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1949-10-25 第6回国会 衆議院 本会議 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十五日(火曜日)  議事日程 第一号     午前十時開議  第一 議席指定  第二 会期の件     ————————————— ○本日の会議に付した事件  日程第一 議席指定  国会法の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  故議員若松虎雄君に対する荒木君の弔辞  故議員齋藤隆夫君に対する弔詞贈呈の件  国際小麦協定参加に関する緊急質問竹山祐太郎提出)  日程第二 会期の件     午後一時四十九分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 諸君、第六回国会は本日をもつて召集せられました。  これより開議を開きます。      ————◇—————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 衆議院規則第十四條によりまして、諸君議席は、議長において、ただいま御着席の通り指定いたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出国会法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  国会法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。議院運営委員長大村清一君     〔大村清一登壇
  7. 大村清一

    大村清一君 ただいま議題となりました国会法の一部を改正する法律案提案理由を説明いたします。  第五回国会において国家行政組織法の一部を改正する法律及び各省設置法が成立いたしましたために国会法改正しなければならないこととなつたので、議院運営委員長においては、閉会中四回にわたり愼重審議をいたしました結果、ここにこの成案を得たのであります。  今その内容について申し上げますれば、第一に、国家行政組織法において新たに特別職たる政務次官設置せられることになりましたので国会法第三十九條を整理する必要があるのであります。第二点は、各省設置法の施行に伴い、議院常任委員会もこれに対応せしむる必要がありますので、その名称を改め、数を二十一から二十二に増加いたしたのであります。第三点は、国会職員は従来特別職でありましたが、これが一般職に改められた結果、專門員に関する規定整理する必要があつて、第四十三條を改正することにいたしたのであります。第四点は、第七十八條に関するものでありまして、従来自由討議は三週間に一回開くことになつていたのでありますが、議院運営委員会において、やむを得ない事由があると認めた場合には、これに従うことを要しないこととしたのであります。  以上大要を御説明いたしました。何とぞ諸君の御賛成を望んでやみません。(拍手
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これには質疑通告があります。——官房長官はただいま参議院運営委員会に出席いたしておるそうでありまして、すぐこちらへ参るはずになつております。ちよつとお待ちを願います。     〔「休憩しろ」と呼び、その他発言する者あり〕
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) それでは通告によつて質疑を許します。土井直作君。     〔発言する者あり〕
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 官房長官はすぐお見えになりますから、お見えになつてから登壇を願います。     〔土井直作登壇
  11. 土井直作

    土井直作君 ただいま上程されました国会法の一部を改正する法律案に対しまして、きわめて簡單ではありまするが、増田官房長官に対しまして御質問を申し上げたいと思うのであります。  去る第五国会に、議院運営委員長大村清一氏の提出になりまする国会法の一部を改正する法律案が上程されたのであります。これは五月の二十二日に、本衆議院におきましては、野党のきわめて合理的にして正々堂々たる反対があつたにもかかわらず、與党たる民自党は多数の威力をかりまして、わずかに審議期間五月二十三日一日で、これを通過せしめたのであります。ところが参議院におきましては、この法律案政府並びに與党の涙ぐましきまでの努力があつたにもかかわらず、遂に審議未了終つたのであります。  