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1949-11-10 第6回国会 衆議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十九日       野原 正勝君    松浦 東介君       八木 一郎君   藥師神岩太郎君       山村治郎君    井上 良二君       小林 運美君    竹村奈良一君       寺島隆太郎君    吉川 久衛君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月十日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 現事 松浦 東介君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 竹村奈良一君    理事 寺島隆太郎君 理事 吉川 久衛君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中村  清君       原田 雪松君    平澤 長吉君       平野 三郎君    渕  通義君       村上 清治君    守島 伍郎君       山本 久雄君    渡邊 良夫君       石井 繁丸君    佐々木更三君       坂口 主税君    山口 武秀君       横田甚太郎君    寺本  齋君       中垣 國男君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官   小倉 武一君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月三十一日  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年産米收穫予想高に関する件     —————————————
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  それでは、まず去る十月二十二日の委員会におきまして、委員長より、農林当局に回答を求めておきました補正に関する問題について、この報告を聽取することにいたします。
  3. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま委員長からお話のございました通り、去る十月二十二日の本委員会において、十月十四日に発表した十月一日現在の作況予想收穫高の発表後において、キティ台風及び病虫害等被害によつて予想以外に秋落ちがはなはだしいので、発表予想收穫高は、実收高との間に相当の開きがあるように思うが、これについてその後の状況を、農林大臣は文書をもつて委員会報告せよ、こういうお話であつたのであります。実は大臣出席をして、お話を申し上げる筋のものでございますが、今日は参議院で本会議が午前十時から開かれておりまして、答弁のために出席いたしかねますので、この点は御了承願わなければならないと思うのであります。なお私どもとしては、その後における減收調査をできるだけ正確に把握いたしたい。かように考えて、坪刈り等も行つておるのでありまして、刻々調査も集まつてはおりまするが、まだ全部が出そろつたというわけではございませんので、ただいまこの数字について発表をいたすことが困難かと思うのでありまして、この点を御了承を願いたいと思います。  なおいわゆる第二回の発表とでも申しますか、今年は例年と様子も違つておるから、その後における状況発表したらどうか、こういつた御意見もあつたのでありますが、御承知のように、例年十二月中旬に実收高発表いたすことになつておるのでありましてその途中において発表することはどうかと実は思われるのでありまして、この点はむしろ十二月中旬の実收高発表をごらんいただくことの方がいいではないか。しかしながらいろいろな御要求もございますので、その後把握した坪刈りの成績その他については、なるべく早い機会に、参考資料として、皆様方に御報告を申し上げたいと考えておるのでありますが、一般的の公表ということは、今までその例もございませんし、むしろ十二月中旬に行う実收高報告をもつて十分であろうかと考えておるような次第であります。  なお收穫高の実情に即しまして減額補正をなす用意があるかということであつたのでありますが、もとよりわれわれはこの実收高に即しまして、むりのない補正を行わなければならないことは、われわれが十分承知いたしておるところでありまして、今集つております資料に基きまして、関係方面とも鋭意折衝いたしておるような次第でございます。この点をひとつ御了承いただきたいと思うのであります。本日大臣から特に本委員に御報告すべきでありますが、右様の次第でございますので、私がかわつてお答えにかえる次第であります。
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 報告の点はただいまお聞き及びの通りでありますが、これに関連した質疑に入りたいと存じます。八木委員
  5. 八木一郎

    八木委員 ただいまの御説明で、的確なる御報告は実收報告が十二月中旬ということであります。但し必要なる中間報告は、随時この委員会において報告をするということに了承をいたしまして、一応この補正の問題は了といたしますが、私は第五国会の終末に、実は健康を害しまして、入院加療などのために久しく引きこもつておりましたが、つらつら現下の農業、農村、農民の諸問題があまりにも山積したままで置かれておる姿を見まして、実は病を押して、きようはいろいろ伺いたい点があるのでありますが、その一つにこの補正の問題があるのでありまして、最も関連の深い事項を二、三拾いまして質問をいたしますから、政府卒直にして懇切な答弁を要求いたします。  その質問の第一点は、最近伝えられております食糧需給関係についての実相であります。世間は簡單食糧需給見通しは明るく、食糧は安定しておるというふうにとれるような情報が頻発しておりまして、私ども新聞ラジオを通じて疑問を持つものでありますが、そのまず第一点は、端境期の持越高は前年よりも多く、政府の米びつは持越米がたくさんあるということを伝えておりますが、この事実をこの際お答え願いたい。  それからその二は、輸入食糧見込高が、当初懇請量二百二十九万トンのほかに、ポンド圏内から七十七万トンの買入れが内定し、さらに小麦粉も予定以上の輸入見込みが立つて参り、輸入食糧に関する限り、今日の情勢予定以上の期待が持てる、こういうふうに報ぜられておりますが、事実はどうか。なるべく数字によつて御説明願いたい。  その三は、そこで明年の一月以降はいもを除外しても二合七勺の配給は堅持できる。こういうふうにきのうあたりの新聞は大きく報じておりますが、この事実はどうか。  その四は、補正に関するいわゆるその筋の情勢はわれわれが期待するものとはおよそかけ離れたところにあるやに伝えられておりまするが、その事実はどうか。まずごの四点を食糧需給に関する見通しの問題といたしまして、今回ただいまの事実を懇切に答弁あらんことを望みます。
  6. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 この十一月一日におきまする持越量が相当多量であると聞いておるがどうかというお尋ね数字はあすにでも整理をいたしまして申し上げたいと思いますが、例年に比べまして相当大量の持越しをいたしております。その内容は、但し国内産食糧による持越しは減りまして、輸入食糧による持越しがふえておるというのがその内容でございます。これは資料といたしましてあすお手元に差上げたいと思います。  それから輸入食糧見通しでございますが、お話がございましたように、当初二百万トンの輸入食糧で、大体需給見合つてつたのでありまするが、その後いろいろな情勢から、現在のところガリオアとコンマーシヤル・ファンドを両方合せまして三百万トンをちよつと越える数字計画いたされておるのであります。そのうちガリオアの分が約五、六割であろうかと思いますが、コンマーシャル・ファンドの分は、やはり今後の輸出の問題等ともからみ合つて参りまするので、いろいろ問題はあろうかと思います。全般的に申しまして輸入食糧見通しは、相当当初よりもふえておるということは確実に申し上げられると思います。  それから来年度の一月からいもをはずして二合七勺でやれるかどうかというお話でございましたが、これは輸入食糧が相当当初予定いたしましたものよりもよけいに入るということであれば、これは二合七勺の穀類による維持はできると思います。大体私どもの想定では、いもを主食からはずしますと、消費者用として約五、六十万トン、農家の保有の関係でやはり数十万トン、合せて百万トン近くの供給増を見込まなければ、いもをはずして二合七勺の維持は困難であると考えております。その辺の見合いは今後の状況によることであろうと思いますが、要するにいもを全面的にはずしますれば、その程度の給源を必要とすることは申し上げられると思います。  それから補正の問題でございますが、ことしの作況につきましては、いろいろ御議論もありますし、またただいま政務次官からお話を申し上げた通りであります。目下のところ関係方面折衝いたしておる最中でございまして、ただいまはつきりした御答弁を申し上げるような段階にありませんので、できるだけ適正な補正をすることに努力をいたしておるのでありますが、ただいまのところいまだ結論は出ておりません。早急にやりたいと思つおありますけれども、なかなか相手のあることでありますので、きよう、あす、すくに結論が出るということも困難じやなかろうかと、ただいま思つております。あるいは漏した点もあるかと思いまするが……
  7. 八木一郎

