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1949-11-16 第6回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 鈴木 明良君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 小川原政信君 理事 丹羽 彪吉君    理事 鈴木 義男君 理事 苫米地義三君    理事 木村  榮君 理事 船田 享二君       奈良 治二君    黒田 寿男君  出席国務大臣        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         (恩給局長)         総理府事務官  三橋 則雄君         特別調逹庁長官 阿部美樹志君  委員外出席者         経済安定事務官 木村  武君         経済安定事務官 國塩耕一郎君         專  門  員 亀掛川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君 十一月十五日  委員池田正之輔君及び柳澤義男辞任につき、  その補欠として田中萬逸君及び水田三喜男君が  議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員中原健次辞任につき、その補欠として黒  田壽男君が議長指名委員に選任された。 同日  理事池田正之輔君補欠として丹羽彪吉君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 十一月十二日  恩給法臨時特例改正に関する請願仲内憲治  君外六名紹介)(第一三六号)  同(川本末治紹介)(第一六四号)  同(中野四郎紹介)(第一六五号)  同(久野忠治紹介)(第一六六号)  同(佐々木盛雄紹介)(第一六七号)  同(佐瀬昌三君外二名紹介)(第一六八号)  同外八十五件(水野彦治郎紹介)(第一六九  号)  同(田嶋好文紹介)(第一七〇号)  同(山本利壽紹介)(第一七三号)  同(多武良哲三紹介)(第一七三号) 同月十五日  恩給増額請願福井勇紹介)(第三八三  号)  中央出先機関全廃促進請願川野芳滿君紹  介)(第三八七号)  恩給法臨時特例改正に関する請願片岡伊三  郎君紹介)(第四〇三号)  同(三宅則義紹介)(第四〇四号)  同(鍛冶良作君外一名紹介)(第四〇五号)  同(岩本信行君外九名紹介)(第四〇六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十四日  恩給法臨時特例一部改正陳情書  (第一一  一九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  経済調査庁機構及び業務に関する件  特別調達庁機構及び業務に関する件   請願  一 恩給法臨時特例改正に関する請願佐藤榮    作君紹介)(第一〇八号)  二 同(有田喜一紹介)(第一〇九号)  三 同外一件(大上司紹介)(第一一〇号)  四 同(河野金昇紹介)(第一一一号)  五 同(仲内憲治外六名紹介)(第一六三号)  六 同(川本末治紹介)(第一六四号)  七 同(中野四郎紹介)(第一六五号)  八 同(久野忠治紹介)(第一六六号)  九 同(佐々木盛雄紹介)(第一六七号) 一〇 同(佐瀬昌三君外二名紹介)(第一六八    号) 一一 同外八十五件(水野彦次郎紹介)(第一    六九号) 一二 同(田嶋好文紹介)(第一七〇号) 一三 同(山本利壽紹介)(第一七一号) 一四 同(多武良哲三紹介)(第一七三号)  陳情書 一 恩給法臨時特例一部改正陳情書  (第一二九号)     ―――――――――――――
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  本日の日程経済調査庁機構及び業務に関する件、特別調達庁機構及び業務に関する件及び恩給法臨時特例改正に関する請願十四件、陳情書一件でありますが、本日の日程に入ります前に、昨十五日委員池田正之輔君及び柳澤義男君、今十六日中原健次君が辞任され、その補欠として田中萬逸君及び水田三喜男君が昨十五日に、黒田寿男君が今十六日にそれぞれ課長において指名されましたことを御報告いたしておきます。  つきましては、委員辞任せられました池田正之輔君理事でありますので、その補欠選任を行わなければなりませんが、理事補欠選任は選挙の手続を省略いたしまして、委員長において御指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければ、丹羽彪吉君を理事に御指名いたします。     —————————————
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 本日はまず請願及び陳情書審査に入りたいと存じますが、同一趣旨請願が今後とも付託されることと存じますので、本日は紹介議員説明聴取の後、政府意見を求め、質疑があればしていただくことといたしまして、委員会の決定は後日に延期いたしておきたいと存じます。  それでは恩給法臨時特例改正に関する請願十四件及び恩給法臨時特例一部改正陳情書とは同趣旨でありますので、一括議題といたします。まず紹介議員説明を求めます。
  5. 江花靜

    江花委員 本請願の要旨は、さきに恩給法臨時特例改正し、恩給増額が実施されましたが、インフレの高進はなおとどまるところなく、受給者生活は困窮の一途をたどりつつある現状にかんがみまして、公務員給與改正伴つて恩給増額する法的措置を講ずるとともに、改正恩給法臨時特例においては、昭和二十一年七月一日を限界とする退職者に著しい差異があるから、この不合理を是正されたいというのであります。どうか慎重審議の上、御賛成をお願いいたしたいと思います。
  6. 船田享二

    船田委員 河野金昇君が今ちよつと見えませんので、かわつて請願趣旨を御説明申し上げたいと思います。御承知のように、昨年の七月までは大正十二年に制定された恩給法がそのまま行われておつたのでありまして、その間に俸給令改正が九回あつたに対しまして、恩給額改訂はわずかに二回にとどまつておりまして、そのためにその平均額月額にしてわずか三十数円という、むしろこつけいな、みじめなものであつたことは皆さん承知通りと思うのであります。そこでわれわれ議員は、これをまつたく見るに忍びず、昨年九月の五日に議員提出法律案としてその改訂行つたのでありますが、その標準は、過去の退職者を一応三千七百円ベース仮定俸に引直しまして、平均して十七倍程度増額行つたのであります。しかしそれでも平均してなお月額七百円以下にとどまつたばかりでなく、現職の公務員俸給がその直後に六千三百円ベースに飛躍いたしまして、ここにおびただしい開きができたことも、これまた皆さんの御承知通りであります。  そこで請願者は、二つのことを要求したいというのであります。すなわち第一は、昨年の仮定俸現行給與ベース均衡のとれるようにスライド・アツプしてもらいたい、これが一つであります。第二は、その後の退職者給與に比べて、昨年の仮定俸にはおびただしいむりがあつたから、これを実情に即して是正して、給與上の不公平を取除くような処置をとつてもらいたい。また将来におきましては、給與令改訂伴つて恩給もまたこれに比例するように改訂してもらいたい、こういうのでありまして、この二つ要求はまことに当然の要求であると考えます。何とぞすみやかにこの請願を採択せられまして、適切な措置を講ずるように御配慮を願いたいと思います。
  7. 鈴木明良