この法律案の骨子は、国会法第三十九條中の「各省次官」とあるを「政務次官」に改めることと、各省設置法通過と関連いたしましての委員会名称変更あるいは増置でありました。しかるに、この案が審議未了に終り、法的根拠失つたのにもかかわらず、政府はその後各省政務次官を置いておるのであります。これはまつたく法を無視した行為であると思うのでありまするが、この点に対しまして増田官房長官見解をただしたいと思うのであります。  すなわち、国会法第三十九條には「議員は、内閣総理大臣その他の国務大臣内閣官房長官各省次官及び別に法律で定めた場合を除いては、その任期中国又は地方公共団体公務員と兼ねることができない。ただし、国会の議決に基き、その任期内閣行政各部における各種委員顧問参與その他これに準ずる職務に就く場合は、この限りでない。」と規定されておるのであります。ところが、政府各省次官を任命いたしましたところの理由、その根拠と考えられますところのものは、国家行政組織法の一部を改正する法律案の第十七條、この十七條の中に、それぞれ政務次官その他の問題が規定されておるのであります。これは衆参両院とも通過いたしたのでありますから、この面におきまして各省政務次官を任命したと考えられるのでありまするが、国家行政組織法の第十七條の中には、議員が兼任をなし得るところの規定は全然書いてないのであります。従つて国家行政組織法のこの案を基礎といたしまして国家法改正が当然行われなければならない。この改正を行わなければならない立場を考慮いたしました結果、大村議院運営委員長名前におきまして——提案者といたしまして、国会法の一部改正が五月二十二日に提案なつた。これが審議未了に終つた以上は、各省政務次官を置くべきところの法的根拠はまつたく失われたのである。(拍手)しかるに、この法律を無視しまして現内閣が自由かつて政務次官を置くということは、明らかに立法府を無視したところの越権行為であると申し上げざるを得ないのであります。(拍手)  さらにお聞きしたいと思いますることは、政府行政組織の一部と考えられまするところの各省に、それぞれの委員会が設けられております。私の手元に参つておりまする資料によりますならば、約十の審議会が設けられておるのであります。さらにこのほかに、官制によつて米価審議委員会というものもあるのでありますが、その資料は参つておりません。臨時煙草制度協議会、あるいは北海道総合開発審議会行政制度審議会青少年問題対策協議会文教審議会電信電話復興審議会失業対策審議会総合国土開発審議会人口問題審議会政府支拂促監査会税制審議会、こういうような各種審議会が設けられているのでありますが、この審議会の中に衆参両院議員名前が連ねられているのであります。  これに対しましては、さきに私は、議院運営委員会の席上、この問題に対しまして増田官房長官に出席を求め、これがいかなる形において任命されておるかということをただしましたところ、これは国会法の第三十九條とは何ら関係がないことであつて、これらの委員諸君は單なるオブザーバーである、こういう言明があつたのであります。ところが、この審議会に入つております委員の人々は、オブザーバーという立場より以上、たとえばある人のごときは、委員長という名称を用いて公聽会を開き、あるいは会議のイニシアチーブをとつておるという事態があるのであります。  私は非常に不敏でありまして、オブザーバーという言葉の範疇が明確でないのでありまするが、私たちの考えの上から見まするならば、オブザーバーというのは單なる参画者でありまして、これが会の主導的立場、あるいはまた委員長のような立場をとるべきものではないのではないか。最も円満なる政治的常識識見とを備えている理由のもとに政府の大番頭としてその仕事を担当しておる増田官房長官見解は、いかにも政府のむりを糊塗せんとするための言辞であるというより思えないのであります。この点につきまして、政府は明らかに違法行為にあらずと断定するのかどうか。言いかえまするならば、国会法第三十九條の国会の承認を得ずしてこれらの委員を任命し、しかも速成的に考えられるのでありまするが、このオブザーバーというのは、私が資料を求めてから後、やむを得ざる形においてオブザーバーという名称使つたように考えられるのであります。この委員を任命いたしましたときには明らかに辞令が出ておるのである。その辞令オブザーバーという辞令ではないはずであると思うが、はたしてその真偽はいかようになつておるのでありますか、その点をお伺いしたいのであります。  次に大村議院運営委員長に御質問申し上げたいのでありまするが、すでに今日政府法律根拠ありといたしまして政務次官を任命し、そうして行政執行の上において何ら支障がなくなつておるにかかわらず、今あらためて国会法の一部を改正する——もとよりこれだけではありません。先ほど説明された中には他に改正すべき点もないではありませんけれども、これらの事柄を特にこの際改正しなければならなかつたというその理由根拠をこの機会に明確にしていただきたいということを御質問申し上げる次第であります。  以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣増田甲子七君登壇
