○
井上(良)
委員 ただいま小林君が質問しました点は、実は産米三千百万石の
供出を完遂するかいなかという重大な問題でございます。
政府はさきに百十四万石を全国知事
会議に指示しましたときに、これでは実情は相当困難と思うから、たとえばこれの善後
措置として五等米制度を設けるとか、あるいは保有米を
供出しなければならぬ
農家に対しては、還元
配給をするとか等の処置を講じて、司令部の命令による百十四万石を何とか納得してもらいたいということを、あなたの方は指示している。そのことから
考えますと、今小林君が質問しました
通りに、かりに非常な御努力によ
つて、ともかくも二百四十五万石を机上の線に持
つて来たとしても、これは現実の被害の状況から
考えますと、
政府自身においても、おそらくこれで完全な補正の量とは
考えていないと思うのです。
御存じの
通り、
農林大臣みずからが三百万石くらいは補正をしなければならぬということをたびたび申されている。また作報あたりの
調査によ
つても、これ以上の被害があるということは、たびたび新聞にも公表されている。また本
委員会においても、
食糧庁長官みずからがそれを言明されている。
〔
委員長退席、野原
委員長代理着席〕
何も政治的な圧力を加えたり、政争の具に供して数字をつく
つたのではなしに、実際の被害の状況を、
政府が公平な
立場から把握された数字が相当な被害量に達している。その報告を受取
つた大臣は、少くとも本年の産米の補正は三百万石くらいが妥当でないかという
一つの確信のある発表をされている。それ以上の場合ならば、あなたは確信を持
つて納める腹もありましよう、しかしそれ以下の数字の現実が起
つているのです。
従つてこれに市町村の
供出が達しなか
つたときには、
供出の
責任者たるあなたの
責任にな
つて来る。あなたの方は、單に紙一枚でも
つて印刷をして配
つたら事は済むかもしれぬけれ
ども、これを持
つて帰る知事なり、また知事の命令を受けますところの市町村長は一体どうなるのです。その下におりますところの
生産農民は、実際に披露を受けているものをごまかしている人もあるかもしれません。しかし大部分はまじめな
農民で、全部が全部ごまかしているということは、どこをも
つて断定ができますか、おそらく断定はできない。そういう点から
考えて、最悪の場合をわれわれは予感し、それに対する対策を国会としても十分立てておくことが、
わが国食糧確保の上から必要であります。そういう見地から、われわれはこの問題を真剣に取扱
つているのであ
つて、その点については絶対誤解がないように願いたい。
政府が予想しましたところのこの二百四十五万石で、万一各県知事が引受けて帰
つてくれるならばよいが、私
どもは数県の知事に会
つておりますが、これではまだいかぬということを
はつきり言うておる。あなた方のいろいろの御
説明によ
つて納得されるかもしれませんが、なかなかこれはまだ難航であります。これを各市町村に持
つて帰
つて、知事から
説明した場合、実際の被害の状況と合致しない場合は、
政府の要求します
供出完了はできないことにな
つてしまう。その場合に
政府はどういう手を打
つてこれを実行し、その目的を果そうとするか、昨日知事
会議で指示した五等米制度をも
つてそれを埋合せしようというのか、あるいは保有米を出した者は、
生産者価格によ
つて還元しようとするのか、そういうことはやらぬというのか、何かそこに
政府として多少ゆとりのある、甘い手が打たれなければならぬと私は思う。そのくらいのゆとりは
大臣は持
つておるだろうと思うが、どうですか、そこをざつくばらんに言
つたら……