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1949-11-14 第6回国会 衆議院 農林委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月十四日(月曜日) 午前十時五十五分
開議
出席委員
委員長
小笠原八十美
君
理事
松浦
東介
君
理事
八木
一郎
君
理事
藥師神岩太郎
君
理事
山村新治郎君
理事
井上 良二君
理事
小林
運美
君
理事
竹村奈良一君
理事
寺島隆太郎
君 足立 篤郎君 安部 俊吾君
宇野秀次郎
君 遠藤
三郎
君 河野 謙三君 中村 清君
原田
雪松
君 平澤 長吉君
平野
三郎
君 渕 通義君 村上 清治君 山本 久雄君 渡邊 良夫君
足鹿
覺君 石井
繁丸
君 坂口 主税君 寺本 齋君 小平 忠君
出席政府委員
農林政務次官
坂本
實君 (
畜産局長
)
農林事務官
山根
東明君
委員外
の
出席者
農 林 技 官
齋藤
弘義君 專 門 員 岩隈 博君 專 門 員 藤井 信君 ――
―――――――――――
十一月十二日 栄村
大字高田麦
の
耕地整理事業費国庫補助
の請 願(
上林與市郎
君
紹介
)(第一五八号)
農業災害補償法
の一部
改正
に関する
請願
(
平野
三郎
君
紹介
)(第一五九号)
森林組合技術員
の
待遇改善
に関する
請願
(佐々
木盛雄
君
紹介
)(第一六〇号)
女滿別
村所在の
国有牧野拂下
の
請願
(
松田鐵藏
君
紹介
)(第一七九号)
指定農林物資検査法
の一部
改正
に関する
請願外
一件(
松田鐵藏
君
紹介
)(第一八一号)
郭公尾ため池
築
設工事継続
の
請願
(
岡延右エ門
君外一名
紹介
)(第一八四号)
松炭生頭者救済
に関する
請願
(
深澤義守
君紹 介)(第一八七号)
昭和
二十四年度
干拓予算増額
の
請願
(
佐竹晴記
君
紹介
)(第一九〇号)
桑園肥料
に対する
補給金
を
継続交付
の
請願
(平
野三郎
君
紹介
)(第二一二号) 網野町
字下岡地
内の
田地所有権確認
に関する
請願
(
大石ヨシエ
君
紹介
)(第二一三号)
てん菜糖業助成
に関する
請願
(
高倉定助
君外七 名
紹介
)(第二一六号) 同(
飯田義茂
君外七名
紹介
)(第二一七号)
土地改良法
の一部
改正
に関する
請願
(
志田義信
君
紹介
)(第二一八号) 十六合村の
耕地整理事業費国庫補助
の
請願
(志
田義信
君
紹介
)(第二一九号) 香川県の
農業水利事業継続
の
請願
(
島田末信
君
紹介
)(第二二〇号) 廣瀬村
地内国有林
の一部
拂下
促進の
請願
(庄司
一郎
君
紹介
)(第二二一号)
競馬法
の一部
改正
に関する
請願
(
石原圓吉
君紹 介)(第二四四号)
持込配給完全実施
並びに
還元米配給価格引下げ
の
請願
(
石原圓吉
君
紹介
)(第二四六号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同日
荒廃林地復旧費増額
に関する
陳情書
(第七号)
農業災害補償制度拡充強化
に関する
陳情書
(第九号)
競馬法
一部
改正
の
陳情書
(第一一号)
農地調整法等
一部
改正
の
陳情書
(第三一号)
耕地面積
並びに
地方調査施行
の
陳情書
(第三六号)
官有林
を市町村に
拂下
の
陳情書
(第三七号)
農業調整委員会
に対する
補助増額
の
陳情書
(第四二号) 米穀の
補正割当
に関する
陳情書
(第五六号)
治山治水工事
に関する
陳情書
(第五七号)
早場米奬励金国庫交付増額
に関する
陳情書
(第六〇号)
耕地災害復旧事業費
に対する
国庫補助
の
陳情書
(第六三 号) 薪炭の
政府買上
を廃止し
自主的統制
に変更の
陳情書
(第 六五号)
治山治水事業
の
全額国庫負担等
に関する
陳情書
(第六六 号)
中央作況決定審議会
に
知事代表加入
の
陳情書
(第七一号)
土地改良
並びに
災害耕地復旧事業
に対する
国庫
補助復活
の
陳情書
(第七三号)
食糧政策
に関する
陳情書
(第八一号) 北海道の
かん害実態調査
に関する
陳情書
(第九一号)
土地改良
並びに
災害
旧
事業費
の
追加予算計上等
に関する
陳情書
(第九九号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
家畜伝染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
(内 閣提出第二三号) ――
―――――――――――
小笠原八十美
1
○
小笠原委員長
これより
会議
を開きます。 去る十月三十一日
内閣提出
による
家畜伝染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
が本
委員会
に付託に相なりました。本日は
本案
を議題としその
審査
に入ります。まず
政府
の
提案理由
の
説明
を求めます。
坂本實
2
○
坂本政府委員
ただいま御
審議
を願います
家畜伝染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
を
説明
いたします。 現在
都道府県知事
は、
家畜伝染病
の
予防
、制定のために、定期的に、または緊急の場合に
家畜
の
検診
を行うとともに、
免疫血清
もしくは
予防液
の
注射
あるいは
薬浴等
を実施し、万一
伝染病
が
発生
した場合または
蔓延
の危險が濃い場合に、これを防遏する手段として、
伝染病
にかかつた
家畜
の隔離または殺
処分
を行い、また
病毒
に汚染した
物品
の
燒却
、埋却を行い、
他方一定
の地域を
限つて
、
家畜
の出入りもしくは往来の禁止または
伝染病
の
病毒
を伝播するおそれがある
物品
の運搬の
制限
を行う等の
緊急措置
を講じ、その
目的達成
に努めているのであります。しかして従来右に申し述べました
措置
のうちで、
家畜
の殺
処分
もしくは
物品
の
燒却
、埋却等の
処置
または
予防注射等
を行いましたために生じました
家畜
の
死亡等
に対しましては、三万円を越えない
範囲
内で政令の定める額の
手当金
を、
都道府県知事
がその
所有者
に交付するように定められ、しかもその費用は
現行法
第二十三條の
規定
によ
つて国
が負担することにな
つて
いるのであります。しかしながらこの
手当金額
につきましては、
家畜
及び
物品
の最近における著るしい値上りに比較して
少額
に過ぎ、殺
処分
、その他
防疫
上必要な
処置
の徹底を期しがたい
実情
にありますので、これらに対する
手当金
の額を、九万円を越えない
範囲
まで引上げ、
防疫事業
の完璧を期するとともに、
畜産業
の健全なる発達に資せしめようとするのが本
改正法立案
の
趣旨
であります。 何とぞ
愼重審議
の上すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
小笠原八十美
3
○
小笠原委員長
