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1949-11-14 第6回国会 衆議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十四日(月曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 松浦 東介君 理事 八木 一郎君   理事 藥師神岩太郎君 理事 山村新治郎君    理事 井上 良二君 理事 小林 運美君    理事 竹村奈良一君 理事 寺島隆太郎君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中村  清君       原田 雪松君    平澤 長吉君       平野 三郎君    渕  通義君       村上 清治君    山本 久雄君       渡邊 良夫君    足鹿  覺君       石井 繁丸君    坂口 主税君       寺本  齋君    小平  忠君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         (畜産局長)         農林事務官   山根 東明君  委員外出席者         農 林 技 官 齋藤 弘義君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十一月十二日  栄村大字高田麦耕地整理事業費国庫補助の請  願(上林與市郎紹介)(第一五八号)  農業災害補償法の一部改正に関する請願平野  三郎紹介)(第一五九号)  森林組合技術員待遇改善に関する請願(佐々  木盛雄紹介)(第一六〇号)  女滿別村所在の国有牧野拂下請願松田鐵藏  君紹介)(第一七九号)  指定農林物資検査法の一部改正に関する請願外  一件(松田鐵藏紹介)(第一八一号)  郭公尾ため池設工事継続請願岡延右エ門  君外一名紹介)(第一八四号)  松炭生頭者救済に関する請願深澤義守君紹  介)(第一八七号)  昭和二十四年度干拓予算増額請願佐竹晴記  君紹介)(第一九〇号)  桑園肥料に対する補給金継続交付請願(平  野三郎紹介)(第二一二号)  網野町字下岡地内の田地所有権確認に関する請願  (大石ヨシエ紹介)(第二一三号)  てん菜糖業助成に関する請願高倉定助君外七  名紹介)(第二一六号)  同(飯田義茂君外七名紹介)(第二一七号)  土地改良法の一部改正に関する請願志田義信  君紹介)(第二一八号)  十六合村の耕地整理事業費国庫補助請願(志  田義信紹介)(第二一九号)  香川県の農業水利事業継続請願島田末信君  紹介)(第二二〇号)  廣瀬村地内国有林の一部拂下促進の請願(庄司  一郎紹介)(第二二一号)  競馬法の一部改正に関する請願石原圓吉君紹  介)(第二四四号)  持込配給完全実施並びに還元米配給価格引下げ  の請願石原圓吉紹介)(第二四六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  荒廃林地復旧費増額に関する陳情書  (第七号)  農業災害補償制度拡充強化に関する陳情書  (第九号)  競馬法一部改正陳情書  (第一一号)  農地調整法等一部改正陳情書  (第三一号)  耕地面積並びに地方調査施行陳情書  (第三六号)  官有林を市町村に拂下陳情書  (第三七号)  農業調整委員会に対する補助増額陳情書  (第四二号)  米穀の補正割当に関する陳情書  (第五六号)  治山治水工事に関する陳情書  (第五七号)  早場米奬励金国庫交付増額に関する陳情書  (第六〇号)  耕地災害復旧事業費に対する国庫補助陳情書  (第六三  号)  薪炭の政府買上を廃止し自主的統制に変更の  陳情書(第  六五号)  治山治水事業全額国庫負担等に関する陳情書  (第六六  号)  中央作況決定審議会知事代表加入陳情書  (第七一号)  土地改良並びに災害耕地復旧事業に対する国庫  補助復活陳情書  (第七三号)  食糧政策に関する陳情書  (第八一号)  北海道のかん害実態調査に関する陳情書  (第九一号)  土地改良並びに災害事業費追加予算計上等  に関する陳情書  (第九九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  去る十月三十一日内閣提出による家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案が本委員会に付託に相なりました。本日は本案を議題としその審査に入ります。まず政府提案理由説明を求めます。
  3. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま御審議を願います家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  現在都道府県知事は、家畜伝染病予防、制定のために、定期的に、または緊急の場合に家畜検診を行うとともに、免疫血清もしくは予防液注射あるいは薬浴等を実施し、万一伝染病発生した場合または蔓延の危險が濃い場合に、これを防遏する手段として、伝染病にかかつた家畜の隔離または殺処分を行い、また病毒に汚染した物品燒却、埋却を行い、他方一定の地域を限つて家畜の出入りもしくは往来の禁止または伝染病病毒を伝播するおそれがある物品の運搬の制限を行う等の緊急措置を講じ、その目的達成に努めているのであります。しかして従来右に申し述べました措置のうちで、家畜の殺処分もしくは物品燒却、埋却等の処置または予防注射等を行いましたために生じました家畜死亡等に対しましては、三万円を越えない範囲内で政令の定める額の手当金を、都道府県知事がその所有者に交付するように定められ、しかもその費用は現行法第二十三條の規定によつて国が負担することになつているのであります。しかしながらこの手当金額につきましては、家畜及び物品の最近における著るしい値上りに比較して少額に過ぎ、殺処分、その他防疫上必要な処置の徹底を期しがたい実情にありますので、これらに対する手当金の額を、九万円を越えない範囲まで引上げ、防疫事業の完璧を期するとともに、畜産業の健全なる発達に資せしめようとするのが本改正法立案趣旨であります。  何とぞ愼重審議の上すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて提案理由説明は終りました。引続き本案に対する質疑に入ります。原田雪松君。
  5. 原田雪松

