのであります。しかし、昭和二十四年度当初予算成立以来、財政は中央・地方を通じまして非常にきゆうくつとなり、金融は非常に梗塞をいたしまして、大蔵大臣の弁解にもかかわりませず、各党各派の代表象の論じましたごとく、デフレの様相を呈しておることは、これは争えないところであります。政府経済安定を目標として企図されました輸出振興を第一義とする集中生産方式の結果は、はたしていかがでありましよう。せつかく生産された製品は至るところに滞貨し、輸出は振わず、業者は悲鳴をあげておるではありませんか。このようなことになるなら、むしろ国内消費物資を安価に生産いたしまして、国民生活の安定をはかつた方がよかつたではないかという声すら聞くのであります。  かくて、輸出を第一義といたします集中生産方式によつて、資金、資材はその方向に集中せられて、一般経済の金詰りははなはだしく、各方面とも四苦八苦の状態にあることは、私が多く申し上げるまでもありません。この窮状に処するために、約束手形や為替手形の類は盛んに濫発されまして、その不渡りは日常茶飯事とされております。信用まつたく地を拂うありさまでありまして、小切手のごときですら、安心してこれを受取ることができないというありさまであります。中小商工業者の倒産は深刻の度を加えておりますし、失業者は次第にその数を増しておりますことは、いなむことができません。  それなら、こういう状態に伴つて物価が安くなつたかといえば、そうではなくて、かえつて国民の日常生活必需品は相当の値上がりを示しておりまして、国民生活が非常に圧迫を受けておることは、これまた多くを論ずるまでもありません。今、大蔵省編集の財政金融統計月報の第二号の、インフレーシヨンと国民生活、諸物価の推移、と題するこの二つの指数表をごらんになれば、その実情を物語つて余りがあるのであります。  私は、第五国会終了後各地をまわつて驚いたことは、今日配給物を受けることができないという者が各町村ともに激増しておることを知つたことと、また、わずか五十円とか百円とかいつたような金のために、自己の衣類、道具類までを質に入れて一時を糊塗しなければならない者がたくさんふえておるという実情を知つたことでありました。政府の施策により、大産業、大金融業者は大いに安定したでありましよう。しかし、一般勤労大衆の日常生活は断じて安定したとは申されません。かような状態であるにもかかわりませず、かえつて運賃の値上げを断行し、価格調整補給金削減し、物価の高騰は必然的となり、また主要食糧の配給価格値上げするというありさまでありまして、国民生活は一層不安に陷るであろうことは言をまたないのであります。この不安を除去いたしまする措置を、その裏づけとして考慮すべきは当然でありますのに、その具体策の示されておりませんことは、まことに遺憾であります。そこで私は、ここに次の諸点を明らかにしていただきたいと存じます。  まず、政府がその力を集中した輸出貿易の不振は一体何に原因するのか。為替レートの改定は必至と思うかどうか。これは大蔵大臣の弁解に心かわらず、それは必至ではないかということであります。すでに一部識者の間においては、四百二十円説、四百五十円説、四百八十円説が論議されておる。また国内の円価百分の一切下げ問題が問題になつております。それがきわめて近い期日に実現するのではないかといわれておりますが、大蔵大臣はいかがお考えになつておるか。  次いで、国内消費物価の高騰と金詰りの板ばさみになつて苦しんでおります勤労大衆生活不安を除去いたしますために、いま少しく具体的にその政策をここに示されたい。さらに、給與ベースの改訂は絶対に私は必要ではないかと思う。もしその改訂を無視いたしまして、そのままで押し通して参りますならば、必ずや摩擦を起し、本日も新聞に出ておる労働攻勢のごときものも予想される。円滑なる国務の遂行と産業振興は期し得られない事態が起るおそれはないか。その見通しを十分に承つておきたいのであります。  第二は、税收の確実性と課税の重圧問題をお尋ねいたします。政府が予想する税收は、はたしてそれほど確実性のあるものでありましようか。昭和二十三年度の所得税は一千八百億円でございました。昭和二十四年度は、それに七〇%を増しました三千一百億であります。しかるに、世相は一体どうでありましよう。さきにも申し上げました通り、デイスインフレどころではございません。金融は梗塞し、デフレの傾向を示しておる。日常必需物価は高騰を示しておる。国民生活は二重の重圧に苦しんでおる。従つて、二十四年度均衡予算が遂行されて以来は、一般の営業者は次第に不景気となりまして、昭和二十三年ごろまでの、インフレ景気でありました当時に比して、その收入は減少したものと見なければなりません。