    八木委員 今のお答えの第二点と第三点とを勘案いたじまして、いもをはずして米麦雑穀による二合七勺の維持は、当初計画しておるよりも約百万トン程度輸入増期待できることが、かぎになつておるというお話ですが、そこで第二点の、当初二百万トンのものが、今日ではむしろ向う様の都合で三百万トンに容易にできそうな情勢であるように聞いておりますが、そうするとそこに百万トン、いわゆる当初期待との狂いが出るが、この百万トンを指していもがはずせるかはずせないかというところにあるのか、この三百万トンにさらに上の百万トンがなければできないのか、その点だけちよつと承りたい。
  8. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 当初計画の分はいもを入れての計画でありますから、それをはずした場合に百万トン近くのものがよけい要るということは、当初計画プラス百万トンで、三百万トンという数字になるわけであります。計数上はそういうことであります。三百万トンになお百万トンのプラスという意味ではございません。
  9. 八木一郎

    八木委員 次は補正、税金、供出関連をして、今なおきまらずにおる米価の問題は一体どうなつたか。きまるかのごとくきまらざるかのごとく、ラジオに、新聞に騒いでおるだげであるが、われわれが知り得る情報ほもつてすれば、遷延遷延を重ねて参りました米価は、米価審議会答申を無視した下値の四千二百五千円が、ほとんど決定的であるようにも見えるのでありますけれども、この事実をお答え願いたい。
  10. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米価の問題は、米価審議会答申の趣旨によりまして、政府といたしていろいろ折衝を続けておるのであります。まだ最後的な結論には達しておりません。しかしパリテイー方式による算出の指数は、ただいまお話がありましたように、四千二百五十円という線が大体動かない線になつておると御了承願つてけつこうと思うのであります。しかし一方米価審議会答申では、パリティー方式によつて算出したもののほかに、超過供出奨励金倍率を下げて、純米価の方に繰入れた方が全般の情勢からいいのであるという御答申を得ておるのでありまして、その線に沿うていろいろ努力をしておつたのであります。この点についていろいろ問題が錯綜して来ておりまして、この点の解決がまだできておりませんので、決定がおくれておる事情にございます。いろいろ緊急に折衝いたしておりますので、あるいは近いうちに決定して、御報告を申し上げることができると思います。
  11. 八木一郎

    八木委員 米価のきまらないのは、超過供出分買上げ倍率にかかつておる。この超過供出分買上げ倍率の問題は予算関連を持つ。そこで米価のきまるのは、予算成立まできまらずにこのままずるずる行つてしまうというふうにも見えます。一体超過供出分買上げ倍率の点は、最初三倍であつたものが、ほとんど決定的に二倍になつたやに伝えられておるのでありますが、予算成立を見るまでは米価はきまらないと承知していいのですかどうですか。そこをお答え願いたいと思います。
  12. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 そうじやございませんので、予算がきまる前にもきめ得るのでありまするが、いろいろ予算の問題ともからんでおることだけは事実であります。しかし近くこの米価の問題はきまると思つております。非常に遅れておる点は申訳ないのでありますがいろいろな事情から延び延びになつて来ておるのであります。もうここ数日中には確定すると思つております。
  13. 八木一郎

    八木委員 もう一点だけ。これは大臣が見えないので、政務次官に特に伺いたいんですが、われわれは第一国会以来農林委員会で党派を越えて—今日の政治、経済、社会の情勢から見れば、米価国会できめることは、あるいは予算をきめるに匹敵するぐらい重要性があると、米価をきめること自体を非常に重要視いたしまして、片山内閣当時は、総理片山氏にこの委員会に来てもらつてただし、芦田内閣時代にもただし、しこうして今日に来ておる。それで、非常な関連予算に持つけれども米価が今まできまらないということについて、汽車賃タバコ代国会できめるより以上に重要な米価決定は、国会できめるという心構えをつくつておられるかどうか。農政当局のお考えを、卒直にひとつ聞かせていただきたいと思うのであります。
  14. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま八事委員からご指摘になりました通り、われわれはこの米価決定が実に重大なものであるということにつきましては、かねがね国会の御意思もありましたし、今回米価審議会をつくりましたことはすでに御承知通りであります。そうしてその委員会には生産者消費者及び学識経験者を代表いたしまする委員を御委嘱申し上げて、御審議願つたのであります。今食糧庁長官から申しました通り、この米価審議会で出ました結論に基きまして、政府原案をつくつて関係方面との折衝をいたしておるのでありまして、われわれといたしましては、この国会の御意思に基きまして今申しましたような委員会もつくり、またその委員会の御意思を十分尊重いたしまして、政府原案を作成いたしておるのであります。その点につきましては、十分今後とも努力をいたしたいと考えておるのであります。今国家財政立場から、いろいろこれが左右されることはどうかと思うというお話もございました。ただ八木委員も御承知通り経済原則関係、あるいはドツジ・ラインの関係等がいろいろな面に作用しておりまして、ただ生産者立場のみからきめるというわけにも参りませんし、また消費者立場のみというわけにもいきませんで、そこらに非常に重要な問題があるかと思うのでありますが、われわれといたしましては、いろいろな政策先立つて、とにかく米価は一日も早く決定してもらいたい。かように考えて今日といえどもその努力を続けておるような次第であります。
  15. 八木一郎

