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1949-11-07 第6回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月三十一日  角田幸吉君、北川定務君、小玉治行君、高橋英  吉君、田嶋好文君、石川金次郎君、小野孝君、  梨木作次郎君、大西正男君、佐竹晴記君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月七日(月曜日)     午後二時四十四分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 小玉 治行君 理事 田嶋 好文君    理事 梨木作次郎君 理事 大西 正男君    理事 佐竹 晴記君       眞鍋  勝君    猪俣 浩三君       田万 廣文君    三木 武夫君       世耕 弘一君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         特別審査局長官 吉河 光貞君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣に関する件  朝鮮人連盟解散に関する件     —————————————
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日の日程委員派遣に関する件であります。本日の日程に入ります前に、去る十月三十一日の委員会において、議長に提出いたしました国政調査承認要求書は、本日議長において承認いたされましたことを御報告申し上げておきます。
  3. 花村四郎

    花村委員長 次に委員派遣に関する件を議題といたします。先日大西委員より発言のありました福井県武生市における事件調査のため、委員を派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければ委員派遣承認申請書衆議院規則第五十五條によりただちに議長に提出いたしたいと存じますが、派遣委員の氏名及び期間等については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  6. 花村四郎

    花村委員長 次に朝鮮人連盟解散に関する件及び人事院規則に関する件について梨木委員より質疑通告がありますからこれを許します。梨木作次郎君。
  7. 梨木作次郎

    梨木委員 私は実は法務総裁に伺いたいことがあつたわけでありますが、今日は法務総裁が見えていないようでありますから、特別審査局長吉河さんが見えておりますから、朝鮮人連盟解散に関する総括的の問題について、法務総裁に対する質問は留保しておきまして、それでは技術的な点を吉河さんに伺うことにいたします。  第一にお伺いいたしたいのは、朝鮮人連盟並びに朝鮮民主青年同盟、これが団体等規正令に基いて解散させられたのでありますが、この解散についての理由に関しては新聞などにも報道されておりますが、たとえばこれらの団体が反占領軍行為をしたとか、暴力主義の是認をするような事実があつたとかということをあげておるのでありますが、まずこの点について具体的にその事実をあげ、さらにそれを裏づけるところの証拠を第一番に伺いたいと思います。
  8. 吉河光貞

    吉河政府委員 御質問になりました朝連主びに民青解散指定に援用せられました事実、占領軍反対反抗事犯につきましては数件ありました。また暴力事犯のおもなるものだけでも数十件、全部で数百件の多きに達するのであります。これらの事案の代表的なものは、さきに解散当時新聞等に発表したものでありまするが、なおその詳細につきましては、一々ここで申し述べる時間のお許しを得れば申し上げたいと存ずるのであります。これらの事犯の大部分は、いずれも公判廷において審理を受けた資料を使用したものでありまして、それ以外のものにおきましても、証人の供述その他客観的な資料に基くものであります。時間のお許しを得れば逐一申し上げたいと存じております。いかがでございましようか。
  9. 梨木作次郎

    梨木委員 どれくらいの時間がかかりますか、もしあまり時間がかかるようならば、書面で出していただいてもよろしゆうございます。それから裁判を経ておると言われますが、この新聞の記事によりますと、たとえば平事件なんかというものを例にとつておりますが、平事件はまだ公判の進行中だと思うのです。こういう問題もその理由の中に取上げておるようでありますが、こういう点、それからたとえばその証拠としてあげられるものの中に、具体的に一つ暴力主義的な行動や、あるいは反占領軍的な行動があつたといたしましても、それが朝鮮人連盟や、民主青年同盟という団体指導的な方針として、基本的な方針として、そんなものがとられておるということの証拠一体あるのかどうか、こういう点はそう時間はかからないと思いますから、そういうものがあつたらこれを示してもらいたい。
  10. 吉河光貞

