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1949-11-26 第6回国会 衆議院 農林委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 竹村奈良一君    理事 吉川 久衛君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中村  清君       原田 雪松君    平澤 長吉君       平野 三郎君    渕  通義君       村上 清治君    守島 伍郎君       山本 久雄君    渡邊 良夫君       足鹿  覺君    石井 繁丸君       佐々木更三君    坂口 主税君       高田 富之君    横田甚太郎君       小平  忠君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官   藤田  巖君         專  門  員 岩隅  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 十一月二十五日  委員小淵光平辞任につき、その補欠として平  澤長吉君が議長指名委員に選任された。 十一月二十六日  委員山口武秀辞任につき、その補欠として横  田甚太郎君が議長指名委員に選任された。 十一月二十五日  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第五五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の開議に付した事件  食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出、第五回国会閣法第七三号)  食糧生産確保に関する件     —————————————
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  それでは前会に引続き食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  3. 小笠原八十美

    小笠原委員長 この際井上委員より発言を求められております。これを許します。井上良二君。
  4. 井上良二

    井上(良)委員 この際委員長並びに委員各位の御了解を得まして、農業生産確保に関する決議案を、本農林委員会の御承認を得まして、各党共同提案によつて委員長であります小笠原八十美君から本会議に上程されるように、おとりはからいを願いたいと存じます。  その大体要旨といたしますところは、御存じ通りわが国農業が、戰時、戰後を通じまして、原始的な過小零細経営で、国家の要請に応じ来つたため、農業経営の基本的な生産要素は年々荒廃しつつありまして、他方米価が非常に安く、かつまた農村への重税か加わつておりまするに比例して、供出は年々強化され、農林金融は枯渇し、土地改良農業水利、耕地の災害復旧等に関する政府予算は思うように計上されておりません。もしこのままに推移しますならば、農業は大資本の圧迫と国際競争に敗北しまして、農民は恐るべき農業恐慌のあらしの中にさまようことは必至であります。よつて政府世界経済の動向と食糧事情にかんがみ、すみやかに農民の協力を求めて、多年荒廃せる農業生産近代化の方向にその道を開くため、相当多額の国家資金農村に投下して、もつてわが国農業生産の増強の基本的條件を確保し、農民経済の安定をはかつてもらいたいというのが、大体決議案の理由とするところでございますので、案文その他につきましては、委員長の方で適当におつくりを願いまして、すみやかに本会議提出されるようにお諮り願いたいと思います。
  5. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ただいま井上委員より発言通り各党共同提案といたすことに御異議ありませんか。
  6. 小平忠

    小平委員 ただいま井上委員から説明決議案につきましては、趣旨は賛成でありますが、どうも今までの経過を見ておりますと、それが一つとして実行に移されている面はないのであります。特に昨日は森農林大臣不信任案提出せられ、森農政について、野党である各派からいろいろ峻烈なる批判がなされた。それに対して民主自由党の方々の考え方は、與党立場ももちろんありましようが、真劍に日本農業の将来を考えておるかどうか、特にこの日の最も大きな問題は、明年度は三百七十五万トンの食糧を輸入する。
  7. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ちよつと小平君、発言中でありますが、この共同提案に御異議ありませんかというのですから、その異議があるかないかということを先に決定した上で、あとでその問題はやつていただきたい。
  8. 小平忠

    小平委員 共同提案異議があるかないかを決定する前に私は申し上げたいのです。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員長 今は異議があるかないかをおはかりしておるのですから、それをひとつお答え願つて、それを決定してから進めたいと思います。
  10. 小平忠

    小平委員 共同提案異議があるかないかを決定する前に私は政府当局に聞きたいことかある。
  11. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それは別です。その件ならお待ち願いたい。
  12. 小平忠

    小平委員 それではそのあとにします。
  13. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは共同提案をすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  15. 小笠原八十美

    小笠原委員長 前会に引続き質疑を継続いたします。
  16. 河野謙三

    河野(謙)委員 まず農政局長肥料の問題についてお伺いいたしたいと思います。この間本委員会農林大臣は、稻の作況報告のときに、天候不順関係並びに肥料配給が順調過ぎたために、麦の肥料を稻に使い、いもち病ができて減收なつたと言われたが、この大臣の御答弁に対して、農政局長肥料配給担当者として、いかなるお考えをお持ちになつておりますか、これを伺いたい。
  17. 藤田巖

    藤田説明員 今年は御承知のように天候がいわゆる秋落ち、九月の下旬から十月の上旬にかけまして、ちよつとかわつて来たわけでありまして、事実問題として、稻に肥料を差繰つておりましことが、たまたまそういう天候と合致いたしました結果、いもち病の発生を非常に助長するような状態をつくつた。こういうことは私どもも各方面から意見を聞きまして、さようであろうと思つております。
  18. 河野謙三

    河野(謙)委員 私が伺つておるのはそういうことではなしに、麦の肥料を稻に使つた、これは天下公知の事実です。農政局も認めているはずです。さ。ようなことが一体肥料配給担当者としていいことであるとお考えになつているか、それとも悪いことであるとお考えになつているか、これを伺いたい。
  19. 藤田巖

    藤田説明員 もちろん肥料割当をする関係からいたしますと、稻の肥料は稻に使わせる、また麦の肥料はこれは麦に使わせる、こういう建前で配るのであります。しかし最近は御承知通り、相当前渡しのようなかつこうになつておりまして、農家といたしましては、場合によりますと、やはり差繰つてやるようなことも事実あろうかと思つております。しかし私どもといたしましては、せつかくやりました肥料がほかに使われた結果、今度必要な場合に足りなくなつたというふうなことを言われましても、これにはやはり一定の基礎があつて追加はできないのでりますが、いろいろなことから、農家がある程度のやり繰りをして行くということは、実際問題として認めて行かざるを得ないのではないかと思います。
  20. 河野謙三

    河野(謙)委員 農政局長は、まさか自分の口から肥料配給失敗したとは言えないだろう。従つてそういうことをおつしやつておられるのですが、これは大失敗なんです。この大事な良薬である肥料を毒薬にかえたのは、農林省肥料行政が悪かつたためである。この事実は私は何といつても動かせないと思う。しからばこの事実に懲りて、立ちどころに従来の失敗を改めなければならないと思うのに、依然として今全国の各農村では、来年の春の稲の料肥配給が始まつている。来年の三月、四月の稲の肥料を今から配給して、再び失敗を繰返していいと思つているのかどうか。一体今配給した稲の肥料はどこに行くか。おそらく稲の肥料にまでは持ち込まれないで、ほかの作物、特に果樹類に行つてしまうことは明瞭である。私は即座に手を打つべきであると思うにかかわらず、一つも手を打つておらない。なぜ早く肥料資金その他について、大きく大臣と協力して手を打つて政府責任において肥料保管をやるとか、また農業協同組合等責任者によつて、これを一時保管するどかして、消費規正をやらないのか。肥料配給で一番大きな問題は消費規正であります。農林省は御承知のように、重要作物を重点とし、作物別肥料配給割当をしておるはずである。その精神にのつとつて農家作物別に重点的に肥料が使えるように配給する責任がある。それを少しもやつていない。この問題は、来年の稲の肥料として、今から真險に考えてもらいたい。これは私は過日の委員会でも申し上げましたが、本日は農政局長に特に直接お願いをする。今まで聞いておりますと、肥料配給が非常にうまく行つたとか、肥料公団の成績が非常にいいとか何とか言つておるが、いいどころの騒ぎではない。せつかく国庫から何十億の補給金まで出して、肥料生産と国民の負担において助長して、そのできた肥料が稲の減収原因なつた。これは農林大臣が認めている。かようなことが起るのは、肥料配給の仕方が悪いからなんです。いまさら過去のことは取返しがつきませんが、少くとも来年の稲の肥料につきましては、今からさつそく手を打つて、本年の稲の減収原因なつた、肥料の繰上げ配給のためにいもちが発生したというなことを、再び繰返さないように、この際ぜひとも真險に御善処願いたいということを、お願いしておきます。  まだいろいろお願いすることはありますけれども大臣がお見えになりましたから、他の委員に質問をかわります。
  21. 藤田巖

    藤田説明員 これは河野委員もとくと御存じのように、肥料配給行政の根本的な考え方といいますものは、生産の方は各工場で毎月々々生産されますものを、農家一定施肥期に適当な数量を渡す、しかも各農家ともまんべんなく渡すというやり方で配らなければならないのであります。従つて配給技術の問題といたしまして、施肥期に一度にどつと渡すということは、事実問題としてはできないのであります。ある程度の計画をもちまして前渡しをするということも、配給技術としてはやむを得ない。こういうふうに考えております。しかし御承知のように、あまり早く渡し過ぎまして、そのために農家が押しつけられるとか、あるいはまたそれが早く来過ぎたために他の作物に使用される。こういうような問題につきましては、今年の前例もございますので、私どもの方といたしましては、農家に対しまして施肥、その他肥料の適当な使い方について、今後十分注意をいたして参りたいと存じております。
  22. 河野謙三

    河野(謙)委員 農政局長はいまだに非常に認識が薄い。製造会社から、肥料ができたものをとつてやる。これは製造会社のためには非常にいい。生産者の方には非常にいいのです。それだけではいけないのです。農家に必要な時期に、必要な作物肥料配給する。これが眼目であります。消費規正ということをお忘れになつておる。肥料のことについては、生産者よりも、特に配給を担当しておる農林省は、もう少し配給面考えてもらいたいと思う。製造会社からできたものをとらなければならぬことはよくわかつております。とつたものを農家の手に渡すまでに、いかなる規正をするかということです。金融面もありましようし、またそれで片づかぬ問題は、農業協同組合等である期間保管をさせるという問題もありましようし、そういう問題をやらなければだめなんです。これをいまだにそこまで真險にお考えになつていないということでは、私はもう少し勉強してもらわなければ困ると思う。いずれまた、あらためた機会によく御相談したいと思いますが、重ねての御答弁は要求いたしません。
  23. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは森農林大臣が見えましたから、竹村奈良一君の質疑を許します。
  24. 竹村奈良一

    竹村委員 現在この食確法の一部改正案が出されておりまして、前からの継続審議でありますけれども、こまかいことはまたいろいろお尋ねしたいと思います。  大体政府輸入食糧を非常に多く輸入して来ておる。たとえば今年度は三百七十万トンぐらい輸入するのだというようなことを言つておりますけれども、そういうふうに片一方でどんどん輸入食糧を輸入して来る。実際国内の現在の状態からいうと、百五十万トンぐらいでよいものを、そういうふうに輸入して来て、そうして一方において、この法案改正案を出して、そうして超過供出を強制的に取上げる。この矛盾した関係を、一体どういうふうに調整するのか、なぜ政府はこのような法案を出されるのか。その点を明らかにしていただきたい。
  25. 森幸太郎

    森國務大臣 食糧需給事情は、現在の状態はこれは変則であります。今日食糧事情がやや朗らかになつたというのは、輸入食糧の増加でありまして、決して内地の食糧が多く増産されているということのみに限つておらないのであります。しかもこの最も大きな原因といたしております輸入食糧というものは、変則的な姿であるだけに、これは恒久性を持つておりません。人口は年々増加して参りますし、食糧というものは、いずれの時代におきましても、安心のできるようなあらゆる処置をとつておくことが、必要だろうと思うのであります。もしも一朝国際問題等の悪化いたしました場合においては、この輸入食糧も現在のごとくならないはずであります。また現在輸入しておりますガリオアということがいつまで続くか、これも問題であります。従つてわれわれは、生きて行く上において、食糧というものははつきりと、できるだけ手に収める手段を常に講じておくということが必要であるのであります。従つて練返して答弁いたしました通り食糧事情がたまたまよくなつたから、もうこんな食確法というものは要らぬではないかということは、皮相の観察でありまして、食糧というものの重大性考えれば考えるほど、なおさらこういう法制化が必要と考えております。
  26. 竹村奈良一

    竹村委員 今の大臣の御答弁を伺つておりますと、とにかく輸入食糧にばかり頼ることは非常に不安定である。従つて国内食糧需給を確立するために、たとえ現在では輸入食糧が多く入つて大丈夫であつても、そのためにこの法案を通すのだ。食確法改正して、農民からできるだけの食糧政府の手に握るのだ。こういう考えを述べられたと思いますが、国内食糧によつて日本食糧問題を自給して行く道を開く、こういうふうな考えであるとするならば、單なる食確法改正とか、あるいは多くできたものを法律的に強制的に取上げるということだけでは、問題は解決しないと思うのであります。従つてそういう国内自給態勢を確立するためには、その付するところの施設、しかもそれに応じられるところの、農業生産が発展するところの道を講じなければならぬと思いますけれども、これに対して政府は大体考えていない。おそらく本年度追加予算を見ましても、災害復旧費や、いわゆる公共事業費を増額したと大きなことを言つておりますけれども、実際は、あれは先般来の災害におきますところの復旧費用の一部の追加だけであつて農業生産のために当然建設されるために出されたものではなく、單なる災害をこうむつたから、それをどうでもこうでも元の通りにしなければならぬというだけの公共事業費の増額であつて、それ以上のものではないのであります。従つて農業生産力を高める、あるいは食糧増産するという基本的な措置については、この法律を通すということだけに専念して、そのことを忘れておられるのではないかと思います。それに対して、政府は一体どういう方針を持つておられるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  27. 森幸太郎