    八木委員 どうもはつきりしませんが、この米価審議会意思を尊重して、この線に沿うて政府は懸命な努力をして今日に至つておる。しかしきまらない事情超過供出倍率関係であり、超過供出倍率の問題は予算にも非常な関連を持つ。この予算関連を持つ点は客観的な情勢も相当作用すると言いますけれども、ともかくそうしておつたのでは、時がたつばかりであります。  與の段階では、われわれとしては、国会米価はきめるべきだという主張を通して来ておるものでありますから、米価審議会はつくつたけれども米価審議会意思が無視されておるのをそのまま見送るわけに行かない。ですから国会農林常任委員会といたしましては、農政に関する国権の最高機関であるという自負心からいたしまして、この米価の問題はわれわれ委員自体の問題である。こういう見解に立つて動かざるを得ないと思うのでありますが、長いことひつこんでおつて、今さら動く余地もないというのか、大いに動かなければならないと考えておるのか、一体これはどうか、これは委員長にもお伺いしたいのですが、政府からまずその点の情報を聞かしてもらいたい。
  16. 坂本實

    坂本政府委員 米価決定国会においてこれをなすべきであるという御意見なのでありますが、もとより各界各層を代表されております国会議員におきまして、これらの問題に深い関心を持たれることにつきましては、まつたく同感でありますが、国会自体においてこれを決定することはいかがかと思うのでありまして、国会の御意思のあるところを尊重いたしまして、米価審議会を設けたのでありまして、その点は御了承いただけるのではないかと考えておるのであります。なおまた本委員会がいろいろご意見発表せられまして、それぞれわれわれを御鞭撻いただきますことは、いささかもさしつかえないと思うのであります。
  17. 小笠原八十美

    小笠原委員長 委員長にもお尋ねがあつたようでありますが、委員長といたしましては、皆さんと同様な立場にあるので、国家のためにどれがいいかということをとくと研究いたしまして、政府だけにまかせ、あるいは米価審議会の方にだけまかせておいてはいかぬということになれば、どうしてもこれをわが委員会に取上げ、国会全体の問題として、通当な措置をとらなければならぬというように考えております。
  18. 八木一郎

    八木委員 委員長の御答弁了承しましたが、今日ただいまの情勢は、米価審議会にゆだねて審議会意思を尊重して、政府がこれを取上げて決定されるという期待が裏切られようとしておる今日でありまして、職責を果し得ないのでありますから、ただちに行動に移られんことを強く要望して私の質問を打切ります。
  19. 小林運美

    小林(運)委員 それに関連して……
  20. 小笠原八十美

    小笠原委員長 小林君、簡單関連事項について……
  21. 小林運美

    小林(運)委員 今八木君に対する政務次官お答えの中に—国会米価決定すべきだということは、われわれ委員会におきましてもしばしば言明をしておりますが、ただいまのお答えによりますと、国会意思を体して米価審議会をつくつたから、これは国会意思を尊重しているのだというふうにも聞こえます。国会審議会をつくれということは、われわれは別にきめたことも何もない。それは政府のかつて見解だろう思う。われわれは決してそんなことをこつちできめたり要望したことはないと考えている。それを次官はどういうふうに考えますか。
  22. 坂本實

    坂本政府委員 従来の米価決定政府の一方的な見解で行われているのだ。これが正しくないのだ。要するに国会方面意見も聞け、なおまた生産者消費者の声も聞けということが、国会の御意思であつたと思うのでありまして、かような意味において委員会を構成いたした次第であります。
  23. 小林運美

    小林(運)委員 そこが非常に大切なところなのです。国会意思審議会が代表しているというように聞えるのでありますが、そうじやない。国会国会として独自の見解に立てる。そういう意味において国会米価決定すべきというのが、われわれの主張なのだ。ところが政府がかつて審議会をつくつて消費者とかあるいは生産者、あるいは一部の国会議員をかつてにそこに入れた。これは決して国会を代表するものではないとわれわれは考える。政府審議会国会にかわるものだというような言い方をしている。これは非常に国会を侮辱していると思う。そんなはずはない、それをもう少しはつきり言つてもらいたい。
  24. 坂本實