    鈴木委員長 ただいまの江花靜君、船田享二君の御意見に対し、政府の御意見を求めたいと思います。総理府事務官恩給局長三橋政府委員
  8. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 ただいま船田委員から趣旨の御説明のありましたように、昨年の六月三十日以前に退職しました公務員に支給されておりまする恩給につきましては、昨年の七月に制定されました恩給法臨時特例によりまして、恩給金額を増加いたしております。その増額は、七月一日以後、昨年の十一月三十日まで行われておりました、おわゆる三千七百九十一円ベース俸給で退職する公務員の受ける恩給を大体目途といたしまして、その程度恩給支給水準まで、従来の恩給金額支給水準引上げるということで、実は増額されたのでございますが、その三千七百九十一円ベース俸給といいますのは、従来の俸給制度と非常に異なつ俸給制度で、いわゆる職階制前提としまする俸給制度でありましたために、昨年の六月三十日以前に公務員を退職した者に支給されております恩給金額計算の基礎になつております俸給を、どういうふうにその三千七百九十一円ベース俸給に切りかえをするかという技術的の問題で、実は一応現在できておりますような臨時特例のいわゆる仮定俸給というものがつくられたのでございますが、この仮定俸給が今日から考えてみますと、今船田委員の指摘されましたように、いささか低過ぎたのではなかろうかという懸念があるのであります。この点につきまして、私たち関係当局といたしましては、いろいろと検討を加えて来ておりました結果、少し低過ぎたというような結論に達しましたので、今度は三千七百九十一円のベースで退職した公務員の受ける恩給支給水準まで従来の恩給引上げるべく、適当な是正の方策を講ずるように今成案を急いでおります。成案を得ましたならば、次の通常国会にはこれを提出いたしまして、審議を願う予定にいたしております。また現在受けております公務員俸給は、いわゆる六千二百円のベースでございまして、この俸給を受けていて退職しましたところの公務員恩給は、三千七百円ベースのときに退職したところの公務員恩給より多い金額なつております。これも今船田委員から指摘された通りであります。こういうふうに不均衡なつておりますことについては、政府当局といたしましても、何とか是正いたしたいと考えまして、六千三百円のベースで退職するところの公務員の受ける恩給に大体一致するような恩給を支給するように、今度改正法案を出す予定にして準備いたしております。将来給與ベース改訂された場合におきまして、それに伴つて恩給金額増額するかどうかという問題のことにつきましては、恩給制度趣旨から考えまして、退職した公務員に相当な生活をさせるという見地から、給與ベース改訂なつて来れば、それに応じて恩給金額改訂をし、なおその前後におきまして恩給受給者に不均衡のないように取扱いをいたしたいと考えております。ただ恩給増額は、何と申しましても国家財政に非常に大きな影響を與えるものでありますから、恩給増額をします場合におきましては、どうしても他面国家財政というようなことも考えなければならない場合もあるのではなかろうかと思つております。そういうような関係からいたしまして、いろいろなほかのことも考えつつ、今私が申し上げましたような方式のもとに、今後の恩給取扱いにつきまして善処して行きたいと考えております。
  9. 鈴木明良

    鈴木委員長 御質疑はありませんか。
  10. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつとお尋ねしますが、今恩給を受けているのは全国で大体どのくらいなのですか。概算でいいのです。
  11. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 昨年の十二月末に統計をとりましたところによりますと、恩給受給者の総人員は二十一万六千七百五十五人、この人員の中には、陸海軍の軍人で傷病者としての恩給をもらつている人も含んでおります。金額は十九億三千六百四十一万七千百四十六円ということになつております。
  12. 木村榮

    木村(榮)委員 その十九億というのは、三千七百円ベースでやつているのですか。
  13. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 これは昨年の十二月の統計でありますので、昨年の十一月三十日までは官吏の俸給は三千七百円ベースでありまして、十二月一日から六千三百円ベースなつております。十二月一日から十二月三十一日までの間に退職した公務員もありますけれども、これはごくわずかだろうと思いますので、恩給統計の面から見ますれば、そのものも三千七百九十一円ベースで退職された人に支給されている恩給の額とお考えになつて大体さしつかえないと思います。
  14. 木村榮

    木村(榮)委員 今御説明なさつたように、もし六千三百七円ベースなつたといたしますと、これは二十五年度の予算に組まなければならぬと思いますが、二十一万なんぼに対して六千三百七円ベース計算した場合の金額は大体どのくらいになるか。大ざつぱでよろしゆうございますから、伺いたいと思います。
  15. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今度の増額案につきまして恩給予算を組んでおりますが、今のお話のような前提のもとに予算に組んだ金額につきましては、今ここには承知していないのであります。先ほど御説明申しましたような線で増額をし、従来の不均衡と思われる点も是正して、計算した金額といたしましては、大体五十六億と見込んで予算に計上しております。
  16. 江花靜

    江花委員 ちよつと伺いますが、今のは三千七百円ベースとしての五十六億ですか。
  17. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 ちよつと私言葉が足らなかつたので御説明させていただきます。先ほど木村委員からの御質問に対して、三千七百円ベース恩給というふうに申し上げたのでありますが、これは一応はそういうふうになりますけれども、実質上は先ほど申しましたように、昨年の六月三十日以前に退職した恩給受給者恩給金額を、三千七百円ベースで退職した恩給受給者に支給される恩給金額水準引上げたのでありますが、その引上げ方が非常に少かつた。従つて昨年の十二月三十一日にとられた統計は、一応は三千七百円ベースのもとに支給された恩給ということになつておりますけれども、これも実際にはそれより低い金額になるのではないかと思います。それで今のお尋ねの点ですが、六千三百円ベースとしての金額なつております。なおただいま木村委員の御質問に対しまして、私十九億三千六百万円前後の金額と申し上げましたが、これは年金恩給金額であります。それから今年の予算に組んでおるところの五十六億の金額は、年金恩給金額のほかに一時恩給金額も全部ひつくるめております。昨年十一月末で一年間の統計をとりまして、その統計の中に年金恩給以外の一時恩給金額を入れますと、今申しました十九億三千六百万円に相当の金額が加わつて来るものと思つております。これは二十三億くらいになるのではなかつたかと思います。
  18. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質問がなければ、請願及び陳情書審査はこれにて終了いたしました。     —————————————
  19. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に経済調査庁機構及び業務に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。木村榮君。
  20. 木村榮

    木村(榮)委員 実は質問というのではないのでありますが、報告を出してもらいたいと思います。なぜかと申しますと、経済調査庁をこしらえるにあたつて申合せ事項がございまして、毎回報告を受けてこれを検討することになつておりますから、それに基いてお出しを願いたいと思うのでありあます。  次に最近考査委員会において公団をめぐる不正事件というものをやつています。私は考査委員である関係上人分調査をしてみましたが、公団機構そのものの中に相当大きな問題があるわけです。そこで調査庁といたしましても、公団関係は相当御調査なさつておるはずだと思いますので、きようは特に公団に対して調査庁調査なさつて特徴的な点、その調査の結果あなた方が感ぜられました点では、一体どこにそういつたような不正を生む根拠があるのかといつたような点を御説明願いたいと思うのであります。と同時に、特に最近起つています経済統制違反と申しましようか、そういつたものが大体どういつた種類のものか、たとえばゴムとか、あるいは鉄とかあると思いますので、そういつた特徴的な点をあわせて御報告願いたいと、かように考えております。
  21. 木村武