    原田委員 本日家畜伝染病了防法の一部を改正する法律案、要するに二十四條の一項の各号を改正せられるということは、まことに慶賀にたえないのであります。日本の再建のためにも、畜産重要性にかんがみ重要だと存じますが、有畜営農によるところの肥料経済生産経済労働経済を最も有効に利用し、農村経済復興のために畜産を大きく取上げられる段階に立ち至つたものと、欣賀にたえないのであります。この大事な畜産、すなわち各家畜も、一たび伝染病にかかつた場合は、現行法の殺処分その他によつて、簡單に三万円程度で片づけられることはまことに遺憾に存じておるのであります。今日ほど農村が供出の過重なり、不当税金の過重なりに苦しめられて、金融の逼迫は言語に絶するものがあるのであります。従来のごとくでは罹病処分をされた場合に、農家はその金額があまりにも少額であるために、小牛さえも買うことができなかつたというような、実に悲惨な状況を私どもはしよつちゆう見せつけられて来ておつたのであります。この機会にこの悲惨な状況を一々申し上げますと時間をとりますので省略いたしますが、今日ここにこの改正案を出されたことは、全面的にこれを満足するものではありません。しかしながらこの機会にこの点を二・五倍の増額におとりはからいになつたということは、まことに時宜に適した処置として全国養畜農民は喜んでおることと思うのであります。  すべて伝染病は、ひとり家畜のみならず、人間も同様、全国民の重大関心事であると私は思うのであります。疾病は、特に伝染病につきましては、常に発生後の治療防遇よりも、予防医学的見地から防疫に重点を置くはもちろん、病原体調査研究早期発見であるとか、あるいは常存発生地帶の各家畜健康診断の励行、防衞陣営としては常に予防並びに治療血清の製造を重点的に行い、病原不明の組菌険出等に幾多の努力を拂うべき問題があると思うのであります。伝染病によつてこうむる損失は、国家のみならず末端の農村におきましては、直後その影響はきわめて重大でもるのであります。そのために農村振興をはばんでおる点が、従来かなりあつたのであります。政府最善努力を拂つておると思いますが、私はこの際これにつきまして二、三の質問を試みてみたいと思うのであります。  伝染病のうちでも、多数表の上には上つておりますが、このうちでも重要なものをつまんで聞きたいと思う。伝染病発生表を見ますると、最も恐るべき牛疫(リンタペスト)鼻疽等は影をひそめ、炭疽、気腫疽仮性皮疽ヒロプラズマ等漸次減つてはおりますけれども、まだまだ馬の脳炎であるとか、プルセラ、牛の結核であるとか、トリコモナス、馬の伝貧豚コレラ豚疫豚丹毒、狂犬病、家禽コレラ、ひなの白痢等は著しく増加の道程をたどつております。これら各種別質問を試みたいと思いますけれども、時間の都合上省略いたしまして、このうちで最も多発して、殺処分の多い大動物中の牛の結核であるとか、牛のトリコモナス、馬の伝染性貧血についてお尋ねをいたしたいと思います。  第一点は牛の結核であります。二十三年度の罹染頭数は七百三十二頭であります。そのうち斃死が八頭、殺処分が五百二十三頭。二十四年度は一月から八月まででありますが、五百八十九頭であります。斃死が五、殺処分が三百三十二頭であります。本症は主として乳用系統牛に多発すると思われますが、各畜牛との罹病パーセンテージを御示し願いたいと思うのであります。乳牛は特に農村振興目的をもちまして、最近全国的に酪農振興地帶が急速度に増加しております。この現状から見まして、本症の撲滅策は最も急を要する問題であると思うのであります。同時に新設地方等に何もわからないで罹病中の乳牛を購入するおそれがあるのであります。この点には十分の警戒を要すると思うのであります。特に販売中の市乳は、公衆保健衞生上重要なるのみならず、乳幼児、病人等の唯一の栄養源となつておりますが、飲用上誤りを起すおそれはないのであるか、この点を伺いたい。また生産農林省でやつており、検査機関厚生省でやつております。しかし乳用衞生課というものと農林省畜産局連絡が完全であるかどうか、私は疑うものであります。このように二省にまたがることは奬励の面からいつて、おもしろからざる相剋摩擦の面があるのではなかろうか。むしろ百尺竿頭一歩を進めまして、この際農林省は、かかる重要な衞生施設は、一省に一元的に取入れる必要があると思うのでありますが、畜産局の御意見をただしたいと思います。  次にトリコモナス症でありますが、これは二十三年度の罹病頭数は二千二百七頭であり、殺処分が九、二十四年度の一月から八月までは、罹病頭数が千四百十四頭、殺処分が十一であります。本症の罹病総数はきわめて少いように言われていますが、私はこれを嚴密に調査いたしましたならば、少くともその統計表の十倍に近いものがあると信じます。本病はあまり恐るべき疾病ではないのでありますが、生産増殖上重大な影響を與えるものであります。政府はこの際稀薄で手のまわらない地方庁の防疫陣営を強化して、二百万頭以上に上る乳牛役肉牛検診を強行し、もつて繁殖障害の除去と人工受精を励行し、無畜農家の解消に努め、生産率向上最善を盡す考えがあるかどうか。なお本症により二十三年度において九頭、二十四年度十一頭の殺処分を行つているのでありますが、私は不思議でたまらないのであります。トリコモナスで殺処分するということは、獣医学上私ども不思議にたえない。そういう意味トリコモナスによるものを殺処分しなければならぬか。よほどの合併があつたのであるかどうか、この点をおただし申し上げたいと思います。  第三点は馬の伝染性貧血症であります。これは二十三年度は罹病頭数千十七頭、斃死三十九、殺処分九百六十五、二十四年度は一月から八月までに罹病が千二百十六頭、斃死三十、殺処分八百四十九となつております。本症は家畜伝染病中最も発見に至難でありまして、病原細菌も今日まで不明瞭でありますが、潜行蔓延伝播力はきわめて強大であります。私どもはこの数字から見まして、この伝染性貧血というものは、少くともトリコモナスと同様、十倍以上のものが日本馬匹にはあると考えるのであります。昭和十八年の陸軍獣医部のあつた時分に、これを調査しているところによりますと、その当時の罹病率は全馬匹の一九・三%であるということでありますが、現在では少くとも三〇%がこれにかかつているのではないかと思うのであります。その当時の国内馬数は百五十万頭とされておりますが、現在では百十五万頭内外でありまして、そうなればますますパーセンテージは加わることと思うのであります。これが今後ますます増加蔓延しますときにおいては、ほとんど日本産馬というものは全減の一途をたどるのではないか。この際政府は十二分なる積極的な手を打たなければ、おそらくこれを防遏することは不可能ではなかろうかと考えるのであります。政府はこの際、この伝染性貧血症に対するところの、たとえばこれの研究所をつくるとか、これが撲滅に対する機構考えておられるかうか。この点は畜産奬励上、特に馬の生産向上をはばんでいる重要な問題であり、これを撲滅しなければ日本の馬はつぶれる、こう申し上げても過言ではなかろうかと考えるのであります。この点につきまして、政府の構想並びに今後の考え方をお伺いしたいと思います。  以上三点について御答弁を求めます。
  6. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま川原委員からいろいろ御意見の御発表があつたのでありますが、政府といたしましても、戰後の新しい情勢に即応いたしまして、農業生産力の増強と、農業経営合理化のために、有畜営農振興をはかる必要があることを痛感いたしているのであります。但しこの場合最も注意すべきことは、家畜伝染病に対する対策でありまして伝染病予防対策あるいは衞生対策等につきましては、御指摘の通りさらに徹底した政策が行われなければならないと考えておるような次第であります。十分御意見に従いまして、今後の施策を強力に行いたいと思うのでありますが、予算等関係もありまして不十分な点もあるかと思うのであります。最近の実情につきましては事務局よりお答えを申し上げます。
  7. 山根東明