これにて
提案理由
の
説明
は終りました。引続き
本案
に対する質疑に入ります。
原田雪松
君。
原田雪松
4
○
原田委員
本日
家畜伝染病了防法
の一部を
改正
する
法律案
、要するに二十四條の一項の各号を
改正
せられるということは、まことに慶賀にたえないのであります。
日本
の再建のためにも、
畜産
の
重要性
にかんがみ重要だと存じますが、
有畜営農
によるところの
肥料経済
、
生産経済
、
労働経済
を最も有効に利用し、
農村経済復興
のために
畜産
を大きく取上げられる段階に立ち至つたものと、欣賀にたえないのであります。この大事な
畜産
、すなわち各
家畜
も、一たび
伝染病
にかかつた場合は、
現行法
の殺
処分
その他によ
つて
、簡單に三万円
程度
で片づけられることはまことに遺憾に存じておるのであります。今日ほど
農村
が供出の過重なり、
不当税金
の過重なりに苦しめられて、金融の逼迫は言語に絶するものがあるのであります。従来のごとくでは
罹病処分
をされた場合に、農家はその
金額
があまりにも
少額
であるために、小牛さえも買うことができなかつたというような、実に悲惨な
状況
を私
ども
はしよつちゆう見せつけられて来てお
つたの
であります。この
機会
にこの悲惨な
状況
を一々申し上げますと時間をとりますので省略いたしますが、今日ここにこの
改正案
を出されたことは、全面的にこれを満足するものではありません。しかしながらこの
機会
にこの点を二・五倍の
増額
におとりはからいに
なつ
たということは、まことに時宜に適した
処置
として
全国養畜農民
は喜んでおることと思うのであります。 すべて
伝染病
は、
ひとり家畜
のみならず、人間も同様、全国民の
重大関心事
であると私は思うのであります。
疾病
は、特に
伝染病
につきましては、常に
発生
後の
治療防遇
よりも、
予防医学的見地
から
防疫
に重点を置くはもちろん、
病原体
の
調査研究
、
早期発見
であるとか、あるいは常
存発生地帶
の各
家畜
の
健康診断
の励行、
防衞陣営
としては常に
予防
並びに
治療血清
の製造を重点的に行い、病原不明の
組菌
の
険出等
に幾多の
努力
を拂うべき問題があると思うのであります。
伝染病
によ
つて
こうむる損失は、国家のみならず末端の
農村
におきましては、直後その
影響
はきわめて重大でもるのであります。そのために
農村振興
をはばんでおる点が、従来かなりあ
つたの
であります。
政府
は
最善
の
努力
を拂
つて
おると思いますが、私はこの際これにつきまして二、三の
質問
を試みてみたいと思うのであります。
伝染病
のうちでも、多数表の上には上
つて
おりますが、このうちでも重要なものをつまんで聞きたいと思う。
伝染病
の
発生表
を見ますると、最も恐るべき牛疫(リンタペスト)
鼻疽等
は影をひそめ、炭疽、
気腫疽
、
仮性皮疽
、
ヒロプラズマ等
は
漸次減つて
はおりますけれ
ども
、まだまだ馬の脳炎であるとか、プルセラ、牛の
結核
であるとか、
トリコモナス
、馬の
伝貧
、
豚コレラ
、
豚疫
、
豚丹毒
、狂犬病、
家禽コレラ
、ひなの
白痢等
は著しく増加の道程をたど
つて
おります。これら
各種別
に
質問
を試みたいと思いますけれ
ども
、時間の都合上省略いたしまして、このうちで最も多発して、殺
処分
の多い大動物中の牛の
結核
であるとか、牛の
トリコモナス
、馬の
伝染性貧血
についてお尋ねをいたしたいと思います。 第一点は牛の
結核
であります。二十三年度の罹
染頭数
は七百三十二頭であります。そのうち
斃死
が八頭、殺
処分
が五百二十三頭。二十四年度は一月から八月まででありますが、五百八十九頭であります。
斃死
が五、殺
処分
が三百三十二頭であります。本症は主として
乳用系統牛
に多発すると思われますが、各畜牛との
罹病パーセンテージ
を御示し願いたいと思うのであります。
乳牛
は特に
農村振興
の
目的
をもちまして、最近全国的に
酪農振興地帶
が急速度に増加しております。この
現状
から見まして、本症の
撲滅策
は最も急を要する問題であると思うのであります。同時に
新設地方等
に何もわからないで
罹病
中の
乳牛
を購入するおそれがあるのであります。この点には十分の警戒を要すると思うのであります。特に販売中の
市乳
は、
公衆保健衞生
上重要なるのみならず、乳幼児、
病人等
の唯一の
栄養源
とな
つて
おりますが、
飲用
上誤りを起すおそれはないのであるか、この点を伺いたい。また
生産
は
農林省
でや
つて
おり、
検査機関
は
厚生省
でや
つて
おります。しかし
乳用衞生課
というものと
農林省畜産局
の
連絡
が完全であるかどうか、私は疑うものであります。このように二省にまたがることは
奬励
の面からい
つて
、おもしろからざる
相剋摩擦
の面があるのではなかろうか。むしろ百尺竿頭一歩を進めまして、この際
農林省
は、かかる重要な
衞生
施設
は、一省に一元的に取入れる必要があると思うのでありますが、
畜産局
の御
意見
をただしたいと思います。 次に
トリコモナス症
でありますが、これは二十三年度の
罹病頭数
は二千二百七頭であり、殺
処分
が九、二十四年度の一月から八月までは、
罹病頭数
が千四百十四頭、殺
処分
が十一であります。本症の
罹病総数
はきわめて少いように言われていますが、私はこれを嚴密に調査いたしましたならば、少くともその
統計表
の十倍に近いものがあると信じます。本病はあまり恐るべき
疾病
ではないのでありますが、
生産増殖
上重大な
影響
を與えるものであります。
政府
はこの際稀薄で手のまわらない地方庁の
防疫陣営
を強化して、二百万頭以上に上る
乳牛
、
役肉牛
の
検診
を強行し、も
つて
繁殖障害
の除去と
人工受精
を励行し、無畜農家の解消に努め、
生産率
の
向上
に
最善
を盡す
考え
があるかどうか。なお本症により二十三年度において九頭、二十四年度十一頭の殺
処分
を行
つて
いるのでありますが、私は不思議でたまらないのであります。
トリコモナス
で殺
処分
するということは、
獣医学
上私
ども
不思議にたえない。そういう
意味
で
トリコモナス
によるものを殺
処分
しなければならぬか。よほどの合併があ
つたの
であるかどうか、この点をおただし申し上げたいと思います。 第三点は馬の
伝染性貧血症
であります。これは二十三年度は
罹病頭数
千十七頭、
斃死
三十九、殺
処分
九百六十五、二十四年度は一月から八月までに
罹病
が千二百十六頭、
斃死
三十、殺
処分
八百四十九とな
つて
おります。本症は
家畜伝染病
中最も
発見
に至難でありまして、
病原細菌
も今日まで不明瞭でありますが、
潜行蔓延
の
伝播力
はきわめて強大であります。私
ども
はこの
数字
から見まして、この
伝染性貧血
というものは、少くとも
トリコモナス
と同様、十倍以上のものが
日本
の
馬匹
にはあると
考え
るのであります。
昭和
十八年の
陸軍獣医部
のあつた時分に、これを調査しているところによりますと、その当時の
