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1949-11-21 第6回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 角田 幸吉君    理事 北川 定務君 理事 小玉 治行君    理事 高橋 英吉君 理事 田嶋 好文君    理事 大西 正男君       佐瀬 昌三君    松木  弘君       眞鍋  勝君    山口 好一君       猪俣 浩三君    上村  進君       三木 武夫君   出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君   出席政府委員         法務政務次官  牧野 寛索君         (法制意見第四         局長)         検     事 野木 新一君         (検事局長)         検     事 高橋 一郎君   委員外出席者         議     員 中山 マサ君         最高裁判所事務         総長      本間 喜一君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十一月十九日  秋田地方法務局能代支局燒失に伴う復旧事業費  全額国庫負担請願宮腰喜助君外一名紹介)  (第九三五号)  戸籍事務費全額国庫負担に関する請願岡西明  貞君紹介)(第九六八号)  同(米原昶紹介)(第一一二〇号)  戸籍法の一部改正に関する請願吉田省三君紹  介)(第九九九号)  静岡市に高等裁判所支部設置請願猪俣浩三  君紹介)(第一〇一六号) の審査を本委員会に付託された。     —————————————  本日の会議に付した事件  刑事補償法案内閣提出第二号)  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二五号)  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)     —————————————
  2. 角田幸吉

    角田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長常任委員長会議に出席されておりますので、理事の私がかわつて委員長の職務を行います。  この際議員中山マサ君より発言の申出があります。これを許可したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 角田幸吉

    角田委員長代理 それでは中山マサ君。
  4. 中山マサ

    中山マサ君 委員外質問をお許しくださいまして、まことにありがとうございました。  この夏でございましたか、大阪の新聞に大分書き立てておつたのでございますが、裁判官の困つておる問題というような見出しでございました。心神喪失者心神耗弱者犯罪が不成立に終りまして、釈放されたあとで、また同じような犯罪を犯して、再々お上の手を煩わしておるのに、非常に裁判官もお困りになつておるという新聞が大きな見出しのもとに出ておりましたが、いろいろ研究してみましたら、外国におきましては、こういう人たちをいれるところの拘置所のようなものがつくつてあるということを私は調べ出したのでございますが、わが国におきましても、非常に世相が犯罪の面において悩まされております点にかんがみまして、ちようど気違い人たちのためには断種というような方法も、日本においてもとられております今日、こういう人のためにもまた何かそういう拘置所というようなものを設立していただくために立法をしていただくわけに行かないものか、私は法務総裁お尋ねしたいと思います。
  5. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 中山さんの御質問まことに適切な御問でありますが、さような問題につきまして、刑法を改正します際に——今刑法を改正しようといろいろ考えておるのであります。その際にそれを取入れようかという考えもあるそうでありますが、しかしこれはなかなかめんどうな問題がいろいろありまして、ただちに基本人権関係いたしますし、それから犯罪の成立しない者を拘置するという、いろいろな問題が生ずるのでありまして、それらの点も考えてみたいと考えまして、專門家の間ではいろいろ考えておりますが、急速にそれが法律化するかどうかは存じませんが、なるべくさような線で進めて参りたいと考えております。もちろん財政上の問題もありましようし、りつぱなものがすぐでき上るとは考えませんけれども、何とか考えなければならぬ問題であろうと思つております。
  6. 中山マサ

    中山マサ君 犯罪が成立しないということをおつしやいましたけれども犯罪が成立しないというその理由は、こういう弱点を持つているからという理由で成立しないのでございますから、もしこういう弱点がない人ならばりつぱに犯罪が成立するものであるにもかかわらず、こういう件でもつてそれが釈放されてしまうという現状でございますから、それにぜひどうぞひとつお考えをいたされまして、ぜひそういう方面にささやかながらでもかまいませんから、立法のときに御考慮にお入れくださいますように、私は切にお願いいたしておきます。
  7. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 お話の趣はよくわかりましたから、せいぜい勉強いたして努力いたします。     —————————————
  8. 角田幸吉