    山根政府委員 事務的な問題につきまして私からお答えいたします。  最初に牛の結核が非常に多いというお話は、お話の通り非常に多発しておるわけでありますが、これの予防防遇につきましては、私どもも全力をあげて効果を收めるべく努めたいと考えております。御質問数字のうち、乳牛はどのくらいのパーセンテージを占めておるかという点でありますが、大体統計に出ております数字は、一応ほとんど乳牛というふうにお考えつてかまわないと思います。実は御承知のように、法律で、この結核対象としては乳牛に大体限定しておりましたような関係上、私どもの対対象になりまして、従つて統計数字に現われました数字は、そういう意味から大体全部乳牛というふうにお考えつてかまわないと思います。  第二の点、結核牛から出ました乳を飲用に使えるかどうかというお話でありますが、この点は完全なる消毒をいたした上でなければ、これを飲用に供してはいけないという法律上の規定があるわけであります。ところが消毒が実は百パーセント完全でないために、牛乳を通じて人聞結核が伝染するという不祥事が時折遺憾ながらあるような状況でありまして、そういう意味から結核にかかりました牛の乳は飲用には好ましくないと考えておるわけであります。法律上の建前としましては、十分な消毒をした上で初めて飲用に供するという建前にいたしておるのであります。  それから乳牛衞生関係が現在厚生省に行つておるのでありまして、実はその前提におきまして、私どもも常に厚生省とは緊密な連絡をとつて仕事を進めて参つておるわけでありますが、両省にわかれておりますことは、私ども立場さらに広く家畜防疫衞生の面から見まして、いろいろな点でお話のような支障があるわけであります。このことは今日の問題でなく、すでに以前から問題であつたのでありまして、私ども立場からすれば、これを農林省畜産局に一元的にまとめたいという希望は持つておるのでありまして、その線に沿いまして実はいろいろ研究を進めておりますし、さらに関係方面へもそういうような意見を具申しておるわけであります。今日まで実現を見てはおりませんけれども、今後そういう方法で、私ども実現努力いたして参りたいと考えております。  トリコモナスお話のように非常に罹病数が多いのであります。これをどういう理由で殺処分したかというお話でありますが、これは恐縮でありますがあとまわしにしていただきまして、衞生課長から説明をさせていただきたいと思います。  伝貧の問題につきましては、ただいま政務次官からもお話があつたかと思いますが、実はお話のように、家畜伝染病として最も恐るべきものだと考えまして、この研究機構を拡充することにつきましては、過去数年来数に非常な努力をして来たつもしであるのであります。その具体的な考えとしましては、御承知のように、現在は家畜衞生試験所に一部を設けまして、伝貧研究をやつておるわけでありますが、試験所の一部でわずかにそうした研究をやるという程度では、とてもこのむずかしい病気の正体をつかむことすらできないであろうということから、独立した伝貧研究所を設置したいというような考え方をとつておるのであります。そういうことで来年度予算におきましても、伝貧研究所家畜衞生試験所から独立して、一つ機関として置きたいという趣旨で、予算を大蔵省へ要求いたしたのであります。最初申しましたように非常に重要な問題でありますので、この予算実現につきましては、私ども初め大臣、政務次官にも極力御努力を願いまして、大蔵当局と折衝いたしたのでありますが、遺憾ながら来年度伝貧研究所を独立して設置する予算は認められなかつたような事情でありまして、ただわずかな経費ではございますが、家畜衞生試験所伝貧研究部門経費は、若干増額を認められたのであります。でありますけれども、もちろん私どもの理想といたします伝貧研究所の独立の実現につきましては、今後におきましても従来に増して極力努力を続け、その実現に邁進いたしたいと考えておる次第であります。
  8. 原田雪松

    原田委員 伝貧研究所のことに対しましては、今の御説明でほぼわかりましたが、これはゆるがせにすべき問題でなかろうと思うのであります。すでに競馬馬等にも、伝貧なんかなかつたのが、地方的にも相当発見するのであります。しかも殺処分になつておりますのが三千五十七頭も昨年はあつた。この金も莫大なものでありますが、これを精査して行くならば、少くとも何倍かの数字が現われて来るのじやないかと考えるのであります。そういたしますと、いくら金を費しても足りないことになるのではないかと心配いたすのであります。むしろこの際思い切つた施策を施されて、完全なる防遏の陣営を強化するようお運びを願いたいと思います。特に家禽類にいたしましても、これも約五万羽以上の罹病で全部殺処分ということになつておりますが、現在力を盡しておりましてもこの金ではとても追いつかなくなります。ですから将来の見通しをつけられて、十二分なる手をお打ちくださるように、特に要望申し上げておきます。
  9. 齋藤弘義

