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小澤国務大臣 民営に
なつた場合という話でありますが、
政府の部内でも、
電信電話の
民営という
意見もないではありません。あります。しかし
民営に移すとか、
公営企業体にするというようなことは、簡単に
政治感覚たけで決定すべきものではないと思うのであります。
民営にすることによ
つて、
国民大衆はこれだけの満足なサービスを受けるのだ、これだけの
料金が安くなる、これだけ
機械設備がよくなるのだという、納得される
理由がなければ、ただちに
民営ということは困難だと思います。そこでわれわれは
民営というような問題を必ずしも
考えておりませんが、
国会の決議もありますので、われわれは
電信電話が
国民経済、あるいは
政治文化面における非常に大きな価値を有する点から
考えて、一体
日本の
電話の
あり方というもの、
電信の
あり方というものは、どうあるべきかということについて、日夜検討いたしております。すなわち具体的な例を申し上げまするならば、戦前には
日本には
加入電話が百八万箇あ
つた。これが約五〇%
焼失等の災害にあいまして、その後
復興して、現在では本年度の計画を遂行いたしますと、大体百万箇近くになるのであります、この百万箇の
電話で、はたして満足すべきかどうかということをいろいろ調べて見ますると、
米国あたりでは人口四人に一
箇当りの
電話があります。
日本では七十人に一
箇当りというような、きわめて非
文化的な
電信電話通信設備でありますから、このままでは、どうしても
日本の
経済あるいは
文化、科学の発展に寄與するのには、
通信網が足らないではないか。こういう
見解を持
つておりまして、少くとも二十五人に一箇ぐらいにすれば、三百万箇の
電話が
日本の
経済状態、
文化状態からして、必要であろうというような
結論も出るのであります。そこでその三百万箇の
電話を、あと二百万箇ふやすのには、どれだけの
資金がいるか。どれだけの
資材がいるかということを研究して参りますと、その数がおのずから出て参ります。そうすると二百万箇の増設に要する莫大な
資金を得るのには、一体どうしたらよいかというと、あるいは
外資導入もよかろう、
民間資本を入れるのもよかろうというような、いろいろな
考え方が出て参りますが、それではいよいよ
外資導入の
具体的方法はどうかというような問題を研究してみますと同時に、現在のように
国営形態でそういう
外資が入るか、
民間の
資本が入るか、また
公共企業体にでもしたならば、
外資導入ができるか。あるいは
民営にしたならば入るかというような問題を研究しまして、
資本を入れることによ
つて、この三百万箇の
電話をふやすには、どうしても
民営でなければならぬ。
公共企業体でなければならぬという、
はつきりした
国民諸君の納得する
理由があ
つた場合に、
民間に移すべき問題でありまして、今こうした問題については、検討はいたしておりますけれ
ども、今ただちにその
結論をどうこうということは出ていないのであります。従いましてこの問題と関連しまして、もし
民営にしたらということは、
吉田総理のまねをするわけではありませんけれ
ども、あまり仮説が
違過ぎますので、もしむりに答えろというならば、
民間事業に移すときには、その
民間事業に移すことによ
つて、
警察の
秘密保持等が不可能な場合には、これを独立するということも
考えられるでありましよう。更にあまりに
民間事業というような問題は、遠い先のような
考えを持
つておりますので、現段階で具体的な
答弁はいたしかねますが、どうしても答えなければならぬというならば、
民間に移したために生ずる弊害がある場合には、やはりこれだけは直営にするというようなことも
考えられると思います。