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1949-12-02 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二日(金曜日)     午後二時五十一分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君    理事 山手 滿男君       岩川 與助君    門脇勝太郎君       小西 英雄君    關内 正一君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田  一君    前田 正男君       加藤 鐐造君    田代 文久君       河野 金昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  稻垣平太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         (通商振興局         長)         通商産業事務官 岡部 邦生君         資源庁次長   始関 伊平君         (資源庁石炭         生産局長)         通商産業技官  田口 良明君         物価政務次官  坂田 英一君  委員外出席者         通商産業事務官 近藤 止文君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 十二月一日  委員中垣國男君辞任につき、その補欠として田  中伊三次君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  特別鉱害復旧臨時措置法案内閣提出第四二  号)  輸出信用保險法案内閣提出第五七号)  繊維に関する件  決議案文に関する件     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  前会に引続き私が委員長の職務を行います。  まず委員の異動についてお知らせいたします。一昨十一月三十日中垣國男委員を辞任せられ、新たに田中伊三次君が委員となられました。以上念のためお知らせいたしておきます。     ―――――――――――――
  3. 神田博

    神田委員長代理 ただいまより特別鉱害復旧臨時措置法案議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。小金義照君。
  4. 小金義照

    小金委員 ただいま議題になりました特別鉱害復旧臨時措置法案について、通産大臣がお見えになりましたので、大きな立場から大綱について質問を申し上げます。  先日来この法案につきましては、同僚委員がいろいろな角度から御質問なさいまして、政府もまた熱心にこれに応答せられております。これを通観いたしますると、要するに問題は過去において鉱業法を無視して、石炭を増産しなければならなかつたという現実の場合にぶつかりまして石炭を掘つた。そのために鉱業法一定取締規則を設けておりまして、あるいは施業案その他の制限によりまして、鉱害がなるべく生じないような仕組になつておるのであります。しかしわが国の実情が、当時そういう問題にかかわりなく、もつと石炭をよけい掘り出せという一つの大きな問題にぶつかつておりましたので、いわば鉱業法並びにその附属の法令、あるいは命令を無視して石炭の掘採を行つた、そのために損害が生じた。その損害程度がいわゆる鉱業法による損害賠償鉱業権者の負うべき損害賠償を越えたものが非常にたくさんあつた。それが今日災いをなしておるのだ、そうして大きな社会問題をさえ引起している。どうしてもこの事実を無視するには忍びないというのが、各質問をされた委員の全部を通じての心持ちだと解釈いたします。政府もまたこの問題はそういう意味において何とかして救済したい。しかしながらこの救済の根拠を求めるのに、国家公共福祉を増進するために、何とかしなければならぬが、石炭業界か従来の相互扶助精神を延長いたしまして、これに協力するという建前のように答えております。ところが先般来加害炭鉱でないものに、石炭一トンについて何かしかの負担をさせるということは、憲法違反ではないかという議論が出ました。これについてもいろいろな議論が繰返されております。そこで私はこの問題は必ずしも昭和十六年十二月八日から、昭和二十年八月十五日までの間に、掘採、あるいは損害を生ぜしむべき原因たる行為をなしたとかいう限界があるのが、非常にきゆうくつなような感じがするのであります。御承知通り地下の作業でありますから、いつ何日からいつ幾日までに行つたところの行為なこれだけの損害を與えたということは、数学的にも幾何学的にもなかなか判断するのに苦しむ。そこでどうしてもこの問題はある程度まで良識あるところの、総合的判断に基礎をおいて打切らないと、なかなか問題が片づかないような気がいたします。そしてわが国炭田の実質を検討いたしてみますると、北海道とか常盤炭田、あるいは宇部の海底というような所で、相当濫掘といつては語弊がありますが、規則を守らないで掘つても、公共に及ぼす損害を生じないような場所がありますが、海底のごときは公共損害を與えるよりも、むしろ自分の炭鉱自体が壊滅するような部分があります。これは別といたしまして、ところが筑豊――広く北九州方面三池方面も含めまして、その方のわが国炭田は宿命的にどうしても土地の陥落とか、あるいは水没とかいうことがあります。そこで一定法律の定める制約を乗り越えるとか、あるいは施業案において、公共安全性をある場合において無視するような掘採をやりますと、これは必然的に落ちる、あるいは水没する。こういうわが国北九州方面における炭田特質等考えますと、この法律案ではなかなか割り切れないところがある。そこでいろいろなくふうがまだいるのじやないかと思う。同じ法律を設けてただいまの損害復旧するにいたしましても、まだいろいろ考えねばならぬところがあるのじやないかというふうに考えられます。そこで私は政府に対してお尋ねするのでございますけれども現実損害公共福祉のために、何か回復してやらなければならぬということは、これは議員もおそらく反対の御意見はないと思います。そこでただいま私が申し上げましたような点にさらに考慮を加えられまして、何とかその間の打開の道を考えていただくことかできぬものかどうか。この点について政府の御意見を伺いたいと存じます。
  5. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいま小金委員お話になりましたように、これはどれがいい、どれが悪いというふうに切つてはつきり区別ができないことも、もとよりであります。と言つてまたそこに一つ区切りがなければならぬという点も、これもまた御了承願いたいと存ずるのであります。そこでどういうところに区切りをつけるかという問題についても、これはいろいろ議論のわかれるところであろうと思のであります。またそういうことが原因になつて、この法案の御審議についても、いろいろ御議論がわかれて来るのではないか、かように考えておるのであります。しかしながらわれわれといたしましては、提出いたしましたような形で行くよりほかには、これが結論を得ることがなかなか困難ではないかという意味で、ことにたびたび申し上げましたような業界の共助の精神で、この問題のけりをつけたいという考え方から、本法案を提出したわけでありますが、しかしながら今御指摘の点も十分に考慮に入れるべき筋合いのものであることも、十分了承いたすのであります。従つて何らか審議の過程におきましていい案がありますれば、これはかえつて困るのだ、これでなければいかぬのだという意味でもありませんので、いい案がございますればひとつお示しを願いたいのでありまするが、しかしそれか実行可能かあるいはそれが実現できるかどうかという点につきましては、十分御協議を申し上げなければならないだろう、かように考えている次第であります。
  6. 小金義照

    小金委員 政府の御苦心、ことに通商産業大臣のいろいろなこの問題に対する御考慮は、われわれありがたく了解できるのであります。石炭の掘採によつて、あるいは鉱物の掘採によつて通常生ずべき損害は、過失があろうとなかろうと、これは鉱業権者賠償しなければならぬ。これは当然鉱業権者金銭賠償を必要とするのでありますが、しかしながら現実の問題は、どうもそれ以上に大きな損害が起つております。でありますから、数学的に、幾何学的に非常に線は引きにくいのでありますけれども、おおよそ普通の掘採を行う場合に生じた損害以上のものが現実に生じておるということを、まともににらみまして、その通常生ずべき損害以上のものについて、国家とまたその損害原因を與えました加害炭鉱と申しまするか、加害鉱業権者と言いますか、それとの間にできるだけ妥当な分担をいたしまして、その鉱害をすみやかに復旧するという考えのもとに私どもは今現にいろいろな構想を練つております。従いましてその点われわれとしての考えをまとめて政府に要請いたしまして、できるだけ早くこの問題を解決することに、私どもは邁進いたしたいと思います。その点を政府におかれましては十分ひとつ了承していただきたいのであります。
  7. 神田博

    神田委員長代理 次は今澄勇君。
  8. 今澄勇

    今澄委員 本法案質疑経過は、まことにわれわれをしてこの法案の各所に矛盾があるということをよく了解いたさせました。しかしながら私は本法について、この会期中にそれらの不備の点を修正いたし、これを通過せしめて、このような特別鉱害によつて災害をこうむつておる一般大衆の苦しみを除くべきであるということを考えております。われわれはこの議会において、本法律案の第二十二條の規定に対する憲法上の疑いや、あるいは国家責任を持つべきものに対する戰時補償打切り等の数々の問題から考えて見て、この法律案は修正を行わなければなるまいと、かように存じます。しかしながらもしこの法律案がこの国会で成立せずして、来国会に再提出され――われわれは一日も早くこれが成立を希望しておるのでありまするが、さらに来国会においてわれわれの希望が入れられないというような状態に、もし相なりまするならば、――政府配炭公団の廃止をいたして石炭自由販売を行つておるけれども、それらの政府かとり行つて来たところの措置は、すべての面において石炭産業公共的な問題をも存しておるということをここに立証し、そうしてそれらの鉱害についても計画的な緻密な用意のもとに立てたところの救済策を持ち得なかつたという点は、政府責任であるといわなければならないのであります。この点についての御答弁を煩わしたいと思います。
  9. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今の今澄さんのお話で、石炭公共性を持つておるという点は、もとよりわれわれは公共性を持つているということについて異論はありません。従つて今回の法案によりまして、特別鉱害についてもひとつ御審議を願いたい、かように考えておるような次第でございます。われわれが石炭鉱業というものの公共性についても全然これを考えていないということではないことは、皆さん御承知通りであります。従いましてわれわれとしてはぜひ何らかの形においてこの特別鉱害と申しますか、石炭鉱害処理をつけ、これによりましてこうむつ被害者に対しての、社会問題としての処理を何らかつけたいというように考えておる次第であります。
  10. 今澄勇

    今澄委員 私はこれをもつて質問を終りますが、私は少なくとも本特別鉱害復旧措置法は来国会早々にも、政府側が今日のわれわれの審議経過をしんしやくされた提案を見て、私どもはそれらの災害者に速急に措置をとつてやりたいと思います。なお私はそれらの問題について、われわれとしても日本石炭産業現実状態から見て、国民の首肯し得るような、特別鉱害を補償し得る法案を用意いたしたいと思いますから、この法案を一日も早く決定し、しかして大衆が待ち望んでおるところの救済をやる必要のある建前から、われわれはそれらのものを用意しておることを政府に申し上げ、政府はできる限り速急にそのわれわれの期待にこたえてもらいたい。それができなければ私どもの方で法案を提出し、それらのものの期待にこたえるであろうということを申し述べて私の質問を終る次第であります。
  11. 神田博

