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1949-11-19 第6回国会 衆議院 文部委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年十一月十九日(土曜日) 午前十一時三十五分
開議
出席委員
委員長
原 彪君
理事
岡延右エ門
君
理事
圓谷
光衞
君
理事
水谷
昇君
理事
若林
義孝君
理事
松本
七郎君
理事
稻葉 修君
理事
今野
武雄君
理事
小林
信一君 伊藤
郷一
君
甲木
保君
木村
公平君 佐藤 重遠君 千賀 康治君 高木 章君
渡部
義通
君
出席国務大臣
文 部 大 臣
高瀬荘太郎
君
出席政府委員
文部政務次官
平島
良一君
文部事務官
(
大学学術局
長) 剱木
亨弘
君
文部事務官
(
調査普及局
長)
辻田
力君
委員外
の
出席者
文部事務官
森田 孝君 専 門 員
横田重左衞門
君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第三〇号)
私立学校法案
(
内閣提出
第三八号)
参考人
に関する件 ――
―――――――――――
〔筆記〕
原彪
1
○
原委員長
これより
会議
を開きます。
理事会
で
私立学校法案
について、各
方面
の
意見
を聽取することに御
協議願つたの
でありますが、
会期
も切迫しておりますし、
公聽会
を開くには種々手続もあり、日数もかかるので、当
委員会
としては、
私立学校法案
について、広く
参考人
を招致して
意見
を聽取いたすことにしてはどうかと考えます。ついては、本日
参考人
を招致するかどうかを御決定願いたいと存じます。なお、
参考人
の
人選
及び数については、
理事
の方と
協議
の上、
委員長
において決定いたしたいと存じます。 それではお諮りいたしますが、
私立学校法案
に関して、
参考人
を招致するに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
2
○
原委員長
異議
なしと認めまして、さよう決定いたします。なお、
参考人
の
人選
その他については、
委員長
に御一任願いたいと思います。
今野武雄
3
○
今野委員
私立学校
なかんずく私大の問題は、
経営者
、教授だけでなく、
学生
の
代表
も入れるのが適当であると考え、昨日の
理事会
でも述べたのでありますが、結論が得られなか
つた
。私どもはぜひとも入れるべきであると思います。そういうものを入れることが
国会
の権威を高めるのであります。
松本七郎
4
○
松本
(七)
委員
学生代表
の件は
意見
がまとまらないから、
委員会
に諮
つて
決定してもらいたいと思います。
原彪
5
○
原委員長
ただいまの
松本
君、
今野
君の御発言に対して、御
意見
はありませんか。
稻葉修
6
○
稻葉委員
松本
君の
意見
に従い、
理事会
であきめを願いたいと思います。
原彪
7
○
原委員長
昨日の
理事会
では、
意見
の一致を見なか
つた
のであります。
若林義孝
8
○
若林委員
もう一度
理事会
にはか
つて
決定されたらよいでせう。
原彪
9
○
原委員長
暫時
休憩
して、
理事会
を開きたいと思います。 午前十一時四十七分
休憩
―――――・――――― 午前十一時四十九分
開議
原彪
10
○
原委員長
休憩
前に引続き
会議
を開きます。
岡延右エ門
11
○岡(延)
委員
理事会
できま
つて
いるので、繰返す必要はない。
圓谷光衞
12
○
圓谷委員
私もそのように思います。
水谷昇
13
○
水谷
(昇)
委員
委員長
に御注意申し上げます。
学生
一部の
代表
か、
学生
全体の
代表
か、そこのところを明瞭にしてもらいたいものです。
原彪
14
○
原委員長
学生
全体だという
意味
にと
つて
います。
岡延右エ門
15
○岡(延)
委員
どうして選びますか。
今野武雄
16
○
今野委員
代表
の
意味
は、
学生団体
の場合はどうなりますか。
学生団体
には合法的な
組織
があります。
岡延右エ門
17
○岡(延)
委員
それは
団体
の
代表
ではないよ。それに反対するプロツクがあるのですよ。
木村公平
18
○
木村
(公)
委員
途中でわからないが、
公述人
に
学生
を加えるかどうかの問題であると思いますが、
学生
が勉学半ばに政治に関与するのは、大いに異論がある。そういうことをだれが言い出したのですか。そういう
意見
は取下げた方がよいではないですか。
原彪
19
○
原委員長
参考人