    角田委員長代理 本日の日程は、刑事補償法案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。まず刑事補償法案議題といたします。質疑通告順にこれを許します。佐瀬昌三君。
  9. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 補償範囲を拡大する立法精神を徹底せしめるためには、憲法四十條無罪裁判というものに限定せずに、先般来他の委員からも質疑がなされましたように、ある程度公訴棄却、あるいは免訴裁判の場合にも、なお補償ができるというふうに範囲を拡大することが、最もその精神に合致し、また合理的ではないかと考えるのであります。ただしかし刑事訴訟法三百三十九條、あるいは三百三十八條、三百三十七條に列挙された公訴棄却及び免訴裁判のうち、私の考えをもつてするならば、被告責任に属せずして、しかも公訴棄却あるいは免訴裁判があつたという場合に限定して行く。従つてたとえば大赦とか、あるいは訴訟條件欠缺によつて、さような形式的裁判が下されるというような場合はこれを除くというようなところに、最も妥当な解決点があるのではないか、かように考えるのであります。最近の立法例として、たとえばイタリーの一九四七年の新憲法二十四條は、国家のさような場合における補償の原因としては、司法上の過誤という言葉を使つております。この文理解釈から行くならば、補償範囲が非常に拡大された立法措置が講ぜられる余地があるのであります。さきに申し上げましたごとく、わが憲法無罪裁判言つておりますけれども、しかし今申し上げましたような範囲のものをそこに入れても、私は決して憲法四十條に反するものではないという確信を持つものであります。なるほど文理解釈によれば無罪裁判従つて無罪判決あるいは無罪決定ということになるでありましようけれども、従来の憲法解釈においても、憲法は厳粛に解釈しなければならぬという立場立場として、その用語には必ずしもとらわれずに、政治的に、あるいは法律的に運用されて来た例が多々存するのであります。たとえば旧憲法時代においても、法律という用語は、第二章の臣民の権利義務に関する條章下における法律は、国会の議決を経た法律というふうに狭義に嚴格解釈されておつたけれども、その他の、たとえば五十七條等に言う法律は、命令その他の法規を含むのだというふうに取扱われたごとくに、新憲法解釈運用におきましても、私は同様な態度をもつて臨むことが許されるものであるというふうに考えるのであります。特に本法案は、基本的人権の尊重に出発した思想的根拠に基いた措置であります。従つてそういう勾留あるいは拘禁に処せられた者に対する救済策としては、なるべくこれを広く解釈し、またそれを広く取扱うというところに立法精神が、さきに申上げましたように存するものであるというふうに考えますので、私はこの際結論的に申し上げるならば、本委員会においてその点に対する態度決定する以前に、法務府において、あるいは原案修正といつたようなことについていかなる御意見をお持ちであるか、あるいはこれまでそういう点について検討されたことがあるかどうかということを、ここでお伺いしておきたい、かように考えるのであります。
  10. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 憲法第四十條の解釈といたしましては、抑留拘禁を受けた後に無罪裁判を受けた者という点から見まして、裁判所において無罪裁判を受けた場合というふうに考えておりまして、その意味におきましては、今回提出いたしました刑事補償法案は、憲法上の要請を十分に満たしておるというふうに考えるのであります。しかし憲法四十條は、お説のように何もその場合に刑事補償をすれば、あとの場合にはしなくてもよろしいという趣旨ではこれは決してないはずでありまして、財政その他の許す範囲において、これをなるべく広く推し広めるということは望ましいことであるとわれわれも考えておる次第であります。またもしこれを他の場合に推し広めるといたしますならば、無罪に近い場合、言葉をかえて言えば、本人犯罪責任がない、あるいはそれに近いというような場合に限定することがきわめて妥当であるというふうに考えますので、その点ただいまの御意見にわれわれも同感であります。従いまして、その辺はまつた財政その他とにらみ合せての政策の問題と申すべきでありまして、国会において御修正になりますことにつきましては、法務府といたしましても異議はございません。
  11. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 私も多分財政的顧慮の上に立つて原案のごとき範囲の確定ができたと思うのでありますが、もし幸いにしてここに統計をお持ちであるならば、無罪裁判免訴及び公訴棄却の計数的な比率はどういうふうに相なつておるか、お示しを願いたいと思います。
  12. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 刑事補償をすべき場合をどの範囲定めるかということによりまして、またいろいろと違うのでありますが、免訴あるいは公訴棄却というようなものにつきましての統計でありますと、従来司法省でとつておりました刑事統計によりますと、たとえば昭和十八年について申しますと、第一審終局被告総人員二十万六千十四人中、無罪免訴、刑の免除を受けた者、これが二百四十三人、公訴棄却その他が七百三十名ということになつております。前に申し上げた二百四十三名という中には無罪が入つておりますので、無罪免訴または刑の免除との比率ちよつと明確でございませんが、その二百四十三名に対しまして、公訴棄却その他の方は七百三十名ということになつておりますので、大体数字の見当はつくのではないかというふうに考えております。
  13. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 今のは十八年ということでありますが、新刑事訴訟法の実施に伴つて、現在及び将来は、相当こういつたような終局的裁判についても変化があるのではないかということも、われわれは一応予定しておるのであります。そこでかような統計を基礎にして、一体国家補償すべき総額は、原案によればどの程度になるか。あるいは今話がありましたように、ある程度これを拡張して行つた場合には、どの程度補償額がなるか。国家財政にいかなる程度に影響がある心のであろうかということを、私どもは一応知つておかなければならぬと思うのであります。この点については、もし原案作成当時に問題になつた点があるならば、その範囲けつこうでありますから、ここに明確にしていただきたい、こう思うのであります。
  14. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 ただいまお尋ね統計中、現在の案にありますところの無罪の場合につきましては、精密に統計もそろつておりますし、かつそれに要する予算も判明いたしております。その点は当委員会において前に御説明申し上げたのでありますが、それ以外の免訴あるいは公訴棄却等の場合につきましては、新刑訴になつてからの正確なる統計は手元に実はございません。なお調べます場合には、免訴公訴棄却中の勾留を受けたものという数字によらなければならないと思うのでありますが、そういう統計は今用意してございません。
  15. 佐瀬昌三