    吉河政府委員 それでは先ほど申し上げた朝連、民青解散に援用いたしましたる数々の具体的なる資料につきましては、後日書面をもつてお答えすることにいたします。またただいま御質問になりました平事件公判中であるにもかかわらず、これに朝連構成員が参加した事実を証拠に採用したのはどういうわけかという御質問がありました。この点につきましては、なるほど公判は平事件に参加いたしましたる個人刑事責任の有無を審判いたしておるのでありまするが、この事件に朝連関係者多数が集団的に参加いたしましたることは、公判認定をまつまでもなく、十分なる資料によりまして、関係人の証言その他の資料によりまして、十分明瞭なるものと思料いたしましたので、これを援用いたしました次第であります。  次に占領軍反抗反対または暴力行為個人として問題にすべきものである。これが朝連または民青暴力主義的かつ反民主主義的な団体認定される問題とは、直接関係がないのではなかろうかという御質問趣旨と考えまするが、この点につきまして朝連並びに民青構成員が、多年全国各地において反占領軍並びに暴力主義的な事犯を反復累行しております。     〔委員長退席小玉委員長代理着席〕 しかもこれらの事犯のほとんど大部分が、これらの団体の幹部の指導下に、しかも集団的に敢行されているという事実を初め、これらの事案の動機、内容、事後の状況をしさいに検討し、さらに進んでこれらの団体自体が、この事案の背景となつておるというような諸般の事実を総合いたしますと、これらの事案がいずれもこれら団体構成員の單なる個人的犯行ではなく、また地域的犯行とも認められず、むしろ中央地方一体とする団体行為認定せざるを得なかつたのであります。かような次第で朝連並びに民青暴力主義的かつ反民主主義的団体認定した次第であります。
  11. 梨木作次郎

    梨木委員 私の伺いたいのは、そういう多年全国各地で反復累行したというようなこと、しかもそれがこれら二団体指導のもとに行われたということの具体的なる証拠を示してもらいたいというのであります。たとえば指令が出ておるとか、どこでどういうぐあいに指導したとか、こういう点を示してもらいたいと思います。
  12. 吉河光貞

    吉河政府委員 私どもといたしましては、これらすべての暴力主義的な事犯などが、朝連または民青指導のもとに行われたというふうに申し上げているのではないのであります。これらの朝連及び民青による集団的なこれらの事犯の累積によりまして、朝連並びに民青暴力主義的団体たる性格を持つに至つたものである、かように認定した次第でありまして、その具体的な内容につきましては、先ほど申し上げました通りに、後日書面をもつて事案内容を申し上げたいと考えておる次第でございます。
  13. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは一方これらの二団体、特に朝鮮人連盟が、終戰後内地におりました朝鮮人諸君朝鮮への送還に非常に日本政府に協力し、それから朝鮮人の中におけるところの犯罪防止のために警察当局と協力したような事実、それからこの団体日本における朝鮮人諸君の民主主義的な教育のために努力して来た事実、こういう点は政府は認めるのですか、認めないのですか。
  14. 吉河光貞

    吉河政府委員 私どもとしましては、朝連及び民青が他にいかなる行為をしたかということは、団体等規正令適用においては問題にしてはいないのであります。ただいま申し上げた占領軍反抗反対並びに数々の暴力主義的な事犯が朝連、民青団体的活動として行われたという事実をとらえて、朝連並びに民青解散すべき暴力主義的かつ反民主主義的団体であると認定した次第であります。
  15. 梨木作次郎

    梨木委員 つまり一つ団体がそういう団体等規正令に該当するような性格を持つておるかどうかということは、この団体が全体としてどういう活動をしているかということを客観的に見なければならぬと思うのであります。従つて政府の見ているように、そういう政府があげているような事実があつたとしましても、また一方この団体日本民主主義化に協力し、また日本政府政策に協力し、占領政策に協力しているという事実、この方がより多くあるならば、むしろその団体は民主主義的な団体だというように評価するのが、これがものを評価する最も常識的な評価であると思うのであります。だからこの点について、政府は今までこの朝鮮人連盟が行つて来たそういう活動仕事について、どの程度評価をしているかということを伺いたいのです。
  16. 吉河光貞

    吉河政府委員 ただいま申し上げました通り団体が他に掲げている目的、効力、あるいは他に行つている活動等につきましては、団体等規正令適用についてはこれを考慮いたしていないのであります。     〔小玉委員長代理退席委員長着席
  17. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは今の調査を伺いますと、悪い面だけをとらえて、そしていい面を全然無視してこの団体等規正令に該当すると規定した、こういうように伺つてよろしいわけですね。
  18. 吉河光貞