されば、その收入の減少に伴いまして所得税が減るのが当然である。しかるに、二十四年度の予算においては、所得税だけでも七〇%を増徴しようとしておるのであります。ここに重大なるむりがありはしないか。  国税庁の調査によれば、一般個人営業の申告所得税は、十月末現在で、納税額わずかに三百九十九億、予算のわずかに二割一分しか納まつていないのであります。これは不当不正な脱税のせいもございましよう。しかし、これを全体として考えるならば、右課税のむり、課税の重圧ということが根本問題ではないかと私は思うのであります。(拍手)従いまして、政府がはたして予期のごとき徴税の目的を達し得て、円滑に財政の切りまわしができるかどうか、多大の懸念なきを得ないのであります。  今回の補正予算についてこれを見まするのに、本年度内の自然増收二百十三億を計上しておられます。しかし、はたしてそれが確実でありましようか。この二百十三億の自然増收は、各種の税目についてすべて自然増收があるというのではなく、むしろ所得税については四十七億の減少を計上いたしておられる。そこで、法人税において二百二十七億、酒税において百億といつた増收があるために、この所得税の減收を差引いても、なお二百十三億余の増收となるというのであります。ゆえに、もしただいま私が言いましたように、所得税の徴收が非常に不成績であつて、大きな穴が明いたとしたら、法人税増收などで、まかないきれるものではありません。その運営は、はなはだ危惧されざるを得ないのであります。  十一月十四日の読売新聞の報道によれば、「年の瀬に税金旋風、今年も更正決定申告納税にさじを投げた国税庁」という記事が載つております。もしその通り今月末から来月にかけて追加更正決定が行われて、その徴收が強行ざれたならば、容易ならざる事態が起りはしないかということを私は懸念する。やみ商人に対する追求、不当利得者に対する強制徴收は、これは断固遂行すべきでありますが、デフレ傾向のために営業が振わず、その所得が二十三年度よりも減つておるのに、前年度よりも七〇%増しの、二倍近い税金を追加更正決定でかけられて来たときには、たまつたものではありません。(拍手)まじめな営業者にとつては、実にゆゆしき重大問題であると思う。  そこで、私は大蔵大臣に次のことを承りたい。二十三年度よりもさらに不景気な状態に陷つておる本年度において、七〇%の増徴を遂行しようとすることは、根本においてむりがあるではないか。次に、今日国税庁の示す通り、予算のわずかに二割一分しか徴税が行われていないという事実は、このむりを露呈したものではないか。(拍手)従つて、今回の補正予算について増徴を見込んだり、来る二十五年度税收を楽観するがごときは、とうてい許されないことではないか。もしも大蔵大臣が、それには少しもむりはない、徴税の見通しも確実であるとおつしやるならば、二十五年度予算案大綱の、所得税申告課税約二千億について、昨年度の徴收成績が六三・四%であつたので、その六三・四%をかけた一千二百四十億を見積られたのは何ゆえか。もし右六三・四%をかけて算出したのは、脱税等のために実際の徴税額はその程度しか確保できないという趣旨であるといたしまするならば、他方官公吏であるとか、会社、銀行員、その他給與生活をいたしておりまするところの、勤労者に対する源泉課税は、その所得に対する九八・六%を徴收しておる、ほとんど一〇〇%を徴收いたしておりますので、結局源泉課税をせられる者が、申告で納める人の脱税のしりぬぐいをするという結果になるが、それはどうか。(拍手)その不合理を何と考えられるか。  第三にお尋ねいたしたいのは、米価の改訂並びに強制供出の問題でございます。政府は、今回基準米価を四千四百三円と決定し、超過供出の価格を二倍とするとおきめになりまして、かつ消費者価格を一一%つり上げましたことは、もうすでに前論者によつて盡されております。よつて第一にお尋ね申し上げたいことは、農家経済がこれではたして保たれるかどうか、次の生産増強に影響するのではないかということであります。     〔議長退席、副議長着席〕 最近、農家は次第に衰退の状況を示しまして、一方補給金の整理、運賃値上げに伴いまする物価の高騰、工場生産物価と農産物価の鋏状価格差の増大、これらの事由によつて、だんだんその度を加えて参ります実情のもとにおいて、四千四百三円程度のものでは、おそらくやつて行けないではないかという心配であります。ことに超過供出は、旧来三倍でありましたので、石当り大体一万八百円程度でございましたものを、今回は基準米価を上げたにもせよ、二倍にいたしましたために八千八百余円となり、この間二千円の開きがございます。