○大西(正)委員 今の点に関連をしまして、簡単にお伺いをします。
裁判において
無罪の言渡しを受けたものだけを取上げられておりますが、そのほか各委員からいろいろ御
意見がありましたが、一ぺん
起訴されたものについての、あるいは
公訴棄却とか、あるいは免訴というようなことでなしに、
捜査の
段階におきまして、
起訴せずに、超訴猶予というならば問題はありませんが、罪とならずとか、あるいは嫌疑なしとかいうふうなことで、
検察局において釈放されたというような場合におきましては、なるほど御説明によりますと、
憲法第四十條によりまして、これは
無罪の
裁判でも何でもありませんので、ただいままでの御説明の御
趣旨によれば、
憲法の何も保障していないところだというふうなことが言えるかも存じませんけれ
ども、
憲法は最低の保障を定めたものであ
つて、その精神はあくまで全然罪にならない人が、
捜査機関その他によ
つて抑留をされ、あるいはまた世間的に非常な名誉の毀損、損害を受けたというふうな場合に、これを
救済しようというのが
憲法の精神でありますことは、これまた異論がないと存ずるのであります。さような
意味合いから言いますと、
裁判を受けて
無罪の
判決を受けた場合には、その名誉が
救済され、また財産的な
救済を受ける、こういうことになりますが、
検察庁の
段階において、
起訴をされずに、罪とならないということで釈放されたというふうな場合を
考えますと、これはむしろ
起訴してもら
つて、
無罪の
判決をもら
つた方が名誉を回復する道もあれば、あるいはまた勾留その他に対しての財産上の
救済も受けるということになるのであります。かような場合は、今日の
検察御
当局の各職員の方々は、りつばな方々であるということも確信をいたすのでありますが、万が一間違
つてそういうことがなされることが往々にしてあり得ると存ずるのであります。そこでさような場合に、もし
検察官が告訴をした
人間と結託したり、あるいはまた何らかの事由によ
つて告訴がない
事件でありましても、職権を濫用してやる場合におきまして——なるほど職権を濫用してやれば、これは明らかに
刑事補償法によ
つて救済されなくても、その他の
法律によりまして
救済をされる道があるのでありましよう。しかしながらその証明というものは非常に困難ではないかと思います。
故意過失を立証するということは、その冤罪をこうむりました者にとりましては、非常な困難を伴うのではないかと存ずるのであります。さような
意味合いにおきまして、
故意過失を論ぜず、これを
救済する道が当然開かれなければならないと存するのでありまして、さような
意味合いにおきまして、
起訴されない場合の、今申し上げましたような嫌疑の入とか、あるいは罪となるというようなことについても、一応御考慮を煩わしていただいたものであるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。