  12. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 土井さんにお答え申し上げます。国会法第三十九條にいわゆる各省次官というものは——国権最高機関を構成する国会議員が兼ね得る職務としては、大臣官房長官政務官、すなわち大臣官房長官もいずれも政務官でございまするが、政務官になれるのであつて、その他の者には当然なれないのである、こういう趣旨にわれわれは読んでいる次第であります。すなわち、各省次官とは政務次官であることは今も前もかわりなない、こう信じてわれわれは政務次官を任命いたした次第でございます。  それから第二の各種審議会でございます。これは本来、国会法第三十九條後段に、行政各部委員顧問その他と書いてございます通り行政組織内容に入つているものというふうにわれわれは解釈しておつたのであります。それが執行機関でございましても、あるいは諮問機関でございましても、法律の中に、たとえば教科書決定する場合は教科書検定委員会審議を経てというような法律があつて、初めて行政組織内容を構成しておるということは、おわかりの通りでございまして、そういう委員会諮問を経ないと教科書決定もできないといつたふうな委員会委員になる場合には、国会同意を要するという條件をかけているものとわれわれは解釈しております。すなわち、公務員の一である国会議員国権最高機関を構成する構成員であるからして、自由に闊達に職務を執行していただかなくてはなりません。それがためには、身分を拘束されるおそれのある公務員になるというようなことは注意せねばならぬ。但し国会同意があつた場合は別である。こういうふうにわれわれは解釈いたしておりましたが、議員各位の御要望等もございまして、閣議決定等に基く——実はあれは相談会でございます。相談会ではございまするが、われわれは同意を一時認めた次第でございます。それが審議未了になつてはおりまするが、審議未了になつておりますために、われわれは国会議員委員を委嘱された方が一人もないということは、オブザーバーで出ていらつしやる各衆参両院議員に聞いていただけば、はつきりすることでございまして、決して何ら辞令は用いておりません。また、三十九條後段におけるいわゆる行政組織内容を構成している委員会とは決して考えていない次第でございます。  以上をもつてお答えといたします。(拍手)     〔大村清一登壇
  13. 大村清一

    大村清一君 土井君の御質問にお答え申し上げます。国会法第三十九條にあります各省次官は、改正前の国家行政組織法のいわゆる副大臣たる各省次官をさしたものでありまして、当然特別職たる政務官を意味したものと存ずるのであります。その後国家行政組織法改正に伴いまして政務次官及び事務次官設置せらるることに相なり、第五回国会において、これに応ずるため国会法改正を発議した次第であります。この発議は、参議院において審議未了となり、整理漏れとなつておるのでありますが、そのために三十九條の各省次官一般職たる事務次官と解するとこはむりであります。また過去の経過から見ましても、これは政務官たる政務次官を意味するものでありまして、この点は單に整理漏れになつておると解するのを適当と存ずるのであります。従いまして、今般の改正も、ただいまの提案理由の説明において申し述べましたように、この際單に字句の整理をしようとするものであることを申し上げておく次第であります。(拍手
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。  討論通告があります。その発言を許します。神山茂夫君。     〔神山茂夫登壇
  15. 神山茂夫

