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1949-11-18 第6回国会 衆議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 原   彪君    理事 岡延右エ門君 理事 柏原 義則君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君    理事 稻葉  修君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       甲木  保君    佐藤 重遠君       千賀 康治君    高木  章君       渡部 義通君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         文部政務次官  平島 良一君         (大学学術局         長)         文部事務官   剱木 亨弘君         (調査普及局         長)         文部事務官   辻田  力君         (管理局長)         文部事務官   久保田藤麿君  委員外出席者         議     員 眞鍋  勝君         文部事務官   伊藤日出登君         文部事務官   森田  孝君         文部事務官   深見吉之助君        專  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 十月十七日  私立学校法案内閣提出第三八号) 同月十五日  教育職員免許法の一部改正に関する請願圓谷  光衞紹介)(第三六四号)  新制中学校建設費助成に関する請願川野芳滿  君紹介)(第三七六号)  教育予算増額並びに定員定額制廃止に関する請  願(鈴木善幸紹介)(第四〇〇号)  同(首藤新八君外六名紹介)(第四〇一号)  同(吉川久衛紹介)(第四〇八号)  同(吉田吉太郎紹介)(第四一一号)  同(原健三郎紹介)(第四一二号) 同月十七日  教育予算増額並びに定員定額制廃止に関する請  願(吉川久衛紹介)(第四一五号)  同外一件(青柳一郎紹介)(第四一六号)  同外三十四件(受田新吉紹介)(第四一七  号)  同(田島ひで君外二名紹介)(第四一八号)  同(土倉宗明君外五名紹介)(第四八五号)  同外三件(鈴木善幸紹介)(第四八六号)  同外三件(周東英雄紹介)(第四八七号)  同(佐藤榮作紹介)(第四八八号)  同(田中織之進君紹介)(第四八九号)  同(長野長廣君外一名紹介)(第四九〇号)  同(高木松吉紹介)(第四九一号)  同(首藤進八君紹介)(第五五八号)  同(寺島隆太郎紹介)(第五六一号)  同(澁谷雄太郎紹介)(第五六二号)  同(村上勇紹介)(第五六三号)  同(水田三喜男紹介)(第五六四号)  同(山本猛夫紹介)(第五六五号)  同外二件(青柳一郎紹介)(第五六六号)  同(吉武惠市君紹介)(第五六七号)  同(田中堯平君外二名紹介)(第五六八号)  同(山崎猛君外九名紹介)(第五六九号)  同外二件(青柳一郎紹介)(第六五九号)  同(今野武雄君外一名紹介)(第六六〇号)  同(渡部義通君外一名紹介)(第六六一号)  同(田中堯平君外一名紹介)(第六六二号)  同(玉井祐吉君外七名紹介)(第六八六号)  同(菅家喜六紹介)(第六八七号)  同外一件(渡部義通君外一名紹介)(第六八八  号)  同外一件(今野武雄君外一名紹介)(第六八九  号)  同(竹尾弌君紹介)(第七一四号)  同外九件(金光義邦君外六名紹介)(第七一五  号)  同(青柳一郎紹介)(第七二九号)  同(風早八十二君外二名紹介)(第七三一号)  同外一件(上村進君外二名紹介)(第七三二  号)  同外一件(今野武雄君外一名紹介)(第七三三  号)  同外一件(渡部義通君外一名紹介)(第七三四  号)  同(池田峯雄君外二名紹介)(第七三五号)  同(加藤充紹介)(第七三六号)  同(江崎一治君外二名紹介)(第七三七号)  同(田代文久君外二名紹介)(第七三八号)  同(伊藤憲一君外二名紹介)(第七三九号)  同(井之口政雄君外二名紹介)(第七四〇号)  同(河田賢治君外二名紹介)(第七四一号)  同(砂間一良君外一名紹介)(第七四二号)  同(聽濤克巳君外三名紹介)(第七四三号)  同(田島ひで君外二名紹介)(第七四四号)  同(志賀義雄君外二名紹介)(第七四五号)  同(林百郎君外三名紹介)(第七四六号)  同(米原昶紹介)(第七四八号)  同(西村英一紹介)(第七四九号)  同(平川篤雄紹介)(第七五〇号)  同(吉武惠市君紹介)(第七五一号)  同外十五件(坂本眞紹介)(第七五二号)  同(竹尾弌君外一名紹介)(第七五三号)  同(澁谷雄太郎紹介)(第七八三号)  同(河原伊三郎紹介)(第七八四号)  同(坂本泰良紹介)(第七八五号)  同(松尾トシ子紹介)(第七八六号)  同(井出一太郎紹介)(第七八七号)  同(廣川弘禪君紹介)(第八六四号)  同外十三件(佐藤榮作紹介)(第八六五号)  同(受田新吉紹介)(第八六六号)  同外三件(今野武雄君外一名紹介)(第八六七  号)  同外五件(渡部義通君外一名紹介)(第八六八  号)  同(米原昶君外一名紹介)(第八六九号)  同(井之口政雄君外二名紹介)(第八七〇号)  同(伊藤憲一君外二名紹介)(第八七一号)  同(江崎一治君外二名紹介)(第八七二号)  同(加藤充君外二名紹介)(第八七三号)  同(横田甚太郎君外二名紹介)(第八七四号)  同外一件(若林義孝君外四名紹介)(第八七五  号)  同(犬養健君外一名紹介)(第八七六号)  同(中原健次紹介)(第八七七号)  科学研究費増額請願長野長廣君外五名紹  介)(第四七四号)  新制中学校建設費助成に関する請願江崎真澄  君紹介)(第五一一号)  税制改革に伴う教育費措置に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第五四一号)  阿伏兎観音大悲閣保存に関する請願高橋等君  外一名紹介)(第六〇一号)  新制中学校建設費全額国庫負担請願山本猛  夫君紹介)(第六一八号)  実業教育費国庫補助復活請願長野長廣君外  一名紹介)(第六一九号)  東京大学農学部演習林荒廃地復旧に関する請  願(江崎真澄紹介)(第六四九号)  国立大学夜間課程開設請願福井勇君紹  介)(第七〇四号)  国宝月輪寺薬師堂保存に関する請願青柳一郎  君外一名紹介)(第七五九号)  神埼神社国宝に指定並びに保存経費国庫補助  の請願稻田直道紹介)(第八四二号) の審査を本委員会に付託された。 同日  姫路城の修理促進等に関する陳情書  (第  一七四号)  教員定員定額に関する陳情書  (第一八九号)  教育予算増額陳情書外七十一件  (第一九二号)  教員定員定額に関する陳情書  (第一九五号)  教育予算増額陳情書(  第二三〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国立学校設置法の一部を改正する等の法律案(  内閣提出第二〇号)  教育委員会法の一部を改正する法律案内閣提  出第三〇号)  私立学校法案内閣提出第三八号)     ―――――――――――――
  2. 原彪