    森國務大臣 仰せの通りであります。食確法だけで食糧増産されると考えてはおりません。食糧確保臨時措置法の一部改正ということも、日本食糧増産する、日本食糧を確保するための一つ手段であります。  それから補正予算云々というお話がありましたが、補正予算はあくまでも追加予算でありまして、来年の三月までの予算を見ておるのでありますから、二十五年度予算を見てから御意見をお述べ願いたいと思います。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 二十五年度予算を見てからといつても、食確法改正案を通して、そうして二十五年度予算を見ましたときに、これが出ていなかつたら、そのときに文句を言つたつてしかたがないのです。二十五年度予算というと、もう目の前に迫つておるから、政府大綱はきまつておるはずだ。しかもそれに対して、二十五年度予算を見てから審議せよというようなことは、実に農林大臣としては不遜きわまると思うのであります。少くとも議会というものを無視しておると思う。そういうのではなしに、こういう法案を通すのであつたならば、われわれはこういう確信を持つて農業生産のためにやるんだという、大体の大綱はわかつておるはずだ。それが答弁できないというようなことは、この食確法審議をせぬでもいいというような態度と思いますけれども、わかつておるのだつたら答えてもちいたい。
  29. 森幸太郎

    森國務大臣 補正予算について農業増産に対する施設がない。あれは災害復旧費を含んだかというお話つたから、補正予算はあくまでも補正予算だと申し上げたのであります。二十五年度のことは二十五年度予算編成の上において考慮を拂つております。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 どうもこちらの言つておることがおわかりにならぬと思うのです。とにかく根本的な問題は、国内における食糧を自給するところの方式を立てるためのこの改正案だということに承つたのですが、それであるならば、食糧自給を行うのにも、今申したように、また大臣が認めておられるように、食確法改正だけでは問題にならぬということだけははつきりしておる。従つて今後の食糧自給をするために、政府は二十四年度追加予算を通じ、あるいは二十五年度に対し、あるいは将来に対して、農業に対する根本的な国内月給をやるための施設として、どういうことをおやりになる考えか。はつきり申し上げますと、いわゆる吉田内閣農政に対してもその農政を担当しておられる森農林大臣に、吉田内閣農業政策の一切のあり方を聞いておるのでありますから、これをはつきりひとつ答弁してもらいたいと思います。
  31. 森幸太郎

    森國務大臣 一口に農業政策というわけには参りません。今日日本農業が鎖国的な立場にあつて、海外と全然関係を断たれておるような時代と、あるいは今後自由な貿易を許されて来るその時代とを考えたたけで、農業政策の見方もおのずからかわつて来るわけであります。今日におきましては、申し上げるまでもなく、外国より食糧をもらつておるとはいいながら、日本自給度を高めて行くということは、これはいずれの時代においてもかわらないはずであります。それにつきましては、今日の農業がどういうふうに置かれておるかということについて、対策を講じて行くことが農業政策でありますから、従つて今日日本農業として最も重大なる問題は、肥料の欠乏でありましたが、肥料も今日の状況では漸次増産されて、今では化学肥料よりも、むしろ有畜農業によつて有機質的な肥料を持つて来なければならないということの観点から見れば、有畜農業の奨励も一つの行き方であります。また年々歳々見舞われるところの風水害に対して、災害を防止して、耕作の安全性を高めるという上においては、治山治水ということも考えて、森林行政も一層これを深めて行かなければならぬと考えます。また技術方面においては、品種の改良栽培法合理化等の指導も必要であります。また科学の技術を、取入れて行くということあるいはまた生産物価格の維持ということにも、考慮をして行かなければなりませんし、ただ單に農業政策を一口にお話するわけには行きません。あらゆる総合的な施設によつて食糧増産が確保されて来ることは、竹村君も御承知と思うわけであります。それでありますから、二十五年度予算編成の上におきましても、土地改良災害防止、あるいは森林行政、あるいは技術浸透等につきまして、できるだけの予算を見積りまして、そうしてこの総合的な農業政策を立てておるわけであります。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 一般的な話を承りましたが、具体的な問題としてひとつ大臣にお伺いしたいのは、こういうふうに食確法の一部を改正されて、そうして余つた米を強制的に政府に集荷するという方針を立てられる前提といたしましては、これは前々からいろいろここで議論されておるので、繰返しては申しませんけれども、問題はやはり、その米というものが生産費を償うかどうかということが重要な一環をなすのであります。ところが遺憾ながら政府においては、本年度米価にいたしましても生産費を償つていない。これはひとしく認めるところで、あの米価生産費を償つておるとは、どなたもお考えにならぬ。従つてそのために農村は非常に金詰まりになつておる。この農村金詰まりを、一体どういうふうにして農林大臣は打開しようと考えておられるかどうか。たとえばこれは日銀の調査でありますけれども、現在の農村通貨から申しますと、日本の総通貨の一七%しか農村にまわつていない。厖大な農村人口農村戸数をかかえて、そういう金詰まりを一体どういうふうに打開しようとされておるかどうか。その原因はやはり農産物、つまり米価工業生産費とつり合わないところにありまして、最も重要な点はいわゆる米価の安いということ、いわゆる米麦等主食類生産費の償つていないことが、だんだん今日のごとく農村金詰まりに追い込んで来た。従つて生産を不可能にするような状態が顯著に現われて来て、これがつまり農業恐慌の始まりだと思うのでありますけれども、この恐慌に対して、農林大臣は一体どういうふうにしてこれを打開しようと考えておられるか。この点をひとつお尋ね申し上げたい。
  33. 森幸太郎

    森國務大臣 今日は農村担保力がなくなりまして、非常に金融の面が梗塞いたしております。これは土地農地法改正によりまして担保とすることができない結果なのであります。しかし昔の好況時代は去りまして、だんだん金が行詰まつて来ておる現状であります。この際短期の金を貸しては、とうてい農業資金としては参らぬのでありまして、農林中央金庫の内容を充実いたしまして、現在の貸付量を倍加するということも、今考慮をいたしておるわけであります。また土地改良等に対しても、もちろん長期の融資を必要といたしますので、これらに対しても、見返り資金によつて特別会計を設けまして、そうして利息の一部を補い、安い利子の資金融通の道をはかつて行きたい。なお一面には協同組合信用程度の向上をはかりまして、そうしてこの協同組合の力によつて金融の面を見て行くというふうに指導して行くことが、ただいまの解決の方法ではないかと考えております。なお初めにお話になりました米価生産費を償わぬ償わぬとおつしやるのでありますが、どこの米価をお引当てになつての御議論か知りませんけれども米価といいましても一概にいえないのであります。これは昭和二十三年の米の生産費を、石当りによりまして、農林省統計調査局でやつたのでありますが、それによりますと、千円未満が一戸あります。千円以上二千円未満が二十七戸、二千円以上三千円未満が百二十九戸、三千円以上四千円未満が百五十六戸、四千円以上五千円未満が百四戸、五千円以上六千円未満が五十三戸、六千円以上七千円未満が十戸、七千円以上八千円未満が七戸、八千円以上九千円未満が一戸、九千円以上一万円未満が一戸、一万円以上が四戸、これは四百九十三戸の調査の結果であります。この統計によりまして平均をとりますと、平均が三千五百四十五円。大体二十三年度公定価格は三千六百八十七円にきめてもらつたわけでありますが、そのパリティー指数卑近石当り生産費が見合つておるわけでありますから、よくいずれの機会においても生産費が償わぬ、こうおつしやいますが、どういうものをおつかまえになつておるのかしりませんけれども、こういうふうの生産費というものは、石当りにつき各段にわかれてあるのであります。それでありますから、われわれはここに平均をしました多数の三千五百四十五円というものが、一番高い山をしておる。この山より安いものはもうけた上手な農業者である。それでありますから、下手な農家をできるだけ上手に、中心に近寄るように指導して行く、こういうことでなければならぬのでありまして、ここで七千円かかる、八千円かかるというのは、それは下手な農業生産のものである。それからまたその環境がよくない、あるいはまたいろいろの事情もあろうと思いますが、これはまじめに調査しました四百九十三戸の調査がこういうようになつております。それでありますから、農業者というものは、自分でそそろばんをしませんから、指導階級の人が生産費を割つた米価だ、こう言いますと、米価はいつでも安いものにきめられたという誤解がありますから、よくそこは指導の立場にある竹村君といたしましては、十分愼重な態度をとつていただきたいと思うのであります。
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 農林大臣にお伺いいたしますが、この農林省調査を言われるものも、これまたどこの国の調査かということを伺いたい。大体今日そんな調査をされましても、一石千円でできるようなところは、私は常識で考えると、日本の国にはないと思うのですが、しかし農林省調査される統計というものが、調査局かどこかでされたとするならば、その人はどういう考えでされたのか。まあたまじめにそれがされたのかどうか、非常に疑わざるを得ないのでありますけれども、ひとつ農林大臣にお聞きしたい。まあこれを調査された人のことはそれでいいのですが、しかし農林大臣は、その一石千円とか二千円とかいうような生産費で、まじめにつくれると考えておられるかどうかをだけを聞いて、もしそれがつくれるとお考えになつている農林大臣であつたならば、おそらく私がここで言うよりも、全国の農民諸君が農林大臣の頭を批判するだろうと考えますが、一石千円や二千円でつくれるようなところがあるかどうかということの、農林大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  35. 森幸太郎

    森國務大臣 さつきあなたの方で再三日を償わぬ米価ということをおつしやるから、どれを基準にそういうことをお出しになつているか。農林省統計調査部によると、こういうふうな山ができておる。だからどれをとるということは、よほど愼重に考えて議論しなければならないということを申したのであります。
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは一つお聞きいたしますけれども、おそらく農林大臣でありますならば、全国の協同組合とかそういうような農業団体というものは、いろいろ政府関係において、あるいは農業政策を行う上において、必要欠くべからざる団体である、こういうふうに考えておられると思う。その団体が調査いたしました生産費——あるいはまた、そういう団体は信用ならぬ、そういうような生産費は各農民団体が自主的にやつたのではない。従つてそういう団体は信用できぬ、こういうふうにおつしやいますならば、その団体の調査いたしまた生産費というものは、おそらく問題であると思いますけれども、ともかく政府がおこしらえになりました米価審議会によつて、答申されたところの米価四千七百円というものは、農林大臣は一体どう考えておられるか、これは妥当と考えておられるのか、あるいは不適当と考えておられるのか、その点をお聞かせ願いたい。
  37. 森幸太郎

    森國務大臣 これはいつかもここでお答えいたしましましたが、適当であるか、不適当であるかという問題ではありません。審議会に意見として四千七百円というものをお出しになつて、これは生産者消費者がお集まりになつた結果の御意見であるから、できるだけその御意見に沿うように努力いたしたい。かように考えたわけでありまして、四千七百円が適当である、適当でないということは、毛頭考えず、これは生産者消費者、学者、経験者がお集まりになつておきめになつ価格であり、それにできるだけ持つて行くように、検討を加えて進んできたわけであります。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは適当である。そういう適当な答申がなされた。こう申されるならば、現在政府がおきめになつた米価というものは、やはり生産費と償わない米価になるということを、はつきりお認めになるかどうか。おそらくお認めにならざるを得ないでしよう。もしその答申案が不当であり、それから生産費以上にかけた、こうおつしやるけれども——不適当だと考えられるならば別でありますけれども、学者や経験者が寄つて、最も妥当な案で答申された、こうお考えになるならば、現在政府の決定された米価というものは、生産費を割らぬとお認めになるか、あるいは生産費を割つておるとお認めになつておるか、どちらかはつきりしてもらいたい。
  39. 森幸太郎

    森國務大臣 生産費を割つておるものもありましようし、割らぬものもありましよう。
  40. 竹村奈良一

    竹村委員 ともかくどつちにいたしましても、そういう生産費を割つていないものがあるとか言うけれども日本農政をやつておるのでありまして、あなたは日本全体の面から農政をおやりになつておるのであつて、個々のもんぢあにこの生産費を割つておる、この生産費を割つていないということでなしに、全体といたしましては、生産費を割つておるということをお認めになるかどうか。
  41. 森幸太郎

    森國務大臣 従来の調査によりますと、パリティー指数は、生産費より高く出ております。
  42. 竹村奈良一

    竹村委員 それではともかく生産費は償つておる。従つて世産費を償つておるから、超過供出を法制的に取上げても、あえて農村は困らないという御意見ですか。
  43. 森幸太郎

    森國務大臣 どう言うとわかつていただけるか。従来パリティー指数によつて出ました米価は、いわゆる平均生産数と比較すると、パリティー指数できめた方が高いのであります。生産費を検討するには、いろいろむずかしい議論もありますが、大体生産費として今日統計調査部等において考えておる調査によりますと、パリティー指数できめた方が、生産費できめたより幾らか高いという数字が出ておるのであります。でありますから、このパリティー指数によつてきめました米価が高いとか安いとかいうものもありましよう。それより高い人は、普通の標準よりは生産によけい金を使うた人である、こういうことが考えられるのであります。
  44. 竹村奈良一

    竹村委員 米価問題はいろいろ論議もされておりますから、その点はこのくらいにしておきます。  続いて聞きたいのは、現在食糧確保臨時措置法というものが——食糧確保臨時措置法という改正される前の、現在の法律というものが、その通り全国各地で完全に遂行されておるかどうか、農林大臣はこれが遂行されておるとお考えになつておるかどうか。
  45. 森幸太郎

