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1949-11-16 第6回国会 衆議院 農林委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 竹村奈良一君    理事 吉川 久衛君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中村  清君       原田 雪松君    平野 三郎君       渕  通義君    守島 伍郎君       山本 久雄君    足鹿  覺君       石井 繁丸君    佐々木更三君       大森 玉木君    横田甚太郎君       寺本  齋君    小平  忠君  委員外出席者         農林事務官   藤田  巖君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十一月十五日  鹿兒島県農業災害保險金に関する請願床次徳  二君紹介)(第二七一号)  広瀬村に用水池及び水路築設の請願庄司一郎  君紹介)(第二九七号)  林道開設事業に対する国庫補助費増額請願(  渕通義紹介)(第三〇六号)  林道開設予算増額に関する請願渕通義君紹  介)(第三〇七号)  不忘山林道開設工事完成促進請願庄司一郎  君紹介)(第三一〇号)  稻川村の土地改良事業国庫補助継続請願(志  田義信紹介)(第三三三号)  本楯村地内用水改良工事施行請願志田義信  君紹介)(第三三四号)  那須野ヶ水利開発に関する請願森山欽司君  紹介)(第三五六号)  農業災害補償法の一部改正に関する請願圓谷  光衞君外一名紹介)(第三六三号)  川崎村所在の牧野拂下に関する請願圓谷光衞  君紹介)(第三六五号)  食糧管理費並びに農業調整委員会費に対する国  庫補助増額請願石原圓吉紹介)(第三七  三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十四日  食糧確保臨時措置法等一部改正反対陳情書  (第一〇四  号)  主食配給引取不能者に対し掛売制度実施の陳  情書  (第一二三号)  森林技術員待遇改善に関する陳情書  (第一一九号)  土地改良事業に対する補助予算計上陳情書  (第一二二号)  治山造林に関する陳情書  (第一二六号)  政府買收未墾地処分に関する陳情書  (第一三〇号)  政府買上薪炭代金支拂促進に関する陳情書  (第一三一号)  米麦供出制度に関する陳情書  (第一三七号)  主食配給引取不能者に対し掛売制度実施の陳  情書(第一三九  号)  新米価に関する陳情書外一件  (第一五〇号)  木炭統制撤廃に関する陳情書  (第一六三号) を委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  肥料に関する件  薪炭に関する件  証人出頭要求に関する件  報告及び記録提出要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  本日は農林行政に関する件を議題といたします。それではまず本件について当局説明でありますが、大臣がまだ参つておりませんから、これは後刻に行うことといたしまして、この際井上委員より発言を求められております。これを許します。井上良二君。
  3. 井上良二

