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1949-11-16 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君 理事 川上 貫一君    理事 永井 要造君 理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    岩川 與助君       門脇勝太郎君    小西 英雄君       關内 正一君    高木吉之助君       田中 彰治君    多武良哲三君       中村 幸八君    福田 篤泰君       福田  一君    前田 正男君       山口シヅエ君    高橋清治郎君       田代 文久君    圖司 安正君       河野 金昇君  出席政府委員         通商産業政務次         官         (通商振興局         長)      宮幡  靖君         通商産業事務官 岡部 邦生君  委員外出席者         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         通商産業事務官 小滝  彬君         通商産業事務官 加藤 政一君         通商産業事務官 熊谷 典文君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月十五日  電気銅価格差補給金廃止に関する請願外二件(  佐々木盛雄紹介)(第二七九号)  荒尾市周辺の鉱害地復旧促進請願寺本齋君  外三名紹介)(第二九三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出品取締法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開催いたします。  前回に引続き、私が委員長の職務を行います。  この際請願の付託についてお知らせいたします。昨十五日電気銅価格差補給金廃止に関する請願ほか三件が本委員会に付託せられました。以上お知らせいたしておきます。  ただいまより前回に引続きまして、輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。川上貫一君。
  3. 川上貫一

    川上委員 通算大臣政務次官がお見えなつておりませんので、いずれあとからお見えになるはずだと思いますから、その方を残しまして、輸出入の関係管理委員会の方の方もお見えなつておるようでありますから、ちよつと御質問いたしたいのであります。きのうの政務次官の御答弁で、協定貿易というものの内容の一部を承つたのでありますが、それを聞いておりますと、協定貿易としきりに言われており、また協定貿易というものがたいへん従来の形より進歩をしておるような貿易の形だというように、国民に周知されておるのでありますが、きのうの話では協定貿易は、その実質にはやはり管理貿易と、ほとんど違わないように考えられるのでありますが、その点はどうお考えになりますか。まずその点をお聞きしたいのであります。
  4. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 御答弁申し上げます。私どもといたしましては、協定貿易の締結がだんだんと進んで行く場合におきましての形は、今度の日英通商協定等に現われました形が、理想的なものだろうと思います。これらについては大体のアウトラインはきのう政務次官も申されましたが、双方とも一定限度までの貸越し勘定の設定が認められておりますので、その点については従来の管理貿易よりはるかに進んでおるように考えております。
  5. 川上貫一

    川上委員 双方とも貸越しの條件がよくなつておる。これだけでありますか。
  6. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 私は主管局長ではございませんので、内容等はくわしく存じませんので、残念ながらそれくらいしかお答えできません。
  7. 川上貫一

    川上委員 きのうの御答弁によりますと、私の質問は、こういう取締法なんかをこしらえますけれども、一面においては輸入の方では不要不急品その他が、こういう貿易のやり方ではどんどん入つて来るのではないか、こいつを防ぐ方法はないのじやないかという質問に対しまして、そんなばかなことはない、貿易のことを少し知つておれば、そのくらいのことはわかるはずだと言われたのでありますが、これがどうもよくわからぬ。そこで管理委員会の方からもおいでになつておるようでありますから、この点を聞きたいのですが、民間貿易なつた場合、輸入許可をする際に、ごく簡單けつこうですが、どういう形になりますか。そのアウトラインでよろしうございますけれどもお聞かせ願いたい。どこでどういう形で許可がされるか、どういうわく内でどういう形で許可されるのかという点であります。
  8. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 輸入が自由になりました場合の手続その他に関します法案の準備を、ただいまやつておりますので、いずれ御審議願うことと思いますが、大体今まで考えております線は、毎四半期におきまする輸入わくを大体きめる物資がございまして、それらにつきましては、輸入委員会その他の機関ができました場合に、それがこの四半期にはこういつた物資輸入するということを決定するわけであります。それに見返ります為替資金も決定するわけであります。それに応じまして、その中で個々輸入業者もしくは生産業者に、その物資輸入割当をする物資と、それから数量がきまつておりますれば、そのわくの中で完全に自由に早いもの勝ちの原則で、輸入申請ができる物資と両方にわかれまして、その自由な物資につきましては、為替銀行の認証を得まして、その為替銀行はまた為替管理委員会との関係において、資金わくがあるということがわかれば、早いもの勝ちで認証して行く。そうすれば直ちに輸入手続が完了するというような方向で進んでおります。
  9. 川上貫一

    川上委員 そうなりますと、個々審査というものが、そう詳しくはできそうもないのでありますが、輸出をしなければならぬのでありますから、それにはどうしても輸入しなくちやならぬ。そういう場合に統制貿易わく内において、きのうの日独貿易の問題の際にもあつたように、向うからも化学薬品が来る、こちらからも化学薬品を出すというようなことが行われておるのでありますが、そういう際に一々国内における実際上の必要の緩急ということが、そう十分に審査できないと思うのでありますが、実際それはどうなりますか、その点をお聞きしたいのであります。つまり言いかえれば、不急不要品政府の操作で絶対に入れないというようなことは、事実上できないのだという結果になると思うのです。その点はどうなりますか。
  10. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 おそらく今川上委員のおつしやいますのは、自由購入物資わくのものだろうと思いますけれども、それらにつきましてもやはり計画に従いまして入れるわけでございますから、その計画従つて入れるものが、不急不要品であるかどうかという解釈は別といたしまして、そのものの需給とにらみ合せまして、これだけのものを入れようということを決定するわけであります。
  11. 川上貫一