    坂本政府委員 米価審議会性格そのものにつきましては、先ほど申しまする通り、なるべく多く生産者なり、あるいは篤農家なり、あるいは消費者なり、そういつた人たちを集めて、実は米価に対しまする意見を諮問いたしたのでありまして、もとより小林委員の御指摘のように、国会に比すべきでないことは申すまでもございません。この点は明らかにしておきます。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 補正の問題について、先ほど政務次官からお話があつたので、その点のきまつていないことを質問するのではないのでありますが、二、三日前の新聞農林大臣の言として、大体本年度は三百万石くらいの補正をやるのだ、こういう談を発表されておつたのでありますが、これについてそういうようなことを農林省として考えておられるかどうか。  それからもう一つには、大体本年度の收穫予想高、これが発表されて、これの訂正とかあるいは実收というものは、十二月の実收高において発表する、こういうように言われておるのですが、大体補正原則というものを、全国的な生産高だけをもつて基礎とされておるかどうか。もし減收がこれだけあつたら、これに対して補正するのだというように、その減收高に応じて補正されるのかどうか。私の考えから申しますならば、全国的な減收高、あるいは全国的な豊作というものは、もちろんある程度関係は持ちますけれども、それだけでは実際の補正に対するところの実質的な問題にはならないと思う。たとえば割当というものは、農家個人割当てられてあるのでありまして、たといAという農家が十石増收しておりましても、Bの農家が実際において石減收した場合においては、このBの農家に対しては十石分の補正をしなければならない。それをAの農家が十石増收しておるから差引き、日本全国減收高によつて補正をやるということでは、現在行われておりますところの事前割当そのものを根本的に改正しなければ、そういう理論は出て来ないと思います。政府は、單に増收だからあるいは補正を少くするとかいう根拠に立つておられると思うのでありますけれども、これに対して明確な補正の方法をお示し願いたいと思います。
  26. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 先般の新聞農林大臣談として、三百万石補正の記事があつたのでありますが、これは誤道でありまして、翌日大臣からもお話がありましたが、何かの行き違いの誤道であります。農林当局といたしましてはさようなふうには考えておりません。  それから補正予想收穫高と密接な関係があるが、予想收穫高が高いからといつて、必ずしも補正は少くていいと考えるべきでないというお話でございますが、私もさように思います。食確法の建前から申しまして、補正は個個の農家減額についての補正でありますから、予想收穫高とはまた別の調査なり基礎のもとに行わるべきものだと思います。但し非常に予想收穫高がよかつた場合には、大体の判断から申しますと、補正も割に少くて済むという傾向は、私はあろうかと思います。またそれが非常に多かつた場合には、超過供出が非常に高い関係に立つであろうということも、一応考えられる。りくつといたしましては、予想收穫高と補正とは、これは切離して考えるべきものだと思います。
  27. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは本日の資料の中で、各府県別減收高というものをもらつているのでございますが、これを基礎として補正されるのか、そうじやなしに、今答弁あつたような形において、各府県補正割当てられるとするのであつたならば、その現在の調査された結論がまだ出ていないということでありますが、いつごろ結論を出されるのか、しかもその結論を出されて後に、いつごろ減額補正会議を開く予定であるか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  28. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 お手元にあげておします資料は、地方庁調べのものでございます。一千七十六万石、これはその後少しふえて参りまして、今のところは千百万石ぐらいになつているかと思います。これは地方庁においてほんとうに今確実に調査されたところの集計であるということになるのであります。そういたしますと、今年の作柄が約五千二、三百万石の作柄になりまして、常識的に申しますと、この数字は少し高過ぎると思つております。このほかに食糧事務所でもつて、末端の検査員が各農家について被害調査をいたした資料もございます。これは大体この地方庁調べの半分ぐらいの数字になつております。なおまた作報でもつて被害調査をされた数字もございます。そうしたものを勘案して考えて行くベきである。被害調査に対する権威と申しますか、一貫した調査方式が、実は確定いたしておらぬのが、非常に問題を紛糾させた原因になつております。現在のところそういう資料基礎にして適正な補正をいたしたいと努力しております。これがいつごろきまるかというお話でございますが、今関係方面とその点について折衝過程にありますので、ただいまのところ見通しが立ちません。当初の予定は、大体十日、きようあたりは最後的結論を出して、十五、六日ごろには知事会議を開きたいと思つてつたのであります。しかしただいまのところ、いろいろの関係からいたしましてちよつと見当がつきかねるという状況にございます。
  29. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほど米価の問題でいろいろ話し合いがあつたのでありますが、米価審議会意見を勘案して、米価決定するということを言われているのでございますが、米価審議会では四千七百円を答申していると思うのであります。ところが本日の先ほどの御答弁によりますと、四千二百何ぼというようなことにほぼきまりそうだという御意見であつたのでありますが、米価審議会をつくれとか、特に農民とか消費者によつて米価決定の権を与えよというようなことで、全国的な農民団体から申しますと、いわゆる決定権を持つああいう民主的な形のものの要求であつたのでありますけれども、現在のような状態から考えますと、米価審議会意見をどれだけ入れておられるかどうか、これは入れられないのじやないかと思うのであります。そうすると米価審議会をおつくりになつたこと自体が、あたかも政府米価決定に対する責任を米価審議会に一応肩がわりするような、米価審議会できまつたのだからそれに基いてと言つて、あたかも政府の責任をのがれるような形に米価審議会を持つてつてやられるように感ぜられるのでありますけれども米価審議会答申というものをどれだけ重視されるか、ただ答申だけを基礎にしたと言われるけれども、実際は政府の都合のよい形におきめになる考え方かどうか、聞かしてもらいたいと思います。
  30. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 もちろんこの米価審議会は諮問機関ではございますが、やはり各層の代表の方々がほんとうに真劍な討議をいたしました結果でありますので政府といたしましてこの結論について全幅の賛意を表して、この線に基いて交渉を続けて来ておつたのであります。單に米価審議会政府の責任のがれのような形においての肩がわりに考えておるというようなことは毛頭ございません。米価審議会の御答申になりました趣旨を実現することに真劍に努めておるのであります。ただ現段階におきましてそれがただちにその通り結論に到達するということについて、いろいろの難関があるわけでありまして、そうした点についていろいろ交渉を続けて来ておるのであります。それが必ずしも米価審議会の御答申通りになる可能性は少いというのが現在の状況でございます。先ほどお話のありましたように、たいへん遅れておるのでありますが、ここ数日中にはこれは決定されることになろうと思います。最後の努力をいたすつもりでおるわけであります。審議会を單なる責任のがれの機関のように考えておることは一つもございません。この御答申をできるだけ実現したいということについて、最善の努力をしておるわけであります。
  31. 竹村奈良一