  12. 田代文久

    田代委員 これは先日来各同僚委員から質問がございましたように、すでに上程されまして約二週間に達してなおかつ結論が出ない。その原因をよく見てみますと、政府自身にも十分確信がないし、また熱意を欠いているように見受けられましたし、また一部の同僚議員の中にも、これに対して十分熱意を欠いておられるという点も見受けられたのであります。その点われわれは非常に遺憾に思つておるし、また先日来私が申し上げましたように、全被害者立場から解決してもろうべき社会問題であり、きわめて重要な問題でありまして、一局地的な問題では断じてないのであるし、また石炭産業発展という面から申しましても、こういう問題の裏づけがないことには、私は将来石炭産業発展、ひいては一切の重工業関連産業あるいは農業食糧増産というような面におきますこの発展は、期待し得ないのでありまして、そういう点から本格的にこの問題を解決していただきたいと思うのであります。この点に対する大臣の御所見をお伺いします。
  13. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいま田代さんからわれわれ政府熱意がないというおしかりをこうむつたのですが、熱意があればこそこういつた法案を提出したようなわけでありまして、全然熱意がないというおしかりは少し当らないであろうと存ずるのであります。われわれといたしましては今のお説の通りに、この問題は非常に重要であり、また石炭鉱業自体のためにも、またその被害者自身のためにも、非常に重要であると考えておりますので、できるだけわれわれは御審議をお進め願いたい。またわれわれといたしましては先ほども申し上げましたように、いい法案があればそれを承つても、とにかくこれは進行させていただきたいと存じておるわけであります。
  14. 門脇勝太郎

    門脇委員 議事進行について……。ただいま田代委員発言中、同僚委員熱意を欠いておるといつたような言葉があつたのですが、われわれは非常に熱意をもつてこの問題を議しておるわけでありまして、そういつたことはいささか同僚議員に対する信義的な発言でないと考えますから、これは正式にどうのこうのというわけではありませんが、一応ごく示談的でけつこうですから委員長からしかるべく御処置をお願いいたしたいと思います。
  15. 神田博

    神田委員長代理 田代君にお諮りいたしますが、ただいま門脇委員より田代君の発言中の穏当を欠くような点があつたという趣旨のお話が出たのですが、この点について田代君のお考えを伺いたいと思います。
  16. 田代文久

    田代委員 弁明いたします。被害者あるいは石炭業者の方におかれましては、一刻も早く通していただきたいという熱意を持つておられるのであります。また私たちとしてもこの臨時国会において会期の延長前においてすみやかに通していただきたいという希望を持つておりましたし、また承りますと政府におかれましても、そういう考えで提案されたということは疑う余地もないのでありますが、昨日も川上委員が申し上げましたように財源の問題なんかについても、ほんとうにわれわれが責任をもつて解決し、臨時国会においてどうしても上げなければならないという立場に立つたならば、上つてつたのではないかという気がいたしましたので、何も私はこれに対して通らないようにやつたということを言つたのではないのでありまして、その点同僚委員に御不満がございましたならば、それは私は取消します。そういう意味であつたということを御了解願いたいと思います。
  17. 神田博

    神田委員長代理 この際委員長から一言ただいまの田代君の発言に対して意見を述べておきます。ただいま田代君はこの法案を十分な熱意を持つておれば通すことができたのではないかというような意味発言でありましたが、この法案が提案されたときにおいて、当委員会理事会あるいは全体の協議会におきましては、実地調査あるいは公聽会を開こう、こういう方針を確立しまして、これは満場一致で確立したはずであります。そしてそうなればこの臨時国会においては期日がないから、当然継続審議に付すべきであるということにきまつてつたはずであります。それを今日になつて熱意があればこの臨時国会通つてつたのではないかと言われることは、何かの見当違いではないかと思います。ひとつ見当違いのないように御発言願いたいと思います。
  18. 田代文久

    田代委員 その点につきましては、私はなお意見を持つておりますけれども、それにこだわる必要はないのでありまして、それは一応打切らしていただきまして、次に質問をいたします。  この法案の一番の重要なポイントになつている点は、たれが鉱害に対する復旧の費用を持つかという点であると思います。加害をしている炭鉱と採掘はしたけれども被害を及ぼしていない炭鉱との間におけるいろいろの利害関係、あるいはまた中小炭鉱大手筋炭鉱との利害関係、こういうことがさらにこの問題を紛糾させていると思うのでありまして、そういう問題を解決する点から申しますならば、今日地方公共団体におきましては、こういう鉱害に対する負担を一部する能力は、現在ほとんどないと見ていいと思うのでありまして、私はどうしてもこれは全面的に国家補償という線で行くべきであると思うのですが、これに対する大臣の御所見をお伺いします。
  19. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 私は田代君の御意見には賛同いたしかねます。
  20. 田代文久

    田代委員 これは見解の相違でありますが、他日に延期することといたしまして、次の質問に移ります。  今度提出されましたこの法案は、先日来いろいろと質問応答されました結果、非常に内容がずさんであり、また過去における復旧の実績から見まして、被害者に対して十分でないことはもちろんのこと、ほとんど半分にも行かないであろうと考える次第であります。またこれが復旧する期間におきましても、五年も六年もかかつてつたのでは、被害状況はどんどん進行しますし、てきるだけ短期間にしなければならないと考えられるのでありまして、これは少くとも二年間くらいに解決すべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
  21. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 それはもちろん早いにこしたことはないのであります。しかしながらいわゆる経費の面におきまして、あるいはまたわれわれが立案いたしました当時の炭鉱業者に対する負担の問題、その他と勘案いたしまして、まず五年ならよかろうというので、五年にきめたわけであります。早いにこしたことのないのはもとよりであります。
  22. 田代文久

    田代委員 これは今大臣が御答弁になりましたように、できるだけ期間を圧縮していただくことを要望いたします。次にこの法案内容によりますと、被害者地方復旧被害程度の査定とか、あるいは事業計画とかをやる機関の中に入つていないようですが、これは被害者意見も十分尊重するということから、実際の被害者もそういう機関の中に入れるという線で進めていただきたいということをお願いしたいのですが、その点に対する御見解はいかがですか。
  23. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御意見として承つておきます。
  24. 田代文久

    田代委員 以上で終ります。
  25. 神田博

    神田委員長代理 速記をやめて……     〔速記中止
  26. 神田博

    神田委員長代理 懇談前に引続きまして御審議を願います。  特別鉱害復旧臨時措置法安はこの程度にいたしまして、ただいまより輸出信用保険法案議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。前田正男君。
  27. 前田正男

    前田(正)委員 この法律保險を適用する範囲についての質問でありますけれども、この六條の五のところに「前各号に掲げるものの外、国外において生じた事由であつて輸出契約当事者の責に帰することができないもの」ということがありますが、これはなるほど一応考えられる場合であると思うのでありますけれども、実は輸出当事者でありますところの買手のバイヤーの方の責に帰せられるべきものが、相当あると思うであります。     〔神田委員長代理退席小金委員代理着席参考資料として配つていただきました英国輸出保証制度等においても、バイヤーの点につきましてのいろいろな一応の場合をこまかく規定しておるのでありますが、日本側は御承知通り現在めくら貿易と言われておりまして、ようやく一日から自由輸出に入りましたけれども、こういうような状態で現在まだ海外の市場、バイヤー等についても十分な調査ができないときに、この適用の範囲輸出契約当事者ということにして、バイヤーの方の責任問題が逃れているように感ずるのですが、この点についてどういうようにお考えですか伺います。
  28. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 お答えいたします。ここに掲げてありますのは、大体ゼネラル・ボイコット日本商品の値段のボイコットとか、あるいは仕向け国におきまするはしけ人夫のストライキというようなものを考えておるわけでありまして、御指摘のハイヤーの一方的キャンセルというものにつきましては、これには含まないというように考えております。ただ事情等によりまして、運用で救える場合があるかもしれませんが、それは裏から救うわけでございまして、表面的には入つておりません。
  29. 前田正男

    前田(正)委員 どういうわけでバイヤーの場合を含まなかつたか、理由が何かあるのでしようが、それをひとつ御説明願いたいのであります。
  30. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 盲貿易という事情はございますが、しかしながらバイヤーのよしあしを判断するのも、同時に政府側の方の責任でもありまして、全然バイヤーキャンセルを自由にするということになると、さらにかえつてキャンセルがふえるので、かつて契約をしておつてキャンセル国家がこういう保險法案で救うのだからいいじやないかということになると、はなはだおもしろくないという意見で、こういうふうになつたのであります、
  31. 前田正男

    前田(正)委員 バイヤーキャンセルの場合は、その通りかもしれませんけれどもバイヤーが破産するとか英国の例にも書いてありますように、手形の満期後十二箇月以内に支拂わないとか、そういう場合はキャンセルの場合と意味が違うと思う。バイヤー信用状態をわれわれの方から明らかに調査できない、こういう場合に生ずる問題でありまして、現在の日本貿易としては、特にこれを英国の例以上にあててやらなければ、ほんとう貿易はできないのではないかと私は考えますが、その点いかがですか。
  32. 宮幡靖

    宮幡政府委員 前田委員のお尋ねはしごくごもつともでありますが、前田委員があらかじめお含みになつておることと思います事情におきまして、これ以上の立法が困難であつたことをぜひ御了承をいただきたいのであります。
  33. 前田正男

    前田(正)委員 なかなかうまい御説明で、どうも質問に困るわけでありますが、そういうふうな事情でありましてはやむを得ないと思います。しかしながらまだこの法案につきましては政府におきましても、さらに折衝の段階にあるのじやないかと私は思うのでありまして、またこれで十分ではないと思いますので、ひとつこの点につきましてはぜひ御努力願いたい。この程度の案ではわれわれ国会の現状をいたしましては、少しく満足できない点があるのじやないかと思います。  さらに続きましてこの法案に関連しまして、少しく説明をつけたい点があります。それは十二月一日から輸出が自由になつたのでありますが、実はそれに伴いましてこの貿易管理令の方におきまして、別表の第一に掲げてある貨物は、通産大臣承認を受けるということになつておりますが、過日のマッカーサー元帥声明書によりますと、これはごく暫定的なものであるというふうに出ておるのであります。日本政府におきましては、その暫定的なという期間をどの、ように考えておられますか、御説明願いたいと思います。
  34. 宮幡靖

    宮幡政府委員 マッカーサー元帥声明のことは、新聞で伺つたわけでありますが、別表第一の品目に対します通商産業大臣輸出承認ということは暫定的のことである。その期間はどのような考えておるか、ただいま日本政府側といたしましては、その期間を予定しておりませんのでございます。大体ローガン構想から生れたものであります。輸出貿易自由が原則であつて、その自由に対しまする一つの例外的な規定でありますので、でき得べくんば早い時期において、全面自由の原則に返ることか適当であることはもちろんでありますので、その時期はただいま予見しておりませんが、情勢の許す範囲ですみやかにいたしたい。その気持だけは十分持つております。これについては前田委員十分御承知のように、国内経済の態勢、あるいは国際経済の実情等が相関的に現われて参りまして、解決することでありまするから、機械的に計算されました時期を、ただいま申し上げることは、はなはだ不適当だろうと考えております。御了承をいただきたいと思います。
  35. 前田正男