    木村(武)説明員 公団の問題を調査庁お尋ねになつたのでありますが、実は公団につきましては私の方の監査というものがございまして、この十月から十一月にかけまして特別に集中いたしまして調査をいたしておる、こういうふうなことなのであります。これは政府の方からの特別な指令もあつたのでありますが、そういうわけで実はただいまもつぱらそれに集中いたしまして調査中なのでございます。そこでここで結論はつきり申し上げるという段階にまでは、ただいま立ち至つておらぬのでありますが、もし必要でございますれば、ただいままでの大体の見当と申しますか、今のお尋ねのような点について、ぴつたり来ないかもしれませんけれども、その程度でよろしければ、若干申し上げてみようかと思います。
  22. 木村榮

    木村(榮)委員 私のお尋ねした点がちよつと御理解がむずかしいと思いますので、要約いたしますとこういうことになるわけです。公団をめぐる不正といいましても、これの形態は非常に広汎であると思う。これは一体会計経理の面において不正が起きた問題か、あるいは会計経理の面においては、なるほど不正は出て来る危険性があつて、また現に出ておる。しかしながら集荷配給、現品を動かすという点においてきわめて円滑に行つておる、まあきわめてとまでは行かなくとも、この点については比較的うまく行つておる。ただ問題は経理上の問題だというようなことがおもであるか。公団そのものが、経理上の問題であると同時に、たとえば油糧公団にいたしましても、配炭公団にいたしましても、その他の公団にいたしましても、現物をいろいろな方法で横流しするとか、あるいはまた公団があるために現物回転がうまく行つてないというふうな二つの面にわかれると思います。その点を調査庁の方で御検討なさつた点がおわかりになれば、簡単でけつこうですから御報告願いたい、かように考えております。
  23. 木村武

    木村(武)説明員 ただいまお話があつたのでありますが、その問題は実はなかなかわけられるようでわけにくいのでありまして、結局経理の数字の上に事業の実態が現われるということになりますので、金の方でごまかしたものか、物の方でごまかしたものかというようなことに、もしお尋ねの点をあれすればなるかと思いますが、私どもの調べております経過から申し上げますと、両方あるわけでありまして、大体公団ではもともとああいう一次的な機関であるというようなことからいたしまして、しかもほんとう独立採算機関なつておりませんので、その経理状況あまり外からははつきりしない、剰余金が出れば全部国庫へ吸い上げ、赤字が出れば国庫がそれを補給するというようなやり方でありますので、責任の帰趨がはつきりしない、こういうふうなことにもともとなつておるわけであります。そういうことなどに便乗と申し上げては語弊がありますが、理事者の頭としても、責任の点が十分にしみ込んでいないと申しますか、そういうふうな点などがあるように思われるのであります。事例をあげて申しますれば、たとえば金利計算の頭などがないのでありまして、おおむね支拂い利息と受取り利息との計算をしてみると、二十億くらいの支拂い利息を拂つているというようなことなどが見えるのであります。私どももつぱら不正を中心にして調査をするということよりも、能率の点、あるいはもつと国民経済的に安くあげられるのではないか、こういうふうな点などを中心にしてやつておりますので、今の金利の問題でありますとか、あるいは受取り保險金と支拂い保險料関係、これなども公団始まつて以来、通じまして十六パーセント程度の受取り保險金しかないというようなことなどが出ておるわけでありまして、そういうふうな点は公団にある程度宿命的など申しますが、そういうことにあれしている問題じやないかと思うのであります。  それから物の関係に伴う問題でございますが、これは非常に大量の物質を扱つておりますので、常に現実にその物の動きが適正であるかどうかということを見るためには、一齊たなおろしをして見なければ現実にわからないのでありますが、これは事実上不可能であります。あれだけの公団の全国的にばらまいてある莫大な物質を、一挙にたなおろしすることはできないのであります。そこで現実に不正と申しますが、適当でないことが行われておつてもなかなかわからぬ。こういうふうなことで、肥料公団の例などを申しますと、ある程度局地的にはそういうことがあるということが言えるのでありますが、それが全体としてそれじやどうなつておるかというようなことはわかりにくい状況であります。纖維貿易公団の場合につきましても、非常に大きな綿布をかかえ込んでおるのであいますが、なかなか確実にはそれがわからぬ。一つの局地的な例としてある程度のものが出て来るというような状況であるわけであります。もう少しいたしますと、相当確実なところがだんだんと出て参るのではないかと思うのでありますが、お尋ね経理面なのか、物の面なのかというようなことになりますと、両方に相当いろいろなことがある、こういうふうに申し上げるよりほかないと思うのであります。
  24. 木村榮

    木村(榮)委員 能率の点はどうですか。抽象論になるからむずかしいでしようが。
  25. 木村武

    木村(武)説明員 能率の問題になりますと、なかなかむずかしいことになるのでありますが、さつきの金利の問題なども、いわば資金の運営上の効率という問題になるわけでありまして、それがいかにも下手であるということ、たとえば纖維貿易公団の例で申し上げますと、商品回転率がひどいことになつておるのでありますが、これなどは商品自体は動いているけれども、それを金の面でてきぱきと処理ができておらぬということになるのではないかと思います。それからまたやはり纖維貿易公団の例でありますが、さつき申し上げたたなおろしができておらぬのでありますが、これなどもあれだけ、大事なものを扱つているのでありますから、毎日々々必ず出し入れを記載して行くということが、もう少してきぱきと行われておれば、そういうことにならぬのでありますが、今になつてやろうとすると、たいへん厖大なものを整理しなければならぬということで、急においそれとはできないというようなこと、これがたとえば放出綿布放出進捗ぶりがあまりてきぱきと行かないということの一つの原因にもなつているわけでありまして、やはりいろいろな面で能率が上つていないということが出て来て参つているわけであります。
  26. 木村榮

    木村(榮)委員 なかなかむずかしい問題だと思いますが、今の御説明を伺つておりますと、大体公団という組織でやつてさえもそのような状態であるから、経済調査庁が全機能をあげて御調査なつてもなかなか的確なものをつかむことができないのだと思うのであります。ここに昭和二十三年の三月から今年の七月までの隠退蔵物資の摘発の調査額が出ておりますが、これを見ても相当厖大なものがあるわけですから、ほんとう日本の現経済にはまだまだ大きなやみ経済というものが動いていて、これがやはり日本経済を相当支配しているのだと思う。ですから調査庁調査してもなかなかつかめない。たとえば公団なら公団そのものの半ば官庁的な、人員も相当配置され、整備された機構のもとにおいてもつかめぬということになれば、この裏にはとても調査庁調査したくらいではつかめない、ほんとうに大きなものがあり、日本経済をやみ的に動かせているということが裏づけられるのではないかと思うが、その点はどうですか。
  27. 木村武