この超過供出価格の引下げは、農家にとつては重大なる打撃であります。これに関し、一部には説をなすものがある。この引下げは、外国輸入食糧価格とにらみ合せて、外国食糧輸入に悪影響を及ぼさないことを考慮されたというのであります。しかし、私の探知するところによれば、そうではなしに、強制供出価格を従来通り三倍にすることは、その筋も御了解になつているということであります。しかるに何ゆえに旧来三倍であつたものを、ことさらに二倍にこれを引下げなければならぬか。それは政府独自の見解か、與党の意向をくんだものか、その詳細を説明されたい。  次いで森農林大臣は、十二日、参議院本会議におきまして、予想收穫高が六千五百五十四万石に対し、約一割の減收が見込まれるので、供出割当の補正を行いたいと述べたが、その補正の数量は何ほどであるか。承るところによれば、各県よりの補正要求は一千万石を突破しているのに対し、農林当局は、わずかにその一割ぐらいの補正を認めようとし、これがために大きな摩擦が起きる形勢となつて、すでにある県の経済部長のごときは辞表を提出したと言われている。もし農林当局が、わずかに一割の補正ぐらいでこれを押えようとしたならば、おそらく、近く開かれるであろうところの知事会議は沸騰して、收拾することのできない状態に陷るおそれはないか。また、もしも農家減收の実情が十分理解せられて受入れられるのでなければ、農業調整委員のごときは、おそらく連袂辞職をするに至るであろうと言われております。その実情は、はたしていかん。また、農林大臣として補正をなし得べき数量に対する確信をこの際承りたいのであります。  なお十二日、参議院において、農林大臣は、(「簡單々々」と呼ぶ者あり)追加供出の法制化については、食糧確保臨時措置法の一部の改正法案を今国会において通過せしめて、これによつて実現をはかるとお述べになつたのであるが、政府はどこまでも食確法を改正し、農民に強制供出をしいるところのお腹であるか、これを明確に承つておきたいのであります。(「時間々々」と呼ぶ者あり)  最後に、六・三制と災害予算について一言いたしたいと存じます。政府補正予算において‥‥。
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 佐竹君に申し上げます。お約束の時間が参りましたので簡單に願います。
  29. 佐竹晴記

    ○佐竹晴記君(続) 承知しました。六・三制費十五億、来年度五十五億を見積り、その配分は、いまだ建つていないところにこれを充てようということでありますが、はたしてそうであるか。もしそうであるといたしまするならば、正直者がばかを見るという結果になります。  なお六・三制費及び災害復旧費について、詳しくお尋ねいたしたいのでありますが、時間がありませんので、これを省略いたします。何とぞ詳細なる御答弁をお願いいたします。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今の経済現象をデフレと見るか、デイスインフレと見るかにつきましては、たびたびお答え申し上げましたから省きまして、輸出減退の理由いかんという御質問にお答え申し上げます。  わが国輸出は、大体今年度五億ドルを予定いたしております。上半期におきましては予想以上の好成績を上げましたが、ポンド引下げの議の起りますにつれまして、一時激退いたしました。しかして、最近ではまた月三千五百万ドルないし四千万ドルの輸出を見まして、私は予定通りに行くのではないかと見ております。しかし、減退の理由といたしましては、大体スターリング・エリア、ポンド地域に日本から物を買うドル資金が不足しておることが一番であります。しかして、最近にポンドが下つたことも一つの原因でございましよう。しかしまた、ほかには、わが国が為替レートを引下げるだろうという、何と申しますか、非常に軽薄な予想のもとに契約が行われないことも輸出不振の原因でございます。しかし御承知の通りに、最近貿易協定が各国と結ばれつつありますので、輸出は今後相当増進するものと期待いたしておりますし、また貿易が民間貿易となりましたために、相当期待し得ると考えておるのであります。しかし、いずれにいたしましても、今の日本の商品は、いま少しく品質をよくし、いま少しく価格を低くしなければ、あまり期待はできないと思うのであります。  次に為替レートの変更でございますが、たびたび申し上げますように、為替レートを変更する理由が見つかりません。