    吉河政府委員 御説の通りです。
  19. 梨木作次郎

    梨木委員 この認定をするまでにはどういう調査をし、そしてこれはだれによつて認定されたか、こういう点を少し事務的に伺いたいと思います。
  20. 吉河光貞

    吉河政府委員 調査は私ども特別審査局によつていたしました。特別審査局におきましては、検察庁、裁判所その他関係各機関に連絡いたしまして、ただいま申し上げた朝連の、民青の過去における数々の資料を收集いたしました。また朝連、民青の具体的な活動につきまして、特審みずからも調査をいたしました。これらの調査に基きまして、法務総裁団体等規正令によつて與えられたる権限に基いて認定したわけでございます。
  21. 梨木作次郎

    梨木委員 この団体等規正令指定される結果は、この解散団体に所属した財産全部が国庫に帰属するというような、非常に重大な結果をもたらすことになるわけでありますが、こういう重大な結果をもたらすような指定をする場合におきましては、これは少くとも国会に諮るとか、相当民主的な協議というか、手続を経て行わるべきものと思うのですが、あなたの方はこういうようなやり方をやつて、それで憲法に合致しているとお考えですか。
  22. 吉河光貞

    吉河政府委員 解散団体認定をする調査仕事は、団体等規正令によりまして法務総裁従つてまたその所管庁である私どもに與えられているのであります。私どもといたしましては、客観的な資料を收集しまして、きわめて愼重法務総裁認定を持つ態度をとつているのであります。国会がこの調査並びに認定というような事態に直接御関與になるということにつきましては、従来考えていないことでございます。私どもとしては、ただ愼重に客観的な資料を收集して、総裁の公正な認定を待つと申し上げる以外には、御答弁のしようがございません。
  23. 梨木作次郎

    梨木委員 私が今伺つたのは、つまり団体等規正令がそもそも憲法に違反する法規であるという建前に立つて、ああいうぐあいに伺つたのでありまして、つまり集会結社の自由といいますか、これらの自由並びに財産権を取上げてしまうという重大な結果をもたらす。従いましてこういうような重大な結果をもたらすような処分をする場合には、日本憲法従つた、そういう法令に基いて行わなければならぬという趣旨なんであります。特に団体等規正令が改正せられるときに、この団体等規正令というのは、ポツダム勅令五百四十二号に基いて発せられた命令であるということになつているのでありますが、このポツダム勅令五百四十二号というものは、連合軍最高司令官要求に基いて、しかも特にその必要がある場合にこれを発するということになつているわけです。ところが当時政府に伺つたところでは、一体そういう要求はいつ出たのか、どういう内容要求が出たのかということを聞いたところが、これはきわめてあいまいであります。当時われわれは団体等規正令の改正の問題に関連いたしまして、これが民主主義的な団体を弾圧する法令として悪用されやしないかということを非常に心配したのでありますが、その心配が杞憂に終らなくて、実際はこういうような形になつて現われて来ている。ここで私は再びこの団体等規正令というものが、実際は憲法上からも適法な法規であるかどうかということを非常に疑つているのであります。だから、この点について私はまずお伺いしたいのは、団体等規正令憲法上の適法な根拠、これをひとつ伺います。
  24. 吉河光貞

    吉河政府委員 団体等規正令連合国最高司令官要求事項実施するため、昭和二十年勅令五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定された法令であります。この点については御案内の通りでありますが、さてこの団体等規正令がはたして憲法違反なりやいなやということについて、ごく簡單に御答弁申し上げます。団体等規正令憲法違反でないかという疑点は、まず第一には、その政令根拠である昭和二十年勅令第五百四十二号が新憲法下においては無効であるということにあるかもしれませんが、同令は御承知の通り、議会の承諾を得た緊急勅令でありまして、法律と全然同一のものであります。新憲法下においても法律として完全に有効なものであつて、このことはすでに国会もその制定した法律において、これが有効であることを前提とする規定を設けているのでありまするし、すでに最高裁判所の判例もあるところであります。次に団体等規正令の規定する事項が、連合国最高司令官要求事項ではないかということにあるのかもしれませんが、この点につきましては、これはまさしく連合国最高司令部発日本政府あて覚書五百四十八号に基くものでありまして、同令は完全に連合国最高司令部の要請に応ずるものにほかならないのであります。次に団体等規正令の規定する事項は、基体的人権を制限するものであるから、憲法違反ではないかという点にあるかもしれませんが、公共の福祉のためにするやむを得ない権利の制限は、憲法もこれを認めているところであります。ことに連合国最高司令官要求は、結局わが国が調印した降伏文書に定める降伏條項実施に関するものでありまして、降伏條項の誠実な実施降伏文書に基く法的な義務の履行である以上は、これをこのまま忠実、迅速に実施するほかはありません。政府はもちろん国家として、その取捨選択を許されないことは申すまでもないところであります。従いまして以上いずれの点から見ましても、団体等規正令憲法違反という問題を生ずる余地がないと存ずるのであります。  なお前回の国会における衆議院法務委員会におきまして、ただいま梨木委員からの御質問にもありました通り法務総裁より団体等規正令の制定につきまして、すでに答弁が行われておるのであります。繰返して申し上げますが、法務総裁はかように申し上げているのであります。勅令百一号を団体等規正令に改正する点につきましては、昨年六月連合国最高司令部の示唆によつてこの問題が初めて起きました。政府におきましては、司令部と爾来折衝を重ねておりましたところ、本年三月下旬に至りまして、勅令百一号の趣旨を一層明瞭ならしめ、かつ同令のより完全なる運用を期するため、団体等規正令内容通りポツダム政令をもつて改正するよう、口頭指令を受けたのであります。政府はこの指令に基きまして、団体等規正令ポツダム政令として制定した次第であります。なおこの点につきまして政府とつ措置は、ただいま申し上げた覚書第五百四十八号末項にも規定されているところであります。
  25. 梨木作次郎

