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1949-11-10 第6回国会 衆議院 法務委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月十日(木曜日) 午後二時三十三分
開議
出席委員
委員長
花村
四郎君
理事
角田 幸吉君
理事
石川金次郎
君
理事
梨木作次郎
君
理事
大西 正男君
理事
佐竹
晴記
君 鍛冶 良作君 佐瀬 昌三君 古島 義英君 松木 弘君
眞鍋
勝君 武藤 嘉一君 山口 好一君 吉田 省三君
猪俣
浩三
君 田万
廣文
君 上村 進君
出席国務大臣
法 務 総 裁 殖田 俊吉君
出席政府委員
(
法制局長
)
人事院事務官
岡部 史郎君
法務政務次官
牧野
寛索
君
法制意見長官
佐藤
達夫君 刑 政 長 官
佐藤
藤佐
君 (
検務局長
) 検 事 高橋 一郎君
委員外
の
出席者
專 門 員 村 教三君 專 門 員 小木 貞一君
—————————————
十一月八日
裁判官
の
報酬等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二五号)
検察官
の
俸給等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣総出
第二六号) の審査を本
委員
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
刑事補償法案
(
内閣提出
第二号)
少年法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第三 号)
裁判官
の
報酬等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二五号)
検察官
の
俸給等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二六号)
国家公務員
の
政治活動制限
に関する
人事院規則
の適用に関する件
—————————————
花村四郎
1
○
花村
委員長
これより
会議
を開きます。 本日はまず
刑事補償法案
、
少年法
の一部を
改正
する
法律案
、
裁判官
の
報酬等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
及び
検察官
の
俸給等
に関する法事の一部を
改正
する
法律案
について
政府
より
提案理由説明
を求め、続いて
国家
の
公務員
の
政治活動制限
に関する
人事院規則
について
説明聽取並びに質疑
を行いたいと存じます。 それではまず
付託議案
について
政府
より順次
提案理由
の
説明
を求めます。
法務総裁殖田俊吉
君。
殖田俊吉
2
○
殖田國務大臣
ただいま上程になりました
刑事補償法案
の
提案理由
を御
説明
いたします。
現行刑事補償法
は、
昭和
六年
法律
第六十号をも
つて
制定
せられ、
昭和
七年一月一日から施行されたのであります。しかして爾来今日まで
寃罪者
の救済に不十分ながらその役割を果して参
つたの
であります。 しかるに新
憲法
は、その第三十
一條
から第三十九條までの多くの
規定
により、
刑事司法
について、
事前
に
愼重
な
手続
をとることを要求し、過誤を未然に防止するに努めるとともに、第四十條において「何人も、
抑留
又は
拘禁
された後、
無罪
の
裁判
を受けたときは、
法律
の定めるところにより、国にその
補償
を求めることができる。」と
規定
し、もし
愼重
な
手続
にもかかわらず、
刑事司法
が誤りに陷
つて
いたときは、国に対する
補償請求権
を認め、も
つて
事前
、事後の両面相ま
つて
人身の自由の保障を全からしめんとしているのであります。 しかるに、
現行刑事補償法
の
内容
とこの新
憲法
第四十條の
規定
とを対比いたしますと、その
補償原因
及び
補償不成立條件
について
改正
を要する点があるばかりでなく、
民法
の
改正
に伴い、
補償
を受けるべき者の
順位
及びその相互の
関係
について
改正
を要する点があり、
国家賠償法
の
制定
に伴い、同法による
補償
との
調整
をはかる必要もあり、さらにまた
拘禁
による
補償
の
金額
が一日五円以内という
現行法
の
規定
はいかにも現状に適しないのであります。かくして、すでに
昭和
二十一年秋の
臨時法制調査会
においても、
現行刑事補償法
は
改正
すべきものとしてその
改正要綱
の答申があり、
政府
においても、引続きその
全面的改正準備
を進めて参り、
刑事訴訟法
の
改正
の終るのを待
つて
昨年暮の第四回
国会
に
刑事補償法
を
改正
する
法律案
として
提案
したのであります。ところが不幸にして
審議未了
となりましたので、当時の
国会
における
論議
を参照しつつ、再検討を加えた結果、ここにあらためて
本案
を
提案
する運びに
至つたの
であります。 そこで、
本案
の
内容
の御
説明
に入ります前に
刑事補償本質
について
簡單
に申し述べておきたいと思います。この問題は、
刑事補償
が
国家賠償
とその
本質
を異にするかどうかという面から論ぜられていたのでありますが、
本案
においては、
刑事補償
はそれが
損害
の填補である点において
国家賠償
とその
本質
を同じくするものといたしました。
従つて刑事補償
が
国家賠償
と異るのは、
国家機関
の
故意
または
過失
を
補償
の要件としないこと及び
補償
の額が定型化されていることの二点にとどまるのであります。
国家機関
に
故意
または
過失
がある場合には、
刑事補償
を受け得るばかりでなく、
刑事補償
によ
つて
填補せられない
損害
については、
国家賠償
を受け得ることになるのであります。 次に
本案
の
内容
について
現行法
と
相違
するおもな点を御
説明
いたします。 第一点は、
補償原因
の拡張であります。
現行法
においては、
刑事訴訟法
上の
未決勾留
及び刑の
執行
についてのみ
補償
すべきことを定めているのでありますが、
本案
では新
憲法
第四十條の
趣旨
にのつとり、
刑事手続
上のすべての
抑留
及び
拘禁
、刑の
執行
並びにこれに伴う
抑留
及び
拘禁
のすべてについて
補償
をすることといたしました。
少年法
及び
経済調査庁法
の
規定
による
抑留
及び
拘禁
もそれが後に
刑事手続
に移る場合がありますので、これも
補償原因
に加えたのであります。 第二点は、
補償不成立條件
の整理であります。
現行法
第四條においては
補償不成立條件
を相当広く
規定
しており、この
規定
によ
つて
、運用の実際においても
補償
をはばまれる事例が少くなか
つたの
であります。しかるに新
憲法
は、
無罪
の
裁判
を受けた者には、特別の場合を除き必ず
補償
をすべきことを要求している
趣旨
と解されますので、
現行法
第四條に
規定
する
補償不成立條件
を整理し、單に「一、本人が、捜査又は審判を誤まらせる目的で、虚偽の自白をし、又は他の
有罪
の証拠を作為することにより、起訴、
未決
の
抑留
若しくは
拘禁
又は
有罪
の
裁判
を受けるに至つたものと認められる場合」「二、一個の
裁判
によ
つて併合罪
の一部について
無罪
の
裁判
を受けても、他の部分について
有罪
の
裁判
を受けた場合」のみを
補償不成立條件
とし、しかもこの場合にも
裁判所
の健全な裁量によ
つて補償
の一部または全部をしないことができるものとしたのであります。第四回
国会提出案
では、この点に関する
辞句
がやや不明確でありましたので、今回はこれを
修正
して明確を期することといたしました。 第三点は、
補償請求権
を
相続
の
対象
とした点であります。これは、前に申し述べましたように、
刑事補償
の
本質
を
一種
の
国家賠償
と考える以上、
現行法
のように
補償請求権
を
相続
の
対象
としないことはその
理由
に乏しいからであります。
相続
の
対象
とする結果、
相続
の
順位
、
相続分
その他
相続
に関する点はすべて
民法
の
規定
に従うことになるのであります。 第四点は、
補償金額
を
引上げ
た点であります。
現行法
では、
身体
を拘束した場合には一日五円以内、
死刑
の
執行
による場合には
裁判所
の相当と認める額を
補償
することとしているのでありますが、今回は、
身体