    前田(正)委員 いろいろと経済の推移によりまして、時期も多少かわると思いますが、政府におかれましては、暫定的というせつかくのお言葉でありますから、一応の時期の目標を立てていただきまして、これに伴う諸手続及びいろいろと打合せ等を進めて行つていただきたい。せつかく公開しました声明でありますので、ぜひひとつ目標を立ててやつていただきたいということをお願いしたいと思います。  なおこの別表第一に掲げた品物が実は私たちの予想以上に数か多いのであります。そればかりではないのでありまして、これの審査に入りましたときに、別表の第一を私たちに配らなかつた。そこで私は要求いたしましたところが、その資料はないという話であります。ところが実は私たちの審査に入る前に、新聞においてはこの別表第一が発表されておつて、この前も配付してくれということだつだが、われわれにはいまだに資料として配付がありません。私はこういうことは、本来ならば、われわれの委員において、この品物につきましては相当検討を要することがあると思いますが、十二月一日あるいは一月一日、こういうふうに限られた日でありますので、審査を省略しておつたのであります。しかしその表自身は私たちの予想以上にたくさんの品物がありまして、この点私たちとしては非常に疑問に思つております。この品物について今度特別に通商大臣の認定を受けなければならぬという理由が、おのおのあると思います。それはすなわち日本の現在の経済、日本の現在の各品目別の生産情勢は明瞭になつて来ると思いますので、現在の日本の通商行政の立場から言いましてまた現在の日本の産業界立場から言つて、ぜひこれは通商大臣承認を受けなければならぬという理由を明瞭にしていただきたいと思います。そこでこまかいことは一品ずつその理由を書いた資料を配つていただきたいと思いますが、どういう品物を通商大臣承認を経なければならぬ範囲にしたかという原則をお聞かせ願いたい。
  36. 宮幡靖

    宮幡政府委員 前田委員のお尋ねはきわめてごもつともでありますが、前の輸出貿易管理令と言います政令の資料の配付がなかつたということでありますが、これは短かい期間に連合審査をやつたり、單独審査をやつたり、安定委員会にかかつておりますので、通産委員会だけ御出席の方には渡つておらないようなことかあろうかと思います。
  37. 前田正男

    前田(正)委員 要綱も渡つておりません。
  38. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それでは手落ちになつておると思いますから、明日にでも早々補足させていただくことにいたしまして、手落ちになうておる点は深くお詫びを申し上げます。これを隱匿いたしてどうこうしようということは、なかつたのでありますから、御了承をいただきたいのであります。それから別表一に掲げてあります品目等について、こういうものが通商産業大臣輸出許可を要するという品目の一々について理由を申し述べろということでありますが、これは全体を含めて申し上げても同じ結論になるのでありまして、お許しを願えましたならば、この席ではそのお答えを控えさせていただきたいというのが、ほんとうの気持であります。なお場合によりましては秘密会等で申し上げる方が適当じやなかろうかと思います。運用の面においては、あくまで貿易自由の原則をすみやかに生かしてもらいたい、この気持にかわりはないのでございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。
  39. 前田正男

    前田(正)委員 実はこの輸出の品物の別表第一に掲げられました産業は、非常な特殊の取扱いを受けることになりまして、自由貿易になりました場合に、そこに非常なハンディキャップがつくられまして、これに対しましては私たちとしては現在の日本の現状及び販路等から見まして、愼重な調査及び研究を要する問題であると思います。今の政務次官のお話で、いろいろと事由があるようでありますけれども、これは日本の産業を促すという立場から見ましても、相当の意見を述べなければならない。またそこに明瞭な理由等かない場合には、同様な品物においてそういう差をつけましたところのハンディキャップに対しまして、われわれは説明に困ると思います。私たちは少くとも各方面の産業の平等な立場において、同じような線において、ぜひこれは進めてやるべきではないかと思います。そこでいろいろな理由もあると思いますが、こういうふうな現在の生産状況、需要の状況、あるいは特別の販路の状況等において、こういうふうな基準によつてこれはできない。個々の問題は別としても、大まかにいつてもこういう基準の中に入ることはできないのだ。こういう基準の範囲に入つておるから、これは通産大臣の許可をもらわなければならぬのだ。そういう基準だけは少くも公表しないことには、一般の取扱いを受ける産業界としては、了承しにくいのじやないかと思います。いろいろとむずかしい状況もあると思いますけれども、できましたならば、大体の基準だけでも御発表願つたらどうかと思います。
  40. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねでありますが、この別表第一に掲げます品目について、その他の産業とでこぼこになる。不平等な立場になるというような制限を目的といたしましたところの、通商産業大臣承認というものではないのでありまして、その他の理由に基くものであります。その他の理由というのは現段階においてはここでは残念ながらお答えすることができないのであります。この点御了承をいただきたいのであります。決して承認それ自体か日本の内地におきます産業の不平等、不均衡を来す原因となるようなことのないように運用されて行くことは、これは申し上げてもさしつかえない、かように考えております。
  41. 前田正男

    前田(正)委員 不平等にならないように運用されるというお話でありますので、ぜひそれを期待いたしたいのであります。しかしせつかくの自由貿易において、たとい暫定的にしても、大臣承認を受けなければならぬというような取扱いを受けるということは、どうしてもそこにハンディキャップのつくのは当然であります。何らか発表しにくいというお話でありますけれども、発表できる範囲において、こういう理由で入つたのだということを、ぜひ御発表願いたいと思いますと同時に、私たちはどうも品物の数が多過ぎるのじやないかということを痛感するのであります。本日のところはこの程度質問にいたしておきまして、いずれまた機会を得まして、御発表なりあるいはまたその品目をもう少し御検討をお願いいたしたいと思います。  なおこれに関連いたしまして、同じようなことでありますが、輸入において需給の不均衡から割当制をとるということで、これは民間輸入を実施する場合において、為替の事前割当をする統制組織について過般合同審査の場合に、通商局長から説明があつたのであります。ところがその中に塩が入つておるのでありますが、現在の日本の国内においては塩が余つて、御承知のようにこの間自由販売をしたようなところもあるのでありまして、特にこれを入れろという理由を、ちよつとお聞かせを願いたいと思います。
  42. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのところでは前田委員の仰せられた通り、塩が品目に入つておりますが、お説のように、その必要がなければ閣僚審議会においてその措置を講じない、割当をいたさないということになつております。御心配の点は運用の点で十分カバーされて行くであろう。かように思つております。
  43. 前田正男

    前田(正)委員 次にお伺いしたいことは、この事前割当のない品物は、原則といたしましてどういうものでも民間輸入で入つて来るのかどうか。これについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  44. 宮幡靖

    宮幡政府委員 大体そういうことになろうと思います。
  45. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと日本の国内の産業と競合するものが出て来るのではないか。現在の日本の国内産業では、原価等が高くて輸入品が安いというようなことで、国内産業に打撃を與えるようなものも中にはあると思いますが、そういうようなものについては、どうようにお考えになつておられますか。
  46. 宮幡靖

    宮幡政府委員 前田委員十分御承知通り、国内産業保護のための保護関税政策もございますし、また政府の従来までやつて参りました安定帶物資に対しまする補給金制度、あるいは特殊な物資に対しまする輸入補給金というようなものが一連の関係をなしておることは、前田委員十分御承知通りであります。しかしながらここに声を高くして申しあげるわけではございませんが、これも国内産業に悪影響があるということは、この法の運用の上におきまして、それぞれの機関を通じて十分に考慮しなければならないことであろうということを、私どもは確信いたしております。従つてそういう面は單なる法文の字句的な解釈でなく、実際問題として現在の政府責任において善処させていただく以外に方法はない。かように考えております。
  47. 前田正男

    前田(正)委員 なお、次にお尋ねいたしたいことは、需給の不均衡から事前割当をされるわけでありますから、この事前割当に入つていない品目につきましては、当然需給の不均衡がないということでありまして、それ以外のものは自由に民間に入つて来るわけでありますから、この品目以外のものは、一月一日に自由民間貿易を実施されると同時に、国内におきますところの物資の統制、価格統制というものを撤廃されることが当然と思いますが、そういうようにお考えになつておるかどうか。ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  48. 宮幡靖

    宮幡政府委員 順次さような段階に移り進むことと存じておりますが、但し暦で一月一日からそういうような物資の需給関係になるかならないかということは、ただいまはつきり申し上げられないと同時に、また予想もできません。目ざす方途は確かにそこにあろうと思います。それからまた需給のお話がありましたが、いかに割当以外の品目は自由に買えるのではないかと言いましても、国内に需要のあるものが民間業者によつて買いつけられるわけでありまして、需要のないものをしいて買いつける業者もなかろうと思います。もし政府の輸入でありますと、いろいろな情勢でさようなことも起る場合もありましようけれども、民間輸入であります以上、国内の需給というものは、むしろ業者の方が賢明に判断いたしまして、適切なる輸入か行われるであろうと思います。そこに自由輸入のほんとうの生命があるわけであります。かように考えております。
  49. 前田正男

    前田(正)委員 逐次統制撤廃の方向に向うであろうというお話でありますけれども、民間輸入を開始いたしました場合、羊毛にいたしましても、皮革にいたしましても、現在相当嚴重な統制が残つております。私どもに羊毛、皮革等も一日も早く統制を撤廃しなければならぬと考えておりましたが、今回為替の事前割当から抜けておりますので、非常にけつこうと思つておりますが、そうした品物が民間輸入で入つて来るということになりますと、当然政府においても御承知通り、民間でりますと、その場その場の建値等がいろいろ違つて参るわけでありますから、入つて参りましたものが価格統制を受けるとか、販路の統制を受けるというようなことで、実際問題としては民間輸入にならないのではないか。こう思つておるのであります。民間輸入をする以上は、事前割当のあるものは別でありますが、それ以外のものは当然建値その他の食い違いはあるわけでありますから、統制を解かなければ民間輸入の実施はできない。こういうふうに私は考えておりますが、それについてどう考えられますか。
  50. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見としてはその通りだと思います。
  51. 前田正男