    森國務大臣 法律をつくつた以上は、法律通りに執行すべきものであり、またさようにいたしたいと考えております。
  46. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしたいと思つておることだけでは問題は解決しない。前にも山口委員から質問しておりまして、今日、かわつておりませんので、特にこれをお聞きするのですが、各地においては、あの食糧確保臨時措置法によりますと、各府県、あるいは郡市町村、そうして個人という、最終の事前割当を受ける責任者は、個々の農民だということになつておりますけれども、至るところにおいて、個々の農民割当てられるのではなしに、あるいは大字割当というようなことが行われておる。従つて事前割当等が行われていないような事例がたくさんある。しかもそのたくさんあるものに対して、今後供出責任は、大字とか部落とかいうことでは法律的に成立たないということになつておるが、そういうことが全国至るところにおいて行われておる。これに対して、政府はこれは違法だと考えておるかどうかという前の質問に対して、政府答弁されることになつておるのですが、これをはつきりしてもらいたい。
  47. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食確法の運用が法律通りに末端まで徹底しておるかどうかというお尋ねであるようでありますが、これは私どもとしまして食確法をあの精神にのつとつて、十分末端まで浸透させることについていろいろ努力をいたしておりますが、非常に数の多いことでもありまするから、全部その通りつているということも言い切れないと思います。この点については今後とも努力して参りたいと思います。  それから部落割当ということになりまして、個人に割当が行つておらぬ場合に、それに対して供出責任がどうであるかというようなお尋ねの趣旨じやないかと思います。この点も末端の個人まで浸透させることについて、いろいろ努力いたして、現在におきましては、私ども統計では九八%程度まで行つているというふうに考えております。それが行つておらぬからといつて供出されたものが無効であるとか、有効であるとかいう問題は生じないと考えております。
  48. 竹村奈良一

    竹村委員 農林大臣にお尋ねしますが、現在の食確法からいいますと、まず個人割当がなされ、しかも個人割当がなされるところの基礎としては、やはり地方の決定等がなされた上に個人割当がなされて行く、その個人割当によつて事前割当がなされて、事前割当に対して減収した場合には、それだけ必ず補正しなければならぬということは、はつきり法律に規定されておる。農林大臣はこの規定されておる通りにやれない場合は、食確法に規定されたものを政府自身が全部破壞していることになるのですが、法律上規定されて当然補正しなければならぬという分だけは、政府責任をもつてこれを補正されるかどうか、これをお答え願いたい。
  49. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 大臣のかわりに私からお答えいたします。減額補正について、当然明瞭に減額しておる場合にそれを補正するのが法律の建前であるが、その通り実行されておるかどうかというお話だと思います。実は減収量というものの最後的に確定するものが、国全体としてはなかなかないのは御承知通りであります。いろいろな推定数字はございますけれども、結論においてだれが幾ら、だれが幾ら、その総計したものが幾らであるということを、的確に間違いなく押えるものはなかなかございません。それで政府といたしましては、各種の資料を総合調整しまして、その見当をつけて減額補正をいたしておる次第でございます。これが末端に参りました場合に、どういう状況になつておるかと申しますと、これも実情はよく御承知通りでありまして、私が申し上げるまでもないと思いますが、減収のありました農家に、集中的に的確に行つている場合もありますが、そうでない場合もあると思います。たとえば部落に百石なら百石の補正量が参りますと、それがある意味において総花的に分配をされるというような事例も事実はあるわけであります。そうしたことになりますと、ほんとうに災害を受けた農家はまことに気の毒な状況になつて、そうでない方が比較的余裕を持つというような事態も起るのでありまして、法律の建前は、まさしく災害を受けて減収をしたものに対しては、的確にその減収量に相当するものを差引く、しかしそれは御承知通り、国あるいは県あるいは市町村というもののわく内において、それをやるという建前になつているわけであります。その辺の現実と理論との食い違いというものは実際上あると存じます。その辺の誤差をできるだけ少くしてこの法律の運用の完璧を期して参りたいというところに、われわれといたしましては努力の重点があるというふうに、私は考えております。
  50. 竹村奈良一

    竹村委員 努力されただけでは困るのです。法律はおるけれども、努力したからそれで埋合せてくれということは、政府の方では通るかもしれぬが、一般には通らない。政府の方ではそのくらいにしておいて済ましてくれといえば済むかもしれませんが、済ませては困る。今御説明なつたように、部落全体でわけたというようなことがあつても、実際ほんとうに減額しなければならぬという人があつたならば、異議を申し立てて来ると思う。この異議申立が当然と認めた場合には、政府は補正をしなければならぬ、これは法律によつてはつきりしている。それを何とかやられたのでは、政府の方ではよいかもしれないが、米を出す方ではたまらない。今やつておられる補正割当というものは予想だ。予想だけでは問題は解決しないのであつて、実収の後においてこれだけ減収したという分に対して、個人々々が補正の要求をやつて来るのであるが、これに対して当然だと農業調整委員が決定し、あるいは県の農業調査委員が認めた場合には、政府は補正をやらなければならぬが、これをやられるかどうか。もしやられないとするならば、食糧確保臨時措置法という現在の法律を、ぶちこわしているということになるのだが、その点についてはつきり聞きたいと思います。
  51. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 本来の建前から申しまして「災害その他真にやむを得ない事由に因つてその指示に係る農業計画によつて定められた供出数量の主要食糧農産物を供出することができなくなつたときは、市町村長に対して、当該供出数量の変更を請求する」というようなことになつてつて、これが下から上つて来るわけです。ところが一方において、この減額をいたすわくは上から行つているわけである。その間に食い違いがあるので、ただいまのお話のような御議論が出ると思います。法律の建前から申しますれば、八條の規定によつて一定の手続をとつたものについては、減額をするという建前でございます。
  52. 竹村奈良一

    竹村委員 それではそういう正規の手続をとつたものは補正されるのですか。補正するならするとはつきり言つてもらつたら、それでよいのです。
  53. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 そういう請求のあるものを承認した場合には、これを減額することができるという建前です。
  54. 竹村奈良一

    竹村委員 それではこれを行われてから、全国でどのくらいの請求があつ幾らか高いという数字が出ておるのであります。でありますから、このパリティー指数によつてきめました米価が高いとか安いとかいうものもありましよう。それより高い人は、普通の標準よりは生産によけい金を使うた人である、こういうことが考えられるのであります。
  55. 竹村奈良一

    竹村委員 米価問題はいろいろ論議もされておりますから、その点はこのくらいにしておきます。  続いて聞きたいのは、現在食糧確保臨時措置法というものが——食糧確保臨時措置法という改正される前の、現在の法律というものが、その通り全国各地で完全に遂行されておるかどうか、農林大臣はこれが遂行されておるとお考えになつておるかどうか。
  56. 森幸太郎

    森國務大臣 法律をつくつた以上は、法律通りに執行すべきものであり、またさようにいたしたいと考えております。
  57. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしたいと思つておることだけでは問題は解決しない。前にも山口委員から質問しておりまして、今日、かわつておりませんので、特にこれをお聞きするのですが、各地においては、あの食糧確保臨時措置法によりますと、各府県、あるいは郡市町村、そうして個人という、最終の事前割当を受ける責任者は、個々の農民だということになつておりますけれども、至るところにおいて、個々の農民割当てられるのではなしに、あるいは大字割当というようなことが行われておる。従つて事前割当等が行われていないような事例がたくさんある。しかもそのたくさんあるものに対して、今後供出責任は、大字とか部落とかいうことでは法律的に成立たないということになつておるが、そういうことが全国至るところにおいて行われておる。これに対して、政府はこれは違法だと考えておるかどうかという前の質問に対して、政府答弁されることになつておるのですが、これをはつきりしてもらいたい。
  58. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食確法の運用が法律通りに末端まで徹底しておるかどうかというお尋ねであるようでありますが、これは私どもとしまして食確法をあの精神にのつとつて、十分末端まで浸透させることについていろいろ努力をいたしておりますが、非常に数の多いことでもありまするから、全部その通りつているということも言い切れないと思います。この点については今後とも努力して参りたいと思います。  それから部落割当ということになりまして、個人に割当が行つておらぬ場合に、それに対して供出責任がどうであるかというようなお尋ねの趣旨じやないかと思います。この点も末端の個人まで浸透させることについて、いろいろ努力いたして、現在におきましては、私ども統計では九八%程度まで行つているというふうに考えております。それが行つておらぬからといつて供出されたものが無効であるとか、有効であるとかいう問題は生じないと考えております。
  59. 竹村奈良一

    竹村委員 農林大臣にお尋ねしますが、現在の食確法からいいますと、まず個人割当がなされ、しかも個人割当がなされるところの基礎としては、やはり地方の決定等がなされた上に個人割当がなされて行く、その個人割当によつて事前割当がなされて、事前割当に対して減収した場合には、それだけ必ず補正しなければならぬということは、はつきり法律に規定されておる。農林大臣はこの規定されておる通りにやれない場合は、食確法に規定されたものを政府自身が全部破壞していることになるのですが、法律上規定されて当然補正しなければならぬという分だけは、政府責任をもつてこれを補正されるかどうか、これをお答え願いたい。
  60. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 大臣のかわりに私からお答えいたします。減額補正について、当然明瞭に減額しておる場合にそれを補正するのが法律の建前であるが、その通り実行されておるかどうかというお話だと思います。実は減収量というものの最後的に確定するものが、国全体としてはなかなかないのは御承知通りであります。いろいろな推定数字はございますけれども、結論においてだれが幾ら、だれが幾ら、その総計したものが幾らであるということを、的確に間違いなく押えるものはなかなかございません。それで政府といたしましては、各種の資料を総合調整しまして、その見当をつけて減額補正をいたしておる次第でございます。これが末端に参りました場合に、どういう状況になつておるかと申しますと、これも実情はよく御承知通りでありまして、私が申し上げるまでもないと思いますが、減収のありました農家に、集中的に的確に行つている場合もありますが、そうでない場合もあると思います。たとえば部落に百石なら百石の補正量が参りますと、それがある意味において総花的に分配をされるというような事例も事実はあるわけであります。そうしたことになりますと、ほんとうに災害を受けた農家はまことに気の毒な状況になつて、そうでない方が比較的余裕を持つというような事態も起るのでありまして、法律の建前は、まさしく災害を受けて減収をしたものに対しては、的確にその減収量に相当するものを差引く、しかしそれは御承知通り、国あるいは県あるいは市町村というもののわく内において、それをやるという建前になつているわけであります。その辺の現実と理論との食い違いというものは実際上あると存じます。その辺の誤差をできるだけ少くしてこの法律の運用の完璧を期して参りたいというところに、われわれといたしましては努力の重点があるというふうに、私は考えております。
  61. 竹村奈良一

    竹村委員 努力されただけでは困るのです。法律はおるけれども、努力したからそれで埋合せてくれということは、政府の方では通るかもしれぬが、一般には通らない。政府の方ではそのくらいにしておいて済ましてくれといえば済むかもしれませんが、済ませては困る。今御説明なつたように、部落全体でわけたというようなことがあつても、実際ほんとうに減額しなければならぬという人があつたならば、異議を申し立てて来ると思う。この異議申立が当然と認めた場合には、政府は補正をしなければならぬ、これは法律によつてはつきりしている。それを何とかやられたのでは、政府の方ではよいかもしれないが、米を出す方ではたまらない。今やつておられる補正割当というものは予想だ。予想だけでは問題は解決しないのであつて、実収の後においてこれだけ減収したという分に対して、個人々々が補正の要求をやつて来るのであるが、これに対して当然だと農業調整委員が決定し、あるいは県の農業調査委員が認めた場合には、政府は補正をやらなければならぬが、これをやられるかどうか。もしやられないとするならば、食糧確保臨時措置法という現在の法律を、ぶちこわしているということになるのだが、その点についてはつきり聞きたいと思います。
  62. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 本来の建前から申しまして「災害その他真にやむを得ない事由に因つてその指示に係る農業計画によつて定められた供出数量の主要食糧農産物を供出することができなくなつたときは、市町村長に対して、当該供出数量の変更を請求する」というようなことになつてつて、これが下から上つて来るわけです。ところが一方において、この減額をいたすわくは上から行つているわけである。その間に食い違いがあるので、ただいまのお話のような御議論が出ると思います。法律の建前から申しますれば、八條の規定によつて一定の手続をとつたものについては、減額をするという建前でございます。
  63. 竹村奈良一

    竹村委員 それではそういう正規の手続をとつたものは補正されるのですか。補正するならするとはつきり言つてもらつたら、それでよいのです。
  64. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 そういう請求のあるものを承認した場合には、これを減額することができるという建前です。
  65. 竹村奈良一

    竹村委員 それではこれを行われてから、全国でどのくらいの請求があつと思います。それはやはり食管法に基ずいて、米麦は——米麦だけじやありませんが、だれにも売ることができない。政府以外に売ることができないという建前になつておるわけでありますから、自分で消費すれば格別、ほかに売れませんから、売ろうとすれば政府に売らざるを得ないということになると思うのです。だから結局間接的に強制されておる。割当を受けていない農家も、米麦をつくつたならば、自分が食うか、政府に売るか、これ以外の方法しかないというふうに思います。
  66. 竹村奈良一

    竹村委員 それでひとつ聞きたいのですが、そうすると、これは食確法から言うと、個人的に事前割当をすることになつておる。そうすると今まで、ばれいしよばかりつくつてつて、ばれいしよの事前割当を受けておる。ところがばれいしよは供出の対象にならない。従つて何をつくろうとかつてだ。ところがたまたま米麦をつくつた場合に、今御説明されたように、とにかくこれは政府に売ることになつておるのだから、政府は買う。しかし事前割当はしていない、これは超過供出になるのですか。
  67. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 現在の扱いは、超過供出の扱いはいたしておりません。これは普通供出価格で買うことにいたしております。
  68. 竹村奈良一