    木村(武)説明員 ただいまのお話は、ちよつと私の方からお答え申し上げるのに適当かどうか疑問に思いますけれども、だんだんとやみ経済が収縮して来ているということは、傾向としては事実ではないかと思うわけでございます。これはむしろ調査庁がつかむという問題よりも、日本経済全体としてどういうふうにつかむかという問題になるわけです。これは総体的な問題ですから、調査庁が調べてもなかなかわからぬのでありまして、今のお尋ねのような問題とは、必ずしも関連しないのではないかというように思うわけでありますが、だんだんと私ともがつかみます対象の範囲も集中的になつて参つております。たとえば統制物資なども非常に小さくなつて参つておりますので、その範囲では相当事柄がむしろつかめるような状況なつて来ました。それでお尋ねのような意味においては、むしろだんだんやみ経済が収縮して来たというふうにわれわれは了解いたしております。
  28. 木村榮

    木村(榮)委員 いやそのことを議論するのではない。小やみ的な経済は、金詰まりの関係などで大したことはないが、結局公団とかその他の名称において、半ば法律で保護されながら、大きなやみ的なものが集中して行く危險が、だんだん起つて来たということにならざるを得ないのではないかと思うのであります。経済調査庁の末端機構を見ますと、相当人間もおられます。また公団というものは、普通のやみ会社と違いまして、やはり帳簿を整理しておりますし、会計検査院の検査も受ける。たとえば飼料公団の場合は農林省の監督を受けるというように、一般やみ会社と違つて、法規上の監督を受けるというような仕組みになつておるのでありますが、それさえもつかめぬということになれば、今までの言葉でいえば、大やみ的なものが、非常に巧みに、法律的なものに保護されながら、国家経済を害しているという形態になつて来ていると解してもいいと思うのであります。その中において公団の不正問題というようなものをとらえて行き、また御調査にならないと、ただ小さなものを帳簿上でいじくつていても、なかなかうまくやつておりますから出て来ない。この間油糧公団をやつてみてわかつたのですが、一応はそろつているが、かんじんなこまかいものはみな抜けておつて、帳簿があつてもなくてもいいようなものである。しかし元はあるのです。この元をつかまえるのは調査庁でおやりになれば、比較的簡單ではないかと思うのでありますが、それもつかめないということになると、調査庁公団の大元も、同じ穴のむじなだというような方向に向う危險性が出て来ると思うのです。そこであなたの方といたしましても、特に公団をめぐる調査報告といつたようなものをお出し願いたいと思うのであります。民主自由党の政策としても、公団廃止というようなことを唱えておられるのですから、これは重大な問題であります。これは私が言うというよりも、むしろ民主自由党の代弁をしているようなことになりますけれども、経済が円滑に行くための研究のために私は言つているのです。  それから今年の春でしたか、臨時国会のときに、米の供出の割当、作報並びに末端の割当というものについて、あなたの方で調査報告を出された。あのときに事前割当の問題をやつたのだが、それはでたらめではないかと言うと、でたらめではないと言つた。しからばわけがわからないものだ。わけのわからないものを称して、普通でたらめと言うというような結論になり、相当ここで問題があつたのでありますが、それと同じ機構で今年まだやつている。ところが御承知のように、昭和二十四年度産米の補正をめぐつては、相当大きな問題が全国の農村から起つている。そこでその後における調査においては、事前割当というものをほんとうに信用していいのかどうか、依然として今年の春御報告なさつたような、至つて不完全な調査に基いて供出割当をやつておられるかどうか——これは行政面の調査の中に入つて来ると思いますが、作報並びにそういうような機構はその後相当整備されたかどうか、お答えは簡單でいいですからお伺いします。
  29. 木村武

    木村(武)説明員 供米の関係は、その後相当改善されたように私どもは見ております。昨年は第一年度でもございましたから別ですが、今年は作報が相当整備されまして、横のバランスで大体郡段階まで、供米の基準にされるようなものの抽出検査ができるようになつて参つております。それから補正の問題につきましても、だんだんと正確な調査ができるようになりまして、調査の時期などにつきましても、相当精密にその土地々々の事情に応じてやるということをやつておるわけであります。今年非常に問題になつておりますのは、災害も相当多うございましたし、それから結局ざつくばらんなところ、ただいままでの日本の収量調査というものにつきましては、私どもが指摘いたしましたように、今までは相当非科学的と申しますか、勘でやつつけてしまつたということがあつたわけであります。それが逐次精密と申しますか、科学的にやられるような状況なつて来たので、その経過的な過程においていろいろ問題が起つておる。これは当然やむを得ないことであろうというように私どもは見ております。
  30. 木村榮

    木村(榮)委員 いま一つだけお伺いしたいと思いますが、新聞用紙のやみが相当あつて——最近はあるかないか、あまり発表いたしませんが、世間を調査してみますと、相当だぶついておるのですが、引きかえの割当切符をもらつてさえも、受取らぬという者が相当出ておるわけなのであります。これは末端のいなかの新聞社に至つても、そういう状況が出ておる。にもかかわらず、依然として用紙の統制をやつて、そして割当をやつておるというのは、自由経済を唱えられます民自党の政府においては、特におかしいと思うのですが、調査庁の方で御調査なさつた結果、その状態はどうでしたか。
  31. 木村武

    木村(武)説明員 新聞用紙の問題は、今のお話のように、相当需給が緩和しておるというふうに私どもも考え、またそういうことになつておりますので、そういう新聞用紙の状態について、いわば非常にきゆうくつな状態はない。そこでそれのやみだとかいう問題を追いまわす必要もないし、また追いまわしても、何にも出て来ないだろうという予想もいたしておりますので、実は私どもの方としては、正直なところ、十分な調査はできておりません。お尋ねのような問題は、実は経済安定本部の方にでもお尋ねくださいましたら、好都合かと思います。
  32. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつと参考までにお尋ねしておきますが、あれは余つたものを公定価格で買つてもやみになるのですか。現品が余つておるわけなのですが、それを公定価格で買うという場合にもやみになるのですか。
  33. 木村武

