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1949-11-29 第6回国会 衆議院 文部委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午後三時四十六分開議  出席委員    委員長 原   彪君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君    理事 稻葉  修君 理事 今野 武雄君    理事 長野 長廣君 理事 小林 信一君       伊藤 郷一君    小川原政信君       甲木  保君    木村 公平君       佐藤 重遠君    千賀 康治君       森戸 辰男君    渡部 義通君  出席政府委事員         文部政務次官  平島 良一君         文部事務官         (調査普及局         長)      辻田  力君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君 十一月二十九日  委員柏原義則君及び小西寅松君辞任につき、そ  の補欠として小川原政信君及び木村公平君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  追加日程  六・三制完全実施に関する決議実行に関する  決議案野坂參三君外三十五名提出、決議第一  号)     —————————————
  2. 原彪

    原委員長 これより会議を開きます。
  3. 今野武雄

    今野委員 議事進行について申し上げたいと思います。去る二十二日に本委員会に付託されました六・三制完全実施に関する決議実行に関する決議案その他二件の決議案が、すでに理事会においてこれを取扱うことにきめまして、趣旨弁明も済んでおるのであります。この決議案の内容は、先日来審議いたしましたあの請願などを見ましても、百数十万の人が一緒になつて請願するといつたような、非常に重要な問題であります。それに対して、本委員会においていまだ趣旨弁明のままにほうつておかれて、延び延びとして、もう会期が終りに近づいている。こういうことは、非常に不都合だと思うのです。しかもその間にあつて、このことについては、民主自由党の方で、趣旨にはたいへん賛成であるけれども困るというようなことが話に出ていて、そのために委員長はいつまでもこれを日程に上せることをしない、こういう態度をとつておられるのでありますが、これでは一体この委員会が何のために開かれているのか、まるで与党のために開かれておる委員会であるような趣を呈しておるのであります。こういうようなことでなく、すみやかにこの決議案を取上げるように、ひとつお願いしたいと思います。
  4. 原彪

    原委員長 ただいまの今野君の御発言に対して、委員長としましては、この決議案に対する質疑が、まだほかの委員の方にまとまつていないように見受けられましたので、上程することを差控えておつたのでございます。その点御了承をいただきたいと思います。
  5. 今野武雄

    今野委員 すでに一週間もたつているのでありまして、その間にまとまらないということはないわけです。別にそうむずかしい決議でもないし、事柄ははつきりしているのです。だからこれは、客観的に見るならば、これを遷延させて、結局において今会期中に審議未了にしてしまおう、そういうふうな意図と見られても、しかたがないと思うのであります。でありまするから、はつきり結論を出すように、質疑等があれば、そういうものも進めるようにしていただきたい。質疑がなければ、現在出ている結論はつきり出すようにすべき時期でないかど考えられます。
  6. 原彪

    原委員長 委員長といたしましては、この決議案重要性は、十分認識いたしております。しかし何しろ会期も切迫しておりますし、まだ上つていない法案もありますし、請願も山積いたしておりますしするので、延び延びになつておつたのでありまして、その点ひとつ御了承いただきたいと思うのであります。
  7. 今野武雄

    今野委員 委員長先ほどと今と違つた理由を述べられておるのです。先ほど理由ならば、民主自由党側はつきりした結論を出してないということでありまするが、委員長は、今後、たとえば共産党側はつきりした結論を出してない場合に、こういうふうに延ばすかどうかです。その点をしつかりとお伺いしたいと思います。
  8. 原彪

    原委員長 多数の方々の御意見がまとまつていないように、委員長は受取れましたので、さようにいたしましたのと、もう一つは重要な法案審議未了になつているのもありますし、請願もありますので、そういうような両方の意味で、これを考えておつたのでありまして、この点ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 多数の意見がまとまつておらないと申されますけれども、いやしくも決議案趣旨弁明をやつておるので、それについての意見がまとまつておらない場合は、いろいろ質疑があれば質疑をして、その過程で初めて意見がまとまるのであります。その質疑をする機会を委員長はまだ与えておらないのであります。ですから、その理由はどうしても立たないのです。それから重要法案がまだ進んでおらないからと言われますが、本会議でも、御承知のようにそういう過程においても、緊急を要する場合には決議案がどんどん出されておる。現にこの決議案も、運営委員会から一応文部委員会へ付託されておるのでありまして、そして趣旨弁明をやつておるのですから、早く結論を出すように、あなたは委員長としてとりはからつていただきたいと思います。結論を出せばいいのですから。
  10. 原彪