を拘束した場合には、一日二百円以上四百円以内とし、
死刑
の
執行
による場合には五十万円以内で
裁判所
の相当と認める額を
補償
することといたしました。旧案と異なるのは、
死刑
の
執行
による
補償
について一万円以内とありましたのを、いかにも低きにすぎますので、五十万円以内とした点であります。 第五点は、
国家賠償
との
調整
をはかつた点であります。旧案によりますと、完全な
国家賠償
を受けても、
刑事補償
の
請求
があれば、なお百円以内のノミナルな
補償
をすることにな
つて
いたのでありますが、これも
刑事補償
を
国家賠償
の
一種
と考えれば、必要のないことになりますので、
本案
では、かような場合には、
補償
をしないことといたしたのであります。 第六点は、
補償
の
決定
をしたときは、申立により
決定
の
要旨
を官報のみならず新聞紙にも掲載して公示すべきものとした点であります。この点は、
現行法制定
当時から要望のあつた点でありますが、今回不十分ながらその一部の実現をはかることといたしました。 以上
簡單
ながら、
刑事補償法案
の
内容
を御
説明
いたしました。なお、
本法
による
補償
は新
憲法施行
の日以後
補償原因
の生じた場合にもさかのぼ
つて
適用することとし、
本法
の
制定
が今日まで遅延いたしたため、
寃罪者
のこうむる
損害
を
最小限度
にとどめる
措置
を講ずることといたしました。 何とぞ
愼重御審議
の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。 次は
少年法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。
少年法
(
昭和
二十三年七月十五日
法律
第百六十八号)は、本年一月一日施行されましたが、同法第
二條
は
少年
とは二十歳に満たない者と
規定
しておるのであります。旧
少年法
は、十八歳
未満
の者を
少年
といたしましたのに、
新法
はこれを
引上げ
たのであります。この
規定
通り
実施いたしますと、
旧法時代
に比し
少年事件
は、約二倍以上
増加
することが、予想されたのであります。 ところが
本法施行
当時における
家庭裁判所
、
少年
院、
少年観護所
及び同
鑑別所等少年事件取扱機関
の人的物的の設備の実情と、
犯罪者予防更生法
がその後七月に施行される予定であつたことより、この激増する
少年事件
に対する
受入れ態勢
がきわめて不十分であ
つたの
でありました。そこで
少年法
第六十八條により、同
法施行
後一年間は、
少年法
は旧法同様十八歳
未満
の者とするということにいたし、この一年間に二十歳
未満
に
引上げ
る場合の
受入れ態勢
の
整備
に努めることにいたしたのであります。ところがすでに同
法施行
後十箇月になりますが、この
受入れ態勢
の
整備工作
の進展が
裁判所側
、
法務
府側とも十分でなく、今日では
昭和
二十五年一月一日より
少年
の年齢を
新法
の常
則通り
二十歳
未満
に
引上げ
た場合には、とうてい激増する
少年事件
を滯りなく処理し得ないものと思われますので、さらに一年間
少年法
の常則にのつとることを延期し、その
受入れ態勢
の
整備
をなし、
少年事件
の処理に遺憾なからんことを期したいのであります。 以上が
改正
の
要旨
であります。
愼重御審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。 次に
裁判官
の
報酬等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、及び
検察官
の
俸給等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、その
提案理由
を便宜一括して御
説明
申し上げます。
裁判官
の
報酬等
に関する
法律
及び
検察官
の
俸給等
に関する
法律
は、昨年六月第二回
国会
において成立し、同年七月一日から施行せられ、その後、同年十二月第四
国会
において、それぞれその一部が
改正
せられ、同年十一月一日にさかのぼ
つて
適用せられて今日に及んでおりますことは御
承知
の
通り
でありますが、この第四
国会
における両
改正法
は、
政府
が同
国会
の当初に提出した「
昭和
二十三年十一月以降の
政府職員
の
俸給等
に関する
法律案
」と題する
職員
総
平均
の
月收
五千三百三十円を
基準
とする
一般政府職員
の
給與
に関する
法律案
の例に準じて立案せられたものであリました。しかるにその後御
承知
のような経緯によ
つて
、
一般政府職員
に関する「
昭和
二十三年十一月以降の
政府職員
の
俸給等
に関する
法律案
」は、
職員
総
平均
の
月收基準
が五千三百三十円であ
つたの
を六千三百七円に改め、この
基準
による「
政府職員
の新
給與実施
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
」に
修正
され、この
修正法案
が両院を通過成立して、本年一月一日から施行せられておるのであります。そこで
裁判官
及び
検察官
につきましても
一般政府職員
の例にならい、その
給與基準
を
引上げ
る必要がありますので、この両
法律案
を提出いたした次第であります。 この両
法律案
の
別表
にかかげる
報酬
または
俸給
の各
月額
を
現行法
の
別表
と比較しますと、認証官たる
裁判官
及び
検察官
、
判事
、二号以上の
簡易裁判所判事
並びに四号以上の
検事
の
報酬
または
俸給
の
月額
については何らの変更がなく、その他のものについてのみ
一般政府職員
の
俸給月額
の
増加
に準じて
月額
二百三十七円から一千十二円までの
増加
にな
つて
おり、その
増加率
は一分六厘から一割四分とな
つて
おります。 この両
法案
におきましては、
右別表
の
改正
のほか、他の
法律
の
改正
に伴う法文の字句の
修正
及び
別表
の
俸給月額
の
増加
に伴う副
検事
の
特別俸給
の
月額
の
増額等
に関する
規定
を設けてありますが、これらにつきましては特に御
説明
いたすまでもないと存じます。 以上
簡單
にこの両
法案
について御
説明
いたしました。 何とぞ
愼重御審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————
花村四郎
3
○
花村
委員長
この際申し上げておきます。
人事院総裁
は間もなく見えられることと思いますが、ただいま
人事院法制局長
が来られておりますから、さよう御了承願います。 次に
公家公務員
の
政治活動制限
に関する
人事院規則
について
質疑
の通告がありますからこれを許します。
猪俣浩三
君。
猪俣浩三
4
○
猪俣委員
私は
法務総裁
に実は久しぶりにお目にかか
つたの
でありますので、二、三お尋ね申したいと思うのであります。
法務総裁
は
内閣
の
法律顧問
という立場にあらせられるのでありますから、さようの
意味
におきまして、この
人事院規則
に関連いたしました点、あるいは公労法に
関係
いたしました点につきまして二、三御質問を申し上げたいと思うのであります。 この
人事院規則
は
憲法違反
であるという論者があるのでありますが、これに対しまして
人事院総裁
は、これは
憲法
第十
五條
によ
つて
、合憲的なものであるという
説明
をせられておるのであります。ところが私
ども
はこの
憲法
第十
五條
がこの
人事院規則
、あるいはまたその
母法
であります
国家公務員法
それ
自体
を合憲化するところの
根拠
として、十
五條
を引用されることに対しまして、はなはだ疑問があるのでありまするが、もちろんこれはすでに
法律
としてできておりまするし、今まで
人事委員会
その他において論及された点でありますので、これをむし返すようなことになりまして恐縮でありまするけれ
ども
、
法務委員会
といたしましては初めて取上げる問題でありまするがゆえに、なおこの点についてはつきりした観念を得たいと思うのであります。この
憲法
第十
五條
は、私
ども
の考えるところによれば、成立の
歴史的意義
と申しますか、そういう点から
解釈
いたしますると、これは決して
国家公務員法
、あるいは
人事院規則
を合憲化するような
根拠
になる
條項
ではないのである。今までの
日本
の
官僚
はいわゆる
財閥
、
軍閥
その他
特権階級
の
奉仕者
