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1949-11-12 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十二日(土曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君 理事 山手 滿男君       阿左美廣治君 理事 門脇勝太郎君       小西 英雄君    關内 正一君       高木吉之助君    田中 彰治君       中村 幸八君    福田 篤泰君       福田  一君    加藤 鐐造君       山口シヅエ君    高橋清治郎君       柳原 三郎君    田代 文久君  出席国務大臣、         通商産業大臣  稻垣平太郎君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         (通商振興局         長)         通商産業事務官 岡部 邦生君         (資源庁鉱山局         長)         通商産業事務官 徳永 久次君  委員以外の出席者         大蔵事務官   神代 護忠君         通商産業事務官 武内 龍次君         通商産業事務官 中村辰五郎君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 十一月十二日  委員田中豊君辞任につき、その補欠として、圖  司安正君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の  法律案内閣提出第七号)(予)  帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)(予)  帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案(内  閣提出第九号)(予)  帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(予)  日本製鉄株式会社法の一部を改正する事法律案  (内閣提出第一三号)(予)  輸出品取締法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  前会に引続き私が委員長の職務を行います。この際委員の異動についてお知らせいたします。本日田中豊君が委員を辞任せられ、新たに圖司安正君が委員となられました。以上お知らせいたしておきます。  ただいまより前会に引続きまして、産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上予備審査の五法律案一括議題として質疑を継続いたします。加藤鐐造君
  3. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 まず第一に産業設備営団並びに交易営団についてお伺いいたします。まず第一に産業設備営団資産の内容をお伺いしたいと思います。特にその持つておる設備等について、一応詳細にお伺いしたいと思います。     〔神田委員長代理退席澁谷委員長代理着席
  4. 神代護忠

    神代説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。産業設備営団設備につきまして申し上げますと、産業設備営団昭和二十一年の十二月十八日に閉鎖機関に指定せられたのでございますが、その指定日におきます設備は、これを緊要設備船舶製造関係と、それから遊休設備関係にわけることができるのでございますが、これを簿価について申し上げますと、緊要設備につきましては、約十六億七千一百余万円、船舶製造関係につきましては約十八億四千一百余万円、遊休設備につきましては九千八百余万円、合計約三十六億一千一百余万円という数字なつております。これが閉鎖日現在の簿価でございますが、その後これが処分にあたりまして、ただいまの八月現在の数字で申し上げますと、そのうち有体資産を六〇%処分いたしました。それでこれを先ほどの各項目別に申し上げますと、緊要設備につきましては約九億余万円、船舶製造関係につきましては十一億五千四百余万円、遊休設備につきましては九千八百余万円、合計二十一億五千三百余万円というのが処分いたしましたものの簿価でございます。これは緊要設備につきましては五四%、船舶製造関係につきましては六二%、遊休設備は大体百パーセント処分したことになつております。平均いたしますと約六十パーセントを処分いたしております。
  5. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 現在の資産状況はどういうことになつておりますか。たとえば赤字が出るかどうかという問題ですが、その点は産業設備営団交易営団、両方について、一応伺いたいと思います。
  6. 神代護忠

    神代説明員 それではまず産業設備営団債権回収状況から御説明申し上げたいと思いますが、産業設備営団債権は、閉鎖日におきまして大体十億一千六百万円ございました。それがその後回収に当りました結果、約三億五千万円の回収をいたしまして、八月十五日を一応基準にとつてみますと、六億六千六百万円というのがまだ未回収なつております。これに反しまして、債務の方の弁済状況を申し上げますと、債務閉鎖日におきまして大体三十六億八千四百万円、これが弁済を約五三%いたしまして、十九億七千万円というものが弁済額なつております。それで大体の見通しと申しますか、まだ相当多くの資産処分未済にもなつておりますし、数字をはつきり申し上げることはできないのでございますが、一応の目安といたしましては、一般産業設備営団債務というものは百パーセント弁済し得る見込でございます。しかし営団には営団債というものがございまして、この営団債については一応一一%くらいの程度しか支拂いはできないのではないかと思われます。もちろんこれには営団に対する政府補償という問題がひつかかつておりますので、この補償の問題の帰趨いかんによりましては、一般債権の方も打切らなければならないのではないかと予想せられます。  それから交易営団について申し上げますと、交易営団閉鎖日現在におきまして、資産勘定によりますものが大体十億七千万円ございました。これがその後回収に当りまして、あるいは処分に当りまして、八月二十五日を一応現在として見ますると、約十億一千八百万円ということになります。債務の方を申し上げますと、閉鎖日現在におきましては二十億八千七百万円、これが回収債務弁済をいたしまして、大体八月二十五日では十四億、十五億のバランスになつております。もちろんこれらは今後債権確認とか、あるいは債務確認とか、さらにまたただいまインパウンド物資と称しておりますようなダイヤモンド、金、こういうものの処分やり方に非常に影響いたしますが、大体その見通しを申し上げますと、一般債務につきましては、六六%を弁済し得る予定になつております。
  7. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 営団債はどれだけ発行されているか。これはその所有者は大体だれかということを伺います。
  8. 神代護忠

    神代説明員 産業設備営団債権所有者のおもな項目を申し上げますと、官庁関係所有で、預金部が九億三千七百万円、簡易保険局が九百万円、金融機関では農林中央金庫が一億五千万円、農業会が一億百万円、庶民金庫が四千四百万円、その他一般市中銀行が四億七千五百万円。個人所有のものは約二千九百万円、合計十七億四千五百万円、これが大体営団債の現在の分布状況でございます。
  9. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 大体この両営団整理が完了するのはいつごろの見込みですか。  それから最後の結末の見通しはまだつかぬというお話ですが、大体の見当として国家補償になる分が、どのくらいかというようなことはわかるはずだと思いますから、その点をお伺いします。
  10. 神代護忠

    神代説明員 産業設備営団につきまして、大体いつごろ清算が結了するかという御質問のように承りましたが、ただいまの状況を申し上げますと、未確認債権あるいは債務というものがまだかなりございます。大体産業設備営団債権者あるいは債務者というものは、非常に少額なものもございまして、これが一万数千件以上に上つておるわけでございます。そこで、これらの確認が非常にむずかしい。それからさらにその確認をむずかしくする原因といたしましては、書類が戰争中になくなつておる。それから戰災その他にあいまして、営団資産の調査が非常に困難であるといつたようなことが、現在でもまだあるわけでございます。それに引きかえまして、最近におきましては一般金融難も影響いたしまして、処分が必ずしも意のごとく行われないのが現状でございます。これらの状況のもとにおきまして、大体のことを申し上げますと、工場あるいは造船所処分につきましては、現在のところ未処分のもの、これは先ほども申し上げましたように稼働條件が非常に悪くなつておりますので、あるいはまた賠償指定といつた関係もございますので、処分はまだ当分かかるのではないかと考えられます。ただ一応私どもの方で調べました五十件ぐらいのもののうち、来年の三月までには約二十件ぐらいが済み、その残り三十件は来年一ぱいはかかるのではないか。それからさらにこれらのものを処分いたしまして、その代金の納入に関して即時拂いを要求しても、とうてい現在の情勢においてはできかねるのでございまして、特定の場合には分割拂いといつたような條件をつけて許しておりますので、その辺の点からも資金の回収が遅れるわけでございます。一応の見通しとしましては、これらの資産処分は二十七年の半ばぐらいまでかかるのではないかと考えられます。一般債権につきましても、確認その他の点で来年の三月ぐらいまではかかるのではないかと思つております。  それから次に補償の大体の額がわからないかという御質問でございますが、産業設備営団につきましては、政府は過去数回にわたり補償をしておつたのでございます。ただいま私どもの方で一応補償をしなければいけないのではないかと考えられる額は、産業設備営団一般債権を一〇〇%拂い、営団償を一一%拂うということを基準にいたしまして、そろばんをとつているわけでありますので、大体の見通しといたしましては、約六億程度になるのではないかと思つております。  次に交易営団の今後の見通しでございますが、交易営団清算の画で、今後に残された一番むずかしい問題は、何と申しましてもインパウンド物資処分の件でございます。これが解決しない限り特殊清算というものは今のところ見通しがつかない。しかしこれさえ解決すれば他の方の清算はかなり進捗するのではないかと思つております。
  11. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 以前にも議会でちよつと問題になつたことがありますが、交易営団に保管しておりまする貴金属の大体の価額は、どのくらいでありますか。
  12. 神代護忠

    神代説明員 ダイヤモンド等を入れまして約二百億です。
  13. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それは現在でも日銀金庫に保管されておるわけですか。
  14. 神代護忠

    神代説明員 日銀に保管されております。
  15. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 両営団についての質問はこれくらいでやめますが、従来閉鎖機関整理が非常に緩慢で遅れていたのであります。そのために、急速に清算すればこうむらなくてもよい損失をこうむるというような実情にあると思うので、残余の清算整理は急速に進めていただくことを強く警告しておきたいと思います。  次に鉄鋼関係について二、三きわめて簡單にお伺いいたします。  鉄鍋関係需給関係は、大体他の委員諸君の御質問でわかつたわけでありまするが、日本自立経済確立の上において、鉄鋼生船の地位というものは非常に重要なことは申すまでもないのでありますが、いわゆる日本経済自立に持つて行くための鉄鋼生産計画というものを、一応お伺いしたいと思います。吉田総理大臣は五箇年計画を否定されましたが、しかしいわゆる日本自立経済が体五箇年を目途としております以上、基礎資材としての鉄鋼には、それに伴う生産計画がなくてはならぬと思うわけでございますが、その点についてお答え願いたい。
  16. 宮幡靖

    宮幡政府委員 詳細なことは鉄鋼局長から申し上げますが、ただいまのところ明年度計画として銑鉄で百七十五万トン、鉄鋼で二百万トンの生産を達成したいため、諸般の計画を進めております。
  17. 中村幸八

    中村説明員 鉄鋼の今後におきます生産計画につきまして、二十五年度につきましては、銑鉄で少くとも百七十五万トン、鋼材で二百万トン、今後この数字を五箇年の長期の計画として石炭その他と見比べまして、どの程度にするかということは、一応五箇年後の最高の数字を三百二、三十万トン程度に押えまして、その間の年次別の調整というようなことを一応考えておりますが、詳細な具体的な計画となりますと、原料、特に石炭輸入、あるいは鉄鉱石輸入状況確保ということの、実際の見通しいかんによりまして、これを詳細検討いたさなければなりません関係で、通産省といたしましては、関係方面とこの点については具体的に検討しておる実情でございます。
  18. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それで今おつしやつた燃料賢材確保の問題が一番かんじんだと思うわけでございますが、その点について今の御説明では十分でありませんが、さしあたつてたとえば本年度鉄鋼石の百八十万トンの輸入計画が実現できるかどうか。粘結炭の百六十万トンの輸入確保できるかどうか。それで一体これは輸出との振合いを考えてやつておられることと考えますが、その点についての見通し。それから国内においての鉄鉱石開発計画というものはどうなつておるか。おそらく戰争中から相当鉱山が荒廃して、休鉱なつておる山も多いと思いまするが、そういうものに対するところの開発計画というものが立つて、そうしてできるだけ国内において原料確保するという計画であるのかどうか。こういうような点を承りたい。
  19. 中村幸八