    竹村委員 それは米麦をつくらなかつた場合には、これはもちろん供出の対象にならぬ。そういたしますと、また全国で個人々々の農家に対しまして同じようにその反別に応ずるとか、あるいは人口に応ずるとかいうことで、ばれいしよをつくる面積というものを與えておられるのならば別ですけれども、そうではないと思うのです。そうすると、ばれいしよの耕作面積を多く持つていて多く割当られた人は、これは実際畑を持つてつても、田を持つてつてもばれいしよだけをつくるように割当られた者は、全然供出の対象にならぬ。こうなるのですね。ほかのものをつくれば、米麦以外のものをつくれば供出の対象にならぬ。この人は果実をつくるなり、花をつくるなり、かつてにしたら供出の対象にならぬ。そうすると日本国内において、現在事前割当されている制度から言うと、一方においては、やはり土地を持ち、畑を持ちながら、一つ供出の対象にならぬ。一方においては強制的にとられるような、みじめな供出をしなければならぬものだけをつくつているというこの不均衡、これは一体政府はどうするのですか。その点を聞いておるのです。
  69. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 私からお答えするのはどうかと思いますが、一応考え方を申し上げますと、ばれいしよがはずされる。そうすると、たとえばばれいしよだけをつくつておる農家の相当広い面積が自由な状態になる。そこへほかの統制外のものをつくれば、これは非常に自由になつて、うまい経営ができるかもしれないし、まずい経営になるかもしれない。それから米麦をそこにつくれば、それを政府にしか売れなくなる。そこでこの矛盾を一体どうするのだということだろうと思います。これははずしました年においては、私はやはり問題もあろうかと思います。しかし生産者はやはり、その土地についてどういう農業経営をやるかということを自分できめられて、それへ米麦をつくるということになれば政府に売らざるを得なくなるというわけで、そうでないものは自由だ、これはもう何ともしようがないのじやないかと思うのです。その点は国としてどういう調整をとるかという点が重要な問題になるかと思いますが、これはやはり新しい農業計画を立てます際の一つの研究問題だと存じます。しかし端的に言いまして、何をつくるかは自由だし、米麦をつくれば政府に売らざるを得なくなるということだと思うのです。
  70. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると食糧確保臨時措置法という法律そのものが矛盾じやないか。それがあるからこれをとれないのでしよう。問題はそういう事前割当の制度があるから、こういう矛盾が当然起つて来る。しかもばれいしよや、かんしよが主食からはずされるという場合においては、そういう矛盾が相当露骨に現われて来る。そういうことから考えますと、結局現在の時代においては、もう食確法そのものが実情に即しない法律である。その実情に即しない法律を、またその上に輪をかけて改正するということは、はなはだもつて、実に農政に対するところの認識不足もはなはだしいと言わざるを得ない。この際いさぎよく政府はこういう改正案を撤回するとともに、それ以上に時代に合わなくなつたような、食糧確保臨時措置法という事前割当制度そのものをおやめになつた方がいいと思う。そうしなければそういう矛盾が至るところに起る。先ほどからくどくどと申しましたのは、單なる一例にすぎないが、至るところにこういう矛盾がある。一方においては法の不備につけ込んで、実に巨利を博するものと、まじめに米麦をつくつてつてますます貧窮化していつて、先ほど申しましたように、農業生産おも阻むような、いわゆる生活を切下げて行かなければならぬということになつて来ておるのは、一にかかつてこの食確法がそうせしめておる。従つてこれをやめるのが一番賢明な方法だと思いますが、これに対して政府は一体撤回する意思があるのかどうか。意思だけでは問題は解決しないが、早くやめてしまうように、どういうふうにやめてしまうということをお考えになつておるのか。もし考えがあれば聞かしてもらいたい。考えがなくて、これを盲押しに、時代に合わない法律でも続けて行こうとお考えになつておるかどうか。これを聞かしていただきたい。
  71. 森幸太郎

    森國務大臣 たびたび今までお答えいたしておきました。
  72. 河野謙三

    河野(謙)委員 安孫子長官に伺いたいのですが、割当をしていないところで、米麦ができた場合には、それは当然とるのだ、こういうのですが、農林大臣は、生産者農林大臣の定めるところによつて云々で、どこまでも供出というものは、政府が買取るものは、割当から出発しておると言つておるが、割当と関連のある相互関係のないものは、政府はどういう法的根拠によつてそれをとつておられるか。従来そういうものをとつておられるというのですが、法的根拠を伺いたいと思います。
  73. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 割当を受けていないものがつくりました米麦は、当然政府供出すべき義務があるのだということを実は申し上げたのではありません。それを処分せんとするならば、政府以外には販売できない、そういうことなんです。
  74. 河野謙三

    河野(謙)委員 その法的根拠は……
  75. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食糧管理法にございます。
  76. 吉川久衛

    ○吉川委員 ただいまの竹村委員の質問に対して、政府は定見がないようでありますが、今後この問題は十分検討されると思いますが、ただ、今予想される問題は、米麦をつくつた場合に、その米麦は政府の定める計画の中に入つていないものは、当然食管法で政府がお買上げになることはわかります。しかし計画外のものであるから、これは超過供出としての取扱いをするものである。こういうふうに解釈すべきであると思うのです。その点についてはつきりひとつつておきたい。
  77. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 この点は非常に議論のあるところでありまして、割当をしておらぬのだから超過供出というものはあり得ないという考え方もあるのです。割当をしてあるからこそ超過供出なのであつて割当をしてないのだから超過供出じやないという考え方をしておるわけです。もつともこの点は十分研究する余地はあると思うのです。しかしただいまのところはそういう扱いをしております。これは研究をしてみる必要はございますが、一応は現在そういう取扱いをしています。
  78. 高田富之

    ○高田(富)委員 ただいますつとお聞きしておりますと、初めのころ竹村君の輸入問題の質問に対しまして、農林大臣は、たくさんのものが入つて来るけれども、やはりこれは万一の場合とか、一朝有事の場合に保存しておく必要があるということから、こういうふうにやるのだという御説明がありました。その点についてもう一度御説明願いたいのですが、そうするとどういう場合に、どの程度のものを保存しておく必要があるとお考えになつておりますか。
  79. 森幸太郎

    森國務大臣 どう聞いていただいたか、保存というわけではありません。現在の食糧事情から考えまして、ああいうふうに外国からガリオアとしてもらつているのでありますが、しかしこれは本年度で打切られるか、来年度はどうなるか、再来年度はどうなるかは、約束がしてないのでありますからわかりませんから、当てにならぬものを当てにして食糧計画を立てたらたいへんなことになる。大よそここ数年の間はこういう情勢でつくる——あるいは小麦の協定に入つて、これははつきり百二十万トンずつは四箇年間入ることになりますが、こういう確実な性質のものであればいいのですが、来年度から打切られるかわからない不確実なものを当てに、食糧事情がよくなつたからこの法律はいらぬ。あの法律もいらぬ。増産はどうでもいいということを考えてはならぬと思う。こういう臨時的なものは、これを当てにして当てにならないのだという気持で、農業生産計画は立てて行かなければならない、こういうことを申したのであります。しかも万一の場合があつて、向うから持つて来ようとしても持つて来られぬというようなことがあつた場合に、さて日本食糧の自給自足をどうしようかというようなこと考えました場合に、決して増産をおろそかに考えてはならないという気持を持つておるわけであります。
  80. 高田富之

    ○高田(富)委員 先ほどのお言葉の中には、やはり国際間の万一の場合、一朝有事の場合というふうなお言葉があつたのであります。やはりそういう場合の貯蔵をしておく必要があるというお考えではないかというふうに明らかに聞き取れたのであります。この点については他の政府委員の方も、何らかの機会に貯蔵しておくということは言われております。この点もう少しはつきりしておきたいと思います。
  81. 森幸太郎

    森國務大臣 これは貯蔵というか、配給の確保を政府責任を持つておる以上は、当然相当のものを持つておらなければならないのであります。貯蔵ということも考えてみなければならぬのでありますが、これが日本の力でのみやつている食糧ならば、自分がかつてにこれだけ倉にしまつておこうというわけにも行きますけれども、御承知の外国からもらいながら、いつ何どきどんなことがあるかもしれぬから、これを貯蔵しておくというようなぜいたくは許されないのであります。しかし内地事情から申しましても、あの福井の大災震があつたり、あるいは関東の風水害があつたごとく、こういうようないわゆる天災地変を考えますと、相当の食糧は各地区において持つておらなければならない、こういうことも考えられるのであります。それでありまするから、ただつじつまを合わせればそれでいいという食糧政策でなしに、相当の余裕をもつ食糧政策を考えて行かなければならぬ。それに対しては貯蔵能力のあるときは貯蔵もして行くということも、おのずから起つて来ると思います。
  82. 高田富之

    ○高田(富)委員 百五十万トンくらい必要なところを、三百七十万トンも入つて来るということになりますと、これは今言いました程度の意味の貯蔵ということから考えますと、いささか多過ぎるのではないか。しかもガリオアのことを盛んに言われますけれども、この方は多少減つて来ましても、小麦協定の方もありますし、コンマーシャル・フアンドによる方も、むしろ今後は希望以上、予定以上に入つて来ることが多いということは、今年度の計画を見ても明らかであります。向うから予定以上買う方が、向う側として喜ぶという傾向がますます多くなつているのは明らかでありますのに、しかもあえてそういうふうに計画以上にたくさんとつて、一朝有事の場合ということでこれを保存しておくということは、政府のあなた方の考える意思以上のものを保存すべく関係方面からでも特に指示ないし指令のようなものでも受けられたのですか、どうですか。
  83. 森幸太郎

    森國務大臣 全然さようなことはないのであります。しかし日本食糧生産の状況は、御承知通り、本年は六千五百万石くらいあるだろうという予想をされましたものが、千二百万石も減收だというふうな各府県からの報告があるように、まことに日本の自然の状況、気候の状況が、はなはだ年々ともあぶないような情勢に置かれますので、なかなか日本食糧生産というものは計画通り行けない。よほど常に準備を考えて行かなければならぬということも、一つの見方だと思つております。
  84. 吉川久衛

    ○吉川委員 たいへん順番を狂わして恐縮ですが、いまの大臣お話によりますと、昨二十五日本委員会において、同僚の小平君に対するお答えの中にも、それに関連があることで、ちよつと見のがせない問題があるのです。食糧の輸入は自主的に定められないということを大臣はおつしやつたのです。それは増量を要請する場合だけでなく、減量の場合をも指しているのかどうかということ、それに関連しまして備蓄米と言いますか、備荒米のようなものは、世界の食糧の状況の見通しさえあれば、何もあらかじめ相当の量をむりをして用意する必要はないのです。要は国内生産米麦を早期に確保できるような方策をとればよろしい。最小限度の準備の食糧は海外に仰がなければならないという場合であつても、これをできるだけ早期に用意できるような懇請に手を盡されるならば、必要以上の量をあらかじめ確保しておくということは、非常に不経済な問題になると思うのであります。そういう点について大臣はどういうふうにお考えになるか。ことに最初お伺いいたしました食糧の輸入は自主的に定められないというのは、増量の場合ばかりでなく、減量の場合も同様に自主的に定められないのであるかどうか。これは非常に重大な問題でございますから、はつきりお答えを伺つておきたいと思います。
  85. 森幸太郎

    森國務大臣 自主的でない点は、援助資金として今年はこれだけやろうということをきめられるのでありますから、その額はこれが増量の場合も減量の場合も考えるのであります。なお輸入食糧のうちでバーター制によつてつて来る、こういうことは日本生産力の増進によつてバーターされるのでありますが、援助資金のうちから買う場合においては、今申しましたように自主的に行けないのでありますから、ふえるときも減るときも向う様の考え方であるわけです。足らぬときはいつでもとつたらいいじやないかとおつしやいますが、今日世界の食糧は十分になりましたけれども、まだ日本の管理されておる貿易の状態では、日本が自由に確保することはできません。従つてできるだけ国内食糧増産をはかつて、それ以上は援助の量をどのくらいに定められますかわかりません問題で、この段階としては、これをわれわれはひたすらに受入れているということより仕方がないと思います。もしこれが自主的に考えられるようになりますならば、その計画等においても、おのずからまた考え直して行かなければならぬと考えております。
  86. 石井繁丸

    ○石井委員 関連質問をいたします。現在かんしよ、ばれいしよの作付対象となつている耕作地は、かんしよ、ばれいしよが主食からはずされたときに、米麦等の主食の作付対象の耕地とするかどうか、こういう問題について農相の御意見を伺います。
  87. 森幸太郎

    森國務大臣 さつまいもをつくつた方がよいか、稲をつくつた方がよいかは農業経営者の自由であります。しかしその作付が統制いたしております米麦を生産された場合においては、先ほど食糧管理局長官から申し上げた通りであります。その生産物に対しましては、食管法において制約を受けられることと考えております。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 私は主として食糧需給の面から見て、この食確法の質問をいたしたいと思いまして、その資料の御提示を願つたのであります。肥料その他の補給金の撤廃が、消費米価にどうはね返つて来るか、また生産者にどういう影響が来るかというような問題が、具体的にはつきりしておらない。     〔委員長退席、野原委員長代理着席〕  また今度日英通商協定の成立によつて、商業基金に基く食糧は三十万トンがポンド地域からも入つて来る。こういう商業基金により輸入された食糧消費価格がどうして決定されるかということを考えないと、国内食糧問題が正しく考えられることはできないのであります。そういう意味から資料の提示を願つたのであります。大臣にお尋ねいたしたいのは、輸入食糧価格の決定方法もまだはつきりしておらないようであるにもかかわらず、来年一月一日から消費価格を一一%余引上げるということを、新聞等において農林省の見解を発表になつているようでありますが、どういう根拠によつて、さような消費価格の引上げが企図されておりますか、その点をお伺いしたい。
  89. 森幸太郎