    佐瀬委員 その点はかつて国家損害賠償法案を審議する際にも、同様に問題になつた点でありますから、後刻政府委員においても、資料を整えて提出あらんことを、この機会にお願いいたしておきます。  それから憲法四十條の解釈で、無罪裁判という文理解釈にそう拘泥せんでもいいじやないか、いなあの言葉自体がわれわれとしては、真に憲法立法趣旨に合致した言葉ではないじやないかというふうに思われる節もあるのであります。英文の憲法は、すでに政府委員も御承知であろうと思うのでありますが、ヒー・イズ・アクイテツド・アフターという言葉を使つておるが、これはあえて英米刑法上の解釈においては、無罪判決には限定をしておりません。いわば放免されて再び調べを受けるものではないのだというような場合を対象にした意味になつておるのであります。であるから、私は憲法四十條にも、あえて文理的に拘泥せずに、その立法精神をこの際ぜひ生かすように、本補償法案も適正にして行くことが必要であろうということを、この際切に考えるものでありますがゆえに、政府においてもやはりそういう方針のもとに、今後ただいま申し上げましたような資料等提出によつて、御協力あらんことを重ねて希望して、私の質疑を打切ることにいたしたいと思います。
  16. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 ただいまの憲法四十條の点は、私どもの方としましては、一事不再理の適用がある釈放というようなふうに了解しております。ただその問題がいずれにいたしましても、先ほど来佐瀬委員が仰せられます憲法四十條の精神を推し広めて、單に無罪裁判の場合だけでなく、他の場合にも適用あらしめようということにつきましては、まことにけつこうなことであるというふうに考えております。それでその点に関するいろいろな統計その他の問題につきましては、これをもちろん私ども当然の義務として十分に御協力いたしたいと思います。
  17. 角田幸吉

  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は考査委員会に出ておりまして、当委員会に出席することが少かつたために、あるいは私の質問したいと思うことを他の委員によつてなされたかも存じません。あるいは重複する点があるかと恐縮に存じておるのでありますが、一つは、国家賠償法本法との関係であります。これは両建になるのでありますか。本法適用になる場合には、国家賠償法適用にならぬのでありますか。その点をひとつ……。
  19. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 お互いに排斥し合うものではなくして、両方とも適用してさしつかえないものと考えております。かつそのことは、本法案の第五條によつて明らかであるというふうに考えております。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 国家賠償法の第五條を見ますと「国又は公共団体損害賠償責任について民法以外の他の法律別段の定があるときは、その定めるところによる。こうなつておるのでありますが、そうすると、これが国家賠償法から見ると、この補償法別段定め法律じやないか、こう見られる節がある。そうすると、その別段定めによることになつて国家賠償法適用されないで、別段定めによるところの刑事補償法適用されるという解釈にもなるのでありますが、それはいかがでありますか。
  21. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 お尋ねはごもつともと考えるのでありますが、本法案の第五條におきまして、両法律適用する趣旨も掲げてございます。従つて刑事補償法案は、その意味におきまして、いわゆる別段定めではない、矛盾しない定めであるというふうに考えているわけであります。国家賠償法五條にいう別段定めと申しますのは、たとえば郵便法の第六十八條のごとく、郵便物についてはかくかくの場合に限つて国がこれを賠償する、こういうような定めをしている、このようなものが、いわゆる別段定めであるというふうに了解しておるのであります。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 今の御解釈は少しむりな解釈じやないかと思うのですが、もしそういう御意思ならば、どちらかの法律にその点を明らかにしないと、将来どうも解釈上疑義が生ずるじやないかと思うのであります。私ども両方法律適用されるべきものだと思うのでありますけれども国家賠償法にそういう規定がありますために疑問が出るのでありますが、その点を立法的に明らかにすべきものではないかとも考えられます。そういう解釈があるならば、それで了承しておきます。  それからこの点もすでに論議が盡されたのではないかと思われますが、本法は第一條におきまして、無罪判決というふうに限定されておるのでありますが、このうち刑事訴訟法の三百三十九條公訴棄却決定には、起訴状に起載された事が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないような場合は公訴棄却決定になるのでありますが、そのようなときには、この刑事補償法適用されるのでありますか、どうですか。
  23. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 そのような場合は、この法案によりますと、刑事補償適用がないということになります。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはまたどういう趣旨なんでありましようか。理由をお聞かせ願いたい。
  25. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 この点につきましては、繰返し御質問を受けたのでありますが、私どもといたしましては、憲法四十條の示すところは、抑留拘禁を受けた後無罪裁判を受けた者について刑事補償をするというのであつて、お示し刑事訴訟法第三百三十九條第一項第一号は、無罪裁判の場合ではない、かつこれは起訴状書き方がたいへん下手であつて、ほんとうのことが書いてあるけれども、それ自体は罪にならないというような場合であります。そうしてそのような場合には、あらためて犯罪構成要件を明らかにして起訴するということが考えられるのでありますし、またこのような犯罪事実の判示の仕方では、令状自体が得られることがあり得ないと考えられるのであります。この場合に公訴棄却決定するものは裁判所であります。同じ裁判所において令状請求を受けた場合に、被疑事実が罪となるべき事実かどうかということを判断するわけでありまして、在宅事件起訴する場合には、なるほどこのような例がありましようけれども、身柄を抑留拘禁するような場合に、こういうような事例の起ることはまずないと考えられるのではないかというような理由から、本法案適用を除外したわけであります。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは小さい問題でありますが、第三條に「左の場合には、裁判所の健全な裁量により、」という言葉があるのですが、これは耳新しい言葉で、健全な裁量というのは一体どうも今まであまり聞きなれない言葉であります。私、訴訟用語として初めて聞くのですが、どういうことですか。健全な裁量というと不健全な裁量もあるということになるのですか。
  27. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 これは特別に不健全な裁量と対立させるような意味で書いたのではなくて、要するに裁量といえば、社会通念による裁量でありますけれども、その意味をただ言い表わしただけでありまして、旧案のときからこの言葉になつてつたのであります。
  28. 角田幸吉