    中村説明員 ただいまの原料、特に石炭鉄鉱石等輸入問題でございますが、石灰につきましては、終戰後米炭にほとんど依存しておるという状況であります。しかし今後の見通しといたしましては、できるだけ日本鉄鋼業が従来支那大陸方面等原料炭をもとにいたしまして成立いたした実情を考え、今後においてもそういつた基礎の上にある程度移行しなければならないのではないか。こういうふうに考えて、この線に沿いましての努力を目下いたしておる次第でございます。  石炭百六十万トンの輸入の問題でございますが、現実の貯炭状況、その他から行きまして、この程度輸入は必要としないのではないかと考えております。  鉄鉱石の問題につきましては、従来海南島に相当依存しておりましたが、今後の一応の見通しからいたしますと、ズンダン並びにフイリピンの鉄鋼開発ということが、相当積極的に進んでおります関係と見合いまして、この方面に主たる重点を移すという結果に相なると思います。と同町に従来は鉄鉱石について非常にむりをいたしまして、不足の状況を補うという趣旨で参りましたが、最近情勢はかわりまして、いわゆるバイヤーマーケットからプライス・マーケットに移行して参つたというのが現状でございまして、この面から見ました鉄鉱石輸入ということは心配しないでもよい、かような状況に相なつております。
  20. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 日本鉄鋼産業原料輸入に仰いでいることは、結局将来日本鉄鋼産業は成立たない、滅びてしまうということを断定してもさしつかえないと思うのであります。そこで今もおつしやる通りできるだけ国内にそれを求めるという方法が重要なわけですが、将来国内において確保できる鉱石と、それから輸入との割合をどういうふうに考えているか。これは大きな政治問題ですから、大臣から伺いたい。
  21. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今までここでどういう話が展開されていたか存じませんが、要するに私はこの問題は加藤さんの御質問よりも、もう一つつつ込んで考えるべきだと思います。ということは、日本内地鉄鉱石というものは、品位の点におきしましても、また含有しているところの他のもの—大冶の鉱石にはチタンを含んでいる、あるいはその他の粗雑物を含んでいる。かりに同じ五〇%の品位鉄鉱石を持つて来ると、輸入した方が採算が合う。私は今採算の見地から申し上げるのですが、こういう問題もあると思うのであります。それから御承知のように最近フィリピンからとれる、あるいはマレー半島方面鉄鉱石もとれる。おのずからフィリピンから入るというようなことになつたために、一つ競争といいますか、そんな関係バイヤーがオフアーして参りますところの鉄鉱石値段というものは、従来よりもよほど安くなつている。そこで内地鉄鉱石とほかの鉄鉱石との比率をどう考えたらいいか。かりに五〇%のものであつて日本着値段が同じであつたら、むろんあつちの方がいい。こういうことになります。しかしながら一面日本鉄鋼業を育て上げて行く、あるいは確保して行くという意味からいえば、相当量内地鉄鉱石を留保しておくことが必要である。そういう意味において鉄鋼値段に吸收する範囲において、もし内地鉄鉱石値段を上げたならば、なおよけいに増産ができるのではあるまいか、こういう問題について今検討いたしております。かりにこれを何パーセントか値段を上げるということになつて、それがために内地鉄鉱石がよけい出る。こういうことになつたならば、これも一つ方法であろうと考えているのであります。そういう点も検討を加えて、日本内地鉱石と、入つて来る鉱石との比較について、もう一度検討をし直すことが必要であろうと考えております。
  22. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 そうしますと、私の方からまたさらにつつ込んで議論しますが、結局内地貧鉱処理技術問願だと思うです。そういう技術の点については、戰後少しも研究されておらないし、また政府自体が力を入れておらないと思うのであります。今大臣のおつしやつたことは、要するに答弁としては、なるほどそれで一応筋は立つておりますけれども、しかし先ほど私が申し上げましたように、輸入原料に依存する日本鉄鋼産業というものは成立しないのであります。     〔渋谷委員長代理退席神田委員長代理着席〕 そこで今私は輸入鉄鉱石と、国内確保できる鉄鉱石との割合をお尋ねしたわけでありますが、それが明答できないところを見ますと、原料鉄鉱石輸入計画について、まだ十分計画が立つておらないのではないかというふうに思うのでありますが、今明答できるというお話ですから、一応お伺いいたします。
  23. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 先ほどは私がここにおらず、お話を中途から聞いたので申し上げなかつたのですが、今の御質問は結局日本鉄鋼業原料である鉄鉱石輸入する、あるいは原料炭をも輸入するのだからして、実際は成立たないのだ、御質問の要旨はこういうことでありますか。—これは私は非常な考え違いと思うのであります。その点については私は全然意見を異にしております。私はかりに鉄鉱石を持つておる支那よりも、日本鉄鋼業の方が十分採算がとれると思う。一面においてマレーがあり、フイリツピンがあり、近くは東南洋において原料をもつておる。また支那においても今開平炭の交渉をいたしておりますが、おそらくこういつたものも入つて来る。こういうように石炭原料も、鉄鉱石原料も近くに持つてつて、そうして、日本の船が自分の自由にこれを持つて来られる時代になりましたならば—言いかえれば今オーシヤン・ゴーイングの船を改修いたしておりますが、これが改修されることになりますれば、日本鉄鋼業というものは決して成立たぬものでも何でもない、私はかように考えておるのであります。われわれは富鉱と言われるところの鉄鉱石、しかも粗雑物のない鉄鉱石を近くに持つておる。開平炭を近くに持つておる。距離の上からいつても、日本の船を使う場合においては、大した問題はないのであります。その点において競争ができないということを考えること自体、私には合点が行かないのであります。
  24. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は簡單質問いたしましたので、いろいろ意見の食い違いが出ましたが、要するに今大臣のおつしやつたような輸入鉄鉱石日本鉄鋼産業を成立たせるためには、やはり従来のように支那大陸、あるいはきわめて日本に近接した地域から輸入しなければならない。現在のようにアメリカその他非常に遠方から運んで来るようなやり方では、成立たないということを申し上げたかつたのであります。それで問題は今申し上げたように日本に近接しておる地域からの輸入ということは、フィリピンにおいて相当有望であるという、今のお話でありましたが、私はやはり日本鉄鋼産業を有利に発展させるためには、支那大陸からの輸入ということが一番問題になると思うわけでありますが、この点について近き将来における見通し、すなわち支那大陸から鉄鉱石輸入し、あるいは従来の開炭のような優秀な粘結炭輸入して、かわりに製品を送るという貿易が成立つか、近く行われるかどうかという点についての見通しをお伺いいたします。
  25. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 そうすると、加藤さんの御質問は、結局日本鉄鋼産業は、輸入しているためにできないというのではなくて、近くの鉱石なり、あるいは石炭確保できればということであつたのだと存ずるのであります。それならば私、異議はございません。  そこで問題は、しかしながらそれでも現在の情勢において、あるいは従来日本が中支から特つて来ておりました鉄鉱石が、これを持つて来る運賃と、フィリピンから持つて来る鉄鉱石運賃を比較して、現在においてどちらが安いか高いかということは、これは十分検討を要すべき問題だと思うのであります。従来支那大陸から持つて来たものが安かつたから、今日も安いとは必ずしも言えない。今の情勢下においては、いろいろなフレートの問題もありましよう、あるいは採掘の今日までの情勢が、向うはどういう形になつておるか、そういう点の検討もいると思うのであります。そこで今その議論はしばらくおきまして、たとえば開炭の問題にいたしましても、ただいま実際に向うが持つておりますところの貯炭について、引合いが目下行われておるような情勢でありまして、でき得る限り私は機会を見失うことはないつもりでおります。ただ御承知のように中共政権との取引については、現在日本占領管理下にあるのでありますから、これは司令部ポリシーに合致したポリシーをとらざるを得ない情勢にあることは、むろん御承知通りだと存ずるのであります。その間におきまして、われわれができるだけの努力をいたしまして、中共との取引についても、いろいろ苦心をいたしておることも御了承願いたいと思うのであります。
  26. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それで次に移りますが、日本製鉄が今度政府の方から離れて独立会社として、いわゆる完全なる私企業に移すということをやるわけですが、日本鉄鋼生産が非常に遅れている。他の工業生産指数から見ましても、鉄鋼生産指数が非常に遅れておるわけですが、非常に古い設備でもつて—溶鉱炉にしましても、平炉にしましても、非常に古い設備をそのままで、しかもこれを政府の補助から一切切り離して、日本鉄鋼生産の大部分を担当しておる日本製鉄私企業に移して、そうして鉄鋼生産の増強が期し得るかどうか。その点についてのお考えを伺いたい。
  27. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 ただいま加藤さんの言われたところは、私企業に移してはだめだろうと、こういう話だと私は思うのでありますが、私は全然反対の考え方を持つております。そこで第一の点として、日本設備、機械が非常に古い、これをこのままにして、助成もしないで、それで実際に日本鉄鋼業が成立つて行くかというお話でありますが、たとえば日鉄の広畑の工場のごときは、鉄鋼生産に関心を持つておられる外国の技師の方が見られて、これはアメリカにおける一流の会社に劣らない設備だというようなことを言われておることは、おそらく加藤さんも聞いておいでになるのではないかと私は思うのであります。設備が非常に不完全である、古い時代日本製鉄設備が古いということはもちろんでありますが、しかしその後いろいろ、何といいますか、とりかえと申しますか、修理と申しますか、新設、能率化についてやつておるのでありまして、一概に設備が古いということは、私は第一に間違つておるだろうと思うのであります。それからこれは御承知のように再建整備法によつて会社にわかれることになつておるのでありますが、二会社にわかれれば、おのずから競争意識を持つて来る、いわゆる個人企業としての創意くふうが行われるということになりますならば、助成を受けて、そうして仕事さえやつておればいいのだ。與えられた数量さえ出ればいいのだというような考え方よりも、機械設備に対する能率化、あるいは経営の能率をあげて行く上において、むしろ私は助成をしない方が、ほんとうによくこれが伸びて行くものだ。かように考えております。
  28. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 現在の鉄鋼生産コストというものは、おそらく外国の価格に比較して非常に高くついておると思うのでありますが、そうした状況日鉄が資本の蓄積をみずからの力においてやつて設備の改善ということがはたしてできるかどうかということを私は疑うわけであります。それで今大臣設備も必らずしも悪くはないし、優秀な設備があるではないか。補修もやつておるとおつしやいましたが、私の聞いた範囲では、これらの設備というものは、いずれも昭和十二年以前の設備であつて、その後補修もほとんどやつておらないというふうに聞いております。そういう点で私は大臣と見解が違うわけでありますが、そうした設備の改善をみずからの力でやるということについては、非常にむずかしい問題があると思うのであります。そういうような点についてもう一応見解を明らかにしていただきたい。
  29. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 加藤さんに申し上げますが、御承知のように広畑の工場は、終戰になるころにでき上つたのでありまして、あれが着手されたのが昭和十七年からであります。十二、三年前の設備しか持つておらないということは間違いであります。この点はつきり訂正しておきます。  それから八幡製鉄所もその後十二、三年に入れた溶鉱炉もあります。この点も訂正しておきます。はつきりいたしておいた方がいいと思います。  それからコストの問題でありますが、なるほど鉄鋼鋼材のコストは、ただいまにおいてはアメリカにおけるコストよりも高くついておるかと思います。これは数字をよく調べて見ないとわかりません。おそらく裸にした場合はあるいは高くついておるかと思います。しかしながらこれは数量の問題でありまして、フルに動いておらぬので、フルに動かすことがわれわれとして必要である。たとえば前年度の百二十万トンでしたか、八十万トンが百二十万トンまで行つたのですが、そういつたような計画から、今年度の百八十万トンも、これは百八十万トンを越すと思います。大体百九十万トンくらい行くのじやないかと思いますが、来年度あたりは二百万トンとして、これももう少し行くのじやないかと思います。数量的におきましては鋼材のごときは、もう少し数量がふえるかと思います。また稼働率が多くなり、操業度が多くなると、非常にコストが安くなるということはもちろんだと思いますが、こういうものの経営に携つたものはよくおわかりだと思いますが、操業度のいかんが価格の上に、経費の上に、大きな違いを及ぼすものでありますから、この点はあなたが御心配になるように私は心配をいたしておりません。しからば操業度をあげて、これが売れるか売れないかという問題でありますが、今日広畑工場は厚板の設備を持つております。これを一連再開するか、二連再開するか。二系統再開するか。こういうことが大きな問題だと思います。しかしながら最近外国のバイヤーから厚板の輸出に対するインクワイアリーが相当参つておりますが、日本の造船業に対する割当が足りないというような意味において、これは断つておるような現状であります。私は今いわゆるトルーマンのフエアーデイールの関係から、東南アジヤあたりの経済的に未熟な国に、それぞれ何らかの手当がされるというようなことになりまして、それらの工業が促進されるというような場合には、重工業部面における需要が相当にあるものと私は期待しております。
  30. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 今外国からの注文を断つておるというお話でありましたが、つい最近マーカツト経済科学局長から、鉄鋼輸出に関して日本政府に警告と申しますか、とにかく申入れがあつたわけでありますが、それはどういう事情であるか、その点をお聞かせ願います。
  31. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 それはただいま申し上げたように厚板の需要が非常に多いので、四万トンのインクワイアリーがありましたに対しまして、六箇月の納期を申入れたというので、商談ができなかつたのがあるのであります。その他二三そういつたような厚板のインクワイアリーがあつたのが、納期の関係その他で商談ができなかつた。あるいは内地の造船用に保留しておつた。保留しておつたものを振り向けるわけに行かないから、これをお断りしたということについて、日本はいわゆる飢餓輸出をしなければならぬ状態にあるのじやないか。従つて内地のものは犠牲にしても、飢餓輸出をしなければならぬじやないかという意味の話合いをしたわけであります。
  32. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 最近滞貨が相当ある。前回の委員会では滞貨はないというようなお話でしたが、滞貨が相当あるということをしばしば聞くのであります。その点についてもう一応お伺いします。
  33. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 これは御承知だと思いますが、鋼材はいろいろな種類があります。薄板においては滞貨がなくて、なお今日飛ぶように売れておりますし、実はこれの手持ちは全然ない。ところがビレットについては滞貨がある。御承知のようにこういつたような需給に対しましては、あるときにはAのものに対して需要がある。あるときはBのものに対して需要がある。そこでAのものは滞貨ができる。これは当然商売上行われることでありまして、別に珍らしいことでも何でもないのであります。滞貨があるものもあり、また今のように厚板のものについては滞貨がないから、そういうような商談を断つた。こういうことでありまして、これは商売上あり得ることであります。
  34. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 しかし私はその点は国内需要の点においては、関連産業が振るわないためにビレットが滞貨したということではないかというふうに思うのであります。国外に対しては、いわゆる輸出関係においては、コストの点で引合わない。こういうような点にあるのではないか。こう私は考えたわけであります。大臣はそうではない。商売というものは品物もある程度つてなければならぬしというような簡單な御説明ですが、それならば私は心配はいたしません。今言つたような国内における有効需要の減退、国外に対してはコストの点で輸出ができない、こういうような点にあるといたしましたならば、やはりそこにむずかしい問題があるというふうに思うわけであります。  大臣の見解はおつしやつたから追求いたしませんが、次に従来戰時中から大小幾多の鉄鋼業者があつたのでありますが、最近はいわゆる集中生産方式で中小業者は切捨てて行く、そうして大きな業者だけ残して行く。こういうやり方で進んでおるように思うのであります。その状況、それからこの結果どのくらいの失業者が出たかということを、これは事務当局の方からでもよろしいが、お伺いいたします。
  35. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 ちよつとお断りしておきますが、言い抜けられたというお言葉でありましたが、事実がそうでありますから、その点だけははつきりお断りしておきます。実際に引合つてはおりましたが納期が間に合わないということでありまして、値段上においては引合つておるのでありますから、その点もはつきりお断りしておきます。  それから薄板、厚板につきましても、実際においては値段鉄鋼は折合つております。ただスペシフイケーシヨンの問題についていつも問題が起るのは、納期の問題において問題が起つたということでありますから、この点ははつきりしておきたいと思うのであります。  それから鉄鋼業については集中生活というお話でありますが、御承知のように溶鉱炉を持つておる会社というのはきまつておるのでありまして、問題は結局圧延あるいは展延、そういう問題についての工場の問題と、特殊鋼の工場の問題であろうと私は思うのであります。しかしながらこの方の問題も何らわれわれの方で集中生活をどことどこの会社にしろという命令もいたしておりませんければ、また集中生産方式をことさらにとつてもいないことをはつきり申し添えておきます。
  36. 神田博