    木村(武)説明員 ただいまの問題は、ご指摘のように統制をはずさない限り、切符なしで買つたということは、形式的には違反になるわけであります。
  34. 江花靜

    江花委員 お尋ねをいたしますが、経済調査庁経済事犯に対する取締りと、一般警察関係方面の経済事犯の取締りに対しては、大体機構人員関係からしても、また設立当時の趣旨からいたしましても、漠然ながらもそれぞれの持場というものがあつたと思います。もちろんそう整然とした職務分掌に掲げるような規定はないかもしれませんが、あつたと思うのであります。そこで経済調査庁は大体ビツグ・ケースを取扱うような感覚でやつておられるかと思うのであります。そういう場合に、経済調査庁が一般の警察職員の応援を求められる。つまりどのくらいの件数についてどのくらい警察官の応援を求めたか。これは非常に質問としてはお答えがしにくいことだと思いますが、感じだけというようなことになるかもしれませんが、もし数字があれば、たとえばこういう件数について、職員何名を何日間動員あるいは援助を求めた、こういうようなことがあれば承つておきたいと思います。
  35. 國塩耕一郎

    ○國塩説明員 経済調査庁の活動に警察の援助をどの程度求めたかという御質問でありますが、規則の上で行きますと、警察と一緒に行動しなければならない場合、あるいは応援と申しますか、そういうものを求める場合に二種類あるのであります。一つは令状を手交する場合、強制捜査等におきまして警察官の同行がなければならぬ。もう一つは、経済調査官がみずから活動を起す場合に、暴力団等の危險がある——経済調査官は何らの武装を持つておらない普通の身でありますから、そういう場合に警戒のために警察官の応援を求める。この二つがあります。犯罪自体を一緒になつ調査するということは、規則の上にも明らかになつておりませんし、また実際問題といたしましても、そういう場合は今までないのであります。しかし第一の場合、令状を手交する場合に警察官が立会わなければならぬということは、われわれの方も令状による捜査を相当やつておりますから、これは具体的な件数となりますと、ただいまはつきり正確には申し上げられませんが、相当件数がある。強制令状を持つたものは、すべて警察官が同行しておる。ただしこれは同行しておるだけでありまして、警察官自体が直接捜査に当るというようなことは、その場合にはないのであります。第二の場合、すなわち危害予防その他警戒等のために実力的な応援を求める場合、この場合はほとんどございません。たしか一件、密造酒の取締り、調査をやらなければならなかつた場合に、神奈川かどこかで、若干の警察官を危險防止の警戒のために応援を受けたというようなことがあつたように聞いておりますが、ほとんどそれ以外はないのではないかと思います。
  36. 江花靜

    江花委員 今のお話で大体了承いたしましたが、これは警察の方にむしろお尋ねすべき問題で、経済調査庁の方にお尋ねしても、あるいはちよつとお調べになつておらぬかもしれませんが、問題は、経済事犯の検挙取締りというようなことは、警察の未来の任務でないことは言うまでもないのでありますが、いわゆるどろぼう、火つけというような方面を警察がやつて、残された経済事犯的なものは経済調査庁が負担するとすると、新たに経済調査庁にどの程度人員を必要とするか。今のお話だと、おもに警察の方でやつておる仕事を調べれば、これはわかるようなかつこうにもなつておると思いますが、もしその点について何かの資料なり、御意見なりありましたら、お伺いいたしたい。
  37. 國塩耕一郎

    ○國塩説明員 ただいまの御質問趣旨は、経済事件調査、取締りみたいなものを経済調査庁だけで全部やるとすれば、どのくらいの人員がいるか、こういう御質問と思いますが、ただいま統制経済の違法防止あるいは違反調査のために従事しておられる警察官の数は、私はつきりつかんでおりませんが、相当減りまして、国家警察及び自治警察合せまして七千名内外と聞いておるのであります。それ以外に一般の警察官でも時々応援——経済專門でない人でも、応援ということで、必要がありますれば臨時に出て行く。従来違反事件がありますれば、茨城県でありますとかなんとか応援に出かけるということになりまして、かりに七千名といたしましても、常時活動しておるわけではありません。むしろ私は実際は少いのではないかと思います。
  38. 木村榮

    木村(榮)委員 これはこまかいことですが、読売新聞の今年の六月二十九日でありますが、神奈川県の上秦野村というのですが、「経済調査庁の乱脈また暴露」ということが出ております。そこでその内容を見ますと、村長や農協組合長が供出の還元米を五石三斗、十三俵を横領しておつて、それを調査官が行つて調査をして、うまくやつて一ぱい飲んだ。同村の綿屋という料亭ほか何箇所にわたつて饗応を受けた云々という事件なのですが、一体こんなこまかい、まるで警察のやるようなことを——調査官などというものは、もう少し大きなところに目をつけてやるべきが本体だと思うが、こういう御趣旨のことを御奨励——と言うとおかしいのだが、なさつておるのじやないですか。こういうことをやつていますと、本来の調査庁の任務を——あるいは一部かもしれませんが、相当何か逸脱しておると思うのです。あなた方の方は、一体こういう指導方針でおやりになつておるのですか。そういうことはこれはだめだというお考えか、またそういつたような各末端の調査官に対して、指導をどういうふうにやつておるのですか。
  39. 國塩耕一郎

    ○國塩説明員 お話のように経済調査庁は大きな事件調査に当る、また大きな対象の調査に当る、こういう方針で指導しておるのであります。ただ具体的に申しますと、ただいまの事件を私は詳細には聞いておりませんが、食糧関係の問題になりますと、公団の方にすべて供出が集まるというふうな関係で、供出側が比較的小さいものの集まりだという関係上、ある程度ほかの鉄とか纖維類とかいうものよりは、小さい事件に入る可能性がある。原則論といたしましては、ただいま木村委員の御指摘のように、大きくならなければならぬということを指示いたしております。
  40. 木村榮

    木村(榮)委員 まだあるのです。こまかいことをやつてつても大体かかるのですが、この前お出し願つたようにお出し願いたいと思うのですが、そうしないと——今の公団の問題などにいたしましても、今大体統制物資でおもなものは、みな公団に集中されておるのであります。このことを御質問いたしましても、至つてわからないわけなのです。世間話程度のもので、それは一体調査庁調査した資料を、責任をもつて国会へ出すということにならないわけなのですから、きようはとつさの場合ですから、あなた方の方も御準備がなかつたと思つて、この上やかましいことは言いませんが、急いで調査したものをこしらえてお出し願いたいと思います。これはあなた方の方で、行政監査とかいろいろな方法があつて、この前のようなものができるかと思いますが、ああいつたものだけではなくて、やはり一つ一つ具体的にこういうところに大体欠陥がある、こういつたところに大きながんがあるといつたようなことを書いてお出し願いたいと思います。
  41. 鈴木明良