であつた。昔の
官吏服務紀律
の第
一條
には「
凡ソ官吏ハ天皇陛下及天皇陛下
ノ
政府ニ
対
シ忠順勤勉
ヲ主トシ」ということが第
一條
に述べられておりまして、
官吏
というものは
天皇陛下
及び
天皇陛下
の
政府
に
勤勉忠順
にやればいいので、
国民
などには
関係
ない。
国民
に対しては
支配者
の
地位
に立つ。そのような長い間の
日本
の
官僚制度
を打破して、
官吏
は
国民
の
奉仕者
である。
財閥
あるいは
軍閥
はなくなりましたが、現われて参りました
政治勢力
としてあるいは多数党、そういうふうな一部の
特権政治勢力
に奉仕するものではないのだ、
国民
全体の
奉仕者
なんだという
意味
を明らかにするために第十
五條
というものができて来たことは、学者の学説を見ましてもほぼ一致しておるところでありまして、
美濃部博士
などはそれを強調せられておるのであります。これが
国家公務員法
及び
公務員
の
政治活動
を禁止いたしまするところの
規則
の
根拠
にされるということは、相当ゆがめられたるところの
解釈
じやないかと私
ども
には考えられるのであ
つて
、この十
五條
を
国家公務員法
、あるいは
人事院規則
の
根拠
にされるということに対しては、この
民主憲法
の
根本精神
から考えてはなはだ歪曲せられたる
解釈
じやないかと存ずるのでありますが、
法務総裁
の御
見解
はいかがでございましようか。
殖田俊吉
5
○
殖田國務大臣
国家公務員法
及び
人事院規則
が
憲法
に違反するのじやないかというような
お話
は、この
法律制定
の当時から出ました御
議論
でございまして、その当時十分に
論議
を盡しまして、
憲法
に違反するものではないとの御
決定
に
なつ
たものと
承知
しておるのであります。 さらにお尋ねでありますからお答え申し上げますが、私は
国家公務員法
、
従つて人事院規則
というものの
根拠
といたしましては、單に
憲法
十
五條
のみではなく、やはり十
二條
の
規定
もあわせてごらんを願わなければならぬのじやないかと思うのであります。
憲法
十
五條
も特に問題になります点は第二項でありまして、その
趣旨
は、
公務員
は
国民
全体の信託のもとに、全
社会
の
福祉
のために奉仕すべきものであり、一
政党
、一階級、一業界というような一部の
利益
のために奉仕すべきものであ
つて
はならないということを名言したものと考えるのであります。
従つて
今回の
人事院規則
に関連して申しますれば、
一般公務員
の
政治的中立性
というものがそこから導き出されるのでありまして、無制限な
政治活動
が、全体の
奉仕者
としての
地位
と相いれないということを、この
條文
は明らかにしておるものと考えるのであります。それからこれに関連いたしまして
憲法
十
二條
の
規定
する
公共
の
福祉
のためにする
基本的人権
の
制約
ということと、十
五條
の
規定
とは相表裏しておると考えるのであります。本来全
国民
の負担において、
社会
全体の
公共
の
利益
のために奉仕すべきことを信託され、要請されております
公務員
が、その本分を逸脱して一部の
利益
のために奉仕し、ことに
政治運動
に狂奔してその
公正中立性
を失うがごときことは、その職分から申しまして、
公共
の
福祉
に著しい害悪を及ぼすものであることは言うまでもないことでありまして、
猪俣議員
の
お話
の
通り
であります。しかしながら
公務員
もまた
国民
である以上、
基本的人権
が尊重せられるべきことは当然でございますけれ
ども
、先ほど申し上げました点からいたしまして、ある程度の
制約
は、その
地位
に照してやむを得ないものと言わなければならないものであります。
憲法
みずから
公務員
の
公正中立性
を要請しております以上は、かかる
制約
もまた
憲法
みずから期待しておるところであると考えます。
従つて
今回の
措置
は
憲法
の期待するところにかえ
つて
適合するものではないかと考えておるのでございます。
猪俣浩三
6
○
猪俣委員
憲法
の十
五條
及び十
二條
が
官吏
の
中立性
を
規定
したもののような御
説明
でありますが、私はさような
意味
には
解釈
できないのであります。十
五條
はさつき申しましたように、
官吏
の
中立性
を
規定
したのではない。
国民主権
のあり方をここに明らかにしたものでありまして、
官吏
の
中立性
とは別問題だと考えるのであります。なお
官吏
の
中立性
ということでありますが、これは一面もつともらしく聞えることなんであります。しかしながらわれわれの
歴史
の教えるところによりますならば、第一次
大戰後
の
ドイツ
におきまして、この
官吏
の
中立性
が非常に論及せられた。そうして時の
内務大臣プロイス
は、
中立性
を非常に高調し、
社会
民主党のコーンはこれに対して非常に反対いたしまして、激烈なる論争をいたしたのでありますが、遂に
プロイス
の
議論
が勝
つて
、
ドイツ
の
官吏
は
政党
から締め出されたのであります。これがいかなる結果を来したかと申しますならば、御存じの
通りナチス
・
ヒトラー
が現われますと、この
ヒトラー
の最も忠実なる
官僚群
となり、
ヒトラー
のマイン・カンプにおきまして、実に無比なる忠実なる
官僚群
という激賞をされるがごとき
官僚群
に転落し、しかして第二次世界大戰に突入することに相な
つたの
でありまして、
官吏
の
中立性
それ
自体
につきましても、私もさような
官吏
の
中立性
が
国家
の運命にとりまして絶対的にいいものだと断定できない。ある場合においてはこれがフアショの
城砦
になる。このことは
歴史
がすでに証明しておる。いわんやこの
憲法
が
官吏
の
中立性
を十
五條
において
規定
しておるというがごときは、われわれとることができないのであります。しかしこれは
見解
の
相違
でありますからこれくらいにとどめまするが、現在の
日本
の
民主化
はわれわれが地方を遊説して歩いておりましても、また中央におきましても、前途はなはだ道遠いことは
法務総裁
もお認めであろうと思うのであります。しかし
終戰後
におきまして、今までの何百年という
封建思想
を駆逐いたしまして、この
民主化
を盛り上げました先頭に立ちましたのは
インテリ階級
を含みますところの
官公労働組合
、いわゆる今日の
公務員
として
政治活動
を禁止せられましたる一団の
職員組合
の
人たち
であります。これが
指導者
となりまして
日本
の
民主化
をやり、
日本
の
官僚性
が非常に打破せられたのであります。これは
上級官吏
にとりましては非常に脅威であつたでありましようけれ
ども
、
日本
に長い間蟠居いたしましたるところの
官僚陣
を切りくずし、そうして
日本
の
民主化
をはかつたその功績は偉大なるものがあると私は認定いたしまするが、
法務総裁
はさようなことに対しましてはいかなる御
意見
を持
つて
おられますか、承りたいのであります。
殖田俊吉
7
○
殖田國務大臣
私は十
五條
は、つまり
公務員
の
本質
も明らかにしたものでありまして、何も
中立性
のみをうたつたものではありません。全体の
奉仕者
であるということをうたいます以上は、そこから
中立性
が生れて参つたものと考えておるのであります。
お話
のごとく
ドイツ
の
官吏
が
ナチス
に忠実であつた。だから
官吏
の
中立性
はあまりおもしろいものではないという
お話
でありますが、それは
中立性
の濫用でありまして、
ナチス
がいけないのでありまして、
中立性
が悪いとは私は考えないのであります。今日の
日本
におきましては、真に民主的な
国会
が
国権
を代表するものでありまして、この
国会
が
政治
を
決定
する、その
政治
を忠実に実行するのが
官吏
であります。その
官吏
の監督、コントロールは
国会
が持
つて
おられるのでありますから、私は
国会
が健全である限り、
中立性
を堅持する
官吏
もまた健全であると確信をいたしておるのであります。また
日本
の
官吏
が
終戰後大い
に
政治的活動
をいたした。その結果の
日本国家
の
民主化
を促進したという
お話
でありますが、あるいはさようなことがあつたかも存じませんが、これが行き過ぎますれば、
官吏
が
公務員
という
地位
によりまして
国政
を左右することがありまして、下手をすれば
官吏專制
にも陷りはしないかという疑いを生ずるものであります。はたはだ
危險
なる
原因