    梨木委員 その法務総裁答弁によると、口頭によつて命令を受けたというのでありますが、口頭は何年同月何日にだれからどういうふうに受けたということが少しも明瞭になつていない。またその口頭内容も明確になつておらないということが一つと、それからそういう要求があつても、特に必要な場合に限られるわけですが、一体どういう必要があつたのか。こういうような重要な基本的な人権関係するところの法令をつくる場合には、これはすでに国会も開かれているときでありますから、国会にかけて、そして日本法律としてつくることも可能なのです。何ゆえにこういう政令の形をとつたのか。これは国会を無視することです。連合軍最高司令官要求があり、特にその要求があつただけでは足りなくて、さらにその必要があつた、だから非常に急ぐとか、何かそういう情がなければならぬ。ところが今まで団体等規正令実施され、解散を命じたのは九月八日のことです。何もそう緊急なことがあつたとは思われない。そういうことが明確にならない限りは、一体等規正令が悪法に合致した法令であるということにはならないのであります。その点を伺いたい。
  26. 吉河光貞

    吉河政府委員 ただいま申し上げた通り最高司令部からの要求は、現在の団体等規正令内容通りポツダム政令をもつて勅令百一号を改正せよと口頭にて指令されました。日本政府といたしましては、これに従わざるを得なかつたのであります。また団体等規正令は、ただいま御質問にもありましたが、今回九月八日に朝連を解散いたしましたが、何もこの解散目的に改正したものではありません。この点御了承願いたいのであります。
  27. 梨木作次郎

    梨木委員 この質問はこの程度にして、次にお伺いしたいことは、朝連の解散に関連して財産接收ということをやつておりますが、この財産接收に当りましては、地方々々では非常に乱暴な、法律に従わないような接収の仕方をしているところがたくさんあります。たとえば接收に当りましては、まず法務総裁引渡し命令を持つて行かなければならないにもかかわらず、何らそういうものを持たないで接收しているという事実、しかもその引渡しに当りましては、身分を証明する証票を持つて、しかもその引渡し命令の中には、どの団体のどういう者に引渡しを求めると具体的に書いてなければならないようになつているわけでありますが、そういうようなことを何もやらないで……。
  28. 吉河光貞

    吉河政府委員 途中ですが、実はきよう梨木さんの方からのお話で、私だけでよろしいというので、接収関係民局長は来ておりませんから、また機会をあらためてお呼び出しになつていただきたいと思います。きようは刑政長官と私だけです。
  29. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは、それはまた質問することにして、きようはこの程度にしておきます。
  30. 花村四郎

  31. 猪俣浩三

    猪俣委員 関連いたしまして一つお尋ねいたしたいのでありますが、抽象的な問題でありますけれども全国的に統一せられたる団体中央部は東京にあつて、各府県に支部がある。この支部暴力行動をやつている場合に、本部がこれを容認している態度をとる。こういう本部が容認している態度自体によつて、全体の団体暴力行動を是認し、あるいは助長するというように、団体等規正令の精神上お認めになるのであるか、ならぬのであるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 吉河光貞