の選定の
範囲
については、
理事会
の
決定通り
、決するに
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
20
○
原委員長
御
異議
なしと認めます。それではさよう決しました。
原彪
21
○
原委員長
次に
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。質疑に入ります。
松本七郎
22
○
松本
(七)
委員
教育委員会設置
の時期について、
町村
は二十七年、市は二十五年とわけるのは、妥当ではないと思います。市についても二十七年度にしてはどうですか。
辻田力
23
○
辻田政府委員
市は二十五年、
町村
は二十七年とわけました点、市と
町村
の違いにつきましては、
地方自治法
でも法制的に区別されております。たとえば、人口三万以上をも
つて
市を構成し
経済的條件
においても、いろいろと
違つた点
を持
つて
おります。市につきましては、昨年の
教育委員会
の状況によ
つて
も、二十五年に
設置
してもさしつかえないと考えております。
松本七郎
24
○
松本
(七)
委員
教育委員会
の
設置
は、都道府県と五大都市にとどめた方がよいというような
意見
も聞いていますが、この点ほどうですか。
辻田力
25
○
辻田政府委員
教育委員会設置
の
範囲
につきましては、各
方面
の
意見
も聞いております。
教育
の
自主性
の
確保
という点よりして、
国民
に最も近いところに
行政
の
主体
を持
つて
行くことが必要だと思います。
設置
の時期については先ほど申しました
通り
、市については二十五年度または二十七年度のいずれかに選択させることとし、
町村
は二十七年度においてこれを
設置
するというわけであります。
松本七郎
26
○
松本
(七)
委員
この
改正案
によりますと、
委員会法
をつくるときと、今度の
改正
をするときの
目的
が、逆にな
つて
いると思うのです。それは
教育長
と
教育委員会
との
関係
です。従来
教育長
は
委員会
の
指揮監督
を受けてその
事務
を処理し、諮問に対して
助言
するということにな
つて
お
つた
と思うのですが、四十
二條
の削除により、
教育長
の方から、
委員会
に対して積極的に
助言
推薦
するということになるわけで、
教育長
の
権限
が非常に強くなると思うのです。
辻田力
27
○
辻田政府委員
この点については、今までも
教育長
の
助言
と
推薦
がなければ、実際には
事務
の処理ができなか
つた
わけてあります。今度の改定では
教育長
の職責を明らかにしたので、これは
事務遂行
上の必須の
條件
であると考えます。
従つて別
に
目的
がひつくり返
つた
わけではございません。
松本七郎
28
○
松本
(七)
委員
教育長
の
職務
を明確化するのはいいのですが、それを今までとは逆なように持
つて
行く必要はないと思うのです。つまり
法文
に表現する
方法
をかえるようにしたらどうか、この点いかがですか。
辻田力
29
○
辻田政府委員
現在の四十九條の「
教育長
に対し、
助言
と
推薦
を求めることができる」というのは、
事務
のことにのみ限られているので、
法文
の整備をいたした次第であります。
松本七郎
30
○
松本
(七)
委員
次に
服務規定
三十
二條
に、
委員
は
職務
上の
秘密
を漏らしてはならないとの
條項
がありますが、これは現在の
委員会
の
運営
から見て、濫用されるのではないかと懸念されるのです。
教員
の整理問題などにおいて、單に
教員
として不適当であるということで、何ら
理由
を明らかにしないで処分しておるという問題が多く起
つて
いるが、
教員
の側から
一つ一つ理由
を聞いてみても、いづれも否定され、ただ全体として見て
教員
として不適当であるというようなことを言
つて
いて、まことに
理由
が
はつ
きりしないのです。
辻田力
31
○
辻田政府委員
教育委員
も、
公務員
として、
職務
上知ることのできた
秘密
は、必要の最小限は守らなければならないのは当然でありまして、
秘密
の
範囲
については、
委員会
全体できめるべきことであります。
松本七郎
32
○
松本
(七)
委員
政府
では
思想彈圧
ではないと言うが、
思想彈圧
と考えざるを得ない
事件
が方々で起きている。この三十
二條
によ
つて
、
首切り
について
法的根拠
を与えたということになりはしないかと考えられるのです。
規定
があれば、それについての保障がなければならぬと思うが、これに対する
