運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-29 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午後二時五十二分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君 理事 川上 貫一君    理事 永井 要造君       阿左美廣治君    岩川 與助君       門脇勝太郎君    小西 英雄君       關内 正一君    高木吉之助君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田 篤泰君    福田  一君       前田 正男君    加藤 鐐造君       高橋清治郎君    田代 文久君       圖司 安正君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         資源庁長官  進藤武左ヱ門君         資源庁次長   始関 伊平君         通商産業技官         (資源庁石炭生         産局長)    田口 良明君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 十一月二十九日  委員岡村利右衞門君及び坂本泰良辞任につき  その補欠として村上勇君及び大矢省三君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大矢省三辞任につき、その補欠として坂  本泰事良君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  特別鉱害復旧臨時措置法案内閣提出第四二  号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。本日は私が委員長の職務を行います。  まず特別鉱害復旧臨時措置法案を議題して質疑を継続いたします。有田喜一君。
  3. 有田喜一

    有田(喜)委員 特別鉱害被害者実情は私はよく了解できるのでありまして、何とかして一日も早くこの特別鉱害被害を救済して、この復旧をはからなければならぬと私は考えるのであります。しかし過般来よりいろいろ問題がございまするが、その問題を明らかにしておかなければ、今後われわれはこの問題を打開して行くのに非常に困るのであります。そこで私はこの際比較的基本的な問題について政府の所信をただし、今後のこの法案取扱いの上の参考に資したいと思うものであります。  まず第一に政府にお伺いしたいのは、いやしくもこの法案を出された以上は、政府としては相当確信があると私は思うのでありますが、私がいろいろと検討を重ねた結果、第一に疑問に思うことは、この法案の第二十二條に、いわゆる鉱業権者というものが、直接加害関係のない者も、一定金額復旧団に納付しなければならぬということになつておりますが、これは私は憲法第二十九條の條章にのつとつて憲法違反疑いが明かにあると思うのであります。そこでわれわれとしては、政府法律的に明快なる答弁をくださいまして、この疑いをこの際拂拭する必要があると思う。政府は常識的には共助精神で行くんだとか、何とかいう御説明がありました。もちろん共助精神けつこうでありますが、しかしこれは法律的に強制的にやるべき性質のものでないので、そこでそういう常識論でなく、一つ法律的見解に基いて、憲法違反にあらずということを明確に御説明を願いたい。
  4. 宮幡靖

    宮幡政府委員 有田委員の御意見、まことにごもつともだと思います。本法を皆様の御審議に供します以前に、もつと優れた案がないかと思いまして、いろいろ検討した経過は、こちらは大臣が申し上げたかもしれませんが、参議院方面でも詳しく申し上げて参つたわけでありまして、必ずしもこれが一番よい案だというようなことは考えておらないことは、先般たしか今澄委員の、次善のよい案はないのか、こういうようなお尋ねのありましたときに、お答えいたしておきました。しかしながら御説のように、根本的に大憲章でございますところの憲法成條に触れるということでありますれば、それがたとい緊急な立法でありましても、これはとうてい見逃すことのできぬことも御承知通りであります。法制当局の方とも一応連絡いたしまして、いろいろと研究をいたしまして、ただいまのところでは憲法違反でないという結論になりまして、御審議を煩わしたわけであります。  そこで大体この法案憲法との関連につきましては、御承知の第十二條自由権利の保持の責任とその濫用の禁止という條項と、第十三條の個人の尊重、ただいま御指摘の第二十九條の財産権、この三條が直接牽連のあるものでありますが、これを中心として検討して参つたのであります。御指摘の第二十九條は「財産権は、これを侵してはならない。」これが第一項、第二項に「財産権内容は、公共福福に適合するように、法律でこれを定める。」とありまして、第三項には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公的のために用ひることができる。」とありまして、この第二項にございます「公共福祉に適合する」こういう意味において、この立法は第二十九條第一項の違反にならないものである、かような結論に到達いたしておるのであります。なおここに至りました経緯につきましては、さらに詳細に田口生産局長からお答えいたしたいと存じます。何とぞ御了承をいただきたいと思うのであります。
  5. 田口良明

    田口政府委員 ただいま憲法論につきましては、政務次官から大体お話がありましたが、まずこの特別鉱害復旧するということは、一体どういうことかということから、ごく簡單に申し上げてみたいと思うのであります。この特別鉱害復旧するということは、まず第一に危害の防止交通確保、また民生の安定、食料の増産出炭確保、こういうような公共福祉確保するために必要不可欠なものであることは、今までにおきましてもるる申し上げた通りでありまするが、またこの公共福祉確保に必要でないものは、この特別鉱害として扱わないことになつておるわけであります。そこでただ問題となりまするのは、この公共福祉確保のために、ほかに適当な方法がないかどうかという問題でありまするが、私どもここで責任論をまた繰返すわけでもございませんが、まず考えてみまするのに、この特別鉱害責任考えてみたときに、ただちに頭に浮ぶことは、国と鉱業権者と、それから公共団体、従来取扱われておりました配炭公団時代のプー1制度の中に織り込まれておつたのが、この三者であつたのであります。さて国の責任はどうかと申しますと、もとよりその当時国の要請によつて起きて来たものではありますが、戰時補償打切りによりまして、一応責任はここにのがれたというようなことになつておることは、前回の委員会において述べられたところであります。また鉱業権者の問題でありますが、鉱業権者の問題について考えてみますと、普通におきましては鉱業法規定されております鉱害賠償の問題は、これは金銭賠償によつて従証とてもやつて来たところでありまして、また今後におきましてもこれは継続さして行くものであるわけであります。しかもこの特別鉱害一般鉱害と違いまして、国の要請によつて起きて参つたということにありますので、鉱業権者に全面的にその責任考えてみるということは、当然当らないわけであります。いわんや特別鉱害原状復旧ということを規定しておりますが、一般鉱害においてすでに金銭賠償をやつておる。従いまして原状復旧責任のないことは当然のことであります。  第三に地方公共団体でありますが、地方公共団体といたしましても、これは被害こそ受けておりますけれども、何らこれに対して復旧の義務のないことは申し上げるまでもないところであります。そういたしますると、結局国も一応戰時補償打切り責任がない。鉱業権者一般鉱害についてはあるが、特別鉱害についてはない。また公共団体についてもしかりということになりますと、結局これをどこで、またいかなる方法負担するかという問題になつて来るわけであります。しかし一方この特別鉱害復旧は、冒頭に申し上げましたように、被害防止交通確保民生の安定あるいは食糧の増産出炭最低限度確保というような、いわゆる公共福祉確保するということに根本方針がなつておるのでありまして、かかる意味におきまして、まず憲法の第十二條後段には、国民は「この憲法国民に保障する自由及び権利」を「濫用してはならないのであつて、常に公共福祉のためにこれを利用する責任を負う。」と書いてあります。また第十三條の後段には「生命、自由及び幸福追求に対する国民権利については、公共福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」またただいま政務次官から申されました通り、第二十九條の第一項には「財産権は、これを侵してはならない。」と規定してありますけれども、続いてその第二項には「財産権内容は、公共福祉に適合するように、法律でこれを定める。」と書いてあります。これらの憲法規定は、要するに財産権尊重さるべきでありますけれども、公共福祉という観点からの制限は、可能であることを明らかにしておると考えられるわけであります。
  6. 有田喜一

    有田(喜)委員 この問題は今澄委員から先般もお尋ねがあつて政府が同様の回答をされておつたように私は記憶しておるのでありますが、政府はもう少しこの問題について検討を重ねられておると思つたところが、一向その後の検討が十分できておらないようであります。今いろいろ長たらしい御説明をいただきましたが、第一前提として法の前には平等であるという法律の大原則を無視されておる。公共福祉に適合するように、法律財産権制限をいろいろ定められるということはわかつている。しかしその場合はみなが平等に取扱われておる。しかし本法案は直接その鉱害関係のない炭鉱業者のみがここに適用されておる、そこにむりがある。一般国民に対して、公共福祉に適合するようにいろいろな法律を定める、それはけつこうだが、こういう特定のしかも鉱害関係のない炭鉱業者に対して、かようなことをやることに憲法上の疑いがある。私はかような被害者を一日も早く救わなければならぬと思う、そういうような見地から申すならば、国が一般国民から取立てたその税金をもつて復旧に当ることが本筋であると思います。本案のようなことを考えられたことにつきましては、政府も相当御苦心をなされたあとがよくわかるのでありますが、憲法疑いがあるというのでは、何ぼわれわれがこれ以上進捗せしめたいと思つてもしようがない。そこでたいへん恐縮でありますが、政府全体としての法制上の御研究をおやりくださいまして、あすでもけつこうですから、憲法違反でないということを明確にして、われわれを安心させていただきたいと思います。今までの御答弁を聞くと依然として疑問が残るのです。それで今日答弁せよと迫るわけではありません、あすでもけつこうでありますから、ひとつこの問題を打開して行く大前提として、政府におかれましても、もう一ぺん御検討になりまして、政府全体としての見解を明日でも披瀝していた、だくことをお願いいたします。
  7. 宮幡靖

    宮幡政府委員 有田委員の御説しごくごもつともだと存じます。お説のように法務府の方と連絡をいたしまして、さらに一層の研究をいたしまして、御納得の行くような政府方針をお示しいたしたいと思つております。  ただお説の税の方だけは前段に申しましたように、石炭消費税という構想を最初持ちましたのでありますが、この税が目的税になります関係で、現在のところでは許されないものである。それとかつ減税を志しておりまする現在の政府政策といたしましても、新税を設くることは減税趣旨に反する、国民負担の軽減の趣旨に反する、こういう政策的見地にかんがみまして、石炭消費税は実施に移すことができなかつたわけであります。このように御承知を願います。そのようなことは御意見通り法務府の方と連絡をいたしまして、よく研究の上、ぜひとも、御納得の行くようなことにいたしたい。御了承を願いたいと思います。
  8. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の政務次官の御意見も一応わかるのであります。しかし減税をしているから、一般国費をもつてこれが充てられない、何かそういうようなことにとられるが、政府も同じく鉱害を受けた者に対して救おうという一つ目的を持つておられるのですから、あまりとらわれずに、何とかしてこの特別の被害復旧して行くことについては、憲法違反でないことが明らかになれば、私はあとから進むべき道があるのですけれども、あまりむりまでしてそういうことをされずに、一般国費からおとりになつてけつこうです。消費税的の行き方をされてもけつこうです。その点は今後の問題に残しますが、ひとつ政府当局はあまり原案に拘泥せずに、ともどもこの問題を打開するという気持で当られんことを切望します。  それから次にお尋ねしたいのですが、これは小さい問題になつて恐縮でありますが、第二十二條の第三項に「その他特別の事情がある場合において、」云々と書いて減免規定がございます。その減免規定が「命令で定める基準に従い、」云々ということが書いてありますが、この特別の事情がある場合、またはいかなる場合に減免するのだということを明確にお伺いしたい。前半も「石炭が低品位であるとき、」ということが明確に書いてありますが、その他あまりはつきり言うことはこの際差控えたい、こういう御答弁もありましたが、実はこの第三項が相当大事な問題であります。また鉱害対策審議会へ諮問した上で云々ということがありましたが、必ずしもこれは必要諮問事項に載つていないようでありますが、われわれとしてはこの点をはつきりいたしたいと思うのであります。私はあまりこまかいことを言うのではなくて、この特別の事情がある場合は、このいわゆる加害炭坑関係のないものも全部含めて言うのか、それをはつきり聞きたいのであります。
  9. 宮幡靖