    竹村委員 実はこの米価決定について、政府当局がいろいろ考えておられ、あるいは農林当局においてもいろいろ問題にされておりますけれどもその根本をなすものは、やはり労働賃金との関係あるいはその他の関係、いわゆる消費者価格との関連であると思うのであります。ところがこの消費者価格なるものが、われわれの考えたところによりますと、毎年中間経費というものが非常に増大しておるのであります。たとえば昭和二十二年の十キロ当りの生産者価格は百十六円九十三銭であります。それが消費者価格は百四十九円六十銭で、つまり中間価格として三十二円六十七銭、この指数から申しますと、生産者価格を一〇〇としますならば一二七であります。ところが昭和二十四年四月の改訂米価によりますと、生産者価格が二百四十五円八十三銭、消費者価格が四百五円であります。しかもその中間経費が百五十九円十七銭になつている。そうしてこの指数をここに一〇〇といたしますならば一六五というような指数になつておると思うのでありますが、こういうふうに非常に中間経費というものが増大しておる。しかもこの中間経費は国民全体として非常に納得の行かない尨大な経費でありますけれども、これに対して今後本年度米価決定されるにあたつて、この中間経費をどのくらいの程度にとどめようとしておるか。あるいはまた従来のように毎年々々開きが大きくなつて行くようなこの形を、政府はどういうふうにして調整しようとしておるか、この点をひとつ詳細に承りたいと思います。
  32. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 中間経費の圧縮については、私どももできるだけその線に沿うてやつて参らなければならぬと考えております。過去におきまして逐次中間経費が高まつておるというようなこの傾向は、いろいろ賃金その他諸掛、あるいは物価の上昇とも関連を持つておると考えておりますが、大体情勢が安定して参りまするならば、そうしたことを見込む必要もございませんし、また仕事自体の合理化なり効率化をはかりまして、その中間経費をできるだけ少くすることに努力して参りたいと思つております。本年度の中間経費についてどの程度見込んだかというお話でありますが、これは数字をもつて別に御説明を申し上げた方が適当かと思います。消費者価格の問題が実はまだきまつておりませんので、生産者価格との関係でこの点とも関連を持ちますので、それとの関係を見て、適当な機会に御説明申し上げたいと思います。  それから先ほど八木さんからお話のありました持越し関係ですが、これは十月末日はまたあすにでも御報告いたしますが、九月末の穀類の持越しちよつと申し上げてみます。九月末の穀類の持越しは百八十二万一千トンでございます。昨年同期は八十七万三千トンでございましたから約倍近くの持越になつております。
  33. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ちよつとお断りしますが、きようは午前中にしまいたいと思いますし、なお申込み者が相当ありますから、どうか補正に重点を置いて簡單にお願いします。
  34. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 補正の問題入ります前に、ちよつと八木委員質問関連して伺いたいと思います。先ほどの長官のお話によりますと、持越しは非常に多い。輸入数量も非常に多い。従つて現在のストックも当然非常に多いということになりますと、これが農村にいかなる影響を及ぼすかということは、すでに政府においてもお考えになつておると思うのですが、先日の総理大臣の演説におきましても、すべての物価が上つても賃金は上げない。実質賃金を上げるようにする。その総理大臣の演説と、今の農林省関係食糧の問題の実情とをからみ合せて考えますと、結局今後食糧を多量にしかも低廉に供給することによつて、実質賃金の引上げをやるという結論に私はなると思う。つきましては、非常に低廉にしかも豊富に食糧を供給するということはけつこうなことでありますけれども、この裏に農村にいかなる問題がひそんで来ておるかということは、当然お考えになつておられると思うし、われわれもまたその問題はすでに考えなければならぬ段階に来ておるのですが、かような食糧が豊富に低廉に供給できるという段階におきまして、ただいま審議中の食確法等につきましても、根本的に考え方が修正されてしかるべきだと思う。そのほか農村資材の問題にいたしましても、税金の問題にいたしましても、一方において、この段階において政府はいかなる手を打つてこの農村の不況に対する対策を立てつつおられるか。現在までに具体的に政府考えておられますすべての農村対策があられるならば、この際お聞きしたいと思う。もし具体的にないならば、今後いかなる構想をもつて、この次の時代に来る農村不況に対して対策を立てようとしておられるか、それをこの際私は伺いたいと思うのであります。
  35. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 非常に問題が大きいので、私から申し上げるのは、私どもの方の関係する部分だけお答え申し上げます。もちろんそれだけではただいまお話に対するお答えになりませんので、もつと農林省といたしましては、全般的な立場から一貫した政策を立ててお答えを申し上ぐべき筋合いのものであります。私の申し上げるのは食糧庁の考えだけを申し上げます。私どものお預りしております特別会計が、過去二、三十年間にわたつて果して参りました使命というものは、そのとき、そのときの状況によりまして、いろいろあつたわけであります。スタートにおきましては、やはり非常に食糧が足りぬというので、消費者米価を安定させなければならぬというような立場から、特別会計が設けられたわけであります。その後いろいろの変転がありまして、昭和七、八年当時は、農村の不況に対する救済と申しますと語弊がありますが、防壁としての役割を勤めた時代があるわけであります。要するに消費者生産者との中間に立ちまして、その間の調整をとつて参るわけでありますが、状況によりまして、生産者の擁護の立場を強くとらざるを得なかつた場合と、消費者立場を強く反映せざるを得なかつた場合と、やはり波を打つて来ておると私は考えております。だんだん状況が変化して参りまして、農村が深刻な不況に立ち至つて、農業生産力にもいろいろの深刻な問題のきざしが見えて来ておりまする昨今の情勢から見ますと、私ども関係しておりまする食糧需給の面も、やはり生産の確保、増強という面に、従来に増して重点をおいて考えて参らなければならぬと考えております。それでは具体的にどういうことを考えておるかというお尋ねになると、実は具体的に申し上げる段階にはありませんけれども、私どもの心構えとしてはそういうふうに考えておるわけであります。もつともこれは農林省全般として考えておるところでありますが、私ども関係しております点だけを一応御答弁申し上げておきます。
  36. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この問題はあらためて大臣出席の際にお伺いすることにいたしますが、いずれにいたしましても、現在の段階におきましては、農村の実質收入が上るように、資材の面、税金の面、農産物の価格の面等、あらゆる面でひとつ真劍にお考え願いたいと思います。ことにこの点は政務次官に、もしできるならば、次の機会に具体的の御説明が願いたいと思います。それから次に伺いたいのは、先日の新聞によりますと、司令部の一部の方が、補正の問題について、各県から補正について強力なる要求をして、政治的に政府を圧迫して来るというような意味のことが出ておりましたが、これにつきまして、政府はいかなる感想を持つておられるか、伺いたいと思います。
  37. 坂本實

    坂本政府委員 最近補正の問題関しまして、各府県から熱烈なる御要望があるのでありますが、今お話がありましたように、関係方面におきまして、それが何か政治的の意図のもとに行われておるというような御見解もあるようでありまするが、私どもは決してさように考えておらないのでありまして、司令部に対しましても、何も政治的な意図ではなく、ほんとうに予想外の減收に直面されておりまする、農家としての実情を訴えられるのでありまして、今御懸念のありますような点につきましては、私どもはさように考えておりませんし、また司令部に対しましても、当然の御陳情である、かようにお話を申し上げている次第でありまして、その御懸念はないかと存じます。
  38. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この問題については、本委員としてはお互いに非常に迷惑することです。ですから政府から進んで、さような間違つた観察を訂正してもらうべく適当な処置をとつてもらいたい、かように考えます。  次に伺いたいのは、先日の六千五百五十四万石の発表は、十月一日現在の調査数字である、しかもそれにつけ加えて十月十日までの病虫害、災害の被害は織り込んであるというふうに御発表になつておりますが、この機会に小倉部長から、十月十日現在の集計しました数字と、その後において十月十日までの病虫害、災害を織り込んだ数字、この二つの段階にわたつて数字が出ておるはずでありますから、この数字をひとつそれぞれ御発表願いたい、かように思うのであります。
  39. 小倉武一