を蔵すると考えるのでありまして、私はやはり
公務員
は
公務員
として
中立性
を堅持し、そうして
国権
を代表するところの
国会
の意思に
従つて
忠実に行政に当るべきものと考えるのであります。これも
見解
の
相違
と申せば
相違
でありますが、私はかような
公務員法
を設け、かような
人事院規則
によりまして、純正なる
官吏
の特質を発揮いたさせまして、一層
国政
の上に、
民主化
の上に寄與させることができるであろうと考えております。
猪俣浩三
8
○
猪俣委員
官吏
の
政治活動
を許すならば、
官吏
の
專制
を来す
危險
があるというようなことは、これは
意見
の
相違
でありまして、
高級官吏
にと
つて
は非常に迷惑なことでありましようけれ
ども
、
国民
と一体をなすところのいわゆる
官僚
の
民主化
という点におきましては、私は非常に重大な
意義
があつたものだと思うのであります。
危險
どころか、それが
危險
と感ずること自身が、やはり
高級官僚
の
一種
の性格から来るのでありまして、
政府
あるいは
高級官僚
、あるいは
保守性
の
人たち
から見るならば、非常に
危險
なことだと思われるのでありますが、
日本
の
民主化
のためにはそうあらねばならぬと考える一人であります。これは
意見
の
相違
でありますからこの程度にとどめます。 先ほど
法務総裁
は、
憲法
の第十
二條
を
公務員法
あるいは
人事院規則
の
根拠
とせられたのでありまして、十
二條
の
公共
の
福祉
という
言葉
を用いられておるのであります。この
公共
の
福祉
という
言葉
は、表面はなはだけつこうな
言葉
でありまして、われわれの
基本的人権
は
公共
の
福祉
のためにこれを使用する責任を負うということに対しては、もちろんしかるべきことであると思うのであります。しかしながらこの
憲法
の十
二條
の文意から考えましても、この
公共
の
福祉
という
言葉
をと
つて
、ただちに
基本的人権
を抑圧する
法律
の封建性を弁護する一つの
條項
に引くということは、私はいかがなものであろうかと考える。旧明治
憲法
におきましては、
法律
によるにあらざれば何々することができないと、われわれの権利義務を保障したものの、必ず頭に
法律
によるにあらざれぼ何々することがでない、こういう
規定
がある。その反面
法律
さえつくるならば、どんな彈圧でもできる。
基本的人権
などはふつ飛んでしまう。明治
憲法
のときにおきましては、人民の権利義務としてりつぱな條章があつたにもかかわらず、ほとんどわれわれの
基本的人権
はふつ飛んでしま
つて
、治安維持法というような
法律
さえできた。この
法律
の中身を見れば、多数党によ
つて
容認せられる
法律
をつくることによ
つて
いかなる
基本的人権
も剥奪することができることにな
つて
、
憲法
の
基本的人権
の保障というものはほとんど空文にひとしいものにな
つて
来た。この明治
憲法
に対して今日
民主憲法
によりまして、奪うべからざる
基本的人権
が確立せられて、
法律
によるにあらざればという文句がとられたのでありますが、しかるにこの
法律
によるにあらざればという文句のかわりに、今度は十
二條
の
公共
の
福祉
ということを持
つて
来ると、結局同じことが起
つて
来るのでありまして、何でもかんでも
公共
の
福祉
ということを持
つて
来れば、その
法律
は
憲法違反
にならない。それによ
つて
基本的人権
が抑圧せられるということにな
つて
来ますと、結局
民主憲法
と称せられますところの
日本
国
憲法
もまた明治
憲法
と同じように、この
基本的人権
というものがお飾りにすぎないということに相な
つて
来る。真に民主的
憲法
たるゆえんを発揮するには、この
公共
の
福祉
ということを、
基本的人権
を抑圧するような
意味
になるべく使わないことが、この
民主憲法
の精神でなければならぬと思うのであります。御
承知
の
通り
ヨーロッパにおいても、十八世紀時代に
公共
の
福祉
、これを唱えた
国家
を
福祉
国家
と称せられ、これは絶対王政、絶対
政治
の行われたときの
国家
を
福祉
国家
と言うのであ
つて
、またこの別名は警察
国家
と言う。この
福祉
という
言葉
を強調いたしますと、それが警察
国家
になり、
福祉
国家
になり、なおひいて
ナチス
の公益優先の思想になり、なお
日本
の東條の滅私奉公の精神に相なり、これがファショの思想に容易に転化するのでありまして
基本的人権
というものは、この
公共
福祉
の思想ということからみだりにこれを抑圧するものではない。いわんや
公務員
の
政治活動
禁止を、
公共
の
福祉
というような論拠をお用いになるというようなことは、これは非常に考えものであ
つて
、もしかような論法を持
つて
来るたらば、ふろ屋の取締りも
公共
の
福祉
、床屋の取締りも
公共
の
福祉
ということに相な
つて
来て、いかなることでも
公共
の
福祉
ということに論理づけられないことがないことになる。ロジックさえもてあそぶならば、何でも
公共
の
福祉
に結びつけられることになる。かようなことに相なりますれば、
憲法
に
基本的人権
というものを掲げたことが、空文にひとしくなることを憂えるものでありまして、近時
公共
企業体労働
関係
法、この
根拠
をこの第十
二條
の
公共
の
福祉
ということに持つ来ておる。そして
憲法
に保障せられた団結権、あるいは団体交渉権をみな剥奪してしま
つて
おる。かような傾向が行われると、いつ何どきまた明治
憲法
時代に逆転しないとも限らぬということが、われわれ心配せられるのでありますが、この
公務員
の
政治活動
禁止を十
二條
の
公共
の
福祉
を用いられるということは、私は
法務総裁
から初めて聞くのでありますが、さような観念で一体間違いがないのでございましようか。
殖田俊吉
9
○
殖田國務大臣
お話
でございますが、基本人権は
公共
の
福祉
のためにこれを用いなければならぬということは、ただいまおつしやいましたように、十
二條
で
規定
するところであります。ただ基本人権と
公共
の
福祉
といずれが重いかという
社会
的価値の考量になるのであります。その
社会
的価値の考量と申しますのは、これは
国会
がなさるのであります。
国民
がするのであります。これはいかに精神に
規定
しても、
憲法
も
法律
もよく
規定
し得ないところであります。
従つて
ただいまの
お話
のごとく、いかに
公共
の
福祉
が大事であろうが、
基本的人権
はさらに大事である。
従つて
公共
の
福祉
を濫用してはならぬという御説は、まことにごもつともであり、御同感でありますが、私はただいま
公務員法
、
人事院規則
のできた
趣旨
において、
公共
の
福祉
ということが考えられているということをはつきり申し上げたのであります。
公共
の
福祉
の名において、いかなることもか
つて
にしてよろしい、こういうわけはむろんありません。いわんや今日の
国家
は主権在民の民主的
国家
であります。
従つて
国会
は最も重きに任ずるわけでありますから、
国会
がみずから御判断にな
つて
、自由におきめにな
つて
いいことでありまして、その
趣旨
において今度の
法律
、
従つて
それに委任されておる
規則
もできておるのであると考えます。ただ
人事院規則
の
内容
があまりに広汎かつ過重である。であるからこれはその根本的な
趣旨
から逸脱しておるという
お話
であろうと思うのであります。私
ども
は、それはそうでない、
公務員
というものの
本質
に最もよく合した適当な
法律
であると考えております。さらにその詳細については、多分
人事院総裁
から
お話
があろうと思います。
猪俣浩三
10
○
猪俣委員
なお人事院の性格について、
憲法
との関連について一、二お尋ねしたいと思うのでありますが、何だか
内閣
のほかに今一つ
内閣
ができたような感じを
国民
は受けるのであります。
憲法
の七十三條によりますれば「
内閣
は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」としてその第四号に「
法律
の定める
基準
に従ひ、
官吏
に関する事務を掌理すること。」とあるのであります。この
憲法
の
規定
と、人事院というものがあることと、これをどういうふうに調和なさろうとお考えにな
つて
おりますか、承りたい。
官吏
に関する事務は
内閣
でやるように
憲法
は
規定
されておるのに、ほとんど大半は人事院でやるような現在のやり方が、