    井上(良)委員 私はこの際委員各位の御賛同を得まして、薪炭特別会計赤字問題に関して、本委員会は、数回にわたり政府当局に対して赤字発生の原因、中には民法上債務不履行に基く損害賠償、または刑法上詐欺、横領、公文書偽造背任等の不正事実が内在しておるもの多きにつき、本会計の清算と整理の促進要求し来つたのでありますが、今日に至るまで満足すべき報告に接せず、しかも最近全農林労働組合は、本会計赤字問題に前農林大臣政務次官林野局長及び林政部長等が、関係してゐる旨の文書公表し、ますます本会計赤字内容に疑惑が深められている今日、委員長はすみやかに本委員会において、本特別会計赤字の真相を究明するため、特に左の事項について昭和二十二年法律第二百二十五号及び国会法第百四條により証拠書類提出を求め、あるいは証人として喚問され、その審議を進められんことの動議提出します。一、証拠書類として提出要求いたしますものは (イ)1、薪炭買上停止時(昭和二十四年七月末日現在)の政府手持ち薪炭在庫高(各県別)銘柄、数量価格、買入月日、在庫場所    2、右木炭売さばき状況数量価格、販売時の保管料減耗料手直料) (ロ)政府手持ち薪炭現物不足に関して    1、現品が未生産であるのに支拂証票を発行せる年月日発行者受取つた生産者団体名、または個人名件数金額発見年月日、    2、支拂証票を二重に発行したもの     右と同じ書類、    3、現品が未生産であるのに受入調書を発行せるもの右と同じ、    4、受入調書を二重に発行せるもの     右と同じ、    5、政府所有現品指定場所に所在せず、生産現場にあつたものの県別件数数量金額、その後指定場所に搬入の事実、    6、指定業者正式手続を経ないで売却したものの県別業者名年月日件数、種類、価格、――其の後回收現物補填の事実の有無    7、指定業者が無断で末端機関に貸与したものと右と同じ。    8、生産地から貨車乗りに至る間に減耗したものについて、県別の相手方、数量金額年月日。    9、現品保管中、盗難、火災、水害等により紛失せるものについて、     県別発生場所、種別、数量金額、不可抗力の事実を証明する書類。   10、現品保管減耗したもの、県別品種別数量金額発見年月日保管責任者氏名。   11、貨車乗りから卸業者に渡すまでの減耗について、減耗の事実を証明する書類件数、品別、数量価格輸送責任者。   12、発報到着現品の相違、現品が到着しているのに発報のないもの、現品が到着せず発報のみ到着しているもの。以上各項件数品種別数量価格年月日、その責任者名、その後の措置状況。   13、以上(1)より(12)に至る事故発見年月日責任者調査書類。 (ハ)昭和二十三年度冬期の備蓄薪炭について。   1 政府所有薪炭消費地在庫数量品種別金額、   2 保管料減耗、手数料の明細(政府倉庫、民間各卸業者別)   3 長尺物まきの値下げによる損害金額と、それを証明する各県別証拠書類。 (ニ)卸業者に対する売掛代金回收について。   1 各県別卸業者に対する未回收代金内容貸付年月日回收状    況。   2 回收成績のよくない卸業者及び政府及び小売業者との取引帳簿及び会計帳簿銀行預金帳。   3 政府が各県卸業者債務を確認せしめた重複連帶保証書とその金額。 (ホ)薪炭価格改訂に伴う差益金について。    終戰後価格改訂に伴う最近二回の差益金と各県卸業者在庫数量納付金額。 (へ)増産、輸送奨励金支出。   各県別右金額支出年月日支出先支出金額用途別支出会計主任名。  証人として喚問をしていただきたいのは、第一審は、前記事故の最も多い生産団体代表者、それから集荷業者卸業者輸送業者木炭事務所長、県の林務課長。  その次に今お手元にお渡しいたしました全農林労働組合から、三重県下における一千万円の空気木炭事件として文書公表されておりますが、この文書によりますと、前農林大臣周東英雄氏、それから前農林政府次官北村一男氏、現農林政務次官坂本實氏、林野局長官林政部長三重県の木炭事務所長、これは現在神戸木炭事務所長をやつておるそうですが、これらの人々がこの事件関係があるとして公表をいたしておりますので、まず今申し上げました各項にわたる証拠書類提出を求めますまで相当日時が掛りますので、この際委員長はこの全農林労働組合公表せられましたこの文書によりまして、その事実調査をされ――これを私が特に委員長にお願いをいたしますのは、われわれ同僚議員であります者がこれに関係があるというようなことが流布されますことは、議員の体面または人格の上にも重大な問題を投げかけておりますので、さしあたり本日はこれらの証拠書類提出を求めますとともに、この文書に基く真偽のほどを確めるために、全農林労働組合代表者と、それから元三重木炭事務所長、現兵庫県神戸にあります木炭事務所長の生原氏、それから林野局長官三浦氏この三氏と三重燃料株式会社社長、同会計課長を本委員会証人として喚問されるように手続をお願いいたしたい。  以上動議提出いたします。
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ちよつと井上君にお尋ねしますが、ただ一つ林政部長というのが名前がありませんでしたが、その当時の林政部長ですか。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 元林政部長清井正氏であります。
  6. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ただいま井上君より提出されました動議は、本委員会で過日取上げて参りました薪炭特別会計赤字問題に関しまして、その調査の必要上、証拠書類提出を求め、証人喚問し、その審査を進められんことを望むという動議の趣旨と存じますが、本動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  なお証拠書類提出要求及び証人喚問期日等につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長及び理事に御一任と決しました。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは農政局長が参つておりますから、先日の委員会におきまして回答を求めておりました件について、その回答を求めます。
  10. 藤田巖