    吉河政府委員 お説のような場合も、抽象的、一般的にはあり得ると考えるのでありますが、団体等規正令適用につきましては、なるべく具体的な事案に即して、客観的な資料をもちまして、法令適用を云々して行きたいと考えております。非常に無責任な答弁かもしれませんが、お説のような場合には、あるいはその当該団体全体が団体等規正令二條該当不法団体認定され得るような場合もあり得ると考えるわけであります。
  33. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、たとえば今朝連の例をとつてみますが、朝連の本部としては何らの指令を発しない。その間の連絡というものは認められないけれども、各支部において暴力行動があちらにもこちらにも起つて来た。しかるに本部はそれに対して何らの措置をとつておらないというその消極的態度によつて、やはり本部それ自体暴力を容認する、助長する団体だと認める場合があるというような御見地からも、今回の朝連の解散問題が起つたというような点があるのでありますか、これをお聞かせ願いたい。
  34. 吉河光貞

    吉河政府委員 統一的な団体全国各地方における支部暴力的な事犯がどの程度に発しましたときに、当該団体の全体が暴力主義的性格を持つに至るかということは、事実認定の問題でございまして、御質問のような場合も当然考慮される問題であると考えるわけであります。
  35. 猪俣浩三

    猪俣委員 私の今の質問とピントがはずれているのですが、今回の朝連事件がさような見解のもとにやつた部分があるかどうかという質問なのであります。
  36. 吉河光貞

    吉河政府委員 お説の通りであります。
  37. 猪俣浩三

    猪俣委員 さようでありますと、解散刑罰それ自体ではないにいたしましても、団体の生命を絶つ一つ行動であるが、従来の刑罰理論から考えまして、容認というような消極的態度を、ただちに解散というふうな積極的な断定の條件にするというようなことは、今までの刑罰理論と合致することになりますかどうか、御意見を承りたいと思います。
  38. 吉河光貞

    吉河政府委員 団体等規正令認定は、刑罰法令個人刑事責任を追究する認定とはいささか違う趣があるかと思いますが、ただ御質問の朝連本部におきましては、本部自体暴力的事犯が数件あるのでありまして、ただ支部行動を漫然と容認したというようなことだけで、当該団体全体を暴力主義であると認定したわけではございません。
  39. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは質疑通告がなかつたので、ただちに御答弁相なるやどうかわかりませんが、もし御答弁できたらお願いしたいのであります。御答弁が困難であるならば次会にまたお譲りしてもいいのであります。現在におきまして、いわゆる反共を名にいたしますところの暴力団体が、全国に非常に擡頭して来ているという形勢が見えるのであります。私どもの同僚でありますところの参議院法務委員長伊藤氏が、参議院法務委員会において調査いたしました内容の一端をお聞きしたのでありますが、参議院法務委員会調果によれば、全国に四千有余の暴力団体が存在しているというのであります。それによつて伊藤氏は暴力行為等処罰に関する法律を改正しました暴力行為取締法を提出しようとしたのでありますが、特審局におかれましては、かような、われわれから見ますと反共に名をかりたところのフアシヨ的傾向を持つところの反民主的傾向を持つ団体が非常な勢いで擡頭して来ている。これは国際関係を考慮いたしましても、日本民主化の前途から考えましても、容易ならざることであると私ども考えるのでありますが、特審局においては、さような一般的の形勢が特に見られないという御見解でありますか。あるいはさような形勢があるという御見解でありますか。もしありとするならば、その具体的実情はどうであるか。御発表できるならば御発表願いたいと思います。
  40. 吉河光貞

    吉河政府委員 最近御質問通り反共を名とする団体全国各地に擡頭して来たことは事実であると考えます。しかしこれらがただちにもつて団体等規正令二條該当暴力主義的団体なりやいなやにつきましては、特別審査局におきましても、目下全力をあげて調査を続行中でありまして、捕捉次第、当該するものについては順次これを解散するというような措置を講じているのであります。団体等規正令は、国民全体の御協力をまつて運営の完璧を期し得るものと考えているのであります。微力至らない点があるかもしれませんが、重大な関心を持つて民主主義擁護見地からこれが取締りに全力を盡している次第であります。
  41. 猪俣浩三