    鈴木委員長 それは木村君、委員長においてとりはからいますから……。ほかにございませんか。     —————————————
  42. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑がなければ、次に特別調達庁機構及び業務に関する件を議題にいたしたいと思います。まず政府より機構及び業務、特に業務の進捗状況及び保有物資について説明を願いたいと思います。
  43. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 大要について御説明申し上げます。  特別調達庁は、昭和二十四年六月一日特別調達庁設置法によりまして、総理府の外局として設置いたされました。しこうして公法人である特別調達庁業務をそのまま引継いで発足をいたしました。  業務の内容といたしましては、第一は連合軍の需要する建造物及び設備の営繕並びに物及び役務の調逹。ただし他の行政機関の所掌に属するものは除きます。第二は、連合国の需要を解除された建造物、設備及び物の保管、返還及び処分。第三は、連合国占領軍の特に指示する業務であります。その業務の内容を申し上げますと、占領軍将兵の兵舎及び住宅の建設とその設備、連合軍総司令部初め各種軍政機関の庁舎の施設とその設備、占領軍軍事上並びに報道上必要な諸設備の経営、占領軍将兵の休養慰安の施設の設備、前記諸設備の維持修理、占領軍の要求する諸物資の納入、それからその活動に必要な各種の役務の提供、占領軍が雇用する労務者の提供、こういつたことに分類いたされます。  機構といたしましては本庁と地方八局がございまして、総人員は御承知通り六千九百四十一人となつております。地方局は札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、呉及び福岡の八箇所にわかれております。  経理面の大要を申し上げますと、御承知通り、今年は終戦処理費の事業予算というものが約千二百二十六億円ほどになつておりますが、そのうち労務費が約三百三億、工事費が約九十一億、需品費が約百三十二億、借上費が二十二億何がし、維持費が八十四億余り、作業費といたしましては二百十八億余、即定調達費が百七十四億余り、これらが特別調達庁が所管しております仕事の予算面からの数字であります。  任務といたしましては、第一点は何せ厖大金額に上る工事その他をいたしております関係上、業者が均等な機会を得ますように調査表を提出願いまして、そのランキングを定め、何人でもこの競争入札に入ることができるような措置を講じております。第二は業務をできるだけ敏活に進めたいということから、連合軍と協力いたしまして、その方針に従い、あちらのいいところをとり、われわれもそれに協力いたしまして、業務の処理を敏活ならしめるように努めております。第三は経費の節減の点でございますが、千二百億円以上に上ります終戦処理費の扱いにあたりましては、特別調達庁として、きわめて愼重に、また綿密に積算をし、精算をいたしまして、できるだけ国費あるいは国民負担の軽減をはかるように努力しておるのでございます。これが特別調達庁業務の内容の大要でございます。  その次に解除物件に関する業務の一部分といたしまして、特別調達庁の扱つております。解除物件について申し上げたいと思うのであります。これは今日まで特別調達庁が連合軍の要請によりまして、購入いたしました資材、機械その他材料の一部分を解除されましたので、それを一般に競争入札その他の方法によりまして売却に努めておるのであります。売却開始当時のトン数は、お手元に差出してあります資料に掲げてあります通り、約五十五万五十トン余りでありました。その寄託価格が当初の單価によりまして七十三億五千万円余になります。十月末現在におきましては、在庫トン数が約四十六万トン余り、寄託金額といたしまして約六十億円程度であります。これがただいま持つております程度のものでありますが、来年三月、つまり年度末までにどのくらい売却できるか、非常に見通しの困難なものでございますが、三分の二ないし四分の三くらいまでは、さばきたいと考えておるのでありますが、だんだん物が下り、物を金にかえようという傾向の現在でございますがために、思うようにすみやかには売却しにくいという実情になつております。それでお手元に差出しておきました資料にもあります通り、売却開始以来今日まで売却いたしましたトン数は、十月末において約九万二十トン、金額にいたしまして約二億四千九百万円ほどになつております。非常に遅々として売れないということについては、あらゆる方法を講じて、できるだけすみやかに売却いたしまして国庫の収入をはかりたいと考えておる次第であります。解除物件処理の予算といたしましては、当初約三十一億円余の歳入を予想しておつたのでありますが、この数字までこぎ着けることは相当困難と考えておる次第でございます。それにはいろいろ取扱い上の制限がございまして、たとえば会計規則とか、あるいは入札規則とかいうようなやかましいものがございますので、すみやかに売却し、あるいは金にかえるということが困難な実情でありますが、これを改正してもらいまして、あらゆる手持品をできるだけ早く売却いたしたいという考えでただいま進んでおる次第でございます。  きわめて大要でございましたが、業務内容及び業務の一部について御説明申し上げた次第であります。
  44. 鈴木明良

    鈴木委員長 御質疑はありませんか。
  45. 江花靜

    江花委員 特別調達庁で品物を調逹しました場合に、支拂いの今の状況はどうなつておりますか。つまり支拂いの遅延の状況はどういうふうになつておるか、こういうことであります。
  46. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 きわめて概要でございますが、もし必要がありますれば経理部長を出すことにいたしますが、ただいまのところ、われわれといたしましては物が完結する、あるいは物が納まりましてから大体三箇月くらいたちまして支拂いができたという態勢でございます。これは非常に支拂いがおそいということになるのでありますが、米軍と一緒に仕事をしております関係上、レシートがいるとか、あるいはこちらの精算ばかりでなしに、それに対して向うの同意がいるとかいうような関係で、支拂いが敏速に行かぬ点もありますが、大体は約三箇月で支拂つておるという状況であります。しかしただいま年末に近くなりまして、一般金融界も金詰まりというような実情を考えまして、これを一箇月半まで短縮して支拂いし得るようにいたしたいという措置と方法を目下講じております。数字上のことでございますれば、経理部長その他から申し上げることにいたします。
  47. 江花靜

    江花委員 今のお話大体を承知すればよろしいのですが、今の納入が、つまり買付けと契約をした額と、それからそれについてすでに納入の終つたもの、現在あるところの契約額、それから納入の終つたものについて大体支拂いの終つたもの、これから支拂うべきもの、こういうふうにわけまして、なおでき得べくんば、三箇月という御方針を超過しているように思いますので、超過しないで支拂つたもの、そういうふうなことをもしわかれば御説明願いたいと思います。
  48. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 ただいまの御質問の要点については、工事契約、そのほかの労務支拂いでありますが、大別いたしまして調査表を差出すことにいたしたいと思います。  ただ一言つけ加えておきたいことは、実際に非常に支拂いの遅れておるのがあるのでございます。これはあまりこまかに説明することは適当ではないかもしれませんが、支拂いの規定といたしましては、われわれは法律第百七十一号によりまして、書類を出してもらいまして、それを精算し査定して拂うのでありますが、きわめて古い契約のものに対しては、精算書を業者から出して来ないのが相当あるのであります。精算書を出して来ませんければ、支拂うというわけに行かぬという実情に追い込まれるのであります。それならばなぜ金の詰まつておるこの際に、請求書あるいは精算書を出さないかと申しますと、従来これは軍の工事でありますがために、これを促進する関係上、約三割の前渡金を拂つておりまして、それから八割までは概算して支拂いし得ることになつておるのであります。ところがよほど古い契約になりますと、八割はすでに精算額を超過するという場合も起り得ると思うのであります。そうしますと業者は返金をしなければならない。また業者が借金をしておるとすると、借金をしておる説明として政府からまだもらい分が二割残つておりますということを口実に出し得るのであります。そういつたことがあるかないか、大体私の想像でありますが、そういうことから精算ができない。つまり支拂いができないという面が相当あるのであります。これは非常にいかぬと思いまして、極力業者を督促しえおるのでありますが、まだ出して来ないのもあるのであります。それをつけ加えて申し上げておきます。
  49. 木村榮