    原委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する等の法律案に関し、運輸委員会より連合審査会撤回の申出がありましたので、本委員会といたしましても、連合審査会をとりやめにいたすに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原彪

    原委員長 ではさよう決定いたしました。  次に前回に引続き、国立学校設置法の一部を改正する等の法律案質疑を継続いたします。  他に御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから、これにて質疑は終了いたしたいと存じまするが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原彪

    原委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。  国立学校設置法の一部を改正する等の法律案議題とし、討論に付します。今野武雄君。
  5. 今野武雄

    今野委員 第五国会において国立学校設置法が上程されました際、私はこの法案は現在の日本教育文化を崩壊させるものである、こういうような見地から反対したのでございますが、今回この改正案が出されましたのを見まするに、やはりあの時の法案不備であつたという点が、はつきりと現われておるわけでございます。そして特に定員の減少が、あちらこちらの学校に盛られておる。その内容など見ましても、文部当局では雇員または傭人であるというように申しておりまするが、しかしながら、これによつてやはり実際問題として、学校における首切りが行われるということにもなるわけでございまして、そういうような点から申しましても、この改正案に対しては、私どもとして反対せざるを得ないわけでございます。  以上簡単でございますが、反対理由を申し上げます。
  6. 原彪

  7. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 民主自由党を代表いたしまして、本法案に対し、賛成の意を表せんとするものであります。  私はさきに、この学校の設立にかんがみまして、文部省と運輸省とが密接な連繋をとつて、要するにセクショナリズムに陥ることなく協調してやつていただきたい、それに対しては何らか具体的処置を講じていただきたいということを、注文いたしておいたのでありますが、幸いに文部大臣運輸大臣におきましては、私のこの意向を了とせられまして、覚書を作成交換せられたようであります。その覚書内容は、文部大臣運輸大臣商船大学文部省に移管せられた後においても船員教育審議会を通ずる等、協力して、その運営に遺憾なきを期する。昭和二十四年十一月十七日、文部大臣高瀬荘太郎運輸大臣大屋晋三、こういう覚書をつくられたようであります。でありますから、この覚書精神にのつとりまして、相協力して今後この運営に遺憾なきを期せられたいということが一点と、もう一つは、船員教育が国家の再建においてきわめて重要であり、かつまた船腹等が増加することによつて一つ大学のみではその教育目的を期しがたいという意味において、できるだけすみやかにもう一つ商船大学を増設してもらいたい、その場合神戸海技専門学院施設を生かしてもらいたいということを要望したのでありますが、これに対しても、文部省としてはその要望に応じたいというような御意向のようでありますから、その点も十分考慮していただくといたしまして、私はこの法案に対して全面的に賛成の意を表するものであります。
  8. 原彪

  9. 松本七郎

    松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、二、三の要望を付して国立学校設置法の一部を改正する等の法律案賛成の意見を述べるものであります。  新しく新制大学をつくつて行くということが、日本の基本的な文教政策一つになつておりますから、新制大学ができましてから、その内容その他について非常な不備、あるいは欠陥があるということは認めなければなりません。しかしこれを今後よくして行くということとは別に、新制大学で行くということは既定の方針であります。そのうち特に海運に関する学校については、長い間商船大学設置要望が強かつたわけであります。  わが国の海運は、日本帝国海軍従属物のように考えられておりましたし、また事実そうであつた。戦争中のあの商船学校教育内容を見ますと、まつたくただ海軍体操をやつたり軍事教練をやるという面ばかり強くて、技術は低下する一方であつたのであります。それだけに今後の日本海運重要性にかんがみまして、この新しくできる商船大学というものの内容学校運営等については、われわれ重大な関心を持つております。  そこで先ほど岡委員からもご指摘になりましたように、海技専門学院をこれに含めるということが、従来考えられておつたようですが、質疑で明らかになりましたように、文部省としては、これを別個の大学として、関西一つなるべく近い将来に商船大学をつくりたいという御方針のように承りました。ただわれわれが問いただしましたところによりますと、そういうご希望だけであつて、まだ何ら具体的な方針は立つておらないようであります。従つてこの点については、すみやかに具体的な方針を立てられて、一刻も早く関西商船大学を別個につくられるということをひとつ要望しておく次第であります。  また全国にあります五つの商船学校、これがいまだに高等学校にならずに旧来のまま残つておる。これをすみやかに高等学校にするということについては、なおいろいろな方面との折衝が残されておるようでありますから、この点すみやかな解決をされんことを要望いたします。  それから定員の問題は、これはどうしても改善に努力していただかなければならない点であると思います。  そういう重要な点はありますけれども、何分にも新制大学としてやらなければならぬということは、動かすことができませんので、以上の諸点を強く要望いたしまして、社会党賛成するものであります。
  10. 原彪

    原委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。国立学校設置法の一部を改正する等の法律案に対し、賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 原彪

    原委員長 起立多数。よつて政府原案は可決せられました。  なお報告及び報告書に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  なお一言委員長よりつけ加えたいことがあるのでありまするが、昨日運輸委員会におきまして、文部委員会との合同審査をしない場合に、運輸委員会希望としまして、適当なる機会に神戸商船大学設置せられたしという、運輸委員会希望がございましたので、つけ加えておきたいと存じます。     —————————————
  12. 原彪