    猪俣委員 今の御答弁を聞いて安心したのでありますが、申すまでもなく、この団体等規正令の生ずるに至りました沿革は、占領軍の要望もありまして、元来が右翼フアシヨ団体取締りということが中心生命であつたはずであります。もちろん暴力主義団体に対しましては、左右を問わずこれが取締りに当らねばならぬと思うのでありますけれども、近ごろわれわれが懸念いたしますことは、このいわゆる左翼の暴力主義を憎むのあまり、その方面に特審局の勢力を注いで、従つてわれわれの最も心配いたしますところのフアシヨ的な暴力団体、こういうものの調査がおろそかになつておる傾向がありはしないかということを心配するものでありますが、これにつきましてはどうか全力をあげて御調査、あるいは御追究を願いたい。日本の国の将来のあり方において、私は左翼主義の暴力などというものは大したものではないと考えておる。ただ日本の民族性、二千六百年のこの血液を調べますと、容易にフアシヨ団体の続出もその環境にようては想像できるのでありまして、われわれが多大の犠牲を拂つて打立てましたところの民主的な傾向というものが、漸次また薄らぐのじやないかという心配がある。これは実に私ども重大であると思うのでありまして、この点につきまして、特にその筋の係の方がお見えになつでおりますから、強く要望したいと思うのであります。
  42. 梨木作次郎

    梨木委員 先ほどちよつと質問の中でお尋ねするのを失念いたしたのでありますが、これら解散された二つの団体について、暴力主義的な傾向やあるいは反占領軍的な行動が累積されて、そうしてそういう性格団体認定するようになつた。こういう御答弁でありましたが、そういう累積の結果、政府がそのように認定するに至つた時期はいつごろでありますか。
  43. 吉河光貞

    吉河政府委員 累積と申し上げますと、たいへん言葉が強く響くかと思われますが、御質問の要点である朝連が、団体等規正令四條該当の性格を持つに至つた時期は、大体昭和二十一年四月下旬と考えております。この時期は、連合軍最高司令部より、朝連が結成いたしましたる朝鮮人自治隊のごとき、いかなる警察機関をも許さずといいまして、自治隊の解散命令を受けた時期でありまして、御承知の通り朝連は、昭和二十一年一月ごろより自治隊または保安隊を結成して、実力行使に出る傾向を持つに至りました。人民裁判、不法監禁、家宅捜査、経済取締り、摘発等のいわゆる警察類似行為を初め、朝連組織維持のためにする、朝鮮引揚げ列車の妨害等数々の行為に及びましたので、総司令部から昭和二十一年二月十九日、刑事裁判の行使に関する覚書が発せられ、在留朝鮮人日本法憲に服すべきことが規定せらるるとともに、さらに朝鮮人自治隊のごとき、いかなる警察機関もこれを許さずとして、同年四月二十四日同隊は総司令部命令によつて解散せられておるのであります。この時期から次第にただいま申し上げたような性格を持つに至り、次第にその程度を深めるに至つたものと考えておる次第でございます。
  44. 梨木作次郎

    梨木委員 そういたしますと、金天海という人が、この解散に伴うて公職追放の指定を受けておるのでありますが、私の聞いたところによりますと、その金天海君は朝連の当初の顧問に推薦されておつた。今御答弁の二十一年四月下旬以前だということになりますならば、この公職追放の指定は不当だということになると私は思うのであります。この点、私ども事実関係はまだはつきりしておりませんが、私が今お伺いしたのは、もし金天海君が顧問に就任しておつたのが二十一年四月以前だということになれば、この公職追放の指定は取消さるべきものと理解するので、この点を伺いたいと思います。
  45. 吉河光貞

    吉河政府委員 実は御質問趣旨にもありました通り、金天海さんはその後にわたつておるのでありまして、金天海さんみずから申されておる通り、二十二年十月十五日まで明確に顧問となつておられます。なお顧問以外の要職についても、数々の資料があるのでございます。これは金天海さんみずからお出しになつ調査書にも書いてあるような次第であります。御了承を願います。
  46. 梨木作次郎

    梨木委員 それではその次にお伺いいたします。徳田球一さんを昨年暗殺しようとした古賀一郎さんという反共連盟の構成員の一人が、最近保釈になつて出て来まして、また共産党の幹部を暗殺するのだと放言しなから、議会あたりにもちらほら来ていると聞いておるのでありますが、その点についての特審局調査はどのようになつているか、お伺いいたしたいと思います。
  47. 吉河光貞