    藤田説明員 過日の委員会河野委員から肥料配給公団昭和二十三年下半期における決算について、役所では何かこれについて事前に相談を受けたかという御質問であつたのでありますが、取調べました結果は、決算を大体公団で済ませまして、正式に提出をいたしますまでに、農林当局だけでなく、安本と大蔵省の関係当局全部集まりまして、一応昭和二十三年度下半期決算について、大体こういうような決算をするというようなことの説明を聽取したという事実はあるのであります。それ以上の詳しい具体的な打合せについてはなかつた考えております。
  11. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて当局回答は終りました。  なおこの際河野委員より本件について発言を求められております。これを許します。河野君。
  12. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、でき上りました表決算についての一応の形式上の説明を聞いただけであつて決算ができ上るまでの過程について、決算のいわゆる裏の説明は何も相談にあずかつてない、こういうことでございますか。
  13. 藤田巖

    藤田説明員 その通りであります。
  14. 竹村奈良一

    竹村委員 関連して――そうするとこの肥料公団について、巷間伝えられておりますところの運賃の件についての内容等を、当局調査された点をひとつ詳しくお聞きしたいと思います。
  15. 藤田巖

    藤田説明員 お手元に御配付いたしております肥料配給公団運賃收支出について、そこに書いてございますように、日本農民組合から申入れがございまして、昭和二十三年度の下半期における公団決算については疑問の点がある。公団決算書では運賃支出といたしまして、大運賃と小運賃とにわかれるのでありますが、大運賃支出として十七億百四十一万八千六百二十五円四銭、それから小運賃支出として十八億九千二百十七万一千八百四十一円二十八銭、こういうように計上してあるわけであるが、これは実際に運賃として支出したものと計上したものとの間に差額がある。日本農民組合申入書を見て参りますと、大運賃につきましては十三億でありますが、これを公団が十七億と公表をした、その差額の四億はこれを不当に着服していないかということであります。それから小運賃については、実際に支出したものが十六億であるが、これを公団は十八億と公表をした、その差額の二億五千万円を不当に着服していないか、合計いたしまして運賃計算において約六億五千万円を不当に着服しておるものがないかということであります。これに基きまして、これは経済調査庁、それから農林省、なお公団の監事により自主的な監査もいたしたのであります。監査の結果の数字がその次にあるわけであります。私ども調べといたしまして、これは経済調査庁とも数字が一致するのであります。結論は数字が若干違うのでありますが、実際運賃として一応拂われた支部からの要求のございます金額が十三億九千万円であります。このほかに未拂計上漏れ引当てといたしまして、三億一千万円というものを追加いたしております。それから小運賃につきましては十七億でありますが、このほかに未拂計上漏れ引当てといたしまして、一億八千万円を追加計上いたしております。総計いたしまして未拂計上漏れの分が約五億になるわけであります。六億五千万円とは数字が違うわけでありますが、ともかく未拂計上漏れといたしましての五億の金額追加されておるというわけであります。これは公団説明によりますと、ちようど下半期決算が三月末で切れるわけであります。三月というのは農家配給の非常に忙しい時期であり、従つて荷の動くときでありますから、運賃の正確な計算というものは当然できないということからいたしまして、未拂いの分を相当計上をいたしておきませんと、あとになつて請求が来ました場合に赤字になるということでは困る、従つて公団経理堅実を期するために、未拂計上としてこの金を引当てたというのであります。しかしながら私ども調べ感じといたしましては、一応この大運賃においての十三億、小運賃についての十七億、この中には支部から具体的にこれこれのものが大体未拂いとしてまだ残つておるというふうな金額も一応計上されておるわけでありますから、さらにそれに追加をいたしまして、五億という金額をいわば未拂計上漏れとして、こぶとしてつけるということについて、はたしてその金額が妥当であるかどうかという点については、疑問を持つておるわけであります。私ども見解を率直に申し上げますと、未拂計上漏れを載せますことは、これはやはり公団経理堅実を期するために適当な金額は、これは正しかろうと思つております。要はこの金額が過大に見積り過ぎたかどうかという点でありまして、われわれの感じを申しますと適当な金額以上に組まれておりはしないかというふうに感じております。  それからなおその金額を各支部に割当てました経緯につきましても、公団説明につきましては、現在までのところなお十分満足をするというふうな程度には至つておりません。従つて現在の私ども立場といたしましては、なお正確にこれを計算いたしまして、いやしくもこの金額がさして計上することの必要はないというふうなことでありますれば、このこぶの金額の大部分というものを、できれば二十三年度下半期決算をやりかえさせまして、利益としてこれを出させるというふうなやり方に、われわれとしてはいたしたいということで、現在安定本部その他と打合せをいたしております。なおその後また公団からの説明の納得いたさない点もございますので、今後なお一層調査は続けて参りたいと考えております。
  16. 竹村奈良一