    原委員長 次に教育委員会法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案は去る十四日本委員会に付託せられました。これより政府提案理由の説明を求めます。文部大臣
  13. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 昨年七月十五日に公布施行されました教育委員会法の一部を改正する法律案を、このたび国会に提出いたしましたのにつきまして、その提案理由改正要点を御説明いたしたいと思います。  第一は、市町村に設けられる教育委員会設置の時期についてであります。これにつきましては、去る第五国会において、中央、地方財政状態その他の事情にかんがみまして、その設置昭和二十五年度または昭和二十七年度とするよう法律改正が行われたのでありますが、このたび町村地域に設けられる教育委員会はすべて昭和二十七年度に、市に設けられるものは昭和二十五年度または昭和二十七年度に設置することといたしました。  その理由は、町村地域に設けられるべき教育委員会については、その地域的規模委員会組織権限等につき、なお調査研究を要する問題が非常に多くあります関係上、これらについて十分検討するため、二十七年度までその設置を延期することとし、二十五年度には市についてのみ教育委員会設置し得るよう措置いたしましたことに基くものであります。  第二は、委員選挙に関する規定改正であります。これにつきましては、教育委員会委員選挙をも含める選挙制度全般改正も考慮されているのでありますが、今般は、とりあえず二十五年度の選挙を控え、昨年の経験にかんがみ最小限度改正を行うことにいたしました。すなわち委員候補者連署推薦人を六十人以上百人以下とその人数に制限を加えたこと、及び選挙運動については、都道府県及び五大市にあつて都道府県知事の、その他の市及び町村にあつて市町村議会議員選挙運動に関する規定をそれぞれ準用し、いわゆる選挙運動における公営範囲五大市までにいたしたのであります。  第三は、委員服務などについてであります。現行法には、委員服務などについては、規定を欠いておりますが、教育委員会委員職責重大性にかんがみまして、新しく規定を設けることといたしました。  第四は、教育委員会職務権限についてであります。これにつきましては、現在すでに実質的に教育委員会権限として行われている事柄、あるいは地方公共団体議会及び長との関係において、権限所在が必ずしも明確でない事柄等について、必要な規定を設け、もつて教育委員会運営に遺憾なきを期したのであります。すなわち一、教育委員会学校その他の教育機関建築営繕の実施の責任を有すること。二、学校その他の教育機関の使用にかかる財産の取得、管理及び処分に関する権限を明らかにすること。三、学校保健計画に関する権限を明らかにすること。四、教育事務に関する收入命令権地方公共団体の長から教育委員会委任し得ること。五、教育事務に関し議会議決を経るべきものについては、すべて議案の原案教育委員会の発案にかかわらしめることを常例とすること。六、都道府県教育委員会権限として、学校給食文化財保存及び教育に関する法人についての事務を明らかにすることなどであります。  第五は、教育委員会教育長との関係についてであります。現行法上、両者関係につきましては、明確を欠く点もあり、実際運営上にも、ややともすれば円滑を失ううらみもありましたので、教育委員会専門的助言者であり、かつその事務執行の衝に当る教育長職務特殊性を明らかにし、両者の本来の機能を明確にいたした次第であります。  以上改正主要点につきまして、その内容及び理由を概略御説明いたしましたが、今回の改正は、條文の一部改正行つたもの十六箇條追加または新たに設けられたもの十一箇條、削除ないし全文改正をしたもの十一箇條合計三十八箇條にわたつております。  何とぞ慎重御審議の上御決議くださるようお願いいたします。
  14. 辻田力