  29. 山口好一

    山口(好)委員 今までにいろいろ御質疑がございましたが、私は簡單に第三條の点について一点お伺いしたいと思います。  第三條を見ますと、その一号に「本人が、捜査又は審判を誤まらせる目的で、虚偽自白をし、又は他の有罪証拠を作為することにより、起訴、未決の抑留云々と書いてあります。この「本人が、捜査又は審判を誤まらせる目的で、虚偽自白をし、又は他の有罪証拠を作為」こういうのでありますが、これはごく嚴格解釈いたしますならば、そういう場合はごく少いことに相なると思うのであります。私は実際の経験からしまして、例をもつてお尋ねいたします。たとえば警察調べにおきましては、本人自白をしたような形になつて、そして検察庁にまわり、また検察官の前でも自白したと同様の申立てをいたしまして、その結果公判にまわつて、公判廷におきまして前言を翻して、実際はこうであつたというようなところから、立証もなされて、裁判の結果が無罪であつた、こういうような場合はいかがなものでありましようか。この一号の中に入るものか、それともしからざるものか。この場合に警察などの調べが、詐術を用い、あるいはむりな調べによりまして、あるいはさらにおどかされたというようなことで、やむなく自白をしたというならば、これはもとよりこの一号の條件には入らないと思うのでありますが、ただ立証の点などで、これはまた非常に困難な問題を生じます。そこでこの刑事補償法精神から言つて、この一号はどういうふうに解釈すべきものであるか。この点はごく重要であるから、はつきりしておかなければならないと思いますので、これをお尋ねいたしたいと思います。
  30. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 ただいま御質問のような事例の場合には、この法案によりますれば刑事補償をするという趣旨であります。この点は旧案では、本人がことさらに、任意の自白をすることにより云々というふうになつてつたのでありますが、今回の案はそれをさらに明確にいたしたのでありまして、旧案のような書き方では、あるいは解釈のしようによりましては、多少限界があいまいになるということを心配いたしまして、今回のような文言にいたしたわけであります。従いまして私どもとしましては、この場合に該当するというのは、いわゆる身がわり自白、たとえば実は親分殺人罪を犯したのを、子分が親分を助けようと思つて、自分がやつた言つて起訴される場合、それからこういう場合が実際にあり得ますかどうかわかりませんけれども、刑務所を志願して、ありもしないことを自白をして起訴、あるいは勾留される、こういうような場合がもしありとしますれば、そういう場合。まずこのような場合に限られるのではないかというふうに考えておるわけであります。このような場合は、当然いわゆる権利の濫用に類するものでありまして、憲法に言う刑事補償請求権もないのである。それ以外の場合には、たとい自白をいたしましても、適用を除外するということは認めないのでありまして、この点は非常に制限的に嚴格解釈する趣旨でございます。
  31. 山口好一

    山口(好)委員 よくわかりましたが、さような解釈に相なりますれば、刑事補償目的もその精神が貫徹されることと思うのであります。しかしさらに立証の点で、若干そのいずれに属するやが明確でないような場合も生じやしないかと思うのでありますが、この立証の点はどんなふうに取扱うのですか。
  32. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 この点は、裁判所がもし刑事補償をしないという場合には、裁判所みずからこれを立証すべきものであると考えております。
  33. 山口好一