    宮幡政府委員 第二十二條第三項の全面にわたります規定の御意見、これは本法運用上妙味もあると申しましようか、また一番肝要であることも御説の通りであります。この命令内容につきましては、いろいろただいま研究をいたしておりますが、すでに会期も切迫いたしておりますので、今さら研究だけということでも、はなはだ申訳ないのでありまして、ただいま通産当局としまして考えております項目を例示的に申し上げますと、第一が、掘探した石炭平均品位一定標準に達しない場合、これは前の石炭公団標準を設けておりましたのも、一応の目安になるのではないかということで、これは前回申しました。  第二といたしまして、石炭探掘の原価が一定標準を越える場合、これは読んでその通りだと思います。  第三は、特別鉱害発生に直接関係のない場合であつて納付金全額を徴收するのに適しない場合、こういう項目でございます。  第四は、特別鉱害発生原因において、これと同様の鉱害を含んでおりますが、その発生関係のある炭鉱が、この法案による方法によらずに、その鉱害をみずから解決したような場合であります。  第五が、従前の配炭公団プール制度による炭価加算額不足額を今後調整するに必要がある場事合、十万円やりまして二十万円の工事が行われるというような場合には、そういうところからとらないというような意味に大体なろうかと思いますが、ただいま考えております項目は、この山へ肉をつけ皮を載せるというような形で、この項目の範囲で、この減免規定を操作して参りたい、かように考えておるのがただいまの状況であります。
  10. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の場合は減額の場合と免ずる場合と、両方とも共通の原則でありましようか。
  11. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのところ、さらにその細目を考えなければなりませんので、減免の場合にこの五項目を基本といたしまして、減ずべきか免除すべきかを研究さしていただきたい、かように思つております。
  12. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の命令草案の第三項の納付金全額を徴収するに適当でない云々という言葉がありますが、あれはいかなることを意味しておるのでありましようか、会社の内容が貧弱で気の毒だというようなことを言つておるのか、あるいは他の何かがあるのか伺いたい。
  13. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御説のような場合もあろうと思いますが、しばしばここで論議せられますように、縦から見ても横から見ても、加害炭鉱関連のないような炭鉱は、これは御説のように納付金を納めていただくということが自発的な美挙でありますれば格別、法をもつて徴収する等にはなはだふさわしくないという考え通産省としては持つておらないわけであります。それですから何とかいたしまして、縦から見ても横から見ても関係のないというようなものは、もし復旧工事が進捗するのにさしつかえないというような見通しがつきましたならば、これは納付金を課さない方が妥当ではなかろうか、かような考え方でただいまおります。
  14. 有田喜一

    有田(喜)委員 通産省もいわゆる加害炭鉱関係のないものは課さない方がいい、こういうような御答弁でありますが、それはきわめて私も同感であります。さようなお考えになればどうして全部からとつてそれをまた恩恵的に免除してやる、そういう行き方を持たれたか、それならば單刀直入に直接関係のある者からとる、こういうわけならば法律的解釈も割合楽でありますが、どうしてそういうまわりくどいものにされたか。
  15. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは有田委員の方でも十分法制的なことを御承知でありますから、私から申し上げるのはどうかと思いますが、加害炭鉱でやりますことは例の相互共助精神が盛り込まれておりません。それと巌密なる意味に言いますと、もし国がせわをするというような面が付加されておりますと、わかりやすく申せば事業者団体法というもののうちに考慮されるのでありまして、全体の石炭業者を一団といたしましての犠牲の蓄積であつて、それを運用の面においてこれを免除軽減して行くことの方が、立案の上において非常にゆとりがあるわけでありまして、そうかと申しまして根本的に全然とらないということがよいとは通産省考えておらないのでありまして、私よりおそらく有田委員の方が事情を御承知だと思います。またかような公開の席上におきましては、その経緯につきましてはなるべく申し上げたくない点もありますので、これははなはだ恐縮な話でありますが、有田委員と個人的なお話合いでもさせていただくということがよろしかろう、お許しを願えたらそうさせていただきたいと思います。
  16. 有田喜一

    有田(喜)委員 政府のお立場はよくわかりまするが、しかし本法を解決する上におきましては、どうもその点に私は大きな疑問を持つ、これは政務次官からのお話もありますので、別の機会に譲りたいと思いますけれども、しかしここに本法案の非常にむずかしい問題がひそんでおるということは、政府もよく御認識を願いたいと思います。  そこでもう一点お伺いしますが、念を押すわけでありますが、今の加害炭鉱関係のないところ、それは單に北海道とか、常磐とかいう地域的に関係がないのみならず、同じくその地域において関係ない炭鉱がありますが、それも当然含まれておるものと私は解するのでありますが、さように解釈していいか、その点を伺いたい。
  17. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点につきましても先ほど妙な言葉でお答え申し上げておきましたが、縦から見ても横から見てもと申しましたが、九州にも山があり、北海道に山があるというようなことを考えまして、これは横の繋りだと申している。従つてその地区にやはり私の申しました縦横の道の関連がなければ、一応先ほど申し上げたようなお取扱いのようにいたしたいという気持でおります。
  18. 有田喜一

    有田(喜)委員 政府は従来におきましても、この特別鉱害に対する負担をされておるわけでありますが、その負担内容を見ますと、土木工事水道家屋墓地その他というようにわかれておるような実情でありますが、その中で政府負担をされるものとされないものとがあります。これは絶対的のものであるか、あるいはただ政府の今までの公共事業費としての扱い方上そうなつているにすぎないのか、その辺のところをお教え願いたい。
  19. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今のお尋ねにお答えします前に、ちよつと一言補足させていただきますが、先ほどの減免規定の適用の問題は、前の方のお答えの中にも加えておきましたが、鉱害復旧が実行できることと見合つてと申し上げておりますが、関係のない方までむりやりにひつぱり込みたくないことはもちろんでありますが、鉱害復旧ができるかできないかということの限界が非常に問題になるので、それを対象として考える、こういうことに申しておきます。  それからただいまの御質問に対する答えは、ちよつと速記をとめていただきたいと思います。
  20. 神田博

    神田委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止
  21. 神田博

    神田委員長代理 速記をどうぞ……
  22. 有田喜一

    有田(喜)委員 今までの配炭公団の場合とかわりのないようにやると、こうおつしやるようですが、私は実を言うと、それよりまさつてつていただきたい。今までの配炭公団として特別鉱害復旧工事をやつておられる、この点の政府国庫負担というものは割合少い。ことに家屋とか墓地その他というものにはゼロ、それから国庫負担の割合も水道のごときは二五%で非常に少いのです。これは必ずしも法律上いかぬとか何とかいう問題じやない。政府努力いかんによつては二五%を七〇%八〇%あるいは金額拂いにしてもさしつかえない。また家屋とか墓地その他にしましても、必ずしも国庫負担をゼロにする必要はない。政府努力いかんによつてはできるものだと思いますが、もし何ぼ努力しても法律上、公共事業性質上許されないとかいうようなことがあつたら、この際教えていただきたいのでありますが、何もこれを遠慮する必要はないと私は思うのです。もつと国家として大いに公共事業費負担を多くするように努力される必要があると思います。これに対する見通し——先ほどの前と同じことだということでは気に入らぬのですが、おそらく通産当局もそういうような遠慮したことで臨まれるのじやないと思いますが、まだ来年度予算も出おりませんから、もつもつ努力してもらう必要がある。政府の所見と今後に対する方針をお伺いしたい。
  23. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの有田委員の御説に対しましては、異存のないものであります。法律その他明文等に抵触しない限り、御趣旨に沿いまして今後努力を続けて参りたいと申し上げておきます。
  24. 有田喜一

    有田(喜)委員 くどいようですが、そういたしますと二十四年度までは土木工事水道、そこらのものに出してもらつておりますが、今度は家屋墓地その他にも政府は出されるように努力されるか、それをもう一ぺん念を押しておきます。
  25. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ぜひ御趣旨に沿うように極力善処させていただきたい、かように思つております。
  26. 有田喜一

    有田(喜)委員 次にお伺いしますが、先般九州山口地方限つて特別鉱害が出た理由は、どうかというように、同僚議員から御質問があつたようであります。それに対して何か——私も途中から聞いたものですから聞き違いであつたかもしれぬが、船舶事情によつて北海道とか常磐方面には、そういうような強行出炭を命じなかつたというお話があつたのですが、この点をひとつ明確にお伺いしたいのであります。私は北海道におきましても同じように戰時中は強行出炭をやつたと思います。ただ地形の関係から、かような特別の鉱害九州山口ことに九州方面に多かつたにすぎないと思いますが、その点をはつきりお答え願いたいと思います。
  27. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先般の委員会でも申し上げましたが、強行出炭命令を出しますのを最初から九州とか宇部に限定したわけではなく、またしたくもなかつたのであります。日本全国至るところに当時の法制から参りますと、どこへでも強行出炭命令が出せたわけであますが、先般も申し上げましたように、北海道は津軽海峡という隘路がありまして、輸送上困難がある。特に空襲が激しくなつて参ります前後におきましては、やはり潜水艦等の脅威もあり、大体結果から申しますと、あれほど九州、宇部地区へ強行出炭を命じておきながら、北海道には八十万トンの貯炭があつて終戰になつたというような現実があります。また常磐につきましては、これは常盤全炭鉱がそうだと申し上げるわけではありませんが、鉱害がかなりほかの炭鉱に比べて多い、そういうようなことで強行出炭に不適当であろうということで、幸か不幸か九州が一応強行出炭を即時行わせるにすべての環境がよろしい、宇部もこれに準じてよろしいというようなことで、今から見るとまことに残念なことでありますが九州、宇部がその対象として強行出炭をさせられた。幸いにしていろいろな他の事情によつて強行出炭せしむる條件に、一応当時合わなかつた北海道常磐が、難をのがれたというような形になつておる。こういう意味のことを前回申し上げておいたのであります。またその通りだと現在も考えております。
  28. 有田喜一

    有田(喜)委員 これは田口局長がよく御承知でありますが、私の記憶ではむろん九州山口方面も大いにやられましたが、北海道常磐方面におきましても、石炭増産命令といいますか、強行出炭を相当おやりになつた。そのためには査察使まで出されております。船舶関係におきましても、山下査察使が行つて九州はもちろんのこと、北海道方面までおやりになつたことを私は記憶しております。これは私は結果的にやはりこいう北海道のごとき山の方面ではそういう被害が起らないで、たまたま九州方面の地形の関係上、家屋そういう方面まで被害が起つたと思います。この点はあまりやかましく申し上げませんが、そこで私は期間の問題に多少疑問がある。昭和十六年の十二月八日から終戰時の昭和三十年八月十五日まで、こういうふうに機械的になつておりますが、そう機械的にする必要があるかどうか。これはなかなかむずかしい問題とは思いますけれども、昭和十六年の十二月と十一月、あるいは十月とそんなにかわりがない。こいうような強行出炭でむちやくちやと言つたらおかしいですが、むちやくちやに掘らしたというのは、よほど戰局が追つてからの問題であります。その限界は相当むずかしいと思います。こういうような期限をここにきめて置くことは、私は相当に疑問に思うのです。強別行出炭という事実は、これは通産省ではちやんとわかつておる。この事実だけにとどめておけばいいので、こういう期日を指定されるのは、これは屋上屋を架しておるような感じがするし、非常に機械的のように見受けるのですが、その点はいかがですか。
  29. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点でありますが、これは今の石田委員のお説をそのまま承りますというと、この期間を切ることはまことに機械的になつておりますが、どちらかと言うと、幅が広過ぎるというような御意見に承るわけであります。それで御承知の本法案の第三條の通産大臣が認定いたします場合におきまして、有田委員のような御趣旨を体しまして、十分これに再検討を加えたいというのがただいま考えておることでございます。
  30. 有田喜一

    有田(喜)委員 私が今申したようなことは、政府がいわゆる戰時補償打切りというのとからみあつて政府責任がないということとつじつまを合わすように、これをやられたのじやないかということが想像されるのであります。実質から言えばいわゆる強行出炭をやられたのは、私が先ほど言いましたように、あの期限と関係はもちろんありますが、あの中では狭ま過ぎる。これは、どうも政府戰時補償打切りで、政府はこれに対する責任がない。こういう変なプール計算でもやるのだということで、配炭公団の今までのことを踏襲しようということにあまりに進まれたために、こういうことができたのじやないかということを想像するわけです。それで今後われわれがこの法案に対する態度として参考に聞きたい。これは希望になりますが、政府は昨年の閣議で決定したあの配炭公団でやつたことをそのまま踏襲するのだというような気持を捨てられて、そうしてあくまでも特別鉱害復旧して行くのだという前提に立つていかなる障害をも排除しながらこれをうまくやつて行くのだ。そのためには法律が修正されようが、この法律がやめになろうがかまわない。とにかくあれが救済できればいいんだ、復旧できればいいんだ、こういう大きな雅量ある立場をとられて、あまり今までのいきさつにとらわれないように、われわれと一緒になつてこの問題を解決する。こういうような態度に出られることを私は切望するわけであります。
  31. 神田博