    齋藤説明員 トリコモナス統計に殺というものがございます。この殺といいますのは、法令によつて殺されるものと、自分で殺すものと、殺されたものは余部含んでおるのであります。いわゆる一般の屠殺と、法令に基きます命令による屠殺処分を含んでおります。トリコモナスの方は、原則として法令による屠殺処分を行つておりません。ここに出ておりますのは大体トリコモナスにかかつて種牡牛として使えなくなつたというので、自分で屠場に出したものを含んでおります。
  10. 藥師神岩太郎

    藥師神委員 家畜伝染病予防法の二十三條の親定を改正することは、私費成であり、異議はないわけでありますが、これに関連してこの際お伺いしておきたいことは、弟五国会家畜商法が上程されて、可決したわけでありますが、これは制限條項というものがきわめて薄弱であつて家畜商法に違反しておる者、あるいは公民資格を持つていない者というような、実に漠然たるものでありまして、われわれの方では市場法がなくなつたために、あるいはまた一面において、従来において家畜商に対しては、ある程度試験制度を設けて、相当制約をしておつたのでありますが、それが家畜商法のきわめておざなりな点と、一方に市場法がなくなつたために、今日はわれわれの方では三倍くらいに家畜商人が激増しておるわけであります。そして盛んに庭先取引が行われておるわけでありまして、りつぱな市場を持つておりながら、市場取引というものが順次すたれて行く傾向が勲著であります。これは実に悲しむべきことであつて、どうしても市場法を制定して、市場中心取引にしなくては、公正な取引はできないと思います。また家畜基準相場と申しますか、公正な価格が出て来ないわけであります。結局言葉をかえてみると、三倍に家畜商がふえたということは、生産者が三倍の家畜商を養つておることと同義語であろうと思うのであります。各府県において、一つ條例あるいは規定を設けてやつておりますけれども、こういうような各府県がまちまちなことでは、真の統制はできないわけでありまして、どうしても一本の市場法というものを定め、また一面から言えば、家畜商に対して、もう少し家畜病理というようなむずかしい点はないにしても、相当な欠格條件を承けて、相当信用のある者に免許を付與する方法でない場合においては、特に馬匹の点において、病馬あるいは関節等に異常を来したものを、だまして悲劇をかもす例がきわめて多いのであります。結局庭先取引は弊害のみ伴うものであつて、公正な取引はできないわけであります。どうしてもこの際においては、一本の市場法を制定して、取引の公正を期することがまず第一要件であり、さらに家畜商というものを、相当な欠格條項を設けて、これをある程度整理することが、目下の急務ではないかと私どもは痛感しておるわけであります。そして全国的に施設のある市場を百パーセント利用することでなくてはならない。今日では市場中心取引府県もありますけれども、所によると、設備が立ち腐れのような伏態に追い込まれておる現状であります。これに対して政府においては、何か政府提案として市場法を制定せられる意思があるかどうか。またこの家畜商を、今のような公民であればだれでもやれるような、こんな乱雑なことをやつていてはしようがないと思うのでありますが、これに対して何か打つ手をお考えになつておるか。その点をお聞きしたしたいと思います。もし政府になければ、私たちは議員提出としても、この市場法を制定しなくてはならぬというふうに痛感しておるわけであります。
  11. 山根東明

    山根政府委員 お答えいたします。家畜取引を公正にするために、家畜市場法が必要だという御意見でございますが、実は私どももただいま大体そういうような考え方に基きまして、各府県取引実情を照会いたしておるわけであります。この実態がわかりました上で、必要があります場合には、最も適当な法制についても考えて参りたい。かような趣旨から、ただいま準備をいたしておるわけであります。  次に家畜商資格の問題でありますが、御承知のように、前国会家畜商法議員提出として出たわけでありますが、この資格が御意見によりますと、少しルーズに過ぎやしないかというようなお話のようにも承るのでありますが、実は最近の法制建前といたしましては、特に一定のあの法律規定してあります欠格條項がない限りのものに対しましては、家畜商の免許を與えるという行き方がとられておるわけでありまして、私ども考え方といたしましては、今ただちにこの法律を改めまして、さらにもつと嚴格な資格制度なり、あるいはその他の免許制度をとるというような考え方は、現在のところいたしていないのであります。
  12. 藥師神岩太郎

    藥師神委員 ある点から考えれば、あるいはルーズなというような、やりつぱなしの方法も一面にはまぬかれぬと思うわけでありますけれども、私が今申したように、欠格條項がないということは、嚴密な獣医試験のようなものは必要ないにしても、ある程度まで家畜に対する経験と、信用というものが付随しないと、弊害も多くて利益は一つもないわけであります。これは市場法というものが制定されれば、そういう点も一面においては相当抑圧することができると思うわけであります。そうして庭先取引を現在の状態に置いたならば、ますます素質の惡い業者によつて生産者は売りたくないものでも、毎日二、三人が組みになつて詰めかけて来て、これをせがみに来るというような状態、仕事もさせないというような状態が頻繁に行われているわけであります。そういう意味で言つても、市場法というものを早く制定する必要があると思うのであります。われわれの県のごときは、大阪以西において尾道に次ぐ市場を最近建てたのでありますけれども、ほとんど放置されている現状を見ておるのであります。これはすみやかに一本の統制ある市場法というものを制定して、今の庭先取引を抑圧すれば、公正な取引ができると同時に、そういう素質の惡い家畜商を駆逐することもまた可能であると考えますので、早急に政府提案としてこの問題を検討されるように、要望しておく次第であります。
  13. 井上良二

    ○井上(良)委員 大体本案には原則的に賛成でありますが、二、三の点についてちよつと質問をいたしたいと思います。  本案による手当の問題でありますが、ここに出ております資料によると、昭和二十三年度に一千百十五万七千円という手当が出ておりますが、この殺処分をやりますのについて、その事実を一体政府は確認しておるか。これは殺さなければいけない牛だという事実を、だれがどうして確認をしておるかということ、それを明らかにしてもらいたい。
  14. 山根東明