    神田委員長代理 ちよつと加藤君にお諮りいたしますが、大臣に対する質問をやつていただいて、他の委員諸君からも大臣に対する質問は残つておるようでありますから、事務当局に対するものはあとまわしにお願いしたいと思います。
  37. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それではあと二、三簡單質問いたしますが、いわゆる集中生産方式はとつておらないとおつしやいますけれども、結局荒廃した設備と、遅れた技術でもつてやはりいろいろな点で、立ち行かないということになるわけで、問題はこうした中小工場に対しては設備の改善という点が非常に重大だと思いますが、そうした設備の改善という点ついては、現内閣はほとんど考えておらないようであります。中小企業に対する設備資金というようなものが、ほとんど考えられておらないところから、そう判断せざるを得ないと思うわけでありますが、結局それをやらなければ、いわゆる中小工場は切捨てられて行く、こういうことになるわけであります。そこでそれではこうした中小企業を生かすために、それを助けるための方法を講ずる考えがあるかどうか、それを一応お伺いいたします。
  38. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 どうも何だか少しお考えになつておる点が違つておるように思うのですが、一体設備の問題について通産省は一つも考えていないという点については、私は御訂正を願いたい。私は日本技術的にあるいは機械設備において、非常に遅れておるということを一番痛感しておるものであります。従つて今度の予算においても工業技術には一番力を入れ、工業技術庁の立場というものを一番尊重してやつておることを、はつきり申し上げておきたいのであります。そこで中小工場の機械設備の改善する、こういう問題につきましては、御承知のように通産省としては工場診断をやつて、この機械設備をこのように直したならば、コストがこれだけ下がり、経営能率がこれだけ上る、しかもそろばんが合つて来るというものにつきましては、それについてのわれわれの方の診断を下して、そうして融資のあつせんをいたしておるのであります。どう診断してもいけないものについては、これはどうもいかんともしがたいのでありますが、診断をした上において、ここの設備をこう改善すればよいのだ、ここの技術をこう改良すればよいのだというものについては、われわれは診断をして融資のあつせんをしておるのでありますから、その点をお含みおき願います。
  39. 神田博

    神田委員長代理 次は田代文久君。
  40. 田代文久

    ○田代委員 産業設備営団並びに交易営団の廃止にからむ問題ですが、常にこういう場合には不正事件が起るというので、社会の疑惑を招いておりますし、また新聞にもいろいろ書き立てられたことがあるのでありますが、この清算過程、あるいはこの事業をやつて行く過程において、不正事件が行われたかどうか。もしわかつておれば、その内容、件数等を、大ざつぱでよいのですが、御説明願います。
  41. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 産業設備営団法なり、交易営団法を廃止する、こういうものについて不正が行われておつたかどうかということであろうと思うのでありますが、これは特殊清算をやつておりますことは御承知通りでありまして、その清算事務の進行過程におきまして、そういうものは何らないということを承知しておるのであります。
  42. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、これはこの前第五国会で問題になつたのでありますが、産業設備営団の業務上の損失に対する政府補償等に関する法律案が、衆議院の方で上程されました。その内容は、御承知のように十一億の赤字をどうするかという問題であつたのでありますが、この問題と今度の廃止の問題の関係について御説明願います。
  43. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの田代委員のお尋ねは、第五国会において成立しなかつた五法案のことだと思いますが、それはもう三月三十一日限りで、その法律の構想は終えておりますので、ただいまその関係はことごとく解消いたしておまして、要は先ほど加藤委員から御説明のありましたように、閉鎖機関としての特殊清算の終末において、いかなる補償の結果になるか。これはただいま確定しておらない事実で、特殊清算の進行に連れまして、順次判明して来ることと存じております。
  44. 田代文久

    ○田代委員 法案としては御説明通りでありますが、問題はその赤字の問題であります。参議院におきましてはこの問題が非常に揉めまして、結局これは握られるということになつたのでありまして、実際におけるこの赤字の内容そのものが、法案が通過しなかつた、会期が終つたということによつてつておるかどうか、それが解消したか、ここに問題があるのでおりまして、その関係の御答弁を願うわけであります。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点につきましては、遺憾ながら田代委員と、当時の状況の観察において意見を異にするものであります。三月三十一日までに従来の石灰企業に対する補償なり、その他いやしくも国家が補償すべきものは、全部片づけろというその筋の御勧告によりまして、産業設備営団も十一億の補償をいたそう、かような法案ができたわけでありまして、その十一億の補償がおおむね金融機関に撒布さるべき補償であつて、大衆の利益をむしろ度外視するものであるという意味において、その補償を受くべきそれぞれの金融機関の名前が、あの表に列記されておりますが、特殊のものに補償されて、一般的の債権者を保護する補償でないからということが、議論の重点であつたように覚えております。従いまして特殊清算の結果、一一%の債権を拂うというような問題もありまして、それがどの程度清算されるのかは今後の問題でありまして、事情が当時の状況とはただいまはまつたく変化していることを御了承いただきたいと思うのであります。
  46. 田代文久