    前田(正)委員 私も意見として拜聽するだけでよろしい。政府といたしましても、一月一日を期しまして、事前割当以外のものは統制を撤廃するようにお願いしたいと思います。  関連いたしましていろいろな質問を続けたわけでありますが、実は輸出信用保險法案の方で、一言申し上げたいのであります。これは過般川上委員からも相当お話があつたことでありますが、この法案は先ほど申しました通り、私たちも現在の規定の範囲におきましても十分満足できないばかりではありません。実はこの法案輸出の貨物の積出し後に限定して適用の範囲をきめております。こういうようなことでは日本輸出の保障は完全にできないのではないか。輸出の保障というものはやはり積出し前におきましても、契約の破棄その他いろいろなあらゆる規定が適用される理由は書いてありますが、これを積み出した後に限定されておりますけれども、積出し前におきましても、そのような理由が起つて来ることは当然と思います。契約いたしまして製造にかかつても、こういうような理由のもとに当然損失を受けることは相当あるのであります。契約後積出し前におきましても同じ理由によつて損失を受けることは当然あると思いますが、それが今回のこの法律から抜けておることは、はなはだ遺憾でありますが、その点に対します政府のお考えをひとつ承りたいと思います。
  52. 宮幡靖

    宮幡政府委員 前田委員とまつたく同じ考えをただいま政府は持つておるわけであります。日本輸出金融というものは、おそらく輸出契約ができまして、貨物の積出し前の金融、あるいはさらに進みまして生産資金の融通というようなところまで思いをいたさなかつたたらば、輸出振興に対する金融対策としては適当なものではない。かように考えておることは御意見通りであります。しかしながら臨時国会を迎えて外国為替及び外国貿易管理法が成立実施されますにあたりまして、ぜひとも輸出に対します金融措置を講じたいという念願のもとに、それぞれ関係筋と交渉いたしまして、現在のところではこれ以上の了解に、まだ及んでおらないわけでありまして、決してこれをもちまして輸出入金融の全部が保護され、あるいは円滑化されるだろうというような考えは持つておらないのであります。その点につきまして、御意見はまつたく当局といたしても御同感であることを、この際申し上げておきます。
  53. 前田正男

    前田(正)委員 今私は契約後のいろいろな話をさせていただきましたが、特にその中でも貿易手形のことにつきまして、事前金融について今政務次官の方からも十分でないという御見解を持つておられるというお話でありましたが、これは先ほども申しました通り同僚委員からもたびたび質疑され、希望もしておる点であります。この法律を見まして先ほどの事由の範囲におきましても、当然私たちといたしましては現在の日本貿易の現状からいたしましては、これでは十分でないという点もあるわけでありまして、今申しました事前金融の問題とか、あるいは契約後の貿易手形その他のいろいろな問題につきましても、さらに政府の最善の努力をお願いいたしまして、私たち自身もこの法案については、さらにもう少し十分な検討を要するものがあるのではないか。こういうふうに考える次第でございます。但し最小限度におきまして、すでに輸出は自由になつておるのでございますから、これ以上どうしてもむずかしいということならば、この程度のものであつても、ないよりはましであると思いますが、しかし不十分であるという点を私の意見として申し述べまして私の質問を終りたいと思います。     〔小金委員長代理退席、神田委員長代理着席〕
  54. 小金義照

    小金委員 ただいま議題になつております輸出信用保險法案について、先般来各委員からいろいろな御質問がありまして、大体の政府のねらつておられるところもわかりました。しかしながらこの法律案に盛られております内容をいろいろ検討いたしてみますると、相当まだ不十分なところもあるし、またせつかくわが国輸出貿易の振興をはかるという意味でお出しになるならば、もう少し考えた事項を入れていただかなければならぬようなところがあると思います。ここで私は通商産業大臣にぜひお尋ねしておきたい事項が一つあります。それはこの法律案の規定しております保險事故が非常に狭きに過ぎるとか、あるいはまたいろいろな点があります。しかしこの保險事故が起つてから、初めて損失を填補するということもさることながら、輸出貿易のようなものは、まず事前の金融が相当大事なものではないかと思われますが、この点について稻垣通商産業大臣は、どういうお考えを持つておられますか、お答えをいただければ仕合せと思います。
  55. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの小金委員に御質問でありますが、私一々ごもつともと存じます。ことに輸出業務におきまして、事前金融という問題を取上げなければならぬという御意見については、まつたく同感であります。ただこれらの点につきましても、何らかの措置をとりたいと考えておるのでありますが、まず第一の段階といたしまして、今回の輸出信用保險法案を提出いたしたような理由でありまして、われわれといたしましても事前保証の点については今後とも十分研究いたしたい、かように存じておる次第であります。
  56. 小金義照