憲法
に違反しないのかどうかということについて御
意見
を承りたいと思います。
殖田俊吉
11
○
殖田國務大臣
いかにも人事院は
内閣
から離れて、独立したかの感を抱く方も多いのでありますが、これは人事行政の公正を期するために、特に人事院というものに過度の独立性を付與いたしたわけでありまして、このためにかえ
つて
人事行政が公正に運用され、
内閣
の責任としてもいい結果を来すと考えて、かような制度ができたのであります。しかもそれは
法律
に基いてこの制度ができ、
法律
に基いてこの制度が運用されておるのであります。その
法律
が
国家公務員法
でありますから、人事院は
内閣
からか
つて
に離れて、
内閣
の意思に反し、あるいは
国会
の意思に反して自由なる活動をするとということはとうてい考えられません。やはり
国会
の負託にこたえ、また
内閣
の方針に
従つて
運用されるものと考えております。
猪俣浩三
12
○
猪俣委員
そうすると、人事院と
内閣
の
関係
は、これはまつたく並立したものでありますか、あるいは
内閣
のもとに人事院というものがあるのでありますか。
内閣
総理大臣と
人事院総裁
との
関係
はどういうことに相なりますか、承りたいと思います。
殖田俊吉
13
○
殖田國務大臣
人事院総裁
は
内閣
総理大臣のオーソリティのもとにあるのであります。しかしながらその独立性を尊重いたしまして、むやみには干渉できない。ただ選任に当りましてあるいはこれを罷免する場合におきまして嚴格なる條件は付しておりますが、その條件に
従つて
内閣
は監督し、これを運用するということにいたしたわけであります。
猪俣浩三
14
○
猪俣委員
そうすると、
内閣
は人事院を監督なさるのでありますか。
殖田俊吉
15
○
殖田國務大臣
ある條件に
従つて
監督しております。
猪俣浩三
16
○
猪俣委員
その條件というのはどういう條件ございますか。
殖田俊吉
17
○
殖田國務大臣
人事官の任命権を総理大臣が持
つて
おります。それから一定の條件に
従つて
これを罷免することもできるのであります。
猪俣浩三
18
○
猪俣委員
なおあとは
人事院総裁
にお聞きいたしますが、
国家公務員法
の十六條に「人事院は、この
法律
の
執行
に関し必要な事項について、
人事院規則
を
制定
し、人事院指令を発し、及び
手続
を定める。」というような広範なるところの権限を附與する委任立法がなされておるのでありますが、戰時中は、御
承知
の
通り
国家
総動員法というとんでもない委任立法がありまして、戰時中といえ
ども
これに対して執拗な反対があつた。民主
国家
の今日におきまして、かような広範なるところの委任立法をも
つて
それに基きまして今日
公務員
の
政治活動
を全面的に禁止するような
人事院規則
というものができた。一体かようなものは
国民
の
基本的人権
に関するものであるから、たとえ
憲法
の十
五條
、あるいは十
二條
を
根拠
にいたしたといたしましても、重大な問題であるから、
国会
において
法律
でも
つて
つくるべきが至当であると考えるのでありますが、
法務総裁
はさようなことについていかなるお考えがありますか、承りたいのであります。
殖田俊吉
19
○
殖田國務大臣
それは御
見解
ごもつともでありまするが、かような広範なる委任をいたしましたのも、主として
公務員法
第百
二條
が最も広範な委任をいたしておりまするが、これは
公務員法
の成立するときに
国会
において十分に
論議
されましたところでありまして、御
意見
のごとく、これを非常に行過ぎであるとする
意見
と、人事院をして十分に公正なる行政を行わしめるには、かような広範な委任が必要であるという両方の
議論
がございまして、その後者の
議論
が
通り
ましてかような
法律
ができたと思います。すでに
法律
ができておりまして、人事院はこの
法律
に基きまして、その
法律
の委任の範囲内において
人事院規則
をつく
つて
おるのでありまして、
法律
を逸脱しておるとは考えておりません。ただこの
法律
の委任の仕方が適当であるかどうか、これは
国会
でお考えくださるほかに道がないと思います。
猪俣浩三
20
○
猪俣委員
政府
は
人事院規則
のごときものを
法律
でつくるように、この百
二條
を
改正
するような御意思があるかどうか。これは申すまでもなく、委任立法というものがだんだん出て来ますことは、結果において
官僚
制の復活を誘致するものでありまして、イギリスの有名な学者もさようなことを言
つて
いるのでありまして、委任立法が出ることは、
官僚
制の
危險
信号だとというこを言
つて
おるのであります。
政府
といたしましては、この百
二條
を
改正
するような御意思はあるのかないのか承りたいのであります。
殖田俊吉
21
○
殖田國務大臣
御
意見
ごもつともでありまするが、
政府
といたしましては今後の情勢を見きわめまして、その情勢によりまして、あるいはこの
法律
を
改正
しなければならぬかというようなことを考えるときもあろうかと思います。ただいまのところこの
法律
を
改正
いたします考えはございません。
猪俣浩三
22
○
猪俣委員
これは私あらかじめ御通告申し上げなか
つたの
でありますが、
公共
企業体労働
関係
法の三十
五條
にあります、現在起
つて
おりまする国鉄労組の
給與
べースの問題であります。これは仲裁
委員
会にかか
つて
おるのでありますが、この仲裁
委員
会の裁定に対しましては強制力を持
つて
おるのであります。そうすると、もし仲裁
委員
会でも
つて
裁定が下されましたならば、労働組合及び国有鉄道は、その強制を受けるということに相なるかとも思うのでありますが、かような場合に対しましては、
政府
はどういう立場に置かれるのでありますか、御
説明
願いたいのであります。
殖田俊吉
23
○
殖田國務大臣
第十六條は「
公共
企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を
内容
とするいかなる協定も、
政府
を拘束するものではない。又
国会
によ
つて
所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえ
ども
支出してはならない。」こういうふうにな
つて
おります。
従つて
せつかく裁定ができましても、この
條文
によりますれば、必ずしもその
通り
には実行できないと考えております。
猪俣浩三
24
○
猪俣委員
そうすると十六條によ
つて
、
公共
企業体の予算上または資金上、これは独立会計にな
つて
おりますから、その会計上支出が許されることが明らかになれば、
政府
はこれに対して干渉はできないはずだと思いますが、いかがなものでありますか。
殖田俊吉
25
○
殖田國務大臣
それはその
法律
の
條文
に拘束されないような状態になります。
公共
企業体がそれに応ぜられるということであれば、
政府
としては干渉はできないものと思います。
猪俣浩三
26
○
猪俣委員
そうすると
公共
企業体の予算上または資金上一体不可能かどうかまだわからぬ際に、
政府
として仲裁
委員
会において裁定があ
つて
も応じられないということを御発表なさることは、どうもいかがかと思うのでありますが、
法務総裁
の御
意見
はいかがでありますか。
殖田俊吉
27
○
殖田國務大臣
さような発表があつたかどうか存じませんが、おそらく発表があります以上は、
公共
企業体と十分に協議を遂げまして、さような結論に達したものと考えます。
梨木作次郎
28
○梨木
委員
法務総裁
に伺いたいのですが、九月十九日付で出されました
人事院規則
は、御
承知
のように非常に広い範囲で
国家公務員
の
政治活動
を禁止しておるのでありますが、この点について、私は今
猪俣委員
からも質問がありましたように、こういう
人事院規則
というものは
憲法
に違反するものであるという疑いを強く持
つて
おるのであります。この点を伺います前に、
憲法
に
規定
されているところの
内閣
が発し得る政令、各省が発し得る省令、
人事院規則
、この
関係
についてまず伺いたいのであります。というのはもう少し具体的に申しますと、
人事院規則
と政令との
関係
はどちらが優先するのか。つまり政令と
人事院規則
との法的の優越性の点についてまず最初に伺いたいと思います。
殖田俊吉
29
○
殖田國務大臣
政令と
人事院規則
とは別なものでありまして、
人事院規則
は