    ○田代委員 先ほど政府側の説明によりますと、これが清算をされる場合に出て来る最後の赤字が、大体六億程度を見込んでおるということを言われたのでありますが、これは間違いなくその通りでありますか。
  47. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは大蔵省の閉鎖機関の担当裸においての説明でありまして、その前の十一億の補償があつたにかかわらず、今後六億で済むかという意味だと思いますが、前の十一億の補償という意味は、特殊清算の性格上債権をどの程度に打切るかということであります。それによつて処理が違つて参ります。特殊清算でありますから、当時十一億の補償をしなかつたから、十一億がそのまま行く、こういうものではないと考えておりますので、大蔵省の方の六億の数字が正しいものかどうかは、私言明の限りではありませんが、ただちに十一億がそのまま糸を引いて、結論においても十一億が残る。かような清算方法をとらないのが、特経会社なり、それぞれの閉鎖機関によります特殊清算であることを御了承いただきたいのであります。
  48. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、この法案の内容では昭和二十七年の十二月一ぱいまで、これを大体残すようなふうになるのでありますが、それを今後満三箇年間残す根拠について……。
  49. 宮幡靖

    宮幡政府委員 特殊清算の期間を満三箇年間残すという意味でございますか。
  50. 田代文久

    ○田代委員 この法案の提案理由に出ておりますが、この清算を完了する……。
  51. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点につきましては、もつと早い期間、これは当初にどなたかから御質問がありましたが、特殊清算はもつと早いうちに—加藤委員からの御注意もありましたように、できるだけ早くやる方が能率的だ。これに異議がないのでありまして、できるだけ早くやりたい。しかしながら先ほども大蔵省の方からも説明がありましたように、原因等につきましても不明の債権債務がある。さようなことで心に思いながらも若干の遅延を免れない。しかしながらここに規定いたしました二十七年十二月三十一日というような期間には、見通しとしては大体生産を終るであろう。幸いにして鋭意清算努力いたしました結果、それより早い前に特殊清算の結了の登記ができたら、そのときをもつて営団法を廃止する、こういう意味の提案でございます。
  52. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと帝燃興業の方の廃止は即刻やるということになつておるのでございますが、これはどういうことでありますか。
  53. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点は提案理由で明らかにいたしております通りでございます。
  54. 田代文久

    ○田代委員 私たちが非常に心配いたしますのは、清算過程に産業設備営団などは非常に赤字が出る。だからこの前出ました産業設備営団に関する法律案は、衆議院はパスしたけれども参議院ではパスしない。この間いろいろ赤字が残つておる。こういうものを満三箇年間も残して、その間に何とか処理するのではないかというような疑惑も持たれているというところに問題があるのであります。この点に対してはつきり政府が確信を持つておられるかどうかという点であります。
  55. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは見方の問題でありまして、必ずしも私の方からこうだと、断定的な申し上げ方をしたくないと思つております。しかし御指摘でありますから、一応申し上げますが、昭和二十四年の三月三十一日まで、すなわち二十三年度の従来の赤字財政の方針によります予算の立て方、これをやめるのが三月三十一日でありまして、今度は完全なる均衡予算、こういうことを四月一日から実施いたすのであります。それまでに司令部の方の見解で許されます補償限度がいわゆる一一%、これに対しまして生れて参りましたのが、先刻御心配になりました法案でありますが、これが補償されます、ひもつきで還元されますところが、金融機関に限定されておるという意味から反対が起つて、とうとう三月三十一日までに法案が成立をしなかつたのが事実であります。従つて清算機関を残すことによりまして、これを何とか糊塗しようというような意図は、もちろんないのであります。またないと私が願うことに少しもむりはないと思いますが、そういう心配がありましたら、特殊清算機関につきまして、さらに御調査を願う以外にはいたし方はない、かように考えております。  なお帝国燃料興業株式会社の方だけは、すぐ廃止するのではないかということでありますが、これは企業再建整備法に基いて会社が解放いたしましたので、法人格がすでに失われております状況におきまして、この帝国燃料株式会社法を廃正しなければならぬことは、理の当然でありまして、別にこれだけを廃止して、ことさらに他に赤字やその他の始末をつけるために、営団の方や公団の方を残す、かような意味ではございませんから、さよう御了承いただきたいと思います。
  56. 田代文久

    ○田代委員 次に公団との関係でありますが、この間新聞に出たところによりますと、この公団をできるだけ早い期間に閉鎖するというようなことを、安本長官が発表しておるのでありますが、この点に対してこういう意図をお持ちであるか、どうかお聞きいたしたい。
  57. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 われわれの方の関係の問題は、貿易公団になるわけでありますが、今の御質問は結局全体的な公団廃止に関連しての、官房長官の声明に対してのお話であろうと思うのですが、貿易公団は御承知のように自由貿易に移行する考え方を持つております。輸出輸入とも自由貿易に移行したい。大体輸出は十二月一日から、輸入は一月一日から移行したと思つておりますが、しかしながらなお公団の輸出入とも仕事は残つておりますので、来年度においては公団は、なお引続き仕事を続けてやつて行きたいと存じておるのであります。ということは公団の手持ち在庫の問題もあります。また従来の引続いての仕事もありまするし、また輸入の面につきましては一部政府の指定輸入もありますので、見返り資金による輸入もあります。そういう点がありますので、貿易公団は来年度はなお残つて行く予定であります。
  58. 田代文久

    ○田代委員 私が申し上げたのは單に貿易公団だけではなくて、全面的な公団の問題であつたわけでありますが、産業復興公団の手持品をできるだけ早く売りさばいて、公団を閉鎖する。その場合に多少値段の割引をするというようなことでございますが、そうでございますか。
  59. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 産業振興公団も大体来年度はそのまま残す予定であります。ということは、産業復興公団になおいろいろ手持ちがありまするし同町に産業復興公団は設備の賃貸の問題その他の問題がありますので、なお引続き残す予定であります。  それから今復興公団のものを値引しても、早く売つてしまうというような考え方があるのだというお話でありますが、御承知のように通産省は商売省でありまして、損をしてやるという考えは持つておりませんから、そのことだけを申し上げておきます。なおこれは御説のようにオープン・ビツドしてやりますから、その点は御心配たいと思うのであります。
  60. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、今まで産業復興公団などは非常に有益な組織であるという意味でできたわけでありますが、これをできるだけ早く廃止しなければならないというふうになつた理由はどこにあるのですか。
  61. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 廃止しなければならぬという理由は一つもございません。品物がなくなり、仕事がなくなれば廃止いたします。
  62. 田代文久

    ○田代委員 私は仕事がなくなるとは思わないのであります。むしろこれを廃止しなければならないということにつきしましては、その運営なりその他いろいろ問題があるので、そういうふうになるのではないかと思うのであります。むしろ運営次第によつてはこういう機関そのものが非常に役立つのでありますが、そういう点に対する御見解は……。
  63. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 私は廃止しなければならないということは、ちつともさつきから言つていないのであります。用がなくなれば廃止するといつておるのでありまして、その点ははつきりしていただきたいと思います。そこで今復興公団が設立されましたときの趣意に従つた仕事はやつておるのでありまして、その仕事は御承知のように、いわゆる兵器処理その他の関係のあと始末をやつておるようなわけでありまして、その仕事がなくなりますれば設立の目的がなくなるから、自然仕事がなくなる。従つてやめるようになる、こういうことであります。
  64. 田代文久

    ○田代委員 次に帝国鉱業開発株式会社の問題でありますが、これに扱われました問題は銅とか、金とか、マンガンとかいう非常に重要な物資が、生産関係に扱われておるのでありますが、これに対する政府の育成、あるいは助成というような点が、むしろ必要でないかというように考えられるにもかかわらず、その一部の法案を改正して、むしろこれを自由な立場で解放してしまう。そうしてかつてにやりたまえというような案のように見受けられるのでありますが、こういう重要産業に対する政府の今後の取扱い方、あるいは見解というものをお示し願いたい。
  65. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 これは根本的に考えの出発点が違つておるから、そういう御質問が出るのだろうと思うのでありますが、一体帝国鉱発は、御承知のように、戰時中の要請に従つて採算の引合わない山も動かす。またそのとき必要であつた銅なり金なり、あるいは特殊非鉄金属について、採算が合おうと合うまいと、とにかく戰争目的のためにこれを動かさなければならないという意味で、帝国鉱発ができたということは、御承知通りであります。そういう意味合いで、損は行つてもいい、そろばんは合わなくてもいい、重要鉱物だから何でもやらなければならぬということになりますと、一体日本経済全体というものはどういうことになるか、そういう点をまずお考え願いたいと思うのであります。そこで帝国鉱発自体のやつております仕事はうまく行つておりません。そして実際に取上げられたところの元の鉱主が、これの返還要求を頻頻といたしております。これがおそらく元の鉱主に返還されました場合は、ほんとうに日本経済の上に大いに役立つことだと私は期待しております。あなたの指摘されますところの重要なる金山にいたしましても、あるいは銅鉱にいたしましても、これが元の鉱主に返されるならば、実際にこれが役立つて、また採算の引合つた経営が行われるものだと、私は期待しておりまして、そういう方向に進むべきものだと存じております。
  66. 田代文久

    ○田代委員 これははなはだ私たちは奇怪に思うのでありますが、政府が関與しておる場合にはそれがうまく行かない。そしてがたがたでどうもしようがない。しかしこれを元の鉱主に返せばうまく行くようになるように考える。これは大体どういうわけでありますか。もし元の鉱主に返すことによつてうまく行くとすれば、当然政府がやつてもうまく行くと思う。
  67. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 政府の事業がうまく行かないことは御承知通りでありまして、これはやはり責任といいますか、人間のやむにやまれざる本能と申しますか、これはどちらか知りませんが、とにかく自分の仕事、自分のやつて行く仕事、こういう感じから出発いたしまして、元の鉱主が自分の創意くふうによつてこれをやつて行くと、実際に採算が合つて行くのであります。それが現実であります。
  68. 田代文久