    小金委員 私どもその点について非常な関心を持つております。そこでいろいろの問題を取上げて、さらによりよい輸出振興の法律案を私ども考えたいと思いまして、われわれとしてもいろいろな建設的な考え方を、今あれこれと研究いたしております。その点についてもし通商産業省としてわれわれの考えがよろしいならば、これを取入れるにやぶさかでないという御意向がありますかどうか。それをひとつお尋ねいたします。
  57. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、なおわれわれは輸出振興策といたしまして、金融保証の点につきまして、いろいろ施策すべきものがあると存ずるのであります。そういう点についてもし当委員会において御意見をまとめられてお話がありました場合には、われわれとしては喜んで御一緒に研究をいたしたい、かように存ずる次第であります。
  58. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 きわめて簡單に四、五点を御質問しておきます。  まず第一に現在輸出向けの生産物のストックはどのくらいあるかということを、金額で大体のところでよろしいからお知らせ願います。
  59. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ここに幸いに数字を持つておりますから申上げますが、公園のストックは繊維類は在庫品が百九億、国有品が三百三億ございます。但しこれは現在御承知のように国内放出をいたしておりますから、在庫はこれは十月末の数字でございますから、その後動いておるとは存じます。十月末の数字を申し上げますとさようであります。それから鉱工品の滯貨は在庫品が九十四億五千万、こういうことに相なつております。そこでついでに輸入滯貨を申し上げましよう。輸入滯貨は大体九十八億ございます。但しこの在庫品は一時的に向うから入つたトランシットの在庫品が非常に多いのでありますが、私の言う滯貨という意味はいわゆる滞貸であつて、トランシットの在庫品ではないというように、御承知を願いたいと存じます。その中で繊維品の在庫は、これは在庫の分と国有品と両方ありますが、これを処分いたしますれば、それぞれ相当の利益があるわけであります。なおレートのかわりました以前の百五十円レートと三百六十円レートを差引して勘定いたします場合には、二百億円以上の利益が出ると存じております。それから鉱工品の方はおもなるものはこれは在庫と申しましても、船舶でありますとか車輛でありまして、これもトランシットの性質のものであります。従つて純滯貨と称せられるものは十六億程度であります。これは規格が違つてつたとか、あるいは時期的のずれがありましたとかで、九億円ばかりの損失になるのではないか、かように考えております。     〔委員長退席、小金委員長代理着席〕
  60. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体の数字はわかりましたが、それで現在日本国内に輸出を予定して生産された貨物も相当あると思います。ことに今お話の繊維類とか金属、機械等以外に雑貨等の面でも相当のものがあると思います。特に最近アメリカの物価の変動あるいはイギリスにおけるポンドの切下げ以後におきまして、キャンセル等もありまして、相当滯貨が国内にあると思いますが、そのために国内の各産業が非常に金融難に陥つておるわけでありますが、こうしたストックの保有者に対しまして、金融の道を考えておられるかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  61. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 むろん相当国内に滯貨があると存じます。しかしながら滯貨金融の方から先に片づけますと、滯貨金融はわれわれはできるだけあつせんもし、お世話もいたしております。滯貨金融は相当程度についておるものと考えております。なお時期的の問題なり、あるいはアメリカにおける価格の下落、あるいはポンドの切下げその他によつて一時滯貨にはなつておりましたものも、向うにおける需要の変動といいますか、あるいは嗜好の変動、時期的の需給、そういつたような関係で、従来非常に滯貨になつてつたようなものが一掃されておるというような面も、実はあるのであります。たとえば軽目羽二重のごときは非常な滯貨で、これが攻撃の的になつてつたのでありますが、これなど最近一掃されて新しい注文について実は受切れないというような面もあるのでありまして、要するに輸出の商売は相手国のいろいろな変動に動かされる面のあることも、あわせて御承知を願いたいと思うのであります。但し滯貨につきましては先ほど申し上げましたように、われわれといたしましてはできるだけこれのあつせんをいたし、いわゆる滯貨に対する金融を中へ入つておせわする、かようなところまでやつております。
  62. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 輸出の問題は、いわゆる外国の市場の変動によつて、いろいろな変化があることは当然でありまするが、現在の滯貨というものは、非常にいろいろな惡條件の山積のために、滯貨の数字というものは非常に大きなものであると思います。そこでこの年末を控えて、この滯貨に対する積極的な金融というものがなければ、今大臣はできるだけあつせんするとおつしやいましたが、現在までのあつせんの状況では、とてもこれ考よつて特に中小メーカーが、この経済的な危機を切り拔けて行くことは不可能だと思うのであります。ことに年末を控えての金融というものは、非常に重大な危機だと思うのでありまするが、これはやはり従来のただあつせんするというような方法だけでは、とうていこの危機を切り抜けることはむずかしいと思いまするが、このあつせんというものは、ただ單にことに中小企業者の場合は、個人に対する金融のあつせんというものは、これはほとんど効果がないのでありまして、金融業者はあつせんをされなくても、貸してもよいと思うところには貸しておるわけでありますが、これは何かやはり特殊な方法でもつて、金融の対象を、あるいは商工協同組合とかそうした団体を対象として何か考えられないと、今私が言つたように、非常に年末の金融危機を控えて困難な情勢が生まれて来るのではないかと思いますが、そういう点で何かお考えになつていることはありませんか。
  63. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 お話通りに、これは年末の金融については、われわれ一緒に業者とともに実は心配いたしております。ことに中小企業においてその通りであります。ただたびたびこの席でもあるいは本会議でも申し上げましたのですが、中小企業の受入れ準備と言いますか、そういつた点について欠けるところがありまして、そういう点についてはわれわれといたしまして、できるだけこれがあるいは企業の内容といいますか、そのお仕事の内訳がわかるわように、あるいは帳簿制度の問題、あるいは工場診断その他の点についても、お手伝いを申し上げておるのであります。そういう観点から今お話のありましたような一つの組合があるということで、組合化ができました場合に、これへ融資するということが、個々の中小企業に融資するよりも、非常に実体がはつきりするという点で、最も望ましいことではないかと、かように存じておりますので、むしろ協同組合を至急つくらす、これを通じて融資するという点についても、われわれはいろいろおせわも申し上げ、ごあつせんも申し上げているような次第であります。
  64. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体輸出六億トン、輸入十億トンという計画であると聞いておりますが、この計画が実際にその通り進んでおらないことは、このごろ新聞等を見ましても、毎日のように出ておるわけでありまするが、特にポンドの切下げ以後における輸出の面においては、非常に減退いたしているわけでありまするが、こういう状態から大体どのくらいの期間で立ち直ることができるか、軌道に乗ることができるか、こういう点について御意見を伺いたいと思います。
  65. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは予想でございますから、はたしてその通りに行くか行かぬかは別問題といたしまして、ただポンドの切下げ当時ポンド地域に対する輸出は、非常に減つたことは事実であります。しかしこれはポンド切下げということだけの事実ではなくして同時に日英通商協定が進行過程であつた、しかも日英通商協定はポンド切下げの問題が結末がつくまで、実は停滯させられておつた。日英通商協定の期間が非常に長く続いたのも、その理由でありますが、それがためにポンド地域へ物を出すことができなくなつた。この実際上に商売がなかつたということが、すべてポンド切下げの結果のごとく現われたのだと私は思つております。しかしながら先般発表されましたように、日英通商協定もでき上りまして、そうしてこの金額も昨年度に比べれば大体倍額が予想されている。こういうような情勢でありましてその後つまり九月十六日に切下げがありましてから、その半月、一箇月の間はポンド地域に対する輸出は非常に少かつたのでありますけれども、その後相当のカーブをもつて上昇して参つているのであります。最近におきましては、各方面に相当繊維類の輸出が予定されておりますので、大体月平均上期の一月から六月までにおきまして、三億二千万ドルの輸出があつたわけでありますが、私はその平均まで参りませんまでも、われわれが予定いたしておりまする月三千五百万ドルから、四千万ドルの線へ来る程度には遠からず回復するというように私は考えております。
  66. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 日本貿易では、輸出の面においては特にポンド地域が非常に重要な問題になるわけですが、今度日英通商協定が結ばれて、従来ポンド地域に対する輸出と、輸入のバランスがとれておらなかつた、すなわちはなはだしい輸出超過であつたという問題があるわけですが、一体これは今後どういうふうにして均衡がとれるか、その方法をひとつお聞きしたい。
  67. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御質問の要旨がわからないのですが、今度の日英通商協定では、御存じのように輸入は五千五百万ポンド、輸出が四千五百五十万ポンドということは、前年の輸出超過の九百五十万ポンドをそれでカバーする。両方とも五千五百万ポンドという建前でやつているわけです。
  68. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 建前のことはよくわかつておりますが、現在の日本の力では、大体輸入の面においては重要生産資材に限られると思うのです。従来エイド・ファンドで輸入されておつたものが、そうした物資に限られて実際に今後日英通商協定によつてつて参りましても、南方から必要なる資材を輸入するということが非常にむずかしいのではないかと思うのですが、今後南方における食糧、ゴム、すずその他日本の産業再建に必要なる重要資材についての輸入は、どういうふうになつているか、その点をお伺いしておるわけです。
  69. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはよく問題にされまする円レートの問題にも関係があるのですが、御承知のようにポンドが三〇%切り下げられたということは、自然南方地域から資材、原料を持つて来るのには持つて来やすくなつたということは申すまでもないことであります。たとえば従来のアメリカあるいはアメリカドル地域のものと、南方地域のものとを考えれば、ポンドが切り下つただけ安くわれわれは買い得るわけでありまして、従つてこの地域からわれわれが輸出するのとの見合いの原料を輸入するということに、さほど困難を感じないだろうと私は考えておるのであります。いわんやわれわれが従来押えておりましたいろんな南方地域の品物につきましても、今回この輸出をカバーするだけのものをわれわれが原料として考えて行きまする場合において私は十分これだけの予定された輸入は実施し得る、かように考えておるわけであります。
  70. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 従来南方とのバーター制は、非常に範囲が狭かつたように思うわけですが、相当この範囲を広げて、日本から雑貨その他を輸出する場合に、それをバーターによつて、バーターの範囲を相当広げておやりになるお考えがあるかどうか。
  71. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 このポンド、スターリングとの協定は、御承知のように壕州、ニュージーランド、南アフリカ、セーロン、その他インドそういつたような英連邦に関係を持つておりまするところとの取引であります。なおこれに関連したスターリング地域といたしまして、ビルマ、パキスタン、これらのものも、これには先ほど申しました五千五百万ドルずつのその輸出入に加えまして、二千七百万ドルの取引を大体予定したバーター的なものになつております。そこであと大体南方地域との問題といたしましては、蘭印との協定も見られます。またシャムとの問題も大体片づいております。ただフィリピンあたりの問題でありますが、これまたできるだけ早い機会において、フィリピンとの間に通商と言いますが、バーター・システムによる通商協定を結びたい、かように考えておるのでありまして、そうなりますると大体南方地域は、ほとんどカバーすることになると私は考えております。
  72. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先ほど私が現在の日本輸出の梗塞状態が、軌道に乗る時期はいつごろとお考えになるかという御質問をいたしましたに対して、何か要するに先のことははつきりわからぬというようなお話でしたが、私がこれをお伺いした理由は、現在の日本の企業全体が何といつてもコスト高のために、輸出が梗塞されておると思うわけであります。もちろんコストが比較的安くて輸出が容易なものもありまするけれども、しかし最近のアメリカの物価低落、あるいはポンドの切下げ等によつて、一ぺんにとまつたということは、いろいろな原因もありますけれども、一番大きな原因はコスト高ということであると思うわけであります。要するに日本の企業が相当合理化されて、そうしてコストが安くなつて、いい製品が廉価で出て行くようにしなければならないということは、これはもう常識だと思うわけでありますが、その点についての政府考え方、どういう方針でこの問題を解決されるか、こういう根本の問題についての大臣のお考えを承りたいと思つたわけであります。
  73. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは私本会議のときにお答えしたと思うのでありますが、ポンドの三〇%切下げというものは、そう大きな影響を及ぼさないのだというように私は見ておるのであります。それからまたアメリカの物価が下りましたが、この下つた率もそう大きな幅ではありません。私としては考えておることは、たとえば三〇%切り下げられたと言いますけれども、御承知のように実際にはもう切り下げられる前に、ポンドは三ドルで取引されておる。そこで実際から言いますと、この切下げたということは、スターリング地域におけるところの物価か相当の額上るということが、もう当然予想された。予想されるばかりではなくて、実際にポンド切下げ以前に、もうすでにそれが予想されて上つておる。上つておるからこそ三ドルというレートが出ておる。それで実際はこの価格は、おそらくわれわれがロンドンなりあるいはそちらの方の筋かち得ておるところの、雑誌なり、電報なり、そういうもので見まして、すでにこの前に申し上げましたように、一二%から一五%上つておる。三〇%というところのリファレンスは、わずかに一五%である。ところが入つて来るところの原料は安いものが入つて来る。これによつて一五%の中の何パーセントかはセーブされる。その残りはその線までしわ寄せする。輸入も直接にやる、盲貿易を避けるために人も派遣する、こういつた点になりますと、相当大幅にこの差額は縮んで来る。あとは内地におけるところの企業の合理化だ。この企業の合理化は、前にも申し上げましたように、結局操業の高度化と、経営の能率化。しかもその経営の能率化ということは、おもに技術、機械、設備、そういつたようなものの改善にまたなければならぬ。こういうことで十分やつて行けるのだ。もしこのレートを下げるというようなことになりますと、高いものが入つて参りますから、今度はインフレを助長することはもちろんであります。そこでインフレを助長するということになれば、すなわちまた出て行くところのもののコストは高くなる。出て行くところのコストが高くなつて、落しただけでは意味をなさなくなる、こういうことになりまするから、私は十分今のレートでカバーされ得るのだ、こういうように考えておるのであります。
  74. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私どもは必ずしもレートの引下げを主張するわけではないのですが、大臣がいつも言われる楽観論にも、私は非常に危惧をもつわけであります。戰争中から荒廃した日本の企業が、いろいろな面において、外国の物価に対抗できないことは事実なんで、どうしても今最後に大臣が言われた企業の根本的な合理化をこの際やらなければ、全体といたしまして、日本の産業か物価の両で外国の物価にしわ寄せして、そしていわゆる諸外国との競争ができる状態にならないわけですが、そういう点で私は日本の企業全体が、大企業も中小企業も、設備資金というものを非常に切実に要求しておると思うわけであります。当面の資金ももとよりでありまするが、長期設備資金というものを、非常に要求しておるわけでありまするが、その点についての政府の施策というものは、きわめて限られたる企業で、大企業に対しては多少見返り資金その他で考えておられるようでありまするが、日本の産業の根幹をなすところの中小企業に対しましては、何ら現在までのところ考えておられないようでありまするが、この点について将来どういうふうに大臣考えておられるか、承りたい。
  75. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 むろん生産設備に対する融資ということは、いわゆる企業合理化を促進する上において、最も必要なことであります。従つて生産が十分にこういう企業の合理化をやり、技術の改善をやり、こういつたことがはつきりいたしまして、企業の合理化が筋道が立つて、その企業が生産の軌道に乗るというものに対しては、私は十分融資できるし、またごあつせんもいたしておるのであります。大体中小企業に対する運転資金は別といたしまして、設備資金といたしましても、このエイド資金のオペレーシヨンによりまして、われわれといたしましては相当の額を、二十億ないしそれ以上の額について、ごあつせんをしておるという事実も、十分お認めを願いたいと存ずるのであります。あるいは信用保証協会その他に対しましても、われわれといたしましては―従来信用保証協会については、いろいろな議論があつたと思うのであります。これが非常にうまく動いておるところもありますそうして設備資金その他について非常ないい結果をもたらしたところもありますか、またこの運用の当事者が非常にまずくて、うまく行つていないところもあるようでありますが、そういう点については、中小企業庁の方から指導をいたしまして、それらがほんとうに資金の融資の上に役立つように、何といいますか指導という言葉はまずいと思いますが、信用保証協会をも十分教えておるようなわけであります。
  76. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今おつしやつた二十億の中小企業に対する融資のわくの問題ですが、これは二十億というわくは設けられましたけれども、この貸出しの方法は、他の方法と何らかわりない方法で、いわゆる金融業者の自主性にまかせるということで、ただ金融業者の持つてつた公債その他を買い上げて、それを振り向けるというひもがついておるといえばついておる。これは力の弱いひもかついておるようなかつこうで、一応わくはきめられたわけでありますが、これを実際に、ではどういうふうにしてあつせんしておられるかといいますと、大体業者から申出て来たものをほとんど責任のないような形であつせんをしておられる。中小企業庁等であつせんをしておられる姿を見ましても、ほとんど責任のないようなやり方でやつておられるようであります。これではせつかくわくをつくられても、実際に金融を必要とする者が借りられないで、比較的必要のない者か借りられるというような結果に、結局金融業者の自主性においてやられることになれば、なるのではないかと思うのですが、この点について政府がもう少し強いわくを、あるいはこれに対して政府責任において貸すという方法がとられないものかどうか承りたいと思います。
  77. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 政府責任においてこれをやる。言いかえれば直接貸しをしろ、見返り資金の直接貸しはどうかという問題だろうと思うのでありますが、これはわれわれといたしましてはやるわけには行かない。という意味は、十分このひもつきの融資によつてまかない得ると考えておるのであります。今御説がありましたように非常に無責任にやつている。こういうようなことでありますが、しかしながらわれわれは無責任当事者がやつているとは絶対に考えておりませんので、皆さんの要望を集めて、それについて十分検討いたしまして―おそらく皆さんの要望を集めるということは、非常な大きな額に上ると思うのでありますが、それについて十分検討して、将来その企業が立ち得るというものについては、われわれといたしましてなおそれぞれの地方における銀行なりあるいは中央銀行なりを通じてこれが貸出しについてあつせんをする。こういう形に持つて行きたい。かように考えております。
  78. 小金義照

