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1949-11-17 第6回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十七日(木曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 小玉 治行君 理事 高橋 英吉君    理事 田嶋 好文君 理事 石川金次郎君    理事 梨木作次郎君 理事 大西 正男君       佐瀬 昌三君    眞鍋  勝君       武藤 嘉一君    吉田 省三君       猪俣 浩三君    田万 廣文君       上村  進君    吉田  安君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君  出席政府委員         (法制意見第四         局長)         検     事 野木 新一君         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         (矯正保護局         長)         法務事務官  古橋浦四郎君         (検務局長)         検     事 高橋 一郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         総長      本間 喜一君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十一月十五日  地方法務局及びその支局の独立庁舎建設請願  (中村幸八君紹介)(第三〇五号)  長野地方裁判所諏訪支部並びに長野家庭裁判所  支部昇格請願(林百郎君紹介)(第三四五  号)  未成年女子刑務所設置請願山口好一君紹  介)(第三五三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  少年法の一部を改正する法律案内閣提出第三  号)  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二五号)  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)     —————————————
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は刑事補償法案少年法の一部を改正する法律案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案であります。  この際申し上げておきますが、梨木委員より人事院規則に関する件、最高裁判所誤判事件及び検察事務に関する件につき質疑の通告がありますが、委員会といたしましては、議案の審査が優先いたしますので、これは適当の時期に許したいと存じますので、さよう御了承を願います。  それではまず少年法の一部を改正する法律案議題といたします。刑政長官より留保した答弁につき、意見を開陳したいとの旨でありまするから、この際に許します。
  3. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 少年法の一部を改正する法律案の御審議の際に、先般山口委員から少年事件審理に非常に長い日数を要しているが、実際どのくらいの日数を要しているか、実情調査して報告しろというお話がありましたので、さつそく家庭裁判所、検察庁及び最高裁判所家庭局等連絡をとりまして、実情調査したところをお答えいたしたいと思います。  家庭裁判所において、少年事件の処理にどのくらいの日数を要するかという問題につきましては、少年身柄を拘束しておる場合と、家庭少年を帰して、いわゆる在宅事件として審理する場合と、二つにわけてお答えいたしたいと存じます。まず家庭裁判所身柄事件として少年事件を受理した場合には、その前に司法警察職員現行犯または逮捕状によつて少年を逮捕しますれば、刑事訴訟法によつて四十八時間内に身柄検察官に送致いたすのであります。検案官はさらに捜査を継続するために、おおむね勾留状を請求いたしますが、この勾留状勾留期間は、刑事訴訟法上十日以内となつておりまするので、十日以内にはこれを家庭裁判所身柄を送致いたすのであります。次に家庭裁判所においては、その受取つた少年少年観護所に送致いたして、その少年観護所に留置しておる間に調査及び審判を終了いたすのでありますが、その少年観護所に留置しておく期間はおおむね二週間以内であります。従つて身柄事件は逮捕してから保護処分を決定されるまで、おおむね二十六日以内で終了しているのが実情でございます。もつとも勾留期間を更新する必要がある特例の場合には、観護措置の更新をすることもまれにはございますので、この場合にはさらに二週間を足して合計四十日、最も長くて四十日以内に調査及び審判が終了することになるのであります。その後家庭裁判所において、その少年事件保護処分をするのが適当でない、刑事処分をするのが相当であると認めた場合には、事件をさらに検察官に送致いたすのでおります。そうしますと、検察官の方では、その事件裁判所に対して公訴提起をするのでありますが、裁判所審理期間は、東京地方裁判所の例によりますれば、大体六箇月以内で少年事件が処理されておるのでありますが、少年事件半数は約三箇月以内に処理されている実情でございます。  次に家庭裁判所在宅事件として少年事件を受理した場合でありまするが、この在宅事件について家庭裁判所調査審判に要する日数はおおむね三箇月以内で、その約半数は一箇月以内で処理されておるというのが実情でございます。  なお先般大西委員から、一度少年院に収容されて、少年院から仮退院になつた者がさらに罪を犯して、少年院、あるいは少年刑務所、あるいは普通の刑務所等に収容される者の率はどのくらいかという御質問があつたのでありまするが、少年院から仮退院した者の全体の数のうちで、再び少年院に入つて来る者の数は、正確にははつきりわかつておりません。前会にも申し上げましたように、現在少年院に収容されている少年のうちで、二度あるいは三度少年院に入つて来た者の率は、約二割くらいでありまするが、少年刑務所に収容されている受刑者のうちで、一度少年院の門をくぐつて来た者の数を調査いたしますると、これは約一割四分くらいであります。少年刑務所に収容されている者の数の約一割四分は、一度あるいは二度少年院を経て来た者があるのであります。さらに普通の刑務所に収容されておる受刑者全体のうちで、一度あるいは二度少年院に収容されて仮退院になつた者、そういう経験者はどのくらいあるかということを調べてみますると、約三%になつておるのであります。  以上御質問の際に調査ができませんでお答え申し上げかねた点を、本日補足いたした次第であります。
  4. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  5. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今議題となりました少年法の一部を改正する法律案につきまして、質問をいたしたいと思うのであります。  この少年法の一部を改正する法律案提案理由を読んで見ますと、本件を出すに至りました事情は、二十歳までと少年を限定いたしますと、おそらく今後の事件の取扱い上不可能であろう、すなわち事件増加によるところの関係とにらみ合せて、本法の執行は不可能であろうということが理由なつ、ておるようであります。してみると、われわれといたしましてはこの事件増加の形、今後の事件増加の動機、なぜ事件がふえるかという点につきまして、一応の検討をしてみなければならぬと思うのでありますが、関係当局はこれに対しまして、いかなる理由でこうした事件がふえるという見通しをつけたか、この点を伺つてみたいと思います。
  6. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点でございまするが、終戦後少年不良化犯罪化が著しく目立つて参りまして、少年不良化犯罪化防止するために、何らかの対策を講ぜよという御決議を、先般の国会で頂戴いたしたのでありまして、私たちはその御決議に基いて、先般お答え申し上げましたように、内閣の統轄のもとに各省協力して青少年犯罪化不良化防止対策の案を研究いたしたのであります。この対策といたしましては、法務府ばかりではなく、文部省厚生省労働省各省が協力して当らなければ、とうてい効果を見ることができないのでありまして、さような総合的な対策を講ずるには、まずどうしたらよいかというので、先般御報告申し上げましたように、内閣対策協議会を設けてたびたび会合し、またお互い資料を持合つて研究討議いたしまして、大体の対策として成案を得たものがこのパンフレットとしてお配りいたしました「青少年の問題の現状とその対策」に盛られておるのであります。その対策について簡単に申し上げるということは、なかなかむずかしいことでございますが、私どもの方の考えるところでは、各省機関において対策を講ずるばかりでなく、官民合同と申しますか、社会全体が青少年不良化犯罪化防止に協力していただかなければ、とうてい効果が現われないだろうということに意見が一致しておるのであります。結局は青少年教育——家庭教育社会教育ということがその対策の根本になるのではないかというふうに考えております。