    ○小倉説明員 ただいまのお尋ねの問題でありますが、私ども調査は、計画から申しますと、当初の計画は九月二十五日現在で米の予想收穫というものができておつた次第であります。ただ予想收穫高の発表が、私どもの集計それからまた地方の事務所の実際の作業状況から見まして、だんだん遅れて参つたわけであります。それで今お話通り、十月一日現在で締めくくりをして発表する段取りになつたわけでありますが、資料の大部分は九月二十五日現在の資料でありますが、その後私ども手元に集つた限りの資料もなるべく組み入れるということで、今お話のような一日現在、しかも十日までの状況を織り込んだという発表になつておる次第であります。ただお話のように十月一日現在と十日までの間にちやんと数字の締めくくりがあつて、その間の開きがどうであるか、こういう数字は私どもは持合せがないのであります。
  40. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 非常にふしぎな話なんですが、各県からそれぞれ九月の中旬もしくは今お話の二十五日当時の資料を一ぺん出しておるはずです。それをあなたの方で一ぺん集計しておられると私は聞いている。その後発表の直前において、十月十日までの病虫害、災害を見て、さらにそれを補正して出たものが六千五百五十四万石ということになると私は思う。それでないと話が合わないのです。だから六千七百万石か八百万石か知りません、県によつて違うでしようが、一応二十日前後の作況を集計したものが一ぺん出て、その後において十月十日までの半月ないし二十日間の被害を引いたり加えたりして出たものが六千五百万石というふうにならなければ話が合わないのですが、もしここで発表がぐあいが悪ければ、秘密会でも何でも開いて政府がいかに病虫害、災害を本年度において織り込んだかということを、各県別に知りたい。ただ補正々々と言いましても、内容がわからないので、もし公式の発表ができなければ非公式でもいいのですが、本年の八月ごろから順次政府が作況を集計されておる。これは初めからの段階をずつと私は説明してもらいたい。さようでありませんと、いかに政府補正に盡力するとか、補正に盡力したいとか言いましても、具体的に数字が出て来ないことには、われわれは納得行かない。これはもう少し率直に、私は部長に発表してもらいたい。もしこの機会にいけないなら、秘密会にして発表してもらいたい、かように思うのです。
  41. 小倉武一

    ○小倉説明員 私ども今の御質問につきまして、資料お話のような九月二十五日現在と申しますか、そのころに一ぺん集計をしまして、その後また被害状況なりその他の資料を集めまして、十月一日にもとの数字を直して、発表の段取りになつたということではほんとうにございません。従つて段階数字はございません。先ほど申し上げましたように、当初の設計が九月二十五日現在ということでありましたものですから、資料の大部分はさような資料でありますが、そういう資料そのものとして集計すればどうだということは、これはあるいは不可能ではないかと思います。そういう計算はやつておりません。ただいろいろ作況審議会におきまして收量を決定いたします場合に、九月二十五日現在の資料でもつて所長の言つて来たものを集計すればどうなる、あるいはその所長の言つて来た基礎資料を使つて集計すればどうなるというようのは、審議の原材料としてはつくつてございますが、今のお話のような調査の仕方はいたしておらないのであります。  それからその以前の作況の問題でございますが、従前は予想收穫高は、発表する前にもう一度作況の予想をやつてつたのが大体例であります。八月の末か九月のごく初めにやつてつたのでありますが、それは何と申しましても、まだ時期が非常に早いものですから、気象状況あるいは試験場の試験の成績というふうなものを参考にした、いわば点数で平年を一〇〇として今年はどの県は何点であるというようなことにすぎないようなものでありますし、それをやりますと、その結果がその後の作況調査に非常に影響を受ける。一応発表したものでありますから、それと相当開くということは調査をやつている者にとりましてはなかなか苦しいこともありまして、あまり役に立たぬ割に弊害があるという面もありますので、今年はそういうことは事務所の人たちの目をならすためにやるという程度にとどめまして、発表はいたしておらないのであります。またわれわれは、さほどそれに重点を置いておらないのであります。従つてこの前の二十日に発表しました十月一日現在の予想收穫高以外には、私ども数字は持ち合せておらないわけです。
  42. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 どうもおかしいのですが、九月二十五日で一ぺん報告をとつたのでしよう。そうしてその後において、今度は十月十日というものが出て来たのですから、この二つの数字がないはずはないのです。もし今部長の言うことを信じてかかれば、この間の発表の仕方はきわめて私はまずいと思うのです。もし二つの数字がないのなら、初めから十月十日として発表したらいいじやないですか。十月一日がどうであつて、そしてその後において十月十日までのものが織り込んである。こういうふうな非常にややこしい発表をしなくても、初めから十月十日現在の調査はこうである、こう発表すればいい。それを二つの段階にわけて発表したことは、何と言つても今あなたがおつしやられるように、九月二十五日で一ぺん締切つて、そうしてそれに追いかけて十月十日までのものをとつてそれに間に合う範囲において修正してやつた、こういうことになると私は思うのです。それを聞かないと、政府が各県別に病虫害災害の被害をいかに具体的に補正しているかということがわからない。でありますから、その点はひとつどうしても発表してもらわぬと、ただ修正に盡力すると言われただけでは納得が行かない。もし今おつしやるようなことであるなら、調査資料があるでしようから、資料に基いてさかのぼつて段階をわけてこの数字を—日子は一日、二日余裕はあつてもいいですから、段階をわけて各県別に知らせてもらいたい、かように思うのです。
  43. 小倉武一

    ○小倉説明員 今お話の点でございますが、発表の仕方についての御批判は私どももあの発表の仕方があれで十分よかつたというふうにも、今から考えれば、思わないのでありますが、ただお話のような点はないのであります。なぜと申しますのは、私どもの説明があるいは足らないのかもしれませんが、先ほど申しましたように、当初の設計は、九月二十五日現在で資料を集めるように実は努力しておつたわけです。そういう予定でおつたわけですが、今度の調査が相当綿密な—ことに面積の方の関係もございますが、綿密な調査でありました関係上、資料調査が相当遅れておつたわけです。従つて設計は九月二十五日現在になつておりますけれども、私ども手元に着いたのは、おそいものは十月になつてからであります。もつとも地方で調査を始めましたのは、県によりましては九月の中ごろ、あるいはまた前からやつておるのもあります。従つて九月二十五日現在でもつてちようど私どもの事務所に報告が着いたのもありますが、相当の県につきましては、ずつと遅れて到着したのであります。従つてお話のように十月一日現在になつたのは、私どもの本所における仕事が遅れて延びたのではないのでありまして、例年だと実はもつと早く発表することになつておる次第であります。しかし今年は、以上のような事情で遅れましたので二十五日で、一ぺん締切りまして、その後もう一度資料をとつて、それを加えて二度計算をした。一ぺん九月二十五日で全体を出し、その後の被害をとつて、それを差引して全体の作況を出したということには実はなつておらないのであります。
  44. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、あれはどこまでも発表の前文と申しますか本文と申しますか、十月一日というものをわれわれは考慮しないで、十月十日の調査だということになるわけですね。その前の経過はなくて、いきなり十月十日の調査ということになるわけですね。そうすると、この前の委員会でも申し上げましたが、十月十日以後において、作況の変化が一体幾らあるか。大体十月十日というと、米は勝負がきまつておるのです。中旬下旬において作況の変化は、地区別に多少ありますけれども、大体勝負はきまつておる。そうすると、政府がああいう発表をしたということは、もう今年の補正に応ずる余地はないという意図をもつて発表されたということになり、それであるから重大だと言うのです。いかにこの委員会で、長官初め次官も補正に盡力すると言われても、これは要するに政治的な答弁であつて、私は誠意ある答弁とは解釈できない。こういうふうに十月十日で米の勝負がきまつておるときまで織り込んであると発表しては、補正のしようがないじやないですか。であるから、私はこうしつこく聞くのです。どこまでも九月中旬もしくは下旬の作況を基礎に置いて発表した数字ということであつて、その後においてもう一つ十月十日というものがあるのだから、その間に政府がどのくらい補正をしたかということがまずわかるわけです。それがわからなければ、われわれはどうしても今度の問題は納得できない。でありますから、くどいようでありますけれども、もし出ていなければ、さかのぼつて九月下旬における資料を集めて、一ぺん出してもらいたい。そうしてそれが十月十日のものとどのくらい開きがあるかということを、県別に知らせてもらいたい。かようなことを私は要求したい。
  45. 小倉武一