    原委員長 承知いたしました。それではただいまより理事会開ぎまして理事の方と御相談いたしまして、その態度を決定いたしたいと存じます。
  11. 小林信一

    小林(信)委員 その問題は非常に委員長態度はつきりしなくて、われわれは終始この問題は不快に思つておるのです。やはりこれは、委員長の決断によつてどうとでもはつきりさせることが、この委員会の大事な使命ではないかと思うのです。何となくあいまいな形でやりますが、やはり委員会の面目にかけても、事重大でありますから、ぜひともこの際はつきりとお願いするものであります。
  12. 原彪

    原委員長 議事運営のことでありますので、理事会にお諮りしまして、決定いたしたいと存じます。
  13. 圓谷光衞

    圓谷委員 建設委員会との連合審査をやることになつていて、今見えているようですから……
  14. 原彪

    原委員長 これから諮りたいと思うやさきに、今野君からの質問が出たのであります。
  15. 渡部義通

    渡部委員 委員長は二つの理由を述べて、あの決議案をこの委員会で取扱うことが遅れた理由とされたわけなんだが、この点については、松本委員から、理由がなつていないということがすでに述べられたと思うのです。重要法案が残つていると言われるが、六・三制の問題をどうするかというようなことこそ、文部委員会としては最大な重要な問題であつて、これはこの前の国会委員会において二回も決議し、また本会議においても決議が通過しているほど重大な問題を全然処理しないために提出された問題であるのであつて、これほどの重大問題を残しながら、他の法案に入らなければならないという理由はないと思う。同時に、今建設委員会との連合審査というような話があつたようですが、教育関係のことは、われわれ文部委員会で十分なし得る権限と識見とがあるはずであるから、そういうことが重大なのではなくして、問題の重要性は六・三制のような問題を先にはつきわきめて、その後においてもし教育委員会法審議する上に必要だと認められるならば、建設委員会との連合審査というものが初めて問題になると思います。従つて先ほど今野君から提案された問題は、即刻ここで解決される心要があると思います。
  16. 原彪

    原委員長 暫時休憩して理事会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、
  17. 原彪

    原委員長 それではさよう決します。     午後四時五十六分休憩      ——————————     午後五時六分開議
  18. 原彪

    原委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  教育委員会法の一部を改正する法律案について、建設委員会より連合審査会を開きたいとの申出があります。  お諮りいたします。衆議院規則第六十條により、建設委員会連合審査会を開くに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 原彪

    原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  暫時休憩いたします。    事午後五時七分休憩      ——————————     午後五時二十六分開議
  20. 原彪

    原委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  ただいま連合審査会を開くことの決定に対しまして異議の申出がありました。よつて起立採決によりこれを決したいと思います。連合審査会を開くに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 原彪

    原委員長 起立多数。よつて建設委員会連合審査会を開くに決しました。  暫時休憩いたします。     午後五時二十七分休憩      ——————————     午後七時四十七分開議
  22. 原彪

    原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際ちよつと御報告申し上げておきたいことがございます。本日ユネスコ運動に関する決議案が、委員会審査を、省略して上程されることに相なつております。このことを文部委員各位に御報告申し上げ、御了承をお願いいたしておきます。  今野武雄君より、議事日程を追加し、六・三制の完全実施に関する決議実行に関する決議案科学技術研究振興に関する決議案及び古美術保存に関する決議案の三案を議題となし、その審議を進められたいとの動議が提出されております。  よつてお諮りいたします。今野君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 原彪

    原委員長 起立多数。よつて今野君の動議は可決せられました。よつて日程は追加せられました。  六・三制完全実施に関する決議実行に関する決議案科学技術研究振興に関する決議案、古美術保存に関する決議案一括議題といたします。質疑を許します。
  24. 水谷昇