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今の説明は一応もつともな説明だと了承いたしたのでありますが、この青少年犯罪防止というものは、われわれが考えますにも、法律をもつて拘束し、法律をもつて青少年を善導するというよりも、今申しましたように、法律を離れた立場から、社会的なあらゆる機関を動員いたしまして、そうして青少年犯罪防止に当らなければならぬと思つておるのであります。この少年法におきましても、おそらくそうした意味を御加味くださいまして、御提出を願つたものと考えます。提出する当時におきましては、おそらく政府におきましても、これをもつて完全に実施できるという見通しがついた上で本件提出いたし、また国会におきましても、その見通しをつけた上にこの法律の制定に至つたものだ、こういうようにわれわれは了承をいたしておるのでありますが、そうした立場から本件が再び一年間——青少年犯罪増加につれまして、政府機関が整わないというような理由をもちまして一年間延期するということは、そもそもその提出そのものに不備があつた、またわれわれ国会といたしましても、反省しなければならぬ点もあつたかと思うのでありますが、少くともこの間に何らかの——今の御説明の趣旨を聞いてもわかりますように、私の考えを申し上げたことでもおわかりのことと思いますけれども法律によらずしてそこに何らかの措置をとるべきものであり、それがとられておらなければならぬと思うのでありますが、今日に至るまでいかなる処置をとり、またこの法律案提出に対してどういうような見通しと、どういうような態勢をもつて臨んでおつたものであるか、これを承りたいと思います。
  8. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 青少年犯罪化不良化防止するためには、ただいま申し上げましたように政府の各機関をあげて、お互いに連係をとつて、協力してその防止対策を講じておるのであります。文部省なり厚生省の機能の発揮が、相当効果が現われておることと考えられるのでありますが、法務府といたしましては、法務関係少年院、あるいは少年観護所等に送られた少年、それは不良少年の中で最も罪質の濃い少年が送られて来るのでありまするが、その少年に対しましては、少年院、あるいは少年観護所に収容して、できるだけ強制教育を施して、完全なる社会人として更生し得るような状態に仕上げて、また再び社会に送り出すという方針でやつておるのであります。先般も申し上げましたように、少年院かまだ十分に完備いたしません。施設も不十分であり、また職員教養訓練ということも、十分に至つておりませんので、御期待に沿うような効果はまだ上つておらぬかも存じませんが、数字でお示し申し上げましたように、一度少年院強制教育を施されたものが、社会に出ましてどの程度真人間に更生しておるか。あるいは再び悪の道に陥つて少年院なり刑務署なりに収容されることになるその数字傾向を大体見ますと、微力ながら私ども強制教育効果は、相当上つておるように思われるのであります。今後施設を整備し、また職員を充足いたしますれば、だんだんと皆様の御期待に沿うような強制教育効果も上るのではないかということを、楽しみに努力しておるのであります。
  9. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今の説明では不十分でありますので、もう一度お尋ねいたしますが、今お答えになりましたことはまことに抽象的であります。私のお尋ねいたしたいと思いますことは、先ほどの御答弁にございましたように、少年保護少年犯罪防止ということは法律ではいけないのだ。結局法律を離れて、各省関係機関がそうした面に一致して行かなければならぬと考えておるというお答えに対する質問であります。従つてお答えの中にありましたような抽象問題でなしに、厚生省立場からどういうような態度がとられておるか、文部省立場からどういう態度をとつて来たか、また法務庁立場としては、少年法を離れて具体的にどういう態度をとつて来たか、こういうことがお聞きしたいのであります。これをもう一度お尋ねしたいと思います。
  10. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 少年犯罪化防止に対して、法務府といたしましてこれまでとつて来た具体策については、これまでの御説明で大体御了承願えるだろうと存じておつたのでありますが、さらに申し上げますならば、少年事件として、少年観護所、あるいは少年院、あるいは少年刑務所等に送られた者に対しては、それぞれ法律従つて適当な措置を講じておるのであります。法律によらずして、法律を離れて少年不良化、あるいは犯罪化防止にどういう措置を講じておつたかということを考えてみますと、それはもつばら民間の御協力を得まして、青少年不良化防止に努めておるつもりであります。たとえば各地において集会を催して、一般少年問題に関心を持つように、また不良少年教化善導に盡力していただくように、一般社会に呼びかけをいたしております。またその啓発宣伝指導等をするために、団体を設けまして、その団体において指導の役を承つておるところもございますが、特に長い間そういう少年犯罪化不良化防止のために団体を組織して、青少年教化善導に盡力し、また各地方のそういう団体指導しておるものとしては、中央に保護協会という財団法人が設けられておるのであります。また地方には各府県にそれぞれ少年保護に関する団体が組織されておる現状であります。そのほかに文部省及び厚生省でどういう具体的な対策を講じておるかという御質問に対しましては、私はお示しいたしましたパソフレツトの対策以外には、お答えするだけの資料を持ちませんので、詳しいことは各省についてお答え申す方が、適当じやないかと考えております。
  11. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私の質問に対して、なかなか具体的な材料が示されませんので、いまだ不満足でございますが、これもなかなかむずかしいことでございましようから、一応この程度質問は打切りますが、ただお願いしたいことは、青少年犯罪増加するからということを理由にいたしておりますが、私たちの聞きたいことは、冒頭に申し上げましたように、なぜ青少年犯罪がふえて行くかということをまず検討して、そのもとに、じやふえて行くことに対しては、こういう対策も立てなくちやならぬというのが、これがその当局の行き方でなければならぬと思つているのであります。それに対してお答え法律の分野のみではやれないんだから、各省連絡をして極力青少年犯罪防止をはかつているというお答えになつて参りましたので、その抽象的なお答えは非常に私は不満足でおるのであります。しからばその具体的なる例はと、こう聞いておるのでありますから、本日はその点に対して十分な説明を與えてほしかつたのであります。しかし突然な委員質問でございますから、そうした面に対する材料がないということも了承されますので、できますならば、もつと青少年犯罪増加に対して、深く掘り下げて御検討くださいまして、そしてこれに対する関連機関対策、これに対する研究態度等もできるだけ材料を整えまして、不日この委員会に御提出を願いますれば、まことにありがたいのであります。  これはその程度にいたしまして、この少年法提出する時期において、提出当時の政府見通しはどんなお見通しであるか。これを最後に御質問いたしまして、私の質問終ります。
  12. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 その点につきましても、前会お答え申し上げたのでありますが、新しい少年法ができます当時、少年法に示されておるように、少年の年齢を現在の十八歳を二十歳まで引上げるためには、相当な施設も整えなければならぬし、少年指導、補導をする教官も増員しなければなりませんので、とうてい一年間ではその準備見込みが立ちませんので、遂に二十歳まで引き上げる点の法規については、延期をお願いいたしたのであります。ところが一年間延期をお願いいたして準備をいたしましたけれども、財政の都合もありますし、またその他いろいろな事情もありまして、たとえば裁判所側においても、家庭裁判所裁判官が充実しないというような人員の問題もありますし、また少年院の方でも、教官教養訓練が十分間に合わなかつたという点もありますし、施設その他の準備も十分にまかないかねましたのと、少年犯罪者趨勢予想以上に激増いたしておりますので、さらに一年間の延期をお願いしなければ、とうていまかない切れないというのが実情でございまして、その点から申しますれば、最初一年の延期をお願いした当時の見込みが、十分達せられなかつたということに帰着いたすのであります。
  13. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 打切ろうと思いましたが、お答えがありましたので、もう一言お願いしておきます。  今の説明を聞いておりますと、少年法の一部を改正する法律案提出は、すべてこれは提出当局の錯誤なり、また見通しをあやまつてつたものであるというようなところに盡きると考えます。家庭裁判所の拡充問題も、予算の問題その他とにらみ合せて、当然に予想のつくことであります。少年院も同様であります。少年観護所も同様であります。敗戦後の犯罪上昇率というものも、もはや専門家でなくしても、だれが考えても予想のつくことであります。その予想つけずし少年法を出して、一回ならず再三までまた改正法律案を出すということは、まことに醜態の限りだと私は考えざるを得ません。これは政府醜態ばかりでなしに、われわれ国会におるものも、ともに醜態を味わなければならぬことになりますので、こうした法律案を出す場合には、お互いに出す立場からもつと研究をされまして、再びこの醜態を繰返されないように注文をいたしまして、私の質問を打切ります。
  14. 梨木作次郎