    神田委員長代理 政府側の答弁はないそうですから……
  32. 有田喜一

    有田(喜)委員 それではあしたまた継続いたします。
  33. 神田博

    神田委員長代理 次は關内正一君。
  34. 關内正一

    ○關内委員 簡單に二、三の点をお尋ねしたいと思います。まず第一に、法案によりますと「国の石炭増産要請に基いて」とありますが、国の要請命令出炭とはおのずから違うと思いますが、これは命令出炭と解釈してよろしいでしようか。その点をまずお伺いいたします。
  35. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの御質問についてお答えをいたしますが、特別鉱害の認定につきましては、第三條の第一項の第一号から第三号まであります。このうちの第二号にありますように通常講すべき措置が国の要請によつてなされなかつたことに基因する鉱害を認定しようと思つているのでありまして国の命令という問題につきましては、当然命令によつてなされたものが大部分であろうと思うのでありますが、必ずしもこれを一概にただ国の命令という——命令とはしからば何かという場合に、通牒とかあるいは指示というようなことでなく、この期間中にいろいろな増産運動とか、あるいは行政視察使とか、あるいは軍需会社法の制定、あるいは石炭統制会の統制規定というような問題がからみ合いまして、いろいろな形において強行増産が行われたわけでありまして、私どもの解釈といたしましては、やはり通常講じ得るようなことができないようないわゆる圧迫によつてなされたことをこの鉱害の認定のときに一つの重要な條件としているわけであります。
  36. 關内正一

    ○關内委員 ただいまの御答弁ははつきりいたしませんが、命令出炭承知してよろしいのでございますか。
  37. 田口良明

    田口政府委員 大体命令出炭であるということは言えると思います。
  38. 關内正一

    ○關内委員 そうしますと、命令出炭の法的根拠を簡單に御説明願います。
  39. 田口良明

    田口政府委員 この命令出炭の根拠については、前回の委員会において申しました通りでありますが、ただいま考えております命令出炭には、第一に増産命令に基く強行出炭、こういう問題を第二に考えているわけでありまして、その内容につきましては前回の委員会で申しましたように、たとえば軍需会社法に基く生産命令、あるいは石炭統制会統制規定に基く生産割当、こういうようなものを一応生産割当増産命に基く強行出炭というふうに考えておるわけであります。第二が掘採方法の強制による強行出炭でありますが、これは当時中央から発せられた指示、命令あるいは通牒、また当時の地方鉱山局において出された命令、指示、こういうものを考えております。またたとえば十間間隔地というものの撤去というようなものも、省令によつてこれを廃止いたしましたのに基く強行出炭であります。第三には視察使による強制的な措置であります。これは主としてその当時山に口頭をもつて発せられた命令、こういうようなことによつて強行出炭。第四には一般的な増産運動、挙国石炭増産運動、そういうことによつて間接的に強行出炭をさせたというもの。第五は当時資材が非常に少くなりまして、通常講ずべき措置が講ぜられなかつた。その場合一方先ほど来第一から第四まで申し上げましたような措置が強硬になされましたために、通常講ずべき措置が講ぜられなかつた。こういうことによつて起きた鉱害を特にここに特別鉱害として認定の範囲におくということにいたしておるわけであります。
  40. 關内正一

    ○關内委員 この命令出炭を実施した年月日は、法案にありまする昭和十六年十二月八日から昭和二十年の八月十五日まで、この期間でありますか、その点を明確にしていただきたいと思う。
  41. 田口良明

    田口政府委員 期間については十六年十二月から終戰までということになつておりますが、先ほど申しましたように、一応五つのケースを考えて見まして、それが現地の炭坑にいろいろな形において指示、命令というような形で届いておるわけであります。それに従いまして考えて行くということになりますので、当然一つの傾向として、十六年十二月からだんだんそういうふうな命令の度数の密度が、終戰になるに従つて頻繁になつたということは申されますけれども、初めにおきましてはごく少数のケースと考えております。
  42. 關内正一

    ○關内委員 先ほど委員に配られました命令出炭の資料によりますと、たいへん食違いがあるのではないかと思います。それは昭和二十年三月二十四日軍需省の燃料局長が九州地方鉱山局長にあてました石炭緊急増産に伴う鉱害補償に関する通牒、この通牒の内容を見ると、「本件二関シテハ当局二於テ予テ法制局及大蔵省ト鋭意打合ヲ推メタル結果国家総動員法二基ク土地工作物管理使用收用令ニ依リ鉱業権者ヲシテ土地及地上施設ヲ收用セシメ之が為鉱業権者ノ蒙ルベキ損失ハ防空法二基ク強制疎開ノ例二準ジ、国家ヨリ之ヲ補償スルコトニ方針決定シタルニ付至急左記ノ通実施愛成様致度依命通牒ス」こういう通牒が出ておるのであります。さらにまた昭和二十年六月二十六日の閣議決定によりますると、いろいろありますが、一、戰局の現状に鑑み九州及び山口炭に関し、左の非常採掘の措置を講じ第二・四半期においてこれこれの生産を確保する。こういうような二つの指令が出ておるのであります。従いまして命令出炭の強行措置をとつたのは、少くとも昭和二十年に入つてからだと推定されるのであります。そうしますと昭和二十年三月以前から昭和十六年十二月八日までの間は、決して強制出炭でなく、命令出炭ではないという解釈が下されると思いますが、この点につきまして御説明願いたいと思うのであります。
  43. 田口良明

    田口政府委員 お配りしてあります資料について初めに御説明申し上げておけばよかつたのでありますが、お手元の資料は必ずしも計画的な、系統的な昭和十六年十二月からの政府強行出炭命令の資料を残らず網羅したのではございませんで、ただ手近かにあつた資料をここに御参考までに、こういうふうな形式で出たものもあるという例として差上げたのでございます。この資料につきましては、御承知のように、終戰直後政府の資料の焼却なんかも命ぜられたりなんかいたしましてただいま手元には十分系統立つた資料はございませんが、大東亜戰勃発以来逐次戰局が苛烈になつても参るに従いまして、強行命令が出されたことは、ただいまの二十年三月の命令と言い、六月の命令と言い、これは如実にその当時の模様を物語つておると思うのであります。先ほど申しましたように、昭和十六年六月に商工省令をもつて出しました十間間隔地の撤去の問題、こういうような問題も一例をあげますると、とございまして、必ずしもここに昭和二十年の上半期のたとえば三月、四月というところに一線を画して、それ以後のもののみを、特別鉱害の期間的な範疇であるというふうに決定することは、早計に失するというふうに考えられますので、これを昭和十六年の十二月から終戰までということにいたした次第でございます。しかし、しからば全然増産命令というようなものが、二十年前にはなかつたかと申しますと、そういう点につきましては、先ほど申しましたように、中央の閣議決、定なり、あるいは軍需会社法なり、そういう方面によつて強行措置がそれぞれ地方の官庁から具体的な命令となつて、山に伝達されたというような事実も顧慮いたしまして、ここに期間を一応第三條第一項第一号におきましてはきめてございますが、それはまた第二号におきまして厳密な採掘方法、箇所というようなことでしぼり、さらに第三号において緊急性あるいは的確性ということについて十分審査して、最後にこれをしぼり上げるという方法をとつておるのでありまして、一応の期間として大東亜戰争勃発から終戰まで、こういうことにいたした次第であります。
  44. 關内正一

    ○關内委員 ただいま手元にあるこの二つの資料、これは当然政府命令出炭させたという証拠になるもの、参考になるものをこの際要求しておく次第であります。さらに先ほど有田委員よりもお尋ねがありましたようでありますが、二十二條の三項、「命令で定める基準に従い、」云々とありまするが、命令に定める基準というのは、いかなる内容を準備してあるのでありますか、その内容をお示しを願いたいと思うのであります。これは本案の審議の上にきわめて重大な関係を有するのでありまして、政府といたしましてもあらかじめの御準備があることと存ずるのであります。この点につきましての御所信を伺いたいと思うのであります。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのお尋ねは、先刻有田委員からのお尋ねのときに、命令案となります五項目を申し述べましたが、それ以上のことにつきましては、なお今後ひとつ研究して行きたい、かように考えております。また五項の問題を繰返す必要がありましたらここで申し上げます。いかがでありますか。
  46. 關内正一

    ○關内委員 よろしゆうございます。  最後に政府石炭行政ということにつきまして、御所信を承りたい事存ずるのであります。さきにわが国の経済の再建は、三千七百万トンの炭がなければ不可能である。あるいは四千二百万トンの石炭がなければ、日本の再建は不可能である。かような観点から政府は各炭鉱に対しまして、増産を督励して参つたのであります。今日配炭公団が廃止になりまして、今日の状況は配炭公団の手持ちが相当あるような現状であります。一体日本の工業生産を、経済復興をいたしまするに要します最低限の石炭量は、一体どれだけの量を必要とするのであるか、この点をまず承つておきたいと思うのであります。
  47. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この問題は非常にむずかしい問題でありまして、有効需要と照し合せ——一体有効需要という観念もどこにありますか、また貿易の進行の程度によりましてもいろいろ関係があります。従いましてお尋ねはきわめて適切なことでありまするが、ただいまとしましてはどれだけの炭が絶対必要だということは、この時期において停止的な数字を申し上げることは、石灰情勢に対して適当のものでないように考えております。しいて数字を申し上げるといたしますならば、三千七百万トンないし四千二百万トン程度の炭がぜひ必要ではなかろうか、こういうふうにただいまは考えてやつておるわけであります。
  48. 關内正一

    ○關内委員 数字の点はあとに譲りましても政府炭鉱の育成、助成というような方面につきましては、どういう御方針をもつていられるのでありますか、ことに中小炭坑が、配炭公団が廃止されました今日におきまして、特に低品質地帶——常磐あるいは北海道の一部分、あるいは山口県の一部分というような、きわめて低品位炭鉱地帶においては、相当休山が続出するような現状であるのであります。これらの炭鉱につきまして政府はどういうふうな育成、助成をするか、あるいは金融の面においてどういうような考慮を拂われておるかという点につきまして、一応お尋ねしてみたいと思います。
  49. 宮幡靖

    宮幡政府委員 配炭公団廃止に伴いまする炭鉱金融の問題は、実に重大なことでありまして關内委員の御指摘にありました中小炭坑の金繰りということにつきましては、非常な苦慮をいたして参りました。当初は大体設備資金、運転資金という確然たる区別はいたしませんでしたけれども、まず配炭公団廃止に伴うつなぎ資金的なものとしまして、中小炭鉱に対しまして十八、億程度の融資をいたしたい、かように考えまして、その方法についていろいろ研究いたしました。もつともこれに先だちまして、もし有効需要等を超過いたします石炭の生産があるようであつたならば、これはぜひ一応政府で買取る保護政策もいたして行きたいと思いまして、現実の問題として関係方面と交渉もいたしたのであります。これは現在の事情においては絶対に許すべからざるものであるというようなことで引き退いたわけであります。  次には金融の方途によるべきであるので、いろいろこの金融につきましても、最初は少くとも復金の貸出し機能は停止しておりますが、回收につとめておるし、復金が存在いたします以上、その金融業務として保障をするのも妥当であろう、こういう観点からこれに対しまして復興金融金庫が保障いたしまする融資をしよう、こういうことで金額は先ほど申しました十八億程度を目途といたしまして交渉いたしました。これはまさにそれによつて実現しようといたしました場合に、残念ながら関係筋から復興金融金庫の機能の完全停止を命ぜられまして、またこれと並行しまして預金部資金の運用というようなことも考えましたが、これは少々むりな構想がありました。もう一つはここでちよつと申し上げかねますが、特段な国内手続によりまして、せひこの融資をいたしたいと思いまして、これも努力いたしましたが、やはりその効果を收めることができない、そこで結局は最後に残りますものは何と申しましようか、コンマーシヤル・ベースの範囲で、オープン・マーヶット・オペレーシヨンの操作によりまして、これでもつて金繰りをつける以外に方法がない、こういうことで關内委員も若干御存知のように、いろいろと苦心を拂いまして、ただいまでは興業銀行を通じまして、四億少々が資金として実際に貸出されておる。このわくを確定的な文書で、こういうきめで、あるいはこういう規定でということはありませんが、十二億程度の資金が流れて行くようにいたしておるのでありますが、これがやはりただいまの金融統制がなくなりまして、しかも金融に関する法規が整備されてない段階におきますると、どうしてもコンマーシヤル・べースによります市中銀行利用ということになりますと、金融の受入れ態勢がおもになります。いわゆる借りる力がある、借せられる力がある、ところが金融というものは借りられるところ、借せられるところというならば、あつせんも何もありません。事実上は借りられないというところに流れる道、それにはこれらの補助をしなければならぬ。それが許されないということで非常な行き悩みになつて、これは中小炭坑に対しまして、きわめてお気の毒だと思います。そこでただいまは一々の件につきまして、大体了解事項になつております興銀からの融資十二億を目安といたしまして、一々ごあつせん申し上げる方法で、この欠陥を何とか最小限度にとどめようと努力いたしておるわけでありまして、現実の問題で配給残がただいま資源庁の方にどれだけの報告があるか、私の方といたしましては休山いたしたというのは、報告をまだ受けておらないわけでありますが、事業家はそれぞれ新たなる自由競争出発の中におきまして、御苦心をなさつておることとは想像いたしております。そこでぜひとも機会あるごとにこの問題をとらえまして、検討を怠らないつもりでありますので、具体的問題について御相談をいたしまして、日銀とのあつせんその他の資金わくもございますので、その範囲内におきましてぜひ金融の道をつけて、こういうことにさしていただきたいと思います。いろいろなことを考えまして、ぐちを申すようになりますが、この措置につきましてもいろいろな計画を立てましたものが一次、二次、三次、四次と数えて参りますと、おおむね十段階くらいの努力を拂いましたが、残念ながら成功の域に達しません。はなはだ当局自身としても遺憾にたえないところであります。事情はさような状況でありますので御了承いただきたいと思うのであります。
  50. 神田博