    吉河政府委員 古賀が九州で裁判公判中に保釈になつて、大阪を経て東京に上京し、諸所に立ちまわつているということの情報を得ましたとたんに、私どもにおきましては検察庁に連絡し、自己の調査班を使いまして現地調査もいたして、その事実の有無を確めるとともに、古賀の東京における行動を内偵調査いたしました。これは保釈條件に違反する点があるのではなかろうかという点を十分に調査いたしまして、検察庁に対しましてその点を通告いたしております。その措置裁判所措置にまつということになつており、十分にこれを調査して、所要関係方面に報告し、注意をいたしております。また古賀がその間追放者として政治活動をしていはしないか、勅令百一号違反の事実はないかという点につきましても、厳重調査中であります。目下のところ、明確な資料はつかんでおりません。調査中であります。御了承願います。
  48. 梨木作次郎

    梨木委員 次に伺いますが、団体等規正令の第十條によりますと「この政令の條項が遵守されているかどうかを確めるため、必要な調査を行うもの」として、第三項に「法務総裁又は都道府県知事は、第一項の調査をするについて必要があるときは、関係者の出頭を求め、又は当該官吏若しくは吏員をしてその説明を聽取し、」ということがあるのであります。おそらくこの規定に基いてだろうと思いますが、最近どこから見ても民主的な団体または生活扶助のための団体、そういう団体に対して、法務府特審局の課員と称する人が、資料をよこせ、いろいろ聞きたいことがある、こういうぐあいにして調べている事実がある。何にするのですかと聞きますと、いやそんなことは言えない、答えないなら答えないでよろしいというような薄気味の惡い返事をして立ち去るという事実があるのであります。これは私が御説明申し上げるまでもなく、これに答えないと恐ろしい制裁があります。十年以下の懲役または禁錮に処す、情状により七万五千円以下の罰金というようなことになつているのでありまして、この規定に基いて、明かにだれが見ても民主的な団体と思われるようなものに対して、こういう薄気味の惡い調査をやられては、まつたく思想警察、特高警察の復活としか考えられない。これはどういうぐあいに指導され、どういう基準に基いて行われるのか、これを伺いたいと思います。
  49. 吉河光貞

    吉河政府委員 抽象的な御質問でありまして、お答えも十分でないと思いますが、特別審査局といたしましては、調査は原則として任意調査をいたさしておりまして、必要のある場合に第十條の発動をいたす。なるべくは任意の調査をしたいというような方針でやつておりまして、特に必要のある場合にこの十條の調査を発動するという建前をとつております。ただ私ども調査は、捜査と違いまして、犯罪の嫌疑とか容疑を前提とするものではございません。団体等規正令の各條項が十分に励行されておるものを、一般的に調査するためにもこの調査活動をいたすのでございまして、たとえば届出団体が届出事項に間違いがないかどうかというような点につきましても、あるいは無届の団体が、これは届出すべき団体ではないと、本人関係者がこれを忘れているのではないかというような点につきましても、やはりこの調査をいたすのでございまして、もしその調査官の態度に愼むべき、あるいは戒むべき点がございましたならば、私の監督の至らないところでございますから、十分に今後監督して、かりにも嫌惡不快の情を與えるような、あるいは畏怖の念を起させるような調査をしないように、十分考慮するつもりでございます。
  50. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは具体的に申します。それは清瀬病院の患者でつくられておる団体があるそうであります。この団体調査に来た人の調べ方でございます。今伺いますと、任意調査を原則としてやるのだということであります。そこで私は伺いたいのでありますが、実際答えないなら答えないでもよろしいと言い放して帰られたのでは、何だか薄気味が惡くてしようがないのであります。しかも答えなかつたということで、十三條で処罰されたのではまつたくこれはかなわないのでありますから、これはひとつもしそういう趣旨で来られるならば、第十條に基いて、しかも答えなければこういう制裁があるの参だということで、はつきりそういう職権で、どうしても調べなければならないことで来ているのだということを明確にされないと、こつちは一体つていいものか惡いものか、非常に調べられる方が疑心暗鬼で恐怖にかられるわけでありまして、もう少上はつきりあなたの方の調査方針基準というものを示してもらいたい。
  51. 吉河光貞