    小金委員長代理 ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止
  79. 小金義照

    小金委員長代理 では速記をとつてください。加藤君。
  80. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そういう申合せのことは私よく知りませんが、委員会が少しのんびりやつておられるようなので、私は根本的な問題について、せつかく大臣が来られた機会にお聞きしたいと思つて、今思いつきで実は聞いておるような次第です。  それでこの問題は非常に重要ですから、もう一点だけ私の希望等も交えて承つておきたいと思うことは、現在の金融に対する基本的な方針は、申すまでもなく、ドツジ方式のもとに行われるわけで、これでは私は現在の日本の産業再建、ことに輸出振興を中心にして考え日本の産業再建ということがむずかしいのではないかと思うのであります。そこでやはりその長期資金あるいは政府責任において必要なる面には貸出しをするというような一つの方針の変化が現われて来ない限りは、この問題を解決することはできないと思う。従つて言葉をかえて率直に申しますならば、ドツジ方式にある程度の修正が加えられねばならない。もちろんこれを今政府にお答えしていただこうとは思いません。ただ私はこの際あえて日本の産業再建のために、日本の経済再建のために政府当局に要望したいことは、いわゆるドツジ方式というものは現在の日本において至上命令ではありましようけれども、しかしわれわれはこの日本の産業の再起のために必要なる面においては、修正もひとつ国民全体の声として、政府が先頭に立つて要求してもらいたいと思うわけであります。たとえば少し横道にそれるかもしれませんけれども、本年度産米の補正の問題についても百十四万石というものが、至上命令のように言われて、政府説明がありましたけれども国会においての強い要求が、あるいは国民を代表するところの知事会議等においての声が強く叫ばれましたときに、やはり修正が願えたのであります。私はそういう意味において、今まで承つた大臣お話で、大体大臣も私どもと同じ考えを持つておられるように聞いたのであります。従つて私はそういう点で日本の金融操作の面において、現在のあり方ではとうていこの重大な危機を切り拔けて、日本の産業の再建をすることはできない。こういう点をひとつ考えていただきたいということを強く希望して、それについての大臣の御意見が承れれば承つておきたいわけであります。  それからもう一つ日本の、ことに中小企業の再建のためには、技術指導というものの推進が行われておりません。これは例をあげていると長くなりますから省略いたしますが、技術指導というものの推進が行われておりません。これは例をあげていると長くなりますから省略したしますが、技術指導を非常に必要とする雑貨工業等において―国営の指導機関においてもそうでありますが、地方の府県において設備された機械に対する技術指導というものは、予算の面等においては全然現れておらないのであります。そういう点に相当重点を注いでいただかないと、従来世界の市場に名声をうたわれた日本の雑貨工業もなかなか立直りはむずかしいと思うわけでありまして、この技術指導の点においてどういうふうにお考えになるか、それを承りたいと思います。その他他の委員がお待ちだそうでありますから、輸出信用保險法についての質疑は一応あとにまわしまして、それだけ承つておきます。
  81. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 工場診断の技術指導の問題につきまして一向やつておらぬというような加藤さんのお話でありまするけれども、われわれの方はこれに非常に力を置いておりまして、私はつきりした数字は記憶ありませんけれども、すでに千六百何件だつたと思いますが、工場に対しては技術指導をいたしております。向うの希望によりまして、あるいはわれわれの方から進んで、あるいは県との間の連絡において、それぞれやつておりまするので、どの部門にどれだけという数字が御入用でございましたら、いつでも差出し得るものと存じております。  それから前の問題については、いわゆる直接融資という問題、ドツジ方針の修正という問題については、これは加藤さんの御意見として承つておきます。
  82. 小金義照

    小金委員長代理 それでは次に繊維に関する件を議題といたしまして質疑に入ります。門脇勝太郎君。
  83. 門脇勝太郎

    門脇委員 非常に緊急を要します関係上、大分時間もたつておるようでありますけれども、特に質問したしたいと存じます。なお繊維に関する質問につきまして、大蔵省の関係が非常に多いので、大蔵大臣並びにそれぞれ当該官の出席を要望しておつたのでありますが、どういうわけか大蔵省の方々がお見えになつておりません。幸いにやはり関係の深い物価庁の方はお見えになつておるのでありますが、この大蔵省関係の問題は、やはり通産省が繊維生産の主管庁でありますから、その政府であるという立場において、大蔵省の方と御連絡になつて、そうしてあとで十分責任のある御処理を願いたいと考えますので、その点を前もつて特に申し述べておくわけであります。  申し上げますることは、かねがね御承知のことと存知まするが、織物消費税と物品税の中の繊維関係、これらが一月一日から全面的に撤廃になる、もうすでに衆議院におきましては決定済みでありまして、衆議院でもおそらく可決になることだと考えまするが、これに対してその撤廃するものは現在の業者側の希望でもありまた消費者に対しましても非常に含みもありまして、そういうことに私ども非常に感謝しておるのでありますが、その経過処置において、結局一月一日から絹織物あるいは交織繊維製品、人絹製品等は四割という高率な税が全面的に撤廃される。また物品税関係は三割が撤廃される。四割、三割というような非常に高率なものが撤廃される結果、それが今後の商品安ということに反映するわけでありまして、生産者の段階はこれは庫出税になつておりますから、結局一月一日まで品を持ちました場合におきましては、その後のものに対しては無税でありますから、生産者は庫出税の関係上税引下げによつて手持品の暴落の影響はそのことによつては起きないのでありますが、卸段階並びに小売段階は、厖大な手持品が一挙にして四割ないし三割は値が暴落するわけであります。こういつたことに対しまして政府がどういう処置を切実にお考えになつているかということにつきまして、これは今ここで全国にそういうような影響を受けまする商品の金額を申し上げますると、正確な数字は私は持つておりませんが、推定からいいましても非常に厖大な金額になることになつております。卸段階、小売段階を合せますると、おそらく百億以上のものになりまして、それが三割、四割の税の撤廃によつて暴落することになると、少くとも五、四十億円近いものが、欠損面としてそれらの手持ち業者に影響するわけでありまして相当深刻な問題であります。これに対しまして政府はどういう責任において、これに対処せられるかということにつきまして御見解を伺いたい。
  84. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは生産業者の方としては問題ないと私も考えます。卸売りあるいは小売の方々が手持品によつて損失をこうむる、これは私もさようであろうと存ずるのであります。これについてはわれわれ通産行政を担当いたしております者といたしましては、はなはだ遺憾に存じておるのでありますが、さてこれをどうしてカバーするかという問題になりますと、これはなかなかそう簡單にわれわれ政府が補償をするというわけに参りませんし、あるいは政府がこれに対して特別の措置をとるということも、他のいろいろな産業の関連においても困難であろうと思うのであります。そういう場合は繊維ばかりでなく、他の業界においても起り得ることでありまして、補給金を廃止した場合において、その他のいろいろな場合において同じ形ではありませんでも、形をかえて起り得ることでありますので、いかようにも一一われわれがそれに対して補償するということは、できにくいと存じておるわけであります。ただそういつたような滯貨に対して、金融的にお困りになるという面に対する融資その他については、特段の考慮を拂うということについて、十分当局といたしまして、それらの人との話合いによつて融資その他の面については、われわれはごあつせんを申し上げることをいたしたいと思います。しかしながら補償その他というような特段の措置をとることは、どうもいかんともいたしがたい、かように存じております。
  85. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまの御見解を伺いますと、気持の上においては気の毒であるが、現在の情勢から実行的にはいかんともなし得ない。要するに次善策として金融その他をめんどう見ようといつたような御意見に、私はお聞きしたのでありまするが、過去においてかつて織物消費税が一割五分から四割に率が逓増した、いわゆる課税高が上つたことがある。その四割に上りましたときは、従来の一割五分との差額の二割五分につきましては、当時生産者、卸段階、小売段階、全部在庫品を政府が精密に調べて、そしてその在庫品に対して全部二割五分というものを追徴しておられる。これは私申すまでもなく、政府の方の記録にもはつきりあつたと思いますが、二割五分という差額を追徴しておられる。それからいま一つ、従来公定価格制が実施されまして以後、価格が改訂されました場合において値上げになる。そうした場合におきましては、価格改訂の値上げによる差益金については、これも各段階の在庫品をしさいに調査して、きわめて嚴格に、卸段階の場合におきましては差益金の三分の二、小売段階におきましてはその差益金の八割、ほとんど全面的にこの差益金を、布陣品を嚴格に調べて徴收しておられる。それが政府の今までやつて来ておられるところの実績なんです。そこで税金が上つたからといつて差益を追徴し、価格が上つたからといつて在庫品を調べて追徴する。もし納期が遅れたら日歩二十銭というような延滯金をつけて、場合によつては差押え等の強制手段をとる。こういつたようなことを従来やつておられる、その政府がやはり同じ政策のもとに税金を下げた、下げた場合にはどんな損をしてもめんどうを見ないというようなことだと、常識的に考えてもそういうことはきわめて不徳義千万であるということは、私が喋々するまでもなく、よくお感じになると思うのです。結局、繊維産業というものは、これはもちろん通産省の主管になつておるのでありますが、税金の立場は大蔵省の担当だから通産省はそれに対して御冷淡であるというのか、どうもその辺が私は解釈がつかぬ。そういう片手落なことをして、不道義きわまることをして、政府がそれでのほほんと済ませるものかどうか、政府というものは始終お役人の立場はかわるものだから、なあに自分の間だけりつぱに勤めればよいのだというのんきなことを言つておりますが、私は少くとも政府として国民に対して不道義なことをするということが、将来に対してあらゆる角度から非常に汚点を残すと思うのです。これに対してはつきりと、上つた場合には追徴をとるのだ、差益金を生じた場合にはそれをとるのだ、しかしこういう値下げの場合には放つておくのだという道理の根拠がどうもわからぬ。この点ひとつはつきりと伺つておきたい。
  86. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今いろいろお話が出て、ごもつともなところもあります。しかしながら、先ほども私申し上げましたように、この際これに対して政府が何か特段の措置をとるということは、他のいろいろな関連のものに対しまして、どうもできがたいものであるとお答えするよりほかないと存ずるのであります。なお、こういうことに対して通産省が冷淡だというお話でありますが、決して冷淡ではないので、業者が考えられておる事柄、またお話なつた事柄については、われわれは十分考慮に入れており、またそれをある場合には業者を代表して、十分考えておるということだけは申し添えておきます。
  87. 門脇勝太郎