罹病率
は全
馬匹
の一九・三%であるということでありますが、現在では少くとも三〇%がこれにかか
つて
いるのではないかと思うのであります。その当時の
国内馬数
は百五十万頭とされておりますが、現在では百十五万頭内外でありまして、そうなればますます
パーセンテージ
は加わることと思うのであります。これが今後ますます増加
蔓延
しますときにおいては、ほとんど
日本
の
産馬
というものは全減の一途をたどるのではないか。この際
政府
は十二分なる積極的な手を打たなければ、おそらくこれを防遏することは不可能ではなかろうかと
考え
るのであります。
政府
はこの際、この
伝染性貧血症
に対するところの、たとえばこれの
研究所
をつくるとか、これが
撲滅
に対する
機構
を
考え
ておられるかうか。この点は
畜産
の
奬励上
、特に馬の
生産向上
をはばんでいる重要な問題であり、これを
撲滅
しなければ
日本
の馬はつぶれる、こう申し上げても過言ではなかろうかと
考え
るのであります。この点につきまして、
政府
の構想並びに今後の
考え方
をお伺いしたいと思います。 以上三点について御答弁を求めます。
坂本實
5
○
坂本政府委員
ただいま
川原委員
からいろいろ御
意見
の御発表があ
つたの
でありますが、
政府
といたしましても、戰後の新しい情勢に即応いたしまして、
農業
の
生産力
の増強と、
農業経営
の
合理化
のために、
有畜営農
の
振興
をはかる必要があることを痛感いたしているのであります。但しこの場合最も注意すべきことは、
家畜
の
伝染病
に対する
対策
でありまして
伝染病予防
の
対策
あるいは
衞生
対策等
につきましては、御指摘の通りさらに徹底した
政策
が行われなければならないと
考え
ておるような次第であります。十分御
意見
に従いまして、今後の
施策
を強力に行いたいと思うのでありますが、
予算等
の
関係
もありまして不十分な点もあるかと思うのであります。最近の
実情
につきましては
事務局
よりお答えを申し上げます。
山根東明
6
○
山根政府委員
事務的な問題につきまして私からお答えいたします。 最初に牛の
結核
が非常に多いという
お話
は、
お話
の通り非常に多発しておるわけでありますが、これの
予防防遇
につきましては、私
ども
も全力をあげて効果を
收め
るべく努めたいと
考え
ております。御
質問
の
数字
のうち、
乳牛
はどのくらいの
パーセンテージ
を占めておるかという点でありますが、大体
統計
に出ております
数字
は、一応ほとんど
乳牛
というふうにお
考え
願
つて
かまわないと思います。実は御
承知
のように、
法律
で、この
結核
の
対象
としては
乳牛
に大体限定しておりましたような
関係
上、私
ども
の対
対象
になりまして、
従つて統計数字
に現われました
数字
は、そういう
意味
から大体全部
乳牛
というふうにお
考え
願
つて
かまわないと思います。 第二の点、
結核牛
から出ました乳を
飲用
に使えるかどうかという
お話
でありますが、この点は完全なる
消毒
をいたした上でなければ、これを
飲用
に供してはいけないという
法律
上の
規定
があるわけであります。ところが
消毒
が実は百パーセント完全でないために、牛乳を通じて
人聞
に
結核
が伝染するという不祥事が時折遺憾ながらあるような
状況
でありまして、そういう
意味
から
結核
にかかりました牛の乳は
飲用
には好ましくないと
考え
ておるわけであります。
法律
上の
建前
としましては、十分な
消毒
をした上で初めて
飲用
に供するという
建前
にいたしておるのであります。 それから
乳牛衞生
の
関係
が現在
厚生省
に行
つて
おるのでありまして、実はその前提におきまして、私
ども
も常に
厚生省
とは緊密な
連絡
をと
つて仕事
を進めて参
つて
おるわけでありますが、両省にわかれておりますことは、私
ども
の
立場
さらに広く
家畜
の
防疫
、
衞生
の面から見まして、いろいろな点で
お話
のような支障があるわけであります。このことは今日の問題でなく、すでに以前から問題であ
つたの
でありまして、私
ども
の
立場
からすれば、これを
農林省畜産局
に一元的にまとめたいという希望は持
つて
おるのでありまして、その線に沿いまして実はいろいろ
研究
を進めておりますし、さらに
関係方面
へもそういうような
意見
を具申しておるわけであります。今日まで
実現
を見てはおりませんけれ
ども
、今後そういう
方法
で、私
ども
も
実現
に
努力
いたして参りたいと
考え
ております。
トリコモナス
も
お話
のように非常に
罹病数
が多いのであります。これをどういう
理由
で殺
処分
したかという
お話
でありますが、これは恐縮でありますがあとまわしにしていただきまして、
衞生
課長から
説明
をさせていただきたいと思います。
伝貧
の問題につきましては、ただいま
政務次官
からも
お話
があつたかと思いますが、実は
お話
のように、
家畜
の
伝染病
として最も恐るべきものだと
考え
まして、この
研究
の
機構
を拡充することにつきましては、過去数年来数に非常な
努力
をして来たつもしであるのであります。その具体的な
考え
としましては、御
承知
のように、現在は
家畜衞生試験所
に一部を設けまして、
伝貧
の
研究
をや
つて
おるわけでありますが、
試験所
の一部でわずかにそうした
研究
をやるという
程度
では、とてもこのむずかしい病気の正体をつかむことすらできないであろうということから、独立した
伝貧研究所
を設置したいというような
考え方
をと
つて
おるのであります。そういうことで来年度
予算
におきましても、
伝貧研究所
を
家畜衞生試験所
から独立して、
一つ
の
機関
として置きたいという
趣旨
で、
予算
を大蔵省へ要求いたしたのであります。最初申しましたように非常に重要な問題でありますので、この
予算
の
実現
につきましては、私
ども
初め大臣、
政務次官
にも極力御
努力
を願いまして、
大蔵当局
と折衝いたしたのでありますが、遺憾ながら来年度
伝貧研究所
を独立して設置する
予算
は認められなかつたような事情でありまして、ただわずかな
経費
ではございますが、
家畜衞生試験所
の
伝貧研究部門
の
経費
は、若干
増額
を認められたのであります。でありますけれ
ども
、もちろん私
ども
の理想といたします
伝貧研究所
の独立の
実現
につきましては、今後におきましても従来に増して極力
努力
を続け、その
実現
に邁進いたしたいと
考え
ておる次第であります。
原田雪松
7
○
原田委員
伝貧研究所
のことに対しましては、今の御
説明
でほぼわかりましたが、これはゆるがせにすべき問題でなかろうと思うのであります。すでに
競馬馬等
にも、
伝貧
なんかなか
つたの
が、地方的にも相当
発見
するのであります。しかも殺
処分
にな
つて
おりますのが三千五十七頭も昨年はあつた。この金も莫大なものでありますが、これを精査して行くならば、少くとも何倍かの
数字