    辻田政府委員 ただいま高瀬大臣から、教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容大綫について説明されましたが、私から改正要点とその理由の詳細について御説明申し上げたいと存じます。  まず教育委員会委員選挙に関する規定につきまして、若干の改正をいたしました。すなわち第八條第二項の但書の追加は、委員任期満了前に通常選挙が行われた場合の、新任委員任期の起算について補正したものであり、第十五條選挙人名簿に関する規定でありますが、現行規定では表現上から多少疑問がありますので、これを明確にいたした次第であります。第十六條の連署推薦人の数につきましては、現在六十人以上とのみ規定され無制限であるため、署名運動が、時として事前の選挙運動に利用される弊がありますので、その数を百人以下と制限いたしました。第二十七條では、委員選挙選挙運動については、都道府県五大市にあつては、都道府県知事選挙選挙運動に関する規定を、その他の市及び町村にあつては、市町村議会議員選挙運動に関する規定を準用し、いわゆる選挙運動における公営範囲五大市までにいたしたのであります。第二十八條では、委員選挙に関しては、單に地方自治法規定するものにとどまらず、地方公共団体議会議員選挙に関するすべての規定を広く準用し得ることを明らかにいたした次第であります。  なお委員選挙規定全体につきましては、選挙制度及び選挙法規全般改正が別途に考慮されておりますので、それらと調整をはかつて別に取り上げることが適当と考えましたので、このたびはとりあえず昨年の選挙経験にかんがみて、必要最小限度改正を行うこととしたのであります。  次に第二十九條の委員解職に関しましては、一般選挙による委員と、議会議員のうちから選ぶ委員とは、その選任の方法が異なるので、解職方法も異なるのが至当と考えまして、後者につきましては、選挙管理委員公安委員等の例にならい、住民の解職請求に基き、議会議決で決定することに改めました。  第三十二條現行規定では、委員服務等につきましては、いわゆる地方公務員法規定されることが予定されておりましたところ、その後教育委員会委員等については、何ら触れるところがない模様でありますので、本法において委員職責重要性にかんがみ、積極的に服務に関する基本精神をうたうことにいたし、第三十二條改正及び第三十二條の二の規定追加することとした次第であります。  次に第二章第二節の教育委員会会議規定として、新たに第三十九條の二を加え、従来慣行的に作成されている会議録法的根拠を與え、もつて委員会意思決定に至る経過を公的に記録し、かつ争訟その他の場合の公的証拠を明確にすることといたしたのであります。  次に第二章第三節教育長事務局の項では、本節を第二章全体の構想である教育委員会組織に関する規定に整理することが適当と考え、教育長及び指導主事職務権限規定する第四十二條及び第四十六條の規定本節から削り、新たに第三章に第五十條の三及び第五十條の四として新設いたしました。第四十四條第一項では(会計及び土木建築に関する部課を除く。)という括弧の規定を削除いたしました。これは土木建築に関する部課を置かないという規定は、第四十九條の第八号及び第九号の現行規定とあわせ読んで、教育委員会学校建築及び営繕に関する権限を有しないかとの誤解を招くおそれがありますので、第四十九條第八号及び第九号の規定改正とあわせて、削除することといたしました。会計に関する部課につきましても、教育委員会予算執行権を有しておりますし、かつこのたび新たに第六十條第二項の規定追加によりまして、收入命令権委任をも受け得ることになりますので、会計部課設置を積極的に否定することは、不適当と考えた次第であります。第四十五條及び第四十七條改正では、他の規定との関係職員の名称をかえる等の措置をいたしたのみであります。  次に第三章教育委員会職務権限の項につきましては、規定追加改廃を数箇所にわたつて行いましたが、これらは現在すでに実質的に教育委員会権限として行つている事務や、あるいは地方公共団体議会及び長との関係において権限所在が必ずしも明確でない事柄等について必要な規定を補いまして、もつて教育委員会運営に遺憾なきを期したのであります。  まず第四九條につきましては、第四條の教育委員員包括的権限との関係を明らかにし、かつ列挙事項が例示的なものであることを示すようにいたしました。第二号では教育財産について教育委員会管理権を有する旨を明らかにし、第八号及び第九号では、先に触れました第四十四條の改正とあわせて改め、新たに第十六号、第十七号、第十八号として、学校保健に関する一連の規定を設けました。これは第五十條の改正第五号及び第五十四條の二の新設規定と相関連するものでありますが、心身ともに健康な学徒の育成という教育目的達成の上からも、かつは社会全般における公衆衛生公衆保健促進、充実との関連の上からも、学校保健について特にその重要性を強調し、教育行政の衝に当る教育委員会に、これに関する権限を明らかに附與することが必要と考えた次第であります。  第五十條については、第五号として学校給食の企画及び学校給食用配給物資管理を、第六号として文化財保存行政を、第七号として教育に関する法人事務都道府県教育委員会権限として規定いたしました、第五十條の二では新たに教育員会教育長その他の職員事務委任をなし得ることを定めまして、現在実際行われている慣行に法的根拠を與えることといたしました。  第五十條の三では教育長職務権限を敷衍して、教育長教育委員会専門的補助者であること、一般的な補助執行者であること、及び事務局の長であること等の立場から、職務権限を明確化した次第であります。  第五十四條の二では、さきにも申し述べましたように、学校保健重要性と保健所という専門的施設機能との協力関係を明らかにし、第五十八條の二では追加更正予算等編成措置を、第六十條第二項では教育委員会收入命令権につき規定を補足して、それぞれ実情に適したものとした次第であります。第六十一條、第六十二條改正及び第六十三條の二、第六十三條の三の規定追加では、議会議決を経るべき事件については議案の原案をすべて教育委員会の発案によらしめることを常例とし、かつ議案提出の促進を図り、もつて教育委員会権限を明確強固ならしめる一連の措置を定めた次第であります。第六十三條の四では、学校その他教育機関の廃止に伴う財産措置についての規定を補い、現在とかく円滑を欠くうらみのあるこの問題を明確にいたした次第であります。  第六十六條、第六十七條及び第六十八條では、教育員会の所管に属する学校その他の教育機関職員教育長教育委員会事務局職員等の設置、任命、給與、その他身分取扱に関する規定を一括まとめて調整して規定いたした次第であります。  第七十條第一項の改正は、いわゆる地方委員会設置の時期を改めたのでありまして、町村地域に設けられるものについては、将来町村を越えた広域單位を構想しておりますが、これについてはなお十分調査をいたすべき問題がたくさんありますので、その構想の決定をまつて実施するため、昭和二十七年度に延期した次第であります。  第八十條及び第八十二條規定は、実施当時の経過規定であるため、これを削除し、第八十一條は職員の身分取扱いに関する経過措置を、第八十四條は学校事務職員の恩給法の準用範囲を、それぞれ一部改正いたしました。第八十八條では地方委員会の成立について、五大市教育委員会の成立に関する規定を準用する場合を詳細、具体的にいたしたのであります。  最後に附則において第二項では文化財保存行政が、都道府県教育委員会事務とされたために、史蹟名勝天然記念物保存法の一部改正を、第三項では、学校事務職員と並んで技術職員を置くことを第六十六條に規定いたしましたので、その関連におきまして、学校教育法中所要の改正をいたしたのであります。  以上、教育委員会法の一部を改正する法律案につきましてその改正要点理由を概略御説明申し上げた次第であります。     —————————————
  15. 原彪