    神田委員長代理 先ほど来資料の要求があつたようであります。私からももう一つお願いいたします。先般いろいろ要求した資料が大分手元に参つておりますが、先ほどから有田委員ほかいろいろ議論されておる点を聞きますと、通産大臣に対する委任立法規定が非常に多いということが、議論の焦点にもなつておるようですが、これは政府で施行政令というものを準備されているのじやないかと思います。施行政令が準備されておるならば、それをひとつ出してもらえば審議上大分都合がいいのじやないかと思いますが、この点どんなふうになつておりますか。今もつておらぬということになりますと、政務次官がいろいろ——たとえば二十二條規定減免のようなことを言われておるのは、そういう考え方をしておるということだけなんですか。
  51. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま委員長からお申しつけの資料につきましては、まだ全部できておりません。極力これをつくりまして、御希望に沿うようにいたして、御審議をお進め願うようにいたしたいということをお伝えしておきます。
  52. 神田博

    神田委員長代理 次は田代文久君
  53. 田代文久

    ○田代委員 先ほどから同僚議員から、特別鉱害の範囲の問題のはくきりしない点がありますりで、いろいろ意見がありましが、私がお尋ねしたいのは、結局特別鉱害の範囲が、国の要請が非常に重要な條件になつておるの、でありますが、むしろ終戰後におきまして、三千六百万トン出炭計画、あるいは四千二百万トン出炭目標に対いまして、国の要請で非常に強行出炭がされたわけでありまして、それについての鉱害が非常にたくさん発生しております。従つて二十年の八月十五日とぴしやつと線を引いてよいかどうか。最近までを特別鉱害の範囲に入れられる意志があるかどうか。その点について承りたい。
  54. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは先刻の有田委員お話と今度は逆の面でもう少しわくを広げるいべきだ、こういう御意見だと思いますが、大体石炭生産局その他の技術面の意見を聞きますと、昭和二十年八月十五日までの強行出炭によつて特別鉱害というものは、爾後四箇年くらいの間に発生して参る。結局強行出炭が終つた時期を規定しておきますればそれから現実の特別鉱害が起ります時期がずれましても認定の範囲に入るものとして考えております。なおこの問題については技術的のことは田口生産局長からお答えいたさせます
  55. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの点につきまして、たしかに一つの論拠だろうと思うのでありますが、ただ私どもは一つの例にたとえてみますと、ここに火災が起きた。その火災が起きてからちようど火災が消しとめられたというところまで、一応特別鉱害考えておるわけでありまして、その火災の途中におきまして、ここから火消しが到達したとか、その前にたんすを運び出したとか、その区分をすることは非常に困難であるということは、先ほどちよつと申し上げたわけであります。さて火災が済んでから、いわば二十年の八月十五日以降におきましては、これは通常の法規に従いまして採炭をいたしたのでありまして、もちろん相当強行な出炭もいたしたのでありますが、あくまでもこれは現在の通常における法規に準拠して、これを採掘したというように考えておりますので、そういうただいまの範囲をさらに終戰後に延ばしたらよいのじやないかという御説も、ある程度まで私どもわかるのでありますがここに戰時強行採炭ということに区分いたしたのもそこにあるわけであります。
  56. 田代文久

    ○田代委員 今の説明では納得できないのであります。実際に現地においては、炭鉱調査団まで来るというので、その山の意見に反してまで強行出炭されておる。そういうところから業者の方でもそれに応ずべくむりな出炭をやりまして、結局そこからたくさんの被害発生しておるわけであります。これに対して通常の鉱業法の範囲内でなされたということになると、結局迷惑は被害者に及んでおるのでありますから、その点を十分考考慮していただいて、はつきりと二十年の八月に切らずに、もう少し延ばしていただきたい。二十一年でも非常に強制出炭をやつたために、その年即刻被害が出たという事例がたくさんあつたことは、御存じの通りだと思います。先日来の同僚議員の大臣への質問ではつきりいたしましたことは、これが單なる建設的の措置ということでなくして、社会問題であるという点がはつきりいたしました。この社会問題であるということがまずはつきりしたことは、私は非常に喜ぶ者であります。なおまだ十分はつきりしていない点は結局これは鉱業経営者が幾ら金を出すか出さぬかという問題、政府が幾ら負担するかという問題だと思いますが、実際は被害者の問題であります。被害者の面からこの問題を取上げていただかないことには、ほんとうにいかに解決するかという点も出て来ないのであつて、おそらく全国には百数十万の被害者があります。また政府からもらいました資料によりましても、福岡県の二瀬町などにおいてはこの特別鉱害のために川は切れ、家は水につかり、死者まで出ておる。こういう事態になつて、しかもそれが九月十五日の配炭公団廃止以来その工事も中止されておるという現状でもありますし、そういう事例を申しますと、まだたくさんあるのでありまして、特にそういう点を少くともこの法案を通過さしていただきます場合においては、政府側も同僚議員も十分理解して取扱つていただきたい。はつきり緊急を要するということも言われておりますし、今申しますように、工事が中止されておるというような現状にもなつておるのでありまして、何はさておいても早く通過さしていただきたい。とにかく臨時国会にぜひこれをやつていただかないと、昨日来同僚議員が痛切に言われましたように、現地の被害者にとつては一大社会問題として大きな運動が現在起りつつあり、現に特に今日も地方自治体、あるいは被害者の方々が再三陳情に見えておるわけでありまして、先日来この委員会で申し合せになりました鉱害地の視察、それから公聽会というようなものは、私はまず特別鉱害法律を通して、後にやつてよいのではないかということを考えております。なぜかと申しますと、そういう緊急性を持つているということ、従つて私ははつきり政府質問いたしますが、この臨時措置の法案を通して、後に次の国会で政府の資料によりますと、二百三十一億に達する大被害があるということになつておりまして、これはとても單なる今までの鉱業法による賠償の規定では解決しない大問題であります。従つて政府はこういう大被害に対しましては、法的な措置によつてこれを復旧し、あるいは賠償するような法案を出す意図があるのかどうかという点をお尋ねいたします。
  57. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この社会問題を解決するための緊急性を認識して進めという御意見に対しましては、まつたく同感でございまして、ことにただいま御審議を煩わしておりますこの法案は、田代委員の仰せの通り、ぜひこの国会でお通しを願いたいというのが、原案提出の立場にあります通産省としては、くれぐれもお願いすることであります。しかしながら私ども政府は国会の権威及び委員会の御意見等を十分尊重いたしたいと思つておりますので、ただいま御発言の数々につきましては、ぜひ委員会の御意向を政府当局にお申出くださるように御相談をいただきたい、かように思うのであります。  それから田代委員後段お尋ねでありますが、もしそういう事実が起りまして、これを処置すべき問題であるというような観点に達しましたならば、ぜひ何らかの対策を打たなければならぬと思いますが、その実情につきましては、田代委員のお取調べになつております資料等もちようだいいたしまして、資源庁当局に現地調査をさせた上、研究を進めさせていただく以外に、ただいまとしては御答弁申し上げる用意のないことを、はなはだ残念に思います。
  58. 田代文久

    ○田代委員 資料は実は私が集めたのではなくて、先日政府からいただいた資料であります。
  59. 田口良明

    田口政府委員 特別鉱害の一応の資料といたしまして、戰争の起きました昭和十六年十二月前に一般鉱害いわゆる金銭賠償をしておる鉱害が、どのくらい起きておつたかという数量と、戰争中の特別鉱害及び一般鉱害を含めて鉱害がどのくらいできておつたか、それから戰後においてどのくらいできておつたかという、要するに戰争中の特別鉱害としてここに銘を打つて判別して、これは特別な復旧措置をしなければならぬという一つの御参考までの資料に差上げたのであります。従いまして、これは前からあります一般鉱害につきましては、もちろん各炭鉱におきまして金銭賠償して、これが補償はなされておるわけであります。それで今度の問題は特別鉱害の今までの一応の調べによる九十八億、この九十八億も毎回申し上げますように、必ずしもまだはつきりしたものではない。ただおよその見当が九十八億ということになつておるのでありますから、本臨時措置法案によりまして、第三條の認定によつて嚴重に認定をいたした場合に、これがどの程度になるか、おそらくもつと圧縮されるであろうと考えますが、そういうような多額の数字には上つていないのであります。
  60. 田代文久

    ○田代委員 すでに過去のものは賠償が済んでいるというようなお話でありますが、実際に現地を見て調査され、あるいは被害者からお聞きになりますとわかるように、そういう被害はまだ十分解決いたしておらないのであります。それから先日来の田口政府委員説明によりますと、この特別鉱害のわ。くというものをできるだけ圧縮するような意図が明瞭にに出ているのでありまして、これはある主観的な、客観的のない、つまり予算をできるだけ切り詰めて、特別鉱害のわくを狭くして、その範囲でやろうというような意図がちらちら見えるのであります。この点はなはだ遺憾に思つているのであります。なぜかというと、この法案内容といたしましては、大体五十億見当がねらわれておつて、それを五箇年でやる、一箇年大体十億程度の復旧をやることによつて、この特別鉱害が完了するのだというように理解され、またそのように説明されているのでありますが、すでに九十八億、百億近いというこの実際の数字はでたらめではないはずであります。ちやんとこれは各省の関係によつて調べられたことが、はつきり文章に出ているのでありまして、そういう権威ある数字、しかもこれは五億か三億の差あるというならばまだわかるのでありますが、これを五十億見当にまで半減されたという意図自体は、私があつき申し上げました非常に主観性のある、被害者にとりましては非常にゆゆしい問題になるのでありまして、この点をはつささしていただきたい。
  61. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの田代委員お話につきましては、私どももまつたく同感でありますけれども、とにかく国家の予算、また業界の血の出るような納付金、また地方公共団体の非常に協力的な予算によつて、これをすみやかにしかも合理的に復旧しようというのでございますから、いやしくもこの法案の中において、一般鉱害によつて発生したようなものを、この特別鉱害の中に便乗させるようなことは、巌に避けなければならない点だと考えるのであります。この戦争中に国の命令によつてやむを得ず起きた鉱害につきましては、これをできるだけ復旧を早からしめて、一般民生の安定に資するということにつきましては、私どももまつたく同感でありますけれども、ただこの数量につきまして、先ほど各省の現地調査による九十八億という数字と、ただいま政府において一応五十億を目途としているという数字との間には、数十億の差があるという点は、ごもつともだろうと思うのであります。ただ九十八億の中に、すでにもう資料がお手元に行つていると思いますが、過去二箇年間に十一億、約一割を復旧いたしたわけであります。さらにこの中には何と申しましても、各省の共同現地調査で、短時日にこれを調査したのでありますから、もちろん特別鉱害に該当すべき復旧事業については、あくまでもこれを復旧しなければなりませんが、これを、嚴密に査定すれば、もう少し圧縮されるのではないかという私どもの一応の見通しでございまして、決して各省共同現地調査の九十八億を軽視するということでもございませんが、本法案によつて特別鉱害のしつかりした認定をしようというのが、この第三條で規定してある條文でございます。
  62. 田代文久