    山根政府委員 病気にかかりました当該家畜を殺処分にする必要があるかどうかの判定は、家畜防疫委員が検査をいたしまして、検査の結果に基いて殺処分の要否を判定いたしております。
  15. 井上良二

    ○井上(良)委員 その防疫委員というのは各村におりますか、県におりますか、どこにおるのです。
  16. 山根東明

    山根政府委員 家畜防疫委員は、県知事が県の吏員、あるいは県の有力なる獣医師等に委嘱いたしておるわけでありまして、常時は、たとえば県の吏員であれば県庁で業務をとつておるわけであります。獣医師であれば、それぞれのみずからの職業に常時は従事しておるわけでありまして、当該村におる場合もありますが、あるいは県からわざわざ出張いたしましてこの検査に当る場合もあるかと思います。
  17. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、その委員は一体県に何人おりますか。
  18. 山根東明

    山根政府委員 全国に約四千人でございます。一県平均いたしますと、百人前後ということになると思います。
  19. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうしますと、その人が殺処分しなければならぬかどうかということをきめまして、そして県知事から畜産局の方へ手続きをとりますが、その間はどうなつているのです。殺したあとで、その実收に応じて手当を渡すことになつておりますか。
  20. 山根東明

    山根政府委員 殺処分をするわけでありますので、事情が当然逼迫いたしておるわけでありますから、県知事がまず県知事の権限において殺処分をいたしました上で、その報告を農林省に提出いたしまして、農林省から処分手当の交付をする、こういう順序になつております。
  21. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこが非常に大事なところでありまして、問題は従つて地方庁の処置に一任してあつて、これが伝染的その他でどうしても殺さなければならぬ、殺処分に付さなければならぬという事実に基いたものならばいいのです。万が一それ以外の必要から殺したものも、この防疫委員と言いますか、予防委員と言いますか、その委員の報告に基いて、その頭数は変更できる危險がなきにしもあらずです。それは報告に基いて政府からそれだけの手当を支給するのですから、現場確認は政府としてはやらないのですから、そういう場合はどうなるのです。もしうそを言つてある数字であればどうしますか。どこでうそであるということを認めますか。
  22. 山根東明

    山根政府委員 県知事の報告に基きまして、私どもの方では一応殺処分手当を交付するのでありますが、この報告がかりそめにも間違わないように、さらに殺処分の要否の判定等が、防疫委員の手かげんでいいかげんにならないようにということを監督する趣旨をもちまして、各府県金額国庫負担によります職員を配置しておりまして、これの監督指導に当らせておるような状況でありますので、お話のように、いいかげんなそういう報告なり、処分はないと考えております。
  23. 井上良二

    ○井上(良)委員 これによる予算の増は総額で何ぼで、いつから実行いたしますか。
  24. 山根東明

    山根政府委員 法律が成立いたしました上は、できるだけすみやかに、新しい基準で実施したいと考えておりまして、大体予定といたしましては、明年の一月以降新しい基準で手当を交付したい、かように考えております。新しい予算は七千九百八十二万円、これに伴ういろいろな経費があります。殺手当の総額といたしましては、一月以降三千六百十五万五千三百二十八円であります。今まで低い基準でやりましたときの予算額を御参考までに申しますと、二千五十二万四千二百九十六円、低い基準でありますれば、年間これでまかなえる予定であつたのでありますが、明年一月以降高い基準でやりますために、その不足分が三千六百十五万五千三百二十八円、こういうことになつております。
  25. 井上良二

    ○井上(良)委員 この際これに関連いたしまして、畜産五箇年計画の状況について簡單に伺つておきたいのです。たしか昭和二十二年の三月であると思いますが、畜産審議会の議決を経て、農業復興計画の一つとして、五箇年計画を昭和二十八年度に完成するという目標のもとに、乳牛二十六万頭、役肉用二百四十五万頭、馬百三十五万頭、豚七十八万、めん羊五十六万、やぎ六十二万、うさぎ七百三十五万、鶏四千万羽、あひる五十三万羽、大体こういう目標を立てまして、増殖をはかつて行くという計画になつておりますが、その後この計画はずつと進められておりますか、一応その内容について大要御説明を願いたい。なおこの計画を進めるにつきまして、予算措置は、その家畜頭数の増殖に伴つて増額されておるかどうか。同時にこの家畜頭数の増殖に伴つた伝染病予防施設費は増額されておるかどうか、これを伺いたいのであります。
  26. 山根東明

    山根政府委員 畜産復興五箇年計画の進捗状況は、それぞれの家畜別に詳細な数字をもつて、後刻お手元に報告資料を差上げたいと思いますので、概要をここで私から申しますと、本年を第一年としてスタートした五箇年計画でありますが、飼料その他いろいろな條件が悪かつたにもかかわらず、一口に申しますと、非常に順調に進んでおるのでありまして、たとえて申しますと、乳牛はすでに計画目標の三年先の頭数にまで進んでおります。それから役肉用牛も同様に二年先の頭数になつております。馬がやや計画より内輪であります。また豚及びやぎは三年先の目標に進んでおり、めん羊は一年先を進んでおります。鶏及びうさぎは目標より一年遅れておりますが、これは最近非常に小さい、ごく二、三羽という少羽数の飼育者が多いので、統計面に現われぬ数字が相当あると思いますのでこれらを考えますと、増殖計画は、最初申し上げましたようにほぼ予定の通り順調に進んでおるというような見方ができるのではないかと考えておるのであります。この五箇年計画に伴つて、いろいろな予算がふえたかどうかということであしますが、もちろん私ども畜産局のこの五箇年計画が根本の計画であるのでありまして、畜産局衞生予算、あるいは種畜の予算、飼料の予算、その他すべて、この計画に現われております数字を基礎にして計上いたしてみるわけでありまして、もちろん見方によりますと、あるいはなお不十分だという点もないわけでもありませんけれども、現在の計画は、この畜産五箇年計画をもとにいたしまして、あらゆる予算を計上いたしておるというふうに御了承を願いたいと思います。
  27. 井上良二