    竹村委員 この五億と六億五千万円の面につきましては、後刻はつきりお示しいただきたいと思います。  それで大体農林省調べられたのは、現在言われたのはいわゆる運送費の未拂いの問題でありますが、それ以外に、たとえばかますの包装代の問題についても、調べられたことがあるかどうか。私の聞くところによりますならば、この肥料に対しまして、大体かますとして一枚六円ずつ計上しております。ところがこれを実際に調べて参りますと、たとえば昨年の十二月から三月までの実績をとりますと、北海道には一枚当り十円二十三銭とつておりますけれども、ほかの東京、あるいは名古屋、大阪、九州というようなところは、二円六十一銭とか、二円二十一銭とか、あるいは一円七十四銭とかで、平均いたしますと、一枚二円七十八銭にしかついていない。それを六円かかつておるとして計上して、農民配給されておるのでありますから、これの差額の金なんかは、私は必要以上に農民損害を与えておると思うのでありますけれども、こういう点について調査されたかどうか。また調査されたのであつたならば、その点政府見解等を御説明願いたいと思うのであります。
  17. 藤田巖

    藤田説明員 この運賃の中には、商品たる肥料及び包装容器とも計上いたしておるわけであります。ただいまのような点もあるかと思いますが、要は現在公団運賃プール計算をいたしております。結局その運賃プール計算をやりますその平均運賃というものの見積りが、その当時一応予定いたしましたものと、それから実際において支出いたしましたものとの間に差額が出て来ている。もつと率直に申しますと、その当時は海上輸送相当頼らなければならぬというふうな事情、そういうふうなことがあり、あるいはまた機帆船によつて運ばなければならぬというふうな事情があつたとして、これを相当多分に見込んでおつたのでありますが、事実におきましては、その後輸送事情の好転によりまして、海上輸送相当少くなり、これを陸上輸送に切りかえることができた。なおまた機帆船によるものも、これは本船によつてつて行くことができたというふうなことで、相当実際問題としては運賃支出が少くなつた。こういうふうに考えているわけであります。従つてこれは価格の立て方がそうなつてつたわけであります。そういうことによる実際の利益というものがかりに出ますれば、これは当然この事業費の中の、つまり收入利益として計上され、これは毎朝々々の決算によつて当然政府に返還して行く。こういうように考えております。
  18. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほど運賃の問題で調べられたのは、五億何ぼというものは未拂いでないものを未拂いとして計上した、従つて今度の決算にこれを利益として上げたい、こういう考えだとおつしやいましたが、しかしそれはそういう運賃が実際かからないものをかかるとして計上されておつて、そういうものが肥料代金として現われて来ていると思うのであります。従つてそれは、かからないものを不当にかかるものと考えて、肥料代金というものが定められていると思いますが、結局これは農民に返すものである。ほんとうに肥料配給を受けた者に返す金であろうと思いますが、これに対してどういうお考えを持つておられますか、お伺いいたします。
  19. 藤田巖