また変更したならば、わが国経済界に非常な悪影響を及ぼしますので、絶対に変更しないことを申し上げます。と同様に、賃金ベースにつきましても、名目賃金引上げ考えは毛頭ございません。減税その他によりまして実質賃金引上げに努める考えでおります。  次の税金の問題で、なかなか数字をお並べになつて御追究のようでございまするが、申告納税の所得が、千九百億円の予算に対しまして、十月末三百九十九億円、すなわち二一%しか入つていないという御調査は正確でございます。しかし、昨年十月におきまして千二百億円の申告納税に対して收入が何ぼございましたか。二〇%を割つておるのでございます。今年は昨年よりも納税成績がいいのであります。しかしてまた、千二百億円の当初予算は、昨年はかえませんでした。しかし本年は、千九百億円の当初予算を、補正予算で二百億円收入減を立てておるのであります。私は申告納税は十分入ると思うのであります。しかしてまた、それだけしか入つていみい、二割一分しか入つていないものを、年末に更正決定をしたならば、非常な苛斂誅求の声が大きくなると言われますが、勤労所得と事業所得とを比べますると、予算面では勤労千二百億円、そうして補正前の事業所得は千九百億円、これが勤労では、すでに七百四十億円入つております。事業所得では、まだ二割しか入つていない。大蔵省としては、これをそのままで捨ておけません。絶対に税法の命ずるところによりまして適正な課税をしなければ相ならぬと思うのであります。(拍手かくすることが、勤労階級にも、事業者階級にも、国民全般に公平であると考えております。(拍手)     〔国務大臣青木孝義君登壇
  31. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君) 先ほど私が席に着いておりませんときに、松本さんから公団の存廃についての‥‥     〔発言する者多し〕
  32. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
  33. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君)(続) 御質問があつたようでございます。これについてのお答えを申し上げます。公団は、政府といたしましては、将来漸次これを廃止して参る考えでございます。  それから佐竹議員の御質問にお答えを申し上げます。デフレ傾向と消費物価高騰に伴う国民生活不安をどうするか、こういう御質問であつたと存じます。経済安定施策の効果といたしまして、最近消費者物価水準がおおむね安定しておりますることは‥‥     〔発言する者多し〕
  34. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
  35. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君)(続) 消費者実効物価指数が示す通りであります。昭和二十二年を一〇〇といたしますれば、本年九月は二四六と相なるのでありまして、本年度当初と同一水準にあります。これは、公定価格の上昇と、やみ物価の下落とが、ほぼ相殺される結果と見ることができると存じます。     〔発言する者多し〕
  36. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
  37. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君)(続) しかしながら、今後米価の改訂、補給金の撤廃、貨物運賃引上げ物価騰貴の要因が若干織り込まれておることは事実でございますが、政府といたしましては、企業の合理化による努力、あるいはこれが吸收によつて期待いたしますとともに、本年度二百億、来年度約七百億の減税によつて実質賃金の充実をはかり、国民の生計費を圧迫することは極力避けて行きたいと存じております。さらに今後は、事業投資の増大輸出産業振興等による積極的な雇用機会の増大をはかりつつ国民生活の安定を期待いたしたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎登壇