が現われて来るのじやないかと
考え
るのであります。そういたしますと、
いくら金
を費しても足りないことになるのではないかと心配いたすのであります。むしろこの際思い切
つた施策
を施されて、完全なる防遏の
陣営
を強化するようお運びを願いたいと思います。特に
家禽類
にいたしましても、これも約五万羽以上の
罹病
で全部殺
処分
ということにな
つて
おりますが、現在力を盡しておりましてもこの金ではとても追いつかなくなります。ですから将来の見通しをつけられて、十二分なる手をお打ちくださるように、特に要望申し上げておきます。
齋藤弘義
8
○
齋藤説明員
トリコモナス
の
統計
に殺というものがございます。この殺といいますのは、
法令
によ
つて
殺されるものと、
自分
で殺すものと、殺されたものは余部含んでおるのであります。いわゆる一般の
屠殺
と、
法令
に基きます命令による
屠殺処分
を含んでおります。
トリコモナス
の方は、原則として
法令
による
屠殺処分
を行
つて
おりません。ここに出ておりますのは大体
トリコモナス
にかか
つて
種牡牛
として使えなく
なつ
たというので、
自分
で屠場に出したものを含んでおります。
藥師神岩太郎
9
○
藥師神委員
家畜伝染病予防法
の二十三條の親定を
改正
することは、
私費成
であり、異議はないわけでありますが、これに関連してこの際お伺いしておきたいことは、弟五
国会
に
家畜商法
が上程されて、可決したわけでありますが、これは
制限條項
というものがきわめて薄弱であ
つて
、
家畜商法
に違反しておる者、あるいは
公民
の
資格
を持
つて
いない者というような、実に漠然たるものでありまして、われわれの方では
市場法
がなく
なつ
たために、あるいはまた一面において、従来において
家畜商
に対しては、ある
程度
の
試験制度
を設けて、相当制約をしてお
つたの
でありますが、それが
家畜商法
のきわめてお
ざなりな点
と、一方に
市場法
がなく
なつ
たために、今日はわれわれの方では三倍くらいに
家畜商人
が激増しておるわけであります。そして盛んに
庭先取引
が行われておるわけでありまして、
りつぱな市場
を持
つて
おりながら、
市場取引
というものが順次すたれて行く傾向が勲著であります。これは実に悲しむべきことであ
つて
、どうしても
市場法
を制定して、
市場中心
の
取引
にしなくては、公正な
取引
はできないと思います。また
家畜
の
基準相場
と申しますか、公正な
価格
が出て来ないわけであります。結局言葉をかえてみると、三倍に
家畜商
がふえたということは、
生産者
が三倍の
家畜商
を養
つて
おることと
同義語
であろうと思うのであります。各
府県
において、
一つ
の
條例
あるいは
規定
を設けてや
つて
おりますけれ
ども
、こういうような各
府県
がまちまちなことでは、真の
統制
はできないわけでありまして、どうしても一本の
市場法
というものを定め、また一面から言えば、
家畜商
に対して、もう少し
家畜病理
というようなむずかしい点はないにしても、相当な
欠格條件
を承けて、相当信用のある者に免許を付與する
方法
でない場合においては、特に
馬匹
の点において、
病馬
あるいは
関節等
に異常を来したものを、だまして悲劇をかもす例がきわめて多いのであります。結局
庭先取引
は弊害のみ伴うものであ
つて
、公正な
取引
はできないわけであります。どうしてもこの際においては、一本の
市場法
を制定して、
取引
の公正を期することがまず第一要件であり、さらに
家畜商
というものを、相当な
欠格條項
を設けて、これをある
程度
整理することが、目下の急務ではないかと私
ども
は痛感しておるわけであります。そして全国的に
施設
のある
市場
を百パーセント利用することでなくてはならない。今日では
市場中心取引
の
府県
もありますけれ
ども
、所によると、設備が立ち腐れのような
伏態
に追い込まれておる
現状
であります。これに対して
政府
においては、何か
政府提案
として
市場法
を制定せられる意思があるかどうか。またこの
家畜商
を、今のような
公民
であればだれでもやれるような、こんな乱雑なことをや
つて
いてはしようがないと思うのでありますが、これに対して何か打つ手をお
考え
にな
つて
おるか。その点をお聞きしたしたいと思います。もし
政府
になければ、私たちは
議員提出
としても、この
市場法
を制定しなくてはならぬというふうに痛感しておるわけであります。
山根東明
10
○
山根政府委員
お答えいたします。
家畜
の
取引
を公正にするために、
家畜市場法
が必要だという御
意見
でございますが、実は私
ども
もただいま大体そういうような
考え方
に基きまして、各
府県
に
取引
の
実情
を照会いたしておるわけであります。この
実態
がわかりました上で、必要があります場合には、最も適当な
法制
についても
考え
て参りたい。かような
趣旨
から、ただいま準備をいたしておるわけであります。 次に
家畜商
の
資格
の問題でありますが、御
承知
のように、前
国会
に
家畜商法
が
議員提出
として出たわけでありますが、この
資格
が御
意見
によりますと、少しルーズに過ぎやしないかというような
お話
のようにも承るのでありますが、実は最近の
法制
の
建前
といたしましては、特に一定のあの
法律
に
規定
してあります
欠格條項
がない限りのものに対しましては、
家畜商
の免許を與えるという行き方がとられておるわけでありまして、私
ども
の
考え方
といたしましては、今ただちにこの
法律
を改めまして、さらにもつと嚴格な
資格
制度なり、あるいはその他の免許制度をとるというような
考え方
は、現在のところいたしていないのであります。
藥師神岩太郎
11
○
藥師神委員
ある点から
考え
れば、あるいはルーズなというような、やりつぱなしの
方法
も一面にはまぬかれぬと思うわけでありますけれ
ども
、私が今申したように、
欠格條項
がないということは、嚴密な獣医試験のようなものは必要ないにしても、ある
程度
まで
家畜
に対する経験と、信用というものが付随しないと、弊害も多くて利益は
一つ
もないわけであります。これは
市場法
というものが制定されれば、そういう点も一面においては相当抑圧することができると思うわけであります。そうして
庭先取引
を現在の状態に置いたならば、ますます素質の惡い業者によ
つて
、
生産者
は売りたくないものでも、毎日二、三人が組みにな
つて
詰めかけて来て、これをせがみに来るというような状態、仕事もさせないというような状態が頻繁に行われているわけであります。そういう
意味
で言
つて
も、
市場法
というものを早く制定する必要があると思うのであります。われわれの県のごときは、大阪以西において尾道に次ぐ
市場
を最近建てたのでありますけれ
ども
、ほとんど放置されている
現状
を見ておるのであります。これはすみやかに一本の
統制
ある
市場法
というものを制定して、今の
庭先取引
を抑圧すれば、公正な
取引