    原委員長 次に私立学校法案議題といたします。本法案は去る十七日本委員会に付託された法案であります。これより政府提案理由の説明を求めます。高瀬文部大臣
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいま上程になりました私立学校法案について、大要御説明申し上げます。  私立学校は、その数において、新制高等学校以上の学校の半数以上を占めているのみならず、その特有な学風及び伝統をもつて、わが国の学校教育に貢献をしたことは、まことに大なるものがあるのであります。この点にかんがみますとき、私立学校教育を振興するということは、わが国の教育全般の振興をはかる上からもゆるがせにすることのできない重要問題でありまして、ただいま私立学校法案を上程いたしました理由も、一にここにあるのであります。  以上の趣旨によりまして、私立学校に関する教育行政について、私立学校の特性を尊重した特別な立法の必要なことは、つとに認められていたところであり、また、特に、昨年の教育委員会法の施行以来、私立高等学校以下の教育行政について、緊急に、特別の措置を講ずる必要のあることも広く認められていたところであります。また、私立学校設置する法人につきましても、これを特別法人として、民法による財団法人以上に教育的な、また、基礎の強固なものとすることが必要であります。このことにつきましては、教育刷新審議会建築もあり、学校教育法におきましても、私立学校設置する法人について、別に法律が制定されることを予想しているのであります。ここに、政府といたしましては、私立学校法案に関する教育刷新審議会の建議の線に沿い、また、私立学校代表者との一年有余にわたる研究の結果、成案を得て、取急ぎ本臨時国会に上程した次第であります。  さて、本法案目的とするところは、その第一條に明らかにされておりますように、まず、私立学校の自主性を高めるということであります。しかしながら、私立学校学校教育法に定める学校として、教育基本法のいわゆる「公の性質」を有するものでありまして、設置者がほしいままに経営すべきものではないのであります。このため私立学校については、その自主性を尊重するとともに、あわせてその公共性を高めることが必要とされるのであります。  この目的を達成するため本法案におきましては、まず私立学校の自主性を重んずるという点から、私立学校に対する監督事項を整理するとともに、所轄庁がこの監督事項を処理する場合にも、主として私立学校の代表者から構成される私立学校議会または私立大学議会に諮問することといたしました。なお、私立学校議会及び私立大学議会委員のうち、私立学校側から任命される者につきましては、その候補者を、私立学校によつて自主的に結成された団体が推薦する方法をとることといたいしまして、自主性尊重の目的をさらに徹底させたのであります。  他方、私立学校の公共性を高めるという趣旨は、主として学校法人に関する規定のうちに盛られております。すなわち、私立学校設置する法人学校法人という特別法人といたしまして、民法による財団法人よりも、さらに教育的に運営できるようにし、また、学校法人の財的基礎を強固にする一助として、教育上支障のない限り、收益事業を行うことを認める等の特別な規定を設けたのであります。  さらに、私立学校に対して、国または地方公共団体が補助、貸付等の助成を行い得ることを明らかにいたしました。これは、多くの私立学校が戦災による被害に加えて、最近の経済的困難によつて、深刻に苦しんでいるという当面の理由から、特に必要であるのみならず、わが国の学校教育の振興という点からも、私立学校の助成がきわめて必要と考えられるからであります。これについては、従来憲法第八十九條の解釈をめぐつて、疑問があつたのでありますが、本法案におきましては、私立学校は諸種の点において「公の支配」に属する教育の事業であるという見解のもとに、助成に関する若干の必要規定を新たに設けて、学校法人に対して、国または地方公共団体が補助、貸付等の助成を行い得ることを明らかにしたのであります。  本法案提出の理由及びその大綱は、以上に述べたところでありますが、なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに議決くださるようお願いいたします。
  17. 原彪

    原委員長 久保田政府委員
  18. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 ただいま上程になりました私立学校法案につきまして、大要御説明したします。  本法案目的とするところは、その第一條において明らかであります。すなわち、私立学校は、国公立学校と異なつて、私人の経営にかかるものでありまして、その独自な学風を自由に発展させるということが第一に必要であります。このためには、その自主性を尊重するということが、まず必要とされるわけであります。しかしながら、私立学校といえども、学校教育法に定める学校として、教育基本法第六條にいう「公の性質」を有するものでありまして、設置者のほしいままな経営は、認めがたいところであります。このため、私立学校については、その自主性を重んずることと、あわせてその公共性を高めることが必要とされるのであります。本法案内容も、従つて、私立学校の自主性を重んじ、また、公共性を高めるという二つの眼目を骨子とした規定からなるのでありまして、「自主性」については主として「第二章私立学校に関する教育行政」に、「公共性」については、主として「第三章学校法人」にその内容が盛り込まれているのであります。  第二章「私立学校に関する教育行政」におきましては、まず第一に、私立学校に対する所轄庁の監督事項を整理いたしまして、私立学校設置廃止及び設置者の変更の認可、私立学校の閉鎖命令等に、監督事項を限定したのであります。さらに従来文部省令で定められていた認可事項を整理し、将来私立学校に対する監督事項が、原則として法律事項である趣旨を明らかにいたしました。さらに所轄庁が、右の監督事項を処理する場合にも、主として私立学校の代表者から構成される私立学校議会または私立大学議会の意見を聞かなければらないことといたしました。私立学校議会及び私立大学議会は、それぞれ都道府県知事または文部大臣の私立学校教育行政に関する諮問機関として設置されるものでありまして、委員のうち、四分の一以内が一般の学識経験者で占められるほかは、すべて私立学校の代表者で占められるのであります。さらにこの私立学校代表の委員を任命する場合にも、都道府県知事または文部大臣は、自主的に組織された私立学校の団体の推薦する委員候補者について任命を行うこととし、一段と私立学校の自主性を尊重することといたしました。  なお教育委員会法第四條第二項において、私立学校は原則として教育委員会の所管に属しないことになつているので、私立高等学校以下の学校の所轄庁が、従来通り都道府県知事であることを明確にいたしました。  第三章は、学校法人に関する規定であります。従来、私立学校設置主体は、原則として、民法の規定による財団法人でなければならなかつたのでありますが、民法の規定は、学校設置する法人に関する規定としては、なお不十分であると考えられましたので、私立学校設置する法人を、学校法人という特別法人といたしたのであります。ただ学校法人は、特別法人とはいうものの、財団法人的色彩の濃いものであることは、法案について御了解いただきたいと思います。学校法人が、財団法人と異なる点は少くありませんが、まず第一に、従来の財団法人に関する基本財産及びその供託に関する規定は、実情に即しないものがありますので、これを掲げず、單にその設置する私立学校に必要な施設及び設備並びに私立学校の経営に必要な財産学校法人が有しなければならないことを明らかにしました。  第二に、学校教育に支障のない限り、收益を学校の経営に充てる目的をもつて、收益事業を行うことを認めました。これは、学校法人の財的基礎を強化する一助としたいという趣旨からであります。けれども、この趣旨を逸脱して收益事業を行つた場合には、その事業の停止を命ずることができるようにいたしました。  第三に、破産及び合併の場合を除いて、解散した学校法人の残余財産の帰属者を、他の学校法人その他教育の事業を行う者に限定いたしました。これは、学校法人の資産は、本来私立学校教育のためにささげられたものあり、また、その一部は卒業生、父兄の協力、国または地方公共団体の助成等によるものでありますので、解散した場合にも、公共的見地から、これを元の寄付者に帰属させるといつたことを認めず、他の学校法人その他教育の事業を行う者に帰属させることとしたのであります。なお、以上の方法によつて処分されない財産が国庫に帰属することは、民法と同様でありますが、国はその財産を私立学校教育助成のために用いなければならないこととしたのであります。  第四に、設立の認可、寄付行為の補充、助成の停止、收益事業の停止命令及び解散命令については、私立学校議会または私立大学議会の意見を聞き、または関係者に弁明の機会を與えることといたしました。  第五に、役員の定数を、理事五人以上、監事二人以上と法定し、またこれらの役員の選任については、校長を必ず理事とし、役員が特定の同族によつて占められることを禁じ、また少数理事の專断によつて経営される等の弊害を改めて、学校法人の自治的な方法による公共性の高揚をはかりました。  第六に、各学校法人に評議員会を置くことといたし、予算、借入金、寄付行為の変更等学校法人の業務に関する重要事項については、理事長において評議員の意見を聞かなければならないこととし、さらにまたこの評議員会には、教員学校法人職員、卒業生等を含めることとして、学校法人運営に広い範囲の意見を反映させるようにいたしました。これらの諸規定も、自治的方法によつて学校法人の公共性を高めようとしたことによるものであります。  第七に、学校法人の合併について規定いたしました。従来財団法人につきましては、合併が認められていなかつたため、種々の不便があつたのでありますが、本法案学校法人の合併を認めることにより、その解決をはかつたのであります。  第八に、学校法人に対して補助、貸付等の助成を行い得ることを明文化いたしました。この点については、従来憲法第八十九條との関係上、疑問のあつたところでありますが、本法案においては、私立学校及び学校法人が諸種の点において「公の支配」に属するものであるという見解のもとに立案したのであります。さらに助成を受けた学校法人に対する予算の変更及び役員の解職の勧告等、憲法との関係上必要とされる規定を設けたのであります。  第九に、法令の規定に違反した場合などにおいて、学校法人の解散を命じ得ることといたしましたが、この場合においても、私立学校議会または私立大学議会の意見を聞くこととし、さらにその学校法人関係者に弁明の機会を與えることといたしました。  第十に、注意すべき問題は、学校法人に対する免税の問題についてであります。私立学校に対する免税問題については、シヤウプ使節団の報告書において、一応の解決を得たものと信じておりますが、地方税においては、地租、家屋税は、従来通り免除され、事業税は、收益事業に関する部分を除き免除され、住民税及び学校の主催する催しものなどに対する入場税は全免され、国税においては、相続税及び贈與税は免除され、法人税及び所得税については、免税証明書の制度によつて免除されることが勧告されております。しかしながら、この勧告に対する措置については、現在関係省庁において検討中で、いまだ実施の段階には至つておりません。そこで、本法案では現行税法の範囲内で、学校法人に対して法人税、所得税、登録税及び事業税について免税いたすこととしたのであります。なお学校法人に対して地租及び家屋税が免除される点については、従来通りであります。  最後に附則におきましては、現在私立学校設置している財団法人が、一年以内に組織変更をして学校法人になることができることを規定いたし、それに関する必要規定を設けました。このほか本法の施行に関し必要な経過規定を設けるとともに、関係法律の一部改正行つたのであります。  以上のほか法案の詳細については、別に御説明申し上げますが、大綱以上の通りでありますから、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに議決くださるようお願いいたします。
  19. 原彪