  38. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。  米価の決定に対して、生産費と非常に違うではないか、いわゆる米価というものは、再生産のできるようにきめなければならぬ、こういう御意見のように聞いております。生産費をどういうところに押えておられますか。生産費におきましても、ピンからキリまでありまして、二十三年の調査によりましても、石当り千円から一万円以上まで、差が格段についておるのであります。その公正なる平均の生産費というものを認めまして、この生産費に償うような米価をきめる、いわゆる適正価価をきめることが妥当と考えております。従つて、この米価よりも生産費を多くかける農業は、経営上合理化する余地があるものと考えますので、これらの指導を進めて行くことにならなければならぬ、かように考えておるわけであります。  なお予想につきましてのお話でありましたが、予想はあくまでも予想であります。九月二十五日の予想と十月五日の予想とは、おのずから本年度において変つて来たのであります。必ずしもあの数字補正のもととなるわけではありません。十分に現状を調査いたしまして、補正すべきものは補正いたしたい、かように考えております。  なお食確法についてお話がありましたが、今日この食確法の改正が必要と考えまして、前国会から継続審議をお願いしておるわけであります。あの食確法は、必ずしも農村に持つておりまする食糧を、あらゆる力をもつてこれを供出せしむる、強権の発動によつて供出せしむるという意味の法律でないことは、法の内容をなお一層御検討願えれば、おのずからわかることと、かように考えておる次第であります。(拍手)     〔国務大臣高瀬荘太郎登壇
  39. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 六・三制予算の地方配当についてでありますが、政府は、本年行いました実情調査の資料に基きまして、最も悪い施設状態にありますものから順次解消しで行くということを基本的な方針といたしまして、地方の実情に即して適切な処置をとつて行きたいと考えております。
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 世耕弘一君。     〔世耕弘一君登壇
  41. 世耕弘一

    ○世耕弘一君 私は、公正倶楽部を代表いたしまして、簡單政府質疑を行いたいと思うのであります。  過日の大蔵大臣の財政演説の中に、金融の発展を期するために地方銀行の増設を促進したいということがあつたように記憶いたしております。従来大蔵省がとつて参りました金融の中央集権主義あるいは一県一行主義を改めて、地方銀行の発達を促すに至つたことは、まことに同慶にたえないと思うのであります。しかしながら、地方においで特色のある銀行をば起さんといたしましても、既存の銀行の勢力に押えられて、せつかく大蔵大臣の企図するところの金融機関の発達が実際に行われない結果を生むことは、およそ想像がつくのであります。賢明な大蔵大臣は、この点を考慮されて、地方に銀行を新設する場合、地方の特色ある銀行として、金融の発展を促すところの、何か親心ある処置を当然考えられておるであろうと、私はかように考えるのでありますが、この点に対して大蔵大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  なお日本の金融業者の立場から申しますと、多くは対物信用を中心とした金融が従来から行われて来たのであります。これは日本の金融界の進歩しない一つの原因ではなかつたか。私は、この際対物信用からさらに対人信用に切りかえるよう大蔵大臣よりしかるべく指導してもらうことが、今日の産業界を発達せしめるゆえんではないかと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいことは税金の取立ての問題であります。すでに私の手元にも、右方面から税金の取立てについての税務官吏の苛酷な態度に対して、幾多の陳情が参つております。おそらく諸君の手元にもあろうと思うのでありますが、私はこの機会に、今日の税金の罰金取立てのような態度並びに非難はすみやかに解消するように御指導を願いたいと思うのであります。この点に関して何かお考えがあるかどうか。なおまた税に関する観点でありますが、できれば、原則として税の收入は納める者に還元するという趣旨をもつて政策を立てることが、今後の経済問題解決に有利ではないかということを、この際指摘しておきたいのであります。要するに、権利と義務は完全に法文化されておりまするけれども、これが実行にあたりましては、温情をもつて取扱うということが、すなわちゆとりのある政治ではないかと、私はかように考えるのであります。この点特に御考慮願わぬと、いたずらに官と民との感情が疎隔して行くということは、御同様に感ずることであろうと思うのであります。  