    梨木委員 施設が充実しておらないということで一年延ばされるというのでありますが、これは来年の予算には、この点はどういうように施設充実のための費用が計上されておるか、これを伺いたいと思います。
  15. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 家庭裁判所収容力、また明年度予算の実現によつてどれだけの収容力が増されるかという点は、私の方は十分承知いたしておりませんが、少年院及び少年観護所の件につきましては、本年の予算年度内において工事が完了いたしますれば、少年院としては本年度末までには二千五百人の収容力ができる見込みであります。さらに明年度予算実現によつて四百二十六人増加いたす見込みでありまするから、大体現在の収容力三千六百八十一人に全部プラスいたしますると、二十五年度終りにおいては、少年院において六千六百人ばかりの収容力が整う予定になつておりますので、大体明年度予算年度終りまでには、今の趨勢少年増加を見ましても、まかない切れるのではないかというふうに考えております。明年度予算は一応経済安定本部、大蔵省との間に予定がついておつたのが、最近またそのうち何割か減されるというようなことも聞いておりまするので、その減らされかげんによつては、また収容力が幾らか足りなくなるというようなおそれもありますので、この点は法務総裁にもお願いいたしまして、極力少年院に関する限りは、この工事費が削減されないようにいたしたいと考えております。なお少年観護所でありますが、現在すでにできておる少年観護所収容力は、八百三十人であります。そうして本予算年度、すなわち明年の三月末までに工事が完了いたしますれば、その収容力がさらに一千五百人ばかり増加いたします。さらに明年度予算実行ができますれば、一千人さらにふえることになりますので、合計約三千人ばかりの収容力ができますので、少年観護所の方の収容力も、予算実行によつて大体まかない得るものでなかろうかというふうに考えております。さらにこの少年を教化補導するための職員教官等の問題でありますが、これは今からこの教養訓練に心がけまして、施設はできたが、これを補導教化する職員が足りないというようなことのないように、十分努力いたしたいと考えております。
  16. 上村進