    藤田説明員 これはかからないものを不当にかかるとしたのではありません。先ほど御説明いたしましたように、その当時の輸送事情が、相当海上輸送にもたよらなければならない、あるいは機帆船にたよらなければならない。そのほかにカリなんかも陸揚港の指定がきゆうくつであつたというようなことからして、相当運賃がかかるという見積りでやつたのでありまして、またそれを物価庁も認めたのでありますが、現実問題といたしまして、その後の輸送事情の好転によつて実際支出が少くなつた。こういうふうに相なつたと考えております。従つてその金額は、これは農民に返すべきものだという御意見がございますが、私ども見解といたしましては、農民に対する消費者価格は、一応昭和九―十一年の百十倍ということで決定をいたしております。そうして生産者から公団が買い取ります価格が、御承知の通り非常に高いものになつております。従つてその差額補給金をもつて補われているわけであります。厖大補給金が出ているわけであります。従つてわれわれの考え方から申せば、そういうふうな厖大補給金が一方出ていることでありますからして、もしも公団利益があります場合には、まずもつてこれを政府に返すというようなことが、正しかろうと考えております。
  20. 竹村奈良一

    竹村委員 政府に返すのが正しかろう。もちろんそういうふうに政府考えられるならば、今度もそれでもいいわけでありますが、しかし実際問題は、未拂いでないものを未拂いと見たというあなたの方のお調べでは、五億ということになつているのであります。これは農民団体とか、あるいはそういうところから問題になつて、ようやく調べられて五億、こういうことになりまして、今度は次の決算にこれを利益として織り込んだら、これでいいのじやないかという見解とすれば、もしわれわれの農民団体やその他から申込みがなくて、未拂いであろうとして政府がそのままに、会計検査院もそのままに通つた場合においては、この公団はこの五億というものをどういうようにする気であつたかということを調べられたか。
  21. 藤田巖

    藤田説明員 未拂いでないものを未拂い計上したというお言葉でありますが、それは多少御説明いたしておきたいと思いますが、つまり未拂いは当然にある。しかしながらその未拂い金額計上というものが多過ぎたわけであります。従つてそれがかりに未拂いでなかつたということでありますれば、そこは利益が出て来るわけでありますから、その利益というものは当然国に返さなければならないということに相なると考えております。実際問題といたしまして、その後の四月一日以降におきまして、二十三年度の下半期分決算をやつておりますが、その決算実績をずつと見て参りますと、相当程度金額は拂つているわけであります。しかしながらこの五億につきましては、まだその後の勘定科目においてもちやんと載つております。従つてこの金はまだ不当に支出はされておりません。現在までわれわれの調べましたところでは、現実に公団がこの金を不正に使つたというふうな証拠は、現われておらないということになつております。
  22. 竹村奈良一

    竹村委員 もちろん今おつしやつたように、その五億の金を使つたと私は言うているのではない。問題は、今あなたの説明を聞くと、未拂いであるけれども、未拂いを過大に見積つたという点だけが問題だ、そういう計算考え方の違いだ、こうおつしやいますけれども、それではもう一つ掘り下げてお伺いしたい。大体各支所からこれだけの未拂い運賃があるということを、一旦公団本部言つて来た場合に、いや、そうだろうけれども、それ以上これだけに見積れと言つて支所へ未拂い運賃というものを過大に見積らすような指示をした形跡があつたかどうか。それを調べられたかどうか。しかもその指示されたところは、名古屋近畿門司ということに限つているのでありますが、こういう点は調べられたかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  23. 藤田巖