    森國務大臣 一月から上りますのは肥料補給金の問題ではなしに、石炭、コークス、電力の値上りによつて一一%程度の値上りが予想されております。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 輸入食糧並びに肥料その他の補給金が撤廃になりますと、それだけはね返りが来る。消費価格の引上げが考えられていると同時に、生産者価格の面においてはいかように考えておいでになりますか。
  91. 森幸太郎

    森國務大臣 生産者価格の場合にもバツク・ペーを考えているかということですが、肥料補給金を一月に二〇%、三月に三五%、八月に七五%、二十六年一月にはこれを廃止するという予定になつておるのであります。それで農産物価格のパリティーは五月末一六四でありますが、九月末には一六八となるように予想されております。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 近来食確法の問題につきまして、著しく食糧需給状態が当時よりも異なつて来た。従つて前には抑圧供出とでも申しますか、非常に強権的な立場からこの供出を追つた。しかし今度は食糧需給が明るくかわつて来たので、むしろ食確法は、なるべく多く農民から供出せしめることが、農民のためにいいのである、従つて救済供出である、というような意味の見解が、いろいろととられているようでありますが、さような安易な、しかも思惠的な考え方に立つて、この食確法一部改正法律案を再び本国会に御提出なつたのでありますか。大体従来の農林省方針を見ますと、いわゆる農業政策の中心行政機関であると私どもは思つている。従つてこれは農民立場に立つた行政が、大体中心に展開されて行かなければならぬにもかかわらず、食糧政策と申しますと、どちらかというと消費者の立場に立つた行政に重点が置かれているのではないかという感じを、強く抱いておつたのであります。その点について、この食確法を再度御提出なつた点について、食糧需給のかわつた状態下にあつて、いかような御所見を農林大臣は持つておいでになりますか。この点をお伺いしたい。
  93. 森幸太郎

    森國務大臣 これは先ほどお答えいたしました通り、たまたま今日食糧事情がよくなつたということは、国内生産力の増強ということももちろん一つの大きい力でありますが、外国食糧の輸入が過去とは相当に増額になつて来たことが、私は今日の食糧事情が明るくなつて来た原因だと思つております。しかし先ほど申しました通り、この当てにして当てにならないという食糧のために、明るくなつた。それだからどんな無準備な状態に置いてもいいということは、将来を考えたときにすべきことではない。一時的にこういう現象が現われても、やはり増加人口考え、国土の生産力考えてみますと、すべての施設は当然準備をしてかかつて行かなければならない。かように考えるのであります。たまさか食糧事情がいくらかよくなつたということで、安易な気持においてこういう法案の不必要であるというようなことを考えることは、間違つているのではないかと思います。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 一つの仮定の根底の上に立つて、いかような事態が起きるかもわからない、万一の場合に備えなければならぬ。こういうお気持はよくわかりますが、これはちようど戰争中において、勝つために食糧増産をし、自分の保有米を割つても出さなければならぬという趣旨をもつて農民に非常な犠牲をしいた。いわゆる勝つという一つ方針のものなされたのが、こういう結果になつた。事態が違いますけれども、そういう万一の場合というようなものが間近く迫つているとは、私どもの常識としては考えられない。さような仮定の上に立つて、このような重大な食確法の一部改正案をお出しになるということについては、どうも私納得が行かないのであります。かりにそのことが必要であつたとして、百歩を譲つたといたしましても、とにかく来年度には相当のおびただしい外国食糧日本に入つて来ることも、まぎれもない事実である。といたしますと、日本農業は、これらの食糧と品質の面において、また生産費の面において、ほんとうに太刀打ちのできる生産力を確保して行かなければならなくなつて来るのであります。そのためには経営を合理化して行かなければならない。合理化して行くためには、農民の自由意思によつていろいろな作付の転換の計画を立て、これを実践して行かなければならぬ。にもかかわらず、米麦に関する限りにおいては、ちやんとこれは面積の上においても、価格の面においてもくぎずけにしてある。そういう足を縛つておいて、経営の合理化をやつて行くようなことは、おそらくなし得ないことではないかと思うのであります。しかも米価審議会の米価の答申案は完全に無規されている。さような低米価価格で抑えて、どこに経営の合理化をして行く余地があるかどうか。来年度予算には、食糧の海外輸入との状態をにらみ合せて、相当の用意があるということを、先刻大臣は御答弁になりましたが、用意があればけつこうでありますが、はたしてどの程度の用意がありますか、私どもは疑わざるを得ない。どのように政府が御施策になつても、補助金等は、大体においてどの産業を通じても打切りになる方向である。農業のみが特に保護政策の対象になつて行く状態でありますが、大体来年度のかような困つた情勢を前にして、農林省は経営を合理化し、日本農業が、世界の農業の一環として存立し得るような保護政策を中心として、予算編成に当つておいでになるのでありましようか、その点について大臣の御抱負を伺いたい。
  95. 森幸太郎

    森國務大臣 仮定の問題によつてとおつしやるのですが、何か食糧事情が一旦緩急というようなことを予想しているようにもお考えのようでありますが、決してそうではないのであります。当てにして当てにできないと申しますことは、アメリカの国会が決議しなければガリオア資金は入つて来ないのであります。また南方のバーター制についても、日本の工業生産が進まなければ、向うに品物が行かないから、米をこちらに持つて来ようといつたつて、そう簡單には行かないのであります。それでありますから、当てにして当てにならないこの外国食糧が都合よくなつたからといつて、この食糧法をどうでもいいのだというふうに考えることは、誤りである。それでどういう場合ということを考えますことは、この外国食糧が当てにして当てにならなかつたときに、日本食糧が内地において足しまえができるようなことを考えるならば、決して増産ということを、ゆめゆるめてはならないし、またそれに対する法制も、これをどうでもいいというふうに考えてはいけない。それで食確法改正いたしまして、昨年来御審議を願つているようなわけであります。今お話の、今後日本が独立自主の立場に立ちまして、外国の農産物と対等の立場考えたときに、日本の農産物の価格が外国の農産物の価格に比較して、どういうふうな現状に置かれるかということが第一であります。今日は相当国外の食糧が高いのであります。従つて日本食糧は比較するとここに安いのであります。それで外国の食糧がただちに輸入されようとも考えられませんが、日本の農産物を、ある程度外国の食糧と比較し得られる程度の引上げを考えて行かなければなりません。そしてまた外国の食糧日本に対してどんどん安く入つて来るというような情勢に対しましては、日本食糧がそれに対抗し得るような、生産費用を削減するという政策をとつて行かなければならぬと思うのであります。二十五年度において、しからばどういうふうな計画をいたしているかということにつきましては、先ほど農業政策といたしまして、総合的な考え方を持つて二十五年度予算編成をいたしたということを、お答えいたした次第であります。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 来年度の構想について具体的に承ることもできませず、その大綱も承ることができないので遺憾でありますが、それでは価格政策の問題につきまして、問題はいかように供出が苛酷であつても、その適正価格が策定されるならば、別にこれは問題とするに足らない問題だ。要は従来この供出問題が常に論議の焦点になるのは、大きな強権の対象にしておりながら、著しく価格が適正を欠いておつたということに、大きな論議の焦点があると思うのであります。そこで本年初めて国会の意思等を尊垂されて米価審議会をおつくりになつた。しかしこれは政府の諮問機関にすぎないのでありますが、これを来年度においては存続されて行く意思でありますか。現在のままでこの米価審議会の性格を変更されないのでありますか。でき得れば、審議会を決議機関にいたしまして、真にその決議が国会にもつながりまして、農民が納得のでき得る権威ある米価の決定機関たることを要望したいのでありますが、その点について、本年の米価審議会の経過から見て、いかような構想を持つておられますか、お伺いいたしたいのであります。
  97. 森幸太郎

    森國務大臣 審議会は諮問機関でありまして、普通の内閣組織法における審議会ではなかつたのであります。その審議会の御答申に対して、政府はこれを実行せなかつたという御批判もたびたび十分承りまして、またその間の事情もたびたびお答えいたしておつたわけであります。明年度引続きこういうふうな審議会を設けるかという問題でありまするが、来年度におきましても審議会として継続をいたしたい、かように考えておるのであります。しかしその構想等が、今のような審議会でいいか、行政設置法による審議会によるかは、なお検討を加えなければならぬと考えておるわけであります。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 かんしよの一月よりの全面統制撤廃が、先刻も大臣から、御答弁があつたのでありますが、その場合に穀類のみで二合七勺を確保して行かれるお考えでありますか。そういう場合に国内食糧輸入食糧の比率と申しますか、割合と申しますか、その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか、お伺いいたしたいのであります。
  99. 森幸太郎

    森國務大臣 来年度食糧計画につきまして、全然かんしよ類を除外するという構想は持つておらないのであります。これはたびたびお答えいたしましたが、日本の家庭の情勢から見ましても、いも類というものを主食の一環とすることが妥当である、こういう気持を持つておるのでありまするが、しからば二合七勺の現在の配給量を米、麦、輸入食糧でやつて、その上にいも類をすればいいではないかというようなことも考えられます。また一部においては二合五勺の配給にして、いも類を廃して輸入をしたらどうだというようなことも考えられておるのでありますが、現在輸入食糧の二〇%くらいが配給量の位置を占めておると思うのであります。大体そういう程度において、来年度も継続し得るのではないかと考えておるわけであります。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもこの点はつきりしないようでありますが、いもの統制撤廃と穀類のみの二合七勺ということは、大体政府もまた一般国民も、このいもの問題が本年夏突如として出て来て以来、そういうところに重点を置いて施策を進めておられるような印象を受けるような新聞発表等が、しばしばあるのでありますが、今大臣の御答弁を聞きますと、さようなことは考えておらない。こういうお話でありますが、来年度のいも類についてはいかような構想を持つておいでになるのでありますか。政府の買上げたものを、主食としてやはり二合七勺の一部として配給をして行く、こういう方針で計画を立てておいでになる、かように解していいのでありましようか。     〔野原委員長代理退席、山村委員長代理着席〕
  101. 森幸太郎

    森國務大臣 私ここでお答えしたことが何回もあると思うのでありますが、九月に司令部の覚書が出まして、二十五年度にはいも類は日本食糧から除外してもいい状態にあるというような覚書が出ましたので、もう来年からはいもというものが統制撤廃、主要食糧から除外されるというように誤解されたのが一つ、それからもう一つはどこかの方面から、二合五勺にしていも類をはずす、こういうふうな構想が、むろん一人が考えたあれでありましようが、新聞に掲載されて、これが世間に伝わつたという、この二つの問題でありまして、政府におきましては、先ほど私が申し上げました通り、いも類の重要性を考えておりますので、ぜひとも来年度の主要食糧のうちにかんしよにおいて約四億万貫、ばれいしよにおいて一億五千万貫、これを主要食糧のうちに入れるという計画をもつて、来年度食糧需給推算を立てようとしておるのであります。ところが御承知通り、この食糧管理特別会計法において、司令部の方においては、いもは除外してもいいではないかというこういう観点からかと存じまするが、このいも類の買入れ予算を現在認めておらないのであります。それをしますと、私がいかにさようなことを考えましても、これが実行に現われて来ないということでありますので、これは先般閣議後、経済閣僚が懇談いたしまして、ぜひこれだけのものは日本の主要食糧として必要である。だがそれを入れるには、特別会計の編成の上において考慮をしなければならない。こういう結論に達しまして、関係方面と目下折衝をいたしておるような次第でありまして、これは来年度から主食からいもをはずして自由にしてしまうということは、言つたこともありませんし、また現在の考え方は今申した通りであります。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 そこが非常に重大な問題でありますし、また農民として一番迷惑な点があるのであります。御承知通りに、来年にかんしよを作付けようとする場合には、すでに今の麦のまきつけの様式からかえて行かなければならぬ。これはもう御存知の通りだろうと思います。それを主食に取入れて買上げて配給をして行くのか、あるいは幾ら買上げて行くのか、生産計画はまだ割当てをしないで、こういうような宙ぶらりんな状態が、もう冬も間近かに迫つて、いまだに続いておる。その結果がどの程度農民に迷惑を與えておるかということは、東京のまん中においでになれば、あまりおわかりにくいと思いますが、実際地方の農民は実に迷惑をしておる。この煮え切らない、いずれになるのかいたつてはつきりしない。しかも一般の報道機関は、完全撤廃の様式になるやの印象を強く與えておる。これはまぎれもない事実であり、大臣もよくその点はお感じになつておると思うのでありますが、すみやかにこの問題に対しては、政府は基本的な態度を公表されるのが当然であろうと思う。こういう機会にいま少し——その御意思はよくわかりますけれども、全国の農民に、いも問題に対する踏切りをつける意味において、もう少しつつ込んだ大臣の御所見を、また関係方面との折衝の経緯というものが聞き得られるならば、この際にお聞きいたしたいのであります。いかがでございますか。
  103. 森幸太郎