    上村委員 田嶋委員質問された点は、やはりわれわれも同感なんです。この前、青少年犯罪防止決議案というものに盛られたいろいろのことは、結局犯罪防止するというのですが、一体犯罪防止するには二様あると思うのです。すでに犯罪を犯した青少年を将来再びやらせないという意味防止、これが、それから全然犯罪行為をやらせないように、いわゆる不良化が非常に稀薄であつて、まだ犯罪を犯さない青少年犯罪防止、この二つがあるのですが、一体法務府もしくは文部当局はどちらに重きを置いてこの政策をおやりになつているかということを、質問してみたいと思います。
  17. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 青少年不良化防止犯罪化防止につきましては、お説のように、確かにまだ犯罪を犯さないものをして不良にならないように、犯罪を犯さないように対策を講ずるということと、すでに不良になつて犯罪を犯したものを、再び犯罪を犯さないように更生させようという二つの面があると思うのでありますが、法務府でもつばら担当しておりますのは、その後者の部面でありまして、すでに不良化の著しいものは、あるいは犯罪を犯した者を教化保導して、そうして再び悪に陥ることのないように防止しようという対策を講じておるのであります。
  18. 上村進

    上村委員 そうすると、まだ犯罪を犯さない者のいわゆる犯罪防止ということを、法務府でやるというお考えはないのですか。
  19. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 その点につきましては、一般青少年対策の問題として、各省連繋をとつて内閣に中心を置きまして、対策委員会において活動いたしておるのでありまするが、まだ不良にならない、犯罪を犯さない者に対する不良化防止をもつぱらつかさどるのは、文部省または厚生省労働省等の担当であろうと思うのであります。法務府といたしましては、それらの各省と協力いたしまして、事前における不良化犯罪防止についてはもちろん協力いたすつもりでおります。
  20. 上村進