    原委員長 これより教育委員会法の一部を改正する法律案審査に入ります。  質疑は明日に延期することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 原彪

    原委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  21. 原彪

    原委員長 なお文部大臣に対する一般教育行政について質疑の通告がありますので、これを許します。今野武雄君。
  22. 今野武雄

    今野委員 私は現在の教育文化における最も重要な問題について、お伺いしたいのでありますが、時間の関係もありますので、そのうちの一つ、すなわち先ごろ本会議において緊急質問をいたそうとして、運営委員会の議を通し、時間の関係上できなかつた問題について、質問いたいしたいと考えております。  その要旨は、この夏以来、しきりに大学教授あるいは一般の教職員の馘首が行われておるわけでございますが、その馘首は、たとえば定員法の関係とかいうような種類のものではなくして、明らかに思想弾圧、政治的な弾圧というような色彩を帯びておるものでありまして、従つてその理由も明確に示されない場合が多く、またそのやり方も非常に苛酷である場合が多いのであります。私が調べました一つの例を申し上げまするならば、たとえば東京水産大学の経済学の教授をやつておる庄司という人が首切られた例でありますが、この場合には学長の松生義勝氏は庄司君と自分とが教育上の意見を異にするということで、馘首をしておるのでございます。ところが、その学長の教育上の意見というものが何であるかということを、だんだん追求して参ります途中において、松生氏が、かつて昭和八年に在外研究員としてドイツに留学していたころの、あちらからの書簡を雑誌に寄せておられる、そういうものが手に入つたわけであります。それによりますと、こういうふうに書いてあるのであります。「最近のドイツは何といつてもヒトラーの天下になつて、人心が統一されて来ました。元来りくつの多いドイツ人が三十有余の党派にわかれてがやがやさわいでいたばかりなのが、すつかりまとめられたのです。若い連中の気魄も目ざめて来たようです。祖国愛によみがえり、ぼんやりしておれぬぞと元気になりました。焚書もその意義の現われです。ベルリン図書館も二百万の本があります。その中にマルキシスト及び性欲に関する本二万部ほど焼き捨てた、ただそれだけです。文化の逆行だなんて日本の文士達がさわいで抗議を申し込んだと聞いて、私はふき出しました。ナチだつて、そんなばかではありません。神田の古本屋からお安く買つた売れ残りの本を集めて来ても、二万や三万はすぐ出ようと思います。」云々というような調子であります。明らかにナチスを礼讃し、焚書を礼讃するような書簡を寄せておるのであります。そこで私は松生氏に対して、今でもこういうような考え方に変わりはないかと申しましたところ、これは私の性質から出て来ておることであります、こういうふうに申しておるのであります。そういうふうな学長と教育上の意見が合わないということは、民主主義的な教育理念と持つ教員として当然のことであります。こういうような場合には明らかに反民主的な思想弾圧であると断ぜざるを得ないわけでございます。  また小、中学校の例で申しますると、たとえば京都市などの場合には、最近に大量の馘首が行われたのでありますが、その理由とするところは、たとえば、二年前に組合運動のために学校をあけることが多かつたというようなことを、言つておるのであります。ところが、そのころはご承知でもありましようが、組合の専従者といつたようなものがはつきりしない、そうして市当局や校長の了解を得て、そういうような運動をやつていた。そういう二年前の事柄を引出して、そしてそれを馘首の理由にしておる。その大部分は組合運動を熱心にやつている連中であります。しかもその馘首に際しましては、非常に苛酷な條件でありまして、二十四時間以内に辞表を出せ、そうすれば依願免官ということでやつてやるけれども、もし二十四時間以内に辞表を出さない場合は懲戒免職にする、そういうことで数名の者が懲戒免職になつたのであります。何ゆえに二十四時間という時間の間に依願免職が懲戒免職になるのか、このこともまことに解しがたいことであります。これは実に馘首が苛酷に行われておるという実例の一つであります。  その他先ごろ日教組の大会の代表が本院に参りまして、各党に面会した際に聞き及んだところによりましても、たとえば、富山などは何にも理由を示さない、こちらからいろいろ理由を聞くと、一々それでもない、それでもないと言つて、ただ総合的に教員として不適格である、こういうようなことを申しておるのであります。しかもこれらはいずれも定員定額関係とかいうものではなくして、教員として不適格であるというようなことでやつておるのであります。こういうようなことが現在だんだんと進行しており、教育界においては、非常に大きな不安のあらしが巻き起つておるのでございますが、一方において九月十七日人事院規則といつたようなものが制定されまして、公務員の政治活動を非常に広汎にわたつて禁止するということが行われたことは、御承知の通りでございます。そしてその公務員の中に、国立学校教員も含まれるというようなことになつたのでありまするが、この問題につきましては、さつきのような断圧が行われておる際でもございまするので、非常に大きなセンセーシヨンを巻き起した。そして大学教授連合では十月五日、日本学術会議では十月六日に、それぞれそのやり方が不当であるという意味の声明を発しております。そうして翌十月七日の参議院の文部委員会において、文部大臣は、大体この日本学術会議なんかの声明には賛成であるという言明をなされておるわけでございます。こういうような点について、文部大臣は一体どういうふうにお考えになるか。先ほどの具体的な実例、あるいは人事院規則に対する各方面の意見に対して、今どういう風に考えておられるか、その点を明確に御返答願いたいと存じます。  次に、労働組合が非常にやかましくなつたものでありますから、十月二十二日人事院が、人事院規則の解釈というものを出して、大学教授が専門のことについて意見を述べることはさしつかえないのだというようなことを申しております。たといそれが政治的なものであつても、専門のものならいいというのです。ところがこの専門のものというのは、一体何かということが相当問題なんだ。文部省でもそれに引続いて、専門外のものはいけないということを言つておるのでありまするが、一体大学教授の学識の中で、何が専門であるか専門でないか、こういうことは、にわかにきめがたいものがあると思うのであります。