    森國務大臣 来年度のいもに対する考え方は、ざつくばらんに今申した通りだけであります。現在いもの生産量は十五、六億万貫というものが予想されております。従つてこの十五、六億万貫のさつまいもを明年植えつけることによつて政府が買わないからつくらない、買うからつくるというような、浮動性の多い農業経営ばかりではないと私は考えております。政府が買いましたところが、食糧だけの四億万貫そこそこでありますが、いもの工業的な位置は今日農家でよく知つておりますから、政府が買わぬから、さつまいもをつくらぬというように、そう極端に農業経営は転換されるものではない。従つて政府といたしましては、いも類に対する統制を撤廃するに際して、この転換し得ない作物であるだけ、それだけ準備が必要であり、また将来の対策が必要であるということを考慮いたしておるわけであります。それでありますから、政府が来年度のいもをはつきりしなければ、種いもの貯蔵もわからないというような、そういうあやふやな農業経営を今日指導せられておるものではない。農業経営に対しては、相当計画的な経営を指導されて今日まで来ておるのではないかと考えております。
  104. 足鹿覺

    足鹿委員 私は別にそういう、政府が買わなければいもをつくらないというような指導を、私どもはいたしたいこともありませんし、また百姓もそのような考え方を持つておらぬと思う。いもが農業経営に占むる地位からいつて、これはたれが何と申しましても、そう簡單には転換できないのであります。しかし政府の大口需要と申しますか、四億万貫でも五億万貰でも、政府がお買いになるかならぬかということは、結局においていもの価格に大きな影響が出て来るのでありまして、そういう点からして、いろいろとそこに問題が発生して来ると思うのであります。決してそういう考え方ではなしに、経営をほんとうに合理化して行く、そして将来を見越して、日本農業の経営の転換をはかつて行く、そのためには今の一年は、先になつて非常に貴重な一年であると思うのであります。そういう意味において、もう少しはつきりとした御見解を承りたかつたのであります。大体いもの統制方式の改変ということを、大臣は常に言つておられまして、撤廃ではない、こういうことを言つておいでになりますが、新しい来年のいもの統制方式の様式は、ちようど米穀法によつてつて米を買い上げて行つた価格操作の面からするいもに対する方針でありますか。その辺のところを、もう少しはつきりとさしていただきたいと思います。
  105. 森幸太郎

    森國務大臣 過去の価格調整による米の買上げということは、需給関係考えずに、米価というものの維持ということを主眼として行われたのでありますが、明年度に対する構想は、主要食糧のうちの一環として四億万貫というものを計画いたしまして、それを府県別に順序を定めて買入れの予約をいたす、こういう形によつて生産をしてもらう、あるいは政府に売つてもらうといつた方がいいのでありましようが、そういうふうな形によつて行きたい、かように考えております。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 それは農林当局のお考えでありますか。大体閣議によつて決定をし、実行のはつきりとした御方針でありますか。私どもが聞きますと、しばしば農相のお考えと、また増田官房長官のお考えとは始終食い違つておる。そういう点から世間に必要以上の混乱と、無用の心配を與えておると思うのでありますが、その点をはつきりしていただきたい。
  107. 森幸太郎

    森國務大臣 それは先ほど申し上げました経路によつて、これが今計画をいたしておるのであります。
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 これ以上いもの点については、はつきりしないようでありますから、最後に本年の作況の問題に関連をいたしまして、先刻本会議で二百四十五万石の補正の成立したことを大臣から御報告を聞きました。そこでこの程度ではとてもまだ供出の完了はおぼつかない。農村はそういつたゆうちような作況ではない。これは農林当局もよく御存じのことと思いますが、この補正の問題をもつと増額して行くという基本的な問題も、一本貫かなければなりませんが、それにかわるべき措置と申しますか、たとえば検査規格の緩和の問題、あるいは五等米制度の実施の問題等が、現在新聞等によつて伝えられておりますが、五等米の制度ということはどういうふうな内容を持つておるものでありますか。大体産地の意向を聞いてみますと、供出量の一〇%程度は屑米の供出がなければ、本年の供出は完了できないという東北方面の主産地の意向を、私先般現地において、一週間ばかり意向を聞いたのでありますが、その点について、五等米制度というものと検査規格の緩和の問題、また屑米との関連において、いかようにお考えになつておりますか。大臣並びに食糧庁長官から、詳細にお伺いしたいと思います。
  109. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 五等米の設置につきまして、今回の補正に関連して、今年の米のできぐあいから、またその他万般の状況からいたしまして、一般的に五等米を設置して、これを政府の買上げ対象にするという措置を講じて参りたいと考えております。五等米の規格はまだ決定をしておりませんけれども、ただいまわれわれといたしましては、一升重量三百八十匁以上で……     〔山村委員長代理退席、委員長着席〕 整粒歩合四五%以上というようなスタンダートを考えております。しかしこれはもう少し各地の実情と資料を整備いたしまして、近いうちに決定をいたしたいと考えております。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 五等米の規格の概要を知つたわけでありますが、三百八十匁、整粒四五%というようなものでは、とうてい屑米としての農家供出要望にはこたえ得ない非常に高度なものであるという印象を受けます。この点については、もつとよく本年の作況とにらみ合せて、御研究を願いたいと思います。  なお検査等級の問題については、しばしば検査員の検査能力の問題が、この委員会でも論じられておつたのでありますが、検査員の増員の問題について、来年度いかようにお考えになつておりますか。相当量の増員なくして現在のごとき戰前の検査規格に復活して行くということは、非常にむりであるということは、御存じ通りであろうと思うのでありますが、そのへんについていかようにお考えになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  111. 森幸太郎

    森國務大臣 食管の末端職員の問題については、十分考慮いたしまして研究を進めておるわけであります。どのくらいになつて、あるいはどうするかということは申し上げる段階に入つておりませんが、実情に即するように考慮をいたすつもりであります。
  112. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に一点お尋ねいたしたいと思いますが、本年の超過供出の報奨の対象となる米は、三百万石ということが予算的裏づけによつて盛られておつた大臣の意向では、たとい倍率が二倍になろうともその予算の範囲内においては善処するような御意向であつた、ところがその直後の安孫子長官の答弁によりますと、予算予算であつて倍率がきまればこれにはしんしやくの余地はないと完全に御意の対立を見たことを私は記憶いたしておりますが、その後において現在の早場米の供出状況、また超過供出の予想というようなものは、およそ当局も御見当がつくと思いますが、その予算の範囲内において、超過供出の二倍を若干考慮するがごとき運営上の措置は講ぜられるのでありますかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  113. 森幸太郎

    森國務大臣 これは問題は時期の経過がありますので、長官の答えましたことと私の考えましたこととは、その時期が違つておるとお考えいただきたい。それは三百万石ということを石数として考えた場合に、予算一定のわくがきめられるということになれば、この予算折衝の間に、自分らとしてはこれは昨年の例では百五十万か百八十万ぐらいしかどうしてもとれないのだ、二百万石ぐらいしか取上げられない。そうすればこの予算のわく内で、わくより出ることができないならばここで考慮しなければならないのではないかというので、私の立場として折衝を続けておつたわけであります。しかし予算を三百万石と考えはつきりと二倍ということが向うより示されたわけでありますから、今この予算の範囲内において、これを二倍にするのか三倍にするのかということは、この超過供出の石数が減つたといたしましても、これを運用することができ得ないということに確定されたことを御承知願いたいと思います。
  114. 足鹿覺

    足鹿委員 これと同様な問題のようでありますが、早期供出の報奨金が著しく当初計画よりも不振であつた予算においてはこれも相当額の残が予想されるのでありますが、本年の検査規格は非常に苛酷という言葉は過ぎるかもしれませんが、大体そういう実情である。そういつたために三等米以上に早期供出の報奨金が出た、これが予算残額のふえる原因なつたと思うのでありますが、ことに全体の早場米供出のうち四等米が何パーセントぐらい占めて、どういう実績でありますか、これも予算の範囲内においては、農家救済の意味において増額し得ないものでありますかどうか、この点もあわせてお伺いいたしたい。
  115. 森幸太郎

    森國務大臣 こまかいパーセントは他の政府委員よりお答えいたさせますが、本年の早場米超過供出に対しまして考えましたことは、昨年の轍を踏みたくなかつたのであります。昨年は実に極端な軟質米がありまして、極端なものになりますと、きよう稲を刈つてあした俵にするというようなものがありまして、しかもそれが倉庫の下積みとなつて東京へ送り出せないために、数百俵が腐敗したというような事実もあります。また東京に持つて来ても、あまり軟質米であり、調製もできておらないために、精白もできないというようなことが昨年はあつたのであります。それで本年はそういうことがあつては、生産者はどういう考えか知らぬけれども消費者として非常な迷惑をするのであるから、相当な検査規格を定めて検査をする、そうして四等級であつたけれどもこれを三等級にせばめまして、そうして奨励金も時期的に千円、七百円、四百円と、こう三段階にわけたのであります。そうして今日の成績は大方予定数量は供出が終りました。ただ予算が幾らか余つたということは、本年の収穫時期か一週間ばかりずれがあつたのであります。従つて第一回の供出の時期をはずしたがために、予算が余るというようなことになつたわけでありますが、そういう関係からせめて十一月の五日まで延ばしたいということで、相当これも努力をいたしたのであります。ところが早場米というものは昔の残つた制度でありまして、過去におきましては、この早場米を出してもらわなければ端境期が越えられないのだというこの考え方から、奨励金を出してでも早く出してもらいたいというので、これをやつて来たのであります。この観念が関係方面にはやはり持続いたしておりまして、本年のような食糧事情のいいのに、一週間か十日延ばしてまで早場米を買う必要があるか。食糧はすでに端境期を越えて保有されておるではないかという見地から、とうとうこちらの要求が実現し得なかつたのであります。従つてこの早場米の数量は予定通り收納いたしたのでありますが、ただその収納の時期がずれたため予算が残つたわけでありまして、政府といたしましてはできるだけの努力をいたしまして、早場米地方の、一面救済の意味もありますので、考慮いたしたのでありますが、結果においては以上申し上げた通りなつたわけであります。
  116. 足鹿覺

    足鹿委員 いろいろお尋ねを申し上げたのでありますが、これを要するに食確法の一部改正という、大きな法律改正を裏づけて行く政府に施策がはつきりしておらないことを、非常に遺憾に思います。結局このドツジ・ラインを中心とする苦難日本再建の方式の中にありまして、日本農業の占めて行く地位をどういうふうにお考えになつておるか、また農民の生活をどういうふうにして守つて行こうとしておられるか。私どもはその決意と具体的な大綱とを承り、転換期における日本農政の構想を、農林大臣を通じて聞きたかつたのでありますが、具体的に何ら御答弁をされなかつたことを、非常に遺憾に思います。あまり私のみが発言をいたしておりましても恐縮でありますので、本日はこれで私の質問を打切りたいと思います。
  117. 小笠原八十美

    小笠原委員長 次は小林君。
  118. 小林運美

    ○小林(運)委員 農林大臣は、先ほど本会議におきまして、本年度の減額補正は二百四十五万石ということを御発表になりましたけれども、昨日は百十四万石びた一文も欠けられないというような言明をなされておつたのでありますが、一夜にしましてかような結果になつた間の事情を、詳細御説明を願いたいと思います
  119. 森幸太郎

    森國務大臣 これは先ほど申し上げなかつたかしれませんが、十一月の十五日に司令部より指令がありまして、予想外なる補正石数でありましたから、とうていこれでは実行困難であるという観点から、ただちにこちらの意見を司令部へ伝え、司令部に対して、その後ほとんど毎日足を運んで交渉を継続いたしておつたのであります。しかし二十五日中に決定しろという向うの指令もありますので、二十五日にとりあえず知事会議を招集いたしておりました。そうして早朝から出掛けて、いよいよ本日は知事会議を招集して割当をしなければならないが、今日までたびたび交渉を重ねておる通り、とても百十四万六百石においては、われわれは補正割当ができない。現に中央調整委員会を二十日であつたか、開きました当時におきましても、これは容認できないという結論まで下されておることは、司令部も種々御承知通りであり、今日知事会議を開きましてもまとまりがつかぬと思うから、なお再考してもらいたいということを要求いたしたのであります。しかしその日においては、これは司令部として断じて容認できない。どうしても政府としてこれが責任が持てないと言うのならば、司令部の責任においてでもこれを知事会議に報告して、まとめるように懇談しろということでありましたので、私は心ならずも知事会議に臨みまして、司令部の意思に基いて百十四万六百石を割当てた数字によつて、知事会議に承認を求めたのであります。しかしもとより私としては、この数字に満足しておるべきものではないのでありまして、昨日午後から夜にかけて先方と交渉いたしました。その当時知事会議の事情、また中央調整委員会意見、あるいは町村長の意見等も出ておりましたので、つぶさに状況を具申いたしまして再考を促したのであります。その間いろいろの複雑な問題もありましたが、ようやく昨晩、本日発表いたしました二百四十五万石まで承認を與える、しかしこれは六千九百二十万石という司令部の收穫予想が誤りであると考えたからそうしたのではない。ただ政府として今日まで折衝を重ねられた内容等を勘案して、これだけのものを認めるということに昨夜結論がつきまして、本日十二時半司令部に呼ばれまして、公式な承認を與えられたような次第であります。一夜にかわつたその間の事情は何だという御質問でありまするが、事実は以上申しました通り、少しの偽りもかけひきもありません。その通りの情勢であつたのであります。
  120. 小林運美

    ○小林(運)委員 知事会議におけるいろいろの意見等もありましたが、われわれもこの問題につきましては、昨日の本会議においてもいろいろの意見がございまして、とうていかようなものではやつて行けないということが明らかにされておりましたが、知事会議の方はこの二百四十五万石で引受けるというふうになつておりますか。
  121. 森幸太郎