    ○井上(良)委員 もうあと一、二点で終るのでありますが、その畜産の五箇年計画を進行しておる全国各県の状況を調べてみると、結局飼料問題が非常に重要な問題になつて、今あなたの御説明になりました、ふえておりますのは、自給飼料の関係でふえておるのではないかと思うのであります。配給飼料にはほとんど頼ることができない。そういうことから、自給飼料に対する政府処置というものは、積極的に対策を立てられなければならない。たしか食管法の施行規則の第三條の二かに、農家が必要とする家畜飼料の保有を一応認めておりますが、これはほんのわずかの飼料でありますし、さらにまた農業計画の中に、飼料の作付面積として二十万町歩が認められておる。これだけが日本の自給飼料の範囲であります。ほとんど問題にならぬのであります。三箇年計画にまつたく沿わない現状であります。そこでどうしても積極的に自給飼料についての基本的な農家への飼料確保と、同時に政府が配給しておりますその配給飼料は一体どうなつておるのか。飼料公団の扱うております配給飼料というものは、計画通り行つているかというと、行つてないじやないですか。特に肥料統制からはずしましたところの、魚かすの飼料への統制状況なんかを調べてみると、問題にならぬ。一体あの魚かすはどこへ行つているのです。ほとんど飼料としては完全に配給されずに、やみ肥料でこれが取引されておる現状にあるのです。これは飼料統制一つ対象物になつておる。しかるにそれが完全な飼料として配給されずに、やみの肥料として農家に取引されておる。しかも非常に値段が高くて、どこの農家も悲鳴をあげるような状態にあるのです。魚かすの統制はどうなつておる。将来政府は飼料配給公団を一体どうしようと考えるか。廃止しようとするのか、廃止した後一体飼料統制はいかなる機関と、いかなる方法においてやろうとするか、これは政務次官にひとつ伺いたい。  それから、その次に伺つておきたいのは、牧野の問題であります。御承知の通り、日本の山地は大体全国の六六%を占めておりますが、このうちで木の植わつてない、つまり戰時中の過伐、濫伐、あるいは牧野の荒廃等によりまする面積が、いわゆる植林のきかない面積と言いますか、木の植わつてない面積と言いますか、そういうものが少くとも二百万町歩くらいあると言われておる。これをもつと有効適切に利用いたしまして、牧野としての利用を集約的に高めますならば、さらに一層効用率は高まると思いますが、こういう関係から、これらの平地を牧野に集約利用するように、現在の牧野法を改正する必要があろうと思いますが、そういう意思があるかどうか、この点を伺いたい。  それから最後に、第五国会において、競馬法の一部を改正して、政府直営の競馬から上つて参ります政府收入金のうちで、その三分の一を畜産奬励に使えということを法文に明記したのであります。これは両院を通過して、法文として成立しておる。そうすると、今政府は二十四年度補正予算及び二十五年度予算を編成中でありますが、この予算の中に、この三分の一を畜産奬励に使うところの経費が計上されているやいなや、明確にしてもらいたい。以上の点をお答えを願いたい。
  28. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま井上委員からお話がございました飼料公団の改組の問題でございますが、これは農林省の所管しておりまする他の公団と一諸に、いろいろこれの整備につきまして、検討を加えつつあるのでありまして、ただいままだ最終的な結論に到逹をしておらないのでありますが、公団を廃するといたしましても、そのまま自由にするということも、需給の面から見ましていかがかと思うのでありまして、あるいは登録制度等を採用する必要もあろうかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、ただいま研究をいたしておる最中でございます。  なお、予算の問題でありますが、競馬法を一部改正をいたしまして、今お話がございました通り、その売得金の三分の一を玄畜産振興のために使わなければならないという国会の御意思につきましては、農林省といたしましても十分承知、いたしておるのでありまして、予算編成にあたりましても、極力その御意思に沿つて、実は関係省とも連絡をいたしておる次第でございます。
  29. 山根東明

    山根政府委員 残つております点につきまして私からお答えいたします。  飼料の問題が家畜五箇年計画を推進して行く上の基本でありますことは、まつたく御説の通りでありまして、特に自給飼料を確保するという線につきましては、私どもも及ばずながら各種の施設をとつておるのでありまして、たとえて申しますと、原種圃を国で経営いたしまして、そこで優良な牧草の種子を供給するとか、あるいは最近は資材もよほど楽になりましたけれども、サイロの建設に対して所要資材の配給、あつせん等をいたしております。それから飼料作物の種子の優秀なるものの輸入も、これを懇請して、輸入に努めておるわけであります。こういうようなことで、さらには農家保有の点につきましても、あれで十分とは、実はお話のように私ども考えていないのでありまして、将来の食糧事情の許す限りにおきまして、農家の飼料保有をできるだけふくらまして行きたい点は御同感であります。  次に配給飼料で魚かすがどうなつておるかというお話でありますが、魚かすはお話のように、肥料から統制がはずされたのでありますが、これをえさにまわしたいという趣旨から、現在飼料としての統制をいたしておるのであります。しかしながら魚かすは非常に統制がいろいろな点で困難でありまして、統制はいたして参りましたものの、その実績は必ずしも計画通り実は行つていない実情でありまして、お話のように、大分やみ飼料に流れておる実情は、私ども承知いたしておるのであります。一つには、これはやみ値が非常に高いということにあるのでありまして、これを抑えますためには、一方には法的な統制が必要でありますが、何と申しましても、今日まで実はこれを扱います側の人手が非常に不足しておつたことと、さらに資金面において十分な資金がなかつたために、どうしてもほかへ流れて行くことになつてつたのでありまして、これらの面の手当を十分いたしますならば、私どもといたしましては、今日以上の成績は、少くとも上げて行ける自信を持つておるのでありまして、これをいつまで統制するかということは一つの問題でありますけれども、魚かすを統制をいたして参ります以上は、そういう面で手当をいたした上で、所期の計画に実績をできるだけ近づけるように努力を続けたい。かように考えております。以上お答えいたします。
  30. 井上良二