    水谷(昇)委員 六・三制の完全実施に関する決議実行に関する決議案でありますが、この趣旨を読んでみますと「本国会会期中に、六・三制完全実施のための有効適切かつ強力な予算的措置を講じ、全国民の要望に応えるべきである」こういうふうに書かれてあるのでありますが、御承知通りに、本会期は明日にもう迫つておるのであります。そういたしますと、ここにありますような有効適切かつ強力な予算的措置を講ずることを要求いたしましても、事実上できないことになると思います。その点について提案者側の御意見を伺いたいと思います。古美術保存に関する決議案につきましても、同様の御趣旨でありますが、この点もひとつお伺いしたいと思います。
  25. 今野武雄

    今野委員 その案文につきましては特に二十二日予算通過前にそれを出しまして、そのことを早くやつてくれということを、たびたび委員長に向つて督促したにもかかわらず、遂に今日に至つたのであります。その点でこの案文の悪い点については、私たち責任ではなくして、委員長のやり方の責任であるとわれわれは考えております。しかしながら、同時に、その当時も申しましたが、私どもはこのことが非常に重大であることにかんがみまして、できるならばこの委員会でもう一ぺん決議案をつくり直してもいいから、出すようにということも、その当時申しておつたのであります。でありますから、今度の会期も明日限りということでありますが、いろいろ伝え聞くところによりますと、また延長されるというようなこともありますから、できるならば、この案文を若干かえてもよろしいから、できるだけ今会期中に決議案が上程されるような手続を講じたい、こういうふうに考える次第であります。
  26. 水谷昇

    水谷(昇)委員 案文をかえてもよいという御意見でありますから、その点は了承いたしました。  なお一つ質問申し上げたいのは、この六・三制の建築費につきましては、各位承知通りに、努力努力を重ねまして、補正予算として十五億円を決議いたしたのでありますが、この間の事情は十分御了承である。しかるにもかかわらず、六・三制完全実施のための有効適切かつ強力な予算的措置を講ぜよということを決議いたしましても、非常にむりだと私は思いますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  27. 今野武雄

    今野委員 水谷君は、この間趣旨弁明をされたときにおられなかつたので、あるいは御承知ないかと思いますが、実は趣旨弁明でも申し上げたのは、三つの点でございます。  その第一は、現在まで予算措置を講じられておるものは、わずか三万三、四千教室のものにすぎませんでしたが二十二年度並びに二十三年度の建築にかかる新制中学で非公共事業になつておるもの、つまり公共事業として国から補助を与えられてないものの教室数は、文部省資料によりましても、二万二千四百ばかりございます。かくも多数のもののうちにはいろいろな理由補助を与えられないものもあるかもしれませんけれども、聞くところによれば、非常に多くのものが二十四年度には当初予算文部省で計上して、当然出るからというような、そういう期待を持つて、あるいはこれはほんとうの約束かどうか知らないけれども、口約束をもつてつた。そのために水谷吾自身承知通り、いろいろな町村の財政上困難な事情、あるいは村長、町長等が個人でその借財を背負わなければならないというような事情が、多数に生じておるわけでございます。こういうふうに六・三制のことが、今度の予算でもつて二十四年四月三十日以降というようになつたために、そういうものが全部打切られることになれば、非常に大きな損害を地方民に与え、しかも政治の不信というものが非常に強くなるわけでございます。そういう意味において、第五国会でも非常にわれわれが努力して、全会一致であの決議案を通したわけでございますが、その趣旨が十分通らなかつた。特にこのことは、文部委員会ではたびたび寄りまして、文部省にもその旨をよく申し伝え、それからここで申し上げるのはたいへん残念な次第でありますが、しかしながら、ともかく与党幹事長にまで会いに行くというようなことまでやつて、そういうことに対して努力してほしいということを申し入れたのであります。しかるにもかかわらず、これが通らなかつたということ、これが一つであります。  それからなお文部省の差出した建築に関する資料というものは、年々非常に違つておるのでありまして、なかなか信頼しがたいのでありますが、ごくざつと考えてみましても現在新制中学の生徒が四百九十万おる。これに対する必要教室数は十一万余になります。ところが全国の各地においてこれらの教室を建てておる状況を見まするに、いずれも古い教室を利用しておるというよりは、独立校舍を建てておるのが一般的であります。一つの村で建てられないときには組合をつくつて建てろ、こういうふうなことを言つて非常に奨励してやらせておるのであります。そういう状況から見ますると、その十一万のうちわずか三万三、四千しか予算措置が講じられていない、ということは、残りの七万幾らというものが予算措置が講じられないままになつておるということであります。こういう問題に対して、今の十五億という数字ではどうにもならぬ。しかも予算説明書によりますと、十五億のほかに二十五億あれば一応緊急を要するものは建つてしまう、こういうように説明しておるのでございますが、そういう点においても、国民は非常な不安を覚えざるを得ないわけでございます。そういうような種々な点を、この間趣旨弁明の中で御説明申し上げたわけでございます。そういうような理由で、一日も早くこういう決議案の出るようにしていただきたいと思うのであります。
  28. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいま今野君の御説明伺つたのでありますが、本年の四月三十日現在といたしまして、それ以前に建築した分に対しては補助がないという考えのもとに、この決議案を出されるようでありますが、この四月三十日以前の分に対しましても補助をするということについては、私ども今野君と同様賛成であります。従つてこの点について文部当局に私ども要求をしておりますが、なお伺うところによりますと、前の調査によりますと、高等学校の分に対する勘定もしてある。だからそういうものを除いて中学校の建設費に、つまり〇・七坪の割合で補助ができるのだ。こういうことも聞いておるのでありますから、この点については文部当局意見をさらに尋ねてみたいと思います。ひとつ委員長から文部当局説明さしていただきたいと思います。
  29. 木村公平