    ○小倉説明員 今の、さかのぼつて調査するということがどういう御趣旨か私よくわからないのですが、先ほど申し上げました通り、私ども発表した数字というものは、大部分は当初の設計によりますれば、二十五日現在一ただ地方によりまして、それより先のものもありますし、仕事の都合上遅れたものもありますが、主としてわれわれの作業が遅れたために、その後集まつた資料も可及的に参照して、十月一日現在ということで発表したわけであります。しかし二十五日現在でもつて当初の資料が集まつておりますが、委員会できめたのは十月十日前後であります。そして発表がたしか二十日近くだつたと思いますが、そういうふうに当初の資料の日付現在は九月二十五日しかし遅れたために今さら九月二十五日ということで名を打つて発表するということはおかしい。しかし九月二十五日現在で事務所がいろいろ集めた資料につきまして、その後地方の状況その他について、どうもこの前の資料よりはぐあいが悪いらしいというようなことを、事務所から言つて参る者もあるのであります。従つてそういうことを勘案いたしまして、この間の数字を出したわけであります。
  46. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これは統計部長の方にいくら聞いても際限のないことですし、統計部長の方でも、ぼくらの発表した数字はあながち適当だとも思わぬということを言われておるのだから、どうかあとで大臣から責任のある答弁を要求された方がよいでしよう。
  47. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今部長の説明を聞いておると、結局九月二十五日のものは各県で出した、それを事務的にその報告が九月二十五日の締切りが十月十日に来たのもあるし、事務的に各県別のでこぼこがあつた、そういうことでしよう。一応九月二十五日という日を切つておるあれはあるはずです。そうだとすれば、九月二十五日の集計した数字は幾らだということを聞いておる。その後におきまして発表するまでにいろいろ変化のあつたものは当然修正された、その修正されたのはどこの県をどのように修正されたということを聞いておる。だから九月二十五日のものを一遍聞きたいと言つておるのです。九月二十五日のがないはずはない。あらかじめ農林省はいついつかをもつて締切つて、その資料に基いて申しておるわけです。それが各県がその資料に基いて実情を報告したのだから、その基礎なつ数字を聞きたいと言つておるのです。時間もありませんから、これは別の機会に数字発表していただきたいのです。
  48. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 補正問題がまだ解決しないということは、政府の重大な責任だと思うのであります。言うまでもなく、農村ではほとんど收穫が終ろうとするときにおきまして、まだ実收額の確定的なものが政府から発表されないということは、官僚制度の典型的なものだ、こう言われても私は仕方がないではなかろうかと思うのであります。そこでまず私は数字について二、三お尋ねしてみたいと思うのでございます。作報の発表によりますと、本年度の收穫は六千五百五十四万八千石だと言われておるのでありますが、これを事前割当の六千三百二十一万八千石に比べますと二百三十三万石の増收になるのであります。こういう事前割当よりも二百三十三万石増收されたという基礎材料は一体何であるかということを、お伺いしたいのでございます。大体において六千三百二十一万八千石を事前割当する場合におきまして、政府は十分なる調査の上に、これを妥当なる数字として割当てたことは言うまでもないのであります。従つてこれが二百三十三万石もふえたというならば、これは当然肥料の増配があつたとか、天候に惠まれたとか、何かの好條件が伴わなければならないのであります。今日すでに政府に対しまして、怒濤のように補正の要求がある。本年度キティ台風、その他幾多の台風があり、部分的には早害があり、病虫害があり、冷害があり、悪條件は非常にそろつておるのであります。政府機関である作報が二百三十三万石も増收発表をするということは、およそ常識では考え得られないのでございますが、一体増收基礎材料は何であるかということを、まず第一点にお伺いしたいのであります。次には同じく政府の機関である食糧庁が、この事前割当よりも五百万石減收したとこう発表しておるようであります。そういたしますと同一の政府機関でありながら、作報と食糧庁との間においては七百三十三万石の相違があるのであります。一体同一政府機関でありなから、こういう差がつくというのはどうしてできたのでありますか。こういう差額を発表しておるときに一体どれを信用するか。この点を第二点としてお伺いしたいのであります。  第三点としては、政府は現在軍政部に対しまして補正交渉をしておられるということでございます。補正を交渉されるには、政府において確固不動の実收高というものがつかまれておらなければあり得ないことでございます。従つて政府が軍政部に提出しておるところの実收額は、一体どのくらいであるか。まずこの三点についてお伺いいたしたいと思うのでございます。
  49. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 第二点の、作報の予想收穫高と食糧庁でやりました、減收見込調査、それが政府の機関でありながらばらばらであるのはどんなものだろうかということであります。作報の数字は、御承知のように全国の收穫予想であります。それから私どもの方で調査しておりますのは、個々の農家につきましてどの程度災害による減收があつたかという調査をしたのであります。その集計が前にも申し上げましたように、五百万石程度になるというのでありまして、この間矛盾はないと私は考えております。それから司令部に対してどんな数字で今交渉しておるのかというお尋ねでございます。これはまだいろいろ折衝の過程にありますので、もう少し適当な機会に申し上げたいと思います。
  50. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 安孫子長官の御説明によりますと、作報の報告は全体の予想收穫高であり、食糧庁の調査は個個の農家の集計だと言い、これは裏から見ても、表から見ても同じでございまして、要は全体としてどれだけの收穫があるかということの予想でなければならぬ。従つて個々に調べようと、全体として調べようと、同一政府機関でありながら、こういうばらばらの收穫予想というものは、どちらかが間違つていなければならない、どちらも同じだということは絶対にない。どんなに食糧局長官が詭弁を弄しようとも、これは矛盾がないということは、あまりにもわれわれ議員を侮辱しておるのではなかろうか、この相違はどこまでも現実であります。従つてこういう差異が一体どこから来たかということに対して、政府調査しないというはずはありません。もう一点この点についてお伺いしたいのであります。
  51. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 作報で予想收穫を出しておりますのは、全国の農家を見ますと、事前割当に対して減收した農家と、事前割当よりも増收した農家と二つにわかれると思います。それを全部ならした数字が作報の数字になるわけであります。それから私どもの方で調査いたしておりまするのは、事前割当よりも減つた農家について、それがどの程度つておるかという調査をやつておるわけであります。それですから逆に言うとこういうことが言えると思います。作報の数字が六千七百五十四万という、事前割当よりも相当高い数字であるということであれば、しかも食糧庁の調査減收農家が四、五百万石もあつたということになれば、増收をした農家は相当数が多く、またその数量も非常に多いということにはなると思うのであります。だからその点でいろいろの見当の違いはあろうかと思うのでありまするけれども調査自体について、またその結果について、非常に矛盾がある、不統一だということにはならないというふうに申し上げたわけであります。