    ○井上(良)委員 坂本政務次官はちよつと間違つておるのではないですか。国会の御意思による、ではなく、法律として成立しているのですから、法律をあなたが守るか守らぬかの問題であつて、その点を誤解しておる。單に国会で決議したという、その決議案ではないのです。現行法規として執行されておるのです。その通りあなた方が実行してもらうように、ぜひひとつわが国将来の農業現状から考えて、畜産農業生産の上に重要であり、また国民の食生活の上に重大な関係を持つておりますから、この点について、特に国会はその必要を認めて、競馬から上つて来ます三分の一を使えるということに規定してありますから、その規定をあなた方が実行するのが役目であつて、実行しなければ国家公務員法に違反しますよ。そういう点をもつと明らかにしてがんばつていただきたいと思うのであります。  なお今の魚かすの問題についても、もしこれを飼料としてうまく統制ができなければ、いつそこれは再び肥料統制の中に入れて、部分的にでも農村に配給した方がよほど効果的であります。現在のままに放任しておきますことは、一層農村を苦しめるばかりでありまして、飼料統制でやれなければ、肥料統制へ持ち込むとか何とかしてやらなければ、農家は実際困つておるのでありますから、この点をもつと真剣に、当局は検討願いたいということを私は特に希望しておきます。
  31. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私が聞かんとするところは、大体井上委員から聞かれたので、簡單に一、二の点だけお伺いしておきたいと思います。結局こういうような法案を出される基礎といたしましても、先ほどから論議になつております畜産の五箇年計画の成果いかんにかかつておるのであります。それに対する政府の御所見は大体拜聽したのですけれども、その基礎をなしますところの飼料の問題で、單作地帶に対しましては、一体政府はどういうような処置をとられておられるか、しかも單作地帶におきます牛馬の一頭当りに対してどれだけ配給されておるか、しかもその單作地帶と見られております府県は何府県であつて、どの県であるか、ちよつとお伺いしたいのであります。
  32. 山根東明

    山根政府委員 單作地帶に対する飼料の対策についてでありますが、実は現在の飼料の事情から申し上げますと、今日あらゆる家畜に飼料を配給するまでに実は行つてないのでありまして、いわゆる配給対象を限定いたしております。具体的に申しますと、乳牛、輓牛馬、種畜、こういうものに実は限定いたしておるのでありまして、一般の農耕牛馬には飼料の配給をいたしていないのであります。しかしながら單作地帶は特別な事情がございます。米ばかりつくつておるのでありまして、従いまして飼料の農家保有を認めていないのでありますので、特にここ二三年来單作地帶には供出の報奬として特別な配給を実施しておるのでありまして、その数量は全体で二万トン前後であります。單作地帶としましては東北、北陸の各県を考えておるのであります。
  33. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではその配給されておる県に対して、対象になつておるものの一頭当りの配給量は、一体どのくらいに考えておられるのですか。
  34. 山根東明

    山根政府委員 その点につきましては、先ごろ竹村さんから資料の要求がありましたが、実はこれは食糧庁の関係で数量を決定いたしておるような関係もありますので、ただいま食糧庁に連絡をいたしておりまして、はなはだ申訳ございませんが、手元にまだまとまつておりませんので、早急に食糧庁からまとめまして、後刻差上げたいと思いますから、あしからず御了承願います。
  35. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それじやその点はまた後刻にいたします。飼料の配給されている県を、東北あるいは北陸と言われましたが、それ以外にないのですか。全国で何県に対して配給になつておるか。
  36. 山根東明

    山根政府委員 その点もさらに後刻二頭当りの数量とあわせてはつきりいたしますが、最初私が東北、北陸と申しましたが、このほかに滋賀県の一部にも―あれは福井よりの、大体福井県と事情が同じでありますところの牛馬を対象として出ておると記憶しております。これもあとで正確な資料として差上げたいと思います。
  37. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは飼料の問題に対しては質問を残しまして、一応これで終ります。
  38. 小笠原八十美

    小笠原委員長 足立篤郎君。
  39. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 私は本日提案されました家畜伝染病予防法の第二十四條について、三点ばかり伺いたいと思いますが、時間の関係で要約いたしまして、ごく簡單に伺いたいと思います。  第一点は、本日提案されました改正法が実施されますと、二十四條に規定しております一号、二号、三号、この種別によるところの手当金は、大家畜についてはおよそ幾らになるかという点であります。本日いただきました参考資料の第九表に家畜価格調べがございます。これによしますと、たとえば役肉牛で成畜が九万円となつておりますが、しからば一号の場合に三万円もらえるものであるというふうに解釈していいかどうかという点であります。  第二点として伺いたい点は、第二十四條の規定によりますと、一号、二号、三号とわかれておりまして、手当に相当な差があります。どうも私これを読んでみましてその理由発見に苦しむのであります。この差のあります理由を、いかように当局はお考えになつておるか。私の考えでは、たとえば一号の規定によりまして殺処分したものにつきましても、あるいは三号の前段によつて緊急に殺処分を受けますものも、やほり畜主が受けます被害というものは同じでありまして、この差が著しいのはいかなる理由によるかという点であります。  第三点として伺いたいのは、第二点として伺いましたのと同様な趣旨でありますが、昨年来、私靜岡県でありますが、相当数の殺処分を受けております。その実情を農民から聞きますと、たとえばツベルクリン反応によりまして殺処分の命令が出る。しかし第六條に規定されております病性鑑定の意味を含めて解剖までやつておる例がたくさんあるのであります。ところが農民はその補償がやはり一万二千円で非常に苦しんでおる。第六條の規定を準用いたしますれば、五分の三でありますので相当増額されるわけでありますが、その場合、一体一応殺処分の命令の出ておるものすべて一号で行くのであるかどうか。殺処分の命令が出ておつても、やはり病性鑑定というような意味合いから、第六條の規定では剖検という言葉を使つておりますが、剖検をした場合にはむしろ第二号の適用をすべきではないかというふうにも考えられるわけでありますが、これに対するお考えを聞きたいと思つております。このようなやり方が結局農民にいろいろ疑惑の念をさせまして、あるいはまたやり方がずさんであるという気持を起させまして、いろいろ非難の声の上つておるのを開くのであります。この点をはつきり伺つておきたいと思います。以上三点についてお聞きいたします。
  40. 山根東明