    山口(好)委員 大体わかりましたが、そうしますと、その補償請求がなされました場合に、この十四條では「裁判所は、検察官及び請求人意見を聞き、決定をしなければならない。」こう書いてあります。この決定をいたしまする裁判の手続は、大体どの法律に準拠いたしますか。
  34. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 本法案の第二十三條におきまして、刑事訴訟法を準用する規定がございます。これによりまして、たとえば決定の場合には、刑事訴訟法第四十三條によつて必要な取調べをすることができるということになつておりますし、またその関係ルールもできてございます。すべてそれらによつてやることになるのであります。
  35. 山口好一

    山口(好)委員 そうしますと、大体刑事訴訟法を準用いたすことになつておりますが、その他のルールというのは、施行法か何かを設けるわけでありましようか。
  36. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 刑事訴訟施行規則ども含まれるのでありまして、要するに刑事訴訟法の付属の規則は当然この第二十三條によりまして、それによるべきものになると考えます。
  37. 山口好一

    山口(好)委員 それでは別にこの刑事補償法について、刑事補償法施行法とか施行細則とかいうものを設けるわけではないのですか。
  38. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 たとえば補償請求申立書の書式でありますとかいうものについて、裁判所が必要とお考えになれば、その関係規則をおつくりになることも考えられるのであります。しかしながらさような別個の規則をまつまでもなく、この法律がかりに施行されますれば、規則定めのないところは適当な書式なり手続なりで、裁判所としてはこれを受理し審理するものと考えるのであります。     —————————————
  39. 角田幸吉

    角田委員長代理 次に裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。山口好一君。
  40. 山口好一

    山口(好)委員 裁判官報酬等に関する法律でありますが、時節柄、またベースがかわつておりまする関係で、この改正が行われますことについては、少しも反対はいたさないのであります。ただ従来報酬の問題になりますと、とかく裁判所関係法務関係と均衡を失するというような考え方もありまして、摩擦がいささか生ずるのではないか、これはわが国の司法関係の職務の上に、ひいてはわが国の治安維持の上に悪影響を及ぼすのではないか、こういうふうにも考えられるのであります。しかし大体において、裁判官の俸給は一般行政官よりも適当なところにおいて、上位に置くというような原則がしかれておりまするから、これまたわれわれは了承いたすのであります。しかし実際の現状としましては、愼重な態度をもつて検討研究をいたさなければならない面が、先ほどから申し上げましたようにあると思うのであります。裁判所におかれましては、今回の裁判官の報酬の昇給につきまして、あとで御意見が出されましたが、それによりますれば、下級裁判官、すなわち十四級の一号以下、これのみの昇給であつて、上級、すなわち十五級以上は五千三百三十円ベースにすえ置かれておる。これは裁判官報酬等に関する法律第十條に違反するものであつて不当である。上級裁判官も六千三百七円ベースにするか、しからざれば十五級の一号の上に、特号級、すなわち二万六千円、こういうものを設けてもらいたいというような御意見でありまして、その修正案をこの委員会でやつてもらいたいというふうな申出があるのでありまして、これにつきましては前会にも他の委員から御意見がありまして、できればそうしてあげなければならないというふうにわれわれもともに考えます。しかし上級裁判官の一律的な昇給は、すでに十分に上の方は待遇をされておるので、おそらくそういう理由関係方面も今回は許可してくれなかつたものである。現在この点につきましては、また関係方面に裁判所方面からいろいろ折衝をなさつておるようでありますが、とにかく今度の法案が出ます前におきましての交渉においては、許可がなかつたわけであります。それは結局すでに上の方は十分に待遇をされておる、こういうような理由であつだと思われるのであります。一般の行政官の俸給でありますが、これは六千三百七円ベースになりましても、十五級の一号は二方三千六百二十円、これはどういうような人が受けておる俸給であろうかと調べてみますると、東京大学の南原総長級の一、二の人であります。それから一般の各省の次官の俸給はと調べてみますると、一万九千九百四十円であります。裁判官の方を見ますると、五千三百三十円ベースであつても、一号はすでに二万四千円であります。この二万四千円をとつておる方々を調べてみますると、相当数あるのでございます。南原総長のような人が二万三千六百二十円でありまして、裁判所関係の方では二万四千円の上をとつておりまするような方が相当数ございます。これは一般の行政官あるいは検察庁のいろいろな職員、こういうものがとつておりまする俸給から見ますると、裁判所の上の方の俸給というものは、相当高くなつておるということが具体的に証明されるわけなのであります。でありまするから、私はこの裁判官の俸給を、やはり六千三百七円べースに上の方も上げて行くということについては、決して不賛成ではないのでありますが、現在の段階といたしましては、よく検討いたしまして、愼重に世の中の不平の起きないように、下の方の人が著しく低いのにかかわらず、それと同じような年限を勤めた裁判官が著しく高いというようなことは、世相上にも非常な影響を及ぼすのではないかと考える。ことに煩瑣ないろいろ重要な事務を取扱つております裁判所の書記諸君が、今日非常に低い俸給でおりまする際でありますから、さような点も考慮いたしますると、これは一応よく委員会といたしましても検討しまして、この際としましては、適切な考え方をいたさなければならないのではないかと思います。この意味において、さき理事角田委員から裁判所関係及び検察庁の方の関係につきまして、在職年数と俸給との関係、年齢と俸給との関係というようなことについての統計提出されるように要求がありまして、本日その一部がここに提出されておるのでありますが、この検察庁関係裁判所関係との在職年数及びその俸給額、これなどを検討いたしますると、やはり検察官の方が在職年数は非常に長い、がしかし俸給の額から言うと、大分差があるというような点も見られるのであります。さらに私はそこでこの裁判所関係と検察庁関係及び一般の行政官の関係におきまして、これの少しく詳しいところの統計提出していただきたい。これを要求いたしたいのであります。すなわちこの裁判所関係におきまして、一号の二万四千円を受けておられる方々がどれくらいおありになるか、またどういうような人が——具体的にだれそれということはさしさわりがございましようから、たとえば会計課長、人事課長がどれくらいか、二万四千円の俸給を受ける人がどういう地位の方で、何人ぐらいあるか、その次の二号、三号、四号、五号につきましても、さような統計をひとつ御提出願いたいと思うのでございます。さらに検察庁関係につきましても、同様に特号というものを受けているのはどれくらいの人で、どういう経歴の、また在職年限どれくらいというようなことを裁判所側におきましても、さような表示に従つて提出願うし、また検察庁関係におきましても、同様な地位の人が何人ぐらい特号を受けているか、また十五級という新設になりました次官級のものにつきましても、たとえば刑政長官はどれくらい——刑政長官を調べますと、一万九千九百四十円ということになつておるようでありますが、こういうような地位の人が幾らというような点の十分わかりますように、どういうふうな人が何人ぐらいこの俸給をもらつておるか、その経歴につきましても在職年限についても、かくかくというような、できるだけ要領を得ました詳細な統計を御提出を願いたいと思うのであります。これは私だけの意見ではございませんで、委員会といたしまして、やはりそうしたことを十分心得まして、現在の段階とし、現在の世相に照しまして、やはり裁判所関係の俸給上の優位な地位というものを尊重しながら、正しく決定いたして行きたいという念慮からこれを要求いたしたいと思います。さらに一般行政官につきましても、これは大蔵省の方へ委員長からひとつ要求していただきたいと思います。ここに大蔵省の方が見えておらないようでありますが、一般の行政官につきまして、ただいまのような標準に従つて、やはり上のどれくらいの人数、どういう地位にある人たちがこれこれの俸給を受けておるというような統計を、御提出願いたいと思うのであります。それによつていろいろ検討いたしたいと思うのでありますが、裁判所関係におきましてはおわかりでございましたら、現在としまして二万四千円もらつておりまする方は、どんな地位の人でありますかお知らせ願いたいと思います。
  41. 角田幸吉