対策
はどうか、
政府
としての
基本的対策
を次官からお聞きしたい。
平島良一
33
○
平島政府委員
いかなる人でも、
公務員
として、その
秘密
を守るは当然と考えます。
松本七郎
34
○
松本
(七)
委員
私の聞いているのは、その点ではないので、三十
二條
が馘首の場合の
法的根拠
に濫用されるおそれがあるということです。各地で起
つて
いる
事態
を考えれば、今後この
條項
に便乗されるおそれがあるので、それについての
対策
はどうかというのです。
辻田力
35
○
辻田政府委員
御質問の点は、主として
人事
の問題と思います。退職させる場合には、
理由書
の
提出
によ
つて
再
審査
をするという
法的規定
もあるわけであります。
松本七郎
36
○
松本
(七)
委員
辞職勧告
をするのに、
理由
を明示しないでやるというのは、どう考えているのですか。
平島良一
37
○
平島政府委員
理由
を明示しないでやるということはあり得ないと思います。やはり勧告するには、それ相応の
理由
があると考えています。
松本七郎
38
○
松本
(七)
委員
現にそのような
事態
が起きているのであ
つて
、そんなことはあり得ないでは済まされないのです。
対策
はどう考えているのですか。
平島良一
39
○
平島政府委員
それを保護する
方法
、すなわち、
審査
を願い出ることのできる法規があります。
松本七郎
40
○
松本
(七)
委員
局長の場合は、
懲戒
についていわれたのであ
つて
、
辞職勧告
の場合はどうするのです。
理由
を明示しないで馘首されたときはどうなるのです。
平島良一
41
○
平島政府委員
そのときはそれに対する
事態
の処置をとります。
松本七郎
42
○
松本
(七)
委員
それでは、
資料
を提供すれば、
文部省
で
調査
する意と解してよろしいのですか。
平島良一
43
○
平島政府委員
さようです。
今野武雄
44
○
今野委員
この
法案
について
大臣
にお聞きしたいのですが、
出席
されていないので、その点は後にまわし、この
法案
の出されるに
至つた経過
についてお尋ねします。
教育委員側
の
東海北陸
の
代表
の言によると、ま
つた
く寝耳に水であると言
つて
いる。立案については、
教育長
に諮問したのみで、
委員会側
には何ら聞いたことがないようですが、これが通れば
教育長
の
権限
が非常に大きくなり、
委員
に手も足も出なくな
つて
しまうことになる。これをつく
つた経過
を御説明願いたい。
辻田力
45
○
辻田政府委員
この
法案作製
については、
教育委員
、
教育長
はもとより、知事その他の
間接関係者
にも聞いており、
研究
、
調査
を重ねてつく
つた
ものでありまして、
今野委員
の誤解ではないかと思います。
連絡協議会
の一箇年の成果より出てきた
意見
、また先般
大阪
において行われた
委員会連絡会
に
文部省
から行
つて
説明したそのときの
委員会側
の
意見
も織り込んであるわけです。
今野武雄
46
○
今野委員
人事
問題その他についても、
はつ
きりしていない。
辞職勧告
を受入れないことが、
懲戒免職
に値するかどうか。
文部省
に聞くと、それは
委員会
のことであるからわからないと言う。この
法案
についても、
委員会側
は
大阪
の
連絡会側
は知らなか
つた
と不満を持
つて
いるのです。
文部省
は
首切り
についても十分わか
つて
いるのですか。
辻田力
47
○
辻田政府委員
人事
については、
文部省
は干渉しないことにな
つて
おります。
今野武雄
48
○
今野委員
運営
について、
人事
は最も重要なことであるが、
教育長側
だけの
意見
が相当入
つて
いるのです。この点
調査
をしたかを聞いているのです。
辻田力
49
○
辻田政府委員
調査研究
はしておりますが、
教育長
と
委員
についての
人事
の話合いは知りません。
今野武雄
50
○
今野委員
教育委員会制度
については、世間にいろいろ
意見
がありますが、
町村
に
教育委員会
を設けるという積極的な
理由
は、どんなことですか。
辻田力
51
○
辻田政府委員
教育
の
民主化
、
地方分権
、
教育予算
の
確保等
の点、
教育行政
の
主体
を
国民
に最も近いところに持
つて
行くことが必要であると思うのです。
今野武雄
52
○
今野委員
国会法
及び
衆議院規則
により、当
委員会
において、
教育委員会
に関する事項を行うことにな
つて
いるが、この際二、三の
地方
に
調査団
を派遣してはどうですか。
原彪
53
○
