○殖田国務大臣
青少年問題対策協議会の経過の御報告をいたしたいと思います。少しこまかくなり過ぎまして長いかと思いますが、お聞取りをお願いいたします。
去る第五国会におきまして、各党共同提案にかかわりまする
青少年犯罪防止に関する決議案が、衆議院の本
会議で満場一致可決されました。その際
政府を代表いたしまして、私がお礼の言葉を述べました
関係上、その直後私は
事務当局をして、
大蔵省、文部省、労働省、厚生省、
国家地方警察本部、最高
検察庁、最高
裁判所の
関係係官の懇談会を五回にわた
つて開催いたしまして、
青少年問題対策協議会設置要綱案と、
青少年保護矯正に関する総合対策案の二つの案を
決定いたしたのであります。そこで私から
青少年問題対策協議会設置要綱案を閣議にはかる手続をとりまして、右要綱は去る六月十四日の閣議によりまして
決定いたしたのでございます。
青少年問題対策協議会と申しますのは、すなわち
青少年の指導、保護及び矯正に関する総合的施策を樹立いたしまして、その適当な
実施をはかるために、内閣官房に設置をいたしたのでございますが、本協議会の
委員には内閣の官房長官、同じく官房副長官、大蔵次官、文部次官、厚生次官、労働次官、
国家地方警察本部次長、
法務府の刑政長官、中央更生保護
委員会委員長、最高
検察庁次長検事、最高
裁判所事務総長のほかに、
青少年の問題に
関係のありまする民間有識者といたしまして、
佐藤利三郎、内村裕之、中川望、藤林敬三、守屋東女史の五氏を委嘱いたしまして、内閣官房長官を
委員長といたしまして
委員会を組織いたしました。その
事務を
処理いたしまするために幹事といたしまして、内閣官房副長官、
大蔵省主計局長、文部省初等中等教育局長、文部省社会教育局長、厚生省兒童局長、厚生省社会局長、労働省婦人
少年局長、労働省職業安定局長、
国家地方警察本部刑事部長、
法務府矯正保護局長、中央更生保護
委員会事務局長、最高
検察庁保護係検事、最高
裁判所家庭局長を委嘱いたしまして、内閣副長官を幹事長といたしまして、幹事会を組織いたした次第であります。
この協議会は設置以来
青少年の問題に関する
政府施策の検討、
青少年問題に関する総合的施策の樹立、右施策中緊急に
実施すべき項の具体化策の樹立とその
予算的措置の樹立のために、幹事会を六月十八日を第一回といたしまして前後十九回、
委員会を七月十八日を第一回として五回開催いたしました結果、八月二十二日の
委員会におきまして
青少年問題対策協議会
決定事項を可決いたしたのであります。右
決定事項は総合的
連絡調整機関の設置、
青少年調査所の設置、
関係各省庁の機構の強化、その他具体的措置、その他の一般的措置の五大項目に分類をいたしました。そのうち
法務府
関係の事項をあげてみますれば、
犯罪者予防更生法の完全
実施、矯正保護
施設、釈放者の保護援護
施設の設置、
少年観護所設備の整備、
少年鑑別所の検査器械の整備、
少年院の
施設及び設備の整備、
少年観護所、
少年院及び
少年刑務所收容者の副食の改善、
犯罪者予防更正法の対象
少年及び矯正
施設に收容中の
少年の家庭に対する生活保護法の大巾
適用、司法保護
委員の手当及び補導費の大巾増額等であります。この
決定事項は内閣に提出されたのでございますが、内閣といたしましては右の
決定事項に基きまして八月二十九日の次官
会議におきまして、
青少年不良化防止のためとるべき措置を
決定いたしたのであります。この措置の中には、
法務府として特にとるべき措置はございませんけれ
ども、八月三十日の閣議で
決定いたしました
青少年問題対策協議会
決定事項中、本年度内に
実施すべき緊急対策要綱の中には、
法務府といたしまして緊急の事項であります。
少年観護所、
少年鑑別所、
少年院の收容者の分類及び矯正教育設備の整備強化と問題、
少年に対する
犯罪者予防更生法の完全
実施が取上げられたのであります。右の次官
会議と閣議の
決定事項の具体的をはかるため、
青少年問題対策協議会に参加の
関係各省は、二十四年度の
補正予算と二十五年度の
予算の作成に着手をいたし、それぞれ
大蔵省と
折衝を重ねたのでございますが、
法務府
関係で二十四年度の
補正予算として
大蔵省に提出いたしましたのは、