    角田委員長代理 お諮りいたします。国会法第七十二條によつて最高裁判所事務総長より発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 角田幸吉

    角田委員長代理 では本間事務総長。
  43. 本間喜一

    ○本間説明員 ただいま山口委員からの御質問の点でありますが、裁判官に行政官を上まわる報酬を與えなければならぬということを仰せになつておりましたが、これは第二国会でここできめていただいた原則でありますが、まことにその通りで、私どももぜひそういう形にしなければならぬと考えておるのであります。今御質問の一号俸を裁判所において支給しておるような人は、その地位において大体高等裁判所裁判長、それから地方裁判所の所長、それから家庭裁判所の所長というようなポストと相匹敵するような部面に一号俸を出しておるのであります。その在職年数は、大体において三十九年ないし三十五年というような古い年輩の方であります。平均して二十七年在職しております。その年齢におきましては、六十二歳から四十八歳にわたつております。平均年齢は五十五歳、その人数は約百人近くのようなことになつております。
  44. 山口好一

    山口(好)委員 それから最高裁判所の方の解釈としまして、憲法規定があります。最高裁判所裁判官について七十九條、下級裁判所裁判官について八十條、この報酬に関しまする「在任中、これを減額することができない。」という保障の法規があります。これにつきましては、最高裁判所などではどういうような御解釈になつておりましようか。「最高裁判所裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」それから憲法の八十條にも同様に、下級裁判所裁判官は、その在任中その報酬を減額することができない、こういうふうに書かれております。これをどういうふうに御解釈になりますか。
  45. 本間喜一

    ○本間説明員 これはやはり文字通り解釈しております。従つて俸給表の変動いかんにかかわらず、支給している俸給よりも少いものを支給することはできないというふうに解釈しております。俸給表の変動の場合にはそういうことになります。ただ前に問題がありまして、インフレのような場合、それから非常に収縮して物価が下落して、一般的に貨幣価値がかわつたような場合、一般に応じた俸給表ができるような場合には、いたし方ないだろうというような意見もあつたように思います。またそういう具体的な事件にぶつかつておりませんから……。
  46. 山口好一