    ○田代委員 今の御説明によりましても、私が最初に申し上げました被害者の立場からこの問題を理解し、また立案し解決していただきたいという点は、十分理解されておらないのであります。実際の被害者の話を聞きますと、また現地で私ども知つておるところによりますと、被害者は非常に弱いのであります。家が傾き、あるいは井戸水が出ない、道路は陥没しておる、水道が出ないというような問題を炭鉱に持つて行く、炭鉱はそれはよろしゆうございます、すぐ百万円出しましようというようなことは言わないのでありまして、実に四の五の言つて荏苒日を送る、五回、六回行きますと、結局被害者の方が疲れて参りまして、大き」なものには自分らは勝てないというのでへこんでしまう。結局ここに百軒ほど家の被害ができておる場合におきましても、非情に口をきくいわゆるボス的な有力者があたるというような場合におきましては、四、五軒だけは片づくけれども、あとの大半はこれは見のがされておるという実情で、実際この鉱害問題に対しましては、被害者はどこに持つてつてよいかわからないというような苦情を持つて、長い間その不便を忍んでやつて来ております。従いまして現在政府の数字が、そういうように被害者がはつきり数字を言わないからといつて、これは少いのだというようなことを断定されること自体が、非常に誠意を欠いておるということが言えるのであります。この点は私は十分反省していただきたいと思います。またその立場に立つていただかない限り、この問題は徹底的に解決いたされないし、また大社会問題が勃発するということを私は忠告するものであります。現在の御説明によりましても、一応の見通しでこの法案をつくる、また見通し内容でこういう計画になつておるとおつしやいますけれども、はつきり五十億五箇年間というようなことは、すでに出ておるのでありまして、これは当初の見通しではなくて、はつきりその線で押すのだということが出ておると思いますが、この点いかがでしようか。
  63. 田口良明

    田口政府委員 ここに五箇年五十億というような目途であることは、臨時措置法提案の理由づけに書いてございまするが、もちろん本法案の第三條によつて認定されて来る特別鉱害が、はたしてどの程度になるかということは、ここで的確に申し上げられないのであります。ただ今までの現地調査の調べによると、九十八億になつておるというのでありまして、この法案の成立によつて実施されまする特別鉱害の認定が、特別鉱害の対策審議会によつて答申されまして、初めて確定されるというふうに私どもは解釈しておる次第であります。
  64. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、五箇年間というようなはつきりした期間的な根拠は、どこから出て参るわけでございますか。
  65. 田口良明

    田口政府委員 根拠と申されますると、これは何らしつかりした根拠があるわけではございませんが、おおむね九十八億という中からすでに一割の復旧やつた。さらに嚴密な査定をすれば、一応五十億程度ではないか、それで一箇年十億というような目標を立てておりますが、これは必ずしもこれに拘泥しようという考えではございませんで、政府はなるべくこの事態の緊急性及び社会問題の重要性を考えまして、この期間に復旧を完了したいという考えは、田代委員と同じであります。ただ国家予算にいたしましても、また鉱業権者負担額から考えましても、これが思うように行かないというようなことも彼此勘案されまして、一応こういうふうにしておるのでありますから、これをさらに圧縮して二箇年とか三箇年とかでできることにつきましては、政府としても異存のないところであります。
  66. 田代文久

    ○田代委員 大分はつきりして来ましたが、これを大体かりに百億の被害としましても、こういう火のついた被害者に対する復旧を、五箇年間にも長く延ばすということは、非常に私どもは不満であります。今田口政府委員が申されましたように、これはできるだけ短期間に、少くとも二箇年間くらいにやつていただきたいということを要望いたしますと同時に、この際政府側におきましては、この社会問題としての被害に対して、予算の問題について非常に心配されておる、つまり政府としても、あるいは地方公共団体としても、あるいは鉱業権者としても、そういう金はなかなかないから、思うように行きませんというような、御趣旨のように承つたのでございますけれども、社会問題として、また百数十万の被害者のせつぱ詰つた立場を十分認識されますならば、私はこの五十億や六十億の金は、すぐにできるということを断言します。なぜかと申しますと、きのう上程されました輸出信用保險法案の問題におきましても、あるいは昨日本会議に上程されました、あの木炭の赤字捕愼の問題にしましても、そういう問題にはすぐ五十何億というような金がずばりと出ておる。まして百数十万にも及ぶ、しかも零細な被害者が切々の声を上げて、そして永年の間がまんにがまんされておる。このような社会問題に対して、そういう金が出ないということは、私どもはどうしても理解できないのであります。先ほど私が申し上げましたことを繰返して申しますが、これは被害者という立場から、はつきりつかんでいただきたいということを、強力に要望いたしますと同時に、先ほど田口政府委員が申されましたが、過去の実績というものが示しております通りに、今まで特別鉱害なるものに十一億余り、それを二、箇年の間に出されておる、一年間に五億余りでありますが、一年間に五億余りといたしますと、かりに五十億といたしまして、十年かかります。そして私が申しました、また現地の被害者が申されますように、これが八十億、九十億ということになりますと、二十年というやうなことになる、これはむしろ鉱害復旧しないという結果になるのでありまして、この点に対するお考えはどうであるか、つまりこの法案によつて政府はそういう特別鉱害をほんとうに解決し得る自信があるかどうかということであります。
  67. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いろいろ社会問題として大きな問題であるという御意見は、切実なものでございまして、ごもつともだと思います。政府はこの案によつて鉱害を完全に復旧できる自信があるかというお説でありますが、もちろんこの案の御決定を願いますると、この三條等の運用によりまして、特別鉱害というものを根本的に認定することが可能になります。そこでその場合におきまして、この法案の中に盛り込まれた処置では、この問題の緊急性及びこれを完全復旧いたしますのに足らないというような事態でもありますれば、そのときにおいてさらに御審議に訴えまして、適当な措置を講じて参りたいということを考えております。
  68. 田代文久

    ○田代委員 今の答弁は政治家のせられる答弁ではないのでありまして、すでに実際あるにしろ、そうでないにしろ、二百数十億の被害が見積られておる。福岡県だけでも最初の被害というものは百三十億くらいと見積られておる。それがまた念を入れられて、そして八十九億くらい減らされております。それをなおまたもう一度念を入れましてやらなければ、はつきりわからないということでありますと、これは結局逃げる腹であるということがはつきりわかるのであります。この法案を見ると、そういう被害に対する政治をやるについて、だれが見てもすぐ理解できるというような立場から、この案が組まれているようには見えないのであります。従いまして今の宮幡政務次官の御答弁は、はなはだ不満でありますが、なおこれに対しては、具体的に事これ以上の答弁はできないかどうかということを、重ねて伺います。
  69. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見はしごくごもつともでありますが、ただいま審議に備えております法案が今のところ政府考えておるものでありまして、その後状況の変化によつてお説のような事態となりましてこれに対応しまして、順次これを処理いたす対策を、講じて参りますことは、田代委員承知通り政府のなさなければならないことであります。それを含んでやつております。先ほどからいろいろ各委員から有力な御意見をお教え願つておるのでありますが、その中でこれはこちらから申し上げてどうかと思いますが、特別鉱害の範囲はもつと縮まるべきであるという御意見と、もつと拡大せらるべきであるという御意見とがあるように承つております。最初申しましたようにこの法案に対しましては、いろいろ速記をとめて申しましたような事情も介在いたしておりますので、先刻もちよつと申し上げましたように、政府はこの法案をぜひお通し願いたいという熱意にあふれておるわけでありますが、委員会の御意向によりましてはぜひ尊重して参りたい。このことを先ほども申し上げておきました意味におきまして、御了解いただきましたならば、おおむね田代委員の御発言の点もそこに現われて来るのではなかろうか、かように考えております。
  70. 田代文久

    ○田代委員 今の宮幡次官の御答弁では依然としてこの鉱害のわくを縮むべきである、また田代は広むべきである、「べきである」というようなことをおつしやいましたが、私どもは「べきである」とか何とかいう立場で言つておるのではないのであります。実際客観的に調査した結果、その被害に対してそれが復旧されればそれでよろしいのでありまして、従つてこれは何らの主観を交うベき性格のものではない。それが百億であろうと、二百億であろうと実際に被害が出ておれば、これは当然速急になされなければならないし、またこの問題についてはいろいろの問題が介在しておるとおつしやいますけれども、私はどうしてもそれが理解できない。繰返して申しますならば、きのうのあの木炭のような赤字に対しては、即刻そういう巨額の金が一瞬にして議会を通過するというような事態になつておる場合に、これほどの社会的な大問題が、なぜそういうもやもやしたものによつて解決しないのか。また解決する意思をお持ちにならないかどうかという点であります。私はこれは政党政派を超越して、同僚議員もほんとうに考えておいでだと思いますが、これは解決していただかなければならないと思うわけであります。先ほども田口さんからの御説明によりますと、五十億五箇年ということについては、これは広げるか、縮めるかというお話がありましたが、結局この御説明の五箇年というものを修正される意思をお持ちかどうかを、あらためてはつきり御説願います。
  71. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見はいろいろ承らさせていただきますが、提案いたしております原案は、政府自身といたしましては修正いたすような心持ちを持つておりません。
  72. 田代文久

    ○田代委員 それで政府の主観的な意図がいよいよはつきりいたしたわけであります。私はこの法案をよく見まして、この法案によつてはこの特別鉱害なるものは解決しない。また政府もこれでは怪しい、自身が持てないということをお考えになつておることは、私は遺憾ながら見通さざるを得ないのであります。というのは実際におきまして過去におけるこの復旧の実績が証明しております。今までいくら被害があつたか、それに対する計画は一箇年いくらにするというようなことも、はつきり出ておるにもかかわらず、福岡県筑豊におきましても、これは建設委員会から調査に行つて、衆議院議長あてのはつきりした資料によつたのでありますが、その特別鉱害の額というものは十四億五千万ぐらいに達しておる。施行期間を三箇年をもつてすれば、一箇年の復旧事業量というものは四億八千万円、つまり約五億になる。それにもかかわらず復旧工事費として認められた額は昭和二十三年度、二十四年度ともそれぞれ約一億五千万円程度である。こういう程度の事業量をもつてしては、すでに査定済み箇所の復旧工事を完成するだけでも、今後十数年を要するということは責任ある建設省の調査にもはつきり出ておるのであります。これによつて特別鉱害が解決するかどうか。実際にまたこういう今までに立てられた過去の実績というものが非常にインチキ性を持つておる。こういう点で今まで被害者が悩まされておりました。いつの間にかぼやかされてなくなつてしまつておる。筑豊におきましては御承知かと思いますが、あそこで金をもうけても家を建てる気がしないということを、だれでも言つておます。それは何を意味するか。すでにあの遠賀川流域筑豊炭田全体は、平均して一メートル沈下しておるということが言われております。そういう重大なる社会問題に対しまして、私はこの際ほんとうに誠意のある政府の立場、あるいは計画がなければ安心できないのでありまして、重ねて御質問いたします。
  73. 宮幡靖

    宮幡政府委員 福岡県の地方問題と地元の田代委員からお取上げになつて、御熱心にお話くださるお気持はよくわかります。しかしながら戰時の個人及び企業等に対する損害を、幸いにいたしまして他の條件を具備して政府が全部補償できるような状況でありますと、まことに仕合せでございますが、御承知のように戰時補償は全部打切らなければならない、かような状況にありますのみならず、單に先般来の御意見の中にも他の損害をどうするのだ、同じ鉱業といつても、鉱毒の被害で全然美田、熟畑が荒されて、耕作も何もできない。こういうようなものもあわせ考えないのか。なぜ石炭だけにはこんな配慮をするかというおしかりの御意見もこの委員会に現われておるような実情であります。彼此どうぞ照合されまして、政府考えておりまするところをな何とぞ御了承願いたい思います。
  74. 田代文久