原委員長
実際問題として、
会期
も迫
つて
おり、私
学校案
が付託せられているので、出張はできないと思います。
今野武雄
54
○
今野委員
地方行政委員会
で出張するという話ですが、それに
文部委員
が加わ
つた
らどうですか。
原彪
55
○
原委員長
その点は、
理事会
に諮
つて
きめたいと思います。
松本七郎
56
○
松本
(七)
委員
教育委員会法
の
目的
は、
教育
の
民主化
にあるわけですが、時に財政的な
裏づけ
が強くなる
理由
を
はつ
きりさせる
方法
はないのですか。そのような
裏づけ
がないから、
委員会
は
有名無実
な存在にな
つて
しまう。 次に、五十條の二について、
権限
の一部を
教育長
に譲らねばならぬとなると、実際的には
教育長
に牛耳られる結果になりはしないですか。
辻田力
57
○
辻田政府委員
財政的裏づけ
の問題は、まことにごもつともでありまして、鋭意
研究
中であります。たとえば
目的税
としての
教育税
、または、
予算
の中の
教育費
についてのパーセンテージをきめる等が考えられますが、
目下種々研究
中でございます。 五十條の二につきましては、
事務委任
の
臨時代理
の問題で、これは実際にはや
つて
いることでありますが、法制上の
根拠
なしにやるというのは不適当でありますから、このように
規定
したのです。こまかい
事務
については、
委員会
で行うことは困難なために
教育長
に委任させ、
教育調
はこれを広く委任することができるのでありまして、
教育長
の
権限
を強化し
委員会
を
嗣め
るという気は、毛頭ありません。
渡部義通
58
○
渡部委員
大臣
の
出席
を求めておいたのに、いまだに見えないがどうしたのですか。
原彪
59
○
原委員長
大臣
はただいま参議院の本
会議
に
出席
しておられるそうです。
小林信一
60
○
小林
(信)
委員
簡單に一つ聞きます。
改正案
の
提案説明
の第五の「円滑を失う」の具体的なもの、及び
教育長
の
職務
の
特殊性
についての効力の
見解
、
両者
の間を確にするの点をお聞きしたい。 〔
委員長離席
、
圓谷委員長代理着席
〕
辻田力
61
○
辻田政府委員
教育長
と
委員会
の
関係
を
研究
してみた結果、
両者
の
仕事
の
関係
を
はつ
きりさせて
事務効率
をよくさせたいと考えた次第です。五十條の三は、
教育長
の
職務内容
を明らかにしたのでありまして、
教育長
には
專門的
な人を必要とするので一項には專門家の必要を
うたつたの
であります。二項においては、
委員会
の
監督下
の
補助的執行機関
である点、三項においては、
事務
局長的な性格を明らかにしたのであります。
小林信一
62
○
小林
(信)
委員
しかし
教育委員会
の方が
專門的
な場合がありますよ。どうも
仕事
がしづらいから、
教育長
にさせるように聞えるのだが、この
見解
を
文部省
が持
つて
いるのが心配になるので、
教育長
の
職務
の
特殊性
について御説明願いたい。
辻田力
63
○
辻田政府委員
教育長
は積極的に
專門的
な
意見
、
資料
を提供することが必要で、單なる
補助執行機関
とは
違つた点
を持
つて
います。
小林信一
64
○
小林
(信)
委員
保健衛生
の面の
権限
について、ちよつと聞きます。各
学校
に特別な
教員
の
配置
をしなければならないが、
文部省
としてはその意思があるのですか、どうですか。
辻田力
65
○
辻田政府委員
保健衛生
の問題は、重要なこととして取上げております。
保健組織
については、特に
專門的
なものをぜひつくりたい、
養護教諭
、
保健婦
の
配置
もしたいと考えております。
渡部義通
66
○
渡部委員
大臣
が見えられたので、お聞きしたいが、時間もないので、あとで
大臣
が
出席
されるなら、この次にまわしてもいいのですが……
高瀬荘太郎
67
○
高瀬国務大臣
月曜日の十一時半ごろなら都合よいと思います。 〔
圓谷委員長代理退席
、
委員長着席
〕
渡部義通
68
○
渡部委員
学問の自由ということについて
文部省
の
意見
をお聞きしたい。それからこれは
委員長
にお願いしておきますがこの次の
委員会
に
人事院総裁
を呼んでいただきたい。
教員
の
人事
問題について聞きたいのです。
原彪
69
○
原委員長
それではさようにいたします。 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
70
○
原委員長
それではこれにて散会いたします。 午後零時五十四分散会