    木村(公)委員 共産党諸君に一言申し上げておきたいが、この決議案を瞥見いたしますると、それぞれわが党がかつて考えておつて、しかも万全の努力をしたけれども、いまだ百パーセントの効果をあげ得なかつた。その点に便乗して、国民にこれを宣伝するためにかくのごとき決議をするかのように、われわれは考えるのであります。そもそも委員会においても、本会議場においても、審議というものは、私どもは最も真劍でなければならぬと思う、殊に六・三制の完全実施はわが党の党是である。われわれは二百八十名になんなんとする多数の代議士を擁して、あらゆる苦心をしたことは、国民が了知しているはずである。これはひとりわが党が了知しておるのみならず諸君方も、おそらく共産党を含めた諸君たちも御了解のことであると思う。しかるにわが党の力をもつてしても、現段階においてはこの程度よりなし得ないのであります。しかも万一わが党が努力をしなかつたならば、共産党などは一銭の六・三制の費用もとれなかつたかもしれない。従つてわが党の努力の結果、この補正予算において十五億円という多額な予算をとり得たことは、完全実施にはほど遠いというりくつはつきましよう、けれども、おそらく全国民が感謝をしておるだろうし、おそらく他党の諸君といえども、わが党の労を多とするに違いない。ひとり共産党諸君は、あらゆる面においてことごとく難くせをつける。これは一に国民に対するところのスタンド・プレイであるとわが党は認めるのである。かくのごときふまじめきわめる態度に対しては、わが党は断固として反対をするのである。以上をもつて共産党諸君提案決議案には絶対反対である。
  30. 原彪

