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米窪滿亮君 私は、
日本社会党を代表するとともに、百八十余名にな
つております海運議員連盟の総意を体しまして、今や崩壊の一歩手前に迫
つております海運業の問題につきまして、ごく簡單に数点について
関係大臣に御
質問申し上げたいと思います。
日本産業の再建は、再
生産された労働力によるところの
生産増強と、海外における輸出入の貿易の振興にあることは、私が多く言う必要がないのでありまして、この両点につきましては、現下の情勢はきわめて萎靡沈衰しておることは、
皆さんもすでに御
承知の
通りであります。この角度から見まして今日の貿易は、先ほど同僚山手君が御指摘に
なつた
通り、いわゆる盲貿易であると同時に、FOB貿易でございまして、自国船によ
つて海外への輸出及び輸入の品物を運ぶという段階に参
つておりません。すなわちこの際海運産業を振興しない限り
日本の経済再建は決して実現しないものと断定してもさしつかえないのでございます。(
拍手)
この点につきまして私御
質問申し上げたい点は、最近新聞紙上をにぎわしている海陸運賃の調整というものがどう
なつたか。新聞紙の伝えるところによると、
政府は汽車の貨物運賃を九割上げるということがきま
つておるということでございまするが、これに対して運輸省と経済安定本部との間に若干
意見の食い違いがあるということを聞いております。この問題と関連して、われわれが考えなければならない点は、か
つては船で運んでおつた荷物が陸上へ転移しまして、陸運にとられておる。ことに鉄道省が使用しておつた省炭と称する石炭が、大部分自分の省で使う石炭であるというので鉄道がこれを運んでおりまして、そのため汽船及び機帆船で運んでおつた石炭が鉄道の方へ移転しております。その他の荷物も同様の推進をたど
つておりまするが、この際お尋ねしたい点は、鉄道の貨物を九割上げるということと関連して、われわれが知りたいことは、船の荷物の運賃をどの程度調整するかという点でございます。この点をまず第一にお尋ねしたいと思うのでございます。
第二の点は、
船舶運営会と称しまして、今日
日本の国が保有している
船舶の大部分を動かしているこの公団が、来年の三月三十一日をも
つて解散すると伝えられております。この解散についての処置をどうおとりになるか。
船舶運営会は相当の
赤字を出しておりますが、伝えられるところによると、この
臨時国会に約二十億円の
補正予算を出してその
赤字を埋めると言
つておりますが、私の聞くところによると、二十億円ではこの穴はふさがらない。この点を運輸
大臣はどうお考えにな
つているか。またこの二十億円のうちに、
船舶運営会で雇われておつた者の退職によるところの退職金その他のそういう人事の費用が入
つているかどうか、この点をお尋ねしたいと思うのでございます。さらに来年三月三十一日限りでも
つて解散される運営会のあとはどうするか。若干の船は遠洋へ航海するという意味で、
船舶運営会に残されると思うのでございますが、これに対しても、伝えられるところによると、攻府は二十億円を来年度の
予算に支出して、そうしてどういう形で残るか知りませんが、あるいは
船舶運営会といい、あるいはCMMCと伝えられておりますが、私はこの点は貿易問題に非常に重大な影響を及ぼすと思います。運輸
大臣は、これらの見通しにいてどう考えられるか。
第三点は、攻府は公団を順次廃止する力針をと
つておられます。ここに
船舶公団というものがあります。船をつくる場合において、船主が出資をしたほかに、
船舶公団がこれに対して同額あるいは六割、八割の
船舶建造
資金を貸しております。この
船舶公団を廃止した後に、今後はどういう形で攻府は残すつもりであるか。これは外航へ
日本の船が進出して参りまして、外国の荷物を
日本船で運ぶためには、どうしても新しい船を建造しなければならないのでございますが、これと関連して
船舶会団をどうお取扱いになるお考えであるか、この点をお伺いします。
その次に第四点としてお伺いしたい点は、この点は攻府として御回答にあるいはお困りかもしれませんが、今航路の
関係で押えられている、あるいは建造トン数で押えられているところの
日本の船を、そのトン数の制限、航路の制限を撤廃するように、どの程度に
関係筋と今まで交渉ができておりますか、あるいは今後どの程度見通しがつくか、この点が明らかにならないと、
日本の貿易は依然として盲貿易、依然としてFOB貿易を続けて行かなければならない。非常に高い外国の運賃と、非常に高い外国の保險に、
日本の輸出の純
利益は奪い去られてしまうのでありまして、決して自立的な
日本の海運産業は起らないと思うのでございます。この点は攻府の確信のあるところを、ひとつ告白される程度において御