ができると同時に、そういう素質の惡い
家畜商
を駆逐することもまた可能であると
考え
ますので、早急に
政府提案
としてこの問題を検討されるように、要望しておく次第であります。
井上良二
12
○井上(良)委員 大体
本案
には原則的に賛成でありますが、二、三の点についてちよつと
質問
をいたしたいと思います。
本案
による手当の問題でありますが、ここに出ております資料によると、
昭和
二十三年度に一千百十五万七千円という手当が出ておりますが、この殺
処分
をやりますのについて、その事実を一体
政府
は確認しておるか。これは殺さなければいけない牛だという事実を、だれがどうして確認をしておるかということ、それを明らかにしてもらいたい。
山根東明
13
○
山根政府委員
病気にかかりました当該
家畜
を殺
処分
にする必要があるかどうかの判定は、
家畜
防疫
委員が検査をいたしまして、検査の結果に基いて殺
処分
の要否を判定いたしております。
井上良二
14
○井上(良)委員 その
防疫
委員というのは各村におりますか、県におりますか、どこにおるのです。
山根東明
15
○
山根政府委員
家畜
防疫
委員は、県知事が県の吏員、あるいは県の有力なる獣医師等に委嘱いたしておるわけでありまして、常時は、たとえば県の吏員であれば県庁で業務をと
つて
おるわけであります。獣医師であれば、それぞれのみずからの職業に常時は従事しておるわけでありまして、当該村におる場合もありますが、あるいは県からわざわざ出張いたしましてこの検査に当る場合もあるかと思います。
井上良二
16
○井上(良)委員 そうすると、その委員は一体県に何人おりますか。
山根東明
17
○
山根政府委員
全国に約四千人でございます。一県平均いたしますと、百人前後ということになると思います。
井上良二
18
○井上(良)委員 そうしますと、その人が殺
処分
しなければならぬかどうかということをきめまして、そして県知事から
畜産局
の方へ手続きをとりますが、その間はどうな
つて
いるのです。殺したあとで、その実收に応じて手当を渡すことにな
つて
おりますか。
山根東明
19
○
山根政府委員
殺
処分
をするわけでありますので、事情が当然逼迫いたしておるわけでありますから、県知事がまず県知事の権限において殺
処分
をいたしました上で、その報告を
農林省
に提出いたしまして、
農林省
から
処分
手当の交付をする、こういう順序にな
つて
おります。
井上良二
20
○井上(良)委員 そこが非常に大事なところでありまして、問題は従
つて
地方庁の
処置
に一任してあ
つて
、これが伝染的その他でどうしても殺さなければならぬ、殺
処分
に付さなければならぬという事実に基いたものならばいいのです。万が一それ以外の必要から殺したものも、この
防疫
委員と言いますか、
予防
委員と言いますか、その委員の報告に基いて、その頭数は変更できる危險がなきにしもあらずです。それは報告に基いて
政府
からそれだけの手当を支給するのですから、現場確認は
政府
としてはやらないのですから、そういう場合はどうなるのです。もしうそを言
つて
ある
数字
であればどうしますか。どこでうそであるということを認めますか。
山根東明
21
○
山根政府委員
県知事の報告に基きまして、私
ども
の方では一応殺
処分
手当を交付するのでありますが、この報告がかりそめにも間違わないように、さらに殺
処分
の要否の判定等が、
防疫
委員の手かげんでいいかげんにならないようにということを監督する
趣旨
をもちまして、各
府県
に
金額
国庫
負担によります職員を配置しておりまして、これの監督指導に当らせておるような
状況
でありますので、
お話
のように、いいかげんなそういう報告なり、
処分
はないと
考え
ております。
井上良二
22
○井上(良)委員 これによる
予算
の増は総額で何ぼで、いつから実行いたしますか。
山根東明
23
○
山根政府委員
法律
が成立いたしました上は、できるだけすみやかに、新しい基準で実施したいと
考え
ておりまして、大体予定といたしましては、明年の一月以降新しい基準で手当を交付したい、かように
考え
ております。新しい
予算
は七千九百八十二万円、これに伴ういろいろな
経費
があります。殺手当の総額といたしましては、一月以降三千六百十五万五千三百二十八円であります。今まで低い基準でやりましたときの
予算
額を御参考までに申しますと、二千五十二万四千二百九十六円、低い基準でありますれば、年間これでまかなえる予定であ
つたの
でありますが、明年一月以降高い基準でやりますために、その不足分が三千六百十五万五千三百二十八円、こういうことにな
つて
おります。
井上良二
24
○井上(良)委員 この際これに関連いたしまして、
畜産
五箇年計画の
状況
について簡單に伺
つて
おきたいのです。たしか
昭和
二十二年の三月であると思いますが、
畜産
審議
会の議決を経て、
農業
復興計画の
一つ
として、五箇年計画を
昭和
二十八年度に完成するという目標のもとに、
乳牛
二十六万頭、役肉用二百四十五万頭、馬百三十五万頭、豚七十八万、めん羊五十六万、やぎ六十二万、うさぎ七百三十五万、鶏四千万羽、あひる五十三万羽、大体こういう目標を立てまして、増殖をはか
つて
行くという計画にな
つて
おりますが、その後この計画はずつと進められておりますか、一応その内容について大要御
説明
を願いたい。なおこの計画を進めるにつきまして、
予算
的
措置
は、その
家畜
頭数の増殖に伴
つて
増額
されておるかどうか。同時にこの
家畜
頭数の増殖に伴つた
伝染病予防
の
施設
費は
増額
されておるかどうか、これを伺いたいのであります。
山根東明
25
○
山根政府委員
畜産
復興五箇年計画の進捗
状況
は、それぞれの
家畜
別に詳細な
数字
をも
つて
、後刻お手元に報告資料を差上げたいと思いますので、概要をここで私から申しますと、本年を第一年としてスタートした五箇年計画でありますが、飼料その他いろいろな條件が悪かつたにもかかわらず、一口に申しますと、非常に順調に進んでおるのでありまして、たとえて申しますと、
乳牛
はすでに計画目標の三年先の頭数にまで進んでおります。それから役肉用牛も同様に二年先の頭数にな
つて
おります。馬がやや計画より内輪であります。また豚及びやぎは三年先の目標に進んでおり、めん羊は一年先を進んでおります。鶏及びうさぎは目標より一年遅れておりますが、これは最近非常に小さい、ごく二、三羽という少羽数の飼育者が多いので、
統計
面に現われぬ
数字
が相当あると思いますのでこれらを
考え
ますと、増殖計画は、最初申し上げましたようにほぼ予定の通り順調に進んでおるというような見方ができるのではないかと
考え
ておるのであります。この五箇年計画に伴
つて
、いろいろな
予算
がふえたかどうかということであしますが、もちろん私
ども
の
畜産局
のこの五箇年計画が根本の計画であるのでありまして、
畜産局
の
衞生
の
予算
、あるいは種畜の
予算
、飼料の
予算
、その他すべて、この計画に現われております
数字