国家公務員法
に基いて
制定
いたす
規則
であります。あるいは御質問は、政令と重複したときにはどちらが優先するのかということでありましようか。
梨木作次郎
30
○梨木
委員
それでは私の質問をもう少し具体的に申します。御案内のように
憲法
第七十三條の六号で、
内閣
は政令を
制定
することができるとな
つて
おります。ところが
憲法
上は、
人事院規則
というようなものについては
規定
はないと思います。私は寡聞にしてないと思いますが、これは
人事院規則
という名前にな
つて
おります。これは一体
憲法
第七十三條第六号に言う政令と
憲法
上は同じ
地位
を占めるものであるかどうかという点を伺いたいのであります。
殖田俊吉
31
○
殖田國務大臣
人事院規則
は、
公務員法
という
法律
に基く委任によりまして
制定
された命令であります。
従つて
今の政令とは別なものであります。ことに
公務員
に関しては、
公務員法
が最も優先をするわけでありまして、事
公務員
に関する限り、
法律
かあるいはこの委任立法によらなければ、政令は出さないのがあたりまえにな
つて
おります。ですからこれは重複する、あるいは交錯することはないと考えております。
梨木作次郎
32
○梨木
委員
私の理解しているところでは、省令というものは罰則がつけられないと理解しておるのでありますが、
人事院規則
というものは省令と同じ
憲法
上の
地位
を占めるものであるか、この点をどういうように御理解にな
つて
おるか伺いたい。
佐藤達夫
33
○
佐藤
(達)
政府
委員
私からお答えいたします。
憲法
自身は、御指摘のように
法律
以外の命令の形としては、政令というものを取上げておりますが、それ以外に省令とか、あるいは
人事院規則
とかいうようなものをどう考えておるかという点を、まず先にお答え申したいと思います。これは申すまでもなく
憲法
の八十
一條
に、最高
裁判所
の例の審査権の
規定
がございますが、
法律
、命令、
規則
または処分というようなことであ
つて
、省令のほかにも命令なり
規則
というものがあることを予想しておるわけであります。ただ政令というものだけ名前をつけて
憲法
で取上げておる。それ以外のものは個々の
法律
によ
つて
、あるいは行政官庁の組織法の系統から省令ができたり、府令ができたりするということになる。
国家公務員法
の系統から
人事院規則
というものが出るというふうに御理解願
つて
よろしいと存ずるのであります。従いまして
憲法
自身は政令を取上げておりますが、それ以外の命令の点には触れておりませんからして、これは立法機関が
法律
をも
つて
その名前と
根拠
をおきめになり、あるいは場合によ
つて
は限定した罰則を実現されるということもあり得るわけであります。お尋ねの
趣旨
を取違えておるかもしれませんが、一応そういうようにお答えいたします。
梨木作次郎
34
○梨木
委員
もう一点伺いたいのですが、そうすると
憲法
上の法的な
地位
と申しますか、それは省令と同格と理解されておるのでありましようか。
佐藤達夫
35
○
佐藤
(達)
政府
委員
これは今申しましたように、
法律
の授権によ
つて
出て参りますから、今の
人事院規則
の例で申しますと、御指摘の
国家公務員法
で、これこれは
人事院規則
で定めるという名ざしをして委任をしておるわけであります。従いましてそこへ横やりが出て来て、政令なり総理府令なりが入
つて
来る余地はない。人事院だけが
法律
で名ざしで授権されたのでありますから、ほかの府令だとか省令だとかいう
規則
との間の分野がはつきり別にな
つて
おるわけでありますから、優先
関係
、優劣
関係
は起らぬというように理解しておるわけであります。
梨木作次郎
36
○梨木
委員
先ほど
猪俣委員
からもお尋ねがありましたが、
憲法
第七十三條の第六号によりますと、
憲法
並びに
法律
を実施するために、
内閣
は政令を
制定
することができる、こうな
つて
おります。但し罰則を設けることは、
法律
の委任がなければできないということにな
つて
おるのであります。ところが
国家公務員法
におきまして、
人事院規則
の定めるところによりとして、それから三年以下の懲役とか非常に重い罰則が入
つて
おります。
法律
の中で
人事院規則
に定めるところによりとして、そうしてこれは人事院で一切その
内容
をきめられるということにして、こういう重い三年以下の懲役とかいうような罰則のある
規定
の
内容
を、一行政官庁である人事院にまかせるというようなやり方、こういうやり方は戰時中
国家
総動員法といいますか、この
国家
総動員法という
法律
をつく
つて
、すべてあとは命令で官庁で出せるようなあの方式によ
つて
、
国民
の基本的の人権はまつたく官庁の
專制
的な認定によ
つて
抹殺されて行つたということは、われわれのよく知
つて
おるところであります。従いまして
憲法
第七十三條の六号の精神から行きますならば、なるほどこれは
法律
の委任があると申しますけれ
ども
、しかし実際においては行政官庁が罰則のある政令やあるいは省令や、あるいは
人事院規則
を出せると同じような効果を持たせておる。これは換言すれば脱法行為なのでありまして、つまり
法律
の正面には抵触しないけれ
ども
、他の方法で
法律
が禁止すると同じような効果を達成しようとする、これを俗に脱法行為と言
つて
おります。従いましてこの
人事院規則
、つまり
国家公務員法
第百
二條
に基いて出された
人事院規則
は、明らかに
憲法
第七十三條の第六号をくぐ
つて
、つまり脱法しようとする
法律
であり、
規則
であるということが明白であります。だから私はこの点から、この
人事院規則
は
憲法
に違反すると考えておるのであります。この点でわれわれの特に考えなければならぬ点は、もしもこういうことを
国会
が、また
政府
が放任しておきますならば、必ずや
国家
総動員法の轍を踏むにきま
つて
おります。これでは
法律
で全部委任すれば、こういう広範な
憲法
上認めている
基本的人権
を一朝にして取上げてしまうようなことが可能になるのでありまして、そんなことを認めるならば、
憲法
も何もいらなくな
つて
しまうということになるのでありまして、この
法律
の委任によ
つて
憲法
上の基本的な人権をほとんど抹殺するような、こういう広範囲な
人事院規則
は、
憲法違反
ではないかという点について
法務総裁
の御
見解
を伺いたいのであります。
殖田俊吉
37
○
殖田國務大臣
それはこの
国家公務員法
の成立しますときに十分に
論議
された点でございまして、
従つて
この委任が広範に過ぎるではないかというような御
議論
もあつたものでありまするから、当時
人事院総裁
は、人事院の腹案として持
つて
おりました
人事院規則
をごひろういたしまして、こういう
規則
をつくるつもりであるということまで申し上げまして、この委任立法が成立いたしたのであります。でありまするから当時もすでにさようなことを考えられまして、あまり広範である、しかしながらこれは
法律
ではとうてい精細に
規定
することがむずかしい、それよりも
人事院規則
に委任して、個々に具体的に定める方が実際的であるというお考えから、あの
條文
が成立いたしたのであります。梨木さんのお考えごもつともでありますが、それはすでに
論議
し盡しました上で、それは違憲ではない、これは委任立法にした方がいいということにおきめにな
つたの
でありまして、今日ではもはや
議論
の余地はないと思うのであります。しかしながら
国会
がまたこれは
改正
する必要があるとお考えになれば、それは御
改正
にな
つて
も一向さしつかえないことであろうと思います。
梨木作次郎
38
○梨木
委員
今の総裁御答弁の、前の
国会
におきまして、この百
二條
の人事院に委任する
内容
についての一応の輪郭が出されたということは私も
承知
しております。しかしながらその
内容
と、それから今度出された
人事院規則
の実際を見てみますと、これはそれ以上非常に広汎に、かつまたこまかく詳細なところまで
規定
しておるのであります。これは私は煩瑣にわたりますからここでは申し上げません。総裁も御
承知
だろうと思うのでありまして、五項にわた
つて
おるのでありますが、今度出たものはもつと詳しいものでありまして、しかもこの点は私の聞いたところに誤りがないとするならば、これも一応
国会
へ諮るというような、
国会
の意思を何らかの形で聞くということにな
つて
おつたというように伺
つて