    山口(好)委員 そうしますと、たとえば一号俸としまして二万四千円というふうに定まつておりまするが、これは経済情勢がかわりましても、その在任中は二万四千円というものを減額することはできないのだ、こういうふうに解せられておりますか。
  47. 本間喜一

    ○本間説明員 その通りであります。
  48. 山口好一

    山口(好)委員 そうすると、いわゆる実質俸給でなしに、やはり額面の形式的な俸給額を減額することができない、こういうふうに解釈なさつているわけですか。
  49. 本間喜一

    ○本間説明員 まあさようなふうに解釈しております。
  50. 山口好一

    山口(好)委員 裁判官の受けまする報酬は、他の一般行政官よりも上位にあらねばならぬという原則は、これはどこまでも維持しなければならないと思うのでありますが、そうしますと、憲法上のこの保障規定をさように解釈して行きました場合に、やはり今度の場合のこうした裁判所側からの昇給の御意見につきましても、今後の経済界の見通し、その他から考えますと、やはり愼重にこの昇給の問題は考慮いたさなければならないと思うのであります。そこで私はさつきのように、この問題は上位に置かねばならぬが、しかしこの段階としては、相当愼重に考えて行かなければならないという意見を持つのでありますが、その点を本間事務総長はいかがお考えになりますか。
  51. 本間喜一

    ○本間説明員 その点はすでにこの俸給表ができまする際に、この委員会において非常に丁重に御審議くださいました点であつたと私は覚えております。第二国会において、これに先だつ俸給をきめられる際に、各省の次官級、そういうものは十四級の六号であつたのであります。従つてちようどその場合においては、判事の五号俸に該当したような状態であります。この際に外国における判事の待遇の問題、それから国内における各省高官の俸給、その他を十分に御考慮くださつて、この比率をとつて、ここでおきめいただいたと私は覚えております。従つて大体その標準に従つて判事の待遇をお考えくだされば、その十條の精神が徹底し得ることではないかと考えております。しかるにその後六千三百七円のベースがきまる際に、次官級の者は急に号数を増して、三万三千大十円まで上げ得るようになつたような次第であります。裁判官とそういう人たちとの間の俸給のバランスが、その当時とはいささか違つて来たように考えられるので、何とかこの際においてあの精神をやはりここでも貫いていただきたいと、裁判所としては考える次第であります。
  52. 角田幸吉

    角田委員長代理 御相談いたします。実はほかの委員会で速記をまわしてくれというので、この程度にしてくれという要求があるのですが、それでこれは続行いたしますから、この際五分間だけ上村委員から通告の質疑を許して、そうして散会いたしたいと思いますが……。
  53. 山口好一

    山口(好)委員 では私はけつこうです。     —————————————
  54. 角田幸吉

    角田委員長代理 それではこの際上村進君から、海烈号事件についての質疑の通告があるので、これを許します。上村君。
  55. 上村進

    ○上村委員 これは特審局から頂戴いたした答弁書だと思いますが、この中の報告の第五の犯罪事実のところで、密貿易物資として掲げてありますが、陸揚げしようとした物品は、一尺四方高さ二尺ぐらいのブリキ鉄板製で包装されていて、英国製ペニシリン、ストレプトマイシン及びサッカリンが主で、右容積と同一梱包製は三百六十五個で、総見積り価格は二十万米ドルと言われる、こういう報告になつていますが、この捜査機関は横浜の第二港湾司令部でやつたのですが、こういう大仕掛な密貿易の品物がどうなつておるか。一体どういうところへ行つておるかということは、お調べになつておりましようか、これをお聞きしたい。
  56. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 その点は前の委員会で梨木さんにもお答え申し上げた通り、これは占領軍が裁判権を行使しております事件でありまして、われわれの方としては、占領軍の方の指示がありますれば格別でありますけれども、それ以外の場合につきましては、捜査することは穏当でないのであります。従いまして、前会御報告した以上には事情を知つておりません。従つてただいまの御質問にもお答えいたしかねるわけであります。
  57. 上村進

    ○上村委員 ちよつとその点ですが、つまりこういう犯罪によつて得たもの、もしくは犯罪に供したものというようなことになるのですが、それが価格にすると七千何百万円くらいになる品物が、この事実があがつて、それが内地へ横流れみたいになつておるということがわかつておるにかかわらず、占領軍の捜査機関でやるといいましても、そのものが民間に流れておる、それがやみに流されるということが、何ら日本の検察庁で追究を受けないということになると、これはどうしても密貿易はますます盛んになつて来ると思います。検察庁におかれましては、その点司令部の了解か何かで、こういうことも追究するということでなければ、将来密貿易はますます盛んになると思いますが、そういうことを進んで司令部の協力を得て、そういうものを明るみに出すという方針は立たないものでありましようか。
  58. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 昭和二十年二月十九日に発せられました刑事裁判権の行使に関する覚書によりまして、一定の犯罪につきましては、占領軍側が裁判権を行使し、日本側におきましては裁判権を行使することが出来ません。また日本側において裁判権を行使する事件につきましても、占領軍側において、占領政策の必要上裁判権を行使すると具体的事実について認定したものは、これはわが方で裁判権を行使することは出来ない建前になつております。従いまして私どもといたしましては、その覚書によりまして、職務を執行して参るのであります。これをもつてお答えにかえたいと思います。
  59. 上村進