    森國務大臣 引受けるとも引受けぬとも承つておりませんが、きよう中央調整委員の代表の方と、知事のブロック的代表の方とがお見えになりましたが、二百四十五万石ということを知らずに来られたのであります。総理大臣に、とうていこの百十四万六百石の補正では受取つて帰れないから、何とかこれを善処されたいという御要求のために、きよう十一時半お越しになつたと思います昨日は公式な承認を與えてもらつておりませんけれども、大体の方針が昨夜示されましたので、非公式ではありますが、その代表の方に、実はこういうようなわけで昨夜来いろいろと折衝を重ねました結果、こういう程度まで譲歩ができました、二百四十五万石と申しますと昨年よりは補正が十五万石多いのでありますが、こういう数字で割当てるから、どうかひとつ、これ以上何とかできたら政府としても努力をいたしますが、まずこの数字において各府県知事の承認を求め得られるように、努力していただきたいということをお願いいたしたのであります。代表の方でありますから、これを聞き取られまして帰られたのでありますが、政府は明後二十八日午前中に中央調整委員にお集りを願つて、御番議を願いまして、午後知事会議を招集し、この問題の御了解を得たい、かように計画を進めているわけでありまして、本日代表者がこれを応諾したとも否決したとも聞かないが、ただ今日までの経過を申し上げたのを聞いて帰られただけであります。
  122. 小林運美

    ○小林(運)委員 経過はわかりましたが、農林大臣の話では、昨日までは百十四万石、本日は二百四十五万石ということですが、これで農民を納得させるつもりでおりますか。さらにもつと補正をするというような考えをお持ちでありますか。
  123. 森幸太郎

    森國務大臣 政府の今日まで努力いたした跡を振り返つてみまして、本日司令部よりの指令によりまして、今私がいかに心に考えておりましても、これ以上の補正を決定することは不可能であるという考えを持つております。
  124. 小林運美

    ○小林(運)委員 当局は、昨日も百十四万石でこれ以上は絶対だめだというようなお話でありましたが、本日また百三十万石ふえた。それでまた何かの問題があれば、また何とかなるのではないかというようなことも一応考えられる。大臣はその点はもつと手を盡すべきことがあつたのではないか。また今後もあるのではないかというふうに私は考えます。その点はだんだん下つて来るのか、上つて来るのか知らぬが、その辺の大臣の腹がどうもわれわれにはわからない。一千万石以上の減收が見込まれているということに対して——これはあるいは一千万石だか、一千二百万石だか、一千七百万石だかわかりませんが、とにかく二百四、五十万石程度の補正では、とうてい農民が納得できないこということは、だれでも考える。それを今後もうこれ以上おれの手ではいかぬということを、ほんとうにお考えになつておるかどうかということを、さらにつけ加えてお尋ねしたい。
  125. 森幸太郎

    森國務大臣 渉外関係は、かけひきや謀略では行けません。誠心誠意こちらも話し、また向うも決してかけひきでやつているわけではありません。従つて一晩考えたら百万石、もう一晩考えたらまた百万石という安易な今日の国際情勢ではありません。私はきのうも知事会議で申しました。私はこの数字は、日本政府としては責任持てないと言つたときに、司令部といたしましては、君が責任持てなければマツカーサーの指令として知事会議に示せと言われて、私はそういうことを知事会議で心ならずも申し上げたような次第でございます。従つて昨夜遅くまでこの問題の折衝に当つたのですが、冗談やら、ふかふかした気持で折衝は進められないのであります。場合によつてはどういう問題が起るかもしれないという事情を話して、そうして今日の收穫予想が現実にこうである、どうしても政府としてマツカーサー指令の百十四万石は受け取ることができない事情にあるからと話して、ようやくここに落ちついたわけであります。もう一晩寝たら百万石ふえるという安易な状況でないということを申し上げておきたいと思います。
  126. 小林運美

    ○小林(運)委員 大臣のその意気なかなか愛すべきだと思いますが、われわれはそのくらいの元気でさらに闘つてもらいたいと思います。こういう問題はもつといろいろ申し上げたいのですが、先ほど竹村君の質問に対して大臣並びに食糧庁長官からも御答弁がありましたが、食確法によつて府県、町村、部落、個人というふうにだんだん行つて、もしこの補正が農民の下の方からどんどん盛り上つて来て、この二百四十五万石ではとてもだめだという最後の段階に来たときには、大臣はどうされますか。
  127. 森幸太郎

    森國務大臣 さようなことは毛頭考えておりません。実は司令部においては、日本政府はうそをつくといつて信用がないのであります。先般の麦の割当でもそうです。司令部の指令した数字ではとうていできないということを調整委員会お話になり、府県知事もこれではうちに帰れない、こういう状況で補正をいたしたのでありますが、それを実際やつてみました供出の結果は、その補正以上に超過供出が出て来たというふうなことがあつたために、日本政府は作柄についての考え方に非常にかけひきがある。ことに今回司令部として考えられていることは、この予想に対して政治力の圧迫があるというような解釈を先方はしているようであります。そういうふうなことで、そういう力によつてゆがめられているこの食糧政策を政争の問題に使うということは、非常に司令部としては関心を持つているらしいのでありまして、今小林君のお話のように、この割当がとても末端において受取れないというようなことは、私はおそらくない、このように考えているわけであります。
  128. 小林運美

    ○小林(運)委員 これはなかなか重大な問題です。これは前にそういうことがあつたから、また同じことだというふうに大臣はお考えになつているようですが、この前に麦の問題でもそういうことがあつた。ところが今大臣がるる話しているように、先ほども私は大臣の決意を伺つたのは、そこにあるのですが、二百四十五万石で減額補正はもう大丈夫できるとお考えになつているなら、それでいいが、そうでない場合にはどうされますか。
  129. 森幸太郎

    森國務大臣 二百四十五万石は知事会議においてぜひとも承認をしてもらわなければならぬし、もらえると考えておりますから、小林君のような仮定の問題について私はお答えできません。
  130. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま小林君が質問しました点は、実は産米三千百万石の供出を完遂するかいなかという重大な問題でございます。政府はさきに百十四万石を全国知事会議に指示しましたときに、これでは実情は相当困難と思うから、たとえばこれの善後措置として五等米制度を設けるとか、あるいは保有米を供出しなければならぬ農家に対しては、還元配給をするとか等の処置を講じて、司令部の命令による百十四万石を何とか納得してもらいたいということを、あなたの方は指示している。そのことから考えますと、今小林君が質問しました通りに、かりに非常な御努力によつて、ともかくも二百四十五万石を机上の線に持つて来たとしても、これは現実の被害の状況から考えますと、政府自身においても、おそらくこれで完全な補正の量とは考えていないと思うのです。御存じ通り農林大臣みずからが三百万石くらいは補正をしなければならぬということをたびたび申されている。また作報あたりの調査によつても、これ以上の被害があるということは、たびたび新聞にも公表されている。また本委員会においても、食糧庁長官みずからがそれを言明されている。     〔委員長退席、野原委員長代理着席〕 何も政治的な圧力を加えたり、政争の具に供して数字をつくつたのではなしに、実際の被害の状況を、政府が公平な立場から把握された数字が相当な被害量に達している。その報告を受取つた大臣は、少くとも本年の産米の補正は三百万石くらいが妥当でないかという一つの確信のある発表をされている。それ以上の場合ならば、あなたは確信を持つて納める腹もありましよう、しかしそれ以下の数字の現実が起つているのです。従つてこれに市町村の供出が達しなかつたときには、供出責任者たるあなたの責任になつて来る。あなたの方は、單に紙一枚でもつて印刷をして配つたら事は済むかもしれぬけれども、これを持つて帰る知事なり、また知事の命令を受けますところの市町村長は一体どうなるのです。その下におりますところの生産農民は、実際に披露を受けているものをごまかしている人もあるかもしれません。しかし大部分はまじめな農民で、全部が全部ごまかしているということは、どこをもつて断定ができますか、おそらく断定はできない。そういう点から考えて、最悪の場合をわれわれは予感し、それに対する対策を国会としても十分立てておくことが、わが国食糧確保の上から必要であります。そういう見地から、われわれはこの問題を真剣に取扱つているのであつて、その点については絶対誤解がないように願いたい。政府が予想しましたところのこの二百四十五万石で、万一各県知事が引受けて帰つてくれるならばよいが、私どもは数県の知事に会つておりますが、これではまだいかぬということをはつきり言うておる。あなた方のいろいろの御説明によつて納得されるかもしれませんが、なかなかこれはまだ難航であります。これを各市町村に持つてつて、知事から説明した場合、実際の被害の状況と合致しない場合は、政府の要求します供出完了はできないことになつてしまう。その場合に政府はどういう手を打つてこれを実行し、その目的を果そうとするか、昨日知事会議で指示した五等米制度をもつてそれを埋合せしようというのか、あるいは保有米を出した者は、生産者価格によつて還元しようとするのか、そういうことはやらぬというのか、何かそこに政府として多少ゆとりのある、甘い手が打たれなければならぬと私は思う。そのくらいのゆとりは大臣は持つておるだろうと思うが、どうですか、そこをざつくばらんに言つたら……
  131. 森幸太郎

    森國務大臣 三百万石、四百万石の補正を妥当なりという考えを持つてつたといたしましても、百十四万石によつてぜひともこれをやれという指令を出される以上は、政府といたしましては、それを目標として実行することを地方長官にお願いするよりほかにしかたがないのであります。幸いこれが二百四十五万石に増加されたのでありまして、当初自分の考えておつたのとはなお及ばないのでありまするが、しかし百十四万石でもぜひともこれを承認してもらわなければならない。ぜひひとつ協力してくださいと知事会議にお願いする気持と、まあこれが二百四十五万石になつて、ぜひひとつ協力してもらいたいということを知事会議にお諮りすることは、よほど政府としては苦しさが減つて来たわけであります。明後日の知事会議において、どういうふうな意見が出ますか、それは会議に臨んでみなければわかりません。しかし知事といたしましても、持つてつて地方に対する事情もいろいろありましよう。ごとしの被害程度もいろいろなことになつておりまして、一概に平均しておりませんから、言えないのですけれども、しかし知事も苦しい立場ではありましようが、今日日本の国際的に置かれているところの事情等も考えられまして、そうして私は知事全部が結束して、さらにどうしてもこれを受入れないというところまでは、強硬なる態度に出られるはあるまい、時局を認識されまして、政府が今日お願いいたす気持をくみとつて、協力をしてもらいたい。ぜひともそうしていただかなければならぬと考えておるわけであります。
  132. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、百十四万石を指示した場合、五等米制度なんというものはこの際一切やめる、そうして保有米を供出しなければならぬ悲惨な農家の還元配給もとりやめる、こういうぐあいに考えてもさしつかえないか。これが一点。  それから大臣お話を承つておりますと、夜店のバナナを安くたたいておるような気がして、まことに私ども困ると思う。それはなぜかと申しますと、それはあなたが常に口にされます通り、この数字というものは少くとも科学的な基礎に立つ数字でなければならないのです。そうでなければこれを持つてつて説明しようがないのです。そんな数字をどこを基礎にして持つてつたんだと誉われるにきまつているのです。従つて百十四万石でがまんをせよと言われていたやつを、ともかく百三十万石ほどまけてもらつたんだから、これで納得したらどうだ。これではまつたく商売人の取引か、夜店の商人の取引みたいなもので、これでは政府の政策として全農民に要望する態度ではないと思うのです。われわれとしては、全力をあげてこのことについて努力をしてみる、またやつてみてくれ、万が一具体的に合わぬところがあるならば、政府はその事実上の具体的事実を押えて、さらに十分な対策を講ずる。だから安心して帰つてつてくれ、そのかわり、もしいかぬ場合は、こういう手をわれわれも考えよう。ここまでやはり政府としては考えてやることが、供出責任者としての私はやることじやないかと思うのですが、その点に対してどうお考えでございましようか。
  133. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 五等米の設定は今度の二百四十五万石になりましても、全国的に設定したいと思います。
  134. 井上良二

    井上(良)委員 設定いたしますが、還元配給はどうです。
  135. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 還元配給と申しますが、これは制度的には現在のところないわけであります。還元米というのは……。ただ農家用のわくにおいてアジヤストする含みを多少持たしております。この辺のことをあわせて知事会議の席上において、実情を十分聽取いたしまして、そしてその必要があれば考えて行くということをお答えいたします。
  136. 森幸太郎

    森國務大臣 それは井上君の御意見として承つておきましよう。百十四万石は科学的にこうだ、二百四十五万石は科学的にこういう数字になるということは、あなたが私の位置になりましても、大方説明はできますまい。これはあなたの御希望として承つておきます。
  137. 竹村奈良一

    竹村委員 小林君の質問に対する農林大臣答弁中に、本年度の麦の超過供出は、補正せよせよと言つて補正さしておいて、超過供出が予想以上に多く出た。こういう御答弁があつた。これは全国の農民に対して大きな問題だと思う。超過供出がよけい出たから、補正のときには補正を多くかけて要求しておいてそのあと超過供出で多くとる。こういうことが農林大臣答弁の中からうかがえるのであります。これは全国の農民を侮辱するもはなはだしいと思う。私はそういうふうな言辞を出されること自体が、今日の食確法というものをどういうふうに考えておられるか。その法律に基いて供出させておられる。従つて超過供出が出るのは当り前なんだ。そうして減額補正するのは当り前なんだ、なぜならば事前割当の一線を引いて、これ以下の分については補正をしなければならぬ、それ以上できた人に対しては、できた分はどんどん超過供出をするのが当り前だ、従つて超過供出は、補正割当がいくら多くあつても、超過供出がいくら多く出てもふしぎはない。この点を大臣はどう考えているか、それは超過供出が多く出たから補正割当を多く要求したのは何か……。これは取消してもらいたい。取消さないとしたならば、食確法そのものの精神を考えておられない。これは重要な問題ですから、はつきりしておいていただかないと、今度の供出米の先遂に大きく響く問題です。
  138. 森幸太郎