    川上委員 どうもはつきりわかりませんが、それに関する質問はこれでとめます。  続いて、今審議しておりますのは、輸出品取締法の一部を改正する法律案でありますが、これは輸出輸入の全体の状態を承知いたしませんと、こういう改正をする必要があるかないかということが、どうしてもはつきり出て来ない。そこでその次にお聞きしたいことは、外国においては、現在の日本との貿易で、これほどもうかる貿易は、世界の貿易市場にかつてなかつたというようなことを言われておるようであります。こういうことを考えますと、輸出品取締法なんかを嚴重にすることに重点があるのではなくして、この貿易計画が事実国民の利益になるようにできておるのかおらぬのかということが、非常に問題になると思うのであります。今年の傾向を見ましても、また明年度計画をうすうす聞いても、非常に厖大品物を出さなければならぬことになつておりますが、これを出すためには、まず輸入が必要だということになると思う。そうすると、日本の国に現在どうしても必要なものだけの輸入ということに、非常に嚴格に抑えることはなかなかできない。つまり輸出をしようといたしますならば、どうしてもいろいろな形で、あるいは抱き合せ輸入ということもありましようし、あるいは不急不要品輸入しなければならぬということもありましよう。こういう関係で、必ず不急不要品、あるいはぜいたく品が入つて来るに違いない。またこれを押えてしまつたならば、日本予定輸出ができないという形になるのではないかという点が疑問なのです。その点について、簡單けつこうですが、お考えちよつとお聞きしたい。
  12. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 その点は昨日からずいぶん問題になつているのでございますが、協定貿易というのは、お互いに物を買い合つて、それで貿易を促進して行こうという趣旨が、大いに織り込まれているわけでありますから、川上委員の言われるようなことも、ある一つの機運になるかもしれませんが、同時に先ほど申し上げたように、為替資金をにらみ合せて、運用して行くという面も非常にございますので、そう自由に不急品が入つて来るということにも相ならぬと思います。もつぱら今後の協定貿易運用により、また為替資金運用によろうと考えております。
  13. 川上貫一

    川上委員 それでは次にこの点をお聞きしたいのですが、輸出傾向を見ますと、四九年度輸出目標は、前年に比べて世界的に大きいのであります。日本は前年を一〇〇として、四九年度はやはり一〇〇となつております。およそ五億ドルといたしまして、西独は五十%、トルコは二〇%、フランスは一九%くらいで、イギリスにおきましても前々年度に比べて三七%程度のもののように承つております。また輸出の量であつても、鋼材は全生産量の三八%くらいになつておると思う。人絹、スフは五〇%以上、銅は八七%、生糸は九五%ということになつておつて、非常に厖大輸出なのであります。それがこういう取締法をますます固めて、嚴重にするということになつておるのでありますが、さようなことをいたしまして、この輸出計画が実際に遂行できると思われるか、この点のお考えを承りたい。
  14. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 今度の輸出品取締法の一番のねらいは、今まででございますと、どんな粗悪品であろうと、たとえば十時間しかともらない電球であるとか、子供のおもちやにしかならないミシンであるとかいうようなものでも、売る方と買う方とが承知しておれば輸出できたわけであります。そういうことをいたしますことは、結局ミシンならミシンとしての日本品の声価を傷つけることになりますから、そういう通常の用法において正常の機能を果し得ないようなものにつきましては、輸出禁止的な措置ができるようにしたいというのが、一番大きなねらいでございまして、そういうことをする方が、かえつてわが国の貿易が伸張するであろうと考えております。
  15. 川上貫一

    川上委員 そういうことをやるのは、わざわざ悪いものを出したいのではなくて、それくらい日本生産能力がないという一面もあるのであります。そこでそういう形であるにかかわらず、今目標とされておるような全体の輸出額というものが、今後この計画された時分よりか、国際的の條件大分かわつておるのでありますが、遂行できるというお見込みでありますか、あるいはなかなか困難だというようにお考えなつておりますか、お聞きしたい。
  16. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 今年の輸出状況簡單に申し上げますと、第一・四半期、第二・四半期までは相当順調に行つておりますが、その後ポンドの切下げ等によりまして、若干市況が低下しております。輸出の方もそれに応じまして伸びが少うございます。しかしながら大体の大数的観察といたしましては、少くとも四億ドル以上の輸出はできるだろうというように考えております。     〔神田委員長代理退席有田(二)委員長代理席従つて五億七千万ドルの計画から比べますと、相当縮小すると考えております。
  17. 川上貫一

    川上委員 御答弁によると、予定計画よりが少くなるだろうということでありますが、いかにもそうであろうと思う。われわれはもつと少くなるだろうと思いますが、そういう形になつておることは、輸出がますます困難になつておるということを、裏書きする御答弁だと思うのでありますが、それに関しまして、昨日も社会党の山口委員からですか、御質問がありましたダンピングの問題でありますが、輸出をしなければ立つて行かないような機構になつておる。これは日本生産者輸出をしなければ立つて行かない。また政策的にも輸出をどんどんやらなければ、財政その他全体が予定通り遂行できない。ところが今お話になりましたような市場関係と、今一つ粗悪品さえもどんどん出さなければならぬというような生産力状態である。その上にまたこれを民間貿易にし、また最近ではフロアプライス撤廃されておる。こういう関係で必ず国際的な反撃を受けるような、ダンピングという形が出て来る。また外国でも非常にこれを警戒しておるというのでありますが、この点について昨日も簡單に御答弁はありましたが、政府の方ではそういう危険はないとお考えなつておりますか。これが一つ。また現在そういうダンピングは行われておらぬとお考えなつておりますか。この二点をお聞きいたしたい。
  18. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 ダンピングであるかどうかという判断の非常に困難であることは、昨日も政務次官がるる申し上げたことでありますが、今までのところわれわれの方では現在ダンピングは行われておるとは考えておりません。またそういうおそれもないと考えております。フロアプライス撤廃自体は、過当に高うごいました日本価格をある程度合理的に引上げるものであるというように考えております。
  19. 川上貫一