    上村委員 そこで、犯罪は突然起きるといえば、犯罪は突然起きるのですが、よく検討すれば、犯罪は犯されるべくして犯されて来るのです。それでありますからして、少事年犯罪は突然できて来るものもあるが、まず大体よく観察しておれば、来るべきものが来たというような傾向が多いわけです。そこで私どもは多年弁護士をやつておりますが、昔支那の学者の晏子という人が言つておりますが、知らしめないで殺すのは虐と言つておる。すべてよく知らしめて、これはこういうものである、あれはああいうものである、これはいいことである、これは悪いことであるということをよく教えて、しかもそれを犯した場合に殺すというならば、それは虐殺ではない。少年などは特によくわからないで罪を犯す者がある。知らしめないでおいて、犯さしておいてそれを殺してしまうということは、これは虐殺です。言葉がひど過ぎるかもしれませんが、特に少年犯罪防止として、今法務府で、佐藤さんの御説明になつたように、もつぱら後者の方をやるということでは、少年に対して非常に気の毒なんです。その悪なるゆえんを教えて、そうして犯した場合にこれを殺す。一旦起訴されるということは、これはその人間にとつては非常な致命傷です。一代にとつて致命傷であるし、同時に少事年時代に若々しい二葉を汚されるということになつて、なお一層致命傷のものな事のです。ですからして、犯罪防止というからには、むしろ私は後者でなくして、私の問うた質問の前者に特に力を入れるべきではないだろうかと考えるのであります。そこで話は希望的な問題のようになりますが、事ともかくもどの階級においても、犯罪がふえて来ることは明らかです。予算なくて困る困るというふうにして年齢を引延ばして、すでに犯罪を犯した者を再び犯さないように防止する意味の刑事政策をおとりになつて、しかも一旦犯罪を犯した者でも不親切な教え方をして二十歳までを包含するよりも、むしろ少年犯罪というものの特殊性をよく把握して、満十八歳なら十八歳に縮めて、その範囲においてそんなに延ばしたり引ずつたりしないで、丁寧にゆつくりと教えてやることが、少年犯罪というものを特別に扱うゆえんではないかと私は考える。だからここで一年延ばすとか何とか言わないで、十八歳なら十八歳にして、まだよく善悪の分別がついていない者を、国家の力で親兄弟になりかわつて丁寧に教えて、郷里へ帰すべきではないかと私は思う。その意味において、この案にはわれわれは賛成しておきますが、しかし根本的に、もう少し法務府において、少年犯罪防止法というものについて御検討を願いたい。こういう希望を申し上げておく次第であります。
  21. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 ただいまの御意見はよく拝承いたしました。
  22. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 花村四郎

    花村委員長 御質疑事がなければこれより討論に入りますが、討論はいかがいたしますか。
  24. 角田幸吉

    ○角田委員 討論省略の動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  25. 花村四郎

    花村委員長 それでは討論は省略いたします。これより採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  26. 花村四郎

    花村委員長 起立総員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。  つきましては本策に対する委員会の報告書は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 花村四郎

    花村委員長 御異議がなければさようとりはからいます。     —————————————
  28. 花村四郎

    花村委員長 次に裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に事関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。質疑の通告がありますから、これを許します。角田幸吉君。
  29. 角田幸吉