    ○田代委員 今のような自由主義経済一般論をおつしやいますならば、非常に問題があるのであります。ただ私たちは、そういう一般論ではなくして、実際に政府が現在持つていて、そうしてそれがうまく行かない。それならたとえば中小企業などに対しましても、金融関係など非常に逼迫している場合に、これをおろしてやつて行けるかどうか。私はこういう重要産業に対しましては、国家的な立場から当然取上げなければならないし、国力としましても、あるいは国家の全経済的な面から申しましても、重要問題であります。そういう一般論で、自由経済でやればすべてが行くということになれば、現在国家が依然として持ち、あるいは助成してやつている産業は非常にたくさんあります。この関係はいかがでございますか。
  69. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 私は今帝国鉱発の問題についてお答えいたしたのでありますから、その点ははつきりいたしておきます。私は帝国鉱発の問題について、たとえば金山なり銅鉱山に対して云々されますから、それにお答えしたのでありまして、私は今ここで議題になつております帝国鉱発の問題に限づて議論をいたしたいと存ずるのであります。  なお私が、民間がやれば利益が出るが、政府がやれば利益が出ないと言うことは、これは先ほど申しましたように、実際に民間人がこれを自分のものとして、創意くふうをもつてつて行く。現に帝国鉱発は七億の赤字を算しておるのであります。事実はその通りであります。今まで動いておつたところの山、今まで相当の産金をいたしておりました山も、実際に引合わない。そうして七億の帝国鉱発は赤字を出しておるのであります。
  70. 田代文久

    ○田代委員 その点では非常に根本的に考え方が建つておるようでありまして、これは討論のときに譲るといたします。  次に帝国燃料株式会社の廃止に関する問題でありますが、この人造石油事業に対する今後の対策について伺います。
  71. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 人造石油の問題については、田代さんも御承知だろうと思いますが、これは日本が禁止されておる産業であります。人造石油なり人造ゴムなり、そういう問題については禁止されておる問題でありますから、そこで論議する必要もなかろうかと存じております。
  72. 田代文久

    ○田代委員 禁止されておるかされておらないかということで、私議論をしますとおかしいので、その点はそれで打切ります。私は日本の全体的な経済の立場から、一切のこういう燃料寮源の問題に対して、考えるべきであるという点から質問したかつたのでありますが、そういうことであれば、それは問題がないのであります。これも打切りますが、これに対する清算計画について、まだこの前の説明では十分でなかつたようでありますので、お願いいたします。
  73. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今の御質問は、人造石油の生産計画ですか。
  74. 田代文久

    ○田代委員 いや、そうでありません。帝国燃料です。これを廃止するにつきまして、清算事務が行われておるか。
  75. 宮幡靖

    宮幡政府委員 もうただいまの状況におきましては、帝国燃料興業株式会社は即時廃止いたしたいような状況にあるのでありますが、これはすでに昨日来各委員からの御質問で、十分盡しておるはずでありますから、ここで繰返しては申し上げません。しかしながら政府の金、硫黄及び錫鉱業の整備命令に基きます損失補償は打切られておりませんで、残存物件の維持管理及び処分、未收代金の回收等の業務を鉱発法に基いて監督する必要がありますので、さしあたり資本金だけの規定をここで変更いたしまして、それらの手続が終りまして—これは提案理由の説明のときも申し上げましたように、大体明年の三月末まであたりには終るであろう。そのときに廃止いたしたい、かような考えであります。
  76. 田代文久

    ○田代委員 終ります。
  77. 神田博

  78. 今澄勇

    今澄委員 私は以上のいろいろな説明並びにこれまでの質疑応容で、全部明らかになつたのでありますが、きのうの質疑応容の結果、三点だけ大臣から御答弁を願つた方がよかろうというような政務次官の御答弁の分だけを、きようは三つだけ大臣にお尋ねをすることにします。  第一点は、帝国燃料興業の元の配下にあつた山陽化学なり、滝川化学工業等のいろいろ古い施設でありますが、昨日の宜幡さんの御答弁では、これは私の指摘した塩化アンモニウムなり、あるいはその他ソーダ関係の事業なりで、いろいろ今計画がとなえられておりますが、大臣から御答弁を願つた方がよかろうということでございましたので、これらのソーダ工業が今日行わんとする塩化アンモニウム工業に、これら山陽化学等の旧施設を利用するといつたような計画は、どの程度まで進んでおるか、あるいはまたアンモニヤのガスをつくつて、これを合成工業にまわすというふうないろいろな計画もあるように聞いておりますが、そういつた方面の概略のところをひとつお答えを願いたいと思います。
  79. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今澄さんの御質問の問題でありますが、これを転用するあるいはそういつたような化学部門にこれを利用するという話は、よりより行われておることは私も承知いたしております。     〔神田委員長代理退席有田委員長代理着席〕 しかしながらまだ具体的に私のところに報告が参つておりませんので、今日どの程度に進行しているか、あるいはそれがはたして計画としていいか悪いか、財政上どうなるかといつたような問題については、まだお答えする域に達していないのをはなはだ遺憾に存じます。しかし大体そういう問題が起きますと、いずれお前どう思うかというので、診断を尋ねられるのが常でありまして、私も大臣としてでなしに、業界人の一人として、診断に、またはいろいろ相談にあずかることがあるわけであります。
  80. 今澄勇

    今澄委員 第二点は石油の問題でありますが、石油は日英貿易会談等において、中東あたりから日本に入れられる石油が三十二万トンばかり第一次船で入つて来るというような情勢であります。鉱山局長はまた全然入つておらぬという話でありますが、近く入れば、これらの原価は大体事務当局の御答弁では六千五百円くらい、手数料その他を入れて精製しても七千五百円見当になる。国内の今の石油の値段から比べて見ると、ポンドの切下げその他の影響で相当これは安くなる。そこでその間の値ざやが開くが、これらのものはしばらくは貿易特別会計の赤字を埋める方面に運用される計画であるか、あるいはそれらの赤字を切下げて内地の石油の値段を安くして、マル公の改訂をされる方向に進まれるかというような問題によつて日本の石油事業は非常に大きな影響を受けるが、これらに対する見通しについて、大臣の御見解を承りたいとともに、今の国内需要のわずか一割しか出ておらないところの帝国石油等の国内石油と、今後大いに海外から入るであろう外国の石油との比率から、日本の石油事業というものは、どういう程度にこれを守つて行かれるかという見地について、ひとつお答えを願いたいと思います。
  81. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 まず日本の石油事業の問題でありますが、これはよく港間伝えられておりまするように、北海道あたりにはなお石油資源があるのだ、そういつたような考え方があるようであります。なおその他の地区におきましても相当日本には石油資源があるのじやないかというような話がありまして、北海道の地質調査の結果による石油の採掘に対して、実は見返り賞金に二億五千万円程度の金を予定いたしておりまして、この地方も調べて見たい、かように考えております。ということは今日本の石油が日本全体の需要の一割程度でおる。こういうことについてはそれがはたしていいか悪いか。できれば日本国内においてこういつたような資源があるならば、それを開発して、もう少しわれわれの国内のものがよけいに利用できるようにいたしたい。こう考えておりますので、その点については十分注意をもつて検討いたしておる次第であります。それから英国の中東方面から入つて来る石油の問題でありますが、これはコストがどうなるかという問題について、実際にこれをはたして貿易会計の一部に繰入れておくか、あるいはそれの安かつた場合に全体的に値段を下げて行くかという問題については、アメリカから入つて来る原油の問題もありまするし、いろいろな問題をあわせて検討して行きたいと考えておりますので、まだ最後的の決定に至つていないわけであります。
  82. 今澄勇

    今澄委員 それで第三点として鉄の問題ですが、これもいろいろ質疑応答の結果余部明らかになりました。鉱石の問題は一応きようは済んだので、あと鉄についての燃料炭である石炭の問題でございます。これもきのういろいろと質疑応答がありましたが、一例として銑鉄をとるならば、米国における石炭値段が、炉渡しで六、七ドル、ところが日本においては輸入炭の原価を調べてみると二十三ドルになつております。そこでたとい東亜の地域にいい石炭があつても、二十三ドルというようなことではまことに高い。国内炭はどうかというとトン五千五百円と仮定して大体十五ドル、こういうふうないろいろな観点からはじいてみると、銑鉄一トンをつくるのに石炭がニトンも要る。最もよけい消費する石炭の面においてこのような値段では、将来日本鉄鋼事業が外国の鉄鋼事業とともに競争をするという場合においては勝目がない。それでは日本石炭政策がどうかというと、これはまあ自由経済ということで、自由販売になつたのでありまするが、計画経済というほどでもありませんが、統制されておつたときには大体四千五百円くらいの石炭が、今はそういつた少しいいものについては五千五百円程度に上つておるわけです。銑鉄原料である石炭については、こういうふうな状態であるが、将来日本鉄鋼業を海外の鉄鋼業と太刀打ちのできるようにするためには、これらの高い石炭の殖段をどういうふうにして下げて、海外と太刀打ちをされる計画であるかということについては、昨日は明快な答弁がございませんでしたので、これをひとつお願いしたい。さらにもう一つは、大体計画においてはこれは五箇年計画の一翼でございまするが、本年二百万トンという計画なつておつた。そこでそれらの計画達成のためには、くず鉄というものが非常に重大な存在をなしておつて、従来は銑鉄、くず鉄の混合比率が平炉において三割七割、一貫作業においては四割六割という見当であつたが、きのうの画幅政務次官の御説明によると、この混合率を少し引下げて、そうしてくず鉄を伸ばせば、あと一年半くらいはくす鉄があるだろう、こういうお話でございましたが、われわれが調べてみるところによると、あと一年ぐらいしかくす鉄はないかもしれぬ、されば輸入したらどうかということで調べてみたが、日本のくず鉄が大体三千円前後で、米国においては一万円程度である。さすれば日本国内においてこのように三千円にもならないものを、非常に高いくず鉄をよそからとらなければならぬということになりまするから、今後の製鉄の部面においてこのくず鉄対策については、どういうふうにお考えになつておるか。以上の三点について大臣から答弁願いたいと思います。
  83. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 銑鉄のコストの問題について、石炭いわゆる粘結炭の問題の御指摘だつたのでありまするが、これは今日鉄あたりでもいろいろ研究いたしておりまして、できるだけ輸入炭によらないで、日本の高品位炭をウオーキングする、あるいはそういつたような問題についての技術的な故良によりまして、できるだけ輸入炭をセーブするという方面にくふうが加えられておることは御承知のことと存じております。まあそういう点でできるだけくふうを加えて行く。なお米国粘結炭よりも従来やつておりました開平炭あたりをできるだけ入れる。そうなりますればコストも自然安くなる。両方相まつてコストの節約に資したいというので、その方向に努力いたしておる次第であります。     〔有田委員長代理退席、神田委員長代理着席〕  それからもう一つのくず鉄の問題でありますが、くず鉄の価格が、アメリカなんかに比べましては非常に安いのであります。安いということはスクラップが集まらないという一面にもなつておると思うのでありまして、スクラップの値段はどうしてもある程度上げることが必要なのではないか、こういうふうに考えておるのでありまして、できるだけ日本銑鉄よりも、くず鉄による製鋼に行くという建前からいつても、くず鉄の値段をもう少し上げることがいいのではないかということで、段階的にくず鉄の値段を上げる考え方を持つております。なおくず鉄が一体どれだけ日本にあるかという問題でありますが、これは一年といい、一年半というても、ほんとうに水掛論だと私は思うのでありますが、われわれといたしましては、なお相当、来年度一ぱいくらいは、そうくず鉄については心配しなくても、輸入を待たなければならないという事態は起つて来ない、かように考えておるわけであります。
  84. 今澄勇