    川上委員 今後においてそういう危險があるかないか、この点をお聞きしたい。
  20. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 それは現在はございませんが、今後は経済状況の変化でどういう不心得の者が出て来るかわかりませんが、大体そういうことのないように指導して参りたいと思います。またそれが行われますと、外国からの反撃を受けることはお説の通りでありまして、そういうことは日本貿易を伸張するゆえんでもないので、業者自覚にまちたいと考えております。
  21. 川上貫一

    川上委員 どうもこれはまことにはつきりせぬように私は考えるのであります。政務次官出席を私は待ちたいと思うのですが、現在行われておらぬ。将来悪質のものも出て来るかも知らぬ。そういうことは、これは非常に重大な問題であつて取締法なんかをつくりましたところで、そういう危險が非常にあるということになれば、どうもその方が問題になると思う。また現在ダンピングが行われておらぬ、こういうように申されますけれども、行われているのである。それでこのダンピングというものは、政府の方では国内価格以下のもの、これがダンピングと思つておられるのでありますか、あるいは適正な加工賃が支拂われていないもの、これがダンピングだと思つておられるのでありますか、その点はどちらか、これをお聞きしたい。
  22. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 この点も、きのう政務次官が御答弁申し上げたと思いますが、国内生産者価格を割つて売れば必ずしもすぐダンピングとは考えておりません。むしろ行きました外国におきます価格と比べて、不当に安いという場合には、ダンピングになると思います。
  23. 川上貫一

    川上委員 それは外国の言うておる、また外国関係の非常に心配している、ダンピング考えと違うと思います。国際的に言われておるのは、適正な加工賃労費が拂われているかどうか、適正な利潤かいなかということが問題になつておると思う。この点が重大だと思う。これはどうお考えになりますか。
  24. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 大体ダンピング考え方は、先ほど申しましたようなことを考えておりますので、一時川上委員の言われましたような、国内生産者価格を割るもの即ダンピングであるという議論がございましたが、現在政府の方ではそういう考え方をとつておりません。
  25. 川上貫一

    川上委員 どうしてもこれははつきりしない。なぜかと言えば、現在ダンピングは行われておらぬ、こう言われる。また国内マル公、あるいは国内価格というものを割つただけでダンピングと思つておらぬ、こう言われる。そうするとダンピングというものは、適正な加工賃労費が支拂われておらない、適正な利潤でない、それ以下ということがダンピングだ。こうお考えなつているらしいのです。それならば現在至るところにダンピングが行われておるのです。ここがはつきりしない。もう一ぺん繰返して言いますと、国際的に問題になつておるダンピングというものは、形式的値段だけの問題ではなくして、国内において適正な加工賃が拂われておるかどうか、適正な労賃のもとに、適正な労働基準のもとにやられているか、また適正な利潤であるかどうか、これが国際的なダンピング問題の焦点ではないか。これを聞いている。ところがそれならば現在非常にダンピングが行われているのだという結論になるのであります。この点がはつきりしない。
  26. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 私の申し上げております点と、大分意見の違いがあるようでありますが、現在考えておりますのは、先ほどるる申し上げた通りでございまして、それ以上考えておりません。
  27. 川上貫一

    川上委員 奇妙な答弁だと思います。それならば現在ダンピングが行われているじやないか。たとえば纖維なんかについて、適正な賃金が拂われているとお思いになりますか。非常にむちやくちやな賃金、あるいはほとんど賃金が拂われておらぬところもある。それから賃金の遅配、欠配が行われている。これはダンピングじやないか。そんなことはないと、もし政府がお言いになるならば、具体的な証拠を私はいくらでも出すことができる。
  28. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 個々産業賃金が適正であるかどうかということを、今議論しているのではなくて、その生産費外国に売る価格の間がどうであるかということを議論しているのだと思つております。国内雇用賃金が安いか高いかということは、これは私の存じ上げない問題でございまして、ほかの方にお聞き願いたいと思います。
  29. 川上貫一

    川上委員 行われておるかおらぬかを聞いておるのではなくて、行われておつたならばダンピングになりますか、これをはつきりお聞きしたいのです。
  30. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 そういう仮定の場合におきましても、われわれの比較いたしますのは、行きました国における価格とどれだけの違いがあるというところで考えたいというように考えております。
  31. 川上貫一

    川上委員 同じことを繰返すようでありますが、外国で問題にしているのは、そうではないのではないかということを、かねて言つているのであります。外国で問題にしているのは、政府のおつしやるようなことをダンピングと言うているのではないだろう、これを質問しているのであります。
  32. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 先ほども申しましたように、そういう議論もあつたことはありましたが、ダンピング解釈としては、今後そういうことで行きたいというように考えております。その外国から意見が出ます場合においても、日本賃金が不当に安過ぎるとか何とかいうような意見は、私どもの耳には入つておりません。
  33. 川上貫一

    川上委員 これは諸外国の新聞その他に論ぜられていることをごらんになればすぐわかると思う。日本マル公より安いのをダンピングだというように、決して解釈しておりはしない。だからこれについては外国では日本状態を種々批判いたしまして、適当な処置を講じなければいかぬとか、あるいは適当な処置を講ずるように講義を申し出るような動きがどんどん出ている。そういうことを無視して、ただ政府の方だけで、国内価格より安いものだけがダンピングで、そんなことは知らぬことだと言われましても、それではすぐ貿易関係して来る。取締法なんかを嚴重にして、品質をより少し高める、こういう部分の問題ではなくて、もつと問題のもと、すなわちダンピングに対する国際的な反撃、このものが貿易の阻害を来しはしないかということを私は中心にしている。だからそのことがはつきりしないと、輸出品取締法の一部を改正したら、品物がよくなるから、品物がよくなつたらどんどん売れるのだというふうには行かぬのじやないか、こういうことを考えているのです。これを政府はどう考えておられますか。政府としては、国内価格より安過ぎなかつたら、ダンピングではないと考えていると一方的に言われましても、向うさんの方は実はそう考えておらぬ。そうすると、今のような状態が続くならば、やはりダンピングとして国際的な反撃を必ず受ける。そうなりますと、輸出品取締法の一部を改正して、品物をいいものをつくれば、たくさん出るのだという結論は出て来ないのです。この点のお考えを聞きたいのです。
  34. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 日本の商品のソーシャル・ダンピングが行われて、大いに外国市場を圧迫するというような問題が、非常にやかましくなる可能性があるという点については、これは先ほども申し上げましたように、これを十分に業者その他の自覚によつて、是正して行かなければならぬということは申し上げておりますが、現在そのおそれがあるから、日本輸出が伸びないというようなことは考えておりません。
  35. 川上貫一