を基礎にして計上いたしてみるわけでありまして、もちろん見方によりますと、あるいはなお不十分だという点もないわけでもありませんけれ
ども
、現在の計画は、この
畜産
五箇年計画をもとにいたしまして、あらゆる
予算
を計上いたしておるというふうに御了承を願いたいと思います。
井上良二
26
○井上(良)委員 もうあと一、二点で終るのでありますが、その
畜産
の五箇年計画を進行しておる全国各県の
状況
を調べてみると、結局飼料問題が非常に重要な問題にな
つて
、今あなたの御
説明
になりました、ふえておりますのは、自給飼料の
関係
でふえておるのではないかと思うのであります。配給飼料にはほとんど頼ることができない。そういうことから、自給飼料に対する
政府
の
処置
というものは、積極的に
対策
を立てられなければならない。たしか食管法の施行規則の第三條の二かに、農家が必要とする
家畜
飼料の保有を一応認めておりますが、これはほんのわずかの飼料でありますし、さらにまた
農業
計画の中に、飼料の作付面積として二十万町歩が認められておる。これだけが
日本
の自給飼料の
範囲
であります。ほとんど問題にならぬのであります。三箇年計画にまつたく沿わない
現状
であります。そこでどうしても積極的に自給飼料についての基本的な農家への飼料確保と、同時に
政府
が配給しておりますその配給飼料は一体どうな
つて
おるのか。飼料公団の扱うております配給飼料というものは、計画通り行
つて
いるかというと、行
つて
ないじやないですか。特に肥料
統制
からはずしましたところの、魚かすの飼料への
統制
状況
なんかを調べてみると、問題にならぬ。一体あの魚かすはどこへ行
つて
いるのです。ほとんど飼料としては完全に配給されずに、やみ肥料でこれが
取引
されておる
現状
にあるのです。これは飼料
統制
の
一つ
の
対象
物にな
つて
おる。しかるにそれが完全な飼料として配給されずに、やみの肥料として農家に
取引
されておる。しかも非常に値段が高くて、どこの農家も悲鳴をあげるような状態にあるのです。魚かすの
統制
はどうな
つて
おる。将来
政府
は飼料配給公団を一体どうしようと
考え
るか。廃止しようとするのか、廃止した後一体飼料
統制
はいかなる
機関
と、いかなる
方法
においてやろうとするか、これは
政務次官
にひとつ伺いたい。 それから、その次に伺
つて
おきたいのは、牧野の問題であります。御
承知
の通り、
日本
の山地は大体全国の六六%を占めておりますが、このうちで木の植わ
つて
ない、つまり戰時中の過伐、濫伐、あるいは牧野の荒廃等によりまする面積が、いわゆる植林のきかない面積と言いますか、木の植わ
つて
ない面積と言いますか、そういうものが少くとも二百万町歩くらいあると言われておる。これをもつと有効適切に利用いたしまして、牧野としての利用を集約的に高めますならば、さらに一層効用率は高まると思いますが、こういう
関係
から、これらの平地を牧野に集約利用するように、現在の牧野法を
改正
する必要があろうと思いますが、そういう意思があるかどうか、この点を伺いたい。 それから最後に、第五
国会
において、
競馬法
の一部を
改正
して、
政府
直営の競馬から上
つて
参ります
政府
收入金のうちで、その三分の一を
畜産
奬励
に使えということを法文に明記したのであります。これは両院を通過して、法文として成立しておる。そうすると、今
政府
は二十四年度補正
予算
及び二十五年度
予算
を編成中でありますが、この
予算
の中に、この三分の一を
畜産
奬励
に使うところの
経費
が計上されているやいなや、明確にしてもらいたい。以上の点をお答えを願いたい。
坂本實
27
○
坂本政府委員
ただいま井上委員から
お話
がございました飼料公団の改組の問題でございますが、これは
農林省
の所管しておりまする他の公団と一諸に、いろいろこれの整備につきまして、検討を加えつつあるのでありまして、ただいままだ最終的な結論に到逹をしておらないのでありますが、公団を廃するといたしましても、そのまま自由にするということも、需給の面から見ましていかがかと思うのでありまして、あるいは登録制度等を採用する必要もあろうかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、ただいま
研究
をいたしておる最中でございます。 なお、
予算
の問題でありますが、
競馬法
を一部
改正
をいたしまして、今
お話
がございました通り、その売得金の三分の一を玄
畜産
振興
のために使わなければならないという
国会
の御意思につきましては、
農林省
といたしましても十分
承知
、いたしておるのでありまして、
予算
編成にあたりましても、極力その御意思に沿
つて
、実は
関係
省とも
連絡
をいたしておる次第でございます。
山根東明
28
○
山根政府委員
残
つて
おります点につきまして私からお答えいたします。 飼料の問題が
家畜
五箇年計画を推進して行く上の基本でありますことは、まつたく御説の通りでありまして、特に自給飼料を確保するという線につきましては、私
ども
も及ばずながら各種の
施設
をと
つて
おるのでありまして、たとえて申しますと、原種圃を国で経営いたしまして、そこで優良な牧草の種子を供給するとか、あるいは最近は資材もよほど楽になりましたけれ
ども
、サイロの建設に対して所要資材の配給、あつせん等をいたしております。それから飼料作物の種子の優秀なるものの輸入も、これを懇請して、輸入に努めておるわけであります。こういうようなことで、さらには農家保有の点につきましても、あれで十分とは、実は
お話
のように私
ども
も
考え
ていないのでありまして、将来の食糧事情の許す限りにおきまして、農家の飼料保有をできるだけふくらまして行きたい点は御同感であります。 次に配給飼料で魚かすがどうな
つて
おるかという
お話
でありますが、魚かすは
お話
のように、肥料から
統制
がはずされたのでありますが、これをえさにまわしたいという
趣旨
から、現在飼料としての
統制
をいたしておるのであります。しかしながら魚かすは非常に
統制
がいろいろな点で困難でありまして、
統制
はいたして参りましたものの、その実績は必ずしも計画通り実は行
つて
いない
実情
でありまして、
お話
のように、大分やみ飼料に流れておる
実情
は、私
ども
も
承知
いたしておるのであります。
一つ
には、これはやみ値が非常に高いということにあるのでありまして、これを抑えますためには、一方には法的な
統制
が必要でありますが、何と申しましても、今日まで実はこれを扱います側の人手が非常に不足しておつたことと、さらに資金面において十分な資金がなかつたために、どうしてもほかへ流れて行くことにな
つて
お
つたの
でありまして、これらの面の手当を十分いたしますならば、私
ども
といたしましては、今日以上の成績は、少くとも上げて行ける自信を持
つて
おるのでありまして、これをいつまで
統制
するかということは
一つ
の問題でありますけれ
ども
、魚かすを
統制
をいたして参ります以上は、そういう面で手当をいたした上で、所期の計画に実績をできるだけ近づけるように