おるのでありますが、それすらもなされず、しかも当時出された試案よりももつと広汎なものを出されているという点から見ましても、
政府
が
憲法
に
規定
しておる
基本的人権
を擁護するという建前、
憲法
を擁護するという建前に対する熱意といいますか、
憲法
を守るという熱意に対する非常な疑惑を私は持たざるを得ない。この点をどうお考えにな
つて
おるか。つまりもつと具体的に申せば、前に提示されたものよりもつと詳しく、もつと具体的にな
つて
いる。この点を伺いたいのです。特にひどいのは、大体今度出されました
人事院規則
によると、勤務時間外の行動までこの
規則
で縛ろうとしている。すなわちち私的生活への影響力までもこれは禁止するということにな
つて
おるのでありまして、こういうことは前の試案の中には全然なかつたことであります。こういうことの中に、私ははたして
政府
がこの新
憲法
をほんとうに忠実に遵守する意思があるかどうかということを疑わざるを得ない。もし私の疑いが杞憂でありますならば、それを釈然とさせるために、明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
殖田俊吉
39
○
殖田國務大臣
すでにこれは
論議
されたことでありまして、あらためて
論議
を重ねる必要もないかと思いますが、ただいま
お話
の、勤務時間外の問題にまで立入るということでありますが、
公務員
というのは
一種
の身分であります。何も勤務時間中の勤務のみ規制すべきものではないのであります。これは公私ともに規制をされるのが当然であります。 さらに今の
人事院規則
の
内容
等につきましては、実は先ほ
ども
猪俣
さんの
お話
にありましたごとく、
政府
は人事院を單に監督はしておりまするけれ
ども
、その行政の仕方について一々指揮する権能を持
つて
おりません。
従つて人事院規則
は
人事院総裁
のお考えでできておることでありますので、その点につきましては
人事院総裁
から、あらためてお聞き願いたいと思います。
梨木作次郎
40
○梨木
委員
だから私はそこで
政府
の最高の
法律顧問
である
法務総裁
に、こういうように広汎に
国家公務員
の
政治活動
を禁止することは、何とも行き過ぎじやないかという点について、
法律顧問
としての御
見解
を伺いたいと思う。
殖田俊吉
41
○
殖田國務大臣
その資格におきまして、私は行き過ぎではないと考えておるのであります。
上村進
42
○上村
委員
今の点に関連して—この
人事院規則
ですな。これは私の
見解
では俗にいう省令になると思うのです。政令よりもつと一段下の官庁が出すところの省令である。その省令に
基本的人権
を制限する箇條がたくさんあるのです。これが
憲法違反
でないということは、文字の上から言いまして何人も断言することはできない。今梨木君の指摘し、またさつき
猪俣委員
の指摘したような
基本的人権
というものは、ちやんとわか
つて
おる
憲法
の各條に照して何が
基本的人権
であるか、これは私が言うまでもなく、
法務総裁
はよくわか
つて
おるわけです。そうすると、こういう
基本的人権
を侵すところのあらゆる
法律
、あらゆる命令、あらゆる処分が無効であることは、
憲法
九十八條に炳として
規定
しております。そうするとこの
公務員法
が、さような
憲法違反
の委任をするはずがない。私は当時
国会
議員でありませんので、詳しい討論を
承知
しておりませんが、おそらく当時の
国会
議員諸君も、
憲法違反
の
法律
をこしらえようとしてお
つたの
ではないのではなかろうかと今推測するのであります。そうするとこの委任立法という、いわゆる
官僚
專制
を来すところの非民主的な立法が、前の
国会
において行われておるとは思えない。でありますからこの委任立法の法理観念というものは、旧
憲法
時代のいわゆる
官僚性
憲法
の遺物的な思想であります。こういう
議論
はさらりとやめなければならないというのが新
憲法
の民主的
憲法
原論であります。そうしますと、どうしてもこの
人事院規則
の中で、
人事院総裁
に與えられたところのものは、おのずから
憲法
の根本原則、あるいは
民主化
の
法律
によ
つて
十分の
制約
を受けて、その
基本的人権
を侵さない範囲においての
公務員
の実務の
執行
と、従順性を要求するだけにとどまるものでなければならないと思う。またそういうふうに
解釈
して、それに基いて省令が
制定
さるべきであ
つたの
だと思うのです。この点どういう考えで、どういう点から、さようなだれが見ても
憲法
より一段下の政令、政令より一段下の省令というようなものに、
憲法違反
の
條項
を許したということになりますか、こういう点を明確にお答えを願いたいと思います。
殖田俊吉
43
○
殖田國務大臣
上村さんのお考えの
通り
でありまして、
国会
が
憲法
に違反するような立法をするわけがないのでありまして、これは昨年の
国会
がおきめに
なつ
たことでありますから、私はこれは
憲法違反
は決してしておらぬ、こう考えております。また
法律
とか省令とか、昔はあたかも段階があるかのような考え方であ
つたの
でありまするが、しかしながらこの
人事院規則
は、
公務員法
百
二條
によりまして人事院が公正と考えるところによ
つて
定めてよろしいということをちやんと委任しておるのでありまして、その委任の範囲内において私はこの
規則
が定められておると考えるのであります。
従つて
これは
規則
であろうが
公務員法
であろうが、その点については径庭はない。そしてこれは
憲法違反
ではない。
国会
の委任に基いて
国会
の意思を体して定めた
規則
であるのであります。
上村進
44
○上村
委員
法務総裁
のお答えは実に矛盾しておる、私の質問はそういうところにあ
つたの
ではないのです。現に各
公務員
は
人事院規則
によ
つて
制約
を受けておるのです。そしてその
制約
を受けておる事項は、
憲法
に違反しておる事項がたくさんあるのです。これがいわゆる
憲法違反
でなくて何であるかということを伺いたい。そういう
意味
のことを委任立法なんだという古くさいいわゆる
官僚性
憲法
の遺物的な思想でこれを考えてどんどんや
つたの
では、たいへん民主主義というものは妨害を受けるわけだ。でありますから
法律
というものは決してそういうものではないのだ。いわゆる
憲法
というものが
民主憲法
であるならば、どこまでも
法律
も、命令も、政令も、すべてその根本の法則に
従つて
発展、展開して行かなければならない。これは
法律
の運用であろうが行政の運用であろうが、司法
裁判
の運用であろうがそうなんだ。これが忘れられて
憲法
というものがある人の—つまり勢力によ
つて
か
つて
にいろいろなことをされるようなことであれば、
憲法
というものはいらない。
憲法
が大事なのは、どんなことがあ
つて
も
基本的人権
を侵してはならないというところに
憲法
の
憲法
たる効力があるのです。それを末端の行政官や総理大臣が出て来て、
ヒトラー
みたいなものが出て来てやるというなら
憲法
の価値はない。でありますから
人事院規則
が
憲法違反
をしていないかどうか。われわれはこれはしているという前提なのですが、御
説明
願いたい。
殖田俊吉
45
○
殖田國務大臣
そこに私
ども
と上村議員との
見解
に著しい
相違
がございまして、私
ども
はこの
人事院規則
は
憲法
に違反しておるとは考えておりません。実質的にも違反しておらざるのみならず、形式的にもその
手続
においても違法がない、こういうことを申しておるのであります。
上村進
46
○上村
委員
違反していないというけれ
ども
、現に
公務員
のいわゆる
基本的人権
がこの
規則
にな
つて
侵されておることは、何人も異論がないのです。でありまするからその点を私
ども
はどこまでも追究いたします。
梨木作次郎
47
○梨木
委員
極東
委員
会の労働組合組織に関する十六原則によりますと、労働組合員は
政治活動
をすることを奨励するということにな
つて
おるのであります。ところが
国家公務員
に対しては、
政治活動
というものはこの
人事院規則
によ
つて
ほとんど禁止されてしま
つたの
であります。極東
委員
会の
決定
というものは、
日本
の
憲法
と同じ程度にわれわれはこれを忠実に実行しなければならないものだと思うのです。この点については
政府
は、極東
委員
会の労働組合組織に関する十六原則に違反しておるのではないかという疑いを持つのでありますが、この点について総裁はどう考えられますか。