    川上委員 これはどうも私の納得の行くような答弁がありませんので、この辺で仕切ります。宮幡政務次官がお見えになりましてから私はもう一度お聞きしたいと思う。  それから続いてこの輸出品取締法改正その他によつて品質をよくすれば出る、こういう点でありますが、今日本貿易が困難な状態に陥つておるのは、品質という点もそれは幾分あることはありましようが、根本の問題は、こういう取締りに持つて行く問題ではなくて、国際市場状態一つと、いま一つ日本の国の貿易政策、いわゆる飢餓貿易政策、これは言いかえますと、何というても低賃金労働強化集中生産賃金不拂い、あるいは重税、こういうものの上に行われておるのであります。しかも価格の問題で、ポンド切下げ問題をめぐつて、頭を打つておるのであります。ところが政府の方ではレートはかえない。ところがたとえば鉄鋼業なんか補給金撤廃値段の上ることは明らかである。そうしますと輸出問題の中心取締法などの問題ではなくて、価格の問題、国内市場を培養して行かなければ、品質のいいものはできぬという問題、また産業資金を十分に與えませんと改良はできませんから、いくら取締りをやかましゆうしたところで、良質のものはでつこはないということ、こういう点の方が重点だと思うのです。そういたしますと、今の行き方では、いくらこういう取締法なんかこしらえてみましたとことで、いつこうよい品物ができることはない。普通にやつておりまして、国際価格よりコストがなかなか高くかかる。そういたしますと、こつちの方の問題を改めません限りは、取締法などで品質をよくしようと言うたところで、よくならぬのじやないか、こつちが抜けておるのじやないか、この点はどう考えておるのですか。
  36. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 取締法粗悪品を出してはいけないということになりますれば、そういうものの生産はいたせませんので、従いまして、先ほど川上委員が言われましたような、いろいろの問題が大事であるということもわかりますが、同時にこの法案改正によりまして、粗悪品を出さないということもまた一つ輸出振興の方策であろうと考えております。
  37. 川上貫一

    川上委員 それではお尋ねしますが、鉄鋼関係品、及びこれに類する生産品の今後の価格と、それから国際的なこれらの価格関係、これをにらみ合して輸出がスムーズに行くというお考えでありますか。問題を限定するために鉄鋼関係品だけについて御答弁を願いたい。
  38. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 その問題は、たしかこの前の法案の御審議のときに、鉄鋼局長からすでにお答えしたと思つておりますが、私は主管局長でありませんので存じません。
  39. 川上貫一

    川上委員 ちよつと速記をとめていただきたい。
  40. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  41. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 速記を始めて。
  42. 川上貫一

    川上委員 それでは私の質問はこの際留保いたしまして、他の委員諸君の質問をしていただきたい。なお大臣あるいは次官がお見えになりましたその後に、質問を続けさせてもらいたい。
  43. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 今澄君。
  44. 今澄勇

    今澄委員 私は簡單に二点だけ質問をしたいのであります。今貿易公団が輸出品取締法ができるにあたつて、手持ちで持つているところの二百七十数億円といわれる貿易公団のいわゆる滞貨貯蔵品の問題でありますが、これをひとつ年次別に大体のその数量と、それからできれば年次別の総数量に対する大体の帳簿価格をお教え願いたいと思います。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま今澄委員の御要求でありますが、ここで数字を申し上げることも用意があるようでありますが、これは資料としてお配りした方がよろしいと思いますので、プリントにいたして配付いたしたいと思います。さよう御了承願います。
  46. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 年次別という御要求は、受入れの年次別だと思いますけれども、ただいま手元に三月末在庫をベースにいたしましたあとの異動の表を持つております。今これを整理しておりますので……。
  47. 今澄勇

    今澄委員 終戦後四年間の年次別の総トータルが簡單にわかりませんか。
  48. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 受け拂いをやつておりますので、その間の移動がはつきりいたしません。今持つておりますのは、三月末の在庫は、纖維貿易公団が持つておりますものが九十九億六千万円であります。これが九月末には百九億六千九百万円、但しこれは在庫でありまして、必ずしも滞貨とはいえません。それから政府が保管しております鉱工品その他の帳簿価格、それが三月末が二百八十七億円、それが九月末には二百十億円ということになつております。但しこれはその間に原材料の値上げがございますので、実際上これを放出いたしますと、その間におきまする原材料の値上りの分だけは、結局貿易会計の黒字に相なるわけでございます。それから鉱工品貿易公団の三月末の在庫が四十九億円、これが九月末には九十四億円と相なつております。これがふえておりますのは、いわゆる政府貿易関係におきまする船舶とか鉄道とか、そういうものの建造費がだんだん入つて来るわけであります。これも必ずしも全部滞貨ではございません。
  49. 今澄勇