    木村(榮)委員 調達庁が支拂いをする場合に前渡金なんかやつておられますか。
  50. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 前渡金は五月ごろまではやつておりましたが——はつきりデイトは記憶しておりませんが、おそらく四月末日までは前渡金が拂われておつたと思います。その後軍の要請によりまして、大体前渡金を出さないということになつております。どうしても前渡金を出す必要のある場合には、特にその事情を書いて、軍と協議の上出す。こういうことにただいまなつております。
  51. 木村榮

    木村(榮)委員 あれは去年でしたか、特別調達庁をめぐる不正事件というものがあつて、あの事件はどうなつたか存じませんが、何でもあのときには小切手がどんどん紛失しておつた。その事件をそのときの話の模様を聞いたところによりますと一日二億円くらい拂うので、小額の小切手が五枚も六枚も見えなくなるというのはあたりまえだといつたような——これは少々誇張かも存じませんが、そういうことが新聞紙上などに書いてございます。そういつたことを見ますと、一方政府支拂いが遅れておる面もあるが、ある方面にはそうではなくて逆にどんどん行つておるというような、非常な内部的な不公平があつたのじやないですか。そういう点は最近は是正されておりますか。
  52. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 小切手の紛失というようなことがあつたかもしれませんが、それはきわめて少い例でありまして、新聞紙に伝えられるような大げさなものではないと承知しております。その後庁内の注意を嚴重にいたしまして、爾後そういう事件のないように現在ではなつております。  それから支拂いの不公平がないか、こういうことになりますと、不公平ということは、原則としてはないのでございますが、先ほど申し上げましたように、非常に遅れて精算書を出すとか、あるいは間違つた精算書を出すとかいうような際には、勢い遅れて来るということになる。遅れる原因の一つとしては、従来役所はいずれもそうだと思いますが、下の方からだんだん上の方へ書類が通されて来るということが相当に原因しておつたと思うのであります。下の者が机のひきだしにしまい込むと、なかなか上の方の人はそれを処理することが困難である。それで現在では少くとも課長あるいは課長以上のところでいろいろな書類を受付けている。それを一目下に流して調査に期限を付してやる、こういうふうに改めておりますから、支拂いの不公平とかあるいは特に遅延をするというようなことは、さきに申し上げた特別な理由がない限りないと承知しております。
  53. 木村榮

    木村(榮)委員 小切手の紛失事件なんか大したことはないとおつしやるけれども、あれは事件なつて検察庁で調べられて裁判所にまわつたと思いますが、そういう調逹庁の機構を見ますと、六千人ほどいる職員の中で課長が六百人近くもおる。従つて不公平な支拂いをするという方針があるわけでなく、またそれが目的でやつておるわけじやないでしようけれども、それぞれの連絡があつて、課の関連性によつて、課長がやつても各課を何ぼもまわつて来ないと出せないようなものも、支拂いの内容によつては出て来るのじやないかと思うのですが、そういつた関係で非常に煩瑣である。これは正確を期しておる点もあるかもしれませんが、何にしても煩瑣である。煩瑣であると同時に比較的不正もやりやすい機構があるのじやないですか。そういう点はどうですか。
  54. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 小切手に不正のありましたことは、これは刑事問題としてすでに処理されております。また会計検査院の問題にもなり結末をつけておりまして、これはなかつたとは申し上げません。将来こういうことのないように、私どもは嚴重に監督しておる、こういうことであります。それから支拂いに対して、不正が起り得るようなことがないか、こういうお話でございますが、われわれの組織は大体占領軍と協議の上きまつた組織でございまして、いわゆるチエツク・アンド・バランスこういうシステムでございます。日本の大体の機構であり縦割機構ではなしに、大体横割のような形になつておる。そうして一方で受付けるが、それはただちにそこだけでずつと下の支拂いまで行けるようにはなつていない。たとえば請求書を出します。会計へいきなり出すのではなくて、契約当事者である契約部長に出します。契約部長はこれを技術部の方にまわしまして、それをきわめて詳細に精算をいたしまして、金額を査定し、しかる後契約部に返りまして、それからそこでいいものは経理部にまわりまして支拂いをする。お互いにチエツク、バランスの合うようにしておりますから、不正は大体において起り得ないような組織になつております。今御質問では不正ができるような組織になつているのではないか、こう申されるのですが、それと反対に不正が防ぎ得るような組織になつております。不正をするにはいろいろ手段もございますので、組織だけでは防げるものではないと思いますが、組織の点は今申し上げたような点がきわめて利益だろうと思います。
  55. 木村榮

    木村(榮)委員 解除物件が至つて売れ行きが悪いというのは、値段が高くて実用的でないから売れないわけなんですが、何かほかに原因があるのですか。
  56. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 先ほども申し上げましたように、第一は国民の経済の流れに逆行しておることが一つ。というのは今は金を物にしようという時代ではなしに、物を金にしようということでありまして、金を持つた者が物を持とうという傾向がきわめて少い。それから解除物件の中には、大体アメリカの家とか、あちらの生活様式にかなうようなものが相当ありますから、そういう点で規格の面で売れにくい、こういうものがあります。それから値段が高い点も、むろんございます。これは高い時代に買つたのでありますから、それを二割五分程度に引いてはおりますけれども、まだそれでは足らぬものがあると思います。それからもう一つは、これは想像でありますが、どうせ政府が売り出すものだから、いずれはだんだん安くするだろうというような思惑もあると私は想像しておるのであります。そのほかにたとえば木材その他建築用材のようなものを、公共団体では必要とする場合が相当あると思いますが、御承知のように公共団体が競争入札に加わることができないような現行法になつておりますので、そういう難点もありまして、そういうのはだんだん改めてもらうというふうに考えておるのであります。
  57. 木村榮