    今澄委員 この鉄鋼の問題については、設備技術を持つて日本のこの高い炭の現状を克服するということも、前途なかなか容易ならないことであります。それからくず鉄の問題についても、譲つて一年半としても、これまたその後の状態を考えてみるときに、まことにうたた寒心にたえないというような状態のもとにおいて、きのう鉄鋼局長から御説明になりました、順次漸減的な補給金の切下げという三つの問題に加えて、海外からの鉱石の問題をあわせてみると、まことに日本鉄鋼業というものは楽観を許さない。これらの鉄鋼業が他の産業と同じように、自立的な自由競争というだけで、これが日本鉄鋼業として確立できるかどうかということについては、これは見解の相違でありまするが、私どもはこの際十分なる注意をしていただかなければならないと思うのであります。ここで一つそのような日本の安いくず鉄を臨時くず鉄回收法案というようなもので、前第五国会において私どもはくず鉄の回收を力説いたしたのでありますが、これもどうも答弁がはつきりしませんので、大臣にお願いいたしますが、わが国のそのような前途まことに長く持たないくず鉄を、外国へ輸出するというようなことは、今の日本鉄鋼事情にとつても、まことに遺憾なことであるが、一部では大分輸出したという話がある。それから日本の銅産業についても、同じことですが、放銅の方が非常に安い。その故銅も先般輸出したというような情報が、これまた入つておるのでありまするが、それらの真偽と、そのような輸出というものは今後は押えて、わが国のいわゆる銅なり鉄なりの炉へ、くず鉄、くず釦が入るような策が構ぜられるかどうかという点についてお伺いをして、私の質問を終ります。
  85. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今のスクラツプを出したそうじやないかというお話でありますが、これはたしか設備営団が持つておりました特殊鋼のスクテツプ三万トンが出たお話の間違いではないかと思うのであります。特殊鋼のスクラツプは、御承知のように向うではこれを利用いたしておるようでありますが、日本では利用できません。なお特殊鋼のスクラップでも、中の成分によりましては、日本の特殊鋼会社はこれを利用できるものもあります。しかしながらまだ日本の特殊鋼業者は、中に含有しておるところのものによりましては利用できないというような点もありまして、その三万トンは特殊鋼のスクラップの問題だと思うのであります。  それから故銅が出たという問題は、何か機械鑄物と間違えて故銅が千トンほど、これはほんとうの間違いで、出たということがあつたそうでありまして、これは最も注意しなければならぬことだと思つております。故銅が必要であつて日本から一体出すべきでないことはもちろんでありまして、この点は今澄君の御意見とまつたく同感であります。
  86. 神田博

    神田委員長代理 次は有田喜一君。
  87. 有田喜一

    有田(喜)委員 きわめて簡單に若干質問したいと思います。第一に石油でございますが、私の大体調べました調査によりますと、石油の本年度の需要量は約二百五十万キロリットル、放出許可量の見込は約二百万キロリットルと見当をつけておるのでありますが、大体さようなものでございましようか。また来年度の需要量並びに放出許可見込量というものは、どういうように政府はお考えになつておるか。まずその点をお伺いしたい。
  88. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいまの石油の需給関係お話でございますが、ごく最近の供給数量を年に延ばしてみまして、ほぼ二百万キロというのは、お話通りでございます。現実にそれに対する需要はどうかというお話でございまするが、特殊の生産関係のものとしての機械液とか、潤滑油等につきましては、乏しいながらともかく必要量を充足するように、その輸入司令部に懇請して、ほぼ目的を達しつつあるわけであります。ただ自動車専用の燃料ガソリンの輸入につきましては、需要の希望全部が十分いれられないという状況でございまして、これはもともと、ガリオアで入れておるような事情もございますが、極度に国内の用途を節約しろというような要請もございまして、その点で若干不自由しておるというのが実情でございます。
  89. 有田喜一

    有田(喜)委員 それから二十五年度の見込みは……。
  90. 徳永久次

    ○徳永政府委員 二十五年度につきましては、実は先ほど来問題になつておりまする原油の入りまする関係によりまして、若干事情がかわつて来るのじやないか。原油も現実に入れて参りませんと、とれまする成分の関係がわれわれの方にまだ十分にわからないので、全体的に見ましてことしよりは、まあいくらかふやしてもらえるのじやないかというふうには見ておるわけであります。
  91. 有田喜一

    有田(喜)委員 石油が貴重なる資源であり、またこれ、か大事だということはよくわかりますが、しかし石油の配給が円滑に行かないと、日本の生殖の復興その他非常に支障が生ずる。先ほど自動車用の供給量が十分行かないとおつしやつておりますが、私の調査によりますと、一番この油の配給で弱つておるのは船舶関係、ことに機帆船であります。機帆船は御承知通り戰時戰後を通じて、相当重要なるわが国の必需物資の輸送に当つておりまして、大事な役割を果しておる。今日泊の配給がないために機帆船の運航上非常に大支障を来しておる。またこの弱い船舶の中小産業が非常に危殆に瀕しておる。来年度は原油が入つて来、それだけ輸入資金が節減される。この点につきまして政府の格段の御配慮を仰ぎたいと思います。  次に今回原油が輸入されることになりまして、太平洋岸における精油工場の操業が再開された。これは先ほど言いましたように、輸入資金の節減という意味から申しましても、非常にけつこうなことだと思います。そこでお伺いしたいのですが、わが国の石油精製能力は、今日許可されておる分でどのくらいの精製能力があるか、また今後どの程度精製能力が増加できるかということをまずお尋ねいたします。
  92. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この夏に許可されま正した全体の復旧計画の能力のすべてというものが、概算百三十万キロくらいのものであります。年間の需要がかりに先ほど申しました二百万か、二百四、五十万と見ますと、それに対しまする精製能力が百三十万ということになります。但し二百何十万と申しまするのは、石油のあらゆる械類のものを含んでおりまして、生産能力の際に  は、大体基本になりまするガソリンが、どの程度日本に必要かということを目安としまして、そのガソリンの充足に必要な原油がどの程度ということで許されるのでありまして、この原油の種類によりまして、ガソリンと合せて出て参りまするものが、種類によりまして、でこぼこが出て参るのであります。その点で多少余るもの、足らぬものというぐあいになつて来るのじやないかと思いまするそれにいたしましても、トータルといたしましては、まだ全国内の消費量のすべてを原油で輸入して、国内で精製するという建前に行くのには、ほど遠いという状況なつておりますので、極力逐次その数量をふやしてもらいまして、でき得べくんば全体を国内の精製による原油輸入に、切りかえてもらうというようにしたいと考えております。
  93. 有田喜一

    有田(喜)委員 少し聞きとれなかつたのですが、もつと簡單にはつきり願いたいのであります。私の聞いておるのは、今回許された太平洋岸におけるわが国の石油の精製工場の量です。つまり許されたものに対してはたとえば一日について何万バーレルくらいか。それから今後日本としてはまだ精製能力をもつとふやされるか、どの程度にできるか、その点を伺いたい。
  94. 徳永久次

    ○徳永政府委員 さしあたり許されておりまする原油精製品というものは一日二万五千バーレルということになつております。復原いたしまする設備能力は、それよりも少し大きいものが許されております。しかし国内需要全部原油処理に直すものと考えますれば、能力はもう少し大きくする余地があるということであります。
  95. 有田喜一

    有田(喜)委員 そうしますと、日本の石油精製能力だけでは、十分に需要がまかなえない。結局将来も原油ばかりでなく、精油あるいは重油を入れなければならぬ、こういう見通しでございますか。
  96. 徳永久次

    ○徳永政府委員 今認められました現状の復原設備以上の複原ということが、許されないものとしますれば、今のお話のような結果になろうかと思うのであります。私どもはできるだけそうしたくないということで、関係方面に懇請いたしておりまするが、関係方面でも今回の分はパースト・ステツプであつて、逐次設備もふやし、原油処理等も増して行くということを考えてやるという趣旨でございますので、われわれはまだ十分の希望を持ちながら、逐次この実現に努力いたしたいというぐあいに考えております。
  97. 有田喜一

    有田(喜)委員 それにいたしましても原油は来年度も相当大量に入つて来るということになりますが、そこで問題はそれを運ぶ船の問題であります。御承知通りわが国のタンカーの現状では、近いうちに原油がどんどん入つて来るということになりますと、いわゆる船のクラスの問題で難関にぶつかつて参ります。運輸省の方の改造ということは、タンカーまで行かないのですが、新造船に着手されておりますが、その間にずれがあります。あるいはまた重油ならば今の船でも多少改造してでも行けると思いますが、私の聞きたいのは、さしむきの問題として、いわゆる原油と重油とがどういうふうな比率で入つて来るか。それが船舶の問題とうまく行くように、政府として調和されてやつておるかどうか、口ではやつておるとおつしやいましようが、実際問題としては相当運輸省と連絡をとつてつてもらわなければならぬが、その点をはつきりお伺いしたい。  それからこれは大臣にお伺いしたいのでありますが、私はやはり日本の石油の精製能力というものから、原油をできるだけ入れてもらうような方針を、ぜひとつてもらいたいと思います。しかしこれはわが国ばかりのかつてな要求だけではいかぬと思いますが、そこはやはり大臣のお力によらなければならぬと思いますが、大臣としましては原油を入れる方針について、それと船舶問題とあわせて、どういう措置を講ずるおつもりであるか、その点を伺いたい。
  98. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今の有田さんのお話については、私も同様の希望を持つておりますことを申し上げたいと思うのであります。ただこれはわれわれだけかつてに希望いたしましても何でありますが、しかしできるだけわれわれといたしましても、そういつた精製能力をフルに働かし得る、あるいはまた精製工場として利用し得るものをフルに働かし得るという建前に持つて来るように、努力いたしたいと思うのであります。  なお原油を運びまするところのタンカーにつきましても、できるだけこれは運輸省との間に時時お話合いをいたしておるのでありまして、むろんこれは日本船によつて運ばなければならぬ。それには有田さん御指摘のように、今日本ではこれが乏しいのでありますから、そういう新しい建造の問題についても、また改修の問題につきましても、運輸省との間にぬかりなく連絡をとつておるようなわけでありまして、なおこの点についてはごもつともと存じますので、できるだけ注意してやつて行こう、かように存じております。
  99. 有田喜一