    今澄委員 あとで資料を渡されるということでございますので、それはあとでよろしゆうございまするから、終戦後の各年次別滞貨の大体の集計表というようなものをいただきたいと思います。私がそれを要求する一つの理由は、そのような滞貨が一体終戦後何年と何年にうんと出たかということを見たいのでありまして、私の想像ではおそらく終戦後の昭和二十一年、二十二年には大してそのような滞貨というか、ストツク品はなかつたはずであつて、ほとんど全部がこの二十四年度、吉田内閣ができて以来急激な滞貨が来されたものであろうということを論証する証拠にもらいたい、かように考えておる次第であります。それで私はそれらの滞貨のいわゆる帳簿価格でありますが、今政府の手持ちのものについては、御説明のように貿易特別会計に黒字となつて現われるが、しからば貿易公団が持つておるそれらの数字は、いずれも簿価でありまするから、これらのものについては非常な益金があるはずですが、そういうことについての御見解なり、それらは貿易公団としてどういうふうに利益が出されるのかという点についてひとつ伺いたい。
  50. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 鉱工品貿易公団の持つておりますいわゆる滞貨と称しますものは、今のところ十六億くらいでございます。それを処分いたしまして出ます損失よりは、鉱工品貿易公団、纖維貿易公団自体が持つております繊維品の公定価格の値上りによりますものの、利益の方が多いわけであります。従つて輸出関係におきまする損失は、両公団をあわせて考えますと、むしろ益が生ずるであろうと思つております。但し輸入物資につきましては、国内生産がまだ上つておりませんうちに輸入いたしましたものもございますし、その他の情勢の変化等で種々処分の困難であるものを持つておりますことは、委員方のよく御承知のことであります。これを処分いたしますと、いわゆる五十億円くらいの赤字が出るだろうと思つております。しかしながらそれも貿易特別会計としましては、先ほど私が御説明いたしました貿易会計の黒字、これがおそらく五百五、六十億を越えるだろうと思いますが、それによつて相殺されます。貿易会計としては五百億くらいの黒字を持つて行くということになります。
  51. 今澄勇

    今澄委員 それで宮幡次官にお尋ねいたしたいのです。たとえば貿易の自由なる発展のために公団を今改組いたしましたが、廃止する貿易公団あるいはいろいろそういうような措置で、今たまつている滞貨を売り急がなければならないというような客観情勢から、伝え聞くところによると大体輸出相場の半値、あるいはさらにそれよりも低いというようなダンピングの形で、これらの今局長がいろいろ答弁された一切のストツクを、まことに不当に安い値段で処分されるかもしれないというようなうわさが伝わつておるが、そういうようなダンピングによつて処分されるおつもりであるか、どういうようにしてやられるつもりであるかという点が第一点。  第二点は、資金の回転というものは、年間に何回轉かしなければ話にならぬのであるが、今言つたような厖大なストツクが一つも回転しないでずつとあるということは、普通の民間企業であれば、もうつぶれておるということでありますが、何が原因でそのように資金の回轉が全然なされないで、品物がずつとたまつたか、そのたまつたものが二百七十億円というお話がありましたが、それなどはどのくらいの期間でたまつたかという点について、宮幡さんにお答えをお願いいたしたいと思います。
  52. 宮幡靖

    宮幡政府委員 本日の委員会にはよんどころなく遅れまして申訳ありません。ただいま公団の滞貨の処理につきましてダンピングではないかというお話であります。これは国内的なダンピングの意味でございますか。
  53. 今澄勇

    今澄委員 外国向けで……。
  54. 宮幡靖

    宮幡政府委員 外国に向けてのダンピングに対しまして、昨日たしか前田委員からの質問で御説明申し上げたように、一応仕向地の不正競争に関しまする法令に対しまする値段と申しますが、これと見合いまして輸出を行うことになつて参りますので、あるいは国内価格から見まして、ダンピングだというような見方が起るかもしれませんが、その限界を越えてダンピングいたすようなことはない方針でございます。また国内ダンピングについてもつけ加えて申し上げますると、やはり国内産業の保護育成の立場から、無用な混乱を起すようなことはいたしたくない。これはおおむね公売手続によりまして、処分して参りたいと存じております。  それから資金の回転の問題でありまするが、この資金の回転につきましては、御説の通り企業には一定の資金の回転率がある。現在の企業といたしましては、一番資金の回転率の悪いのは皮革業だと思います。これらの資金は年に一回転もいたさないような状況であります。通常に考えますと、まず生活必需的物資の企業回転率は、私どもの狭い見解で知つておるところでは、年に三回転あるいは四回転、この間を左右しておるものではなかろうかと想像いたしております。公団の資金の回転も、需給関係においてきわめてすみやかな回転をするものと、しからざるものとありますが、今日まで大体二回転半くらいはいたして参つておりますが、ただその内容の入れかえにおきまして、いわゆる正常在庫でありますれば、もちろん問題はないのでありますが、正常在庫あるいは滞貨とみなすべきものの数字は、その入れかえりによりまして順次かわつておりますので、資金はやはり正常の回転をいたしておるものと存じております。
  55. 今澄勇