    ○田代委員 これは同僚議員もひとつぜひ理解していただきたいのでありますが、石炭のみとか、何とかいうことに私は拘泥しておるのではないのであります。そういう問題で一厘、一銭の利益も得ていない。百数十万の人に迷惑、不便がかかつているというところに、一切の問題があるのであります。そこで私たちは社会問題と言うし、社会問題としての立場から解決しない限りはできないという問題も、そこにあるのであります。この点は政府側におかれましても十分理解していただきたいと思いますし、またそれでなければ私は解決できないし、ただ福岡県のことだけを言つておるのではないのであります。私が先ほど申し上げましたこの例というものは、実際に過去の政府がとつて来た、また今まで之社会がとつて来て被害者被害を及ぼし、また復旧工事に対しては蚊の涙みたいな実績である。こういうような実績によつて推定する場合に、この法案が通過しても、この復旧工事に対して非常に不安を感ずるという立場から、被害者の代表の声として申しておるのでありまして、これは炭坑に限らず、あるいは銅山の鉱害にいたしましても、その他あらゆる鉱山の被害に対しましても同様の性質を持つたもので、同様に解決していただかなければならないのであります。福岡県だけというようなけちな考えで言つておるのではないということは、賢明なる政府当局も十分に理解されておると思うのでありますが、そういう客観的な立場から考えて依然として過去の実績が非常に不十分であるが、こういうようなやり方でやられる腹であるかどうか。これでは実際の遂行は不可能であるということを私は主張するりであります。もしこれをほんとうに責任を持つて解決なさるということになりますならば、結局過去にとられたようなこういうなまぬるい形式ではいかぬから、この法案の通過とともに思い切つてやるのである。そういう計画なりあるいは決意が示されぬことには、被害者にとりましては安心ができぬのであります。その点を私は特に強調いたしておる次第であります。
  75. 宮幡靖

    宮幡政府委員 政府はただいまの段階におきましては、本法案によつて特別鉱害を処理したい熱意を持つております。しかし繰返して申しますように、委員会の御意見尊重いたしたいと思つております。
  76. 田代文久

    ○田代委員 なお話を進めますが、大体トン当り二十円見当、これは最高額でありましようが、それ以下でありましようが、これによつて鉱業権者から集まりますその総額を政府はいかほどに見積ておられますか。
  77. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの御質問は本年度の問題でございましようか、来年度の問題でございましようか。
  78. 田代文久

    ○田代委員 本年も来年もひとつ……
  79. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの御質問非常にむずかい御質問で、来年度幾ら出るかということにつきましては、まだ的確な数字は申し上げる段階になつていないのであります。ただ本年度の上半期は、公団当時やりました上半期の生産実績が千八百八十万トンでございましたので、これに十六円十一銭をかけたのが、大体において上半期の公団ブール制による復旧の費用の鉱業権者分担分でございます。ただ本年の上半期においては御承知通り公団取扱いの数量が、六月において四千カロリーとか、あるいは三千七百カロリー、三千五百カロリーと地域別にされた関係もございまして、若干減つております。上半期の生産はただいまちよつと計算してございませんから、申し上げられませんが、しからば下半期幾らの見込みになるかということが問題になるかと思いますが、下半期の生産見込みについては私どもも一応千九百五十万トンというふうりに考えております。この千九百五十万トンに対して、しからばトン当り幾らかけるかという問題でございますが、この本案にトン当り二十円を限度としてというふうに書いてございますので、これが十六円になるか、十八円になるかは、また減免規定によつて減ぜらしれる石炭の数量によつてもかわつて来ると思います。しかし国家の予算の方が一定しておりまするので、数量が多少減つて参りましても、あまり多額の金をトン当りかけるということは、不適当だというふうに考えまして、二十円を最高というふうに押さえておるわけであります。
  80. 田代文久

    ○田代委員 今の御答弁ではつきりいたしましたように、この法案内容が非常に具体性に乏しいということがはつきりいえます。被害者大衆に対して、とにかく法案が通つたのだから安心なさいというような、そういう点の効果をまず第一番にねらつておるということが、この面からも言えるのであります。なぜかと申しますと、本事年幾ら金が集まり、明年幾ら集まるかということは、本計画を立てる場合において基山的な、源泉的な、物質的な裏付けになるのでありまして、これがはつきりしないことには、五十億の補助に対して五カ億年で一カ年十億であるとか、三カ年で一か年一六億幾らであるとかいうような目安は断じて相立たないことは、私が説明申し上げるまでもないのであります。この法案に対しては十分修正されたなければならない内容が至るところにあろうということが言えますし、先ほど申しましたように、本年度は少くとも二年くらいに早急に解決してもらうことが必要であるし、依然として疑問の点は、かりに千九百五十万トン、つまり約二千万トン出るとして、先の減免規定りわくからはずれる数量が相当ございましようし、これをかりにまるごと二十円とるとしても、四億はとてもとれな叶いし、三億か二億五、六千万円かとれないのでありましようが、そうしまと政府の立てておられる計画を、復旧費最小限五十億と縮めたとしても、先ほどから私が繰返し申し上げますように、これによつて復旧はできないのであるが、これに対してもしできないとするならば、それからまた石炭業者の方におかれても、実際にこの法律が通つたからといつて、一トン当り一六円幾らあるいは二十円というものがきちきちと納められるかどうかという実情もあります。事実中小炭鉱なんかにおいては、こういう金をお拂いになる余力をお持ちでない。また大手筋としても過去の実績から申しましても、なかなかこういう金は集まりにくいのであります。これなんかについては処罰なんかができまして、そういう強制的な徴收によつて取上げるのだというような逃げ道があるようでありますけれども、実際上においてはなかなかそういうことでは解決ができない、罰を受けて監獄に入つて来ればよいじやないかと思いますが、実際はそうは行きません。この計画自体が私たちは不安であり、これを進められることに非常に危惧の念を抱くのであります。しからばこの千九百五十万トンの出炭に応じて二十円をわくとしてかけられた場合に、この五か年間でこういう計画が遂行されるかどうかという点を御答弁願います。
  81. 田口良明

    田口政府委員 ただいまのお話についてこれは大体一カ年十億の計画でございますので、すでにお手もとに資料も、こございますように、本年度の計画は大体九億二、三千万円というふうに考えております。そのうち国庫負担分が納三億、公共団体の支弁分が約四千万円ないし六千万円程度で、一応全計画の一割程度に踏んでおるわけであります。そうすると差引一か年間の鉱業権者負担分が六億程度になるわけであります。今かりに下半期が一千九百五十万トン、これをごくラフな計算で二千万トンといたしまして、二十円と計算いたしますと四億になるわけであります。従つて一か年において六億の計画に対してもまるまる二十円をとるといたしまして、四億になるのでありますから、本年度の計画については結局下半期、一か年の半分の計画について、これが事業費の按分をどの程度にするかということは、田代委員お話のように五か年計画一か年十億として、すでに崩壊しておる、出きらぬじやないかということには考えておりません。
  82. 田代文久

    ○田代委員 下半期に千九百五十万トンを出すというり計画は、私は非常にこれは多く見蹟つておられると思いますが、いかがですか。
  83. 田口良明

    田口政府委員 下半期の千九百五十万トンという数字につきまして、なるほど非常に多く見積られておるように一応お考えになるのは、ごもつともと思いますが、これをさらに第三四半期、第四四半期に細分いたしまして、第三四半期はすでにもう過半を過ぎておりますが、第三四半期の出炭見込みは、全国で九百六十五万トンになつております。これはそう大して違いはないと思いますが、しかしこの数字とても、実は電力の問題が、もう少し割当が増加されれば、有効需要も非常にあるので、もつと出るのだという話も聞いておりますが、電力その他の諸事情によりまして、一応内輪に見て、第三四半期九百六十五万トン、第四四半期は、これは年度末のことでございますので、例年からしますともつ増産するのでありますが、全国のうちで特に産炭地をもつて鳴る九州及び北海道地区が渇水期のために電力の制限がむしろ第三四半期に比して一割くらい落ちるのではないかというようなことで、ただいまこの電力の配分について私ども苦労しておりますが、その電力の配分や何かを考えてみまして、大分切つておりました九百八十五万トン、こういうふうに考えておりますので、下半期半年の千九百五十万トンというものは、過大な数字とは考えられない。むしろ若干電力の関係で抑えている数字であるというふうに考えております。
  84. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、この中で減免、あるいはわくがはずされる部分は、大体どれくらいにお見込みでございますか。
  85. 田口良明

    田口政府委員 先ほど政務次官からお話がありましたように、減免規定につきましては、非常にデリヶートなところもごさいいまして、ただいまどういうふうにこれを見るというようなことも、的確には申し上げられないと思うのでありますが、ただ先ほど次官が申されたように、五つのいろいろなケースをあげられましたが、たとえて申しますと、品位の問題につきまして、あるいは生産コストの問題、あるいは地域的な問題について、時にこの特別鉱害関係が薄い所と、関係の特に多いというようなことを彼此勘案してみますと、たとえばこのうちの何割ということを、ただいま申しあげるのは、ちよつと困難かと考えられます。もちろん品位の問題にいたしましても主産コストの問題にいたしましても、ただいま過渡期にございますので、非常にフラクチューエイトしておりますので、これがある程度具体化して参りますと大よその見当は算術的に出るのでありますが、結局先ほど申し上げましたように、約二千万トンに二十円をかけてあまる計算になりますので、その間をいかように調整するかということは、減免規定その他を勘案してからでないと、トン当りどれだけかけるということは申しにくいと思います。
  86. 田代文久

    ○田代委員 本会議の関係で時間がないそうでありますから、明日に質問を継続さしていただくということで、打切ります。
  87. 神田博

  88. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 私は最後の質問でありますので、ごく簡單に申し上げたいと考えます。  先ほどの關内君の質問に対しまして、政府答弁が徹底を欠いておるようでありますから、私はいま一度この点について答弁を求めたいのであります。というのは、先般の質問に際しまして、政府お話によりますと、今回の鉱害は、いわゆる戰時中の強行出炭に基因したことが中心になつて、その対象になつておるということでありますが、しかしてこの強行出炭は、特に九州筑豊地区並びに山口の二部地区がその対象であつたというようなお話でありまして、同僚議員からそれに関連する政府通牒の書類を御提示願いたいということの希望に対して、本日関係書類が配付されました。これを拝見しますと、お説の通り九州地区と山口地区に対して特に強行出炭的に命令なつたという書類は、最後の昭和二十年三月二十四日付と、同じく六月二十六日付の二つしかない。もしこれだけが同地区だけに対する強行出炭の通牒ということになると、従来御説明があつた、戰争開始の昭和十六年十二月以来終了までといつたようお話の根拠が、相当違つて来ると考えます。これらに対しまして明快な御答弁を願いたい。
  89. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの御質問でありますが、先刻關内委員及び委員長からのお申しつけのありました資料を整えまして、それに基いてお答えをいたしたい、かように考えております。御了承いただきたいと思います。
  90. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 ただいまそういつたような御答弁でありましたが、最初やはりそういつた趣旨において、この書類は御提出になつたのでありまして、今のお話を伺うと、何か二段構えに書類を御提出になるかのような意図のように考えますが、そういつた点はつきりお答えねがいたい。
  91. 宮幡靖

    宮幡政府委員 別に二段構えでもないのでありますから、そういう点は資料について御相談をいたしたいと思います。
  92. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 別に政府の御人格を信用しないわけではありませんが、こういりたことは二段構えにせず、初めからはつきりと全貌的に書類を御提出になれば、事を繰返さずに済むと考えますので、特に御注意事申し上げます。  なお政府はよく共助という言葉をお使いになますが、この共助ということが現在石炭業界で、どの程度に実行されておるかという内容を、一応御答弁を求めるわけであります。というのは、筑豊地区で採炭されます石炭の品質というものは、非常にカロリーが高い、従つて価格も非常に高い。また常磐地区等はカロリーも低いしまたカロリーの低いということに準じて価格も低い。同じ労力と同じ設備を拂つて石炭を採炭しながら、そういつたぐあいで結果的には相当な違いがある。こういう顕著な事実を前にして、この石炭業界の共助ということは、どういつたようなぐあいに現在仕組まれているか、こういつた現在行われている共助内容を一応お伺いしたいのであります。
  93. 宮幡靖