    神山茂夫君 共産党を代表しまして簡單反対意見を述べます。  今回の改正案が不当であることは、すでに土井議員質疑によつて明らかになつていると思います。増田官房長官及び大村運営委員長答弁は、まつた答弁としてなつていない。しかし、土井君の質問そのものの中に法律的な問題は盡されておると思いますから、私はあえて全体を述べることはしませんが、ごくかいつまんで要点——これだけを申し上げます。  国会法附則第三項「第三十九條の改正規定中「各省次官」とあるのは、国家行政組織法が施行されるまでは、「政務次官」と読み替えるものする。」、この点については問題はないのでありますが、問題なのは、本年六月一日以降国家行政組織法が実施されている。従つて、同法の附則第四項、すなわち「他の法令中「次官」とあるのは「事務次官」と、「政務次官」とある場合を除く外何々「次官」とあるのは何々「事務次官」と読み替えるものとする。」とある、この事実によつて明らかなのであります。従つて、ここで今増田官房長官及び大村委員長が言つたことは、当然この政務次官としか読めないと言つているが、それは逆なのであります。この点を押し隠そうとしている。  ここで特に問題なのは、増田官房長官は、議院運営委員会その他におきまして、この点が突かれますと、苦しくなつて、これは法の精神をわれわれが守つておるのだ、こういうふうな形で逃げている。だが、法そのものが成立していないときに、彼はこう言つて逃げている。もう一歩つつ込まれますと、いや目下法精精神を探究中でありますと言つて逃げておるのであります。土井君から、いみじくも突かれたオブザーバー論議のごときも、まさにそうなのであります。この内容をこまかに皆さんにごひろういたしますと、満場の諸君が、増田君がどれほどものを知らないかということをお知りになつて、非常に愉快なのでありますが、時間がないのでこれは省略します。オブザーバーというので皆逃げている。  問題なのは、現在の吉田内閣が、法の精神に反しているところではない、法の條項に反してこういう政務次官というものをつくり上げている。この事実の中にこそ問題があるのであります。しかも、当然この点について、文字通り四百六十六名そろつて彈劾すべき増田官房長官及び吉田内閣政府の失態のそのしりぬぐいをするために、議院運営委員長そのものが先頭になつてこ法案を出している。ここにこそ、われわれが反対せざるを得ない大きな理由があるのであります。  さらにこの問題に関連してもう一つはつきりしておかなければならないのは、自由討議に対する制限を加えている点であります。自由討議がアメリカその他の議会においてすでに陳腐になつたとか、あるいは大して役割をやらないということは、一応もつともであるかもしれない。また本国会においても、この自由討議運営が十分でなかつたということも、一応論拠になるかもしれない。しかしそれにもかかわらず、日本の今までの帝国議会の伝統、気風、そういうようなものが残つておる今日においては、自由討議を十分活用することによつて議員諸君発言国民大衆の意向を代表する機会が多くなるのであります。ところが、これを削るためにこそ、非常に穏健な形でありますが、運営委員会においてこれを制限することができるというふうな形に逃げている。この点についても、わが党としては反対せざるを得ないのであります。  問題なのは、この国会法改正の過程、それから今言いましたような内容、そうしてこの持つている大きな客観的な役割なのであります。先ほど土井議員も指摘されましたように、前国会の最終にあたりまして、政務次官及び参政官設置が問題になつて民自党その他の諸君がずいぶん御努力なさつたにかかわらず通らなかつた。これに対してわれわれが反対した第一の理由は何であつたか。それは、この官僚制度の中に国権最高代表者であるところのお互いが入ることが何かえらくなるように考える傾向がある。従つて参政官というふうな、外国の言葉で言いますと金魚のうんこだそうでありますが、こういうふうなものをつくつて、こういう官職につくことによつてお互いが得々としておる傾向があつては断じてならない。従つて参政官設置法の場合にもわれわれは反対したのでありますが、こういうふうな猟官的な精神改正法案のもとにあるということをわれわれははつきり見なければならぬ。  さらに土井君によつて指摘されましたように、各種審議会に、国権最高代表者ともあるべき議員が、オブザーバーというふうな名前になつて、のめのめと出て、りつぱな名刺をつくつて喜んでおるというふうなのが現実であります。しかも民自党は、こういうふうな方法によつて一部のこの猟官的な分子を吸収しておると言われてもしかたがないような傾向を持つておる。(拍手)この事実こそ、われわれが国民大衆の前にはつきりさせなければならぬ。前国会で言いましたように、国民大衆の生活は危機に瀕しておるばかりでなくて、十万、さらに二十七万の官公吏の首を切つておる。また一般に低い賃金で押さえつけておる。しかもこの猟官的な傾向だけはますます発展しておるという事実が第一に問題であります。  第二に、そしてこれが最も重大な反対理由でありますが、口に憲法を説き、口に合法を説く政府みずからが、法に反してこういうことをやつておる。いわゆる日常茶飯事となつているではないか。そのしりぬぐいをわが国会がしなければならないのか。われわれは断じでこの点に反対せざるを得ない。(拍手)まさに国会こそが、文字通り挙党一致政府のこの違法行為に対して闘うべきだ。そのときに、民自党諸君を初め、これに対して賛成拍手をしておるのが現状であります。従つて、われわれとしては、この法案の個々の文字あるいは條項が問題ではなくして、こういうふなものを、こういうふうな形で持つて来て、しかもこれを絶対多数によつて押し通そうとするこの行き方を含めて本改正案には全面的に反対せざるを得ない。簡單討論を打切ります。(拍手