次に価格統制の問題でありますが、できれば私は、この機会に、民間経済の自治確立の意味において、統制はすみやかに撤廃してもらいたいということを要求してやまないのであります。  なおもう一つは、米の消費者価格が明年一月から一一%引上げられ、海上並びに陸上運賃も新たに引上げられる予定のようであまりするが、従来の吉田内閣の方針から見て、この点やや矛盾を生ずるのではないか、この点の調和はどこにとられておるかということを、お尋ねしておきたいと思うのであります。  さらにお尋ねいたしたいのは、長期にわたるところの経済安定策についてであります。かなりむずかしい問題と思いまするが、少くともこの際、国家資源の積極的な開発が計画されていなくてはならぬと思うのであります。おそらく吉田内閣には、この点に対して大いなる抱負があろうとおもいますから、この機会にお尋ねしておきたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいのは食糧輸入の問題であります。これについては、いろいろ御議論があつたようでありますが、農村では、食糧輸入よりも、できれば肥料を多く輸入することを望んでおるのではないか、この点について、農林大臣はどういうお考えを持つてなされておるか。農林行政にはくろうとの大臣であるから、この点について十分なお考えがあろうと思うのであります。  さらに申し上げたいことは、今日日本国民は、依然として米麦にのみ食糧を求めんとするきらいがある。かくのごときことは時代遅れではないか。空中から窒素をとり、硝酸アンモニアにさらに酵母菌をまぜて新たなる化学食糧をあみ出したことは、すでに相当の年月がたつておるのであります。この機会に、日本においても、新たなる食糧計画というものは当然あつてしかるべきであろうと思うのであります。この点について何かお考えがあるかどうか。  次にお尋ねいたしたいことは官公吏の職権濫用であります。この職権濫用の弊害が、ややもすれば経済界に大きな波紋を描き、国民生活を不安に導くという例がないとは言われないのであります。この点について、特に総理の御答弁を願いたいと思うのであります。なお実際問題として、私は事実をここに例示いたしたいと思うが、最近官公吏の犯罪増加の原因の一つといたしまして、特に公団関係り犯罪が各所に摘発されております。大阪だけの新聞の記事をながめて見ましても、食糧公団、油糧公団、繊維貿易公団、価格調整公団におきまして、すでに一千人にのぼるところの容疑者が今日取調べを受けておるという現状であります。これは一例にすぎません。せつかく政府が苦心されて経済の安定をはかりつつあるときに、他面にかくのごとき現状では、せつかくの努力が水泡に帰するであろうということが言えるのであります。特に私がこの機会に諸君の御注意を喚起したいと思うことは、薪炭特別会計において、すでに五十億以上の赤字が出ておる。そればかりではない。食糧管理特別会計には、すでに百億の赤字を出しておるということが、きようの新聞に出ている。この陰に犯罪がかくれておらぬということを何人が断言できますか。世間の論調をここに御紹介すれば、公団なるものは、まつたく悪の官僚とやみ屋の集りであるということを言つておることは、必ずしも私は否定すべきことではないと思うのであります。  昨日の新聞記事に、池袋の駅前に十五万俵の木炭が野ざらしになつておる。これは一部分であります。おそらく全国の山野には数百万俵の木炭が雨ざらしにされておるという一部分が新聞記事に出たということを考えたら私はよかろうと思います。この悪例の原因はどこにあるかと言えば、言うまでもなく、統制経済の矛盾がかくならしめたということを、われわれは静かに考えなくてはならぬ。ことに私が皆さんにお願いしたいことは、一人の炭焼きが奧山から炭を運ぶときに雨にあつたときの状態を皆さんがお考えなつたらよろしい。もし木炭を運ぶときに雨にあつたら、山村の炭焼きは、自分でかさをかぶらないで、むしろその木炭にかさをかけて市場に運び出して来るというのが、すなわち製炭業者の実情であります。(拍手)それが今日たなざらしにされているではないか。かくのごときことは、聰明なる吉田総理大臣がお聞きになつたら、新たなお考えが浮んで来るであろうと私は思う。要するに政治の要諦は、かくのごとき矛盾を直すことであります。私は、今日経済が安定しているの、あるいは安定していないのということを、この壇上で論議したくはありません。それよりも、現内閣のおかげによつて近ごろは大分らくになつたという声が民間から起ることが一番大切であるということを言いたい。この意味におきまして、私はなお一層綱記の頽廃をすみやかに引きしめることをお考え願うと同時に、その御所信を承りたい。講和会議を開かれるにあたつても、紳士国家としての日本の建設の前に、かくのごとき国内の醜態がそのままでは、有利なるわれわれの外交は展開されないであろうということを痛感いたしまして、特にこの点を申し上げて質疑の一端とした次第であります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂登壇