答弁願いたい。第五点は、
かくのごとくに新しいロイドの検査、あるいはABの検査というものをとる資格のある船をつくらなければならないのでございますが、これは御
承知の
通り、非常に多額の建造
資金を要するのでございます。聞くところによると、例の対日援助見返
資金の中から、七十億円というものを
政府は
一般会計へ振り込むことを先方と交渉しておるということであります。しかし、この七十億円エイド・ファンドのほかに、同額の金を船主は出さなければならない。しかるに、これに対して金利が今日非常に高い。エイドファンドに対しては七分五厘に引下げてもらいましたが、それと同額の、船主が支弁するところの
資金に対しては、
日本の今日の日銀その他興業銀行等の金融
関係においては、きわめて嚴重なる融資の
対策をと
つている。ある一定のわくを越すと、すぐ高率強化という制度を振りまわして来るのでございまして、船主は大きい新しい船、ロイドの検査を受けることのできる程度の船をつくりたいのであるけれ
ども、金融の点で、これがなかなかつくれないというのが現状であります。この点について
大蔵大臣はどういうお考えを持
つておるか、お伺いしたいと思うのでございます。次に機帆船の問題であります。
日本の機帆船は、従来非常に
日本の海運業のために役立
つて参りました。ところが、この機帆船は石炭をたくのでなくて、いわゆる重油をたく機船でございます。しかるに、昨年まで約七千キロリットル外国から重油が入
つてお
つたのが、本年はわずかに一千キロリツトル、六分の一に減
つております。しかも、外国から来る総量は減
つておらない。その差額はどう使われておるか、私
どもにはわかりません。しかし、このいわゆる機帆船の燃料は今日極度に縛られておるために、機帆船は各港々にみな停船しております。この状態をいかにして当局は打破されるつもりであるか、
関係筋との御交渉がどの程度に進んでおるか、あるいはそのかわりの方法はどうお考えにな
つておるか、この点をはつきりとお尋ねしたいと思います。第七点は、今日、
日本通運株式会社という会社がございます。これは特殊法人でございまして、非常に大きな
資本と組織を持
つております。これが現在各港の
港湾荷役に食い込んで来ております。最近、この特殊法人であつた
日本通運株式会社法という
法律がなくなりまして、これにかわる
港湾事業法といつたような
法案が出るそうでございますが、かりに、そういうぐあいに特殊法人を取消して普通の商事会社になりましても、あの大きな
資本と組織を持
つておる通運会社が各港において
港湾荷役に
関係して来れば、各港の港運会社は、みなもろに倒れてしまいます。しかもー方において、この通運会社というものは経清力集中排除の
対象にな
つておりまするが、いまだに幾つにこれをわけるかという分団の方式がきま
つておりません。これについて、当局者である運輸
大臣はどうお考えであるか。こういう一種のカルテル、大きな
資本というものを許してお
つて、各
港湾の荷役がこれらの会社に独占されるということを見のがしておられるかどうか、この点をお尋ねしておきます。最後にお尋ねしたい点は、今日
かくのごとく海運産業が萎靡沈衰しておるのでございまして、船主といい、あるいはドック会社といい、あるいは港運会社といい、必然の結果として企業整備というものを行いつつあります。私、この際会社の名前はあげませんが、大体平均三分の一ないし二分の一の従業員を首切
つております。しかもこの従業員というものは、單なる労働者でなくして熟練の労働者であります。多年の年期をかけて、多年の経験と技術を持
つておる熟練の労働者であります。これを、目先の採算にとらわれて、この際いわゆる
赤字を埋めるために首切
つておりまするが、これに対して労働
大臣は、そういう企業家のいわゆる目先の勘定によ
つて 将来復興することを希望し、あるいは復興しなければならない
日本の海運産業のために、なぜこれを温存せしむるところの方策をおとりにならぬか。あるいは、すでにおとりにな
つておるか。もしとらなければ、これの
失業対策はどうされるつもりであるか。この点について労働
大臣にお尋ねしたいと思うのであります。今日
総理大臣はすでにおいでになりませんが、この対外的な渉外的な問題について、運輸
大臣が
お答えにならなければ、增田
官房長官からして、この
関係筋の意向を、お許しがある程度において御発表を願いたいと思うのであります。本日ここに携えて参
つたのは、船主側及び港運業者扱び船員あるいは造船所の組合及び港運会社の組合、労資双方から参
つており、しかも、これはわずか一部にすぎない陳情書でございます。どうぞ、このさんたんたる海運産業の没落に瀕しておる
実情をひとつよく御理解の上、親切にして丁寧な御
答弁を願いたいと思うのであります。(
拍手)
〔
国務大臣大屋晋三君
登壇〕