    原委員長 先ほど水谷君の、文部当局より説明を求める件でありまするが、担当の政府委員がおられませんので、いかがとりはからいましよう。
  31. 水谷昇

    水谷(昇)委員 私の方は、ひとつそれを伺つた上で、この点を審議したいと思いますから……
  32. 原彪

    原委員長 それでは次回に呼ぶことにいたしますから、御了承願います。
  33. 若林義孝

    若林委員 これは前々から事重要なることだと思いますので、私たち趣旨においては、この気持であることだけは、かわりはないのであります。今木村委員が言われましたように、これは一文もとれないとほとんどあきらめておつて、われわれ地方をまわりましても、一円でもいいから出るようにしてもらいたい、そうすれば額の多寡は言いませんからというくらいまでの悲痛な声が結集されて、ここに零であつたものがまず十五億とれ、来年事は四十五億というものが予想されておる、これで最低限度の設備が行われるということについて、おそらく今木村委員が言われたように、あるいは共産党諸君といえども、心の中では、おれたちがやつたから十五億もとれたのだ、こういうことを言われるに違いないと私たちは想像するのであります。しかしこの額さえも少いから、もつとたくさんにという御要求があるそうでありますが、多々ますます弁ずるのでありますから、これはもつともなことであります。しかし血の出るようなこの十五億でさえも反対を唱えて、通すことに極力反対をしたのでありまして、もしあの反対のままに反対されたならば、一銭もとれないということになるのであります。教育のことというものは、政党政派を超越して、政党党勢拡張の具に供するがごときことをするならば、教育の神聖を冒涜するところのものであると思うのであります。ひとまず私たちはこの十五億というものなり、来年度の最低限度のもの、これを十分に活用をし、そうしてその上に二段、三段と文部当局なり国会全体の力をもつて、六・三制の完遂をするのに——これで満足をするものでは断じてないのでありますが、まず今日の段階においては、私はこの十五億とれたということは、政府の大きな努力もあり、国会努力もあり、なおあわせて国民全体が文教予算というものに非常な関心を持ち、熱意をささげられたたまものであると思うのでありまして、そのたまものによるものでさえも、これを否決し去ろうとするところのこの心理、なおそれに反対を叫えておきながら、今日これを出すということ、われわれその心理を洞察するとき——これは見解の相違と言うかもしれませんが、まさしく政争の具に供する以外の何ものでもないということを感ずるのであります。ここに提案者である共産党の方に尋ねたいと思いますのは、一体今度どれだけとれたら賛成をせられるのか。今日の場合は、大体可能な程度においてとれることを、予想しなければいかぬ。それを十五億でも少い、あるいは今度百億とれても、やはりこれをお出しになるに違いない。一体どれだけを要求せられようとしておるのか。なお文部省はこれを放置するのでは断じてないのでありまして、またあらゆる施策、予算的方途を講じてこれを救済しようとするこの気持は、共産党だけがそれをとなえたのではない。われわれもそれと一緒になつておるのでありますから、文部当局もよそごとと思つてはいないのでありまして、あの当時の予算をとるのには、命がけで、ほとんど皆首をかけて臨んでおつたということだけは、ほんとうに涙ぐましいその情景を見ておつた者といたしまして、共産党の方に伺いたいのは、一体どれだけの予算をとろうとし、またどういうところからそれを捻出しようとなさるか。一万は国民負担の軽減を叫び、一方においてはこういうことについて少いと言い、その言われるところの真意——たち間違つた考えであるというように思うかもしれませんが、その気持をひとつお伺いしたいと思うのであります。
  34. 今野武雄