    藤田説明員 その点は私ども調べました。実際問題といたしまして、支部からの請求以上に各支部に対して、名古屋近畿門司に対して、さらにこれだけの未拂い計上漏れ追加をして載せておくようにというふうな話のあつたことは事実であります。それからまた、その金額をなぜそういうふうな三つの支部に対して割り当てられたかということについては、先ほど申し上げますように、私どももまだ、現在公団説明をする程度では納得をいたしておりません。
  24. 河野謙三

    河野(謙)委員 関連して……農政局長に伺いますけれども、あなたは過大に見積つたとおつしやいましたが、その言葉惡意であるというふうにあなたは解釈されていると思うのですが、一体この決算について公団惡意が働いたか、それとも善意でやつたか。まずその点のあなたの御見解を伺いたい。
  25. 藤田巖

    藤田説明員 われわれの立場から申しますと、その問題について、頭からこれは惡意だとか善意だとかいうふうな前提を置いてやることは、危險であると考えております。結局よく事実を調べ、その結果によつて証拠をあげて、その証拠に基いて判断して行くというふうな態度をとつて行きたい。
  26. 河野謙三

    河野(謙)委員 少しぼくは農政局長は人がよ過ぎると思う。私が先ほど伺うと、表決算説明は聞いた。そのときに裏のことは聞いていないとおつしやつたじやありませんか。もし善意であるならば、この決算は表はこれこれであるけれども、五億何千万円のものが未拂いのうちにつつ込んであるという説明があれば、これは私は善意と解釈してもいい場合があると思う。しかるに決算において、しかも直属の監督官庁の農林省なり安本に、何ら内容説明をしないで、ただ表決算だけ説明したいということは、これは惡意じやないですか。そういうことでこの問題が二箇月以来紛糾しているにかかわらずしかもその間において、いろいろ農林省調査も進んでおるはずです。経済調査庁調査も進んでおるはずです。それは御存じのはずと思う。しかもこの段階に至つて、まだそれが善意であるか惡意であるかという断定を下すには早いということは、私は非常に恐ろしいことだと思う。この機会に、私はさらに一、二伺いたいのですが、日農からこの問題についていろいろ公団要求があつた。それに対する公団回答農政局長もごらんになつているはずです。その中に、かように未拂い計上することは、過去の決算において常にやつておることだ、というのは厖大な事業であるから、いつも二箇月ないし三箇月の運賃の未拂いを見ておかないといけないというのが、過去の実例である、従つて今回もかような決算をしたと書いてありますが、農政局長はそれについてどうお考えになるか。私の見解を言えば、過表においてはそうであつたけれども事情が違う。公団になりまして半箇年後に運賃は日本通運の元請一本になつた。公団発足当時のように、各県それぞれに運送を委託してやらした当時と事情が違う。従つて決算が非常にやりよくなつた。しかも先ほど竹村委員の言われるように、支所支部の段階から未拂いというものは各段階において十分考慮に入れて、それぞれふくらますことは不正でありますけれども、多少決算上は不正でありましても、それぞれふくらましたものを本部に集計している。しかも支部においては、今度のふくらましについて非常に不可解だ、けしからぬ、こういうことを支部長は漏らしておる。それまではつきりしておることを、今ごろまだ外部に対する回答において、過去の決算において常にこういうことをやつておる、それはこういうふうにすることがよかつたのだ、こう言つている。もう一つ私が伺いたいことは、三月の決算でありますか、五億何千万円か未拂い計上した。その後において、三月から現在の十一月までに、どのくらい各支部から未拂い追加が出ておるか、実績があるはずですが、私は全然ないと思う、ほとんどないと思う。あつても一パーセントかニパーセントのことだと思う。この四月以降の実績をお調べなつたかどうか。お調べなつたなら、どのくらい未拂いがその後出ておるか、その五億何千万円の引当てになつておるかということを伺いたい。
  27. 藤田巖