    ○角田委員 ちよつと法務総裁にお尋ねを申し上げたいのでありますが、今度の判事の報酬に関する件でございます。一号から五号俸までがすえ置きになつておりますが、これが法律的に見て、裁判官報酬等に関する法律第十條ないし憲法違反になりはしないか、この点お尋ねいたします。つけ加えて申し上げますが、これはただいまのところで、一号俸から五号俸までは改正する御意思がないかどうか、あるとすればいつごろか、それをやらなければ結局法律違反になりはしないか、こういうお尋ねであります。
  30. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 裁判官検察官の俸給を上の方を上げませんのは、一般行政官よりは高いのでありますけれども一般行政官よりも事実においては今上の方にあります。従つて下の方が、行政官に比べまして低いわけではありませんが、先般行政官の給與ぺースが上りましたときに、いま少し上げるべきであつたのでありますが、それが上つており事ません。ところが上の方は、新しい給與ベースに基きました行政官に比べましても決して見劣りがいたしません。より以上であります。これはこの程度でとどめてよかろう。下の方は一般行政官の給與ベースが上りましたについて、それに準じて上げて、一般行政官と判検事の比率を保つた方がいい、こういうことであります。私どもといたしましては、全部上げればなおいいと考えたのでありますが、財政の方の考えもありまして、かように妥協をしておるわけであります。しかしながら法律で定めますので、憲法は法律が定めることを認めておるのでありますから、法律で定める限りにおいては、憲法違反にはならないと思うのであります。
  31. 角田幸吉

    ○角田委員 ただいまの御説明では、まだ満足しかねるのでありますが、前の第四国会にお事いて、昭和二十三年法律第二六九号で裁判官報酬等に関する法律が改正されたのであります。ところがその際においての給與べースが五千三百三十円である。ところがそれの標準で上げたのでありますが、御承知のごとく第四国会におきまして、一般官吏は六千三百七円べースになつたのであります。さような次第でありますので、今度のこの改正案というものは、大体におきまして全般的に六千三百七円ベースで出されておるのであります事。しかるに判事の第一号から第五号までは手をつけていない。すなわちそれは裁判官報酬等に関する法律、第十條に「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給與の額を増加し、又は特別の給與を支給するときは、最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、裁判官について、一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給與の額を増加し、又は特別の給與を支給する。この法律に違反しないかという法律上の御見解を承るのであります。
  32. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 よくわかりました。それは内閣総理大臣その他の一般の認証官、それから判事、それから四号以上の検事に相当する政府職員につきましては、先般の給與べースの改訂のときも、五千三百二十円べースによつて定められたままでありまして、六千三百円になつておりません。従つて六千三百円に上りましても、上の方は上げる必要はない、下の方はみな六千三百円に上りましたから、それに準じて上げる、こういうことでございます。上の方も上げるべきですが、上の方は上つておりません。それで行政官に準じてやりましたから、下の方だけ上げる、こういうことでございます。
  33. 角田幸吉

    ○角田委員 ただいま言われた上の方というのは、認証官の判事のことでご事ざいますね。
  34. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 判事は五号まで上げまして、五号から上は全部上げません。検事は四号以上の検事は上げません。それに相当する行政官が上つておらぬからということでございます。
  35. 角田幸吉

    ○角田委員 五号以上の判事は上げない、その上げない理由として、行政官の俸給との関係は了解するのでありますが、ただいま私が御質問申し上げた部分につきましては、これは別個であります。その部分を上げないということが、裁判官報酬等に関する法律の十條に違反しないかどうかという、法律上の御見解さえ承ればいいのです。
  36. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは行政官の例に準じて判検事の報酬を上下いたすべきものでありますから、今のお話の法律にも違反しておらぬ、こう考えております。
  37. 花村四郎

    花村委員長 田嶋好文君。
  38. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 裁判所側にお尋ねいたしたいと思います。先般の国会におきまして、事裁判所職員の増員をわれわれは承認いたしているのであります。この裁判所職員の増員された現実の数並びにこれが現在持つており事ますところの職責等につきましてお答えを願いたいと思います。
  39. 花村四郎

    花村委員長 この際おはかりいたします。国会法第七十二條により、最高裁判所長官またはその指示する代理者は、その要求により、委員会の承認を得て、委員、会に出席説明することができることになつておりますので、巴里局裁判所長官の指定する代理者であります本間事務総長より発言の申出がありますから、これを許したいと存じますが、御異議あ事りませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければ発言を許します。本間最高裁判所事務総長。
  41. 本間喜一

    ○本間説明員 ただいまの点について、正確な数字調査の上お答えいたしますが、この前の議会で増員された数は、約三十余名の判事が増員されただけでございまして、その他の点は、いずれ詳しい表を持つて来て御説明申し上事げたいと思います。
  42. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そういたしますと、この提案理由を見ますと、やはり裁判所職員の多忙ということが原因になつているようでありますが、あの増員のみで裁判所が満たされることなく、今後なお増員の必要があるかに、資料をもつていたしますれば考えられるのでありますが、この点に対する裁判所の御見解を承りたいと思います。
  43. 本間喜一