努力
を続けたい。かように
考え
ております。以上お答えいたします。
井上良二
29
○井上(良)委員
坂本
政務次官
はちよつと間違
つて
おるのではないですか。
国会
の御意思による、ではなく、
法律
として成立しているのですから、
法律
をあなたが守るか守らぬかの問題であ
つて
、その点を誤解しておる。單に
国会
で決議したという、その決議案ではないのです。
現行法
規として執行されておるのです。その通りあなた方が実行してもらうように、ぜひひとつわが国将来の
農業
の
現状
から
考え
て、
畜産
は
農業
生産
の上に重要であり、また国民の食生活の上に重大な
関係
を持
つて
おりますから、この点について、特に
国会
はその必要を認めて、競馬から上
つて
来ます三分の一を使えるということに
規定
してありますから、その
規定
をあなた方が実行するのが役目であ
つて
、実行しなければ国家公務員法に違反しますよ。そういう点をもつと明らかにしてがんば
つて
いただきたいと思うのであります。 なお今の魚かすの問題についても、もしこれを飼料としてうまく
統制
ができなければ、いつそこれは再び肥料
統制
の中に入れて、部分的にでも
農村
に配給した方がよほど効果的であります。現在のままに放任しておきますことは、一層
農村
を苦しめるばかりでありまして、飼料
統制
でやれなければ、肥料
統制
へ持ち込むとか何とかしてやらなければ、農家は実際困
つて
おるのでありますから、この点をもつと真剣に、当局は検討願いたいということを私は特に希望しておきます。
竹村奈良一
30
○竹村委員 私が聞かんとするところは、大体井上委員から聞かれたので、簡單に一、二の点だけお伺いしておきたいと思います。結局こういうような法案を出される基礎といたしましても、先ほどから論議にな
つて
おります
畜産
の五箇年計画の成果いかんにかか
つて
おるのであります。それに対する
政府
の御所見は大体拜聽したのですけれ
ども
、その基礎をなしますところの飼料の問題で、單作地帶に対しましては、一体
政府
はどういうような
処置
をとられておられるか、しかも單作地帶におきます牛馬の一頭当りに対してどれだけ配給されておるか、しかもその單作地帶と見られております
府県
は何
府県
であ
つて
、どの県であるか、ちよつとお伺いしたいのであります。
山根東明
31
○
山根政府委員
單作地帶に対する飼料の
対策
についてでありますが、実は現在の飼料の事情から申し上げますと、今日あらゆる
家畜
に飼料を配給するまでに実は行
つて
ないのでありまして、いわゆる配給
対象
を限定いたしております。具体的に申しますと、
乳牛
、輓牛馬、種畜、こういうものに実は限定いたしておるのでありまして、一般の農耕牛馬には飼料の配給をいたしていないのであります。しかしながら單作地帶は特別な事情がございます。米ばかりつく
つて
おるのでありまして、従いまして飼料の農家保有を認めていないのでありますので、特にここ二三年来單作地帶には供出の報奬として特別な配給を実施しておるのでありまして、その数量は全体で二万トン前後であります。單作地帶としましては東北、北陸の各県を
考え
ておるのであります。
竹村奈良一
32
○竹村委員 それではその配給されておる県に対して、
対象
にな
つて
おるものの一頭当りの配給量は、一体どのくらいに
考え
ておられるのですか。
山根東明
33
○
山根政府委員
その点につきましては、先ごろ竹村さんから資料の要求がありましたが、実はこれは食糧庁の
関係
で数量を決定いたしておるような
関係
もありますので、ただいま食糧庁に
連絡
をいたしておりまして、はなはだ申訳ございませんが、手元にまだまとま
つて
おりませんので、早急に食糧庁からまとめまして、後刻差上げたいと思いますから、あしからず御了承願います。
竹村奈良一
34
○竹村委員 それじやその点はまた後刻にいたします。飼料の配給されている県を、東北あるいは北陸と言われましたが、それ以外にないのですか。全国で何県に対して配給にな
つて
おるか。
山根東明
35
○
山根政府委員
その点もさらに後刻二頭当りの数量とあわせてはつきりいたしますが、最初私が東北、北陸と申しましたが、このほかに滋賀県の一部にも―あれは福井よりの、大体福井県と事情が同じでありますところの牛馬を
対象
として出ておると記憶しております。これもあとで正確な資料として差上げたいと思います。
竹村奈良一
36
○竹村委員 それでは飼料の問題に対しては
質問
を残しまして、一応これで終ります。
小笠原八十美
37
○
小笠原委員長
足立篤郎君。
足立篤郎
38
○足立(篤)委員 私は本日提案されました
家畜伝染病予防法
の第二十四條について、三点ばかり伺いたいと思いますが、時間の
関係
で要約いたしまして、ごく簡單に伺いたいと思います。 第一点は、本日提案されました
改正
法が実施されますと、二十四條に
規定
しております一号、二号、三号、この種別によるところの
手当金
は、大
家畜
についてはおよそ幾らになるかという点であります。本日いただきました参考資料の第九表に
家畜
価格
調べがございます。これによしますと、たとえば
役肉牛
で成畜が九万円とな
つて
おりますが、しからば一号の場合に三万円もらえるものであるというふうに解釈していいかどうかという点であります。 第二点として伺いたい点は、第二十四條の
規定
によりますと、一号、二号、三号とわかれておりまして、手当に相当な差があります。どうも私これを読んでみましてその
理由
の
発見
に苦しむのであります。この差のあります
理由
を、いかように当局はお
考え
にな
つて
おるか。私の
考え
では、たとえば一号の
規定
によりまして殺
処分
したものにつきましても、あるいは三号の前段によ
つて
緊急に殺
処分
を受けますものも、やほり畜主が受けます被害というものは同じでありまして、この差が著しいのはいかなる
理由
によるかという点であります。 第三点として伺いたいのは、第二点として伺いましたのと同様な
趣旨
でありますが、昨年来、私靜岡県でありますが、相当数の殺
処分
を受けております。その
実情
を農民から聞きますと、たとえばツベルクリン反応によりまして殺
処分
の命令が出る。しかし第六條に
規定
されております病性鑑定の
意味
を含めて解剖までや
つて
おる例がたくさんあるのであります。ところが農民はその補償がやはり一万二千円で非常に苦しんでおる。第六條の
規定
を準用いたしますれば、五分の三でありますので相当
増額
されるわけでありますが、その場合、一体一応殺
処分
の命令の出ておるものすべて一号で行くのであるかどうか。殺
処分
の命令が出てお
つて
も、やはり病性鑑定というような
意味
合いから、第六條の
規定
では剖検という言葉を使
つて
おりますが、剖検をした場合にはむしろ第二号の適用をすべきではないかというふうにも
考え
られるわけでありますが、これに対するお
考え
を聞きたいと思
つて