    有田(喜)委員 ひとつこれは超党派的の立場でお願いしたいのですが、これは私らの要求だけではなかなかうまく行かぬと思いますので、大臣も御一考願いたいと思うのです。なおこれは一層のベストを盡してくださるよう、私は大臣にその点を非常に期待しておりますので、ひとつうまくやつていただくように重ねてお願いいたします。  それからこれは大体大ざつぱでいいのですが、そうすると来年度は原油と重油が大体半々くらいで入つて来る見当と見ていいでしようか。
  100. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいま輸入原油で予定されておりますのは、さしあたり半年分の需要を見込んでおるのでございまして、年に直しました場合にどういうふうになりますか、まだそこらの見当はつかない状況でございます。ほぼ半年分としまして原油輸入数字が示されておりますが、最近その数字も少し増加した数字が言われております。現実に買付けしたのはその許されたものの約四割弱のものが、すでに買付完了したという状況でございます。全体的にどうなりますか、もう少し推移を見せていただきませんと、見当がつかぬような状況でございます。
  101. 有田喜一

    有田(喜)委員 次に簡單に銅のことをお伺いしたいのであります。今回補給金の打切りによりまして、銅鉱山は相当問題が起きておりますが、今日ようやく滞貨融資で一時を糊塗しておるようにも思います。結局私は銅の問題は、国内需要の喚起と輸出にまつて行く、この二つより道はないと思います。そこでお伺いしたいのですが、大体来年度における銅に対する国内需要の見通しをどうお持ちになつておるか。それから輸出実現の見通しはどうか、これをお伺いしたい。
  102. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 御承知のように、銅は日本においては戰前は輸入いたしておりましたことは御承知通りであります。しかもその当時におけるところの日本の銅の産額は七万トン以上、八万トンくらいを出しておりましたが実際の輸入が二、三万トンに及んでおつたことは御承知通りであります。従つて日本は銅の輸入国であり、輸出国ではありません。しかしながら今日なお日本の産業全体が回復いたしておりませんような関係で、また同時に貯銅があるという関係から、銅は今日においては毎月の生産のうち、かりに五千トン出ておりますと、千五百トンくらいは貯銅になるという形になつております。そこで御承知のように補給金を打切りました関係で、貯銅を何らかの形で、とにかく始末をしませんと市場を圧迫する。こういう問題から、御承知のように一万トンだけの融資をするということで、この融資の話も進行いたしておりまして、すでに融資を受けておるところの会社も二、三にとどまつていないのであります。そういう観点でありますが、さて来年度は一体どうだ。こういうお話でありますが、ただいままでに大体一万五千五百トンの銅の輸出の契約が行われたわけであります。それで実は今後も銅の輸出は行われるという形勢にあるのですが、御承知のように途中その銅が欧州に行く、欧州に行つて欧州の買手先からまたちよつと困る方価へ行きやしないかという問題もありましたので、銅の輸出をさしとめられたというような問題も、実は一つの笑い話的にあるわけでありますが、しかしながら来年度といたしましても、かりに月に千五百トン余るかどうかは別として、かりに千トンずつ余るとしても、年に一万二千トンずつの輸出をしなければならぬ。なおかつ貯銅は輸出に振向けたい、かように考えておりますので、相当の輸出をわれわれは考えなければならぬ。少くとも二万トン以上くらいの輸出は考えなければならぬのじやないか、かように考えておるわけであります。しかしながら来年度におきましては、いろいろな観点か見まして、たとえば主として銅の需要先として予定されておりますところの電線であるとか、ケーブルであるとか、そういうような方面が今年度の需要よりもよけい期待し得る。私はかように考えておりますので、従つて五千トンの生産のうちから、今年度のようにたくさんの貯銅ができるということは、私は考えていないのであります。私は来年度大体二万トンくらいの輸出をすればおつつくのじやないか、これは貯銅も込めての話であります。そういうふうに考えております。
  103. 有田喜一

    有田(喜)委員 大臣輸出に相当期待されておるようで、その点も私は同感でありますが、この輸出価格は最近外電の報ずるところによると、比較的値がいいように聞いておりますので、その点私は多少安心しておるのですが、政府は大体どのくらいに輸出価格を見当つけておりますか。
  104. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 実は私は銅屋で銅のことはよく知つておるのですが、銅の値段くらいアメリカで狂うものはないのでありまして、今十八セント半していると、一週間もすると十五セントに下つてしまう、そうかと思うと二十二、三セントにはね上る。この銅の値段の変動くらいはげしいものはないのであります。従つてどの点に押えられるかという御質問を受けても、実ははなはだ困るのでありまして、これを私が予言者のように言うたら、それこそ神がかりになつてしまうのでちよつと困ると思うのであります。しかしながら、採算点から考えてみまして、たとえば今十八セント半ならこれは御の字であろうと思うのであります。しかしながら、これが下つて来たら少し困る。できればできるだけ日本採算点を割らないいいチャンスをつかまえて、輸出ということとをわれわれは考えておるわけであります。
  105. 有田喜一

    有田(喜)委員 もちろん銅の価格は大いに変更することはあると思いますが、それは国内価格の銅の問題はどうしても輸出価格、国際価格に引ずられる、こういう傾向に私はなるじやないかと思う。当然補給金でもお出しになるならばまた別問題でありますが、それが打切られている以上は、どうしてもそういう傾向になる。そこで銅鉱山の開発の点について、相当国際価格に関連があつて、問題は起つて来ると私は考える。今銅鉱山で一番困つているのは、やはり中小鉱山であろうと思います。融資ができればけつこうでありますが、相当大きな鉱山は融資にも問題はありませんが、中小鉱山にはなかなかそれがまわつて行かない。従つて中小鉱山の困窮は実に甚大なるものであつて、あるいは閉鎖に至るというようなことも、相当あるであろうと想像するのでありますが、その中小鉱山に対する政府の助成対策は具体的にどういうふうにお考えになつているか伺いたい。
  106. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 中小鉱山につきましては当然有田さんも御承知だろうと思いますが、大きな鉱業所が精練所を持つておりまして、買鉱をいたしております。そこで昔からの銅の商売で申しますと輸入値段が非常に影響します。日本のFOBに諸掛りをかけた値段日本の銅相場になつている。そこでその銅相場が採算が合うところの鉱山に対しては、大きい精錬所がこれを買鉱する。その買鉱の方式はいろいろありますがいわゆる採鉱率、歩どまりのかけ方によつて、いろいろ違うのでありますが、それから精錬費、これだけが要素になるのであります。そこで大鉱山の精錬所というものは、買鉱なくしてはやつて行けない、買鉱なくしては先生らの採算が立たないのであります。鉱石をどうしても買鉱してやつて行くというのが、精錬所の今までのやり方であつて、従つて精錬所が、いわゆる日本FOB価格が逆に上つたといえば、非常にプアー・オフアーで、一分二分の鉱石でも買えば採算がとれる。しかしながら今度は、銅の価格が、ニューヨークの相場が下つたというと、今度はたとえば五%、六%のリッチ・オフアーでも買つてつて行けないというのが実情で、今日においてわれわれがストックに対して金融をした、その金融措置は精錬所が従つて下に流して行くのでありまして、小さな個個の鉱山をどうするこうするということでは、ほんとうの日本の銅鉱業というものに対する全体のグリンプスはできない。大きな鉱業からこれを買うときに融資を流して行く、その行き方が本当の銅鉱業の行き方でありまして、またそういうふうにわれわれは大鉱業家に対して指導いたしておるわけであります。
  107. 有田喜一

    有田(喜)委員 先ほど銅の問題は冒頭に言いましたように、国内需要喚起、それから輸出、これがなければならぬが、国内需要喚起という問題は、最近のデフレ傾向によるとなかなかむずかしい。特に通信の復興も十分行かない、電源の開発も遅遅として進んでいない。来年度は相当行くとは思いまするが、銅の国内需要はもう少し大胆に喚起する方策を講ぜられたい。ことに今までの日本の銅は大臣よく御承知通りいわゆる兵器、軍需方面に使われておりましたが、いわゆる軍備を放棄した日本としては、その方面の需要がないわけでありまして、相当積極的に内外を通じての有効需用の喚起ということに、一層の努力を願いまして、行政についての誤りなきを期していただきたいことを、特に念願いたしておきます。  次に鉄鋼の問題でありますが、鉄鋼の問題は、各方面から御質問がありましたので、私質問を省きますが、大体鉄鋼政策の根本は、第一には鉄鉱石の問題、これは海南島その他支那方面から入れたいのは、もとよりでありますが、これは国債環境もあつてなかなか思うように行かない。そこで可及的に近い方面から入れてもらうということが、根本になつて来ると思います。つきましては、やはりそれは自国船でやつて、できるだけ外貨を外に流さないという方針をとつてもらうことが第一だと思います。第二は粘結炭の問題であります。これもやはり船の問題になりますが、自国船を大いに活用してもらうと同時に、事実上室爾、輪西方面で相当やつておりますが、できるだけ国内炭の活用について、ひとつ強力な措置を講じてもらうことが必要だと思います。それから第三には、先ほど今澄委員から質問がありましたように、鉄屑資源が枯渇しておる。そこで混銃卒についての検討を加えることが必要だと思います。それから能率のよいところをできるだけやつて、能率を上げることが必要であります。  一番最後には金融の問題、いわゆる合理化のための思い切つた資金投資の道を講じてもらう、大体こういうことに帰するのではないかと思いますが、政府ももちろんこの方針で着々やつておられるとは期待しておりますが、その他もつと本議題に対する根本的の政策なり、またそれ以上のよき政策をお考えならば、この際お教えを願いたいと思います。
  108. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 今有田さんがお尋ねになつたように、鉄鉱石やいろいろな原料に対する船の問題は、非常に大きな問題だと思います。この点はわれわれも痛切に感じているのでありまして、この点については御同感であります。なお原料炭なり、粘結炭なし、あるいは鉄鉱石をできるだけ近いところから運び得る機会があれば、これをつかんでいるのでありまして、たとえば開平炭であるとか、あるいはなお海南島の鉄鉱石の問題だとか、そういつたような問題も時々あるのでありまして、そういうものについての問題も、われわれはぬかりなく手配をいたしておるのであります。なお粘結炭でなく普通の原料炭のコーキングというような技術的の問題につきましても、この点の研究は今かなり進みまして、従つて入れるところの粘結炭の数量が、来年度はそれがために相当に減され得るのだということを、われわれは予期いたしているようなわけであります。技術的にはいろいろ検討すべき点もたてさんあると思うのでありまして、先ほども申し上げましたように、一番われわれがやらなければならぬ仕事というものは、その技術化という問題について、通産省は一番力を入れて行かなければならぬということを、痛切に感じている一人でありますので、その点にはぬかりなくやつているつもりであります。なおいい腹案があれば、御教示願えればなおけつこうだと思つております。
  109. 有田喜一