  52. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 收穫全体の数の上では明らかに相違があるのであります。作報では六千五百五十四万八千石とれるというのであります。食糧庁は五千七百二十一万八千石しかとれないという集計になつておるわけでございまして、この数字の差は嚴然としておる。こういう全体の收穫についての両方の報告の差は、一体どういうものか。こういう差がある場合において、政府はこの報告のどつちに信用を置いて実收高というものをつかんだか、この点についてお伺いしたいのであります。
  53. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 簡單に申し上げますと、政府といたしましては、作報の数字によるということを申し上げたいと思います。
  54. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 作報の数字が適当だ、こうおつしやるのですか。そういたしますと、先ほど私が申し上げましたように、作報の数字が適当であつて二百三十三万石増收したというならばキティ台風その他幾多の悪條件があつたにもかかわらず、なお事前割当よりも二百三十三万石増收したということになるのでありますが、そういう好條件というものはどこから来たかということを、御説明願いたいと思います。そうでないと、こういう増收がどこから来たかということを、全国の農家が納得できないことになると思います。
  55. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいま食糧庁の予想收穫高が五千七百二十一万石云々というお話がございましたが、実は食糧庁としてそういう数字発表したことはございませんから、この点は御訂正を願つておきたいと思います。それから農林省といたしましては、予想收穫高というものは正式には一本しかございません。それは結局作報の調査による予想收穫高というものが権威のある数字であるという取扱いにいたしておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  56. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 数の点がどうしても食い違うのですが、そうすると食糧庁は、五百万石減收だというふうに発表したというふうに聞いておるのですが、食糧庁はそういう数字発表したことはないというのですか。
  57. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 食糧事務所で個々の農家について減收高調査をやつておるわけでありますが、それを総計いたしますと、五百三十万石ぐらいになる。この数字は私どもこの委員会でも申し上げたことがあつたかと思うのでありますが、そういう数字になつております。しかし一方増收面がありますから、その差引きがどうなるかということは申し上げておりません。減收面だけを申し上げております。この減收両を事前割当数字から引けば、あるいはただいまの五千七百万石ということになるかもしれませんが、しかし一方において増收した農家がありますからそれを含めなければ予想收穫高は立たないわけであります。
  58. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そういたしますと、食糧庁の調査は、五百万石減つた所もあるけれども、そのほかに増收した所があつて結局においてはやはり作報の六千五百五十四万八千石と同一になるというのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  59. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体そういう筋合になりますが、これは調査をしまする機関も違いまするので、お話がございましたように、それがぴつたりそういうふうになるというわけでもないと思います。ただ收穫予想といたしましては、農林省はこの作報の調査によるものに基礎をおいて考えております。
  60. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 数字のことはまたあとでやるといたしますが、そこで先ほど、司令部に対しまして現在交渉しておる数字は、都合によつて発表できない、こういうお言葉でございますが、これは何か司令部の要求にでも基いて発表できないのでございましようか。この点お伺いいたしたい。
  61. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 司令部の要求に基くものではありません。目下交渉中でありますので、それが一応の目安がついた機会に申し上げた方が適当だろうという意味で、この次の機会に申し上げることにいたしたいと申し上げたのであります。
  62. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 私は先ほど政府ははなはだ無責任だと申し上げましたが、お言葉を聞いてますます無責任と考えるのであります。ただいまの安孫子長官の御答弁によりますれば、大体において交渉の結果をもつて実收額として発表するようでありますが、これははなはだ責任のない話でありまして、少くとも政府が司令部と交渉するには、はつきりした実收の確証がなくて、補正ということが交渉できるでありましようか。それを今日司令部の要求に基くという理由でなくて、ひた隠しに数字をふせて行くということは、何と言つても現政府ははなはだしい官僚政府だと思うのであります。おそらくわれわれは納得しないでありましよう。現政府がはつきりした数字を持つて交渉しておりながら、司令部の要求もなくして軍に政治上の責任をのがれるために公表せず、交渉の結果得た数字をもつて実收として国民を納得せしめるというのでは、全国の農民大衆は絶対に承服しないと思います。従つて私は政府があらためて司令部と交渉しているところの、政府がつかんでいる実收額について発表されることを、政府に対して要求いたします。
  63. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 先ほども申し上げましたように、補正につきましては、ちようど折衝の過程にありますので、近い機会に申し上げることはあろうかと思いまするが、今すぐに要求しております数字を申し上げることは、私どもといたしましては適当でないと考えまするので、申し上げられないのであります。
  64. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 司令部の要求もないのに、政府自体の都合だけで、実收を持つていながらこれを発表しないという不誠意に対しましては、はなはだしく不満を感ずるものでございまして、この点についてはあらためて別段の処置を講じたいと思いまするが、一応私の質問を打切りたいと思います。
  65. 小笠原八十美

    小笠原委員長 本日はこの程度にとどめます。次回は明十一日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時二十八分散会