おります。このようなやり方が結局農民にいろいろ疑惑の念をさせまして、あるいはまたやり方がずさんであるという気持を起させまして、いろいろ非難の声の上
つて
おるのを開くのであります。この点をはつきり伺
つて
おきたいと思います。以上三点についてお聞きいたします。
山根東明
39
○
山根政府委員
第一点の
手当金額
でありますが、
お話
のように、新しい基準によりますと、第一号
屠殺
の場合には三万円であります。第二号が五万四千円、第三号が七万二千円、こういうことになるのであります。一号、二号、三号にどうしてそれだけの差等をつけるかという御
質問
でありますが、一号は
法律
にも書いてありますように、
伝染病
にかかつたあかつきには、
家畜
に対して
法令
上当然殺すわけでありまして、その場合には評価額の三分の一、言いかえれば、とにかく病気にかか
つて
、畜主としてはその事情はいろいろ気の毒な点があるのでありますが、ある
程度
畜主がその損失を負担してもらうという
趣旨
から、三分の一だけ手当を出すことにしたのであります。第二号の病性鑑定のための
法令
殺に対しましては五分の三で、一号の場合より若干手当をよくいたしているのでありますが、これは国の方の必要と申しますか、そういう見地から、畜主としては畜主の欲目で、ある
程度
あきらめかねる点を冒して殺
処分
にするというような
関係
でありますので、手当額を多くしたわけであります。そういう
意味
から、三に至りますと、さらに五分の四というような、ほとんど
金額
の手当を出すということにな
つて
おりますが、これは国がやりました
予防
注射
のために運悪く
伝染病
を引起した、あるいはそのために殺さなければならなかつたというような事情であるからであります。このように、それぞれの場合畜主の
立場
が異なりますので、それに応じてかような差等をつけたのであります。 それから、実は第一号で
屠殺
したものをあとで解剖する場合があるのでありますが、これは殺された畜主が、どうも病気ではなか
つたの
じやないかという、これも畜主の欲目から、そういう気持がありますから、その前でこれを明らかにして、そういう誤解を一掃し、さらに今後における啓蒙をする
趣旨
で、一号で
屠殺
したものに対しましても、これを解剖する場合が実はあるのでありますが、その場合、手当としましては、やはり三分の一の手当しか出せないのじやないか、かように
考え
ております。
足立篤郎
40
○足立(篤)委員 第二点について、どうもお答えが釈然といたしません。先ほど来各委員から御
意見
がありました通り、
伝染病
の
予防
をすることが大切でありますから、そういう
意味
から
考え
ると、あまり
少額
な手当では、ひた隠しにこれを隠しまして、効果が上らないという点が
考え
られるわけでありまして、ただいまの御
説明
では、どうもこれだけの大きな差をつけます
意味
が私にははつきりのみこめないのであります。特に私が伺いましたのは、一号の場合と三号の、前段の場合、ペストの場合にはそれほどの差があるかどうかということを伺
つたの
に対して、ただいまの局長のお答えは後段の第七條の
規定
により云々という場合です。これは私はもつともであると思
つて
伺わなか
つたの
でありますが、これではお答えにならないのであります。この点、もう一度御答弁をいただきたいと思います。 なおただいま申し上げた、
予防
の完璧を期するという見地から、この一号の場合には少くとも半額
程度
まで
増額
する必要があるのじやないかと
考え
ますが、これに対する当局の御所見を承
つて
おきたいと思います。
山根東明
41
○
山根政府委員
一号の場合と三号の前段の場合とでは、少し差がひど過ぎはしないかという御
趣旨
のようでありますが、先ほど申しましたように、一号でありますと、これは明らかに病気にかか
つて
いるのでありまして、畜主としても運の悪かつた点はあるのでありますけれ
ども
、やはり畜主はその三分の二は負担するということでいいのではないかという
考え
で、三分の一にしてありますが、三号の前段になりますと、一見ぴんぴんしております
家畜
をむりむり
屠殺
するわけでありますので、畜主としてもいかにもあきらめかねる点もあるのでありまして、これはその間にそれだけの差が不当じやないかということは、御
意見
としてはあるかと思いますし、私
ども
としましても、これにつきましては将来
研究
はしたいと思うのでありますけれ
ども
、現在の
考え方
としましては、その間にそういう
考え方
に基いて差別をつけておるわけであります。
足立篤郎
42
○足立(篤)委員 半額ぐらいふやしたらどうですか。
山根東明
43
○
山根政府委員
一号の
家畜
手当を
増額
することについては、もちろん
予算
の
関係
もあるわけではありますけれ
ども
、私
ども
としましては、もちろん
伝染病
殺
処分
にしました
家畜
の死体の、たとえば皮でありますとか、場合によりましては肉等も利用できるわけでありまして、これらの利用価値、さらには
家畜
共済金の支拂いというようなことをすべて計算いたしまして、十分とは存じませんけれ
ども
、畜主に対してそう不当な負担はかけないという計算のもとに、実は
予算
の
関係
もございまして、三分の一と決定しておるわけでありまして、さらに
研究
の上、あるいは非常に不当に畜主に迷惑をかけるというような事情でありますならば、もちろん
研究
をいたして参りたいと
考え
るわけであります。
小笠原八十美
44
○
小笠原委員長
なお
委員長
から御注意申し上げておきますが、殺
処分
の問題は、この法案の実施にあたりまして、よく地方庁と
連絡
をとられて、誤診の結果殺
処分
に付したり、あるいはまた一部の獣医が感情によ
つて
殺
処分
にしたなどという宣伝ができたりするようなことであ
つて
は、非常に遺憾でありまするから、十分
連絡
をと
つて
、抜討ち的に検査もするような実施に当りたいと思います。 他に質疑はありませんか―別に質疑もないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。 引続き
本案
に対する討論に移ります。討論の通告ありませんから、この際討論を省略して、ただちに
本案
に対する採決を行います。
本案
を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小笠原八十美
45
○
小笠原委員長
御異議なしと認めます。よ
つて
本案
は原案通り全会一致をも
つて
可決せられました。 なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、
委員長
に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小笠原八十美
46
○
小笠原委員長
御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。 本日はこの
程度
にとどめまして、次会は公報をも
つて
お知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十五分散会