  42. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 官紀の粛正については、現内閣としても従来十分注意いたしましたが、今後もなお注意いたします。  なお官公吏の犯罪につきましては、法の命ずるところによつて厳重に処置をいたします。さよう御承知を願います。     〔国務大臣池田勇人登壇
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来の一県一行主義を改めて、地方に新たなる銀行が設立されることが望ましいということは、先般申し上げた通りでありまするが、政府からこれが設立を勧奨するということはいたさない考えでございます。  次にまた金融につきまして、対人信用で行くべきであつて、対物信用で行かない方がいいんじやないかという御意見でありますが、これは反対であります。やはり今後の金融は対物金融を原則とすべきものと考えております。  税務官吏が徴税にあたりまして罰金をとるような態度に出るというお話でございます。もしありとすれば、まことに遺憾な点でございますので、われわれは、今後税務官吏の素質の向上と税務行政の円滑を期したいと努力いたしている次第でございます。  なお納税者に税金を還元するという御意見でございますが、これは目的税ならばともかく、今の税法では、納税者に現金を還元することは考え得られません。  統制撤廃につきましては、御承知の通りに、できるだけ早い機会に広範囲に撤廃すべく計画しておりますし、国土開発につきましては、公共事業費を増加いたしまして国土資源の開発維持に努めますと同時に、今後見返り資金の使用等につきましても、この観念を入れて計画して行きたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣森幸太郎登壇
  44. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。  外国より食糧輸入するよりも、むしろ肥料を輸入した方がいいではないかという御意見もありましたが、御承知のごとく、今日輸入いたします肥料の種類は、日本の水田に適当せない硝安でありまして、これは畑地の肥料でありますので、これを日本輸入するということは、あまり好ましくないのであります。日本といたしまして最も必要なのは燐鉱石とカリでありまして、これは御承知の通り日本生産いたしませんから、ぜひ輸入を仰がなければならないのであります。しかし、電力、石炭等の事情がよくなりまして、化学肥料も相当の増産の道をたどつて参りました。しかし、わが国の農業政策といたしましては、できるだけ化学肥料を少くして、有機質なる肥料によつて土地の力を維持して行きたい、こういう指導方針を持つているのであります。戰時中やむを得ないから科学肥料に依存しておりましたけれども、科学肥料に依存することは、国土を愛する上から申しまして決して好ましからざることと考えております。  なお木炭についての御親切な御注意でありましたが、これは政府の持つております木炭は、倉庫をすべて持つておりまして、その木炭が問屋の手に渡りました場合に、問屋があの道ばたに積んで置くのであります。決してあれは政府の所有の木炭ではないのでありますから、その点はよく実情をお調べくださつて御批判を願いたいと存じます。  なお食糧特別会計の百億円の赤字についての御質問でありましたが、これまた御注意を受けたわけでありますが、先ほども申しました通り、これは昨年いもの切干を超過供出させましたところが、一四%の予定が三五%でありまして、非常に供出が多くありまして、それの滞貨いたしておるための赤字であります。決してこれは品物のない赤字ではないのであります。今いろいろの研究が進みまして、この滞貨をさらに有益に処分する方法も考えておりますから、この赤字はおのずから解消することと考えておるわけであります。(拍手
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 先刻の石野君の質疑に対しまして労働大臣及び通商産業大臣から答弁したいとのことであります。鈴木労働大臣。     〔国務大臣鈴木正文登壇