    今澄委員 大体御説明でわかりました。今のそれらの滞貨は、政府としてはダンピングでこれを処理するであろうと私は思うのです。そこでその際に望みたいことは、それらの公団のストツクやあるいは政府の手持ちや、一切のそれらの輸出品がそういうような不当なダンピングで売られないで、公団の廃止もそうあわてないで、じつくりと腰を落ちつけて商談のできるような姿において、それらの滞貨をはかせたい、それを私は希望しておるわけであります。私どもの調べたところによると、十一月三日付ごろに取引された、ごく最近取引された値段の半値くらいならば、全部買つてもよいがというようなことを、バイヤーが申し入れたという話でございますが、少くとも最近取引された値段の半値にたたかれるということは、政府があらゆる施策の上に累積したいろいろな失敗から起つた大きなストツクが出たことにもよるけれども、あるいは公団を早急に廃止するとかいうような、いろいろな取急ぎの政策のために、足元を見られて不当に値段が安くつけられるということも十分にあると思います。それらの点について公団の今度の廃止その他の見方と、そういうふうに非常に安く値段をたたかれる場合において、一体どういうふうな御指導と御方針を持たれるか御答弁を煩わして、私の質問を打切りたいと思います。
  56. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今澄委員のお配慮の点は、これは商慣習と申しますか、当然起るべき事態であります。もうやめる、店じまいということになると足元をつけ込まれる、これはきわめて適切な言葉であります。その傾向につきましては、これは必ずしもないとは申し上げられません。各種の物品につきましてバイヤーあたりから、きわめて安い値段をつけられる。それならばみんな買おうというような状況なつて来ることも、しばしば起つております。ただその場合にこれを牽制する、と言つては妙な言葉になりますが、貿易が近い将来自由になり、輸出もおおむね自由になつた場合に、国内のその品物生産なすつた方々が、これをみだりに外国市場に放出せられましては、自己の産業の圧迫になるという立場から、進んで買いもどし等をしてくださいまして、独自の立場で商談をあらためて成立させて、輸出していただくということに特段の御配慮を願つて行けば、非常に通産省としてもやりよい面があるのでありますが、国内においても残念ながらいわゆるおひより見というので、だれかがもし買わなかつたら買おう、たとえばこれに対して公売手続をやつたり、あるいは評価の協議会等にかけましてもみなひより見でおる。いよいよバイヤーがそれではこれが最高の値段である、また国内価格と見合せてもこの辺がよかろうということに落ちつきますと、あわてて業者がもう少し高く買うからこつちへ売つてくれと言う。こういうような状態が真相であります。これは特に委員各位の御協力を願いまして、国内計画生産あるいはその他の過程におきまして、現在輸出品として滞貨の形にあるものがうりさばかれますときには、ぜひともそれについて自己の産業を保護するという意味から、重大な関心をお持ち願うように御配慮いただきたい、かように考えております。公告いたしましても、展示会をやりましても、公売をやりましても容易に手出ししない。しかしてバイヤーが安く持つて行こうとすると、それでは困るからこちらへ売れ、かようなことになりまして、まだ輸出が先着順に受付けるという段階になつておりませんから、相当これらについても干渉がましい手続までとりまして、なるべく一銭でも高く、あるいは1セントでも高く、かような気持で、ただいま個々の問題について配慮いたしておるような始末で、御懸念の点は十分注意しなければならない点だと思います。御注意に従つてさような間違いの起らないように、嚴密な注意を拂つて進行して参りたい。ただ公団の廃止につきましても、これは公団の仕事に押されて、公団というものは整理さるべきであります。行政整理の問題につきましても、私は常にこの説を省内にとなえております。統制が解かれますと、だんだんいらなくなる方がふえて参ることは事実でありますが、仕事の量がどうなつたかということも勘案して、定員等も考慮すべきである。こういう点から考えまして、公団の方の仕事の進捗状況、時の状況によりまして、ただいまから予想して何年何月、暦によつてこれを打切らなければならない、かようなきゆうくつな考えは通産省としては持つておりません。
  57. 有田二郎

    有田委員長代理 この際川上さんにお諮りいたします。外国為替管理委員が関係方面との連絡でお帰りになりたいという話でありますが、これに関する質疑をやつていただきたいと思います。
  58. 川上貫一

    川上委員 昨日私は、為替管理委員会がホンシヤン銀行、チヤータード銀行から一億二千六百万ポンドのポンド貨をポンド切下げの直前に買つたのではないか、これが事実かどうかという質問をいたしたのであります。これに対して宮幡政務次官は自分のところでは知らないということであつたのでありますが、その後これはお調べを願つたでありましようか、あるいは御関係の方が今日おいでになつておりますか。
  59. 大久保太三郎

    ○大久保説明員 御質疑の点につきまして御説明申し上げます。本年の六月外国商社が、輸出貿易をいたしますについて、日本の生糸その他の物資輸出しようとしたのでございますが、その物資を集荷する円資金がございませんでしたので、これを調逹するために日本側の銀行に以来に参つたのでありますが、銀行の方でもその調逹ができませんので、英系の銀行に依頼しまして、英系の銀行から委員会の方に申出がございまして、ポンドを対価として円資金為替資金から融通してくれるようにという申出があつたのでございます。委員会といたしましては、この取引は貿易の進行に寄與いたしますし、かたがた外貨を獲得いたします一つの手段でもございますので応諾して、当時日本円として三千六百万円余り、ポンドにいたしまして二万五千ポンドの取引をいたしたのでございますが、英系の銀行ではわずか五百万円だけを使つて、それも五日で全部返済して参りました。それでこの御質疑の取引は全部終つておる次第でございます。以上御説明申し上げます。
  60. 川上貫一

    川上委員 それについてちよつと承りますが、これは速記をとらぬでいいのですが……。
  61. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 それではちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  62. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 速記を始めてください。
  63. 川上貫一

    川上委員 いま一つ為替管理の方に伺いますが、これはきのうも聞いたことでありますが、ポンド地域に輸出いたしましたときの勘定じりでありますが、これはどこまでもドル建の勘定にしてもらいまして、そのものをたとい輸入品に当てるにいたしましても、どこまでもドル建にしなければ、非常に不利益になると思うのでありますが、それが最近ポンド建で、今までの累積しております品物を片づけて行く。こういうことになつたということを承つておりますが、そうなつておるのでありますか。
  64. 大久保太三郎

    ○大久保説明員 協定貿易につきましては、御承知の通りただいまのところ、日本政府で管理しております以外のことでございまして、その決済じりがどういうふうになつておりますかは、私ども存じないところでございます。
  65. 川上貫一

    川上委員 それではそれについてもう少し聞きますが、協定貿易というものは貿易協定が結ばれて貿易が行われるのだが、それの勘定あるいは出超じり、そういうものについては、為替管理委員会の方では何にも御承知ない、こういうことになるのでありますか。言いかえれば、日本政府では何にもこれはわからぬということになるのでありますか。
  66. 大久保太三郎