  16. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。      ————◇—————
  18. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) ご報告いたすことがあります。議員若松虎雄君は去る九月二十四日、また議員齋藤隆夫君は十月七日、いずれも逝去せられました。まこと哀悼痛惜至りにたえません。両君に対し弔意を表するため荒木萬壽夫君及び松岡駒吉君より発言を求められております。順次これを許します。荒木萬壽夫君。     〔荒木萬壽夫登壇
  19. 荒木萬壽夫

    荒木萬壽夫君 ただいま議長から御報告に相なりました通り、本院議員若松虎雄君は、去る九月二十四日、郷里長崎市において急逝されました。まこと痛恨のきわみであります。私は、ここに諸君のお許しを得まして、議員一同を代表いたし、つつしんで哀悼の辞を述べたいと思います。  若松君は、長崎県島原市の御出身でありまして、東京帝国大学を御卒業の後、久原鉱業及び久原商事ロンドン支店に在勤されること多年、退社とともに商務官として引続き同地に駐在して、昭和九年外務本省に帰任されるまで前後二十年に近い歳月を英国において過されたのであります。その後さらに総領事としてシドニー及びカルカッタに在勤されまして、もつぱら対外友好親善通商振興のためにその生涯の大半をささげられたのであります。  昭和二十二年四月の総選挙には、衆望を負うて長崎県第一区から立つて本院に議席を占められ、次いで本年一月の総選挙にも再度当選の栄誉をになわれたのであります。若松君は、その多年にわたる豊富な経験を生かされまして、本院においては外務委員として、また海外同胞引揚の委員として、通商再開に伴い敗戰祖国が一日も早く国際社会に復帰することを畢生の使命として活躍されたのでありますが、貿易立国要望いよいよ切実さを加えつつある今日、若松君のごとき斯界の経験ゆたかにしてすぐれた識見の持主であり、しかも温厚篤実なる人格者を卒然として失いましたことは、本院のためにも、また国家のためにも惜しみても余りある痛恨事と申さなければなりません。(拍手)  さらに私どもの忘れられないことは、過ぐる第五国会におきまして、広島市とともに原子爆彈の惨害を受けた長崎市を国際文化都市として永久に記念し、世界の平和と文化貢献せんとする日本国民の決意を世界に向つて表明すべく、長崎国際文化都市建設法案の輝かしき通過をはかるために若松君が実に一切をささげて盡瘁されたことであります。この事実は、熱心なカトリック信者であつた同君が、平和を求め文化を愛しつつ一貫した生涯を終られたところの記念碑と申しても過言ではないのでありまして、同君努力国際文化都市長崎の名とともに永久にたたえられるであろうことを信じて疑わないのであります。(拍手)  今次国会の召集にあたりまして、若松君の姿すでになく、まこと痛惜至りであります。ここにつつしんで哀悼まことを披瀝し、君の御冥福を祈る次第であります。(拍手
  20. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 若松君に対する弔詞は、議長において先例によりすでに贈呈いたしました。松岡駒吉君。     〔松岡駒吉登壇
  21. 松岡駒吉

    松岡駒吉君 ただいま議長から御報告に相なりました故齋藤隆夫君の逝去に対しまして、院議をもつて弔詞を贈り、その弔詞はこれを議長に一任する動議提出いたします。(拍手)  この際私は、諸君の御同意を得まして、議員一同を代表し、つつしんで敬弔のまことをささげたいと存じます。  君は明治四十五年五月の第十一回総選挙以来当選せられること実に十三回、在職三十有余年の長きに及び、すでに昭和十八年十二月、本院において、永年の在職者として特に院議をもつてその功労を表彰せられましたことは、諸君の周知せられるところであります。この間、君の独自の風格はわが政治史上大いなる足跡を残され、その高風をしのんで、いまさらに哀悼の情禁じ得ないものがあります。(拍手)  御承知の通り、君は兵庫県の御出身でありまして、早稲田大学を卒業の後、さらにエール大学に留学され、帰朝後政治に志し、郷党の信望を負うて多年本院に議席を占め、憲政のために盡瘁せられました。