これは他の国の大学の歴史をたどつてみましても、一つの科目の専門家というふうに、必ずしもきまつていない例がたくさんあるわけであります。それから日本においてもそうでありますが、たとえば自然科学の例で申しますと、原子の問題の専門家である仁科博士が、戦後理研においてペニシリンの製造を始められておる。そつちの方においてもやはり専門家であるということになつて来ておるわけであります。そういうような点もあるわけでありまして、自然科学というような非常にきつかりとした学問でもそうであるわけです。いわんや社会のこと、芸術のこと、そういうような問題になりますると、何が専門であるかというようなことはないはずである。ことに日本は、民主主義を打立てなければならない今日にあつて、自然科学を学ぶ者であれ、あるいは工学を学ぶ者であれ、だれであれ、社会の発展について深い学問的な関心を持たない者は、だれもないと思うのであります。従つて政治上、経済上の諸問題について、いずれの専門であるを問わず、大学教授が堂々と意見を述べることは、当然であるべきであろうと思うのであります。そういう点について文部大臣はどう考えるか、その点を御返答願いたいと思います。  なおその際問題になるのは、憲法との関係であります。憲法の十九條、二十一條、二十二條等にわたつて、思想及び良心の自由、集会、結社、言論、出版の自由、学問の自由といつた基本的な人権がはつきりと述べてあるのでありまするが、特に二十三條に学問の自由が他の自由から飛び出して特別に述べてあること、これは日本の憲法における大きな特色の一つであろうと私は考えておるのであります。それほど学問というものは尊重しなければならない、重大である。これを一片の人事院規則とか、そういうようなものによつて制限するということは、まつたく不当であると考えざるを得ないのであります。もつともその際十五條の公務員に関する規定が援用されて、それによつて制限されることもあるわけでございますけれども、しかしながら基本的人権というものは、世界の長い間の歴史によつて獲得された民主的な人権であり、これは何物にもまさつて憲法の基礎をなすものである、こういうように考えるのでありまするが、そういうものを他のものによつて制限するというのはいかがであろうか。特にどんな職業であつても公共性のないものはない、いかなる職業についても、公共性というものがあるわけです。従つてその職業のモラルというものは、どこにもあり得るわけである。従つてやはり大学教授のモラルというものがあることは当然でありまして、そういう点は自発的にやるべきであつて、決して法令でもつて制限すべきでない、かように考える次第でありますが、この点について文部大臣はどう考えるか。はたしてこの基本的人権、ことに学問の自由を制限することが、日本の学術並びに民主的な発展というものを阻害することになりはしないか、この点を明確にお答え願いたいと考えるわけであります。以上簡單でありますが、質問いたします。
  23. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 お答えいたします。例としておあげになりました水産大学の問題でありますが、これはご承知のように、現在まだ農林省の管轄になつております。それで文部省関係の詳細なことはよく存じておりません。しかし教育に関する問題でありますから、同様の点が非常に多いと思つております。どちらにいたしましても、大学教授の身分に関する問題につきましては、御承知のように教育公務員特別法で相当の保障があるわけであります。その身分を決定されるにつきましては、学長としてもよほど慎重に考えられ、そうして管理機関の意向も考えてやられておることと私は信じております。  それから二十四時間通告で懲戒免職というようなお話があつたということでありますが、懲戒免職ということも、これは相当の理由がなければできないはずでありますから、懲戒免職をするという以上は、相当の根拠があつてつておることではないかと私は考えております。ですから、それらの点を私として考えれば、各大学にいたしましても、また地方にいたしましても、教職員の身分という重大な問題でありますから、やはり教育基本法なり国家公務員法なりに照して、理由があつてつておることだと私は考えておりまするので、その点については意見が違つておるわけであります。  それから大学教授連合、学術会議の見解についての、私の参議院の委員会におる御答弁についてのお話がありましたが、私が大体賛成するという意味を申しましたのは、あの発表された意見の一番の中心は、大学の自由、学問の自由をあくまで守らなければいかぬ、こういう点にあつたと思います。その点は私は賛成であると申し上げたわけであります。しかしその際あくまでも大学の自由、学問の自由というものは、正しい意味におけるものでなければならぬということは、はつきりつけ加えておきました。従いまして、たとい大学の自由というようなものが認められるといたしましても、学園における政治的な中立性を侵しましたり、あるいは学園の秩序を破壊する、こういうような行動は、嚴重に処置すべきでありまして、それらの行動を処置することは、決して大学の自由を制限し圧迫するものではないと私は考えておるのであります。それらの点は、あの教授連合会の発表にも非常に強く現われておるのでありまして、あの中にやはりその点を強調いたしまして、学者の言動については、みずから十分に自粛しなければならない、こういうことをはつきりつけ加えておるのであります。  それから人事院の人事院規則の問題でありますが、私は衆議院本会議で答弁をいたしましたように、抽象的に、論理的に申しますれば、学者の学問的な活動と政治的な活動というものは、わけることができるんだという見解を持つております。つまりその人の考え方で、政治的な意思と学問的な意思、あるいは政治的な目的と学問的な目的というものは、わけられると私は思うのであります。ただ具体的な場合に、それがはつきりしないというような場合があるかもしれません。その場合にはそういう場合を予想して、人事院としていろいろな解釈を発表されておりますし、文部省といたしましても、そういうことのないように、あいまいになりそうな具体的な場合については、人事院と話合いをしまして、はつきりさせたい、こういう考えを持つておるわけであります。憲法に規定されております学問の自由との関係も、今申し上げましたようなわけでありますから、私は政治的な活動の制限というものは、学問の自由を圧迫するものではないと考えております。
  24. 今野武雄