    吉河政府委員 ただいま御質問になりました要件については、十分調査をして事実の有無を確めたいと思います。また事実がそうであれば十分に戒飭して、今後再びこういう間違いがないようにしたいと思うのであります。しかしまた御質問の後段にもありましたが、十條の強制調査をするときには、その趣旨を十分に説明して、罰則とか、規定の根拠というものを相手方に申し渡してこれを行うようにいたしております。かような証票を持つておりまして、この証票に身分が書いてあるのでございます。ここに第十條の條文が出ておりまして、裏の方に十三條の罰則が出ておりまして、こういうことになりますということを申し渡すことにいたしております。また強制調査を発動したときは、局長にこれを報告するという建前になつております。清瀬病院の方は、おそらく任意調査であろうと思いますが、もし言辞に不当の点がありましたらこれを十分注意したい。こういうように思います。
  52. 猪俣浩三

    猪俣委員 ついででありますからお伺いしたいのでありますが、先般新聞に見えております昔の五・一五事件関係者でありますが、三上卓という男らが何か密輸入のことで横浜の軍事裁判にまわされた。ところが新聞記事によりますと、台湾へ行つたとせられる根元中将そういう者とも関係があるというのでありますが、この三上卓その他を取囲んだ一団の何か集団があるのではないか。さようなことについて特審局はお調べになつたか。なつたとすればその実情がどうであるかお漏らしいただきたいと思うのであります。
  53. 吉河光貞

    吉河政府委員 三上卓の事件については、ちよつと他と関係がありますから、速記をとめていただきたいのですが……。
  54. 花村四郎

    花村委員長 では速記をちよつととめてください。     〔速記中止〕
  55. 花村四郎

    花村委員長 速記を始めてください。
  56. 猪俣浩三

    猪俣委員 一体この事件について何らおわかりになつておらぬようであるが、特審局としては現に調査なさつたのか。まだ調査はあまりしておらぬのであるか。それをお聞かせ願いたい。私どもの感じからしますると、この密貿易によつて相当巨利を博し、それを根拠にして何かフアシヨ活動をやらんとする気構えがあるのではないかという疑いが多々あるのであります。一体特審局はこれに対してどの程度調査をなさつたのであるか。あるいは大した調査をなさらんのであるか。その点を承りたい。
  57. 吉河光貞

    吉河政府委員 おしかりをこうむりますが、まだ十分な調査をいたしておりません。
  58. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは私は朝連の問題よりなお重大な問題だと思うのであります。先ほど私が申しました趣旨によつて、こういうものこそもつと徹底的に御活動なさつて調査願いたいと思うのであります。
  59. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつと朝連問題にからんで簡單にお尋ねいたしたいと思います。こういう事件を取扱う場合の態度として、解散に至るまでにその団体に対して反省とか、あるいは注意とかを促した後に解散処置をとられたのでありますか。そういうような方法について御説明を承りたい。
  60. 吉河光貞

    吉河政府委員 資料の收集につきましては、団体に利益なものも不利益なものも、あわせてこれを收集することにいたしておるのでありますが、解散前にあらかじめ当該団体に対しまして、解散の予告、あるいは警告を発するような措置は講じておりません。
  61. 世耕弘一

    世耕委員 団体目的に反するようなこと、あるいは法の目的に反するようなことがある場合には、注意を喚起して反省を促すことが民主主義じやないかと私は言いたい。それでお尋ねしたのです。  それともう一つ暴力行為とか、あるいはいろいろな行為をする団体があるとすれば、将来はあるいは政党の中にもそういうような問題が発生しやせんかということが考えられる。その点はどうでございますか。私は予想されるのですが……。
  62. 吉河光貞

    吉河政府委員 団体に対しまして、あらかじめ一応の注意を発することが妥当である場合もありまするが、すべての団体に対して、解散前にあらかじめ注意を発するということは考えておりません。しかし場合によりましては、あらかじめ注意を発して未然に防止するというようなことが妥当である場合もあり得ると考えられます。なお第二点といたしまして、団体等規正令第二條に該当する団体は、届出した団体であるといなとを問わず、またその団体がいかなる名称を持つといなとを問わず、正当であるといなとを問わず、これに該当し得るおそれがある、——おそれとは語弊でありますが、該当し得る場合があるものと考えております。
  63. 梨木作次郎

    梨木委員 新聞の報ずるところによりますと、日本共産党の福島県委員会に対して、団体等規正令適用すべく内定を進めているというような報道を耳にするのでありますが、そういう事実はありますか。
  64. 吉河光貞

    吉河政府委員 福島県の日本共産党関係組織に対しまして、解散目的として内定を進めた事実はありません。しかし各種の事態につきましては、調査はいたしております。まだその結論は得ておりません。かような状態であります。
  65. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ、本日はこの程度において散会いたします。     午後三時五十二分散会