    ○上村委員 くどいようですが、裁判権を行使するというようなことはできないにしても、現に軍事裁判でもいいが、裁判にかかつた犯罪物のようなものが民間に流れておることを、裁判権が向うであるからと言つて、こつちの検察の方でほうつておいていいものかどうか、それは別問題だから、追究してもいいじやないかと思うのです。
  60. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 それがやみ取引が行われておるというようなことになりますれば、当然捜査あるいは訴追ということの対象になると思います。
  61. 上村進

    ○上村委員 それでよろしいのです。ですから、そういうのはやはり今後その面で追究してほしいということを申し上げまして、私の質問を打切ります。
  62. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 実はただいま委員会では、上村委員が五分間の質問で打切るということにきまつたのですが、私明日から法務委員会の用件で出張しなければなりません。明日この委員会が開かれるとすればいいのでありますが、その状況も見られませんので、いま少しく時間をいただきまして、ほんとうに簡單に質問をいたしたいと思います。
  63. 角田幸吉

    角田委員長代理 ではこれで速記が来ないかもしれませんが、そのつもりで簡單にお願いいたします。
  64. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 裁判所の説明員にお答えしていただきたいのですが、裁判官の中で、もともと裁判官出身の方と、検事から転職されて判事になつた方、それから弁護士から転職されて判事に採用された方、このような三種類の裁判官があるように思いますが、これらの裁判官の勤続年数の計算はどういうふうになつておるでしようか。
  65. 本間喜一

    ○本間説明員 検事の場合は、おそらく裁判官の勤続年数と同じような勤続年数のウエイトを持たしておると思つております。弁護士の方にも一つの基準がありまして、何年以上弁護したものについては、大体において何号俸に該当するようにしようという一定の基準を持つておりますが、今はつきりしたところは覚えておりません。御必要ならば、あとから調べ提出いたします。
  66. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 その基準について、詳しいものはあとで御提示願いたいと思います。  もう一つお伺いいたしたい。それは弁護士出身の裁判官と、従来判検事をやつてつた裁判官との問に、俸給の上ることにつきまして、差別的な取扱いをいたしておるのじやないか、この点を承りたいと思います。
  67. 本間喜一

    ○本間説明員 おそらくそういう差別ということは今ありません。俸給をきめる際には、その人の能力その他を考慮に入れますから、單に弁護士何年を勤めた人は裁判官の何年と同じく見るというように、はつきりときまつておらないので、大体の原則だけで、その他においては、その人の経歴、能力という点を一々判断して、裁判官会議に付して、俸給をきめておる次第であります。
  68. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 今のお答えによりますと、まことに形式的なお答えだと受取れるのでありますが、実際上の取扱いにおいて、弁護士出身の裁判官というものは、一つの昇給の場合において、一律的に判事検事出身の裁判官よりも差等を設けておるのじやないか、この事実の点をお答え願いたい。
  69. 本間喜一

    ○本間説明員 昇給の場合には、そういう差別はないと思います。それから初任の場合には、いろいろ能力を考慮するということはやつております。
  70. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 現在名古屋の地方裁判所に弁護士出身の判事がたしか四、五人おると思いますが、これらの判事は一律的に判検事出身判事よりも昇給の時期が現実に遅れておる。これが今問題になりまして、内部的にはやはり弁護士出身判事は、他の判検事出身判事に比べて差別的な待遇をとられておるということが言われておるのでありますが、この点に対してお知りになつておる点をお答え願います。
  71. 本間喜一

    ○本間説明員 私はそういう事実は、今ここで初めて承るのでありまして、弁護士出身の判事が名古屋の管内に相当ありますが、今そういう点についてのことは私初めてでありますから、よく人事局で調査いたしまして、そうして御返事いたします。
  72. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それではその点につきましてよく調査して、その事実ありといたしますならば、すみやかに御是正を願いたいと思います。
  73. 本間喜一

    ○本間説明員 でき得べくんば、その弁護士出身の昇進の遅れておるという人の名前がわかれば、承つておきたいと思います。
  74. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それは全部の弁護士出身の判事だと思います。一人でありません。
  75. 本間喜一

    ○本間説明員 ここで言いにくい場合には、あとで承つてけつこうです。
  76. 角田幸吉

    角田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時十二分散会