    今野委員 大体さつき水産大学の例を申し述べましたが、これは農林省の所管であるということで、うつちやられたわけですけれども、これについては、水産大学ばかりではない、同じような本質を持つているということを御記憶願いたい。それからもう一つは、懲戒免職はそれ相当の理由があるだろうということを申されておるのですが、それはほんとうに調査の上に基いて言われたのかどうか。少くともわれわれの方は、それを直接本人について調べて申した。漠然とこういうことを言われるとすれば、これは文部大臣の言としてはあまりおもしろくないと思う。  それからもう一つは、自由の問題についてですが、制限付の自由なんというものは、まつたく意味がないと思う。自粛といつたような問題は、モラルの問題、倫理的な問題だと私は思う。職業倫理の問題である。それについて少しもお答えしておられない。それだけでなく私の言うのはそういうことはわかり切つているのだけれども、これを法令で制限するということはどうかということについて申しておるわけであります。それについてもお答え願いたい。
  25. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 懲戒免職の問題は、地方公務員でありまして、文部省直接の問題でありませんで、地方でそれぞれやるべきことでありますから、一々それを文部省が調査しているわけではございません。私の申しましたのは、地方庁といえども、相当の責任を持つてつておる処分でありますから、相当の理由があつてだろう、こう申したわけであります。  それから政治活動の制限の問題でありますが、これは当然合法的にやられていることでありまして、何ら憲法違反とは私は考えておりません。
  26. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいま今野議員のご指摘になつた首切りの問題も、これは大学の教授を含んでおりますから、ぜひ質問したいと待つておつたのでありますが、時間がありませんので、これは教育員会の方の審議のときに譲りまして、ただいまの大臣の答弁についてもなおただしてみたいと思います。ぜひ大臣の御出席くださることを要望しておきます。  ただ一点だけ伺つておきたいのは、シヤウプ勧告と学校財政との問題であります。あの勧告が出まして、それに基いて政府もいろいろ考えておるようですが、今後この勧告と学校財政とについてどのような方針で臨まれるのか。特に義務教育の国庫負担が平衡交付金という形にかわつて参りまして、これをどういうふうにして学校教育財政を確保される方針か、それを具体的にお伺いしたいと思います。
  27. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ご質問の要点は、かのシヤウプ勧告に基きまして、義務教育に対する国庫負担の仕方が違つて来た。それで一般平衡交付金の形において出される場合に、義務教育費の確保をどうするか、こういう問題だと思います。文部省としても、その点については現在研究もし、また自治庁、大蔵省と折衝をいたしております。それで一般平衡交付金として出されるものの中でもつて、義務教育費のために使われる部分というものを、合理的な標準によつて算定して確保して、義務教育の水準をぜひとも維持して行きたい、こういう方針でいろいろと考えております。これについては、いろいろの方法があるかと思いますが、現在文部省が考えておりますのは、教育に関する基準経費というようなものを合理的に算定をいたしまして、それは必ず維持されるようにして行きたい、こういうふうに考えて、法令等の形でやつてみたいと考えておる次第であります。それができますれば、あの平衡交付金が合理的に配付されまして、義務教育の水準維持のために確保されて行くだろうと思つております。
  28. 原彪

    原委員長 本日はこの程度で散会いたします。次回は明十九日午前十時から開きます。     午後零時四十七分散会