    門脇委員 どうもこれは結局いくら押し合いしましても、そういうようなことであると、のれんに腕押しということになつてしまつて、これから私が鬼面をつくつて通産省を脅迫するということも、どうも私も非常に男前を下げるので、何とも申しかねまするが、何とかもう少しまとまつた御援助ができぬものかと思う。
  88. 宮幡靖

    宮幡政府委員 大臣にかわつてお答えいたしますが、門脇さんのお立場から考えて切々たる御議論は、大臣のおつしやいます通りごもつともだと思います。しかしながら何か具体的な話をしろというお話でありますが、なるたけ具体的なお話を避けたいのでありますが、門脇さんに逆襲的な議論を申し上げることは本意でないのでありまして、おそらく大臣もそういう心境から、ただいまのような答弁をされたと思う。税の方の問題で、税率が上つた場合に手持品の差額を追徴したではないかというお話でありますが、これはメーカーや卸売団体の人々が負担するのでなくして、織物消費税でも物品税でも消費者に転嫁されるべき税である。ただそれをとつて、あなた方が納税義務者となつたというだけのことである。従つて、庫出税を課税しても税の根本をお考えになれば、大蔵省の担当官でなくても私どもはつきり御答弁できる。織物消費税、物品税は消費者に転嫁されて、そつちからお支拂いになつている、こういうものでありまして決してこれは追徴されたり、とつたからこれを出さなければならぬというような性質の税ではない。消費者からとれないものまでも納めろというようなことをいたしたならば、それはむりでもあろうかと思いますが、私はかような結論になろうと思う。  次に価格差益金の問題であります。これはマル公が上つたことによつて生じました差益金について、一定の定めによりましてお納めを願つたことでありますが、今度はマル公の下つたことによりまして、差損が生じたといたしますならば、これはおそらく反面解釈としまして、この差損はもどすということが常識的な判断だと思います。ところが、自由価格が下つたということは、これは差益金をとりますものと比べまして、およそ趣を異にしておりまして、これを理論の上でどうしようと、実情はもうよくわかつておりまして、織物消費税を十二月一日から一〇%にしたいということは、大臣が申されましたように決して通産省は無関心、冷酷ではない、あらゆる面において大蔵省の立場を補佐いたしまして、うしろから一生懸命で押しまして、何とか早く税率の低減をいたしたい、かような努力を佛つて来たことは、門脇さんも御承知通りであります。残念ながら、税の面におきます理論は理論として受取れない。消費税であるということから受取りますと、消費者に転嫁する税である。なお価格差益金の問題で価格差をどうするかという問題については、幸い物価庁から坂田政務次官かお見えになつておりますから、その方からお答えを願うことにいたしたいと思います。どうか通産省はそんな人の惡い省でないということを、御了承願いたいのであります。
  89. 門脇勝太郎

    門脇委員 消費税は消費者からとるのだから、値上げの場合の追徴は、業者の負担でないという御議論をなさるならば、今回のいわゆる税の撤廃によつてこうむる損失を、消費者に転嫁できるかといいますと、転嫁できないのです。それに対してのあなたの御理論を承りたいと思います。
  90. 宮幡靖

    宮幡政府委員 メーカーのお持ちになつておるものは、減税の取扱いを受けることは明かであります。卸段階にあるものは一応卸という段階において、加工なり何なりいたします一段階において、消費の過程が移されており、つまり庫出税が卸段階の負担した税でありまして、すでにその税は一応消費者に転嫁されたものと解釈してさしつかえないものだと思います。りくつでは片づかないものであります。
  91. 門脇勝太郎

    門脇委員 りくつのやりとりをしてもいかぬですが、あなたのさつきおつしやつた、すでに消費者の段階である卸売段階に転嫁したものであつても、増税の場合には追つかけて行つて追徴したというのであつたならば、やはり減税の場合においても追つかけで行つて拂いもどすべきだと思う。それがやはり道義的に五分々々だと考えますか、どうも値が上つたときには追つかけて行つても、消費税が下つたときにはそういうことでりくつだけで突つ放すというのでは、どうしても理論が合わぬのです。やはり卸がすでに消費段階の範囲とすれば、上つたときにとつたということがむりがある。それは結局今晩中あなたと論議したところで、金が出なければ何にもならぬことですから、結論として汗を流しただけ損ということになりますが、物価庁に対しましていろいろお尋ねしたいことはあとで申し上げるとしまして、これは非常に形式的なやり方と考えまするが、二重価格制をもつて、当分善後処理をされるということに聞いておりますが、二重価格制のやり方なり理論をお伺いしたい。
  92. 坂田英一

    ○坂田政府委員 消費税撤廃後における二重価格制の問題は、どうなつているかというお尋ねであると思いますか、これは別に私どもといたしましても、二重価格制をとるといつたようなことをまだ確定いたしておりません。と申しますのは各業界事情によつて非常に違う点があると思いますので、その業界の実態に即して業界の御意見をよく拜聽して、それでいろいろとその点をきめて参りたいと一応存じております。大体綿やスフにつきましては、二重価格制をとるのがいいのじやないかというふうに一応は考えておりますが、その他のものにつきましては現行価格にすえ置きまして、しかる後税拔きの新価格を実施するというような考えを持つております。いろいろ各業界の実情によつてそれらが異つておると思いますので、業界の御意見もよく聞きました上で、それらの点をきめて参りたいと存じております。
  93. 門脇勝太郎

    門脇委員 いまの二重価格制の問題につきまして、質問を続けたいと思いますが、大臣がちよつとお急ぎのように見受けますから、逆もどりして、大臣に向つて一言御質問申し上げたいと存じます。先ほど大臣は金融の面のめんどうを見るということをおつしやつたのですが、生産者、卸売段階、小売段階ともにもちろん金融の面のめんどうを見ていただかなければならぬのでありますが、この金融のめんどうを見るということは、具体的にどういつた方式で、どの程度の金額をどういうぐあいに流していただけるのか、この点につきまして御予定がありましたならば、明確におつしやつていただきたいと思います。
  94. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは予定があつてどういうことだということではありませんので、要するにこういう点について使途を明かにされて、しかもそれが十分われわれの納得するよう数字でありました場合に、直接金融業者にお話になつても、お話ができぬ場合に、われわれといたしましては日本銀行を通じて、市中銀行に働きかけて融資のあつせんをするという意味を申し上げたのであります。そこで今お話のものかどれだけの融資がいるのかというような問題が明かになりますれば、そのときにあらためてわれわれの方は検討いたしまして、至当と存じまする場合には、われわれとして日本銀行を通じて、それぞれ市中銀行に融資のあつせんをいたす、こういう意味合いで申し上げた次第であります。
  95. 門脇勝太郎

    門脇委員 私がるる申し上げるまでもなく、消費税及び物品税の撤廃が、最初期待しておりましたものは十二月一日からということであつたのでありますが、それが一月一日からにずれた関係上、その間売れ行くべき時期を逸したことによつて、相当長期にわたつて業者各団体かも金融問題に今後悩みをし残ているというのが現状でありますので、この点につきましては今後それぞれの段階におきまして、案を立ててお願いしたいと思いますから、そのときには十分ひとつ責任的に徹底した御配慮を撒いたいと考えます。これをお願い申し上げておきます。  それからさきの二重価格の問題にもどりますが、もちろん今決定しておらぬ、いろいろそれについては考えておるという御答弁になつたのでありまするが、私ども業者からいろいろ意見を徴しますると、綿製品並びにスフ関係の一部につきましては、二重価格であつても、現在なお公定価格とやみ値段の開きが若干ある関係上、これは実行可能であると思うが、もし絹関係の製品並びにスフ、毛織物等についてこの二重価格ということをお考えになつているならば、実情に即してこれはこつけいだ。單に机の上のみの議論で、一時彌縫されても、消費者はこれに対して決して購買をしない、こういつたことが結果に現われて参りますので、そういうような現在公定価格をはるかに割つているものに対して、二重価格等の制度はきわめてこつけいであるから、そういうこつけいなことは政府においても実行されぬ方がいいということを皆言つておるのでありまするから、むしろいま一歩進めて、実際に成立つようにはかつて行かなければならぬのですが、その際に―どうせこれは大きな損でありまして先ほどもこの差損金について政府の方の補償を要求したところが、これはのれんに腕押しであつて、長いことかかるうちに民間の方では経費がかかるし、役人の方では国家から月給を出している関係で、自然根負けをするということになります。これはできることで、ここで試案を出して考えて行かなければならぬと思うのでありまするが、綿製品、スフ製品のごとく、まだ公定価格が実行されておる商品のそれぞれの段階のマージンをふやして、卸は卸段階のマージン、小売は小売段階のマージンをふやして、今後そういつたようなものの公定価格の維持というものが、そう長いことはないので、それが続く間だけ、たとい損失の九牛の一毛であつてもマージンの是正によつてそれを彌縫したいと考えておるのでありますが、こういうことについて、何か御腹案があつたらお伺いしたいと思います。
  96. 坂田英一