  46. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 先ほどの石野議員の御質問にお答えいたします。実質賃金の動向は、しばしば申し上げた通りでございます。しかしながら、なお戰前に比べれば相当低いのでありまして、今後その上昇にもちろん努力いたすべきであり、その努力の方法は、昨日も水谷議員にお答えした通りでありますけれども、経済安定の軌道の上において行わるべきである、そういうふうに考えております。     〔国務大臣稻垣平太郎登壇
  47. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) 企業の合理化の問題についてお答え申し上げます。この点については、昨日荒木議員の御質問に対してお答え申し上げておいたのでありますが、簡單に申し上げますと、要するに今日統制のわくをはずしたいということと、国際的に価格をさや寄せする、こういうことをバツク・スクリーンといたしまして、企業の合理化は一方に操業度を上げることであり、一方に経営の能率化をするということであります。これを裏返して申しますならば、すなわち言いかえれば、価格構成におけるところの比率をいかにとるかという問題であります。また同時に、一人当りの生産量をいかにするかという問題であります。これは各企業者が十分に判断をいたしまして、みずから行うべきものだと私は考えております。
  48. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第一、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事山村新治郎君。     〔山村新治郎君登壇
  50. 山村新治郎

    ○山村新治郎君 ただいま議題と相なりました、農林委員会に付託せられました、内閣提出家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の審議の経過及び結果の大要を簡單に御報告申し上げます。  現在都道府県知事は、家畜伝染病の予防、制遏のために、定期的に、または緊急の場合に家畜の検診を行うとともに、免疫血清もしくは予防液の注射あるいは薬浴等を実施いたし、また万一伝染病が発生した場合、または蔓延の危険のある場合には、これを防遏する手段といたしまして、伝染病にかかつた家畜の隔離または殺処分を行い、あるいは病毒に汚染した物品の燒却、埋却を行いますと同時に、他方二定の地域を限つて家畜の出入りもしくは往来の禁止または伝染病の病毒を伝播するおそれある物品の制限を行う等の緊急措置を講じまして、その目的達成に努めているのであります。しかして、以上の措置をとりました際、家畜の殺処分もしくは物品の燒却、埋却等の処置または予防注射等を行いましたために生じました家畜の死亡等に対しましては、現行法は、国庫負担によりまして三万円を越えない範囲内で、政令の定める額の手当金を、その所有者に交付することになつております。しかしながら、この手当金額は、家畜及び物品の最近における著しい値上りに比較して少額に過ぎ、殺処分その他防疫上必要な処置の徹底を期しがたい実情にありますので、これに対する手当金の額を九万円を越えない範囲にまで引上げ、家畜防疫事業の完璧を期したいというのが、本法律案提案の理由であります。  本法律案につきましては、去る十四日提案理由の説明を聴取いたし、続いて質疑を行い、民自党原田、薬師神、足立各委員、社会党井上委員、共産党竹村委員より、馬の伝染性貧血防遏のため一段と努力すべきこと、家畜伝染病は公衆衛生の立場上厚生省との関係が深いので、両者は緊密に連絡をなすべきこと、また殺処分をする際迅速適正を期すべきであること、並びに畜産奨励上飼料の確保に努力すべき旨の発言がありました。これに対し政府委員より、十分その趣旨に沿うよう努力しているとの回答がありました。なお委員長として私よりも、殺処分等を行いまする場合に地方庁と十分連絡せられ、公正的確な措置をとるよう留意せられたい旨を申し述べました。  本法律案は、農村経済の改善、有畜農業の確立並びに公衆衛生向上の上から見ましてまことに時宜に適した措置でありまして、各党ともこの趣旨には異議のないところでありますので、討論を省略して、ただちに表決に付しましたところ、全会一致をもつて可決した次第であります。  以上御報告申し上げます。
  51. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十分散会