君は、さき内務政務次官法制局長官に歴任され、近くは第一次吉田内閣及び片山内閣国務大臣として国政の枢機に参画し、祖国再建に多大の功績を残されたのであります。  君は資性謹嚴にして信義に厚く、清節を持して、いやしくも時流に迎合するところなき剛直の士でありまして、常に革新的気魄をもつてわが憲政の擁護とその確立のために身をもつて闘われ、その歴史的業績まことに君の真面目を発揮されたものと申さなければなりません。(拍手)わけても、昭和十五年三月、君がその直言のゆえに、軍閥とその追従者のために、院議をもつて遂に除名処分に付せられたことは、われらの忘れることのできぬ痛恨事であります。(拍手)ここに当時を回顧して、君の恐れを知らざる勇気とその高風をしのび、うたた敬慕と懐旧の念禁じ得ないものがあります。(拍手)  君は多忙の生涯を通じて練磨研鑽を怠らず、政界に特色のある地歩を占められたのも、実に不断の精神と修養負うところが少くないのであります。政界三十有余年、清廉孤高の先人の歩んだ道に、われわれは幾多の示唆と深い感銘を覚えるとともに、あたかも民主日本の黎明を迎えるとき、君のごときすぐれた先覚を失うことは、国家のためまこと痛惜の念にたえないものがあります。(拍手)前期国会におきましては内閣委員長として壯者をしのぐ精励を続けておられました。今その君を眼前にほうふつし、われわれはさらに決意を新たにして民主政治の確立に邁進し、もつて君の霊にこたえんことを誓うものであります。(拍手)  ここにつつしんで君の在天の霊の平安ならんことを祈念し、もつて哀悼の辞といたす次第であります。(拍手
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) ただいまの松岡君提出弔詞贈呈動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決されました。  ここに議長の手元において起草した弔詞を朗読いたします。  衆議院ハ多年憲政ノ為ニ盡瘁シ特ニ院議ヲ以テ其ノ功労ヲ顯彰セラレ再度国務大臣ノ重任ニ膺ラレタル議員従三位勳一等齋藤隆夫君ノ薨去ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈スこの弔詞の贈呈方は議長においてとりはからいます。  この際暫時休憩いたします。     午後二時四十四分休憩      ————◇—————     午後四時五十三分開議
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  25. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、竹山祐太郎提出国際小麦協定参加に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  国際小麦協定参加に関する緊急質問を許可いたします。竹山祐太郎君。     〔竹山祐太郎登壇
  28. 竹山祐太郎

    竹山祐太郎君 私は、新政治議会を代表して、ただいま議長から許可のありました国際小麦協定参加についての政府の所見をただしたいと思うのであります。  本日の新聞の報ずるところによれば、十一月一日に開かれるロンドンの会議日本の代表が本日出発をするとのことであります。この国際小麦協定の問題は、われわれ食糧問題に悩む日本国民全体の重大なる関心事であります。これを、政府はきわめて手軽に協定参加のことに決定をいたしたようでありますが、われわれは、国会として今日初めてこの問題について論議する機会を得たのであります。  元来、今日までアメリカの援助によつてわれわれが終戰以来餓死を免れて来たことに対して、お互い心から感謝をいたすことはもちろんでありますし、また今回のこの協定参加に対しての絶大なる援助に対しても、われわれは心から感謝をするものであります。この協定参加によつて日本の今後の食糧政策が一体いかなる状態になるであろうかということは、生産者はもとよりのこと、消費者とともに、国民は重大なる関心と心配をいたしておるものであります。従つて、この際出発にあたつて政府が考えております今日までの経過と所見を伺いたいのであります。(拍手)  日本が今置かれておる食糧事情からいたして、不足した食糧の輸入の懇請をいたさなければならぬことは論をまちませんが、これを一体南方より求めるのか、またアメリカを初めその他から求めるのか、米と小麦との関係は日本の貿易政策ともきわめて重大な関係を持つものと考えますが、この小麦協定に伴つて南方の米との関係、従つて昨今論議されておるポンド地域との通商協定との関係については、政府はいかなる考えと、いかなる計画を持たれておるのであるか、この点を十分に承つておきたいのであります。  