    有田(喜)委員 もう一点お伺いしたいのですが、これは多少今日上程の案とは別のことかも知れませんが、われわれがこの国会における一番関心の深い問題は、通産省から貿易関係法律が出るということであります。それで十二月一日から民間輸出が始まり、来年の一月一日から民間輸入が始まる。それで輸出に関する臨時措置法案が近く出て来るということを期待しております。また輸入に関する臨時措置の法律案も近く出て来る、こう考えているのですが、報道によりますと、いわゆる貿易為替管理法というものが一方に考えられているということですが、それは私は通常国会において根本法が出る。大体こう想像しておつたのですが、何かそれが一本になつて出るというようなうわさも聞きしますが、これはわれわれが通産省関係のいろいろな法律を議するに当りまして、議事の進行の上において相当考慮しなくてはならぬので、政府としては、この臨時国会にいかなる貿易関係法律案を上程される意思であるか、どういう方向に進めようとしているか、その点を第二にお伺いしたいと思います。
  110. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 いわゆるローガン構想による貿易の問題という建前から、輸出が十二月一日より、輸入が一月一日より、できるだけ自由貿易の基礎に立つた取引が行われるということになつているのでありますが、これに対する法律化については、最近になつてそういつたような関係が起きたために、この臨時国会に間に合わすということについて、非常に苦慮しているのであります。とにかく十二月一日と一月一日というように限られたわけでありますから——少くとも輸出法案については、この臨時国会に出さぬと間に合いません。いずれ二、三日うちには、向うの了承を得て御審議を願う段取になるのではないか、かように考えておりまするそれから輸入法案につきましても、また貿易為替管理に関する全般的の法案を出すにしましても、これはこの臨時国会にはとうてい間に合わない。さりとて通常国会も開会間もなく休会になる慣例がありますので、これを御審議願えるかどうかということについても心配いたしておりますので、とりあえずとしてのわれわえの考え方は、この臨時国会に、輸入法案についても、臨時的な措置としての輸入法案について御審議を願いたい、かように考えて、今関係筋と交渉中であります。多分了承を得られるのではないかというように考えているわけであります。そのほか今ここにかかつております例の輸出品取締法案、これだけが貿易関係の法案として国会の御審議を願うことになろうと存じております。
  111. 有田喜一

    有田(喜)委員 そうすると、私の想像しましたように、輸出に関する臨時措置法と、輸入に関する臨時措置法がこの臨時国会に出る、こう考えていいわけですね。
  112. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 大体そういうつもりで今折衝中であります。
  113. 有田喜一

    有田(喜)委員 それは政府として折衝中でございましようか。通産省としてその希望を持つて折衝されているのでしようか。政府としての方針はもうきまつたのですか。
  114. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 政府としての話であります。
  115. 有田喜一

    有田(喜)委員 最後に、これは希望になりますが、実は今回の法律で相当特殊会社の株券が、証券市場に放出されることになるわけであります。ことに日鉄株のごときは、大きな量が放出されるわけであります。先般来からの政務次官の御説明によりますと、財政資金の関係上相当急いで放出するようにも考えられますが、証券市場の関係からは、急がれては困るというようにも承つております。それは当然そうあるべきだと思います。たとえわれわれがこの法案を協賛するとしても、財政資金の関係もありましようが、証券市場を圧迫されることは非常に困ると思います。証券市場の株が高かろうが安かろうが、われわれに関係がないのでありますが、私の心配するのは、今日会社が、いわゆる自己資本調達で増資をやつておしますが、あれは企業再建整備から出発した、どうしてもやらなくてはならぬ増資であつて会社が任意的にやる増資と趣の違つた増資がたくさんあるのでありまして、そういう方面に対して株がたくさん放出されると、必要なる増資ができないという心配もあるので、むしろ財政資金というようなことをゆつくりお考えになつて、証券市場を圧迫しないように、今日産業の再建に必要な自己資本の調達という点に、相当重点を置いてお配意あらんことを私は切望しておきます。
  116. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 有田さんのおつしやることはごもつともです。私もさように考えます。できるだけそういう方向に進みたいと思つております。
  117. 神田博

  118. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 皆さんが大体お聞きになつたようですから、私はごく簡單に三問だけお尋ねしたいと思います。一括して三件をお伺いいたします。  第一、銅鉱業のうち、電気銅の補給金廃止後における探鉱奨励金として、補正予算に六千万円を計上しておるということを承つておりますが、この六千万円だけで現在の銅鉱業の温存が可能とお考えになつておるのかどうか。  なお、今後予算をどのぐらい計上するお考えであるか。その点と、もう一つは、今後の日本の金鉱業に対する見通しと、その御方針を大臣より承りたいと思います。
  119. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 大体御指摘のように、六千万円を計上いたしております。これが多いか少いか—これは多いに越したことはないので、私もできるだけ多くとりたいと希望いたしておりますけれども、全体の予算の上におきまして、この程度でわれわれとしてはがまんせざるを得ないだろう、こういうことで六千万円を計上しておるわけであります。来年度は一億二千万円を計上いたす予定にいたしております。  それから第二の質問は金の問題でありますが、将来の日本の貿易情勢その他から考えまして、どうしてもこの産金は奨励しなければならぬと、われわれは強く考えております。御承知のように、今日働いておりますのはたしか選鉱製錬所一箇所だけではないか、かように考えておします。最近串木野なりあるいは鴻ノ舞、そういうようなところは始めかかつておるわけでありますが、われわえは大体金山あたりをマークいたし、ことに選鉱製錬所というようなものの回復について、特に力を入れて行きたい。御承知のように、今の日本の産金は、おそらくニトンないしニトン半というところであろうと思うのでありまして、われわれはこれをどうしても十トンまで持つて行きたい。十トンまで持つて行くのも三年ぐらいにやつて行きたいというので、これらの金山の所有者に対して、それの設備計画なり、あるいは今後の操業計画なりを出していただいて、これについてできるだけ融資のあつせんをするということを考えております。そういつた方向でそれら各業者との間に話合いを進めておるようなわけでありまして、産金政策は御指摘の通り私は非常に、重要だと考えておりますので、大いに振興して行きたい、かように考えております。
  120. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 これはこの前わが党の村瀬議員が、石炭国家管理法の第四十條の損失補償の問題についてお伺いしたときの答弁では、ひもつきであるというようなお言葉があつたのですが、恐れ入りますが、繰返してはつきり承りたいと思います。
  121. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 あの四十條の規定は、国家管理法により個別的な命令または指示に因果関係のあるものに対して損失を補償する、こういうことで、村瀬君が御質問なさつたのはよくわかるが、同時に、西田君が平井局長に質問をいたしております。当時の速記録のベージをくつていただくとよくわかりますが、要するにそのときの平井君の答弁は、価格政策で行くべきものは物価政策で行くべきものであるという結論になつているのであります。言いかえれば、一つの山に対して特別に切羽をつくれという命令を出して、それがために損失をこうむつた場合はこれを補償しなければならぬ、あれはそういつた因果関係に対する規定であります。平井君と西田君との質疑応答ではまだ非常にあいまいな点があり、はつきりそういうものではございませんという返事を平井君はしていない。それは十月の十一日であつたと当時私は鉱工業委員長をしておつて取扱つたのでよく覚えております。ところが十一月十三日になりまして、今度は参議院でこういう質疑応容があつたのであります。この問題を認めるか認めないかと念を押したのに対して、当時の水谷商工大臣は、この点は全然含んでおりません。こういうものは損失補償の目的ではありませんと、はつきりお答えになつております。その点を私は指摘したわけであります。村瀬君に対するお答えはそういう点であります。
  122. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 打切ります。
  123. 神田博

    神田委員長代理 他に御質問はありませんか。—これにてただいま議題となつております五法律案に対する質疑は終了いたしました。本付託と相なりました後に討論採決を行うことといたします。     —————————————
  124. 神田博

    神田委員長代理 次に、去る十月三十一日に付託されました内閣提出輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。まず提案理由の説明を求めます。稲垣通商産業大臣
  125. 稻垣平太郎

    稻垣国務大臣 ただいま議題と相なつております輸出品取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を簡單に御説明申し上げたいと思います。  現行の輸出品取締法は、わが国輸出品の品質の改善と海外における声価の向上をはかるため昨年七月制定せられ、本年三月より実施せられているのでありますが、世界的なドルの下足、ポンドの切下げ等に伴いまして、今後ますますその熾烈化が予想せられます国際市場における競争に対処して、わが国輸出貿易の進展をはかりますためには、価格の適正であるということはもちろんでありますが、この品質の点においても改善を一段とはかり、わが国商品の海外における声価を恒久的に維持向上さすということが、一段と必要となつてきたのであります。ここにおいて政府におきましては、この目的達成のための一の方法として輸出検査制度の確立について、つとに考究して参つたのでありますが、これがためには現行の取締法についても、これが改善強化をはかる必要があると認め、ここに改正案を提出するようになつた次第であります。その改正の要点を申し上げますと、その第一は輸出品の海外における声価の維持向上をはかりますためには、何と申しましても粗悪品を輸出しないようにすることが最も必要でありますので、特にこれがため必要があります場合には主務大臣輸出品を指定して、通常の用法において正常の機能を果さないような輸出品については、これが輸出を防止するために輸出の最低の標準または包装條件を設定し得るようにしたことであります。第二の点は現行法によりますと、輸出品を検査しその結果によつて輸出品にそれぞれの等級の表示をなす責任者は、輸出業者のみとなつているのでありますが、これは検査の実情にも沿わない点がありますので、今回検査の責任者を輸出業者のみに限定せず、実情つて生産業者もその責任者となり得るようにしたことであります。  最後に第三の点は国が行う臨時検査でありますが、輸出品取締法による検査は、これが輸出品に関する検査であるだけに、これが完全に励行されているかどうかということが、非常に重要な問題となつてくるのであります。ここにおいてこの検査の励行の確保をはかりますための臨検検査に関する規定についても、これが整備をはかり、遺憾なきを期したいのであります。  以上が本改正案の提案理由とその内容の概要でありますが、政府におきましてはこの改正案の一日もすみやかな実施によりまして、現在の事態に対処して参りたいと考えておりますので、十分御審議の上、御賛成あらんことを切望いたす次第であります。
  126. 神田博

    神田委員長代理 これにて提案理由の説明は終りました。次会は来る十五日午前十時より開会いたします。詳細は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二分散会