    藤田説明員 その点は私ども公団に対してその報告を出すように言つておるわけでありまして、まだ公団からは全部のものが参つておりませんが、私どもが聞いたところでは、たとえば門司につきましては、たしか五、六百万円であると思いますが、それが当初計上したものよりもさらに余分にかかるというふうな話が出ております。それから東京の支部につきましては、大運賃については大体予想通りでありますけれども、小運送賃について若干の追加要求があつたということを聞いております。しかしながらこれはすでに三日以降時日が立つておりますから、もう実績が表われておる、だからその確実な数字を持つて来い、こういうふうにいつておりますが、おそらく私どもの見当といたしましては、全然ないとは申せないと思いますが、その金類はうんと高めに見積りましても、大体二千万円ないし五千万円程度のものを見積つておけば、万間違いなかろう、そういうふうに考えます。
  28. 河野謙三

    河野(謙)委員 もう一つ伺いたいのです。日農への回答によりますと、先ほど申し上げましたように、過去の決算においてもかようなことをやつてつたということを書いてありますが、そうすると、昨年の九月の決算においても、同様のことをやつてつたということを公団説明している。しからば昨年九月の決算について御調査をなすつたかどうか、その結果かような仮勘定がどのくらい入つているか、お調べの結果をひとつこの際説明願いたいと思います。
  29. 藤田巖

    藤田説明員 その点につきましては、引続き現在調査をいたしております。つまり昭和二十三年度上半期の分につきましても、同様の事態があるかないかということについて現在監査中でございますので、もう少しその点は待つていただきたいと思います。しかしながら私どもの予想といたしましては、御承知の通り昭和二十三年度上期におきましては赤字を出しております。従つてそう大して大きなものがあるとは考えておらないのであります。結局この二十三年下半期において、一応支部計算をいたしました未拂いのほかに、さらに五億のこぶをつけた、これはおそらく二十三年下期の特殊な事情であつたろうと思います。
  30. 河野謙三

    河野(謙)委員 もう一つ、先ほど竹村委員への答弁で、この五億何千万円がもし不当なものであつた場合には、次の決算においてこれを吸收する考えだというふうなことをおつしやいましたね。
  31. 藤田巖

    藤田説明員 私はそうは言わなかつたのでありまして、むしろ二十三年度下半期決算をやり返させる、つまりまだこれは安定本部の承認は得ておりませんので、従つてむしろこれはやり方が二つあると思います。下半期決算をやり返させるというやり方と、それから次期つまり今期の決算の中にこの金を利益として、よく注意をしておいて計上させる、この二つのやり方があると思います。われわれといたしましては、こういうふうにはつきりいたしました以上は、昭和二十三年度の下半期決算をし直すというやり方でどうだろうかということで、これは安定本部及び大蔵省の御意見があるかもしれませんが、農林省としてはそういう考え方で今話をしております。
  32. 河野謙三

    河野(謙)委員 たまたまこの問題が外部から起りまして、大蔵省なり経済調査庁調査した結果、かような結果が出たのでありまして、不幸中の幸いであります。しかしもしこの問題が発生しないでいた場合には、どういうことになつたかというと、大体想像がつく。この五億何千万円の金は、やみからやみへ行つたという結果になる。農政局長はどういうふうに追加の未拂いが出ても二千万円程度だとおつしやいますが、大体五億円程度はやみからやみへ消えて行くという結果になり、恐ろしいことである。かようなことが起りました以上は、しかも外部からのいろいろな調査によつてつたということにつきまして、この決算の責任を一体だれに、いかなる時期にどういう方法で持たせるかということについて、ひとつ見解を伺いたいと思います。
  33. 藤田巖