殖田俊吉
48
○
殖田國務大臣
労働組合についての
お話
はその
通り
でありますが、
国家公務員
は私企業の労働者ではないのでありまして
国家公務員
という特別の身分を持つものであります。
従つて
一般の私企業の労働者とはその取扱いを異にするのはやむを得ないのであります。また極東
委員
会の根本原則は、私
ども
は直接それに
従つて
政治
をやりますが、それに基いてそれを演繹しつつ立法し、あるいは法令をつくるというのではないのであります。その間に総司令部がありまして、われわれは立法をいたします場合、一々総司令部に伺いましてその同意のもとにその立法をいたしておる。総司令部はその極東
委員
会の原則を十分に検討された上で、われわれに同意を與えられておるのであります。私
ども
はその点につきまして総司令部の考えを忖度する権能はないのであります。
梨木作次郎
49
○梨木
委員
この
人事院規則
の
憲法違反
であるかないかという点について、
法律
的な
議論
はこれ以上進めませんが、しかし今日
日本
人のすべて—これは
政府
もまた一般の
国民
も、ポツダム宣言並びにポツダム宣言を忠実に実行するために出された
憲法
、これらがすべて何を目標にしておるかといえば、
日本
を民主主義化するということです。
従つて
この
人事院規則
というものを出して、
日本
の
民主化
に役立つかどうかということを事実の上において伺いたいのです。それは
日本
の現状は遺憾ながら、一般の
国民
生活の中においても、またこの
官僚
機構もまだまだ
民主化
されておりません。この
民主化
されておらない現状のもとにおいて、
国家公務員
の
政治活動
を禁止するような
規則
が出ることによ
つて
、結果はどうなるかといえば、むしろ
民主化
をはばんで、
官僚
的な、非民主的な機構を温存することに役立つ。私は具体的な例を申し上げます。これが出てから後にどんなことが行われておりますか。これは一労働組合でありますが、
国家公務員
であり、また官公庁の労働組合に所属しておる一人が、その職場でこういうビラを張つたというのです。
政府
のとる保險料には納入が遅れると日歩二十銭の利子がつく。これが
政府
のやり方です。こういうビラを出した。これがもうすでに
政治活動
禁止に触れるということで、首切りを脅迫されたという事実がある。
国家公務員法
によ
つて
も批判することは自由であると書いてある。これは批判かどうかも問題だと思うのですが、これだけのことで事実長い間まじめに
公務員
として勤めて来た人が、首を切られるということが行われておる。しかも一方どうですか。ことしの夏には外務省の
高級官吏
である調査第三課長曽野明、報道課長法眼晋作、政務課長の斉藤鎭男といわれる方々が全国を宣伝して歩いた。その宣伝の
内容
はまつたく反ソ的な、反共的な宣伝をや
つて
おる。これは現在の
政府
が一つの
国民
運動として、反共運動をやろうとしておることに歩調を合せてや
つて
いるとしか考えられないような行動をや
つて
おる。これは明らかに
国家公務員法
の違反でありますが、現在放置されております。しかも
人事院規則
というものは、特別職のものには適用がないということにな
つて
いる。そして一般
職員
について
人事院規則
の適用があるのです。ところが特別職は御
承知
のように、
内閣
総理大臣、各省大臣というような
人たち
でありますが、えて
高級官僚
というものは、こういう特別職の人ときわめて緊密な接触を持
つて
、ほとんど不可分の
関係
にあるとい
つて
もさしつかえないと思うのであります。こういうような
高級官僚
の行うところの
政治活動
はそのまま放置されまして、しかも下級の
公務員
がちよつとビラを張つただけで、
政治活動
禁止の
規定
に触れるということでは、結局は現在の
民主化
されない
官僚
機構を温存するために、まつたくこれは利用されているということになるのでありまして、こういう観点から見ましても、明らかにこれは現在の
日本
を
民主化
するためにはじやまになる。
民主化
を阻害するようなものである。この観点から見ましても、
政府
はこういう
人事院規則
はやめるべきだというように私は考えるのであります。総裁の御
意見
はいかがですか。
殖田俊吉
50
○
殖田國務大臣
特別職はただいま
お話
がありましたが、多くは
政治
に
関係
する職に当るものでありまして、われわれ特別職であります。
従つて
これは
政治
に関與するのが当然の義務である。しかし一般職は
政治
に関與すべきものではありませんから、
従つて人事院規則
によ
つて
政治活動
は禁止いたしたのであります。一般職と特別職の区別をはつきりしてあるのであります。今の外務省の
お話
は私もよく存じませんが、決して
官吏
の本旨に反するような行動をと
つたの
ではないと思います。もしそれが宣伝の旅行に歩きましたならば、それは外務省の命令をも
つて
、一定の宣伝というとおかしうございますが、外務省の意思を世間に知らせるべく歩いたものと思います。しかしそれらの点につきましては、人事院にさらにこまかくお尋ね願いたいと思います。
梨木作次郎
51
○梨木
委員
今の点は、こういうように
人事院規則
を適用して来るならば、外務省の
高級官吏
は明らかに
人事院規則
に違反していると思うので、この点についての検務長官の御
意見
並びにその施策に対する御
意見
を伺いたいと思います。
佐藤藤佐
52
○
佐藤
(藤)
政府
委員
外務省の
官吏
の地方に出ての行動が、
人事院規則
違反にな
つて
おるかどうかということは、私のところではまだ何ら資料がありませんので、それに対する
意見
は述べかねます。
梨木作次郎
53
○梨木
委員
それは調べてから御報告願いたいと思いますが、いかがですか。
佐藤藤佐
54
○
佐藤
(藤)
政府
委員
この
公務員
の
政治活動
の制限、または禁止に関する
規則
違反の
事件
が起きました場合には、
法務
府の一般検察方針としましては、なるべく当該官庁において調査して当該官庁の行政処分をまず先にやる。それから
愼重
に違反
事件
について検察を行う、こういう方針をと
つて
おります。外務省の方において、その当該
官吏
の違反かどうかわかりませんが、そういう疑わしい
事件
については、当然調査し、また違反があれば行政処分があることと思いますので、十分に緊密な連絡をと
つて
、
愼重
に検察を行いたいと考えております。
上村進
55
○上村
委員
今の点をちよつと
法務総裁
に念を押しておきたいと思います。これはいろいろの行為がこうありますが、これについて事務的にはいろいろな
解釈
が出て来て、
議論
があると思いますが、大体こういうふうに承
つて
よろしいですか。あなたは先ほど、
人事院規則
が
憲法違反
でないと言
つて
いる。そうすると、ある
公務員
があることをや
つて
問題が
検事
局へ行つた場合に、われわれが弁護する。そうするとそのある
公務員
の行つた行為が
憲法違反
であるならば、この
規則
に違反しないのだ、こういう逆の結論を出していいのですか、その
見解
をちよつと確かめておきたいと思います。
殖田俊吉
56
○
殖田國務大臣
私はどうも少し頭が悪いのでございまして理解できませんが、こういうことでございますか。これは
憲法
に違反しておらぬ。
従つて
ある行為が
人事院規則
に違反しても、これが
憲法
に違反したときは、
人事院規則
はもうさしつかえない、
憲法
偉反のときにはこの
規則
の根本と反するのだから、それはこの
規則
と反してもさしつかえない、こういうことでございますか。
上村進
57
○上村
委員
そういう
意味
です。
殖田俊吉
58
○
殖田國務大臣
私はどうもそれは理解いたしかねます。
憲法違反
であれば、もちろんいけないと思います。しかしながら
人事院規則
に反するのでなければ、それはまた別な問題であります。
人事院規則
の問題ではございません。しかし
人事院規則
に反する以上は、それは
人事院規則
の
憲法違反
の問題を別にいたしまして、必ずそれは犯罪になると思います。でありますからどうも
人事院規則
に反しながら犯罪でないというのは、ちよつとあり得ないように考えます。
花村四郎
59
○
花村
委員長
ほかに御
質疑
はありませんか。—なければ本日はこれにて散会いたします。 明日は午後一時より
委員
会を開き、
少年法
の一部を
改正
する
法律案
並びに
人事院総裁
に対する
質疑
を継続いたしたいと存じます。 午後四時七分散会