    森國務大臣 これは司令部がさように批判をいたして、日本統計に対して真実性がない、こういうことを言つているということを聞いているのですが、司令部へお聞きくだすつてもそういうことを言います。司令部はそういうことを言うて、今これだけはどうしても補正してもらわなければ完納はできないということを言つても、昔の実例はどうだ、これは天然資源局から繰返しわれわれは聞かされていることなんです。それだからその通り申し上げたのです。
  139. 竹村奈良一

    竹村委員 農林大臣は、日本農民農林大臣だと思つておるのですけれども、これは違う。少くとも日本農林大臣であつたならば、そういう問題があつても、この食確法の実情というものを十分話をされて、食確法から言うならば、一線を引いた以下は補正をしなくちやならぬ、それ以上多くとつた人は超過供出でとるのだということを、納得が行くように説明してもらわないと、そういう誤解が生ずるのです。従つて補正の問題についても、初めは百十四万石しか行かぬけれども、また今度追加してもらえるというほどの決意を示して、ほんとうの事実を説明しなくちやならぬ。それを総司令部へ聞けというのであつたら、結局はそうおつしやること自体、日本農政というものはあなたが担当されていない、こういうふうに解釈してよいのですか。総司令部が実際おやりになつている。そう解釈してよいですか。
  140. 森幸太郎

    森國務大臣 君は話の一部をとつて論ずるからぶちこわしになつてしまうんだよ。今日の日本統計に対して司令部としては、こういう考えをもつて日本の持つて来る数字には信用は置けない、こういうことを言つておるという話をしただけの問題です。それをこれだけをとつて議論するからそういうことになる。それだから今現に二百四十五万石の補正をいたしましても、超過供出は二百万石なら二百万石の超過供出はあるわけです。それは当然です。そんたことはわかり切つた話ではないか、補正を受けた者はしかたがないが、補正を受けない者はりつぱに超過供出をするのはあたりまえじやありませんか。それはかわつたことはありはしません。そういう言葉じりをとらえて、あなたはそういう極端なことを言うからいけないのです。
  141. 小林運美

    ○小林(運)委員 大臣その意気で将来どんどんやつてもらいたいと思いますが、先ほど大臣のお言葉の中に、この補正の問題を政治的に云々というようなことがあつたことについて、私は非常に異議があります。それは農民は、政府割当をすればまじめに供出しようと思つている。ところが今の麦の補正の問題についてもそうであります。結局は政府のカに対して農民は弱い。その結果がこういうふうになる。実際力を加えるのは政府当局だ。それを十分お考え願いたい。われわれは決してこういうところで政治的にどうとかいうようなことを言つているのじやない。むしろ政府当局が、こういう割当を頭からおろして来て、これだけはどうしてもやれと言われると、自分の食う米がなくても農民は出すのです。これは決して今大臣が言われるように、政治的とか何とかいうものではない。農民は弱くて、押しつぶされている。そういうことを十分お考えになつて今後やつていただきたいということを申し上げて、私は一応質問を打切ります。
  142. 吉川久衛

    ○吉川委員 農林大臣にお伺いいたしますが、先日来の農林大臣の御説明では、米価については特に米価審議会の決定の数字は科学的でない。生産費とか、あるいはパリティー計算というものから離れている。政府で決定したところの数字は科学的である。パリティー計算によるのだ、こういうことをおつしやつたのであります、私もこれはある程度納得ができるのでありますが、ただいまの井上委員に対するお答えの中に、科学的に必ずしもこの補正の数字がきまらないのだ、こういうお言葉があります。そうしますと、どうも米価については科学的でなければならないと言い、補正については科学的でなくてもいい。ほかの言葉で言うと、勘できめるということになるわけでありますが、私はそこに森農政の一貫性が欠けて、いろいろの非難の的になるのじやないかと思うのです。これについてどういうように森さんはお考えになりますか。私はGHQがこう見るからというふうに承つたのでありますが、由来関係方面というものは、ものを日本人よりはむしろ科学的に見る人々であります。その人々が、ただわけもなく日本の国民やあるいは政府の要求するところの数字を認めないで、非科学的な数字を当てつけて来るはずはないと思うのです。だから政府の数字が科学的であるとするならば、その数字を諄々と説いて、あくまでも納得させるだけの努力をなされなければならないのです。その努力がまだ不十分じやないかと思うのですが、その辺についてどれだけの御努力をなさつたか、また今後あくまでも政府は科学的な数字をもつて、そしてそれを納得させる努力を続けられる御意思があるかどうか、まずこの二つを伺つておきたいと思います。
  143. 森幸太郎

    森國務大臣 議論はどうでもできますが、司令部といたしましては、本年の米作は六千九百二十万石を予想いたしております。これは向うも科学的の調査だと言つております。日本は科学的の調査によつて六千五百五十万石が第一回の予想でおります。つまりどちらも科学的の調査であります。それは見方によりまして——どうしてアメリカの六千九百二十万石というものを充して行くか、それは科学的根拠があるということを向うがはつきり言つて、これから編み出して、今日食糧事情として、いろいろ地方の減額等も考えて、百十四万石というものを出したわけであります。これは科学的であるわけであります。しかし昨日までの交渉の結果、これが修正されることは、あるいは科学的の論拠がないかもしれませんが、とにもかくにも、そこまでの政府立場として、各地方等の考え方があるならば、この程度にひとつやるということは、おそらく非科学的であつたかもしれません、しかしなぜ二百四十五万石を百十四万石にしたかということを理論闘争をいたしましても、ただいたずらに時日が経過するばかりであります。また供出の時期も迫つておりますし、とりあえずこれが最後の考え方だということを向うが示された以上は、これをわれわれは受入れて実行に移すよりしかたがない、かように考えているわけであります。  米価につきましては四千七百円という答申がありました。これは審議会では議論が出たのでありますが、はたしてこれが科学的に説明ができるかと考えますと科学的に説明ができ得なかつたのであります。そして向うではすべてパリティー指数によつてやることが必ずしも完全でない。完全無欠なものではないけれども、ほかの日用品、あるいは生産必需物資というものを勘案して行く場合においては、比較的このパリティー指数によつた方が正鵠に近いものと考えるから、それによつてつた方がよいと思う、そうすれば四千二百五十円というものが出る。これをぶちこわすパリティー指数の論拠も、政府としてはああもあろうか、こうもあろうかと、その内容について検討を加えたのでありますが、結論において西千二百言五十円という基礎を出されて、これが日本米価としての基準であると思うという指示を受けて決定したのであります。審議会におきましても、二百円も増したらよかろう、あるいは二百五十円増したらよかろう。それはどういう理由かと言えば三倍に買えば、三倍というものは一部の超過供出に限るのだから、その一倍をこの米価の方へ持つて行けば、生産者価格を上げずして生産者全部が恩惠に浴せるわけであるから、この二百円あるいは二百五十円というものに米価を持つて行つたらどうかというのが、小委員会の内容であつたように私は承つているのであります。でありますから、政府としては非科学的であるかもしれませんけれども、できるだけその御趣旨によつて努力を、続けて来たわけであります。これは今の天然資源局とは関係方面は違いますけれども、やはり米価としてはこのパリティー指数によつてやるべしであるという結論を下されまして、審議会の答申を通すことができ得なかつたのは、まことに遺憾に存ずる次第でありますが、事態さような経過であつたことを御承知願いたいと思います。
  144. 吉川久衛

    ○吉川委員 大臣の御説明では、関係方面の数字も科学的であり、政府の数字も科学的である、しかしそこにはたいへんな開きがあるわけでございます。一つの問題について科学的な物の見方に、非常な差のある二つのものが出て来るということは考えられないのです。その科学的と言われる物の見方に、どこにどういう違いがあつて、どういう物の見方の違いから、GHQと日本政府とのそういう数字の違いが出て来たかということを、ひとつつておきたい。それからあまり言葉じりをつかまえては、はなはだ大臣にはお気の毒でありますが、きようの新聞を拝見いたしますと、食確法を本国会において成立させることに、政府としては意見が一致したと言われております。そのように解釈してよろしいのでございますか。新聞の通りでございましようか。
  145. 森幸太郎

    森國務大臣 統計の科学性ということは、あえてアメリカと比較せぬでもよろしい。日本で知事の報告するものと、食糧事務所の報告するものと、作報のものと三つとも違う。どれもおれの方が本物だ本物だと言つてつて来るんですから、どうも見方によつて使う基礎が違うのですから、どれを使うかということは問題でありますが、アメリカと日本と比較しなくてもそういうことはあるのです。両方ともりくつがあるわけです。減收高では知事は千二百万石、作報は二百万石と言つておる、これは見方によると思います。ことに米の供出制度を認めて以来、日本統計というものはめちやくちやなうそ八百の統計が多いので、非常に真相をつかむことができないで困つております。これは吉川さんもよく内容を御承知くださることと存じます。なお食確法を通すということが新聞に出ておつたそうでありますが、食確法を通す通さぬは議会の権能にあるわけであります。政府といたしましては継続審議をお願いしまして、時局的にぜひともこの法案は通していただきたいということを、前議会から継続してお願いいたしているのであります。通す通さぬは国会の皆様の権限にあることでございまして、新聞がどう伝えておりますか、政府としては、どうかひとつ新聞に伝えられているように、皆様の御協力を願いたいと思うのであります。
  146. 吉川久衛

    ○吉川委員 本日の新聞の報道通りであるということであります。政府としてはごもつともだろうと思うのでありますが、しかし第五臨時国会以来、與党も野党も、本委員会はあげてこの問題に反対をして来たわけであります。それをしも政府が今この国会において成立させたいというような考え方。これははなはだ国会の今までの審議の状況を軽く見ておいでになるのじやないかと思う。しかもその代償として、何か報奨物資の取扱いを、原則として農協を通じてやらせるというようなことがございました。これは農林大臣も非常に詳しく御存じのはずでありますが、この報奨物資の取扱い問題を農協を通じてやらせるということは、もう当然のことであり、いまさら論ずるまでもありません。消費者であるところの国民が、その欲するところに向つて登録をして、そうしてそれが農民であれば農協に行くということは必然なのであります。そこであえてこういう問題を取上げて、食確法の一部改正法律案を通そうというようなことは、まことによろしくない措置だと私は考える。こういうものはやらないようにお願いをしたいと思います。それから農地改良とか災害復旧について有効な処置をとるというようなこともおつしやつておいでになりますが、どのような予算的な措置をとられておいでだろうか。それもひとつつておきたいと思います。なお、いもの供出完了後は自由販売をなさるということがございましたけれども政府としては早くからこのいもの統制ははずすはずすということを、幾たびも繰り返されております。それにはこの供出の超過分だけをはずす、自由販売をするということが報道されておりますが、この点についての御所見も伺つておきたいと思います。
  147. 森幸太郎

    森國務大臣 食確法を通すことについて、ああするこうするというようなことは、何も條件を出したわけではありません。條件を出せばこの委員会政府提出しております。いもの統制の問題につきましては、割当した供出を完了した分から、その余りを、政府に売ろうとだれに売ろうと自由であるという措置をとることを、閣議で決定いたしておるのであります。しかし、いもはまだ六六%の供出の状況であります。
  148. 吉川久衛

    ○吉川委員 それから大臣は先ほど備蓄食糧の確保のために、多量の外国からの食糧輸入をお考えのようでありますが、この備蓄米を確保するためには、早期供出をさせることが適切なことだと私は考えております。そうするためには食糧増産考えられなければならない。食糧増産をするためには農民生産意欲を高揚させたければたらない。農民生産欲を高揚させるためには生産意欲を阻害するような、ただいまの食確法の一部改正というような考え方は、この際とりやめていただかなければならない。これは第五臨時国会以来の、與党を通じての議員からの質問によつて、賢明なる農林大臣は十分おわかりになつたはずであります。それをどうしてもこの際成立さしたいというようなお言葉が先ほどありましたけれども、この反対を押し切つてまでも通さなければならないというところが、一体どこにあるのでありましようか。私は早期供出をさせ、食糧を十分に事前に確保して、配給の円滑を期するためには、大いに増産するということでなければならないと考える。ところが、大臣のお言葉を考えますと、どうしても本案を通過させなければならないと言うのですが、私は本案を通過させることは、決して増産を奨励することにはならないと思う。その点の、大臣のどうしてもこれを通さなければ増産が確保できないんだという御所見を、もう一ぺん伺つておきたい。
  149. 森幸太郎

    森國務大臣 農林省関係法案は、すべて増産に向いておる、増産のためだということは考えられないと思います。本法案のごときも、必ずしも増産に役立つということは考えておりません。しかし、日本食糧事情といたしましては、こういう法案の設置が必要であるということは、経済九原則にも示されておる通り、あらゆる食糧の確保をしなければならない責任が、政府に背負わされておりますことと、またこの法案改正が、指令に基いて、ぜひやれということより歩み出していることを考えましても、ぜひこの法案は通過させていただきたいということを、政府は重ねてお願いいたしておる次第であります。
  150. 野原正勝

    ○野原委員長代理 それでは暫時休憩いたします。     午後五時十分休憩     午後六時二十九分開議
  151. 小笠原八十美

    小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明後二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十分散会