    宮幡政府委員 石炭業界はそれぞれ何か共助的な施設をおやりになつていることだとは想像いたしますが、具体的なことはただいまこの席では存じておりません。先ほど申しました共助というのは共助精神という意味でありまして、共助の施設の具体的ということを申し述べたのではありませんので、この点を御了解いただきたいのであります。
  94. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 こういつたような施設だけの共助でなく、利益面の関係は別途であるということになると、非常にいわゆる共助負担の平衡を失するかと思うのであります。そういつたことを全貌的にいま少しく愼重にお考えになつて共助を基底とするところの計画をお立てになつてしかるべきじやないかと考えますので、この点特に御注意申しておきたいと思います。  なお先ほど来同僚議員から現状の社会的立場において、るるお話が出あつたでありまして、こういつたような社会施設的な立場においての現状ということにつきましても、先日来いろいろな角度から、私どもも伺つておるのでありまして、これはしかるべく一日も早く対策を講じなければならぬという建前において、われわれ委員としましても、これを決して等閑視しておるわけではありません。ありませんが、しかしいやしくも国民の税金を基本にして、そうしてこの事業が行われるということにつきましては、われわれ議員としましては全国民の利害を代表する立場においてその内容、事由等真相をよく究明して、そうしてその実相を把握して、そのことを行うべきであると考えます。でありますからそういつたよう趣旨において、本案の審議もしておるわけでありまして、いかにこれが政府提案であるといえども、これをうのみにしてずさんな解決はいたしがたい、こう考えます。もし今後の検討いかんによつては、内容にもしわれわれが納得の行かぬ点があつたならば、あるいはこれに対して修正、または共産党がよくおやりになる手でありますが、政府原案に対してはすべて反対する。こういつたこともあるいは共産党なみに考えなければならぬことがあるかもしれぬと思いまするが、要するにわれわれ事理をきわめてとにかく真相を把握したいのです。この点について私も勉強しておるわけでありまして、決して等閉観しておるわけではありません。従つて先だつて委員間からいろいろ希望のありましたところの現地調査をやりますとか、あるいは関係者の意見を聞く、すなわち公聽会でありますとか、これは特に委員長に申し上げますが、委員長においてはぜひそういつたことを、しかるべく適当に御配慮せられて、こういつた社会問題でありますので、地元関係の方々は非常に焦慮されておるということもくまなければならぬので、順次展開していただきたいと思います。ことに先ほど同僚議員からお話がありましたが、この問題につきましては全然無関係の鉱山石炭業者負担するということにつきましては、憲法違反といつたようなことも起きておりますので、われわれとしても実地の方面からも、法事理的な角度からも十分にひとつ研究をしたいと考えます。今後そういつたよう方針において、委員長において取進められんことを、特に希望申し上げておきます。
  95. 神田博

    神田委員長代理 この際門脇委員の御発言にお答え申しておきますが、御発言の趣旨十分了としておりますので、委員長としては最善をつくして審議を継続するような方途を講じたいと考えております。
  96. 有田二郎

    有田(二)委員 共産党の田代委員から、超党派的にこういうような問題を扱えというようなお話がありましたが、まことに同感でありまして、この問題に関しては超党派的に、特に共産党諸君も一緒になつてこの問題を考えして行くべきだ、かように私は考えます。従つて今までの他の委員の御質問に重複するきらいがありますが、本法案審議の上に非常に重要な問題でありますから、重ねて政府答弁を求めたいと思います。すなわち違憲論とか、あるいは戰時補償打切りとか、石炭消費税の問題等々種々の質疑応答がありましたが、被害物件が民有であるとか、公有物であるとかの区別がありますが、要するに復旧工事責任は、国あるいは加害炭坑あるいは一般炭坑、非加害者のいずれかがいかなる割合において負うべきものであるか、政府の御答弁を承りたい。
  97. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点につきましては先般から申しておりまして、きようも田口局長から申し上げましたように、政府加害炭鉱にも責任がないようである。それから地方公共団体にも責任を負わすべきでない、国家は戰時補償打切りの観念、その他公共事業の範疇、あるいは鉱業法によります金銭賠償の観点から考えてみますと、国家にもこれをやるべき責任がないであろう、いわゆる加害責任論というものがそこに落ちておる現況でありまして、その範囲以外において行う措置としてこの法案が出ておるのであります。いろいろ繰返されておりますが、はなはだくどいようでありますが、本日も何か時間の関係もありますので、最後に政府気持有田委員お尋ねに対して、便乗的ではありますが申さしていただきますが、国会の多数の御意見は十分尊重する用意があるということを、特につけ加えさしていただきたいと思います。
  98. 有田二郎

    有田(二)委員 よく政府の御方針はわかるのでありますが、問題は理論的にどこに責任があるかという問題でなくて、ただ社会問題としてどう善処するかが問題であるが、政府としてはいかようにお考えであるか伺いたい。
  99. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見通りであります。
  100. 有田二郎

    有田(二)委員 社会問題であるとするならば、社会問題であるという観点から本法案をいかに処置せんとするか、社会問題としてこれを扱う論拠、特に御存じの通り鉱害者のみが戰争によつて被害を受けたのではないので、全国にあらゆるものが被害を受けている。もしもこの鉱害者のみが戰争のこういつた被害に対して特別の処置がとられるということでありますならば、将来鉱害者がこういうことになつたのだから、他のものに対しても同じようにしなければならぬという議論が、必ずしも私は起らないとは限らないと思うのであります。従つてこれは通産政務次官答弁の限界外の問題であると思うのでありますが、もしも通産政務次官あるいは通産大臣の応答外の問題であるならば、官房長官を明日本委員会に呼び出して、この鉱害者のみに限るものである、これ以後はこういつたことは絶対にしないというような御方針であるか、その他のものにおいても、鉱害者同様戰争において困られたもので、これに準ずるようなものについては、何とか政府は考慮するものであるかどうか、こういつた点についての政府の御所見を承りたいと思います。
  101. 神田博

    神田委員長代理 ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止
  102. 神田博

    神田委員長代理 速記を始めてください。
  103. 有田二郎

    有田(二)委員 政府政務次官としての御答弁は、御意思はよくわかつておりますが、事非常に重大でありまして、この問題については私は資源庁かあるいは通産省鉱害のために考えて御努力つて関係方面のOKまでとつて、本委員会にこの法案を御上程になつた苦労と御苦心に対しては、まことに満腔の敬意を表すると同時に、私ども委員もそれについでき得る限りの御協力をいたさなければならぬことはよくわかるのでありますが、問題が問題でありまして、特に戰争未亡人とか、あるいはその他いろいろな面において非常な悲劇が敗戰後に起つておりまして、鉱害者もお気の毒であるという点については、おそらく超党派的にどの方も異存がないと思うのでありますが、この処置が他に及ぼす影響という点を、愼重に本委員会として検討すべきである。ただいま門脇委員からその点をるる御説明がありましたけれども、私はまつたく賛成でありまして、この点については私は他の政党の方々にも、そういつた意味において御協力を願いたいと思う。明日通産大臣並びに官房長官御出頭の上、これに対する御答弁があるそうでありますから、この質問をこれで打切つて明日に譲りたいと思います。  さらに第三條の第一項に「昭和十六年十二月八日から昭和二十年八月十五日までの間において石炭鉱業を行つたために、発生したもの」。というのがありますが、八月十五日を境としておりますが、その同一炭鉱の中で特別鉱害の戰後の状態が政府においてはつきり区別し得られるかどうか。この点の御答弁を承りたいと思います。
  104. 田口良明

    田口政府委員 この第三條の第一項の一号から三号までが、特別鉱害を厳密に認定しようということにいたしておるわけでありまして、まず期間をいつからいつまでということに決定しようといたしたのが第一号であります。先ほど田代委員からもお話がありましたように、戰後においても相当強行出炭をやつたから、これを入れた方がいいのではないかという御意見もありましたが、一応ここに戰時の特別鉱害というふうにいたした関係上、昭和十六年十二月から終戰まで、こういうふうにいたしたのであります。さらに御質問の、この間に政府命令によつて、そういう被害を引起したという点が、はつきりわかるかどうかという問題でございますが、この点につきましては、先ほど關内委員からお話がありましたように、今回出しました資料はまだ十分關連を持つた完璧な資料ではございません。それで一応の例としてあそこに出しまして、お手元に差上げたわけでありますが、これは大東亜戰勃発以来、逐次戰局が苛烈になればなるほど、いろいろな指示、命令が出て、その命令従つて増産したものであつて、普通の状態においては採掘しないところを採掘したことによつて引起した鉱害であります。従いまして中央からの指示、もしくは地方命令によつて出された指示に従いまして、炭鉱におきましては従来の方法をかえて掘つた、この掘つた問題につきましては、それぞれ炭鉱におきましては施業案に基く事業計画、あるいは採炭計画というものがございまして、何年の何月から何月までは、どこを掘つたという点が明記されておるわけであります、さらにそれの実績を現地におきましてもトレースしておりますので、この命令従つてつたのがどこの箇所でどの区域である、その産額幾らあるいは深度が幾らということで、その採掘によつて生じた地表の影響というものが算出されるわけであります。その点につきましては一般鉱害特別鉱害は場合によつては競合することもございますが、おおむねその限界ははつきりしておるということを申上げておきます。
  105. 有田二郎

    有田(二)委員 田代委員質問した意味と私の意味とは違うのであります。私は八月十五日を前後した状態と申し上げたのでありまして、書類のあるものは別であります。しかし終戰時においては書類の焼かれた面が非常に多いのであります。今の局長のお話をさようでございますかと、それだけで聞くわけに行かないのであります。書類のない面については、いかなる方法をもつて八月十五日の境をおきめになるか、それを承りたい。
  106. 田口良明

    田口政府委員 書類の焼却されたことは事実でございますが、これは中央及び地方の官庁において主として焼いたのでございますけれども、各炭鉱に、たとえば九州石炭局から、あるいは当時鉱山監督局と申しましたが、それから出された資料は、炭鉱においては大体保存しておりまするので、その点ははつきりするというふうに私どもは解しております。
  107. 有田二郎

    有田(二)委員 その点はここでいくら私がついても、政府においてはよくわからない問題だろうと思う。従つてまた書類が残つてつても、その書類の真偽も非常にむずかしい。従つてこの終戰前後の状態をあやまちなきように処置する上において、私は特に御注意を願いたいと思います。  さらにいわゆる隣接炭鉱相互間の責任の分界、すなわち第三項の中に二つ以上の鉱区の鉱業権者を全部指定するというようにありますが、その隣接炭鉱の相互間の責任分界をいかにして明日にするか、その点を三承りたい。
  108. 田口良明

    田口政府委員 この点につきましては競合しておりまする点について、いろいろと現地の事情によつて千差万別であると考えられまするので、ここでその限界をどういうところに決めるというようなことは申せないわけであります。
  109. 有田二郎

    有田(二)委員 ここでどうするという意味合いでなく、どういう方法をもつて責任分界を決めるか、たとえば委員会を設けてやるとか、審議会を設けてやるとか、あるいはどういう方法によつて双方の責任分界を政府は明かにしようとするか、その方法の問題であります。
  110. 田口良明

    田口政府委員 その点につきましては鉱害対策審議会の答申によることにいたしております。
  111. 有田二郎

    有田(二)委員 さらにお尋ねしたいことは、加害炭鉱と非加害炭鉱を区別するという御答弁でありますが、加害の程度の大小もまた区別する御意思があるかどうか伺いたい。
  112. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの点につきましては、加害炭鉱と申しましてもピンからキリまでございまして、非常に少量の加害を及ぼしておるところ、非常に広汎な加害を及ぼしておるところ、そういうような点につきましては、それぞれ炭鉱によつて違い、また地域によつて違うわけでありまして、その点はまた同様鉱害対策審議会によつて決定せられるというふうに解釈しております。
  113. 有田二郎

    有田(二)委員 次に第六項のところに公布するということが書いてありますが、往々政府の公告というものは、一般に徹底いないといううらみがあります。公告を見なかつたらあなた方の責任だということになるのですが、こういつた場合において鉱害あるいは利害関係者というものに、徹底するような公告の方法を取らなければならないと思うのでありますが、政府としては、どういう公告方法をおとりになるか、これを承りたい。
  114. 田口良明

    田口政府委員 できる限りこの徹底につきましては、広くこれを周知徹底せしめる方法として、公告の具体的方法といたしましては、官報あるいは新聞あるいは張紙をもつて所要の地域に貼付するというような措置によつて、できる限りこれが周知徹底をはかりたいと考えております。
  115. 有田二郎