    ○大久保説明員 ただいまのところそういう建前でございます。なお他日協定貿易の精算勘定が日本政府に移管されるようなときが参りましたならば、私どもその状態について御質疑に応じて御説明申し上げることができるだろうと存じます。
  67. 川上貫一

    川上委員 管理貿易の勘定についての状態を非常に明らかにしてもらいまして、たいへんこの点はありがとうございました。  それから宮幡政務次官に対するきのうの質問の続きでありますが、きのう協定貿易内容を聞きましたら御答弁なつたわけですが、その御答弁によると、結局協定貿易協定貿易と言つて、実に鬼の首をとつたように言われておつても、その内容は実際的には管理貿易と違やしないと思うのですが、これをどうお考えになりますか、その点簡單けつこうですから、御答弁をお聞きしたい。
  68. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは簡單な言葉で容量だけ言えという川上委員の常々の御要求に、ぴつたり合う答弁になると思うのですが、占領管理をされております状況における協定貿易、これで盡きると思います。
  69. 川上貫一

    川上委員 そういたしますと今盛んにとなえられておる民間移譲の問題とフロアプライス撤廃の問題、こういうものにからんでこの取締法も問題になつておると思うのであります。そこで民間貿易の問題でありますが、そういう状態でありましたら、民間貿易にいたしましても、その実質は政府勘定が民間勘定になるだけであつて、ほかはちつとも現在と違わぬように思われるのですが、この点はどうなつておりますか。
  70. 宮幡靖

    宮幡政府委員 貿易が自由の原則に返りますと、これに伴いまする貿易資金の管理方法につきましても、変更があるべきはずでありまして、またあるべく予想されております。ちよつと速記をとめて……。
  71. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  72. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 速記を始めて。
  73. 宮幡靖

    宮幡政府委員 さような状況でありまするから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  74. 川上貫一

    川上委員 その点は了解いたしました。  続いて民間貿易でありますが、そうなつて来れば為替管理の関係が多少融通をされるであろうということなのでありますが、しかしそういうようになりましても実際上、今度民間貿易なつた時分には、現在の貿易は実際において自主性がないので、盲貿易であることは事実なのでありますが、さつきからたびたび繰返して言います通りに、ぜいたく品不要不急品というようなものが入つて来るという形が非常に多くなる。それから消費財も入つて来る。そうなりますと、国内産業がこのために必ず圧迫されて来る。国内産業が圧迫されて参りますと、今度は輸出貿易関係して来る。またそうしますと取締法なんかで輸出のいい品物をこしらえてよそによく出すんだといいましても、裏の方から逆にくずれてしまう。こういう危險を持つておるような感じがします。民間貿易なつた時分には今の状態のもとでは国内産業が圧迫を受ける。あるいは今言いましたような不急不要の物が入つて来る。消費財もたくさん入つて来るので、いい品物をつくつてたくさん出すんだというこの法案が、結局においては大した役に立たぬものになつてしまうと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  75. 宮幡靖

    宮幡政府委員 こまかいことは通商官が見えていますから、通商官から答弁いたさせますが、川上委員の御指摘の将来国内産業が圧迫せられて、結局は輸出を振興しようとしても、その目的を逹しないのではなかろうかということは、考え方としてはそういう心構えをもちまして対処することは当然必要だと思います。しかしながら事態といたしましては、さようなことの起つて来ないような状況に進行いたしつつあります。たとえて申しますと先般申し上げました日本輸出業者の地位を力強くいたしますために、必要だと考えました輸出業法というものが、かつては司令部からは一応考えられないという回答をいただいておいたわけでありますが、最近の情勢はこれらも必要であろうということになりまして、順次その機運が醸成されて参りました。外商のおもわくによりましてのみ貿易が運営されるという御心配の向きは、おおむね解消して参る段階になつておることを御了承いただきたいのであります。
  76. 川上貫一

    川上委員 現実に盲貿易——出先機関も実際ないのですから、その上にこちらの資金も潤沢に持つているというわけではありません。ことに資金がないのであります。そうしますと、ただいま御答弁になりましたようなものをこしらえましても、これはどうにも実際はたたかれて仕方がない。ことにフロアプライス撤廃されたのでありますから、そうなりますといよいよ値段の上でもたたかれる。そうすると国内で値下げ競争が起る。やむを得ず売先不安と目先で、こちらは構えて参りますから、どうしてもたたかれる。そうなると、結局これは国内産業が非常に圧迫を受ける。金詰りはいよいよ加わつて来る。こういう矛盾に陥つてしまうと思う。この点について今の御答弁のようなことをやるから、一向さしつかえないと言われますが、実際これは非常に危險が大きいと考えるのであります。そういう危險はないとお思いになりますか。
  77. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ないように進めたいと考えております。
  78. 川上貫一

    川上委員 ダンピングの問題ですが、さつき今澄委員からも質問したところえありますが、これがまた非常に貿易を阻害する。そこでやはり今出ております法案に私は関係すると思うのでありますが、ダンピングとは国内の一般価格あるいはマル公、これを割つたものがダンピングだと考える。こういうように今日も御説明になつだと思うのですが、どうもわれわれの考えでは、国際的に問題になつておるのはそうじやない。国内における低賃金労働強化、それから労働関係法規の無視、こういうことをある程度めちやくちやに行わせて、非常に低価格でどんどん輸出させる。このことを国際的な問題にしておると思います。これをやはり国際憲章違反として向うは取上げると思うのです。この点について政府はどうお考えになりますかという点。  第一は、そういう事実は現在もないし、将来もないとお考えになりますか。あるいはそういう事実が実は現在はある。将来もまた危險がある。だからこれに対してはこうしようと思つているというお考えがあると思いますが、その点について御答弁をお願いしたい。
  79. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ソーシヤル・ダンピングの問題と、レーバー・ダンピングの点に触れてのお話がありましたが、そのとき申しました言葉を少し覚えておりますが、いわゆるレーバー・ダンピングなどというものは、過去の歴史に現われた一つの夢となつていると私ども考えている。こういう言葉でお答えいたしましたが、その気持とかわつておりません。それからソーシヤル・ダンピングが起つた場合に、国際憲章によつて処理されるかどうかという問題でありますが、こういう問題はすべて講和條約の締結された後に起るべき問題で、まだ国際公法、国際私法の完全適用と申しますか、そのわくの中に入つておらない貿易状況でございますので、ただいまはそのことに対しては適切なお答えのできないことを残念に思うのであります。しかし政府といたしましては、さようなダンピングによつて国が栄えるとは考えておりません。従いましてダンピングが起ることを心配されることはごもつともでありますが、さような事態をそのまま見逃して何ら手を打たないなどということは、いたさないつもりでおりますから、何とぞ御了承願いたいと思います。
  80. 川上貫一