    ○本間説明員 お答えいたします。来年度予算において、判事を家庭裁判所関係において百二十二名ほど増員していただかなくてはならないと思いまして、予算にそういうことを盛つております。それから事件増加は非常に多くなつていて、一人の負担部分について正確な数字を調べたのがありますから、その点を印刷にして後刻申し上げたいと思います。
  44. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今の説明によりますと、簡易裁判所の判事のみのように聞きましたが、簡易裁判所でなくして、判事補、判事の一増員はないわけですね。
  45. 本間喜一

    ○本間説明員 簡易裁判所の方は増員はいたしません。家庭裁判所における判事と判事補を合計して百二十二人増員する予、定であります。これは後刻ごらんに入れますが、事件増加が非常に多くなつておるので、ぜひ増員していただきたいと思いますけれども、今年の予算関係上、財政面上やむを得ず家庭裁判所、だけをお願いいたしまして、一般の方については、遺憾ながら申出をひつ込めたような次第であります。
  46. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは一般裁判所においても増員の必要はあるの、だが、国家財政の立場から今回は家庭裁判所事たけにとどめた、こう承つてよろしゆうございますか。
  47. 本間喜一

    ○本間説明員 お説の通りでございます。
  48. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次にお尋ねいたしますが、現在裁判所におきまして、一例を引きますと、たとえば何々裁判所の事務局長といつた方が判事という辞令をもつて就任しておるのがあるのでありますが、こうした例はどの程度ありましようか、その数字がわかりましたらお知らせください。
  49. 本間喜一

    ○本間説明員 事務局長とじて、判事または判事補で充てている者は、全国の高等裁判所八箇所に一人ずつ、合計八人であります。
  50. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 この兼職の根拠はどこにありましようか。
  51. 本間喜一

    ○本間説明員 これは最高裁判所規則において、司法行政のことを規定することができるがために、最高裁判所規則の中に、司法行政事務を判事または判事補をもつて充てることができるという規定をしたのであります。それに基いて充てている次第であります。もつともそういう規則がなくても、憲法上司法行政に関したことは最高裁判所はこれをすることができるのであります。司法行政の最高は裁判官会議であつて裁判官が司法行政をなし得ることになつておりますから、従つて規則はなくても、司法行政を憲法上の権能からできることになると思います。事
  52. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 裁判所の憲法上の独立ということは、もちろん当委員におきましてもこれを承認し、尊重しなければならぬと思つておるのでありますが、やはり予算の面におきましては、国会というものと裁判所は離すことはできない立場にあるのでありまして、なお法律制定というようなものになりますと、これはまれわれ国会の職責なんであります。裁判所の今までの行き方を見ていますと、独立という権限にとらわれまして、手続の規定としては少しむりであるかもしれないというような形のものまで、裁判所が制定しているきらいがあるように当委員には感ぜられる節があるのであります。この点に対しまして、裁判所はどういうお考えを持つておるかお聞かせ願いたいと思います。
  53. 本間喜一

    ○本間説明員 国会法律制定の分野に立入るとか、そういう考え最高裁判所は決して持つているわけではありません。ただ憲法の七十七條に、司法行政に関して、及び訴訟手続に関して、規則を制定することができるような権能が與えられておるのでありまして、その裁判所の司法行政を行うところの機関の最高のものは、各裁判所における裁判官会議で、その会議においてきめていただいて、あるいは数人の委員に人事のことを相談するとか、あるいは常務を数人の委員にお願いして、そして裁判官に常務を見てもらうというようなことは、今度の裁判所法の精神から申しまして、裁判官全体でもつて司法行政をするという建前でありますから、その中の一人に特に事務のことをお願いすることを定めることは、決して憲法、裁判所法の精神に反するものではないと解釈している次第であります。
  54. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 御趣旨のように今後お努めく、ださることは非常にけつこうであります。ただここで当委員として申し上げたいと思いますことは、やはり給與の点に関連してでありますが、今問題になつております最高裁判所四判事の誤判問題等においても、国会で定めた法律裁判所の内規によつて変更するというような、憲法にも影響し、われわれ国会の審議権にも非常に影響するような手続規定がきめられたために、あの問題が起つたということは事実であります。こうした点に対しては、国民また国会ともに重大関心を寄せているのでありまして、なるたけ裁判所の独立は尊重いたしますが、裁判所の今後の運営に対しましては、国会と極力連繋協力の上に立たれんことをお順いするわけであります。と申しますのは、本日裁判所は御出席くださつておりますが、この前の委員会等には、この給與べースの引上げという重要な法案が提出されながら、聞くところによると、こちらから電話をしても、裁判所は出て来ないというようなふまじめさであります。それではとうてい国会との連繋は保たれないのであります。その点を十分御注意く、ださつて、今後の運営に当つていただきたいと思います。
  55. 本間喜一