    山根政府委員 第一点の手当金額でありますが、お話のように、新しい基準によりますと、第一号屠殺の場合には三万円であります。第二号が五万四千円、第三号が七万二千円、こういうことになるのであります。一号、二号、三号にどうしてそれだけの差等をつけるかという御質問でありますが、一号は法律にも書いてありますように、伝染病にかかつたあかつきには、家畜に対して法令上当然殺すわけでありまして、その場合には評価額の三分の一、言いかえれば、とにかく病気にかかつて、畜主としてはその事情はいろいろ気の毒な点があるのでありますが、ある程度畜主がその損失を負担してもらうという趣旨から、三分の一だけ手当を出すことにしたのであります。第二号の病性鑑定のための法令殺に対しましては五分の三で、一号の場合より若干手当をよくいたしているのでありますが、これは国の方の必要と申しますか、そういう見地から、畜主としては畜主の欲目で、ある程度あきらめかねる点を冒して殺処分にするというような関係でありますので、手当額を多くしたわけであります。そういう意味から、三に至りますと、さらに五分の四というような、ほとんど金額の手当を出すということになつておりますが、これは国がやりました予防注射のために運悪く伝染病を引起した、あるいはそのために殺さなければならなかつたというような事情であるからであります。このように、それぞれの場合畜主の立場が異なりますので、それに応じてかような差等をつけたのであります。  それから、実は第一号で屠殺したものをあとで解剖する場合があるのでありますが、これは殺された畜主が、どうも病気ではなかつたのじやないかという、これも畜主の欲目から、そういう気持がありますから、その前でこれを明らかにして、そういう誤解を一掃し、さらに今後における啓蒙をする趣旨で、一号で屠殺したものに対しましても、これを解剖する場合が実はあるのでありますが、その場合、手当としましては、やはり三分の一の手当しか出せないのじやないか、かように考えております。
  41. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 第二点について、どうもお答えが釈然といたしません。先ほど来各委員から御意見がありました通り、伝染病予防をすることが大切でありますから、そういう意味から考えると、あまり少額な手当では、ひた隠しにこれを隠しまして、効果が上らないという点が考えられるわけでありまして、ただいまの御説明では、どうもこれだけの大きな差をつけます意味が私にははつきりのみこめないのであります。特に私が伺いましたのは、一号の場合と三号の、前段の場合、ペストの場合にはそれほどの差があるかどうかということを伺つたのに対して、ただいまの局長のお答えは後段の第七條の規定により云々という場合です。これは私はもつともであると思つて伺わなかつたのでありますが、これではお答えにならないのであります。この点、もう一度御答弁をいただきたいと思います。  なおただいま申し上げた、予防の完璧を期するという見地から、この一号の場合には少くとも半額程度まで増額する必要があるのじやないかと考えますが、これに対する当局の御所見を承つておきたいと思います。
  42. 山根東明

    山根政府委員 一号の場合と三号の前段の場合とでは、少し差がひど過ぎはしないかという御趣旨のようでありますが、先ほど申しましたように、一号でありますと、これは明らかに病気にかかつているのでありまして、畜主としても運の悪かつた点はあるのでありますけれども、やはり畜主はその三分の二は負担するということでいいのではないかという考えで、三分の一にしてありますが、三号の前段になりますと、一見ぴんぴんしております家畜をむりむり屠殺するわけでありますので、畜主としてもいかにもあきらめかねる点もあるのでありまして、これはその間にそれだけの差が不当じやないかということは、御意見としてはあるかと思いますし、私どもとしましても、これにつきましては将来研究はしたいと思うのでありますけれども、現在の考え方としましては、その間にそういう考え方に基いて差別をつけておるわけであります。
  43. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 半額ぐらいふやしたらどうですか。
  44. 山根東明

    山根政府委員 一号の家畜手当を増額することについては、もちろん予算関係もあるわけではありますけれども、私どもとしましては、もちろん伝染病処分にしました家畜の死体の、たとえば皮でありますとか、場合によりましては肉等も利用できるわけでありまして、これらの利用価値、さらには家畜共済金の支拂いというようなことをすべて計算いたしまして、十分とは存じませんけれども、畜主に対してそう不当な負担はかけないという計算のもとに、実は予算関係もございまして、三分の一と決定しておるわけでありまして、さらに研究の上、あるいは非常に不当に畜主に迷惑をかけるというような事情でありますならば、もちろん研究をいたして参りたいと考えるわけであります。
  45. 小笠原八十美

    小笠原委員長 なお委員長から御注意申し上げておきますが、殺処分の問題は、この法案の実施にあたりまして、よく地方庁と連絡をとられて、誤診の結果殺処分に付したり、あるいはまた一部の獣医が感情によつて処分にしたなどという宣伝ができたりするようなことであつては、非常に遺憾でありまするから、十分連絡をとつて、抜討ち的に検査もするような実施に当りたいと思います。  他に質疑はありませんか―別に質疑もないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。  引続き本案に対する討論に移ります。討論の通告ありませんから、この際討論を省略して、ただちに本案に対する採決を行います。  本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案通り全会一致をもつて可決せられました。  なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十五分散会