    川上委員 石油についてひとつ聞きたいのでありますが、石油の輸出関係が少しもよくわからない、原油並びに石油がどういうぐあいに輸入されているのか、またどういうぐあいに輸出されているのか、あるいはこの生産関係はどういうぐあいになつているのか、これを概略でけつこうですから御説明を願いたい。
  81. 宮幡靖

    宮幡政府委員 石油については、私資料も何も持つておりませんので、覚えている数字でお答えいたしますが、大体国内の年間の石油の需要は、二百五十万キロリツター程度でありまして、現在国内生産は約その一割にあたるものであります。それで輸入計画に乗つて輸入されつつありますのが、二百万キロリツター程度であります。最近近東地区との契約によりまして、近く入つて参りますものが三十二トンと申しましたが、これは原油で入つて参りますから、精製いたしました結果どういうふうになりますか、これはお尋ねのことをもつと掘り下げて考えますと、こういうもので国内の石油産業を圧迫するのではないかという御心配のように、前の質問から関連して想像されるのでありますが、これは今石油のマル公の改訂という問題がありますので、もし輸入原油によつて国内の石油が非常に不当に圧迫されるではないかという考え方もありますが、マル公のある統制品であります以上、この価格はプールさるべきものであります。そうしてその新マル公が不当に日本の石油業界を圧迫する、かような面に持つて行くべきでない、かように考えております。詳細なことはまた適当の機会に申し上げますが、この間鉱山局長は関税の問題にも触れまして、たとえ外油が入りましても、品質の点におきましていろいろの相違があるから、価格の開きはさように大きくはならぬだろう。たとえば九千五百円と六千何百円との比較をしてみると、そこに品質の問題において相当解決する点がある。かように答えておりますが、本日のところは何も資料を持つておりませんから、記憶のまにまにお答えするのでありますが、定めし御不滿と思いますがきようはこの程度でごかんべん願います。
  82. 川上貫一

    川上委員 それでは最後に一つだけ御質問いたしまして私の質問を打切ります。いろいろ小さい部分的なことまでお聞きして、現在の貿易の全体の状態がいささかわかつたのでありますが、これについて政府のお考えをお聞きしたいのは、どうもいろいろ聞いておりますと、貿易関係においてはあらゆるところに矛盾と撞着が起つておるのであります。たとえば今度提案になつております取締法なんかも、非常に部分的なものでありますが、こういう小さなものを少しずつ出してみたところで、とても貿易政策を矛盾なしに遂行して行つて予定の方針をやつて行くとういことは不可能じやないかという問題なのであります。第一この政策を強行して輸出を拡大いたしますと、集中生産という方向は絶対にとらなければならぬことは明らかであります。そうすると中小企業は非常に圧迫を受ける。今度の法案にいたしましても、中小企業はますます困難になると思うのであります。集中生産の過程、また中小企業が立つ過程で、勢い合理化をどんどんやらなければ、輸出ができない。ところが正当な合理化をやろうとすれば、必ず莫大なる資金がいる。ところがその金はないのであります。そうすると合理化というのは勢い労働賃金の切下げ、労働強化という以外にはなかなか方法はない。これは限度がある。もちろん限度なしに相当やつておりますが、しかし実際においては限度がある。この限度を越しますと、生産が停滞するわけであります。いま一つは、それをさらにやろうとしますれば、ダンピングはやらぬように努めますという御答弁でありましたが、どうしてもこれをやらなければ売れつこないと思う。そうすると必ずこれは国際的な反撃を受ける。同時にそれを強行しますと、国内市場がだんだんと狭隘になる。国内が荒廃して来る。輸出を強行すればこの結果になる。それならば輸出を縮小すればどうなるかというと、これはまた非常にお困りになる。こうなつて来れば均衡財政はくずれましよう。均衡財政をなおかつやるということになれば、今度は国の産業状態が必ず破壊されてしますという形になる。そうすると輸出を縮小いたしましても、輸出を拡大いたしましても、今のような形でやろうとするならば、この矛盾を解決することはできない。これは取締法などで輸出を大きくするというようなことで解決するものでない。非常に根本の問題だ、こう思うのです。しかし政府の方はこういう方針を推し進められる気であろうとは考えますけれども、この相互関係を持つた矛盾について一体どう考えておられるか。この根本的な打開の方策か何かあるのか、またこれは矛盾がないと思われるのか、またこれでよいと思われるのか、またよかろうが悪かろうが、これを推し進めるのだとお思いになるのか、この点、要点だけでけつこうでありますからお考えのありますところを、お答え願いたいと思います。
  83. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川上委員のお立場からいたしますところの数々の御注意、御意見はそのまま拜承いたいまして、将来にかけて善処をいたしたいと考えております。
  84. 川上貫一

    川上委員 なお輸出貿易関係全体に対する政府の政策については、十分お聞きしたいことが残つております。それはほかの法案が出るはずでありますから、その時に御質問することにして、私の質問はこれで打切らしていただきます。
  85. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五分散会