少年観護所、
少年鑑別所、
少年院等の整備拡充に要する
経費二千二百四十九万九千九百九十円、問題
青少年に対する
犯罪者予防更生法の完全
実施に要する
経費九千九百四十五万九千円でありますが、いずれも不幸にして
大蔵省の承認を得ることができなか
つたのでございます。そこで
青少年問題対策協議会の
委員会にかけて態度を
決定することといたしたのでありますが、各省とも
補正予算の承認を得られない
状況でありましたので、緊急に
実施すべき対策はやむなく二十五年度の
予算によ
つて実現することといたしたのであります。しかしながら
少年観護所の整備は一日の遷延を許さない現状でありますので、
経済安定本部と
折衝の結果、
法務府の二十四年度
経費中、刑務所の営繕費から一億三千五百万円を移用し、合計二億七千九百万円を
少年観護所の営繕費に充当いたすことにな
つたのでございます。さらに二十五年度の
予算案の内容につきましては、目下
大蔵省において
関係方面と
折衝中でございますので、その計数をお話するまでに至
つていませんことは、遺憾にたえない次第でございます。なお現在
少年院の收容
定員は、八月現在三千六百八十一人でありますが、二十四年度
予算で予定しています工事が完成いたしますれば、その
定員は六千六百余人となりますし、前に申し上げました刑務所の営繕費からの転用によりまして、
少年観護所の本年度工事が完了いたしますと、現在の收容
定員八百三十人が千九百余人になるわけでございます。
法務府といたしましては、右の
ような
予算状況でございますけれ
ども、現在の
予算の範囲内で
少年院、
少年観護所等の適正な運営をはかり、また問題
青少年に対する
犯罪者予防更生法の強力な運用をはかるため、種々努力いたしている次第でありますが、各位の御支援によりまして、その運営と
予算的措置をさらに一段と適正にいたしたいと存じているのであります。
さらに
青少年問題対策協議会におきましては、
青少年問題対策協議会
決定事項中、本年度内に
実施すべき緊急対策要綱中の
地方調整機関設置の問題と啓発宣伝措置の問題を具体化するため、再三
委員会、幹事会を開きました結果、
地方青少年問題協議会設置要綱案と
青少年保護育成運動
実施要綱案ができ上りましたので、右二案を内閣に提案いたしましたところ、九月二十六日の次官
会議で
決定を見ましたので、右の要領と要綱は内閣官房長官から
地方長官に対し、また
青少年問題対策協議会参加の
関係各省からはそれぞれの
地方官庁に対して、右協議会の設置と右運動の
実施方を依頼通牒いたしたわけでございます。
地方青少年問題協議会は地区内における
青少年の指導、保護及び矯正に
関係のある公私の機関の統一的にして有機的協働をはかるとともに、地区内住民の
青少年の
不良化防止活動を自主的に展開するために、都道府県單位と市区町村單位にそれぞれ設けられ、その地区内の
青少年問題に
関係のある官公署、民間団体の代表者を会員とするものでありまして、地区内の問題
青少年の指導、保護及び矯正に
関係のある各種情報
資料の交換、收集、地区内の
青少年の指導、保護及び矯正に関する具体的対策の樹立、地区内の
青少年の指導、保護及び矯正に
関係のある公私の機関の活動の調整促進、地区内の
青少年の指導、保護及び矯正に関する
実施事項の批判検討等の仕事をするものであります。
青少年保護育成強調運動は、
青少年不良化の温床を排除し、
青少年の自覚を促進するとともに、
青少年の指導、保護、矯正のために施策を強力に
実施するために、官民合同のもとに十一月十四日から二十日までの間
地方青少年問題対策協議会が中心となり全国的に
実施するものでございます。
さて
青少年問題対策協議会は、内閣
決定によりまして法的な永続機関となりましたので、今度は第五回国会における衆議院の
青少年犯罪防止に関する決議、参議院の
青少年不良化防止に関する決議に基きまして、
青少年問題対策協議会の
委員会が八月二十二日に
決定いたしました問題
青少年に関する総合的施策を着々
実施して行くことにな
つております。その運営につきましては、さらに各位の積極的な御鞭撻を賜わりたいと存ずるのであります。はなはだおわかりにくかつたと思いますが、これをも
つて私の
説明を終ります。