    ○坂田政府委員 今門脇委員から御質問なつた点でありますが、綿、スフその他につきまして、二重価格制をとるということはこつけいであるという点は、私も同様に考えております。  それから手数料の問題を一体どうするかといつたお尋ねでありますが、これはやはり価格そのものによつて、手数料によつていろいろな問題をカバーして行くというようなことは、率直に申しますとなかなか困難な問題だと思います。ただいろいろの実情がありますので、それらの点については、なおよく業界の御意見を聞いて処理して行きたい、私どもとしてはかように存じております。
  97. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまの御意見、大体綿製品、スフ製品の一部は、二重価格制でもそれは実行できますが、それ以外の絹、人絹、毛織関係に二重価格制をとるのは、こつけいだということに同感のようでありますから、私どもも非常に力強く考えます。われわれの方では、各段階のマージンを若干でも上げて、このマージンの引上げによつて大きな損失の埋合せの一端に資すること、これのみがあとに残された唯一の救済方法ではないかと考えておりますが、もしこれ以外に救済方法がありましたら、お教えを請いたいのであります。この各段階のマージンを、損害補償の意味で優遇されるということになれば、いわゆる九牛の一毛であつても、政府の誠意は大いに了解できることになるので、これはひとつ真剣にお考え願いたいと思います。  それから、本日は大蔵省関係の方が見えておらないので、申し上げるのに非常に張合いを欠きますが、政務次官はかつて大蔵委員であつたので、大蔵行政については造詣が深いし、現在でも知己か多いと思いますから、公人としても個人としても、特に大蔵関係の方に御注意を願いたいのであります。  今回の措置によつて繊維業界がこうむる影響は相当甚大であると思う。ところが税務署は、繊維業界というものは非常に恵まれているといつたような、ずつと前からの長い習性的な観念のもとに、年々歳々非常に高率な事業所得税の課税をしておる。私の直接関係しているのは小売段階でありますが、地方のどの町に行きましても、その町で一番高い税金を拂つているものは意外にもこの繊維業者であるというようなことで、私どもも実相を聞いてびつくりするのであります。そういうふうに、繊維はもうかるものだという習性的観念から、今回の大きな変化によつて影響を受けておるにかかわらず、やはり税務署が引続き高率な課税をするということかあるのを非常におそれておる。これに対しましては、ないものはないのだから正々堂々と闘えばいいというのが、お互いの常識でありますけれども、やはり末端に参りますと、税務署が業者に重圧を加えるために皆非常に困つておる。これは通産省から大蔵当局の方に真劍に折衝していただいて、そういう従来の習性的観念をここで切りかえてもらわなければならぬ。これは政務次官か特に大蔵行政の方に精通しておられるということもありますので、公的な立場においても私的な立場においても、責任を持つてその点の御連絡を願いたい。  それから統制関係でありますが、こういうような大きな変動に直面して、いろいろなところから政府のあらが見えるというか、矛盾が証明されるわけでありますが、現在絹関係のものは全部撤廃されておるにかかわらず、絹の代用的使命を帶びておる人絹であるとか、あるいは人絹織物等の統制が、価格の面においてまだとれておらない。物資の立場からの統制が解除された今日、価格の面の統制だけを残されたのは、どういつたところに理由があるかということが第一、第二は、人絹と絹との交織品の統制はとられた。ところが絹の方は無統制であり、人絹の方は統制がある。統制のあるものとないものと組合せてつくつた交織織物に、価格の統制があるということに非常に矛盾があるので、その辺に対する明確な御見解を伺いたい。
  98. 坂田英一

    ○坂田政府委員 配給統制の撤廃後に価格統制があるのはどうかというお話でありますが、価格統制と配給統制は別個の意味を持つものであるから、嚴格に申しますならば、配給統制のないものに、価格統制のあるものもあるわけであります。しかし現在のような情勢のもとにおきましては、もちろん配給統制と価格統制は、原則としては並行すべきものである、かように私も思います。その点は門脇委員と同意見でありますが、ただ絹の統制撤廃後における事情等を勘案いたしまして、これらのものにつきましては、目下問題になつております消費税の撤廃後における価格の動きを見まして、その点を決定したい、こう存じております。
  99. 門脇勝太郎

    門脇委員 消費税の撤廃後の価格の成行きを見て統制を撤廃するのだということをおつしやつておりますが、どうも業者の方の考え方は、そういう矛盾した制度が残つておることが遺憾だ―どうしてそういう矛盾したことを残しておくかというと、これは業者の方の一つの推察でありますが、人絹の価格が非常に暴落しているにもかかわらず、人絹だけをマル公の値段で計算し、それを対象にして消費税を現にかけておられる。政府は消費税をとるためにそういう矛盾した政策を実行されておるではないかというように解釈しております。一体最も信用を重んずる政府が、今日の暴落を知りながら、消費税をとるために、そういう矛盾した制度をあえて残すのだというところに、非常にむりがあると考えます。しかしこれも過ぎ去つたことをかれこれ追及する必要はありませんし、この際すでに消費税撤廃されたのでありますから、すみやかにこういう矛盾がなくなるように至急解決をしていただきたい。こう考えております。  なおこれはやはり通産局の関係でありますが、もうすでに一月一日から消費税の撤廃というものがはつきりしておる今日であるが、最近いろいろな輸出転換品の国内放出をなさつておるのでありますが、こういつたものの放出の時期を税金の撤廃前に敢行せられるのであるか、あるいはまた下るということは、はつきりしておる今日でありますから、税金の撤廃後までお待ちになるのか、特に綿製品関係については、原価採算において最近の分は、一割近く値が下つておると私は考えておりますが、そうすると消費税を加えて二割近いそこに差額がありますので、今後の放出品等の取扱いにつきまして政府はどういう方針でされるかということについてお伺いいたします。
  100. 宮幡靖

    宮幡政府委員 公団の持つております滯貨処理については、毎度司令部から早期処分を要請されております。また綿布の放出許可を與えられたもの等の処理が、いろいろの関係で司令部側から見るところでは非常に遅れておる、すみやかにやれというおしかりを受けております。第二回目の放出を許可された綿布につきましても、ただいまお説のような消費税が撤廃されてからとか、消費税が撤廃されないとかいうことを考えでない、至急に処理して参りたい。今その詳細な経過は繊維局長から申し上げますが、その他絹製品等につきましては、ただ生産者やあるいは卸小売団体の立場を圧迫しない意味において、新聞にはダンピングをするなどという言葉を書いておりますが、滯貨処理についてはさような方法を立てまして、極力業者の方とも連絡をいたしまして放出によりまして市場価格をゆえなくして、崩壊するということのないように、ただいませつかく検討を続けておるわけでありますが、その点御了承をいただきたいと思います。
  101. 近藤止文

    ○近藤政府委員 ただいまお話のございました綿製品の放出の分について事情を申し上げますと、第一回の一億五千万ヤールの放出につきましては、大体取引が完了いたしまして、第二回の一億七千七百万ヤールにつきまして、現在配給の計画を立てておるのでございます。最近蘭印から非常に大量の輸出の引合いが参りまして、一億七千七百万ヤールのうち約五千数百万ヤールのものは、ラン印に振り向けるということに大体見当がつきまして、それらの荷口を現在調整いたしておりますので、第二回目の放出分は消費税の問題に関連なく、できるだけ早くやるという予定でおつたのでございますが、放出品の中から輸出するという事情が起りましたので、結局結果的には来年一月以後に公団の倉庫から出されるということになると思うのであります。従つて第二回目の分につきましては、消費税の落ちました価格によりまして、卸小売団体に流される、こういうふうに結果的にはなると思います。
  102. 門脇勝太郎

    門脇委員 結果的にそういうことになればけつこうでありますが、大分綿製品につきましては消費者の方では、そう従来のごとく非常にうろたえて渇望するという形勢がないのでありますから、将来万一業者の手持品になつたこと等を考慮して、やはり消費税が下つてからお出しになるというのが良心的であるということを、政府に御注意申し上げておきます。政府もひとつ良心的なる行動をお願いいたしたいと思います。  それからこれは先ほどるる申し上げましたが、これはまあ税の撤廃による補償の内容になりますし、こういうときに先ほど引合いに出しました差益金が御承知のように昭和二十二年度までの分は完納してありますが、二十三年度分がほとんど残つておる。せめてこの残つておる二十三年度分だけでも、こういう大きな損失をこれは一部補償にはなりませんが、適当にこれを処理されて業者に対してその損失の若干を政府が申訳をなさるということを、ひとつ希望としてお願い申し上げておきますから、皆さんがお寄りになつて、ひとつこれは業者の立ち行くように御考慮願いたいと思います。これは必ず政府としてお考えいただくようにお願い申し上げておきます。  なおこれはちよつと最近もある筋からそういう話が述べられて、私も答弁に困つたのでありますが、現在輸出関係の生糸が、従来政府管理でありました関係上、相当値が安かつた。これに対して実際は現在相当高騰しておる。現在のこの管理時代はおそらくたしか十二月一ぱいまでのように開いておりましたが、これは従来のストックその他をもつて相当政府が調整しておられるように聞いておりますが、これはやはりいつから全面的にこの価格というものが、四囲の環境によつてきまる自由の立場になるのでありますか、その点ちよつと御方針を伺つておきたい。
  103. 宮幡靖

    宮幡政府委員 せつかくの門脇委員のお尋ねでございますが、生糸の問題は農林省関係でありますので、農林当局の出席のある場合にお尋ねをしていただきたいと思います。
  104. 門脇勝太郎

    門脇委員 御存じないとあれば強要いたしません。また勉強次第でこの次お伺いいたします。  要するにいろいろしかつめらしいことを言いましても、結論は業者が立ち行くようにということが、最後の念願であるわけでありまして、せつかく通産省物価庁もお越しになつたのでありますから、究極的にこの難関をいかにすれば打開できるかということにつきまして、通り一ぺんの考えでなしにほんとうに積極的に、ことに現在は民自党の責任のある内閣でありまして、われわれは與党の一人として全国のそういつたような関係者から、非常に手嚴しい批判を受けておる、その批判を受けておるときに、われわれ民自党から通産省の政務次官に宮幡氏を送り、また物価庁の政務次官に坂田氏を送つておるのでありますから、これらの責任のある、政治性の立場にある方々が、十分この問題は政治的に解決せらるべき責任かあると私は考えます。この点につきまして今ここで即刻の御回答は求めません。求めませんがこれは深く御両氏の脳裡に祕められて、必ず全国の業者がいかにも民自党は善政を施したということの結果が現われますように、私は強く期待をして、特にきようは暮れに追つた十二月の二日でありますから、あらゆる角度からひとつこの問題について、必ずこの両政務次官らの御努力によつて、この繊維業界に朗報がもたらされるものであるということを期待して、新年を迎えたいと思いますから、ひとつお願いを申し上げます。     ―――――――――――――
  105. 小金義照

    小金委員長代理 この際本日の理事会において決定せられました中小企業振興に関する決議案、電気事業再編成に関する決議案及び貿易金融に関する決議案の案文について、御懇談を願うため暫時休憩いたします。     午後三時三十九分休憩      ――――◇―――――     〔筆記〕     午後六時十五分開議
  106. 小金義照

    小金委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。本日の議事はこの程度にとどめまして、次会は明三日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十六分散会