最後に、われわれが心配をいたしており、また農民諸君が心配をいたしている点は、この食糧輸入と今後の国内食糧生産との関係であります。一体今の政府は、国内生産に対して、はたして確固たる政策を持たれているのであるかどうか、昨今現象的に現われておりまする米券制度といい、いもの統制緩和といい、いずれも国内農民を惑わすだけであつて、はたしてこれによつて国内食糧生産の確保が期待し得るのであるかどうかということであります。(拍手)この点を十分伺つておかなければ、国民は安心をいたしません。先のことは先だというわけに行かない。  一体、この協定に参加すれば、四、五年の間はこれに縛られるのでありますから、今年の單なる豊作とか、そういう一年だけの問題ではないのであります。従つて、われわれが今この問題を論議することは四年ないし五年の将来に対する政治的責任を持つことでありますから伺つておきたいのであります。(拍手)われわれが心配をいたしておりますることは、今農村のためにと與党諸君が心配をしておられるいろいろなことが逆の結果になつて、農村は食糧生産に対して非常な危惧の念を持ちつつあるという現状をいかにお考えになつておられるか、この点については農林大臣の明確なる国内食糧生産に対する確信を伺つておきたいと思うのであります。ただいま農林大臣にも私は御答弁をお願いいたしておきましたが、お見えになりませんから、後刻別の機会に御答弁を願うことといたして、以上簡單でありますが、私は今日出発にあたつて政府の所見を伺いたいと思つた次第であります。(拍手)     〔政府委員川村松助君登壇
  29. 川村松助

    政府委員(川村松助君) ただいま御質問にあずかりました国際小麦協定参加に関する経過を御報告申し上げたいと思います。  国際小麦協定は本年の四月に成立いたしまして、カナダ、米国、濠洲等の五輸出国と、英国、イタリア、インド等三十七の輸入国によりまして調印されたものであります。これは本年の八月以降昭和二十八年七月までの四箇年間に、公平に安定した価格で一定量の小麦を売買することを規定いたしまして、これによつて世界小麦市場における取引量及び数量の安定をはかろうとするものであります。  日本の加入とその利益につきましては、本協定に加入するためには、本年十一月ロンドンに開かれまする国際小麦理事会において、輸出国、輸入国がそれぞれ三分の二によつて承認されることが必要な條件であります。まだこれが認められるかどうかは予断を許さないのであります。しかし、日本が加入を認められました場合には多額の外資の節約が可能となるのであります。すなわち、現在わが国は小麦を一トン九十六ドルで輸入いたしておりますが、協定に加入いたしますれば、たとい協定に規定された最高価格で買いとつたとしましても八十一、二ドルになり、一トン当り十五ドルぐらいの節約となるのであります。もし百二十万トンで実行ができますれば約千七百万ドルの節約となるのであります。  右のような事情を考慮いたしまして、政府は協定に加入いたしたいと考えまして、九月二十七日付で総司令部にその旨を連絡いたしましたところ、十月八日付で賛意を表されまして、国際小麦理事会の事務総長にその旨を伝えた旨の回答に接したのであります。つきましては、来る十一月一日からロンドンで開かれます会議におきまして日本の加入が認められると、政府としましては国会の御承認を得たいと考えているのであります。その上において、加入書を協定に従いまして米国の国務省に付託いたしまして、これをもつて日本の加入が効力を生ずるわけであります。  本日政府は外務省の寺岡大使館参事官をロンドンに派遣することに決定いたしておりますが、これは前述の会議におきまして日本の加入についていろいろの問題が論議されます場合適当な説明の資料を提供させたいために派遣するのであります。輸入食糧所要量につきましては、小麦を今考えている程度に買いつけることは通商政策上も決して支障がないと考えている次第であります。  以上をもちまして経過の御説明といたします。      ————◇—————
  30. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第二、会期の件につきお諮りいたします。今回の臨時会の会期は、召集日より十一月二十三日まで三十日間といたしたいと思います。これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて会期は三十日間とするに決しました。(拍手)  明二十六日は午後一時より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後五時六分散会