    今野委員 いろいろ御発言がございまして、若林委員からは、はつきりした質問の形がありました。しかし一番最初に、私は水谷さんが申した点について申しあげたいのであります。私はこの席上でもつて文部当局にお伺いしたのです。あの二十二年度、二十三年度でもらえなかつたものが、二十五年度にはもらえるのかと言つたら、それは遺憾ながら二十五年度には出せない、こういう話だつたので、そこでもつてこの一つ決議案を出した動機になつたということを、水谷さん御了承願いたいと思います。  その次に、木村委員が申されました点については、国会は多数党だけの国会ではなくして、少数党もまた嚴としてあるということを、御承知願いたいというふうに考えるのであります。  次に、若林委員が申された点でございますが、予算は総体として否定したり賛成したりするものでありまして、われわれは六・三予算だけであの予算考えるわけに参りません。それと同時に、六・三予算についても、十五億円では不足であるということは、この決議案趣旨弁明においてもるる述べた点であります。(「算術的に言え」と呼ぶ者あり)このような予算ではしよりがない。私は木村委員が今算術的にと申しますから、先ほども算術的に申しましたが、二十二年度、三年度の公共事業費のこれが、かりに全部補助しなければならぬとすれば、実に六十七億の補助が必要なのであります。その次に、先ほど来申しました通り、非常にたくさんなもの、十一万余の教室が必要であるのに対して、三万三、四千しか予算措置が講じてない。こういうことを考えますときに、七万五千以上の教室予算措置が講ぜられないことになります。これが全部ではないかもしれませんけれども、これがためにはやはり三、四百億の金が必要なのであります。このことについて文部省の出す資料は年々歳々違うのでありまして、私ども何を信用していいか、まつたく金額の立てようがないのであります。また日教組において立てた数字では、これは私どもとしてはいろいろ疑義があるのでありますが、やはり百三十五億の要求が出ておるのであります。これがやはり最小限度として出ておるのであります。こういうようなわけで、いかにしてもあの十五億並びに今度の二十五億あるいは四十五億とも言われておりますが、こういうものであつては、どうにもならぬという結論は、はつきりしておるのであります。そういう現実的な点から私どもは申しておるのでありまして、従つてこういう六・三制の教育という制度を始めた以上、これを始める一番先には、私どもはこの予算措置が非常に困難であろう、何も予算を立てないでやろう、一番最初に文部省が立案したこういうようなことに対しては、私どもとしてはとんでもないということで反対した。その後だんだん出しては来ました、しかしながらやはり足りない。そこで現在のところ、その数字的な根拠もあやふやになつてはつきりしないけれども、私どもの申すように、少くとも三・四百億のものは、ぜひともなければ、六・三制の完全実施はできない。こういうふうに考えるわけでございます。これの財源という話もありましたが、この財源については、これはいろいろな考え方がございます。共産党、お前がやつたらどうなるか、こういうような考え方もあるだろうし、(「一銭も出ないじやないか」と呼ぶ者あり)一銭も出ないことはない。われわれ共産党としては、たとえばあの薪炭の赤字に五十四億というような金を使うのは、これは国民から薪炭の代金を二重取りしていることになる。こんなことに税金を使つておる。また政府はいろいろな形でもつて、非常に安い値段で政府の所有物を民間に拂い下げておる。そしてその金をとつていないのであります。これが実に十六億以上ある。こういうようなものは、あげて数えることのできないほどいろいろな問題があります。こういう不正と見られるようなものの金の使い方をやめれば、りつぱに使えるのです。そういうような点で、私どもといたしましては、教育に金が出ないというのは、自然現象じやない、人為的なことだ。(「物理的現象だ」と呼ぶ者あり)しかもそれは現在でもこの吉田内閣の金融独占資本を擁護しようとしている政策から出ておる、それ以外の何ものでもない。決して無責任でこういうことを言つているのではないということは、この点でも明らかであります。
  35. 若林義孝

    若林委員 それでは一体幾らのものを要求されたら満足されるか、おそらく今の案では、幾ら出しても出しても盡きないものだと思う。そういう気持も察せられる。ほんとう教育を守るという心持以外に、ほかの意図のあるということを、その御答弁の中からも、また日ごろの共産党の方々の行動からも、われわれは察知できることだけを申し上げておきたいと思います。
  36. 水谷昇

    水谷(昇)委員 この決議案についての採否の討論は、ただいま私の御質問をいたしましたように、当局の説明を聞いて様子をよく承知した上で討論をいたしたいと思いますから、さようおとりはからいを願いたいと思います。
  37. 原彪

    原委員長 承知いたしました。
  38. 今野武雄

    今野委員 当局の質問とはどういうのですか。
  39. 水谷昇

    水谷(昇)委員 四月三十日現在で、それ以前のものに対しては全然補助をしないという点がいけないということを、あなたはおつしやつた文部当局の今考慮しておるのは、そういうのではないということを私は聞いておる。それからなお、前の調査によつては、高等学校の分を計算に入れたりしたことがあるので、そういうものを除いて中学校の建設費にそれをまわすということになれば、一人に対して〇・七というような点から換算して、相当補助ができるように聞いておるのでありますが、これは公の席上で聞いておるのではありませんから、こういう公の席上で説明を求めて、そういうことを確かめた上でやつていただきたいと思います。
  40. 原彪

    原委員長 水谷君のお申出に対しまして、次会の委員会におきまして政府当局より答弁を求めることにいたします。  本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」、「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  41. 原彪

    原委員長 御異議があるようでありまするから散会することに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  42. 原彪

    原委員長 起立多数。よつて散会と決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後八時二十一分散会