    ○本間説明員 私の方も、ぜひ国会連絡を申し上げ、そして事情をいろいろ聞いていただき、御援助をいただいて、初めて裁判所の仕事ができるのでありまして、その点は十分心がけております。前回出られなかつたのは、落成式その他の雑務があつたので、はなはだ申訳ない次第で、その点おわび申し上げておきます。われわれ裁判所は、国民から尊敬を受けるような裁判官によつて構成されることによつて、初めて法律上の独立もなし得ると思います。従つて国会から関心を持たれ、そして援助していただくということを、実にかたじけなく思つているのでありまして、前会出席できなかつたのは、そういう意味において、決して国会を無視したわけではないことを、十分御了承願いたいと思つております。
  56. 花村四郎

    花村委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  57. 花村四郎

    花村委員長 速記を始めてください。
  58. 上村進

    上村委員 裁判官の賃金のことについてお尋ねしたいのですが、判事の給與べースはわかつておられましようか。平均幾らぐらいになるかという平均数……。
  59. 本間喜一

    ○本間説明員 ただいまの判事の俸給のべースは、五千三百三十円であります。一般職員の方は六千三百七円べースであり事ます。
  60. 上村進

    上村委員 これで第一番に悪いのは、改正によりましても六千円でしよう。このつまり下の方の七号、八号という給料で、わずか六千円という給料で、今日判事が十分威信を保ちつつ職務を果せるということが疑問に思うのですが、その点裁判所はどう考えておられましようか。
  61. 本間喜一

    ○本間説明員 私どもは今の物価その他を考慮して、これで決して十分だと思つておりません。非常に不満足でありますけれども、ドツジ・ラインその他財政上の見地からいろいろお話を承ると、前の五千三百三十円ベースということはしかたがないと思つて承諾したわけであります。それを今度は六千三百七円ベースという、一般職員と同じようにベースを上げて切りかえていただく際においては、十分考慮して、下の方ばかりでなく、上の方も上げていただきたい。こう考え政府に交渉した次第であります。しかし財政上の見地で、あまり十分にわれわれの満足の行くように改正案ができなかつたようで、はなはだ残念に思つております。ことに上の方には、一般官吏にこれに当る俸給がないと申しますけれども、当る俸給がある。政府職員一般職員の十五級奉というのは、最高額が二万三千六十円になつておりまして、判事の一号、二号、三号、四号という俸給にもやはり当るベースの俸給はあります。十五級俸をこういうふうにたくさんに上げた以上は、判事の俸給も上げてよろしいのではないか。該当するものはないとおつしやつたけれども、該当するものはやはりあり得るのじやないか。こう考えております。
  62. 上村進

    上村委員 今の裁判所の上の方のというのですが、一体現業員でほんとうに裁判をし、そうして一生懸命に判決を書くのは一番少い俸給の判事だと思うのです。六千円、六千七百円、八号、七号の判事が多いと思うのです。ですからこの全体をこういうふうに動かすことはできないものですか。この範囲におきましても、もつと下の方が多くなるように組みかえをすることができないでしようか。
  63. 本間喜一

    ○本間説明員 組みかえできます。この委員会において下の俸給を削つてくだされば——この表の八号、七号、六号というようなところを抹消していた事だけば均指することになります。
  64. 上村進

    上村委員 これは実に重大な問題でございまして、判事様というのは、いなかへ行けば大いにいばつているのですが、判事さん俸給は幾らですかと言われたときに、六千円でございますとは言えないと思う。下を切るという簡単なものでなて、われわれ国会議員として予算に参加権を持つているのですが、全体としてこれだけのものをわれわれが今協賛するとすれば、この割振りはこの委員会でどうにも相談の上でできるのですか。
  65. 本間喜一

    ○本間説明員 できるかとおつしやられれば、実際問題として、一番下の俸給の人でも、いなかの方に行つては生活できるのがあります。東京ではむりです。それから判事の俸給の問題は、判事補、簡易裁判所判事というものも大分ありますが、一人前になつた判事は五号俸の一万六千四百円というところです。簡易裁判所の判事は下の俸給もありますが、これは地方のその場所場所の物価その他をにらみまして、全体的にそういうふうに低くなつているわけではありませんから、どうしてもこの俸給じや生活に困るというような下の俸給は、その土地土地ににらみ合せてないように心がけております。
  66. 花村四郎

    花村委員長 ただいま本会議が始まりましたので、本日はこの程度にいたし、明日午後一時より開会いたし、質疑を続行いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時九分散会