    藤田説明員 この問題が外部から取上げられたということにつきましては、監督官庁でございまする農林省といたしましても、その監督の怠慢であります点は遺憾ながら認めざるを得ないと考えております。ただこの処置をどうするかという問題につきましては、先ほど申し上げました通り、現在まだ調査のはつきりしない点がございます。なお経済調査庁監査報告が、来月の上旬にはつきりまとまるということであります。従つてわれわれといたしましては、なお御指摘のような点についても、さらに一層調査を進めておりますので、そういう点ともにらみ合せて、その結果によつて大臣の御意向によつてまたこれは決定をしていただきたい、さように思つております。
  34. 河野謙三

    河野(謙)委員 この責任の問題につきましては、私は別の機会に大臣に伺うことにいたします。  この機会にもう一つ伺いたいのは、かように公団運賃において、決算に現われた面が四億、そのほかに隠れた面が五億何千万円、合計約十億の黒字が出た。これは当然国庫に返すべきものでありますけれども、来年の一月から肥料補給金が約二十六億とか三十億削られるという話を聞いております。その削られた分が肥料代にかかつて農民にかぶつて来るということであります。それならば少くともこの公団運賃において出た黒字の十億というものは、農林省としては、いろいろのりくつはあるでありましようけれども、大蔵省とさつそく交渉して、削つた二十六億の補給金の分にこの十億はまず入れて、来年の一月から上るところの肥料代金の負担を幾らかでも軽くすべきだと、かように私は思うのですが、それらについての御見解を承りたい。
  35. 藤田巖

    藤田説明員 これは大蔵当局ともよく話をしてみなければいけないと考えます。先ほど申し上げましたように、肥料の値段と農家渡しの値段と、それから肥料の製造業者から買い取ります値段というものは、まだ相当大きな開きがある。従つてこの補給金をそのままにいたしておきまして、しかも農家に対する肥料価格だけを下げるという問題については、いろいろ意見の出るところもあるかと考えております。われわれとしては、もちろん農家に対する肥料価格は、できるだけ安くきめたいという気持ちにおいてはかわりはないのであります。ただ公団経理の従来のやり方からいたしまして、そういうふうな主張がはたして実現するかどうかということについては、私どもといたしましては多少疑問を持つております。しかしながらこの点については、なお一層よく相談をいたしてみたいと思います。
  36. 河野謙三

    河野(謙)委員 肥料価格には莫大な補給金が出ておる。しかも運賃が高かろうが、安かろうが、この価格というものは今の米価の中に織り込んである。こういうりくつには一応なると思います。それは單なるへりくつであつて、米価の万でも、常に計算上出て来た価格によつてきめられておるわけではない。でありますからして、そういうふうなへりくつに類するようなことで大蔵省の見解があるなら、われわれとしても大蔵省と交渉しなければいけませんけれども、少くとも今の農民の経済の状況からして、来年の春から、さつそく肥料補給金を削つた分だけを農民に転嫁するというようなことでなしに、かような大蔵省の予算にもないような十億というようなものが出て来た以上は、これをただちに肥料価格の低減に振向けるべきだと、かように私はかたく信じておりますので、今の農政局長のお話のようなことでなしに、もつと強くこれを大蔵省に交渉して、補給金の中に入れるようにしていただきたいと思う。  最後に私は委員長にひとつお願いします。この公団の経理の問題のみならず、最近の肥料配給状況等につきましても、いろいろ問題が多いのであります。つきましては、本委員会といたしまして、この機会に公団をめぐる肥料の業務、経理全般についての調査をこの際することを、委員長において諮つていただきたい。かように思うのであります。
  37. 小笠原八十美

    小笠原委員長 動議ですか。
  38. 河野謙三

    河野(謙)委員 動議です。
  39. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それではただいまの河野委員動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  本日は農林大臣及び本委員会より要求いたしました政府委員等が参りませんから、この程度にとどめまして、次会は十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午前十一時四十四分散会