    有田(二)委員 第四條の鉱業権者は申し上げるまでもないところでありますが、被指定者、これは指定された者でありますから、結局鉱業権者のうちで加害を及ぼしたいわゆる鉱業炭鉱であります。しかしこの場合に一応御説明しておきたいことは、もし当時被害を及ぼした炭坑でございましても、もしただいまのになつて鉱区の譲渡その他の方法によつて、ただいまは石炭目的とする鉱業権者でない場合におきましては、そのときにおける鉱業権者をさしております。  なお復旧工事の施行者でございまするが、これは公共事業と非公共事業との場合において違いますが、公共事業の場合には主として府県、市町村が当ることになつておりますし、また直接の主務大臣の指定する工事の施行者もあるわけであります。  それからさらに関係人でございますが、その工事につきまして利害関係を有する直接の関係人を考えております。たとえて申しまると、その被害復旧をやる場合に、その隣接にあつてこれが復日と密接な関係がある。たとえば堤防を築くというような場合に、堤防のうち側にある民家、部落、そういう方面はこの復旧工事の施工人及びこれが関係者として直接の利害関係を有するものを、ここに関係者というふうにいたしております。
  116. 有田二郎

    有田(二)委員 第五條の「復旧工事の施行者は、他の法令に定のあるときは、それによるものとする。」とありまするが、「他の法令に定め」というのは大体どういうものがありますか、具体的に御説明願いたいと思います。
  117. 田口良明

    田口政府委員 たとえて申しますると、道路法とか、河川法とか、その他うな法令があります。
  118. 有田二郎

    有田(二)委員 第五條の第二項の中に「その復旧工事の施行者は、主務大臣が定める。」とありまするが、この場合に通産大臣に諮る必要はないかどうかということを承りたいと思います。
  119. 田口良明

    田口政府委員 公共事業をやられたにつきましては、それぞれ主務大臣が直接関係しておりまするので、通産大臣にあらためて連絡をとらなくても、すでにはつきりしておりまするから、主務大臣が定めるということでさしつかええないと考えております。
  120. 有田二郎

    有田(二)委員 次の第三項の第三行目に「但し、農地及び土下水道復旧工事の施行者については、主務大臣はは、適当と認める者を選定し、その同事とすることができる。」とありますが、もしも被指定者がこういつた農地あるやりたいという希望があつた場合に、主務大臣はいかなる御処置をとりますか。
  121. 田口良明

    田口政府委員 大体これが復旧工事をなすのは被指定者が原則でありますが、それが適当でないと考えられる場合には、他に適当な者を指定するというわけであります。
  122. 有田二郎

    有田(二)委員 そういう政府の御答弁であるならば、この法案を改める必要があるのではないか。これで行きますと、農地及び上下水道復旧工事のがない。かような解釈ができるのでありますが、政府としてはどういうお考えでありますか——どうも答弁はできないらしいですが、これは本委員会においてしかるべく修正すべきものと考えるのですが、この修正に対して政府は異存があるかないか承りたいと思います。
  123. 田口良明

    田口政府委員 本委員会において修正されることにつきまして、通産省としては異存ありません。
  124. 有田二郎

    有田(二)委員 次の第四項であります。第四項の事情はよくわかるのでありますが、鉱害者は拙速をたつとぶのであります。この項にあるところの方法で、官庁側は非常にゆつくり届けを出して、許可のあるまでに非常な時間がかかるということのために、鉱害者が非常にめいわくをこうむるようなことのないように、われわれとしては考えたいと思うのですが、政府としてはどういうお考えであるか承りたいと思います。
  125. 田口良明

    田口政府委員 ただいまの問題につきまして、事務当局はいつもおしかりを受けておるのでありまして、この特別鉱害の緊急性から考えてみまして、特に支障のないようにあらゆる努力をいたしまして、急速な復旧工事にこれを持つて行くということにつきまして、政府は特に考慮しておるわけであります。
  126. 有田二郎

    有田(二)委員 第六條第一項に対しまする罰則が第三十三條にあるのでありますが、罰則だけでありまして、工事の完了の時期が遅れて、そのために鉱害者が非常な損失をこうむつたという場合において、国庫は鉱害者の損失を補填する意思ありやいなやを承りたいと思います。
  127. 田口良明

    田口政府委員 その点につきましては、工事の完了計画に従いまして、できるだけその工事の完了期間内に、これが完成させるようにいたしておりまするが、万一工事が期間内にできないというようなことのために、被害者に非常な迷惑を及ぼすというような場合には、施行者を変更することによつて、これが被害者への損失をなるべく起さないような建前で、参りたいと考えております。
  128. 有田二郎

    有田(二)委員 政府の一方的な処置としては、あるいはそれでいいのでありまいすが、その施行者を政府が誤つて、そういう施行者に仕事を依頼したために、復旧工事が非常に遅れて、鉱害者が非常に迷惑を受けた、こういう場合を申し上げておるのでありますが、鉱害者の迷惑はどうなつてもかまわない、かように政府としてはお考えであるかどうか承りたい。
  129. 田口良明

    田口政府委員 ただいまのような場合には、損害賠償を起すというようなこともできるのでありまして、その点については、今のような御懸念はないかと考えます。
  130. 有田二郎

    有田(二)委員 それは單なる政府答弁であります。鉱害者が、遅れたために損害賠償を訴えて、弁護士の費用が余計かかつて、余計損をしたというような場合は、非常に気の毒であつて、そういう場合が非常に多い。従つて私がもしも政府委員であるならば、こういう答弁をしたい、そういうことは審議会において万遺漏なきように、それらをとりはかろうというような答弁なら、あるいは納得ができますが、損害賠償を訴えたならば、それで事が済むというようなことでは、私はどうかと思いますが、その審議会においてこういうものを扱うか扱わないか答弁を承りたい。
  131. 宮幡靖

    宮幡政府委員 たいへんお教えをいただいてお礼を申し上げます。その答弁としては私がお答えすればよかつたかも知れませんが、ちようど細かい問題で局長にやらせていて、なまけていて申訳ありませんでしたが、そういう事態が起りましたならば、この法令が予測しておらないことでありますので、一般法令の手続において処理すべきだと考えております。
  132. 有田二郎

    有田(二)委員 まだたくさんあるのですが、田代君も途中でやめていただいて大分おしかりをこうむつておりますので、全部を明日に譲りまして、ただ最後に、第三十七條に、理事長、理事または監事は一万円以下の過料に処する、あるいは第三十八條に同じく五千円以下の過料に処するとありますが、過料ぐらいでいいかどうか、これは罰金にすべきだとわれわれは思うのですが、他の法令とのにらみ合せもあつて、過料となさつたものかどうか。こういう復旧団理事長、理事、監事にぴりつとするように、罰金刑ぐらいにしてはどうか。過料ぐらいなら、少々悪いことをしても痛くもかゆくもないというようなことになると思いますが、これについての政府のお考えを伺いたい。
  133. 宮幡靖

    宮幡政府委員 罰則を強化した方が有効な行政ができるかどうかということについては、これは見方、言い方であろうと思いますので、政府としましては、この提案したものが妥当だと思います。しかしながら、もし御意見が存じましたならば、先刻来申し上げているように、十分尊重いたしたいと思つております。それから、かようなことができて法律で処罰するよりも、そういう違反のできざらぬことを行政の面で考慮して行くのが適切である、かように考えております。
  134. 有田二郎

    有田(二)委員 他の法律との関係もありますから、さらにこの点御検討を願つて、明日の委員会ででも御返答願いたいと思います。私は他の質疑は明日に譲りまして、他の委員と交代いたします。
  135. 神田博

    神田委員長代理 次は福田一君。
  136. 福田一

    福田(一)委員 先ほど同僚委員お話によりましても、これが社会立法であるということは、われわれも非常に賛成でありまして、なるべく早くこれは審議した方がよろしいのでありますが、ただこの法案を立案しました根本の原因になつているのは、昭和二十三年四月九日の閣議決定に基きまして、鉱害に対するいろいろの復旧工事をすることになつた。ところがその閣議決定事項の内容には、鉱業権者負担する復旧費については、今後炭価改定の際価格中に織り込むか、またはその他適当なる措置を考慮する。こういうことになつておりますが、この炭価改定の際に価格中にはどれくらい織り込んでおられるか。
  137. 田口良明

    田口政府委員 閣議決定の、ただいまの炭価の改訂のときに織り込むというのが、例の昨年の六月二十三日に改訂になつた炭価であります。そのとき大体出炭量を勘案いたしまして、鉱業権者負担分としてトン当りいかにすべきかということを計算したのが、トン当り十六円十一銭であつたのであります。その十六円十一銭を六月二十三日の炭価改訂のときにこれを織り込みまして、それ以来鉱業権者負担分を、配炭公団制度によつてつてつたのが、今日までの行政措置による特別、鉱害の事業費の負担分算出基準であつたわけであります。
  138. 福田一

    福田(一)委員 ただいまのお話を承りますと、トン当り十六円十一銭という価格を、国民一般の消費者が負担しておつたということになりますが、それでよろしいのですか。
  139. 田口良明

    田口政府委員 その通りであります。
  140. 福田一

    福田(一)委員 しからば、その十六円十一銭り分を国民負担をするということを、国民全部に公表してありますか。
  141. 田口良明

    田口政府委員 配炭公団の販売価格として、一般国民はわかつているわけであります。
  142. 福田一

    福田(一)委員 販売価格はわかつておりまするが、販売価格の中に、この鉱害の対策のために十六円十一銭の負担をしてもらつておるということを公表した事実がありますか。
  143. 田口良明

    田口政府委員 当時の石炭の生産者価格あるいは販売価格という統制の石炭の価格決定の際におきましては、別にこれを公表しておりません。
  144. 福田一

    福田(一)委員 物価のマル公を決定する場合には、物価統制令という法律が出ておるのでありますが、その法律内容には、おそらく鉱害の対策について、これを価格の中に織り込んでいいという條項はなかつたと思うのであります。こういう意味から申しますと、昭和二十三年四月九日の閣議決定事項は、これは明らかに憲法違反の事実をきめている。そしてわれわれ一般国民に非常な負担と損失を与えている、いわば税金をとつている、こういうことになるのでありまするが、配炭公団は九月でもうやめになつておりまするが、前内閣が決定いたしました閣議決定事項を、そのまま踏襲いたされましたことについて、その政策をそのまま実行されたということについて、政府はいかような政治的な責任を感じておられるか。こういう問題をひとつ明日通産大臣並びに物価庁長官がおいでになつたときに、はつきりと政府責任をこの委員会で明示されることを希望いたしまして、私の質問を終ります。なおこまかい点については、私は質問を保留いたします。
  145. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ちよつと福田委員お尋ねしておきますが、この特別鉱害復旧の費用の中に、十六円十一銭織り込んでやつたということは法令に間違つておるという意味ですか。
  146. 福田一

    福田(一)委員 法令に違反しておると私は考えております。
  147. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは研究はさしていただくことにいたしまするが、運賃もやはり実際の運賃と違つたものをプラスしております。千円かかるところも、平均五百円ならば五百円を価格構成の要素としてこれを見込んで、物価庁で算定してやりましたことは、その手続だけについては違法でないように思うのであります。しかし御趣旨でありますから、明日は大臣も出席いたさせまして、御納得の行くような答弁をいたしたいと思います。前内閣のものを踏襲したと申しますが、やりつつある形がそのまま受継がれたのであつて、今度は新たに切りかえまして本法を出したわけであります。もし違憲論がございますと、過ぎ去つたことでありまするから、最高裁判所の判断をまたなければならないのじやないかと思つております。
  148. 福田一

    福田(一)委員 運賃の問題が出ましたが、運賃の問題と鉱害の問題とは性質が全然別個であります。私は賢明なる政務次官が、さような御答弁をされるとは思つておりません。その点は十分おわかりのことと思います。但し、どうして私がこういうことを申し上げるかといえば、今度の鉱害法案は、二十三年の閣議決定に基いて工事が施行されており、それが配炭公団がなくなつて工事ができないから、今度はこの法案でもつて工事を継続するというのであります。事の発端がこの閣議決定にゆえんしておるから、これは非常に根本問題であるとして質問するのです。この点は御了承願います。
  149. 神田博

    神田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。明日午後一時より委員会を開会いたします。詳細は公報をもつてお知らせいたします。     午後五時四十三分散会