    木村(榮)委員 それはそれとして、次に大事な問題として艦艇なんかはどんどん腐つたり、鉄船なんかは水が入つたりして、沈没したようになつたものがたくさんあると思います。あれはだんだん腐つてしまえば消えてなくなる、鉄だから消えてなくなるには大分かかりますが、材木なんか消えてなくなり腐つてしまつて、それでもきまつた値段をちやんと守つておる。なくなつてしまえば売ることはできませんから、減価減損なんかになるでしようけれども、そういう方法ではなしに、もう少し簡単に売買のできるような方法を御考慮願つたらどうですか。これは大臣がお見えになつておるようですから、特に大臣に……。
  58. 山口喜久一郎

    ○山口国務大臣 私所管大臣ではありますが、詳細な事情は阿部長官の方がお詳しいように思います。私が所管大臣として直感するところでは、たとえば政府の納入品に対する支拂いはおそくなるのが普通のようになつておる。今度の解除物件等の売拂いに対しては保証金をとつたり、また契約と同時に現金をとつてしまうということであれば、自然売れ行きが遠いのと、それでまたコストも非常に安く、金詰まりの時代ですから入札をしなければならぬということから、私はかねがね政府の売拂うかような解除物件等に対しては、たとえば政府の信頼する金融業者の支拂保障があれば、三箇月待つてやるとか、あるいは六箇月の月割で支拂い得るとかいうように、会計法の一部を改正しても、さようにすべきものだという主張を私は持つております。そうしますと自然入札する人は値段を高く入れても、その間の金融は銀行の方で支拂保証をいたしますから、ただちに現金をこしらえて持つて行く必要がなくなる、こういう便法もありますから、ひとつぜひ会計法の一部を改正して、政府の不要品を売拂うのには特別の新しい方法を採択することが、至当ではないかという考え方を持つております。結局政府には今申されたる通り置いておけばおくほど腐るようなものがたくさんあるのです。私も実情を調査しまして、実際われながらびつくりしておるようなことが多々ございます。委員会としてもひとつ皆さん方が実地にごらんいただくような機会を設けられて、そしてこれをどうして処分すべきかというようなことを、ぜひひとつ御研究も願いたいと思つておるような次第であります。また公告費なんかも少し潤沢に使いまして、こういうものを売るのだ——調逹庁の玄関に少しばかり公入札の公告を出しただけでは、人は読みません。たとえば川崎の食庫なんかに参りましたら、不要のフアーニチユアーが山と積まれておる。その中には非常に優秀な品物がたくさんございます。食庫三棟に、たくさんございます。そういうものを特別調逹庁の中において修理部を設けて、これを修理して、三越とか松屋というようなデパート等に、特別な品物の展観をして、これを売るとか——私の関知する限りにおいては、八月の集計で全国で約六十九億幾らになつていました。総額は六十九億円以上を越していると思うのです。しかもその倉庫料のごときは、月に約一億円ぐらい拂つておるでしよう。そういうふうなむだをなくして、早く売つて、値段を高く売つて、そうして政府財政を助けて行くというような生きた政治がなくてはならぬと思つておるような次第でありまして、これをただ單に一般経済界の不況によつてというのみでは過されないような面があるのではないかと思つておるような次第であります。こういう意味で、ひとつ政府としても愼重に検討をして参りますが、委員会等におきましても、直接皆様が現状をごらんくださいまして、その上でひとつよりよき方法を見出すようにお盡力願いたい、こう思つておる次第であります。
  59. 江花靜

    江花委員 先ほど支拂い遅延のことについてお調べをお願いしておきましたが、第二番目に解除物件のうちで大体当分保存しておかなければならぬだろうというお見込みのものと、それからこれは即刻売り拂いたいのだというもの、これは今の大臣の御説明がありました通りのもので、それと、もしわかれば総体の価格で、ここにあるような表の区分でよろしゆうございますから、もしありましたらそれをお調べ願いたい。それからなお調逹庁ができましてから予算の中に占める人件費等を書き出してもらいたい。それと人員の数、これもいろいろ職階というようなものがありまして非常に困難でありましようけれども、できるだけ詳細に願いたい。この三つだけをお忙しい中を恐縮ではありますが、お願いいたしておきます。
  60. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これは事務当局の方でよろしいのですが、不動産などで接収されておつて返還されたものは、破損状態があればどういう基準で弁償されることになつておるのでありますか。また予算などにはどういう方針でお組になつておるのでありますか、承りたいと思います。
  61. 阿部美樹志

    ○阿部政府委員 お答え申し上げます。これは非常にむずかしい問題になつております。この国会にも補償法案を出したいという意向がありましたけれども、これは出さないことになりました。ただいまでは、こわれたものに対して損害補償という程度のものを出すという程度でありまして、家屋が接収されたために生ずるあらゆる角度からの損害までも補償するというふうにはなつていないのでございます。それが現情でございます。これは国民生活にきわめて密接な関係を持つものでありますから、特別調逹庁といたしましては、損害補償までもできるようにしたいという方向に進んでおります。
  62. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私が具体的に知つておる実例で、温泉場の宿屋を営業しておるものが接収されて使われた。生活習慣が違うために、廊下はくつで歩き、押入れは寝床に使う、天井の裏板まではがして、そこにも入り込んでいる、いろいろなことがあつて使い物にならなくなつて、外形は存置してありますけれども、これをもとのごとく役立てるためには非常に莫大な費用を要する。しかるに調逹庁の方では予算はないのだ、だからそういう弁償はできないということであります。一方、物品について、なくなつたものは弁償する、こわれても、あるものは弁償しないというようなことから、書き出したところが、若干よけい書いてあつたというようなことで、詐欺罪に問われているのであります。実際、全体の損害を計算してみれば、とても言うに足りない弁償をいただいたというようなことで、非常に気の毒な事実を見ております。まさかそんなことはないだろう、そういう損害に対しても弁償の道は開かれているだろうと思つたのでありますが、ただいまのお答えでみると、どうも怪しい。ぜひこれはやはり国民のやむを得ざる損害でありますから、正当に補償し得るような道を早く開くよう御努力を願いたい。
  63. 山口喜久一郎

    ○山口国務大臣 ただいまの問題につきまして、実は頻々と各地からお小言を頂戴したり陳情を受けたりしておつたのであります。それで政府としては使用解除後の財産処理法案とうものを提出することに一応閣議で内定したわけであります。ところが先方との折衝の間におきまして、いろいろ法文に不備な点を発見したしまして、今ちよつとその提出を見合せているような次第であります。これは一旦接収した後の取扱いは大体大蔵省の所管になつているわけであります。調逹庁の所管では大体はないのでありまして、大蔵省からその使用解除後の財産の処理方法という法案、今鈴木委員の御指摘のような問題を解決する基準要網を決定することを実は急いでいるような次第であります。
  64. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がないようですから、それでは先ほど江花委員からお申出の資料を特別調逹庁と連絡の上、至急委員会に提出されんことを望みます。  本日はこれにて散会いたします。次会は明後十八日、金曜日、午後一時より開会いたいます。     午後三時二十六分散会